JP2001337080A - フェノール類の分析方法 - Google Patents

フェノール類の分析方法

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JP2001337080A
JP2001337080A JP2000159330A JP2000159330A JP2001337080A JP 2001337080 A JP2001337080 A JP 2001337080A JP 2000159330 A JP2000159330 A JP 2000159330A JP 2000159330 A JP2000159330 A JP 2000159330A JP 2001337080 A JP2001337080 A JP 2001337080A
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Kazuyuki Yoshida
和之 吉田
Atsutaka Isomoto
淳貴 磯本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ビスフェノールAおよびクロロフェノール類と
アルキルフェノール類との両方の分析を、クロマトグラ
フィ装置による1回の分析で可能とする。固相抽出時に
導入する試料の量や通水速度が変動してもクロマトグラ
フィ装置による分析結果に変動が生じないようにする。 【解決手段】固相抽出法での抽出を行った後にクロマト
グラフィ装置での分析を行うことにより、試料水中に含
まれる複数種類のフェノール類を分析する。前記抽出
は、有機性の官能基を有するシリカゲル、スチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体、陰イオン交換基を有するスチ
レン−ジビニルベンゼン共重合体、陰イオン交換基を有
するシリカゲル、および活性炭から選択された2種類以
上の固相抽出剤を使用して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固相抽出法での抽
出を行った後にクロマトグラフィ装置での分析を行うこ
とにより、試料水中に含まれる複数種類のフェノール類
を分析する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一部のフェノール類は、μg/l
レベルの低い濃度で、ホルモン剤に似た作用を特に動物
の生殖細胞に及ぼし、生態系に深刻な影響を与えること
が報告されている。このような物質は「外因性内分泌攪
乱化学物質(環境ホルモン)」と称されて注目されてい
る。従って、環境問題の観点から、このような物質の微
量分析技術を早期に確立することが求められている。
【0003】実際、平成10年10月に環境庁から「外
因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル(以下、暫
定マニュアルと略)」が発行されている。この暫定マニ
ュアルに従えば、水に含まれているフェノール類につい
て、μg/lからng/lレベルの濃度での分析が可能
になっている。水に含まれているフェノール類の分析方
法として、この暫定マニュアルに記載されていて、現在
最も頻繁に行われているのは、液液抽出法を用いた方法
である。
【0004】この方法では、最初に、試料水中のフェノ
ール類をジクロロメタンで抽出(液液抽出)し、この抽
出液をロータリーエバポレーターなどで濃縮する。その
後、この濃縮物に含まれている夾雑物をさらにカラムク
ロマトグラフィで除去する。すなわち、この濃縮物を5
%含水シリカゲルが充填されたカラムに通して、この濃
縮物に含まれているフェノール類をシリカゲルに吸着さ
せた後、この吸着しているフェノール類をアセトンで回
収する。その後、この回収された液体をガスクロマトグ
ラフィー−質量分析計にかけて分析する。
【0005】この方法を用いれば、通常、水中のフェノ
ール類を70%〜130%の回収率で分析でき、5回繰
り返して分析を行ったときの相対標準偏差を20%以内
とすることができる。しかしながら、この液液抽出法に
は、前処理に時間がかかる、自動化が難しく人手によっ
て行われるためコストが高い、ジクロロメタンのような
有害な溶媒を大量に使用する必要があるという欠点があ
る。
【0006】固相抽出法を用いればこのような欠点は改
善されるが、暫定マニュアルに記載されている固相抽出
法では、アルキルフェノール類の分析と、ビスフェノー
ルAおよびクロロフェノール類の分析とを別々に行う必
要がある。そのため、ビスフェノールAおよび/または
クロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方を
分析する場合には、分析に長い時間がかかるという問題
点がある。
【0007】分析にかかる時間を短くできる方法とし
て、固相抽出装置とクロマトグラフィ装置をオンライン
で接続した装置を使用する方法が提案されている。例え
ば、特開平11−344477号公報には、有害有機物
質の分解処理装置の排水ラインに、定量検体採取装置
と、採取された検体から微量有害物質を固相抽出する固
相抽出装置と、固相抽出された物質を分析処理するクロ
マトグラフィ装置とが、オンライン接続された排水モニ
タリング装置が記載されている。この公報にはまた、フ
ェノール類が目的物質の場合には、ベンゼンジビニルベ
ンゼン系ポリマーを用いて構成した固相カートリッジに
より捕集濃縮を行うことが記載されている。
【0008】また、O.Jauregui,M.T.G
alceranによる「Anal.Chim.Act
a,340(1997),p191−199」には、水
中のフェノール類の測定を、オンライン接続された固相
抽出装置と液体クロマトグラフィ装置を用いた方法によ
り行うことが記載されている。この方法では、ポリ(ス
チレン−ジビニルベンゼン)からなるディスク型の固相
抽出剤を使用している。液体クロマトグラフィ装置とし
ては、電気化学検出器を備えた高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)を使用している。この方法により、
0.01〜0.1μg/lの検出限界で、ニトロフェノ
ールやクロロフェノールの13種類のフェノール類を測
定している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−344477号公報に記載の方法およびO.Ja
uregui等による方法は、アルキルフェノール類と
ビスフェノールAおよび/またはクロロフェノール類と
の両方を分析する場合に、回収率の高い有効な方法であ
るかどうかについて疑問がある。
【0010】特に、O.Jauregui等による文献
には、13種類のフェノール類のうちの一部の成分は、
固相抽出時の試料導入量によって回収率が変動すること
が記載されている。例えば、o−クロロフェノールは、
試料の導入量が150mlより多いと、分析による回収
率が80%より小さくなることが記載されている。本発
明は、このような点に着目してなされたものであり、固
相抽出法での抽出を行った後にクロマトグラフィ装置で
の分析を行うことにより、試料水中に含まれる複数種類
のフェノール類を分析する方法において、ビスフェノー
ルAおよび/またはクロロフェノール類とアルキルフェ
ノール類との両方の分析が、クロマトグラフィ装置によ
る1回の分析で可能であって、しかも固相抽出時に導入
する試料の量や通水速度が変動してもクロマトグラフィ
装置による分析結果に変動が生じない方法を提供するこ
とを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、固相抽出法での抽出を行った後にクロマ
トグラフィ装置での分析を行うことにより、試料水中に
含まれる複数種類のフェノール類を分析する方法におい
て、前記抽出は、有機性の官能基を有する(無極性型
の)シリカゲル、スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、陰イオン交換基を有するスチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体、陰イオン交換基を有するシリカゲル、
および活性炭(グラファイトカーボン)から選択され
た2種類以上の固相抽出剤を使用して行うことを特徴と
するフェノール類の分析方法を提供する。
【0012】本発明の方法は、分析するフェノール類
が、ビスフェノールAおよび/またはクロロフェノール
類とアルキルフェノール類である場合に、特に好適であ
る。固相抽出剤の官能基としては、オクタデシル基、
オクチル基、エチル基、メチル基、シクロヘキシル基、
ブチルジメチル基、フェニル基、シアノプロピル基等が
挙げられる。固相抽出剤およびの陰イオン交換基と
しては、1級アミン基、2級アミン基、4級アンモニウ
ム基、ジエチルアミノプロピル基、トリメチルアミノプ
ロピル基等が挙げられる。
【0013】固相抽出剤の形態は、ディスク型(膜状の
固相抽出剤が円板状に切り出されたもので、ガラス製等
の枠体に固定して使用される。)、およびカートリッジ
型(粒子状または粉末状の固相抽出剤が、シリンジ状等
の容器内に充填されているもの)のいずれのものでもよ
い。本発明の方法では、〜から選択された2種類以
上の固相抽出剤を使用して抽出を行う。そのため、ディ
スク型の場合には、膜状の固相抽出剤を2種類以上用意
し、これらを重ねて枠体に固定して使用する。あるい
は、1種類の膜状の固相抽出剤からなる市販のディスク
型固相抽出剤を2種類以上用意し、これらを重ねて抽出
装置にセットする。
【0014】カートリッジ型の場合には、容器内に2種
類以上の固相抽出剤の粒子が充填されたものを使用す
る。あるいは、1種類の固相抽出剤の粒子が充填されて
いる市販のカートリッジに、別の種類の固相抽出剤を充
填して使用する。この場合、容器内で2種類以上の固相
抽出剤の粒子は、混合された状態であってもよいし、分
離された状態であってもよい。
【0015】固相抽出法によるフェノール類の抽出は、
次のようにして行われる。先ず、試料水を固相抽出剤に
通すことにより、試料水中のフェノール類を固相抽出剤
に吸着させる。次に、この固相抽出剤に、フェノール類
を溶出可能な溶媒を通すことにより、フェノール類が溶
出された抽出液を得る。フェノール類を溶出可能な溶媒
としては、メタノール、アセトン、アセトニトリル、酢
酸メチル、ジクロロメタン、濃度0.001〜0.00
5mol/lの塩酸とメタノールの混合溶液、2〜4%
濃度のアンモニア水とメタノールの混合溶液等を用いる
ことが好ましい。この溶媒の使用量は、例えば2〜10
mlとする。
【0016】得られた抽出液は、先ず濃縮され、次に、
必要に応じてフェノール類を誘導体化する処理を行った
後に、クロマトグラフィ装置に導入される。フェノール
類の誘導体化処理は、誘導体化試薬をフェノールのヒド
ロキシル基と反応させることにより行われる。フェノー
ル類の誘導体化処理方法としては、トリメチルシリル化
(TMS化)、アルキル化、蛍光誘導体化、ハロゲン化
アシル化、およびハロゲン化ベンジル化が挙げられる。
【0017】トリメチルシリル化(TMS化)を行うと
きは、濃縮後の抽出液を、先ず無水硫酸ナトリウム等で
脱水し、この脱水後の抽出液にシリル化剤を添加して反
応させる。シリル化剤としては、以下に示す物質から選
択された1種類もしくは2種類以上を混合したものを使
用する。N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオ
ロアセトアミド(「BSTFA」と略称)、N,O−ビ
ス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジ
シラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロ
シラン、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチ
ル−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−トリ
メチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−トリメチ
ルシリルジメチルアミン、N−トリメチルシリルジエチ
ルアミン、N−トリメチルシリルイミダゾール、テトラ
メチルジシラザン、tert−ブチルジメチルクロロシ
ラン、N−メチル−N−(tert−ブチルジメチルシ
リル)トリフルオロアセトアミド、ジクロロメチルテト
ラメチルジシラザン、クロロメチルジメチルクロロシラ
ン、およびブロモメチルジメチルクロロシラン。
【0018】これらのシリル化剤のうちBSTFAを用
い、脱水後の抽出液中のフェノール類とBSTFAと
を、室温にて1時間程度反応させる方法でTMS化を行
うことが好ましい。アルキル化を行うときは、濃縮後の
抽出液を、先ず無水硫酸ナトリウム等で脱水し、この脱
水後の抽出液にアルキル化剤を添加して反応させる。ア
ルキル化剤としては、以下に示す物質から選択された1
種類もしくは2種類以上を混合したものを使用する。ジ
メチル硫酸、ジエチル硫酸、ジ−n−プロピル硫酸、ジ
−n−ブチル硫酸、N,N−ジメチルホルムアミドジア
ルキルアセテート、3−アルキル−1−p−トリルトリ
アゼン。
【0019】これらのアルキル化剤のうちジエチル硫酸
を用い、ジエチル硫酸と、エタノールとアルカリ水溶液
との混合溶液を、脱水後の抽出液に添加し、この抽出液
中のフェノール類とジエチル硫酸とを、室温にて1時間
程度反応させる方法でアルキル化を行うことが好まし
い。蛍光誘導体化を行うときは、濃縮後の抽出液を、先
ず無水硫酸ナトリウム等で脱水し、この脱水後の抽出液
に蛍光誘導体化剤を添加して反応させる。蛍光誘導体化
剤としては、以下に示す物質から選択された1種類もし
くは2種類以上を混合したものを使用する。
【0020】ダンシルクロライド、4−クロロ−7−ニ
トロ−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール、4−フル
オロ−7−ニトロベンゾフラザン、4−ブロモメチル−
7−メトキシクマリン、9−ブロモメチルアクリジン、
3−ブロモメチル−6,7−ジメトキシ−1−メチル−
2(1H)−キノキサリン、ナフタシルブロミド(2−
ブロモアセトナフトン)、p−(アントロイルオキシ)
フェナシルブロミド(パナシルブロミド)、1−ブロモ
アセチルピレン、9−クロロメチルアントラセン、9−
アントリルジアゾメタン。
【0021】これらの蛍光誘導体化剤のうちダンシルク
ロライドを用い、ダンシルクロライドとアセトンとアル
カリ水溶液との混合溶液を、脱水後の抽出液に添加し、
この抽出液中のフェノール類とダンシルクロライドと
を、60℃で30分程度反応させる方法で蛍光誘導体化
を行うことが好ましい。ハロゲン化アシル化およびハロ
ゲン化ベンジル化を行うときは、濃縮後の抽出液を、先
ず無水硫酸ナトリウム等で脱水し、この脱水後の抽出液
にハロゲン化アシル化剤およびハロゲン化ベンジル化剤
を添加して反応させる。ハロゲン化アシル化剤およびハ
ロゲン化ベンジル化剤としては、以下に示す物質から選
択された1種類もしくは2種類以上を混合したものを使
用する。
【0022】無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオ
ロプロピオン酸、無水ヘプタフルオロ酪酸、ペンタフル
オロベンゾイルクロライド、無水トリクロロ酢酸、ペン
タフルオロベンジルブロマイド、ジフルオロベンジルブ
ロマイド、ジフルオロベンジルクロライド、トリフルオ
ロベンジルブロマイド、トリフルオロベンジルクロライ
ド、ペンタフルオロベンジルクロライド、トリフルオロ
アセチルイミダゾール、ヘプタフルオロブチリルイミダ
ゾール、ペンタフルオロプロピオニルイミダゾール。
【0023】クロマトグラフィ装置での分析は、ガスク
ロマトグラフィー装置または液体クロマトグラフィー装
置を用いて行う。ガスクロマトグラフィー装置を用いる
場合は、検出器として水素炎イオン化検出器や電子捕獲
型検出器を備えたもの、あるいはガスクロマトグラフィ
ー装置と質量分析計を結合した装置(GC−MS)を使
用することが適当である。特にGC−MSを使用するこ
とが好ましい。
【0024】液体クロマトグラフィー装置を用いる場合
は、検出器として電気化学検出器を備えたもの、質量分
析計、紫外・可視分光吸収検出器、または蛍光分光検出
器と、液体クロマトグラフィー装置とを結合した装置を
使用することが適当である。特に、液体クロマトグラフ
ィー装置と質量分析計または蛍光分光検出器とを結合し
た装置を使用することが好ましい。
【0025】分析にかかる時間を短くするためには、自
動的に固相抽出を行う自動固相抽出装置を使用すること
が好ましい。また、自動固相抽出装置とクロマトグラフ
ィ装置とをオンラインで接続した装置を使用すれば、分
析にかかる時間をより短くすることができる。自動固相
抽出装置としては、例えば、固相充填剤をセットするホ
ルダーと、試料水の注入口と、溶媒を入れる容器を有
し、固相充填剤をセットした後に試料水を注入口に注入
することによって、自動的に試料水が固相充填剤を通っ
た後に、自動的に溶媒によるフェノール類の回収が行わ
れ、この回収液がクロマトグラフィ装置の試料導入口に
自動的に注入されるようになっているものを用いる。誘
導体化処理を行う場合には、上記構成に加えて誘導体化
試薬を入れる容器を有し、誘導体化処理も自動で行われ
るようになっている自動固相抽出装置を用いることが好
ましい。
【0026】自動固相抽出装置としては、例えば、ギル
ソン社から「ASPEC−XLi」という商品が市販さ
れている。各成分の定量は、予め標準試薬を用いて検量
線を作成しておき、得られたクロマトグラムから各ピー
クの面積値を求め、この面積値と検量線とから定量値を
求める。検量線の作成方法には、絶対検量線法、内部標
準法、内部標準添加法等があるが、内部標準法によって
検量線を作成することが好ましい。内部標準法を使用す
る場合には、内部標準物質として、例えば、ナフタレ
ン、フェナントレン、ピレン、アセナフテン、フルオラ
ンテン、クリセン、ペリレン、ベンゾピレン、またはそ
の重水素化物を用いる。既知量の内部標準物質を添加し
て、試料の面積比と内部標準物質の添加重量の比から定
量値を求める。
【0027】本発明において、フェノール類とは、分子
内に芳香族環を有し、且つその芳香族環に水酸基が直接
結合している化合物をいう。この水酸基を有していれ
ば、分子内に、アルキル基、フェニル基、アミノ基、ハ
ロゲン、硫黄などの置換基を有していてもよい。フェノ
ール以外のフェノール類の例を以下に示す。2−ter
t−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノー
ル、4−sec−ブチルフェノール、4−n−ペンチル
フェノール、4−ヒドロキシビフェニル、4,4′−ジ
ヒドロキシビフェニル、4−エチルフェノール、4−プ
ロピルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、
イソペンチルフェノール、4−tert−オクチルフェ
ノール、5−オクチルフェノール、4−ノニルフェノー
ル、2,4−ジクロロフェノール、ペンタクロロフェノ
ール、4−ブトキシフェノール、4 −ヘキシルオキシフ
ェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘプ
チルフェノール、ビスフェノールA、2,4−ジクロロ
フェノール、ペンタクロロフェノール、α−ナフトー
ル、β−ナフトール、2−フェニルフェノール、4−フ
ェニルフェノール、エストリオール、エチニルエストラ
ジオール、17β−エストラジオール、およびエストロ
ン。あるいはこれらの異性体。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。環境庁の「環境ホルモン戦略計画(SPEE
D98)」に挙げられている10種類のフェノール類を
用意した。4−tert−ブチルフェノール、4−n−
ペンチルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、4
−tert−オクチルフェノール、4−n−ヘプチルフ
ェノール、4−n−オクチルフェノール、ノニルフェノ
ール、ビスフェノールA、2,4−ジクロロフェノー
ル、ペンタクロロフェノールである。これらのフェノー
ル類としては、関東化学(株)または東京化成(株)よ
り市販されているものを使用した。
【0029】これらの10種類のフェノール類を、各フ
ェノール類の濃度が100〜1000ng/lとなるよ
うに純水に添加し、pHを3に調製することにより試料
水を得た。この試料水を用い、以下に示す各方法によ
り、10種類の全てのフェノール類の分析を行った。 [実施例1]吸引濾過器に、スルホン酸基を有するスチ
レンジビニルベンゼン共重合体からなるディスク型固相
抽出剤(3M社製の「エムポアディスクSDB−RP
S」、直径47mm)と、スチレンジビニルベンゼン共
重合体からなるディスク型固相抽出剤(3M社製の「エ
ムポアディスクSDB−XD」、直径47mm)を、流
路方向で重なるように装着した。「エムポアディスクS
DB−RPS」を「エムポアディスクSDB−XD」よ
り上流側に配置した。吸引濾過器は、ジーエルサイエン
ス社製のエムポアディスク用吸引マニホールドとガラス
ウエアを用いて組み立てた。マニホールド内に回収用の
容器を取り付けた。
【0030】この吸引濾過器の上部容器(ガラスファン
ネル)に試料水を入れ、マニホールドに接続した真空ポ
ンプを稼働させることにより、500mlの試料水を通
水速度100ml/分で通した。これにより、試料水中
のフェノール類を、スチレンジビニルベンゼン共重合体
とスルホン酸基を有するスチレンジビニルベンゼン共重
合体の2つの固相抽出剤に吸着させた。
【0031】次に、前記上部容器に酢酸メチルを入れて
真空ポンプを稼働させることにより、2つの固相抽出剤
に10mlの酢酸メチルを通した。次に、前記上部容器
にメタノールを入れて真空ポンプを稼働させることによ
り、2つの固相抽出剤に10mlのメタノールを通し
た。これにより、回収容器内に、酢酸メチルおよびメタ
ノールにフェノール類が溶出された抽出液を回収した。
【0032】得られた抽出液を濃縮した後、この濃縮さ
れた抽出液にヘキサンを加えて液液抽出を行った。次
に、この液液抽出で得られた抽出液を無水硫酸ナトリウ
ムで脱水した後、液量が0.1ml程度となるまで濃縮
した。これらの濃縮は、活性炭カラムで精製された窒素
を吹き付ける方法で行った。この濃縮液を入れた容器内
に、水酸化カリウムのエタノール溶液(濃度約1mol
/l)を加えた後、さらにジエチル硫酸を加えて、室温
で60分保持した。これにより、フェノール類のアルキ
ル化が行われて、容器内に沈殿物が生じた。次に、この
容器に、水酸化カリウムのエタノール溶液(濃度約1m
ol/l)を添加した後、さらに純水を添加して、容器
内の沈殿物を溶解させた。
【0033】次に、この容器内の溶液を、ヘキサン1m
lに内部標準物質としてフェナントレン重水素化物10
0ngが添加された溶液で液液抽出した。次に、この液
液抽出で得られた抽出液をクロマトグラフィ装置に注入
して分析した。クロマトグラフィ装置としては、ガスク
ロマトグラフィ装置と電子イオン化方式の質量分析計を
結合した装置を用いた。ガスクロマトグラフィ装置はヒ
ューレットパッカード社の「HP6890」であり、質
量分析計は日本電子社の「JMS−AMSUN」であ
る。
【0034】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率(分析で得られ
た定量値を添加量で除して100を掛けた値)を算出し
たところ、91%から105%までの値であった。この
値は、良好な分析がなされたことを意味する。また、上
記手順による抽出および分析を5回繰り返して行うこと
により再現性を調べたところ、相対標準偏差は10%以
内であり、充分な再現性(分析精度)が得られた。ま
た、上記手順による抽出および分析にかかった総時間
は、約6時間であった。
【0035】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を100ml/分とし、それ以外の点
は全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収
率は89%から104%の範囲にあり、試料量による回
収率の変化はほとんどなかった。また、固相抽出時の試
料水の通水量を500mlとし、通水速度を300ml
/分とし、それ以外の点は全て上記手順で抽出および分
析を行ったところ、回収率は93%から105%の範囲
にあり、通水速度による回収率の変化もほとんどなかっ
た。さらに、これらの方法で5回の繰り返し測定を行っ
た時の相対標準偏差は、いずれも10%以内であり、再
現性(分析精度)も充分であった。
【0036】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は2ng/lであった。以上のように、
この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよびク
ロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方の分
析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可能で
あり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水速度
が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果に変
動が生じなかった。 [実施例2]以下の点を除いては実施例1と同じ方法
で、固相抽出法での抽出とクロマトグラフィ装置での分
析を行うことにより、試料水中に含まれるフェノール類
の分析を行った。
【0037】試料水の固相抽出後に、フェノール類のア
ルキル化処理に代えて蛍光誘導体化を行った。蛍光誘導
体化は次のようにして行った。液量が0.1ml程度と
なるまで濃縮された濃縮液を入れた容器内に、炭酸水素
ナトリウム水溶液(濃度1mol/l)を50μlと、
ダンシルクロライドのアセトン溶液(濃度1mg/m
l)を200μlを加え、60℃で30分保持した。こ
れにより、フェノール類の蛍光誘導体化が行われた。次
に、この容器に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度0.5
mol/l)を100μl添加した。
【0038】この容器内の溶液を、実施例1と同様に、
ヘキサン1mlに内部標準物質としてフェナントレン重
水素化物100ngが添加された溶液で液液抽出するこ
とにより、クロマトグラフィ装置に注入する液体を得
た。クロマトグラフィ装置としては、液体クロマトグラ
フィ装置と蛍光検出器を結合した装置(島津製作所の
「LC−10シリーズ」)を用いた。
【0039】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、87%から108%までの値であった。この値は、
良好な分析がなされたことを意味する。また、上記手順
による抽出および分析を5回繰り返して行うことにより
再現性を調べたところ、相対標準偏差は15%以内であ
り、充分な再現性(分析精度)が得られた。また、上記
手順による抽出および分析にかかった総時間は、約6時
間であった。
【0040】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を100ml/分とし、それ以外の点
は全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収
率の変化はなかった。また、固相抽出時の試料水の通水
量を500mlとし、通水速度を300ml/分とし、
それ以外の点は全て上記手順で抽出および分析を行った
ところ、回収率の変化はなかった。さらに、これらの方
法で5回の繰り返し測定を行った時の相対標準偏差は、
いずれも15%以内であり、再現性(分析精度)も充分
であった。
【0041】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は10ng/lであった。以上のよう
に、この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよ
びクロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方
の分析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可
能であり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水
速度が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果
に変動が生じなかった。 [実施例3]以下の点を除いては実施例1と同じ方法
で、固相抽出法での抽出とクロマトグラフィ装置での分
析を行うことにより、試料水中に含まれるフェノール類
の分析を行った。
【0042】試料水の固相抽出後に、フェノール類のア
ルキル化処理に代えてハロゲン化ベンジル化を行った。
ハロゲン化ベンジル化は次のようにして行った。液量が
0.1ml程度となるまで濃縮された濃縮液を入れた容
器内に、ペンタフルオロベンジルブロマイドを100μ
lと、炭酸カリウムを20mg添加した後、さらにアセ
トンを10ml加えて、70℃で3時間還流した。これ
により、フェノール類のハロゲン化ベンジル化が行われ
た。次に、還流後の液体を冷却した後、この液体に、ジ
エチルエーテルを50ml、酢酸エチルを2ml、純水
を1ml加えて振とうした。振とうによって生じた水層
を除去した後、有機層に無水硫酸ナトリウムを添加して
ロータリーエバポレータにかけて濃縮を行った。
【0043】この濃縮によって得られた濃縮物に、アセ
トンとジエチルエーテルとヘキサンの混合溶液(ジエチ
ルエーテル:アセトン:ヘキサン=1:1:98)を1
ml加え、さらに、内部標準としてフェナントレン重水
素化物を100ng添加することにより、クロマトグラ
フィ装置に注入する液体を得た。クロマトグラフィ装置
としては、ガスクロマトグラフィ装置と負イオン化学イ
オン化方式の質量分析計を結合した装置を用いた。ガス
クロマトグラフィ装置はヒューレットパッカード社の
「HP6890」であり、質量分析計は日本電子社の
「JMS−AMSUN」である。
【0044】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、80%から112%までの値であった。この値は、
良好な分析がなされたことを意味する。また、上記手順
による抽出および分析を5回繰り返して行うことにより
再現性を調べたところ、相対標準偏差は15%以内であ
り、充分な再現性(分析精度)が得られた。また、上記
手順による抽出および分析にかかった総時間は、約9時
間であった。
【0045】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を100ml/分とし、それ以外の点
は全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収
率の変化はなかった。また、固相抽出時の試料水の通水
量を500mlとし、通水速度を300ml/分とし、
それ以外の点は全て上記手順で抽出および分析を行った
ところ、回収率の変化はなかった。さらに、これらの方
法で5回の繰り返し測定を行った時の相対標準偏差は、
いずれも15%以内であり、再現性(分析精度)も充分
であった。
【0046】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は0.2ng/lであった。以上のよう
に、この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよ
びクロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方
の分析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可
能であり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水
速度が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果
に変動が生じなかった。 [実施例4]以下の点を除いては実施例1と同じ方法
で、固相抽出法での抽出とクロマトグラフィ装置での分
析を行うことにより、試料水中に含まれるフェノール類
の分析を行った。
【0047】試料水の固相抽出後に、フェノール類のア
ルキル化処理に代えてTMS化を行った。TMS化は次
のようにして行った。液量が0.1ml程度となるまで
濃縮された濃縮液を入れた容器内に、BSTFAを20
0μl添加し、室温にて1時間保持した。これにより、
フェノール類のTMS化が行われた。このTMS化後の
液体に、内部標準としてフェナントレン重水素化物を1
00ng添加することにより、クロマトグラフィ装置に
注入する液体を得た。
【0048】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、88%から109%までの値であった。この値は、
良好な分析がなされたことを意味する。また、上記手順
による抽出および分析を5回繰り返して行うことにより
再現性を調べたところ、相対標準偏差は10%以内であ
り、充分な再現性(分析精度)が得られた。また、上記
手順による抽出および分析にかかった総時間は、約6時
間であった。
【0049】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を100ml/分とし、それ以外の点
は全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収
率の変化はなかった。また、固相抽出時の試料水の通水
量を500mlとし、通水速度を300ml/分とし、
それ以外の点は全て上記手順で抽出および分析を行った
ところ、回収率の変化はなかった。さらに、これらの方
法で5回の繰り返し測定を行った時の相対標準偏差は、
いずれも10%以内であり、再現性(分析精度)も充分
であった。
【0050】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は4ng/lであった。以上のように、
この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよびク
ロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方の分
析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可能で
あり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水速度
が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果に変
動が生じなかった。 [実施例5]以下の点を除いては実施例1と同じ方法
で、固相抽出法での抽出とクロマトグラフィ装置での分
析を行うことにより、試料水中に含まれるフェノール類
の分析を行った。
【0051】実施例1と同じ吸引濾過器に、オクタデシ
ル基を有するシリカゲル(逆相系C18)からなるディ
スク型固相抽出剤(3M社製の「エムポアディスクC1
8」)と、スチレンジビニルベンゼン共重合体からなる
ディスク型固相抽出剤(3M社製の「エムポアディスク
SDB−XD」)を、流路方向で重なるように装着し
た。「エムポアディスクC18」を「エムポアディスク
SDB−XD」より上流側に配置した。また、実施例1
では回収溶媒として10mlの酢酸エチルと10mlの
メタノールを用いたが、ここでは10mlの酢酸エチル
と10mlのジクロロメタンを用いた。
【0052】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、82%から121%までの値であった。この値は、
良好な分析がなされたことを意味する。また、上記手順
による抽出および分析を5回繰り返して行うことにより
再現性を調べたところ、相対標準偏差は15%以内であ
り、充分な再現性(分析精度)が得られた。また、上記
手順による抽出および分析にかかった総時間は、約6時
間であった。
【0053】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を100ml/分とし、それ以外の点
は全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収
率の変化はなかった。また、固相抽出時の試料水の通水
量を500mlとし、通水速度を300ml/分とし、
それ以外の点は全て上記手順で抽出および分析を行った
ところ、回収率の変化はなかった。さらに、これらの方
法で5回の繰り返し測定を行った時の相対標準偏差は、
いずれも15%以内であり、再現性(分析精度)も充分
であった。
【0054】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は2ng/lであった。以上のように、
この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよびク
ロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方の分
析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可能で
あり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水速度
が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果に変
動が生じなかった。また、この実施例では回収溶媒とし
てジクロロメタンを使用したが、その使用量は10ml
と少ない量(後述の比較例2の1/10以下)であっ
た。 [実施例6]固相抽出剤として、カートリッジ型のスチ
レンジビニルベンゼン共重合体(スペルコ社製の「EN
VI−ChromP」:スチレンジビニルベンゼン共重
合体粒子が0.5g、シリンジ内に充填されているも
の)と、スルホン酸基を有するスチレンジビニルベンゼ
ン共重合体(スペルコ社製の「CXP」)を0.5g用
意した。これらを用いて、シリンジ内に、スチレンジビ
ニルベンゼン共重合体からなる粒子と、スルホン酸基を
有するスチレンジビニルベンゼン共重合体からなる粒子
とが、スチレンジビニルベンゼン共重合体からなる粒子
をシリンジの出口側として、分離した状態で充填された
カートリッジ型の固相抽出剤を得た。
【0055】得られたカートリッジ型の固相抽出剤を、
自動固相抽出装置(ギルソン社の「ASPEC−XL
i」)にセットした。この装置に、オンラインで液体ク
ロマトグラフィー−質量分析計を接続した。この質量分
析計は、サーモクエスト社の「LCQ」(エレクトロス
プレーイオン化方式の質量分析計)である。液体クロマ
トグラフィーは、ヒューレットパッカード社の「HP1
100」である。
【0056】先ずコンデショニングを行った後、この装
置を稼働させて、500mlの試料水を通水速度15m
l/分で通水させた。これにより、試料水中のフェノー
ル類を、スチレンジビニルベンゼン共重合体とスルホン
酸基を有するスチレンジビニルベンゼン共重合体の2つ
の固相抽出剤に吸着させた。次に、この自動固相抽出装
置に、アセトン2mlとメタノール2mlを続けて流し
た。これにより、アセトンおよびメタノールにフェノー
ル類が溶出された抽出液が回収された。得られた抽出液
は、自動固相抽出装置内で、液量が約1mlとなるまで
窒素ガスのフローによって濃縮される。この濃縮された
抽出液を液体クロマトグラフィー−質量分析計に自動注
入して、分析を行った。
【0057】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、92%から113%までの値であった。この値は、
良好な分析がなされたことを意味する。また、上記手順
による抽出および分析を5回繰り返して行うことにより
再現性を調べたところ、相対標準偏差は7%以内であ
り、充分な再現性(分析精度)が得られた。また、上記
手順による抽出および分析にかかった総時間は、約3時
間であった。
【0058】固相抽出時の試料水の通水量を2000m
lとし、通水速度を15ml/分とし、それ以外の点は
全て上記手順で抽出および分析を行ったところ、回収率
の変化はなかった。また、固相抽出時の試料水の通水量
を500mlとし、通水速度を25ml/分とし、それ
以外の点は全て上記手順で抽出および分析を行ったとこ
ろ、回収率の変化はなかった。さらに、これらの方法で
5回の繰り返し測定を行った時の相対標準偏差は、いず
れも7%以内であり、再現性(分析精度)も充分であっ
た。
【0059】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この実施例に
おける検出限界は10ng/lであった。以上のよう
に、この実施例の方法によれば、ビスフェノールAおよ
びクロロフェノール類とアルキルフェノール類との両方
の分析が、クロマトグラフィ装置による1回の分析で可
能であり、しかも固相抽出時に導入する試料の量や通水
速度が変動してもクロマトグラフィ装置による分析結果
に変動が生じなかった。 [比較例1]以下の点を除いては実施例1と同じ方法
で、固相抽出法での抽出とクロマトグラフィ装置での分
析を行うことにより、試料水中に含まれるフェノール類
の分析を行った。
【0060】実施例1と同じ吸引濾過器に、スチレンジ
ビニルベンゼン共重合体からなるディスク型固相抽出剤
(3M社製の「エムポアディスクSDB−XD」)のみ
を装着した。この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、75%から110%までの値であった。この回収率
の値から、この比較例1の方法による分析結果は、実施
例1〜6の結果と比較してやや劣るものであることが分
かる。
【0061】また、上記手順による抽出および分析を5
回繰り返して行うことにより再現性を調べたところ、相
対標準偏差は10%以内であり、充分な再現性(分析精
度)が得られた。また、上記手順による抽出および分析
にかかった総時間は、約6時間であった。固相抽出時の
試料水の通水量を2000mlとし、通水速度を100
ml/分とし、それ以外の点は全て上記手順で抽出およ
び分析を行ったところ、回収率の変化はなかった。ま
た、固相抽出時の試料水の通水量を500mlとし、通
水速度を300ml/分とし、それ以外の点は全て上記
手順で抽出および分析を行ったところ、回収率の変化は
なかった。さらに、これらの方法で5回の繰り返し測定
を行った時の相対標準偏差は、いずれも10%以内であ
り、再現性(分析精度)も充分であった。
【0062】なお、検量線作成時に使用した標準試料に
ついての測定を5回繰り返し、その結果から得られた標
準偏差の3倍の値を検出限界としたとき、この比較例に
おける検出限界は2ng/lであった。 [比較例2]暫定マニュアルに記載の方法のうち、液液
抽出法での抽出とガスクロマトグラフィ−質量分析計で
の分析を行う方法に従って、試料水の分析を行った。ア
ルキルフェノール類の分析と、ビスフェノールAおよび
クロロフェノール類の分析は別々に行った。
【0063】この分析結果から、試料水中の10種類の
フェノール類について、それぞれ回収率を算出したとこ
ろ、75%から114%までの値であった。この回収率
の値から、この比較例1の方法による分析結果は、実施
例1〜6の結果と比較してやや劣るものであることが分
かる。また、上記手順による抽出および分析を5回繰り
返して行うことにより再現性を調べたところ、相対標準
偏差は10%以内であり、充分な再現性(分析精度)が
得られた。また、上記手順による抽出および分析にかか
った時間は、各分析毎に約8時間であった。
【0064】また、10種類のフェノール類を分析する
のに要したジクロロメタンの総量は200mlであっ
た。なお、検量線作成時に使用した標準試料についての
測定を5回繰り返し、その結果から得られた標準偏差の
3倍の値を検出限界としたとき、この比較例における検
出限界は4ng/lであった。
【0065】以上の実施例および比較例の結果から、本
発明の方法によれば、ng/lレベルの低濃度のフェノ
ール類を、有害な溶媒であるジクロロメタンを大量に使
用することなく、暫定マニュアルに記載の液液抽出法で
抽出を行う方法よりも短い時間で、分析することができ
ることが分かる。また、自動抽出装置とクロマトグラフ
ィ装置をオンラインで接続した装置を使用することによ
って、さらに短い時間で分析できるようになる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、固相抽出法での抽出を行った後にクロマトグラフ
ィ装置での分析を行うことにより、試料水中に含まれる
複数種類のフェノール類を分析する方法において、ビス
フェノールAおよび/またはクロロフェノール類とアル
キルフェノール類との両方の分析が、クロマトグラフィ
装置による1回の分析で可能であり、しかも固相抽出時
に導入する試料の量や通水速度が変動してもクロマトグ
ラフィ装置による分析結果に変動が生じないようにする
ことができる。また、ng/lレベルの低濃度のフェノ
ール類を、有害な溶媒を大量に使用することなく、短い
時間で分析することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 30/48 G01N 1/28 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固相抽出法での抽出を行った後にクロマ
    トグラフィ装置での分析を行うことにより、試料水中に
    含まれる複数種類のフェノール類を分析する方法におい
    て、 前記抽出は、有機性の官能基を有するシリカゲル、スチ
    レン−ジビニルベンゼン共重合体、陰イオン交換基を有
    するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体、陰イオン交
    換基を有するシリカゲル、および活性炭から選択された
    2種類以上の固相抽出剤を使用して行うことを特徴とす
    るフェノール類の分析方法。
  2. 【請求項2】 分析するフェノール類は、ビスフェノー
    ルAおよび/またはクロロフェノール類とアルキルフェ
    ノール類である請求項1記載のフェノール類の分析方
    法。
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