JP2001335841A - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2001335841A JP2000161312A JP2000161312A JP2001335841A JP 2001335841 A JP2001335841 A JP 2001335841A JP 2000161312 A JP2000161312 A JP 2000161312A JP 2000161312 A JP2000161312 A JP 2000161312A JP 2001335841 A JP2001335841 A JP 2001335841A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い温度で巻取っても、良好で均一な特性を
有する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】 質量%にて、C:0.01〜0.2%、
Si≦0.1%、Mn:0.05〜2%を含む連続鋳造鋳
片を、熱間仕上げ圧延工程内の後段において、Ar3点以
上、下記式(1)で与えられるAx(℃)以下の温度域
で、最終板厚の20%以上の圧下率で圧下し、650℃
以下で巻取り、圧下率50〜85%で冷間圧延した後、
溶融亜鉛めっきを行う。 Ax(℃)=Ar3+30+103×Al−104×N ・・・・ (1) ここで、 Al:酸可溶Al含有量(%) N :N含有量(%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス加工等により様
々な形状に成形され、自動車の構造部材等に用いられる
溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】低炭素−Alキルド鋼をベースとした薄
鋼板を製造する場合、熱延工程における鋼板の長手方向
の温度の変動に伴う特性の変動を如何に小さくするかが
肝要である。変動の原因は、概ね以下のような点にあ
る。 (1) スラブを均熱炉において加熱する際に、炉内でスキ
ッド(スラブを支える桁)に接している部分は加熱され
にくく、接していない部分よりも温度が低くなる。 (2) スラブを熱間で粗圧延して、粗圧延材となした後、
熱間仕上げ圧延するまでの間に、粗圧延材の後端が輻射
により冷却される。 (3) 巻取りに際し、鋼板の先端は巻取機の軸に接して冷
却され、また後端は巻取り後の輻射により鋼板の中央部
よりも速く冷却される。
【0003】上記の変動原因中で最も大きい影響を有す
るのは、(3)の巻取りに伴う変動である。特に、巻取り
温度が650℃を超える高温の場合に、この変動が顕著
になる。これは、巻取り後の鋼板中で析出するセメンタ
イトとAlNの析出形態に差が生じるためである。すな
わち、巻取り温度が低い部分では、セメンタイトが微細
に析出したり、AlNの析出が不十分なために、その後
の冷間圧延や再結晶焼鈍時における結晶粒の成長が悪
く、延性および深絞り性の劣った部分を有する冷延鋼板
および溶融亜鉛めっき鋼板が製造されることとなる。
【0004】これらの問題に対して、特開昭59−16
2227号公報には、ストリップ長手方向の両端部の巻
取り温度を長手方向中央部のまきとり温度よりも高く
し、かつ両端部の巻取り温度およびその温度での巻取り
長さを一定の関係式にしたがって制御する方法が開示さ
れている。特開平5−43946号公報には、コイルの
先端部および尾端部について、各々ストリップ全長の3
%以上の部分の巻取り温度を680〜850℃とし、巻
き緩みがないように巻取ることにより、先端部および尾
端部の冷却を550℃以上から冷却速度3℃/分以下と
することを特徴とする冷延鋼板あるいは連続溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法が開示されている。
【0005】しかし、先端部は高温で巻取り機の軸に押
しつけられるので、最先端は急冷されて硬くなり、その
すぐ外側に巻き付けられる部分は高温のままで軟らかい
ため、長手方向の少し中央側に寄った1〜3巻き目の部
分に凹みができる。この理由は、急冷された硬い先端部
が、その外側に巻き付けられ押圧される軟らかい鋼板に
押し込まれるためである。
【0006】この部分では、歪み取り焼鈍と同じ様な現
象が生じ、異常粒成長が起こり易い。このような部位は
冷間圧延中に破断しやすいため、仮に特性が良くても、
冷延前に切り落とさざるを得ない。また、先端および後
端では、巻取り温度が高くなるに伴い、巻取り後のスケ
ールの成長も促進され、酸洗性が劣化するばかりでな
く、溶融亜鉛めっき性に有害な鋼板中のSi等の元素の
表面への濃化が進み、溶融亜鉛めっき鋼板の表面品質を
劣化させるという欠点を有する。上記の変動原因(1)の
スラブ加熱に関しては、特開昭63−277724号公
報に、S含有量に対して定められる温度以下で、105
0℃以上の温度にて低温加熱することにより微細なMn
Sの数を減少させ、深絞り性、時効特性を向上させる冷
延鋼板の製造方法が開示されている。ここでは、S含有
量の低下に伴いスラブ加熱温度を下げる必要性も示され
ている。
【0007】スラブ加熱温度の低下は、スキッドによる
冷却の影響を低減させ、したがって、鋼板特性の均一化
につながるが、完全な均一化は望めない。また、本製造
法においても、鋼板を650℃以上で巻取ることが前提
となっている。さらに、スラブ加熱温度を下げ過ぎる
と、熱間仕上げ圧延工程内に最も温度低下の大きい部分
がAr3変態点を下回り、特性の劣化を招く。すなわち、
S含有量の少ない鋼では、本製造法は有効な方法とはい
えない。
【0008】これに対して、特開平10−195542
号公報には、巻取り温度が650℃以下であっても、コ
イル長手方向に均一で良好な特性が得られる鋼板の製造
方法が開示されている。この方法では、完全にMnSを
析出させることを目的として、スラブを1150℃以下
に加熱した後に熱間で粗圧延を行い、粗圧延材を一旦9
50℃以下にした後、980℃以上に再加熱し、熱間仕
上げ圧延を行うものである。
【0009】この場合、熱間仕上げ圧延中に最も温度低
下の大きい部分がAr3変態点を下回る危険性はなくなる
と同時に、上記の変動原因(2)の影響も低減できる。し
かし、S含有量が少ないほど、粗圧延材を低い温度まで
冷却する必要が生じる。そのため、エネルギー効率が悪
く、さらに、熱間仕上げ圧延後の冷却過程におけるAl
Nの析出促進効果が期待できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】昨今、量産されている
低炭素−Alキルド鋼中のS含有量は、製鋼技術の進歩
により低下している。また、最近の薄板製造工程では、
連続鋳造後、スラブは直ちに加熱炉に装入されるので、
余程のスラブ低温加熱を行わない限り、特性の向上は期
待できない。
【0011】本発明は、上記の従来技術における問題点
を解決するためになされたものであり、その課題は、比
較的S含有量の少ない低炭素−Alキルド鋼を用いて、
過度にスラブを低温加熱することなく、比較的低い巻取
り温度においても、良好で均一な特性を有する溶融亜鉛
めっき鋼板を製造できる方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨はつぎのと
おりである。
【0013】(1) 質量%で、C:0.01〜0.2%、
Si:0.1%以下、Mn:0.05〜2%、P:0.1
%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.005
〜0.1%、N:0.0005〜0.008%、残部が
Feおよび不純物からなる連続鋳造鋳片を熱間圧延する
際に、仕上げ圧延工程内の後段において、Ar3点以上、
下記式(1)で与えられるAx(℃)以下の温度域で、
最終板厚の20%以上の圧下率で圧下し、650℃以下
で巻取り、圧下率50〜85%で冷間圧延した後、溶融
亜鉛めっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法。 Ax(℃)=Ar3+30+103×Al−104×N ・・・・ (1) ここで、 Al:酸可溶Al含有量(%) N :N含有量(%) なお、鋼成分の含有量は質量%を表す。
【0014】また、熱間圧延において、最終板厚の20
%以上の圧下率とは、下記式(2)により算出される値
をいう。 R=(H1−H2)/H3×100 ・・・・・・・・・(2) ここで、 R :熱間圧延における圧下率(%)。 H1:複数のスタンドで構成される圧延機の場合は、鋼
板が該当温度域に達した後、最初に通過する後段スタン
ド入側での鋼板の厚さ(mm)。なお、後段スタンドと
は、例えば、7スタンドの圧延機の場合は、少なくとも
4スタンド以降のスタンドをいう。1スタンドで構成さ
れる圧延機の場合は、鋼板が該当温度域に達した後、最
初に通過する後段パスの入側での鋼板の厚さ(mm)。 H2:複数のスタンドで構成される圧延機の場合は、鋼
板が該当温度域にあって、最後に通過する後段スタンド
出側での鋼板の厚さ(mm)。1スタンドで構成される
圧延機の場合は、鋼板が該当温度域にあって最後に通過
する後段パスの出側での鋼板の厚さ(mm)。 H3:熱間圧延における最終板厚(mm)。
【0015】(2) 本発明の鋼板の製造方法は、上記(1)
の方法において、さらに、鋼に質量%で、0.0002
〜0.003%のBを含有しても良い。 (3) また、上記(1)または(2)の製造方法において、粗圧
延の後に、粗圧延材を965℃以上の温度で、粗圧延材
内の温度の不均一が140℃以内となるように加熱し、
仕上げ圧延すると、さらに一層の効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者は、熱延低温巻取りした
低炭素−Alキルド鋼の特性に及ぼす組成および熱間圧
延条件の影響を詳細に調査し、(1) 熱間圧延の最終圧下
温度がAr3変態点以上で、かつAr3変態点に近いほど、
(2) 熱間圧延の最終圧下量が多いほど、深絞り性が向上
することを見出した。
【0017】同一組成で、深絞り性の良い材料と悪い材
料を比較調査した結果、前者では、セメンタイトが粗大
化し、かつAlNの析出量も多いこと、後者では、セメ
ンタイトが微細化し、かつAlNの析出量もすくないこ
とが明らかとなった。その理由を明らかにするため、圧
縮式の熱間加工シミュレーターを使用して、種々の温度
および圧下率において熱間加工試験を行い、その後の変
態挙動を調査した。
【0018】その結果、変態温度とAlNの析出量の間
に相関のあることが明らかになった。これは、再結晶が
生じにくい低温のオーステナイトに大きな歪みを加える
と、フェライト変態が促進され、変態に伴い進行するA
lNの析出が促進されたためと推定される。また、巻取
り後最終的にはセメンタイトに変態するオーステナイト
の量がより高温で少なくなり、最終的にセメンタイトが
粗大化したためと推定される。
【0019】その後、AlおよびN含有量の影響につい
ても調査した結果、鋼中のAl含有量が多いほど、ま
た、N含有量が少ないほど、深絞り性が向上することが
明らかになった。同じ深絞り性を得ることを前提とした
場合、Al含有量の増加は、最終圧下温度を上げるのと
同様の効果があり、また、N含有量の増加は最終圧下温
度を下げるのと同様の効果がある。これらの結果に基づ
き、熱間圧延で低温巻取りを行った低炭素−Alキルド
鋼において良好な深絞り性を得るために必要な熱間圧延
条件を、AlおよびN含有量との関係から明らかにし
た。成分組成の限定理由および圧延条件等の限定理由に
ついて詳述する。
【0020】(a) 成分組成の限定理由 C: Cは鋼中に不可避的に含有されるもので、0.0
1%未満とすると極低炭化しない限り、連続焼鈍では常
温歪み時効を実用上問題がない程度まで抑制できない。
また、0.2%を超える含有量ではセメンタイトの体積
率が大きすぎ、加工用冷間圧延鋼板に必要な延性が得ら
れない。好ましくは、0.01〜0.035%であり、
さらに好ましくは、0.015〜0.025%である。
【0021】Si: Siは鋼中に不可避的に含有され
るもので、少ないほど好ましい。多くなると鋼板の深絞
り性を劣化させるばかりか、溶融亜鉛との反応を劣化さ
せるので、上限を0.1%とした。好ましくは、0.0
3%以下である。
【0022】Mn: Mnは鋼中に不可避的に含有され
るSがFeSを形成して、熱間脆性を引き起こすのを防
止するために添加される。0.04%未満ではその効果
が得られない。2%を超えると、熱延工程における巻取
り時のセメンタイト粗大化促進効果が得られず、また、
固溶炭素と共存することにより再結晶抑制効果が過大と
なり、深絞り性に好ましい再結晶集合組織が容易に得ら
れなくなる。したがって、0.04〜2%とする。
【0023】P: 鋼板を強化する作用があり、使用目
的に応じて引張強度を上昇させるために積極的に添加さ
れても良く、また、不可避的不純物として含有されてい
ても良い。しかし、含有量が0.1%を超えると鋼を脆
化させるため、この値を上限とする。
【0024】S: Sは鋼中に不可避的に含有されるも
ので、少ないほど好ましい。MnSとして析出させる
が、MnSが多過ぎても特性が劣化するので、0.02
%以下とする。好ましくは、0.008%以下、さらに
好ましくは、0.004%以下である。
【0025】N: Nは鋼中に不可避的に含有されるも
ので、少ないほど好ましい。現在の製鋼技術により容易
かつ安定して製造可能な0.0005%を下限とする。
また、0.008%を超えると必要なAlの添加量が増
大して、製造コストが高くなる。好ましくは、0.00
3%以下であり、さらに好ましくは、0.002%以下
である。
【0026】酸可溶Al: Alは脱酸および鋼中のN
を窒化アルミニウムとして固定するために添加される。
質量%の比でN含有量の10倍以上を添加する必要があ
るので、0.005%を下限とした。また、0.1%を
超えて添加すると、非金属介在物が増加し、延性が阻害
されるので、これを上限とした。
【0027】B: BはAlNとして析出させることの
できないNをBNとして固定するために添加される。し
かし、固溶状態のBは、熱間仕上げ圧延後のフェライト
変態を抑制するため、固溶状態のN含有量に応じた量が
添加されるのが好ましい。0.0002%未満では効果
が得られないので、これを下限とした。また、0.00
3%を超えると、熱間仕上げ圧延前にFeのB化合物が
析出し、BNを形成しないばかりか、延性を阻害するの
でこれを上限とした。 (b) 圧延条件等の限定理由 熱間仕上げ圧延入側までの温度条件: 本発明が対象と
する低S鋼では、スラブの低温加熱による効果はあまり
期待できないので、加熱温度は特に限定しない。熱間仕
上げ圧延機の入側の温度は、低い方が好ましいが、熱間
仕上げ圧延をオーステナイト域で完了する必要性から、
965℃を下限とした。その際の板内の温度のバラツキ
が140℃を超えると、冷延・再結晶焼鈍後の特性変動
が大きくなるのでこれを上限とした。好ましくは60℃
以内であり、さらに好ましくは30℃以内である。
【0028】熱間仕上げ圧延条件: 熱間仕上げ圧延条
件は本発明の最も重要な構成要件である。フェライト域
で熱間圧延すると、深絞り性を劣化させる再結晶集合組
織の形成の原因となる圧延集合組織が鋼板表層に生成す
るので、Ar3変態点を下限とした。フェライト変態が促
進し、本発明の効果を発揮させるに足る歪みを付与する
ために、前記の式(1)で与えられるAx(℃)以下の
温度域において圧下を行う。フェライト変態直前の圧下
によって加えた歪みが増加すると、熱延鋼板の結晶粒径
が小さくなり、最終製品である冷延鋼板の深絞り性が向
上する。また、圧下によって加えた歪みが増加すると、
鋼板はAlの拡散の速い高温のフェライト域に留まる時
間が長くなり、AlNの析出が促進されて深絞り性が向
上する。これらの効果を得るために必要な圧下率は、試
験による調査から、前記の式(2)により与えられる圧
下率で20%以上との結果を得た。これらをもとに、仕
上げ圧延工程内の後段において、Ar3点以上、式(1)
で与えられるAx(℃)以下の温度域で、最終板厚の2
0%以上の圧下率で圧下を行うこととする。また、大圧
下の場合には、鋼板の平坦度が低下する可能性のあるこ
とから、式(2)により与えられる圧下率は250%以
内とすることが望ましい。
【0029】熱間圧延巻取り温度: 熱間圧延巻取り温
度が650℃を超えると、鋼板の先端および後端と中央
部の特性の差が大きくなる。さらに、熱延板のスケール
が厚くなり、それに伴って、Si等の元素が鋼板とスケ
ールの界面に濃化し、溶融亜鉛めっき性を阻害するの
で、この温度を上限とした。一方、巻取り温度が低下す
ると、冷却水による鋼板の冷却形態が膜沸騰による冷却
から核沸騰による冷却に変わり、冷却が不均一となって
熱延鋼板の平坦度が低下する可能性がある。これらか
ら、好ましくは、450〜600℃、さらに好ましく
は、500〜550℃とする。
【0030】冷間圧延の圧下率: 圧下率が50%未満
では、深絞り性に好ましい再結晶集合組織が生成せず、
一方、85%を超えると、深絞り性を阻害する別の再結
晶集合組織が生成するため、50〜85%とした。
【0031】冷間圧延された鋼板は、通常の連続溶融亜
鉛めっきラインにて、焼鈍、めっきされ、必要に応じ
て、再加熱して合金化処理され、さらに、必要に応じて
調質圧延を施され、出荷される。
【0032】
【実施例】本発明の実施例について説明する。なお、こ
れは本発明の実施例の例示であって、本発明はこれに制
限されるものではない。
【0033】実験用真空溶解炉において、表1に示され
る成分組成を有する鋼を溶解した。
【0034】
【表1】 ここで、同表中のAr3変態点は、直径8mm、高さ12
mmの円筒形の試料を用いて以下に示す方法により求め
た。
【0035】試料鋼を1250℃に5分間加熱後、90
0℃までを10℃/sの冷却速度で冷却した後、同温度
で30秒間保持し、さらに、圧下率30%で圧下した。
その後、10℃/sで冷却する過程において試料の高さ
の変化を連続的に測定することにより求めた。
【0036】また、Axは、前記の式(1)により算出
した。
【0037】対象鋼に熱間鍛造を施し、幅100mm、
厚さ25mmの実験用スラブとした。
【0038】次に、これらのスラブを電気炉中で125
0℃において1時間加熱した後、1030〜800℃の
温度範囲において、1スタンドで構成される実験用熱間
圧延機により3パスの圧延を行い、厚さ3mmの熱延鋼
板を得た。
【0039】巻取りのシュミレーションとして、上記の
熱延鋼板を直ちに水スプレー冷却により、700〜50
0℃の温度まで冷却し、継いで、同温度に保持した電気
炉中に装入し、さらにその温度で1時間保持した後に、
20℃/hの冷却速度で炉冷却した。
【0040】得られた熱延鋼板を酸洗し、厚さ0.8m
mまで冷間圧延した。
【0041】このようにして得られた冷延鋼板を赤外線
加熱炉中で、10℃/sの昇温速度にて820℃まで加
熱し、同温度で40秒間保持後、10℃/sの冷却速度
で450℃まで冷却し、30秒間保持後、50℃/sの
昇温速度で500℃まで再加熱し、30秒間保持後、1
0℃/sの冷却速度で室温まで冷却した。
【0042】これらを焼鈍後、伸び率1.2%の調質圧
延を施した後、JIS5号引張試験片による引張試験に
供した。
【0043】表2に、各試験についての圧延条件、巻取
り温度および械的特性の測定結果を示す。表中のr値
は、圧延方向の測定値を示す。
【0044】
【表2】 表3に、熱間圧延温度、圧下率、巻取り温度を変化させ
た場合の試験結果を示す。表中の偏差r値は、表2中の
A鋼およびB鋼のr値との偏差を示す。
【0045】
【表3】 図1は、870℃で圧延の最終パス(第3パス)を開始
した場合の試験番号1〜5について、破断伸びおよびr
値におよぼす温度Axの影響を示したグラフである。
【0046】試験番号1、2、3、5は、後段における
圧下に相当する最終パスの開始温度がそれぞれ鋼A、
B、C、EのAr3点以上、温度Ax以下の範囲内である
ため、r値は1.4を超えて高く、良好な深絞り性を示
している。これに対して、試験番号4は、鋼Dの温度A
xが最終パスの開始温度よりも低いことから、r値が低
く、良好な深絞り性が得られないことが明らかである。
【0047】試験番号6は特にS含有量の低い鋼Fを用
いた場合であり、試験番号7はNをさらに好ましい範囲
で含有するとともにBを含有する鋼Gを用いた場合であ
る。何れの場合も良好な深絞り性が得られている。試験
番号11は、第1パス開始温度が大幅に低下したことに
よって最終パス開始温度がAr3点以下となった場合を示
している。r値が低下している。
【0048】試験番号10は、最終パス開始温度を90
0℃に上昇させた場合である。最終パス開始温度が、温
度Axを超えているため、破断伸びが低下している。
【0049】図2は、r値および偏差r値におよぼす最
終パス圧下率の影響を示すグラフであり、試験番号1、
8、9の結果を整理したものである。なお、偏差r値
は、最終パス圧下率が50%の試験番号1からの偏差を
表す。同図の結果から、後段における圧下に相当する最
終パスの圧下率が20%以上において良好な深絞り性の
得られることが明らかである。一方、最終パスの圧下率
が20%未満の場合には、深絞り性および偏差r値とも
に悪化している。図3は、r値および偏差r値におよぼ
す巻取り温度の影響を示すグラフであり、試験番号2、
12、13、14の結果を整理したものである。なお、
偏差r値は、巻取り温度が600℃の試験番号2からの
偏差を示す。
【0050】巻取り温度が650℃以下では、700℃
で巻取った場合ほどr値の絶対値は高くないが、偏差r
値に示されるように巻取り温度によるr値の変動が小さ
く、コイル面内のr値の均一性が確保されている。一
方、650℃を超えると、r値は高いものの、巻取り温
度が不均一となるため、鋼板のエッジ部等で650℃を
下回ることが避けられず、コイル面内のr値が不均一と
なる。
【0051】図4は、破断伸び、r値および偏差r値に
およぼす第1パス開始温度の影響を示すグラフである。
試験番号1、15、16、17、18を整理したもので
ある。この試験は、実験用スラブの温度を変化させるこ
とにより第1パス開始温度を変化させ、実機における鋼
板面内の温度の不均一による影響をシミュレートしたも
のである。例えば、1030℃を第1パスの開始温度の
基準とした場合、温度の不均一を140℃以内(±70
℃以内)とすることによりr値の不均一はほぼ0.3以
内に低減することができる。さらに、温度の不均一を6
0℃(±30℃以内)とすることによりr値の不均一は
ほぼ0.1以内に低減することができる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の製造方法
によれば、比較的低い巻取り温度においても良好で均一
な深絞り性を有する溶融亜鉛めっき鋼板が製造可能であ
り、本方法は、めっき鋼板のコスト低減および品質向上
に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】870℃で最終パスを開始した場合の破断伸び
およびr値におよぼす温度Axの影響を示すグラフであ
る。
【図2】r値および偏差r値におよぼす最終パス圧下率
の影響を示すグラフである。
【図3】r値および偏差r値におよぼす巻取り温度の影
響を示すグラフである。
【図4】破断伸び、r値および偏差r値におよぼす第1
パス開始温度の影響を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.01〜0.2%、S
    i:0.1%以下、Mn:0.05〜2%、P:0.1%
    以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.005〜
    0.1%、N:0.0005〜0.008%、残部がF
    eおよび不純物からなる連続鋳造鋳片を熱間圧延する際
    に、仕上げ圧延工程内の後段において、Ar3点以上、下
    記式(1)で与えられるAx(℃)以下の温度域で、最
    終板厚の20%以上の圧下率で圧下し、650℃以下で
    巻取り、圧下率50〜85%で冷間圧延した後、溶融亜
    鉛めっきを行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の
    製造方法。 Ax(℃)=Ar3+30+103×Al−104×N ・・・・ (1) ここで、 Al:酸可溶Al含有量(%) N :N含有量(%)
  2. 【請求項2】質量%で、C:0.01〜0.2%、S
    i:0.1%以下、Mn:0.05〜2%、P:0.1%
    以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.005〜
    0.1%、N:0.0005〜0.008%、B:0.
    0002〜0.003%、残部がFeおよび不純物から
    なる連続鋳造鋳片を熱間圧延する際に、仕上げ圧延工程
    内の後段において、Ar3点以上、下記式(1)で与えら
    れるAx(℃)以下の温度域で、最終板厚の20%以上
    の圧下率で圧下し、650℃以下で巻取り、圧下率50
    〜85%で冷間圧延した後、溶融亜鉛めっきを行うこと
    を特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 Ax(℃)=Ar3+30+103×Al−104×N ・・・・ (1) ここで、 Al:酸可溶Al含有量(%) N :N含有量(%)
  3. 【請求項3】粗圧延の後に、粗圧延材を965℃以上の
    温度で、粗圧延材内の温度の不均一が140℃以内とな
    るように加熱し、仕上げ圧延することを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造
    方法。
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