JP2001328263A - インクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置

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JP2001328263A
JP2001328263A JP2000150885A JP2000150885A JP2001328263A JP 2001328263 A JP2001328263 A JP 2001328263A JP 2000150885 A JP2000150885 A JP 2000150885A JP 2000150885 A JP2000150885 A JP 2000150885A JP 2001328263 A JP2001328263 A JP 2001328263A
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ink
ink jet
silicon
jet head
boron
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Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクと接するシリコン表面にシリコン−ボ
ロン化合物層を形成してインクによるシリコンの溶解を
防止し、長年にわたり安定した吐出性能が得られるイン
クジェットプリンタを提供する。 【解決手段】 インク液滴を吐出する単一または複数の
ノズル孔と、該ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室6
と、インクを吐出するための圧力発生手段(振動板)5
を備え、少なくとも吐出室6の一部あるいは少なくとも
圧力発生手段5の一部がシリコンにより形成されてい
る。インクに接するシリコン表面にシリコン−ボロン化
合物層35が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及び該インクジェットを用いたインクジェット記録
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、記録時の騒
音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、イ
ンクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど
多くの利点を有する。この中でも記録が必要な時にのみ
インク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマン
ド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としな
いため、現在主流となってきている。
【0003】このインク・オン・デマンド方式のインク
ジェットヘッド記録装置には、インクを吐出させる方法
として、図8に示すような、駆動手段に静電気力を利用
したインクジェット記録装置がある(特開平6−718
82号公報)。図8において、1は液室基板、2は電極
基板、5は液室基板1に形成された振動板、6は吐出
室、13は電極基板2に設けられた電極で、該電極13
は振動板5に対してギャップGをもって配設され、該振
動板5と対向電極13との間には発信回路19より駆動
電圧が印加されるようになっており、これら振動板5と
対向電極13との間に働く静電力により振動板5を撓ま
せ、その復元力により吐出液室6内のインクを加圧し、
図示しないノズル孔より吐出するものである。この方式
のインクジェット記録装置は小型高密度・高印字品質及
び長寿命であるという利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとき、静電気
力を駆動源とするインクジェットヘッドにおいて、振動
板5、吐出室6などはシリコン基板1の異方性エッチン
グにより形成される。インクジェットプリンタに用いら
れるインクはほとんどがアルカリ性のものであり、シリ
コンはアルカリ液に対して耐久性が小さい。吐出室や共
通インク室隔壁などは、シリコンにより形成されている
のでインクに溶出し、とくに振動板に関しては、もとも
との板厚が非常に薄いのでインクへわずかに溶出して板
厚が変化しても、振動板の振動特性に大きく影響を与え
る。それによって、インク吐出特性が変化していき、印
字品質が低下するという問題が生じる。また、シリコン
表面は濡れ性が悪いため、吐出室や共通インク室内に気
泡がたまり、吐出不良をおこす場合があった。
【0005】振動板5が形成されている基板1の全面に
酸化膜を形成することによって、かなりインクへの溶出
は少なくなる。しかし、インクの種類によってはプリン
タとしての耐用年数の間、特性を維持するためには十分
ではない場合があった。
【0006】本発明は、上述のごとき課題を解決するた
めのもので、その目的とするところは、インク処方の自
由度を大きくし、かつ、振動板の厚みあるいは吐出室、
共通液室形状の経時変化を防止し、また吐出室や共通イ
ンク室内に気泡が滞留するのを防止し、安定したインク
吐出性能で優れた印字品質のインクジェットヘッド及び
該インクジェットヘッドを用いたインクジェット機録装
置を提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、イン
ク液滴を吐出する単一または複数のノズル孔と、前記ノ
ズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、インクを吐出す
るための圧力発生手段を備え、少なくとも吐出室の一部
あるいは少なくとも圧力発生手段の一部がシリコンによ
り形成されたインクジェットヘッドにおいて、少なくと
もインクに接するシリコン表面の少なくとも一部にシリ
コン−ボロン化合物層が形成されていることを特徴とし
たものである。
【0008】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記シリコン−ボロン化合物層が不純物拡散法によ
り形成されたことを特徴としたものである。
【0009】請求項3の発明は、請求項1あるいは2の
発明において、前記圧力発生手段の一部が振動板より構
成され、該振動板が高濃度にボロンをドープされたシリ
コンよりなることを特徴としたものである。
【0010】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいず
れかの発明のインクジェットヘッドを搭載したインクジ
ェット記録装置を特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明によるインクジェ
ットヘッドの一実施例を説明するための分解斜視図で、
一部断面図で示してある。本実施例のインクジェットヘ
ッドは、3枚の基板1・2・3を重ねて接合した積層構
造となっている。図2は組み立てられた全体装置の側面
の断面図、図3は図2のIII−III線矢視図である。な
お、本実施例はインク液滴を基板3の面部に設けたノズ
ル孔17から吐出させるサイドシュータタイプの例を示
すものである。
【0012】図1(B)に示す中間の第1の基板1は、
Si基板であり、底壁を振動板5とする吐出室6と、各
々の吐出室6にインクを供給するための共通インク室1
0を有する。
【0013】第1の基板1の下面に接合される第2の基
板2も、Si基板を使用し、このSi基板2には酸化膜
11が2μm形成されている。この酸化膜11に電極1
3を装着するための凹部14を0.3ミクロンエッチン
グすることにより、振動板5とこれに対向して配置され
る電極13との対向間隔、すなわち、ギャップGを形成
している。この凹部14はその内部に、電極13、リー
ド部15及び端子部16を装着できるように電極部形状
に類似したやや大きめの形状にパターン形成している。
電極13は凹部14内に窒化チタンを0.1ミクロンス
パッタし、窒化チタンパターンを形成することで作製す
る。したがって、本実施例における第1の基板1と第2
の基板2を直接接合した後のギャップGは0.2ミクロ
ンとなっている。さらに、端子部16を除きシリコン酸
化膜を全面に0.1μm被覆して絶縁層12とし、イン
クジェットヘッド駆動時の絶縁破壊、ショートを防止す
るための膜を形成している。
【0014】また、第1の基板1の上面に接合される第
3の基板3には、厚さ50ミクロンのSUS基板を用
い、基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそれぞ
れノズル孔17を設け、また、共通インク室10と連通
するようにインク供給口18を設ける。
【0015】次に、上述のように構成されたインクジェ
ットヘッドの動作を説明する。電極13に発信回路19
により0Vから35Vのパルス電位を印加し、電極13
の表面をプラスに帯電すると、対応する振動板5の下面
はマイナス電位に帯電する。したがって、振動板5は静
電気の吸引作用により下方へたわむ。次に、電極13の
電圧をOFFにすると、振動板5は復元する。そのた
め、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔17よ
りインク液滴20を記録紙21に向けて吐出する。次
に、振動板5が再び下方へたわむことにより、インクが
共通インク室10より流体抵抗流路8を通じて吐出室6
内に補給される。
【0016】本実施例のインクジェットヘッドにおける
基板1はSOI基板からなっている。SOI基板のベー
ス基板は、後に、吐出室6や共通液室10の隔壁となる
ものであり、SOI基板の活性層は後に振動板5を形成
するものである。活性層の厚さは振動板の厚さとなるも
ので、ここでは活性層の厚さが3μmのものを用いた。
【0017】図4は、上記本実施例におけるインクジェ
ットヘッドの製造方法を説明するための工程図で、図4
は、図3におけるIV−IV線における断面を示すものであ
る。図4(A)において、SOI基板30は、ベース基
板31が(110)を面方位とする厚さ400μmの基
板であり、活性層32が(100)を面方位とする厚さ
3μmのシリコンであり、ベース基板31と活性層32
の間に厚さ5000Åの酸化膜層33が存在する基板で
ある。このSOI基板30と、凹部14、電極13、端
子部16などを形成した基板2を直接接合する。ここで
は減圧下においてプリボンドしたものを、900℃、2
時間の熱処理をすることにより接合した。
【0018】次に、厚さ400μmのベース基板31を
厚さ100μmまで研磨によって薄くする(図4
(B))。つづいて、接合した基板にLP−CVDによ
りシリコン窒化膜22を形成する(図4(C))。次
に、ベース基板31上のシリコン窒化膜22にレジスト
をコートし、露光、現像により吐出室6や共通インク室
10などの形状のレジストパターンを得る。このとき、
基板2の電極13と吐出室のパターンの位置が一致する
ようにIR光によりアライメントする。次に、レジスト
の開口部のシリコン窒化膜をドライエッチによりエッチ
ング除去し、レジストを除去する(図4(D))。次
に、25wt%の水酸化カリウム水溶液によって温度8
0℃にて異方性エッチングを行う。このエッチング液で
は(110)面のエッチングは2.8μm/分の速さで
進行する。エッチングが進行し酸化膜層33に達する
と、酸化膜のエッチレートが非常に小さいのでエッチン
グが停止しする(図4(E))。その後、フッ酸系エッ
チング液によってエッチングストップした面の酸化膜3
3を除去する(図4(F))。
【0019】以上の工程により厚さ3μmの振動板5が
得られた。次に、180℃に加熱したリン酸によって表
面のシリコン窒化膜22を除去する(図4(G))。次
に、全面に熱酸化膜37を1000Å形成した後、吐出
室6を形成した側に、ボロンをイオン注入する。注入エ
ネルギーは100keV、ドーズ量1E16/cm2の条
件で行った。その後、900℃で1時間のドライブを行
った。その結果、イオン注入した側にはボロン拡散層
(図示せず)が形成され、ボロン拡散層と酸化膜37と
の間にごく薄く(300〜500Å)シリコンとボロン
が合金化したSiB4(シリコン−ボロン)化合物層3
5が形成される(図4(H))。次に、フッ酸系エッチ
ング液により酸化膜37をエッチング除去する。ここで
SiB4化合物層35はフッ酸系エッチング液ではエッ
チングされないので除去されずに残る(図4(I))。
【0020】上述のようにして形成したSiB4化合物
層をインクに浸漬実験を行った。インクは下記組成のビ
ヒクルを作製し、その後、下記に示すブラック、シア
ン、マゼンタ、イエローの染料を加えて作製した。
【0021】ビヒクル: ジエチレングリコール……15.0wt% グリセリン …… 5.0wt% デヒドロ酢酸ナトリウム… 0.1wt% 水 ……76.9wt%
【0022】 染料: C.I.Acid Black 17 ……5.0wt% C.I.Direct Blue 185……2.0wt% C.I.Direct Red 80 ……4.0wt% C.I.Direct Yellow 86…5.0wt%
【0023】上記4種のインクを50℃に加熱して反応
促進し、浸漬実験を1ヶ月間行った。その後、SEMに
よってサンプルを観察した結果、振動板の厚さが減って
いたり、穴があいたりというのは見られなかった。ま
た、ノズルプレートを接合し、それそれにおいてインク
吐出評価を行った結果、吐出の不良は見られなかった。
この加速試験は常温における5年に相当するもので、イ
ンクジェットプリンタの耐久年数を満足するものであ
る。また、SiB4層は、シリコン表面に比べ、濡れ性
が良いため、吐出室や共通インク室内に気泡が発生しづ
らく、気泡による吐出不良も低減できた。
【0024】本実施例において、振動板5の隔壁の側面
にはSiB4化合物層が形成されないが、側面は異方性
エッチングによって形成された(111)面なので、ア
ルカリ液には溶解しづらくほとんど影響なかった。
【0025】SiB4化合物層を振動板表面に形成する
ことにより、インクによるシリコンの溶解を防止するこ
とができ、長年にわたり安定した吐出性能の得られるイ
ンクジェットプリンタを提供することができる。
【0026】図5は、本発明の別の実施例を説明するた
めの工程図で、本実施例は、SiB 4化合物層を固体拡
散法で作製したものであるが、図5(G)までの工程は
前記実施例の図4(G)までと同様なので説明を省く。
【0027】図5(H)に示すように、吐出室6などを
形成した側に、ボロンの固体拡散源によりB23層34
を形成する。基板36の吐出室6などを形成した面と固
体拡散源を向かい合わせて並べ750℃の炉の中にセッ
トする。炉の中には1%の酸素を混入した窒素を流して
おく。炉の温度を7℃/分のレートで950℃まで上昇
させ、その状態で1時間保持した後、7℃/分のレート
で750℃まで下げサンプルを取り出し、固体拡散源と
向かい合っていた面にB23層34が形成される。同時
にシリコン中にボロンが拡散しボロン拡散層(図示せ
ず)が形成される。B23層34とボロン拡散層のあい
だに前記実施例同様シリコンとボロンが合金化したSi
4化合物35層がごく薄く(200Å〜500Å程
度)形成されている(図5(H))。次に、フッ酸系エ
ッチング液によりB23層34をエッチング除去する。
ここでSiB4化合物層35はフッ酸系エッチング液で
はエッチングされないので除去されずに残る(図5
(I))。
【0028】本実施例でも前記実施例同様インクに耐性
のあるSiB4化合物層35が振動板5の表面に形成さ
れるが、本実施例では固体拡散法を用いているので、振
動板表面に加え吐出室6や共通インク室の隔壁の側面に
も形成される。従って、前記実施例に比べ隔壁側面の対
インク性が向上し、より耐久性のあるインクジェットヘ
ッドが得られる。
【0029】図4におけるボロンドープされた酸化膜3
7あるいは図5におけるB23層34は、インクの組成
によっては熱酸化膜よりも対インク性が高い。そのよう
な場合には、酸化膜37あるいはB23層34を除去せ
ずにそのまま対インク膜として用いても良い。
【0030】図6は、本発明の他の実施例におけるイン
クジェットヘッドの製造方法を説明するための工程図
で、前記実施例ではSOI基板を使って振動板の厚さを
制御していたが、本実施例では高濃度ボロン層において
エッチレートが低下する現象を用いて振動板の厚さを制
御するものである。
【0031】まず、図6(A)において、(110)を
面方位とする厚さ500μmのSi基板20に固体拡散
法によりボロンを拡散し、高濃度ボロン拡散層21を形
成する。Si基板20と固体拡散源を向かい合わせて並
べ750℃の炉の中にセットする。炉の中には0.25
%の酸素を混入した窒素を流しておく。炉の温度を7℃
/分のレートで1150℃まで上昇させ、その状態で5
0分保持した後、7℃/分のレートで750℃まで下げ
サンプルを取り出し、高濃度ボロン拡散層21が形成さ
れる。この条件により、図7に示すボロン濃度プロファ
イルが得られた。
【0032】その後、Si基板表面に形成されたB23
層をフッ酸により除去する。B23層の下にシリコンと
ボロンの化合物層が形成されており、これを除去する場
合は、酸化することによってフッ酸で除去できるように
なる。しかし、このように酸化してフッ酸で化合物層を
除去してもボロンの拡散されたシリコン表面には荒れが
生じているので、後に行う直接接合で接合できない。そ
こで、CMP研磨により化合物層ごと除去してしまい直
接接合可能な表面性(Ra:5nm以下)を得た。CM
P研磨では、最表面を1000Å以下、面内均一に研磨
することができるので、高濃度ボロン拡散層21の変化
は微量であり、また、研磨量を見込んで拡散条件を決め
ればよい。また、酸化してフッ酸処理して化合物層を除
去してからCMP研磨してもよい。
【0033】次に、凹部14、電極13、端子部16な
どを形成した第2の基板2に、前述のSi基板20を直
接接合する。ここでは減圧下においてプリボンドしたも
のを、900℃、2時間の熱処理をすることにより接合
した(以上、図6(A))。
【0034】次に、厚さ500μmのSi基板20を厚
さ100μmまで研磨によって薄くする(図6
(B))。つづいて、接合した基板にLP−CVDによ
りシリコン窒化膜22を形成する(図6(C))。次
に、Si基板20上のシリコン窒化膜22上にレジスト
をコートし、露光、現像により吐出室6や共通インク室
10などの形状のレジストパターンを得る。このとき、
基板2の電極13と吐出室のパターンの位置が一致する
ようにIR光によりアライメントする。次に、レジスト
の開口部のシリコン窒化膜をドライエッチによりエッチ
ング除去し、レジストを除去する(図6(D))。
【0035】次に、10wt%の水酸化カリウム水溶液
によって温度80℃にて異方性エッチングを行う。エッ
チングが進行し高濃度ボロン層21に達すると、エッチ
ングが自発的に停止し、2μmの振動板が得られた(図
6(E))。10wt%程度の低濃度水酸化カリウム水
溶液では、高濃度にボロンがドープされた領域において
極度にエッチレートが低下する。この現象を用いて振動
板の厚さを制御したものである。次に180℃に加熱し
たリン酸によって表面のシリコン窒化膜22を除去する
(図6(F))。
【0036】次に、吐出室6などを形成した側に、前記
実施例同様ボロンの固体拡散源によりB23層34を形
成する。同時にシリコン中にボロンが拡散しボロン拡散
層(図示せず)が形成される。B23層34とボロン拡
散層のあいだに前記実施例同様シリコンとボロンが化合
物化したSiB4化合物層35がごく薄く(200Å〜
500Å程度)形成されている(図6(G))。次に、
フッ酸系エッチング液によりB23層34をエッチング
除去する。ここでSiB4化合物層35はフッ酸系エッ
チング液ではエッチングされないので除去されずに残る
(図6(H))。
【0037】本実施例でも前記実施例同様インクに耐性
のあるSiB4化合物層35が振動板5の表面および吐
出室6や共通インク室に形成される。従って、前記実施
例に比べ隔壁側面の対インク性が向上し、より耐久性の
あるインクジェットヘッドが得られる。また、本実施例
では高濃度にボロンを拡散された振動板を用いており、
ボロン濃度は、図7に示したようになっており、振動板
5の厚さが2μmとなったので、振動板の厚さ方向断面
のボロン濃度分布は非対称となり、吐出室側はボロン濃
度が低く、電極側はボロン濃度が高い。
【0038】周知のごとく、ボロンがドープされると、
ボロン濃度に伴い引っ張り応力が働く。そのため、振動
板は吐出室側に凸の形状に変形しようとする力が働く。
そのため、設計した通りのギャップが得られなかった
り、時には振動板の駆動時に振動変位に異常が生じたり
する。本実施例では、吐出室側からSiB4化合物層を
形成するためにボロンをドープしているので、振動板の
厚さ方向断面のボロン濃度分布は対称形に近づき、振動
板に働く応力を小さくでき、安定した振動変位が得ら
れ、そのためインク吐出性能も安定する。
【0039】イオン注入、固体拡散の他にも塗布拡散や
BSGのデポによってもSiB4化合物層の形成が可能
である。塗布拡散では、液状である拡散源をスピンコー
トで塗布するのが一般的であるが、構造体の場合には細
部まで塗布できないことがある。そこで、ディッピング
やスプレーなどにより細部まで拡散源を塗布し、SiB
4化合物層を形成することもできる。
【0040】以上に本発明をサイドシュータタイプのイ
ンクジェットヘッドに適用した場合を例として説明した
が、本発明はノズル孔が基板1の側面に形成され、基板
3が単なる蓋部材となったエッジシュータタイプのイン
クジェットヘッドにも適用可能である。また、サイドシ
ュータタイプにおけるノズル孔が形成された基板3、あ
るいは、エッジシュータタイプの蓋部材をシリコンで形
成した場合においても、シリコン表面にSiB4化合物
層を形成して対インク性を向上することも可能である。
【0041】更に、以上に本発明を駆動方法に静電気力
を用いたインクジェットヘッドを例として説明したが、
静電気力以外にもサーマルインクジェットや、圧電素子
によりインクを吐出させるものでシリコンを用いるイン
クジェットヘッドにおいても同様に適用可能である。
【0042】また、SiB4化合物層は、フッ酸、硫
酸、硝酸、塩酸、りん酸などの種々の物質を溶解する強
酸、あるいは水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム
水溶液、水酸化リチウム水溶液などの強アルカリ液、あ
るいはエタノール、アセトン、キシレン、トリクレンな
どの有機溶剤などでも侵されることはなかった。また、
SiB4化合物層は、対摩耗性が非常に高い。よって、
シリコンを用いたフィルタ、マイクロポンプ、流量計、
圧力計、加速度センサなど各種デバイスにおいても、対
薬液性膜、対腐食ガス性膜、あるいは対摩耗性膜として
用いることができる。
【0043】
【発明の効果】インクと接するシリコン表面にシリコン
−ボロン化合物層が形成されているのでインクによるシ
リコンの溶解を防止することができ、長年にわたり安定
した吐出性能の得られるインクジェットプリンタを提供
することができる。また、シリコンに比べ濡れ性が向上
するので、吐出室や共通インク室内に気泡が発生しづら
く、気泡による吐出不良を低減でき、安定した印字品質
のインクジェットヘッドが得られる。
【0044】シリコン−ボロン化合物層が固体拡散法に
より形成されているので、構造体を形成したものに対し
てもカバレージがよく、振動板表面に加え吐出室や共通
インク室の隔壁の側面にも形成され、隔壁側面の対イン
ク性も向上し、より耐久性の高いインクジェットヘッド
が得られる。
【0045】振動板が高濃度にボロンをドープされたシ
リコンよりなり、SiB4化合物層の形成により振動板
厚さ方向断面のボロン濃度分布が対称形に近づき、振動
板に発生する内部応力を小さくできる。そのため、安定
した振動変位が得られ、インク吐出性能も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるインクジェットヘッドの一実施
例を説明するための分解斜視図である。
【図2】 図1の部材にて組み立てられた全体装置の側
面の断面図である。
【図3】 図2のIII−III線矢視図である。
【図4】 本発明におけるインクジェットヘッドの製造
方法を説明するための工程図、図3のIV−IV線断面図で
ある。
【図5】 本発明の別の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図6】 本発明の他の実施例におけるインクジェット
ヘッドの製造方法を説明するための工程図である。
【図7】 ボロン濃度のプロファイルの一例を示す図で
ある。
【図8】 静電気力を利用したインクジェットヘッドの
一例を説明するための要部断面構成図である。
【符号の説明】
1…液室基板、2…電極基板、3…ノズル基板、5…振
動板、6…吐出室、8…流体抵抗流路、10…共通イン
ク室、11…酸化膜、12…絶縁層、13…電極、14
…凹部、15…リード部、16…端子部、17…ノズル
孔、18…インク供給口、19…発信回路、20…イン
ク液滴、21…記録紙、22…シリコン窒化膜。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク液滴を吐出する単一または複数の
    ノズル孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室
    と、インクを吐出するための圧力発生手段を備え、少な
    くとも吐出室の一部あるいは少なくとも圧力発生手段の
    一部がシリコンにより形成されたインクジェットヘッド
    において、少なくともインクに接するシリコン表面の少
    なくとも一部シリコン−ボロン化合物層が形成されてい
    ることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェットヘッドに
    おいて、前記シリコン−ボロン化合物層が不純物拡散法
    により形成されたことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは2記載のインクジェッ
    トヘッドにおいて、前記圧力発生手段の一部が振動板よ
    り構成され、該振動板が高濃度にボロンをドープされた
    シリコンよりなることを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドを搭載したことを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7370940B2 (en) 2004-02-09 2008-05-13 Ricoh Company, Ltd. Liquid ejection head having improved durability against liquid, liquid cartridge having such a liquid ejection head, liquid ejection apparatus having such a liquid cartridge, image forming apparatus having such a liquid ejection apparatus, and manufacturing method of liquid ejecting head
US7946681B2 (en) 2007-03-30 2011-05-24 Fujifilm Corporation Nozzle plate, ink ejection head, and image forming apparatus

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