JP2001322908A - 歯科用組成物 - Google Patents

歯科用組成物

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JP2001322908A
JP2001322908A JP2001022799A JP2001022799A JP2001322908A JP 2001322908 A JP2001322908 A JP 2001322908A JP 2001022799 A JP2001022799 A JP 2001022799A JP 2001022799 A JP2001022799 A JP 2001022799A JP 2001322908 A JP2001322908 A JP 2001322908A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯質を強化し得るフッ素イオンを多量に放出
することなく徐々に放出させ、かつ歯質、特に象牙質に
対して優れた接着性を得ることのできる歯科用組成物を
提供すること。 【解決手段】 (a)親水性重合性単量体、(b)疎水
性重合性単量体、(c)金属フッ化物、(d)重合開始
剤及び(e)フィラーからなる組成物であって、該親水
性重合性単量体(a)の配合量が組成物全体に対して2
0重量%〜40重量%であり、かつ該金属フッ化物
(c)の配合量が組成物全体に対して0.1重量%〜1
重量%の歯科用組成物によって上記目的が達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定量の親水性重
合性単量体、疎水性重合性単量体、特定量の金属フッ化
物、重合開始剤及びフィラーからなる歯科用組成物であ
る。より詳しくは、歯質に、直接、あるいは、酸エッチ
ング剤やプライマー等を施した後に、その表面をコーテ
ィングしてコンポジットレジン等の充填材料を接着する
ための歯科用接着剤に関する。本発明の歯科用組成物
は、口腔内でフッ素イオンを徐々に放出して歯質の強化
による齲蝕の予防作用を有し、かつ、歯牙に対して優れ
た接着性を示す。
【0002】
【従来の技術】歯科医療において、フッ素イオンが歯質
に作用して歯質を強化することは既に良く知られてお
り、歯質の齲蝕予防および/又は抑制を目的として、歯
質をフッ素イオンで処置することがある。また、最近で
は、歯科用接着剤にフッ素イオンを放出することができ
るフッ化物を予め添加しておき、それから溶出するフッ
素イオンにより窩洞歯質壁をフッ素化し、歯質を強化し
て二次齲蝕の防止を図る歯科用接着剤が一部に上市され
ている。
【0003】このような目的に使用されるフッ化物とし
ては、フルオロアルミノシリケートガラス等に代表され
るフッ素含有ガラス、フッ化ナトリウム等に代表される
金属フッ化物が知られている。フッ素含有ガラスは、フ
ッ素イオンを徐々に放出する特徴があり、機械的強度の
著しい劣化は生じにくいものの、フッ素イオン放出量が
少ないため、齲蝕予防を期待できるほどには歯質を十分
に強化できない問題点がある。
【0004】一方、金属フッ化物は、フッ素イオンの放
出量は高いものの、短期間でフッ素イオンが放出してし
まい、長期間に渡って歯質にフッ素イオンを供給させる
ことが困難である。また、理由は明らかではないが、短
期間で多量のフッ素イオンが象牙質と接着剤との接着部
に供給されると、優れた接着性、特に接着耐久性を得る
ことが困難となる。
【0005】金属フッ化物を配合した接着剤の具体例と
しては、例えば、特開昭62−201806号公報、特
開平2−115108号公報及び特開平2−25860
2号公報に記載された接着剤が挙げられる。これらの公
報に記載された接着剤は、いずれも歯科用組成物にフッ
化ナトリウム等の金属フッ化物を配合することにより、
組成物を硬化させた後にフッ素イオンが放出され、歯質
を強化し、齲蝕予防効果を発揮する。しかし、いずれの
公報の実施例でも、組成物はいずれも親水性重合性単量
体が配合されておらず、エナメル質に対する接着剤とし
ては有用ではあるが、水分を多く含む象牙質に対して
は、接着力は極めて低い。すなわち、該組成物は、象牙
質とコンポジットレジンやコンポマー等の充填材料とを
接着させるためのボンディング材として使用するには必
ずしも満足なものではない。
【0006】また、特開平5−85912号公報には、
親水性重合性単量体を1重量%〜50重量%、金属フッ
化物を0.1〜20重量%を含有する矯正用歯科用接着
剤が開示されているが、該公報に記載されているよう
に、歯列矯正治療においては、矯正用ブラケットを取り
除く(デボンディング)必要がある。つまり、矯正用接
着剤は、ブラケットを装着する時には高い接着強度を必
要とするが、デボンディングの時には接着剤が歯面に残
存していると、接着剤を削除すると同時に歯質を削って
しまう可能性が高いことから、接着耐久性に優れた接着
剤は好ましくない。
【0007】該公報に開示された技術は、親水性重合性
単量体を組成物中に多く含有させることによって、フッ
素イオンの放出量を促すとともに、硬化物の吸水によっ
て、経時的な強度低下を引き起こさせ、ブラケットおよ
び接着剤の除去を容易にした有用な技術である。しか
し、該公報の実施例に記載されている接着剤は、水を殆
ど含まないエナメル質に対しては確かに適度な接着耐久
性を有するので、矯正用接着剤としては有用であるが、
水を多く含む象牙質に接着すると、多量のフッ素イオン
が短期間に放出され、接着強度、特に接着耐久性が著し
く低下するので、充填修復用の接着剤としては不適当で
ある。
【0008】更に、特開平11−209213号公報に
は、金属フッ化物の表面をポリシロキサンで被覆したフ
ッ化物を接着剤に配合すれば、接着剤からフッ素イオン
を放出しながらも、十分な接着性能が得られることが記
載されている。しかし、フッ素イオンを放出する歯科用
接着剤としては、歯質、特に象牙質に対する接着性が必
ずしも十分でなく、更なる接着力の改善が望まれてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、歯質を強化し得るフッ素イオンを多量に放
出することなく徐々に放出させ、かつ歯質、特に象牙質
に対して優れた接着性、特に接着耐久性を得ることので
きる歯科用組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、硬化した組
成物からのフッ素イオン放出量および放出速度を調整す
ることができれば、上記目的を達成できると考え、組成
物中の親水性重合性単量体および金属フッ化物の配合量
について鋭意検討した結果、これらを特定量の範囲で配
合した場合に、予想以上に歯質の耐酸性を向上させ、か
つ特に象牙質に対して優れた接着耐久性が得られること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】即ち本発明は、(a)親水性重合性単量
体、(b)疎水性重合性単量体、(c)金属フッ化物、
(d)重合開始剤及び(e)フィラーからなる組成物で
あって、該親水性重合性単量体(a)の配合量が組成物
全体に対して20重量%〜40重量%であり、かつ該金
属フッ化物(c)の配合量が組成物全体に対して0.1
重量%〜1重量%であることを特徴とする歯科用組成物
である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に使用される親水性重合性
単量体は、優れた接着性を得るために必要であるばかり
でなく、重合硬化後に金属フッ化物から放出されるフッ
素イオンの放出速度をコントロールするために必要であ
る。かかる親水性重合性単量体としては、25℃におけ
る水に対する溶解度が5重量%以上、より好ましくは1
0重量%以上を示すものが好適に使用される。具体的に
は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、2−トリメチルア
ンモニウムエチル(メタ)アクリルクロライド、(メ
タ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリルアミド、ポリエチレングルコールジ(メタ)アク
リレート(オキシエチレン基の数が9以上のもの)等が
挙げられる。これらの親水性重合性単量体は1種または
複数種組み合わせて用いられる。なお、本発明において
は(メタ)アクリルをもってメタクリルとアクリルの両
方を包括的に表現する。
【0013】これらの親水性重合性単量体の配合量は、
あまり少ないとフッ素イオンの放出速度が遅くなり、十
分に歯質を強化させることができず、更に接着性能も低
下し、また、あまり多いと短時間で多量のフッ素イオン
が放出して、接着性、特に接着耐久性が低下することが
あるので、歯科用組成物全体に対して20重量%〜40
重量%の範囲、より好ましくは25重量%〜35重量%
の範囲で配合され、使用される。
【0014】本発明に使用される疎水性重合性単量体
は、優れた接着性、硬化性、機械的強度及び塗布性を向
上させるために必要である。かかる疎水性重合性単量体
としては、25℃における水に対する溶解度が5重量%
よりも小さく、より好ましくは1重量%以下を示すもの
である。かかる疎水性重合性単量体としては、α−シア
ノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化ア
クリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン
酸、イタコン酸等のエステル類及び(メタ)アクリルア
ミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モ
ノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられ
る。中でも(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いら
れる。
【0015】(メタ)アクリル酸エステルの例として
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、
2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、1
1−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラ
ン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリ
シジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メ
タ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエ
トキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−
((メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポ
キシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メ
タ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕
エタン、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2
−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリ
メチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエ
チル)]ジメタクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリ
メチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキ
シ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレー
ト、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−
テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタ
ン、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジ(メタ)アク
リレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。
【0016】これらの疎水性重合性単量体は1種類また
は複数種類の組み合わせで用いられる。これらの疎水性
重合性単量体の配合量は、あまり多くても、またあまり
少なくても象牙質に対する接着強度が低下することがあ
るので、本発明の歯科用組成物全体に対して、通常、3
0〜80重量%、好ましくは40〜70重量%の範囲で
使用される。
【0017】本発明に使用される金属フッ化物として
は、水に溶解し、フッ素イオンを放出し得る金属フッ化
物であれば使用可能である。具体的には、フッ化リチウ
ム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジ
ウム、フッ化セシウム、フッ化ベリリウム、フッ化マグ
ネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、
フッ化バリウム、フッ化アルミニウム、フッ化マンガン
(II)、フッ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、フ
ッ化コバルト(II)、フッ化銅(II)、フッ化銅
(III)、フッ化亜鉛、フッ化アンチモン、フッ化鉛
(II)、フッ化銀(I)、フッ化カドミウム、フッ化
スズ(II)、フッ化スズ(IV)、フッ化ジアミン
銀、モノフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロチ
タン酸カリウム、ヘキサフルオロスズ(IV)、ヘキサ
フルオロジルコニウム酸カリウム等を挙げることができ
る。中でもフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化
カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムが好適に使用
される。更に金属フッ化物は1μm以下の微粒子のもの
が好適に使用される。これらの微粒子の金属フッ化物の
製造方法としては、一般に蒸留水や極性有機溶剤に溶解
あるいは均一に分散させた後に、例えば、凍結乾燥機な
どを使用して溶剤を冷却凝固させ、更に溶剤を昇華させ
ることによって得ることができる。
【0018】これらの金属フッ化物は1種類または複数
種類の組み合わせで用いられる。これらの金属フッ化物
の配合量は、本発明の歯科用組成物全体に対して、0.
1重量%〜1重量%の範囲で配合する必要があり、好ま
しくは0.15重量%〜0.7重量%の範囲、更に好ま
しくは0.2重量〜0.5重量%の範囲で使用される。
0.1重量%よりも少ない場合には、フッ素イオンの放
出速度が極めて遅くなり、十分に歯質を強化させること
ができない。1重量%よりも多い場合には、短時間で多
量のフッ素イオンが放出して、接着性、特に接着耐久性
が低下する。
【0019】これらの金属フッ化物は、種々の重合性単
量体、シランカップリング剤にて予め表面を被覆して使
用するのが好ましい。これらの表面を被覆処理したフッ
化物中の金属フッ化物の量は、前述したように、組成物
全体に対して、0.1重量%〜1重量%の範囲で配合さ
れる。また、これらの表面を被覆処理したフッ化物は、
平均粒径1〜30μmのものが好適に使用される。
【0020】かかる被覆処理した金属フッ化物の中で
も、特に金属フッ化物の表面をポリシロキサンにより被
覆して得られるポリシロキサン被覆処理金属フッ化物を
使用すると、接着耐久性がより優れるので好適に使用さ
れる。なお、本発明で用いる「ポリシロキサン」は、−
Si−O−結合が網状に連鎖した分子構造を有するケイ
素化合物を意味し、ケイ素原子の一結合手が酸素原子の
代わりに有機基と結合したオルガノポリシロキサンをも
包含する。ポリシロキサンとしては、シラノール基を有
するシラン化合物を生成するシラン化合物を脱水縮合し
た化合物が好ましく用いられ、更に詳しく説明すると、
該ポリシロキサンは、加水分解、あるいは部分加水分解
することによって、得られるシラノール化合物のシラノ
ール基を分子間で脱水縮合することにより得られるもの
である。金属フッ化物の表面をポリシロキサンで被覆す
るには、例えば特開平11−209213号公報に記載
されているように、シラン化合物を加水分解して、更に
脱水縮合して高分子化する方法が利用できる。
【0021】本発明に使用される重合開始剤は、歯科用
組成物を強固に硬化させるために必要であり、公知の光
重合開始剤及び/または化学重合開始剤を使用すること
ができる。光重合開始剤としては、例えば、α−ジケト
ン類、ケタール類、チオキサントン類、アシルホスフィ
ンオキサイド類、クマリン類、ハロメチル基置換−s−
トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0022】α−ジケトン類の例としては、カンファー
キノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げ
られる。ケタール類の例としては、ベンジルジメチルケ
タール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チ
オキサントン類の例としては、2−クロロチオキサント
ン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド類の例としては、例えば、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイル
ジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テ
トラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニ
ルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメチルベン
ゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6
−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイ
ド、トリス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホス
フィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチル
フェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド及び特公
平3−57916号公報に開示されている水溶性のアシ
ルホスフィンオキサイド化合物などが挙げられる。
【0023】クマリン類としては、3,3’−カルボニ
ルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、3−(4−メ
トキシベンゾイル)クマリン、3−チェノイルクマリン
等の特開平10−245525号公報に記載されている
化合物が挙げられる。ハロメチル基置換−s−トリアジ
ン誘導体としては、2,4,6−トリス(トリクロロメ
チル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブ
ロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の特開平
10−245525号公報に記載されている化合物が挙
げられる。また、紫外線照射による光重合を行う場合
は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケ
タール等が好適である。これらの光重合開始剤は、1種
または複数種の組み合わせで用いられる。これらの光重
合開始剤の配合量は、本発明の歯科用組成物全体に対し
て、通常0.01重量%〜10重量%の範囲、より好ま
しくは0.1〜5重量%の範囲で使用される。
【0024】これらの光重合開始剤は単独で使用しても
よいが、より光硬化性を促進させる目的として、還元剤
と併用して用いるのが一般的である。かかる還元剤とし
ては、主として第3級アミン類、アルデヒド類、チオー
ル基を有する化合物などが挙げられる。第3級アミンの
例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレ
ート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸
エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメ
チルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタ
ノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、
N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
等が挙げられる。
【0025】アルデヒド類の例としては、ジメチルアミ
ノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げら
れる。チオール基を有する化合物の例としては、2−メ
ルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸
等。これらの還元剤は、1種または複数種類の組み合わ
せで用いられる。これらの還元剤の配合量は、本発明の
歯科用組成物に対して、通常、0.01重量%〜10重
量%の範囲、より好ましくは0.05重量%〜7重量%
の範囲、さらに好ましくは0.1重量%〜5重量%の範
囲で使用される。
【0026】化学重合開始剤としては、例えば、酸化剤
と還元剤よりなるレドックス系の重合開始剤が好適に用
いられる。酸化剤としては、例えば、ジアシルパーオキ
サイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキ
サイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイ
ド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物も
配合することが可能であり、具体的には、ジアシルパー
オキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、2,
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイ
ルパーオキサイド等が挙げられる。
【0027】パーオキシエステル類としては、例えば、
t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチル
パーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5
−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジ
アルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミル
パーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0028】パーオキシケタール類としては、例えば、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキ
シルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。ケト
ンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケ
トンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、メチルアセトアセテートパーオキサイド等が挙げら
れる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオ
キサイド、p−ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド
等が挙げられる。
【0029】還元剤としては、芳香族第3級アミン、脂
肪族第3級アミン及びスルフィン酸またはその塩などが
好ましく使用される。芳香族第3級アミンとしては、例
えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−
p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、
N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル
−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,
4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチル
アニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリ
ン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,
N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチル
アニリン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p
−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒド
ロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリ
ン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−
ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)−3,5−ジイソプロピルアニリン、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジブチルアニリ
ン、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、
4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキ
シ)エチル等が挙げられる。
【0030】脂肪族第3級アミンとしては、例えば、ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n
−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミ
ノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールア
ミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミン
ジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリ
レート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリ
エタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0031】スルフィン酸またはその塩としては、例え
ば、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナト
リウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスル
フィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、
トルエンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸ナトリウ
ム、トルエンスルフィン酸カリウム、トルエンスルフィ
ン酸カルシウム、トルエンスルフィン酸リチウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6
−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、
2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウ
ム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、
2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウ
ム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリ
ウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カ
ルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスル
フィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスル
フィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベ
ンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプ
ロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ
る。これらの酸化剤及び還元剤は、1種または複数種類
の組み合わせで用いられる。また、これらの化学重合開
始剤の配合量は、本発明の歯科用組成物に対して通常
0.01重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは
0.05〜7重量%の範囲、さらに好ましくは0.1〜
5重量%の範囲で使用される。
【0032】本発明に使用されるフィラーは、金属フッ
化物の沈降を抑制するために必要であり、また、組成物
の塗布性、流動性、機械的強度等を調整するためにも配
合する必要がある。かかるフィラーとしては、無機系フ
ィラーあるいは有機系フィラー及びこれらの複合体が用
いられる。無機系フィラーとしては、シリカあるいはカ
オリン、クレー、雲母、マイカなどのシリカを基材とす
る鉱物、シリカを基材とし、Al23、B23、TiO
2、ZrO2、BaO、La23、SrO2、CaO、P2
5等を含有するセラミックスやガラスの類、特にラン
タンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、
ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガ
ラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ
珪酸ガラス、バイオガラス等が挙げられる。さらには結
晶石英、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化イットリウム、ジルコニア、リン酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム等も好適に用い
られる。
【0033】有機物のフィラーとしては、ポリメチルメ
タクリレート、多官能メタクリレートの重合体、ポリア
ミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴ
ム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機
樹脂が挙げられる。また、これらの有機系フィラーに無
機系フィラーを分散させたり、無機系フィラーを種々の
有機樹脂でコーティングした無機/有機複合フィラー等
も挙げられる。
【0034】これらのフィラーは、前述したように、金
属フッ化物の沈降の抑制や組成物の塗布性、流動性、機
械的強度等を調整するためにシランカップリング剤等の
公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよ
い。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ
クロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シ
ラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0035】これらのフィラーは、単独または複数種類
を組み合わせて配合され、本発明の歯科用組成物全体に
対して、通常、1〜40重量%の範囲、好ましくは5〜
30重量%の範囲が好適である。また、フィラーの平均
粒径は、通常0.001〜50μmの範囲のものが使用
されるが、金属フッ化物の沈降を抑える効果を発現させ
るには1μm以下の超微粒子フィラーを配合させるとよ
い。中でもアエロジル等のコロイダルシリカが好ましく
使用され、組成物の粘度は30℃、10rpmの条件で
0.1〜2.0Pa・sに調整するとよい。
【0036】本発明の歯科用組成物においては、酸性基
含有重合性単量体を更に配合させることによって、歯質
に対する接着性をより向上させるだけでなく、フッ素イ
オンの放出速度を制御しやすくすることができる。かか
る酸性基含有重合性単量体としては、例えば、リン酸残
基、ピロリン酸残基、カルボン酸残基またはスルホン酸
残基等の酸性基を少なくとも一つ以上有し、かつ、アク
リロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、スチレン基
等の重合可能な不飽和基を有する重合性単量体を挙げる
ことができ、該化合物の具体例として、以下のものが挙
げられる。
【0037】リン酸基含有重合性単量体としては、例え
ば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロ
ジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)
アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェー
ト、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイド
ロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキ
シヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メ
タ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホス
フェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジ
ハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイ
ルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−
(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホ
スフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデ
シルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)ア
クリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェー
ト、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジ
ハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロ
イルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、
ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロ
ジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオ
キシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−
(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェン
ホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオ
クチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メ
タ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフ
ェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシ
ル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)
アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホ
スフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフ
ェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル 2’−ブロモエチルハイドロジ
ェンホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチル
フェニルホスホネート等。特開平3−294286号
公報に記載されている(5−メタクリロキシ)ペンチル
−3−ホスホノプロピオネート、(6−メタクリロキ
シ)ヘキシル−3−ホスホノプロピオネート、(10−
メタクリロキシ)デシル−3−ホスホノプロピオネー
ト、(6−メタクリロキシ)ヘキシル−3−ホスホノア
セテート、(10−メタクリロキシ)デシル−3−ホス
ホノアセテート等。特開昭62−281885号公報に
記載されている2−メタクリロイルオキシエチル(4−
メトキシフェニル)ハイドロジェンホスフェート、2−
メタクリロイルオキシプロピル(4−メトキシフェニ
ル)ハイドロジェンホスフェート等。更には、特開昭5
2−113089号公報、特開昭53−67740号公
報、特開昭53−69494号公報、特開昭53−14
4939号公報、特開昭58−128393号公報、特
開昭58−192891号公報に例示されているリン酸
基含有重合性単量体等が挙げられる。更には、これらの
酸塩化物、アルカリ金属塩、およびアンモニウム塩が挙
げられる。
【0038】ピロリン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、ピロリン酸ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチル〕、ピロリン酸ジ〔4−(メタ)アクリロイル
オキシブチル〕、ピロリン酸ジ〔6−(メタ)アクリロ
イルオキシヘキシル〕、ピロリン酸ジ〔8−(メタ)ア
クリロイルオキシオクチル〕、ピロリン酸ジ〔10−
(メタ)アクリロイルオキシデシル〕等が挙げられる。
更には、これらの酸塩化物、アルカリ金属塩、およびア
ンモニウム塩が挙げられる。
【0039】カルボン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカル
ボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチ
ルオキシカルボニルフタル酸、4−(メタ)アクリロイ
ルオキシヘキシルオキシカルボニルフタル酸、4−(メ
タ)アクリロイルオキシオクチルオキシカルボニルフタ
ル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルオキシカ
ルボニルフタル酸、およびこれらの酸無水物、5−(メ
タ)アクリロイルアミノペンチルカルボン酸、6−(メ
タ)アクリロイルオキシ−1,1−ヘキサンジカルボン
酸、8−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−オクタ
ンジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシ−
1,1−デカンジカルボン酸、11−(メタ)アクリロ
イルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸、メタク
リル酸、マレイン酸等が挙げられる。更には、これらの
酸塩化物、アルカリ金属塩、およびアンモニウム塩が挙
げられる。
【0040】スルホン酸基含有重合性単量体としては、
例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチ
ル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中で
も、リン酸基含有重合性単量体を使用した場合、歯質に
対する接着性が非常に優れるので好適に使用される。更
に10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェン
ホスフェート等の2価のリン酸基含有重合性単量体を使
用するとフッ素イオン放出速度をより制御しやすくでき
るので好適に使用される。
【0041】これらの酸性基含有重合性単量体は1種類
または複数種類の組み合わせで用いられる。これらの酸
性基含有重合性単量体の配合量は、あまり多いと接着性
能が低下することがあるので、本発明の歯科用組成物全
体に対して通常、0.1重量〜30重量%の範囲、より
好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲、更に好ま
しくは1〜10重量%の範囲で使用するのが望ましい。
【0042】本発明の歯科用組成物においては、更にカ
ルシウムイオン放出性物質を配合させることによって、
歯質の耐酸性層の形成を促進させることができる。かか
るカルシウムイオン放出物質としては、例えば、水酸化
カルシウム、酸化カルシウム、第一リン酸カルシウム、
メタリン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、ピロリ
ン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸4カル
シウム、リン酸8カルシウム、ハイドロキシアパタイ
ト、フッ化カルシウム等の無機化合物が好適である。ま
た、これらの無機化合物を組成中に含有するガラス類等
も好適である。これらのカルシウムイオン放出性物質は
1種類または複数種類の組み合わせで用いられる。
【0043】これらのカルシウムイオン放出性物質の配
合量は、無機化合物を配合する場合とガラスとしてを配
合する場合とでは最適な配合量が異なり、無機化合物の
場合は、組成物全体に対して、通常、0.01重量〜1
0重量%の範囲、より好ましくは0.1重量%〜5重量
%の範囲、更に好ましくは0.5〜3重量%の範囲で使
用するのが望ましい。0.01重量%より少ない場合で
は、歯質の強化の促進効果が認められない場合があり、
10重量%よりも多い場合には、機械的強度や歯質接着
性の低下が生じる場合がある。
【0044】ガラスとして配合する場合には、組成物全
体に対して通常、0.1重量〜30重量%の範囲、より
好ましくは0.5重量%〜20重量%の範囲、更に好ま
しくは1〜10重量%の範囲で使用するのが望ましい。
0.1重量%より少ないと、歯質の強化の促進効果が認
められないことがあり、30重量%よりも多いと、機械
的強度や歯質接着性の低下が生じることがある。なお、
これらのカルシウムイオン放出性物質は、先述のフィラ
ーとして使用される。
【0045】更に、塗布性の向上あるいは重合開始剤へ
の溶解性を補助する目的で、水、揮発性の有機溶剤およ
びこれらの混合液を配合することができる。かかる揮発
性有機溶剤としては、通常、常圧の沸点が150℃以
下、より好ましくは、100℃以下の揮発性有機溶剤が
使用され、例えば、エタノール、メタノール、1−プロ
パノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン等のケンン類、酢酸エチ
ル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル化合
物、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエ
タン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘプタン、
ヘキサン、トルエン等の炭化水素化合物類及びクロロホ
ルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物等
が好適に使用される。中でも、エタノール、アセトン等
の水溶性の揮発性溶剤が好適に使用される。これらの水
及び/又は揮発性有機溶剤の配合量は、本発明の組成物
全体に対して、通常、30重量%以下、好ましくは10
重量%以下の範囲で使用するのが望ましい。また、本発
明の歯科用組成物に配合されたこれらの水及び/又は揮
発性溶剤は、接着性を損なわないように、組成物を歯質
に塗布した後、歯科用のエアーシリンジ等にて蒸散させ
ることが望ましい。
【0046】更に、本発明の歯科用組成物には、所望に
応じて、重合禁止剤、着色剤、蛍光剤、紫外線吸収剤な
どを添加してもよい。また、抗菌性を付与する目的で、
セチルピリジニウムクロライド、塩酸クロルヘキシジ
ン、塩化ベンザルコニウム、(メタ)アクリロイルオキ
シドデシルピリジニウムブロマイド、(メタ)アクリロ
イルオキシヘキサデシルピリジニウムクロライド、(メ
タ)アクリロイルオキシデシルアンモニウムクロライド
等のカチオン性の抗菌性化合物を配合してもよい。
【0047】また、本発明の歯科用組成物は、歯質等の
硬質組織のみならず、金属、陶材、コンポジット硬化物
などの歯冠修復材料に対しても使用することができ、更
に、市販の歯科用金属プライマー、陶材接着用のプライ
マー、次塩素酸塩等の歯面清掃剤等と組み合わせて使用
してもよい。以下に、本発明の好ましい実施の形態を説
明するが、本発明は以下の態様に限定されるものではな
い。なお、略称・略号については次の通りである。
【0048】親水性重合性単量体: HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート 9G:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキ
シエチレン基の数は9)
【0049】疎水性重合性単量体: Bis−GMA:ビスフェノールAジグリシジルメタク
リレート UDMA:[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビ
ス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレー
ト HD:ヘキサンジオールジメタクリレート
【0050】金属フッ化物(1μm以下の微粒子): NaF:フッ化ナトリウム KF:フッ化カリウム PFNa:モノフルオロリン酸ナトリウム
【0051】重合開始剤、還元剤: CQ:カンファーキノン TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキサイド DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−
トルイジン DMAB:4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン
【0052】酸性基含有重合性単量体: MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロ
ジェンホスフェート
【0053】重合禁止剤、その他: BHT:t−ブチルヒドロキシトルエン MDPB:12−メタクリロイルオキシドデシルピリジ
ニウムブロマイド
【0054】
【実施例】実施例1 MDP(15重量部)、HEMA(40重量部)、蒸留
水(40重量部)、MDPB(5重量部)、TMDPO
(0.5重量部)、DEPT(3.4重量部)、BHT
(0.1重量部)からなるプライマーAを調製した。続
いて、表1に示すように、HEMA、Bis−GMA、
HD、NaF、CQ、TMDPO、DMAB、超微粒子
シリカからなるボンディング材を調製した。このプライ
マーAおよびボンディング材を用いて、後述の接着試験
方法に従って接着強度を測定し、測定結果を表1に併記
した。また、後述の歯質強化確認試験方法に従って、歯
質の耐酸性の効果を評価し、評価結果を表1に併記し
た。
【0055】
【表1】
【0056】接着力試験方法:ウシの前歯を#1000
シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で平滑に
湿潤研磨した後、エナメル質表面または象牙質表面を露
出させ、その表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛
ばした。露出したエナメル質表面または象牙質表面に直
径3mmの穴を開けた厚さ約150ミクロンの粘着テー
プを貼り、穴の部分にプライマーAを筆で塗布し、その
まま30秒間放置した後、エアーシリンジでプライマー
Aの流動性が無くなる程度まで乾燥させた。
【0057】その上に、ボンディング材を筆で約100
ミクロンの厚さに塗布し、歯科用光照射器「ライテルI
I」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて20秒間光
照射を行い、硬化させた。さらに、その上に市販の光重
合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−
X」〔(株)クラレ製、商品名〕をのせ、エバール〔登
録商標、(株)クラレ製、商品名〕からなるフィルムを
かぶせた後、スライドガラスを上から押しつけ、かかる
状態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化さ
せた。
【0058】この硬化面に対して、市販の歯科用レジン
セメント「パナビア21」〔(株)クラレ製、商品名〕
を用いてステンレス棒を接着し、30分間後に試験片を
37℃の水中に24時間浸漬させた後、更に4℃の冷水
中と60℃の温水中に各1分間ずつ浸漬する熱サイクル
を4000回負荷させた後に接着強度を測定した。接着
強度の測定には、万能試験機(インストロン製)を用
い、クロス・ヘッドスピード2mm/minの条件で引
張接着強度を測定した。各接着強度の測定値は、8個の
試験片の測定値の平均値で示した。
【0059】歯質強化確認試験方法:人の大臼歯を#8
0シリコン・カーバイド紙〔日本研紙(株)製〕で歯冠
部を湿潤研磨して削除し、更に#1000シリコン・カ
ーバイド紙にて平滑に湿潤研磨して象牙質表面を露出さ
せた後、表面の水を歯科用エアーシリンジで吹き飛ばし
た。露出した象牙質表面にプライマーAを筆で塗布し、
そのまま30秒間放置した後、エアーシリンジでプライ
マーAの流動性が無くなる程度まで乾燥させた。
【0060】その上に、ボンディング材を筆で約100
ミクロンの厚さに塗布し、歯科用光照射器「ライテルI
I」〔群馬牛尾電気(株)製、商品名〕にて20秒間光
照射を行い、硬化させた。さらに、その上に市販の光重
合型歯科用コンポジットレジン「クリアフィルAP−
X」〔(株)クラレ製、商品名〕を築盛して、かかる状
態で上記光照射器にて40秒間光照射を行い、硬化させ
た。
【0061】その後、作製した試料を蒸留水の入った容
器に入れ、37℃の恒温器の中で6ヶ月間保管した。6
ヶ月間水中に浸漬した試料は、歯質とボンディング材と
の接合部が現れるように低速ダイヤモンドカッターを用
いて割断した。割断面は更に#1500シリコン・カー
バイド紙にて湿潤研磨した後、割断面が上になるように
クエン酸バッファー(pH5.6)に浸漬させた。その
後、37℃の恒温器の中で24時間保管して、歯質(割
断面)を脱灰させ、その脱灰の程度を走査電子顕微鏡に
て観察し、後述のスコアにて評価した。
【0062】−:ボンディング材直下の象牙質も脱灰さ
れ、象牙質の耐酸性は観察されなかった。 +:ボンディング材直下から下の方向に1μm以上〜5
μm未満の範囲で、象牙質に耐酸性の層が観察された。 ++:ボンディング材直下から下の方向に5μm以上の
範囲で、象牙質に耐酸性の層が観察された。
【0063】実施例2〜7、比較例1〜3 表1に示すように、HEMA、Bis−GMA、UDM
A、HD、NaF、CQ、TMDPO、DMAB、超微
粒子シリカ及びMDP等からなる組成物において、Na
Fの配合量の異なるボンディング材をそれぞれ調製し
た。これらのボンディング材及び実施例1に使用したプ
ライマーAを用いて、実施例1と同様の接着試験方法に
従って接着強度を測定し、測定結果を表1に併記した。
また、実施例1の歯質強化確認試験方法に従って、歯質
の耐酸性の効果を評価し、評価結果を表1に併記した。
【0064】表1から明らかなように、NaFが0.1
重量%〜1重量%の範囲で配合されたボンディング材を
使用した場合、歯質に対する接着性に優れ、更に歯質に
耐酸性の層が形成され、歯質が強化されていた(実施例
1〜7)。中でも、特にNaFが0.15重量%〜0.
7重量%の範囲で配合されたボンディング材を使用した
場合、歯質接着性、歯質の耐酸性の双方が、より優れて
いた(実施例1、実施例3〜6)。これに対してNaF
が配合されていないボンディング材を使用した場合、接
着性は優れていたが、歯質は全く強化されていなかった
(比較例1)。また、NaFを5重量%配合したボンデ
ィング材を使用した場合、歯質は強化されていたが、歯
質に対する接着性、特に象牙質に対する接着性が非常に
劣っていた(比較例2、比較例3)。
【0065】実施例8〜14、比較例4〜6 表2に示すように、HEMA、Bis−GMA、HD、
NaF、CQ、TMDPO、DMAB、超微粒子シリカ
及びMDP等からなる組成物において、HEMAの配合
量の異なるボンディング材をそれぞれ調製した。これら
のボンディング材及び実施例1に使用したプライマーA
を用いて、実施例1と同様の接着試験方法に従って接着
強度を測定し、測定結果を表2に併記した。また、実施
例2の歯質強化確認試験方法に従って歯質の耐酸性の効
果を評価し、評価結果を表2に併記した。
【0066】
【表2】
【0067】表2から明らかなように、HEMAが20
重量%〜40重量%の範囲で配合されたボンディング材
を使用した場合、歯質に対する接着性に優れ、更に歯質
には耐酸性の層が形成され、歯質が強化されていた(実
施例8〜14)。中でも、特にHEMAが25重量%〜
35重量%の範囲で配合されたボンディング材を使用し
た場合、歯質接着性、歯質の耐酸性の双方が、より優れ
ていた(実施例10〜12)。これに対して、HEMA
を10重量%配合したボンディング材を使用した場合、
接着性は低下し、更に歯質は強化されていなかった(比
較例4、比較例5)。また、HEMAを50重量%配合
したボンディング材を使用した場合、歯質は強化されて
いたが、歯質に対する接着性、特に象牙質に対する接着
性が非常に劣っていた(比較例6)。
【0068】実施例15〜22、比較例7、8 表3に示すように、親水性重合性単量体、疎水性重合性
単量体、金属フッ化物、重合開始剤、超微粒子シリカ及
びMDP等からなるボンディング材をそれぞれ調製し
た。これらのボンディング材及び実施例1に使用したプ
ライマーAを用いて、実施例1と同様の接着試験方法に
従って接着強度を測定し、測定結果を表3に併記した。
また、実施例1の歯質強化確認試験方法に従って歯質の
耐酸性の効果を評価し、評価結果を表3に併記した。な
お、MC−NaFとは、1μm以下の微粒子のNaFの
表面をポリシロキサンで被覆したものであり、MC−N
aF中のNaF含有量が50重量%であるものを使用し
た。
【0069】MC−NaFの製造方法 ビニルトリエトキシシラン100gを4mN塩酸40m
lに加え、系が均一になるまで室温で撹拌した。この水
溶液に1μm以下の微粒子のNaFを55g、エタノー
ル40g及び3−アミノプロピルトリエトキシシラン5
gを加え、24時間撹拌後、減圧蒸留により揮発成分を
除き、更に120℃の加熱処理を1時間行い、粉砕後す
ることによって平均粒径10μmのMC−NaFを11
0gを得た。
【0070】
【表3】
【0071】表3から明らかなように、NaFの代わり
にKF、PFNa又はMC−NaFを0.5重量%配合
したボンディング材を使用した場合でも、歯質に対する
接着性に優れ、更に歯質には耐酸性の層が形成され、歯
質が強化されていた(実施例15〜22)。また、親水
性重合性単量体として9Gを配合したボンディング材を
使用した場合でも、歯質に対する接着性に優れ、更に歯
質には耐酸性の層が形成され、歯質が強化されていた
(実施例21、実施例22)。これに対して、MC−N
aFを5重量%を配合したボンディング材を使用した場
合、歯質は強化されていたが、歯質に対する接着性、特
に象牙質に対する接着性が非常に劣っていた(比較例
7)、また、親水性重合性単量体を含有しないボンディ
ング材を使用した場合、歯質は強化されず、かつ、歯質
に対する接着性、特に象牙質に対する接着性は非常に劣
っていた(比較例8)。
【0072】実施例23〜28、比較例9〜12 フッ素イオン放出量の測定 ポリエステルフィルムの上にテフロン製の型を置き、型
の中に実施例1、実施例2、実施例7、実施例9、実施
例13、実施例20、比較例3、比較例5、比較例6ま
たは比較例8で調製したボンディング材を充填し、その
上にポリエステルフィルムを被せて、ガラス版で圧接し
た後、α−ライト〔(株)モリタ東京製作所製、商品
名〕にて3分間光照射して、直径1.5cm、厚さ1m
mの円盤状の硬化物を作製した。これらの硬化物を37
℃のリン酸緩衝液(pH7)4mlに浸漬し、円盤状硬
化物からのフッ素イオン溶出量を定量した。定量はフッ
素イオン電極(オリオンリサーチ社製)を用いて行っ
た。放出されたフッ素イオン量の測定結果を図1に示し
た。なお、実施例23〜28、比較例9〜12に使用し
たそれぞれのボンディング材は表4に記載した。
【0073】
【表4】
【0074】図1は硬化物から放出された累積フッ素イ
オン量を示すグラフであり、実施例23、実施例24、
実施例25、実施例26、実施例27及び実施例28に
おいては、短期間で多量のフッ素イオンを放出せず、か
つ少なくとも浸漬30日間の累積フッ素イオン量は20
0μg/g以上であった。これらの実施例で使用したボ
ンディング材を使用すると、前述したように優れた歯質
接着性と歯質強化が確認された。これに対して、比較例
9および比較例11では、短期間でフッ素イオンが多量
に放出され、これらの比較例で使用したボンディング材
を使用すると、前述したように、歯質接着性、特に象牙
質に対する接着耐久性に劣っていた。また、比較例10
および比較例12では、フッ素イオンの放出速度が極め
て遅いために、これらの比較例で使用したボンディング
材を使用すると、前述したように歯質を十分強化するこ
とができず、更に象牙質に対する接着性も明らかに劣っ
ていた。
【0075】実施例29 実施例1のボンディング材全体に対して、更に水酸化カ
ルシウムを0.5重量%配合させたボンディング材を調
製した。このボンディング材及び実施例1に使用したプ
ライマーAを用いて、実施例1と同様の接着試験方法に
従って接着強度を測定した結果、牛歯エナメル質に対し
て17.0MPa、牛歯象牙質に対して17.3MPa
であり、実施例1のボンディング材を使用した場合と同
様に、優れた接着強度を示した。また、実施例1の歯質
強化確認試験方法(ただし、試料を蒸留水に浸漬させる
期間を3ヶ月に短縮した)に従って、歯質の耐酸性の効
果を評価した結果、耐酸性層は6μm程度(スコア:+
+)を示したのに対し、実施例1のボンディング材では
同条件では約3μm程度(スコア:+)であり、水酸化
カルシウムを配合することによって、歯質の強化スピー
ドが促進されていた。
【0076】実施例30 実施例17のボンディング材全体に対して、更に水酸化
カルシウムを0.5重量%配合させたボンディング材を
調製した。このボンディング材及び実施例1に使用した
プライマーAを用いて、実施例1と同様の接着試験方法
に従って接着強度を測定した結果、牛歯エナメル質に対
して19.5MPa、牛歯象牙質に対して19.4MP
aであり、実施例17のボンディング材を使用した場合
と同様に、優れた接着強度を示した。また、実施例29
の歯質強化確認試験方法に従って、歯質の耐酸性の効果
を評価した結果、耐酸性層は10μm程度(スコア:+
+)を示したのに対し、実施例17のボンディング材で
は同条件では約4μm程度(スコア:+)であり、水酸
化カルシウムを配合することによって、歯質の強化スピ
ードが促進されていた。
【0077】
【発明の効果】本発明の歯科用組成物は、歯質、特に象
牙質に対して優れた接着性を示し、かつ歯質を強化し得
るフッ素イオンを多量に放出することなく徐々に放出さ
せることができるので齲蝕予防に非常に有用であり、歯
科分野において、歯質と充填用コンポジットレジン等の
充填材料との接着を目的とした歯科用接着剤として特に
好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬化物から放出されるフッ素イオン量を示すグ
ラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)親水性重合性単量体、(b)疎水
    性重合性単量体、(c)金属フッ化物、(d)重合開始
    剤及び(e)フィラーからなる組成物であって、該親水
    性重合性単量体(a)の配合量が組成物全体に対して2
    0重量%〜40重量%であり、かつ該金属フッ化物
    (c)の配合量が組成物全体に対して0.1重量%〜1
    重量%であることを特徴とする歯科用組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の歯科用組成物に、更に
    (f)酸性基含有重合性単量体を含有させた歯科用組成
    物。
  3. 【請求項3】 該酸性基含有重合性単量体がリン酸基含
    有重合性単量体である請求項2記載の歯科用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれかに記載の歯科用組
    成物において、該金属フッ化物の表面がポリシロキサン
    にて被覆処理された歯科用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載の歯科用組
    成物において、更に(g)カルシウムイオン放出性物質
    を含有させた歯科用組成物。
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