JP2001305723A - 平版印刷用原板 - Google Patents

平版印刷用原板

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JP2001305723A
JP2001305723A JP2000119561A JP2000119561A JP2001305723A JP 2001305723 A JP2001305723 A JP 2001305723A JP 2000119561 A JP2000119561 A JP 2000119561A JP 2000119561 A JP2000119561 A JP 2000119561A JP 2001305723 A JP2001305723 A JP 2001305723A
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JP
Japan
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heat
acid
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compound
sensitive layer
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Pending
Application number
JP2000119561A
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English (en)
Inventor
Hiromitsu Yanaka
宏充 谷中
Kazuo Maemoto
一夫 前本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Priority to EP01109389A priority patent/EP1147885B1/en
Priority to EP05017669A priority patent/EP1604819B1/en
Priority to AT01109389T priority patent/ATE391601T1/de
Priority to DE60133508T priority patent/DE60133508T2/de
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光後、直接印刷機に装着して印刷が始めら
れ、更に、良好な機上現像性と高耐刷性を有し、しか
も、経時安定性の優れた平版印刷用原板を与える。 【解決手段】 親水性支持体上に、熱反応性官能基を有
する化合物を含有するマイクロカプセルを含む感熱層を
有し、該化合物の熱反応の相手となる化合物が、反応性
官能基を保護されていて、熱により反応性を発現する前
駆体化合物であり、感熱層または感熱層の隣接層に含有
されていることを特徴とする平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は親水性表面を有する
支持体、及び親水性の画像形成層からなるネガ型の平版
印刷用原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基
づいた走査露光による製版が可能であり、高感度且つ高
耐刷性で印刷汚れのない印刷物を与えることが可能な平
版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷用原板とし
ては、従来、親水性支持体上に、親油性の感光性樹脂層
(インク受容層)を設けたPS版が広く用いられ、その
平版印刷用原板からの平版印刷版の製版方法として、通
常は、リスフイルムを介してマスク露光した後、非画像
部を現像液によって溶解除去することにより所望の印刷
版を得ていた。
【0003】近年、画像情報をコンピュータを用いて電
子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く
普及してきており、この様な、ディジタル化技術に対応
した、新しい画像出力方式が種々実用される様になって
きた。これに伴い、レーザ光の様な指向性の高い活性放
射線をディジタル化された画像情報に応じて走査し、リ
スフィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコ
ンピュータ トゥ プレート(CTP)技術が切望され
ており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要
な技術課題となっている。
【0004】他方、従来のPS版に於ける製版行程は、
露光の後、非画像部を溶解除去する工程が不可欠であ
り、この様な付加的な湿式の処理が不可欠であるという
点は、従来技術に対し、改善の望まれてきたもう一つの
課題である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全
体の大きな関心事となっている。処理の簡素化、乾式
化、無処理化は、この様な環境面と、先述のディジタル
化に伴った工程の合理化の両方の観点から、従来にも増
して、強く望まれるようになっている。
【0005】この様な観点から、従来の処理工程をなく
す方法の一つとして次のような方法が提案されている。
即ち、印刷版用原版の非画像部の除去を通常の印刷過程
のなかで行えるような感光層を用い、現像工程を行うこ
となく、露光後、印刷機上で現像し最終的な印刷版を得
る方式である。この様な方法での平版印刷版の製版方式
は機上現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例え
ば、湿し水やインク溶剤に可溶な感光層の使用、印刷機
中の圧胴やブランケット胴との接触による力学的除去を
行う方法等が挙げられる。しかしながら、従来のPS版
を機上現像方式の印刷版に応用する場合、原版は露光後
も、感光層が定着されないため、例えば、印刷機に装着
するまでの間、版を完全に遮光及び/もしくは恒温条件
にて保存しなければならないといった大きな問題点があ
った。
【0006】上述のような技術課題に対し、走査露光に
よる印刷版の製造法として、最近、半導体レーザ、YA
Gレーザ等の固体レーザで高出力なものが安価に入手で
きるようになってきたことから、特に、これらのレーザ
を用いる方法が有望視されるようになってきた。これら
の高出力レーザを用いた高パワー密度露光系では、従来
の低〜中パワー密度露光用感光材料系に利用される光反
応とは異なった、様々な現象を利用できる。具体的に
は、化学変化の他、相変化、形態変化、等の構造変化を
利用できる。通常、このような高パワー密度露光による
記録方式はヒートモード記録と呼ばれる。高パワー密度
露光系では、多くの場合、感材に吸収された光エネルギ
ーは、熱に変換され、生じた熱によって、所望の現象が
引き起こされると信じられる為である。
【0007】この様なヒートモード記録方式の大きな長
所は露光後の像の定着が必須ではないことにある。即
ち、ヒートモード感材の画像記録に利用される現象は、
普通の強度の光に対する暴露や、普通の環境温度下では
実質的に生じないため、露光後の画像の定着は必須では
ない。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化
若しくは可溶化する感光層を用い、画像露光後、任意の
時間、たとえ環境光に暴露させてから現像(非画像部の
除去)を行っても得られる画像に変化が生じないシステ
ムが可能である。従って、ヒートモード記録によれば、
先述の機上現像方式に望ましい平版印刷用原板を得るこ
とも可能となる。
【0008】ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好
ましい製造法の一つとして、親水性の支持体上に親水性
の画像形成層を設け、画像状にヒートモード露光し、親
水性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じ、湿式
現像により未露光部を除去する方法が提案されている。
また、従来のヒートモード方式原版には、非画像部の汚
れ性が悪い、若しくは画像部の強度が弱いという別の大
きな問題があった。即ち、画像形成層中の支持体近傍で
の露光による溶解性変化が、画像形成層表面近傍に比較
して小さいという点の改良が必要であった。該ヒートモ
ード方式原版においては、ヒートモード露光時の熱の発
生は記録層中の光吸収剤の光吸収に基くものであるた
め、熱の発生量は記録層表面で大きく、支持体近傍では
小さいため、支持体近傍での記録層の溶解性変化の程度
が比較的小さくなってしまうものである。結果としてし
ばしば、ヒートモードネガ型原版においては、本来疎水
性のインク受容層を提供すべき露光部において、インク
受容性層が現像及び/又は印刷工程中に除去されること
があった。この様な、ネガ型原版における画像部インク
受容性層の除去は、印刷性能上耐刷性が悪いという問題
を生じる。特に、印刷適性上好ましい、アルミニウムの
ような熱伝導性の高い金属支持体を用いた場合、熱拡散
によって、一層、支持体近傍での温度上昇が妨げられる
ため、上述のような問題は顕著である。基板付近の十分
な溶解性変化を得るためには、極端に大きな露光エネル
ギーを要するか、若しくは露光後の加熱といった後処理
を実施する必要があった。
【0009】例えば、特許2938397号公報に記載
されているように、熱可塑性疎水性重合体微粒子を赤外
線レーザー露光により熱融着させ画像形成させた上で、
印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水および/ある
いはインクにより機上現像する方法がある。しかしなが
らこのように単に熱融着で画像を作る方法では、良好な
機上現像性を示すものの、アルミニウム基板上に直接感
熱層を設けた場合、発生した熱がアルミニウム基板によ
り奪われるために基板〜感熱層界面上で反応が起こら
ず、耐刷性が不十分となってしまう。同様に特開平9−
127683号公報あるいはWO99/10186号公
報にも熱可塑性微粒子を熱融着し機上現像により画像形
成することが記載されているが、耐刷性が不十分となっ
てしまう。
【0010】また、特開平8−48020号公報に記載
されているように親油性感熱性層を多孔質親水性支持体
上に設けて、赤外線レーザーを露光し、熱により基板に
固着する方法が挙げられているが、親油性の皮膜では機
上現像性が悪く、インキローラーあるいは印刷物へ親油
性感熱層のかすが付着してしまう。また、特開平10−
287062号公報に記載されているように親油性感熱
性層を親水性膨潤層上に設けた場合、アルミニウム基板
による熱の吸収は抑制されるが、親水性膨潤層が湿し水
により膨潤していない状態でインクをつけるとインクの
払いが悪くなり、損紙が多くなってしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、機上現
像性が良好であり、かつ高耐刷性を示す感熱性平版印刷
用原板はいまだ得られていなかった。そこで種々検討の
結果、親水性支持体上に、画像形成に用いる熱で外壁が
破れ、かつその熱により反応する官能基を有する化合物
を含有しているマイクロカプセルからなる感熱層を設
け、光熱変換剤を感熱層かその隣接する層に含有してい
る平版印刷用原板とすることにより、機上現像性が良好
でありながら、かつ高耐刷である平版印刷用原板が得ら
れることが分かった(特願平2000−18968号参
照)。しかしながら、この平版印刷用原板においてもな
お、経時により機上現像性が失われ、印刷時に汚れが発
生する経時安定性の問題があることが分かった。
【0012】従って本発明の目的は、上記新たな問題を
更に解決することであり、良好な機上現像性と高耐刷性
を有し、しかも、経時安定性の優れた平版印刷用原板を
与えることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討の
結果、マイクロカプセルに含有された熱反応性官能基を
有する化合物の熱反応の相手となる化合物として、反応
性官能基を保護されていて、熱により反応性を発現する
前駆体化合物を用いることにより、本発明の目的を達成
できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発
明は以下の通りである。
【0014】1.親水性支持体上に、熱反応性官能基を
有する化合物を含有するマイクロカプセルを含む感熱層
を有し、該化合物の熱反応の相手となる化合物が、反応
性官能基を保護されていて、熱により反応性を発現する
前駆体化合物であり、感熱層または感熱層の隣接層に含
有されていることを特徴とする平版印刷用原板。
【0015】2.反応性官能基を保護されていて、熱に
より反応性を発現する前駆体化合物が、該熱反応性官能
基を有する化合物と同じかあるいは別のマイクロカプセ
ル中に含まれることを特徴とする前記1記載の平版印刷
用原板。
【0016】3.光熱変換剤を感熱層または感熱層に隣
接する層が含有することを特徴とする前記1又は前記2
記載の平版印刷用原板。
【0017】4.反応性官能基を保護されていて、熱に
より反応性を発現する前駆体化合物がアミン前駆体化合
物であることを特徴とする前記1記載の平版印刷用原
板。
【0018】5.アミン前駆体化合物がアリールスルホ
ニル酢酸塩であることを特徴とする前記4記載の平版印
刷用原板。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明の平版印刷用原板は、支持体上に感熱層を有
する。また、支持体上に下塗り層を設け、その上に感熱
層を有する層構成であってもよい。また、感光層の上に
水溶性オーバーコート層を有する層構成であってもよ
い。さらに、支持体と感光層の間に中間層を有してもよ
い。また、本発明の平版印刷用原板は、アルミニウム支
持体上に、水に不溶な親水層あるいは断熱層を設けた上
に水に不溶な親水層を設け、その上に感熱層を有する層
構成であってもよい。従って、本発明において感光層に
隣接する層とは、水溶性オーバーコート層、下塗り層あ
るいは中間層、あるいは水に不溶な親水層を意味する。
【0020】本発明の感熱層は、熱反応性官能基(熱反
応性基ともいう)を有する化合物を含有するマイクロカ
プセルを含む感熱層を有し、該熱反応性官能基を有する
化合物の反応相手となる化合物は、反応性官能基を保護
されていて、熱により反応性を発現する前駆体化合物で
あり、感熱層あるいは感光層に隣接する層に含有されて
いる。
【0021】かかる前駆体化合物を感熱層あるいは感熱
層に隣接する層に添加する方法としては、そのまま添加
してもよいし、マイクロカプセルに含有させて添加して
もよい。マイクロカプセルに含有させる場合は、熱反応
性基を有する化合物を含有するマイクロカプセルに含有
させることもできる。
【0022】この熱反応性基による反応としては、αβ
不飽和カルボニル基のアミノ基あるいはチオール基との
付加反応、イソシアナート基あるいはそれのブロック体
と活性水素原子を有する化合物(例えばアミン、アルコ
ール、カルボン酸など)による付加反応、エポキシ基と
アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基との付加反
応、カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミノ基
との縮合反応、酸無水物とアミノ基あるいはヒドロキシ
ル基との開環付加反応などを挙げることができ、これら
は化学結合が形成されればどのような反応でもよい。
【0023】このような熱反応性基を有する化合物を含
有するマイクロカプセルは、例えば、αβ不飽和カルボ
ニル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基、イソシアナート、酸無水物およびそれらを
保護した基等の熱反応性基を有する化合物をマイクロカ
プセルに内包させるか、これらの化合物をマイクロカプ
セルの外壁に導入する方法により得ることができる。ま
た、熱反応性基を有する化合物をマイクロカプセルに内
包させると同時に、マイクロカプセルの外壁に該化合物
を導入しても良い。
【0024】このような熱反応性基を有する化合物とし
ては、分子量が2000以下であることが好ましい。こ
の分子量範囲で、画像形成による熱を受けた場合の拡散
性が大きく、反応相手化合物との高い反応性が得られ
る。
【0025】αβ不飽和カルボニル基としては、例えば
アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられ、本発
明に好適なαβ不飽和カルボニル基を有する化合物は、
これらの基を分子末端に少なくとも1個、好ましくは2
個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は
当該産業分野において広く知られるものであり、本発明
においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。こ
れらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量
体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物な
らびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノ
マーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン
酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、
クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そ
のエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽
和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステ
ル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのア
ミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ
基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カル
ボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソ
シアナート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もし
くは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適
に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等
の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルま
たはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール
類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さら
に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有
する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官
能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオ
ール類との置換反応物も好適である。また、別の例とし
て、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホ
ン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も
可能である。
【0026】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるαβ不飽和カルボニル化合物
の具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレ
ングリコールジアクリレート、トリエチレングリコール
ジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレー
ト、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピ
レングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオ
キシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリア
クリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4
−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペン
タエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレー
ト、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペ
ンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、
トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、
ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0027】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメ
チルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0028】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、ヒ
ドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルジイ
タコネート、テトラメチレングリコールジイタコネー
ト、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトー
ルテトライタコネート等がある。
【0029】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0030】イソクロトン酸エステルとしては、エチレ
ングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトー
ルジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロト
ネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレ
ングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマ
レート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトー
ルテトラマレート等がある。
【0031】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0032】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0033】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726号記載のシクロへキシ
レン構造を有すものをあげる事ができる。
【0034】また、イソシアナートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系のαβ不飽和カルボニル
化合物も好適であり、そのような具体例としては、例え
ば、特公昭48−41708号中に記載されている1分
子に2個以上のイソシアナート基を有するポリイソシア
ナート化合物に、下記式(A)で示される水酸基を含有
するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の
重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙
げられる。
【0035】一般式(A) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0036】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。
【0037】さらに、特開昭63−277653号、特
開昭63−260909号、特開平1−105238号
に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を
有するαβ不飽和カルボニル化合物類を用いても良い。
【0038】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号に記載されているようなポリエステルアクリレ
ート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させ
たエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートや
メタクリレートを挙げることができる。また、特公昭4
6−43946号、特公平1−40337号、特公平1
−40336号記載の特定の不飽和化合物等も挙げるこ
とができる。また、ある場合には、特開昭61−220
48号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が
好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、
No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化
性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているもの
も使用することができる。
【0039】エポキシ化合物としては、好ましくはグリ
セリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェ
ノール類あるいはポリフェノール類モシクハソレラノ水
素添加物のポリグリシジルエーテル体などが挙げられ
る。
【0040】イソシアナート基を有する化合物として
は、好ましくはトリレンジイソシアナート、ジフェニル
メタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポ
リイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ナフ
タレンジイソシアナート、シクロヘキサンフェニレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサ
メチレンジイソシアナート、シクロヘキシルジイソシア
ナート、あるいはそれらをアルコールあるいはアミン類
でブロックした化合物を挙げることができる。
【0041】アミン化合物としては、好ましくはエチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0042】ヒドロキシル基を有する化合物としては好
ましくは、末端メチロールを有するような化合物、ペン
タエリスリトール、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシ
エチル)エーテルなどの多価アルコール、ビスフェノー
ル・ポリフェノール類などをあげることができる。
【0043】カルボキシル基を有する化合物としては好
ましくは、ピロメリット酸、トリメリット酸、フタル酸
などの芳香族多価カルボン酸、アジピン酸などの脂肪族
多価カルボン酸などが挙げられる。酸無水物としては好
ましくは、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0044】本発明に用いられる反応性官能基を保護さ
れていて、熱により反応性を発現する前駆体化合物とし
ては、熱分解により脱保護される化合物でもよいし、酸
や塩基触媒下での求核反応等の反応により脱保護されて
もよい。例えば、イソシアナート基をフェノール、βジ
ケトン化合物、ラクタム、オキシム、3級アルコール、
芳香族アミン、アミド、チオール、複素環化合物、ケト
オキシム等でブロックした化合物、カルボキシル基をテ
トラヒドロピラニル基、t−ブチル基、t−ブチルジメ
チルシリル基、N−フタルイミドメチル基、シンナミル
基等でエステル保護した化合物、ヒドロキシル基をトリ
メチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、テトラヒ
ドロピラニル基等でエーテル化した化合物、また、アミ
ン前駆体としては、公知の脱炭酸型、熱分解型、分子内
求核反応、ロッセン転移、ベックマン転位などの反応
型、および錯塩形成型などが用いられる。さらに、アミ
ンイミド化合物、ジシアンアミド化合物、カルバジド、
BF3アミン錯体、アリールスルホニル酢酸塩、例え
ば、フェニルスルホニル酢酸塩、4−(フェニルスルホ
ニル)フェニルスルホニル酢酸塩等が挙げられる。その
他、特開昭62−264041号、特開平5−3490
9号、同5−68873号公報等に塩基プリカーサーと
して記載されている熱または反応によりアミンを発生す
る化合物が使用できる。これらをマイクロカプセル内に
導入する場合には、疎水性溶剤に溶解または固体分散さ
せてもよいし、水中に分散させた状態で疎水性溶剤中に
乳化して使用してもよい。
【0045】以上具体的に詳述した熱反応性基を有する
化合物あるいは熱により反応性を発現する化合物が含有
されたマイクロカプセルを、本発明の平版印刷用原板の
感熱層に含有させることによって、画像形成時の熱によ
り該化合物がマイクロカプセル表面に滲出あるいはカプ
セル外に放出され、反応相手となる前駆体化合物から脱
保護された反応性化合と化学反応を起こす。これにより
加熱部分の分子構造は三次元架橋体に変化し、画像形成
前後において、加熱部分の水又は水溶液に対する溶解度
の差は大きいものとなり、良好な機上現像性を示し、高
い強度を有する画像部分が得られ、高耐刷を得ることが
できる。また、熱反応性化合物はマイクロカプセルに含
有され、反応相手が前駆体化合物であることにより、経
時中に両者が徐々に反応して機上現像性を損なうことを
防止できるため、高耐刷性を確保しながら良好な経時安
定性も得られる。
【0046】本発明に用いられる好ましいマイクロカプ
セルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混
合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタン
が好ましい。マイクロカプセルの外壁には、前記したよ
うに、熱反応性基を有する化合物を導入しても良い。
【0047】熱反応性基を有する化合物や前駆体化合物
を含有物としてマイクロカプセル化する方法としては、
公知のマイクロカプセル化法が適用できる。例えばマイ
クロカプセルの製造方法としては、米国特許28004
57号、同2800458号に記載されるコアセルベー
ションを利用した方法、英国特許990443号、米国
特許3287154号、特公昭38−19574号、同
42−446号、同42−711号に記載される界面重
合法による方法、米国特許3418250号、同366
0304号に記載されるポリマーの析出による方法、米
国特許3796669号に記載されるイソシアナートポ
リオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511
号に記載されるイソシアナート壁材料を用いる方法、米
国特許4001140号、同4087376号、同40
89802号に記載される尿素―ホルムアルデヒド系ま
たは尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材
料を用いる方法、米国特許4025445号に記載され
るメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロ
ース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、
同51−9079号に記載されるモノマー重合によるi
n situ法、英国特許930422号、米国特許3
111407号に記載されるスプレードライング法、英
国特許952807号、同967074号に記載される
電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0048】本発明に使用されるマイクロカプセルの平
均粒径は0.01μm〜20μmが好ましいが、その中で
も0.05μm〜2.0μmが更に好ましく、特に0.
10μm〜1.0μmが最適である。平均粒径が大き過
ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性が悪
くなってしまう。
【0049】本発明の平版印刷用原板は、感熱層または
感熱層に隣接する層に光熱変換剤を含有していることに
より、レーザー光照射等により画像書き込みを行うこと
ができる。その光熱変換剤としては、光源の波長域に吸
収波長を有するものであれば特に限定されないが、特に
赤外線を吸収し熱に変換する化合物が好ましい。かかる
光熱変換剤としては700nm以上の光を吸収する物質
が特に好ましく、種々の顔料、染料および金属微粒子を
用いることができる。
【0050】顔料としては、市販の顔料およびカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤
外吸収性の顔料が利用できる。
【0051】これら顔料は、添加される層に対する分散
性を向上させるため、必要に応じて公知の表面処理を施
して用いることができる。表面処理の方法には、親水性
樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を
付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、ア
ルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、
イソシアナート化合物等)を顔料表面に結合させる方法
等が考えられる。親水性の層に添加する顔料は、水溶性
の樹脂と分散しやすく、かつ親水性を損わないように、
親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたものが望
ましい。顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあ
ることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲に
あることが更に好ましい。顔料を分散する方法として
は、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散
技術が使用できる。特に好ましい顔料としては、カーボ
ンブラックを挙げることができる。
【0052】染料としては、市販の染料および文献(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の
「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市
場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)あ
るいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロン
アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、
カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染
料、シアニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0053】さらに、例えば、特開昭58−12524
6号、特開昭59−84356号、特開昭60−787
87号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−
173696号、特開昭58−181690号、特開昭
58−194595号等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号、特開昭58−22479
3号、特開昭59−48187号、特開昭59−739
96号、特開昭60−52940号、特開昭60−63
744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開
昭58−112792号等に記載されているスクワリリ
ウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染
料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国
特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開
平10−268512号記載の染料、特開平11−23
5883号記載のフタロシアニン化合物を挙げることが
できる。を挙げることができる。
【0054】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、同58−220143号、同
59−41363号、同59−84248号、同59−
84249号、同59−146063号、同59−14
6061号に記載されているピリリウム系化合物、特開
昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許
第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリ
リウム塩等や特公平5−13514号、同5−1970
2号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン
社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、
エポライトIII−125等も好ましく用いられる。これ
らの中で、感熱層の親水性樹脂中などの親水性マトリッ
クス中に添加するのに好ましい染料は水溶性染料で、以
下に具体例を示す。
【0055】
【化1】
【0056】
【化2】
【0057】本発明の感熱層のマイクロカプセル中など
親油性物質中に添加する光熱変換剤としては、前記の赤
外線吸収染料であっても良いが、親油性の染料がより好
ましい。具体例として、以下の染料を挙げることができ
る。
【0058】
【化3】
【0059】
【化4】
【0060】本発明の感熱層などには、光熱変換剤とし
て金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の多く
は、光熱変換性であって、かつ自己発熱性でもある。好
ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、
Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、
W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体又は合金ある
いはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられる。こ
れらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属
は、光照射によって熱融着し易い融点がおよそ1000
℃以下で赤外、可視又は紫外線領域に吸収をもつ金属、
たとえばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、
Pb及びSnである。また、とくに好ましいのは、融点
も比較的低く、熱線に対する吸光度も比較的高い金属の
微粒子、たとえばAg、Au、Cu、Sb、Ge及びP
bで、とくに好ましい元素はAg、Au及びCuが挙げ
られる。
【0061】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子
とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己
発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光
熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、P
t、Pdなど微小片としたときに光吸収がとくに大きい
金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いる
ことは好ましい。
【0062】以上に述べた金属単体及び合金の微粒子
は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効
果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性で
かつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤
で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基
を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性
高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。
特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば
鉄微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)
水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水
性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で
表面シリケート処理を行うことができる。
【0063】これらの粒子の粒径は、10μm以下、好
ましくは、0.003〜5μm、さらに好ましくは、
0.01〜3μmである。微小であるほど、熱融着温度
は低下する、つまりヒートモードの光感度が高くなって
好都合であるが、粒子の分散が難しく、10μm以上で
は、印刷物の解像度が悪くなる。
【0064】本発明の平版印刷用原板の感熱層中には親
水性樹脂を添加しても良い。親水性樹脂を添加すること
で機上現像性が良好となるばかりか、感熱層自体の皮膜
強度も上がる。親水性樹脂としては3次元架橋していな
いものが機上現像性が良好で好ましい。
【0065】親水性樹脂としては、例えばヒドロキシ
ル、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロ
ピル、アミノ、アミノエチル、アミノプロピル、カルボ
キシメチルなどの親水基を有するものが好ましい。具体
的な親水性樹脂として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラ
チン、澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース及びそ
れらのNa塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナト
リウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレ
ン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそ
れらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロ
キシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマ
ー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及び
コポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモ
ポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレ
ートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチル
メタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロ
キシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマ
ー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレン
ポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分
解度が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも8
0重量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニル
ホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリ
ドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、
メタクリルアミドのホモポリマー及びポリマー、N−メ
チロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマ
ー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸及びその塩のホモポリマー及びコポリマー等を挙げる
ことができる。
【0066】親水性樹脂の感熱層中への添加量は、2%
〜40%が好ましく、3%〜30%がさらに好ましい。
2%より少ないと、皮膜強度が弱く、40%より多いと
機上現像性は良くなるものの耐刷性が悪くなってしま
う。
【0067】本発明の平版印刷用原板の感熱層には、上
記の熱反応性基を有する化合物を含有するマイクロカプ
セルを用いるので、必要に応じてこれらの反応を開始あ
るいは促進するような化合物を添加してもよい。たとえ
ば熱によりラジカルあるいはカチオンを発生するような
化合物を挙げることができ、ロフィンダイマー、トリハ
ロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニウム
塩あるいはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオニ
ウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなどが
挙げられる。これらの化合物は感熱層において1重量%
〜20重量%の範囲で添加することができる。好ましく
は3重量%〜10重量%の範囲である。これより多いと
機上現像性が悪くなり、これより少ないと反応開始ある
いは促進効果が弱くなり耐刷性が劣化する。
【0068】本発明では、さらに必要に応じてこれら以
外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可視光域
に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用する
ことができる。具体的には、オイルイエロー#101、
オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイ
ルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#
603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オ
イルブラックT−505(以上オリエント化学工業
(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイ
オレット(CI42555)、メチルバイオレット(C
I42535)、エチルバイオレット、ローダミンB
(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI4
2000)、メチレンブルー(CI52015)等、及
び特開昭62−293247号に記載されている染料を
挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、ア
ゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も
好適に用いることができる。
【0069】これらの着色剤は、画像形成後、画像部と
非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好まし
い。なお、添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し、
0.01〜10重量%の割合である。
【0070】また、本発明においては、感熱層塗布液の
調製中あるいは保存中において、αβ不飽和カルボニル
化合物が不要なラジカル熱重合を起こすのを阻止するた
めに、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。
適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メト
キシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピ
ロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−
t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニル
ヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱
重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.
01重量%〜約5重量%が好ましい。
【0071】また、本発明における感熱層塗布液中に
は、未露光部の機上現像性を向上させるため、特開昭6
2−251740号や特開平3−208514号に記載
されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−1
21044号、特開平4−13149号に記載されてい
るような両性界面活性剤を添加することができる。非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0072】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感熱
層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好
ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0073】さらに、本発明に係る感熱層塗布液中に
は、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑
剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、ク
エン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。
【0074】本発明の平版印刷用原板を製造するには、
通常、感熱層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶かし
て、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用する
溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノ
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、
1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチル
アセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、
ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−
ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメ
チルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、
トルエン、水等を挙げることができるがこれに限定され
るものではない。これらの溶媒は単独又は混合して使用
される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の
濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0075】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷用原板についていえば一般的に0.5〜5.0g/
m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を
用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回
転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、
エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げ
ることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけ
の感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の
皮膜特性は低下する。
【0076】本発明に係る感熱層塗布液には、塗布性を
良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−17
0950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。好ましい添加量は、全感熱層
の材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは
0.05〜0.5重量%である。
【0077】本発明の平版印刷用原板は、親油性物質に
よる感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上に、水溶性
オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用
される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去でき
るものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた
樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機高分子化合
物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形
成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但
し加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およ
びそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、ポリアクリル
酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、
ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミ
ン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金
属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共
重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニ
ルピロリドン及びその共重合体、ポリビニルメチルエー
テル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重
合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プ
ロパンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩またはアミン
塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロ
パンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩ある
いはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、
カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルロ
ーズ、メチルセルローズ等)およびその変性体、ホワイ
トデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキス
トリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、
これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。
【0078】また、感熱層の隣接層であるオーバーコー
ト層には、感熱層のマイクロカプセルに含有される熱反
応性基を有する化合物の反応相手となる前駆体化合物を
含有させることができる。また、オーバーコート層に
は、前記の水溶性光熱変換剤を添加しても良い。
【0079】さらに、オーバーコート層には塗布の均一
性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンドデシルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を添加
することができる。オーバーコート層の乾燥塗布量は、
0.1〜2.0g/m2が好ましい。それより少ない
と、指紋付着汚れを起こし、それより多いと、機上現像
性が悪くなる。
【0080】〔支持体〕本発明の平版印刷用原板におい
て前記感熱層を塗布可能な親水性支持体としては、寸度
的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラ
ミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィル
ム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエス
テルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0081】本発明の平版印刷用原板に使用する支持体
としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れた
アルミニウム板を使用することが好ましい。この目的に
供されるアルミニウム材質としては、JIS 1050
材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al−
Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合
金、Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金等が挙
げられる。
【0082】支持体に使用し得るアルミニウム材質に関
する公知技術を以下に列挙する。 (1)JIS 1050材に関しては、下記の技術が知
られている。特開昭59−153861号、特開昭61
−51395号、特開昭62−146694号、特開昭
60−215725号、特開昭60−215726号、
特開昭60−215727号、特開昭60−21572
8号、特開昭61−272357号、特開昭58−11
759号、特開昭58−42493号、特開昭58−2
21254号、特開昭62−148295号、特開平4
−254545号、特開平4−165041号、特公平
3−68939号、特開平3−234594号、特公平
1−47545号、特開昭62−140894号など。
また、特公平1−35910号、特公昭55−2887
4号等も知られている。
【0083】(2)JIS 1070材に関しては、下
記の技術が知られている。特開平7−81264号、特
開平7−305133号、特開平8−49034号、特
開平8−73974号、特開平8−108659号、特
開平8−92679号など。
【0084】(3)Al−Mg系合金に関しては、下記
の技術が知られている。特公昭62−5080号、特公
昭63−60823号、特公平3−61753号、特開
昭60−203496号、特開昭60−203497
号、特公平3−11635号、特開昭61−27499
3号、特開昭62−23794号、特開昭63−473
47号、特開昭63−47348号、特開昭63−47
349号、特開昭64−61293号、特開昭63−1
35294号、特開昭63−87288号、特公平4−
73392号、特公平7−100844号、特開昭62
−149856号、特公平4−73394号、特開昭6
2−181191号、特公平5−76530号、特開昭
63−30294号、特公平6−37116号など。ま
た、特開平2−215599号、特開昭61−2017
47号等も知られている。
【0085】(4)Al−Mn系合金に関しては、下記
の技術が知られている。特開昭60−230951号、
特開平1−306288号、特開平2−293189号
など。また、特公昭54−42284号、特公平4−1
9290号、特公平4−19291号、特公平4−19
292号、特開昭61−35995号、特開昭64−5
1992号、US5009722、US502827
6、特開平4−226394号等も知られている。 (5)Al−Mn−Mg系合金に関しては、下記の技術
が知られている。特開昭62−86143号、特開平3
−222796号、特公昭63−60824号、特開昭
60−63346号、特開昭60−63347号、EP
223737、特開平1−283350号、US481
8300、BR1222777等が知られている。
【0086】(6)Al−Zr系合金に関して、下記の
技術が知られている。特公昭63−15978号、特開
昭61−51395号、特開昭63−143234号、
特開昭63−143235号等が知られている。 (7)Al−Mg−Si系合金に関しては、BR142
1710等が知られている。
【0087】また、支持体用アルミニウム板の製造方法
としては、下記の内容が使用できる。前述のような含有
成分及び、合金成分割合のアルミニウム合金溶湯を常法
に従い清浄化処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、
溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために、フラ
ックス処理、Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理
や、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォーム
フィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルターや、
アルミナフレーク、アルミナボール等を濾材とするフィ
ルタや、グラスクロスフィルター等を使ったフィルタリ
ング、あるいは、脱ガスとフィルタリングを組み合わせ
た処理が行われる。これらの清浄化処理は、溶湯中の、
非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥、溶湯にとけ
込んだガスによる欠陥を防ぐために、実施されることが
望ましい。
【0088】溶湯のフィルタリングに関しては、特開平
6−57342号、特開平3−162530号、特開平
5−140659号、特開平4−231425号、特開
平4−276031号、特開平5−311261号、特
開平6−136466号等が知られている。溶湯の脱ガ
スに関しては、特開平5−51659号、特開平5−5
1660号、実開平5−49148号、特開平7−40
017号などが知られている。以上のように、清浄化処
理を施された溶湯を使って、鋳造を行う。鋳造方法に関
しては、DC鋳造法に代表される、固定鋳型を用いる方
法と、連続鋳造法に代表される、駆動鋳型を用いる方法
がある。DC鋳造法を用いた場合、冷却速度は、1〜3
00℃/秒の範囲で凝固される。1℃/秒未満である
と、粗大な金属間化合物が多数形成される。
【0089】連続鋳造法には、ハンター法、3C法に代
表される、冷却ロールを用いた方法、ハズレー法、アル
スイスキャスターII型に代表される冷却ベルト、冷却ブ
ロックを用いた方法が、工業的に行われている。連続鋳
造法を用いた場合の冷却速度は、100〜1000℃/
秒の範囲で凝固される。一般的に、DC鋳造法に比べ
て、冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対す
る、合金成分の固溶度を高くできる特徴がある。連続鋳
造法に関しては、特開平3−79798号、特開平5−
201166号、特開平5−156414号、特開平6
−262203号、特開平6−122949号、特開平
6−210406号、特開平6−262308号等に記
載されている。
【0090】DC鋳造を行った場合、板厚300〜80
0mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、
面削を行われ、表層の1〜30mm、望ましくは、1〜
10mmを切削される。その後、必要に応じて、均熱化
処理が行われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物
が粗大化してしまわないように、450〜620℃で1
時間以上、48時間以下の熱処理が施される。1時間よ
り短い場合は、均熱化処理の効果が不十分となる。次い
で、熱間圧延、冷間圧延を行って、アルミニウム圧延板
とする。熱間圧延の開始温度としては、350〜500
℃の範囲とする。冷間圧延の前、または後、またはその
途中において中間焼鈍処理を施しても良い。この場合の
中間焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜6
00℃で2〜20時間、望ましくは、350〜500℃
で2〜10時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて4
00〜600℃で360秒以下、望ましくは、450〜
550℃で120秒以下の加熱処理が採用できる。連続
焼鈍炉を使って、10℃/秒以上の昇温速度で加熱する
と、結晶組織を細かくすることもできる。
【0091】以上の工程によって、所定の厚さ0.1〜
0.5mmに仕上げられたAl板は平面性を改善するた
めに、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置に
よって、平面性を改善しても良い。平面性の改善は、板
をシート状にカットした後に行っても良いが、生産性を
向上させるためには、連続したコイルの状態で、平面性
改善を行うことが望ましい。また、板巾を所定の巾に加
工するため、スリッタラインを通すことが通常行われ
る。スリッタによって切られた板の端面は、スリッタ刃
に切られるときに、せん断面と破断面の片方、あるいは
両方が生じる。
【0092】板の厚みの精度は、コイル全長にわたっ
て、±10μm以内、望ましくは±6μm以内が良い。
また、幅方向の板厚差は6μm以内、望ましくは3μm
以内がよい。また、板幅の精度は、±1.0mm以内、
望ましくは±0.5mm以内が望ましい。Al板の表面
粗度は、圧延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、
最終的に中心線表面粗さ(Ra)で、Ra=0.1〜
1.0μm程度に仕上げるのがよい。Raが大きすぎる
と、平版印刷版用としての粗面化処理、感熱層塗布をし
たとき、Alのもともとの粗さ、すなわち、圧延ロール
によって転写された粗い圧延条痕が感熱層の上から見え
るため、外観上好ましくない。Ra=0.1μm以下の
粗さは、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる必
要が有るため、工業的に望ましくない。
【0093】また、Al板同士の摩擦によるキズの発生
を防止するために、Al板の表面に、薄い油膜をもうけ
ても良い。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、
不揮発性のものが適宜用いられる。油量が多すぎると、
製造ライン中でスリップ故障が発生するが、油量が皆無
だとコイル輸送中にキズが発生する不具合が生じるの
で、油量は3mg/m2以上で100mg/m2以下、望
ましい上限は50mg/m2以下、更に望ましくは10
mg/m2以下が良い。冷間圧延に関しては、特開平6
−210308号等に記載されている。
【0094】連続鋳造を行った場合、例えば、ハンター
法等の冷却ロールを用いると板厚1〜10mmの鋳造板
を直接連続鋳造圧延でき、熱間圧延の工程を省略できる
メリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ロール
を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板が鋳造でき、
一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に
圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が
得られる。これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合
に説明したのと同じように、冷間圧延、中間焼鈍、平面
性改善、スリット等の工程を経て0.1〜0.5mmの
板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼
鈍条件、冷間圧延条件については、特開平6−2205
93号、特開平6−210308号、特開平7−541
11号、特開平8−92709号等に記載されている。
【0095】上記方法で製造したAl板は表面に粗面化
処理等の表面処理を行い、感熱層を塗布して平版印刷用
原板とすることができる。粗面化処理には、機械的粗面
化、化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み合
わせて行われる。また、表面のキズ付き難さを確保する
ための陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための処
理を行うことも好ましい。
【0096】以下に支持体の表面処理について説明す
る。アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応
じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、
有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が
行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中
和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
【0097】次いで支持体と感熱層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされてい
る。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンド
ブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ナイロ
ンブラシと研磨材/水スラリーによるブラシグレイン、
研磨材/水スラリーを表面に高圧で吹き付けるホーニン
ググレインなどによる機械的砂目立て方法があり、また
アルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッ
チング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法が
ある。また英国特許第896,563号公報、特開昭5
3−67507号公報、特開昭54−146234号公
報及び特公昭48−28123号公報に記載されている
電気化学的砂目立て方法、または特開昭53−1232
04号公報、特開昭54−63902号公報に記載され
ている機械的砂目立て方法と電気化学的砂目立て方法と
を組み合わせた方法、特開昭56−55261号公報に
記載されている機械的砂目立て方法と鉱酸のアルミニウ
ム塩の飽和水溶液による化学的砂目立て方法とを組み合
わせた方法も知られている。また上記支持体材料に、粒
状体を接着剤またはその効果を有する方法で接着させて
表面を粗面化する方法や、微細な凹凸を有する連続帯や
ロールを支持体材料に圧着させて凹凸を転写することに
よって粗面を形成させてもよい。
【0098】これらのような粗面化方法は複数を組み合
わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意
に選択することができる。複数の粗面化処理を組み合わ
せる場合、その間に、続いて行う粗面化処理を均一に行
えるようにするために酸またはアルカリ水溶液による化
学的処理を行うことができる。上記、酸またはアルカリ
水溶液の具体例としては、例えばフッ酸、フッ化ジルコ
ン酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸および水酸化
ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの
アルカリ水溶液が挙げられる。これらの酸またはアルカ
リ水溶液はそれぞれ一種または二種以上を混合して使用
することができる。化学的処理はこれらの酸またはアル
カリの0.05〜40重量%水溶液を用い、40℃〜1
00℃の液温において5〜300秒処理するのが一般的
である。
【0099】前述のような粗面化処理すなわち砂目立て
処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成し
ているので、このスマットを除去するために適宜水洗あ
るいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的
に好ましい。このような処理としては、例えば特公昭4
8−28123号公報に記載されているアルカリエッチ
ング法や特開昭53−12739号公報に記載されてい
る硫酸デスマット法等の処理方法が挙げられる。本発明
に用いられるアルミニウム支持体の場合には、前述のよ
うな前処理を施した後、通常、耐摩耗性、耐薬品性、保
水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸
化皮膜を形成させる。
【0100】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば
いかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、
リン酸、シュウ酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用
いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によっ
て適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質
により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的に
は電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解
時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化
皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好
ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸
化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分で
あったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなっ
て、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷
汚れ」が生じ易くなる。
【0101】尚、このような陽極酸化処理は平版印刷版
の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏
回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化
皮膜が形成されるのが一般的である。また、アルカリ水
溶液(例えば数%の苛性ソーダ水溶液)や、熔融塩中で
の陽極酸化処理や、例えばホウ酸アンモン水溶液を用い
た無孔性陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理なども
行うことができる。陽極酸化処理を行う前に、特開平4
−148991号や特開平4−97896号に記載され
ている水和酸化皮膜生成を行ってもよく、また、特開昭
63−56497号や特開昭63−67295号に記載
されている金属ケイ酸塩溶液中での処理、水和酸化皮膜
生成処理や、特開昭56−144195号に記載されて
いる化成皮膜生成処理などを行うこともできる。
【0102】本発明の平版印刷用原板に用いられるアル
ミニウム支持体は、陽極酸化処理後に有機酸もしくはそ
の塩による処理、または該有機酸もしくはその塩を感熱
層塗布の下塗り層として用いることができる。有機酸ま
たはその塩としては、有機カルボン酸、有機ホスホン
酸、有機スルホン酸またはその塩等が挙げられるが、好
ましくは有機カルボン酸またはその塩である。有機カル
ボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラ
ウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノ
カルボン酸類;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪
族モノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、アジピン
酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;乳酸、グル
コン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボ
ン酸類;安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸
等の芳香族カルボン酸類およびIa、IIb、IIIb、IVa、VI
bおよびVIII族の金属塩およびアンモニウム塩が挙げら
れる。上記有機カルボン酸塩のうち好ましいのは蟻酸、
酢酸、酪酸、プロピオン酸、ラウリン酸、オレイン酸、
コハク酸および安息香酸の上記金属塩およびアンモニウ
ム塩である。これらの化合物は単独でも2種以上組み合
わせて用いてもよい。
【0103】これらの化合物は水、アルコールに0.0
01〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度
となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては
25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、p
Hは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、
好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬するか、処理液
を支持体に塗布する。
【0104】また、さらに陽極酸化処理後、以下のよう
な化合物溶液による処理や、これらの化合物を、感熱層
塗布の下塗り層として用いることができる。好適に用い
られる化合物としては、例えば、置換基を有してもよい
フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホ
スホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸
およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置
換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、
アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン
酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフ
チルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセ
ロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン、β
−アラニン、バリン、セリン、スレオニン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、トリプトフ
ァン、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシ
エチルグリシン、アントラニル酸等のアミノ酸;スルフ
ァミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等のアミノス
ルホン酸;1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチル
アミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン
酸、2−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニ
ルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン
酸、1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホス
ホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホ
ン酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン
酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のア
ミノホスホン酸等の化合物が挙げられる。
【0105】また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メ
タンスルホン酸等)またはシュウ酸と、アルカリ金属、
アンモニア、低級アルカノールアミン(トリエタノール
アミン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン
等)等との塩も好適に使用することができる。
【0106】ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよび
その鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属
塩、ポリスチレンスルホン酸およびその金属塩、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその金属
塩、塩化トリアルキルアンモニムメチルスチレンのポリ
マーおよびその(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポ
リビニルホスホン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用す
ることができる。さらに可溶性デンプン、カルボキシメ
チルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセル
ロース、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソー
ダ、ゼラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に
使用することができる。これらの化合物は単独でも2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】処理の場合、これらの化合物は水かつ/ま
たはメチルアルコールに0.001〜10重量%、特に
0.01〜1.0重量%の濃度となるよう溶解されるの
が好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましく
は50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましく
は2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分
間支持体を浸漬する。
【0108】感熱層塗布の下塗り層として用いる場合
は、同様に水かつ/またはメチルアルコールに0.00
1〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度と
なるように溶解され、必要に応じて、アンモニア、トリ
エチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷
用原板の調子再現性改良のために黄色系染料を添加する
こともできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜2
00mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100m
g/m2である。上記の被覆量が2mg/m2未満である
と汚れ防止等の本来の目的に十分な効果が得られない。
また、200mg/m2を越えると耐刷力が低下する。
【0109】なお支持体と感熱層との密着性を高めるた
めの中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、
一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに
吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さ
は任意であり、露光した時に、上層の感熱層と均一な結
合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、
乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、
5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけ
るジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましく
は60〜100%である。
【0110】以上のような処理及び下塗り層付与の前
に、陽極酸化処理された支持体は、水洗処理されたあ
と、現像液や湿し水への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感熱
層成分の残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮
膜の親水性向上、感熱層との密着性向上等を目的に、以
下のような処理を行うことができる。そのひとつとして
は、陽極酸化皮膜をアルカリ金属のケイ酸塩水溶液と接
触させて処理するシリケート処理が挙げられる。この場
合、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜15重量%であり、25℃での
pHが10〜13.5である水溶液に5〜80℃、好ま
しくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で
0.5〜120秒間接触させる。接触させる方法は、浸
せきでもスプレーによる吹き付けでも、いかなる方法に
よってもかまわない。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液はp
Hが10より低いと液はゲル化し、13.5より高いと
陽極酸化皮膜が溶解されてしまう。
【0111】本発明に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩
は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウ
ムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のp
H調整に使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。な
お、上記処理液にはアルカリ土類金属塩もしくは第IVb
族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩として
は、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネ
シウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸
塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水
溶性塩が挙げられる。第IVb族金属塩としては、四塩化
チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ
酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化
酸化ジルコニウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属
もしくは第IVb族金属塩は単独または2種以上組み合わ
せて使用する事ができる。これらの金属塩の好ましい範
囲は、0.01〜10重量%であり、更に好ましくは
0.05〜5.0重量%である。
【0112】他には、各種封孔処理も挙げられ、一般的
に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている、水
蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸
塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂
含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ
土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷版
用支持体としての性能(感熱層との密着性や親水性)、
高速処理、低コスト、低公害性等の面から水蒸気封孔が
比較的好ましい。その方法としては、たとえば特開平4
−176690号公報にも記載されている加圧または常
圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70%以
上・蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極酸化
皮膜に接触させる方法などが挙げられる。他の封孔処理
法としては、支持体を80〜100℃程度の熱水または
アルカリ水溶液に浸漬または吹き付け処理する方法や、
これに代えるか或いは引き続き、亜硝酸溶液で浸漬また
は吹き付け処理することができる。亜硝酸塩の例として
は、周期律表のIa、IIa 、IIb 、IIIb、IVb 、IVa 、VI
a、VIIa、VIII族の金属の亜硝酸塩またはアンモニウム
塩、すなわち亜硝酸アンモニウムが挙げられ、その金属
塩としては、例えばLiO2、NaNO2、KNO2、M
g(NO2)2、Ca(NO22、Zn(NO32、Al
(NO23、Zr(NO24、Sn(NO23、Cr
(NO23、Co(NO22、Mn(NO22、Ni
(NO22等が好ましく、特にアルカリ金属亜硝酸塩が
好ましい。亜硝酸塩は2種以併用することもできる。
【0113】処理条件は、支持体の状態及びアルカリ金
属の種類により異なるので一義的には決定できないが、
例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、濃度は一般
的には0.001〜10重量%、より好ましくは0.0
1〜2重量%、浴温度は一般的には室温から約100℃
前後、より好ましくは60〜90℃、処理時間は一般的
には15〜300秒、より好ましくは10〜180秒の
それぞれの範囲から選択すればよい。亜硝酸水溶液のp
Hは8.0〜11.0に調製されていることが好まし
く、8.5〜9.5に調製されていることが特に好まし
い。亜硝酸水溶液のpHを上記の範囲に調製するには、
例えばアルカリ緩衝液等を用いて好適に調製することが
できる。該アルカリ緩衝液としては、限定はされないが
例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水
溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶
液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶
液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、
塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ酸ナトリウ
ムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適に用いるこ
とができる。また、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以
外のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩等も用いること
ができる。
【0114】以上のような、シリケート処理または封孔
処理を施したあと、感熱層との密着性をアップさせるた
めに特開平5−278362号公報に記載されている酸
性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平4−
282637号公報や特開平7−314937号明細書
に記載されている有機層を設けてもよい。
【0115】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。かかるバックコートとし
ては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合
物および特開平6−35174号記載の有機または無機
金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属
酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの
被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC
254、Si(OC374、Si(OC494など
のケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それ
から得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れてお
り特に好ましい。
【0116】平版印刷版用支持体として好ましい特性と
しては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmであ
る。0.10μmより低いと感熱層と密着性が低下し、
著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大き
い場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持
体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.
65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレ
ーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、
0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像
が見難く、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0117】本印刷版はアルミニウム基板上に水に不溶
な親水性層あるいはレーザー露光により発熱しかつ水に
不溶な親水性である層、あるいはアルミニウム基板上に
断熱性を持たせるために有機ポリマーよりなる断熱層を
設けたうえに、水に不溶な親水性層あるいはレーザー露
光により発熱しかつ水に不溶な親水性である層を設けて
もよい。例えば、アルミニウム基板上にシリカ微粒子と
親水性樹脂の親水性層を設けてよい。さらにこの親水性
層内に先に挙げた光熱変換剤を導入し、発熱性親水性層
としてもよい。このようにすることでアルミニウム基板
に熱が逃げ難くなるのみか、レーザー露光により発熱す
る親水性基板として用いることができる。更にこの親水
性層とアルミニウム基板の間に有機ポリマーからなる中
間層を設けると、より一層熱がアルミ基板に逃げること
を抑制することができる。支持体としては、機上現像性
の観点から、多孔質でないものが良く、また親水性有機
高分子材料を40%以上含むような水により膨潤するよ
うな支持体はインクが払われ難く問題となってしまう。
【0118】本発明に使用される親水層は3次元架橋し
ており、水及び/又はインキを使用する平版印刷で、浸
し水に溶けない層であり、下記のコロイドからなること
が望ましい。ベリリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、ケイ素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジル
コニウム、鉄、バナジウム、アンチモン又は遷移金属の
酸化物又は水酸化物のゾルゲル変換系からなるコロイド
である。場合によってはこれらの元素の複合体からなる
コロイドであっても良い。これらのコロイドは、上記の
元素が酸素原子を介して網目状構造を形成すると同時に
未結合の水酸基やアルコキシキ基を有していて、これら
が混在した構造となっている。活性なアルコキシ基や水
酸基が多い初期加水分解縮合段階から、反応が進行する
につれ粒子径は大きくなり不活性になる。コロイドの粒
子は一般的には2nmから500nmで、シリカの場合
5nmから100nmの球形のものが本発明では好適で
ある。アルミニウムのコロイドのように100×10n
mのような羽毛状のものも有効である。更には、10n
mから50nmの球状粒子が50nmから400nmの
長さに連なったパールネック状のコロイドも用いること
ができる。
【0119】コロイドはそのもの単独で用いてもよく、
更には親水性の樹脂と混合して用いることも可能であ
る。また、架橋を促進させるために、コロイドの架橋剤
を添加しても良い。通常、コロイドは安定剤によって安
定化されている場合が多い。カチオンに荷電しているコ
ロイドではアニオン基を有する化合物、逆にアニオンに
荷電しているコロイドではカチオン基を有する化合物が
安定剤として添加されている。たとえば、ケイ素のコロ
イドではアニオンに荷電しているので、安定剤としてア
ミン系の化合物が添加され、アルミニウムのコロイドで
はカチオンに荷電しているので、塩酸や酢酸等の強酸が
添加されている。この様なコロイドを基板上に塗布する
と、常温で透明な皮膜を形成するものが多いが、コロイ
ドの溶媒が蒸発しただけではゲル化は不完全で、安定剤
を除去できる温度に加熱することによって、強固な3次
架橋を行い、本発明に好ましい親水層となる。
【0120】上記のような安定化剤を用いずに、出発物
質(例えば、ジ、トリ及び/又はテトラアルコキシシラ
ン)から直接加水分解縮合反応を行わせ、適当なゾル状
態を作りだしそのまま基板上に塗布し、乾燥させ反応を
完了させても良い。この場合、安定化剤を含む場合より
も低温で三次元架橋させることが出来る。
【0121】この他、適当な加水分解縮合反応物を有機
溶媒に分散安定化させたコロイドも本発明には好適であ
る。溶媒が蒸発するだけで、三次元架橋した皮膜が得ら
れる。これらの溶媒にはメタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルーエテルやメ
チルエチルケトンのような低沸点の溶媒を選択すると、
常温での乾燥が可能となる。とくに本発明では、メタノ
ールやエタノール溶媒のコロイドが低温での硬化が容易
であり有用である。
【0122】上記のコロイドと共に用いる親水性樹脂と
しては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキ
シエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチ
ル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を
有するものが好ましい。具体的な親水性樹脂として、ア
ラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボ
キシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースア
セテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイ
ン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー
類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル
酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアク
リレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、
ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコ
ポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリ
マー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートの
ホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール
類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアル
コール類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量
%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビ
ニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホ
モポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポ
リマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドの
ホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩のホモポリ
マー及びコポリマー等を挙げることができる。
【0123】特に好ましい親水性樹脂は水溶性でない水
酸基含有ポリマーで、具体的には、ヒドロキシエチルメ
タクリレートのホモポリマー及びコポリマーとヒドロキ
シエチルアクリレートのコポリマーである。これらの親
水性樹脂はコロイドと共に用いられるが、その添加割合
は親水性樹脂が水溶性の場合、親水層の全固形分の40
重量%以下が好ましく、水溶性でない親水性樹脂の場合
は全固形分の20重量%以下が好ましい。
【0124】これらの親水性樹脂はそのまま用いること
もできるが、印刷時の耐刷力を増加さる目的で、コロイ
ド以外の親水性樹脂の架橋剤を添加してもよい。この様
な親水性樹脂の架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グ
リオキザール、ポリイソシアナート及びテトラアルコキ
シシランの初期加水分解・縮合物、ジメチロール尿素や
ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。本発
明の親水層には上記の酸化物又は水酸化物のコロイドと
親水性樹脂以外に、コロイドの架橋を促進する架橋剤を
添加してもよい。その様な架橋剤としてはテトラアルコ
キシシランの初期加水分解縮合物、トリアルコキシシリ
ルプロピル−N,N,N−トリアルキルアンモニウムハ
ライドあるいはアミノプロピルトリアルコキシシランが
好ましい。その添加割合は親水層の全固形分の5重量%
以下であることが好ましい。
【0125】更に本発明の親水層には、感熱感度を高め
るために親水性の光熱変換剤を添加してもよい。特に好
ましい光熱変換剤は水溶性の赤外線吸収染料で、前記の
式(I)のスルホン酸基やスルフォン酸のアルカリ金属
塩基あるいはアミン塩基を有するシアニン染料である。
これらの染料の添加割合は親水層の全量に対し、1重量
%〜20重量%で、更に好ましくは5重量%〜15重量
%である。
【0126】本発明の三次元架橋した親水層の塗布厚み
は0.1μmから10μmであることが好ましい。より
好ましくは、0.5μmから5μmである。薄すぎる
と、親水層の耐久性が劣り、印刷時の耐刷力が劣る。ま
た厚すぎると、解像度が低下する。
【0127】また、前記の中間層や水不溶性親水性層が
感熱層の隣接層となる場合は、これらの層に、感熱層の
マイクロカプセルに含有される熱反応性基を有する化合
物の反応相手となる前駆体化合物を含有させることがで
きる。
【0128】親水性層とアルミニウム基板の間に設ける
ことのできる中間層に用いられる有機ポリマーは、ポリ
ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、クレ
ゾール樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルアセタール樹
脂、ビニル樹脂など通常使用される有機ポリマーであれ
ば問題なく使用することができる。これらは0.1g/m2
〜5.0g/m2の塗布量であることが好ましい。0.1g/m
2以下だと断熱効果が小さく、5.0g/m2より大きいと
非画像部の耐刷性が劣化する。
【0129】本発明の平版印刷用原板は高出力のレーザ
ー露光により、画像形成することができるが、サーマル
ヘッドのような書込み機を用いてもよい。特に本発明で
は赤外または近赤外領域で発光するレーザーを用いるこ
とが好ましい。特に近赤外領域で発光するレーザーダイ
オードが特に好ましい。なお、この場合、その感熱層に
含まれるマイクロカプセルの外壁が破れるエネルギー量
で行う必要がある。また、紫外線ランプによる記録も可
能であるが、本発明においては、波長760nmから1
200nmの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レ
ーザにより画像露光されることが好ましい。レーザの出
力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するた
め、マルチビームレーザデバイスを用いることが好まし
い。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であ
ることが好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは
10〜300mJ/cm2であることが好ましい。
【0130】このようにして露光されたプレートは処理
することなく、印刷機のシリンダーに取り付けられる。
このようにして取り付けられたプレートは以下のような
手順で印刷することができる。(1)印刷版に湿し水を
供給し、機上で現像した後に更にインクを供給して印刷
を開始する方法、(2)印刷版に湿し水およびインクを
供給し、機上で現像した後に印刷を開始する方法、
(3)インクを版に供給し、湿し水を供給すると同時に
紙を供給し印刷を開始する方法などがある。またこれら
のプレートは特許第2938398号に記載されている
ように、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機
に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水及
び/またはインクをつけて機上現像することも可能であ
り、好ましくは水又は水溶液によって現像可能な、ある
いは現像することなしにそのまま印刷機に装着し印刷す
ることが可能なものである。
【0131】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0132】[支持体の作製例(1)]99.5%以上
のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10
%、Ti0.02%、Cu 0.013%を含むJIS
A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。
清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去
するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ
処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固
した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、
金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で
10時間均質化処理を行った。 次いで、400℃で熱
間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した
後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウ
ム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することによ
り、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μm
に制御した。その後、平面性を向上させるためにテンシ
ョンレベラーにかけた。
【0133】次に平版印刷版支持体とするための表面処
理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去
するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒
間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間
中和、スマット除去処理を行った。
【0134】次いで支持体と感熱層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%
の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45
℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接
給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー
比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm
2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%
アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処
理を行い、30%%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、
スマット除去処理を行った。
【0135】さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電
セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うこと
で2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。この後印
刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケー
ト処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5%水溶液
を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となる
よう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg
/m2であった。以上のように作製した支持体(1)の
中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0136】[支持体の作製例(2)]アルミニウム基
板上に親水性層を有する支持体 メタノール240gにメタノールシリカゾル (日産化学
(株)製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30重量%含有す
るメタノール溶液からなるコロイド)45.2g、ポリ
2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g、光熱
変換剤(本明細書記載の染料IR−11)3.2gを溶
解し、先に得られたアルミ基板上にバー塗布を行った。
オーブンを用いて100度30秒の条件で乾燥させ、乾
燥塗布量1.0g/m2の発熱性親水層を有する支持体
(2)を得た。
【0137】[支持体の作製例(3)]断熱性層および
親水層を有する支持体 メチルエチルケトン100g乳酸メチル90gにポリビ
ニルブチラール樹脂10gを溶解し、先に得られたアル
ミ基板上にバー塗布を行った。オーブンを用い100
℃、1分の条件で乾燥し、乾燥塗布量は0.5g/m2
断熱層を設けた。次に、メタノール240gにメタノー
ルシリカゾル45.2g、ポリ2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート1.52g、光熱変換剤(本明細書記載の
染料IR−11)3.2gを溶解し、先に得られた断熱
層上にバー塗布を行った。オーブンを用いて100℃3
0秒の条件で乾燥させ、乾燥塗布量1.0g/m2の発熱
性親水層を有する支持体(3)を得た。
【0138】[マイクロカプセル(1)の合成例]油相
成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソ
シアナートとの付加体(武田薬品工業製D−110N)
30g、エピコート1001(油化シェルエポキシ
(株)製)30g、光熱変換剤(本明細書記載のIR−
26)8g、アニオン系界面活性剤(竹本油脂製パイオ
ニンA41C)0.5gを酢酸エチル90gに溶解し
た。水相成分としてはPVA205(クラレ製)の4%
水溶液180gを調製した。油相成分および水相成分を
ホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。
その後水を120g添加し、室温で30分さらに40℃
で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカ
プセル液の固形分濃度は18%であり、平均粒径は0.
6μmであった。
【0139】[マイクロカプセル(2)の合成例]マイ
クロカプセル(1)の合成例のエピコート1001の代
わりにヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エー
テルを用いた以外はマイクロカプセルの合成(1)と同
様にして、マイクロカプセル水分散液を得た。
【0140】[マイクロカプセル(3)の合成例]油相
成分として、キシリレンジイソシアナート20g、エピ
コート10015g、ヒドロキノンビス(ジトリメチル
シリロキシエチル)エーテル1g、光熱変換剤(本明細
書記載のIR−26)5g、パイオニンA41C(竹本
油脂製)0.33gを酢酸エチル80gに溶解した。水
相成分としてはPVA205の4%水溶液120gを調
製した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用
いて10000rpmで乳化した。その後水を80g添
加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。こ
のようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度
は20%であり、平均粒径は0.8μmであった。
【0141】[マイクロカプセル(4)の合成例]油相
成分として、D−110N(武田薬品工業製)20g、
フェノールブロックトリレンジイソシアナート6g、パ
イオニンA41C(竹本油脂製)0.33gを酢酸エチ
ル80gに溶解した。水相成分としてはPVA205
(クラレ製)の4%水溶液120gを調製した。油相成
分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000
rpmで乳化した。その後水を80g添加し、室温で3
0分、さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして
得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であ
り、平均粒径は0.5μmであった。
【0142】[マイクロカプセル(5)の合成例]油相
成分として、キシリレンジイソシアナート20g、フェ
ノールブロックトリレンジイソシアナート5g、ジトリ
メチルシリロキシブタン1g、光熱変換剤(本明細書記
載のIR−27)5g、パイオニンA41C 0.33
gを酢酸エチル80gに溶解した。水相成分としてはP
VA205の4%水溶液120gを調製した。油相成分
および水相成分をホモジナイザーを用いて10000r
pmで乳化した。その後水を80g添加し、室温で30
分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得ら
れたマイクロカプセル液の固形分濃度は20%であり、
平均粒径は0.8μmであった。
【0143】[アミン前駆体水分散液(1)の調製]ビ
スグアニジン化合物の4−(フェニルスルホニル)フェ
ニルスルホニル酢酸塩(下記AZI)3gとPVA20
5の4%水溶液1.0g、精製水8.2gをガラスビー
ズペイントシェーカーにより分散し、25%のアミン前
駆体水分散液(1)を得た。
【0144】
【化5】
【0145】[平版印刷用原板の製造例1〜6]支持体
(1)上に下記の感熱層塗布液をバー塗布した後、オー
ブンで70℃120秒の条件で乾燥し、乾燥塗布量は1
g/m2の平版印刷用原板を作製した。ここで、感熱層
塗布液(T1)から原板1、感熱層塗布液(T2)から
原板2、感熱層塗布液(T3)から原板3、感熱層塗布
液(T4)から原板4、感熱層塗布液(T5)から原板
5を得た。
【0146】(感熱層塗布液(T1)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(1) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g アミン前駆体分散液(1) 3g
【0147】(感熱層塗布液(T2)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(3) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 1g
【0148】(感熱層塗布液(T3)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(4) 5g マイクロカプセル(2) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.2g
【0149】 (感熱層塗布液(T4)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(4) 3g アミン前駆体分散液(1) 3g 光熱変換剤(IR−10) 0.3g
【0150】 (感熱層塗布液(T5)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(5) 6g 光熱変換剤(IR−10) 0.3g
【0151】[平版印刷用原板の製造例6]平版印刷用
原板の製造例1の支持体を支持体(2)に代えた以外は
製造例1と同様にして平版印刷用原板6を製造した。
【0152】[平版印刷用原板の製造例7]平版印刷用
原板の製造例1の支持体を支持体(3)に代えた以外は
製造例1と同様にして平版印刷用原板7を製造した。
【0153】[比較用平版印刷用原板の製造例1]支持
体(1)上に下記の比較用感熱層塗布液をバー塗布した
後、オーブンで70℃120秒の条件で乾燥し、乾燥塗
布量は1g/m2の平版印刷用原板を作製した。ここ
で、比較用感熱層塗布液(t1)から比較用原板R1、
比較用塗布液(t2)から比較用原板R2、比較用塗布
液(t3)から比較用原板R3、比較用塗布液(t4)
から比較用原板R4を得た。
【0154】(比較用感熱層塗布液(t1)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(1) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ジエチレントリアミン 1g
【0155】 (比較用感熱層塗布液(t2)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(1) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル 1g p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.2g
【0156】 (比較用感熱層塗布液(t3)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(4) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ジエチレントリアミン 1g 光熱変換剤(IR−10) 0.3g
【0157】 (比較用感熱層塗布液(t4)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(4) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル 1g p−ジアゾジフェニルアミン硫酸塩 0.2g 光熱変換剤(IR−10) 0.3g
【0158】実施例1〜7および比較例1〜4 このようにして得られた平版印刷用原板および比較用平
版印刷用原板を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭
載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSに
て、出力9W、外面ドラム回転数105rpm、版面エ
ネルギー200mJ/cm2、解像度2400dpiの
条件で露光した後、処理することなく、ハイデルベルグ
社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取付け、湿し水を
供給したのち、インキを供給し印刷を行った。その結
果、いずれの原板も問題なく機上現像することができ、
印刷可能であった。各原板で得られた印刷可能枚数と原
板を60℃で5日間経時させた後、同様の印刷を行った
時の汚れ性を表1に示した。
【0159】
【表1】
【0160】実施例8 支持体(1)の上に下記組成の感熱層塗布液(T6)を
バー塗布した後、オーブンで70℃120秒の条件で乾
燥し、乾燥塗布量は1g/m2の感熱層を設けた。さら
にこの感熱層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液
を乾燥塗布量0.5g/m2となるように塗布して、平
版印刷用原板8を作製した。
【0161】(感熱層塗布液(T6)) 水 70g 1−メトキシ−2−プロパノール 30g マイクロカプセル(1) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g
【0162】(オーバーコート層塗布液) 水 70g アラビアガム 2g アミン前駆体分散液(1) 6g 光熱変換剤(本明細書記載のIR−10) 0.1g
【0163】この平版印刷用原板8を実施例1と同様に
して露光、印刷したところ、1.5万枚の汚れのない良
好な印刷物が得られた。また、この原板を60℃で5日
間経時後に印刷した時も印刷汚れの発生はなかった。
【0164】
【発明の効果】本発明によれば、デジタル信号に基づい
た走査露光による製版が可能であり、良好な機上現像性
と高耐刷性を有し、しかも、経時安定性の優れた平版印
刷用原板を与えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/11 G03F 7/11 Fターム(参考) 2H025 AA01 AA04 AA12 AB03 AC08 AD01 BC31 BC51 CC20 DA01 DA10 DA18 DA36 DA40 FA03 FA10 FA17 2H096 AA07 AA08 BA05 BA16 BA20 CA03 CA05 CA20 EA04 GA08 2H114 AA04 AA23 AA24 AA27 AA28 AA30 BA01 DA32 DA52 DA74 EA02 EA04 FA16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、熱反応性官能基を有
    する化合物を含有するマイクロカプセルを含む感熱層を
    有し、該化合物の熱反応の相手となる化合物が、反応性
    官能基を保護されていて、熱により反応性を発現する前
    駆体化合物であり、感熱層または感熱層に隣接する層に
    含有されていることを特徴とする平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 反応性官能基を保護されていて、熱によ
    り反応性を発現する前駆体化合物が、該熱反応性官能基
    を有する化合物と同じかあるいは別のマイクロカプセル
    中に含まれることを特徴とする請求項1記載の平版印刷
    用原板。
  3. 【請求項3】 感熱層または感熱層に隣接する層が光熱
    変換剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載の平版印刷用原板。
  4. 【請求項4】 反応性官能基を保護されていて、熱によ
    り反応性を発現する前駆体化合物がアミン前駆体化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷用原
    板。
  5. 【請求項5】 アミン前駆体化合物がアリールスルホニ
    ル酢酸塩であることを特徴とする請求項4記載の平版印
    刷用原板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005313491A (ja) * 2004-04-28 2005-11-10 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷原版および平版印刷方法
JP2009058969A (ja) * 2008-10-27 2009-03-19 Fujifilm Corp 平版印刷版の作製方法

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