JP2001260554A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2001260554A
JP2001260554A JP2000102468A JP2000102468A JP2001260554A JP 2001260554 A JP2001260554 A JP 2001260554A JP 2000102468 A JP2000102468 A JP 2000102468A JP 2000102468 A JP2000102468 A JP 2000102468A JP 2001260554 A JP2001260554 A JP 2001260554A
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heat
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hydrophilic
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Kazuo Maemoto
一夫 前本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱により画像を形成し、良好な機上現像性を
示し、かつ、より多くの印刷物を得ることができる平版
印刷版用原版を提供する。 【解決手段】 親水性支持体上に、熱により合体する微
粒子状のポリマーを含有する感熱層を設けた平版印刷版
用原版であって、上記微粒子状のポリマー中に、他の微
粒子状のポリマー中に存在する官能基もしくは感熱層中
の他成分中に存在する官能基と反応しうる官能基を有す
ることを特徴とし、該親水性支持体が粗面化処理を行な
った後、陽極酸化処理を行なったアルミニウム基板であ
ることが好ましく、該アルミニウム基板がさらにシリケ
ート処理を行なったものであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は親水性表面を有する
支持体、及び親水性の画像形成層からなるネガ型の平版
印刷版用原版に関する。より詳しくは、ディジタル信号
に基づいた走査露光による製版が可能であり、高感度且
つ高耐刷性で残色、汚れのない印刷物を与えることが可
能な平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版を製版す
るための平版印刷版用原版としては、従来、親水性支持
体上に、親油性の感光性樹脂層(インク受容層)を設け
たPS版が広く用いられ、その平版印刷版用原版からの
平版印刷版の製版方法として、通常は、リスフイルムを
介してマスク露光した後、非画像部を現像液によって溶
解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
【0003】近年、画像情報をコンピュータを用いて電
子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く
普及してきており、この様な、ディジタル化技術に対応
した、新しい画像出力方式が種々実用される様になって
きた。これに伴い、レーザ光の様な指向性の高い活性放
射線をディジタル化された画像情報に応じて走査し、リ
スフィルムを介することなく、直接印刷版を製造するコ
ンピュータ トゥ プレート(CTP)技術が切望され
ており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要
な技術課題となっている。
【0004】他方、従来のPS版に於ける製版行程は、
露光の後、非画像部を溶解除去する工程が不可欠であ
り、この様な付加的な湿式の処理が不可欠であるという
点は、従来技術に対し、改善の望まれてきたもう一つの
課題である。特に近年は、地球環境への配慮が産業界全
体の大きな関心事となっている。処理の簡素化、乾式
化、無処理化は、この様な環境面と、先述のディジタル
化に伴った工程の合理化の両方の観点から、従来にも増
して、強く望まれるようになっている。
【0005】この様な観点から、従来の処理工程をなく
す方法の一つとして次のような方法が提案されている。
即ち、印刷版用原版の非画像部の除去を通常の印刷過程
のなかで行えるような感光層を用い、現像工程を行うこ
となく、露光後、印刷機上で現像し最終的な印刷版を得
る方式である。この様な方法での平版印刷版の製版方式
は機上現像方式と呼ばれる。具体的方法としては、例え
ば、湿し水やインク溶剤に可溶な感光層の使用、印刷機
中の圧胴やブランケット胴との接触による力学的除去を
行う方法等が挙げられる。しかしながら、従来のPS版
を機上現像方式の印刷版に応用する場合、原版は露光後
も、感光層が定着されないため、例えば、印刷機に装着
するまでの間、版を完全に遮光及び/もしくは恒温条件
にて保存しなければならないといった大きな問題点があ
った。
【0006】上述のような技術課題に対し、走査露光に
よる印刷版の製造法として、最近、半導体レーザ、YA
Gレーザ等の固体レーザで高出力なものが安価に入手で
きるようになってきたことから、特に、これらのレーザ
を用いる方法が有望視されるようになってきた。これら
の高出力レーザを用いた高パワー密度露光系では、従来
の低〜中パワー密度露光用感光材料系に利用される光反
応とは異なった、様々な現象を利用できる。具体的に
は、化学変化の他、相変化、形態変化、等の構造変化を
利用できる。通常、このような高パワー密度露光による
記録方式はヒートモード記録と呼ばれる。高パワー密度
露光系では、多くの場合、感材に吸収された光エネルギ
ーは、熱に変換され、生じた熱によって、所望の現象が
引き起こされると信じられる為である。
【0007】この様なヒートモード記録方式の大きな長
所は露光後の像の定着が必須ではないことにある。即
ち、ヒートモード感材の画像記録に利用される現象は、
普通の強度の光に対する暴露や、普通の環境温度下では
実質的に生じないため、露光後の画像の定着は必須では
ない。従って、例えば、ヒートモード露光により不溶化
若しくは可溶化する感光層を用い、画像露光後、任意の
時間、たとえ環境光に暴露させてから現像(非画像部の
除去)を行っても得られる画像に変化が生じないシステ
ムが可能である。従って、ヒートモード記録によれば、
先述の機上現像方式に望ましい平版印刷版用原版を得る
ことも可能となる。
【0008】ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好
ましい製造法の一つとして、親水性の支持体上に親水性
の画像形成層を設け、画像状にヒートモード露光し、親
水性層の溶解性・分散性を変化させ、必要に応じ、湿式
現像により未露光部を除去する方法が提案されている。
また、従来のヒートモード方式原版には、非画像部の汚
れ性が悪い、若しくは画像部の強度が弱いという別の大
きな問題があった。即ち、画像形成層中の支持体近傍で
の露光による溶解性変化が、画像形成層表面近傍に比較
して小さいという点の改良が必要であった。該ヒートモ
ード方式原版においては、ヒートモード露光時の熱の発
生は記録層中の光吸収剤の光吸収に基くものであるた
め、熱の発生量は記録層表面で大きく、支持体近傍では
小さいため、支持体近傍での記録層の溶解性変化の程度
が比較的小さくなってしまうものである。結果としてし
ばしば、ヒートモードネガ型原版においては、本来疎水
性のインク受容層を提供すべき露光部において、インク
受容性層が現像及び/又は印刷工程中に除去されること
があった。この様な、ネガ型原版における画像部インク
受容性層の除去は、印刷性能上耐刷性が悪いという問題
を生じる。特に、印刷適性上好ましい、Alのような熱
伝導性の高い金属支持体を用いた場合、熱拡散によっ
て、一層、支持体近傍での温度上昇が妨げられるため、
上述のような問題は顕著である。基板付近の十分な溶解
性変化を得るためには、極端に大きな露光エネルギーを
要するか、若しくは露光後の加熱といった後処理を実施
する必要があった。
【0009】例えば、特許2938397号公報に記載
されているように、熱可塑性疎水性重合体微粒子を赤外
線レーザー露光により熱融着させ画像形成させた上で、
印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水および/ある
いはインクにより機上現像する方法がある。しかしなが
らこのように単に熱融着で画像を作る方法では、良好な
機上現像性を示すものの、アルミニウム基板上に直接感
熱層を設けた場合、発生した熱がアルミニウム基板によ
り奪われるために基板〜感熱層界面上で反応が起こら
ず、耐刷性が不十分となってしまう。同様に特開平9−
127683号公報あるいはWO99/10186号公
報にも熱可塑性微粒子を熱融着し機上現像により画像形
成することが記載されているが、同様に耐刷性が不十分
となってしまう。
【0010】また、特開平8−48020号公報に記載
されているように親油性感熱性層を多孔質親水性支持体
上に設けて、赤外線レーザーを露光し、熱により基板に
固着する方法が挙げられているが、親油性の皮膜では機
上現像性が悪く、インキローラーあるいは印刷物へ親油
性感熱層のかすが付着してしまう。また、特開平10−
287062号公報に記載されているように親油性感熱
性層を親水性膨潤層上に設けた場合、アルミニウム基板
による熱の吸収は抑制されるが、親水性膨潤層が湿し水
により膨潤していない状態でインクをつけるとインクの
払いが悪くなり、損紙が多くなってしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、機上現
像性が良好であり、感度が高く、かつ高耐刷性を示す感
熱性の感材はいまだ得られていない。そこで本発明は熱
により画像を形成する印刷機上現像可能な平版印刷版用
原版において、良好な機上現像性を示し、かつ、より多
くの印刷物を得るようにすることを目的とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、親水性支持体
上に、画像形成時の熱により合体する微粒子状ポリマー
を含有する感熱層を設け、上記微粒子状ポリマーを、他
の微粒子状ポリマー中に存在する官能基もしくは感熱層
中の他成分中に存在する官能基と反応しうる官能基を有
するものとすることにより、機上現像性が良好でありな
がら、かつ高耐刷である、印刷機上で現像可能な感熱性
の平版印刷版用原版を与えるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。 〔画像形成時の熱により合体する微粒子状ポリマー〕本
発明の平版印刷版用原版の感熱層に含有される、画像形
成時の熱により合体する微粒子状ポリマー(以下、単に
微粒子状ポリマーともいう)としては、他の微粒子状ポ
リマー中に存在する官能基もしくは感熱層中の他成分中
に存在する官能基と反応しうる官能基を有するものであ
れば特に限定されないが、これらの官能基を含有するラ
テックスなどを挙げることができる。これらの粒子の平
均粒径は0.01μm〜20μmが好ましいが、その中
でも0.05μm〜2.0μmが更に好ましく、特に
0.10μm〜1.0μmが最適である。平均粒径が大
き過ぎると解像度が悪く、また小さ過ぎると経時安定性
が悪くなってしまう。
【0014】これらの微粒子状ポリマーは官能基を介し
て微粒子同士で反応してもよいし、感熱層に添加された
親水性樹脂、あるいは低分子化合物と反応してもよい。
また2種類以上の微粒子状ポリマーに互いに熱反応する
異種の官能基を持たせて熱可塑性微粒子ポリマー同士を
反応させてもよい。これらの官能基としては不飽和基に
よる重合反応、イソシアナート基あるいはそれのブロッ
ク体と活性水素原子を有する化合物(例えばアミン、ア
ルコール、カルボン酸など)による付加反応、エポキシ
基とアミノ基・カルボキシル基・ヒドロキシル基との付
加反応、カルボキシル基とヒドロキシル基あるいはアミ
ノ基との縮合反応、酸無水物とアミノ基あるいはヒドロ
キシル基との開環付加反応などを挙げることができる
が、これらは化学結合が形成されればどのような反応で
もよい。
【0015】このように反応性官能基を有する微粒子状
ポリマーとしてはアクリレート基、メタクリレート基、
ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキ
シル基、カルボキシル基、イソシアネート、酸無水物お
よびそれらを保護した基が存在するものが好ましい。こ
れらは重合時に導入してもよいし、重合後に高分子反応
を利用して導入してもよい。
【0016】重合時に導入する場合、これらの官能基を
有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合することが
好ましい。具体的には、アリルメタクリレート、アリル
アクリレート、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレ
ート、2−イソシアネートエチルメタクリレートあるい
はそれをアルコールなどによりブロックしたブロックイ
ソシアナート、2−イソシアネートエチルアクリレート
あるいはそのアルコールなどによるブロックイソシアナ
ート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、
メタクリル酸、無水マレイン酸、ジアクリレート、ジメ
タクリレートなどのモノマーのホモポリマーあるいは共
重合体が挙げられるがこれらに限定されない。共重合可
能なモノマーとしては、スチレン、アルキルアクリレー
ト、アルキルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸
ビニルなど反応に関する官能基を有していないモノマー
であれば限定されない。
【0017】これらの官能基はポリマーに高分子反応を
利用して導入しても良い。例えばWO96−34316
号公報に記載されているような高分子反応を挙げること
ができる。これらの画像形成時の熱により合体する微粒
子状ポリマーは表面が親水性で水に分散するようなもの
が好ましい。微粒子状ポリマーのみを塗布し、凝固温度
よりも低い温度で乾燥して作成した時の皮膜の接触角
(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して、
融着作成した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低く
なることが好ましい。このように微粒子状ポリマー表面
を親水性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチ
レングリコールなどの親水性ポリマーあるいはオリゴマ
ー、親水性低分子化合物を微粒子状ポリマー表面に吸着
させてやれば良いが、方法はこれらに限定されるもので
はない。
【0018】これらの画像形成時の熱により合体する微
粒子状ポリマーの凝固温度は70℃以上が好ましいが、
経時安定性を考えると100℃以上が更に好ましい。こ
れらの画像形成時の熱により合体する微粒子状ポリマー
は感熱層の50重量%以上添加することが好ましく、6
0重量%以上添加することがさらに好ましい。添加量が
少ないと耐刷性が悪くなる。
【0019】〔光熱変換材料〕また本発明の平版印刷版
用原版は、その感熱層内またはそれに隣接する層内に光
熱変換材料を含有させることにより、レーザー光照射等
により画像書き込みを行うことができる。その光熱変換
材料としては、カーボンブラック・金属微粒子および色
素など光源の波長を吸収するものであれば特に限定され
ないが特に赤外線を吸収し熱に変換する化合物が好まし
い。
【0020】光熱変換材料は700nm以上の光を吸収
する物質が特に好ましく、種々の顔料や染料を用いる事
ができる。顔料としては、市販の顔料およびカラーイン
デックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔
料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」
(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」C
MC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用
できる。
【0021】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオ
キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロ
ン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0022】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法に
は親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面
活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカ
ゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ
化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合さ
せる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金
属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」
(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの顔料中、赤外光又は近赤外光を吸収するもの
が、赤外光又は近赤外光を発光するレーザでの利用に適
する点で特に好ましい。
【0023】そのような赤外光又は近赤外光を吸収する
顔料としてはカーボンブラック、親水性樹脂でコートさ
れたカーボンブラックやシリカゾルで変性されたカーボ
ンブラックが好適に用いられる。これらの中でも特に水
溶性の樹脂と分散し易く、かつ親水性を損わないものと
して、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたカ
ーボンブラックが有用である。
【0024】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、
サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミ
ル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミ
ル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加
圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0025】染料としては、市販の染料および文献(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン
染料などの染料が挙げられる。これらの染料中、赤外
光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしく
は近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に
好ましい。
【0026】赤外光又は近赤外光を吸収する染料として
は、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−
84356号、特開昭60−78787号、米国特許第
4,973,572号明細書、特開平10−26851
2号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−1
73696号、特開昭58−181690号、特開昭5
8−194595号等に記載されているメチン染料、特
開昭58−112793号、特開昭58−224793
号、特開昭59−48187号、特開昭59−7399
6号、特開昭60−52940号、特開昭60−637
44号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭5
8−112792号等に記載されているスクワリリウム
染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料や
米国特許第4,756,993号明細書中に下記式
(I)、(II)として記載されている染料を挙げること
ができる。
【0027】
【化1】
【0028】[式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6
は、置換又は未置換のアルキル基;Z 1及びZ2は置換も
しくは未置換のフェニル基又はナフタレン基;Lは置換
又は未置換のメチン基で、該置換基は、炭素数8以下の
アルキル基、ハロゲン原子又はアミノ基であるか、該メ
チン基がその2つのメチン炭素上の置換基が相互に結合
して形成された置換基を有していても良いシクロヘキセ
ン環またはシクロペンテン環を含むものであってもよ
く、該置換基は炭素数6以下のアルキル基またはハロゲ
ン原子;Xはアニオン基;nは1又は2;そしてR1
2、R3、R4、R5、R6、Z1及びZ2の少なくとも一
つは酸性基又は酸性基のアルカリ金属塩基又はアミン塩
基を有する置換基を示す。
【0029】
【化2】
【0030】[式中、R11は置換もしくは未置換のアル
キル基、置換もしくは未置換のアリール基又は置換もし
くは未置換のヘテロ環基;R12及びR15は水素原子又は
水素原子の代りに置換できる基:R13及びR14は水素原
子、ハロゲン原子、置換もしくは未置換のアルコキシ基
又は置換もしくは未置換のアルキル基、但しR13及びR
14は同時に水素原子ではない:R16及びR17は置換もし
くは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリー
ル基、アシル基又はスルホニル基、又はR16とR 17で非
金属5員環もしくは6員環の形成を示す。]
【0031】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号(米国特許第4,327,169号)記載
のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−1810
51号、同58−220143号、同59−41363
号、同59−84248号、同59−84249号、同
59−146063号、同59−146061号に記載
されているピリリウム系化合物、特開昭59−2161
46号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,4
75号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公
平5−13514号、同5−19702号公報に開示さ
れているピリリウム化合物、エポリン社製Epolig
ht III−178、Epolight III−130、
Epolight III−125等は特に好ましく用い
られる。これらの染料中、特に好ましいものは上記の式
(I)の水溶性のシアニン染料である。下記に具体的な
化合物を列記する。
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】
【化5】
【0035】
【化6】
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】次に、光熱変換性の金属微粒子について述
べる。金属粒子の多くは、光熱変換性であってかつ自己
発熱性でもある。好ましい金属微粒子として、Si、A
l、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、R
h、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの
単体又は合金あるいはそれらの酸化物、硫化物の微粒子
が挙げられる。これらの金属微粒子を構成する金属の中
でも好ましい金属は、光照射によって熱融着し易い融点
がおよそ1000℃以下で赤外、可視又は紫外線領域に
吸収をもつ金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb及びSnである。また、とくに好
ましいのは、融点も比較的低く、熱線に対する吸光度も
比較的高い金属の微粒子、たとえばAg、Au、Cu、
Sb、Ge及びPbで、とくに好ましい元素はAg、A
u及びCuが挙げられる。
【0042】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子
とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己
発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光
熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、P
t、Pdなど微小片としたときに光吸収がとくに大きい
金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いる
ことは好ましい。以上に述べた金属単体及び合金の微粒
子は、表面を親水性化処理することによって、本発明の
効果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性
でかつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性
剤で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性
基を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水
性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができ
る。特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例
えば鉄微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3
%)水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に
親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方
法で表面シリケート処理を行うことができる。
【0043】これらの粒子の粒径は、10μm以下、好
ましくは、0.003〜5μm、さらに好ましくは、
0.01〜3μmである。微小であるほど、熱融着温度
は低下する、つまりヒートモードの光感度が高くなって
好都合であるが、粒子の分散が難しく、10μm以上で
は、印刷物の解像度が悪くなる。本発明において、これ
らの光熱変換材料を用いる場合、その添加量は、感熱層
の全固形分中、1重量%以上であり、好ましくは2重量
%以上、特に好ましくは5重量%以上で用いられる。光
熱変換材料の含有量が1重量%未満であると感度が低く
なってしまう。
【0044】〔親水性樹脂〕本発明の平版印刷版用原版
の感熱層中には親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹
脂を添加することで機上現像性が良好となるばかりか、
感熱層自体の皮膜強度も上がる。親水性樹脂としては、
例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシエチ
ル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチル、アミ
ノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を有するも
のが好ましい。具体的な親水性樹脂として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースアセテー
ト、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コ
ポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリ
アクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及び
それらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポ
リマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレート
のホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメ
タクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキ
シプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマ
ー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及
びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポ
リマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒ
ドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール
類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量%、好ま
しくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセ
テート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリ
マー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー
及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポ
リマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸及びその塩のホモポリマー及びコ
ポリマー等を挙げることができる。
【0045】親水性樹脂の感熱層中への添加量は、2%
〜40%が好ましく、3%〜30%がさらに好ましい。
2%より少ないと、皮膜強度が弱く、40%より多いと
機上現像性は良くなるものの耐刷性が悪くなってしま
う。
【0046】〔反応を開始あるいは促進する化合物〕本
発明の平版印刷版用原版の感熱層には、上記の反応性基
を有する熱可塑性微粒子を用いるので、必要に応じてこ
れらの反応を開始あるいは促進するような化合物を添加
してもよい。たとえば熱によりラジカルあるいはカチオ
ンを発生するような化合物を挙げることができ、ロフィ
ンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化
合物、ジアゾニウム塩あるいはジフェニルヨードニウム
塩などを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミド
スルホナートなどが挙げられる。これらの化合物は感熱
層において1重量%〜20重量%の範囲で添加すること
ができる。好ましくは3重量%〜10重量%の範囲であ
る。これより多いと機上現像性が悪くなり、これより少
ないと反応開始あるいは促進効果が弱くなり耐刷性が劣
化する。
【0047】〔画像形成時の熱により合体する微粒子状
ポリマーと反応する化合物〕本発明の平版印刷版用原版
の感熱層には、さらに、上記微粒子状ポリマー中の反応
性基と反応することができる官能基およびその保護基を
有する化合物を含有することができる。これらの化合物
の添加量は、感熱層中5重量%〜40重量%が好まし
く、特に5重量%〜20重量%が好ましい。これより少
ないと架橋効果が少なく耐刷性が不十分となり、これよ
り多いと経時後の機上現像性が悪くなってしまう。以下
これらに使用可能な化合物について述べる。
【0048】不飽和基を有する化合物としては、少なく
とも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル
重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少な
くとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ば
れる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知
られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定
無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プ
レポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマ
ー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の
例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。ま
た、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求
核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド
類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ
類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン
酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イ
ソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有す
る不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能
もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオー
ル類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキ
シ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステ
ルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコー
ル類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適
である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸
の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換え
た化合物群を使用する事も可能である。
【0049】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物の具体
例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリ
コールジアクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テ
トラメチレングリコールジアクリレート、プロピレング
リコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
クリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシ
プロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリ
レート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シ
クロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレン
グリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエ
リスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、
ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタ
アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ
(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリ
エステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0050】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメ
チルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0051】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。
【0052】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0053】イソクロトン酸エステルとしては、エチレ
ングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトー
ルジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロト
ネート等がある。
【0054】マレイン酸エステルとしては、エチレング
リコールジマレート、トリエチレングリコールジマレー
ト、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテ
トラマレート等がある。
【0055】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
【0056】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0057】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726号記載のシクロへキシ
レン構造を有すものを挙げることができる。また、イソ
シアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレ
タン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体
例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中
に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基
を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(III)
で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させ
た1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニ
ルウレタン化合物等が挙げられる。
【0058】一般式(III) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0059】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417号、特公昭62−39418号記載のエチ
レンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適
である。さらに、特開昭63−277653号、特開昭
63−260909号、特開平1−105238号に記
載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有す
るラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0060】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号の各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートを挙げることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol.20、No.7、300〜308ページ
(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーと
して紹介されているものも使用することができる。
【0061】エポキシ化合物としては、好ましくはグリ
セリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェ
ノール類あるいはポリフェノール類もしくはソレラノ水
素添加物のポリグリシジルエーテル体などが挙げられ
る。イソシアネートを有する化合物としては、好ましく
はトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソ
シアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソ
シアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネートまたは
それらをアルコールもしくはアミン類でブロックした化
合物を挙げることができる。
【0062】アミン化合物としては、好ましくはエチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテト
ラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミ
ン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。ヒドロキシ
ル基を有する化合物としては好ましくは、末端メチロー
ルを有するような化合物、ペンタエリスリトールなどの
多価アルコール、ビスフェノール・ポリフェノール類な
どを挙げることができる。カルボキシル基を有する化合
物としては、好ましくは、ピロメリット酸、トリメリッ
ト酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、アジピン
酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられる。酸無
水物としては、好ましくは、ピロメリット酸無水物、ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられ
る。
【0063】〔その他の添加物〕本発明では、さらに必
要に応じてこれら以外に種々の化合物を添加してもよ
い。例えば、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の
着色剤として使用することができる。具体的には、オイ
ルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイル
ピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーB
OS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オ
イルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オ
リエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブル
ー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチ
ルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレッ
ト、ローダミンB(CI145170B)、マラカイト
グリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI5
2015)等、及び特開昭62−293247号に記載
されている染料を挙げることができる。また、フタロシ
アニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チ
タンなどの顔料も好適に用いることができる。
【0064】これらの着色剤は、画像形成後、画像部と
非画像部の区別がつきやすいので、添加する方が好まし
い。なお、添加量は、感熱層塗布液全固形分に対し、
0.01〜10重量%の割合である。
【0065】また、本発明においては、感熱層塗布液の
調製中あるいは保存中においてラジカル重合可能なエチ
レン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を
阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望
ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、
p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾ
ール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキ
ノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フ
ェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられ
る。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して
約0.01重量%〜約5重量%が好ましい。また必要に
応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸
やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加し
て、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させても
よい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.
1重量%〜約10重量%が好ましい。
【0066】また、本発明における感熱層塗布液中に
は、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開
昭62−251740号や特開平3−208514号に
記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59
−121044号、特開平4−13149号に記載され
ているような両性界面活性剤を添加することができる。
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリ
ステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタ
ントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0067】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感熱
層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好
ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0068】さらに、本発明に係る感熱層塗布液中に
は、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑
剤が加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、ク
エン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられ
る。
【0069】本発明の平版印刷版用原版を製造するに
は、通常、感熱層塗布液に必要な上記各成分を溶媒に溶
かして、適当な支持体上に塗布すればよい。ここで使用
する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ
エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテ
ート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラ
クトン、トルエン、水等を挙げることができるがこれに
限定されるものではない。これらの溶媒は単独又は混合
して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固
形分)の濃度は、好ましくは1〜50重量%である。
【0070】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感
熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版
印刷版用原版についていえば一般的に0.5〜5.0g
/m 2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法
を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、
回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗
布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を
挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見
かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱
層の皮膜特性は低下する。
【0071】本発明に係る感熱層塗布液には、塗布性を
良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−17
0950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤
を添加することができる。好ましい添加量は、全感熱層
の材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好ましくは
0.05〜0.5重量%である。
【0072】〔オーバーコート層〕本発明の平版印刷版
用原版は、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のた
め、感熱層上に、水溶性オーバーコート層を設けること
ができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層
は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高
分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる
水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によって
できた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的に
は、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のも
の)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩あるい
はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカ
リ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびその
アルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重
合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリア
クリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチ
ルアクリレート、ポリビニルピロリドン及びその共重合
体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエー
テル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸及びそのア
ルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミ
ド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およ
びそのアルカリ金属塩あるいはアミン塩、アラビアガ
ム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロー
ズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ
等)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラ
ン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることが
できる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上
混合して用いることもできる。
【0073】また、オーバーコート層には、前記の水溶
性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコー
ト層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の
場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。オーバーコー
ト層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好まし
い。それより少ないと、指紋付着汚れを起こし、それよ
り多いと、機上現像性が悪くなる。
【0074】〔支持体〕本発明の平版印刷版用原版にお
いて前記感熱層を塗布可能な親水性支持体としては、寸
度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラ
ミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィル
ム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエス
テルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0075】本発明の平版印刷版用原版に使用する支持
体としては、軽量で表面処理性、加工性、耐食性に優れ
たアルミニウム板を使用することが好ましい。この目的
に供されるアルミニウム材質としては、JIS 105
0材、JIS 1100材、JIS 1070材、Al
−Mg系合金、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系
合金、Al−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金など
が挙げられる。
【0076】支持体に使用し得るアルミニウム材質に関
する公知技術を以下に列挙する。 (1)JIS 1050材に関しては、下記の技術が開
示されている。特開昭59−153861号、特開昭6
1−51395、特開昭62−146694、特開昭6
0−215725、特開昭60−215726、特開昭
60−215727、特開昭60−215728、特開
昭61−272357、特開昭58−11759、特開
昭58−42493、特開昭58−221254、特開
昭62−148295、特開平4−254545、特開
平4−165041、特公平3−68939、特開平3
−234594、特公平1−47545、特開昭62−
140894号公報など。また、特公平1−3591
0、特公昭55−28874等も知られている。
【0077】(2)JIS 1070材に関しては、下
記の技術が開示されている。特開平7−81264、特
開平7−305133、特開平8−49034、特開平
8−73974、特開平8−108659、特開平8−
92679号など。
【0078】(3)Al−Mg系合金に関しては、下記
の技術が開示されている。特公昭62−5080、特公
昭63−60823、特公平3−61753、特開昭6
0−203496、特開昭60−203497、特公平
3−11635、特開昭61−274993、特開昭6
2−23794、特開昭63−47347、特開昭63
−47348、特開昭63−47349、特開昭64−
61293、特開昭63−135294、特開昭63−
87288、特公平4−73392、特公平7−100
844、特開昭62−149856、特公平4−733
94、特開昭62−181191、特公平5−7653
0、特開昭63−30294、特公平6−37116号
など。また、特開平2−215599、特開昭61−2
01747等も知られている。
【0079】(4)Al−Mn系合金に関しては、下記
の技術が開示されている。特開昭60−230951、
特開平1−306288、特開平2−293189号な
ど。また、特公昭54−42284、特公平4−192
90、特公平4−19291、特公平4−19292、
特開昭61−35995、特開昭64−51992、U
S5009722、US5028276、特開平4−2
26394等も知られている。 (5)Al−Mn−Mg系合金に関しては、下記の技術
が開示されている。特開昭62−86143、特開平3
−222796、特公昭63−60824、特開昭60
−63346、特開昭60−63347、EP2237
37、特開平1−283350、US4818300、
BR1222777等が知られている。
【0080】(6)Al−Zr系合金に関して、下記の
技術が知られている。特公昭63−15978、特開昭
61−51395、特開昭63−143234、特開昭
63−143235等が知られている。 (7)Al−Mg−Si系合金に関しては、BR142
1710等が知られている。
【0081】また、支持体用アルミニウム板の製造方法
としては、下記の内容が使用できる。前述のような含有
成分及び、合金成分割合のアルミニウム合金溶湯を常法
に従い清浄化処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、
溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために、フラ
ックス処理、Arガス、Clガス等を使った脱ガス処理
や、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォーム
フィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルターや、
アルミナフレーク、アルミナボール等を濾材とするフィ
ルタや、グラスクロスフィルター等を使ったフィルタリ
ング、あるいは、脱ガスとフィルタリングを組み合わせ
た処理が行われる。これらの清浄化処理は、溶湯中の、
非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥、溶湯にとけ
込んだガスによる欠陥を防ぐために、実施されることが
望ましい。
【0082】溶湯のフィルタリングに関しては、特開平
6−57342、特開平3−162530、特開平5−
140659、特開平4−231425、特開平4−2
76031、特開平5−311261、特開平6−13
6466等が知られている。溶湯の脱ガスに関しては、
特開平5−51659、特開平5−51660、実開平
5−49148、特開平7−40017などが知られて
いる。以上のように、清浄化処理を施された溶湯を使っ
て、鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代
表される、固定鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表
される、駆動鋳型を用いる方法がある。DC鋳造法を用
いた場合、冷却速度は、1〜300℃/秒の範囲で凝固
される。1℃/秒未満であると、粗大な金属間化合物が
多数形成される。
【0083】連続鋳造法には、ハンター法、3C法に代
表される、冷却ロールを用いた方法、ハズレー法、アル
スイスキャスターII型に代表される冷却ベルト、冷却ブ
ロックを用いた方法が、工業的に行われている。連続鋳
造法を用いた場合の冷却速度は、100〜1000℃/
秒の範囲で凝固される。一般的に、DC鋳造法に比べ
て、冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対す
る、合金成分の固溶度を高くできる特徴がある。連続鋳
造法に関しては、本願発明者らによって、特開平3−7
9798、特開平5−201166、特開平5−156
414、特開平6−262203、特開平6−1229
49、特開平6−210406、特開平6−26230
8等が開示されている。
【0084】DC鋳造を行った場合、板厚300〜80
0mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、
面削を行われ、表層の1〜30mm、望ましくは、1〜
10mmを切削される。その後、必要に応じて、均熱化
処理が行われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物
が粗大化してしまわないように、450〜620℃で1
時間以上、48時間以下の熱処理が施される。1時間よ
り短い場合は、均熱化処理の効果が不十分となる。次い
で、熱間圧延、冷間圧延を行って、アルミニウム圧延板
とする。熱間圧延の開始温度としては、350〜500
℃の範囲とする。冷間圧延の前、または後、またはその
途中において中間焼鈍処理を施しても良い。この場合の
中間焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280℃〜6
00℃で2〜20時間、望ましくは、350〜500℃
で2〜10時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて4
00〜600℃で360秒以下、望ましくは、450〜
550℃で120秒以下の加熱処理が採用できる。連続
焼鈍炉を使って、10℃/秒以上の昇温速度で加熱する
と、結晶組織を細かくすることもできる。
【0085】以上の工程によって、所定の厚さ0.1〜
0.5mmに仕上げられたAl板は平面性を改善するた
めに、ローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置に
よって、平面性を改善しても良い。平面性の改善は、板
をシート状にカットした後に行っても良いが、生産性を
向上させるためには、連続したコイルの状態で、平面性
改善を行うことが望ましい。また、板巾を所定の巾に加
工するため、スリッタラインを通すことが通常行われ
る。スリッタによって切られた板の端面は、スリッタ刃
に切られるときに、せん断面と破断面の片方、あるいは
両方が生じる。
【0086】板の厚みの精度は、コイル全長にわたっ
て、±10μm以内、望ましくは±6μm以内が良い。
また、幅方向の板厚差は6μm以内、望ましくは3μm
以内がよい。また、板幅の精度は、±1.0mm以内、
望ましくは±0.5mm以内が望ましい。Al板の表面
粗度は、圧延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、
最終的に中心線表面粗さ(Ra)で、Ra=0.1〜
1.0μm程度に仕上げるのがよい。Raが大きすぎる
と、平版印刷版用としての粗面化処理、感熱層塗布をし
たとき、Alのもともとの粗さすなわち、圧延ロールに
よって転写された粗い圧延条痕が感熱層の上から見える
ため、外観上好ましくない。Ra=0.1μm以下の粗
さは、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる必要
が有るため、工業的に望ましくない。
【0087】また、Al板同士の摩擦によるキズの発生
を防止するために、Al板の表面に、薄い油膜をもうけ
ても良い。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、
不揮発性のものが適宜用いられる。油量が多すぎると、
製造ライン中でスリップ故障が発生するが、油量が皆無
だとコイル輸送中にキズが発生する不具合が生じるの
で、油量は3mg/m2以上で100mg/m2以下、望
ましい上限は50mg/m2以下、更に望ましくは10
mg/m2以下が良い。冷間圧延に関しては、特開平6
−210308号等が開示されている。
【0088】連続鋳造を行った場合、例えば、ハンター
法等の冷却ロールを用いると板厚1〜10mmの鋳造板
を直接連続鋳造圧延でき、熱間圧延の工程を省略できる
メリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ロール
を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板が鋳造でき、
一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に
圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が
得られる。これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合
に説明したのと同じように、冷間圧延、中間焼鈍、平面
性改善、スリット等の工程を経て0.1〜0.5mmの
板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼
鈍条件、冷間圧延条件については、特開平6−2205
93、特開平6−210308、特開平7−5411
1、特開平8−92709等が開示されている。
【0089】上記方法で製造したAl板は表面に粗面化
処理等の表面処理を行い、感熱層を塗布して平版印刷版
用原版とすることができる。粗面化処理には、機械的粗
面化、化学的粗面化、電気化学的粗面化が単独又は組み
合わせて行われる。また、表面のキズ付き難さを確保す
るための陽極酸化処理を行ったり、親水性を増すための
処理を行うことも好ましい。
【0090】以下に支持体の表面処理について説明す
る。アルミニウム板を粗面化するに先立ち、必要に応
じ、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、
有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が
行われてもよい。アルカリの場合、次いで酸性溶液で中
和、スマット除去などの処理を行ってもよい。
【0091】次いで支持体と感熱層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理がなされてい
る。この砂目立て処理法の具体的手段としては、サンド
ブラスト、ボールグレイン、ワイヤーグレイン、ナイロ
ンブラシと研磨材/水スラリーによるブラシグレイン、
研磨材/水スラリーを表面に高圧で吹き付けるホーニン
ググレインなどによる機械的砂目立て方法があり、また
アルカリまたは酸あるいはそれらの混合物からなるエッ
チング剤で表面を粗面化処理する化学的砂目立て方法が
ある。また英国特許第896,563号公報、特開昭5
3−67507号公報、特開昭54−146234号公
報及び特公昭48−28123号公報に記載されている
電気化学的砂目立て方法、または特開昭53−1232
04号公報、特開昭54−63902号公報に記載され
ている機械的砂目立て方法と電気化学的砂目立て方法と
を組み合わせた方法、特開昭56−55261号公報に
記載されている機械的砂目立て方法と鉱酸のアルミニウ
ム塩の飽和水溶液による化学的砂目立て方法とを組み合
わせた方法も知られている。また上記支持体材料に、粒
状体を接着剤またはその効果を有する方法で接着させて
表面を粗面化する方法や、微細な凹凸を有する連続帯や
ロールを支持体材料に圧着させて凹凸を転写することに
よって粗面を形成させてもよい。
【0092】これらのような粗面化方法は複数を組み合
わせて行ってもよく、その順序、繰り返し数などは任意
に選択することができる。複数の粗面化処理を組み合わ
せる場合、その間に、続いて行う粗面化処理を均一に行
えるようにするために酸またはアルカリ水溶液による化
学的処理を行うことができる。上記、酸またはアルカリ
水溶液の具体例としては、例えばフッ酸、フッ化ジルコ
ン酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸および水酸化
ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの
アルカリ水溶液が挙げられる。これらの酸またはアルカ
リ水溶液はそれぞれ一種または二種以上を混合して使用
することができる。化学的処理はこれらの酸またはアル
カリの0.05〜40重量%水溶液を用い、40℃〜1
00℃の液温において5〜300秒処理するのが一般的
である。
【0093】前述のような粗面化処理すなわち砂目立て
処理して得られた支持体の表面には、スマットが生成し
ているので、このスマットを除去するために適宜水洗あ
るいはアルカリエッチング等の処理を行うことが一般的
に好ましい。このような処理としては、例えば特公昭4
8−28123号公報に記載されているアルカリエッチ
ング法や特開昭53−12739号公報に記載されてい
る硫酸デスマット法等の処理方法が挙げられる。本発明
に用いられるアルミニウム支持体の場合には、前述のよ
うな前処理を施した後、通常、耐摩耗性、耐薬品性、保
水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸
化皮膜を形成させる。
【0094】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならば
いかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、
リン酸、シュウ酸、クロム酸あるいはこれらの混酸が用
いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によっ
て適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質
により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的に
は電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解
時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。陽極酸化
皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好
ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸
化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分で
あったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなっ
て、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷
汚れ」が生じ易くなる。
【0095】尚、このような陽極酸化処理は平版印刷版
の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏
回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化
皮膜が形成されるのが一般的である。また、アルカリ水
溶液(例えば数%の苛性ソーダ水溶液)や、熔融塩中で
の陽極酸化処理や、例えばホウ酸アンモン水溶液を用い
た無孔性陽極酸化皮膜を形成させる陽極酸化処理なども
行うことができる。陽極酸化処理を行う前に、特開平4
−148991号や特開平4−97896号に記載され
ている水和酸化皮膜生成を行ってもよく、また、特開昭
63−56497号や特開昭63−67295号に記載
されている金属ケイ酸塩溶液中での処理、水和酸化皮膜
生成処理や、特開昭56−144195号に記載されて
いる化成皮膜生成処理などを行うこともできる。
【0096】本発明の平版印刷版用原版に用いられるア
ルミニウム支持体は、陽極酸化処理後に有機酸もしくは
その塩による処理、または該有機酸もしくはその塩を感
熱層塗布の下塗り層として用いることができる。有機酸
またはその塩としては、有機カルボン酸、有機ホスホン
酸、有機スルホン酸またはその塩等が挙げられるが、好
ましくは有機カルボン酸またはその塩である。有機カル
ボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラ
ウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノ
カルボン酸類;オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪
族モノカルボン酸類;シュウ酸、コハク酸、アジピン
酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸類;乳酸、グル
コン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のオキシカルボ
ン酸類;安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、フタル酸
等の芳香族カルボン酸類およびIa、IIb、IIIb、IVa、VI
bおよびVIII族の金属塩およびアンモニウム塩が挙げら
れる。上記有機カルボン酸塩のうち好ましいのは蟻酸、
酢酸、酪酸、プロピオン酸、ラウリン酸、オレイン酸、
コハク酸および安息香酸の上記金属塩およびアンモニウ
ム塩である。これらの化合物は単独でも2種以上組み合
わせて用いてもよい。
【0097】これらの化合物は水、アルコールに0.0
01〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度
となるよう溶解されるのが好ましく、処理条件としては
25〜95℃、好ましくは50〜95℃の温度範囲、p
Hは1〜13、好ましくは2〜10、10秒〜20分、
好ましくは10秒〜3分間支持体を浸漬するか、処理液
を支持体に塗布する。
【0098】また、さらに陽極酸化処理後、以下のよう
な化合物溶液による処理や、これらの化合物を、感熱層
塗布の下塗り層として用いることができる。好適に用い
られる化合物としては、例えば、置換基を有してもよい
フェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホ
スホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸
およびエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置
換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、
アルキルリン酸およびグリセロリン酸などの有機リン
酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフ
チルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセ
ロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシン、β
−アラニン、バリン、セリン、スレオニン、アスパラギ
ン酸、グルタミン酸、アルギニン、リジン、トリプトフ
ァン、パラヒドロキシフェニルグリシン、ジヒドロキシ
エチルグリシン、アントラニル酸等のアミノ酸;スルフ
ァミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸等のアミノス
ルホン酸;1−アミノメチルホスホン酸、1−ジメチル
アミノエチルホスホン酸、2−アミノエチルホスホン
酸、2−アミノプロピルホスホン酸、4−アミノフェニ
ルホスホン酸、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン
酸、1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホス
ホン酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホ
ン酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン
酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のア
ミノホスホン酸等の化合物が挙げられる。
【0099】また、塩酸、硫酸、硝酸、スルホン酸(メ
タンスルホン酸等)またはシュウ酸と、アルカリ金属、
アンモニア、低級アルカノールアミン(トリエタノール
アミン等)、低級アルキルアミン(トリエチルアミン
等)等との塩も好適に使用することができる。
【0100】ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミンおよび
その鉱酸塩、ポリ(メタ)アクリル酸およびその金属
塩、ポリスチレンスルホン酸およびその金属塩、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルと2−アクリルアミド
−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびその金属
塩、塩化トリアルキルアンモニムメチルスチレンのポリ
マーおよびその(メタ)アクリル酸とのコポリマー、ポ
リビニルホスホン酸等の水溶性ポリマーも好適に使用す
ることができる。さらに可溶性デンプン、カルボキシメ
チルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセル
ロース、アラビアガム、グアーガム、アルギン酸ソー
ダ、ゼラチン、グルコース、ソルビトールなども好適に
使用することができる。これらの化合物は単独でも2種
以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】処理の場合、これらの化合物は水かつ/ま
たはメチルアルコールに0.001〜10重量%、特に
0.01〜1.0重量%の濃度となるよう溶解されるの
が好ましく、処理条件としては25〜95℃、好ましく
は50〜95℃の温度範囲、pHは1〜13、好ましく
は2〜10、10秒〜20分、好ましくは10秒〜3分
間支持体を浸漬する。
【0102】感熱層塗布の下塗り層として用いる場合
は、同様に水かつ/またはメチルアルコールに0.00
1〜10重量%、特に0.01〜1.0重量%の濃度と
なるように溶解され、必要に応じて、アンモニア、トリ
エチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩
酸、リン酸などの酸性物質によりpHを調節し、pH1
〜12の範囲で使用することもできる。また、平版印刷
版用原版の調子再現性改良のために黄色系染料を添加す
ることもできる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜
200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100
mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2未満であ
ると汚れ防止等の本来の目的に十分な効果が得られな
い。また、200mg/m2を越えると耐刷力が低下す
る。
【0103】なお支持体と感熱層との密着性を高めるた
めの中間層を設けてもよい。密着性の向上のためには、
一般に中間層は、ジアゾ樹脂や、例えばアルミニウムに
吸着するリン酸化合物等からなっている。中間層の厚さ
は任意であり、露光した時に、上層の感熱層と均一な結
合形成反応を行い得る厚みでなければならない。通常、
乾燥固体で約1〜100mg/m2の塗布割合がよく、
5〜40mg/m2が特に良好である。中間層中におけ
るジアゾ樹脂の使用割合は、30〜100%、好ましく
は60〜100%である。
【0104】以上のような処理及び下塗り層付与の前
に、陽極酸化処理された支持体は、水洗処理されたあ
と、現像液や湿し水への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感熱
層成分の残膜抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮
膜の親水性向上、感熱層との密着性向上等を目的に、以
下のような処理を行うことができる。そのひとつとして
は、陽極酸化皮膜をアルカリ金属のケイ酸塩水溶液と接
触させて処理するシリケート処理が挙げられる。この場
合、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度は0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜15重量%であり、25℃での
pHが10〜13.5である水溶液に5〜80℃、好ま
しくは10〜70℃、より好ましくは15〜50℃で
0.5〜120秒間接触させる。接触させる方法は、浸
せきでもスプレーによる吹き付けでも、いかなる方法に
よってもかまわない。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液はp
Hが10より低いと液はゲル化し、13.5より高いと
陽極酸化皮膜が溶解されてしまう。
【0105】本発明に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩
は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウ
ムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のp
H調整に使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。な
お、上記処理液にはアルカリ土類金属塩もしくは第IVb
族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩として
は、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネ
シウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸
塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水
溶性塩が挙げられる。第IVb族金属塩としては、四塩化
チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ
酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化
酸化ジルコニウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属
もしくは第IVb族金属塩は単独または2種以上組み合わ
せて使用する事ができる。これらの金属塩の好ましい範
囲は、0.01〜10重量%であり、更に好ましくは
0.05〜5.0重量%である。
【0106】他には、各種封孔処理も挙げられ、一般的
に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知られている、水
蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸
塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂
含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ
土類塩などによる)などを用いる事ができるが、印刷版
用支持体としての性能(感熱層との密着性や親水性)、
高速処理、低コスト、低公害性等の面から水蒸気封孔が
比較的好ましい。その方法としては、たとえば特開平4
−176690号公報にも開示されている加圧または常
圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70%以
上・蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極酸化
皮膜に接触させる方法などが挙げられる。他の封孔処理
法としては、支持体を80〜100℃程度の熱水または
アルカリ水溶液に浸漬または吹き付け処理する方法や、
これに代えるか或いは引き続き、亜硝酸溶液で浸漬また
は吹き付け処理することができる。亜硝酸塩の例として
は、周期律表のIa、IIa 、IIb 、IIIb、IVb 、IVa 、VI
a、VIIa、VIII族の金属の亜硝酸塩またはアンモニウム
塩、すなわち亜硝酸アンモニウムが挙げられ、その金属
塩としては、例えばLiO2、NaNO2、KNO2、M
g(NO22、Ca(NO22、Zn(NO32、Al
(NO23、Zr(NO24、Sn(NO23、Cr
(NO23、Co(NO22、Mn(NO22、Ni
(NO22等が好ましく、特にアルカリ金属亜硝酸塩が
好ましい。亜硝酸塩は2種以併用することもできる。
【0107】処理条件は、支持体の状態及びアルカリ金
属の種類により異なるので一義的には決定できないが、
例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、濃度は一般
的には0.001〜10重量%、より好ましくは0.0
1〜2重量%、浴温度は一般的には室温から約100℃
前後、より好ましくは60〜90℃、処理時間は一般的
には15〜300秒、より好ましくは10〜180秒の
それぞれの範囲から選択すればよい。亜硝酸水溶液のp
Hは8.0〜11.0に調製されていることが好まし
く、8.5〜9.5に調製されていることが特に好まし
い。亜硝酸水溶液のpHを上記の範囲に調製するには、
例えばアルカリ緩衝液等を用いて好適に調製することが
できる。該アルカリ緩衝液としては、限定はされないが
例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水
溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶
液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水溶
液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液、
塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ酸ナトリウ
ムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適に用いるこ
とができる。また、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以
外のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩等も用いること
ができる。
【0108】以上のような、シリケート処理または封孔
処理を施したあと、感熱層との密着性をアップさせるた
めに特開平5−278362号公報に開示されている酸
性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平4−
282637号公報や特開平7−314937号明細書
に開示されている有機層を設けてもよい。
【0109】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。かかるバックコートとし
ては特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合
物および特開平6−35174号記載の有機または無機
金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属
酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの
被覆層のうち、Si(OCH34、Si(OC
254、Si(OC374、Si(OC494など
のケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それ
から得られる金属酸化物の被覆層が耐現像液に優れてお
り特に好ましい。
【0110】平版印刷版用支持体として好ましい特性と
しては、中心線平均粗さで0.10〜1.2μmであ
る。0.10μmより低いと感熱層と密着性が低下し、
著しい耐刷の低下を生じてしまう。1.2μmより大き
い場合、印刷時の汚れ性が悪化してしまう。さらに支持
体の色濃度としては、反射濃度値として0.15〜0.
65であり、0.15より白い場合、画像露光時のハレ
ーションが強すぎ画像形成に支障をきたしてしまい、
0.65より黒い場合、現像後の検版作業において画像
が見難く、著しく検版性が悪いものとなってしまう。
【0111】なお、本発明の平版印刷版用原版は、その
支持体として、粗面化処理を行なった後陽極酸化処理を
行なったアルミニウム基板を用いることにより、より良
好な機上現像性を得ることができる。その場合、さらに
シリケート処理を行なったアルミニウム基板を用いるこ
とが、より好ましい。
【0112】本印刷版はアルミニウム基板上に水に不溶
な親水性層あるいはレーザー露光により発熱しかつ水に
不溶な親水性である層、あるいはアルミニウム基板上に
断熱性を持たせるために有機ポリマーよりなる断熱層を
設けたうえに、上記水に不溶な親水性層あるいはレーザ
ー露光により発熱しかつ水に不溶な親水性である層を設
けてもよい。例えば、アルミニウム基板上にシリカ微粒
子と親水性樹脂の親水性層を設けてよい。さらにこの親
水性層内に先に挙げた光熱変換材料を導入し、発熱性親
水性層としてもよい。このようにすることでアルミニウ
ム基板に熱が逃げ難くなるのみか、レーザー露光により
発熱する親水性基板として用いることができる。更にこ
の親水性層とアルミニウム基板の間に有機ポリマーから
なる中間層を設けると、より一層熱がアルミ基板に逃げ
ることを抑制することができる。支持体としては、機上
現像性の観点から、多孔質でないものが良く、また親水
性有機高分子材料を40%以上含むような水により膨潤
するような支持体はインクが払われ難く問題となってし
まう。
【0113】本発明に使用される親水層は3次元架橋し
ており、水及び/又はインキを使用する平版印刷で、浸
し水に溶けない層であり、下記のコロイドからなること
が望ましい。ベリリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、ケイ素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジル
コニウム、鉄、バナジウム、アンチモン又は遷移金属の
酸化物又は水酸化物のゾルゲル変換系からなるコロイド
である。場合によってはこれらの元素の複合体からなる
コロイドであっても良い。これらのコロイドは、上記の元
素が酸素原子を介して網目状構造を形成すると同時に未
結合の水酸基やアルコキシキ基を有していて、これらが
混在した構造となっている。活性なアルコキシ基や水酸
基が多い初期加水分解縮合段階から、反応が進行するに
つれ粒子径は大きくなり不活性になる。コロイドの粒子
は一般的には2nmから500nmで、シリカの場合5
nmから100nmの球形のものが本発明では好適であ
る。アルミニウムのコロイドのように100×10nm
のような羽毛状のものも有効である。更には、10nm
から50nmの球状粒子が50nmから400nmの長
さに連なったパールネック状のコロイドも用いることが
できる。
【0114】コロイドはそのもの単独で用いてもよく、
更には親水性の樹脂と混合して用いることも可能であ
る。また、架橋を促進させるために、コロイドの架橋剤を
添加しても良い。通常、コロイドは安定剤によって安定化
されている場合が多い。カチオンに荷電しているコロイ
ドではアニオン基を有する化合物、逆にアニオンに荷電
しているコロイドではカチオン基を有する化合物が安定
剤として添加されている。たとえば、ケイ素のコロイドで
はアニオンに荷電しているので、安定剤としてアミン系
の化合物が添加され、アルミニウムのコロイドではカチ
オンに荷電しているので、塩酸や酢酸等の強酸が添加さ
れている。この様なコロイドを基板上に塗布すると、常温
で透明な皮膜を形成するものが多いが、コロイドの溶媒
が蒸発しただけではゲル化は不完全で、安定剤を除去で
きる温度に加熱することによって、強固な3次架橋を行
い、本発明に好ましい親水層となる。
【0115】上記のような安定化剤を用いずに、出発物
質(例えば、ジ、トリ及び/又はテトラアルコキシシラ
ン)から直接加水分解縮合反応を行わせ、適当なゾル状態
を作りだしそのまま基板上に塗布し、乾燥させ反応を完
了させても良い。この場合、安定化剤を含む場合よりも低
温で三次元架橋させることが出来る。
【0116】この他、適当な加水分解縮合反応物を有機
溶媒に分散安定化させたコロイドも本発明には好適であ
る。溶媒が蒸発するだけで、三次元架橋した皮膜が得られ
る。これらの溶媒にはメタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルーエテル、やメチルエ
チルケトンのような低沸点の溶媒を選択すると、常温で
の乾燥が可能となる。とくに本発明では、メタノールやエ
タノール溶媒のコロイドが低温での硬化が容易であり有
用である。
【0117】上記のコロイドと共に用いる親水性樹脂と
しては、例えばヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキ
シエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチ
ル、アミノプロピル、カルボキシメチルなどの親水基を
有するものが好ましい。具体的な親水性樹脂として、ア
ラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボ
キシメチルセルロース及びそれらのNa塩、セルロースア
セテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイ
ン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー
類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル
酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアク
リレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプ
ロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、
ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコ
ポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリ
マー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートの
ホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール
類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアル
コール類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量
%、好ましくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビ
ニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホ
モポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポ
リマー及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドの
ホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸あるいはその塩のホモポリ
マー及びコポリマー等を挙げることができる。
【0118】特に好ましい親水性樹脂は水溶性でない水
酸基含有ポリマーで、具体的には、ヒドロキシエチルメ
タクリレートのホモポリマー及びコポリマーとヒドロキ
シエチルアクリレートのコポリマーである。これらの親
水性樹脂はコロイドと共に用いられるが、その添加割合
は親水性樹脂が水溶性の場合、親水層の全固形分の40
重量%以下が好ましく、水溶性でない親水性樹脂の場合
は全固形分の20重量%以下が好ましい。
【0119】これらの親水性樹脂はそのまま用いること
もできるが、印刷時の耐刷力を増加さる目的で、コロイ
ド以外の親水性樹脂の架橋剤を添加してもよい。この様
な親水性樹脂の架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グ
リオキザール、ポリイソシアネート及びテトラアルコキ
シシランの初期加水分解・縮合物、ジメチロール尿素や
ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。本発
明の親水層には上記の酸化物又は水酸化物のコロイドと
親水性樹脂以外に、コロイドの架橋を促進する架橋剤を
添加してもよい。その様な架橋剤としてはテトラアルコ
キシシランの初期加水分解縮合物、トリアルコキシシリ
ルプロピル−N,N,N−トリアルキルアンモニウムハ
ライドあるいはアミノプロピルトリアルコキシシランが
好ましい。その添加割合は親水層の全固形分の5重量%
以下であることが好ましい。
【0120】更に本発明の親水層には、感熱感度を高め
るために親水性の光熱変換材料を添加してもよい。特に
好ましい光熱変換材料は水溶性の赤外線吸収染料で、前
記の式(I)のスルホン酸基やスルフォン酸のアルカリ
金属塩基あるいはアミン塩基を有するシアニン染料であ
る。これらの染料の添加割合は親水層の全量に対し、1
重量%〜20重量%で、更に好ましくは5重量%〜15重
量%である。
【0121】本発明の三次元架橋した親水層の塗布厚み
は0.1μmから10μmであることが好ましい。より好
ましくは、0.5μmから5μmである。薄すぎると、親
水層の耐久性が劣り、印刷時の耐刷力が劣る。また厚す
ぎると、解像度が低下する。以後、有機ポリマーよりな
る中間層について述べる。中間層に用いることのできる
有機ポリマーはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、クレゾール樹脂、レゾール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、ビニル樹脂など通常使用される有
機ポリマーであれば問題なく使用することができる。こ
れらは0.1g/m2〜5.0g/m2の塗布量であるこ
とが好ましい。0.1g/m2以下だと断熱効果が小さ
く、5.0g/m2より大きいと非画像部の耐刷性が劣
化する。
【0122】本特許で得られたプレートは高出力のレー
ザー露光により、画像形成することができるが、サーマ
ルヘッドのような書込み機を用いてもよい。特に本発明
では赤外または近赤外領域で発光するレーザーを用いる
ことが好ましい。特に近赤外領域で発光するレーザーダ
イオードが特に好ましい。以上のようにして、本発明の
平版印刷版用原版を作成することができる。この平版印
刷版用原版は、赤外線レーザで記録できる。また、紫外
線ランプやサーマルヘッドによる熱的な記録も可能であ
る。本発明においては、波長760nmから1200n
mの赤外線を放射する固体レーザ及び半導体レーザによ
り画像露光されることが好ましい。レーザの出力は10
0mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マル
チビームレーザデバイスを用いることが好ましい。ま
た、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であること
が好ましい。記録材料に照射されるエネルギーは10〜
300mJ/cm2であることが好ましい。
【0123】このようにして露光されたプレートは処理
することなく、印刷機のシリンダーに取り付けられる。
このようにして取り付けられたプレートは以下のような
手順で印刷することができる。 (1)印刷版に湿し水を供給し、機上で現像した後に更
にインクを供給して印刷を開始する方法、(2)印刷版
に湿し水およびインクを供給し、機上で現像した後に印
刷を開始する方法、(3)インクを版に供給し、湿し水
を供給すると同時に紙を供給し印刷を開始する方法など
がある。またこれらのプレートは特許第2938398
号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取り
付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光
し、その後に湿し水及び/またはインクをつけて機上現
像することも可能であり、好ましくは水又は水溶液によ
って現像可能な、あるいは現像することなしにそのまま
印刷機に装着し印刷することが可能なものである。
【0124】
【実施例】以下実施例をもって本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 実施例1〜6 比較例1〜3 支持体(1)の作成(アルミニウム基板の作成) 99.5%以上のアルミニウムと、Fe0.30%、S
i0.10%、Ti0.02%、Cu0.013%を含
むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、
鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要な
ガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチュー
ブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行
った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10m
m面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように
550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、40
0℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間
焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのア
ルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御する
ことにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを
0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるた
めにテンションレベラーにかけた。
【0125】次に平版印刷版用支持体とするための表面
処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除
去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30
秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒
間中和、スマット除去処理を行った。
【0126】次いで支持体と感熱層の密着性を良好に
し、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面
を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1%
の硝酸と0.5%の硝酸アルミを含有する水溶液を45
℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接
給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー
比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm
2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10%
アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処
理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、ス
マット除去処理を行った。(アルミニウム基板A)
【0127】さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電
セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うこと
で2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。(アルミ
ニウム基板B) この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、
シリケート処理を行った。処理は3号ケイ酸ソーダ1.
5%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が1
5秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量
は10mg/m 2であった。以上により作成した支持体
のRa(中心線表面粗さ)は0.25μmであった。
(アルミニウム基板C)
【0128】支持体(2)の作成(アルミ基板上に発熱
性親水性層を設けた支持体の作成) メタノール240gにメタノールシリカゾル(日産化学
(株)製:10nm〜20nmのシリカ粒子を30重量%含
有するメタノール溶液からなるコロイド)45.2g、
ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52g赤
外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先に得ら
れたアルミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブ
ンを用いて100度30秒の条件で乾燥させた。塗布量
は1.0g/m2であった。
【0129】支持体(3)の作成(アルミ基板上に断熱
性層を設け更に発熱性親水層を設けた支持体の作成) 断熱性層の塗布 メチルエチルケトン100g乳酸メチル90gにポリビ
ニルブチラール樹脂10gを溶解し、先に得られたアル
ミニウム基板C上にバー塗布を行った。オーブンを用い
100℃、1分の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m
2であった。 発熱性親水性層の塗布 メタノール240gにメタノールシリカゾル45.2
g、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.52
g、赤外線吸収染料(I−32)3.2gを溶解し、先
に得られた断熱層上にバー塗布を行った。オーブンを用
いて100度30秒の条件で乾燥させた。塗布量は1.
0g/m2であった。
【0130】微粒子状ポリマーの合成 微粒子状ポリマーの合成(1) グリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレ
ート13.0g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液
(濃度9.8×10-3mol/リットル)200mlを
加え、250rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガス
で置換する。この液を25℃にした後、セリウム(IV)
アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol
/リットル)10ml添加する。この際硝酸アンモニウ
ム水溶液(濃度58.8×10-3mol/リットル)を
加え、pH1.3〜1.4に調整する。その後8時間こ
れを攪拌した。このようにして得られた液の固形分濃度
は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであった。
【0131】微粒子状ポリマーの合成(2) アリルメタクリレート7.5g、スチレン7.5gを同
様にして重合させた。このようにして得られた液の固形
分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.4μmであっ
た。 微粒子状ポリマーの合成(3)(比較例)(反応基を持
たない) スチレン15gを同様にして重合させた。このようにし
て得られた液の固形分濃度は9.0%であり、平均粒径
は0.3μmであった。
【0132】感熱層の塗布 以上のように作成した支持体(1)、(2)、(3)上
に、合成例(1)〜(3)の熱融着性の微粒子状ポリマ
ーを含有する以下の組成よりなる塗布液を作成し、感熱
層の塗布を行った。
【0133】 感熱層塗布液組成 水 100 g 合成した微粒子状ポリマー(1)、(2)、(3) 5 g (固形分換算で) ポリヒドロキシエチルアクリレート 0.5g (重量平均分子量25000) 赤外線吸収染料(I−32) 0.3g
【0134】以上の液をバー塗布した後、オーブンで8
0度120秒の条件で乾燥した。塗布量は0.5g/m
2であった。このようにして得られた機上現像可能な平
版印刷版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載し
たCreo社製Trendsetter 3244VF
Sにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版
面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dp
iの条件で露光した後、現像処理することなく、印刷機
ハイデルSOR‐Mのシリンダーに取付け、湿し水を供
給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し印刷を
行った。すべてのプレートについて問題なく機上現像す
ることができ印刷可能であった。各プレートで得られた
印刷物の枚数を下記表−1に記載した。
【0135】
【表1】
【0136】以上の結果から、反応性基を有する微粒子
状ポリマーの方が耐刷性について良好であることが分か
った。またアルミニウム基板上に発熱性親水層を設けた
支持体、あるいはアルミニウム基板上に断熱性層を設け
更にその上に発熱性親水層を設けた支持体の方が耐刷性
について良好となることが分かった。
【0137】実施例7 支持体(3)の上に下記よりなる感熱性層塗布液を塗布
した。
【0138】 水 100 g 合成した微粒子状ポリマー(2) 5 g (固形分換算で) ポリアクリル酸 0.5g (重量平均分子量25000) ソルビトールトリアクリレート 1.0g 赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
【0139】このようにして得られたプレートを実施例
1〜6と同様に露光・印刷したところ20000枚の正
常な印刷を行うことができた。
【0140】実施例8 支持体(3)の上に下記よりなる感熱性層塗布液を塗布
した。
【0141】 水 100 g 合成した微粒子状ポリマー(1) 5 g (固形分換算で) ポリアクリル酸(重量平均分子量 25000) 0.5g ジエチレントリアミン 1.0g 赤外線吸収染料(I−31) 0.3g
【0142】このようにして得られたプレートを、マル
チチャンネルレーザヘッドを搭載した富士写真フイルム
(株)製Luxel T−9000CTPにて、ビーム
1本当たりの出力250mW、外面ドラム回転数800
rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。実施
例1〜6と同様に印刷したところ30000枚の正常な
印刷を行うことができた。
【0143】実施例9〜11 前記支持体(1)の作成工程によって得られるアルミニ
ウム基板A〜Cを用いた以外は、実施例1と同様に、平
版印刷版用原版の作成、画像露光、印刷を行い、その機
上現像性を評価した。なお、機上現像性は、印刷開始か
ら100枚目の印刷物における150線/インチの網点
のシャドー部が、何%まで再現できるかを観察し、その
値が高いほど良好なものとした。結果を下記表−2に示
す。
【0144】
【表2】
【0145】上記表−2より、支持体として、陽極酸化
処理、さらにはシリケート処理を行ったアルミニウム基
板を用いた方が、機上現像性に優れていることが解っ
た。
【0146】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用原版は、親水性支
持体上に設ける感熱層中に、画像形成時の熱により合体
し、他の微粒子状のポリマー中に存在する官能基もしく
は感熱層中の他成分中に存在する官能基と反応しうる官
能基を有する微粒子状ポリマーを含有することにより、
高感度且つ高耐刷性で残色、汚れのない印刷物を与える
ことが可能であり、さらに良好な機上現像性を示し、か
つ、より多くの印刷物を得ることができたものである。
また、感熱層中にさらに光熱変換材料を含有させたり、
支持体と感熱層の間に、光熱変換材料を含有する層を設
けることにより、ディジタル信号に基づいた走査露光に
よる製版が可能となる。また、支持体として、陽極酸化
処理、さらにはシリケート処理を行ったアルミニウム基
板を用いることにより、より良好な機上現像性を示すこ
とができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/09 501 G03F 7/09 501 Fターム(参考) 2H025 AA00 AA01 AA12 AB03 AC08 AD01 CB54 CC20 DA18 EA01 FA10 2H096 AA07 AA08 BA16 BA20 CA01 CA03 CA20 EA04 2H114 AA04 AA22 AA24 AA30 BA01 BA10 DA03 DA04 DA51 DA52 DA55 DA74 DA75 GA08 GA09 GA28

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、熱により合体する微
    粒子状のポリマーを含有する感熱層を設けた平版印刷版
    用原版であって、上記微粒子状のポリマー中に、他の微
    粒子状のポリマー中に存在する官能基もしくは感熱層中
    の他成分中に存在する官能基と反応しうる官能基を有す
    ることを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 前記親水性支持体が粗面化処理を行なっ
    た後、陽極酸化処理を行なったアルミニウム基板である
    ことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用原版。
  3. 【請求項3】 前記アルミニウム基板がさらにシリケー
    ト処理を行なったものであることを特徴とする請求項2
    記載の平版印刷版用原版。
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