JP2001288524A - アルミニウム合金箔地及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金箔地及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 箔圧延性及び製品箔の強度が優れたアルミニ
ウム合金箔地並びにこのアルミニウム合金箔地を中間焼
鈍工程を省略して低コストで大量生産時にも安定して製
造できる製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 アルミニウム合金箔の組成を、Fe:
0.5乃至2.5質量%、Si:0.01乃至0.3質
量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる
ものとし、固溶Fe量が10乃至200ppm、添加S
i量に対する固溶Si量の比が0.2乃至0.75とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、薬品及びそ
の他の包装用材料等に使用されるアルミニウム合金の箔
地に関し、特に箔圧延性が優れアルミニウム合金箔の薄
箔化を可能にし、耐軟化強度特性が優れ製品箔の強度が
良好で、箔圧延における生産性を向上することができる
アルミニウム合金箔地及びその箔地を低コストで製造で
きるアルミニウム合金箔地の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウム箔は、約5乃至20
0μmの板厚を有し、材質はJIS−1N30,JIS
−1050,JIS−1100等の純アルミニウムであ
る。このアルミニウム箔は、主として食品及び薬品等の
包装用材料等として使用されており、ポリエチレン、ビ
ニール、紙、又は樹脂等と張り合わされて使用されるこ
とが多い。また、包装される内容物によってはこれを大
気中の湿気又は紫外線から完全に遮断する必要があるた
め、包装用材料としてのアルミニウム箔は、用途によっ
て種々であるが主にピンホールが少なくかつ高強度とい
う高品質のものが要求される。
【0003】このアルミニウム箔は、軟質箔又は硬質箔
に合成樹脂フィルムを貼り合わせてラミネート材にして
使用するのが一般的であるが、ラミネート材はその製造
工程において、170乃至230℃の温度に数分間保持
する焼き付け及びベーキング処理が施されるため、アル
ミニウム箔が軟化する可能性がある。従って、焼付及び
ベーキング処理後の製品箔の強度を確保するために、ラ
ミネート材を構成するアルミニウム箔には耐軟化強度が
必要とされる。
【0004】通常、アルミニウム合金箔は、アルミニウ
ム溶湯を半連続鋳造法又は連続鋳造法によりスラブに鋳
造し、このスラブに均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、
中間焼鈍及び冷間圧延を施して厚さ0.1乃至0.6m
mの箔地(板材)を得、更にこの箔地を厚さ5乃至20
0μmの箔に圧延して製造される。この箔地から箔まで
の圧延を箔圧延と称している。なお、中間焼鈍は前述の
ようなアルミニウム合金箔に要求される種々の品質を実
現するためと、冷間圧延工程において加工硬化が過剰と
なり箔地が極めて硬くなるか又は逆に冷間圧延工程にお
いて加工軟化が生じて箔圧延中に箔切れが頻発するとい
う問題点を回避するためになされている。このように、
箔切れが頻発すると生産性が低下し、アルミニウム合金
箔の製造コストが増大する。
【0005】而して、近時、アルミニウム箔の低コスト
化と薄箔化が要求されている。このアルミニウム箔の低
コスト化のためには、アルミニウム箔地の製造工程にお
いて、中間焼鈍を省略することが有効であるが、上述の
如く、中間焼鈍を省略すると箔圧延時に過剰な加工硬化
又は加工軟化が生じて箔切れが頻発し、アルミニウム箔
の製造コストが全体では逆に増加してしまうという問題
点がある。また、箔切れ等を生じることなく箔圧延がで
きた場合でも、製品箔の強度及び伸びが不足し、かつコ
イル内でばらつきが生じるため製品としての歩留まりを
著しく悪化させるという問題点がある。
【0006】また、箔圧延のパス数を減らすことも箔圧
延における生産性を向上させ、低コスト化の効果があ
る。例えば、厚さ0.1乃至0.3mm程度の箔地から
所望の箔厚の箔まで従来5パスで圧延していたものを4
パス又は3パスで圧延する。しかし、圧延条件によって
異なるが、箔圧延時には加工熱によって箔の温度が通常
50乃至100℃程度上昇する。パス数が減ると1パス
あたりの圧下率が増加するため加工熱が増加し加工軟化
を促進してしまうという問題点がある。
【0007】一方、薄箔化に伴いアルミニウム箔に要求
される品質のうち特に箔の強度が高強度で均質なものが
要求されている。家庭用に使用されるアルミニウム箔
は、通常箔厚10乃至20μmであり、特に薄い箔では
箔厚5乃至10μmである。前述の如く、これらのアル
ミニウム箔はラミネート材として使用されることが多い
が、加工軟化しやすい条件で製造されたアルミニウム箔
は、ラミネート材製造時に加工軟化して強度低下を生じ
問題となる。
【0008】従来、アルミニウム合金薄板の製造方法と
して、Fe:0.10〜0.50質量%、Si:0.0
5〜0.20質量%、Ti:0.05〜0.20質量%
を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成
を有し、熱間圧延後に中間焼鈍を行うことなく冷間圧延
することを可能としたアルミニウム合金薄板の製造方法
が開示されている(特開昭57−123966号公
報)。
【0009】また、包装用アルミニウム合金箔として、
Fe:0.7〜1.8質量%、Mn:0.1〜1.5質
量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物である組
成を有し、最終焼鈍後の平均結晶粒径が10〜50μm
であるもの(特開昭62−250143号公報)、及び
Fe:0.7〜1.8質量%、Mn:0.1〜1.5質
量%、Si:0.2〜0.5質量%を含有し、残部がA
l及び不可避的不純物である組成を有し、最終焼鈍後の
平均結晶粒径が10〜60μmであるもの(特開昭62
−250144号公報)が開示されている。
【0010】更に、焼き付け塗装後の軟化及び結晶粒の
成長を防止し、箔の強度を高めて薄肉化を可能とするた
めに、Fe:0.8〜2.0質量%を含むアルミニウム
合金箔において、全体の面積の60%以上が平均サイズ
0.3μm以上、1.5μm以下のサブグレインにより
覆われたものとした薬品包装用アルミニウム合金箔が開
示されている(特開平4−214833号公報)。
【0011】更にまた、箔圧延性が優れたアルミニウム
合金箔地の製造方法として、Feを0.2〜2.8質量
%、Siを0.05〜0.3%含有し、残部がAlと不
可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を、均質化
熱処理し、熱間圧延し、中間焼鈍することなく冷間圧延
してアルミニウム合金箔地を製造する方法が開示されて
いる(特開平11−217656号公報)。この従来技
術においては、熱間圧延上がりの板厚を3mm以下と
し、冷間圧延の少なくとも最終のパス上がり温度を10
0〜180℃に制御する。従って、この従来技術におい
ては、箔圧延性が優れた箔地を、冷間圧延条件を制御し
て製造している。
【0012】また、加工硬化を抑制して箔圧延性及びベ
ーキング性を向上させるために、Feを0.5〜1.1
質量%、Cuを0.01質量%未満及びTi、B、Zr
等の結晶微細化剤を含有し、残部がAlと不可避的不純
物からなるアルミニウム合金で、Fe及びCuの固溶量
を夫々25ppm以下、かつFe又はCuのいずれかの
固溶量が8ppm以上としたアルミニウム合金箔地が提
案されている(特開平6−293931号公報)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術はいずれも以下に示す欠点を有する。即ち、特
開昭57−123966号公報に開示された技術におい
ては、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を可能とする方
法を開示するものであり、冷間圧延により製造されるも
のは、板厚が0.1mm程度の薄板である。従って、こ
の従来技術によれば、この程度の厚さのアルミニウム合
金板は中間焼鈍なしに製造することができるものの、本
発明のように、その後、5乃至200μmの厚さまで箔
圧延される用途においては、箔圧延の過程で箔切れが生
じてしまい、不向きである。即ち、この公報に開示され
た技術のみでは、箔圧延性が優れた箔地を低コストで製
造することができない。
【0014】また、特開昭62−250143号公報又
は特開昭62−250144号公報に記載された従来技
術は、Al−Fe−Mn系又はAl−Fe−Mn−Si
系合金を対象とし、高Mn量の合金の結晶粒径を制御し
たものである。このため、箔厚が5〜20μmという極
めて薄い箔を箔圧延しようとすると、加工硬化が大き
く、良好な箔圧延をすることができない。従って、近時
の薄箔化の要求を満足することができない。
【0015】更に、特開平4−214833号公報に記
載された従来技術は、焼き付け塗装を行う用途に適した
アルミニウム合金箔であり、この焼き付け塗装時の軟化
及び結晶粒成長を防止し、箔の強度を向上させて薄箔化
を可能にしたものであるが、箔圧延性については何ら言
及されておらず、近時の薄箔化の要求を満足できるもの
ではない。
【0016】更にまた、特開平11−217656号公
報に開示された従来技術は、箔圧延性の向上と中間焼鈍
の省略という双方の課題をもつものであるが、冷間圧延
の最終のパス温度を100〜180℃に制御する必要が
あり、このため、冷間圧延設備にこれを可能とする設備
を新たに付加する必要があり、設備の更新が必要であ
り、設備コストが著しく高くなるという難点がある。ま
た、このような厳密な温度管理を強いられるということ
は、実操業により大量生産しようとする際に、極めて不
利である。即ち、板幅サイズ、季節要因及び潤滑条件
(温度、量)が種々変動した場合に、冷間圧延工程にお
ける上述の厳密な温度管理が極めて困難であり、またこ
のような温度管理ができないために、品質のバラツキが
生じやすく、安定して薄箔用箔地を製造することができ
ないという欠点がある。
【0017】また、特開平6−293931号公報に開
示された従来技術は、箔圧延性とベーキング性を向上さ
せるものであるが、目的とするアルミニウム箔の特性を
得るためには中間焼鈍の条件を細かく制御する必要があ
り、中間焼鈍を省略することができないばかりか、この
ような精密な制御を課されるため実際の製造に際しては
生産性を阻害するという欠点がある。
【0018】従って、従来技術では、優れた箔圧延性及
び箔品質(薄箔化及び箔強度(耐軟化強度))と、低コ
ストという双方の課題を同時に満足する箔地が得られ
ず、その開発が強く要望されている。
【0019】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、箔圧延性及び製品箔の強度(耐軟化強度)
が優れたアルミニウム合金箔地並びにこのアルミニウム
合金箔地を中間焼鈍工程を省略して低コストで大量生産
時にも安定して製造できる製造方法を提供することを目
的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明に係るアルミニウ
ム合金箔地は、Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
0.01乃至0.3質量%を含有し、残部がAl及び不
可避的不純物からなる組成を有し、固溶Fe量が10乃
至200ppm、添加Si量に対する固溶Si量の比が
0.2乃至0.75であることを特徴とする。
【0021】本発明に係る他のアルミニウム合金箔地
は、Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:0.01乃
至0.3質量%を含有し、更に、Cu:0.003乃至
0.05質量%及びMn:0.003乃至0.05質量
%からなる群から選択された少なくとも1種を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有し、固
溶Fe量が10乃至200ppm、添加Si量に対する
固溶Si量の比が0.2乃至0.75、固溶Cu量と固
溶Mn量の合計が500ppm以下であることを特徴と
する。
【0022】また、前記アルミニウム合金箔地におい
て、単体で存在するSiの含有量(以下、単体Si量と
いう)が600ppm以下であることが好ましい。
【0023】本発明に係るアルミニウム合金箔地の製造
方法は、Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:0.0
1乃至0.3質量%を含有し、残部がAl及び不可避的
不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳塊を、
450乃至600℃の均熱温度に、2乃至20時間保持
して均質化処理を行う工程と、粗圧延開始温度を450
乃至550℃、粗圧延終了温度を350乃至500℃と
して熱間圧延における粗圧延を行う工程と、仕上圧延終
了温度を250℃以下又は290℃以上として熱間圧延
における仕上圧延を行う工程とを有し、中間焼鈍をする
ことなく、固溶Fe量が10乃至200ppm、添加S
i量に対する固溶Si量の比が0.2乃至0.75であ
るアルミニウム合金箔地を製造することを特徴とする。
【0024】本発明に係る他のアルミニウム合金箔地の
製造方法は、Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
0.01乃至0.3質量%を含有し、更に、Cu:0.
003乃至0.05質量%及びMn:0.003乃至
0.05質量%からなる群から選択された少なくとも1
種を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組
成を有するアルミニウム合金鋳塊を、450乃至600
℃の均熱温度に、2乃至20時間保持して均質化処理を
行う工程と、粗圧延開始温度を450乃至550℃、粗
圧延終了温度を350乃至500℃として熱間圧延にお
ける粗圧延を行う工程と、仕上圧延終了温度を250℃
以下又は290℃以上として熱間圧延における仕上圧延
を行う工程とを有し、中間焼鈍をすることなく、固溶F
e量が10乃至200ppm、添加Si量に対する固溶
Si量の比が0.2乃至0.75、固溶Cu量と固溶M
n量の合計が500ppm以下であるアルミニウム合金
箔地を製造することを特徴とする。
【0025】アルミニウム合金箔地中のFe量、Si
量、固溶Fe量及び(固溶Si量/添加Si量)比を制
御することにより、箔圧延中の過剰な加工硬化及び加工
軟化を抑制し、良好な箔圧延性を得ることができる。ま
た、ラミネート焼付処理時の加工軟化を抑制し優れた耐
軟化強度特性を得、良好な製品箔の強度を得ることがで
きる。更に、単体Si量を制御することにより、前記固
溶Si量を制御することができる。更にまた、固溶Cu
量と固溶Mn量の合計量を制御すればより効果的であ
る。前述の固溶Fe量、添加Si量に対する固溶Si量
の比及び固溶Cu量と固溶Mn量の合計量を制御する手
段として、アルミニウム合金箔中の組成を制御する方法
と、製造条件即ち均質化処理条件、粗圧延条件及び仕上
圧延条件を制御する方法が有効である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明者等は、アルミニウム合金
中の固溶Fe量、固溶Si量及び固溶Cu量と固溶Mn
量の合計量を精緻に制御することにより、箔圧延時の加
工軟化を抑制し、優れた箔圧延性及び箔強度を併せ持つ
アルミニウム合金箔地を、中間焼鈍処理をすることなく
又は箔圧延パス数を減少させた条件で製造できることを
知見した。本発明者等は、箔圧延時の加工軟化特性及び
箔強度という特性に影響を及ぼす因子について鋭意研究
を重ねた結果、前記加工軟化特性は添加成分の固溶量に
支配的に影響されることを知見した。また従来、中間焼
鈍処理を省略することにより、固溶Fe量及び固溶Si
量の制御が十分になされなくなっていたことを知見し
た。
【0027】ここで、本発明のアルミニウム合金におい
ては、鋳造凝固時に生じる晶出物として最大粒径数ミク
ロン程度のAl−Fe系金属化合物があり、均質化熱処
理及び熱間圧延中に生じる析出物として最大粒径がサブ
ミクロンレベルのAl3Fe、α−AlFeSi及び単
体Si等の微細析出物が存在する。これらの晶出物及び
析出物の量は、鋳造、均質化熱処理及び熱間圧延工程の
条件により変化しやすく、従ってマトリックス中の固溶
Fe量及び固溶Si量も変化しやすい。
【0028】以下本発明におけるアルミニウム合金箔地
の成分及び各成分の固溶量の限定理由について説明す
る。
【0029】固溶Fe量:10乃至200ppm 前記アルミニウム合金中に存在する固溶Fe量は、中間
焼鈍処理を省略して製造したアルミニウム合金箔地にお
ける箔圧延時の加工軟化の抑制に大きく影響する。10
ppm未満では前術の箔圧延時の加工軟化抑制効果が十
分発揮されない。また、200ppmを超えると、逆に
箔圧延時の加工硬化が大きくなってしまい箔圧延性を阻
害する。従って、固溶Fe量は10乃至200ppmと
する。より好ましくは、20乃至180ppmである。
【0030】添加Si量に対する固溶Si量の比:0.
2乃至0.75 析出Si量と固溶Si量のバランスは加工硬化と加工軟
化のバランスに影響する。概して、析出Si量は加工硬
化に寄与し固溶Si量は耐加工軟化性に寄与する。当
然、添加Si量が増えれば固溶Si量も増える傾向にあ
るが、本発明者等は添加Si量に対する固溶Si量の比
(固溶Si量/添加Si量)を制御することにより加工
硬化と加工軟化のバランスを制御できることを見いだし
た。この比(固溶Si量/添加Si量)が0.2未満で
は、固溶Si量が不足するため加工軟化が過剰になり、
箔圧延時の破断及び最終箔の耐軟化強度の低下が起こり
好ましくない。一方、前記比が0.75を超えると、逆
に加工硬化が過剰になり箔圧延性を阻害し所望の箔厚に
圧延することが困難になる。従って、(固溶Si量/添
加Si量)比は0.2乃至0.75、より好ましくは、
0.21乃至0.7とする。
【0031】なお、Feに関して固溶Fe量だけを規定
した理由は、Fe添加量の大部分は鋳造時の晶出物とし
て存在するため、固溶Fe量の差が箔特性に対して支配
的になっているためである。
【0032】この固溶Fe量は、熱フェノールによる残
渣抽出法を行い、得られた溶液中のFe量をICP発光
分析法により分析することにより測定できる。一方、固
溶Si量は、熱フェノール法による金属間化合物中のS
i量の測定に加え、塩酸溶解残渣法により単体Siだけ
を抽出する方法を組み合わせて測定する。即ち、熱フェ
ノール残渣抽出法により晶出物及び析出物として存在し
ているAl3Fe及びAl−Fe−Si系金属間化合物
中のSi量を残渣Si量として抽出し、他方、塩酸溶解
残渣法により単体Si析出物だけを抽出し、これらの抽
出物の量をICP発光分析法により夫々測定し、単体S
i及び化合物Siの双方を含む全体のSi量から前記金
属間化合物中のSi量及び前記単体Si量を引くこと
で、固溶Si量を求めることができる。なお、トータル
の添加Si量の分析は、通常のX線分析法又はICP分
析法等により行うことができる。
【0033】Fe:0.5乃至2.5質量% Feの含有量が0.5質量%未満では、均質化処理、熱
間圧延及び冷間圧延の条件をいかなる条件としても、中
間焼鈍処理を行うことなく前述の固溶量制御を行うこと
が難しく、箔圧延時の安定した加工硬化特性及び箔強度
を得ることができない。また、2.5質量%を超える
と、中間焼鈍処理を省略する工程ではいかなるプロセス
条件下でも前記固溶量制御が難しく、加工硬化により箔
圧延性が不安定になり、また耐食性に問題が生じる。従
って、Fe含有量は0.5乃至2.5質量%とする。
【0034】Si:0.01乃至0.3質量% SiはFeと共に強度に寄与するが、0.01質量%未
満ではその効果が得られず、0.3質量%を超えるとS
i固溶量が増加するため加工硬化が過剰になり、箔にピ
ンホールが多発する。従って、Si含有量は0.01乃
至0.3質量%とする。
【0035】以下に示す条件は、前記効果の安定化及び
向上のためにより好ましい条件である。
【0036】固溶Cu量と固溶Mn量の合計:500p
pm以下 Cu及びMnの添加とその固溶量制御は、前述の箔圧延
時の加工軟化抑制効果を更に安定化し促進する効果があ
る。固溶Cu及び固溶Mnは共に加工軟化抑制の効果が
あり、固溶Cu量と固溶Mn量の合計量が50ppm以
上で、前記加工軟化抑制効果が安定的に発揮される。一
方、固溶Cu量と固溶Mn量の合計量が500ppmを
超えると、加工硬化が過剰になり箔圧延性を阻害する。
従って、固溶Cu量と固溶Mn量の合計は500ppm
以下とする。
【0037】Cu:0.003乃至0.05質量% Cuの添加は、固溶Cu量を増加させることにより箔圧
延時の加工軟化を抑制し、加工硬化特性を更に安定化す
る効果がある。Cuが0.003質量%未満では、前記
効果が得られない。一方、0.05質量%を超えると、
固溶Cu量が前記上限値を超え加工硬化が過剰になり箔
にピンホールが多発する。従って、Cuの添加量は0.
003乃至0.05質量%とする。
【0038】Mn:0.003乃至0.05質量% MnもCuと同様に、固溶Mn量を増加させることによ
り箔圧延時の加工軟化を抑制し、加工硬化特性を更に安
定化する。Mnが0.003質量%未満では、前記効果
が得られない。一方、0.05質量%を超えると、固溶
Mn量が前記上限値を超え加工硬化が過剰になり箔にピ
ンホールが多発する。従って、Mnの添加量は0.00
3乃至0.05質量%とする。
【0039】単体Si量:600ppm以下 単体Si量の制御は固溶Si量の安定化のために行う。
単体Si量が600ppmを超えると固溶Si量が減少
するため耐加工軟化特性の効果が現れない。従って、単
体Si量は600ppm以下とする。より好ましくは4
00ppm以下であり、更に好ましくは300ppm以
下である。単体Siの析出温度域は、Si量によって若
干異なるが約400乃至150℃の範囲であるため熱間
圧延工程で変動しやすく、単体Si量がなるべく少ない
方が固溶Si量を安定制御しやすい。
【0040】なお、前記成分の他に、鋳造時の凝固組織
の結晶粒微細化を目的として、好ましくは本発明のアル
ミニウム合金にTiを0.005乃至0.05質量%及
びBを0.005乃至0.05質量%程度添加すること
ができる。
【0041】次に、本発明のアルミニウム合金箔地の製
造方法について説明する。本発明方法においては中間焼
鈍処理を省略するため、前記固溶量は鋳造工程及び熱間
圧延工程で制御せざるを得ないが、これは以下に示すよ
うな精緻な製造条件の制御によって達成することができ
る。
【0042】前述の各成分の固溶量を本発明の範囲に制
御するためには、中間焼鈍処理を省略し、かつ以下に示
すような均質化処理条件及び熱間圧延条件の組み合わせ
により製造することが好ましい。
【0043】固溶量の制御方法は各成分により異なる。
中間焼鈍処理を省略する場合、固溶Fe量は鋳造条件、
均質化処理条件及び熱間圧延条件の組み合わせで決ま
り、固溶Si量は熱間圧延条件及びその終了温度の組み
合わせで決まる。また、Cu及びMnを添加する場合
は、固溶Cu量及び固溶Mn量は均質化処理条件及び熱
間圧延条件の組み合わせで決まる。
【0044】原料となるアルミニウム鋳塊の製造は、通
常の半連続鋳造法(DC鋳造)又は連続鋳造法によって
行い、その後均質化処理をして熱間圧延に供される。こ
の均質化処理は、鋳塊の表面研削後に熱間圧延前の加熱
を兼ねて行ってもいいし、熱間圧延の加熱前に均質化処
理として別に行ってもよい。なお、予め均質化処理を行
い、その後表面の不均一層を研削してから再加熱及び熱
間圧延を行うと、鋳塊表面の酸化皮膜が少なくなるので
表面品質が向上でき好ましい。
【0045】均質化処理における均熱温度:450乃至
600℃ 均質化処理条件の制御は、固溶Fe量の制御に必要であ
る。均熱温度が450℃未満だと析出物の析出が不十分
となり、固溶Fe量が200ppmを超え加工硬化が過
剰になる。また、Cu及びMn添加材の場合、固溶Cu
量及び固溶Mn量が過剰になる。一方、均熱温度が60
0℃を超えると、固溶Fe量が10ppm未満となり加
工軟化を生じやすくなる。また、Cu及びMn添加材の
場合は固溶Cu量及び固溶Mn量が不足し好ましくな
い。従って、均熱温度は450乃至600℃とする。
【0046】均質化処理における保持時間:2乃至20
時間 保持時間が2時間未満だと、固溶Fe量が200ppm
を超え加工硬化が過剰になる。また、Cu及びMn添加
材の場合、固溶Cu量及び固溶Mn量が過剰になる。一
方、保持時間が20時間を超えると、固溶Fe量が10
ppm未満となり加工軟化を生じやすくなる。また、C
u及びMn添加材の場合は固溶Cu量及び固溶Mn量が
不足し好ましくない。従って、保持時間は2乃至20時
間とする。
【0047】なお、固溶Fe量は初期状態である鋳塊で
の初期固溶量によっても変化する。初期固溶Fe量の制
御は、鋳塊の凝固冷却速度を制御することによって行
う。鋳塊のサイズによって異なるため、条件を厳密に規
定することはできないが、凝固冷却速度を大きくすれ
ば、初期固溶Fe量が増加する。但し、初期固溶Fe量
が多すぎると、均質化処理及び熱間圧延で固溶Fe量を
200ppm以下に制御することが困難になる。
【0048】粗圧延開始温度:450乃至550℃ 通常、熱間圧延工程は板厚10乃至50mmまで圧延す
る粗圧延工程と、タンデム圧延機によりコイルに圧延す
る仕上圧延工程とからなる。粗圧延の開始温度を制御す
ることにより、Al3Fe及びAlFeSiの析出と、
Al−Fe系金属間化合物中へのSiの混入を制御し、
固溶Fe量と固溶Si量を制御することができる。ま
た、Cu及びMnを添加する場合は、化合物中へのCu
及びMnの混入を制御することによって固溶Cu量及び
固溶Mn量を制御する効果も併せ持つ。450℃未満で
は、前記化合物の析出と前記化合物中へのSi、Cu及
びMnの混入が不十分となり、固溶Fe量、固溶Si
量、固溶Cu量及び固溶Mn量が過剰となる。一方、5
50℃を超えると、表面に焼き付きが生じ表面品質上好
ましくない。従って、熱間圧延開始温度は450乃至5
50℃とする。
【0049】粗圧延終了温度:350乃至500℃ 粗圧延終了温度も粗圧延開始温度と同様にAl3Fe及
びAlFeSiの析出と、Al−Fe系金属間化合物中
へのSiの混入を制御し、固溶Fe量と固溶Si量を制
御することができる。また、Cu及びMnを添加した場
合は、化合物中へのCu及びMnの混入を制御すること
によって固溶Cu量及び固溶Mn量を制御する効果も併
せ持つ。粗圧延終了温度が350℃未満では、前記化合
物の析出と前記化合物中へのSi、Cu及びMnの混入
が不十分となり、固溶Fe量、固溶Si量、固溶Cu量
及び固溶Mn量が過剰となる。逆に500℃を超える
と、固溶Fe量及び固溶Si量が不足し、加工軟化抑制
の効果が不十分となる。また、Cu及びMnを添加する
場合も固溶Cu量及び固溶Mn量が不足する。従って、
熱間圧延終了温度は350乃至500℃とする。
【0050】仕上圧延終了温度:250℃以下又は29
0℃以上 粗圧延温度と仕上圧延温度の組み合わせにより単体Si
量を制御することができ、これにより固溶Si量を制御
することができる。実際の圧延においては、コイルは熱
容量が大きく外気に曝される表面積が比較的小さいた
め、仕上圧延終了後コイルはすぐには冷却されず、しば
らくの間仕上圧延終了温度付近の温度範囲に保持され
る。仕上圧延終了温度が250℃を超え290℃未満の
温度範囲にあるとき、単体Siが最も析出しやすくな
り、かつ、この析出量が変動しやすい。仕上圧延終了温
度が250℃以下では、前記温度範囲よりも低くなるた
め、単体Siの析出が過剰に起こらず固溶Si量が安定
する。また、仕上圧延終了温度が290℃以上では、前
記温度範囲よりも高くなり、かつコイル巻取り後も回復
及び再結晶が進むため蓄積歪みが減少し、その後の冷却
中における単体Siの析出量が少量に抑えられる。従っ
て、仕上圧延終了温度は250℃以下又は290℃以上
とする。
【0051】熱間圧延終了後、板厚1.5乃至5mmの
熱延板から板厚0.1乃至0.3mmの箔地まで冷間圧
延を行う。このとき、中間焼鈍処理は省略する。
【0052】
【実施例】以下に本発明の実施例を詳細に説明する。表
1に示す組成のアルミニウム合金の鋳塊を、通常のDC
鋳造法により鋳造した。その後、表2に示す製造条件に
従い、均質化処理、表面研削及び熱間圧延前の加熱又は
表面研削、均質化処理及び冷却(炉冷)を施し、熱間圧
延及び冷間圧延を行い、板厚0.2mmの板材を得た。
このとき、中間焼鈍工程は省略した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】前述の方法で得た板材即ちアルミニウム合
金箔地を使用し、各成分の固溶量並びに箔圧延性及び箔
強度の評価を行った。以下、評価方法について説明す
る。
【0056】最初に、各成分の固溶量の分析方法につい
て説明する。前記板材について、熱フェノール抽出法及
び塩酸溶解残渣法により、固溶Fe量、固溶Si量、単
体Si量、固溶Cu量及び固溶Mn量を分析した。この
とき、固溶Si量は前記方法により直接分析することが
できないため、下記の計算式により求めた。
【0057】
【数1】固溶Si量=添加Si量−熱フェノール残渣中
のSi量−塩酸溶解残渣法により求めた単体Si量ここ
で、添加Si量はICP発光分析法により分析した。例
えば、実施例No.1では、 固溶Si量=700(添加量)−220(熱フェノール
残渣)−5(単体Si)=475(ppm) であり、従って、 固溶Si量/添加Si量=475/700=0.68 となる。
【0058】
【表3】
【0059】箔圧延性及び箔強度の評価方法を以下に示
す。前記表1乃至3に示したアルミニウム合金箔地に箔
圧延を施した。4パスで厚さ12μmまで圧延し、更に
ダブリング圧延により箔厚6μmとした。箔圧延性は、
12μm及び6μmまでの箔圧延における破断回数で評
価した。また、箔厚6μmの箔のピンホール発生数を評
価した。箔強度として耐軟化強度特性を評価した。箔の
強度レベルはFe量及びSi量によって変化するため、
耐軟化特性は焼鈍後の強度低下量により評価した。前述
の箔厚12μmの箔(硬質箔)及びこの箔に160℃の
温度に20分間保持する焼鈍処理を施した箔(軟質箔)
について引張試験を行い、下記数式2に示すような前記
硬質箔と前記軟質箔の強度差(ΔTS)を求め、この強
度差により耐軟化特性を評価した。このΔTSの値が小
さいほど、耐軟化特性が優れていることになる。以上の
評価結果を表4に示した。
【0060】
【数2】ΔTS=硬質箔強度−軟質箔強度
【0061】
【表4】 箔圧延性は1コイルあたりの箔圧延中の破断回数によっ
て評価した。 ◎:良好・・・・・破断回数 1回以下/コイル ○:可・・・・・・破断回数 2〜5回/コイル △:悪い・・・・・破断回数 6〜10回/コイル ×:非常に悪い・・破断回数 11回以上/コイル
【0062】前記表1乃至4における実施例No.1及
び2は本発明の請求項1の実施例である。表1及び3に
示すように、これらの実施例No.1及び2のFe量、
Si量、固溶Fe量及び(固溶Si量/添加Si量)比
は、請求項1で規定した条件を満たしている。そのた
め、表4に示すように、いずれも箔圧延性が優れ、ピン
ホール発生数が少なく、耐軟化強度特性が優れていた。
なお、本発明のアルミニウム合金箔地において、0.0
03質量%未満のCu及び0.003質量%未満のMn
は不可避的に混入したものである。
【0063】前記表1乃至4における実施例No.3乃
至7は本発明の請求項2の実施例である。実施例No.
3は0.003質量%のCuを含有し、実施例No.4
は0.003質量%のMnを含有する。実施例No.5
及び7はCu及びMnの双方を含有し、実施例No.6
は0.049質量%のMnを含有する。また、前記実施
例No.3乃至7のFe量、Si量、固溶Fe量及び
(固溶Si量/添加Si量)比も、請求項2で規定した
条件を満たしている。そのため、表4に示すように、い
ずれも箔圧延性が優れ、ピンホール発生数が少なく、耐
軟化強度特性が優れていた。
【0064】これに対し、比較例No.8は、固溶Fe
量が230ppmと多く、加工硬化が過剰になり箔圧延
性が劣った。また、ピンホール発生数が多かった。これ
は、均質化処理温度、粗圧延開始温度及び粗圧延終了温
度が低すぎたため、析出物が十分析出しなかったためと
考えられる。
【0065】また、比較例No.9は、(固溶Si量/
添加Si量)比が0.15と低く、加工軟化を起こした
ため箔圧延性及び耐軟化強度特性が極めて劣っていた。
また、ピンホール発生数が多かった。これは、仕上圧延
終了温度が275℃であったため単体Siの析出が過剰
になり固溶Si量が不足したためと考えられる。
【0066】また、比較例No.10は、Fe量が0.
40質量%と少なく、更に(固溶Si量/添加Si量)
比が0.80と高く、箔圧延性及び耐軟化強度特性が劣
った。また、ピンホール発生数が多かった。
【0067】また、比較例No.11は、Fe量が2.
78質量%と多かったため、加工硬化が過剰になり箔圧
延性が劣った。
【0068】また、比較例No.12は、Si量が0.
005質量%と少なかったため、加工軟化を起こし箔圧
延性が劣った。また、耐軟化強度特性が極めて悪かっ
た。更にピンホール発生数も多かった。
【0069】また、比較例No.13は、Si量が0.
41質量%と多く、また(固溶Si量/添加Si量)比
が0.80と高かったため、箔圧延性が劣りピンホール
発生数も多かった。
【0070】また、比較例No.14は、Cu量及びM
n量が多かったためピンホール発生数が多かった。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
合金中の各成分の固溶量を制御することにより、箔圧延
性及び箔強度が優れたアルミニウム合金箔地を得ること
ができる。即ち、アルミニウム合金箔地の組成、固溶F
e量及び(固溶Si量/添加Si量)比を本発明の特許
請求の範囲に記載した範囲内に制御してアルミニウム合
金箔地を製造することにより、この箔地を使用して箔圧
延すれば、箔圧延中に加工軟化及び過剰な加工硬化を起
こさず良好な箔圧延性を有し、耐軟化強度特性が優れて
いるためラミネート材の焼付処理後も良好な箔強度を有
するアルミニウム合金箔を製造することができる。更
に、前記合金中の単体Si量、Cu量、Mn量及び固溶
Cu量と固溶Mn量の合計量を適切に制御することによ
り、前述の効果を更に高めることができる。また、前記
アルミニウム合金箔地を製造するにあたり、均質化処理
条件、熱間圧延における粗圧延条件及び仕上圧延条件
を、本発明の特許請求の範囲に記載した範囲に制御する
ことによって、前記アルミニウム合金箔地を中間焼鈍工
程を省略して製造することができる。これにより、より
薄いアルミニウム合金箔をより低コストで製造すること
が可能となる。本発明のアルミニウム合金箔は、食品、
薬品及びその他の包装用材料をはじめ広い用途に使用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 673 C22F 1/00 673 682 682 683 683 691 691B 691C 694 694B (72)発明者 星野 晃三 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 (72)発明者 杉田 知之 栃木県真岡市鬼怒ヶ丘15番地 株式会社神 戸製鋼所真岡製造所内 Fターム(参考) 4E002 AA08 AD13 BC07 BD08 BD09 CA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
    0.01乃至0.3質量%を含有し、残部がAl及び不
    可避的不純物からなる組成を有し、固溶Fe量が10乃
    至200ppm、添加Si量に対する固溶Si量の比が
    0.2乃至0.75であることを特徴とするアルミニウ
    ム合金箔地。
  2. 【請求項2】 Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
    0.01乃至0.3質量%を含有し、更に、Cu:0.
    003乃至0.05質量%及びMn:0.003乃至
    0.05質量%からなる群から選択された少なくとも1
    種を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組
    成を有し、固溶Fe量が10乃至200ppm、添加S
    i量に対する固溶Si量の比が0.2乃至0.75、固
    溶Cu量と固溶Mn量の合計が500ppm以下である
    ことを特徴とするアルミニウム合金箔地。
  3. 【請求項3】 単体で存在するSiの含有量が600p
    pm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載
    のアルミニウム合金箔地。
  4. 【請求項4】 Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
    0.01乃至0.3質量%を含有し、残部がAl及び不
    可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金鋳
    塊を、450乃至600℃の均熱温度に、2乃至20時
    間保持して均質化処理を行う工程と、粗圧延開始温度を
    450乃至550℃、粗圧延終了温度を350乃至50
    0℃として熱間圧延における粗圧延を行う工程と、仕上
    圧延終了温度を250℃以下又は290℃以上として熱
    間圧延における仕上圧延を行う工程とを有し、中間焼鈍
    をすることなく、固溶Fe量が10乃至200ppm、
    添加Si量に対する固溶Si量の比が0.2乃至0.7
    5であるアルミニウム合金箔地を製造することを特徴と
    するアルミニウム合金箔地の製造方法。
  5. 【請求項5】 Fe:0.5乃至2.5質量%、Si:
    0.01乃至0.3質量%を含有し、更に、Cu:0.
    003乃至0.05質量%及びMn:0.003乃至
    0.05質量%からなる群から選択された少なくとも1
    種を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる組
    成を有するアルミニウム合金鋳塊を、450乃至600
    ℃の均熱温度に、2乃至20時間保持して均質化処理を
    行う工程と、粗圧延開始温度を450乃至550℃、粗
    圧延終了温度を350乃至500℃として熱間圧延にお
    ける粗圧延を行う工程と、仕上圧延終了温度を250℃
    以下又は290℃以上として熱間圧延における仕上圧延
    を行う工程とを有し、中間焼鈍をすることなく、固溶F
    e量が10乃至200ppm、添加Si量に対する固溶
    Si量の比が0.2乃至0.75、固溶Cu量と固溶M
    n量の合計が500ppm以下であるアルミニウム合金
    箔地を製造することを特徴とするアルミニウム合金箔地
    の製造方法。
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