JP2001271090A - 脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステルを含む燃料 - Google Patents

脂肪酸エステルの製造方法および脂肪酸エステルを含む燃料

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JP2001271090A JP2000083965A JP2000083965A JP2001271090A JP 2001271090 A JP2001271090 A JP 2001271090A JP 2000083965 A JP2000083965 A JP 2000083965A JP 2000083965 A JP2000083965 A JP 2000083965A JP 2001271090 A JP2001271090 A JP 2001271090A
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辰男 舘野
Toshio Sasaki
俊夫 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】油脂とアルコールから、固体触媒を使用して、
生産上比較的有利である低温低圧系で脂肪酸エステルと
グリセリンを製造する方法および該脂肪酸エステルを含
む燃料等を提供する。 【解決手段】油脂とアルコールから脂肪酸エステルを製
造する方法において、水酸化カルシウムおよび酸化カル
シウムの少なくとも1種を含む固体触媒の存在下、90
℃〜240℃の温度範囲の条件で反応させることを特徴
とする脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法、およ
び、その製造方法により製造された脂肪酸エステルとグ
リセリンを含む、燃料、ディーゼル燃料、潤滑油基油も
しくは燃料油添加剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂とアルコール
を反応させる脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法お
よび該製造方法により得られる脂肪酸エステルを含む燃
料に関する。
【0002】
【従来の技術】油脂は、トリグリセリドと呼ばれる脂肪
酸とグリセリンのエステルが主成分であり、油脂とアル
コールを用いたエステル交換処理により得られる脂肪酸
エステルは、工業原料や医薬品等に広く用いられてい
る。
【0003】油脂をアルコールと反応させてエステル交
換することにより、従来の鉱物油にかわる、脂肪酸エス
テルを含むディーゼル燃料や潤滑油基油を製造する方法
が報告されている。例えば、特開平9−235573号
公報および特開平7−197047号公報では、苛性ソ
ーダの存在下で廃食用油とメタノールを反応させてディ
ーゼル燃料を製造している。特開平7−197047号
公報には、エステル交換反応は、通常苛性ソーダなどの
アルカリ触媒を用いて大気圧下、50℃から70℃の温
度で行うことが記載されている。
【0004】 一方、不均一固体触媒として炭酸ナトリウ
ムや炭酸水素ナトリウムを使用して、常圧または常圧に
近い条件下、使用アルコールの沸点またはそれに近い温
度で反応させる方法が提案されている(特開昭61−2
54255号公報)。油脂とアルコールとをZnO、ま
たはZnとAlの複合酸化物触媒下、170〜250℃
の範囲、10MPa(100bar)以下で反応させて脂
肪酸エステルを製造する技術(米国特許第590894
6号明細書)も知られている。 また、アルカリ土類金属
酸化物を含む固体触媒などを用いて、25〜260℃の
範囲、1atm(0.1MPa)から100atm(1
0.1MPa)の圧力下で、油脂とアルコールを反応さ
せて選択的にモノグリセリドを製造する方法(スペイン
特許第2124166号明細書)が提案されているが、
脂肪酸アルキルエステルとグリセリンを製造する方法は
開示されていない。さらに、ルーマニア特許第1093
28号明細書には、CaO触媒を用いて温度65℃から
85℃、圧力1atm(0.1MPa)から2atm
(0.2MPa)、反応時間1時間から3時間等の条件で
油脂とメタノールを反応させる方法が提案されている
が、反応が緩慢であり効率的でない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、油脂と
アルコールを反応させて脂肪酸エステルとグリセリンを
製造する方法および脂肪酸エステルを含む燃料につい
て、既に固体塩基触媒を添加して、油脂および/または
アルコールが260℃を越える超臨界状態になる条件で
反応させる方法を提案した(特願2000−03931
6号)が、この方法では高温高圧系の設備が必要であ
る。本発明の目的は、油脂とアルコールから、固体触媒
を使用して、生産上比較的有利である低温低圧系で脂肪
酸エステルとグリセリンを製造する方法および該脂肪酸
エステルを含む燃料等を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を続けた結果、カルシウムを含
む固体触媒の存在下、適切な温度条件で反応を行えば、
効率的に反応が進行することを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0007】すなわち、本発明は、下記[1]〜[5]
を提供する。 [1]油脂とアルコールから脂肪酸エステルを製造する
方法において、水酸化カルシウムおよび酸化カルシウム
の少なくとも1種を含む固体触媒の存在下、90℃〜2
40℃の温度範囲の条件で反応させることを特徴とする
脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法。 [2]上記[1]記載の製造方法により製造された脂肪
酸エステルとグリセリンを含む燃料。 [3]上記[1]記載の製造方法により製造された脂肪
酸エステルとグリセリンを含むディーゼル燃料。 [4]上記[1]記載の製造方法により製造された脂肪
酸エステルとグリセリンを含む潤滑油基油。 [5]上記[1]記載の製造方法により製造された脂肪
酸エステルとグリセリンを含む燃料油添加剤。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の製造方法の主反応は、次の反応式(2)
で示される。
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1、R2、R3は互いに独立に、
脂肪酸の炭素鎖を示す。R1〜R3の炭素数は油脂の種類
によって異なる。R4はヒドロカルビロキシル基で置換
されていてもよいヒドロカルビル基を示す) 本発明で用いる油脂は、脂肪酸とグリセリンのエステル
であるトリグリセリドを主体とするものである。ここに
「トリグリセリドを主体とする」とは、トリグリセリド
が油脂の50重量%以上含有されていることを意味す
る。
【0011】本発明で使用する油脂は、反応式(2)に
示される脂肪酸のトリグリセリド1 を主として含む物
質であり、天然油脂でも合成油脂でも良い。油脂には、
代表的なものとして、ラード脂、ニワトリ脂、バター
脂、牛脂、ココアバター脂、トウモロコシ油、ラッカセ
イ油、棉実油、ダイズ油、ヤシ油、オリーブ油、サフラ
ワー油、アマニ油、ココナッツ油、カシ油、アーモンド
油、アンズの仁油、牛骨脂、クログルミ油、ヒマシ油、
大風子油、シナ脂、タラ肝油、綿実ステアリン、ゴマ
油、鹿脂、イルカ脂、イワシ油、サバ油、馬脂、豚脂、
骨油、アマニ油、羊脂、牛脚油、パーム油、パーム核
油、ネズミイルカ油、サメ油、マッコウクジラ油、桐
油、鯨油などがあげられるが、これらには限定されな
い。また、これらの油脂が複数混合したもの、ジグリセ
リドやモノグリセリドを含む油脂、一部、酸化、還元等
の変性を起こした油脂でもよい。また、未精製の油脂
で、遊離脂肪酸や水分などを含有するものでもよいし、
レストラン、食品工場、一般家庭などから廃棄される廃
食油でもよいが、必要に応じて適切な前処理を行うこと
が好ましい。 例えば、本発明を廃食油などの廃油に適用
する際に、不溶解性の固体が油脂に混入すると昇圧ポン
プや圧力調節弁の閉塞をおこし、安定運転の妨げになる
場合があるので予熱器に供給する前に金網、フィルター
等で油脂から不溶解性の固体を取り除くことが好まし
い。
【0012】油脂中には油脂以外の成分が混入していて
もよい。具体的には、原油、重油、軽油、鉱物油、精
油、石炭、脂肪酸、糖類、金属粉、金属塩、蛋白質、ア
ミノ酸、炭化水素、コレステロール、フレーバー、色素
化合物、酵素、香料、アルコール、繊維、樹脂、ゴム、
塗料、セメント、洗剤、芳香族化合物、脂肪族化合物、
スス、ガラス、土砂、含窒素化合物、含硫黄化合物、含
リン化合物、含ハロゲン化合物などがあげられるが、こ
れには限定されない。
【0013】油脂中に含まれる上述の物質は、反応に関
与する可能性がある場合、例えば、反応を阻害する可能
性がある場合、固体であり製造プロセスで閉塞の可能性
がある場合等には、反応前にろ過、蒸留等の手法を用い
て取り除いておくのが好ましい。蒸留の方法としては、
減圧蒸留、水蒸気蒸留、分子蒸留、抽出蒸留などがあげ
られるが、これには限定されない。本発明において、油
脂としては、廃油脂、あるいは廃食用油等も使用可能で
ある。
【0014】本発明で使用するアルコール(反応式
(2)の 2 )は特に限定されないが、一般式
【化3】R−OH (1) (Rは炭素数1から10のヒドロカルビル基、または炭
素数2から10の、ヒドロカルビロキシル基で置換され
たヒドロカルビル基を示す。)で示されるアルコールが
好ましい。
【0015】Rのうち炭素数1から10のヒドロカルビ
ル基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基などがあげられる。
【0016】Rがアルキル基であるアルコールとして
は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−
ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキ
サノール、ヘプタノールなどが例示される。
【0017】Rがアラルキル基であるアルコールとして
はベンジルアルコール、α−フェネチルアルコール、β
−フェネチルアルコールが例示され、ベンジルアルコー
ルが好ましい。
【0018】Rがアルケニル基であるアルコールとして
は、アリルアルコール、1−メチルアリルアルコール、
2−メチルアリルアルコール、3−ブテン−1−オ−
ル、3−ブテン−2−オ−ルなどが例示され、アリルア
ルコールが好ましい。
【0019】Rがアルキニル基であるアルコールとして
は、2−プロピン−1−オール、2−ブチン−1−オ−
ル、3−ブチン−1−オ−ル、3−ブチン−2−オ−ル
などが例示される。
【0020】Rが炭素数2から10の、ヒドロカルビロ
キシル基で置換されたヒドロカルビル基であるアルコー
ルとしては、2−メトキシエタノール、2−メトキシプ
ロパノール、3−メトキシブタノールなどが例示され
る。
【0021】この中で、アルコールとしては、Rが炭素
数1から4のアルキル基であることが好ましい。具体的
には、Rがメチル基であるメタノール、Rがエチル基で
あるエタノール、Rがプロピル基であるプロパノール、
Rがイソプロピル基であるイソプロパノール、Rがn−
ブチル基であるn−ブタノール、Rがイソブチル基であ
るイソブタノール、Rがt−ブチル基であるt−ブタノ
ールが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノー
ルであり、さらに好ましくはメタノールである。アルコ
ールの純度としては特に限定されないが、好ましくは9
5%以上、より好ましくは98%以上である。アルコー
ルは1種類を用いてもよいし、2種以上を混合して用い
てもよい。また、アルコールは、光学異性体が存在する
場合には、光学異性体も含む。
【0022】アルコールの供給重量は、下式に従って算
出したアルコールの理論供給重量の1〜100倍(反応
当量比)であることが好ましい。
【0023】
【数1】アルコールの理論供給重量=(油脂の供給重量
×油脂のケン化価×アルコールの分子量)÷56100
【0024】(ここで、油脂のケン化価とは、油脂1g
を完全にケン化するために必要な水酸化カリウムの量を
mg数で表した値である) 該比が1よりも小さい場合には、反応収率が低下するた
め好ましくなく、また該比が100よりも大きい場合に
は、装置が大型化し過ぎる場合があり好ましくない。
【0025】式(2)の反応で製造される脂肪酸エステ
ル 3 には、代表的なものとして、吉草酸、カプロン
酸、エナトン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン
酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリス
チン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプテデシル
酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ぺペン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モ
ンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、クロトン酸、イソ
クロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン
酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン
酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオ
ール酸、ステアロール酸、ネルボン酸、リシノール酸、
(+)−ヒドノカルビン酸、(+)−チャウルム−グリ
ン酸などのエステルがあげられるが、これには限定され
ない。エステルのアルコール残基は、使用したアルコー
ルにより決まる。例えば、アルコールとしてメチルアル
コールを使用した場合にはメチルエステル、エチルアル
コールを使用した場合には、エチルエステルが得られ
る。また、脂肪酸残基に光学異性体が存在する場合に
は、光学異性体も含む。また、本製造方法においては、
脂肪酸エステルの他に主生成物として、グリセリン 4
が生成する。
【0026】次に、本発明で用いる固体触媒について説
明する。 本発明に用いる固体触媒は、水酸化カルシウム
および酸化カルシウムの中の少なくとも1種含む触媒が
好ましい。固体触媒の形態は、例えば粉末状でもよい
し、顆粒状に成型してもよい。また無機物の表面に坦持
したものでもよい。
【0027】また、触媒の使用量は、油脂100重量部
に対してカルシウム基準で0.01重量部から5重量部
が好ましく、さらに0.05重量部から3重量部がより
好ましい。
【0028】本発明の油脂とアルコールを反応させる温
度条件は、90℃〜240℃の温度範囲が好ましい。
発明の油脂とアルコールを反応させる反応容器内の圧力
条件としては、0.2MPaから8MPaの範囲である
ことが好ましい。 本発明の油脂とアルコールを反応させ
る時間は、1分から180分の範囲であることが好まし
く、2分から120分の範囲がより好ましい。さらに好
ましくは、3分から60分の範囲である。反応温度、反
応時間、触媒添加量の各条件は、必要に応じて上記範囲
より自由に選択できるが、反応温度が低い場合は、反応
温度が高い場合と比較して、反応時間や触媒添加量が増
加する傾向にある。
【0029】本反応は種々の反応態様で実施できる。た
とえば、バッチ方式で行っても良いし、流通方式で行っ
ても良い。また、本発明において、油脂とアルコール
は、反応中、均一に混合していても良いし、反応できる
状態にある限り、二層に分離していてもよい。二層に分
離している場合には、例えば、攪拌下反応を行うことに
より二層の接触面積を大きくすることにより、反応をさ
らに効率よく進めることができる。
【0030】反応終了後の反応混合物は、脂肪酸エステ
ル、グリセリン、過剰の未反応アルコールを含み、さら
に未反応の原料、その他の不純物を含むこともある。こ
の反応混合物から、それぞれの用途に必要な純度まで、
脂肪酸エステルを精製する。精製の方法は、特に限定さ
れず、製造される脂肪酸エステルの性質に応じて、蒸
留、抽出等一般的な方法が適用できる。例えばアルコー
ルとしてメタノールを用いた場合で説明すると、過剰
(または未反応)メタノール成分を気化させて分離回収
した後、静置して軽液と重液に分離する。
【0031】本発明に使用する固体触媒は、苛性ソーダ
触媒などと比較して反応液との分離が比較的容易であ
り、反応液の後処理が簡便である。軽液は脂肪酸のメチ
ルエステルが主成分であり、ディーゼル燃料用の原料や
天然高級アルコール用の原料として利用することができ
る。また、グリセリン主成分の重液は、工業用グリセリ
ンの原料として利用することができる。未反応のアルコ
ールの分離には、減圧蒸留等の蒸留の他にも代表的なも
のとしてミキサーセトラー式抽出、液液抽出、パルスコ
ラムを用いた抽出、ジェット式抽出、ボドビエルニアク
回転抽出などがあげられるが、これには限定されない。
また、アルコールを完全に分離して、脂肪酸エステルの
みを取り出してもよいし、アルコールが残留している状
態で回収してもよい。
【0032】本発明の方法で製造される脂肪酸エステル
は、原料の油脂の構造によるが、天然油脂を使用する場
合は、一般に数種の脂肪酸エステルの混合物になる。こ
の場合には、用途に応じ、混合物のままで使用すること
もできるし、必要に応じて特定の脂肪酸エステルのみを
蒸留、抽出等の一般的な方法で分離して使用することが
できる。
【0033】上記のようにして製造した脂肪酸エステル
は、ディーゼル燃料などの燃料、潤滑油基油、燃料油添
加剤等にその用途の要求に応じて、単独で、あるいは、
他の成分と混合して使用することができる。
【0034】新編自動車工学ハンドブック(社団法人
自動車技術会編)によると、ディーゼル燃料として用い
る場合には、着火性、粘度が重要になる。比較的低粘度
の脂肪酸エステルを用いると摩耗や焼き付けの原因とな
るため、ディーゼル機関に適合した粘度の脂肪酸エステ
ルを用いる必要がある。また、分子量が高すぎると臭気
や排煙の原因となるので、そのような脂肪酸エステルは
好ましくない。例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸
エチルエステル、脂肪酸イソプロピルエステル、脂肪酸
イソブチルエステル等がディーゼル燃料として好ましく
用いられる。このなかで脂肪酸イソプロピルエステル、
脂肪酸イソブチルエステルは低温時において特性の高い
ディーゼル燃料となる。潤滑油基油として用いる場合に
も、粘度が重要になる。夏季用としては高い潤滑性を出
すために比較的高粘度であることが望まれるが、冬期や
低温の場所で使用する場合には比較的低粘度、高流動性
の脂肪酸エステルが望まれる。そのため、幅広い範囲の
脂肪酸エステルが潤滑油基油として使用できる。燃料油
添加剤としては、主として摩擦を少なくする目的で脂肪
酸エステルを燃料に添加する。潤滑油とほぼ同じ役割を
しており、潤滑油基油と同様の性質が望まれる。
【0035】製造した脂肪酸エステルは、用途により、
使用上問題なければ、その範囲において、反応終了後の
反応混合物に含まれるグリセリン、過剰の未反応アルコ
ール、さらに未反応の油脂、その他の不純物を含んでい
ても良い。また、用途の必要に応じ、本発明の各条件下
において、反応を繰り返す等により、さらに収率を向上
させることが出来る。
【0036】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0037】実施例1 トリグリセリドを主体とする油脂として、予め固体触媒
としての水酸化カルシウム粉末を0.03%(カルシウ
ム基準で約0.016%)分散させた大豆油0.751
g、アルコールとしてメタノール1.085gを秤量し
て、ステンレス製反応管(約4.5cm3)に充填し密
閉した。この反応管を、240℃に温度制御した流動層
サンドバス中に投入して昇温・反応させた後、30分後
に取り出し直ちに水中投入して冷却した。この反応に使
用したメタノール量は、大豆油を完全にメチルエステル
化するのに必要な理論量の約13倍(反応当量比として
約13倍)であった。 次に、反応管中の反応液を一次回
収後、THF洗浄を3回繰り返して回収し、この回収液
中のメチルエステル成分とグリセリン成分をガスクロマ
トグラフィー(GC法)により定量分析し反応性を評価
したところ、脂肪酸メチルエステル(MES)収率は約
96%、グリセリン(GL)収率は約94%であった
(表1に示す)。ここで収率とは、大豆油1モルに対し
て脂肪酸メチルエステル3モル、グリセリン1モルが生
成する反応を基準として計算した値である。また、反応
液中の成分を分子量の違いで分離分析するサイズ排除ク
ロマトグラフィー(SEC法)で分析した結果、反応液
中のメチルエステル成分(MES)は97%、モノグリ
セリド成分(MG)は2%、ジグリセリド成分(DG)
は1%、トリグリセリド成分(TG)は0%であった
(表1に示す)。
【0038】比較例1 固体触媒として酸化亜鉛粉末を1.2%分散させた大豆
油をもちいた以外は実施例1と同様にして試験し、回収
液を分析したところ、GC法によるMES収率は約68
%、GL収率は約47%であった。またSEC法による
反応液中のMES成分は65%、MG成分は12%、D
G成分は13%、TG成分は10%であった(表1に示
す)。
【0039】実施例2から9、および比較例2 温度制御法として熱風循環方式の電気炉を用い、固体触
媒量、反応温度、反応時間および反応当量比を表1に示
すように変化させて試験した以外は実施例1と同様に実
施した。これらの反応回収液をGC法及びSEC法で分
析した結果は表1の通りであった。
【0040】実施例10から12、および比較例3 固体触媒として酸化カルシウム粉末を予め分散させた大
豆油を用いた以外は、実施例2から9と同様にして試験
した。この反応回収液をGC法及びSEC法で分析した
結果は表1の通りであった。
【0041】
【表1】
【0042】表中MESは脂肪酸メチルエステル、MG
は脂肪酸モノグリセリド、DGは脂肪酸ジグリセリド、
TGは脂肪酸トリグリセリド、GLはグリセリンであ
る。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、油脂とアルコールか
ら、比較的低温度で低圧力の条件で効率的に脂肪酸エス
テルを製造する方法および該脂肪酸エステルを含む燃料
等を提供することができ、その工業的価値は大きい。ま
た資源の再利用、公害防止の観点から有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/24 C07C 69/24 C10L 1/18 C10L 1/18 Z C10M 105/36 C10M 105/36 C11B 13/00 C11B 13/00 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C10N 40:25 C10N 40:25 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB44 AC22 AC41 AC48 BA06 BA29 BA30 BC10 4H013 CE03 4H039 CA60 CA66 CD30 CD40 4H059 BA12 BA13 BA30 BC03 BC13 CA36 CA94 EA17 4H104 BB32A JA01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油脂とアルコールから脂肪酸エステルを製
    造する方法において、水酸化カルシウムおよび酸化カル
    シウムの1種以上を含む固体触媒の存在下、90℃〜2
    40℃の温度範囲の条件で反応させることを特徴とする
    脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法。
  2. 【請求項2】アルコールが、下記一般式(1)で示され
    るものである請求項1記載の脂肪酸エステルとグリセリ
    ンの製造方法。 【化1】R−OH (1) (Rは炭素数1から10のヒドロカルビル基、または炭
    素数2から10の、ヒドロカルビロキシル基で置換され
    たヒドロカルビル基を示す。)
  3. 【請求項3】一般式(1)のRが炭素数1〜4のアルキ
    ル基である請求項2記載の脂肪酸エステルとグリセリン
    の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(1)のRがメチル基またはエチル
    基である請求項3記載の脂肪酸エステルとグリセリンの
    製造方法。
  5. 【請求項5】一般式(1)のRがメチル基である請求項
    4記載の脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法。
  6. 【請求項6】油脂が廃油脂である請求項1〜5のいずれ
    かに記載の脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法。
  7. 【請求項7】油脂が廃食用油である請求項1〜5のいず
    れかに記載の脂肪酸エステルとグリセリンの製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法
    により製造された脂肪酸エステルを含む燃料。
  9. 【請求項9】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法
    により製造された脂肪酸エステルを含むディーゼル燃
    料。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方
    法により製造された脂肪酸エステルを含む潤滑油基油。
  11. 【請求項11】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方
    法により製造された脂肪酸エステルを含む燃料油添加
    剤。
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