JP2001259918A - ミーリングカッター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カッター本体の形成を容易とするとともに、
切削負荷等による破損がカッター本体に至るのを防ぎつ
つも、この切刃ブロックの取付剛性を十分に確保する。 【解決手段】 略平板状をなすカッター本体１の外周面
に、外周側に切刃１４Ａを備えた複数の切刃ブロック５
…を、周方向に間隔をあけ、かつカッター本体１の外周
面の全周に亙って着脱可能に取り付け、周方向に隣接す
る切刃ブロック５の互いに対向する端面６Ｂ，６Ｃ同士
の間に画成される間隙部Ｇを、内周側に向かうに従い漸
次狭くするとともに、この間隙部Ｇに、内周側に向けて
薄肉となるクサビ部材１７を介装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、その外周部に設け
られた切刃によって被削材を切削加工するミーリングカ
ッターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種のミーリングカッターとしては、
軸線回りに回転される円板状のカッター本体の外周部に
複数のチップポケットが周方向に等間隔に形成され、こ
れらのチップポケットのカッター回転方向後方側に形成
されたチップ取付座に、スローアウェイチップ（以下、
チップと称する。）がその切刃を外周側に突出させて、
サポータ等を介して着脱可能に取り付けられた、いわゆ
るスローアウェイ式のサイドカッターが知られている。
また、特にエンジンのクランクピンを切削加工するカッ
ターとしては、上記チップが千鳥状に配設されるなどし
て、その切刃がカッター本体の両側面側にも突出させら
れた、いわゆるピンミラーカッターが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
ミーリングカッターにおいては、加工する対象物に応じ
てその大きさ、すなわち上記切刃の軸線回りの外径や各
切刃が軸線回りになす回転軌跡全体の軸線方向の幅（切
削幅）などは様々であり、例えば上記ピンミラーカッタ
ーなどにおいても、船舶のエンジンのクランクピンを切
削するものなどにおいては、その外径が数ｍにも及ぶも
のがある。しかるに、そのような外径の大きなカッター
においては、切削加工時の切り込みや送りも大きくなる
のに伴い、切刃によって生成される切屑のボリュームも
大きくなって切刃に過大な切削負荷が作用してしまい、
場合によっては上記チップ取付座ごとカッター本体が破
損に至るおそれがある。また、このような外径の大きな
ミーリングカッターのカッター本体を一体に精度よく形
成するのは困難であるという問題もある。

【０００４】その一方で、このように大きな負荷が作用
した場合でも、破損がカッター本体にまで至らないよう
に、またカッター本体の形成をより容易ともするため
に、カッター本体の外周に切刃を備えた切刃ブロックを
着脱可能に取り付けて、カッター本体自体の外径は小さ
く抑えるとともに、破損が生じてもこれを切刃ブロック
までに抑えてカッター本体には達しないようにすること
が考えられる。しかしながら、そのように切刃ブロック
をカッター本体外周に着脱可能に取り付けたものでは、
この切刃ブロックの取付剛性を十分に確保することが難
しく、切削負荷によって切刃ブロックにがたつきが生じ
たりして加工精度が損なわれるという問題が起きる。

【０００５】本発明は、このような事情を鑑みてなされ
たもので、特に上述のような外径の大きなミーリングカ
ッターにあっても、その外周に切刃ブロックを着脱可能
に取り付けることによって、カッター本体の形成を容易
とするとともに、切削負荷等による破損がカッター本体
に至るのを防ぎつつも、この切刃ブロックの取付剛性を
十分に確保することが可能なミーリングカッターを提供
することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決して、こ
のような目的を達成するために、本発明は、略平板状を
なすカッター本体の外周面に、外周側に切刃を備えた複
数の切刃ブロックを、周方向に間隔をあけ、かつ上記カ
ッター本体の外周面の全周に亙って着脱可能に取り付
け、周方向に隣接する上記切刃ブロックの互いに対向す
る端面同士の間に画成される間隙部を、内周側に向かう
に従い漸次狭くするとともに、この間隙部には、内周側
に向けて薄肉となるクサビ部材を介装したことを特徴と
するものである。

【０００７】従って、このように構成されたミーリング
カッターによれば、切刃がカッター本体外周に着脱可能
に取り付けられた切刃ブロックに設けられているので、
カッター本体自体の大きさは小さく抑えてその製造を容
易にするとともに、大きな切削負荷によって破損が生じ
てもこれがカッター本体にまで達するのを防ぐことがで
きる一方、周方向に隣接する切刃ブロック同士の間に介
装されたクサビ部材により、カッター本体の全周に亙っ
て各切刃ブロックを周方向に押圧した状態で取り付ける
ことができて、その取付剛性を確保することが可能とな
る。

【０００８】ここで、上記間隙部には、上記クサビ部材
とともに平板状のプレートを介装するようにしてもよ
く、これにより、切削時に切刃ブロックに過大な負荷が
生じても、これがクサビ部材に直接に作用してクサビ部
材の破損を招くような事態を防止することができる。ま
た、上記カッター本体の外周面と上記切刃ブロックとの
間に、キーを介装すれば、切刃ブロックの取付剛性をさ
らに一層向上させることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１ないし図３は、本発明の一実
施形態を示すものである。本実施形態において、カッタ
ー本体１は、図１に示すように軸線Ｏを中心とした概略
円盤型の平板状をなしているが、その外周面は図２に示
すように軸線Ｏを中心とした円に接する複数（多数）の
同形同大の平坦面１Ａ…によって形成されており、従っ
てこのカッター本体１は厳密にはこの平坦面１Ａ…の数
に応じた軸線Ｏを中心とする正多角形の平板状をなすと
ともに、周方向に隣接する平坦面１Ａ，１Ａ同士は互い
に鈍角に交差させられることとなる。また、このカッタ
ー本体１の中央部には、やはり上記軸線Ｏを中心とした
円形の取付孔２が形成されており、該カッター本体１は
この取付孔２を介して工作機械側の主軸に取り付けら
れ、図中に符号Ｔで示す回転方向に回転されて切削に供
される。

【００１０】上記平坦面１Ａ…には、各平坦面１Ａごと
に、カッター本体１の周方向の略中央部には上記軸線Ｏ
方向に延びるキー溝３が、またカッター本体１の軸線Ｏ
方向の中央部には周方向に延びるキー溝４が、それぞれ
断面「コ」字状をなして該平坦面１Ａに開口するよう
に、かつカッター本体１の外周側からみて互いに十字に
交差するように形成されている。このうち、軸線Ｏ方向
に延びるキー溝３はカッター本体１の両側面１Ｂ，１Ｃ
に達して該側面１Ｂ，１Ｃに開口するように形成される
一方、周方向に延びるキー溝４は、この周方向における
各平坦面１Ａの両端、すなわち１つの平坦面１Ａとこれ
の両隣りに隣接する平坦面１Ａ，１Ａとの交差稜線１
Ｄ，１Ｄにまではいずれにも達しておらず、これらの交
差稜線１Ｄ，１Ｄから僅かな間隔をあけるようにして、
カッター本体１の周方向に連続することなく平坦面１Ａ
ごとに分けられて形成されている。

【００１１】そして、このような平坦面１Ａ…よりなる
カッター本体１の外周面には、この平坦面１Ａ…と同数
の切刃ブロック５…が各平坦面２ごとに着脱可能に取り
付けられている。この切刃ブロック５は、平坦面１Ａへ
の取付状態において、該平坦面１Ａに密着する長方形平
板状の取付部６と、この取付部６から外周側に向けて突
出する切刃保持部７とが一体形成されて構成されてお
り、このうち上記平坦面１Ａに密着する取付部６は、そ
の底面６Ａの軸線Ｏ方向の幅が平坦面１Ａの幅と等しく
されるとともに、周方向の長さは平坦面１Ａよりも短
く、上記キー溝４の長さと等しくされており、さらにこ
の底面６Ａには上記キー溝３，４と等しい幅のキー溝
８，９が該キー溝３，４と合致するように、やはり十字
に交差して形成されている。また、この取付部６の上記
回転方向Ｔ側を向く側面６Ｂとこの回転方向Ｔ後方側を
向く側面６Ｃとは、互いに平行かつ軸線Ｏにも平行とさ
れるとともに、上記底面６Ａに対しては垂直に、すなわ
ち平坦面１Ａに対しても垂直となるように形成されてい
る。

【００１２】一方、この切刃ブロック５の上記切刃保持
部７は、側面視において図２に示すように外周側に向か
うに従い周方向の幅が漸次幅狭となる台形状を呈すると
ともに、外周側からみた場合には図３に示すように回転
方向Ｔの後方側に向かうに従いカッター本体１の一方の
側面１Ｂから他方の側面１Ｃに向かうように軸線Ｏに対
して傾斜して形成されている。そして、この切刃保持部
７の外周側を向く端面７Ａと回転方向Ｔ側を向く側面７
Ｂとの交差稜線部にはサポータ取付座１０がそれぞれ２
つずつ上記軸線Ｏ方向に間隔をあけて並ぶように形成さ
れており、これらのサポータ取付座１０には、それぞれ
チップ取付座１１が形成されたサポータ１２がサポータ
クランプネジ１３により着脱可能に取り付けられるとと
もに、このサポータ１２の上記チップ取付座１１には、
チップ１４がその１の切刃１４Ａを切刃保持部７の上記
端面７Ａより外周側かつ上記側面７Ｂより回転方向Ｔ側
に突出させて、やはり着脱可能に取り付けられている。

【００１３】ここで、本実施形態では、１つの切刃ブロ
ック５の切刃保持部７に２つずつ形成される上記サポー
タ取付座１０，１０は、カッター本体１の周方向に隣接
する切刃ブロック５，５同士で軸線Ｏ方向にずらされる
ように形成されており、すなわち図３に示されるよう
に、一方の切刃ブロック５（図２においては中央の切刃
ブロック５、図３においては左側の切刃ブロック５）で
は、これらのサポータ取付座１０，１０がカッター本体
１の上記一方の側面１Ｂ側と上記厚さ方向中央部から他
方の側面１Ｃ側とに偏って形成されるとともに、この一
方の切刃ブロック５に隣接する他方の切刃ブロック５
（図２においては左右の切刃ブロック５、図３において
は右側の切刃ブロック５）では、サポータ取付座１０，
１０はカッター本体１の他方の側面１Ｃ側と上記厚さ方
向中央部から一方の側面１Ｂ側とに偏って形成されてい
る。そして、これに伴い、これらのサポータ取付座１０
…にサポータ１２を介して取り付けられるチップ１４の
切刃１４Ａも、軸線Ｏ方向にずらされて配置されること
となり、こうしてずらされた切刃１４Ａ…の軸線Ｏ回り
の回転軌跡が該軸線Ｏ方向に連続することにより、被削
材の加工面が全面的に切削されるようになされている。

【００１４】また、この切刃保持部７の回転方向Ｔ側を
向く上記側面７Ｂは、図３に示すように外周側からみた
該切刃保持部７の上記傾斜に合わせて凹凸する段状に形
成されていて、サポータ取付座１０はこうして形成され
た段部に形成されており、このうち上記一方の切刃ブロ
ック５の両サポータ取付座１０，１０と上記他方の切刃
ブロック５の厚さ方向中央部側のサポータ取付座１０と
には、カッター本体１の上記側面１Ｂ側を向いてサポー
タ１２を保持する壁面１０Ａが形成される。なお、この
切刃保持部７の回転方向Ｔ側を向く側面７Ｂは、反対側
の回転方向Ｔ後方側を向く壁面７Ｃが外周側に向かうに
従い大きな傾斜角で回転方向Ｔ側に向かうように傾斜し
ているのに対し、これよりも小さな傾斜角で外周側に向
かうに従い回転方向Ｔの後方側に向かうように、すなわ
ち軸線Ｏに対する径方向に沿う方向に延びるように形成
されている。

【００１５】さらに、サポータ１２…およびチップ１４
…はそれぞれ共通のものであって、いずれも平板状をな
し、その厚みの方向をカッター本体１の径方向に向ける
ようにして取り付けられている。このうちサポータ１２
は、概略長方形平板状をすものであって、その長手方向
をカッター本体１の周方向に沿わせるようにサポータ取
付座１０に着座させられた上で、その回転方向Ｔ後方側
の部分に外周側から挿通された上記サポータクランプネ
ジ１３がサポータ取付座１０の底面にねじ込まれること
により、切刃保持部７に取り付けられる。また、上記チ
ップ取付座１１は、こうして取り付けられたサポータ１
２の回転方向Ｔ側の上記側面１Ｂ側の角部に形成されて
おり、従ってこのチップ取付座１１にも側面１Ｂ側を向
いてチップ１４を保持する壁面１１Ａが形成されること
となる。

【００１６】一方、上記チップ１４は、超硬合金等の硬
質材料により正方形平板状に形成されたネガティブチッ
プであって、その８つの辺稜部すべてに上記切刃１４Ａ
が形成され、そのうちの１つを選択的に上述のように外
周側かつ回転方向Ｔ側に突出させて切削に供される。な
お、すべてのチップ１４…は、その切削に供される上記
１の切刃１４Ａがカッター本体１の上記一方の側面１Ｂ
側から他方の側面１Ｃ側に向かうに従い回転方向Ｔ側に
向けて僅かに傾斜するようにチップ取付座１１に取り付
けられるとともに、このうち上記一方の切刃ブロック５
の側面１Ｂ側に取り付けられるチップ１４の切刃１４Ａ
は、その端部が該側面１Ｂよりも僅かに外側に突出する
ように配置される。

【００１７】このようにしてサポータ１２およびチップ
１４が取り付けられた切刃ブロック５は、上記キー溝
８，９とキー溝３，４とがキー１５…を介して合致させ
られるようにして取付部６の底面６Ａが平坦面１Ａに密
着させられた上で、この取付部６に外周側から挿通され
たブロッククランプネジ１６…が平坦面１Ａにねじ込ま
れることにより、それぞれカッター本体１の外周に着脱
可能に取り付けられる。しかるに、この取付部６は、上
述のようにその上記周方向の長さが平坦面１Ａの長さよ
りも短くされているため、こうして切刃ブロック５を平
坦面１Ａに取り付けた状態で、周方向に隣接する切刃ブ
ロック５，５同士の間には、回転方向Ｔ後方側に位置す
る切刃ブロック５の取付部６の上記側面６Ｂと、回転方
向Ｔ側に位置する切刃ブロック５の取付部６の上記側面
６Ｃとの間に、平坦面１Ａ，１Ａ同士の上記交差稜線１
Ｄを挟むようにして間隙部Ｇが画成され、この間隙部Ｇ
は、隣接する平坦面１Ａ，１Ａ同士が鈍角に交差すると
ともに、側面６Ｂ，６Ｃがこれらの平坦面１Ａ，１Ａに
垂直とされることから、内周側に向かうに従い、対向す
る側面６Ｂ，６Ｃが鋭角をなして交差する方向に延びる
ように、すなわち該側面６Ｂ，６Ｃ間の周方向の幅が漸
次幅狭となるように形成されることとなる。

【００１８】そして、この間隙部Ｇには、上記交差稜線
１Ｄよりも回転方向Ｔ側を向く側面６Ｂ側にクサビ部材
１７が、また本実施形態では回転方向Ｔの後方側を向く
側面６Ｃ側にプレート１８が、それぞれ介装されてい
る。このうち、上記クサビ部材１７は、上記側面６Ｂ，
６Ｃがなす鋭角の交差角と等しい角度で交差する方向に
延びる一対の側面１７Ａ，１７Ｂを備えた、軸線Ｏに直
交する断面が台形状をなす長板状部材であり、従ってこ
れらの側面１６Ａ，１６Ｂが交差する方向に向けては、
その周方向の肉厚が漸次薄肉となるように形成される。
一方、上記プレート１８は、その軸線Ｏに直交する断面
が長方形をなす平板（長板）状の部材であり、その肉厚
は、平坦面１Ａに取り付けられた切刃ブロック５の取付
部６の上記側面６Ｃから上記交差稜線１Ｄまでの長さに
等しく、かつ均一な厚さとされている。

【００１９】このように形成されたプレート１８は、そ
の長手方向（軸線Ｏ方向）に延びる１の幅広の側面を切
刃ブロック５の取付部６の上記側面６Ｃに密着させると
ともに、同じく長手方向に延びる１の幅狭の側面を上記
側面６Ｃから交差稜線１Ｄまでの平坦面１Ａ部分に密着
させ、該プレート１８に挿通されたプレートクランプネ
ジ１９，１９が平坦面１Ａに垂直にねじ込まれることに
より、上記間隙部Ｇの回転方向Ｔ側に取り付けられる。
また、こうしてプレート１８を取り付けた状態で、間隙
部Ｇの回転方向Ｔ後方側の部分はなお内周側に向かうに
従い狭くなるように形成されたままであり、この部分に
上記クサビ部材１７が、その肉厚が薄肉となる方向を内
周側に向けるとともに上記側面１７Ａ，１７Ｂをプレー
ト１８と切刃ブロック５の上記側面６Ｂとに密着させて
挿入され、上記交差稜線１Ｄと側面６Ｂとの間の上記平
坦面１Ａ部分に垂直にねじ込まれるクサビクランプネジ
２０，２０によって内周側に押し込まれて、プレート１
８とともに間隙部Ｇに介装される。なお、こうして介装
されたクサビ部材１７およびプレート１８の外周側を向
く側面は、その両側に隣接する切刃ブロック５，５の切
刃保持部７の上記側面７Ｂ，７Ｃと略滑らかに連なるよ
うにされる。

【００２０】従って、このように構成されるミーリング
カッターにおいては、その切刃１４Ａが、カッター本体
１の外周にブロッククランプネジ１６…によって着脱可
能に取り付けられた切刃ブロック５…に設けられること
となるので、たとえ当該ミーリングカッターの外径、す
なわち上記切刃１４Ａの軸線Ｏ回りの回転径が大きく
て、切削時に生成される切屑のボリュームも大きく、こ
れに伴い切刃１４Ａ周辺に過大な負荷が生じ易くなって
破損が生じたとしても、この破損はその切刃１４Ａが設
けられた切刃ブロック５を損傷するに留まり、カッター
本体１にまで至るようなことはない。このため、そのよ
うな破損が生じても、この破損した切刃ブロック５だけ
を交換すればよく、速やかに切削作業を続行することが
できて効率的であるとともに経済的でもある。また、こ
のように切刃１４Ａを保持する切刃ブロック５をカッタ
ー本体１とは別体とすることにより、これらが一体とさ
れている場合に比べて上記外径は大きくても個々の切刃
ブロック５やカッター本体１自体の大きさは小さく抑え
ることができ、その製造が容易となるとともに成形精度
も向上させることが可能となる。

【００２１】そして、その一方で、上記構成のミーリン
グカッターにおいては、カッター本体１の外周に周方向
に隣接して取り付けられるすべての切刃ブロック５，５
同士の間に間隙部Ｇにクサビ部材１７が介装されてお
り、このクサビ部材１７をクサビクランプネジ２０によ
って内周側に押し込むことにより、カッター本体１の外
周に取り付けられた切刃ブロック５…は、周方向にその
両側から押圧された状態とされる。このため、上述のよ
うにカッター本体１と切刃ブロック５…とを別体に形成
してこれらを組み合わせることにより当該ミーリングカ
ッターを構成するようにしても、これらの切刃ブロック
５…を強固に保持して高い取付剛性を確保することが可
能となり、切刃１４Ａの外径が大きくて過大な切削負荷
が生じ易い場合でも、切刃ブロック５にがたつきが生じ
たりするのを防いで高精度の加工を図ることができる。
また、本実施形態では周方向に隣接するすべての切刃ブ
ロック５…間にクサビ部材１７…が介装されており、ク
サビクランプネジ２０…のねじ込み量を調整することに
よってこれらのクサビ部材１７…の内周側への押し込み
量を調整することにより、各切刃ブロック５…が周方向
に押圧される押圧力を均一にしてその取付剛性のバラン
スを採ることも容易となる。

【００２２】なお、このようにカッター本体１と切刃ブ
ロック５…とを別体に形成してミーリングカッターに一
体化する場合において、当該ミーリングカッターの外径
が小さすぎると、こうして別体に形成することによる上
述したような効果が十分に発揮されなくなるばかりか、
切刃ブロック５を取り付けるためのブロッククランプネ
ジ１６…を取り付けするためのネジ孔や、プレートクラ
ンプネジ１９…やクサビクランプネジ２０を取り付ける
ためのネジ孔、あるいはキー溝３，４などを形成するこ
とにより、カッター本体１の肉厚がその大きさと比較し
て必要以上に大きくそがれ、このカッター本体１自体の
剛性が却って損なわれてしまうおそれがある。従って、
このような構成は、むしろ外径の大きなミーリングカッ
ターにおいて適用されるのが望ましく、具体的には外径
が６００mm以上のミーリングカッターに適用されるのが
望ましい。

【００２３】一方、本実施形態では、周方向に隣接する
切刃ブロック５，５間に画成される上記間隙部Ｇに、上
記クサビ部材１７とともに平板状のプレート１８が介装
されており、これにより、切削時に過大な負荷が生じた
場合でも、かかる負荷が切刃ブロック５からクサビ部材
１７に直接的に作用してクサビ部材１７に破損を及ぼす
ような事態を防止することが可能となる。すなわち、例
えば図１ないし図３に示した実施形態において、このよ
うなプレート１８が設けられていないと、切削時の周方
向の負荷が切刃ブロック５から個々のクサビ部材１７に
直接的に作用することとなって、切刃ブロック５が破損
しなくてもこのクサビ部材１７に損傷してしまうおそれ
があるが、本実施形態のようにプレート１８をも介装す
ることにより、クサビ部材１７に負荷が集中するのを防
いでその損傷を防止することができるのである。ただ
し、ブロッククランプネジ１６…や次述するキー１５…
などによって切刃ブロック５の取付剛性がさらに十分に
確保される場合などには、例えば図４に示すようにこの
ようなプレート１８を設けることなく、上記間隙部Ｇを
隣接する切刃ブロック５，５の取付部６の側面６Ｂ，６
Ｃ間に画成されるようにして、この間隙部Ｇにクサビ部
材１７のみを介装するようにしてもよい。

【００２４】さらに、本実施形態では、このように切刃
ブロック５が取り付けられるカッター本体１外周の平坦
面１Ａと、この切刃ブロック５の取付部６の底面６Ａと
に、互いに合致するキー溝３，４とキー溝８，９とが形
成されていて、これらのキー溝３，４，８，９に嵌合さ
せられてキー１５…が切刃ブロック５とカッター本体１
との間に介装させられた状態で該切刃ブロック５…が取
り付けられている。従って、このキー１５…によってこ
の切刃ブロック５の取付剛性をさらに確実に確保するこ
とが可能となり、特に本実施形態ではこれらのキー溝
３，４，８，９が十字に交差するように形成されている
ので、軸線Ｏ方向に延びるキー溝３，８に嵌合させられ
たキー１５によって周方向に作用する負荷に対する剛性
の向上が図られるのは勿論、周方向に延びるキー溝４，
９に嵌合したキー１５によって軸線Ｏ方向に作用する負
荷に対しても十分な剛性を得ることができる。

【００２５】ところで、本実施形態では、この切刃ブロ
ック５にサポータ１２を介して取り付けられたチップ１
４の外周側かつ回転方向Ｔに突出させられた切刃１４Ａ
が、外周側からみて軸線Ｏ方向にカッター本体１の一方
の側面１Ｂから他方の側面１Ｃ側に向かうに従い回転方
向Ｔ側に向かうように傾斜させられており、これによ
り、切刃１４Ａが被削材に徐々に食付きながら切削する
ことになるために衝撃的な負荷が作用するのを防ぐこと
ができる反面、切削時にはこの切刃１４Ａの傾斜に伴い
チップ１４およびサポータ１２に上記他方の側面１Ｃ側
に向けての軸線Ｏ方向の負荷が作用することとなる。

【００２６】しかるに、これに対して本実施形態では、
上述のように周方向に延びるキー溝４，９に嵌合させら
れて介装されたキー１５により、このような軸線Ｏ方向
の負荷にも十分な取付剛性を切刃ブロック５に与えるこ
とができる一方、各チップ１４…はサポータ１２に形成
されたチップ取付座１１の側面１Ｂ側を向く壁面１１Ａ
に保持され、さらにこのサポータ１２もその一部は切刃
ブロック５の切刃保持部７に形成されたサポータ取付座
１１の側面１Ｂ側を向く壁面１１Ａに保持されるので、
このような軸線Ｏ方向の負荷にも確実にチップ１４およ
びサポータ１２を保持することが可能となる。

【００２７】また、本実施形態では、上記切刃ブロック
５の切刃保持部７の側面７Ｂ，７Ｃが、回転方向Ｔ側を
向く側面７Ｂよりも回転方向Ｔ後方側を向く側面７Ｃの
方がその傾斜が緩やかであり、このためチップ１４が取
り付けられたサポータ１２を保持するサポータ取付座１
０よりも回転方向Ｔ後方側により大きな肉厚を切刃保持
部７に確保することが可能となるので、切削時に切刃１
４Ａから回転方向Ｔの後方側に作用する周方向の負荷に
対して一層高い剛性を確保することができる。しかも、
こうして回転方向Ｔ後方側を向く側面７Ｃの傾斜が緩や
かとされることと、クサビ部材１７およびプレート１８
の外周側を向く側面が切刃ブロック５の切刃保持部７の
側面７Ｂ，７Ｃに滑らかに連なるようにされることとに
より、切刃１４Ａの回転方向Ｔ側においてこれらの側面
７Ｂ，７Ｃ間に画成されるチップポケットを大きく、し
かもその内周面が滑らかに連なるように形成することが
でき、ボリュームの大きな切屑が切刃１４Ａによって生
成されても、これを確実かつ円滑に処理することが可能
となる。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
カッター本体の外周に着脱可能に取り付けた切刃ブロッ
クに切刃を設けることにより、これらカッター本体や切
刃ブロックを高精度に製造することが容易となるととも
に、切削時にこの切刃に過大な負荷が作用しても、損傷
等がカッター本体にまで至るのを防止することができ、
効率的かつ経済的である一方、周方向に隣接する切刃ブ
ロック間に画成される間隙部にはクサビ部材が介装され
ているので、このクサビ部材によって切刃ブロックを周
方向に押圧してその取付剛性を確保することができ、該
切刃ブロックのがたつき等を防いで高精度の加工を行う
ことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態を示す側面図である。

【図２】 図１に示す実施形態のカッター本体１の外周
部の拡大側面図である。

【図３】 図１に示す実施形態のカッター本体１を外周
側からみた拡大図である。

【図４】 図１に示す実施形態の変形例を示すカッター
本体１外周部の拡大側面図である。

【符号の説明】

１ カッター本体 １Ａ 平坦面 ３，４，８，９ キー溝 ５ 切刃ブロック ６ 切刃ブロック５の取付部 ７ 切刃ブロック５の切刃保持部 １０ サポータ取付座 １０Ａ サポータ取付座１０の壁面 １１ チップ取付座 １１Ａ チップ取付座１１の壁面 １２ サポータ １４ スローアウェイチップ １４Ａ 切刃 １５ キー １７ クサビ部材 １８ プレート Ｏ カッター本体１の軸線 Ｔ カッター本体１の切削時の回転方向 Ｇ 間隙部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略平板状をなすカッター本体の外周面
   に、外周側に切刃を備えた複数の切刃ブロックが、周方
   向に間隔をあけ、かつ上記カッター本体の外周面の全周
   に亙って着脱可能に取り付けられており、周方向に隣接
   する上記切刃ブロックの互いに対向する端面同士の間に
   画成される間隙部は、内周側に向かうに従い漸次狭くさ
   れるとともに、この間隙部には、内周側に向けて薄肉と
   なるクサビ部材が介装されていることを特徴とするミー
   リングカッター。
2. 【請求項２】 上記間隙部には、上記クサビ部材ととも
   に平板状のプレートが介装されていることを特徴とする
   請求項１に記載のミーリングカッター。
3. 【請求項３】 上記カッター本体の外周面と上記切刃ブ
   ロックとの間には、キーが介装されていることを特徴と
   する請求項１または請求項２に記載のミーリングカッタ
   ー。