JP2001248115A - 補強板を用いた橋梁の補強方法 - Google Patents

補強板を用いた橋梁の補強方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 橋梁の構成桁にプレストレスを導入補強し、
さらに橋梁の剛性を増して疲労強度を改善すると同時
に、配管などの添架スペースを犠牲にすることの無い橋
梁の補強方法を提供する点にある。 【解決手段】 橋梁の被補強桁1の表面に沿ってポスト
テンション補強板2を配設し、前記被補強桁1とポスト
テンション補強板2との間に桁行方向の相互反力を生ぜ
しめるように両者間に楔4A,4B,4Cを圧入して、
前記被補強桁1に対しポストテンション補強板2を所定
量相対変位させ、相対変位した状態のポストテンション
補強板2を被補強桁1に固定し、被補強桁1をポストテ
ンション補強する工法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁の構成部材に
プレストレスを導入してポストテンション補強する橋梁
の補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、交通量の増大や通過車両の重量増
加などにより、厳しい安全・耐久基準が橋梁に求められ
ており、新たな安全・耐久基準を満たさない古い橋梁な
どにも補強を施す必要が生じている。
【0003】従来から橋梁にプレストレスを導入して補
強を施す手段として、ポストテンション工法が広く用い
られている。図13に示すように、上部フランジ60
a、下部フランジ60bおよびウェブ60cを有する橋
桁60に死荷重や活荷重が加わると、橋桁60は弓なり
に変形し、その上部フランジ60aには圧縮応力61が
作用し、下部フランジ60bには引張応力62が作用す
る。ポストテンション工法は、引張応力が作用する部材
の耐荷力を向上させるために、下部フランジ60bに桁
行方向の圧縮応力(プレストレス)を導入し前記引張応
力を緩和する工法である。
【0004】従来のポストテンション補強工法として
は、例えば、図14の概略断面図に示すように、橋桁7
0の下部フランジ70bの桁下において定着装置71,
72を用い、取付具73,74で緊張状態にした外ケー
ブル75を張設して、下部フランジ70bにプレストレ
スを導入するというエクスターナルポストテンション補
強工法が主流であった。この種の工法の有効性は、例え
ば、「既設鋼鈑桁橋のプレストレス導入による補強」
(橋梁と基礎,Vol30,No.3,平成8年3月
号;株式会社建設図書発行)において報告されている。
尚、「プレストレス」と「ポストテンション」とは同じ
現象を被補強桁もしくは補強材の側から見た表現による
差で本質的な違いはないので、この種の補強工法を「ポ
ストテンション補強工法」と呼ぶ。
【0005】また、ケ−ブルストランドを用いたエクス
ターナルポストテンション補強工法はトラス桁の引張部
材にも適用されており、本発明者(並木宏徳)により
「老朽化したピントラスのポストテンション方式による
補強」(橋梁と基礎,Vol28,No.4,平成6年
4月号;株式会社建設図書発行)において報告されてい
る。この文献記載の工法は、ストランドを橋梁中心より
引張荷重を受ける下弦材および斜材に沿って、トラス全
体に直線または屈曲した扇形に設置し、油圧ジャッキを
用いてストランドに引張力を導入して、当該下弦材など
をポストテンション補強するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
エクスターナルポストテンション工法では、以下の
(1),(2)の問題点があった。(1)上記の補強材
としてはケ−ブルやPC鋼棒が用いられるが、これらの
材料は一般的に引張り強度は大であるが剛性が低いので
橋桁の剛性増加に寄与することが少ないため橋桁の疲労
強度があまり改善されず、(2)また、橋梁には配管な
どが添架されることが多いが、上記外ケーブルを用いた
工法では、外ケーブルやサドルなどを取り付けるために
その添架スペースが犠牲になったり、あるいは橋梁の下
部に取り付けられて桁下空間が狭くなるという問題であ
る。
【0007】本発明がこれら問題に鑑みて解決しようと
するところは、従来のポストテンション工法とは異なる
方法により橋梁の構成部材にプレストレスを導入し、橋
梁の剛性を増して疲労強度を改善すると同時に、添架ス
ペースや桁下空間を犠牲にすることのない橋梁の補強方
法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するため
に、本発明者らは、従来から補剛板として使用される板
材と、梃子や滑車とともに力を増幅する手段として広く
使用されている楔とに着目した。楔は入力した力を増幅
するだけでなく、部材同士の摩擦を増大させて両者を強
固につなぎ且つその状態を保持できる優れた能力を有す
る。本発明者らは、このような楔の特徴を橋梁のポスト
テンション補強工法に適用すべく鋭意研究を押し進めた
結果、本発明に到達するに至った。
【0009】本発明に係る橋梁の補強方法は、橋梁の被
補強桁の表面に沿ってポストテンション補強板を配設
し、前記被補強桁とポストテンション補強板との間に桁
行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単または
複数の楔を圧入して、前記被補強桁に対してポストテン
ション補強板を所定量相対変位させ、相対変位した状態
のポストテンション補強板を被補強桁に固定することに
より、被補強桁をポストテンション補強することを特徴
としたものである。すなわち、楔は被補強桁とポストテ
ンション補強板とに桁行方向の相互反力を付与すると同
時に、ポストテンション補強板に引張荷重を加え且つ被
補強桁に圧縮荷重を加えるため、被補強桁はポストテン
ションを付与され且つ補剛されることとなる。同時に、
楔は両者を強固につなぎつつその状態を保持するから、
被補強桁に対するポストテンション補強板の相対変位量
を正確に制御できる。
【0010】より具体的な方法としては、前記被補強桁
およびポストテンション補強板にそれぞれ楔挿入用の第
1および第2作用孔を形成し、前記第1および第2作用
孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1作用孔の壁面に作
用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させ
て、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテン
ション補強板を桁行方向に引張り、被補強桁とポストテ
ンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめ
ることが好ましい。
【0011】また、上記ポストテンション補強工程中に
楔が傾斜して作用孔に作用する荷重にバラツキが生じる
のを防ぐために、被補強桁との間で前記ポストテンショ
ン補強板を挟持するように、前記第1および第2作用孔
に連通する第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、第
1、第2および第3作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面
を第1および第3作用孔に作用させ且つ該楔の他側面を
第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に
圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に
引張ることが好ましい。すなわち、前記第1および第3
作用孔により前記楔の一側面が2壁面で支持されるの
で、当該工程中の楔の姿勢が安定する。楔は、圧入され
る際に作用するせん断力に起因する曲げモーメントによ
って傾斜しようとするが、楔の一側面が前記2壁面で分
担支持されるので、楔の傾斜は防止されるのである。そ
のため大きなポストテンション荷重を導入でき、ポスト
テンション補強板の相対変位量を正確に制御することが
可能となる。
【0012】また、上記したポストテンション補強板の
相対変位量は、当該ポストテンション補強板と被補強桁
との間に挿入する楔の挿入量で制御されるのが望まし
い。
【0013】更には、前記楔は、ポストテンション補強
板と被補強桁とに当接する複数の調整用楔と、該調整用
楔間に圧入される圧入用楔とからなることが好ましい。
これによって圧入用楔はポストテンション補強板と被補
強桁とに直接当接して食い込みなどの局部的な変形が生
じることがないため、圧入用楔による反力を調整用楔を
通して円滑に当該ポストテンション補強板と被補強桁に
伝達することができる。
【0014】また、前記ポストテンション補強板と被補
強桁とに計画通りの荷重を正確に付与するため、前記ポ
ストテンション補強板および被補強桁に導入される応力
をそれぞれσpおよびσfとし、当該補強区間の長さを
L、被補強桁に対するポストテンション補強板の桁行方
向相対変位量をΔL、被補強桁およびポストテンション
補強板の弾性係数をそれぞれEfおよびEpとするとき、
ΔL=L(σp/Ep−σ f/Ef)の関係式を満たすよう
にポストテンション補強板を相対変位させることが望ま
しい。
【0015】また、上記したポストテンション補強後、
ポストテンション補強板と被補強桁とを接着して一体と
なすことにより、ポストテンション補強板全体に亘り当
該ポストテンション補強板から被補強桁へのせん断力が
確実に伝達し、当該補強区間において橋梁に加わる活荷
重に対して両者一体となって応答するという補強効果を
確保できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る橋梁の補強方
法の種々の実施形態について説明する。図1は、本発明
に係る橋梁の補強方法を説明するための被補強桁の概略
側面図、図2は、図1に示した被補強桁の底面図、図3
は、図1のA−A断面図である。これら各図において、
符号1はI形断面形状を有する被補強桁(H形鋼)、1
aは被補強桁1の上部フランジ、1bは下部フランジ
(被補強フランジ)、1cはウェブ(腹板)、2はポス
トテンション補強板、3は傾斜防止板、4A,4B,4
Cは楔、6は万力を示している。
【0017】本実施形態の基本工程は次の通りである。
先ず、ポストテンション補強板2を被補強桁たるH形鋼
1の下部フランジ1bの下面に添設し、このポストテン
ション補強板2の一端部2aを下部フランジ1bに固定
すると同時に、その他端部2bの下面に傾斜防止板3を
添設し、当該他端部2bを桁行方向に伸縮自在の状態で
下部フランジ1bに取り付ける。下部フランジ1b、ポ
ストテンション補強板2および傾斜防止板3には、ウェ
ブ1cの両側において、これらを貫通する作用孔が形成
されており、後に詳述するようにその作用孔に楔4A〜
4Cを挿入し、ポストテンション補強板2と下部フラン
ジ1bとの間に桁行方向の相互反力を生ぜしめ、下部フ
ランジ1bに対しポストテンション補強板2を桁行方向
に所定量伸長させ相対変位させる。この状態でポストテ
ンション補強板2の他端部2bを下部フランジ1bに固
定した後に楔4A〜4Cを抜去することにより、被補強
桁1はポストテンション補強される。
【0018】以上の工程をより具体的に以下に詳説す
る。
【0019】前記ポストテンション補強板2は、図1お
よび図2に示すように下部フランジ1bの底面に桁行方
向に沿って添設され、その一端部2aは高力ボルト7
A,7A,…とナット7B,7B,…で下部フランジ1
bに接合される。また、ポストテンション補強板2の他
端部2bの底面において当該ポストテンション補強板2
を挟む位置に傾斜防止板3が配設されており、仮ボルト
8A,8Aとナット8B,8Bを用いて下部フランジ1
bに取り付けられる。尚、ポストテンション補強板2
は、前記傾斜防止板3と下部フランジ1bとの間で桁行
方向に伸縮自在の状態にされる必要があるため、仮ボル
ト8A,8Aは、ポストテンション補強板他端部2bが
下垂して下部フランジ1bと離れるのを防ぐ目的で配設
するものであり、その恐れが無ければ不用である。
【0020】前記ポストテンション補強板2としては、
被補強桁の形状や所望のポストテンション荷重に相応し
た断面形状や剛性を有するものが適宜選択されて使用さ
れる。具体的には、入手のし易さという点では鋼材が好
ましく、中でも鉄や炭素を含む合金、例えば引張強度が
約490N/mm2以上の高張力鋼、引張強度が約58
8N/mm2以上の調質鋼もしくは溶接性が低いために
橋梁に使用することが少ない更に高い引張強度を有する
鋼材、銅やクロムなどの金属元素を添架した耐候性鋼材
などが好適である。高強度の炭素繊維などを樹脂を用い
てシ−ト状あるいは板状に成形した材料を用いることも
有効である。
【0021】前記傾斜防止板3の材質は、被補強桁1の
ものと同一とし、その断面寸法は被補強フランジのもの
と同一とすることが、強度などの照査は被補強フランジ
の場合と同様となり簡便なため好ましいが、これに限ら
ず挿入する楔の反力を受け得るものであればどのような
材質でもよい。
【0022】また、本実施形態では、ポストテンション
補強板2を下部フランジ1bに固定する手段として高力
ボルトとナットを用いるが、この代わりにアーク溶接接
合やエポキシ樹脂などの接着剤を用いて接合してもよ
い。高力ボルトを用いる場合には、摩擦接合するのに適
した高力六角ボルトやトルシア形高力ボルトなどを用い
るのが一般的である。ねじの呼び寸法は、M16、M2
0、M22、M24のものが好適で、その等級は、高力
六角ボルトの場合、F8T、F10Tのもの、トルシア
形高力ボルトの場合、S10Tのものが好適である。
尚、ボルトの締付には、トルクレンチ、電動式もしくは
油圧式の締付け機を用いたり、1次締付け用に電動式の
インパクトレンチを用いたりすればよい。
【0023】次に、下部フランジ1bと傾斜防止板3と
の間にパッキング板9を介在させ、万力6,6を用いて
傾斜防止板3の一端部3aを下部フランジ1bに固定す
る。これにより、傾斜防止板3に作用する桁行方向の荷
重がパッキング板9を介して下部フランジ1bに伝達さ
れる。尚、万力6は、図6の概略図に示すように、下部
フランジ1bの上面を押圧する締付顎部6aと、傾斜防
止板3の下面を支持する支持顎部6bとを備えたもので
ある。このような万力を用いる代わりに、高力ボルトと
ナットを用いて両者を固定してもよく、その固定手段は
問われない。
【0024】次に、ウェブ1cの両側において下部フラ
ンジ1b、ポストテンション補強板2および傾斜防止板
3を貫通する各作用孔に楔4A,4B,4Cを挿入す
る。図4は、一方の作用孔に挿入した楔4A,4B,4
Cを示す拡大断面図であり、同図(a)はその側面図、
同図(b)は(a)に示すB−B断面図、同図(c)は
楔を作用孔に圧入したときの荷重伝達を説明するための
概略図である。
【0025】下部フランジ1b、ポストテンション補強
板2および傾斜防止板3には、それぞれ、楔挿入用で長
円形状の第1作用孔1h、第2作用孔2hおよび第3作
用孔3hが貫通形成されている。第1作用孔1hと第3
作用孔3hは、桁行および桁行直角方向において略同じ
位置に設けられているのに対し、第2作用孔2hは、こ
れら第1作用孔1hおよび第3作用孔3hに対して桁行
方向にずれた位置に設けられている。これら作用孔1
h,2h,3hの壁面と桁行方向から当接する形で2本
の調整用楔4A,4Cを当該作用孔に挿入配置するが、
一方の調整用楔4Cの外側面4Caは、第1作用孔1h
および第3作用孔3hの2壁面で当接支持され、その内
側面は傾斜滑り面を形成する。また、他方の調整用楔4
Aの外側面4Aaは、第2作用孔2hの壁面で当接支持
され、その内側面は、前記一方の調整用楔4Cの内側面
とともにV字形をなす傾斜滑り面を形成する。
【0026】このような調整用楔4A,4Cの間に、ハ
ンマーなどで頭部を打撃するなどして圧入用楔4Bを圧
入する。このとき、圧入用楔4Bのテーパー形状の両側
面は、前記調整用楔4A,4CのV字形をなす内側面を
滑り面として圧接する。またこの時、図4(c)に示す
ように、矢印の向きに打ち込まれた圧入用楔4Bは、そ
の挿入量に応じて両側の調整用楔4A,4Cの内側面に
荷重を作用させ、これにより、一方の調整用楔4Cを介
して、下部フランジ1bに矢印の向きに圧縮荷重が作用
すると同時に傾斜防止板3に矢印の向きに荷重が作用
し、また他方の調整用楔4Aを介して、ポストテンショ
ン補強板3に矢印の向きに引張荷重が作用する。右側の
調整用楔4Cの外側面4Caは、第1および第3作用孔
1h,3hの2壁面に支持されているので、楔4Bを圧
入する間、当該作用孔壁面に対するその垂直姿勢が崩れ
ることが無い。
【0027】また、圧入用楔4Bによる反力は、作用孔
に直接接する調整用楔4A,4Cにより分散緩和される
ため滑り面における面圧が平均化し、大きな反力を円滑
に導入することが可能となる。また、作用孔1h,2
h,3hの壁面と接触するのは調整用楔4A,4Cであ
るから、当該接触面において局部変形により調整用楔4
A,4Cに作用孔壁面が陥入したとしても、滑り面は異
なる面であるから圧入用楔4Bの挿入を妨げる恐れは無
くなり、ポストテンション荷重を正確に導入し易い。
尚、圧入用楔4Bの滑りを良くするには、その側面にオ
イルや、二硫化モリブデン粉末などの固体潤滑材を塗布
することが望ましい。
【0028】また図1に示したように前記傾斜防止板3
の一端部3aは、パッキング板9を介して下部フランジ
1bと固定されているから、傾斜防止板3に作用した荷
重は下部フランジ1bに圧縮荷重として伝達する。この
ようにして、ポストテンション補強板2と下部フランジ
1bとの間に桁行方向の相互反力が働き、調整用楔4B
の挿入量に応じて、下部フランジ1bに対するポストテ
ンション補強板2の桁行方向の相対変位量が制御される
こととなる。
【0029】このようにしてポストテンション補強板2
を所定量相対変位させた後は、この状態で、ウェブ1c
の両側において上記仮ボルト8A,8Aとナット8B,
8Bの代わりに高力ボルトとナットを用いてポストテン
ション補強板2の他端部2bを下部フランジ1bに摩擦
接合し、次いで、楔4A,4B,4Cを作用孔1h,2
h,3hから抜去し、補強板2から傾斜防止板3を取り
除き、楔を抜去した後の作用孔に高力ボルトを挿入して
固定するのが望ましい。
【0030】尚、前述した例では、ポストテンション補
強板2の相対変位量に十分に対処するために、図4
(b)に示したように作用孔の形状は長円形状にした
が、これに限らず、図5(a),(b)に示すように第
1〜第3作用孔1h’,2h’,3h’の形状を真円形
にしても構わない。図5(a)は、これら作用孔1
h’,2h’,3h’に挿入した調整用楔4A,4Cお
よび圧入用楔4Bを示す概略断面図、同図(b)は、同
図(a)のC−C断面図である。
【0031】また、図7(a)〜(c)に、本発明に係
る楔の他の構成例を示して説明する。図7(a)〜
(c)の各図は、上記第1〜第3作用孔に挿入し得る各
種楔を示す概略断面図である。
【0032】図7(a)に示す例は、単独の圧入用楔2
0を用いてこれを第1〜第3作用孔1h,2h,3hに
挿入したものである。圧入用楔20の両側面20a,2
0bは、テーパー形状をなし、第1〜第3作用孔1h,
2h,3hの壁面と平行になり難いので両者の接触面積
は小さく、大きな荷重の伝達には適さない。
【0033】また、図7(b)に示す例では、2本の圧
入用楔21A,21Bを用いている。一方の圧入用楔2
1Bの外側面は第1作用孔1hおよび第3作用孔3hの
壁面と略平行に当接する形に形成され、他方の圧入用楔
21Aの外側面は第2作用孔2hの壁面と略平行に当接
する形で形成されており、圧入用楔21A,21Bの内
側面には互いに滑り面となるべく傾斜平面が形成されて
いる。
【0034】そして、図7(c)に示す例は、2本の調
整用楔22A,22Bと4本の圧入用楔23A,23
B,23C,23Dを用いたものである。4本の圧入用
楔23A,23B,23C,23Dには、互いに当接す
る側面に傾斜滑り面が形成されている。このような楔の
構成例では、多数の圧入用楔を用いるためポストテンシ
ョン荷重を微調整することができ、上下両方向から楔を
圧入できるため偏心荷重が少ないバランスの良い荷重導
入が可能である。
【0035】次に、上述のポストテンション補強工法に
おけるポストテンション補強板や被補強桁に導入する荷
重について定量的に詳説する。
【0036】一般に、単独の楔により導入できる最大荷
重は、楔および作用孔壁の耐荷重のうち何れか小さい方
の値である。作用孔壁の耐荷重は、鋼材の支圧強度によ
り決定され、次式の通りとなる。
【0037】 Sp=Apσp =tpBσp (1)
【0038】上式(1)中、Apは作用孔壁の楔と接す
る面の断面積、tpはポストテンション補強板の板厚、
Bは楔の幅、σpは用いる鋼材の支圧強度である。
【0039】実用のボルトの直径は22mmが多数であ
るから、このサイズに適した楔として当該楔の幅Bを2
1mmとし、かかる場合の種々の板厚および鋼材材質に
おける作用孔壁の耐荷重Sp(単位:kN)の値を計算
した例を以下の表1に示す。耐荷重とは、被補強フラン
ジおよび傾斜防止板の作用孔壁の荷重分担割合を考慮し
た耐荷重の合計量と、ポストテンション補強板の作用孔
壁の耐荷重とのうち小さい方の値である。通常は後者の
補強板作用孔壁の耐荷重の方が小さく、本例は後者につ
いて例示した。
【0040】
【表1】
【0041】楔の強度については、本発明者(並木宏
徳)により「免震構造のせん断キ−型トリガ−装置の破
壊特性に及ぼす曲げの影響」(日本機械学会講演論文
集,No.988−1.九州支部第51期総会講演会)
において報告されている。これによると、せん断荷重を
受ける楔の挙動は曲げ変形拘束形と曲げ変形許容形とに
より異なり、本例は曲げ変形許容形に該当する。しか
し、本例のように楔の供用範囲がほぼ弾性領域にあると
見なしうるならば、曲げ変形許容形では同一荷重に対す
る変位量が曲げ変形拘束形より大とはなるが、両者の弾
性限界荷重に大差はないことが示されており、楔の供用
荷重Skは次式で近似することができる。
【0042】Sk=Akτk (2)
【0043】上式(2)中、Akは楔の断面積、τkは楔
に用いる鋼材の許容せん断応力である。楔の材質として
は、機械構造用炭素鋼鋼材を用いるのが一般的であり、
大きな供用荷重を要求される場合は焼き入れなどの熱処
理を施して用いるのが望ましい。
【0044】また、楔の供用荷重は、楔の断面積を増す
こと、並びに熱処理などにより強度を上げることにより
容易に増加させることができるのに対し、作用孔壁の耐
荷重は補強板の材質および厚さにより決まるので、導入
するポストテンション荷重N pに対し必要な楔本数nは
次式により決定されることが望ましい。
【0045】n ≧ Np/Sp (3)
【0046】また、後に詳述するように、一般の鋼桁の
場合、前記ポストテンション補強板および被補強桁に導
入される応力をそれぞれσpおよびσfとし、当該補強区
間の長さをL、被補強桁に対するポストテンション補強
板の桁行方向相対変位量をΔL、被補強桁およびポスト
テンション補強板の弾性係数をそれぞれEfおよびEp
するとき、
【0047】 ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef) (4)
【0048】に相当する桁行方向相対変位量ΔLを与え
るように楔を打ち込むことが好ましい。これより楔を圧
入する際の作用孔の設定ずれ量Ghを計算することがで
きる。これは、Geを組み立て誤差などに相当する余裕
量としたときに、
【0049】 Gh=ΔL+Ge (5)
【0050】で表現できる。作用孔壁および楔の変形量
もこの設定ずれ量Ghの中に含める必要がある。
【0051】更に、上記の楔の挿入量と導入予定のポス
トテンション荷重との関係につき以下に詳説する。
【0052】今、ポストテンション補強板の断面積をA
p、ポストテンション補強板に導入されたポストテンシ
ョン荷重をNpとするとき、導入時のポストテンション
補強板の応力度σpは次式で表現される。
【0053】 σp=Np/Ap (Ap:ポストテンション補強板の断面積) (6)
【0054】また、被補強桁の被補強フランジ最外縁に
作用する応力度σfは、ポストテンション荷重Npによる
圧縮応力σcと、荷重Npが被補強桁に偏心して作用する
ため発生する偏心曲げモ−メントMpによる曲げ応力σ
bcとの和、すなわち次式(7)で表現される。
【0055】 σf=σcbc=−Np/As−Mpf/Is (7)
【0056】上式(7)中、Asは被補強桁の断面積、
pは被補強桁に作用する曲げモーメント、Isは被補強
桁の断面二次モーメント、yfは被補強桁の中立軸から
被補強フランジ最外縁までの距離である。
【0057】また、被補強桁に作用する曲げモーメント
pは、次式(8)で表現される。
【0058】 Mp=Np(yf +tp/2) (8)
【0059】上式(8)中、tpはポストテンション補
強板の板厚である。
【0060】また、被補強フランジ最外縁に対するポス
トテンション補強板の相対歪みεは補強板の弾性係数を
p、被補強桁の弾性係数をEfとした時、次式(9)で
表現される。
【0061】 ε=(σp/Ep−σf /Ef) (9−1)
【0062】本実施形態ではポストテンション補強板と
被補強桁はともに鋼からなるので、ポストテンション補
強板と被補強桁の弾性係数Eは略等しくなり、(9−
1)式は次のように変形される。
【0063】 ε=(σp−σf )/E (9−2)
【0064】このとき、必要な相対変位量は次式(1
0)で表現される。
【0065】 ΔL=Lε=L(σp−σf )/E (10)
【0066】従って、楔の側面の勾配を1/mとする
と、相対変位量ΔLに相当する楔の打込み量(楔挿入
量)Kは、
【0067】 K=mΔL (11)
【0068】で示される。
【0069】H形鋼(H400×200×8×13)を
被補強桁とし、このH形鋼を、固定点間の長さL(22
0cm)をもつポストテンション補強板(208×1
3)を用いてポストテンション補強した場合の相対変位
量ΔL、楔挿入量K、および導入される応力度σpとを
計算した結果を、以下の表2に示す。尚、楔挿入位置と
ボルトなどで固定する位置とは桁行方向に僅かにずれる
ことが多い。相対変位量ΔLを算定する際の補強板の長
さLとしては、図2に示すように固定点間距離を取ると
誤差が少ないので好ましくなる。
【0070】
【表2】
【0071】尚、表2中の値は、上式(6)〜(11)
を用いて、固定点間の長さL=196cm、補強板の断面積A
p= 27.04 cm2;被補強桁の断面積As= 83.37 cm2;被補
強桁の断面二次モーメントIs=23,500 cm4;被補強桁の
中立軸から被補強フランジ最外縁までの距離yf =20 c
m;鋼の弾性係数E= 2,100,000×9.806 N/cm2;楔の勾配
1/m=1/53(実測値)として計算された。
【0072】通常被補強フランジに導入されるポストテ
ンション応力は−100N/mm2以下であると考えら
れるから、上に掲げた表2から本計算例の桁の場合、相
対変位量が2mm程度、楔挿入量を100mm程度とす
ることで所定のポストテンション荷重を容易に得られる
ことが判る。実際の橋桁におけるポストテンション補強
板の長さは本例より長いことが多いと予想されるが、そ
の長さは本例の10倍程度までの場合が多いと推定され
る。かかる場合、長い楔を用いたり、図7(c)に示し
たように多数の楔を用い、且つ楔挿入孔を長円形とする
ことで対処可能であり、本発明に係るポストテンション
補強工法が実用的な方法であることが理解される。
【0073】また、上記したように本発明に係るポスト
テンション補強工法により被補強桁にポストテンション
荷重を導入した後は、被補強桁とポストテンション補強
板とをエポキシ樹脂などの接着剤を用いて接着固定し両
者一体となすことが好ましい。すなわち、上記実施形態
の場合、ポストテンション補強後に、ポストテンション
補強板2と下部フランジ1bとの境界面に接着剤を注入
する。ポストテンション補強板2と下部フランジ1bと
の間の固定度が不足すると考えられるときはバネクリッ
プなどを用いて両者を圧着し固定することも出来る。ま
た被補強桁である橋桁にキャンバがあり両者の隙間が大
きい時は、鋼材などで製作したパッキングを挿入した
り、モルタルなどの安価な材料を注入したりしてせん断
力の伝達を計っても良いが、両者一体とする場合はポス
トテンション補強板と被補強フランジ間のせん断強度を
確保できる材料を用いる必要がある。こうした接着固定
によりポストテンション補強板から被補強フランジへせ
ん断力が確実に伝達し、活荷重に対する補強効果を確保
できる。
【0074】また、上記実施形態では直線桁をポストテ
ンション補強した例を示したが、本発明に係る橋梁の補
強方法を曲線桁に適用することも可能である。図8およ
び図9に被補強桁たる曲線箱桁30を示す。図8は、ポ
ストテンション補強された曲線桁30の概略側断面図で
あり、図9は、その曲線箱桁30の底面図である。各図
において、符号30aは曲線箱桁30の上部フランジ、
30bはその下部フランジ、30cはウェブ(腹板)、
31は下部フランジ30bの底面に添接したポストテン
ション補強板、32Aはボルト、32Bはナット、を示
している。
【0075】図示した曲線箱桁30を曲線状のポストテ
ンション補強板31を用いて補強する手順は、上記した
直線桁の補強手順と略同様である。曲線箱桁30の下部
フランジ30bは、桁行方向に亘り所定の曲率をもつ曲
線に沿って湾曲している。そこで、先ず曲線箱桁30の
曲率を規定する曲線を桁行方向に沿った折れ線33a,
33b,33cで近似し、これら折れ線の折曲げ部を補
強板31を曲線箱桁30に接合する固定部とし、各固定
部で区画される領域S1,S2,S3にポストテンション
を導入するのが好ましい。
【0076】また、被補強桁の当該補強範囲を桁行直角
方向に亘り複数の補強領域に分割し、補強領域毎にポス
トテンション補強してもよい。この補強方法は、箱桁な
どの幅広な被補強桁を補強する際に効果的である。具体
的には、図10(a)に例示するように、被補強フラン
ジ40の下部表面を桁行直角方向に亘って2領域41
A,41Bに分割し、各領域にそれぞれポストテンショ
ン補強板42A,42Bを添接し、上記補強方法により
被補強フランジ40にポストテンションを付与する。も
しくは、図10(b)に例示するように、被補強フラン
ジ45の下部表面を、桁行直角方向に亘り複数の帯状の
領域46A,46B,…,46Fに6分割し、各領域に
それぞれポストテンション補強板47A,…,47Fを
添接して上記補強方法を適用することもできる。
【0077】このような補強工法により、各補強領域が
小さくなるため、各補強領域へ付与するポストテンショ
ン荷重の調整が容易になり、また、複数枚のポストテン
ション補強板を用いるから、1枚当たりの補強板の重量
が小さく済むため施工が極めて簡易になる。更には、各
補強領域におけるポストテンション荷重を調整すること
により被補強桁に加わる偏心荷重を簡易に低減させるこ
とができる。
【0078】次に、上記した本発明に係る橋梁の補強方
法の実験例について詳説する。
【0079】(実験方法)図11に示すように被補強桁
として橋桁の主桁1を用意した。図11(a)は、図1
と同様にしてポストテンション補強板2で補強した主桁
1の側面図、同図(b)は、主桁1の中央断面図(D−
D断面図)である。図11中、図1〜図4に示した符号
と同じ符号を示す部材は、略同構成を有するものとして
詳細な説明を省略する。本実験で使用した主桁1は、全
長3mのH形鋼(H400×200×8×13)であ
り、その両端部下面を単純支持されている。尚、上記表
1であげた計算例の条件は本実験例のものと同じであ
る。
【0080】ポストテンション補強板2の材質はJIS
規格のSM570で、長さ2.2mの帯板(幅208m
m×厚さ13mm)を用い、その桁行方向一端部を4本
のボルト7A,7A,…とナット7B,7B,…とで固
定する。また、図4に示したようにその他端部の下面に
沿って傾斜防止板3を添設し、ウェブ1cの両側におい
て当該他端部と傾斜防止板3とを楔4A,4B,4Cで
下部フランジ1bに取り付た。
【0081】実験は、ウェブ1bの両側において楔4
B,4Bを打ち込み、その打ち込み量(楔挿入量)とポ
ストテンション補強板2および被補強フランジ1bに作
用する応力とを測定した。表1より、単独の作用孔壁の
耐荷重は70.9kNであるので、導入予定荷重をその
2倍の量よりもやや少ない110kNとした。
【0082】また、ポストテンション補強板2および被
補強フランジ1bの応力は電気抵抗線歪みゲージ50
A,50B、51A、51Bを貼り付けて測定された。
これら歪みゲージの自己温度補償は11×10-6/℃で
あった。また測定位置は桁中央点付近(D−D断面付
近)とし、ポストテンション補強板2の応力はその下部
フランジ端からウェブ側に40mm入った2個所の平均
値で代表し、被補強フランジの応力はフランジ内側の同
位置2箇所の平均値で代表した。
【0083】(実験結果)本実験では、ウェブ1cの両
側においてポストテンション補強板2に貼った歪みゲ−
ジによる応力を計測しながら、これら歪みゲ−ジ51
A,51Bの計測値がほぼ等しくなるようにウェブ1c
の両側における圧入用楔4B,4Bを打ち込み、その間
の計測点の歪みと楔の挿入量とを測定した。その実験結
果を以下の表3に示す。
【0084】
【表3】
【0085】また、ポストテンション荷重導入完了時に
おける補強板応力、被補強フランジ内面応力および楔挿
入量について、実験値と計算値とを比較して表4に示
す。
【表4】
【0086】ここで、H形鋼の中立軸から被補強フラン
ジの歪みゲージ張り付け位置までの距離は、y=200
mm−13mm=187mmであるから、被補強フラン
ジの歪みゲ−ジ貼付位置の内面応力σHは次式で計算さ
れる。
【0087】 σH=σf y/yf (12)
【0088】図12は、実験開始からポストテンション
導入完了までの「楔挿入量 K」とポストテンション
「補強板応力σp」との対応関係を示すグラフである。
尚、グラフ中のライン52は、楔挿入量が24mm以上
の範囲における最小自乗法による直線である。
【0089】図12のグラフによれば、実験開始時に楔
と作用孔壁とは完全に密着していないので、楔打ち込み
の初期においては楔挿入量の増大にポストテンション荷
重の導入量が追従していないが、楔挿入量が20mmを
超えた付近からは、ポストテンション導入完了まで両者
は略直線関係を維持している。楔と作用孔壁とが完全に
密着するまでに要した楔挿入量を、図12のグラフから
14mmと判断し、これを楔挿入量の零点補正値として
算出した実験結果が表4記載の値であるが、零点補正し
てなお計算値との間に57%の差がある。この差の発生
原因は、楔が中央集中荷重を受ける梁となって発生する
曲げおよびせん断変形に、作用孔壁と楔の接触面不整に
伴う局部的な変形に起因する変位が加わったものである
と考えることが出来る。
【0090】本発明者(並木宏徳)他により「免震構造
のせん断キ−型トリガ−装置の破壊特性に及ぼす曲げの
影響」(日本機械学会講演論文集,No.988−1.
九州支部第51期総会講演会)において報告されている
通り、曲げ変形許容形では同一荷重に対する変位量が曲
げ変形拘束形より大となるが、弾性限界以内の領域では
荷重−変位量は線形関係にあることが示されており、実
験を通じてこの関係を求めることが出来る。本実験では
110kNの荷重が作用した楔打ち込み完了時点で、補
強板の相対変位量ΔLは、上式(11)より、(58m
m−37mm)/53=0.4mm(楔側面の勾配:1
/m=1/53)であったと推定できる。
【0091】また、コントロ−ル値である補強板応力が
計画量に達した時点でポストテンション荷重の導入は完
了としているので、補強板応力における実験値と計算値
は等しく、誤差は生じない。被補強フランジの内面応力
における誤差も小さく、計画通りポストテンション荷重
が導入されていることが示されている。
【0092】この実験結果により、導入するポストテン
ション荷重の大きさのコントロ−ルは補強板応力を歪み
ゲ−ジなどにより計測することにより容易に且つ精度良
く行うことができ、本工法の有効性が確認されたと考え
ることができる。
【0093】本実験のように被補強フランジに対するポ
ストテンション補強板の相対変位量が小さい場合、相対
変位量や楔挿入量で導入するポストテンション荷重をコ
ントロ−ルする利点は小さいが、実際の橋梁のように相
対変位量が大きい場合、相対変位量を計測してポストテ
ンション荷重をコントロ−ルすることができる。また、
図12のグラフで示したように楔挿入量とポストテンシ
ョン荷重とは線形関係を有するので、楔挿入量によりポ
ストテンション荷重をコントロ−ルする方法も実用に供
することが十分に可能である。
【0094】
【発明の効果】以上の如く、請求項1記載の橋梁の補強
方法によれば、被補強桁とポストテンション補強板との
間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単
または複数の楔を圧入して、前記被補強桁に対してポス
トテンション補強板を所定量相対変位させ、この状態の
ポストテンション補強板を被補強桁に固定した後、前記
楔を抜去するので、従来とは全く異なる方法により橋梁
をポストテンション補強し、配管などの添架スペースを
犠牲にすること無く橋梁の剛性を増して疲労強度を改善
することが可能となる。更には、楔はポストテンション
補強板と被補強桁とを強固につなぎつつその状態を保持
するから、被補強桁に対するポストテンション補強板の
相対変位量を正確に制御して、所望のポストテンション
荷重を正確に被補強桁に付与することが可能となる。
【0095】また、請求項2記載の橋梁の補強方法によ
れば、被補強桁およびポストテンション補強板にそれぞ
れ楔挿入用の第1および第2作用孔を形成し、これら第
1および第2作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1
作用孔の壁面に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔
の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると
同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張るの
で、入力した力を増幅し、部材同士の摩擦を増大させて
部材同士を強固につなぎ且つその状態を保持するという
楔の特性を最大限に生かして、被補強桁とポストテンシ
ョン補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるこ
とが可能となる。
【0096】また、請求項3記載の橋梁の補強方法によ
れば、被補強桁との間で前記ポストテンション補強板を
挟持するように、前記第1および第2作用孔に連通する
第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、これら作用孔
に楔を圧入し、該楔の一側面を第1および第3作用孔に
作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用さ
せるので、第1および第3作用孔により楔の一側面が2
壁面で支持されるので、圧入用楔を挿入する際にその姿
勢が安定し、楔の傾斜が防止されることから、非常に大
きなポストテンション荷重を導入でき、ポストテンショ
ン補強板の相対変位量を正確に制御することが可能とな
る。
【0097】また、請求項4記載の橋梁の補強方法によ
れば、前記ポストテンション補強板の相対変位量を楔の
挿入量で制御するので、楔挿入量により所望のポストテ
ンション荷重を制御することが可能となる。
【0098】また、請求項5記載の橋梁の補強方法によ
れば、前記楔が、ポストテンション補強板と被補強桁と
に当接する複数の調整用楔と、該調整用楔間に圧入され
る圧入用楔とからなるので、圧入用楔はポストテンショ
ン補強板や被補強桁に直接当接せず食い込みなどの局部
的変形が生じることがないことから、圧入用楔による反
力を調整用楔を通して円滑に当該ポストテンション補強
板と被補強桁とに伝達することが可能となる。
【0099】また、請求項6記載の橋梁の補強方法によ
れば、ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef)の関係式を満た
すようにポストテンション補強板を相対変位させるの
で、ポストテンション荷重を高精度で且つ効率良く付与
することが可能となる。
【0100】そして、請求項7記載の橋梁の補強方法に
よれば、ポストテンション補強後、ポストテンション補
強板と被補強桁とを接着して一体となすので、ポストテ
ンション補強板全体に亘り当該ポストテンション補強板
から被補強桁へのせん断力が確実に伝達し、当該補強区
間において橋梁に加わる活荷重に対して両者一体となっ
て応答するという補強効果を確保できる。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る橋梁の補強方法を説明するための
被補強桁の概略側面図である。
【図2】図1に示した被補強桁の底面図である。
【図3】図1に示した被補強桁のA−A断面図である。
【図4】長円形の作用孔に挿入した楔を示す拡大断面図
であり、(a)はその側面図、(b)は(a)のB−B
断面図、(c)は楔を作用孔に圧入したときの荷重伝達
の概略説明図である。
【図5】真円形の作用孔に挿入した楔を示す拡大断面図
であり、(a)はその側面図、(b)は(a)のC−C
断面図である。
【図6】万力で固定された傾斜防止板を示す概略断面図
である。
【図7】本発明に係る楔の他の実施形態を示す概略断面
図である。
【図8】ポストテンション補強された曲線箱桁の概略側
断面図である。
【図9】図8に示す曲線箱桁の底面図である。
【図10】(a)は、被補強フランジの下部表面を2領
域に分割し、各々の領域をポストテンション補強した状
態を示す概略図であり、(b)は、被補強フランジの下
部表面を6領域に分割し、各々の領域をポストテンショ
ン補強した状態を示す概略図である。
【図11】(a)は、ポストテンション補強板で補強さ
れた被補強桁を示す概略側面図であり、(b)は、
(a)のD−D断面図である。
【図12】楔挿入量とポストテンション補強板応力との
対応関係を示すグラフである。
【図13】荷重により弓なりに変形した橋桁を示す概略
側面図である。
【図14】従来のエクスタ−ナルポストテンション工法
によりポストテンション補強された橋桁を示す概略側面
図である。
【符号の説明】
1 被補強桁(H形鋼) 1a 上部フランジ 1b 下部フランジ(被補強フランジ) 1c ウェブ(腹板) 1h,1h’ 第1作用孔 2 ポストテンション補強板 2a ポストテンション補強板一端部 2b ポストテンション補強板他端部 2h,2h’ 第2作用孔 3 傾斜防止板 3a 傾斜防止板一端部 3h,3h’ 第3作用孔 4A,4C 調整用楔 4B 圧入用楔 6 万力 6a 締付顎部 6b 支持顎部 7A 高力ボルト 7B ナット 8A 仮ボルト 8B ナット 9 パッキング板 20 圧入用楔 20a,20b 圧入用楔の側面 21A,21B 圧入用楔 22A,22B 調整用楔 23A〜23D 圧入用楔 30 曲線箱桁 30a 上部フランジ 30b 下部フランジ 30c ウェブ 31 ポストテンション補強板 32A ボルト 32B ナット 33a,33b,33c 折れ線 40 被補強フランジ 41A,41B 帯状領域 42A,42B ポストテンション補強板 43 ボルト 45 被補強フランジ 46A〜46F 帯状領域 47A〜47F ポストテンション補強板 48 ボルト 50A,50B、51A、51B 歪みゲージ 52 最小自乗法によるライン 60 橋桁 60a 上部フランジ 60b 下部フランジ 60c ウェブ(腹板) 61 圧縮応力 62 引張応力 70 橋桁 70a 上部フランジ 70b 下部フランジ 70c ウェブ(腹板) 71,72 定着装置 73,74 取付具 75 外ケーブル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 橋梁の被補強桁の表面に沿ってポストテ
    ンション補強板を配設し、 前記被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方
    向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単または複数
    の楔を圧入して、前記被補強桁に対してポストテンショ
    ン補強板を所定量相対変位させ、 相対変位した状態のポストテンション補強板を被補強桁
    に固定することにより、被補強桁をポストテンション補
    強することを特徴とする橋梁の補強方法。
  2. 【請求項2】 前記被補強桁およびポストテンション補
    強板にそれぞれ楔挿入用の第1および第2作用孔を形成
    し、 前記第1および第2作用孔に楔を圧入し、 該楔の一側面を第1作用孔の壁面に作用させ且つ該楔の
    他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁
    行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁
    行方向に引張り、被補強桁とポストテンション補強板と
    の間に桁行方向の相互反力を生ぜしめてなる請求項1記
    載の橋梁の補強方法。
  3. 【請求項3】 被補強桁との間で前記ポストテンション
    補強板を挟持するように、前記第1および第2作用孔に
    連通する第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、 第1、第2および第3作用孔に楔を圧入し、 該楔の一側面を第1および第3作用孔に作用させ且つ該
    楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁
    を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板
    を桁行方向に引張り、被補強桁とポストテンション補強
    板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめてなる請求項
    2記載の橋梁の補強方法。
  4. 【請求項4】 前記ポストテンション補強板の相対変位
    量を楔の挿入量で制御してなる請求項1〜3の何れか1
    項に記載の橋梁の補強方法。
  5. 【請求項5】 前記楔が、ポストテンション補強板と被
    補強桁とに当接する複数の調整用楔と、該調整用楔間に
    圧入される圧入用楔とからなる請求項1〜4の何れか1
    項に記載の橋梁の補強方法。
  6. 【請求項6】 前記ポストテンション補強板および被補
    強桁に導入される応力をそれぞれσpおよびσfとし、当
    該補強区間の長さをL、被補強桁に対するポストテンシ
    ョン補強板の桁行方向相対変位量をΔL、被補強桁およ
    びポストテンション補強板の弾性係数をそれぞれEf
    よびEpとするとき、ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef
    の関係式を満たすようにポストテンション補強板を相対
    変位させてなる請求項1〜5の何れか1項に記載の橋梁
    の補強方法。
  7. 【請求項7】 ポストテンション補強後、ポストテンシ
    ョン補強板と被補強桁とを接着して一体となす請求項1
    〜6の何れか1項に記載の橋梁の補強方法。
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