JP2001247820A - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JP2001247820A
JP2001247820A JP2000015029A JP2000015029A JP2001247820A JP 2001247820 A JP2001247820 A JP 2001247820A JP 2000015029 A JP2000015029 A JP 2000015029A JP 2000015029 A JP2000015029 A JP 2000015029A JP 2001247820 A JP2001247820 A JP 2001247820A
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cationic
monomer
particles
polymer particles
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JP2000015029A
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English (en)
Inventor
Koji Tamori
功二 田守
Satoshi Futami
聡 二見
Katsuhiko Tsuruoka
勝彦 鶴岡
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JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カチオン性重合体をバインダー成分として用
い、保存安定性に優れ、軽量で隠蔽性の高い塗膜を形成
することができる塗料組成物を提供すること。 【解決手段】〔1〕pH2〜9の水媒体中で測定された
ゼータ電位が+5〜+100mVの範囲にあるカチオン
性中空架橋重合体粒子と、〔2〕皮膜形成性カチオン性
重合体とを含有する塗料組成物が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カチオン性中空架
橋重合体粒子と皮膜形成性カチオン性重合体を含有し、
保存安定性に優れ、かつ軽量で隠蔽性の高い塗膜を形成
することができる塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン性重合体は、たとえば建築物の
内外装塗料として一般的に用いられるアクリル塗料など
のアニオン性樹脂をバインダー樹脂とした塗料を下地と
した塗膜の上塗り塗料のバインダー樹脂に用いられて、
密着性に優れる塗膜を形成することや、エポキシ基を有
する樹脂と強靱な硬化皮膜を形成するなど、塗料用の樹
脂として特徴のある性能を有する。しかしながら、一般
的な塗料の顔料として使用される酸化チタン、炭酸カル
シウムなどの表面はアニオン性であるため、カチオン性
樹脂をバインダー樹脂とし、かつこれらの顔料を含む塗
料は保存安定性に劣るという欠点を有していた。
【0003】一方、中空樹脂粒子は、軽量化に有効で隠
蔽性の高い顔料として使用されているが、一般に表面は
アニオン性であり、カチオン性樹脂をバインダー樹脂と
する塗料に配合すると、上記酸化チタン、炭酸カルシウ
ムなどの顔料を配合したときと同様に、塗料の保存安定
性が劣る。また、これまでの中空樹脂粒子は、塗料配合
に常用される可塑剤や有機溶剤に溶解してしまったり、
加熱乾燥時に融解してしまうという欠点を有しているた
め、中空樹脂粒子を顔料とする塗料はごく限られた分野
でのみ使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カチ
オン性重合体をバインダー成分として用い、保存安定性
に優れ、軽量で隠蔽性の高い塗膜を形成することができ
る塗料組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、下記構
成の塗料組成物が提供されて、上記目的が達成される。 1.〔1〕pH2〜9の水媒体中で測定されたゼータ電
位が+5〜+100mVの範囲にあるカチオン性中空架
橋重合体粒子と、〔2〕皮膜形成性カチオン性重合体と
を含有することを特徴とする塗料組成物。 2.カチオン性中空架橋重合体粒子が、架橋性モノマー
から導かれる構造単位5〜90重量%と該架橋性モノマ
ーと共重合可能な他のモノマーから導かれる構造単位9
5〜10重量%(ここで、両者の合計量は100重量%
である)とからなることを特徴とする上記1に記載の塗
料組成物。 3.カチオン性中空架橋重合体粒子が、(1)ラジカル
重合開始剤を用いて(a)架橋性モノマー1〜100重
量%、(b)カチオン性モノマー0〜15重量%、およ
び(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマー
0〜99重量%(モノマーの総合計量は100重量%で
ある)を、これらのモノマーの少なくともいずれかに対
して膨潤可能なポリマー粒子の存在下に、重合すること
により製造されたものであり、しかも(2)該ポリマー
粒子が、ラジカル重合開始剤を用いて(b)カチオン性
モノマー0〜30重量%および(d)該カチオン性モノ
マーと共重合可能な非イオン性モノマー70〜100重
量%(モノマーの総合計量は100重量%である)を重
合して得られたポリマー粒子であり、かつ(3)上記
(1)および(2)におけるラジカル重合開始剤のいず
れか一方あるいは両方がカチオン基を有するラジカル開
始剤であることを特徴とする上記1または2に記載の塗
料組成物。
【0006】本発明の塗料組成物に含有されるカチオン
性中空架橋重合体粒子は、広いpH領域でカチオン性を
維持し、架橋構造に基づく耐溶剤性及び耐熱性を有して
いるので、皮膜形成性カチオン性重合体をバインダー成
分として用いた本発明の塗料組成物は、保存安定性に優
れ、軽量で隠蔽性の高い塗膜を形成することができ、広
い分野に使用することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の塗料組成物につい
てより詳細に説明する。まず、塗料組成物を構成する成
分について述べる。
【0008】〔カチオン性中空架橋重合体粒子〕カチオ
ン性中空架橋重合体粒子(以下、単に「中空架橋粒子」
ともいう)は、pH2〜9の水媒体中で測定されたゼー
タ電位が+5〜+100mV、好ましくは+10〜+6
0mVの範囲の範囲にある。好ましい態様において、中
空架橋粒子は、容積中空率が好ましくは1〜80%、さ
らに好ましくは3〜40%の範囲にあり、しかも平均粒
子径が好ましくは0.03〜10μm、さらに好ましく
は0.1〜5μmの範囲にある粒子である。
【0009】ゼータ電位は、粒子のイオン性を表す指標
であり、本発明の中空架橋粒子のゼータ電位が上記範囲
にあることは、酸性からアルカリ性の広範囲の環境下に
おいてカチオン性を帯びることを示している。即ち、酸
性からアルカリ性の広範囲の雰囲気下においてもバイン
ダー成分である皮膜形成性カチオン性重合体と凝集する
ことがなく、塗料組成物は保存安定性に優れる結果とな
る。中空架橋粒子のゼータ電位の測定は、下記の方法に
よって行われる。 (ゼータ電位の測定方法)粒子の水性分散体を0.1規
定の塩化カリウム水溶液で粒子固形分濃度が0.1重量
%となるように希釈し、これを塩酸または水酸化カリウ
ムでPH2、6、9に調整し、それぞれのpHにおける
ゼータ電位をレーザードップラー法ゼータ電位測定器に
より測定する。
【0010】容積中空率は、粒子に占める空孔の容積割
合である。容積中空率が1%未満であると中空架橋粒子
として実質上機能しない。また。容積中空率が80%を
越えると強度が低下し、好ましくない。本発明において
容積中空率の測定は、下記の方法によって行われる。 (容積中空率の測定方法)粒子の水性分散体を蒸留水で
粒子固形分濃度が0.1重量%となるよう希釈し、これ
をコロジオン膜を設けた銅メッシュに滴下、乾燥させ、
透過型電子顕微鏡にて粒子を撮影し、得られた写真から
中空架橋粒子100個の内径、外径を測定し、得られた
平均内径と平均外径の比の3乗を容積中空率とする。
【0011】中空架橋粒子の平均粒子径は、上記したよ
うに、好ましくは0.03〜10μmの範囲にあり、微
粒子状である。粒子径がこの範囲であれば、塗料溶剤へ
の分散性、塗膜強度、塗料の安定性の点において好まし
い結果が得られる。平均粒子径が0.03μm未満の中
空架橋粒子は製造上困難であり、一方平均粒子径が10
μmを越えると塗料が不安定となり好ましくない。本発
明において平均粒子径の測定は、下記の方法によって行
われる (平均粒子径の測定方法)粒子の水性分散体を蒸留水で
適宜希釈し、動的光散乱法粒子径測定器を用いて平均粒
子径を測定する。
【0012】本発明の塗料組成物に含有される上記カチ
オン性中空架橋重合体粒子は、酸性からアルカリ性の広
範囲の雰囲気下においてもカチオン性を維持し、十分な
強度および分散性を有しているので、塗料の白色顔料と
して優れる。中空架橋粒子は、さらに下記の特性を有す
ることが好ましい。まず、トルエン、アルコールなどの
有機溶剤に対する耐溶剤性を有することが好ましい。耐
溶剤性を有することにより、塗料へ配合した場合、粒子
の形状が保たれるという利点を有する。具体的には、2
5℃におけるトルエンへの溶解分が10%以下であるこ
とが好ましい。さらには、耐熱性を有することが好まし
い。耐熱性を有することにより、高温の乾燥工程でも粒
子の形状が保たれるという利点を有する。具体的には、
熱天秤(TGA)による測定で、10%減少温度が24
0℃以上であることが好ましい。このような耐溶剤性や
耐熱性は、モノマー種を適切に選択することにより発現
することができる。
【0013】カチオン性中空架橋重合体粒子を構成する
重合体として、例えばアクリル系樹脂、ポリスチレン系
樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポ
リカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノー
ル系樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、フッ素樹脂、ブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂
あるいは熱硬化性樹脂が挙げられる。そして中空架橋粒
子を構成する上記重合体の少なくとも一部はカチオン基
を有していることが必須である。本発明では、カチオン
基は、アミノ基等のプロトンと結合してカチオンを形成
し得る基および該基が酸と反応して塩を生成し、塩のカ
チオン部を形成している基を包含する。カチオン基の具
体例として、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ
基;4級アミノ基、2級イミノ基、3級イミノ基、4級
イミノ基;各級のアミジノ基、イミジノ基、ヒドラジノ
基;さらにピリジル基等の窒素原子を含む環状基等を挙
げることができる。
【0014】中空架橋粒子中のカチオン基の濃度は、好
ましくは0.05〜300mmol/100g粒子、よ
り好ましくは1〜100mmol/100g粒子であ
る。
【0015】中空架橋粒子は、架橋性モノマーから導か
れる構造単位と該架橋性モノマーと共重合可能な他のモ
ノマーから導かれる構造単位とからなることが好まし
い。そして、架橋性モノマーから導かれる構造単位の割
合は、好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは1
0〜60重量%、特にに好ましくは15〜50重量%で
あり、他のモノマーから導かれる構造単位の割合は、好
ましくは95〜10重量%、さらに好ましくは90〜4
0重量%、特に好ましくは85〜50重量%である(こ
こで、両者の構造単位の合計量は100重量%であ
る)。このように中空架橋粒子に架橋性モノマーから導
かれる構造が上記範囲で存在していることは、中空架橋
粒子が架橋構造を多く有することを意味し、中空架橋粒
子の強度および耐熱性が良好となり、好ましい結果をも
たらす。ここで、架橋性モノマーから導かれる構造単位
と他のモノマーから導かれる構造単位との割合は、中空
架橋粒子を構成する全重合体の平均としての値である。
例えば、中空架橋粒子を得るための好ましい方法である
下記の製造方法(I)〜(IV)においては、膨潤可能ポ
リマー粒子の重合体と該膨潤可能ポリマー粒子の存在下
に重合が行われ生成した重合体との平均値として、上記
割合が算出される。
【0016】このような本発明のカチオン性中空架橋重
合体粒子を製造する方法としては、特に制限されない
が、下記の製造方法(I)〜(IV)が好ましい。
【0017】以下、これらの製造方法(I)〜(IV)に
ついて説明する。まず、製造方法(I)〜(IV)の方法
で使用される(a)〜(d)のモノマー、およびカチオ
ン基を有するラジカル重合開始剤等について詳述する。 <モノマー> (a)架橋性モノマー ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、2,2'−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピオキシフェニル〕プロパン、2,2'−ビス〔4
−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル〕プ
ロパン、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールブロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のジビニル
系モノマー、トリビニル系モノマー及びテトラビニル系
モノマーが挙げられる。なかでも、ジビニルベンゼン、
エチレングリコールジメタクリレートおよびトリメチロ
ールプロパントリメタクリレートが好ましい。これらは
1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0018】(b)カチオン性モノマー 2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、3−ジメチ
ルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアル
キル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこれらの
塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等による4
級塩;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)
アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル
(メタ)アクリレート、3−(ジメチルアミノエトキ
シ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルコキ
シアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びこ
れらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等に
よる4級塩;N−(2−ジメチルアミノエチル)(メ
タ)アクリルアミド、N−(2−ジエチルアミノエチ
ル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ジメチルアミ
ノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメ
チルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド等のN−
アミノアルキル基含有(メタ)アクリルアミド類及びこ
れらの塩化メチレン、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等に
よる4級塩等が挙げられる。なかでも、2−ジメチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、N−(2−ジメチル
アミノエチル)(メタ)アクリルアミド、及びこれらの
塩化メチレンによる4級塩が好ましい。これらは、1種
単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することが
できる。
【0019】(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン
性モノマー ここで、(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モ
ノマーは、上記(a)架橋性モノマーあるいは(b)カ
チオン性モノマーのいずれかと共重合可能であって、非
架橋性かつ非イオン性のモノマーである。このようなモ
ノマーとして、スチレン、α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単
量体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルア
クリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチ
ルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメ
タクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタク
リレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステル
およびメタクリル酸エステル;ブタジエン、イソプレン
等のジオレフィン;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエ
ステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビ
ニリデン等を挙げることができる。なかでも、スチレ
ン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルメ
タクリレート、ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ
エチルアクリレートが好ましい。これらのモノマーは、
1種単独であるいは2種以上を組み合わせて使用するこ
とができる。
【0020】(d)上記(b)カチオン性モノマーと共
重合可能な非イオン性モノマー このモノマーは、(b)カチオン性モノマーと共重合可
能である条件を満たすこと以外は、上記(a)架橋性モ
ノマー及び(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性
モノマーと同様である。その具体例として、(a)架橋
性モノマー及び(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオ
ン性モノマーで例示したモノマーを、好ましいモノマー
を含んでそのまま挙げることができる。但し、架橋性モ
ノマーは、本発明の目的の達成を損なわない範囲で必要
に応じて使用される。これらのモノマーは1種単独であ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】<カチオン基を有するラジカル重合開始剤
>このラジカル重合開始剤は、これを用いたラジカル重
合により得られたポリマーがその末端に該ラジカル重合
開始剤に由来するカチオン基を有するようになるもので
ある。好ましいカチオン基を有するラジカル重合開始剤
としては、アミジノ基、イミジノ基あるいはピリジウム
基を有するアゾビス型の開始剤が挙げられる。また、1
0時間半減期温度が40〜95℃の範囲にあるものが温
和な条件下で重合を行うことができるので好ましい。カ
チオン基を有するラジカル重合開始剤の好ましい具体例
として、下記のものを挙げることができる。
【0022】・2,2'−アゾビス(2−メチル−N−フ
ェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(和光
純薬工業(株)から商品名VA−545として販売) ・2,2'−アゾビス〔N−(4−クロロフェニル)−2
−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和
光純薬工業(株)から商品名VA−546として販売) ・2,2'−アゾビス〔N−(4−ヒドロキシフェニル)
−2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド
(和光純薬工業(株)から商品名VA−548として販
売) ・2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(フェニルメチ
ル)−プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光
純薬工業(株)から商品名VA−552として販売) ・2,2'−アゾビス〔2−メチル−N−(2−プロペニ
ル)プロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド(和光純
薬工業(株)から商品名VA−553として販売) ・2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)
ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名V
−50として販売) ・2,2'−アゾビス〔N−(2−ヒドロキシエチル)−
2−メチルプロピオンアミジン〕ジヒドロクロライド
(和光純薬工業(株)から商品名VA−558として販
売) ・2,2'−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−
2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(和光純
薬工業(株)から商品名VA−057として販売)
【0023】・2,2'−アゾビス〔2−メチル−(5−
メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒ
ドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−
041として販売) ・2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業
(株)から商品名VA−044として販売) ・2,2'−アゾビス〔2−(4,5,6,7−テトラヒ
ドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパ
ン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品
名VA−054として販売) ・2,2'−アゾビス〔2−(3,4,5,6−テトラヒ
ドロピリミジン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロラ
イド(和光純薬工業(株)から商品名VA−058とし
て販売) ・2,2'−アゾビス〔2−(5−ヒドロキシ−3,4,
5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパ
ン〕ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)から商品
名VA−059として販売) ・2,2'−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒド
ロクロライド(和光純薬工業(株)から商品名VA−0
60として販売) ・2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン〕(和光純薬工業(株)から商品名VA−
061として販売) なかでも、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンア
ミジン)ジヒドロクロライド(V−50)、2,2'−ア
ゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプ
ロピオンアミジン〕ハイドレート(VA−057)、
2,2'−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン〕ジヒドロクロライド(VA−044)の
使用が好ましい。
【0024】次にカチオン性中空架橋重合体粒子を製造
するための製造方法(I)〜(IV)について説明する。 <製造方法(I)>本方法(I)においては、(a)架
橋性モノマー1〜99.99重量%、好ましくは5〜8
0重量%、さらに好ましくは15〜70重量%、(b)
カチオン性モノマー0.01〜15重量%、好ましくは
0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量
%、および(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性
モノマー0〜98.99重量%、好ましくは10〜9
4.99重量%、さらに好ましくは25〜84.5重量
%(モノマーの総合計量は100重量%である)を、重
合に使用する上記モノマーの少なくともいずれかに対し
て膨潤可能なポリマー粒子(以下、単に「膨潤可能ポリ
マー粒子」ともいう)の存在下に、重合することによ
り、好ましくは水性媒体中で重合することにより中空架
橋粒子が製造される。
【0025】上記方法において、中空架橋粒子が形成さ
れるメカニズムは必ずしも明らかではないが、例えば水
性媒体中に架橋性モノマーを含んだ重合性モノマーのほ
かに、膨潤可能ポリマー粒子を共存させることにより、
重合時において、膨潤可能ポリマー粒子内部に滲入した
モノマーが重合してポリマーに変換する際の体積変化が
効果的に生じ、その結果、架橋ポリマーの内部に空孔が
形成されて架橋ポリマーによる中空体が形成されるもの
と考えられる。一方、膨潤可能ポリマー粒子が存在しな
い場合には、空孔は形成されない。この推測は、製造方
法(I)のみならず、他の製造方法(II)〜(IV)にも
適用されると考えられる。
【0026】本方法で、(a)架橋性モノマーの使用量
が1重量%未満と過少であると、重合中の粒子の強度が
不十分となつて粒子全体が収縮してしまい、粒子内部の
重合収縮による歪が不足して内孔が形成されなくなり、
あるいは内孔を有するポリマー粒子が形成されたとして
も強度が小さくなる等の問題を生ずる。(a)架橋性モ
ノマーの使用量が99.99重量%を越えて過剰である
と、(b)カチオン性モノマーの使用量が少なくなり、
得られる中空架橋粒子のカチオン性が低い。 なお、(a)架橋性モノマーの使用量は、通常市販され
ている架橋性モノマー材料に含まれている不活性溶剤お
よび単官能の非架橋性モノマー成分を除いた純品換算で
ある。 (b)カチオン性モノマーの使用量が0.01重量%未
満と過少であると、得られる中空架橋粒子のカチオン性
が低下し、前記したゼータ電位に関する条件を満たさな
くなる。また、カチオン性モノマーの使用量が15重量
%を越え過剰であると、重合時に凝集物を生じるため好
ましくない。 (c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマー
は、所望により親水性を変化させたり、耐熱性を向上さ
せたりするために任意に用いられるモノマーである。そ
の使用量が98.99重量%を越えて過剰であると、
(a)架橋性モノマーや(b)カチオン性モノマーの使
用量が少なくなり、得られる重合体粒子の強度やカチオ
ン性が低下する。
【0027】なお、本発明で、「モノマーに膨潤可能」
とは、ポリマー粒子がモノマーを吸収し得る場合を意味
し、そのモノマーがポリマー粒子を溶解し得る場合も含
んで用いられる。
【0028】上記膨潤可能ポリマー粒子を構成するポリ
マーとして、好ましくはスチレン単独重合体およびスチ
レンの共重合体から選ばれる少なくとも1種が用いられ
る。該スチレンの共重合体としては、スチレンと、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル及びアクリロニ
トリルから選ばれる少なくとも1種との共重合体が挙げ
られる。これらのうち、特にスチレン単独重合体または
スチレン成分を50重量%以上含むスチレン共重合体が
好ましい。
【0029】膨潤可能ポリマー粒子の使用量は、重合に
用いる(a)架橋性モノマー、(b)カチオン性モノマ
ー、(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノマ
ーの全使用量100重量部当たり、1〜100重量部、
好ましくは2〜50重量部、更に好ましくは5〜20重
量部である。膨潤可能ポリマー粒子の使用量が1重量部
より少ないと容積中空率が小さくなり、一方膨潤可能ポ
リマー粒子の使用量が100重量部より多いとかえって
空孔の形成が抑制される傾向が生じるという問題を生ず
る。
【0030】膨潤可能ポリマー粒子を水性分散体中に存
在させて重合を行なう方法としては、膨潤可能ポリマー
粒子を水性媒体中に分散させたまま、これに上記
(a)、(b)および(c)の重合性モノマーのいずれ
かを膨潤させた後重合する方法を好ましく採用すること
ができる。この場合、膨潤可能ポリマー粒子が種(シー
ド)ポリマー粒子として機能し、これに上記重合性モノ
マーのいずれかが良好に膨潤することが極めて好まし
い。そのためには、膨潤可能ポリマー粒子を構成するポ
リマーは、分子量が小さいものであることが好ましく、
例えばその数平均分子量が20000以下、好ましくは
10000以下、さらに好ましくは700〜7000で
ある。
【0031】ここで、数平均分子量は、膨潤可能ポリマ
ー粒子をその良溶媒に溶かし、得られた溶液を用いてゲ
ルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で測
定される値である。膨潤可能ポリマー粒子の数平分子量
が20000より大きいと、膨潤可能ポリマー粒子に膨
潤されないモノマーが多くなり、これが水性分散体中に
おいて膨潤可能ポリマー粒子と別個に重合し、その結果
内孔を有するポリマー粒子とならない微粒子が多量に生
成するだけでなく、重合系が不安定となる問題を生ず
る。
【0032】また、種ポリマー粒子として用いられる膨
潤可能ポリマー粒子の平均粒子径は、本発明のカチオン
性中空架橋重合体粒子の平均粒子径(外径)の30〜8
0%であることが好ましい。膨潤可能ポリマー粒子を用
いて重合して得られる空孔を有するポリマー粒子の粒子
径は、膨潤可能ポリマー粒子が重合性モノマーを膨潤し
て肥大化したときの粒子径とおおよそ一致する。このた
め、膨潤可能ポリマー粒子の粒子径、重合性モノマーに
対する膨潤可能ポリマー粒子の使用量等を調整すること
により、生成する中空架橋粒子の粒子径をコントロール
することができる。具体的には、空孔を有するポリマー
粒子の製造において、白色度および隠ぺい力の優れた
0.06〜0.6μmの粒子径の中空架橋粒子を得るた
めには、膨潤可能ポリマー粒子として0.03〜0.4
0μmの粒子径のものを用いればよい。
【0033】このような膨潤可能ポリマー粒子を調製す
る方法は特に制限されないが、例えば連鎖移動剤を比較
的多量に使用する乳化重合あるいは懸濁重合等の重合方
法を用いることができる。
【0034】膨潤可能ポリマー粒子の存在下に行われる
モノマー(a)〜(c)の重合は、水性媒体中、乳化重
合法あるいは懸濁重合法により行なうことが好ましい。
【0035】上記重合において、通常の重合で用いられ
る界面活性剤、あるいは有機系もしくは無機系の懸濁保
護剤が使用できる。一般的に、1μmより小さい平均粒
子径の中空架橋粒子ポリマー粒子を製造する場合には、
界面活性剤を主体に使用し,1μm以上の大きい平均粒
子径の中空架橋粒子ポリマー粒子を製造する場合には、
懸濁保護剤を主体に使用するとよい。
【0036】上記界面活性剤としては、アルキルアミン
(塩)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(塩)、第
4級アルキルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩
などの陽イオン界面活性剤;ドデジルジメチルベタイ
ン、アルキルイミダゾリニウムベタインなどの両性界面
活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェ
ノールホルマリン縮合物の酸化エチレン付加誘導体、ポ
リオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノ
ールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオ
キシエチレンを親水基とする反応性乳化剤(旭電化工業
製「アデカリアソープNE−20」、第一工業製薬製
『アクアロンRN−20」)などの非イオン界面活性
剤;およびこれらの併用系が好適に用いられる。陰イオ
ン界面活性剤は重合中に凝集物を発生し易いため、単独
での使用は本発明には適さない。
【0037】上記有機系の懸濁保護剤としては、例えば
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレングリコール等の親水性合成高分子物質、ゼラチ
ン、水溶性澱粉等の天然親水性高分子物質、カルボキシ
メチルセルロース等の親水性半合成高分子物質等を挙げ
ることができる。また、前記無機系の懸濁保護剤として
は、例えばマグネシウム、バリウム、カルシウム等のリ
ン酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、亜鉛華、
酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等を挙げること
ができる。
【0038】重合開始剤としては、油溶性の重合開始剤
あるいは水溶性の重合開始剤のいずれも使用することが
できる。粒子径が1μm以下の中空架橋粒子を製造する
ための重合を行なう場合には、水溶性重合開始剤を用い
ることが好ましく、このことにより、中空架橋粒子に膨
潤されない大粒径のモノマー液滴が重合することを防止
することができる。また、粒子径が1μmを越える中空
架橋粒子を製造するための重合を行なう場合には、不要
の空孔を有しないポリマー粒子が生成することを防止す
るために、油溶性重合開始剤を使用することが好まし
い。
【0039】上記水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩
類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペ
ルオキシド−アスコルビン酸ナトリウム等のレドックス
系の開始剤が例示される。上記油溶性重合開始剤として
は、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、アゾビスイソブチロニトリル等が例示される。ま
た、前記したカチオン基を有するラジカル重合開始剤も
使用することができる。
【0040】モノマー(a)、(b)、(c)の組み合
わせによっては、重合速度が大きいときがあり、この場
合、大きな重合容器を用いて重合を行ない、かつ重合成
分のすべてを重合容器内に入れて重合を行なう、いわゆ
る一括重合法を用いると重合温度のコントロールが困難
となつて重合反応が暴走する危険がある。従って、通常
このような危険を避けるために、モノマー成分をそのま
まの状態であるいはエマルジョン等の状態で重合中に連
続的にもしくは分割的に重合容器に供給する、いわゆる
インクリメント重合法を採用することもできる。
【0041】重合後は、中空架橋粒子を水性分散体から
分離し、乾燥することにより内部に空孔を有する本発明
のカチオン性中空架橋重合体粒子が得られる。
【0042】本発明の製造方法(I)によれば、例えば
平均外径(平均粒子径)が0.03〜10μmであっ
て、内径が外径の0.2〜0.95倍の中空体である単
一の空孔を有するカチオン性中空架橋重合体粒子が得ら
れる。このことは製造方法(II)〜(IV)についても同
様である。
【0043】このような製造方法(I)は、特に多量の
カチオン基を有する中空架橋粒子の製造の場合に好まし
く用いられる。
【0044】<製造方法(II)>製造方法(II)では、
カチオン基を有するラジカル重合開始剤を用いて重合を
行い、得られる中空架橋粒子にカチオン性を与える。そ
して、(a)架橋性モノマー1〜100重量%、好まし
くは5〜80重量%、さらに好ましくは15〜70重量
%、(b)カチオン性モノマー0〜15重量%、好まし
くは0〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜10重
量%、および(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン
性モノマー0〜99重量%、好ましくは10〜95重量
%、さらに好ましくは20〜84.9重量%(モノマー
の総合計量は100重量%である)を、重合に使用する
上記モノマーの少なくともいずれかに対して膨潤可能な
ポリマー粒子の存在下に、重合する従って、製造方法
(II)は、ラジカル重合開始剤としてカチオン基を有す
るものを用いること、モノマー(a)、(b)および
(c)の使用量が若干異なること等以外は、製造方法
(I)と殆ど同じであり、膨潤可能ポリマー粒子の調製
方法を含めて、重合方法、操作、条件等は製造方法
(I)で記載したことが適用される。
【0045】製造方法(II)では、重合モノマーが
(a)架橋性モノマーのみでもよく、(b)カチオン性
モノマーおよび/または(c)共重合可能な非架橋性か
つ非イオン性モノマーを併用してもよい。 (a)架橋性モノマーの使用量が1重量%未満と過少で
ある場合、(b)カチオン性モノマーの使用量が15重
量%を越えて過剰である場合、(c)共重合可能な非架
橋性かつ非イオン性モノマー使用量が99重量%を越え
て過剰である場合等に起こる望ましくない現象は、製造
方法(I)で述べたことと同様である。
【0046】カチオン基を有するラジカル重合開始剤の
使用量は、重合に使用するモノマー総合計量100重量
部当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましく、
より好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が0.
1重量部未満と過少では、得られる中空架橋粒子のカチ
オン性が低下し、10重量部を越えて過剰では重合が不
安定となり、好ましくない。
【0047】このような製造方法(II)は、凝集物の少
ない中空架橋粒子が得られるという特長がある。
【0048】<製造方法(III)>製造方法(III)は、
製造方法(I)における膨潤可能ポリマー粒子をカチオ
ン性とすることにより、本発明のカチオン性中空架橋重
合体粒子を得る方法である。膨潤可能ポリマー粒子は、
(b)カチオン性モノマー0.01〜30重量%、好ま
しくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは1〜10
重量%、および(d)該カチオン性モノマーと共重合可
能な非イオン性モノマー70〜99.99重量%、好ま
しくは85〜99.9重量%、さらに好ましくは90〜
99重量%(モノマーの総合計量は100重量%であ
る)を重合して得られる。この膨潤可能ポリマー粒子
は、重合に使用する下記モノマー(a)、(b)、
(c)のいずれかに対して膨潤可能である。そして、上
記カチオン性の膨潤可能ポリマー粒子の存在下に、
(a)架橋性モノマー1〜100重量%、好ましくは5
〜80重量%、さらに好ましくは15〜70重量%、
(b)カチオン性モノマー0〜15重量%、好ましくは
0〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量
%、および(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性
モノマー0〜95重量%、好ましくは10〜90重量
%、さらに好ましくは20〜84.9重量%(モノマー
の総合計量は100重量%である)を重合して得られ
る。従って、製造方法(III)は、膨潤可能ポリマー粒
子として上記の如きものを用いることと、製造方法(I
I)の場合と同じく重合モノマー(a)、(b)および
(c)の使用量が若干異なること等以外は、製造方法
(I)と殆ど同じであり、重合方法、操作、条件等は製
造方法(I)で記載したことが適用される。
【0049】上記カチオン性の膨潤可能ポリマー粒子を
重合により調製するに当たって、製造方法(I)で述べ
た膨潤可能ポリマー粒子を調製する方法を適用すること
ができる。カチオン性の膨潤可能ポリマー粒子を調製す
るのに用いられるモノマー(b)の使用量が0.01重
量%未満と過少(モノマー(d)の使用量が99.99
重量%を越えて過剰)の場合は、得られる本発明のカチ
オン性中空架橋重合体粒子のカチオン性が低下し、モノ
マー(b)の使用量が30重量%を越え過剰(モノマー
(d)の使用量が70重量%未満と過少)の場合は、重
合が不安定となり、好ましくない。
【0050】製造方法(III)の重合は、製造方法(I
I)の場合と同じく、重合モノマーが(a)架橋性モノ
マーのみでもよく、(b)カチオン性モノマーおよび/
または(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノ
マーを併用してもよい。 (a)架橋性モノマーの使用量が1重量%未満と過少で
ある場合、(b)カチオン性モノマーの使用量が15重
量%を越えて過剰である場合、(c)共重合可能な非架
橋性かつ非イオン性モノマー使用量が95重量%を越え
て過剰である場合等に起こる望ましくない現象は、製造
方法(I)で述べたこと同様である。
【0051】このような製造方法(III)は、カチオン
基の量と凝集物の少なさがバランスした中空架橋粒子を
製造する場合に好ましく用いられる。
【0052】<製造方法(IV)>製造方法(IV)は、
(イ)製造方法(I)における膨潤可能ポリマー粒子を
重合により調製する際に、カチオン基を有するラジカル
重合開始剤を用い、膨潤可能ポリマー粒子をカチオン性
とすることにより、カチオン性中空架橋重合体粒子を得
る方法、(ロ)製造方法(II)と類似してカチオン基を
有するラジカル重合開始剤を用いてモノマー(a)、
(b)、(c)の重合を行い、得られる中空架橋粒子を
カチオン性とする方法、あるいは(ハ)上記(イ)およ
び(ロ)の方法を併用して、中空架橋粒子をカチオン性
とする方法である。なかでも、(ハ)の方法が好まし
い。
【0053】膨潤可能ポリマー粒子は、ラジカル重合開
始剤を用いて、(b)カチオン性モノマー0〜30重量
%、好ましくは0〜15重量%、さらに好ましくは0.
1〜10重量%、および(d)該カチオン性モノマーと
共重合可能な非イオン性モノマー70〜100重量%、
好ましくは85〜100重量%、さらに好ましくは90
〜99.9重量%(モノマーの総合計量は100重量%
である)を重合することにより調製される。上記(イ)
および(ハ)の方法では、ラジカル重合開始剤としてカ
チオン基を有するラジカル開始剤が用いられ、調製され
た膨潤可能ポリマー粒子はカチオン性である。この膨潤
可能ポリマー粒子は、重合に使用するモノマー(a)、
(b)、(c)の少なくともいずれかに対して膨潤可能
である。そして、上記膨潤可能ポリマー粒子の存在下
に、製造方法(III)と同じく、(a)架橋性モノマー
1〜100重量%、好ましくは5〜80重量%、さらに
好ましくは15〜70重量%、(b)カチオン性モノマ
ー0〜15重量%、好ましくは0〜10重量%、さらに
好ましくは0.1〜10重量%、および(c)共重合可
能な非架橋性かつ非イオン性モノマー0〜99重量%、
好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは20〜
84.9重量%(モノマーの総合計量は100重量%で
ある)を、ラジカル開始剤を用い、重合して中空架橋粒
子が得られる。上記(ロ)および(ハ)の方法では、ラ
ジカル重合開始剤としてカチオン基を有するラジカル開
始剤が用いられる。このように、製造方法(IV)は、膨
潤可能ポリマー粒子を調製する際にカチオン基を有する
ラジカル重合開始剤を用いることがあること、モノマー
(a)、(b)、(c)を重合する際にカチオン基を有
するラジカル重合開始剤を用いることがあること、そし
て膨潤可能ポリマー粒子を得るためのモノマー(b)と
(d)の使用割合が若干異なる以外は、製造方法(II
I)と殆ど同じである。従って、モノマー(a)、
(b)、(c)の重合方法、操作、条件等は製造方法
(I)で述べたことが適用される。
【0054】膨潤可能ポリマー粒子の調製にカチオン基
を有するラジカル重合開始剤が用いられる場合、その使
用量は、モノマー(b)と(d)の合計量100重量部
当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましく、よ
り好ましくは0.5〜5重量部である。使用量が0.1
重量部未満と過少では、得られる中空架橋粒子のカチオ
ン性が低下し、10重量部を越えて過剰では重合が不安
定となり、好ましくない。モノマー(a)、(b)、
(c)を重合する際に、カチオン基を有するラジカル重
合開始剤を用いる場合、モノマー総合計量100重量部
当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましく、よ
り好ましくは0.5〜5重量部である。
【0055】上記膨潤可能ポリマー粒子を重合により調
製するに当たって、その重合方法として、製造方法(II
I)と同じく、製造方法(I)で述べた中空架橋粒子を
製造する際の重合方法を適用することができる。なお、
調製に当たって種ポリマーを用いてもよい。なお、カチ
オン性の膨潤可能ポリマー粒子を調製するのに用いられ
るモノマー(b)の使用量が30重量%を越え過剰(モ
ノマー(d)の使用量が70重量%未満と過少)の場合
は、重合が不安定となり、好ましくない。
【0056】製造方法(IV)の重合は、製造方法(II
I)の場合と同じく、重合モノマーが(a)架橋性モノ
マーのみでもよく、(b)カチオン性モノマーおよび/
または(c)共重合可能な非架橋性かつ非イオン性モノ
マーを併用してもよい。 (a)架橋性モノマーの使用量が1重量%未満と過少で
ある場合、(b)カチオン性モノマーの使用量が15重
量%を越えて過剰である場合、(c)共重合可能な非架
橋性かつ非イオン性モノマー使用量が99重量%を越え
て過剰である場合等に起こる望ましくない現象は、製造
方法(I)で述べたことと同様である。また、重合の
際、重合開始剤としてカチオン基を有するラジカル重合
開始剤を用いることが本発明の範囲にゼータ電位を調整
し、かつ重合安定性の点において好ましい。この場合、
カチオン基を有するラジカル重合開始剤の使用量は、前
記した通りである。
【0057】このような製造方法(IV)は、極度に凝集
物が少ない中空架橋粒子が得られる特長を有する。
【0058】以上説明したカチオン性中空架橋重合体粒
子は、本発明の塗料組成物(溶媒を除いた固形分)中
に、好ましくは0.1〜80重量%、より好ましくは1
〜60重量%配合される。0.1重量%未満であると隠
蔽性が不十分であり、80重量%を越えると塗膜性能に
劣る。
【0059】〔皮膜形成性カチオン性重合体〕本発明の
塗料組成物に含有される皮膜形成性カチオン性重合体
(以下単に「カチオン性重合体」とも言う)は、カチオ
ン基を含有し、かつ塗料組成物の塗布液を塗布、乾燥、
必要に応じて加熱することにより皮膜を形成し得るもの
であれば、特に制限されない。ここで、カチオン基は中
空架橋粒子におけるカチオン基と同義であり、具体例も
同じものを挙げることができる。
【0060】好ましいカチオン性重合体としては、
(イ)上記中空架橋粒子を製造するために用いられる前
記(b)カチオン性モノマーと下記(I)〜(VI)のモ
ノマーとを共重合して得られる重合体、(ロ)中空架橋
粒子を製造するために用いられる前記カチオン基を有す
るラジカル重合開始剤を用いて、下記(I)〜(VI)の
モノマーを、所望により上記(b)カチオン性モノマー
と共に重合して得られる重合体等が挙げられる。 (モノマー) (I)アクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステ
ル アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエ
チル等。 (II)芳香族ビニル化合物 スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−
ブチルスチレン等。 (III)オレフィン エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4
−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等。 (IV)ビニルエステル 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等。 (V)ニトリル化合物 アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。 (VI)重合性アミド アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、ジアセトンア
ミド、Nメチロールアクリルアミド等。
【0061】このうち、塗膜の耐候性の観点から、アク
リル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル成分が全
構成単位の30重量%以上、特には50重量%以上占め
る重合体がカチオン性重合体として好ましい。また、重
合体に含有されるカチオン基の量は、0.05〜100
mmol/100g重合体、特には0.2〜50mmo
l/100g重合体であることが好ましい。なお、アク
リル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、クロトン酸等の酸基含有モノマーがカチオン性重
合体にそのカチオン性を損なわない範囲で僅かに共重合
していても差し支えない。
【0062】カチオン性重合体は水性媒体中に微分散し
た状態に調製することが好ましい。カチオン性重合体を
水性媒体中に微分散した状態に調製するには、水性媒体
中、乳化重合法あるいは懸濁重合法で上記モノマーを重
合することによって行うことができるが、この方法に制
限されない。上記カチオン性重合体を製造するための乳
化重合法あるいは懸濁重合法を行うに当たって採用する
重合方法、操作、条件等は、中空架橋粒子の製造方法
(I)あるいは製造方法(II)においてモノマー
(a)、(b)および(c)を重合する際に記載したこ
とがほぼ適用することができる。
【0063】以上説明した皮膜形成性カチオン性重合体
は、本発明の塗料組成物(溶媒を除いた固形分)中に、
好ましくは5〜99.9重量%、より好ましくは10〜
99重量%、特に好ましくは20〜90重量%配合され
る。5重量%未満であると塗膜性能が不十分であり、ま
た99.9重量%を越えると隠蔽性に劣る。
【0064】〔溶媒〕本発明の塗料組成物は、水系溶媒
に分散した水性分散体として調製されることが好まし
い。水性分散体の固形分濃度は5〜70重量%であるこ
とが好ましく、より好ましくは10〜60重量%であ
る。
【0065】〔その他の任意成分〕本発明の塗料組成物
には、目的に応じて、光安定化剤、紫外線吸収剤、有機
溶剤、架橋剤、水溶性高分子(例えば水溶性ポリエステ
ル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポ
リビニルアルコール、澱粉)、消泡剤、増粘剤、熱安定
剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し
剤、顔料、防カビ剤などの添加剤が含有されていてもよ
い。これら添加物は、必要に応じて、本発明の目的の達
成を損なわない範囲で、本発明の塗料組成物に加えるこ
とができる。
【0066】〔塗料組成物の調製、塗布〕本発明の塗料
組成物は、各成分を混合することにより調製されるが、
使用される調製方法には特に制限はなく、通常用いられ
る、撹拌槽、オートクレーブ、フラスコ、リアクター等
の混合機や反応器を用いることが可能である。調製され
た塗料組成物は、被塗布物の表面に塗布される。塗布
は、形成される塗膜の厚みが、通常10〜1000μm
の範囲となるように行われる。塗料組成物を塗布する方
法としては、公知の種々の方法を用いることができる
が、例えば刷毛による塗布、ホッパー塗布、バーコター
塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディッ
プ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布
等を挙げることができる。その後、常温〜200℃で乾
燥することにより、被塗布物表面に塗膜が形成される。
【0067】本発明の塗料組成物は、軽量で隠蔽性の高
い皮膜を形成することができ、形成された皮膜を構成す
るバインダー成分および中空架橋粒子がカチオン性であ
る。従って、建築物の内外装塗料として一般的に用いら
れるアクリル塗料などのアニオン性重合体をバインダー
成分とした塗料の塗膜の上塗り塗料または下塗り塗料と
して用いることができ、密着性に優れた塗膜が形成され
る。さらに、金属、紙、木材、コンクリート、プラスチ
ック、セラミックス、スレート、石膏のコーテイング材
として用いることができる。
【0068】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明の範囲は実施例によって制限されない。な
お、以下の記載において特に断りのない限り、「部」お
よび「%」は重量基準である。
【0069】実施例1 〔カチオン性中空架橋重合体粒子の水性分散体の調製〕 (1)シード粒子Aの調製 撹拌機を備え、温度調節の可能なオートクレーブ中に水
600部、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライ
ド27%溶液(花王(株)製コータミン24P) 5
部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジ
ン)2塩酸塩(和光純薬工業(株)製 V−50)1
部、スチレン 75部、アクリロニトリル10部、2−
エチルヘキシルアクリレート10部、ジメチルアミノプ
ロピルアクリルアミドの塩化メチレン4級塩 5部、t
−ドデシルメルカプタン15部を一括して仕込み、70
℃で3時間反応させ、冷却後、300メッシュの金網で
粗大凝集物を濾過して、膨潤可能ポリマー粒子であるシ
ード粒子Aの水性分散体を得た。
【0070】 (2)重合によるカチオン性中空架橋重合体粒子(A−1)の製造 水 430部 シード粒子A 10部(固形分) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(和光純薬工 業(株)製V−50) 1部 メチルメタクリレート 59部 スチレン 12部 ジビニルベンゼン 28部 を一括して仕込み、70℃で3時間反応させ、冷却後、
300メッシュの金網で粗大凝集物を濾過しカチオン性
中空架橋重合体粒子(A−1)の水性分散体を得た。こ
のカチオン性中空架橋重合体粒子について、ゼータ電
位、容積中空率、平均粒子径を前記した方法で測定し
た。なお、ゼータ電位測定器として BROOKHAV
ENINSTRUMENTS社製「ゼータープラス」を
用い、容積中空率を測定するための透過型電子顕微鏡と
して日本電子(株)製「JEM−100SX」を用い、
平均粒子径を測定するための動的光散乱法粒子径測定器
として大塚電子(株)製「LPA−3000/310
0」を用いた。
【0071】(3)カチオン性中空架橋重合体粒子(A
−1)の物性測定結果 ゼータ電位:pH2で+40mV、pH6で+36m
V、pH9で+32mV 容積中空率;30% 平均粒子径;0.2μm
【0072】〔皮膜形成性カチオン性重合体エマルジョ
ン(B−1)の調製〕メチルメタクリレート60部、n
−ブチルメタクリレート13部、2−エチルヘキシルア
クリレート15部、n−ブチルアクリレート9部とジメ
チルアミノエチルメタクリレート13部との混合物10
0部に、ドデシルベンジルアンモニウムクロライド3部
とイオン交換水45部をアジホモミキサーで撹拌し、乳
化した後、その5%を(乳化物A)を分取した(残りは
乳化物Bとした)。 開始剤としての2,2−アゾビス
(2−アミノジプロパン)塩酸塩0.4部をイオン交換
水5部に溶解させた。(これを溶液Cとした。) 撹拌機、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコの中の
酸素を窒素置換し、イオン交換水52部を加えた後、7
0℃に昇温して、乳化物Aを添加すると同時に、上記溶
液Cの5%を添加し重合反応を開始した。重合反応の
間、撹拌を継続し、1時間重合後、残りの乳化物Bおよ
び溶液Cを3.5時間かけて連続的に同時に滴下した。
その後、反応容器内の温度を80℃に昇温し、1時間熟
成反応を行った後、反応容器を冷却して、反応を終了し
た。その後、希塩酸を加え、カチオン性重合体エマルジ
ョン(B−1)を得た。得られたカチオン性重合体エマ
ルション(B−1)は、固形分濃度が50.0%、粒子
径が0.1〜0.3μmであった。
【0073】〔カチオン性塗料の調製〕上記カチオン性
中空架橋重合体粒子(A−1)の水性分散体を該粒子と
して60部、上記カチオン性重合体エマルジョンを固形
分として100部、および可塑剤(チッソ製CS−1
2、物質名:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジ
オールモノイソブチレート)10部をメカニカルスター
ラーにより混合して、カチオン性塗料を調製した。この
塗料について、下記する方法で、保存安定性を評価する
と共に、塗料から形成されれた皮膜の隠蔽率を評価し
た。結果を表1に示した。
【0074】(測定および評価方法) (1)塗料安定性:塗料1000gを撹拌後、密閉容器
に入れ25℃で7日間放置後、上部の液1gを採取し、
200℃で10分間乾燥して、乾燥前後の重量変化から
固形分を測定した。あらかじめ測定した塗料作製直後の
固形分との差が2%未満の場合を○、2%以上の場合を
×とした。 (2)隠蔽率:隠蔽率試験紙(日本塗料検査協会)に5
ミル(0.127mm)の厚さに塗付し、塗膜を10分
間、120℃の条件下で養生した後、色差計でY値を測
定し、黒色部/白色部の比率を隠蔽率とした。
【0075】比較例1 〔チタンペースト(A'−1)の調製〕ドデシルトリメ
チルアンモニウムクロライト27%溶液(花王製コータ
ミン24P)10部、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル(花王製エマルゲン920)5部、水10部
をあらかじめタンクに仕込んでおき、ディスパーで撹拌
しながら、酸化チタン(石原産業製R−780)60部
を徐々に添加してチタンペーストを作製した。
【0076】〔カチオン性塗料の調製〕上記チタンペー
スト(A’−1)を酸化チタンとして60部、上記カチ
オン性重合体エマルジョンを固形分として100部、お
よび可塑剤(チッソ製CS−12)10部をメカニカル
スターラーにより混合してカチオン性塗料を調製した。
このカチオン性塗料について、上記方法で評価し、その
結果を表1に示した。
【0077】比較例2 〔中空非架橋粒子(A'−2)の水性分散体の調製〕中
空非架橋粒子(A'−2)を特開平10−27639号
公報、実施例1に従って調製した。すなわち、メチルメ
タクリレート60%、ブチルアクリレート5%およびメ
タクリル酸35%からなる、核重合体(シード)形成用
の単量体混合物(a)1部、乳化剤ドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム(DBS)0.005部およびイオ
ン交換水0.8部を撹拌下に混合してエマルジョン
(イ)を調製した。別に、メチルメタクリレート70
%、ブチルアクリレート10%およびメタクリル酸20
%からなる芯重合体形成用単量体混合物(b)10部、
乳化剤(DBS)0.05部およびイオン交換水8部を
撹拌下に混合してエマルジョン(ロ)を調製した。ま
た、メチルメタクリレート78%、ブチルアクリレート
16%およびメタクリル酸6%からなる中間層重合体形
成用の単量体(c)25部、乳化剤(DBS)0.1部
およびイオン交換水35部を撹拌下に混合してエマルジ
ョン(ハ)を調製した。さらに、スチレン37.5部、
乳化剤(DBS)0.3部およびイオン交換水16部を
撹拌下に混合して外層重合体形成用のエマルジョン
(ニ)を調製した。撹拌装置、還流冷却管、温度計、分
液ロートを取り付けた反応器に、イオン交換水2.87
部、粒子径35nm、固形分濃度12%のアクリルシー
ド系ラテックス0.04部(固形分換算)を仕込み、8
0℃まで昇温した。次いで、過硫酸カリウム(3%水溶
液0.17部を分液ロートより添加し、エマルジョン
(イ)を4時間かけて連続的に添加し、その後さらに1
時間重合して核重合体エマルジョンを得た。単量体混合
物(イ)の重合転化率は99%であった。次いで、イオ
ン交換水28部、過硫酸カリウム3%水溶液1.7部を
添加した後、エマルジョン(ロ)を上記反応器に3時間
かけて連続的に添加した。添加後、さらに2時間重合し
て芯層重合体を形成した。単量体混合物(ロ)の重合転
化率は99%であった。次いで、イオン交換水を240
部、過硫酸カリウム3%水溶液6.7部を添加した後、
エマルジョン(ハ)を上記反応器に4時間かけて連続的
に添加した。添加後、さらに2時間重合して中間層重合
体を形成した。単量体混合物(ハ)の重合転化率は99
%であった。さらに、85℃に昇温し、過硫酸カリウム
3%水溶液6.7部を添加した後、エマルジョン(ニ)
を上記反応器に1.5時間かけて連続的に添加した。添
加後、さらに1時間重合して外層重合体を形成した。単
量体混合物(ニ)の重合転化率は99%であった。上記
で得た重合体粒子を含有するラテックスに、水酸化ナト
リウム10%水溶液9部を分液ロートから滴下し、その
後30分、85℃に加熱を続けて塩基処理を行った。こ
の段階でラテックスの一部を採取し、室温でラテックス
のpHを測定したところ、8.1であった。次に、N,
N−ジメチルアミノメチルメタクリレート0.75部を
滴下し、85℃で30分間反応せしめ、中空非架橋粒子
(A'−2)の水性分散体を得た。
【0078】得られた両性中空非架橋重合体粒子(A'
−2)の物性は下記の通りであった。 ゼータ電位:pH2で+21mV、pH6で+5mV、
pH9で−12mV 容積中空率;30% 平均粒子径;200nm
【0079】〔塗料の調製〕上記中空非架橋粒子(A'
−2)の水性分散体を中空非架橋粒子(A'−2)とし
て60部、上記カチオン性重合体エマルジョンを固形分
として100部、および可塑剤(チッソ製CS−12)
10部をメカニカルスターラーにより混合して塗料を調
製した。この塗料について、上記方法で評価し、その結
果を表1に示した。
【0080】
【表1】
【0081】表1に示された結果より、実施例1の塗料
は、塗料安定性、隠蔽性のいずれにも優れるが、カチオ
ン性中空架橋重合体粒子に代えて酸化チタンを用いた比
較例1の場合は塗料安定性に劣り、中空非架橋粒子を用
いた比較例2の場合、隠蔽性に劣る。
【0082】
【発明の効果】本発明の塗料組成物は、それに含有され
るカチオン性中空架橋重合体粒子が広いpH領域でカチ
オン性を維持し、保存安定性を損なわないでバインダー
成分としてカチオン性重合体を用いることができるの
で、例えばアニオン性を下地とする塗面の上塗りとして
使用した場合、下地面との密着性に優れた塗膜が形成さ
れ、優れた塗膜性能を有すると共に、該中空粒子が架橋
構造を有しているので、軽量で隠蔽性の高い塗膜を形成
することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 JA13 JB14 JB16 JB26 KA04 KA12 KA15 KB13 KB14 KB19 KB29 PA64 PA65 PA69 4J038 CA022 CB002 CC032 CD022 CD092 CG141 CG142 CG171 CH201 DA042 DB002 DD002 DE002 DG002 EA011 KA21 MA02 NA26 4J100 AB02P AB03P AB04P AB08P AB15R AB16R AC03P AC04P AG04P AL03P AL04P AL05P AL08Q AL09P AL10P AL62R AL63R AL66R AL67R AM02P AM21Q AS02P AS03P BA02Q BA02R BA08R BA31Q BA32Q BC45R CA04 CA05 CA27 FA03 JA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 〔1〕pH2〜9の水媒体中で測定され
    たゼータ電位が+5〜+100mVの範囲にあるカチオ
    ン性中空架橋重合体粒子と、〔2〕皮膜形成性カチオン
    性重合体とを含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 【請求項2】 カチオン性中空架橋重合体粒子が、架橋
    性モノマーから導かれる構造単位5〜90重量%と該架
    橋性モノマーと共重合可能な他のモノマーから導かれる
    構造単位95〜10重量%(ここで、両者の合計量は1
    00重量%である)とからなることを特徴とする請求項
    1に記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 カチオン性中空架橋重合体粒子が、
    (1)ラジカル重合開始剤を用いて(a)架橋性モノマ
    ー1〜100重量%、(b)カチオン性モノマー0〜1
    5重量%、および(c)共重合可能な非架橋性かつ非イ
    オン性モノマー0〜99重量%(モノマーの総合計量は
    100重量%である)を、これらのモノマーの少なくと
    もいずれかに対して膨潤可能なポリマー粒子の存在下
    に、重合することにより製造されたものであり、しかも
    (2)該ポリマー粒子が、ラジカル重合開始剤を用いて
    (b)カチオン性モノマー0〜30重量%および(d)
    該カチオン性モノマーと共重合可能な非イオン性モノマ
    ー70〜100重量%(モノマーの総合計量は100重
    量%である)を重合して得られたポリマー粒子であり、
    かつ(3)上記(1)および(2)におけるラジカル重
    合開始剤のいずれか一方あるいは両方がカチオン基を有
    するラジカル開始剤であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の塗料組成物。
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