JP2001247093A - 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法 - Google Patents

船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法

Info

Publication number
JP2001247093A
JP2001247093A JP2000388270A JP2000388270A JP2001247093A JP 2001247093 A JP2001247093 A JP 2001247093A JP 2000388270 A JP2000388270 A JP 2000388270A JP 2000388270 A JP2000388270 A JP 2000388270A JP 2001247093 A JP2001247093 A JP 2001247093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diameter portion
propeller
small
diameter
oil groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000388270A
Other languages
English (en)
Inventor
勲 ▲高▼澤
Isao Takazawa
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TAKAZAWA SEISAKUSHO KK
Original Assignee
TAKAZAWA SEISAKUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TAKAZAWA SEISAKUSHO KK filed Critical TAKAZAWA SEISAKUSHO KK
Priority to JP2000388270A priority Critical patent/JP2001247093A/ja
Publication of JP2001247093A publication Critical patent/JP2001247093A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ぬすみ部を有するプロペラをプロペラ軸から
簡便に外すことができる船舶用プロペラを提供する。 【解決手段】 船舶のプロペラ軸のテーパ部に嵌め合わ
されるプロペラ(1)であり、該プロペラの内周面が、軸
方向に、大径部(6)と、ぬすみ部分(8)と、小径部
(7)とに区分され、大径部に周方向に延びる大径部油
溝(2)、および小径部に周方向に延びる小径部油溝
(3)が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶用プロペラ軸
に嵌め合わされるプロペラに関し、特に、プロペラ軸か
らの取り外しが容易なプロペラおよびプロペラのプロペ
ラ軸からの離脱方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶のエンジンの動力はプロペラ軸に回
転運動として伝達され、このプロペラ軸に嵌め合わされ
るプロペラの水中での回転によって、船舶は推進力を得
る。プロペラ軸は嵌め合わせ部においてテーパが付けら
れており、プロペラ内周面もこのテーパに適合するよう
にテーパを有している。プロペラはプロペラ軸の軸方向
に沿って嵌め入れられ、軸方向の力を付加されて密着面
法線方向の力を及ぼしあうまで押し込まれる。プロペラ
がプロペラ軸から離脱しないように、軸に平行に差し込
まれる1本のキーをプロペラ内周面とプロペラ軸外周面
との両方で受け入れるように、それぞれにキーの部分溝
を設け、キーを挿入する場合もある。プロペラ軸からプ
ロペラへの回転動力の伝達は上記の互いに密着する密着
面の摩擦力によって行われる。このような状態で使用す
ると、使用中に強い固着力がプロペラ内周面とプロペラ
軸外周面との間に形成され、両者を容易に分離すること
ができなくなる。
【0003】このため、プロペラに油口を設けて、かつ
プロペラ内周面に上記油口に通じる油溝を周方向に沿っ
て設け、油口に油圧をかけることによりプロペラを膨張
させて、プロペラをプロペラ軸から取り外す方法が採用
されてきた。この方法により、手動式油圧ポンプにより
油圧をかけ、プロペラをプロペラ軸から容易に取り外す
ことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小型船
舶を中心に、上記したように、プロペラ軸とプロペラと
の脱落防止のためにキー溝を設ける場合、問題を生じ
る。このキー溝は、軸に平行に差し込まれる1本のキー
をプロペラ内周面とプロペラ軸外周面との両方で受け入
れるように、それぞれにキーの部分溝が設けられる。こ
のような場合、従来の全周にわたって設けられる上記の
油溝では、キー溝と交差するので、キー溝により圧力が
抜けてしまい、プロペラをプロペラ軸から取り外すこと
ができない。このため、キー溝が設けられている場合で
も、小型油圧ポンプ等により簡便にプロペラをプロペラ
軸から外す方法の開発が望まれていた。
【0005】また、近年、上記テーパ加工における加工
精度を緩和するために、上記プロペラ内面にぬすみを設
けることが奨励されている。ぬすみがない場合には、プ
ロペラ軸とプロペラとの密着した嵌合せを実現するため
には、きわめて高い加工精度を必要とする。このため、
高精度の加工装置や加工時間の延長を要し、高価格のプ
ロペラとなってしまう。また、何らかの原因でわずかの
くるいが生じた場合には、プロペラのプロペラ軸への取
り付けや取り外しに、甚大な労力と時間を要する事態と
なる。ぬすみ部があるプロペラでは、くるいが小さけれ
ば比較的小さな労力で取り外しや取り付けが可能とな
る。したがって、上記のプロペラを簡便にプロペラ軸か
ら取り外す方法または構造の開発は、ぬすみ部を設けた
プロペラについて実現されなければならない。
【0006】そこで、本発明は、テーパ加工精度の緩和
をもたらすぬすみ部があるプロペラの場合に、簡便にプ
ロペラをプロペラ軸から外すことができる船舶用プロペ
ラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の船舶
用プロペラは、船舶のプロペラ軸のテーパ部に嵌め合わ
されるプロペラであり、該プロペラの内周面が、軸方向
に、大径部と、ぬすみ部分と、小径部とに区分され、大
径部に周方向に延びる大径部油溝、および小径部に周方
向に延びる小径部油溝が設けられている。
【0008】ぬすみ部を挟んで形成されている大径部と
小径部とに各々油溝を設けることにより、ぬすみ部の両
側で嵌合されて密着している部分をプロペラ軸からそれ
ぞれ簡便に分離させ、プロペラを外すことができる。
【0009】請求項2の船舶用プロペラでは、請求項1
の船舶用プロペラにおいて、大径部油溝が内周面に周角
度170°〜270°の範囲内に設けられ、小径部油溝
が内周面に周角度170°〜270°の範囲内に設けら
れている。
【0010】上記の構成により、キー溝があってもキー
溝を避けて油溝を設けることができるので、小型油圧ポ
ンプにより油圧を上げてプロペラ内面を膨張させること
により、プロペラをプロペラ軸から外すことができる。
なお、上記の油溝はキー溝がある場合には、キー溝を避
けるように配置される。通常、油溝は、中央軸線を挟ん
でキー溝に対向する周位置に油溝の中央部を合わせて周
方向に対称に配置される。大径部および小径部とも、1
70°よりも周角度が小さいとプロペラが外れないうち
にぬすみ部またはそれぞれ上下端に油が抜けてしまい、
また、270°より大きいとプロペラが外れないうちに
キー溝に油が抜けてしまう。大径部または小径部でプロ
ペラがプロペラ軸から外れた状態とは、プロペラ内周面
とプロペラ軸外周面との間に密着している部分がなく、
軸方向に平行な応力により簡単にプロペラとプロペラ軸
とをずらすことができる状態を指す。
【0011】請求項3の船舶用プロペラでは、請求項1
に記載のプロペラにおいて、大径部油溝が内周面に周角
度170°〜200°の範囲内に設けられ、小径部油溝
が内周面に周角度230°〜270°の範囲内に設けら
れている。
【0012】大径部の周角度が170°より小さい場合
または小径部の周角度が230°より小さい場合には、
プロペラが外れる前にそれぞれ油が上端または下端に抜
けてしまう。また、大径部の周角度が200°より大き
い場合または小径部の周角度が270°より大きい場合
には、両方ともプロペラが外れる前に油がキー溝に抜け
てしまう。また、小径部と大径部との油溝の周角度に差
をつけ、小径部の油溝の周角度を大きくするのは、小径
部と大径部とを同じタイミングで外すためである。
【0013】請求項4の船舶用プロペラでは、請求項1
の船舶用プロペラにおいて、大径部油溝の周角度が、小
径部油溝の周角度よりも小さい。
【0014】小径部のほうが大径部よりも剛性は高い。
したがって、1台の油圧ポンプから2本の油圧ホースを
分岐させて大径部と小径部とに油圧をかける場合、両方
に同じ油圧がかかるので、小径部と大径部との両方で同
じタイミングでプロペラを外すためには、小径部の油溝
の周角度を大径部よりも大きくする。同じタイミングで
外す必要があるのは、1台のポンプで油圧をかける場
合、どちらか先に油が抜けてしまうと、残った方に油圧
がかからず、プロペラが外れなくなるからである。
【0015】請求項5の船舶用プロペラでは、請求項1
〜4のいずれかのプロペラにおいて、大径部の軸方向長
さをL1、小径部の長さをL3とするとき、大径部油溝の
位置は大径部で径が最も大きい上端から0.54L1〜
0.60L1の範囲内に位置し、小径部油溝の位置は小
径部で径が最も小さい下端から0.54L3〜0.60
L3の範囲内に位置する。
【0016】大径部油溝の位置が、上端から0.54L
1より小さいと大径部でプロペラが外れる前に上端に油
が抜けてしまい、大径部でプロペラを外すことができな
い。また、上端から0.60L1より大きいと、大径部
でプロペラを外す前に、ぬすみ部に油が抜けてしまう。
小径部でも、同様であり、小径部油溝の位置が下端から
0.54L3〜より短いと、小径部でプロペラが軸から
外れる前に油が下端に抜けてしまい、0.60L3より
長いとぬすみ部に油が抜けてしまう。
【0017】請求項6の船舶用プロペラでは、請求項1
〜5のいずれかのプロペラにおいて、大径部の軸方向長
さをL1、ぬすみ部分の長さをL2、小径部の長さをL3
とするとき、L1: L2: L3=(1.8〜2.0):1:
(1.0〜1.2)の範囲内にあるようにする。
【0018】ぬすみ部の軸方向の長さを1として、L1
を1.8未満とすると、プロペラが外れる前に大径部油
溝では上端に油が抜けてしまい、2.0を超えるとぬす
み部側に油が抜ける。また、ぬすみ部の軸方向の長さを
1として、L3が1.0未満では、プロペラが外れる前
に小径部油溝ではぬすみ部側に油が抜けてしまい、また
1.2を超えると径が小さい方の下端から油が抜けてし
まう。
【0019】請求項7の船舶用プロペラでは、請求項1
〜6のいずれかのプロペラにおいて、内周面にはテーパ
が付けられ、そのテーパが、1/16〜1/10(角度
1.79〜2.86°°)の範囲内にある。
【0020】テーパが1/16(角度1.79°)より
小さいとプロペラの嵌め合せにも、プロペラを抜く場合
にも、大きな力を要す。また、加工も高精度を要する。
一方、テーパが1/10(角度2.86°)より大きい
と、プロペラが脱離する場合がある。
【0021】請求項8の船舶用プロペラでは、請求項1
〜7のいずれかのプロペラにおいて、内周面にきさげ模
様が施されている。
【0022】上記の油溝からきさげ加工の微細溝を伝っ
て油が薄くプロペラ内面に広がってゆき、きさげ模様が
ない場合に比べて低い油圧によってプロペラを外すこと
が可能となる。
【0023】請求項9の船舶用プロペラでは、請求項1
〜5、7のいずれかのプロペラにおいて、大径部の軸方
向長さをL1、ぬすみ部分の長さをL2、小径部の長さを
L3とするとき、L1: L2: L3=(0.8〜1.2):
1:(0.8〜1.2)の範囲内にある。
【0024】大径部と小径部に別々に油圧を加える場合
には、小径部の油圧を大径部よりも高くすることができ
る。このため、軸方向の長さによって剛性を調節しなく
ても、圧力そのものに差をつけて油圧を加えることによ
り、大径部と小径部との径拡大の変化を容易に制御する
ことができる。このため、大径部、ぬすみ部分、小径部
の軸方向の長さを同じにして、ぬすみ部を大きくとるこ
とができ、加工精度を緩和することができる。
【0025】本発明の請求項10の船舶用プロペラのプ
ロペラ軸からの離脱方法は、船舶のプロペラ軸のテーパ
部に嵌め合わされ、その内周面が、軸方向に、大径部
と、ぬすみ部分と、小径部とに区分され、大径部に大径
部油溝、また小径部に小径部油溝を備えているプロペラ
のプロペラ軸からの離脱方法である、この離脱方法で
は、大径部油溝と小径部油溝とに油圧を与え離脱するに
あたり、大径部油溝よりも小径部油溝に高圧の油圧がか
かるように油を供給する。
【0026】大径部と小径部との径拡大の変形の均衡を
とるにあたり、両者の軸方向の長さの調節をしない場合
には、上記の離脱方法のように、剛性の高い小径部によ
り高い圧力を付加する。このため、小径部の離脱ととも
にプロペラはプロペラ軸から一気に大きなずれ(離脱距
離)をもって離脱する。このため、手作業による労力負
担を大幅に軽減することができる。
【0027】請求項11の船舶用プロペラのプロペラ軸
からの離脱方法では、請求項10の方法において、大径
部油溝と小径部油溝とに油を供給し、大径部油溝の油圧
が所定値に達したとき、大径部油溝への油の供給を停止
し、小径部油溝への油の供給を、より高圧の所定値にな
るまで続ける。
【0028】上記構成により、プロペラを特別な構造に
しなくても、簡便な手順で小径部の離脱とともに一気に
大きなずれ(離脱距離)をもってプロペラをプロペラ軸
から離脱させることができる。なお、所定の油圧とは、
嵌め合い端から油がにじみ出る油圧、経験的に求めた圧
力の数値などが該当する。この所定の油圧において、大
径部はプロペラ軸から離脱寸前の状態にあるが、小径部
が嵌め合い状態にあるため、プロペラ軸と大径部との間
に油漏れが生じるほどの隙間が生じていない。したがっ
て、小径部が離脱すると、テーパに沿って大径部および
小径部ともに一気にプロペラ軸に沿って離脱方向のずれ
が生じる。
【0029】請求項12の船舶用プロペラのプロペラ軸
からの離脱方法では、大径部油溝に油圧を与える大径部
油圧路と、小径部油溝に油圧を与える小径部油圧路と、
大径部油圧路において油の流通を開閉する開閉弁を備え
る油圧ポンプを用い、大径部側の嵌め合い端に油がにじ
み出たときに、開閉弁を閉じ、プロペラがプロペラ軸か
ら離脱するまで油圧ポンプにより小径部油溝の油圧を高
める。
【0030】この構成により、1台のポンプを用いて、
簡便にプロペラをプロペラ軸から一気に離脱させること
ができる。なお、上記「大径部側の嵌め合い端に油がに
じみ出たとき」は、上記嵌め合い端を肉眼で観察するこ
とにより、容易に感知することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】次に、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。
【0032】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態における船舶用プロペラの縦断面の正面図である。こ
の船舶用プロペラ1は、テーパのついたプロペラ内面に
ぬすみ部8を有している。大径部6、ぬすみ部8および
小径部7の長さは、順にL1、L2およびL3であり、L
1:L2:L3=2:1:1となっている。油口4を有す
る大径部油溝2および油口5を有する小径部油溝3は、
この船舶用プロペラ内面の周に沿って形成されている。
大径部油溝2の位置は、上端からF1=0.57L1にあ
り、また小径部油溝3の位置は、下端からF2=0.5
7L2の距離にある。これら2つの油溝の周角度は異な
っており、小径部のほうが大きな周角度を有するように
する。これは、同じ肉厚の場合、小径部のほうが剛性が
高くなり、小径部のほうに大きな油圧を付加しないと、
径が充分膨張してプロペラが外れるようにならないから
である。
【0033】図2は図1の船舶用プロペラの右側面図で
ある。上記の大径部油溝の周角度20は180°であ
り、また、小径部油溝の周角度30は240°である。
また、図2では、図1に図示されていないキー溝15が
示されており、プロペラ軸に設けられた同様のキー溝と
合わせて孔にキーを差し込むことによりプロペラとプロ
ペラ軸との離脱を防止している。
【0034】図3は、上記の船舶用プロペラ1をプロペ
ラ軸25から外そうとして、1台の手動油圧ポンプ17
により油圧を付加している状態を示す図である。油口
4,5には、カップラ22,23が嵌め合わされ、油圧
ホース19を通じて手動油圧ポンプ17により油圧が加
えられる。手動油圧ポンプ17には油圧ゲージ18が取
り付けられ、付加中の油圧を知ることができる。また、
プロペラ軸の先端にはストッパ16が取り付けられ、プ
ロペラが衝撃的に抜けても安全なようにしている。
【0035】上記のように、1台の手動油圧ポンプによ
り大径部6および小径部7の両方を、同じタイミングで
プロペラ軸25から外すことができる。これは、大径部
油溝の周角度を小径部油溝のそれよりも適当な割合(1
80°/240°)で小さくし、かつ大径部長さを小径
部長さよりも適当な割合(2/1)で長くすることによ
り実現されるものである。
【0036】(実施の形態2)図4は、2台の手動油圧
ポンプを用いてプロペラをプロペラ軸から外している説
明図である。2台の手動油圧ポンプ17a,17bを用
いる場合には、1台のポンプの場合と異なり、同じタイ
ミングで大径部6と小径部7とがプロペラ軸25から外
れる必要はない。このため、大径部6と小径部7との長
さの割合や溝の周角度の割合の許容範囲が広がる。図4
では、大径部油溝2および小径部油溝3の周角度は、そ
れぞれ180°および240°である。ただし、大径部
長さと小径部長さとは、ともにぬすみ部の長さと同じに
している。図4に示す状態から油圧ゲージ18a,18
bを見ながら油圧を上げてゆくと、油溝の周角度が図3
と同じであり、大径部6の長さが小径部7の長さと同じ
なので、大径部油溝の油圧が小径部油溝のそれより低い
状態で大径部油溝の油がゆきわたり、密着状態から大径
部の全周が離脱する。小径部ではそれより高い油圧で油
がゆきわたり、両方の部分で、同じタイミングで油がゆ
きわたり、プロペラを軸から取り外すことが簡便に可能
となる。大径部と小径部との両方が、同時に外せるるこ
とは必ずしも必要ないが、そのほうが望ましいので、小
径部では大径部より高い油圧を保ちながら、油圧を上昇
させてゆくことが望ましい。
【0037】上記のように、2台の手動油圧ポンプを用
いる場合は、ぬすみ部の両側の部分の長さや油溝の周角
度の許容範囲を広げることができる。
【0038】(実施例)図5は、本発明の実施例におけ
るプロペラのプロペラ軸からの離脱方法を示す図であ
る。このプロペラの軸挿通部は、SUS304によって
製造されている。全軸長さ160mm、大径部長さ60
mm、ぬすみ部長さ45mm、また小径部長さ55mm
であり、油溝は小径部端面から27mmの位置に小径部
油溝が、また大径部端面から34mmの位置に大径部油
溝が設けられている。大径端部の内径である上径は12
2mmであり、小径端部の内径である下径は102mm
である。図5に示すように、この実施例では、1台の手
動油圧ポンプ17から送出される油は、2本の油圧ホー
ス19a,19bを通って、それぞれ大径部油口4また
は小径部油口5に送られる。大径側油圧ホース19bに
は、ニードル弁24(NV-13)が設けられている。
【0039】次いで、上記の装置構成において、プロペ
ラのプロペラ軸からの離脱方法の実験を行った。まず、
このプロペラをプロペラ軸に15トンの荷重で約0.7
mm押し込み、嵌め合いを完成させた。この後、図6に
示す手順にしたがって、プロペラの離脱を行った。ま
ず、手動油圧ポンプ17により、油を油圧ホース19
a,19bから油溝に送り込み油溝の圧力を向上させ
た。このとき、大径部側の油圧計18bでも小径部側の
油圧計でもほぼ同じ値を保って圧力が上昇した。大径部
側の嵌め合い端部において油のにじみが観察されたと
き、大径部側の油圧ホースにおける油圧計は、ほぼ40
0kgf/cm2の値を示した。ここで、ニードル弁24
を閉じ、手動ポンプ17により、小径部油溝5にのみ油
を送り込み小径部油溝の油圧を増大させていった。やが
て小径部でも径の拡大が生じ、大径部とともに小径部も
プロペラ軸から一気に離脱し、大きなずれ(離脱距離)
をもってプロペラがプロペラ軸から離脱する。上記の手
順は、図6のフローチャートに示す通りである。
【0040】上記の手順において、大径部の嵌め合い端
部で油がにじみ出たとき、大径部の油溝に油の供給を続
け、大径部油溝の油圧を増大させた場合、その嵌め合い
端部からの油漏れが大きくなり、小径部側も含め油圧を
大きく増大させることができなかった。たとえば、油圧
400kgf/cm2で大径部の嵌め合い端部で油がにじ
み出たとき、油の供給を続行しても、大径部および小径
部ともに500kgf/cm2以上に油圧を増大させるこ
とができない。このため、小径部側の嵌め合いを離脱さ
せることができず、結局、油圧ポンプのみではプロペラ
をプロペラ軸から離脱させることはできなかった。
【0041】図6のフローチャートに示すように、大径
部側の油圧が所定値に達したとき、大径油圧ホースの開
閉弁を閉じ、小径部油溝に油を供給し小径部油溝の油圧
を増大させることによって、プロペラを大きくずらして
プロペラ軸から離脱させることができる。
【0042】また、プロペラをプロペラ軸に22トンの
荷重をかけて1.05mm押し込んだ後、上記の手順で
プロペラのプロペラ軸からの離脱方法の実験を行った。
その結果も、上記と同様であった。すなわち、約400
kgf/cm2の圧力で大径部の嵌め合い端部で油のにじ
みが生じ、ニードル弁を閉じて、小径部油溝にのみ油を
供給したところ、約700kgf/cm2に達した時点で
一気にプロペラがプロペラ軸から離脱した。
【0043】上記において、本発明の実施の形態につい
て説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形
態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発
明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許
請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範
囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を
含む。
【0044】
【発明の効果】本発明の船舶用プロペラを用いることに
より、テーパ面の加工精度を緩和できるぬすみ部を設け
たうえで、1台または2台の手動油圧ポンプを用いてプ
ロペラ軸から該船舶用プロペラを容易に外すことが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1における船舶用プロペラの縦断
部の正面図である。
【図2】 図1の船舶用プロペラの右側面図である。
【図3】 1台の手動油圧ポンプを用いて船舶用プロペ
ラをプロペラ軸から外す場合の説明図である。
【図4】 2台の手動油圧ポンプを用いて船舶用プロペ
ラをプロペラ軸から外す場合の説明図である。
【図5】 本発明の実施例におけるプロペラのプロペラ
軸からの離脱方法を説明する図である。
【図6】 図5において、プロペラをプロペラ軸から離
脱させる手順を示す図である。
【符号の説明】
1 船舶用プロペラ、2 大径部油溝、3 小径部油
溝、4,5 油口、6大径部、7 小径部、8 ぬすみ
部、15 キー溝、16 ストッパ、17 手動油圧ポ
ンプ、18 油圧ゲージ、19,19a,19b 油圧
ホース、22,23 カップラ、24 ニードル弁、2
5 プロペラ軸。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船舶のプロペラ軸のテーパ部に嵌め合わ
    されるプロペラであって、 該プロペラの内周面が、軸方向に、大径部と、ぬすみ部
    分と、小径部とに区分され、 前記大径部に周方向に延びる大径部油溝、および前記小
    径部に周方向に延びる小径部油溝が設けられている、船
    舶用プロペラ。
  2. 【請求項2】 前記大径部油溝が前記内周面に周角度1
    70°〜270°の範囲内に設けられ、前記小径部油溝
    が前記内周面に周角度170°〜270°の範囲内に設
    けられている、請求項1に記載の船舶用プロペラ。
  3. 【請求項3】 前記大径部油溝が前記内周面に周角度1
    70°〜200°の範囲内に設けられ、前記小径部油溝
    が前記内周面に周角度230°〜270°の範囲内に設
    けられている、請求項1に記載の船舶用プロペラ。
  4. 【請求項4】 前記大径部油溝の前記周角度が、前記小
    径部油溝の前記周角度よりも小さい、請求項1に記載の
    船舶用プロペラ。
  5. 【請求項5】 前記大径部の軸方向長さをL1、前記小
    径部の長さをL3とするとき、前記大径部油溝の位置は
    大径部で径が最も大きい上端から0.54L1〜0.6
    0L1の範囲内に位置し、前記小径部油溝の位置は小径
    部で径が最も小さい下端から0.54L3〜0.60L3
    の範囲内に位置する、請求項1〜4のいずれかに記載の
    船舶用プロペラ。
  6. 【請求項6】 前記大径部の軸方向長さをL1、前記ぬ
    すみ部分の長さをL2、前記小径部の長さをL3とすると
    き、L1: L2: L3=(1.8〜2.0):1:(1.0
    〜1.2)の範囲内にある、請求項1〜5のいずれかに
    記載の船舶用プロペラ。
  7. 【請求項7】 前記内周面にはテーパが付けられ、その
    テーパが、1/16〜1/10(角度1.79°〜2.
    86°)の範囲内にある、請求項1〜6のいずれかに記
    載の船舶用プロペラ。
  8. 【請求項8】 前記内周面に、きさげ模様が設けられて
    いる、請求項1〜7のいずれかに記載の船舶用プロペ
    ラ。
  9. 【請求項9】 前記大径部の軸方向長さをL1、前記ぬ
    すみ部分の長さをL2、前記小径部の長さをL3とすると
    き、L1: L2: L3=(0.8〜1.2):1:(0.
    8〜1.2)の範囲内にある、請求項1〜5、7のいず
    れかに記載の船舶用プロペラ。
  10. 【請求項10】 船舶のプロペラ軸のテーパ部に嵌め合
    わされ、その内周面が、軸方向に、大径部と、ぬすみ部
    分と、小径部とに区分され、前記大径部に大径部油溝、
    また前記小径部に小径部油溝を備えているプロペラの前
    記プロペラ軸からの離脱方法であって、 前記大径部油溝と前記小径部油溝とに油圧を与え離脱す
    るにあたり、前記大径部油溝よりも前記小径部油溝に高
    圧の油圧がかかるように油を供給する、船舶用プロペラ
    のプロペラ軸からの離脱方法。
  11. 【請求項11】 前記大径部油溝と前記小径部油溝とに
    油を供給し、前記大径部油溝の油圧が所定値に達したと
    き、前記大径部油溝への油の供給を停止し、前記小径部
    油溝への油の供給を、より高圧の所定値になるまで続け
    る、請求項10に記載の船舶用プロペラのプロペラ軸か
    らの離脱方法。
  12. 【請求項12】 前記大径部油溝に油圧を与える大径部
    油圧路と、前記小径部油溝に油圧を与える小径部油圧路
    と、前記大径部油圧路において油の流通を開閉する開閉
    弁を備える油圧ポンプを用い、前記大径部側の嵌め合い
    端に油がにじみ出たときに、前記開閉弁を閉じ、前記プ
    ロペラが前記プロペラ軸から離脱するまで前記油圧ポン
    プにより前記小径部油溝の油圧を高める、請求項10ま
    たは11に記載の船舶用プロペラのプロペラ軸からの離
    脱方法。
JP2000388270A 1999-12-28 2000-12-21 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法 Pending JP2001247093A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000388270A JP2001247093A (ja) 1999-12-28 2000-12-21 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37302399 1999-12-28
JP11-373023 1999-12-28
JP2000388270A JP2001247093A (ja) 1999-12-28 2000-12-21 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001247093A true JP2001247093A (ja) 2001-09-11

Family

ID=26582464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000388270A Pending JP2001247093A (ja) 1999-12-28 2000-12-21 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001247093A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185525A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Mitsubishi Heavy Ind Ltd テーパカップリング構造体及び回転機械

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185525A (ja) * 2009-02-12 2010-08-26 Mitsubishi Heavy Ind Ltd テーパカップリング構造体及び回転機械
US8302754B2 (en) 2009-02-12 2012-11-06 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Tapered coupling structure and rotating machine

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8302754B2 (en) Tapered coupling structure and rotating machine
US4386566A (en) Mandrel assembly for demountable printing cylinder
US4425050A (en) Fluid-pressure actuated coupling
US4525916A (en) Method of coupling coaxial shafts
US9004498B2 (en) Clamping device and collet chuck, base and chuck key therefor
JP2006336862A (ja) 回転軸継手アセンブリ
EP1539414A1 (en) Hydro mechanical clamping device
JP2001247093A (ja) 船舶用プロペラおよびそのプロペラ軸からの離脱方法
CA2963042A1 (en) Fluid supply apparatus
JP5571991B2 (ja) 舶用推進軸のリーマボルト結合構造
AU675584B2 (en) Pipe connector
AU2003204695B2 (en) Shaft-hub connection
US5476337A (en) Conical gripping arrangement
JPH028103Y2 (ja)
US12025245B2 (en) Joint structure
US4925369A (en) Easily removed marine propeller
JPH0828584A (ja) テーパ嵌合構造及び嵌合方法
CN218666711U (zh) 一种光洁度超高的镜面辊
US4993151A (en) Method of making an easily removed marine propeller
JPH05104312A (ja) ワーク支持装置
US4925415A (en) Frictional joints
CN218325707U (zh) 一种开口组合式联轴螺栓和开口组合式联轴装置
CN215721533U (zh) 一种用于软管接头的接头芯
JP2631267B2 (ja) 液圧継手の液供給配管
KR20230040648A (ko) 샤프트 결합용 유체압 커플링 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20030610