JP2001241072A - 給水配管システム - Google Patents

給水配管システム

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JP2001241072A
JP2001241072A JP2000054696A JP2000054696A JP2001241072A JP 2001241072 A JP2001241072 A JP 2001241072A JP 2000054696 A JP2000054696 A JP 2000054696A JP 2000054696 A JP2000054696 A JP 2000054696A JP 2001241072 A JP2001241072 A JP 2001241072A
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Japan
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water supply
pipe
flow
water
sectional area
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JP2000054696A
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English (en)
Inventor
Takashi Koiwai
隆 小岩井
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Toyo Valve Co Ltd
Original Assignee
Toyo Valve Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型建物における給水設備配管において、各
給水管系の過剰品質化を防ぐとともに、圧力を適正に保
持し各住戸等への均等給水を実現する。 【解決手段】 給水本管から分岐した給水管系の元部の
下流側に接続され1住戸当たりの給水量を制御する給水
制御装置が各住戸毎に配置され、給水制御装置は、流量
調整部と、流量整流部と、流量整流部内に配置される弁
体とを有し、弁体と流量整流部との間に形成される隙間
の流過断面積Aが弁体の位置に拘わらず一定(例えば2
9mm2)とされ、各給水管系の元部は、給水制御装置
の流過断面積Aに当該給水管系内の住戸数Sを掛けた総
断面積Asと略等しい断面積Apを有する管径とされ
る。給水本管の分岐元部の総断面積As1 は、流過断面
積29mm2×住戸数450戸=13,050mm2とな
り、この値に略等しい125Aのナイロンライニング鋼
管(断面積Ap=12,300mm2)が選定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集合住宅や集合宿
泊施設等の大型建物に適用される給水配管システムに関
し、より詳しくは、大型建物の給水・給湯設備配管にお
ける給水縦管や横引管などの給水管径の縮減を図ると共
に、各階層への均等給水、節水の実現を図るための給水
配管システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家屋(住宅)や店舗等の建築
物を建てるにあたっては、台所、洗面所、トイレ、風
呂、洗濯機、などの、水栓を用いる種々の器具を所定位
置に配置するとともに、これら全ての器具に対する給水
元弁を設けて、この給水元弁を上水道の水道引込管に連
なる給水本管に接続配管して、1戸当たりの給水を確保
することになる。
【0003】さらに、集合住宅や集合宿泊施設等の、複
数の住宅や店舗等(以下、住戸等という。)からなる大
型建築物では、1本の給水本管から各住戸等への給水を
行うために、従来より以下のような給水配管システムが
構築される。
【0004】すなわち、このような大型建築物において
は、一般に、給水本管から複数の枝管(横引き管や縦管
など)が分岐して接続されることにより、複数の給水管
系を備えた構成となる。例えば、1フロア(階)が10
戸で10階建ての、合計100住戸からなる集合住宅の
給水配管例として、例えば水道引込管に連なる給水本管
(横引き管)から5本の縦管が接続され、各縦管が(2
戸/フロア×10階=)20戸に対して給水を行う構成
とすることにより、給水縦管系が5つ存在することにな
る。
【0005】ここで、給水配管システムの構築に当たっ
ては、直結給水方式、圧力水槽方式、図12に示す高置
水槽方式或いはポンプ直送方式、などの各種給水方式の
うちのいずれかを選択する必要がある。また、1本の給
水本管から各住戸等への給水を均等に行う必要があるこ
とから、給水本管から接続される各枝管の管径を適正に
設定することが要求される。
【0006】このような大型建築物において給水配管シ
ステムを構築するにあたっては、従来は、図10及び図
11に示すように、給水方式の決定から給水主管径算定
に至るまで、多くの手順を経て行われていた。
【0007】ここで、図10には、従来の給水設備の設
計手順の概要を示しており、図11には、従来の給水管
径の算定手順を示している。このような給水設備の設計
や給水管径の算定をするにあたっては、現場調査、所轄
官公庁・建築主との打合せ、法規や制約・使用条件など
の検討を行いながらなされていた。
【0008】具体的には、従来は、給水管径を算定する
にあたっては、図11に示すように、管材の決定、管路
の選定、瞬時最大流量の算定、管路の相当長の算出、許
容摩擦損失水頭の算出の後に、摩擦損失の合計が管路再
遠部の器具までの正味有効水頭以下か否かについて検討
し、これを満たすように流路線図により管径を決定して
いた。
【0009】そして、従来は、このうちの「許容摩擦損
失水頭」と言う概念が極めて大きな決定要素とされてお
り、図10に示す揚水ポンプの容量(揚程及び動力)の
算定にあたっても、この許容摩擦損失水頭を考慮した次
の式1及び式2に従って計算で求めなければならなかっ
た。
【0010】 H=H1 +H2 +V2 /2g ・・・(式1) 但し、H:揚水ポンプの揚程(m) H1 :揚水ポンプの吸い込み部から揚水管の頂部までの
実高(m) H2 :揚水ポンプの吸い込み部から揚水管の頂部までの
実高における摩擦損失水頭 V:管内流速(m/s)(通常は2m/s以下とする) L=0.163rQpuH(1+α)/(Ep・Et) ・・・(式2) 但し、L:揚水ポンプの動力(kW) r:水の比重量(kgf/リットル)(1とする) Qpu:揚水ポンプの揚水量(m3 /min) α:揚水ポンプの揚程Hに対する余裕率(電動機の場
合、0.1〜0.2とする) Ep:揚水ポンプの効率(0.4〜0.7) Et:伝動効率(電動機直結の場合は1とする) また、給水縦管である図10の揚水管径の決定にあたっ
ては、その前提として、管路の許容摩擦損失水頭を次の
式3に従って計算で求めなければならなかった。
【0011】 H3 =(H4 −P)/H5 * 100 ・・・(式3) 但し、H3 :管路の許容摩擦損失水頭(mmAg/m) H4 :管路最遠部器具までの正味水頭(m) P:管路最遠部器具の必要圧力 H5 :管路の相当長(m)(実用的には管路係数(通常
は2〜3)を用いて求める。) これら各式から分かるように、揚水ポンプの容量、管路
の許容摩擦損失水頭を算定するにあたっては、摩擦損失
水頭H2 、余裕率α、ポンプの効率Ep、管路係数など
の、種々の「係数」を用いなければならなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の給水設
備の一連の設計手順で使用される各数式及び種々の係数
は、長年の経験や学会規格(日本空調衛生工学会)など
により定められたいわゆる経験値であり、未確定の要素
を多く含んでいるため、安全サイドの配管設計となる傾
向、具体的には、各配管径について過度に大きくなる過
剰品質化の傾向があった。
【0013】また、従来の給水管径算定手順の中で、給
水量を算定するにあたっては、人員、給水器具の利用
(給水器具単位)、瞬時最大給水量などを係数(ファク
ター)として扱い、また、揚水ポンプなどの機器容量や
許容摩擦損失水頭の算定では極めて煩雑な図表の参照や
計算を伴うため、この給水量算定が配管設計者にとって
手の掛かる非常に煩わしい作業となっていた。
【0014】特に、揚水ポンプの揚程及び動力を算定す
る場合には、従来は配管系の配管部材(管・管継手・バ
ルブなど)を対象として各部材の摩擦損失を特定して算
式に代入することが求められていたため、このことが給
水配管系において「摩擦損失が少ない配管部材ほど良
い」とする考え方を助長していた。
【0015】しかしながら、揚水ポンプの揚程及び動力
算定では、平均流速という未確定なファクターで算定す
るのに対し、実際の設備配管では水流がどこかで暴走す
る現象が生じる場合があり、この場合には管摩擦による
圧力損失等の概念は意味をなさないことになる。
【0016】特に、従来の給水配管システムの問題点と
しては、低層階で水流が暴走しやすい問題点、及び、水
道の同時使用率が高い時間帯において、上層階での水の
出が悪くなる問題点が指摘されていた。ここで、図13
を参照して、この問題点について説明する。図13に
は、11階建て建築物における従来の配管設計手順によ
る給水縦管配管システムの例を示しており、(a)に高
置水槽式給水方式の例を、(b)にポンプ直送式給水方
式の例を、それぞれ示す。図13(a)、(b)に示す
ように、従来の給水配管システムの設計では、給水縦管
部について、下流側になるにつれて管径が細くなる筍配
管とし、また、下層階側(この例では1階から5階ま
で)には戸別減圧弁を設ける構成が一般的であった。
【0017】しかしながら、このような従来の給水縦管
配管システムにおいては、本来給水圧力が高く水の出の
良い上流側の配管を太くし、逆に下流側で配管を絞って
いたため、速度水頭にブレーキが掛かり、下流側での水
の出が悪くなり、逆に上流側では水流の暴走が起きやす
い傾向にあった。これにより、上層階側で水の出が悪く
なり、これが原因でガスボイラーの不着火を起こした
り、逆に下層階側で水流の暴走が起き、過大な流量によ
りウォータハンマが発生したり、最悪の場合には水道メ
ータが破損したりするなどの問題が発生していた。
【0018】本発明者は、従来の給水配管システムの問
題点として、「配管の摩擦水頭が過度に重視されてい
る」点、及び「従来の給水配管システムの問題点につい
ては、配管の摩擦水頭が原因なのではなく、低層階で無
意識のうちに必要以上に水を使い過ぎることによる水の
暴走が原因なのであり、それ故、配管の摩擦水頭を考慮
することなく解決することが可能である。」という知見
を得るに至り、本発明を提案した。
【0019】すなわち、本発明の目的は、集合住宅や集
合宿泊施設等の大型建物における給水設備配管におい
て、配管の摩擦水頭を考慮しない配管とすることで、各
給水管系の過剰品質化を防ぐとともに、各給水管系の圧
力を適正に保持し各住戸等への均等給水を実現すること
が可能な給水配管システムを提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明に係る給水配管シ
ステムの第1の構成は、給水本管から分岐した複数の給
水管系を有し、該給水管系の最下流に接続され1住戸当
たりの給水量を制御する給水制御装置が各住戸毎に配置
される給水配管システムであって、給水制御装置は、1
住戸に対する給水量を所定流量に制限するための流量調
整部と、流量調整部の下流側に連接し、給水管系の適正
圧力を保持するための流量整流部とを備えた弁箱と、流
量調整部内に配置された第1の弁体と、流量整流部内に
配置された第2の弁体とを有し、各給水管系の元部は、
給水制御装置における第2の弁体と流量整流部との間に
形成される隙間の流過断面積Aに当該給水管系内の住戸
数Sを掛けた総断面積Asと略等しい断面積Apを有す
る管径とされたことを特徴とする。
【0021】本発明に係る給水配管システムの第2の構
成は、第1の構成において、給水管系には複数階への給
水を行うための縦管系が含まれることを特徴とする。
【0022】本発明に係る給水配管システムの第3の構
成は、第2の構成において、縦管系は、上流側から下流
側まで呼び径が等しいストレート管であることを特徴と
する。
【0023】本発明に係る給水配管システムの第4の構
成は、第1乃至第3のいずれか1の構成において、給水
制御装置は、第2の弁体が流量整流部内に移動可能に配
置されるとともに、第2の弁体と流量整流部との間に形
成される隙間の流過断面積Aが、第2の弁体の位置に拘
わらず一定とされたことを特徴とする。
【0024】本発明に係る給水配管システムの第5の構
成は、第1乃至第4のいずれか1の構成において、給水
制御装置は、第1の弁体が上流側になるにつれて絞り込
まれた形状としたことを特徴とする。
【0025】本発明に係る給水配管システムの第6の構
成は、第1乃至第5のいずれか1の構成において、給水
制御装置は、第2の弁体と流量整流部との間に形成した
隙間が、環状薄膜形状であることを特徴とする。
【0026】本発明に係る給水配管システムの第7の構
成は、第1乃至第6のいずれか1の構成において、給水
制御装置は、呼び径が20Aであり、第2の弁体と流量
整流部との間に形成した隙間の流過断面積Aが略29m
2であることを特徴とする。
【0027】本発明に係る給水配管システムの第8の構
成は、第1乃至第7のいずれか1の構成において、給水
制御装置の流量調整部は、流量整流部に供給される水の
流量を一定とする定流量手段を備えたことを特徴とす
る。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、図
面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】まず、各住戸等への均等給水の実現及び各
給水管系の適正圧力保持という二つの条件を得るための
手段の概要について詳細に説明する。
【0030】(一住戸当たりの適正な給水量)各住戸等
への均等給水を実現するにあたり、まず、前提となる
「一住戸当たりの適正な給水量」について説明する。
【0031】日本国内の平均的なマンションの実像は、
各種の建築関連資料によれば、1住戸当たりの居住者が
平均3.5人で、間取りが3DK又は2LDKで、給水
個所が台所、風呂(シャワー含む)、洗面所、トイレ
(ロータンク式)、洗濯機の計5ヶ所で、給湯個所が1
6号又は20号ガス式瞬間湯沸し器で台所、風呂(シャ
ワー含む)、洗面所の計3ヶ所となっており、設置され
る水道メータは20Aとされている。
【0032】ここで、給水・給湯先の各水栓の所要流量
は、概ね適正値が決まっており、具体的には、 各水栓の平均流量8(リットル/分)×水洗同時開放予
測個数3=24(リットル/分) すなわち、1住戸当たりの給水流量につき、約「25リ
ットル/分」の値が確保されていれば、流量としては充
分であり、住居者からの苦情も出ないことが発明者の実
証調査により確認された。
【0033】ここで、1住戸当たりの給水個所が平均で
5ヶ所なのに対して、水洗同時開放予測個数を3とした
根拠は、1日のうちで給水量が最大になる夕方6時から
21時の時間帯であっても、1住戸で同時に4ヶ所もの
水栓が開放されるケースは極めてまれであることが先の
実証調査により確認されたことに基づく。
【0034】また、一住戸当たりの適正な給水量を、水
道メータの適正計測流量の観点から検討してみると、2
0Aの水道メータにおける適正な計測流量は、「検定流
量大流」が1.5m3 /h、すなわちここでも約「25
リットル/分」となる。この検定流量大流以上で水道メ
ータを使用すると、計測誤差を招くと共に、水道メータ
の破損やウォータハンマの発生など不具合を生ずる原因
となるので、水道メータをできる限りこの流量値の範囲
内での使用とすること、及び各住戸に対してこのような
適正な給水量での配水を行うことが非常に重要になる。
【0035】本発明者は、従来の給水配管システムにお
いて、水道の同時使用率が高い時間帯に上層階で水の出
が悪くなることがあるのは、配管の摩擦水頭が原因なの
ではなく、低層階で無意識のうちに必要以上に水を使い
過ぎている、すなわち低層階における水の暴走が原因で
あることを、先の実証調査により確認した。
【0036】(各給水管系の適正圧力保持)上述のよう
に一住戸当たりの最大給水量を適正に制限できれば、給
水配管系本管部全体は、パスカルの定理に示される「密
閉された器」に近い状態となり、各住戸の給水制御弁に
は、階高に応じた所定の圧力が安定して作用する。
【0037】非圧縮性流体である水については、末端の
水栓で開放使用があると、給水系全体では直ちに圧力降
下を生じ、アンバランス状態が発生する。しかしなが
ら、給水配管系では水道ポンプからの圧力を受けてお
り、水道ポンプの衝撃波加速度が位置水頭(吐き出し水
頭)として配管系全体に伝播して降下した圧力をサポー
トし、配管系全体を常に押圧しているので、水栓での開
放使用の流量が適正範囲内であれば、瞬時に配管系圧力
は回復し、配管系全体でのバランス状態が保たれるよう
になっている。給水配管系では、このようなアンバラン
ス/バランス状態を常時繰り返している状態と見ること
ができるので、上述したアンバランス状態が過度になら
ないように技術的に解決する必要がある。
【0038】本発明は、「摩擦損失水頭が少ない配管部
材を良しとする。」ことが常識的であった従来の考え方
に対して、「配水管内に積極的に適正な抵抗を配するこ
とにより、流量を適性(上述の事例では1住戸当たり
「25リットル/分」)に制御する。」という、まった
く逆の発想に基づいて提案されたものである。
【0039】但し、配水管内に抵抗を配すると言って
も、単純に流体を絞ると、騒音・潰食・乱流など多くの
問題が発生するため、これらの問題を技術的な手法で解
決しつつ行う必要がある。
【0040】このような課題に対して、本発明者は、種
々の実験を重ねた結果、給水本管から分岐した複数の給
水管系を有し、各給水管系の元部の下流側に接続され1
住戸当たりの給水量を制御する給水制御装置が各住戸毎
に配置される給水配管システムにおいて、騒音・潰食・
乱流などの問題を発生することなく配水管内に抵抗を配
するため、各住戸に配される給水制御装置として、以下
のような構成のものが最適であるとの知見を得るに至っ
た。
【0041】すなわち、給水制御装置は、1住戸に対す
る給水量を所定流量に制限するための流量調整部と、流
量調整部の下流側に連接し、給水管系の適正圧力を保持
するための流量整流部とを備えた弁箱と、流量調整部内
を移動可能な第1の弁体と、流量整流部内を移動可能な
第2の弁体とを有し、第2の弁体と流量整流部との間に
形成される隙間の流過断面積Aが第2の弁体の位置に拘
わらず一定とされた構成とする。
【0042】そして、各給水管系の元部は、給水制御装
置の流過断面積Aに当該給水管系内の住戸数Sを掛けた
総断面積Asと略等しい断面積Apを有する管径とされ
た構成とする。これにより、騒音・潰食・乱流などの発
生を押さえて適正な給水量確保及び給水管系の適正圧力
保持が実現される。
【0043】(給水制御装置の第1の実施の形態)以
下、1住戸当たり「25リットル/分」を最大量として
給水制限し、各給水管系の圧力保持を達成するために各
住戸に配置される給水制御装置の実施の形態について説
明する。まず、図1及び図2を参照して、給水制御装置
の第1の実施の形態について説明する。ここで、図1に
は第1の実施の形態の給水制御装置としての給水制御弁
10につき、その全体構成を説明するための正面断面図
を、図2(a)には給水制御弁10の一次側圧力が低圧
時における要部断面図を、図2(b)には一次側圧力が
高圧時における要部断面図を、それぞれ示す。
【0044】図1に示すように、第1の実施の形態の給
水制御弁10は、流入口11aと排出口11bとを有
し、弁体3が移動可能に収納される弁箱11内に、流量
調整部1と流量整流部2とが備えられた構成となってい
る。この給水制御弁10は、例えばビル設備等におい
て、各住戸等における上水道用量水器(水道メータ)の
前段又は後段に接続配置され、弁箱11の流入口11a
には給水管系の元部から連なる枝管が接続され、排出口
11bには水栓が接続される。そして、この実施の形態
では、給水制御弁10の呼び径が20Aとなっている。
【0045】給水制御弁10の流量調整部1は、1住戸
に対する給水量を所定流量に制限するための弁座部であ
り、給水管系の元部からの水が流入される流入口11a
の近傍に配されている。一方、流量整流部2は、給水管
系の適正圧力を保持するための円筒形の弁座部であり、
流量調整部1の下流側に連接し、流量調整部1よりも大
きい径の筒状となっている。
【0046】弁体3は、流量調整部1の水流を調整する
第1の弁体3aと流量整流部2の水流を調整する第2の
弁体3bとが連接し一体化された構成となっている。弁
体3の第1の弁体3aは、上流側(先端部側)になるに
つれて絞り込まれた略ニードル状(円錐台状)の形状と
なっており、流量調整部1内を移動可能とされる。
【0047】一方、弁体3の第2の弁体3bは、第1の
弁体3aよりも大きい径で、かつ、流量整流部2の径よ
りも若干小さい径の円柱状の形状となっており、流量整
流部2内を移動可能とされる。第1の弁体3aと第2の
弁体3bとの接続部は、上流側(第1の弁体側)になる
につれて絞り込まれたテーパー状の弁座部となってい
る。
【0048】図1は、給水制御弁10が全閉状態とされ
た場合の図であり、この全閉状態では、第1の弁体3a
が流量調整部1内に位置し、第2の弁体3bが流量整流
部2内に位置し、第1の弁体3aと第2の弁体3bとの
接続部が流量調整部1の端部に圧接することにより、給
水管系の元部からの水が流入口11aに流入しないよう
になっている。
【0049】そして、給水制御弁10では、上述のよう
に、第2の弁体3bの径が流量整流部2の径よりも若干
小さくなっていることから、第2の弁体3bと流量整流
部2との間に環状薄膜形状の隙間部2aが形成される。
この隙間部2aは、幅が約0.5mmと極めて薄く、そ
の断面積は第2の弁体3bが移動しても一定であり、こ
の実施の形態では略29mm2になっている。
【0050】なお、給水制御弁10においては、弁箱1
1に対して雌ネジ部12aを有する蓋12が組み付けら
れ、蓋12の雌ネジ部12aに対して第2の弁体3bか
ら延設された弁棒13の雄ネジ部13aが係合すること
により、弁棒13の回転により第1の弁体3a及び第2
の弁体3bが流量調整部1及び流量整流部2に対して相
対移動するようになっている。
【0051】さらに詳細には、給水制御弁10において
は、弁棒13の一端部にはハンドル18が取り付けら
れ、弁棒13と蓋12との間の水密性を保持するための
パッキン座金14,パッキン15,グランド16,及び
パッキンナット17が蓋12に取り付けられ、さらに、
弁体3の開度を所定位置までに制限するための弁開度位
置制限機構の構成部材として、弁棒13の上下移動に伴
って同方向に移動する断面L字状の薄板からなるインジ
ケーター21、インジケーター21の移動を阻止するた
めの略棒状のストッパー19、弁箱11に取り付けられ
ストッパー19の位置を固定するための蝶ボルト20、
弁棒13に取り付けられインジケーター21と相対回転
する座金22とを有している。
【0052】給水制御弁10の弁開度位置制限機構で
は、ストッパー19の端部でインジケーター21の移動
が阻止されるようになっており、また、インジケーター
21の先端部21aに対応する蓋12の外周部には、流
量調整位置の基準となる不図示の開度目盛りが設けら
れ、この開度目盛りが先端部21aによって指示される
ようになっている。これにより、給水制御弁10では、
止水のため一度設定した流量調整位置より弁開度を全閉
状態としても、当初設定した流量調節位置(弁開度)に
容易に復帰できるようになっている。
【0053】以下、この給水制御弁10の使用方法及び
動作について説明する。給水制御弁10は、流入口11
a及び排出口11bに対して上述のように配管され、予
め流量設定された弁開度位置までハンドル18を回転し
て弁体3(バルブ)を開放し、その位置よりさらに開放
側へハンドル8が回転されてバルブがより開かないよう
に前記弁開度位置制限機構を用いて設定する。また、バ
ルブを一旦止める必要がある場合にはハンドル8を閉方
向に回転させ、その後にバルブを元の弁開度位置に戻し
て使用する。
【0054】給水制御弁10は、ハンドル8の手動操作
によって、弁棒13及びこれと一体に設けられた弁体3
が回動して、図1の上下方向に移動する。そして、図2
に示すように、第1の弁体3aと流量調整部1との間の
隙間の増減により、流量調節が行われる。
【0055】上述のように、この実施の形態では、給水
制御弁10の呼び径が20Aであり、流量整流部2に形
成される環状薄膜は、0.5mmと極めて薄く、その断
面積は29mm2である。これら各値は発明者が実験に
より求めた最適値であり、これにより、流量整流部2を
通過する水の最大流量は、弁体3の位置に拘わらず、
「25リットル/分」以下に制限される。
【0056】給水制御弁10における第2の弁体3bと
流量整流部2との間に形成される環状薄膜形状の隙間部
2aの寸法(断面積)は、発明者が実験により求めた最
適値であり、これにより水流の状態や騒音発生の回避に
ついて最も良好な状態となる。
【0057】(給水制御装置の第2の実施の形態)本発
明の給水配管システムで用いられる給水制御装置は、適
正な給水量確保及び給水管系の適正圧力保持を実現する
ための手段として、流量調整部と流量整流部とが一体又
は別体で構成された装置であればよく、各種の組合せが
考えられる。
【0058】上述した第1の実施の形態の給水制御装置
としての給水制御弁10は、流量調整部1側の第1の弁
体3aの形状がニードル状とされた弁体3を有するもの
であったが、第2の実施の形態の給水制御装置は、流量
調整部を定流量器又は定流量弁とし、この定流量器又は
定流量弁の下流側に流量整流部を設けた構成とする。以
下、第2の実施の形態の給水制御装置としての給水制御
弁について図3を参照して説明する。なお、第1の実施
の形態と同一機能の部分には同一の符号を付している。
【0059】第2の実施の形態の給水制御装置として図
3に示す給水制御弁10Aは、流量調整部として定流量
弁が用いられ、流量整流部として整流装置が構成されて
いる。
【0060】具体的には、この給水制御弁10Aは、弁
箱として、流入口11aが形成された弁箱11Aと排出
口11bが形成された弁箱11Bとからなり、弁箱11
Aには給水管系の元部からの水の流入の許可/禁止を切
り換えるためのボール弁23及びボール弁23の回動位
置を操作するハンドル18がそれぞれ回動可能に取り付
けられ、弁箱11Bには流量調整部1A及び流量整流部
2Aが設けられる。
【0061】流量調整部1Aには、図3に示すように、
第1の弁体としての定流量弁ニードル24と定流量弁ニ
ードル24と当接するスリーブ25と、定流量弁ニード
ル24よりも大径の孔部を有し、定流量弁ニードル24
の移動により流過面積の増減を構成するノズル26と、
定流量弁ニードル24を上流側に付勢するコイルスプリ
ング27とが格納されている。そして、流量調整部1A
では、流入口11aから流入される給水管系の元部から
の水の圧力に応じて定流量弁ニードル24がコイルスプ
リング27の付勢力に抗して下流側に移動することによ
り、常に一定の流量を流量整流部2Aに供給するように
なっている。すなわち、流量調整部1Aでは、水圧が高
い場合には定流量弁ニードル24の下流側への移動量が
多くなり、定流量弁ニードル24がノズル26の孔部に
入り込む量が増え、水圧が低い場合には定流量弁ニード
ル24の下流側への移動量が減り、定流量弁ニードル2
4がノズル26の孔部に入り込む量が減るので、結果と
して水圧に拘わらず一定の流量が流量整流部2Aに供給
される。
【0062】流量整流部2Aには、第2の弁体としての
整流弁28が配置される。この給水制御弁10Aでも、
第1の実施の形態の給水制御弁10と同様に、流量整流
部2Aと整流弁28との間に環状薄膜形状の隙間部28
aが形成され、呼び径20Aにおいてその流過断面積が
略29mm2となっている。
【0063】なお、一般に、各住宅の給水元弁の近傍に
設置される戸別給水用減圧弁は、圧力の制御はできても
流量は制御不可能で、性能が良いと言われている減圧弁
ほど良く流れるようになっており、流量制限を加えなけ
れば、呼び径20Aで50リットル/分以上も流れるも
のとされている。従って、各実施の形態の給水制御弁1
0,10Aにおいて、流量調整部1,1Aを減圧弁で構
成することは不適当である。
【0064】(給水制御弁を用いた給水配管システムの
実施の形態)以下、上述した給水制御弁10を用いた給
水配管システムの実施の形態について、図面を参照し、
かつ従来例と比較しながら詳細に説明する。
【0065】図4は、1階から15階までを集合住宅と
した15階建ての大型建築物についての従来の給水配管
システムを示す具体例であり、ここでは図4に示すよう
に、15本の給水縦管で450戸の住戸に配水している
(縦管1本当たりの住戸相当数は30)。
【0066】図4に示す各配管の径は、図10及び図1
1で説明した従来の配管設計手順で求めたものである。
また、戸別給水配管で一般的に用いられる配管径は、設
計流量及び水道メータ仕様の関係から呼び径20Aであ
るので、以下に、上述した呼び径20Aの給水制御弁1
0を450戸相当の各住戸に配置した場合について説明
する。
【0067】上述のように、呼び径20Aの給水制御弁
10における流量整流部2に形成される環状薄膜は、
0.5mmと極めて薄く、その断面積は「29mm2
となっている。ここで、流量整流部2を水が最大流量
「25リットル/分」にて通過する際には、流量整流部
2における計算上の流速は約14m/secと極めて高
速流となるが、給水制御弁10では、流量調整部1で最
大流量を制限しているので、配置される階高により位置
水頭に差があるものの、各階、各住戸における呼び径2
0Aの給水制御弁10の流量整流部2の流れの状態は略
同一となる。また、このときの流量整流部2の環状薄膜
の流れを観察すると、水はあたかも「粘性」を持った流
体の如く挙動し、前述の約14m/secという高速流
にも拘らず、各階、各住戸におけるいずれの給水制御弁
10においても騒音や浸食の問題は生じない。そして、
25リットル/分のときには、給水制御弁10の前段及
び後段の呼び径20Aの各配管では、管内平均流速が最
大約1.6m/secとなるので、各階、各住戸におけ
るいずれの給水制御弁10においても騒音や浸食等の問
題はまったく生じない。
【0068】一方、図4に示すように、階高による位置
水頭差があり、各階において最大通過流量「25リット
ル/分」を得るためには、給水制御弁10における流量
調整部1については、各階毎に開口断面積を異なる設定
とする必要がある。すなわち、この流量調整部に関して
は、給水圧力が高い低層階における住戸ではこれを絞り
(図2(b)参照)、給水圧力が低い高層階における住
戸ではこれを順次解放(図2(a)参照)するように設
定する。なお、定流量弁ニードル24を用いた第2の実
施の形態の給水制御弁10Aでは、自力式の調整機構に
より、自動的に開口断面積を増減して定流量制御を行う
ことが可能である。
【0069】このようにして、実施の形態の給水制御弁
を各住戸に配置した給水配管システムによれば、流量調
整部1と流量整流部2とが相応して流体抵抗となり、給
水時に適性な流量に制限すると同時に、騒音発生や浸食
の問題を抑えることが可能となる。
【0070】(整流断面倍数設計法による配管システ
ム)流量調整部1と流量整流部2とを有した呼び径20
Aの給水制御弁10を各住戸に対して設置すれば、前述
の通り、一住戸当たりの配管系の最小面積が流量整流部
2における「29mm2」となることから、各給水管
(給水縦管、分岐後及び分岐前の横引き主管)における
分岐元部の呼び径については、この面積に住戸数を掛け
合わせれば算出できることになる。
【0071】具体的には、図5に示すように、管材の決
定、管路の選定、分岐元部の下流側についての受持ち戸
数を算出した後に、給水制御弁10の流量整流部2の環
状薄膜の流過断面積A(この例では29mm2)に前記
受持ち戸数の値Sを掛け合わせることにより、各給水管
系の分岐元部の必要面積の値が極めて簡単に算出され
る。これにより、図11で説明した従来の給水配管シス
テムにおける管径の算出の手法と比較して明らかなよう
に、管路の相当長の算出、許容摩擦損失水頭の算出とい
う非常に煩わしい作業を行う必要がなくなる。
【0072】すなわち、本発明の給水配管システムにお
けるいわば「整流断面倍数設計法」とも言うべきこの手
法は、従来の配管設計手法、特に同時給水率を議論する
手法からすれば画期的であり、配管の損失水頭(H2
はおろか、算定に頭を悩ませる同時使用率、瞬時最大給
水量などのファクターさえも考慮する必要がなくなる。
【0073】例えば、1本の縦管で20階建て・2住戸
分岐・計40戸に配水する高層マンションの給水縦管の
管径を決定する際には、本発明の給水配管システムにお
ける算出手法を用いれば、給水縦管は、流過断面積29
mm2×40戸=1,160mm2の断面積と算出され、
呼び径40Aのストレート配管(粉体樹脂ライニング鋼
管NPCの管内面積=1,170)で賄えることにな
る。これと同一条件の設備において従来の計算手順で算
出される管径は、例えば図13に示すような縦管元部の
呼び径が65Aの筍状配管であり、両者のイニシアルコ
ストの差異は明白である。
【0074】集合住宅や集合宿泊施設等の大型建物にお
ける給水設備配管には、先に述べたように各種の方法が
あるが、本発明は、図13(a)に示す高置水槽式と図
13(b)に示すポンプ直送式とのいずれの方式にも適
用可能であり、また、圧力水槽方式(図10参照)にも
適用可能である。
【0075】なお、マンションやホテルなどの高層建物
においては、シャフト貫通システムによる縦管給水方式
が極めて多く採用されるが、この給水又は給湯用の縦管
に接続される階高、住戸・部屋の数などは、各建物によ
ってまちまちである。このため、本発明の給水配管シス
テムでは、各給水管の分岐元部の管径については、理論
的には給水制御弁10の流量整流部1の流過断面積Aに
住戸数Sを掛けた断面積Asと略等しい管径を採用すれ
ば良いものの、実際には水管(パイプ)は呼び径順に製
造販売されており、計算値による理論値(As)通りの
パイプを入手することは困難であるため、実際の管径決
定はこの理論値Asに略等しいApの値を有する断面積
の市販パイプ管径を選定して行うことになる。
【0076】このパイプ選定にあたっては、その断面積
Apが理論値Asに対してほぼ等しいか、大きい直近サ
イズの市販パイプ管径とすれば良い。
【0077】
【実施例】以下に、実際に本発明の給水配管システムを
適用した事例を、従来の配管設計と比較対照して説明す
る。
【0078】この事例は、本発明を比較的大型のビル物
件に適用した例であり、具体的には、集合住宅とした1
5階建ての集合住宅ビル(以下、単に「集合住宅ビル」
という。)について、入居戸数450戸に対して、ポン
プ直送給水方式で給水する給水配管システムの例であ
る。
【0079】このような集合住宅ビルについて、従来の
給水配管設計手法(図10及び図11参照)で算定した
場合の給水配管システムについて、図4を参照して説明
する。
【0080】図4には、従来の給水配管設計手法で算定
した場合の集合住宅ビルについての給水配管システムの
給水設備の概要を示している。この集合住宅ビルでは、
図4に示すように、450戸に給水するための給水本管
が2本の横引き管に分岐されることにより、240戸に
対して給水する横引き管と210戸に対して給水する横
引き管とによる給水管系が形成され、さらに、各横引き
管から、各階に対して給水するための複数(8+7=1
5本)の縦管が接続されることにより、各縦管が約30
戸に給水する給水縦管系が15個形成されることにな
る。
【0081】ここで、各給水管の呼び径の算定値とは、
上述した各算出式(式1乃至式3)に従って計算する
と、図4に示すように、給水本管の分岐元部で200
A、分岐後の各横引き管における分岐元部で125A、
各横引き管に接続される縦管の分岐元部で65Aとな
る。
【0082】さらに、縦管については、従来の給水配管
設計手法では、給水の下流側で管径が細くなるいわゆる
筍配管が一般に使用されることとなり、呼び径の算定値
としては、この筍配管の縦管元部及び1階から4階まで
の各階では65A、5階から8階までの各階では50
A、9階から11階までの各階では40A、12階が3
2A、13階と14階がそれぞれ25A、最上階の15
階が20Aとなった。
【0083】(本発明による配管径の算出方法)さら
に、上述した15階建ての集合住宅ビルについて、本発
明の給水配管システムを適用した場合の給水設備の概要
について、理論値を示す図7及び実際に適用した値を示
す図9を参照して説明する。図4と比較して明かなよう
に、本発明の給水配管システムによれば、給水本管の分
岐元部で125A(従来例:200A)、分岐後の各横
引き管における分岐元部で100A(従来例:125
A)、各横引き管に接続される縦管の分岐元部で32A
(従来例:65A)となり、従来例と比べて大幅に管径
が縮減され、これに伴って、コストダウンが達成され
る。
【0084】すなわち、本発明の給水配管システムで
は、各給水管系の元部は、給水制御弁10の流量整流部
2の流過断面積A(=29mm2)に当該給水管系にお
ける住戸数Sを掛けた総断面積Asと略等しい断面積A
pを有する管径としているため、図6に示すように、給
水本管の分岐元部の総断面積As1 は、断面積29mm
2×住戸数450戸=13,050mm2となり、この値
に略等しい125Aのナイロンライニング鋼管(面積1
2,300mm2)が選定される。
【0085】また、給水本管から分岐した各横引管の分
岐元部の総断面積As2 は、断面積29mm2×住戸数
225戸=6,525mm2となり、80Aの鋼管だと
断面積が約5,011mm2と狭いため、7,585m
2の断面積を有する100Aの塩ビライニング鋼管が
選定される。
【0086】さらに、給水縦管を筍配管とする場合に
は、図6に示すように、給水縦管の分岐元部の総断面積
As3 は、断面積29mm2×住戸数30戸=870m
2となり、32Aの塩ビライニング鋼管だと断面積が
839mm2と狭く、逆に32Aのステンレス鋼管だと
断面積が1,275mm2と広いため、950mm2の断
面積を有する32Aのナイロンライニング鋼管が選定さ
れる。また、8階から上の階、及び12階から上の階に
対する給水縦管の管径を絞る場合には、8階から15階
までの8フロア分の給水縦管の分岐元部の総断面積As
4 が、断面積29mm2×住戸数16戸=464mm2
なり、25Aの鋼管の中でも断面積475mm2の塩ビ
ライニング鋼管が最適となり、さらには、12階から1
5階までの4フロア分の給水縦管の分岐元部の総断面積
As5 が、断面積29mm2×住戸数8戸=232mm2
となり、20Aの鋼管の中でも断面積272mm2の塩
ビライニング鋼管が最適なものとして選定される。
【0087】このように、管径の選定にあたっては、上
述の算定式通りのものがあれば良いが、実際に製造、販
売されている水管はこれと全く同一でない場合が多いた
め、選定に当たっては、直近の太い管径の水管を選べば
良い。
【0088】以上の算定手順で明かなように、本発明の
給水配管システムによれば、管路の相当長の算出、許容
摩擦損失水頭の算出という非常に煩わしい作業を行う必
要がなくなる。
【0089】(実際に適用した値についての説明)次
に、上述の15階建ての集合住宅ビルについて、本発明
の給水配管システムを適用した場合における分岐元部の
管径の実際に採用した値について、図9を参照して説明
する。図7と図9とを比較して明かなように、実際の設
計及び施工例では、給水縦管系について、各縦管をスト
レート管とし、各階における呼び径を相互に同一とし
た。
【0090】(筍状縦管とストレート配管との比較)図
13(a)、(b)には、従来設計で給水縦管部を筍配
管とした場合の各階の配管及び給水制御弁の呼び径の配
置等を示している。なお、図13では上述した11階建
ての大型建物に対する設計例について示しているが、図
4の例も、基本的には図13(b)と同様の配置等で設
計した場合を示している。図13で説明したように、従
来の給水配管システムでは、給水縦管部について、本来
給水圧力が高く水の出の良い上流側の配管を太くし、逆
に下流側で配管を絞っていた。しかしながら、このよう
な筍配管とする給水縦管部によれば、速度水頭にブレー
キが掛かり、水の出が悪くなっていた。
【0091】これに対し、本発明を適用した給水配管シ
ステムの実際の適用例では、図9に示すように、15本
の給水縦管についてストレート配管とし、各階の配管径
が相互に同一となるようにした。すなわち、本発明の給
水配管システムでは、各給水縦管についてストレート配
管とすることにより、管やバルブの縮径によるコストダ
ウンが図れるのみならず、フルショッププレファブ管加
工も可能となり、さらなる配管の省力・省人化が実現可
能となった。
【0092】また、従来の給水配管システムでは、図1
3で説明したように、圧力が高くなる下層階側(この例
では1階から5階まで)には戸別減圧弁を設置すること
になる。これに対して、本発明の給水配管システムで
は、給水量が適性に制限されているので、水栓開放時に
著しい水勢吐水が発生することはなく、そのため、給水
圧力0.5Mpa以下の条件においては、図8に示すよ
うに、戸別減圧弁を設けなくても差し支えないことが実
際の適用事例から明らかになった。
【0093】この事例においては、後日にバルブ周りと
水栓周りの計測、及び、住居者に対して使用状況等の調
査を行った。その結果を表1及び表2に示す。ここで、
表1にはバルブ周りの計測値を示し、表2には水栓周り
の計測値を示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】各表からも分かるように、本発明の給水配
管システムが適用されたこの事例では、上層の階におい
ても圧力低下がほとんど発生せず、また水栓からは適正
な流量の水が流れることが明らかになった。そして、本
発明者は、各階の居住者が水栓の使用状態に違和感や不
満なく給水・給湯設備を利用できていることを確認し
た。
【0097】本発明の理論及び実施例の説明では、一般
的な集合住宅の給水設備配管について述べたが、建物に
は用途に応じて多種・多様な態様があり、これに伴って
給水設備配管も各種の態様を示す。
【0098】例えば、ビジネス用途のシングルルームホ
テルやワンルームマンションなどでは、一般に必要とさ
れる給水量が少なくて良いケースとなり、逆に、例えば
外国人家族が居住するような場合で特別に給水量を確保
しなければならないケースもある。このような場合、給
水量が少なくて良いケースでは、給水制御装置としての
給水制御弁について呼び径を例えば15Aとし、逆に、
特別に給水量を確保しなければならないケースでは、こ
の呼び径を例えば25Aとすることにより対応可能であ
る。従って、本発明は、呼び径20Aの給水制御装置の
みに限定するものではない。
【0099】以上のように、本発明を適用した給水配管
システムによれば、次のような特有の効果が得られた。
【0100】:給水本管(横引き管)及び各枝管(横
引き管や縦管など)の管材やバルブの縮径によるイニシ
アルコストが削減され、過剰品質化が防止された。特に
給水縦管系をストレート管とすることにより、フルショ
ッププレファブ管加工も可能となり、さらなる配管の省
力・省人化が実現可能となった。
【0101】:各住戸への均等給水が実現し、上層階
での水の出が悪くなったり、ガスボイラーの不着火を起
こすことがなくなった。
【0102】:適正な配水量により水の使用量が正し
く計測され、下層階における水の使い過ぎが減り、省資
源となった。
【0103】:過大な流量による水道メータの破損が
防止された。また、適性流量内での使用が確保されるの
で、ウォータハンマの発生が抑制できた。
【0104】:給水制御装置に止水機能を持たせるこ
とにより、別に戸別用の止め弁を設置する必要はなく、
止め弁としても兼用利用できた。
【0105】:15階程度の建物の給水設備では、従
来設けられていた戸別給水用減圧弁(図13参照)を全
く設けなくとも問題無い付帯効果が立証された。
【0106】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
集合住宅及び集合宿泊施設における給水設備配管におい
て、各給水管系の過剰品質化を防ぐとともに、圧力を適
正に保持し各住戸等への均等給水を実現することが可能
な給水配管システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】給水制御弁の第1の実施の形態の全体構成を示
す正面断面図である。
【図2】給水制御弁の第1の実施の形態の要部を説明す
る断面図であり、(a)に一次側圧力が低圧時における
状態を、(b)に一次側圧力が高圧時における状態を、
それぞれ示す。
【図3】給水制御弁の第2の実施の形態の構成を示す図
であり、流量調整部に定流量弁を用いた給水制御弁の正
面断面図である。
【図4】従来の配管設計手順による15階建ての大型建
築物についての給水配管システムの例である。
【図5】本発明の給水配管システムにおける分岐元部の
管径の算出手順を、従来の配管設計法との比較において
示すチャート図である。
【図6】本発明の給水配管システムにおける分岐元部の
管径の算出手順を、図4の15階建てビルの給水配管シ
ステムに則して説明するための図である。
【図7】図4の15階建てビルの給水配管システムにつ
いて、本発明の給水配管システムを適用した場合におけ
る分岐元部の管径の理論値について示す図である。
【図8】本発明の配管設計手順による11階建てビルの
給水縦管配管システムの例を従来例の図13と比較して
示す図である。
【図9】図4の15階建てビルの給水配管システムにつ
いて、本発明の給水配管システムを適用した場合におけ
る分岐元部の管径の実際に採用した値について示す図で
ある。
【図10】従来の配管設計法による給水設備設計手順を
示すチャート図である。
【図11】従来の配管設計法による給水管径算定の手順
を示すチャート図である。
【図12】高置水槽式給水方式とポンプ直送式給水方式
とを説明する図である。
【図13】従来の配管設計手順による11階建て建築物
における給水縦管配管システムの例であり、(a)に高
置水槽式給水方式の例を、(b)にポンプ直送式給水方
式の例を、それぞれ示す。
【符号の説明】
10,10A 給水制御弁 1,1A 流量調整部 2,2A 流量整流部 2a,28a 隙間部 3 弁体 3a 第1の弁体 3b,28 第2の弁体 11 弁箱 11a 流入口 11b 排出口 12 蓋 13 弁棒 14 パッキン座金 15 パッキン 16 グランド 17 パッキンナット 18 ハンドル 19 ストッパー 20 蝶ボルト 21 インジケーター 22 座金 23 ボール弁 24 定流量弁ニードル 25 スリーブ 26 ノズル 27 コイルスプリング

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 給水本管から分岐した複数の給水管系を
    有し、該給水管系の最下流に接続され1住戸当たりの給
    水量を制御する給水制御装置が各住戸毎に配置される給
    水配管システムであって、 前記給水制御装置は、1住戸に対する給水量を所定流量
    に制限するための流量調整部と、前記流量調整部の下流
    側に連接し、給水管系の適正圧力を保持するための流量
    整流部とを備えた弁箱と、前記流量調整部内に配置され
    た第1の弁体と、前記流量整流部内に配置された第2の
    弁体とを有し、 前記各給水管系の元部は、前記給水制御装置における前
    記第2の弁体と前記流量整流部との間に形成される隙間
    の流過断面積Aに当該給水管系内の住戸数Sを掛けた総
    断面積Asと略等しい断面積Apを有する管径とされた
    ことを特徴とする給水配管システム。
  2. 【請求項2】 前記給水管系には複数階への給水を行う
    ための縦管系が含まれることを特徴とする請求項1記載
    の給水配管システム。
  3. 【請求項3】 前記縦管系は、上流側から下流側まで呼
    び径が等しいストレート管であることを特徴とする請求
    項2記載の給水配管システム。
  4. 【請求項4】 前記給水制御装置は、前記第2の弁体が
    前記流量整流部内に移動可能に配置されるとともに、前
    記第2の弁体と前記流量整流部との間に形成される隙間
    の流過断面積Aが、前記第2の弁体の位置に拘わらず一
    定とされたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    1に記載の給水配管システム。
  5. 【請求項5】 前記給水制御装置は、前記第1の弁体が
    上流側になるにつれて絞り込まれた形状としたことを特
    徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の給水配管
    システム。
  6. 【請求項6】 前記給水制御装置は、前記第2の弁体と
    前記流量整流部との間に形成した隙間が、環状薄膜形状
    であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に
    記載の給水配管システム。
  7. 【請求項7】 前記給水制御装置は、呼び径が20Aで
    あり、前記第2の弁体と前記流量整流部との間に形成し
    た隙間の流過断面積Aが略29mm2であることを特徴
    とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の給水配管シ
    ステム。
  8. 【請求項8】 前記給水制御装置の前記流量調整部は、
    前記流量整流部に供給される水の流量を一定とする定流
    量手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいず
    れか1記載の給水配管システム。
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