JP2001234241A - 発達したせん断集合組織を有した金属材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属材料にくり返しせん断変形加工による
せん断集合組織を生成させ、それを熱処理することによ
りせん断集合組織を発達させた金属材料を提供するこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属材料にくり返しせん断変形加工によりせん
断集合組織を生成させ、それを熱処理することにより、
せん断集合組織を発達させた金属材料に関する。ここ
で、使用する金属材料は鉄、鋼、アルミニウム、チタニ
ウム、マグネシウムなどの金属およびそれらの合金を含
む。従来、金属材料に塑性変形を与え、熱処理を施すと
集合組織を形成することが知られている。その集合組織
を制御することにより、つづいて行う加工に対する成形
性を向上させることが行われている。これまでの圧縮あ
るいは引張加工した金属材料を熱処理する方法では、せ
ん断集合組織を有した金属材料は得られていない。ま
た、表面にせん断変形を与え、熱処理により一部分だけ
せん断集合組織を生成させることは可能となっている
が、金属材料の全体にわたってせん断集合組織を形成す
ることは可能とはなっていない。そこで、全体にわたっ
てせん断集合組織を有する金属材料の創製が必要とされ
ている。本発明は金属材料にくり返しせん断変形加工に
よりせん断集合組織を生成させ、それを熱処理すること
によりせん断集合組織を発達させた金属材料を提供する
ことを目的としている。上記目的を達成するために、本
発明においては以下の検証を行った。寸法１０×１０×
３２ｍｍの０．００２％炭素の極低炭素鋼の試験片を１
０回のくり返しせん断変形加工を行った。つづいて、そ
の試験片から板厚１ｍｍの試料に切り出し、６００℃で
時間を変化させて熱処理を行い、ビッカース硬度ＨＶ２
２５，２１５，１７３および１０５の材料を作製した。
それぞれの材料から引張試験片を作製し、引張試験を行
った。図１に熱処理後の材料の応力とひずみの関係を示
す。ビッカース硬度の低下に伴い、破断にいたるひずみ
は増加し、一様伸びが増加した。特に、ＨＶ２１５の場
合、引張強さ７２３ＭＰａ，一様伸び０．２，ＨＶ１７
３の場合、引張強さ５９６ＭＰａ、一様伸び０．３以上
という強さと伸びとかね備えた特性を確認した。同じ
く、それぞれの熱処理を施した板厚１ｍｍの試験片のＸ
線測定より集合組織の測定を行った。図２に熱処理して
いないものおよび熱処理を行いビッカース硬度ＨＶ２２
５，２１５，１７３および１０５の試験片の（１１０）
極点図を示す。１０回のくり返しせん断変形加工により
形成されたせん断集合組織が熱処理による硬度の低下に
伴いせん断集合組織が発達していくことが確認された。
以上の結果は、金属材料にくり返しせん断変形加工によ
りせん断集合組織を生成させ、それを熱処理することに
より、せん断集合組織を発達させた金属材料を提供でき
ることを示している。

【図面の簡単な説明】

【図１】熱処理後の材料の応力とひずみの関係を示す図
である。

【図２】熱処理後の材料のせん断集合組織の発達を示す
図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】せん断変形加工によりせん断集合組織を生
   成させた金属材料を熱処理することにより発達したせん
   断集合組織を有した金属材料