JP2001234021A - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー樹脂組成物

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JP2001234021A
JP2001234021A JP2000043242A JP2000043242A JP2001234021A JP 2001234021 A JP2001234021 A JP 2001234021A JP 2000043242 A JP2000043242 A JP 2000043242A JP 2000043242 A JP2000043242 A JP 2000043242A JP 2001234021 A JP2001234021 A JP 2001234021A
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JP
Japan
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weight
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isoprene
component
thermoplastic elastomer
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Application number
JP2000043242A
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English (en)
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Michihisa Tasaka
道久 田坂
Hiroki Mizuno
廣樹 水野
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Riken Technos Corp
Original Assignee
Riken Technos Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 耐油性が高く、機械的特性および高温下での
圧縮歪みに優れ、成形加工性が良く、得られる成形体表
面のベトツキが無く、ウエットグリップ性に優れた、熱
可塑性エラストマー樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (a)ビニル芳香族化合物主体の重合体
ブロックAとイソプレン主体の重合体ブロックBとから
なるブロック共重合体 100重量部、(イソプレンの
1,4−ミクロ構造が70〜100重量%、イソプレン
に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加
されており、重合体ブロックAは(a)成分中5〜70
重量%、ブロック共重合体の数平均分子量は、50,0
00〜550,000。) (b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜250重量部、 (c)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、 10
〜300重量部、 (d)室温固体のポリブタジエン 10〜180重量部 (e)有機過酸化物 0.5〜2.5重量部 (f)架橋助剤 1.0〜5.0重量部 を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形加工性が良
く、且つ、得られる成形体がゴム的感触に優れ、ベトツ
キがなく、圧縮歪み等の機械的特性、および耐油性に優
れ、ウエットグリップ性に優れた、熱可塑性エラストマ
ー樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来技術】スチレン・ブタジエン‐ブロックコポリマ
ー(SBS)やスチレン・イソプレン‐プロックポリマ
ー(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ー樹脂の水素添加物を用いた熱可塑性エラストマー樹脂
組成物は、特開昭58−132032号公報、特開昭5
8−145751号公報、特開昭59−53548号公
報、特開昭62−48757号公報などから知られてい
る。
【0003】また、これらの樹脂組成物のゴム的特性、
例えば加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム
弾性を改良するものとして、組成物をシラン変性した架
橋組成物、または、上記水素添加誘導体を含む組成物を
有機過酸化物の存在下に架橋させて得られる架橋体が提
案されており、特開昭59−6236号公報、特開昭6
2−57662号公報、特公平3−49927、特公平
3−11291、特公平6−13628に示されてい
る。
【0004】しかし、これらの組成物から得られる成形
体は、ショアA硬さで40以上のものばかりである。そ
のため軟化剤の添加量を増量して軟化させることが行わ
れているが、成形品表面にベタツキを生じたり、加熱下
において軟化剤のブリードアウトを生じ、実用上好まし
くないと言う問題点がある。また、機械的特性および高
温下、例えば100℃における圧縮永久歪みに劣る。
【0005】これらの点を解決するものとして、水添ブ
ロック共重合体、水添石油樹脂、オレフィン系樹脂等を
有機過酸化物により架橋させた樹脂組成物が特開平9−
151295号から知られている。しかし、高温下での
圧縮永久歪みおよびベタツキに関してさらなる改良が望
まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐油性が高
く、機械的特性および高温下での圧縮歪みに優れ、且
つ、成形加工性が良く、得られる成形体表面のベトツキ
が無く、ウエットグリップ性に優れた、熱可塑性エラス
トマー樹脂組成物を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(a)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個
の重合体ブロックAとイソプレンを主体とする少なくと
も1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体
100重量部、但し、該イソプレンの70〜100重
量%が1,4−ミクロ構造を有し、該イソプレンに基づ
く脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されて
おり、該重合体ブロックAは、(a)成分中、5〜70
重量%の割合で存在し、且つ該ブロック共重合体は、5
0,000〜550,000の数平均分子量を有する、
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜250重量部、
(c)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、 10
〜300重量部、(d)室温固体のポリブタジエン 1
0〜180重量部(e)有機過酸化物 0.5〜2.5
重量部(f)架橋助剤 1.0〜5.0重量部を含有す
る熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
【0008】
【発明の実施形態】本発明の組成物を構成する各成分に
ついて、以下に説明する。 (a)成分:ブロック共重合体 本発明における(a)成分は、ビニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、イソプ
レンを主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個と
からなるブロック共重合体を水素添加して得られるもの
である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B
−A−B−Aなどの構造を有するもの等を挙げることが
できる。(a)成分は、耐候性、耐油性、高温での物性
劣化を抑えることができる。
【0009】ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブ
ロックAは、好ましくは、ビニル芳香族化合物のみから
成るか、またはビニル芳香族化合物50重量%超、好ま
しくは70重量%以上と共役ジエン化合物及び/又は水
素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックで
ある。
【0010】イソプレンを主体とする重合体ブロックB
は,好ましくはイソプレンのみから成るか、またはイソ
プレン50重量%超、好ましくは70重量%以上とビニ
ル芳香族化合物との共重合体ブロックである。
【0011】これらのビニル芳香族化合物を主体とする
重合体ブロックA、イソプレンを主体とする重合体ブロ
ックBのそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル化合物ま
たはイソプレンの分布がランダム、テーパード(分子鎖
に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一
部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていて
もよい。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
ク或いはイソプレンを主体とする重合体ブロックが2個
以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異な
る構造であってもよい。
【0012】ビニル芳香族化合物としては、例えばスチ
レン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐第3
ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選
択でき、中でもスチレンが好ましい。ブロックA中の任
意的な共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2
種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよび
これらの組合せが好ましい。
【0013】(a)ブロック共重合体の具体例として
は、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合
体(SEPS)等を挙げることができる。本発明におい
て、特に好ましいブロック共重合体は、スチレンを主体
とする重合体ブロックAと、イソプレンを主体としかつ
イソプレンの70〜100重量%が1,4−ミクロ構造
を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少
なくとも90%が水素添加されたところの重合体ブロッ
クBとからなり、重量平均分子量が50,000〜55
0,000の水添ブロック共重合体である。特に、好ま
しくは、イソプレンの90〜100重量%が1,4−ミ
クロ構造を有する水添ブロック共重合体である。
【0014】これらのブロック共重合体の製造方法とし
ては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法と
しては、例えば特公昭40−23798号明細書に記載
された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触
媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得るこ
とができる。上記方法により得られたブロック共重合体
に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加
することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0015】(b)成分:非芳香族系ゴム用軟化剤 本発明の成分(b)としては、非芳香族系の鉱物油また
は液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることがで
きる。ゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族
環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさ
った混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の
50%以上を占めるものをパラフィン系とよび、ナフテ
ン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族
炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別さ
れている。
【0016】本発明の成分(b)として用いられる鉱物
油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフ
テン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用に
より成分(a)が可溶となり、架橋反応を阻害し、得ら
れる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。
成分(c)としては、パラフィン系のものが好ましく、
更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが
特に好ましい。
【0017】これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状
は、37.8℃における動的粘度が20〜500cS
t、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が1
70〜300℃である。
【0018】成分(b)の配合量は、成分(a)100
重量部に対して、30〜250重量部、好ましくは、8
0〜200重量部である。250重量部を越える配合
は、軟化剤のブリードアウトを生じやすく、最終製品に
粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下せしめ
る。また、配合量が30重量部未満では、得られる組成
物の柔軟性が失われることになる。成分(b)は、重量
平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0019】(c)成分:パーオキサイド分解型オレフ
ィン系樹脂 本発明の成分(c)は、得られる組成物中のゴム分散を
良好にし、成形品の外観を良好にする効果を有する。本
発明の成分(c)として適したパーオキサイド分解型オ
レフィン系樹脂は、そのホモ部分のDSC測定により、
Tmが150℃〜167℃、△Hmが25mJ/mg〜
83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はTm、
△Hmから推定することができる。Tm及び△Hmが上
記範囲以外のものでは、得られるエラストマー組成物
の、100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0020】なお、成分(c)は、架橋反応の前と後に
分けて添加することもできる。この場合、成分(c)パ
ーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、次の2種類を
組み合わせて用いるのが好ましい。
【0021】架橋反応前に配合するパーオキサイド分解
型オレフィン系樹脂は、高分子量のホモ型のポリプロピ
レン、例えばアイソタクチックポリプロピレンやプロピ
レンと他の少量のα−オレフィン例えばエチレン、1−
ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等と
の共重合体が好ましい。該樹脂のMFR(ASTM‐D
‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1
〜10g/10分、より好ましく0.1〜5g/10
分、更に好ましくは0.1〜3g/10分である。 架
橋反応後に配合するパーオキサイド分解型オレフィン系
樹脂は、良流動性のブロック、ランダム、ホモタイプの
PPの一以上、例えばアイソタクチックポリプロピレ
ン、又はプロピレンと他の少量のα−オレフィン例えば
エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1
−ペンテン等との共重合体が好ましい。該樹脂のMFR
は、好ましくは5〜200g/10分、より好ましくは
8〜150g/10分、更に好ましくは10〜100g
/10分である。
【0022】架橋反応前に配合する場合、パーオキサイ
ド分解型オレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分
未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、M
FRが10g/10分を越えると、得られるエラストマ
ー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0023】架橋反応後に配合する場合、パーオキサイ
ド分解型オレフィン系樹脂のMFRが5g/10分未満
では、得られるエラストマーの成形性が低下し、MFR
が200g/10分を越えると、得られるエラストマー
組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0024】成分(c)の配合量は、成分(a)100
重量部に対して、上限値は300重量部、好ましくは2
00重量部であり、下限値は、10重量部、好ましくは
20重量部である。10重量部未満では成形性が悪化
し、300重量部を越えると、得られるエラストマー組
成物の硬度が高くなりすぎて柔軟性が失われれ、ゴム的
感触の製品が得られない。
【0025】(d)成分:室温固体のポリブタジエン 本発明の成分(d)としては、室温固体のブタジエンゴ
ム及びポリブタジエンが挙げられる。室温で液体のもの
を使用すると、ブリードアウトが発生するが、室温で固
体のものは、ブリードアウトの防止に有効である。
【0026】好ましくは、シンジオタクチック1,2−
ポリブタジエンである。
【0027】さらに、好ましくは、1,2−ミクロ結合
の含有量が70%以上のポリブタジエンであり、より好
ましく80%以上のもの、特に好ましくは85%以上で
ある。
【0028】70%未満の場合成形加工性や機械強度が
低下する。
【0029】また、結晶化度は5〜50%のものが好ま
しい。さらに好ましくは10〜40%のものである。
【0030】5%未満の場合、及び50%を超えた場合
は、機械強度、熱安定性、耐屈曲性が劣る。
【0031】ポリブタジエンは、有機リチウムを開始剤
とするスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエ
ンゴム(BR)の延長上の技術でゴム粘弾性特性のコン
トロールが容易である。比重が0.85〜0.95 で低結晶性
シンジオタクチック1,2―ポリブタジエンは結晶成分
の補強効果により、耐屈曲亀裂性、引裂強さや押出し加
工性が向上する。反応性に富み、硫黄、パーオキサイド
のみならず、紫外線、電子線により架橋反応する。架橋
製品は耐候性、耐オゾン性、耐熱性、スナッピー性、レ
ジリエンス等が優れている。また、高硬度で伸びが大き
く、表面滑り抵抗が大きく、透明性のよい製品の製造が
容易であり、流動性が良く、押出し・圧延肌が良く、ミ
ル収縮が小さく、グリーン強度が大きい等、加工性にす
ぐれている。
【0032】成分(d)の配合量は、成分(a)100
重量部に対して、上限値は180重量部、好ましくは1
70重量部であり、下限値は10重量部、好ましくは2
0重量部である。5重量部未満では成形性が悪化し、ウ
エットグリップ性が発現されない。180重量部を越え
ると、成形性が悪くなる。
【0033】(e)成分:有機過酸化物 本発明で用いられる有機過酸化物としては、例えば、ジ
クミルパーオキサイド、ジ‐tert‐ブチルパーオキ
サイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ‐(tert‐
ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,
5ジ(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン‐3、
1,3−ビス(tert‐ブチルパーオキシイソプロピ
ル)ベンゼン、1,1‐ビス(tert‐ブチルパーオ
キシ)‐3,3,5‐トリメチルシクロヘキサン、n‐
ブチル‐4,4‐ビス(tert‐ブチルパーオキシ)
バレレート、ベンゾイルパーオキサイド、p‐クロロベ
ンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、tert‐ブチルパーオキシベンゾエ
ート、tert‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボ
ネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド、tert‐ブチルクミルパーオキサイドなど
を挙げることができる。
【0034】これらのうち、臭気性、着色性、スコーチ
安定性の点で、2,5‐ジメチル2,5‐ジ‐(ter
t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル
2,5‐ジ‐(tert‐ブチルペルオキシ)ヘキシン
‐3が最も好ましい。
【0035】成分(e)の配合量は、成分(a)100
重量部に対して、上限値は2.5重量部、好ましくは、
2.3重量部であり、下限値は0.5重量部、好ましく
は1.0重量部である。
【0036】(f)成分:架橋助剤 本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造において
は、有機過酸化物による部分架橋処理に際し、ジビニル
ベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビ
ニルモノマー、又はエチレングリコールジメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性
メタクリレートモノマーを架橋助剤として配合すること
ができる。このような化合物により、均一かつ効率的な
架橋反応が期待できる。
【0037】特に、本発明においては、トリエチレング
リコールジメタクリレートが、取扱いやすく、かつ有機
過酸化物可溶化作用を有し、有機過酸化物の分散助剤と
して働くため、熱処理による架橋効果が均一かつ効果的
で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた架橋熱可塑性エ
ラストマーが得られるため、最も好ましい。更に、トリ
エチレングリコールジメタクリレートは、ポリエステル
系熱可塑性エラストマーとの相溶性も良好で、成形品の
表層剥離が抑えられる。
【0038】本発明で用いられる成分(f)の配合量
は、成分(a)100重量部に対して、上限値は5.0
重量部、好ましくは4.5重量部、より好ましくは、
4.0重量部であり、下限値は0.1重量部、好ましく
は1.0重量部、より好ましくは、1.5重量部であ
る。架橋助剤の添加量は有機過酸化物の添加量の約2〜
2.5倍が好ましい。
【0039】本発明の組成物は、必要に応じて、無機充
填剤を配合することができる。無機充填剤は成形品の圧
縮永久歪みなど一部の物性を改良する効果のほかに、増
量による経済上の利点を有する。用いられる無機充填剤
としては、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウ
ム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然けい酸、合成
けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブ
ラックなどがある。これらのうち、炭酸カルシウム、タ
ルクが特に好ましい。配合量は成分(a)100重量部
に対して、好ましくは100重量部以下、特に好ましく
は60重量部以下である。100重量部を越えると、得
られるエラストマー組成物の機械的強度の低下が著し
く、かつ、硬度が高くなって柔軟性が失われ、ゴム的な
感触の製品が得られなくなる。
【0040】さらに、本発明の組成物は用途に応じて、
各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色
剤等を含有することも可能である。ここで、酸化防止剤
としては、例えば、2,6‐ジ‐tert‐p‐ブチル
‐p‐クレゾール、2,6‐ジ‐tert‐ブチルフェ
ノール、2,4‐ジメチル‐6‐tert‐ブチルフェ
ノール、4,4‐ジヒドロキシジフェニル、トリス(2
‐メチル‐4‐ヒドロキシ‐5‐tert‐ブチルフェ
ニル)ブタンなどのフェノール系酸化防止剤、ホスファ
イト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げ
られる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイ
ト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の
成分(a)〜(d)の合計100重量部に対して、上限
が好ましくは3.0重量部、特に好ましくは1.0重量
部である。
【0041】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
上記成分(a)〜(f)を任意の順序で又は同時に溶融
混練することにより製造することができる。溶融混練の
方法に特に制限はなく、公知の方法を使用し得る。例え
ば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキ
サー又は各種のニーダー等を使用し得る。2軸混練機を
用いる場合には、例えば、スクリュー回転数100rp
m、混練温度180〜240℃で溶融混練を行う。
【0042】以下、実施例、及び、比較例により本発明
を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0043】
【実施例】実施例、及び、比較例において用いた評価方
法は次の通りである。
【0044】1)比重:JIS K7112 A法に準拠し
た。試験片は、溶融混練によって得られたペレットを、
240℃で、6.3mm厚にプレスしたシートである。
【0045】2)硬さ:JIS K 7215に準拠した。試験片
は、溶融混練によって得られたペレットを、240℃
で、6.3mm厚にプレスしたシートである。
【0046】3)引張強さ:JIS K 7161に準拠し、試験
片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜い
て使用した。引っ張り速度は500mm/分とした。
【0047】4)100%伸び応力:JIS K 7161に準拠
し、試験片1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打
抜いて使用した。引っ張り速度は500mm/分とした。
【0048】5)破断伸び: JIS K 7161に準拠し、試
験片1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて
使用した。引っ張り速度は500mm/分とした。
【0049】6)圧縮永久歪み: JIS K7181に準拠し、
試験片は6.3mm厚プレスシートを使用した。120℃×7
2時間、25%変形の条件にて測定した。
【0050】7)耐油性(ΔV): JIS K 7161に準拠
し、試験片は1mm厚プレスシートをダンベルで3号型に打
抜いて使用した。ASTM2号油(IRM #902)を使用し、1
20℃×72時間の引張強さ残率、伸び残率を測定し
た。引っ張り速度は500mm/分とした。
【0051】8)テーバー耐摩耗性:JIS K 7204に準拠
し、試験片として2mm厚プレスシートを用い、磨耗輪
H-22、1000回転後の摩耗量(mg)を測定した。
【0052】9)ウエットグリップ性(動摩擦係数):
射出成形シートを使用し、成形品表面をぬらした直後ヘ
イドン式傷つき試験機で動摩擦係数を測定し、0.6以
上の物を良好とした。
【0053】10)射出成形性:型締め圧120トンの射
出成形機で、12.5×13.5×1mmのシートを下記の成形条
件で成形した。 成形温度 220℃ 金型温度 40℃ 射出速度 55mm/秒 射出圧力 1400kg/cm2 保圧圧力 400kg/cm2 射出時間 6秒 冷却時間 45秒 デラミネーション、変形及び著しく外観を悪化させる様
なフローマークの有無を評価した。表1中、上記欠陥が
認められないものを○、若干でも認められたものを×と
した。
【0054】11)押出・ブロー成形性 押出成形性 40mm押出機で、幅 40mm、厚さ1mm、の帯状のシー
トを押出した。この時の成形条件は、成形温度:ダイス
温度200℃、スクリュー回転数 40rpmであった。ブツが
なく、エッジ成形性が良好、であり且つ光沢も均一であ
るものを○、ブツが多く、外観不良があり、光沢が不均
一であるものを×とした。 ブロー成形性 65mm押出機で、50mm径の中空円柱形の成形品を押出ブ
ローで得た。この時の成形条件は、成形温度: 170〜20
0℃、ブロー時間 5秒、空気圧:1kg/cm2、冷却時間:
10秒であった。ドローダウンがなく、十分に延伸し、表
面性が良好であるものを○、ドローダウンが若干発生し
たが、十分に延伸し、表面性が良好であるものを△、ド
ローダウンが激しく、また外観不良が認められたものを
×とした。
【0055】12)成形品のベタツキ 試験片の6.3mm厚プレスシートを、100℃×22
時間の環境下で50%圧縮した後、目視による低分子量
物のブリード及びブルーミングの有無、更に触感による
ベトツキの有無により評価した。ベトツキのないものを
○、若干ベトツキがあるものを△、ベトツキがあるもの
を×とした。
【0056】また、実施例及び比較例で用いた各成分は
下記の通りである。
【0057】成分(a):水添ブロック共重合体 商品名:セプトン4077(商標)(クラレ株式会社) 種類:スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重
合体 スチレンの含有量:30重量% イソプレン(1,4−ミクロ構造)の含有量:70重量
% 数平均分子量:260,000 重量平均分子量:320,000 分子量分布1.23 水素添加率:90%以上
【0058】成分(b):非芳香族系ゴム軟化剤 商品名:ダイアナプロセスオイル PW−90(商標)
(出光興産株式会社) 種類:パラフィン系オイル 重量平均分子量:540 芳香族成分の含有量:0.1%以下
【0059】成分(c):ポリプロピレン系樹脂 商品名:CJ−700(グランドポリマー株式会社) 種類:ホモポリプロピレン 密度:0.9g/cm3 結晶化度:Tm 166℃、△Hm:82mJ/mg
【0060】成分(d):ポリブタジエン 商品名:JSR RB810(日本合成ゴム株式会社) 種類:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン 密度:0.901g/cm3 1,2―ミクロ結合の含有量:90%
【0061】成分(e):有機過酸化物 商品名:パーヘキサ25B(日本油脂株式会社) 種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン
【0062】成分(f):架橋助剤 商品名:NKエステル3G(新中村化学株式会社) 種類:トリエチレングリコールジメタクリレート
【0063】比較成分:SEBS 商品名:クレイトンG1651(商標)(シェル・ジャ
パン株式会社) 種類:スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体 スチレンの含有量:33重量% 数平均分子量:150,000 重量平均分子量:300,000 分子量分布:2.0 水素添加率:99%以上
【0064】比較成分:SBS 商品名:アサプレンT−430(商標)(旭化成工業株
式会社) 種類:スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体 スチレンの含有量:30重量% 数平均分子量:130,000 重量平均分子量:200,000 分子量分布:1.5
【0065】比較成分:液状ポリブタジエン 商品名:R−45HT(商標)(出光石油化学株式会
社) 官能基として水酸基(アクリル型1級)と共重合反応性
不飽和二重結合(1,4結合80%)を有する。 数平均分子量:2800 室温での形態:液状
【0066】Filler(充填剤): 商品名:RS400(商標)(三共精粉株式会社) 種類:炭酸カルシウム
【0067】実施例1〜4および比較例1〜11 表1及び2に示す割合の各成分と、成分(a)100重
量部に対して40重量部の炭酸カルシウム(三共精粉株
式会社、商品名:RS400)を一括で、2軸押出機
(L/D=46)を使用し、混練温度180〜240℃
およびスクリュー回転数350rpmで溶融混練した。
得られた組成物の評価結果を組成と共に表1及び表2に
示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】表1及び2に示すように、本発明に従う組
成物からの成形品は、成形性が良く、ベタツキもなく、
圧縮永久歪み、耐油性、耐摩耗性、および各種機械的強
度に優れ、ウエットグリップ性に優れる。これに対し
て、本発明の成分(a)の代わりに、イソプレンを主体
とする重合体ブロックBを含まないSEBS(比較例
1)またはSBS(比較例3)を使用すると、成形性が
悪く、機械的特性も低下する。また、本発明の成分
(d)の代わりに、液状のポリブタジエンを使用すると
(比較例2)、ベタツキが生じる。また、成分(b)ゴ
ム用軟化剤を、10重量部以下にした場合(比較例4)
は、流動性が低下し、成形性が悪くなる。本発明の範囲
を超えて含有するもの(比較例5)は、オイルの吹き出
しによるベタツキが発生し、成形性が悪くなる。成分
(c)パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂を多くす
ることにより(比較例7)、成形体が大変に硬くなり、
柔軟性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られなくな
る。成分(c)を5重量部以下にしたもの(比較例6)
は、流動性がかなり悪くなり成形性が著しく低下する。
成分(d)1.2ポリブタジエンを5重量部以下にした
物(比較例8)はウエットブリップ性が低下する。20
0重量部以上添加した物(比較例9)は、流動性が低下
することによって成形性が低下する。成分(e)有機過
酸化物を0.2重量部以下にした物(比較例10)は、
耐油耐熱性の低下が起る。3重量部以上添加した物(比
較例11)は架橋が進み過ぎる為、流動性が著しく低下
する為成形性の低下及び強度低下が起る。
【0071】
【発明の効果】本発明の組成物は、ビニル芳香族化合物
および共役ジエン化合物から主としてなるブロック共重
合体と、同様のブロック共重合体の水添ブロック共重合
体を、所定割合で含有する樹脂成分を含むので、該組成
物からの成形体は、ベタツキがなく、耐油性、耐摩耗
性、および機械的強度に優れ、ウエットグリップ性にす
ぐれる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/02 C08L 23/02 Fターム(参考) 4J002 AC03Z AE05X BB12Y BB14Y BP01W EA047 EH077 EH157 EK036 EK046 EK056 EK066 EK086 EU187 FD02X FD070 FD147 FD156

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ビニル芳香族化合物を主体とする
    少なくとも2個の重合体ブロックAとイソプレンを主体
    とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブ
    ロック共重合体 100重量部、但し、該イソプレンの
    70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、該イ
    ソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が
    水素添加されており、該重合体ブロックAは、(a)成
    分中、5〜70重量%の割合で存在し、且つ該ブロック
    共重合体は、50,000〜550,000の数平均分子
    量を有する、(b)非芳香族系ゴム用軟化剤 30〜2
    50重量部、(c)パーオキサイド分解型オレフィン系
    樹脂、 10〜300重量部、(d)室温固体のポリブ
    タジエン 10〜180重量部(e)有機過酸化物
    0.5〜2.5重量部(f)架橋助剤 1.0〜5.0
    重量部を含有する熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (d)室温固体のポリブタジエンが1,
    2結合を70%以上有することを特徴とする請求項1に
    記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の樹脂組成物を加
    熱架橋処理に付して得られる熱可塑性エラストマー樹脂
    組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7776968B2 (en) 2004-02-20 2010-08-17 Riken Technos Corp. Thermoplastic elastomer composition and thermoplastic resin composition using the same

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