JP2001226507A - 多孔性樹脂フィルム - Google Patents

多孔性樹脂フィルム

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JP2001226507A
JP2001226507A JP2000365346A JP2000365346A JP2001226507A JP 2001226507 A JP2001226507 A JP 2001226507A JP 2000365346 A JP2000365346 A JP 2000365346A JP 2000365346 A JP2000365346 A JP 2000365346A JP 2001226507 A JP2001226507 A JP 2001226507A
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porous resin
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fine powder
ink
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JP2000365346A
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Sanehiro Shibuya
修弘 渋谷
Yasuo Iwasa
泰雄 岩佐
Seiichiro Iida
誠一郎 飯田
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Yupo Corp
Original Assignee
Yupo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系インクや水系糊の溶媒となる水分の吸収
性の良い多孔性フィルムの提供し、また、インクジェッ
ト記録に於いて、インクの吐出量が多い場合にベタ印刷
しても濃度ムラなくインクを吸収できる記録媒体を提供
する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂30〜90重量%、ジアリ
ルアミン塩またはアルキルジアリルアミン塩(a1)と
非イオン親水性ビニルモノマー(a2)との共重合体よ
りなる表面処理剤(A)と、陰イオン性表面処理剤
(B)により表面処理された無機及び/又は有機微細粉
末70〜10重量%、を含有し、「JapanTAPP
I No.51−87」により測定される液体吸収容積
が0.5ml/m2 以上の範囲にあることを特徴とする
多孔性樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系液体吸収性及
びインク吸収性に優れた多孔性樹脂フィルムに関する。
また本発明は、特にインクジェット記録特性が良好で、
精細な画像を形成することができる記録媒体にも関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、耐水性に優れたフィルム系合成紙
は樹脂を主成分とするもので、油性インキやUV硬化型
インキを使用するオフセット印刷やシール印刷、昇華型
または溶融型熱転写などの用紙を主用途としてきた。し
かしながら、用途拡大に伴い、水性インキを使用する印
刷方法や、環境に配慮した水系糊への適性向上要求が高
まっている。そのために、水系インクや水系糊、また
は、それらの溶媒となる水分の吸収性の良い合成紙が必
要となってきている。また、近年のマルチメディアの技
術進歩に伴って、インクジェット方式のプリンターが業
務用、民生用を問わず広く普及している。インクジェッ
ト方式のプリンターは、マルチカラー化および画像の大
型化が容易であり、印刷コストが安い等の多くの特徴を
有している。中でも、油性インクに比べて環境面や安全
面に関する問題を生じにくい水性インクを利用したイン
クジェットプリンターは、最近の主流になっている。
【0003】インクジェットプリンターは、文字だけで
なく画像の処理をも含んだハードコピーを得る方法とし
て広く使われている。その為、印刷後の画像にはより精
細さが要求されるようになっている。画像の精細さは、
記録媒体上に印刷されたインクの乾燥性に左右される。
例えば、複数の記録媒体へ連続的に印刷する場合、印刷
した記録媒体の上に別の記録媒体が重なることが多々あ
る。このとき、印刷した記録媒体のインクの吸収が不十
分であると、インクが重ねた記録媒体上に付着してしま
い、画像汚れの原因になってしまう。
【0004】画像の精細さを高めるために、合成紙、プ
ラスチックフィルムまたは紙などの記録媒体上に親水性
樹脂または無機微細粉末を有するインク受容性材料をコ
ーティングする方法が広く採用されている(特開平3−
82589号公報、特開平9−216456号公報)。
一方、親水性樹脂を主成分とするインク受容層を熱ラミ
ネーション法またはエクストルージョンラミネーション
法によって形成したインクジェット用記録媒体も提案さ
れている(特開平8−12871号公報、特開平9−1
920号公報、特開平9−314983号公報)。しか
しながら、これらの方法によって形成したインクジェッ
ト用記録媒体は、インクの吐出量が多い場合には吸収能
力不足となるケースがあるのでコーティング層を厚くす
る必要があり、コーティング工程を多数回必要とするな
どの問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従
来技術の問題点を解消することを課題とした。すなわち
本発明は、水系インクや水系糊の溶媒となる水分の吸収
性の良い多孔性フィルムの提供、及び、インクジェット
記録に於いて、インクの吐出量が多い場合にベタ印刷し
ても濃度ムラなくインクを吸収できる記録媒体を提供す
ることを課題とした。また、本発明は、このような優れ
た性質を有する記録媒体を構成する多孔性樹脂フィルム
を提供することも課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決することを目的として鋭意研究を行った結果、熱
可塑性樹脂とジアリルアミン塩及びアルキルジアリルア
ミン塩より選ばれたアミン塩と非イオン親水性ビニルモ
ノマーとの共重合体よりなる表面処理剤(A)と陰イオ
ン性表面処理剤(B)により処理された無機及び/又は
有機微細粉末よりなり、「Japan TAPPI N
o.51−87」により測定される液体吸収容積が0.
5ml/m2 以上の範囲であることを特徴とする多孔性
樹脂フィルムが、水系液体の吸収が良好であり、更に表
面の水接触角が110°以下の多孔性樹脂フィルムがイ
ンクの吐出量が多い場合でも濃度ムラなくインクを吸収
することができ、インクジェット等の記録媒体として好
適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】以下、「ジアリルアミン塩及びアルキルア
リルアミン塩より選ばれたアミン塩と非イオン親水性ビ
ニルモノマーとの共重合体よりなる表面処理剤(A)」
を処理剤(A)と略記する。すなわち本発明は、熱可塑
性樹脂、及び処理剤(A)と陰イオン性表面処理剤
(B)により表面処理された無機及び/又は有機微細粉
末よりなり、「Japan TAPPI No.51−
87」により測定される液体吸収容積が0.5ml/m
2 以上の範囲にあることを特徴とする多孔性樹脂フィル
ムであり、好ましい態様としては、該フィルムの水に対
する平均接触角が110°以下あり、より好ましくは、
表面及び内部に空孔を有し、その空孔率が10%以上で
ある多孔性樹脂フィルムである。
【0008】より好ましい態様として、該フィルムが表
面に空孔が1×106 個/m2 以上存在するものであ
り、表面の空孔の平均直径が0.01〜50μmの範囲
であることが好ましい。また、無機及び/又は有機微細
粉末の少なくとも一部が、表面および/または内部の空
孔内に存在することが好ましい。熱可塑性樹脂はポリオ
レフィン系樹脂であることが好ましく、無機及び/又は
有機微細粉末は平均粒子径が0.01〜20μmの範囲
が好ましい。さらに、無機及び/又は有機微細粉末の比
表面積が0.5m2 /g以上の範囲であるものが好まし
い。構成成分の配合割合の好ましい態様としては、熱可
塑性樹脂30〜90重量%、表面処理された無機及び/
又は有機微細粉末70〜10重量%を含有し、無機及び
/又は有機微細粉末100重量部に対する処理剤(A)
の量が0.01〜10重量部、陰イオン性表面処理剤
(B)の量が0.01〜10重量部の範囲にあるもので
ある。
【0009】好ましい表面処理剤は、処理剤(A)がジ
アリルアミン塩、アルキルジアリルアミン塩より選ばれ
るモノマー(A1)とアクリルアミドまたはメタクリル
アミドより選ばれる非イオン親水性ビニルモノマー(A
2)との共重合体であり、陰イオン性表面処理剤(B)
が炭素数4〜40の範囲の炭化水素基を有するスルホン
酸塩、リン酸エステル塩、ベタインより選ばれるもので
ある。更に好ましい態様として、多孔性樹脂フィルムが
延伸されているものである。本発明は、多孔性樹脂フィ
ルムを少なくとも片方の面に有する積層体を含み、これ
らを使用する記録媒体、さらにはこれらに色材定着層を
設けたインクジェット記録媒体をも含む。
【0010】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の多孔性樹
脂フィルムおよび記録媒体について詳細に説明する。本
発明の多孔性樹脂フィルムの液体吸収容積は0.5ml
/m2 以上、好ましくは3〜2600ml/m2 、より
好ましくは5〜100ml/m2 の範囲である。液体吸
収容積が0.5ml/m2 未満では、水性インクや水性
糊の吸収が不充分である。また、吸収量を増やすために
は多孔性フィルムの厚さも考慮する必要があるので、用
途次第で上限は適宜選択される。
【0011】本発明の多孔性樹脂フィルムの液体吸収容
積は、「Japan TAPPINo.51−87」
(紙パルプ技術協会、紙パルプ試験方法No.51−8
7、ブリストー法)に準拠して測定されるものであり、
本発明に於いては吸収時間が2秒以内の測定値を液体吸
収容積とする。測定溶媒は水70重量%とエチレングリ
コール30重量%の混合溶媒を100重量%として着色
用染料を加えてなるものを使用して測定されるものであ
る。着色用染料としては、マラカイトグリーン等を使用
し、量は混合溶媒を100重量部として、それに加えて
2重量部程度であるが、測定に使用する溶媒の表面張力
を大きく変化させない範囲であれば、使用する着色用染
料の種類及び量は特に制限されない。
【0012】測定機としては、例えば熊谷理機工業
(株)製の液体吸収性試験機などが挙げられる。また、
より短い吸収時間における液体吸収容積が大きい方が、
水性糊等を使用した場合に紙の端からのはみ出しが少な
くなる。本発明に於いては40ミリ秒以内の液体吸収容
積が0.8ml/m2 以上、より好ましくは1〜500
ml/m 2 の範囲である。更に、上述の液体吸収容積の
測定に付随して測定される液体吸収速度は、より大きい
方が重色部の吸収や乾燥によりよい結果を与える傾向に
ある。20ミリ秒〜400ミリ秒の間における吸収速度
が、一般的には0.02ml/{m2 ・(ms)1/2
以上の範囲であり、より好ましくは、0.1〜100m
l/{m2・(ms)1/2 }以上の範囲である。
【0013】本発明の多孔性樹脂フィルムの水に対する
表面接触角は110°以下、好ましくは0〜100°、
より好ましくは0〜90°の範囲である。110°を超
える範囲では、水性インクや水性媒体を用いる糊等の液
体浸透が十分でない場合がある。また、水性インク液滴
のフィルム紙面に平行な方向への広がりと、フィルムの
厚さ方向への浸透のバランスをはかるという観点から、
接触角に適性範囲がある場合があり、インクの種類に応
じて適宜選択される。なお、本発明におけるフィルム表
面の水接触角は、市販の接触角計を用い、純水をフィル
ム表面に滴下して1分後に同接触角計を用いて測定され
るものである。1試料にたいして測定を10回行い、1
回の測定毎に純水で表面が濡れていない未測定のフィル
ムに交換して測定される接触角の平均値を水接触角とす
る。本発明の接触角測定に使用可能な市販の接触角計の
例として協和界面化学(株)製、型式CA−Dが挙げら
れる。
【0014】また更に、10回の接触角測定における
「最大値と最小値との差」が小さいほどインクや水性媒
体を使用する液体の吸収がより均一となる傾向となり、
印字媒体としてよりよい印字品質を与えるが、一例とし
ては、最大値と最小値との差は40°以内、好ましくは
30°以内、より好ましくは20°以内である。本発明
の多孔性樹脂フィルムは表面に微細な空孔を有してお
り、この空孔により表面に接触した水性インクや水系の
液体を吸収する。多孔性フィルム表面の空孔の数や形
状、および表面空孔内に無機及び/又は有機微細粉末の
少なくとも一部が存在することは、電子顕微鏡観察によ
り知ることができる。
【0015】多孔性フィルム試料より任意の一部を切り
取り、観察試料台に貼り付けて、観察面に金または金−
パラジウム等を蒸着し、電子顕微鏡、例えば、(株)日
立製作所製の走査型電子顕微鏡S−2400等を使用し
て観察しやすい任意の倍率にて表面の空孔形状を観察す
ることができ、空孔数を空孔の大きさや空孔形状を知る
ことができる。多孔性フィルム表面の単位面積当たりの
空孔の数は、1×106 個/m2 以上の範囲であり、水
系液体の吸収をより速くするという観点から、好ましく
は1×107 個/m2 以上、さらに好ましくは1×10
8 個/m2 以上である。また、表面強度をより良いレベ
ルとするという観点から、好ましくは1×1015個/m
2 以下、より好ましくは1×1012個/m2 以下の範囲
である。
【0016】また、多孔性フィルムの表面付近の空孔形
状は、円状、楕円状等様々であるが、それぞれの空孔の
最大径(L)とそれに直角な方向の最大の径(M)を測
定して平均したもの[(L+M)/2]をそれぞれの空
孔の平均直径とする。少なくとも15個の表面空孔につ
き繰り返して測定し、その平均値を本発明の多孔性フィ
ルムの表面の空孔の平均直径とする。少なくとも20個
の表面空孔につき繰り返して測定し、その平均値を平均
直径とする。より良いレベルの液体吸収性を得るという
観点から、平均直径は0.01μm以上、より好ましく
は0.1μm以上、更に好ましくは1μm以上である。
多孔性フィルムの表面強度をより良いレベルとするため
には、平均直径は50μm以下、好ましくは30μm以
下、より好ましくは20μm以下である。
【0017】表面やその付近の空孔のうち、その少なく
とも一部、好ましくは約30%以上の数のものが、その
空孔の内部や空孔に接した周囲に無機及び/又は有機の
微細粉末が存在することが好ましく、その数が多いほど
吸収能力は向上する傾向となる。本発明の多孔性樹脂フ
ィルムは内部に微細な空孔を有する多孔質構造を有して
おり、水性インクの吸収乾燥性をよりよいレベルとする
という関連から、その空孔率は10%以上であり、好ま
しくは20〜75%であり、より好ましくは30〜65
%の範囲である。空孔率が75%以下であれば、フィル
ムの材料強度が良いレベルとなる。
【0018】また、内部の空孔のうち、その少なくとも
一部のものが、その空孔の内部や空孔に接した周囲に無
機及び/又は有機の微細粉末があることが好ましく、そ
の数が多いほど吸収能力は向上する傾向となる。内部に
空孔があることおよび、内部空孔内に無機及び/又は有
機微細粉末の少なくとも一部が存在することは、断面の
電子顕微鏡観察により確かめることができる。なお、本
明細書における空孔率は、次式で示される空孔率、また
は、断面の電子顕微鏡写真観察した領域に空孔が占める
面積割合(%)を示す。
【0019】
【式1】
【0020】具体的には、多孔性樹脂フィルムをエポキ
シ樹脂で包埋して固化させた後、ミクロトームを用いて
例えばフィルムの厚さ方向に対して平行かつ面方向に垂
直な切断面を作製し、この切断面をメタライジングした
後、走査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率、例え
ば500倍から2000倍に拡大して観察することがで
きる。一例として、観察した領域を写真等に撮影し、空
孔をトレーシングフィルムにトレースし、塗りつぶした
図を画像解析装置(ニレコ(株)製:型式ルーゼックス
IID)で画像処理を行い、空孔の面積率を求めて空孔率
とすることもできる。また、本発明の多孔性樹脂フィル
ムを表面に有する積層体の場合は、該積層体及びこれか
ら本発明の多孔性樹脂フィルム層を取り除いた部分の厚
さと坪量(g/m2 )より本発明の多孔性樹脂フィルム
層の厚さと坪量を算出し、これより密度(ρ)を求め、
さらに構成成分の組成より非空孔部分の密度(ρ0 )を
求めて上記の式により求めることもできる。
【0021】さらに、内部空孔の形状やその寸法は、走
査型電子顕微鏡で観察しやすい任意の倍率、例えば50
0倍または2000倍に拡大して観察する事ができる。
内部空孔の寸法は、少なくとも10個の内部空孔の面方
向の寸法と厚さ方向の寸法を測定してそれぞれを平均し
たものとする。多孔性フィルムの空孔の面方向の平均寸
法は0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μm
の範囲である。多孔性フィルムの機械的強度をよりよい
レベルにするという観点から、空孔のフィルムの面方向
の最大寸法は1000μm以下が良い。また、より高い
レベルの水系液体吸収性を得るという観点からフィルム
の面方向の最大寸法は、0.1μm以上が好ましい。多
孔性フィルムの空孔の厚さ方向の平均寸法は、通常0.
01〜50μm、好ましく、0.1〜10μmの範囲で
ある。水系液体の吸収向上には、厚さ方向の寸法が大き
い方が良いが、フィルムの適度な機械的強度を得るとい
う観点から、用途に応じて上限が選定可能である。
【0022】<多孔性樹脂フィルムの組成、製造法>本
発明の多孔性樹脂フィルムは、構成成分として、熱可塑
性樹脂と表面処理剤無機及び/又は有機微細粉末および
の組合せよりなるものである。本発明の多孔性樹脂フィ
ルムにおいて使用される熱可塑性樹脂としては、高密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレ
ン等のエチレン系樹脂、あるいはプロピレン系樹脂、ポ
リメチル−1−ペンテン、エチレン−環状オレフィン共
重合体等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイ
ロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,1
2等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート
やその共重合体、ポリエチレンナフタレート、脂肪族ポ
リエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリカー
ボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタク
ティックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド等の
熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは2種以上混合して
用いることもできる。
【0023】これらの中でも、耐薬品性や低比重、コス
ト等の観点より、好ましくは、エチレン系樹脂、あるい
はプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂であり、
より好ましくは、プロピレン系樹脂である。プロピレン
系樹脂としては、プロピレンを単独重合させたアイソタ
クティック重合体またはシンジオタクティック重合体を
例示することができる。また、エチレン、1−ブテン、
1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテ
ン等のα−オレフィンとプロピレンとを共重合体させ
た、様々な立体規則性を有するポリプロピレンを主成分
とする共重合体を使用することもできる。共重合体は2
元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共
重合体でもブロック共重合体でもよい。プロピレン系樹
脂には、プロピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を
2〜25重量%配合して使用することが好ましい。その
ような融点が低い樹脂として、高密度または低密度のポ
リエチレンを例示することができる。
【0024】本発明の多孔性樹脂フィルムにおいて使用
される無機及び/又は有機微細粉末の種類は特に制限は
ないが、その具体例として、以下のものが挙げられる。
無機微細粉末としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸
カルシウム、凝集型軽質炭酸カルシウム、種々の細孔容
積を有するシリカ、ゼオライト、クレー、タルク、酸化
チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、
珪藻土、酸化珪素、シリカなど水酸基含有無機微細粉末
の核の周囲にアルミニウム酸化物または水酸化物を有す
る複合無機微細粉末等を例示することができる。
【0025】有機微細粉末としては、空孔形成の目的よ
り、上述の非親水性熱可塑性樹脂として使用する熱可塑
性樹脂よりも融点またはガラス転移点が高くて非相溶性
のものより選択される。具体例としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリア
ミド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、
ポリスチレン、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸
エステルの重合体や共重合体、メラミン樹脂、ポリエチ
レンサルファイト、ポリイミド、ボリエチルエーテルケ
トン、ポリフエニレンサルファイド等を例示することが
できる。なかでも、非親水性熱可塑性樹脂として、ポリ
オレフィン系樹脂を使用する場合には、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リスチレンより得ればれるものが好ましい。
【0026】無機及び/又は有機の微細粉末のうちで、
燃焼時の発生熱量が少ないという観点から、より好まし
くは無機微細粉末である。なかでも重質炭酸カルシウ
ム、クレー、珪藻土を使用すれば、安価であり、延伸に
より成形する場合には、空孔形成性がよいために好まし
い。本発明に使用する無機及び/又は有機微細粉末の平
均粒子径は、好ましくは0.1〜20μm、より好まし
くは2〜10μm、更に好ましくは2.2〜5μmの範
囲である。水系溶媒や水系インクの吸収性を向上させる
という観点から微細粉末の粒子径は大きい方が良く、
0.1μm以上が良い。また、延伸により内部に空孔を
発生させて吸収性を向上させる場合に、延伸時のシート
切れや表面層の強度低下等のトラブルを発生させにくく
するという観点から、20μm以下が好ましい。
【0027】本発明に使用する表面処理された無機及び
/又は有機の微細粉末の粒子径は、一例として粒子計測
装置、例えば、レーザー回折式粒子計測装置「マイクロ
トラック」((株)日機装製、商品名)により測定した
累積で50%にあたる粒子径(累積50%粒径)により
測定することができる。また、溶融混練と分散により非
親水性樹脂や親水性樹脂中に分散した微細粉末の粒子径
は、多孔質フィルム断面の電子顕微鏡観察により粒子の
少なくとも20個を測定してその粒子径累積を求め、平
均値とすることも可能である。
【0028】本発明に使用する無機及び/又は有機微細
粉末について、種々の比表面積や吸油量のものが使用可
能である。比表面積はBET法により測定され、一例と
して0.1〜1000m2 /g、より好ましくは0.2
〜500m2 /gの範囲である。比表面積が大きい無機
及び/又は有機の微細粉末を使用すると水系溶媒やイン
クの吸収がより良くなる場合があり、一例として、吸油
量(JIS−K5101−1991等)が1〜300m
l/100g、好ましくは10〜200ml/gの範囲
である。本発明の多孔性樹脂フィルムに使用する微細粉
末は、上記の中から1種を選択してこれを単独で使用し
てもよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用して
もよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、有
機微細粉末と無機微細粉末の組み合せであってもよい。
【0029】本発明の処理剤(A)は、ジアリルアミン
塩またはアルキルジアリルアミン塩(a1)と非イオン
親水性ビニルモノマー(a2)との共重合体である。以
下、処理剤(A)における「塩」とは、塩を形成する陰
イオンが塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硝
酸イオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、メタ
ンスルホン酸イオンより選ばれるものを示す。(a1)
の具体例としては、ジアリルアミン塩、炭素数1〜4の
範囲のアルキルジアリルアミン塩及びジアルキルジアリ
ルアミン塩、すなわちメチルジアリルアミン塩やエチル
ジアリルアミン塩、ジメチルジアリルアミン塩、メタク
リロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、アクリ
ロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリ
ロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムやアク
リロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムのク
ロライド、ブロマイド、メトサルフェート、またはエト
サルフェート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レートやN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートを
エピクロロヒドリン、グリシドール、グリシジルトリメ
チルアンモニウムクロライドなどのエポキシ化合物等で
アルキル化して得られる4級アンモニウム塩、が挙げら
れ、これらのなかでも、好ましくはジアリルアミン塩、
メチルジアリルアミン塩及びジメチルジアリルアミン塩
である。
【0030】(a2)の具体例としては、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−
ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ
ート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル
酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル
であり、これらのなかでも好ましくは、アクリルアミ
ド、メタクリルアミドである。(a1)と(a2)の共
重合比は任意であるが、好ましい範囲として、(a1)
は10〜99モル%、より好ましくは50〜97モル
%、さらに好ましくは65〜95モル%であり、(a
2)は90〜1モル%、より好ましくは50〜3モル
%、さらに好ましくは35〜3モル%である。
【0031】処理剤(A)は、上記モノマー混合物を水
性媒体中で、過硫酸アンモニウムや2,2−アゾビス
(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等に例示
される開始剤を使用して、40℃〜100℃、一例とし
て50〜80℃、にて2時間〜24時間反応させて得る
ことができる。該重合体は、特開平5−263010号
公報、特開平7−300568号公報等、に記載された
方法により製造することができ、本発明の目的を達成す
るために使用可能である。特開昭57−48340号公
報、特開昭63−235377号公報等に記載されたも
のの一部を使用することもできるこれらのなかで、好ま
しくはジアリルアミンまたはジアリルジメチルアミンの
塩酸塩、硫酸塩とメタクリルアミド、アクリルアミドの
共重合体である。
【0032】該重合体の分子量は、1N塩化ナトリウム
水溶液中の25℃での極限粘度で示すと、通常0.05
〜3、好ましくは0.1〜0.7、特に好ましくは0.
1〜0.45の範囲である。また、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均
分子量で表すと、約5000〜950000、好ましく
は、10000〜150000、更に好ましくは100
00〜80000の範囲である。上記範囲にある表面処
理剤は、本発明の多孔性フィルムの水系溶媒や水系イン
クの吸収性を向上させる効果が大きい。
【0033】陰イオン性表面処理剤(B)は、分子内に
陰イオン性官能基を有するものであり、その具体例とし
て以下のものが挙げられ、本発明の効果を得るよう適宜
選択される。以下、陰イオン性表面処理剤(B)は、
「処理剤(B)」と略記する。なお、処理剤(B)にお
ける「塩」とは、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム
塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、1〜4級アンモニ
ウム塩、1〜4級ホスホニウム塩を示し、塩として好ま
しいのはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、4級
アンモニウム塩、より好ましくは、ナトリウム塩または
カリウム塩である。
【0034】処理剤(B)の具体例として、(B1)炭
素数4〜40の範囲の炭化水素基を有するスルホン酸
塩、(B2)炭素数4〜40の範囲の炭化水素基を有す
るリン酸エステル塩、炭素数4〜40の範囲の高級アル
コールのリン酸モノまたはジエステルの塩、炭素数4〜
40の範囲の高級アルコールの酸化エチレン付加物のリ
ン酸エステルの塩、(B3)炭素数4〜40のの範囲の
炭化水素基を有するアルキルベタインやアルキルスルホ
ベタイン、などが挙げられる。
【0035】(B1)炭素数4〜40の範囲の炭化水素
基を有するスルホン酸塩としては、炭素数4〜40、好
ましくは8〜20の範囲の直鎖または分岐や環状構造を
有する炭化水素基を有するスルホン酸塩、スルホアルカ
ンカルボン酸塩であり、具体的には、炭素数4〜40、
好ましくは8〜20の範囲のアルキルベンゼンスルホン
酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩、炭素数4〜30、好
ましくは8〜20の範囲の直鎖または分岐や環状構造を
有するアルキルナフタレンスルホン酸の塩、炭素数1〜
30、好ましくは、8〜20の範囲の直鎖または分岐構
造を有するアルキル基を有するジフェニルエーテルやビ
フェニルのスルホン酸塩;炭素数1〜30、好ましくは
8〜20の範囲の直鎖または分岐や環状構造を有するア
ルカンスルホン酸の塩;炭素数1〜30、好ましくは8
〜20の範囲のアルキル硫酸エステルの塩;スルホアル
カンカルボン酸エステルの塩;炭素数8〜30、好まし
くは炭素数10〜20の範囲のアルキルアルコールのア
ルキレンオキシド付加物のスルホン酸塩などが挙げられ
る。
【0036】これらの具体例を挙げると、アルカンスル
ホン酸や芳香属スルホン酸、すなわち、オクタンスルホ
ン酸塩、ドデカンスルホン酸塩、ヘキサデカンスルホン
酸塩、オクタデカンスルホン酸塩、1−または2−ドデ
シルベンゼンスルホン酸塩、1−または2−ヘキサデシ
ルベンゼンスルホン酸塩、1−または2−オクタデシル
ベンゼンスルホン酸塩、ドデシルナフタレンスルホン酸
塩の種々の異性体、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリ
ン縮合物の塩、オクチルビフェニルスルホン酸塩の種々
の異性体、ドデシルビフェニルスルホン酸塩、ドデシル
フェノキシベンゼンスルホン酸塩の種々の異性体、ドデ
シルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ドデシルリグ
ニンスルホン酸塩、;アルキル硫酸エステル塩、すなわ
ち、ドデシル硫酸塩、ヘキサデシル硫酸塩、;スルホア
ルカンカルボン酸の塩、すなわち、スルホコハク酸のジ
アルキルエステルであり、アルキル基が炭素数1〜3
0、好ましくは4〜20の範囲の直鎖または分岐や環状
構造を有するもの、より具体的には、スルホコハク酸ジ
(2−エチルヘキシル)の塩、N−メチル−N−(2−
スルホエチル)アルキルアミドの塩(アルキル基は炭素
数1〜30、好ましくは12〜18)、例えば、N−メ
チルタウリンとオレイン酸を由来とするアミド化合物、
炭素数1〜30、好ましくは10〜18のカルボン酸の
2−スルホエチルエステルの塩;ラウリル硫酸トリエタ
ノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム;ポリオキシ
エチレンラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンセチル硫
酸塩;炭素数8〜30、好ましくは、炭素数10〜20
の範囲のアルキルアルコールのアルキレンオキシド付加
物のスルホン酸塩の例として、ラウリルアルコールのエ
チレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、セチルアルコ
ールのエチレンオキシド付加物の硫酸エステル塩、ステ
アリルアルコールのエチレンオキシド付加物の硫酸エス
テル塩、などが挙げられる。
【0037】(B2)炭素数4〜40の範囲の直鎖また
は分岐や環状構造を有する炭化水素基を有するリン酸モ
ノ−、又はジ−エステル塩またはリン酸トリエステル、
好ましくは、炭素数8〜20の範囲の直鎖または分岐や
環状構造を有する炭化水素基を有するリン酸モノ−、又
はジ−エステル塩やリン酸トリエステルの具体例として
は、リン酸ドデシルのジナトリウム塩またはジカリウム
塩、リン酸ヘキサデシルのジナトリウム塩またはジカリ
ウム塩、リン酸ジドデシルのジナトリウム塩またはカリ
ウム塩、リン酸ジヘキサデシルのナトリウム塩またはカ
リウム塩、ドデシルアルコールの酸化エチレン付加物の
リン酸トリエステル等が挙げられる。
【0038】(B3)炭素数4〜30、好ましくは10
〜20の範囲炭化水素基を有するアルキルベタインやア
ルキルスルホベタインの具体例としては、ラウリルジメ
チルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ドデシル
ジメチル(3−スルホプロピル)アンモニウムインナー
ソルト、セチルジメチル(3−スルホプロピル)アンモ
ニウムインナーソルト、ステアリルジメチル(3−スル
ホプロピル)アンモニウムインナーソルト、2−オクチ
ル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミ
ダゾリニウムベタイン、2−ラウリル−N−カルボキシ
メチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ンなどが挙げられる。これらのうちで、好ましくは、
(B1)であり、より好ましくは、炭素数10〜20の
範囲のアルカンスルホン酸の塩、炭素数10〜20の範
囲のアルキル基を有する芳香属スルホン酸の塩、炭素数
10〜20の範囲のアルキルアルコールのアルキレンオ
キサイド付加物の硫酸エステル塩、より選ばれるもので
ある。
【0039】(無機及び/又は有機微細粉末の表面処理
方法)本発明においては、第一段階で処理剤(A)を無
機及び/又は有機の微細粉末の表面に付着させて表面処
理した後、次いで第二段階としてその表面に処理剤
(B)を付着させて表面処理を行うものである。表面処
理方法としては、公知の種々の方法が適用でき、特に制
限されず、混合装置や混合の温度や時間も使用する成分
の性状や物性に応じて適宜選択される。使用される種々
の混合機のL/D(軸長/軸径)や攪拌翼の形状、セン
ダン速度、比エネルギー、滞留時間、処理時間、処理温
度等のものが使用成分の性状に合わせて選択可能であ
る。
【0040】第一段階の処理方法として、(I)上記処
理剤(A)を、粉体、液体、ペースト状、水や有機溶剤
などの溶媒等に溶解または分散させた状態、あるいは、
処理剤(A)を製造する際に溶媒を使用する場合には溶
媒を除去せずあるい一部を除去し、適当な濃度とした処
理剤(A)の溶液や分散液の状態で、微細粉末に対して
添加し、低速または高速で攪拌して混合し、微細粉末の
周囲に付着させる方法、(II)水や有機溶剤などの溶
媒中に懸濁させた微細粉末に処理剤(A)を添加し、ま
たはその逆に溶媒中に処理剤(A)を溶解したのち微細
粉末を添加し、両者を混合したのち溶媒を除去乾燥して
微細粉末の周囲に付着させる方法、(III)乾式また
は湿式の粉砕法により製造される微細粉末の場合には、
粉砕前あるいは粉砕の途中で処理剤(A)を添加し、粉
砕の過程で微細粉末の周囲に付着させる方法、(IV)
必要量の処理剤(A)を、使用する微細粉末の一部に対
して必要濃度より高い濃度で添加して微細粉末と処理剤
(A)よりなるマスターバッチを調製し、残りの微細粉
末と混合し、微細粉末の周囲に付着させて熱可塑性樹脂
と混合する方法、(V)重合により合成される有機微細
粉末の場合には、重合の前や途中、または後に、微細粉
末に対して、処理剤(A)を粉体、液体、ペースト状、
あるいは、溶媒に溶解または分散させた状態で添加し、
有機微細粉末の周囲に付着させる方法、(VI)溶融混
練により熱可塑性樹脂連続相中に分散させる有機フィラ
ーの場合には、溶融混練時に熱可塑性樹脂や未分散の有
機フィラーまたは熱可塑性樹脂と未分散のフィラーの混
合物に表面処理剤を添加して溶融混練して有機フィラー
を微細に分散させる過程で有機フィラーの周囲に表面処
理剤を付着させる方法、などが挙げられる。
【0041】これらのなかで湿式粉砕により製造する無
機微細粉末、例えば炭酸カルシウム粒子の場合には、粒
径が10〜50μmと比較的大きい重質炭酸カルシウム
粒子100重量部に対して必要量の処理剤(A)の存在
下、水性媒体中で湿式粉砕し、所望の粒子径とし、次い
で乾燥して得られたものを、さらに処理剤(B)を用い
て、水性媒体中で処理し、次いで乾燥して得ることがで
きる。原料の炭酸カルシウムとしては、乾式粉砕により
得た重質炭酸カルシウム粒子、分級、篩い分けされた炭
酸カルシウム粒子等が使用される。この炭酸カルシウム
粒子を水性媒体中に分散させる。
【0042】上記処理剤(A)の存在下で重質炭酸カル
シウムを湿式粉砕する。具体的には、炭酸カルシウム/
水性媒体(好ましくは水)との重量比が70/30〜3
0/70、好ましくは60/40〜40/60の範囲と
なるように炭酸カルシウムに水性媒体を加え、ここにカ
チオン性共重合体分散剤を固形分として、炭酸カルシウ
ム100重量部当たり0.01〜10重量部、好ましく
は0.1〜5重量部添加し、常法により湿式粉砕する。
さらには、上記範囲の量となる処理剤(A)を予め溶解
してなる水性媒体を準備し、該水性媒体を炭酸カルシウ
ムと混合し、常法により湿式粉砕してもよい。湿式粉砕
はバッチ式でも、連続式でもよく、サンドミル、アトラ
イター、ボールミルなどの粉砕装置を使用したミル等を
使用するのが好ましい。このように湿式粉砕することに
より、平均粒径が2〜20μm、好ましくは2.2〜5
μmの炭酸カルシウム粒子が得られる。
【0043】次いで湿式粉砕品を乾燥するが、乾燥前
に、分級工程を設けて、350メッシュオンといった粗
粉を除くことができる。乾燥は、熱風乾燥、粉噴乾燥な
ど公知の方法により行うことができるが、媒体流動乾燥
により行うのが好ましい。媒体流動乾燥とは、乾燥塔内
で熱風(80〜150℃)により流動化状態にある媒体
粒子群(流動層)中にスラリー状物質を供給し、供給さ
れたスラリー状物質は、活発に流動化している媒体粒子
の表面に膜状に付着しながら流動層内に分散され、熱風
による乾燥作用を受けることにより各種物質を乾燥する
方法である。
【0044】このような媒体流動乾燥は、例えば、
(株)奈良機械製作所製の媒体流動乾燥装置「メディア
スラリー ドライヤー」等を用いて容易に行うことが
できる。この媒体流動乾燥を用いると乾燥と凝集粒子の
解砕(1次粒子化の除去)が同時に行われるので好まし
い。この方法で得られた湿式粉砕スラリーを媒体流動乾
燥すると、粗粉量が極めて少ない炭酸カルシウムが得ら
れる。しかしながら、媒体流動乾燥後、所望の方法で粒
子の粉砕と分級とを行うことも有効である。一方、媒体
流動乾燥の代わりに、通常の熱風乾燥により湿式粉砕品
を乾燥した場合には、得られたケーキを更に所望の方法
で粒子の粉砕と分級とを行うのがよい。
【0045】この方法により得られた湿式粉砕品の乾燥
ケーキは、潰れ易く、容易に炭酸カルシウム微粒子を得
ることができる。従って乾燥ケーキを粉砕する工程をわ
ざわざ設ける必要はない。このようにして得られた炭酸
カルシウム微粒子を、更に処理剤(B)で、水性媒体中
で処理する。また、処理剤(A)を溶媒に溶解または分
散させた状態で、あるいはペースト状で無機及び/又は
有機の微細粉末と混合させる場合、混合の温度は微細粉
末や表面処理剤の性状により適宜選択可能であるが、一
例として、室温〜120℃、乾燥が必要な場合の温度は
40〜120℃、好ましくは80〜120℃の範囲であ
る。また、必要に応じて減圧乾燥や、乾燥気体または熱
風の使用も可能である。
【0046】処理剤(B)による処理は、上記の湿式粉
砕の後に行う方法、微細粉末を水性溶媒中(好ましくは
水)に分散させた状態で処理剤(A)、次いで処理剤
(B)にて処理する方法、処理剤(A)にて表面処理さ
れた微細粉末を熱可塑性樹脂と混合または溶融混練する
際に同時に加えて処理する方法などが挙げられる。これ
らのなかでも、好ましくは、微細粒子の湿式粉砕工程で
(A)を添加し、次いで処理剤(B)にて処理する方
法、微細粒子を水中に分散させた状態で処理剤(A)に
て処理し、次いで処理剤(B)にて処理する方法、及
び、処理剤(A)にて表面処理された微細粉末を熱可塑
性樹脂と混合または溶融混練する際に同時に加えて処理
する方法である。
【0047】(構成成分の量比)本発明の多孔性樹脂フ
ィルムを構成する成分の好ましい量比範囲は、熱可塑性
樹脂30〜90重量%、表面処理された無機及び/又は
有機微細粉末70〜10重量%である。熱可塑性樹脂の
より好ましい範囲は、30〜60重量%、さらに好まし
くは35〜55重量%である。フィルムの強度をより高
くするという観点から30重量以上であり、水系の溶媒
やインクの吸収性をより高くするためには、90重量%
以下である。表面処理された有機または無機微細粉末の
量は、一例として70〜10重量%であるが、無機微細
粉末の場合には、好ましくは70〜40重量%、より好
ましくは65〜45重量%の範囲である。空孔を増やす
ためには微細粉末の量が多い方がよいが、多孔性樹脂フ
ィルムの表面の強度を良いレベルとするという目的のた
めには70重量%以下である。有機微細粉末の場合には
比重が小さいものが多く、好ましくは10〜50重量
%、より好ましくは15〜40重量%である。
【0048】処理剤(A)の使用量は、本発明の多孔性
樹脂フィルムの用途により異なるが、通常無機及び/又
は有機微細粉末100重量部に対して0.01〜10重
量部、好ましくは0.04〜5重量部、より好ましくは
0.07〜2重量部の範囲である。水系溶媒や、水系イ
ンクの吸収性を高めるという観点から0.01重量部以
上が良い。10重量部超では、表面処理剤の効果が頭打
ちとなる。処理剤(B)の使用量は、本発明の多孔性樹
脂フィルムの用途により異なるが、通常無機ないし有機
微細粉末100重量部に対して0.01〜10重量部、
好ましくは0.05〜5重量部、より好ましく0.5〜
4重量部の範囲である。水系溶媒や、水系インクの吸収
性を高めるという観点から0.01重量部以上が良い。
10重量部超では、表面処理剤の効果が頭打ちとなる。
【0049】(任意成分)これらの微細粉末を熱可塑性
樹脂中に配合混練する際に、必要に応じて分散剤、酸化
防止剤、相溶化剤、難燃剤、紫外線安定剤、着色顔料等
を添加することができる。また、本発明の多孔性樹脂フ
ィルムを耐久資材として使用する場合には、酸化防止剤
や紫外線安定剤等を添加しておくのが好ましい。本発明
の多孔性樹脂フィルムの構成成分の混合方法としては、
公知の種々の方法が適用でき、特に制限されず、混合の
温度や時間も使用する成分の性状に応じて適宜選択され
る。溶剤に溶解または分散させた状態での混合や、ロー
ル混練、溶融混練法が挙げられるが、溶融混練法は生産
効率が良く好ましい。粉体やペレットの状態の熱可塑性
樹脂や処理剤(A)により表面処理された無機及び/又
は有機の微細粉末及び、処理剤(B)をヘンシェルミキ
サー、リボンブレンダー、スーパーミキサー等で混合し
た後、一軸や二軸の混練機にて溶融混練し、ストランド
状に押し出してカッティングし、ペレットとする方法
や、ストランドダイより水中に押し出してダイ先端に取
り付けられた回転刃をでカッティングする方法が挙げら
れる。使用される一軸や二軸の混練機としては、種々の
L/D(軸長/軸径)や、センダン速度、比エネルギ
ー、滞留時間、温度等のものが使用成分の性状に合わせ
て選択可能である。
【0050】本発明の多孔性樹脂フィルムおよび記録媒
体は、当業者に公知の種々の方法を組み合わせることに
よって製造することができる。いかなる方法により製造
された多孔性樹脂フィルムや記録媒体であっても、本発
明の条件を満たす多孔性樹脂フィルムを利用するもので
ある限り本発明の範囲内に包含される。液体吸収容積が
0.5ml/m2 以上である本発明の多孔性樹脂フィル
ムの製造法としては、公知の種々のフィルム製造技術や
それらの組合せが可能である。例えば、延伸による空孔
発生を利用した延伸フィルム法や、圧延時に空孔を発生
させる圧延法やカレンダー成形法、発泡剤を使用する発
泡法、空孔含有粒子を使用する方法、溶剤抽出法、混合
成分を溶解抽出する方法などが挙げられる。これらのう
ちで、好ましくは、延伸フィルム法である。
【0051】延伸を行うときには、必ずしも本発明の多
孔性樹脂フィルムだけを延伸しなくてもよい。例えば、
本発明の多孔性樹脂フィルムを基材層の上に形成した記
録媒体を最終的に製造しようとする場合には、無延伸の
多孔性樹脂フィルムと基材層とを積層したうえでまとめ
て延伸しても構わない。あらかじめ積層してまとめて延
伸すれば、別個に延伸して積層する場合に比べて簡便で
コストも安くなる。また、本発明の多孔性樹脂フィルム
と基材層に形成される空孔の制御もより容易になる。特
に記録媒体として利用する場合には、本発明の多孔性樹
脂フィルムが基材層よりも多くの空孔が形成されるよう
に制御し、多孔性樹脂フィルムがインク吸収性を改善し
うる層として有効に機能させることが好ましい。
【0052】延伸には、公知の種々の方法を使用するこ
とができる。延伸の温度は、非結晶樹脂の場合は使用す
る熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上、結晶性樹脂の
場合には非結晶部分のガラス転移点温度以上から結晶部
の融点以下の熱可塑性樹脂に好適な温度範囲内で行うこ
とができる。具体的には、ロール群の周速差を利用した
縦延伸、テンターオーブンを使用した横延伸、圧延、チ
ューブ状フィルムにマンドレルを使用したインフレーシ
ョン延伸、テンターオーブンとリニアモーターの組み合
わせによる同時二軸延伸などにより延伸することができ
る。
【0053】延伸倍率は特に限定されず、本発明の多孔
性樹脂フィルムの使用目的と用いる熱可塑性樹脂の特性
等を考慮して適宜決定する。例えば、熱可塑性樹脂とし
てプロピレン単独重合体またはその共重合体を使用する
ときには、一方向に延伸する場合は約1.2〜12倍、
好ましくは2〜10倍であり、二軸延伸の場合は面積倍
率で1.5〜60倍、好ましくは10〜50倍である。
その他の熱可塑性樹脂を使用するときには、一方向に延
伸する場合は1.2〜10倍、好ましくは2〜7倍であ
り、二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜20倍、好
ましくは4〜12倍である。さらに、必要に応じて高温
での熱処理を施すことができる。延伸温度は使用する熱
可塑性樹脂の融点より2〜60℃低い温度であり、延伸
速度は10〜350m/分であるのが好ましい。
【0054】本発明の多孔性樹脂フィルムの厚さは特に
制限されないが、水性溶媒や水性インクの吸収をより高
めるという観点から、例えば、5μm以上、好ましくは
25μm以上、より好ましくは30μm以上である。上
限は、必要とされる水系液体の吸収量により適宜選定さ
れるが、一例として1000μm以下、好ましくは50
0μm、より好ましくは300μm以下である。本発明
の多孔性樹脂フィルムは、そのまま使用に供してもよい
し、さらに別の熱可塑性フィルム、ラミネート紙、パル
プ紙、不織布、布等に積層して使用してもよい。さら
に、積層する別の熱可塑性フィルムとしては、例えばポ
リエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリオレフ
ィンフィルム等の透明または不透明なフィルムに積層す
ることができる。
【0055】特に後述する実施例に記載されるような適
切な機能層を形成することによって記録媒体にすること
もできる。例えば、熱可塑性フィルムからなる基材層の
上に本発明の多孔性樹脂フィルムを表面層として形成す
ることによって記録媒体を調製することができる。本発
明の多孔性樹脂フィルムを表面層として有する記録媒体
は、特にインクジェット記録用の記録媒体として有用で
ある。基材層の種類は特に制限されるものではないが、
例えば、ポリプロピレン系樹脂と無機微細粉末を含有す
るフィルムを例示することができる。このように、本発
明の多孔性樹脂フィルムと他のフィルムとを積層するこ
とによって形成される記録媒体は、例えば全体の厚さを
50μm〜1mm程度にすることができる。
【0056】上記多孔性樹脂フィルムやこれを使用する
積層体の表面には、必要に応じて表面酸化処理を施すこ
とができる。表面酸化処理により表面の親水性や吸収性
の向上、または、インク定着剤やインク受理層の塗工性
の向上や基材との密着向上がはかれるケースがある。表
面酸化処理の具体例としては、コロナ放電処理、フレー
ム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理よ
り選ばれた処理方法で、好ましくはコロナ処理、フレー
ム処理であり、より好ましくはコロナ処理である。
【0057】処理量はコロナ処理の場合、600〜1
2,000J/m2 (10〜200W・分/m2 )、好
ましくは1200〜9,000J/m2 (20〜180
W・分/m2 )である。コロナ放電処理の効果を十分に
得るには、600J/m2 (10W・分/m2 )以上で
あり、12,000J/m2 (200W・分/m2 )超
では処理の効果が頭打ちとなるので12,000J/m
2 (200W・分/m2)以下で十分である。フレーム
処理の場合、8,000〜200,000J/m 2 、好
ましくは20,000〜100,000J/m2 が用い
られる。フレーム処理の効果を明確に得るには、8,0
00J/m2 以上であり、200,000J/m2 超で
は処理の効果が頭打ちとなるので200,000J/m
2 以下で十分である。
【0058】本発明の多孔性樹脂フィルムを記録媒体と
して使用する場合に、その表面には染料および顔料色剤
を定着する色剤定着層やインク受理層を形成することが
できる。吸収性が低い樹脂フィルムに塗工する場合に比
べ、水系溶媒吸収性の良い本発明の多孔性樹脂フィルム
との組み合わせることにより、にじみの低減、吸収性の
向上や色剤定着層やインク受理層の厚さを低減すること
も可能である。色剤定着層はインクのドット形状を真円
化し、より鮮明な画像を得ると共に、水または湿気によ
る色剤流れを防止する機能を有する。従って、本発明の
多孔性樹脂フィルムをインクジェット記録媒体として使
用する場合に色剤定着層は特に有用である。
【0059】色剤定着層やインク受理層は塗工または貼
合により形成することができる。色剤定着性を向上させ
るためにはカチオン性を有する親水性樹脂および微細粉
末を用いるのが好ましい。例えばカチオン性共重合体と
して、ポリマーの主鎖または側鎖にアミノ基、もしくは
その変性物、第4級アンモニウム塩基等のカチオン基を
含有するものを用いることができる。インクジェット用
のインク受理層としては、インク速乾性を要求される分
野には、顔料、水系バインダーを主成分とした多孔性イ
ンク受理層を、また高光沢性を要求される場合には水系
バインダーを主成分とした膨潤性インク受理層を設置す
ることができる。顔料としては、合成シリカ、コロイダ
ルシリカ、アルミナヒドロゾル、水酸化アルミニウム、
タルク、炭酸カルシウム、クレイ、プラスチックピグメ
ント、硫酸バリウム、二酸化チタン等が挙げられる。中
でも多孔質の合成シリカ、アルミナヒドロゾルが好まし
い。
【0060】水系バインダーとしては、ポリウレタン系
樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリ
ル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル酸エステル共
重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル−ブ
タジエン共重合体等の水系エマルジョンや、ポリビニル
アルコール、シラノール基を含むエチレン・ビニルアル
コール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルピ
ロリドン、メチルエチルセルロース、ポリアクリル酸ソ
ーダ、各種でんぷん、各種ゼラチン等の水溶性ポリマー
が挙げられる。中でも顔料が多孔質の合成シリカ、アル
ミナヒドロゾルである場合は、ポリビニルアルコール、
シラノール基を含むエチレン・ビニルアルコール共重合
体が好ましい。
【0061】本発明に使用するインク受理層にインク定
着性を要求される場合はインクセット剤が配合される。
インクセット剤としては、ポリエチレンイミンの3級ア
ンモニウム塩、4級アンモニウム基を共重合成分として
含むアクリル共重合体、ポリアミンポリアミドのエピク
ロルヒドリン付加物等のカチオン性ポリマーが挙げられ
る。更に、本発明に使用する色材定着層やインク受理層
には添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、蛍光
増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤
等を適宜配合することもできる。多孔性インク受理層の
場合は顔料/水系バインダー/インクセット剤の割合が
50〜90重量%/10〜40重量%/0〜20重量%
の割合が好ましい。膨潤型インク受理層の場合は、水系
バインダー/インクセット剤の割合が、60〜100重
量%/0〜40重量%の割合が好ましい。
【0062】インク受理層の塗工方法としては、ブレー
ド方式、ロッド方式、ワイヤーバー方式、スライドホッ
パー方式、カーテン方式、エアーナイフ方式、ロール方
式、サイズプレス方式等の一般的な塗工方法が用いられ
る。インク受理層の乾燥塗工量は、要求されるインク吸
収性、光沢、支持体の吸収性等によっても異なるが、通
常0.05〜100g/m2 、好ましくは、0.1〜5
0g/m2 であることが好ましい。本発明において、イ
ンク受理層は単層または2層以上の多層のどちらでも構
わない。多層の場合は各層を異なる組成にすることも同
一の組成にすることもできる。多層を形成する場合は、
2層以上を一度に塗工しても1層づつ塗工しても良い。
【0063】本発明の多孔性樹脂フィルムや積層体に
は、使用目的に応じてインクジェット印刷以外の印刷を
行うこともできる。印刷の種類や方法は特に制限されな
い。例えば、公知のビヒクルに顔料を分散したインクを
用いたグラビヤ印刷、水性フレキソ、シルクスクリーン
等の公知の印刷手段を用いて印刷することができる。ま
た、金属蒸着や、グロス印刷、マット印刷等により印刷
することもできる。印刷する絵柄は、動物、景色、格
子、水玉等の天然物柄や抽象柄等から適宜選択すること
ができる。また、印刷用途以外にも、水系の液体を吸収
することを必要とする用途にも使用できる。例えば、水
性の粘着剤を用いた粘着ラベル、瓶缶類等の容器のラベ
ル用紙、吸水性フィルム、壁紙、ベニヤ板や石膏ボード
の表面化粧紙、水滴発生防止フィルム、食品用ドリップ
防止包装紙、コースター、工作用紙、折り紙、保水シー
ト、土壌乾燥防止シート、コンクリート乾燥補助資材、
乾燥剤、除湿剤等として利用することも可能である。
【0064】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す
材料、使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱
しない限り適宜変更することができる。したがって、本
発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではな
い。以下の手順に従って本発明の多孔性樹脂フィルム
と、これを使用する記録媒体および比較用の樹脂フィル
ムを使用する記録媒体を製造した。
【0065】〔(処理剤A)の製造〕 <参考例1>還流冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌装
置及びガス導入管を備えた反応器にジアリルアミン塩酸
塩(60重量%)500重量部とアクリルアミド(40
重量%)21重量部および水90重量部を入れ、窒素ガ
スを流入させながら系内温度を80℃に昇温した。攪拌
下で重合開始剤、過硫酸アンモニウム(25重量%)3
0部を4時間にわたり滴下した。同温度で1時間反応を
行って粘稠な淡黄色液状物を得た。これを50g採り、
500mlのアセトン中に注ぐと白色の沈殿を生じた。
沈殿を濾別し、更に2回、100mlのアセトンで、よ
く洗浄した後、真空乾燥して白色固体状の陽イオン性重
合体表面処理剤(略号:A1)を得た(収率95%)。
得られた重合体の1Nの塩化ナトリウム水溶液中、25
℃での極限粘度は0.33dl/g、GPCより求めた
重量平均分子量は55000であった。
【0066】<参考例2>還流冷却器、温度計、滴下ロ
ート、攪拌装置及びガス導入管を備えた反応器にジアリ
ルアミン塩酸塩(60重量%)500重量部とアクリル
アミド(40重量%)45重量部および水190重量部
を入れ、窒素ガスを流入させながら系内温度を80℃に
昇温した。攪拌下で重合開始剤、過硫酸アンモニウム
(25重量%)30部を4時間にわたり滴下した。同温
度で1時間反応を行って粘稠な淡黄色液状物を得た。こ
れを50g採り、500mlのアセトン中に注ぐと白色
の沈殿を生じた。沈殿を濾別し、更に2回、100ml
のアセトンで、よく洗浄した後、真空乾燥して白色固体
状の陽イオン性重合体表面処理剤(略号:A2)を得た
(収率96%)。得られた重合体の1Nの塩化ナトリウ
ム水溶液中、25℃での極限粘度は0.38dl/g、
GPCより求めた重量平均分子量は64000であっ
た。
【0067】〔表面処理重質炭酸カルシウムの製造〕 <製造例1>微細粉末として、重質炭酸カルシウム(平
均粒子径3μm、比表面積1.8m 2 /g、JIS−K
5101−1991により測定される吸油量が31ml
/100g略号:炭カル1)40重量%と水60重量%
を充分攪拌混合てスラリー状とし、さらに、参考例1に
て製造した処理剤(A1)を重質炭酸カルシウム100
重量部あたり0.1重量部加えて混合攪拌し、次いでア
ンステックスSAS(主成分は炭素数14のアルカンス
ルホン酸ナトリウムと炭素数16のアルカンスルホン酸
ナトリウムの混合物、東邦化学工業(株)製、商品名、
略号:B1)の2重量%水溶液、50重量部(重質炭酸
カルシウム100重量部あたりの固形分添加量2.5重
量部)を添加し、攪拌を行ったスラリーを(株)奈良機
械製作所MSD−200媒体流動乾燥機で乾燥して表面
処理された重質炭酸カルシウムを得た。このものの略号
をSF1とする。尚、本明細書の実施例に使用した炭酸
カルシウム粉末の粒子径は、レーザー回折式粒子計測装
置「マイクロトラック」(株式会社日機装製、商品名)
により測定した累積50%粒径である。
【0068】<製造例2>アンステックスSASに代え
て、ドデシルベンゼンスルホン酸(略号:B2)の5重
量%水溶液、20重量部(重質炭酸カルシウム100重
量部にたいする固形分添加量2.5重量部)を使用した
ほかは、製造例1と同様の操作により表面処理された炭
酸カルシウムを得た(略号:SF2)。 <製造例3>アンステックスSASに代えて、ナトリウ
ム・ステアリル・ポリエチレンエーテル・スルホネート
(略号:B3)の2重量%水溶液50部(重質炭酸カル
シウム100重量部にたいする固形分添加量2.5重量
部)を使用したほかは、製造例1と同様の操作により表
面処理された炭酸カルシウムを得た(略号:SF3)。
【0069】<製造例4>平均粒径30μmの粗粒重質
炭酸カルシウム(日本セメント社製乾式粉砕品)と水と
を重量比が40/60となるように配合し、ここに前記
参考例1で製造した表面処理剤(A1)を、重質炭酸カ
ルシウム100重量部当たり0.08重量部加え、テー
ブル式アトライター型媒体攪拌ミルを用いて直径1.5
mmのガラスビーズ、充填率170%、周速10m/秒
で湿式粉砕した。次いで、ドデシルベンゼンスルホン酸
(略号:B2)の5重量%水溶液20重量部(重質炭酸
カルシウム100重量部にたいする固形分添加量2重量
部)を加え攪拌した。次いで、350メッシュのスクリ
ーンを通して分級し、350メッシュを通過したスラリ
ーを(株)奈良機械製作所MSD−200媒体流動乾燥
機で乾燥した。得られた炭酸カルシウムをマイクロトラ
ック〔日機装(株)製〕で測定した平均粒径は2.2μ
mであった(略号:SF4)。
【0070】<製造例5>微細粉末として、重質炭酸カ
ルシウム(平均粒子径3μm、比表面積1.8m 2
g、JIS−K5101−1991により測定される吸
油量が31ml/100g略号:炭カル1)40重量%
と水60重量%を充分攪拌混合てスラリー状とし、さら
に、参考例1にて製造した処理剤(A1)を重質炭酸カ
ルシウム100重量部あたり0.2重量部加えて混合攪
拌し、このスラリーを(株)奈良機械製作所MSD−2
00媒体流動乾燥機で乾燥して表面処理された重質炭酸
カルシウムを得た。このものの略号をSF5とする。
【0071】<製造例6>微細粉末として、重質炭酸カ
ルシウム(平均粒子径3μm、比表面積1.8m 2
g、JIS−K5101−1991により測定される吸
油量が31ml/100g略号:炭カル1)40重量%
と水60重量%を充分攪拌混合てスラリー状とし、さら
に、参考例1にて製造した処理剤(A2)を重質炭酸カ
ルシウム100重量部あたり0.1重量部加えて混合攪
拌し、このスラリーを(株)奈良機械製作所MSD−2
00媒体流動乾燥機で乾燥して表面処理された重質炭酸
カルシウムを得た。このものの略号をSF6とする。
【0072】(実施例1) <基材層の調製と縦延伸>メルトフローレート(MF
R:230℃、2.16kg荷重)が1g/10分のポ
リプロピレン75重量%とメルトフローレート(MF
R:190℃、2.16kg荷重)が8g/10分の高
密度ポリエチレン5重量%との混合物に、平均粒子径3
μmの炭酸カルシウム20重量%を配合した組成物
[イ]を、250℃の温度に設定した押出機にて混練
し、ストランド状に押し出し、カッティングしてペレッ
トとした。この組成物[イ]を、250℃に設定した押
し出し機に接続したTダイよりシート状に押出し、これ
を冷却装置により冷却して無延伸シートを得た。次い
で、この無延伸シートを145℃に加熱した後、縦方向
に4.5倍延伸して、延伸シートを得た。尚、各実施例
中の樹脂成分またはこれと微細粉末との混合物の溶融混
練において、樹脂成分と微細粉末の合計重量を100重
量部として、これに加えて、酸化防止剤として、BHT
(4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
0.2重量部と、イルガノックス1010(フェノール
系酸化防止剤、チバガイギー社製、商品名)0.1重量
部を添加した。
【0073】<表面の多孔性樹脂フィルムの形成>これ
とは別に、MFRが20g/10分のポリプロピレン4
0重量%(略号PP1)、実験例1記載の表面処理され
た炭酸カルシウム(略号:SF1)60重量%を粉体状
態で充分混合し、240℃に設定した二軸混練機にて溶
融混練し、ストランド状に押し出しカッティングしてペ
レットとした(組成物[ロ])。この組成物を、230
℃(温度a)に設定した押し出し機を接続したTダイよ
りシート状に押出した。得られたシートを上述の操作に
より調製した4.5倍延伸シートの両面に積層し、50
℃(温度b)にまで冷却した後、154℃(温度c)に
加熱してテンターで横方向に8.5倍延伸した。その
後、155℃(温度d)でアニーリング処理し、55℃
(温度e)にまで冷却し、耳部をスリットして3層(表
側の吸収層[ロ]/基材層[イ]/裏側の吸収層
[ロ]:肉厚55μm/40μm/35μm)構造の全
厚130μmの多孔性樹脂フィルムを有する積層体を得
た。
【0074】以下、実施例及び比較例の積層体の評価
を、表側の吸収層について行った。このものにつき、以
下の要領で、評価を行った。 <評価> (1)液体吸収容積 上記の多孔性樹脂フィルムの2秒における液体吸収容積
液体吸収容積は、「Japan TAPPI No.5
1−87」(紙パルプ技術協会、紙パルプ試験方法N
o.51−87、ブリストー法)に準拠し、熊谷理機工
業(株)製、液体吸収性試験機を使用し測定した。測定
溶媒は水70重量%とエチレングリコール30重量%を
混合し、この混合溶媒100重量部に着色用染料とし
て、マラカイトグリーン2重量部を溶解したものであ
る。
【0075】(2)多孔性樹脂フィルムの水に対する平
均接触角、その最大値と最小値の差 上記多孔性フィルムの表面の接触角は、純水をフィルム
表面に滴下して1分後に接触角計(協和界面化学(株)
製:型式CA−D)を用いて測定した。この測定を10
回行い(1回の測定毎に純水で表面が濡れていない未測
定のフィルムに交換)、10回測定した接触角の平均値
と、最大値と最小値との差を求めた。
【0076】(3)表面空孔の存在確認と表面空孔数及
び表面空孔寸法の測定 上記の多孔性フィルムの一部を切り取り、表面及び断面
に空孔が存在することを確認した。多孔性フィルム試料
より任意の一部を切り取り、観察試料台に貼り付けて、
観察面に金または金−パラジウムを蒸着し、(株)日立
製作所製の走査型電子顕微鏡S−2400を使用し、5
00倍に拡大して表面の空孔の存在及び、全空孔数の少
なくとも約5割以上の大多数の空孔の中あるいは空孔の
端部に無機微細粉末が存在していることを確認した。ま
た、電子顕微鏡像を感熱紙に出力または写真撮影し、表
面の空孔数を計測した結果、約3.5×109 個/m2
であった。次いで、上記の89個の空孔の測定値を平均
した結果、長径が14.5μm、短径が3.4μmであ
り、平均直径が9μmであった。なお、各2つの空孔が
微細粉末の左右または上下に連結している場合、微細粉
末を中心に空孔が生じているものとして、2つの空孔は
連結した一つの空孔として計測した。
【0077】(4)内部空孔の存在確認と内部空孔率の
測定 上記の多孔性樹脂フィルムをエポキシ樹脂で包埋して固
化させた後、ミクロトームを用いて、フィルムの厚さ方
向に対して平行かつ面方向に垂直な切断面を作製し、こ
の切断面を金−パラジウムにてメタライジングした後、
(株)日立製作所製の走査型電子顕微鏡S−2400を
使用し、1000倍に拡大して観察し、内部空孔の存在
および、内部空孔の少なくとも一部に微細粉末が存在し
ていることを確認した。全体の厚さと坪量(g/m2
を測定し、ついで表面の吸収層を一定面積剥がし取り、
残りのフィルムの坪量と厚さを測定してれぞれの差よ
り、多孔質樹脂フィルム層の厚さと坪量(g/m2 )を
求め、これより坪量を厚さで割って吸収層の密度(ρ)
を算出した。次いで、組成物[ロ]を230℃にて厚さ
1mmのプレスシートとし、密度(ρ0 )を測定し、次
式により空孔率を算出した。
【0078】
【式2】
【0079】(5)インク吸収性 評価用カラーチャート(2cm×2cmの単色50%印
刷および単色100%印刷、2cm×2cmの重色20
0%印刷)を作製し、顔料インク(イエロー、マゼン
タ、シアン、ブラック)を用いてインクジェットプリン
ター(グラフテック(株):型式JP2115)により
各記録媒体の表面層である多孔性樹脂フィルムに印刷し
た。その後、一定時間毎に濾紙を印刷部分に圧着し、イ
ンクが濾紙へ逆戻りするか否かを観測した。インクが濾
紙へ逆戻りしなくなった時間を記録して、以下の基準に
よりインク吸収性を評価した。 6:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、印刷直
後。 5:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、1分以
内。 4:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、1分超、
2分以内。 3:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、2分超、
3分以内。 2:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、3分超、
4分以内。 1:インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間が、4分超、
5分以内。 0:5分超でもインクが濾紙へ逆戻りして乾燥せず。
【0080】(濃度ムラの評価)インクを吸収した後の
濃度ムラについて、目視観察し、以下の基準で評価し
た。 4:濃度ムラが全くない。 3:濃度ムラが少ない。 2:濃度ムラがある。 1:濃度ムラがあり、目立つ。
【0081】(にじみの評価)インクを吸収した後のに
じみについて、目視観察し、以下の基準で評価した。 4:にじみがなく、画像が鮮明である。 3:にじみが少なく、画像の識別に支障がほとんどな
い。 2:にじみがあり、画像の識別に支障がある。 1:にじみが顕著で、使用に耐えない。
【0082】(印刷後の紙面のボコつきの評価)印刷終
了後、室内に1時間放置し、紙面のボコつき(凹凸)が
生じているか否かを、目視観察し、以下の基準で評価し
た。 3:ボコつきがなく、紙面が平らで印刷前と殆ど変化が
ない。 2:ボコつきが少ない。 1:ボコつきが目立つ。 上記各試験および評価結果を表1にまとめて示す。
【0083】(比較例1)表面処理された炭酸カルシウ
ムSF1に代えて、実験例1に使用した重質炭酸カルシ
ウム(平均粒子径3μm、BET法による比表面積が
1.8m2 /g、JIS K5101−1991により
測定される吸油量が31ml/100gの炭酸カルシウ
ム)を表面処理を何ら施さずに使用したほかは、実施例
と同様の操作により、多孔性樹脂フィルムを表面に有す
る積層フィルムを作製し、評価を行った。評価結果を表
1に示した。
【0084】(比較例2)表面処理された炭酸カルシウ
ムSF1に代えて、実験例1に使用した重質炭酸カルシ
ウム(平均粒子径3μm、BET法による比表面積が
1.8m2 /g、JIS K5101−1991により
測定される吸油量が31ml/100gの炭酸カルシウ
ム)を使用し、さらに、表面処理剤としてステアリン酸
を炭酸カルシウム100重量部に対して4重量部添加し
たほかは実施例1と同様の操作により、多孔性樹脂フィ
ルムを表面に有する積層フィルムを作製し、評価を行っ
た。評価結果を表1に示した。
【0085】(実施例2)表面処理された重質炭酸カル
シウムSF1に代えて、重質炭酸カルシウムSF2を使
用したほかは、実施例1と同様の操作により、多孔性樹
脂フィルムを表面に有する積層フィルムを作製し、評価
を行った。評価結果を表1に示した。 (実施例3)表面処理された重質炭酸カルシウムSF1
に代えて、重質炭酸カルシウムSF3を使用したほか
は、実施例1と同様の操作により、多孔性樹脂フィルム
を表面に有する積層フィルムを作製し、評価を行った。
評価結果を表1に示した。
【0086】(実施例4)表面処理された重質炭酸カル
シウムSF1に代えて、重質炭酸カルシウムSF4を使
用したほかは、実施例1と同様の操作により、多孔性樹
脂フィルムを表面に有する積層フィルムを作製し、評価
を行った。評価結果を表1に示した。 (実施例5)表面処理された重質炭酸カルシウムSF1
に代えて、SF5を使用し、ポリプロピレンとの混合時
に上記アンステックスSASを炭酸カルシウム100重
量部あたり3.5重量部添加したほかは、実施例1と同
様の操作により多孔性樹脂フィルムを表面に有する積層
フィルムを作製し、評価を行った。評価結果を表1に示
した。
【0087】(実施例6)表面処理された重質炭酸カル
シウムSF1に代えて、SF6を使用し、ポリプロピレ
ンとの混合時にベンゼンスルホン酸ナトリウムを炭酸カ
ルシウム100重量部あたり3重量部添加したほかは、
実施例1と同様の操作により多孔性樹脂フィルムを表面
に有する積層フィルムを作製し、評価を行った。評価結
果を表1に示した。 (実施例7)配合比と成形条件を表1記載のものとした
したほかは実施例1と同様の操作により、多孔性樹脂フ
ィルムを表面に有する積層フィルムを作製し、評価を行
った。評価結果を表1に示した。
【0088】
【表1】
【0089】(実施例8、9)実施例1と実施例3に示
した多孔性樹脂フィルムを表面に有する積層体のそれぞ
れの表面に3600J/m2 (60ワット・分/m2
の処理密度でコロナ処理を施し、実施例1と同様の評価
を行った。評価結果を表2に示した。 (実施例10)実施例1にて作製した、多孔性樹脂フィ
ルムに3600J/m2 (60ワット・分/m2 )の処
理密度でコロナ処理を施した。このものを支持体(片面
指定)として次の組成のインク受理層用塗工液を固形分
含量が5g/m2 になるように塗布し、乾燥した後、ス
ーパーカレンダーで平滑処理を行ってインクジェット記
録用紙を得た。
【0090】 塗工液組成: 合成シリカ粉末(水澤化学工業(株)ミズカシルP−78D)100重量部 ポリビニルアルコール(クラレ(株)PVA−117) 30重量部 ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン付加物 (日本PMC(株) WS−570) 10重量部 ポリアクリル酸ソーダ(和光純薬工業(株)試薬) 5重量部 水 1600重量部 実施例1と同様の操作により評価を行った。評価結果を
表2に示す。
【0091】(実施例11)実施例1の多孔性フィルム
に実施例10と同様のコロナ処理を施したものを支持体
(片面指定)とし、次の組成のインク受理層用塗工液を
固形分含量が5g/m2 になるように塗布し、乾燥しイ
ンクジェット記録用紙を得た。 塗工液組成: アルミナゾル (日産化学工業(株)アルミナゾルー100 、固形分10%) 100重量部 ポリビニルアルコール(クラレ(株)PVA−117 ) 10重量部 水 100重量部 実施例1と同様の操作により評価を行った。評価結果を
表2に示す。
【0092】(実施例12)実施例1の多孔性フィルム
に実施例10と同様のコロナ処理を施したものを支持体
として、その上に(片面指定)次の組成のインク受理層
用塗工液を固形分含量が5g/m2 になるように塗布
し、乾燥しインクジェット記録用紙を得た。 塗工液組成: ウレタン系バインダー (大日インキ化学(株)SFコート剤8310、固形分13%) 100重量部 ポリアミジン系ポリマー (ハイモ(株) ハイマックスSC700 L 固形分30%) 2重量部 実施例1と同様の操作により評価を行った。評価結果を
表2に示す。 (比較例3)市販のパルプ紙ベースのインクジェット専
用紙(エプソンスパーファイン専用紙MJA4SP1)
を使用し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2
に示す。
【0093】
【表2】
【0094】表1と表2から明らかなように、本発明の
多孔性樹脂フィルム(実施例1〜17)は、インク吐出
量が多い場合でも、濃度ムラが少なく、インクや水系液
体の吸収性が非常に良好である。これに対して、液体吸
収量が本発明の範囲を外れるフィルム(比較例1と2)
は、いずれもインク吸収性が劣っている。また、実施例
8と9から明らかなように、表面に酸化処理を施した多
孔性樹脂フィルムはインク吸収が良好であり、さらに印
字部の濃度ムラが少なく、本発明の効果が明らかであ
る。さらに、実施例10〜12から明らかなように、イ
ンク受理層を設けた場合には、インク吸収が良好であ
り、さらににじみも良好で本発明の効果が明らかであ
る。さらには、各実施例と比較例3との対比より、本発
明の多孔性フィルムは印刷後の紙面のボコつきが無く、
本発明の効果が明らかである。
【0095】
【発明の効果】本発明の多孔性樹脂フィルムは、水系溶
媒やインク吸収性が極めて良好である。また、該多孔性
樹脂フィルムを用いた本発明の記録媒体は、インク吐出
量が多い場合でも、濃度ムラのない精細な画像を形成す
ることができる。したがって、本発明の多孔性樹脂フィ
ルムおよび記録媒体は、水性インクを用いる記録用途と
りわけインクジェット記録媒体をはじめとする広範囲な
印刷用途や、水系溶媒を用いる用途に好適に提供するこ
とができる。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂30〜90重量%、ジアリ
    ルアミン塩またはアルキルジアリルアミン塩(a1)と
    非イオン親水性ビニルモノマー(a2)との共重合体よ
    りなる表面処理剤(A)と、陰イオン性表面処理剤
    (B)により表面処理された無機及び/又は有機微細粉
    末70〜10重量%、を含有し、「Japan TAP
    PI No.51−87」により測定される液体吸収容
    積が0.5ml/m2 以上の範囲にあることを特徴とす
    る多孔性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 水に対する平均接触角が110°以下で
    あることを特徴とする請求項1に記載の多孔性樹脂フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 表面及び内部に空孔を有することを特徴
    とする請求項1または2に記載の多孔性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 空孔率が10%以上である請求項1〜3
    のいずれかに記載の多孔性樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 表面に空孔が1×106 個/m2 以上存
    在することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の多孔性樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 表面の空孔の平均直径が0.01〜50
    μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の多孔性樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 表面および/または内部空孔の少なくと
    も一部が、空孔の内部または空孔に接した周囲に無機及
    び/又は有機微細粉末が存在するものであることを特徴
    とする請求項3に記載の多孔性樹脂フィルム。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂で
    あることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の
    多孔性樹脂フィルム。
  9. 【請求項9】 無機及び/又は有機微細粉末の平均粒子
    径が0.01〜20μmの範囲であることを特徴とする
    請求項1〜8のいずれかに記載の多孔性樹脂フィルム。
  10. 【請求項10】 無機及び/又は有機微細粉末の平均粒
    子径が2〜10μmの範囲であることを特徴とする請求
    項9に記載の多孔性樹脂フィルム。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂30〜90重量%、表面
    処理された無機及び/又は有機微細粉末70〜10重量
    %を含有し、無機及び/又は有機微細粉末100重量部
    に対して表面処理剤(A)の量が0.01〜10重量
    部、陰イオン性表面処理剤(B)の量が0.01〜10
    重量部の範囲であることを特徴とする請求項1〜10の
    いずれかに記載の多孔性樹脂フィルム。
  12. 【請求項12】 延伸されていることを特徴とする請求
    項1〜11のいずれかに記載の多孔性樹脂フィルム。
  13. 【請求項13】 表面に酸化処理を施したものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の多孔
    性樹脂フィルム。
  14. 【請求項14】 基材層の少なくとも片方の面に請求項
    1〜13のいずれかに記載の多孔性樹脂フィルムを有す
    ることを特徴とする積層体。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれかに記載の多
    孔性樹脂フィルムまたは積層体を使用した記録媒体。
  16. 【請求項16】 請求項1〜14のいずれかに記載の多
    孔性樹脂フィルムまたは積層体を使用したインクジェッ
    ト記録媒体。
  17. 【請求項17】 請求項1〜14のいずれかに記載の多
    孔性樹脂フィルムの少なくとも片方の面、または積層体
    の多孔性樹脂フィルムの基材層と接していない面の少な
    くとも一方に色剤定着層を有することを特徴とするイン
    クジェット記録媒体。
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