JP2001226427A - エラストマー中の揮発性物質の除去方法 - Google Patents

エラストマー中の揮発性物質の除去方法

Info

Publication number
JP2001226427A
JP2001226427A JP2000325370A JP2000325370A JP2001226427A JP 2001226427 A JP2001226427 A JP 2001226427A JP 2000325370 A JP2000325370 A JP 2000325370A JP 2000325370 A JP2000325370 A JP 2000325370A JP 2001226427 A JP2001226427 A JP 2001226427A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
elastomer
tank
slurry
stripper
crumb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000325370A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeki Matsudaira
茂樹 松平
Masanori Morimoto
真徳 森本
Takashi Kitamura
隆 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2000325370A priority Critical patent/JP2001226427A/ja
Publication of JP2001226427A publication Critical patent/JP2001226427A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エラストマー中の揮発性有機成分を十分に効
率的に除去する方法を提供すること。 【解決手段】 (1)エラストマーの有機溶媒溶液を、
ストリッパー槽にてスチームストリッピングしてエラス
トマーのクラム状スラリーを得る工程、及び(2)上記
エラストマーのクラム状スラリーをスラリーサージ槽に
て処理する工程からなるエラストマー中の揮発性物質の
除去方法であって、上記(2)の工程を、スラリーサー
ジ槽に不活性ガスを吹き込みバブリングしながら行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エラストマー中の
揮発性物質の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】溶液重
合法によって得られるエラストマーは、重合後の重合溶
液に重合停止剤や安定剤が加えられ重合停止槽に供給さ
れる。さらに、重合溶液は水洗され、触媒成分が分解・
除去される。次いで重合溶液は水と必要に応じて界面活
性剤を添加されながら、熱水中でスチームストリッピン
グされ、クラム中の重合溶媒、未反応モノマー及びその
他の揮発性有機成分が除去され、さらに脱水機及び乾燥
機を経てエラストマー中の水分を含む揮発分が除去され
ている。しかし、このような方法では、エラストマー中
の揮発性有機成分が、必ずしも十分に除去されない場合
があった。
【0003】このような課題を解決する方法として、ス
チームストリッピング工程での滞留時間を延長させた
り、温度を上昇させる方法が行われていた。しかし、こ
れらの方法も、十分な効果が得られなかったり、またス
チーム使用量を増加させることになり好ましくなかっ
た。また、二軸押出機にベント排出口を設ける方法(特
公昭54−12949号公報及び特公昭57−4768
5号公報を参照)、水などのストリッピング剤を添加し
て揮発成分を除去する方法(特公昭57−41407号
公報、特開昭59−91101号公報、特公昭60−2
9721号公報、特公昭61−52163号公報及び特
公昭63−442号公報を参照) 、複数の脱揮押出機の
間にフラッシュ室を設置する方法(特許第280307
4号公報を参照)などが試みられているが、これらの方
法によっても十分な効果は必ずしも得られていない。
【0004】従って、本発明の目的は、エラストマー中
の揮発性有機成分を十分に効率的に除去する方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)エラス
トマーの有機溶媒溶液を、ストリッパー槽にてスチーム
ストリッピングしてエラストマーのクラム状スラリーを
得る工程、及び(2)上記エラストマーのクラム状スラ
リーをスラリーサージ槽にて処理する工程からなるエラ
ストマー中の揮発性物質の除去方法であって、上記
(2)の工程を、スラリーサージ槽に不活性ガスを吹き
込みバブリングしながら行うことを特徴とするエラスト
マー中の揮発性物質の除去方法を提供することにより、
上記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の処理対象のエラストマー
としては、通常のチグラー・ナッタ触媒、リチウム系触
媒、メタロセン系触媒などを用いた重合によって得られ
たものが挙げられる。チグラー・ナッタ触媒の具体例と
しては、コバルト化合物、有機アルミニウム化合物及び
水からなる触媒などが挙げられる。
【0007】上記エラストマーの具体例としては、ハイ
シス−1,4−ポリブタジエンなどのブタジエンゴム
(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPD
M)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンゴ
ム(SPBR)などが挙げられる。これらのエラストマ
ーの中でも、BR、SPBRが好ましい。
【0008】上記BRとしては、例えば、1,3−ブタ
ジエンを、不活性溶媒中、遷移金属化合物を用いる触媒
系、例えば、コバルト系触媒組成物、ニッケル系触媒組
成物などのチグラー・ナッタ触媒、メタロセン系触媒な
どの存在下で重合させたポリブタジエン(BR)が挙げ
られる。上記コバルト系触媒組成物としては、コバルト
化合物、ハロゲン含有有機アルミニウム化合物及び水か
らなる触媒系、上記ニッケル系触媒組成物としては、ニ
ッケル化合物、有機アルミニウム化合物及びフッ素化合
物からなる触媒系、上記メタロセン系触媒としては、周
期律表第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体、非配
位性アニオンとカチオンとのイオン性化合物、有機アル
ミニウム化合物及び水からなる触媒系が挙げられる。ポ
リブタジエン(BR)の中でも、コバルト系触媒組成
物、メタロセン系触媒を用いた重合によって得られたも
のが好適に用いられる。
【0009】上記コバルト系触媒組成物を用いる場合の
コバルト化合物としては、コバルトの塩や錯体が好まし
く用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルトや臭
化コバルトなどのハロゲン化コバルト、硝酸コバルトな
どの無機酸のコバルト塩、オクチル酸コバルト、酢酸コ
バルト、コバルトオクトエートなどの炭素原子数1〜1
8のカルボン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、マロン
酸コバルト、コバルトのビスアセチルアセトナートやト
リスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステル
などのコバルト錯体、ハロゲン化コバルトのトリアリー
ルホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体、ピリ
ジン錯体やピコリン錯体などの有機塩基錯体、もしくは
エチルアルコール錯体などの各種錯体が挙げられる。
【0010】上記コバルト系触媒組成物を用いる場合の
ハロゲン含有有機アルミニウム化合物としては、R3-n
AlXn (式中、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素
基、Xはハロゲンを示し、nは1又は2である。)で表
わされる化合物を挙げることができる。その例として
は、ジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルア
ルミニウムブロマイドなどのジアルキルアルミニウムハ
ライド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アル
キルアルミニウムセスキブロマイドなどのアルキルアル
ミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジクロ
ライド、アルキルアルミニウムジブロマイドなどのアル
キルアルミニウムジハライドなどが挙げられる。具体的
化合物としては、ジエチルアルミニウムモノクロライ
ド、ジエチルアルミニウムモノブロマイド、ジブチルア
ルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセスキ
クロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどが挙
げられ、またジシクロヘキシルアルミニウムモノクロラ
イドやジフェニルアルミニウムモノクロライドなども用
いられる。
【0011】上記ニッケル系触媒組成物を用いる場合の
ニッケル化合物としては、ニッケルの塩や錯体が好まし
く用いられる。特に好ましいものは、塩化ニッケルや臭
化ニッケルなどのハロゲン化ニッケル、硝酸ニッケルな
どの無機酸のニッケル塩、オクチル酸ニッケル、酢酸ニ
ッケル、ニッケルオクトエートなどの炭素原子数1〜1
8のカルボン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、マロン
酸ニッケル、ニッケルのビスアセチルアセトナートやト
リスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステル
などのニッケル錯体、ハロゲン化ニッケルのトリアリー
ルホスフィン錯体、トリアルキルホスフィン錯体、ピリ
ジン錯体やピコリン錯体などの有機塩基錯体、もしくは
エチルアルコール錯体などの各種錯体が挙げられる。
【0012】上記ニッケル系触媒組成物を用いる場合の
有機アルミニウム化合物としては、AlR3 (Rは炭素
原子数1〜10の炭化水素基を示す。)で表わされる化
合物を挙げることができる。その例としては、トリメチ
ルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−
プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウ
ム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルア
ルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシル
アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリ
オクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ト
リ−p−トリルアルミニウム、トリベンジルアルミニウ
ムなどを挙げることができる。上式中のRで示される三
個の炭化水素基は互いに同一でも、あるいは異なってい
てもよい。
【0013】上記ニッケル系触媒組成物を用いる場合の
フッ素化合物としては、三フッ化ホウ素のエーテル、ア
ルコール、もしくはこれらの混合物の錯体、あるいはフ
ッ化水素のエーテル、アルコール、もしくはこれらの錯
体の混合物が用いられる。特に好ましいフッ素化合物と
しては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、三フッ
化ホウ素ジブチルエーテレート、フッ化水素ジエチルエ
ーテレート、フッ化水素ジブチルエーテレートを挙げる
ことができる。
【0014】上記メタロセン系触媒における、周期律表
第5族遷移金属化合物のメタロセン型錯体としては、下
記〜の一般式で表される化合物などが挙げられる
(下式中、R’はシクロアルカジエニル基を示し、Mは
周期律表第5族遷移金属を示し、Lはルイス塩基を示
し、Xは水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を示
し、nは1又は2であり、aは0、1又は2である)。 R’M・La、すなわち、シクロアルカジエニル基
の配位子を有する酸化数+1の周期律表第5族遷移金属
化合物 R’n MX2-n ・La、すなわち、少なくとも1個
のシクロアルカジエニル基の配位子を有する酸化数+2
の周期律表第5族遷移金属化合物 R’n MX3-n ・La R’MX3 ・La R’M(O)X2 ・La
【0015】重合方法は、特に制限はなく、溶液重合、
塊状重合などを適用できる。溶液重合での溶媒として
は、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化
水素、n−ヘキサン、ブタン、ヘプタン、ペンタンなど
の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンな
どの脂環式炭化水素、1−ブテン、シス−2−ブテン、
トランス−2−ブテンなどのオレフィン系炭化水素、ミ
ネラルスピリット、ソルベントナフサ、ケロシンなどの
炭化水素溶媒や、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水
素系溶媒などを用いることができる。また、1,3−ブ
タジエンなどのモノマーそのものを重合溶媒として用い
てもよい。これらの中でも、ベンゼン、シクロヘキサ
ン、あるいはシス−2−ブテンとトランス−2−ブテン
との混合物などが溶液重合の溶媒として好適に用いられ
る。
【0016】ポリブタジエン(BR)の製造において
は、重合反応の実施の際に、公知の分子量調節剤、例え
ば、シクロオクタジエン、アレンなどの非共役ジエン
類、又はエチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−
オレフィン類を使用することができる。
【0017】溶液重合法によって得られるBR、SB
R、SPBRなどは、触媒、重合条件、重合溶媒などに
よって重合工程の差はあるが、エラストマーの分離工程
はほぼ同じである。すなわち、重合工程からの重合溶液
は、溶媒の分離工程へ送られて、ストリッパー槽でスチ
ームによって加熱された熱水中に送り込まれて、未反応
モノマー、溶媒を除去すると同時にエラストマーを小さ
なパン屑状のクラムとして凝固させてスラリーとする。
この際、必要に応じて、クラムの固結防止剤として界面
活性剤が使用される。
【0018】ここで、「ストリッピング」とは、エラス
トマー、未反応モノマー、溶媒などを含む重合溶液(セ
メント)から、スチームなどによりエラストマーをクラ
ムとして分離する工程を言い、「ストリッパー槽」と
は、該分離工程が行われる槽を言う。
【0019】エラストマーの重合溶液は、複数のストリ
ッパー槽を直列に通過させることが好ましい。溶媒を十
分に除去したエラストマーのスラリーは、スラリーサー
ジ槽に送られ、さらに乾燥工程に送られる。回収モノマ
ーや溶媒は精製工程へ送られ、精製されて再使用され
る。乾燥工程では約50%の水分を含んだクラムをスク
イザーで10%程度に脱水する。さらに、エクスパンシ
ョン乾燥機で含水率1%以下になるまで乾燥される。乾
燥エラストマーは、所定の重量のべール形状に圧縮成型
される。ベール形状の乾燥エラストマーは、ポリエチレ
ン、ポリスチレンなどのフィルムで自動包装され所定の
容器に詰められ製品となる。
【0020】ここで、「スラリーサージ槽」とは、上記
のストリッピング工程で得られたエラストマーのクラム
を含む熱水(クラム状スラリー)を一時的に保留する槽
を言う。
【0021】溶媒分離工程について更に説明する。ま
ず、ストリッパー槽について説明する。ストリッパー槽
の運転条件としては、温度は100〜120℃、圧力は
0.1〜2kg/cm2 G、滞留時間は15〜30分が
好ましい。また、凝固したクラムの粒子径は3〜10m
mで、クラムの分散状態が良好でクラム粒子同士の付着
がないことが好ましい。
【0022】このような状態下でストリッパー槽より不
活性ガスを槽内に吹き込むことが好ましい。不活性ガス
としては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙
げられる。中でも、窒素が好ましい。不活性ガスの吹き
込みは、ストリッパー槽の下部より行ない、吹き込みノ
ズルを通して注入し、バブリングを行うことが好まし
い。ストリッパー槽では、クラム状スラリーを攪拌させ
ながら、熱水中に溶解している揮発性有機成分が不活性
ガスと同伴して除去される。それと共にクラム粒子表面
の残留揮発性有機成分も不活性ガスと同伴してクラムよ
り除去され、槽の出口より放出され回収・精製工程へ送
られる。ストリッパー槽への不活性ガスの導入量及びス
チームの導入量は、槽内のスラリー量により適宜決定さ
れ、例えば槽内のスラリー量が25m3 の場合、不活性
ガスの導入量は、50〜200Nm3 /hrが好まし
く、スチームの導入量は、10〜25t/hrが好まし
い。
【0023】上記のストリッパー槽には、クラム分散剤
として界面活性剤が添加されていることが好ましい。界
面活性剤が存在することにより、熱水中のクラムの平均
粒径を適当な大きさ、例えば、3.4〜4.3mmに調
整することができ、揮発性成分などの除去効率を上げる
ことができる。界面活性剤としては、アニオン性分散
剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤、両性界面活
性剤などを挙げることができる。中でも、アニオン性分
散剤が好ましい。具体的なアニオン性分散剤としては、
オレフィン・マレイン酸共重合物ナトリウム塩、オレフ
ィン・マレイン酸共重合物アンモニウム塩、スチレン・
マレイン酸共重合物ナトリウム塩などの高分子型アニオ
ン性分散剤が好ましい。界面活性剤の量は、処理するエ
ラストマー1kgあたり、1〜3gが好ましい。あるい
は、系内水量1m3 あたり、100〜300gが好まし
い。
【0024】さらに、クラム中の残留揮発性有機成分を
低減するために、複数のストリッパー槽を用いることが
好ましい。すなわち、ストリッパー槽のクラム状スラリ
ーを別のストリッパー槽へ送り、スチームを注入、バブ
リングを行うことが好ましい。第1、第2のストリッパ
ー槽を通過する毎に槽内の熱水、クラム及び気相中の揮
発性分の濃度は減少する。必要に応じて、さらに、第
3、第4のストリッパー槽を通過させて、クラム中の揮
発性有機成分のバブリングを行うことができる。その場
合、上記界面活性剤は、第1のストリッパー槽に添加す
ることが好ましい。また、不活性ガスは、数基あるスト
リッパー槽の下流側の槽に対して吹き込みを行うことが
好ましい。ストリッパー槽からの排気蒸気は、不活性ガ
ス吸着設備にて不活性ガス中の揮発性有機成分を除去
後、循環再使用することが好ましい。ストリッパー槽の
上流側の槽に不活性ガスを吹き込むことは、当該槽で蒸
発する溶媒のコンデンサーに不活性ガスが混入するた
め、好ましくない。
【0025】次に、スラリーサージ槽について説明す
る。スラリーサージ槽の運転条件としては、温度は80
〜100℃、圧力は0〜0.5kg/cm2 G、滞留時
間は15〜30分が好ましく、クラム粒子径は3〜10
mmで、クラムの分散状態が良好でクラム粒子同士の付
着がないことが好ましい。クラム濃度は5〜20重量%
が好ましい。このような状態下でスラリーサージ槽下部
より、不活性ガスを槽内に吹き込みノズルを通して注入
し、バブリングを行う。不活性ガスとしては、窒素、ヘ
リウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。中でも、
窒素が好ましい。
【0026】スラリーサージ槽では、クラム状スラリー
を攪拌させながら、熱水中に溶解している揮発性有機成
分が不活性ガスと同伴して除去される。それと共にクラ
ム粒子表面の残留揮発性成分も不活性ガスと同伴してク
ラムより除去され、槽の出口より放出され回収・精製工
程へ送られる。不活性ガスの吹き込みは、前記のストリ
ッパー槽での工程と同様である。複数のスラリーサージ
槽を用いてもよい。その場合、第1のスラリーサージ槽
のクラム状スラリーは、第2のスラリーサージ槽へ送ら
れて、不活性ガスを注入し、バブリングを行う。さらに
必要に応じて、第3のスラリーサージ槽を通過させるこ
ともできる。第1、第2のスラリーサージ槽を通過する
毎に槽内の熱水、クラム及び気相の揮発性成分の濃度は
減少する。従って、これ以降の工程であるスクイザーや
エクスパンション乾燥機で効率的に揮発性成分が除去さ
れる。
【0027】不活性ガスは窒素ガスが経済的に最適であ
る。不活性ガスの吹き込み方法には種々な方法があり、
攪拌法と組み合わされるので一概に限定することは困難
である。例えば、細孔を多数有する散気板、微細孔を有
する焼結金属を用いる方法などがある。不活性ガス気泡
を小さくする、例えばガス気泡の径を3mm以下にする
ことにより、水中からの揮発性有機成分の除去効率が向
上する。そのため、微細孔を有する焼結金属を用いる方
法が好ましい。
【0028】スラリーサージ槽への不活性ガスの導入量
は、クラムスラリー濃度にもよる。導入量が多い程、揮
発性物質濃度が低下する効果がある。ある導入量を超え
ると、効果は著しく低下する。不活性ガスの導入量が多
すぎると、脱揮速度が減少し、また、槽内のスラリー中
の気相の混合割合が増加する。そのため、スラリーの滞
留時間が減少し、クラム中の揮発性有機成分濃度の低減
の効果は小さくなる。従って、脱揮を効果的に行うため
には、不活性ガスの導入量は、槽内のスラリー量1m3
あたり、5〜26Nm3 /hrが望ましい。槽内スラリ
ー量が50m3の場合、不活性ガス量は300〜1,3
00Nm3 /hrが好ましい。不活性ガスの導入温度
は、特に制限はないが、大気温度から槽の運転温度より
20〜30℃高い温度の範囲が好ましい。この上限温度
を超える場合、加熱用の熱源が必要となり経済的に好ま
しくない。
【0029】以上説明した本発明のエラストマー中の揮
発性物質の除去方法の好ましい一例のフローシートを図
1に示す。図1において、1、2、3及び4は、それぞ
れ第1、第2、第3及び第4のストリッパー槽であり、
5及び6は、それぞれ第1及び第2のスラリーサージ槽
である。
【0030】図1のフローシートに示す本発明のエラス
トマー中の揮発性物質の除去方法においては、先ず、エ
ラストマーの重合溶液(エラストマーの有機溶媒溶液)
は、タンク7に貯蔵され、導入管8より注入ノズル1b
を介して第1のストリッパー槽1内に送入される。ま
た、第1のストリッパー槽1内には、導入管9及び9’
より槽の下部からスチームが送入され、また導入管10
より熱水が送入されている。第1のストリッパー槽1で
得られたクラム状スラリーは、順次、導入管11、12
及び13より第2、第3及び第4のストリッパー槽内に
送られ処理される。第2及び第4のストリッパー槽内に
は、それぞれ導入管14及び15より槽の下部からスチ
ームが送入される。また、第4のストリッパー槽内に
は、導入管16より槽の下部から不活性ガスが送入され
る。また、第2のストリッパー槽2からの排気蒸気は、
排出管27より第1のストリッパー槽1内に送られ再使
用され、また第3のストリッパー槽3からの排気蒸気
は、排出管28より第2のストリッパー槽2内に送られ
再使用される。
【0031】次いで、第4のストリッパー槽4で処理さ
れたクラム状スラリーは、導入管17よりスクリーン1
8に送られ、熱水とクラムとに分離され、該クラムは、
導入管19より第1のスラリーサージ槽5内に送入さ
れ、該熱水は、排出管20より排出される。第1のスラ
リーサージ槽5内に送入されたクラムは、導入管21よ
り供給される補給水により所定のクラム濃度とした後、
導入管22より第2のスラリーサージ槽6内に移送され
る。第2のスラリーサージ槽6内には、導入管23より
槽の下部から不活性ガスが送入される。第2のスラリー
サージ槽6で処理されたクラム状スラリーは、排出管2
4より乾燥工程(図示せず)に移送される。また、第4
のストリッパー槽4からの排気蒸気及び第2のスラリー
サージ槽6からの排気蒸気は、それぞれ排出管25及び
26より不活性ガス回収工程(図示せず)に移送され
る。
【0032】本発明により、エラストマー中に微量残存
する揮発性物質、例えば、重合溶媒、ブタジエンなどの
モノマー、4−ビニルシクロヘキセンなどのオリゴマー
などの揮発性物質を著しく減少させて、好ましくは60
wt.ppm以下、特に好ましくは40wt.ppm以
下に減少させることができる。
【0033】
【実施例】実施例及び比較例で得られたエラストマーの
揮発性有機成分の測定は以下のようにして測定した。揮
発成分は、ASTM D1416-1989 Test Methods for Rubber
From Synthetic Source に準じて、エラストマー中の揮
発性有機成分を、水素炎イオン検出器ガスクロマトグラ
フィーに自動サンプラーを有するヘッドスペース式ガス
クロマトグラフィーを使用して、サンプルを秤量後、内
部標準物質としてn-ヘプタンを使用して、ヘッドスペー
スで所定温度(100〜130℃) で所定時間(30
分) 加熱して、蒸発した揮発性有機成分量を求めてpp
m(重量)で示した。
【0034】実施例1 コバルトオクトエート、ジエチルアルミニウムモノクロ
ライド及び水からなる触媒系を用い、分子量調節剤とし
て1,5−シクロオクタジエンを用いて溶液重合したシ
ス−1,4−ポリブタジエン(BR)の15wt%の重
合溶液を、界面活性剤として高分子型アニオン性分散剤
を15L/hrの割合で添加しながら、注入ノズルより
第1のストリッパー槽内に60m3 /hrで送入した。
また、10kg/cm2 Gのスチーム( 温度187℃)
を2,500kg/hrの割合で、また80℃の熱水を
3,660m3 /hrの割合で、1.8kg/cm
2 G,115℃で攪拌されている第1のストリッパー槽
内の熱水中へ供給し、径が3〜6mm程度のBRのクラ
ム状スラリーを得た。当スラリーを1.6kg/cm2
G,125℃で攪拌されている第2のストリッパー槽へ
供給し、さらに0.7kg/cm2 G,112℃で攪拌
されている第3のストリッパー槽へ供給した。第1〜3
のストリッパー槽へは槽下部よりスチームを供給した。
尚、ストリッパー槽への供給スチーム量は合計16.7
t/hrであった。このクラム状スラリーを第4のスト
リッパー槽へ供給し、槽下部の窒素導入管より70℃の
窒素ガスを、吹き込みノズルとして微細孔を有する焼結
金属を用い、150m3 /hrで吹き込んだ。第4のス
トリッパー槽の圧力は0.3kg/cm2 G,温度は1
01℃であった。 このクラム状スラリーをスクリーンで
熱水とクラムとに分離後、クラムに補給水を添加して所
定濃度のクラム濃度とし、第1のスラリーサージ槽へ移
送し、さらに第2のスラリーサージ槽へ移送し当槽の下
部より大気温度の窒素ガスを400Nm3 /hrで吹き
込んだ。第2のスラリーサージ槽の温度は85℃、圧力
は大気圧であった。第2のスラリーサージ槽で処理され
たクラム状スラリーを乾燥工程のスクイザーで10wt
%の含水率に脱水し、さらにエクスパンション乾燥機及
び熱風乾燥器で含水率1wt%以下まで乾燥した。この
BRの水分を含む揮発分は3,500wt.ppmであ
り、揮発性有機成分は45wt.ppmであった。
【0035】実施例2 第2のスラリーサージ槽(最終槽)の窒素ガスの導入量
を800Nm3 /hrに変えた以外は実施例1と同様に
実施した。第2のスラリーサージ槽の運転条件として、
圧力は実施例1と同じであるが、温度は99℃であっ
た。乾燥後のBR中の水分を含む揮発分は3,300w
t.ppmであり、揮発性有機成分は30wt.ppm
であった。
【0036】実施例3 第2のスラリーサージ槽(最終槽)の窒素ガスの導入量
を1,200Nm3 /hrに変えた以外は実施例1と同
様に実施した。第2のスラリーサージ槽の運転条件の圧
力は実施例1と同じであるが、温度は96℃であった。
乾燥後のBR中の水分を含む揮発分は3,200wt.
ppmであり、揮発性有機成分は20wt.ppm以下
であった。
【0037】実施例4 スラリーサージ槽を1槽とした以外は実施例1と同様に
実施した。当槽の下部より大気温度の窒素ガスを400
Nm3 /hrで吹き込んだ。スラリーサージ槽の温度は
85℃, 圧力は大気圧であった。乾燥後のBR中の水分
を含む揮発分は3,800wt.ppmであり、揮発性
有機成分は55wt.ppmであった。
【0038】比較例1 界面活性剤の添加量を6L/hrとし、かつストリッパ
ー槽及びスラリーサージ槽において窒素ガスによるバブ
リングをしなかった以外は実施例1と同様に実施した。
乾燥後のBR中の水分を含む揮発分は4,500wt.
ppmであり、揮発性有機成分は145wt.ppmで
あった。
【0039】比較例2 ストリッパー槽の運転条件の内、第1のストリッパー槽
の温度を120℃、第1〜3のストリッパー槽への供給
スチーム量を21.8t/hr、界面活性剤の添加量を
6L/hrとし、かつストリッパー槽及びスラリーサー
ジ槽において窒素ガスによるバブリングをしなかった以
外は実施例1と同様に実施した。乾燥後のBR中の水分
を含む揮発分は4,000wt.ppmであり、揮発性
有機成分は60wt.ppmであった。
【0040】上記の実施例1〜4及び比較例1〜2にお
ける界面活性剤の添加量、ストリッパー槽への窒素ガス
の導入量及びスチームの導入量、ストリッパー槽の槽
数、スラリーサージ槽への窒素ガスの導入量、スラリー
サージ槽の槽数を下記表1に纏めて示した。また、上記
の実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた乾燥後のB
R中の水分を含む揮発分及び揮発性有機成分の残存量を
下記表2に纏めて示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】本発明の方法は、エラストマー中の揮発
性有機成分を効率的に除去でき、スチームを多量に使用
するスチームストリッピング法に比較して有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のエラストマー中の揮発性物質
の除去方法の好ましい一例のフローシートである。
【符号の説明】
1 第1のストリッパー槽 2 第2のストリッパー槽 3 第3のストリッパー槽 4 第4のストリッパー槽 5 第1のスラリーサージ槽 6 第2のスラリーサージ槽 9 スチーム導入管 14 スチーム導入管 15 スチーム導入管 16 不活性ガス導入管 23 不活性ガス導入管
フロントページの続き (72)発明者 北村 隆 千葉県市原市五井南海岸8番の1 宇部興 産株式会社千葉石油化学工場内 Fターム(参考) 4J100 AA02P AA03Q AB02Q AS00R AS02P AS03P CA01 CA04 CA05 GC03 GC35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)エラストマーの有機溶媒溶液を、
    ストリッパー槽にてスチームストリッピングしてエラス
    トマーのクラム状スラリーを得る工程、及び(2)上記
    エラストマーのクラム状スラリーをスラリーサージ槽に
    て処理する工程からなるエラストマー中の揮発性物質の
    除去方法であって、 上記(2)の工程を、スラリーサージ槽に不活性ガスを
    吹き込みバブリングしながら行うことを特徴とするエラ
    ストマー中の揮発性物質の除去方法。
  2. 【請求項2】 上記(1)の工程を、ストリッパー槽に
    不活性ガスを吹き込みバブリングしながら行う請求項1
    記載のエラストマー中の揮発性物質の除去方法。
  3. 【請求項3】 上記エラストマーの有機溶媒溶液が、溶
    液重合法によって得られたエラストマーの重合溶液であ
    る請求項1又は2記載のエラストマー中の揮発性物質の
    除去方法。
  4. 【請求項4】 上記ストリッパー槽に界面活性剤が存在
    している請求項1記載のエラストマー中の揮発性物質の
    除去方法。
JP2000325370A 1999-11-05 2000-10-25 エラストマー中の揮発性物質の除去方法 Pending JP2001226427A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000325370A JP2001226427A (ja) 1999-11-05 2000-10-25 エラストマー中の揮発性物質の除去方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31539199 1999-11-05
JP34735099 1999-12-07
JP11-347350 1999-12-07
JP11-315391 1999-12-07
JP2000325370A JP2001226427A (ja) 1999-11-05 2000-10-25 エラストマー中の揮発性物質の除去方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001226427A true JP2001226427A (ja) 2001-08-21

Family

ID=27339470

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000325370A Pending JP2001226427A (ja) 1999-11-05 2000-10-25 エラストマー中の揮発性物質の除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001226427A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249463A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Kaneka Corp 自動車内装用表皮成形用粉体の製造方法
JP2014173089A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Xerox Corp 相浸入乳化法および装置
JP2015044909A (ja) * 2013-08-27 2015-03-12 サンノプコ株式会社 クラム脱水工程用喰込み性改良剤及びゴム状重合体の製造方法
JP2017503891A (ja) * 2014-01-06 2017-02-02 テリム インダストリアル カンパニー リミテッド エチレンとアルファーオレフィンとの重合装置および製造方法
WO2019187650A1 (ja) 2018-03-28 2019-10-03 日本ゼオン株式会社 クラム及びその製造方法並びにベールの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009249463A (ja) * 2008-04-03 2009-10-29 Kaneka Corp 自動車内装用表皮成形用粉体の製造方法
JP2014173089A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Xerox Corp 相浸入乳化法および装置
JP2015044909A (ja) * 2013-08-27 2015-03-12 サンノプコ株式会社 クラム脱水工程用喰込み性改良剤及びゴム状重合体の製造方法
JP2017503891A (ja) * 2014-01-06 2017-02-02 テリム インダストリアル カンパニー リミテッド エチレンとアルファーオレフィンとの重合装置および製造方法
WO2019187650A1 (ja) 2018-03-28 2019-10-03 日本ゼオン株式会社 クラム及びその製造方法並びにベールの製造方法
EP3778718A4 (en) * 2018-03-28 2021-11-17 Zeon Corporation KRUMEN, MANUFACTURING METHOD FOR THEREFORE AND MANUFACTURING METHOD FOR BALES

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0805823B1 (en) Vapor phase synthesis of rubbery polymers
KR100256717B1 (ko) 폴리디엔의 기상 제조방법
RU2505553C2 (ru) Способ полимеризации в массе
BRPI1013296B1 (pt) processo para a produção de polidienos
BRPI0806041B1 (pt) Processo para a produção de polidienos
US3182052A (en) Process for producing cis-1, 4-polybutadiene of reduced cold-flow
KR20060050770A (ko) 시스-1,4-폴리뷰타다이엔의 합성
CN107530671B (zh) 连续气体流化床聚合方法
JP2001226427A (ja) エラストマー中の揮発性物質の除去方法
JP2000327703A (ja) 共役ジエンの懸濁重合方法
CN1775820A (zh) 制备ep(d)m弹性体、控制其收率以及回收的方法
JP3858608B2 (ja) エラストマー中の揮発性物質の除去方法
JPS647604B2 (ja)
US3374191A (en) Process for the production of elastomeric diene polymers with improved properties
JPS58109513A (ja) 補強ポリブタジエンゴムの製造方法
JP3759850B2 (ja) 変性ポリブタジエンの製造方法
JP4342690B2 (ja) 変性ポリブタジエンの製造方法、変性ポリブタジエン、およびゴム組成物
US5859156A (en) Vapor phase synthesis of rubbery polymers
JP3883317B2 (ja) 変性ポリブタジエンの製造方法、変性ポリブタジエン、及びゴム組成物
US3598795A (en) Process of preparing polymers of olefinically unsaturated compounds using metal carbonyls with metal halides
JP3587003B2 (ja) ゴム状重合体の回収方法およびゴム状重合体
JP4342079B2 (ja) 変性ポリブタジエン、及びゴム組成物
JP2001288210A (ja) ゴムの乾燥方法
JP3887502B2 (ja) ゴム組成物
US3281402A (en) Process for production of rubbery cis-1, 4-polybutadiene

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060530

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061017