JP2001222913A - 誘電体薄膜,その製造方法,その電子部品 - Google Patents

誘電体薄膜,その製造方法,その電子部品

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JP2001222913A JP2000341439A JP2000341439A JP2001222913A JP 2001222913 A JP2001222913 A JP 2001222913A JP 2000341439 A JP2000341439 A JP 2000341439A JP 2000341439 A JP2000341439 A JP 2000341439A JP 2001222913 A JP2001222913 A JP 2001222913A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 格子不整合に起因した格子歪を有効に利用す
ることができ、更にはリーク電流の低減や疲労特性の改
善を図る。 【解決手段】 薄膜と結晶構造が類似する基板10上
に、ペロブスカイト酸化物である{X1}{X2}O層12
をエピタキシャル成長させつつ、適宜の間隔で{X3}O
の1原子層に相当する{X3}Oを実質1層挿入する。{X
1},{X3}は、Caなどであり、{X2}はTiなどであ
り、「O」は酸素である。{X3}O層14は、{X1}{X
2}O層12のペロブスカイト構造を分断する形で導入
されるが、ペロブスカイト構造と極めて構造整合性の高
い状態で存在し、層状ペロブスカイト構造を形成する。
{X3}O層14は、ミスフィット(格子不整合)転位導
入に対するブロッキング層として作用する。その結果、
高い格子歪を保持した強誘電体薄膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト構
造を有する誘電体薄膜,その製造方法,その電子部品に
関する。
【0002】
【背景技術】ペロブスカイト構造をもつ酸化物薄膜材料
は、強誘電性,高誘電率,電気光学効果,圧電効果,焦
電効果,あるいは超伝導などの極めて多岐にわたる機能
を有することから、コンデンサ素子,強誘電体メモリ素
子,光学センサなどの広範な電子デバイスに応用されて
いる。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memo
ry),MMIC(Microwave Monolithic Integrated Ci
rcuit),MCM(Multi Chip Module)のキャパシタが
好適な適用例の一つである。
【0003】特に最近では、ペロブスカイト酸化物薄膜
の高誘電率特性や強誘電特性に着目したメモリ素子の開
発が脚光を浴びており、キャパシタ面積の低減による高
集積化を狙ったDRAM用キャパシタとしての応用,あ
るいは強誘電性によるヒステリシス特性を利用した高速
動作可能な不揮発性強誘電体メモリとしての応用が検討
されている。
【0004】しかしながら、このペロブスカイト構造の
酸化物薄膜材料は、従来のSiOやSiなどの
アモルファス系材料とは異なり、結晶材料である。この
ため、所望の特性発現には、高度な薄膜結晶成長技術及
び欠陥制御技術が必要とされる。例えば、Pb(Zr
Ti1−m)O系材料は、大きな自発分極値をもち、
キュリー温度が300℃以上と比較的高いことから、不
揮発性強誘電体メモリ材料として用いられている。
【0005】しかし、Pbの揮発性に伴う陽イオン空孔
の生成,Pt電極界面近傍での酸素欠陥の生成,パッシ
ベーション膜形成などの半導体プロセスによる欠陥の導
入等によって、特性が著しく劣化することが知られてい
る。特に、分極反転サイクルに伴う自発分極の劣化,い
わゆる疲労特性は、上記欠陥に深く起因するものであ
り、実用上大きな課題となっている。また、Pb系ペロ
ブスカイトは、薄膜低温プロセスでは強誘電性を大きく
低減させるパイロクロア型構造を持つ異相が形成されや
すく、この点も実用化の大きな課題となっている。
【0006】一方、Pbを持たない強誘電性ペロブスカ
イト構造酸化物としては、BaTiOがよく知られて
おり,Pb系ペロブスカイトと比べて構造が極めて安定
である。しかしながら、このBaTiO系の材料は自
発分極が小さく、キュリー点が120℃と室温に近い。
このため、分極量の温度依存性が極めて大きく、結果的
に強誘電体メモリ素子用の不揮発性キャパシタとして不
適とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の点に
着目したもので、熱力学的に安定で、格子不整合に起因
した格子歪を有効に利用することができ、更にはリーク
電流の低減や疲労特性の改善を図ることができる誘電体
薄膜,その製造方法,その電子部品を提供することを、
その目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、酸素12配位構造を持つ{X1}と、{X1}
とは配位構造が異なる{X3}とを、Ca,Mg,Sr,
Ba,Pbから選択した少なくとも1種の元素で構成
し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、Ti及びZrから
選択した少なくとも1種の元素で構成し、「O」を酸素
としたとき、結晶構造が類似する基板上に形成された
{X1}{X2}O3の組成を有するペロブスカイト層に、{X
3}Oを挿入して、前記基板との格子不整合性に起因した
格子歪みを形成したことを特徴とする。
【0009】他の発明は、酸素12配位構造を持つ{X
1}と、{X1}とは配位構造が異なる{X3}とを、Ca,M
g,Sr,Ba,Pbから選択した少なくとも1種の元
素で構成し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、Ti及び
Zrから選択した少なくとも1種の元素で構成し、{X}
を{X1}と{X3}の構成元素の総和とし、「O」を酸素と
したとき、{X}{X2}O2+m(ただしm>1)の組
成を有する誘電体薄膜であって、結晶構造が類似する基
板上に形成された{X1}{X2}Oの組成を有するペロブ
スカイト層と、該ペロブスカイト層に挿入された{X3}
Oとを含み、前記基板との格子不整合性に起因した格子
歪みを有することを特徴とする。
【0010】更に他の発明は、酸素12配位構造を持つ
{X1}と、{X1}とは配位構造が異なる{X3}とを、C
a,Mg,Sr,Ba,Pbから選択した少なくとも1
種の元素で構成し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、T
i及びZrから選択した少なくとも1種の元素で構成
し、「O」を酸素としたとき、{X1}{X2}O3の組成を
有するペロブスカイト層に、二次元的もしくは三次元的
に{X3}Oを挿入したことを特徴とする。
【0011】本発明の前記及び他の目的,特徴,利点
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0012】
【発明の実施の形態】<実施形態1>……最初に、本発
明の実施形態1ついて詳細に説明する。図1(A)に示
すように、形成しようとする薄膜と結晶構造が類似する
SrRuOや、Nbをドープ(添加)したSrTiO
(以下「Nb−SrTiO」と表現する)などの単
結晶基板(下部電極)10を用意する。そして、この単
結晶基板10上に、ペロブスカイト酸化物である{X1}
{X2}O層12をエピタキシャル成長させつつ、適宜
の間隔で実質1原子層ないし実質1分子層の{X3}O1
4を挿入する。従って、{X3}Oは、必ずしも層と呼べ
る状態とは限らないが、以下の説明では便宜上「層」と
称する。
【0013】ここで、{X1}は、酸素12配位構造を持
ち、Ca,Mg,Sr,Ba,Pbからなる群より選ば
れた少なくとも1種の元素である。{X2}は、酸素6配
位構造を持ち、Ti及びZrからなる群より選ばれた少
なくとも1種の元素である。{X3}は、{X1}と異なる配
位構造を持ち、Ca,Mg,Sr,Ba,Pbからなる
群から選ばれた少なくとも1種の元素である。「O」は
酸素である。
【0014】図1(B)あるいは(C)に示すように、
前記{X3}O層14は、{X1}{X2}O層12のペロブ
スカイト構造を分断する形で導入される。同図中、八面
体12Aは{X2}O酸素八面体によるペロブスカイト
構造を表し、黒丸12Bは元素{X1}を表し、白丸12
Cは元素{X3}を表す。ただし、元素{X3}12Cは、隣
接する元素{X1}12Bと容易に位置置換をする。すな
わち、{X3}Oがペロブスカイト層12にランダムに挿
入された状態になる。
【0015】同図(B)の例は、{X3}O層14が、ペ
ロブスカイト構造と極めて構造整合性の高い岩塩型構造
の状態で存在し、いわゆるKNiF構造に類似した
層状ペロブスカイト構造を形成した例である。これに対
し、同図(C)に示すような必ずしも岩塩型構造とはい
えないものも観察されている。いずれにしても、岩塩型
構造をもつ{X3}O層14は、ミスフィット(格子不整
合)転位導入に対するブロッキング層として作用する。
その結果、高い格子歪を保持した強誘電体薄膜が得られ
る。
【0016】また、岩塩型構造をもつ{X3}O層14
は、強誘電性発現の主要因でもあり、かつ電子の導電経
路ともなるTi−O結合の3次元ネットワークを分断す
る。このため、{X3}O層14の導入は、リーク電流の
低減及び疲労特性の向上に効果がある。なお、{X1}{X
2}O層12に対する{X3}O層14の存在比率をあま
り高くすると、ペロブスカイト構造をもつユニット間の
協調作用が低下し、強誘電性が著しく低下する現象が現
れるようになる。
【0017】また、{X3}O層14の導入は、超格子構
造を作らないように不規則的に行ってもよいし、超格子
構造となるようにしてもよい。例えば、超格子構造を作
らないように不規則に{X3}O層14を導入すると、膜
厚方向(図1(A)に矢印F1で示す上下方向)に並進
対称性を持たせないことにより、実効的な臨界膜厚を増
大させ、ミスフィット転位の導入を効果的に抑制するこ
とができる。逆に、超格子構造となるように{X3}O層
14を導入すると、後述するように、良好な絶縁性が得
られるようになる。
【0018】以上のような積層構造を有する誘電体薄膜
16を、該誘電体薄膜と結晶構造が類似する基板10上
にエピタキシャル成長させると、格子が歪んだ状態で成
膜される。これによって形成される格子歪は、新たな誘
電特性を生み出す要因になる。加えて、本形態では、上
述したように{X3}O層14による歪も導入される。こ
のため、これら2種類の歪が本形態にかかる誘電体素子
の誘電特性に寄与することになる。また、図1(B)に
示したように、{X1}{X2}O層12と{X3}O層14
を交互に積層することで、岩塩構造層である{X3}O層
14の挿入数だけ誘電膜に歪みを導入することができ、
この点からも誘電特性に寄与することになる。
【0019】また、酸素12配位構造を持つ{X4}をC
a,Mg,Sr,Ba,Pbから選択した少なくとも1
種の元素で構成し、{X5}を{X4}とは異なる陽イオンで
構成したとき、前記{X1}が、{X4}1−m{X5}(た
だしm>0)で表される構成としてもよい。このように
すると、{X5}が不純物として作用し、ペロブスカイト
層内に歪みを発生させる。なお、不純物{X5}が少ない
ほうが、すなわちm<0.5としたほうが、ペロブスカ
イト構造としては一般的に安定である。
【0020】次に、製造プロセスについて更に詳細に説
明する。下部電極として作用する基板10としては、第
1に、NbあるいはLaを添加した導電性SrTiO
ペロブスカイト酸化物基板が挙げられる。第2に、Mg
O,SrTiO,LaAlOなどの絶縁性ペロブス
カイト単結晶基板上に、導電性酸化物であるCa{X91}
(ただし{X91}=V,Cr,Fe,又はRu)、S
r{X92}O(ただし{X92}=V,Cr,Fe,又はR
u)、La{X93}O(ただし{X93}=Ti,Co,N
i,又はCu)、La1−mSr{X94}O(ただし
{X94}=V,Mn,又はCoで、m>0.23)、Ba
PbO、SrRuO、SrlrO、SrRuO
、SrIrO、あるいは(La1−mSr
CuO(ただしm<0.3)のいずれかをエピタキシ
ャル成長したものが挙げられる。
【0021】更に、第3に、半導体Si基板上のバリア
層、MgAl、MgO、CeO、α−Al
、YSZ(イットリウム安定化ジルコニウム)などの
エピタキシャル酸化物上に、導電性酸化物であるCa
{X95}O(ただし{X95}=V,Cr,Fe,又はR
u)、Sr{X96}O(ただし{X96}=V,Cr,F
e,又はRu)、La{X97}O(ただし{X97}=T
i,Co,Ni,又はCu)、La1−mSr{X98}
(ただし{X98}=V,Mn,又はCoで、m>0.
23)、BaPbO、SrRuO、SrIrO
SrRuO、SrIrO、あるいは(La
1−mSrCuO(ただしm<0.3)のいず
れかをエピタキシャル成長させたものが挙げられる。
【0022】このような基板10上に、例えばレーザア
ブレーション法,MBE(MolecularBeam Epitaxy)法,
スパッタリング法などの薄膜作製手法によって誘電体薄
膜16を形成する。すなわち、{X1}{X2}O層12と
{X3}O層14の積層薄膜を形成する。{X3}O層14
は、公知の原子層制御を利用して形成する。例えば、レ
ーザアブレーション法であれば、レーザの出力とパルス
数を調節して実質1原子層程度形成する。同様に、スパ
ッタの場合にはプラズマの出力とスパッタ時間を調節
し、CVDの場合にはガス量を調節して、それぞれ実質
1原子層程度形成する。この場合、{X3}O層14の成
膜制御が技術的に困難であるが、若干量の{X3}Oの供
給量の相違は、膜厚方向に{X3}O層14を形成するこ
とにより許容されることが確認されている。また、後述
するように、成膜時の{X1}{X2}O層12の組成を
{X1}O過剰とすることによって、3次元的に成長した
{X3}O層(図2参照)を容易に形成できる。
【0023】図3には、本形態にかかる誘電体薄膜の製
造装置の一例が示されている。この装置は、レーザアブ
レーション法によってペロブスカイト化合物を成膜用基
板上に堆積させ、層状ペロブスカイト構造による誘電体
薄膜を作製するものである。同図において、真空チャン
バ100内にターゲット102を配置するとともに、こ
のターゲット102に対して所定距離だけ離間して成膜
用基板10を配置する。真空チャンバ100には、必要
に応じて酸素ガスあるいはオゾンを導入してもよい。レ
ーザ光源104としては、例えば波長λ=193nmのA
rFエキシマレーザが用いられる。レーザ光源104か
ら射出されたレーザビーム106は、ミラーやレンズな
どの光学系108を介して前記ターゲット102に照射
される構成となっている。
【0024】真空チャンバ100は、TMP(ターボ分
子ポンプ)などの排気装置110によって真空排気され
ており、成膜用基板10の加熱用として赤外線ヒータ1
12が設けられている。また、成膜用基板10の表面近
傍には膜厚モニタ114が設けられている。更に、分析
用機器として、RHEED(反射高速電子線回折)ガン
120,RHEEDスクリーン122,高感度カメラ1
24が設けられており、RHEEDガン120は排気装
置126によって排気されている。
【0025】ターゲット102としては、例えば、通常
の粉末冶金手法によって作製したセラミックス焼結体や
粉末プレス体を使用する。焼結体は、所望の組成になる
よう原料粉末を混合し、その後、仮焼成,成形,及び焼
成を行うことによって得られる。粉末プレス体は、焼結
を行うことなくプレス形成したものである。
【0026】レーザビーム106をターゲット102に
照射すると、プルーム116で示すようにターゲット1
02からその蒸気が酸素雰囲気中に飛散し、対向する成
膜用基板10にターゲット102とほぼ同一組成を有す
る薄膜が形成される。
【0027】ターゲット102として、例えばペロブス
カイト酸化物SrTiOの焼結体と、SrOの焼結体
(もしくは粉末プレス体)とをそれぞれ用意し、これら
を交互に使用して基板10上に積層成膜することで、S
rO層を2次元的に内包した層状ペロブスカイト酸化物
薄膜が得られる。具体例については、実施例として後述
する。
【0028】<実施形態2>……次に、本発明の実施形
態2について説明する。本形態では、上述した層状ペロ
ブスカイト酸化物において、挿入層である{X3}O層1
4の{X3}イオンを、母相である{X1}{X2}O層12
の{X1}イオンとは異なるイオン半径をもつ{X1}’元素
で置き換える。ここで、{X1}’は、Ca,Mg,S
r,Ba,及びPbからなる群より選ばれた少なくとも
1種の元素である。このようにすることで、基板10と
薄膜16との間の格子不整合起因以外の格子歪,すなわ
ちイオン半径の差による歪が効果的に導入される。
【0029】{X1}’イオンのイオン半径としては、母
相である{X1}{X2}O層12の{X1}のイオン半径よ
りも大きくてもよいし、小さくてもよい。しかし、母相
である{X1}{X2}O層12の{X1}イオンよりもイオ
ン半径の小さなイオンを選択することで、結晶構造の安
定化を図ることができる。
【0030】一般に、単純な幾何学的観点からすれば、
イオン結晶の構造安定性は、各構成元素のイオン半径か
ら類推され、イオン半径の大きな元素ほど高い配位数を
とることにより安定となる。一方、上述した構造の誘電
体薄膜では、挿入する{X3}O層14の{X3}イオンの配
位数は、ペロブスカイト構造である{X1}{X2}O層1
2の{X1}イオンの配位数よりも小さい。このため、よ
り小さなイオン半径をもつ{X1}’元素のほうが、{X3}
O層14の陽イオンサイトを優先的に占有することによ
り、結晶構造が安定化することとなる。この現象を利用
することで、本形態の層状ペロブスカイト酸化物をより
安定的に生成することが可能である。また、{X1}イオ
ンと{X1}’イオンのイオン半径比を、構造安定性が保
持できる範囲内で変化させることにより、効果的に格子
歪を制御できる。
【0031】更に、格子歪を効果的に導入するため、
{X1}{X2}O層12における{X1}イオン元素の一部
を、イオン半径の異なる「R」イオンで置換してもよ
い。「R」イオンとしては、希土類元素,例えばLa,
Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,及びHo
からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素が好適で
ある。このような構成の誘電体薄膜では、{X3}O層1
4による格子歪と、{X1}イオンと異なるイオン半径を
もつ「R」イオンの部分導入による格子歪の相乗作用に
よって、より大きな格子歪が誘起され、高い自発分極な
どの優れた特性が得られる。更に、異なる価数をもつ
「R」イオンを部分導入することにより、酸素欠損など
によるキャリアの生成を抑制することが可能となる。
【0032】加えて、イオン半径の小さな元素が優先的
に入り込んで多く含まれる方が、結晶構造としては安定
になる。例えば、ペロブスカイト層がBaTiOの場
合にCaOを導入するという具合である。
【0033】<実施形態3>……次に、本発明の実施形
態3について説明する。前記実施形態は、{X3}O層1
4を2次元的に{X1}{X2}O層12に導入したが、単
に成膜する{X}{X2}Oで示される薄膜の組成を{X}
O過剰にすることによっても、{X3}O層を内包する結
晶性薄膜が得られる。ただし、この場合、図2に示すよ
うに、{X3}O層14は、ペロブスカイト構造の母相で
ある{X1}{X2}O層12に対して3次元無秩序的に導
入されることになる。本形態においても、{X3}O層1
4がミスフィット転位導入のブロッキング層として作用
することは上記形態と同様である。なお、この3次元構
造は、薄膜全体の組成が{X3}サイト過剰である。
【0034】また、本実施形態において、{X1}イオン
がイオン半径の異なる2種以上の元素の組み合わせで構
成されている場合、すなわち({X1}’{X
1}”m−n){X2}O2+mで表される場合、イオン半
径の小さな{X1}’元素を選択的に{X3}O層14の{X
3}陽イオン位置に析出させれば、結晶構造を安定化させ
ることができる。ただし、{X1}’,{X1}”はCa,M
g,Sr,Ba,及びPbからなる群より選ばれた少な
くとも1種の元素であり、m>1,n>0である。な
お、{X1}’元素のイオン半径は{X1}”のイオン半径よ
り小さいものとする。
【0035】本実施形態においても、{X3}O層にイオ
ン半径の小さな元素が優先的に入り込んで多く含まれる
方が、結晶構造としては安定になる。例えば、ペロブス
カイト層を(Srm1Cas1)TiO(ただしm1
+s1=1),{X3}O層を(Srm2Cas2)O
(ただしm2<s2)とするという具合である。
【0036】<実施例>……以下、本発明の実施例につ
いて説明する。 (1)実施例1……この実施例1では、前記図3に示し
たレーザ光源104として、波長193nmのArFエキ
シマレーザが用いられる。薄膜形成を行う際の雰囲気酸
素圧は1.3Pa,基板10の温度は600℃とした。
基板10としては、(100)面を表面(膜形成面)と
するNb−SrTiO単結晶基板を使用し、ターゲッ
ト102として、ペロブスカイト酸化物SrTiO
焼結体と、SrOの粉末プレス体の2つを用意した。こ
れらを交互に用いてレーザアブレーションを行い、基板
10上に、SrO層を2次元的に内包した超格子構造の
層状ペロブスカイト誘電体薄膜を形成した。
【0037】具体的には、SrTiOを5層形成し、
SrO層を実質1層形成するという具合で誘電体薄膜を
形成する。図4(A)には、膜形成中におけるRHEE
D強度の経時変化の様子を示したもので、強度の変化パ
ターンからSrOが実質1層形成され、その上に、Sr
TiOが実質5層形成されていることが判る。
【0038】更に、得られた誘電体薄膜の断面の高分解
能透過型電子顕微鏡(TEM)像を検討したところ、ペ
ロブスカイト構造をもつSrTiO結晶内に岩塩型構
造を有するSrO挿入層が2次元的に形成されているこ
とが原子層レベルで確認された。また、この誘電体薄膜
中には、SrO層とSrTiO層を交互に単純に一方
向に積層した構造だけではなく、熱的に誘起された3次
元的に垂直な関係にあるSrO層の形成も見られた。
【0039】一方、ターゲット102として、Sr
16+mを用いて、同様の条件で比較例の誘電体
薄膜を形成した。このようにすることで、SrO過剰の
3次元ペロブスカイト膜が得られる。
【0040】次に、上述したSrTiO/SrOによ
る超格子ペロブスカイト膜と、SrO過剰のペロブスカ
イト膜を比較する。X線回折の結果を示すと、図4
(B)に示すようになった。同図中、グラフGAは超格
子ペロブスカイト膜の回折結果であり,グラフGBはS
rO過剰ペロブスカイト膜の回折結果である。両者を比
較すると明らかなように、超格子ペロブスカイト膜には
矢印F4で示すピークが存在し、超格子の周期が存在し
ている。
【0041】次に、両者の電気特性の一例を比較して示
すと、図5に示すようになる。なお、同図の電気特性
は、両者の各ペロブスカイト膜上に白金による電極を形
成して測定したものである。同図中、実線のグラフGA
は超格子ペロブスカイト膜の特性であり(比誘電率εr
=244)、点線のグラフGBはSrO過剰ペロブスカ
イト膜の特性であり(比誘電率εr=302)、一点鎖
線のグラフGCは化学量論組成SrTiOペロブスカ
イト単結晶の特性である(比誘電率εr=298)。
【0042】まず、図5を参照して電圧印加時のリーク
電流量から検討すると、超格子ペロブスカイト膜が最も
リーク電流が少ない結果となっている。これに対し、静
電容量は、SrO過剰ペロブスカイト膜が最も高く、次
に超格子ペロブスカイト膜が高い。このように、超格子
構造とすることで、静電容量は若干低下するものの、耐
圧性を大幅に改善することができる。
【0043】(2)実施例2……本実施例では、ペロブ
スカイト層が({Ba0.8Ca .2}0.98{La}
0.02)TiOによって形成されており、これにS
rOが導入される。具体的には、ターゲットとして、
({Ba0.8Ca0.2} .98{La}0.02)T
iOの焼結体と、SrOの焼結体を用意し、前記実施
例と同様に、それらを交互に用いてレーザアブレーショ
ンを行い、SrO岩塩型構造層を2次元的に内包した層
状ペロブスカイト誘電体薄膜を基板上に形成した。これ
によれば、{La}0.02が不純物として作用し、ペロ
ブスカイト層内に歪みを発生させる。
【0044】(3)実施例3……本実施例では、ターゲ
ット102として、{X1}イオン過剰組成をもつSr
1.5TiO3.5焼結体を用いて誘電体薄膜を作製し
た。なお、本実施例においても、基板10は前記実施例
と同様にNb−SrTiO単結晶基板であり、基板温
度は600℃とした。
【0045】得られた誘電体薄膜の断面の透過型電子顕
微鏡像を検討したところ、ペロブスカイト構造内に3次
元的であって、かつ極めて構造整合性のよいSrO層の
形成を原子層レベルで確認することができた。また、制
限視野電子線回折像を検討したところ、層状ペロブスカ
イト構造の形成を示唆する十字型のストリークスポット
の存在が確認できた。
【0046】本実施例の誘電体薄膜は、SrO層の導入
によって3次元等方的に格子定数が増大するが、SrO
層のブロッキング効果によりミスフィット転位は導入さ
れない。また、薄膜格子は基板10の格子に2次元的に
完全に制約され、およそ1GPaの面内圧縮応力が薄膜
中に生じている。
【0047】(4)実施例4……本実施例では、ターゲ
ット102として、BaTiO焼結体及びSrO焼結
体の2つを用いて、BaTiO層内にSrO層を不規
則に導入した誘電体薄膜を作製した。基板10の下地と
して、下部電極として機能するSrTiO単結晶基板
を使用した。これに導電性ペロブスカイトであるSrR
uOをエピタキシャル成長させたものを基板10とし
て用い、基板温度は600℃とした。
【0048】以上のようにして得た誘電体薄膜は、Sr
O層の導入により、ミスフィット転位は導入されず、薄
膜格子は基板10の格子に2次元的に完全に制約され、
高い強誘電性を示した。
【0049】(5)実施例5……本実施例では、ターゲ
ット102として、{Sr0.8Ca0.2}1.1Ti
3.1を用いた。このようにすることで、{Sr
0.8Ca0.2}が過剰の3次元ペロブスカイト膜が
形成される。
【0050】(6)実施例6……次に、本発明の誘電体
薄膜を強誘電体不揮発性メモリに用した実施例について
説明する。本不揮発性メモリは、図6に示すように、S
i基板50上に酸化物であるMgAl膜52,導
電性酸化物であるSrRuO 膜54,本発明による層
状ペロブスカイト膜56,及び導電性酸化物であるSr
RuO膜58が積層された構造となっている。ここ
で、2つのSrRuO薄膜54,58は、それぞれ上
部及び下部電極として機能し、MgAl膜52
は、Si基板50上に成膜するためのバッファ層として
機能する。
【0051】このような構成の誘電体メモリ素子におい
ては、MgAl膜52がSi基板50上に完全な
面方位関係を持ってエピタキシャル成長し、その上に更
にSrRuO膜54が成長している。このSrRuO
膜54は、ペロブスカイト構造をもつ導電性酸化物電
極として作用する。この電極上に、強誘電体酸化物層で
ある{Ba0.3Sr0.7}TiO及びSrOを層状形
成するため,ペロブスカイト膜56は容易にエピタキシ
ャル成長することとなる。
【0052】従って、本実施例の強誘電体メモリ素子で
は、本発明による層状ペロブスカイト構造をもつ優れた
リーク特性や歪誘起の強誘電体特性のみならず、完全に
格子整合した強誘電体薄膜−酸化物電極界面の実現によ
り、Pt電極を用いた場合に見られる強誘電体薄膜−電
極間の密着性の問題や、疲労特性劣化を誘発する構成元
素,特に酸素の拡散を回避できる。
【0053】<他の実施形態>……本発明には数多くの
実施形態があり、以上の開示に基づいて多様に改変する
ことが可能である。例えば、次のようなものも含まれ
る。 (1)前記実施例では、主としてレーザアブレーション
法について説明したが、原子・分子層オーダーで所望組
成をもった2次元周期構造を成膜する人工超格子の手法
を適用しても、同様の層状ペロブスカイト構造を実現可
能である。この場合、SrO分子層及びTiO分子層
を交互に積層することによりペロブスカイト構造をもつ
SrTiO薄膜が形成されるが、SrO分子層を実質
1層過剰に加えることによって、本発明の層状ペロブス
カイト構造を得ることができる。
【0054】(2)前記実施例4においては、Si基板
50上にエピタキシャル成長するとともに、上部にペロ
ブスカイト構造をもつ導電性酸化物がエピタキシャル成
長するバッファ層として、MgAl膜52を用い
た。しかし、バッファ層としては、何らそれに限らず、
使用する導電性基板の格子整合性に応じて、Si基板に
エピタキシャル成長する各種の酸化物が使用可能であ
る。例えば、MgO,CeO,α−Al,YS
Z(イットリウム安定化ジルコニウム)が使用可能であ
る。
【0055】このバッファ層52上にエピタキシャル形
成される導電性酸化物54に関しても、上部の層状ペロ
ブスカイト膜56及び下部バッファ層52との格子整合
性を考慮して、ペロブスカイト構造をもつ各種の酸化物
を用いてよい。例えば、Ca{X81}O(ただし{X81}
=V,Cr,Fe,Ru)、Sr{X82}O(ただし
{X82}=V,Cr,Fe,Ru)、La{X83}O(た
だし{X83}=Ti,Co,Ni,Cu)、La1−m
{X84}O(ただし{X84}=V,Mn,Co、m>
0.23)、BaPbO、SrRuO、SrIrO
、SrRuO 、SrIrO、(La1−m
CuO(ただしm<0.3)などの導電性ペ
ロブスカイト酸化物が適用可能である。
【0056】(3)前記実施例4は、誘電体メモリ素子
の適用例について述べたが、本発明はこれに限らず、各
種の電子部品の誘電体簿膜に適用することができる。例
えば、DRAM用キャパシタあるいはMCM用デカップ
リングキャパシタとして適用することにより、これらの
部品の高機能化を図ることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果を得ることができる。 (1){X3}Oを{X1}{X2}O3の組成を有するペロブス
カイト層に挿入形成することとしたので、基板及びペロ
ブスカイト層間の格子不整合に起因した格子歪を有効に
利用することができ、更にはリーク電流の低減や疲労特
性の改善を図ることができる。 (2)イオン半径を考慮したイオン置換を行うことによ
り、格子歪を効果的に導入して自発分極の向上を図るこ
とができる。 (3)前記{X3}Oと前記ペロブスカイト層を超格子構
造としたので、耐圧の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の2次元型層状ペロブスカイト構造を模
式的に示す図である。
【図2】3次元型層状ペロブスカイト構造を模式的に示
す図である。
【図3】ペロブスカイト構造の誘電体薄膜の製造装置の
一例を示すブロック図である。
【図4】超格子構造の実施例におけるRHEED強度及
びX線回折強度の測定例を示すグラフである。
【図5】超格子ペロブスカイト膜とSrO過剰ペロブス
カイト膜の電気特性を比較して示すグラフである。
【図6】本発明を適用した誘電体メモリ素子の主要構成
を示す図である。
【符号の説明】
10,50…基板 12…ペロブスカイト層 14…{X3}O層 16…誘電体薄膜 52…酸化物(バッファ層) 54…導電性酸化物(下部電極) 56…ペロブスカイト膜 58…導電性酸化物(上部電極) 100…真空チャンバ 102…ターゲット 104…レーザ光源 106…レーザビーム 108…光学系 110…排気装置 112…赤外線ヒータ 114…膜厚モニタ 116…プルーム 120…ガン 122…スクリーン 124…高感度カメラ 126…排気装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/203 H01L 21/203 Z S 21/316 Y 21/316 X H01G 4/06 102 27/04 H01L 27/04 C 21/822 27/10 444C 27/105 651 27/108 41/18 101B 21/8242 41/22 A 41/187 41/24 (72)発明者 森戸 健太郎 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 関口 象一 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内 (72)発明者 藤本 正之 東京都台東区上野6丁目16番20号 太陽誘 電株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸素12配位構造を持つ{X1}と、{X1}
    とは配位構造が異なる{X3}とを、Ca,Mg,Sr,
    Ba,Pbから選択した少なくとも1種の元素で構成
    し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、Ti及びZrから
    選択した少なくとも1種の元素で構成し、「O」を酸素
    としたとき、 結晶構造が類似する基板上に形成された{X1}{X2}O3
    の組成を有するペロブスカイト層に、{X3}Oを挿入し
    て、前記基板との格子不整合性に起因した格子歪みを形
    成したことを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】 前記{X3}Oの挿入によって、前記ペロ
    ブスカイト層が複数の層に分断されたことを特徴とする
    誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】 前記{X3}Oを実質1層挿入したことを
    特徴とする請求項1又は2記載の誘電体薄膜。
  4. 【請求項4】 前記{X3}Oの挿入によって岩塩構造層
    が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の誘電体薄膜。
  5. 【請求項5】 前記ペロブスカイト層と前記{X3}Oと
    を交互に積層して超格子構造を形成したことを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体薄膜。
  6. 【請求項6】 酸素12配位構造を持つ{X4}をCa,
    Mg,Sr,Ba,Pbから選択した少なくとも1種の
    元素で構成し、{X5}を{X4}とは異なる元素で構成した
    とき、前記{X1}が、{X4}1−m{X5}(ただしm>
    0)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の誘電体薄膜。
  7. 【請求項7】 前記mを、m<0.5としたことを特徴
    とする請求項6記載の誘電体薄膜。
  8. 【請求項8】 前記{X3}は、前記{X1}よりイオン半径
    の小さな元素を多く含む組成を有することを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の誘電体薄膜。
  9. 【請求項9】 前記ペロブスカイト層及び前記{X3}O
    を、第1及び第2のターゲットを交互に用いて、結晶構
    造が類似する基板上にエピタキシャル成長させることを
    特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の誘電体薄膜
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 酸素12配位構造を持つ{X1}と、{X
    1}とは配位構造が異なる{X3}とを、Ca,Mg,S
    r,Ba,Pbから選択した少なくとも1種の元素で構
    成し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、Ti及びZrか
    ら選択した少なくとも1種の元素で構成し、{X}を{X
    1}と{X3}の構成元素の総和とし、「O」を酸素とした
    とき、{X}{X2}O2+m(ただしm>1)の組成を
    有する誘電体薄膜であって、 結晶構造が類似する基板上に形成された{X1}{X2}O
    の組成を有するペロブスカイト層と、該ペロブスカイト
    層に挿入された{X3}Oとを含み、前記基板との格子不
    整合性に起因した格子歪みを有することを特徴とする誘
    電体薄膜。
  11. 【請求項11】 前記{X3}Oの挿入によって岩塩構造
    層が形成されたことを特徴とする請求項10記載の誘電
    体薄膜。
  12. 【請求項12】 酸素12配位構造を持つ{X4}をC
    a,Mg,Sr,Ba,Pbから選択した少なくとも1
    種の元素で構成し、{X5}を{X4}とは異なる元素で構成
    したとき、前記{X1}が、{X4}1−m{X5}(ただし
    m>0)で表されることを特徴とする請求項10又は1
    1記載の誘電体薄膜。
  13. 【請求項13】 前記mを、m<0.5としたことを特
    徴とする請求項12記載の誘電体薄膜。
  14. 【請求項14】 前記{X3}は、前記{X1}よりイオン半
    径の小さな元素を多く含む組成を有することを特徴とす
    る請求項10〜13のいずれかに記載の誘電体薄膜。
  15. 【請求項15】 前記ペロブスカイト層及び{X3}O
    を、{X}{X2}O2+ (ただしm>1)の組成を有
    するターゲットを用いて、結晶構造が類似する基板上に
    エピタキシャル成長させて形成することを特徴とする請
    求項10〜14のいずれかに記載の誘電体薄膜の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 酸素12配位構造を持つ{X1}と、{X
    1}とは配位構造が異なる{X3}とを、Ca,Mg,S
    r,Ba,Pbから選択した少なくとも1種の元素で構
    成し、酸素6配位構造を持つ{X2}を、Ti及びZrか
    ら選択した少なくとも1種の元素で構成し、「O」を酸
    素としたとき、 {X1}{X2}O3の組成を有するペロブスカイト層に、二
    次元的もしくは三次元的に{X3}Oを挿入したことを特
    徴とする誘電体薄膜。
  17. 【請求項17】 請求項1〜8,請求項10〜14,請
    求項16のいずれかに記載の誘電体薄膜を使用したこと
    を特徴とする電子部品。
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