JP2001221268A - モータ駆動ブレーキ用アクチュエータ - Google Patents

モータ駆動ブレーキ用アクチュエータ

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JP2001221268A
JP2001221268A JP2000029140A JP2000029140A JP2001221268A JP 2001221268 A JP2001221268 A JP 2001221268A JP 2000029140 A JP2000029140 A JP 2000029140A JP 2000029140 A JP2000029140 A JP 2000029140A JP 2001221268 A JP2001221268 A JP 2001221268A
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braking
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JP2000029140A
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Tomonori Kakihara
智紀 垣原
Naochika Mitsuoka
直躬 三岡
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Hosei Brake Industry Co Ltd
Original Assignee
Hosei Brake Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一対の摩擦部材が略均等にブレーキ回転体に
押圧されるようにするとともに、保持ケース等に大きな
反力が作用しないようにする。 【解決手段】 電動アクチュエータ24の保持ケース3
0内に軸方向の移動可能且つ軸心まわりの回転可能に保
持されている回転スライド部材に螺合され、電動モータ
のブレーキ用回転に伴ってその回転スライド部材が回転
駆動されることにより、互いに接近するように回転スラ
イド部材内に引き込まれる一対の突出連結部38p、4
0pに、リンク42、44を介してブレーキシュー(摩
擦部材)14、16が連結され、リンク42、44がス
トラット78の係合位置を支点として回動させられるこ
とにより、ブレーキシュー14、16の上端部が拡開し
て制動力を発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータにより
一対の摩擦部材をブレーキ回転体に押圧して制動力を発
生するモータ駆動ブレーキ用アクチュエータの改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】電動モータにより一対の摩擦部材をブレ
ーキ回転体に押圧して制動力を発生するモータ駆動ブレ
ーキが、自動車や電車等の車両用ブレーキとして知られ
ている。特公平6−100239号公報に記載されてい
る装置はその一例で、電動モータによりねじ軸を回転駆
動してナット部材を直線移動させることにより、そのナ
ット部材に連結されたレバーを一軸まわりに回動させ、
そのレバーに係合させられた一対のブレーキシュー(摩
擦部材)を互いに離間させてブレーキドラム(ブレーキ
回転体)に押圧するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のモータ駆動ブレーキにおいては、単一のレバ
ーがバッキングプレートに固定された一軸まわりに回動
させられることにより、一対のブレーキシューをそれぞ
れ拡開させてブレーキドラムに押圧するようになってい
るため、各部の寸法誤差やブレーキシューの個体差など
により、一対のブレーキシューのブレーキドラムに対す
る押圧力が相違し、ブレーキ性能が損なわれたり摩擦材
の寿命が低下したりする可能性があった。また、ブレー
キシューをブレーキドラムに押圧する際の反力がねじ軸
を保持している保持ケース等に作用するため、所定の強
度を確保するために重量が増加するなどの問題があっ
た。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、一対の摩擦部材が略
均等にブレーキ回転体に押圧されるようにするととも
に、保持ケース等に大きな反力が作用しないようにする
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、第1発明は、電動モータにより一対の摩擦部材を
ブレーキ回転体に押圧して制動力を発生するモータ駆動
ブレーキ用のアクチュエータであって、(a) 一直線方向
の移動可能且つその一直線まわりの回転可能に配設され
るとともに、前記電動モータのブレーキ用回転に伴って
その一直線まわりに回転駆動される回転スライド部材
と、(b) その回転スライド部材の前記一直線方向の両端
部の少なくとも一方にその一直線まわりの相対回転可能
に嵌合されるとともに、その一直線まわりの回転が阻止
されている出力部材と、(c) その出力部材と前記回転ス
ライド部材との嵌合部分に設けられ、その回転スライド
部材が前記電動モータのブレーキ用回転に伴って前記一
直線まわりに回転駆動されることにより、前記出力部材
との相対回転に伴うねじの作用でその出力部材をその回
転スライド部材に引き込んで全長を短縮させ、その短縮
およびその回転スライド部材のその一直線方向の移動に
基づいて前記一対の摩擦部材を略均等に前記ブレーキ回
転体に押圧するねじ機構と、を有することを特徴とす
る。
【0006】第2発明は、バッキングプレートの外周部
に互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状
の一対の摩擦部材を電動モータによって両側へ離間さ
せ、車輪と共に回転するブレーキドラムに押圧して制動
力を発生するモータ駆動ブレーキにおいて、前記電動モ
ータのブレーキ用回転に基づいて前記一対の摩擦部材を
離間させるアクチュエータであって、(a) 一直線方向の
移動可能且つその一直線まわりの回転可能に配設される
とともに、前記電動モータのブレーキ用回転に伴ってそ
の一直線まわりに回転駆動される回転スライド部材と、
(b) その回転スライド部材の前記一直線方向の両端部の
少なくとも一方にその一直線まわりの相対回転可能に嵌
合されるとともに、その一直線まわりの回転が阻止され
ている出力部材と、(c) その出力部材と前記回転スライ
ド部材との嵌合部分に設けられ、その回転スライド部材
が前記電動モータのブレーキ用回転に伴って前記一直線
まわりに回転駆動されることにより、前記出力部材との
相対回転に伴うねじの作用でその出力部材をその回転ス
ライド部材に引き込んで全長を短縮させるねじ機構と、
(d) 前記回転スライド部材および前記出力部材の全長の
短縮に伴って機械的に前記一対の摩擦部材を拡開させる
とともに、その短縮およびその回転スライド部材の前記
一直線方向の移動に基づいてその一対の摩擦部材を略均
等に前記ブレーキドラムに押圧する拡開機構と、を有す
ることを特徴とする。
【0007】第3発明は、第2発明のモータ駆動ブレー
キ用アクチュエータにおいて、(a)前記回転スライド部
材は、前記一対の摩擦部材の一端部の近傍にその一対の
摩擦部材の接近離間方向と略平行に配設されており、
(b) 前記拡開機構は、(b-1) それぞれ前記一対の摩擦部
材と略平行に配設され、長手方向の一端である作用端部
がそれぞれその一対の摩擦部材の他端部に回動可能に連
結されるとともに、反対の駆動端部が前記回転スライド
部材および前記出力部材の全長の短縮に伴って互いに接
近させられる一対のリンクと、(b-2) その一対のリンク
の中間部を接近不能に位置決めし、そのリンクの前記駆
動端部が互いに接近させられることにより前記作用端部
を互いに離間させて前記一対の摩擦部材を離間させる位
置決め部材と、を有するものである、ことを特徴とす
る。
【0008】第4発明は、第3発明のモータ駆動ブレー
キ用アクチュエータにおいて、(a)前記一対のリンクの
前記駆動端部の離間位置を規定することにより、前記作
用端部に連結された前記一対の摩擦部材の非制動時にお
ける待機位置を規定する待機位置規定部材を有する一
方、(b) 前記位置決め部材は、前記一対のリンクの前記
駆動端部が前記待機位置規定部材によって規定されてい
る状態で、前記一対の摩擦部材が前記ブレーキドラムに
接触するまでその一対のリンクの前記作用端部が強制的
に離間させられた時に、その位置決め部材によって位置
決めされる中間部の離間距離が所定寸法を越えると、そ
の中間部の位置決め位置を機械的に離間させて非制動時
におけるその摩擦部材とそのブレーキドラムとの間の作
動間隙を所定の大きさに自動的に調整する作動間隙調整
機構を備えている、ことを特徴とする。
【0009】第5発明は、第1発明〜第4発明の何れか
のモータ駆動ブレーキ用アクチュエータにおいて、(a)
前記回転スライド部材の前記一直線方向の両端部には、
捩れが反対の一対のねじ機構を介してその一直線まわり
の相対回転可能に一対の出力部材が螺合されており、そ
の回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ用回転
に伴ってその一直線まわりに回転駆動されることによ
り、その一対の出力部材はそれぞれ該ねじ機構の作用で
該回転スライド部材に引き込まれて全長が短縮されるよ
うになっている一方、(b) その回転スライド部材の外周
面には、軸方向の相対移動可能且つ軸心まわりの相対回
転不能に入力歯車が取り付けられているとともに、その
入力歯車は軸方向の移動が阻止されており、前記電動モ
ータからその入力歯車を介してその回転スライド部材に
前記ブレーキ用回転が伝達されるようになっている、こ
とを特徴とする。
【0010】第6発明は、第1発明〜第5発明の何れか
のモータ駆動ブレーキ用アクチュエータにおいて、(a)
前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力伝
達経路には、制動時には係合させられて動力を伝達する
が、非制動時には動力伝達を遮断するクラッチ装置が設
けられているとともに、(b) 前記一対の摩擦部材は、戻
し用弾性部材によって制動時の移動方向と逆方向へ付勢
されるようになっており、(c) 前記ねじ機構は、制動解
除時に前記クラッチ装置によって前記電動モータと前記
回転スライド部材との間の動力伝達が遮断されることに
より、前記戻し用弾性部材の付勢力でその回転スライド
部材が逆回転して前記一対の摩擦部材が制動時と逆方向
へ移動することを許容するように、ねじのリード角等の
諸元が定められている、ことを特徴とする。
【0011】第7発明は、第6発明のモータ駆動ブレー
キ用アクチュエータにおいて、前記クラッチ装置は、電
磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させ
ることができる電磁クラッチである、ことを特徴とす
る。
【0012】
【発明の効果】第1発明のモータ駆動ブレーキ用アクチ
ュエータにおいては、電動モータのブレーキ用回転に伴
って回転スライド部材が回転駆動されると、その回転ス
ライド部材の端部に配設された出力部材がねじ機構のね
じの作用で回転スライド部材に引き込まれて、その回転
スライド部材および出力部材の全長が短縮され、その短
縮および回転スライド部材の一直線方向の移動に基づい
て一対の摩擦部材が略均等にブレーキ回転体に押圧され
るため、各部の寸法誤差や摩擦部材の個体差などに拘ら
ず一対の摩擦部材が確実にブレーキ回転体に押圧される
ようになり、ブレーキ性能が安定するとともに摩擦材の
寿命が向上する。また、回転スライド部材を保持してい
る保持ケース等に無理な力が生じる恐れがなく、必要強
度が軽減されて軽量且つ安価に構成できる。
【0013】第2発明〜第4発明はドラムブレーキに関
するもので、拡開機構により、回転スライド部材および
出力部材の全長の短縮に伴って機械的に一対の摩擦部材
が拡開させられるとともに、その短縮および回転スライ
ド部材の一直線方向の移動に基づいて一対の摩擦部材が
略均等にブレーキドラムに押圧されるようになってお
り、第1発明と同様の効果が得られる。第3発明では、
拡開機構が一対のリンクを主体として略対称的に構成さ
れるため、各部材の配置等の設計が容易で簡単且つコン
パクトに構成される。
【0014】また、第4発明では、拡開機構の位置決め
部材に作動間隙調整機構が設けられ、組付け時や点検時
等に作業者によって一対の摩擦部材が前記ブレーキドラ
ムに接触するまで一対のリンクの作用端部が強制的に離
間させられることにより、非制動時における摩擦部材と
ブレーキドラムとの間の作動間隙が所定の大きさになる
ように中間部の位置決め位置が自動的に調整されるた
め、作動間隙の調整作業を容易且つ迅速に行うことがで
きる。加えて、従来のように一対の摩擦部材(ブレーキ
シュー)に跨がって待機位置規定部材を配置する場合に
比較して、ドラムブレーキを全体として簡単且つコンパ
クトに構成できる。
【0015】第5発明では、回転スライド部材の両端部
にねじ機構が設けられて一対の出力部材がそれぞれ引き
込まれるようになっているため、ブレーキ毎の回転スラ
イド部材の軸方向(一直線方向)の移動が少なくなり、
作動が安定するとともに耐久性が向上する。また、回転
スライド部材には入力歯車を介してブレーキ用回転が伝
達されるが、その入力歯車と回転スライド部材との間で
軸方向の相対移動が許容され、入力歯車自体は保持ケー
スなどで軸方向の移動が阻止されるため、電動モータか
ら入力歯車までの歯車列などで軸方向の相対移動を生じ
ることがなく、歯車の歯面の偏摩耗などで耐久性が損な
われる恐れがない。
【0016】第6発明では、ブレーキ解除時にクラッチ
装置によって電動モータと回転スライド部材との間の動
力伝達が遮断されることにより、戻し用弾性部材の付勢
力で回転スライド部材が逆回転して一対の摩擦部材が制
動時の移動方向と逆方向、すなわちブレーキ回転体から
離間する方向、へ移動することを許容するようになって
いるため、電動モータを逆回転駆動してブレーキを解除
する必要がないとともに、戻し用弾性部材によって電動
モータを強制的に逆回転させながら摩擦部材を戻す場合
に比較して、付勢力が小さい安価で小型の戻し用弾性部
材を採用できる。
【0017】第7発明では、電磁力で摩擦力を制御して
伝達トルクを連続的に変化させることができる電磁クラ
ッチがクラッチ装置として用いられているため、その伝
達トルク制御と前記戻し用弾性部材の付勢力とで、AB
S(アンチスキッドブレーキシステム)コントロールに
従って制動力を高い応答性で極め細かく制御することが
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、第2発明のようにリー
ディンク・トレーリング式やデュオサーボ式等のドラム
ブレーキに好適に適用されるが、ディスクブレーキなど
他のブレーキ装置にも適用され得る。また、常用ブレー
キにもパーキングブレーキにも適用可能で、常用ブレー
キおよびパーキングブレーキの両方の機能を持たせるこ
ともできる。パーキングブレーキとして用いる場合、例
えば第6発明のクラッチ装置を接続したままにして、電
動モータ等の回転抵抗により戻し用弾性部材の付勢力な
どで回転スライド部材が逆回転しないように、ねじ機構
のねじのリード等の諸元を設定すれば良いが、前記特公
平6−100239号公報に記載のように電動モータ等
の逆回転を阻止するブレーキ維持機構を設けるようにし
ても良い。
【0019】常用ブレーキとして用いる場合、ブレーキ
ペダル等のブレーキ操作部材の操作位置や操作力など運
転者のブレーキ要求量に応じて、電動モータのトルク制
御や正逆回転制御で制動力を制御することが可能であ
る。制動解除は、第6発明のようにリターンスプリング
等の戻し用弾性部材によって行うようにしても良いが、
電動モータの逆回転で行うこともできる。
【0020】回転スライド部材は、例えばドラムブレー
キのバッキングプレートなどの車体側部材に位置固定に
配設される保持ケースに、ベアリング等を介して前記一
直線方向の移動可能且つ一直線まわりの回転可能に配設
される。ねじ機構は、例えば回転スライド部材の軸心に
設けられたねじ穴(雌ねじ)、および出力部材に立設さ
れたねじ軸(雄ねじ)によって構成されるが、回転スラ
イド部材に雄ねじを設けて出力部材に雌ねじを設けるよ
うにしても良い。出力部材は、例えば摩擦部材や、その
摩擦部材と係合させられるレバーなどとの係合によって
一直線まわりの回転が阻止されるが、ハウジングやバッ
キングプレート(車体側部材)など他の部材との係合で
一直線まわりの回転が阻止されるようになっていても良
い。
【0021】モータ駆動ブレーキは、例えば一対の摩擦
部材を接近または離間させることにより、車輪と共に回
転するブレーキ回転体(ブレーキドラムやブレーキディ
スク)に一対の摩擦部材を押圧して制動力を発生するよ
うに構成され、前記回転スライド部材は、例えば一対の
摩擦部材の接近または離間方向と略平行な一直線上に配
設され、出力部材と共に直接または間接的に一対の摩擦
部材に跨がって介在させられる。
【0022】第3発明では、ブレーキシューの一端部の
近傍に回転スライド部材および出力部材が配設され、ブ
レーキシューと略平行な一対のリンクを介してブレーキ
シューの他端部に連結されるようになっているが、L字
形等のリンクを採用することによりブレーキシューの一
端部に連結することも可能である。一対のリンクは、回
転スライド部材の両端部に出力部材が螺合されている場
合は、それ等の出力部材に連結され、回転スライド部材
の一端部のみに出力部材が螺合されている場合は、回転
スライド部材および出力部材に連結される。
【0023】第4発明の待機位置規定部材は、例えば一
対のリンクの駆動端部に当接するようにバッキングプレ
ートに位置固定に設けられるが、一対の摩擦部材に一体
に設けることも可能である。他の発明では、一対の摩擦
部材に跨がって待機位置規定部材を配設することもでき
る。また、位置決め部材に作動間隙調整機構が設けられ
ているが、待機位置規定部材に作動間隙調整機構を設け
ることもできる。作動間隙調整機構は、例えば離間距離
に応じて回動させられるアジャスト部材を有して構成さ
れ、そのアジャスト部材によりねじ機構を回転させて位
置決め部材や待機位置規定部材を伸縮させたり、噛合歯
の噛合位置を変更してアジャスト部材自体の回動位置を
変更したりして、作動間隙を調整するように構成され
る。パーキングブレーキや常用ブレーキの作動、或いは
作動解除時に、摩擦部材やリンクの移動量に応じて自動
的に作動間隙を調整する作動間隙自動調整機構を採用す
ることも可能である。
【0024】第5発明の入力歯車は、例えば平歯車やは
すば歯車などの円筒歯車が好適に用いられるが、かさ歯
車やウォームなどを採用することもできる。入力歯車と
してウォームを用いた場合は、ブレーキ維持機構が無し
でもパーキングブレーキとして使用することが可能であ
る。この入力歯車は、例えば回止めキーやスプライン、
セレーションなどを介して軸方向(一直線方向)の相対
移動可能且つ軸心まわりの相対回転不能に回転スライド
部材に配設される。
【0025】第5発明では、回転スライド部材の両端部
にねじ機構を介して一対の出力部材が設けられるが、他
の発明の実施に際しては、回転スライド部材の一端部に
単一の出力部材を設けるだけでも良く、その場合は、例
えば回転スライド部材の他端部にねじ機構を介すること
なく一直線まわりの回転自在に連結部材を設けて、その
連結部材を摩擦部材やリンク等に連結するなどすれば良
い。第5発明における一対のねじ機構は、捩れが反対で
あるが、ねじのリードや径寸法などは同じであっても違
っていても良い。
【0026】第6発明の戻し用弾性部材としては、引張
コイルスプリングや圧縮コイルスプリングなどのスプリ
ング(ばね部材)が好適に用いられるが、弾性ゴムや圧
縮エアによって付勢力を発生するエアスプリングなどを
用いることもできる。
【0027】また、第6発明のクラッチ装置としては、
第7発明の電磁クラッチや油圧式クラッチのように摩擦
力で動力を伝達するとともに、その摩擦力すなわち伝達
トルクを連続的に変化させることができる摩擦クラッチ
が好適に用いられるが、噛合式等の他のクラッチ装置を
採用することもできる。第7発明では電磁クラッチによ
る伝達トルクの制御で制動力を制御できるようになって
いるが、クラッチ装置を接続して動力伝達状態に維持し
たまま、電動モータのトルク制御や正逆回転制御で制動
力を制御することも可能である。クラッチ装置を設ける
ことなく、常に電動モータと回転スライド部材とが動力
伝達状態になっている場合も同様である。
【0028】第7発明の電磁クラッチは、例えばスプリ
ング等の付勢手段により摩擦材を押圧して常には接続状
態に保持するとともに、電磁力で付勢手段の付勢力に抗
して摩擦力を低下させるように構成されるが、電磁力で
摩擦力を発生させて接続状態にするものなど、伝達トル
クを連続的に変化させることができる種々の電磁クラッ
チを採用できる。
【0029】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ
詳細に説明する。図1は、本発明がリーディング・トレ
ーリング式のモータ駆動ドラムブレーキ10に適用され
た場合の一例を示す正面図で、図2および図3は、それ
ぞれ図1におけるII−II断面図、 III− III断面図であ
る。このモータ駆動ドラムブレーキ10は、略円板形状
を成すバッキングプレート12と、そのバッキングプレ
ート12の左右の外周部に互いに接近離間可能に略対称
的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー14、
16と、その一対のブレーキシュー14、16の下端部
にそれぞれ位置固定に配設された一対のアンカピン1
8、20と、そのアンカピン18、20の間に設される
とともに拡開機構20を介して一対のブレーキシュー1
4、16の上端部を互いに離間させ、車輪と共に回転す
る図示しないブレーキドラム(ブレーキ回転体)に押圧
することにより制動力を発生させる電動アクチュエータ
24と、を有して構成されている。ブレーキシュー1
4、16は一対の摩擦部材に相当する。
【0030】バッキングプレート12の中心部には貫通
穴12hが設けられ、車輪を回転駆動するアクセルシャ
フト等が挿通させられるようになっているとともに、そ
の貫通穴12hに近い内周部において、取付穴12a内
を挿通させられる複数のボルト等によって、バッキング
プレート12はアクセルハウジング等の車体側部材に一
体的に固設されるようになっている。また、前記一対の
ブレーキシュー14、16は、それぞれ図示しないシュ
ーホルドダウン装置を介して互いに接近離間可能にバッ
キングプレート12に取り付けられており、アンカピン
18、20は、リベット等によってバッキングプレート
12に一体的に固設されている。そして、一対のブレー
キシュー14、16の上端部が離間させられてブレーキ
ドラムに押圧されることにより制動力を発生する際のブ
レーキ反力が、そのアンカピン18、20によって受け
止められるようになっている。一対のブレーキシュー1
4、16の下端部間には引張コイルスプリング26が張
設され、常にはシューウェブの下端部がアンカピン1
8、20に当接させられるようになっている。
【0031】前記電動アクチュエータ24は、図2に明
らかに示されているように、保持ケース30内に一対の
ベアリングおよびスプラインなどを介して軸方向の移動
可能且つ軸心まわりの回転可能に保持されている円筒形
状の回転スライド部材32と、その回転スライド部材3
2の両端にそれぞれねじ機構34、36を介して同軸ま
わりの相対回転可能に螺合されている一対の出力部材3
8、40とを備えており、保持ケース30は、回転スラ
イド部材32の軸心が一対のブレーキシュー14、16
の接近、離間方向である一直線方向(図1、図2の左右
方向)と略平行になる姿勢で、バッキングプレート14
或いは車体側部材に一体的に固設されている。ねじ機構
34、36は、回転スライド部材32の軸心上に設けら
れたねじ穴(雌ねじ)32R、32Lと、出力部材3
8、40に一体に設けられたねじ軸(雄ねじ)38s、
40sとによって構成されているが、それ等のねじ機構
34、36のねじの捩れは反対、すなわち一方は右ねじ
で他方は左ねじで、リードや径寸法等のその他の諸元は
同じであり、回転スライド部材32に対して同じ方向へ
相対回転させられると、対称的に回転スライド部材32
から突き出しまたは引き込まれる。
【0032】また、一対の出力部材38、40は、それ
ぞれ保持ケース30の左右両側の開口から外部に突き出
しており、その突出連結部38p、40pにおいて前記
拡開機構22の構成要素である一対のリンク42、44
に連結されることにより、軸心まわりの回転が阻止され
ている。突出連結部38p、40pと保持ケース30と
の間はダストブーツ46、48で防塵されている。保持
ケース30の両端開口は、回転スライド部材32よりも
小径であるが、保持ケース30は複数の部材から構成さ
れており、内部にベアリングや回転スライド部材32な
どを組み付けることができるようになっている。
【0033】回転スライド部材32の外周面には、回止
めキー50により軸方向の相対移動可能且つ軸心まわり
の相対回転不能に入力歯車52が取り付けられている。
入力歯車52は保持ケース30によって軸方向の移動が
阻止されているとともに、ギヤケース54内に配設され
た減速ギヤ列56と噛み合わされており、電動モータ5
8によって回転駆動されるようになっている。電動モー
タ58のブレーキ用回転で入力歯車52を介して回転ス
ライド部材32が回転駆動されると、軸心まわりの回転
が阻止されている前記一対の出力部材38、40は、そ
れぞれねじ機構34、36のねじの作用で回転スライド
部材32内に引き込まれ、全長寸法が短縮される。入力
歯車52や減速ギヤ列56の各歯車は、本実施例では平
歯車が用いられている。
【0034】電動モータ58は、クラッチ装置として電
磁力で摩擦力を制御して伝達トルクを連続的に変化させ
ることができる電磁クラッチ60を内蔵しており、その
電磁クラッチ60により減速ギヤ列56との間の動力伝
達が接続、遮断されるとともに、接続時には必要に応じ
てABS(アンチスキッドブレーキシステム)コントロ
ールにより伝達トルクが制御されて制動力が制御される
ようになっている。この電磁クラッチ60は、例えばス
プリング等の付勢手段により摩擦材を押圧して常には接
続状態に保持するとともに、電磁力で付勢手段の付勢力
に抗して摩擦力を低下させて動力伝達を遮断するように
構成される。電動モータ58と回転スライド部材32と
の間の減速ギヤ列56等が動力伝達経路である。ギヤケ
ース54は、バッキングプレート12の裏側(車体側)
へ突き出す状態で、溶接やかしめ、リベットなどの固設
手段によりそのバッキングプレート12または車体側部
材に一体的に固設されており、電動モータ58はそのギ
ヤケース54に一体的に固設されている。
【0035】前記拡開機構22は、前記一対のリンク4
2、44と、それ等に跨がって配設されたストラット7
8とを含んで構成されている。リンク42、44は、前
記ブレーキシュー14、16と略平行に左右対称に配設
されており、下端の駆動端部においてバッキングプレー
ト12に対して略垂直な連結ピン64、66を介して前
記出力部材38、40の突出連結部38p、40pに相
対回動可能に連結されているとともに、上端の作用端部
において同じくバッキングプレート12に対して略垂直
な連結ピン68、70を介して前記一対のブレーキシュ
ー14、16の上端部に相対回動可能に連結されてい
る。また、上記ストラット78は位置決め部材に相当す
るもので、一対のリンク42、44の中間部を接近不能
に位置決めすることにより、下端の駆動端部が電動アク
チュエータ24によって互いに接近させられるのに伴っ
て、ストラット78の位置決め位置(係合位置)を支点
としてリンク42、44をそれぞれ回動させて上端の作
用端部を互いに離間させ、一対のブレーキシュー14、
16を左右に拡開させるとともに前記ブレーキドラムに
押圧して制動力を発生させる。本実施例ではストラット
78が作用端部の近傍に配設されているため、そのレバ
ー比に応じて大きな倍力作用が得られ、減速ギヤ列56
の減速比を小さくすることが可能で歯車の数が少なくて
良い。
【0036】一対のブレーキシュー14、16の上端部
間には、制動時の移動方向である離間方向と逆方向すな
わち互いに接近する方向へ付勢する戻し用弾性部材とし
てリターンスプリング(引張コイルスプリング)72が
張設され、制動解除時に前記電磁クラッチ60によって
電動モータ58と回転スライド部材32との間の動力伝
達が遮断されることにより、リターンスプリング72の
付勢力に従って回転スライド部材32が逆回転して出力
部材38、40が回転スライド部材32から引っ張り出
され、一対のブレーキシュー14、16が互いに接近さ
せられて制動力が解除されるようになっている。前記ね
じ機構34、36のリード角等の諸元は、このようにリ
ターンスプリング72の付勢力に従って回転スライド部
材32が逆回転させられ、一対のブレーキシュー14、
16が互いに接近することを許容するように定められて
いる。このようなことから、リード角は比較的大きめに
設定されるが、電動モータ58のモータトルクによって
実用上十分な制動力が得られるように、リードがピッチ
の2倍以上の多条ねじにて構成されている。また、一対
のブレーキシュー14、16の下端部には位置決め係合
部14a、16aが設けられ、その位置決め係合部14
a、16aにリンク42、44が当接させられることに
より、それ等のリンク42、44の駆動端部の離間位置
が規定され、この離間位置に応じて非制動時におけるブ
レーキシュー14、16の待機位置(接近位置)が定め
られる。位置決め係合部14a、16aは待機位置規定
部材に相当する。なお、一対のリンク42、44とブレ
ーキシュー14、16との間には、長手方向の中間部に
おいてそれぞれ引張コイルスプリング74、76が張設
されている。
【0037】前記ストラット78は、図3に明らかに示
されているように、バッキングプレート12に対して略
垂直な板形状を成している本体部材80およびアジャス
ト部材82を備えており、本体部材80は、切欠80a
を介して一方のリンク44に係合させられているととも
に、引張コイルスプリング84によって常にはそのリン
ク44に当接させられるようになっている。アジャスト
部材82には、リンク42、44の接近離間方向(本体
部材80に対する接近離間方向と同じ)と直角で且つバ
ッキングプレート12と略平行な連結ピン86が立設さ
れている一方、本体部材80には、アジャスト部材82
の側面に略接するように略平行に延び出す突出部80b
が設けられているとともに、その突出部80bにはリン
ク42、44の接近離間方向に長い長穴80cが形成さ
れており、その長穴80c内を連結ピン86が挿通させ
られることにより、アジャスト部材82は接近離間方向
の移動可能且つ連結ピン86まわりの回動可能に本体部
材80に連結されている。
【0038】上記連結ピン86と本体部材80との間に
は引張コイルスプリング88が張設されており、アジャ
スト部材82に連結ピン86付近を中心とする円弧状に
設けられた噛合歯82gと、本体部材80に設けられた
噛合歯80gとが噛み合わされることにより、アジャス
ト部材82のそれ以上の接近が阻止されるとともに連結
ピン86まわりの回動が阻止されて一定の姿勢に位置決
めされる。アジャスト部材82には、リンク42に形成
された係合穴42hと係合する係合突起82aが一体に
設けられており、常には前記リターンスプリング72の
付勢力に従って係合穴42hの一端(図3の右端)が係
合突起82aに当接する状態に保持される。これによ
り、ストラット78によるリンク42、44の中間部の
位置決め位置(接近位置)が定められる。
【0039】上記係合突起82aと係合穴42hとの間
には、前記接近離間方向に一定の遊びdが設けられてい
る。そして、一対のリンク42、44の駆動端部(下端
部)が前記位置決め係合部14a、16aに当接してい
る状態で、組付け時や点検時等に作業者によって一対の
ブレーキシュー14、16がブレーキドラムに接触する
まで一対のリンク42、44の作用端部(上端部)が強
制的に離間させられた時に、そのストラット78によっ
て位置決めされるリンク42、44の中間部が上記遊び
dを越えて離間させられると、係合穴42hの他端(図
3の左端)と係合突起82aとが係合させられて、アジ
ャスト部材82が引張コイルスプリング88の付勢力に
抗して本体部材80から離間させられる(図3の右方向
へ移動させられる)とともに、連結ピン86の右まわり
に機械的に回動させられ、新たな回動姿勢で噛合歯82
gが噛合歯80gと噛み合わされる。このようにアジャ
スト部材82が連結ピン86の右まわりに回動すると、
その回動分だけ係合突起82aが図3の右方向へ移動す
るため、リンク42、44の位置決め位置が僅かに離間
させられるとともにブレーキシュー14、16の待機位
置も離間させられ、これによりブレーキシュー14、1
6とブレーキドラムとの間の作動間隙が所定の大きさに
自動的に調整される。すなわち、ブレーキシュー14、
16とブレーキドラムとの間の作動間隙(両方の合計)
が上記遊びdに対応する略一定の寸法になるように、ス
トラット78によるリンク42、44の中間部の位置決
め位置が自動的に調整されるのである。上記アジャスト
レバー82や連結ピン86、引張コイルスプリング8
8、噛合歯80g、82g、係合穴42h等によって作
動間隙調整機構90が構成されている。なお、バッキン
グプレート12には、一対のブレーキシュー14、16
を強制的に離間させるための工具等を挿入する切欠等が
必要に応じて設けられる。
【0040】このようなモータ駆動ドラムブレーキ10
は常用ブレーキとして使用され、運転者のブレーキ操作
に従って電動モータ58が作動させられるとともに、そ
のブレーキ用回転が接続状態の電磁クラッチ60から減
速ギヤ列56、入力歯車52を介して回転スライド部材
32へ伝達されると、軸心まわりの回転が阻止されてい
る一対の出力部材38、40はそれぞれねじ機構34、
36のねじの作用で回転スライド部材32内に引き込ま
れて全長寸法が短縮され、拡開機構22を介して一対の
ブレーキシュー14、16が両側へ拡開(離間)させら
れてブレーキドラムに押圧される。運転者のブレーキ要
求量は、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操作位
置や操作力等で検出することが可能であり、電動モータ
58のトルク制御や電磁クラッチ60の伝達トルク制御
で制動力を制御することができる。
【0041】上記回転スライド部材32は軸心方向(一
直線方向)の移動可能に配設されているため、寸法誤差
などに拘らず両ブレーキシュー14、16が均等にブレ
ーキドラムに押圧されるとともに、回転スライド部材3
2を保持している保持ケース30等に無理な力が生じる
恐れがない。また、ABSコントロールなどで電磁クラ
ッチ60の伝達トルクを制御することにより、その伝達
トルク制御とリターンスプリング72の付勢力とで、制
動力を高い応答性で極め細かく制御できる。
【0042】一方、一対のブレーキシュー14、16が
両側へ拡開させられた状態で、電動モータ58のブレー
キ用回転の作動が停止させられるとともに、電磁クラッ
チ60によって電動モータ58と回転スライド部材32
との間の動力伝達が遮断されると、リターンスプリング
72の付勢力で回転スライド部材32を逆回転させなが
ら出力部材38、40を引っ張り出して一対のリンク4
2、44の作用端部が互いに接近させられ、ブレーキシ
ュー14、16は、それ等のリンク42、44が位置決
め係合部14a、16aに当接することによって定めら
れる待機位置まで接近させられる。
【0043】ここで、本実施例のモータ駆動ドラムブレ
ーキ10は、電動モータ58のブレーキ用回転に伴って
回転スライド部材32が回転駆動されると、その回転ス
ライド部材32の両端部に配設された出力部材38、4
0がねじ機構34、36のねじの作用で回転スライド部
材32に引き込まれて、その回転スライド部材32およ
び出力部材38、40の全長が短縮され、その短縮およ
び回転スライド部材32の一直線方向の移動に基づいて
一対のブレーキシュー14、16が略均等にブレーキド
ラムに押圧されるため、各部の寸法誤差やブレーキシュ
ー14、16の個体差などに拘らずそれ等のブレーキシ
ュー14、16が確実にブレーキドラムに押圧されるよ
うになり、ブレーキ性能が安定するとともに摩擦材(ラ
イニング)の寿命が向上する。また、回転スライド部材
32を保持している保持ケース30に無理な力が生じる
恐れがなく、必要強度が軽減されて軽量且つ安価に構成
できる。
【0044】また、本実施例では、回転スライド部材3
2の両端部にねじ機構34、36が設けられて一対の出
力部材38、40がそれぞれ引き込まれるようになって
いるため、ブレーキ毎の回転スライド部材32の軸方向
(一直線方向)の移動が少なくなり、作動が安定すると
ともに耐久性が向上する。
【0045】また、回転スライド部材32には入力歯車
52を介してブレーキ用回転が伝達されるが、その入力
歯車52と回転スライド部材32との間で軸方向の相対
移動が許容され、入力歯車52自体は保持ケース30に
よって軸方向の移動が阻止されているため、電動モータ
58から入力歯車52までの減速ギヤ列56で軸方向の
相対移動を生じることがなく、歯車の歯面の偏摩耗など
で耐久性が損なわれる恐れがない。
【0046】また、電動モータ58のブレーキ用回転の
作動が停止させられるとともに、電磁クラッチ60によ
って電動モータ58と回転スライド部材32との間の動
力伝達が遮断されると、リターンスプリング72の付勢
力で回転スライド部材32が逆回転して一対のブレーキ
シュー14、16が互いに接近することを許容するよう
になっているため、電動モータ58を逆回転駆動してブ
レーキを解除する必要がないとともに、リターンスプリ
ング72によって電動モータ58を強制的に逆回転させ
ながらブレーキシュー14、16を戻す場合に比較し
て、付勢力が小さい安価で小型のリターンスプリング7
2を採用できる。
【0047】また、電磁力で摩擦力を制御して伝達トル
クを連続的に変化させることができる電磁クラッチ60
がクラッチ装置として用いられているため、その伝達ト
ルク制御とリターンスプリング72の付勢力とで、AB
Sコントロールに従って制動力を高い応答性で極め細か
く制御することができる。
【0048】また、拡開機構22は一対のリンク42、
44を主体として略対称的に構成されているため、各部
材の配置等の設計が容易で簡単且つコンパクトに構成さ
れる。更に、その拡開機構22のストラット78に作動
間隙調整機構90が設けられ、組付け時や点検時等に作
業者によって一対のブレーキシュー14、16がブレー
キドラムに接触するまで一対のリンク42、44の作用
端部が強制的に離間させられることにより、非制動時に
おけるブレーキシュー14、16とブレーキドラムとの
間の作動間隙が所定の大きさになるように、中間部の位
置決め位置が自動的に調整されるため、作動間隙の調整
作業を容易且つ迅速に行うことができる。加えて、従来
のように一対のブレーキシュー14、16に跨がってス
トラット78と同様に構成される待機位置規定部材を配
置する場合に比較して、モータ駆動ドラムブレーキ10
を全体として簡単且つコンパクトに構成できる。
【0049】また、上記ストラット78は作用端部(上
端部)の近傍に配設されているため、リンク42、44
のレバー比に応じて大きな倍力作用が得られ、減速ギヤ
列56の歯車数を減らすことができるとともに、トルク
が小さい小型の電動モータ58を採用できる。
【0050】また、一対のブレーキシュー14、16の
下端部に位置決め係合部14a、16aが一体に設けら
れ、その位置決め係合部14a、16aにリンク42、
44が当接させられることにより、それ等のリンク4
2、44の駆動端部の離間位置が規定され、この離間位
置に応じてブレーキシュー14、16の待機位置(接近
位置)が定められるようになっているため、ブレーキシ
ュー14、16の戻り過ぎが防止されて出力部材38、
40の移動ストロークを小さくでき、電動アクチュエー
タ24をコンパクトに構成できる。
【0051】なお、上記実施例では作動間隙調整機構9
0を有するストラット78が用いられていたが、図4の
モータ駆動ドラムブレーキ100のように、単に一対の
リンク42、44の中間部を位置決めするだけのストラ
ット102を採用することもできる。ストラット102
の代わりに、バッキングプレート12に対して略垂直な
一対の位置決めピンを用いて、一対のリンク42、44
をそれぞれそのピンまわりの回動可能にバッキングプレ
ート12に取り付けるようにしても良い。また、前記ス
トラット78と同様に構成される待機位置規定部材を、
例えばリターンスプリング72とストラット102との
間などに一対のブレーキシュー14、16或いはリンク
42、44に跨がって配設することにより、位置決め係
合部14a、16aを廃止することもできる。
【0052】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳
細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であ
り、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良
を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたモータ駆動ドラムブレーキ
の概略正面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1における III− III断面図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
10、100:モータ駆動ドラムブレーキ(モータ駆動
ブレーキ) 12:バッキングプレート 14、1
6:ブレーキシュー(摩擦部材) 14a、16a:
位置決め係合部(待機位置規定部材) 22:拡開機
構 24:電動アクチュエータ 32:回転スライ
ド部材 34、36:ねじ機構 38、40:出力
部材 42、44:リンク 52:入力歯車 5
8:電動モータ 60:電磁クラッチ(クラッチ装
置) 72:リターンスプリング(戻し用弾性部材)
78、102:ストラット(位置決め部材) 9
0:作動間隙調整機構
フロントページの続き Fターム(参考) 3J058 AA03 AA08 AA13 AA17 AA24 AA29 AA37 BA03 BA07 BA42 BA44 BA55 BA62 BA67 BA68 CC15 CC62 CC76 DA01 DA14 DA19 DB23 FA01 FA21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動モータにより一対の摩擦部材をブレ
    ーキ回転体に押圧して制動力を発生するモータ駆動ブレ
    ーキ用のアクチュエータであって、 一直線方向の移動可能且つ該一直線まわりの回転可能に
    配設されるとともに、前記電動モータのブレーキ用回転
    に伴って該一直線まわりに回転駆動される回転スライド
    部材と、 該回転スライド部材の前記一直線方向の両端部の少なく
    とも一方に該一直線まわりの相対回転可能に嵌合される
    とともに、該一直線まわりの回転が阻止されている出力
    部材と、 該出力部材と前記回転スライド部材との嵌合部分に設け
    られ、該回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ
    用回転に伴って前記一直線まわりに回転駆動されること
    により、前記出力部材との相対回転に伴うねじの作用で
    該出力部材を該回転スライド部材に引き込んで全長を短
    縮させ、該短縮および該回転スライド部材の該一直線方
    向の移動に基づいて前記一対の摩擦部材を略均等に前記
    ブレーキ回転体に押圧するねじ機構と、 を有することを特徴とするモータ駆動ブレーキ用アクチ
    ュエータ。
  2. 【請求項2】 バッキングプレートの外周部に互いに接
    近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対の摩
    擦部材を電動モータによって両側へ離間させ、車輪と共
    に回転するブレーキドラムに押圧して制動力を発生する
    モータ駆動ブレーキにおいて、前記電動モータのブレー
    キ用回転に基づいて前記一対の摩擦部材を離間させるア
    クチュエータであって、 一直線方向の移動可能且つ該一直線まわりの回転可能に
    配設されるとともに、前記電動モータのブレーキ用回転
    に伴って該一直線まわりに回転駆動される回転スライド
    部材と、 該回転スライド部材の前記一直線方向の両端部の少なく
    とも一方に該一直線まわりの相対回転可能に嵌合される
    とともに、該一直線まわりの回転が阻止されている出力
    部材と、 該出力部材と前記回転スライド部材との嵌合部分に設け
    られ、該回転スライド部材が前記電動モータのブレーキ
    用回転に伴って前記一直線まわりに回転駆動されること
    により、前記出力部材との相対回転に伴うねじの作用で
    該出力部材を該回転スライド部材に引き込んで全長を短
    縮させるねじ機構と、 前記回転スライド部材および前記出力部材の全長の短縮
    に伴って機械的に前記一対の摩擦部材を拡開させるとと
    もに、該短縮および該回転スライド部材の前記一直線方
    向の移動に基づいて該一対の摩擦部材を略均等に前記ブ
    レーキドラムに押圧する拡開機構と、 を有することを特徴とするモータ駆動ブレーキ用アクチ
    ュエータ。
  3. 【請求項3】 前記回転スライド部材は、前記一対の摩
    擦部材の一端部の近傍に該一対の摩擦部材の接近離間方
    向と略平行に配設されており、 前記拡開機構は、 それぞれ前記一対の摩擦部材と略平行に配設され、長手
    方向の一端である作用端部がそれぞれ該一対の摩擦部材
    の他端部に回動可能に連結されるとともに、反対の駆動
    端部が前記回転スライド部材および前記出力部材の全長
    の短縮に伴って互いに接近させられる一対のリンクと、 該一対のリンクの中間部を接近不能に位置決めし、該リ
    ンクの前記駆動端部が互いに接近させられることにより
    前記作用端部を互いに離間させて前記一対の摩擦部材を
    離間させる位置決め部材と、 を有するものである、 ことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動ブレーキ
    用アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 前記一対のリンクの前記駆動端部の離間
    位置を規定することにより、前記作用端部に連結された
    前記一対の摩擦部材の非制動時における待機位置を規定
    する待機位置規定部材を有する一方、 前記位置決め部材は、前記一対のリンクの前記駆動端部
    が前記待機位置規定部材によって規定されている状態
    で、前記一対の摩擦部材が前記ブレーキドラムに接触す
    るまで該一対のリンクの前記作用端部が強制的に離間さ
    せられた時に、該位置決め部材によって位置決めされる
    中間部の離間距離が所定寸法を越えると、該中間部の位
    置決め位置を機械的に離間させて非制動時における該摩
    擦部材と該ブレーキドラムとの間の作動間隙を所定の大
    きさに自動的に調整する作動間隙調整機構を備えてい
    る、 ことを特徴とする請求項3に記載のモータ駆動ブレーキ
    用アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 前記回転スライド部材の前記一直線方向
    の両端部には、捩れが反対の一対のねじ機構を介して該
    一直線まわりの相対回転可能に一対の出力部材が螺合さ
    れており、該回転スライド部材が前記電動モータのブレ
    ーキ用回転に伴って該一直線まわりに回転駆動されるこ
    とにより、該一対の出力部材はそれぞれ該ねじ機構の作
    用で該回転スライド部材に引き込まれて全長が短縮され
    るようになっている一方、 該回転スライド部材の外周面には、軸方向の相対移動可
    能且つ軸心まわりの相対回転不能に入力歯車が取り付け
    られているとともに、該入力歯車は軸方向の移動が阻止
    されており、前記電動モータから該入力歯車を介して該
    回転スライド部材に前記ブレーキ用回転が伝達されるよ
    うになっている、 ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のモ
    ータ駆動ブレーキ用アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 前記電動モータと前記回転スライド部材
    との間の動力伝達経路には、制動時には係合させられて
    動力を伝達するが、非制動時には動力伝達を遮断するク
    ラッチ装置が設けられているとともに、 前記一対の摩擦部材は、戻し用弾性部材によって制動時
    の移動方向と逆方向へ付勢されるようになっており、 前記ねじ機構は、制動解除時に前記クラッチ装置によっ
    て前記電動モータと前記回転スライド部材との間の動力
    伝達が遮断されることにより、前記戻し用弾性部材の付
    勢力で該回転スライド部材が逆回転して前記一対の摩擦
    部材が制動時と逆方向へ移動することを許容するよう
    に、ねじのリード角等の諸元が定められている、 ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のモ
    ータ駆動ブレーキ用アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 前記クラッチ装置は、電磁力で摩擦力を
    制御して伝達トルクを連続的に変化させることができる
    電磁クラッチである、 ことを特徴とする請求項6に記載のモータ駆動ブレーキ
    用アクチュエータ。
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