JP2001220756A - 基礎形成方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 手間を掛けずに、効率よく杭基礎を形成でき
るようにする。 【解決手段】 外周部に沿ってリブ４を備えた基礎鋼管
杭２を打設した後、基礎鋼管杭２の頭部に、複数の杭頭
鉄筋７を取り付けて、基礎コンクリート３を打設して杭
頭部を一体化する基礎形成方法において、基礎鋼管杭２
の上縁部開口を閉塞自在な蓋部材６を介して杭頭鉄筋７
を、基礎鋼管杭２に取り付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外周部に沿ってリ
ブを備えた基礎鋼管杭を打設した後、前記基礎鋼管杭の
頭部に、複数の杭頭鉄筋を取り付けて、基礎コンクリー
トを打設して杭頭部を一体化する基礎形成方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】基礎鋼管杭の外周部に、杭軸芯周りの螺
旋状リブ（又は、杭軸芯周りの環状リブの複数）を形成
することによって、基礎地盤との摩擦力を向上させ、基
礎鋼管杭の地耐力の増強を図ることが実施されている。
このような基礎鋼管杭を使用する基礎形成方法として
は、従来、打設した基礎鋼管杭の頭部に複数の杭頭鉄筋
を取り付けるにあたり、図６に示すように、前記リブ４
の内、杭頭鉄筋７と干渉する部分４ａをそれぞれ現場で
削り取って杭外周面２ａと面一になるようにした後、そ
れら切削部分を含めた杭外周面２ａに各杭頭鉄筋７を沿
わせて配置した状態で現場溶接によって取り付ける方法
をとっていた。即ち、杭頭鉄筋の被溶接部分を、基礎鋼
管杭の頭部外周に密接する状態に沿わせて溶接するの
に、前記リブが障害となるから除去していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の基礎形
成方法によれば、前記リブの削り取り作業を、各杭頭鉄
筋の取付箇所に該当する複数の箇所にわたって実施しな
ければならず、それに伴って杭頭の処理に手間がかか
り、基礎形成作業の効率が悪いという問題点があった

【０００４】従って、本発明の目的は、上記問題点を解
消し、手間を掛けずに、効率よく杭基礎を形成できる基
礎形成方法を提供するところにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明の特徴構
成は、図１〜５に例示するごとく、外周部に沿ってリブ
４を備えた基礎鋼管杭２を打設した後、前記基礎鋼管杭
２の頭部に、複数の杭頭鉄筋７を取り付けて、基礎コン
クリート３を打設して杭頭部を一体化する基礎形成方法
において、前記基礎鋼管杭２の上縁部開口を閉塞自在な
蓋部材６を介して前記杭頭鉄筋７を、前記基礎鋼管杭２
に取り付けるところにある。

【０００６】請求項１の発明の特徴構成によれば、蓋部
材を介して各杭頭鉄筋を基礎鋼管杭に取り付けるから、
杭頭鉄筋を直接に基礎鋼管杭に取り付ける必要が無くな
り、その結果、前記基礎鋼管杭の外周面にある前記リブ
は、杭頭鉄筋を固定する上では無関係となり、そのまま
残しておくことができ、リブ切削作業を省略することが
可能となる。従って、今まで手間と時間を掛けていたリ
ブ切削作業を省略して、スピーディーに杭頭処理作業を
進めることが可能となる。その結果、基礎形成作業の効
率を向上させることが可能となる。また、前記蓋部材に
よって杭に作用する上載荷重を受け止めることが可能と
なるから、上載荷重を杭に伝達するために一般的に実施
される［杭の内空部に中埋めコンクリートを打設］した
り、［杭の内周壁にコンクリートとの摩擦抵抗を増強さ
せるためのリブを形成］したりといった手間を掛けず
に、確実に上部コンクリートからの上載荷重を蓋部材か
ら基礎鋼管杭に伝達することが可能となる。更には、基
礎鋼管杭への蓋部材の設置は、単に溶接するだけですむ
から、迅速に杭頭処理作業を進めることが可能となる。
以上の結果、杭頭処理の工期短縮、及び、コストダウン
を共に叶えることが可能となる。

【０００７】請求項２の発明の特徴構成は、図１〜５に
例示するごとく、前記蓋部材６は、下方に凸状の球面蓋
であるところにある。

【０００８】請求項２の発明の特徴構成によれば、請求
項１の発明による作用効果を叶えることができるのに加
えて、蓋部材に作用する上載荷重は、球面表面を押圧す
る状態に作用するが、蓋部材内部では、その応力は面内
引張応力として処理されることとなり、引張強度が高い
材料であれば薄肉部材に構成することが可能となる。従
って、一般的に入手しやすい金属等の引張強度の高い材
料を使用して、効率的な荷重支持を叶えることが可能と
なる。その結果、部材コストの低減を図ることが可能と
なり、経済性の向上を叶えることができる。

【０００９】請求項３の発明の特徴構成は、図１〜５に
例示するごとく、前記杭頭鉄筋７は、前記蓋部材６の外
周縁部に固着してあるところにある。

【００１０】請求項３の発明の特徴構成によれば、請求
項１又は２の発明による作用効果を叶えることができる
のに加えて、杭頭鉄筋の設計本数分を、基礎鋼管杭頭部
に配置するにあたり、蓋部材の内周縁部に杭頭鉄筋を所
定の鉄筋間隔で固着するのに比べて、外周縁部に同じ鉄
筋間隔で固着する方が、蓋の周長が長い分、より多くの
鉄筋を配置することが可能となる。また、設置本数が同
じとする場合には、鉄筋間隔を大きく設定して、各鉄筋
間に打設コンクリートが流通し易いようにすることが可
能となる。従って、非常に多くの杭頭鉄筋を配置するよ
うな場合、蓋部材の内周側に杭頭鉄筋を配置するには、
複列に鉄筋を配列する必要があり、煩雑な配置作業にな
り易いのに対して、本発明の特徴構成によれば、単列
（又は、より少ない列数）に配筋の配列を計画し易くな
り、煩雑になり難い状態で配置作業を実施することが可
能となる。

【００１１】請求項４の発明の特徴構成は、図２〜４に
例示するごとく、前記蓋部材６は、前記基礎鋼管杭２に
取り付ける前に、前記複数の杭頭鉄筋７を予め取り付け
てあるところにある。

【００１２】請求項４の発明の特徴構成によれば、請求
項１〜３の何れかの発明による作用効果を叶えることが
できるのに加えて、杭頭鉄筋の現場取付作業は、杭頭鉄
筋付の蓋部材を基礎鋼管杭上に固着するだけですみ、極
めて効率的に作業を進行させることが可能となる。ま
た、杭頭鉄筋を基礎鋼管杭に取り付けるにあたり、蓋部
材と杭頭鉄筋との固着作業は、事前に行うから、固着し
易い姿勢に互いを配置した状態で実施でき、例えば、基
礎鋼管杭上で鉄筋の一本づつを吊り下げながら固着する
のに比べて、よりスピーディーに、且つ、より確実な状
態に固着することが可能となる。以上の結果、杭頭処理
の工期短縮、及び、それに伴うコストダウン、及び、杭
頭処理部の品質向上を共に叶えることが可能となる。

【００１３】尚、上述のように、図面との対照を便利に
するために符号を記したが、該記入により本発明は添付
図面の構成に限定されるものではない。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の
符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示してい
る。

【００１５】図１は、本発明の一実施形態である基礎形
成方法によって形成した橋梁基礎部１を示すものであ
る。

【００１６】前記橋梁基礎部１は、地盤内に設置された
基礎鋼管杭２と、その基礎鋼管杭２の上端部分に一体的
に形成された基礎コンクリート３とを備えて構成してあ
る。尚、図には示さないが、当該橋梁基礎部１上には、
橋梁が設置され、その荷重を当該橋梁基礎部１で支持で
きるように構成されている。

【００１７】前記基礎鋼管杭２は、図１・２に示すよう
に、杭軸芯周りの螺旋形状リブ４を、基礎鋼管杭２の外
周面に沿う状態に、全長にわたって形成してある。この
リブ４を設けてあることによって、基礎鋼管杭２外周部
に形成されたソイルセメント部５との一体強度が高ま
り、基礎鋼管杭２そのもののみならず、前記ソイルセメ
ント部５をも含めた直径分が、基礎杭の一部であるとし
て設計することが可能となる。従って、最小限度の鋼材
を使用しながらも、より大きな支持力を確保することが
できるものである。

【００１８】前記基礎コンクリート３は、前記基礎鋼管
杭２と一体的に形成してある。具体的には、基礎鋼管杭
２の上縁部開口を閉塞する蓋部材６と、その蓋部材６の
外周縁部に固着した複数の杭頭鉄筋７とを備えた杭頭金
物８を、基礎鋼管杭２の頭部に固着した状態で基礎コン
クリート３を打設して一体化し、相互の力伝達を図れる
ようにしてある。

【００１９】前記蓋部材６は、図１に示すように、外径
寸法が、前記基礎鋼管杭２の外径寸法より大きく設定し
た金属製有底筒部材で構成してある。そして、前記蓋部
材６は、図に示すように、底板部分６Ａを、下方に凸状
の球面形状（中華鍋形状）で構成してあり、その底板部
分６Ａの外周縁部に筒部分６Ｂを固着してある。底板部
分６Ａが下方に凸状の球面形状に形成してあることによ
って、当該蓋部材６を基礎鋼管杭２の上端開口部に設置
した際、基礎鋼管杭２の軸芯上に底板部分６Ａの球面芯
が位置しやすく、細かい位置合わせをしなくても相互の
位置が決まった状態に配置することが可能となる。ま
た、基礎コンクリート３からの荷重に関しては、底板部
分６Ａの面内方向引張応力によって受け止めることがで
き、薄肉鋼板でも大きな支持力を発揮することが可能と
なる。前記杭頭鉄筋７は、所定長さの鉄筋で、基礎コン
クリートと基礎鋼管杭２との一体を図れる設計によって
鉄筋径や長さ、本数、間隔等を決定してある。そして、
この杭頭鉄筋７の下端部は、前記蓋部材６の筒部分６Ｂ
の外周部に溶接によって固定できるように構成してあ
る。前記杭頭金物８は、上述の通り、蓋部材６の外周縁
部に各杭頭鉄筋７の下端部を溶接によって一体に取り付
けて構成してある。そして、基礎鋼管杭２に対しては、
底板部分６Ａと基礎鋼管杭２上端縁部とを溶接によって
固着することによって一体化を図ってある。但し、杭頭
金物８の形成設置作業は、基礎鋼管杭２の上端縁部上に
蓋部材６を固着した後、その蓋部材６に各杭頭鉄筋７を
順次固着する方法で形成したり、又は、基礎鋼管杭２と
は別の位置で、蓋部材６と各杭頭鉄筋７とを一体化して
杭頭金物８を予め形成しておき、その状態の杭頭金物８
を基礎鋼管杭２の上端縁部に配置して固着する等、状況
に応じて様々な方法を採用することができる。

【００２０】次に、当該実施形態における橋梁基礎部の
形成方法について説明する。 ［１］ 図３に示すように、基礎鋼管杭２を打設する。
その際、打設方法の一例としては、図３（イ）に示すよ
うに、杭施工機９に対して、攪拌ヘッド１０・ロッド１
１・基礎鋼管杭２等を、各軸芯を合わせた状態にセット
し、攪拌ヘッド１０からセメントミルクを吐出しながら
地盤内を掘進し、地盤の混合攪拌による掘削と、基礎鋼
管杭２の設置とを一つの工程で実施する方法が挙げられ
る。他に、予め、基礎鋼管杭２を挿入可能な掘削穴を地
盤に形成しておき、その中に、基礎鋼管杭２を挿入し
て、杭周囲をセメントミルクで固化する方法も挙げられ
る。但し、何れの方法によって設置する場合も、基礎鋼
管杭２の周りには、高強度の固結層（ソイルセメントや
モルタル）１２を形成しておくことによって、前記基礎
鋼管杭２は、その外周部に強力に一体化された固結層を
も杭の一部として考慮できるようになり、より高い支持
力を期待できるようになる。 ［２］ 予め形成しておいた杭頭金物８を、打設した基
礎鋼管杭２の上端縁部に配置して溶接によって一体化す
る（図３（ロ）参照）。 ［３］ 基礎コンクリート３予定範囲内の各配筋、並び
に、型枠等の形成を行った後、コンクリートを打設して
基礎コンクリート３を形成する（図３（ハ）参照）。以
上の工程によって、橋梁基礎部を形成することが可能と
なる。

【００２１】本実施形態による基礎形成方法によれば、
基礎鋼管杭２の外周に形成してあるリブ４を除去せずに
杭頭鉄筋を設置できると共に、杭頭金物８を基礎鋼管杭
２の打設工程と別の工程で形成しておくことができるか
ら、現場においては基礎鋼管杭２上に杭頭金物８を配置
して固着するだけで杭頭処理を完了することが可能とな
り、基礎形成作業の効率を向上させることが可能とな
る。そして、蓋部材コストの低減化をも叶えることが可
能となり、基礎形成工事全体とした工期短縮、及び、コ
ストダウンを果たすことが可能となる。更には、杭頭鉄
筋の配置もゆとりをもって計画することが可能となり、
完成される基礎の品質向上をも合わせて叶えることが可
能となる。

【００２２】〔別実施形態〕以下に他の実施の形態を説
明する。

【００２３】〈１〉 前記基礎鋼管杭２は、先の実施形
態で説明したように、杭軸芯周りに螺旋形状のリブ４を
備えたものに限るものではなく、例えば、図４に示すよ
うに、杭軸芯周りに環状のリブ４を備えたものであって
もよく、それらを含めて基礎鋼管杭という。 〈２〉 前記蓋部材は、先の実施形態で説明したよう
に、下方に凸状の球面蓋であるものに限るものではな
く、例えば、平面形状のものであってもよい。また、蓋
部材の外径寸法は、基礎鋼管杭２の外径寸法と同一値、
又は、ほぼ同一値に設定してあってもよい。 〈３〉 前記杭頭鉄筋は、例えば、図５に示すように、
下端部を、蓋部材６の筒部分６Ｂより下方に突出する状
態に取り付けてあってもよく、この場合には、杭頭金物
８を基礎鋼管杭２上に配置する際に、相互の位置決め効
果を期待することが可能な上、杭頭金物８が、基礎鋼管
杭２上からずれ落ちるのを防止することが可能となる。
但し、この場合、すべての杭頭鉄筋を、筒部分６Ｂより
下方に突出させる必要はない。具体的には、図５（ロ）
に示すように、下方に突出させる杭頭鉄筋７ａの取付位
置の内、平面視において隣接する位置を結んだ多角形内
に、基礎鋼管杭２の軸芯が位置するような配置にしてお
くのが、ずれ落ち防止上好ましい。

【図面の簡単な説明】

【図１】基礎鋼管杭の設置状況を示す断面図

【図２】杭頭部を示す分解斜視図

【図３】基礎形成方法を示す説明図

【図４】別実施形態の杭頭部を示す分解斜視図

【図５】別実施形態の杭頭部を示す説明図

【図６】従来の基礎形成方法を示す説明図

【符号の説明】

２ 基礎鋼管杭 ３ 基礎コンクリート ４ リブ ６ 蓋部材 ７ 杭頭鉄筋

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 幸一郎 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号 株式会社クボタ内 (72)発明者 昇 健次 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号 株式会社クボタ内 (72)発明者 杉原 宏英 大阪府大阪市浪速区敷津東一丁目２番47号 株式会社クボタ内 Ｆターム(参考） 2D041 AA03 BA37 CA03 CA05 DA13 DB02 FA03 2D046 CA02 CA04

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周部に沿ってリブを備えた基礎鋼管杭
   を打設した後、前記基礎鋼管杭の頭部に、複数の杭頭鉄
   筋を取り付けて、基礎コンクリートを打設して杭頭部を
   一体化する基礎形成方法であって、 前記基礎鋼管杭の上縁部開口を閉塞自在な蓋部材を介し
   て前記杭頭鉄筋を、前記基礎鋼管杭に取り付ける基礎形
   成方法。
2. 【請求項２】 前記蓋部材は、下方に凸状の球面蓋であ
   る請求項１に記載の基礎形成方法。
3. 【請求項３】 前記杭頭鉄筋は、前記蓋部材の外周縁部
   に固着してある請求項２又は３の何れかに記載の基礎形
   成方法。
4. 【請求項４】 前記蓋部材は、前記基礎鋼管杭に取り付
   ける前に、前記複数の杭頭鉄筋を予め取り付けてある請
   求項１〜３の何れか一項に記載の基礎形成方法。