JP2001218774A - リン酸カルシウム系セメント用混練器具及びそれを用いたリン酸カルシウム系セメントの調製方法 - Google Patents

リン酸カルシウム系セメント用混練器具及びそれを用いたリン酸カルシウム系セメントの調製方法

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JP2001218774A
JP2001218774A JP2000033899A JP2000033899A JP2001218774A JP 2001218774 A JP2001218774 A JP 2001218774A JP 2000033899 A JP2000033899 A JP 2000033899A JP 2000033899 A JP2000033899 A JP 2000033899A JP 2001218774 A JP2001218774 A JP 2001218774A
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calcium phosphate
kneading
cylindrical
piston
liquid
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Application number
JP2000033899A
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English (en)
Inventor
Yoichiro Mizutani
洋一郎 水谷
Takenori Sawamura
武憲 澤村
Masaaki Hattori
昌晃 服部
Masahiko Okuyama
雅彦 奥山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
Niterra Co Ltd
Original Assignee
Chugai Pharmaceutical Co Ltd
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リン酸カルシウム系セメントの混練、充填が
容易で、異物等の混入を防ぐことができるリン酸カルシ
ウム系セメント用混練器具及びそれを用いたリン酸カル
シウム系セメントの調製方法を提供する。 【解決手段】 本器具は、円筒基部11と、その一端側
に設けられるノズル部12とを有するシリンダ1と、円
筒基部内を摺動可能に設けられる仕切り具2と、仕切り
具を挿通し上下動並びに回転可能に設けられるシャフト
部31、その一端に設けられる混練部32、及び他端に
設けられるハンドル部33を有するピストン3と、この
ピストン内に設けられる硬化液供給手段4と、ノズル部
の先端に設けられる蓋5と、仕切り具を円筒基部の他端
側に固定するストッパ6と、を備える。硬化液供給手段
は、ピストン内に設けられる空間部44を利用して形成
することができ、小型、軽量、且つ簡易な構造の混練器
具とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用のリン酸カ
ルシウム系粉末を純水等の混練液によって混練し、骨欠
損部等の適用部位に充填乃至塗布する際に使用されるリ
ン酸カルシウム系セメント用混練器具及びそれを用いた
リン酸カルシウム系セメントの調製方法に関する。特
に、本発明は、骨折又は骨粗鬆症等により生じた生体骨
の欠損部位等に充填したり、金属、セラミックス等から
なる人工骨を生体骨に固定するための接着剤として塗布
したりして用いられるリン酸カルシウム系セメント用混
練器具及びそれを用いたリン酸カルシウム系セメントの
調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リン酸カルシウム系化合物を主成分とす
るリン酸カルシウム系セメントは、生体骨、歯等の組織
を構成する無機成分と同じ組成であるため、生体親和性
が高く、整形或いは形成等の医療分野で非常に有用であ
る。このようなリン酸カルシウム系セメントは、通常、
以下のようにして使用される。先ず、乳鉢等でリン酸カ
ルシウム系化合物からなる粉末と、純水等の混練液とを
混合する。その後、これらを混練し、得られるセメント
を注射器又はヘラ等を用いて骨及び歯の欠損部等に充填
し、或いは塗布し、次いで、これを硬化させ、硬化物と
する。
【0003】しかし、乳鉢等によりリン酸カルシウム系
粉末と純水等の混練液とを均一に混練することは容易で
はない。また、セメントを注射器等に填入するのは、特
に、その粘度によっては煩雑な操作を要する。更に、乳
鉢等による混練、或いはセメントの注射器等への填入等
の操作の際に、混練物に異物及び雑菌等が混入する恐れ
もあり、いずれにしても混練、填入等の操作は細心の注
意を払って行う必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題を解決するものであり、リン酸カルシウム系セメ
ントを容易に調製することができ、セメントに異物或い
は雑菌等が混入しないリン酸カルシウム系セメント用混
練器具を提供することを目的とする。また、本発明は、
この混練器具を用いてリン酸カルシウム系粉末と純水等
の混練液とを容易に混練することができ、且つ均質なセ
メントとすることができるリン酸カルシウム系セメント
の調製方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1発明のリン酸カルシ
ウム系セメント用混練器具は、円筒基部11と該円筒基
部の一端側に設けられるノズル部12とを有するシリン
ダ1と、該円筒基部内を摺動可能に設けられる仕切り具
2と、該仕切り具を挿通し上下動並びに回動可能に設け
られるシャフト部31、該シャフト部の一端に設けられ
る混練部32、及び該シャフト部の他端に設けられるハ
ンドル部33を有するピストン3と、該ピストン内に設
けられる硬化液供給手段4と、上記ノズル部の先端に設
けられる蓋5と、上記仕切り具を上記円筒基部の他端側
に固定するストッパ6と、を備えることを特徴とする。
【0006】また、第4発明のリン酸カルシウム系セメ
ントの調製方法は、第1乃至第3発明のうちのいずれか
に記載のリン酸カルシウム系セメント用混練器具を用い
たリン酸カルシウム系セメントの調製方法であって、上
記円筒基部11と上記仕切り具2によって形成される空
間内にリン酸カルシウム系粉末を、上記硬化液供給手段
4の上記円筒部411又は上記円筒空間部441内に硬
化液を、各々投入し、その後、該硬化液を上記空間内に
供給し、次いで、上記ピストン3を上記シリンダ1内で
上下動及び回転させて上記リン酸カルシウム系粉末と上
記混練液とを混練することを特徴とする。
【0007】第4発明のようにして調製されたリン酸カ
ルシウム系セメントは、混練部32が仕切り具2に接す
る位置までピストン3を移動させ、その後、蓋5及びス
トッパ6を取り外し、次いで、ピストンをノズル部12
側に移動させ、セメントをノズル部からシリンダ外へ押
出することにより、適用部位に充填乃至塗布することが
できる。
【0008】リン酸カルシウム系セメント用混練器具を
構成する各部材、即ち、シリンダ、仕切り具、ピスト
ン、硬化液供給手段、蓋及びストッパの材質は、リン酸
カルシウム系粉末及び混練液を変質させることなく、且
つそれらの成分によって劣化することがない限り特に限
定されず、合成樹脂、硬質ゴム、金属等を使用すること
ができる。これらのうちでは、中空成形、一体成形等の
成形性に優れ、所要形状の管状体及びピストン等を高い
寸法精度で成形することができ、耐薬品性等が良好な合
成樹脂が特に好ましい。そのような合成樹脂としては、
シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ
素樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポ
リエステル等を使用することができる。
【0009】リン酸カルシウム系粉末としては、リン酸
四カルシウム、リン酸水素カルシウム、α−リン酸三カ
ルシウム及びβ−リン酸三カルシウム等の粉末を使用す
ることができる。これらの粉末は1種のみを用いてもよ
いし、2種以上を併用することもできる。また、この粉
末には、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス等のX線造影剤
を配合することができる。更に、硬化時間を短縮するた
めに水酸アパタイト或いはそのフッ化物等を種結晶とし
て添加することもできる。混練液としては、純水等の水
を使用することができる。また、適量のデキストラン硫
酸塩等の多糖類、有機酸、無機酸等を含む水溶液を用い
ることもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、実施例によって本発明をよ
り詳しく説明する。 (1)混練器具の構造 使用した混練器具の具体的な構造等を図1乃至図5によ
って説明する。尚、図1は混練器具の外観を、図2はそ
の断面を表し、図3は混練液供給手段の断面を表す。ま
た、図4はピストンが最上方に引き上げられた混練前の
状態を表し、円筒基部と仕切り具により形成される空間
内にリン酸カルシウム系粉末が、硬化液供給手段内に硬
化液が各々収容されている。この混練器具は、粉末及び
硬化液が収容されたまま、混練時までこのまま保管して
おくことができる。図5は混練物を押出し終わった状態
を表す。
【0011】実際に使用した混練器具は、シリンダ1の
長さが約90mm、外径が約25mmであり、約1×1
-53の内容物を混練することができる。このシリン
ダ1で混練することができるセメント量は、1回分の作
業に必要な量、或いはこれを少し越える量(例えば、1
回分の必要量が約1×10-53である場合は、1×1
-5〜1.3×10-53程度)とすることが好まし
い。1回分の所要量より少ないと混練を何回も行う必要
がある。一方、所要量を越える場合は必要のないセメン
トを調製することになり、余剰のセメントは使用されず
に廃棄されることになるため好ましくない。
【0012】ノズル部12は、シリンダ1内へリン酸カ
ルシウム系粉末を填入したり、セメントをシリンダ外へ
排出することができればよく、任意の形状とすることが
できる。例えば、市販の注射器等で用いられる形状と同
じルアーロック形状とすることにより、これら注射器等
において使用可能な注射針及びカテーテル等を容易に着
脱することができる。このようにノズル部12に注射針
及びカテーテル等を取り付ければ、セメントを骨欠損部
等の適用部位に容易に、且つ的確に充填乃至塗布するこ
とができる。
【0013】仕切り具2は略円柱状体であり、シリンダ
1の開口部から挿入され、ストッパ6によって固定され
る。また、仕切り具2の中心部の貫通孔の周面には雌ね
じが設けられている。更に、仕切り具2の側面にはスト
ッパ6を挿入するための挿入穴21が設けられている。
また、仕切り具2の外周及び雌ねじが設けられている内
周には、それぞれ全周に渡って溝22、23が設けられ
ており、これらの溝にはシリコーンゴム、スチレンブタ
ジエンゴム、ウレタンゴム等からなるOリング91及び
92が嵌装されている。このように、摺動する部位にO
リングを嵌装することにより、セメントの漏出及び雑菌
の侵入等を防止することができ、且つ仕切り具2の摺動
及びシャフト部31の回動を容易にすることができる。
【0014】ピストン3はシャフト部31と、混練部3
2と、ハンドル部33とを備え、混練部32には撹拌翼
が設けられている。シャフト部31は雄ねじが設けられ
た円柱状体である。この雄ねじを仕切り具2の雌ねじと
螺合させ、シャフト部31を回転させることによりピス
トン3がシリンダ1内を上下に移動する。また、シャフ
ト部31の回転によりシャフト部31の一端に設けられ
た混練部32を上下に移動させることができ、且つスト
ッパ6を取り外し、シャフト部31を回転させずに上下
動させることにより仕切り具2を上下に移動させること
ができる。
【0015】混練部32は、シャフト部31の先端に設
けられている。また、混練部32は、この混練部32の
中心より放射状に配設される複数枚の撹拌翼を備えてい
る。この撹拌翼は、混練部32の中心に対して角度を有
して配設されていてもよい。また、撹拌翼の延長線は混
練部32の中心を通過しているが、攪拌翼の延長線が混
練部32の中心を通過しない態様で設けられていてもよ
い。更に、撹拌翼は、通常、その先端側へ向かうに従っ
て厚みが薄くなる略楔状の断面形状を有する。シャフト
部31の雄ねじのピッチは、5〜25mmとすることが
でき、特に6〜20mm、更には7〜15mとすること
が好ましい。ねじのピッチをこの範囲とすることで、均
質なセメントを、短時間で容易に調製することができ
る。尚、攪拌翼は2〜6枚程度、特に4枚とすることが
でき、効率的に混練することができる各種の形状及び構
造を有するものとすることができる。
【0016】ハンドル部33は、その中心がシャフト部
31の他端に固定された円盤状体である。このハンドル
部33は棒状、十字状、多角形状等の平面形状を有する
ものであってもよく、その上面にはピストン3を容易に
回転させるための突状体34が設けられていてもよい。
このハンドル部33の上面を押圧し、ピストン3及び仕
切り具2をシリンダ1のノズル部12側へ移動させるこ
とにより、シリンダ1内のセメントを押出することがで
きる。ハンドル部33とシャフト部31及び混練部32
は、別体として形成されたものを螺旋止め、接着剤によ
る接合等、適宜の方法により固定したものであってもよ
いが、強度等の観点から一体に形成されたものが好まし
い。
【0017】ピストン3の内部には第2発明に対応する
硬化液供給手段4が設けられている。即ち、その軸方向
に、横断面が同心円状になるように形成された円筒形の
空間部が設けられ、この空間部に、円筒部411と、そ
の一端側に設けられた硬化液押出孔412とを有する円
筒体41が嵌装されている。また、この円筒部411内
には硬化液押出用吸子42が上下動可能に設けられてい
る。円筒部411の軸方向の中間部にはシリコーンゴ
ム、ブチルゴム等からなる硬化液封止部材43が装着さ
れており、この硬化液封止部材43と硬化液押出用吸子
42の端面との間の空間に硬化液7が充填されている。
そして、硬化液押出用吸子42を押し下げることによ
り、硬化液封止部材43が円筒部411の周面に形成さ
れた硬化液流路部413にまで移動し、硬化液7が硬化
液押出孔412から流出し、円筒基部11と混練部32
により形成される空間に収容されているリン酸カルシウ
ム系粉末8と混合される。尚、硬化液流路部413は、
図3(a)に示すように、硬化液封止部材43より径の
大きい径大部として形成することができ、径は一定であ
って円筒部411の周面に形成される溝等として形成す
ることもできる。
【0018】また、硬化液供給手段4は、第3発明のよ
うに、ピストン3内に設けられる空間部44を利用して
形成することもできる。このようにすれば混練器具をよ
り小型、且つ軽量化することができ、簡易な構造にする
ことができるため好ましい。空間部44は、円筒空間部
441と、その一端側に設けられる硬化液押出口442
とを有する。円筒空間部441内には硬化液押出用吸子
42が上下動可能に設けられている。また、円筒空間部
441の軸方向の中間部には硬化液封止部材43が装着
され、円筒空間部441の周面の硬化液押出口442と
硬化液封止部材43との間には硬化液流通部443が形
成されている。この硬化液流通部443は、図3(b)
に示すように、硬化液封止部材43より径の大きい径大
部として形成することができ、径は一定であって円筒空
間部441の周面に形成される溝等として形成すること
もできる。
【0019】蓋5は、ノズル部12より混練物が漏出し
ないようにすることができるものであればよく、ノズル
部の外周に嵌装される有底円筒体、ノズル部内に挿入さ
れる棒状体、及びノズル部と一体に形成され、折り取る
ことにより開口させることができる一体成形体等とする
ことができる。この一体成形体では、折り取らない限り
内容物の漏出が確実に防止され、混練器具が使用済みか
未使用かを外見から容易に知ることもできる。また、ノ
ズル部12の外周面に設けられたルアーロックを形成す
るための係止用突起121により係止される形状とする
こともできる。更に、この係止用突起121により、注
射器等において使用することができる注射針及びカテー
テル等をノズル部12に容易に着脱させることができ、
臨床例によっては非常に有用である。尚、この蓋5は、
中央部が凸状となっており、蓋5内にセメントが残留す
ることのない形状とすることがより好ましい。
【0020】ストッパ6は、シリンダ1内の仕切り具2
が所要時以外には移動しないように固定するためのピン
である。このピンを、シリンダ1の側面に設けられた貫
通孔と、仕切り具2の側面に設けられた挿入穴21に差
し込むことにより、仕切り具2がシリンダ1の所定位置
に固定される。このストッパ6は円筒基部11の全周に
渡って略等間隔に2〜6個設けることができ、特に2〜
4個とすることが好ましい。
【0021】(2)第3発明に対応する硬化液供給手段
を備える混練器具によるリン酸カルシウム系セメントの
調製 先ず、混練中に内容物がノズル部12から漏出するのを
防止するため、ノズル部12に蓋5を嵌め込み、係止用
突起121により係止し、ノズル部12の開口部を塞い
だ。その後、所定量のリン酸カルシウム混合粉末をシリ
ンダ1内に投入し、仕切り具2をシリンダ1内に挿入
し、ストッパ6により固定した。この仕切り具2の雌ね
じ部には予めピストン3のシャフト部31を螺合させ、
混練部32が仕切り具2に接触する位置までピストン3
が移動した状態にしておく。
【0022】次いで、軸方向の中間部にシリコーンゴム
からなる円盤状の硬化液封止部材43が装着された円筒
空間部441内に硬化液として所定量の純水を投入し、
開口端側から硬化液押出用吸子42を、その端面が硬化
液に触れる位置の近傍まで挿入した。この硬化液押出用
吸子42の端面にシリコーンゴム等からなるシール材を
接合しておけば、硬化液の漏出をより確実に防止するこ
とができ、好ましい。このようにして混合粉末と硬化液
とが封入された混練器具は、必要であれば合成樹脂製フ
ィルム等からなる袋状容器などに収納し、滅菌すること
により、このまま使用時まで保管しておくことができ
る。このように予め滅菌した状態で保管することができ
るため、ディスポーザブル用器具として使用することも
できる。
【0023】使用時には、硬化液押出用吸子42を押圧
し、硬化液封止部材43を硬化液流通部443にまで押
し下げ、硬化液押出口442から硬化液を流出させた。
その後、混練器具を10〜15秒程度軽く揺動させた。
次いで、ハンドル部33を回転させて混練部32をノズ
ル部12側まで移動させる操作と、ハンドル部33を反
対方向に回転させて混練部32を仕切り具2側まで移動
させる操作とを3〜10回程度繰り返し、混合粉末と混
練液とを混練した。この混練作業は、密閉された混練器
具内で行われるため、セメントへの異物及び雑菌等の混
入を防止することができる。
【0024】(3)調製されたセメントの押出 混練部32の上端面が仕切り具2の下端面に接するまで
ピストン3を上昇させた後、ストッパ6を取り外した。
次いで、蓋5を取り外し、ノズル部12に、適用部位に
最適な注射針又はカテーテル等を装着し、リン酸カルシ
ウム系セメントを押出し、適用部位に充填した。セメン
トは相当に粘度の高いものであったが、容易に、且つ完
全に押出することができた。
【0025】(4)混練物の均一性の評価及びJIS
T 6602に準ずる方法による濡れ圧縮強度の測定 均一性の評価 硬化液に赤色色素を配合し、表1に示す実施例1及び2
のセメントを(2)のようにして調製し、(3)のよう
にして押出した。その外観を目視により観察したとこ
ろ、実施例1及び2いずれのセメントも十分に均一であ
り、液粉比及びこの比の違いによる粘度差によらず、優
れた均一性を有するセメントが得られることが分かっ
た。
【0026】濡れ圧縮強度の測定 セメントを深さ11mm、直径6mmの金型に充填した
後、37℃、相対湿度100%の条件下、1時間硬化さ
せた。その後、硬化物を金型から取り出し、37℃の疑
似体液(Na+;142.0mM、K+;5.0mM、C
2+;2.5mM、Mg2+;1.5mM、HCO3 -
4.2mM、Cl-;148.0mM、HPO4 2-;1.
0mM、SO4 2-;0.5mM、トリス緩衡液33.3
mM及び塩酸36mMを含有する水溶液)中に24時間
浸漬した。次いで、濡れたまま圧縮強度試験機(インス
トロン社製)によって濡れ圧縮強度を測定した。尚、
(2)において用いた混合粉末と硬化液とを使用し、乳
鉢により従来からの通常の方法で混練し、比較例1及び
2のセメントを調製し、同様にして濡れ圧縮強度を測定
した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1の結果より、本発明の混練器具によっ
て調製したセメントでは、液粉比の違いによる粘度差に
よらず、容易な混練操作で、従来のように乳鉢を使用し
て調製したセメントとほぼ同等の濡れ圧縮強度を有する
硬化物が得られることが分かる。
【0029】尚、本発明においては、上記の実施例に限
られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更
した実施例とすることができる。例えば、硬化液供給手
段4において、所要量の硬化液を充填した樹脂フィルム
製等の袋状容器、或いはアンプル等を円筒空間部441
内に投入しておき、混練直前に硬化液押出用吸子42に
より袋状容器又はアンプルを押圧し、破断させて硬化液
を供給することもできる。この場合は、硬化液封止部材
43を装着する必要はなく、硬化液流通部443を形成
する必要もない。また、硬化液押出口442には、金属
製網状体等を配設し、破断した袋状容器等の流出を確実
に防止することが好ましい。
【0030】
【発明の効果】第1乃至第3発明によれば、同一器具内
にリン酸カルシウム系粉末と硬化液とを収容し、必要で
あれば使用時までそのまま保管することができる。ま
た、第3発明によれば、混練器具をより小型、且つ軽量
化することができ、簡易な構造にすることができる。
【0031】更に、第4発明によれば、第1乃至第3発
明の混練器具を用いてリン酸カルシウム系セメントを容
易に、且つ迅速に調製することができ、粉末に対する硬
化液の配合、混練、混練物の適用部位への充填等を連続
的に行うことができる。そのため、混練物への異物、雑
菌等の混入が十分に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】リン酸カルシウム系セメント用混練器具の正面
図である。
【図2】リン酸カルシウム系セメント用混練器具の断面
図である。
【図3】(a)は、第2発明に対応する硬化液供給手段
の一例を示す断面図である。(b)は、第3発明に対応
する硬化液供給手段の他の例を示す断面図である。
【図4】混練操作前の混練器具の状態を表す断面図であ
る。
【図5】混練物を押出し終わった状態を表す断面図であ
る。
【符号の説明】
1;シリンダ、11;円筒基部、12;ノズル部、12
1;係止用突起、2;仕切り具、21;挿入孔、22;
外周に設けられた溝、23;内周に設けられた溝、3;
ピストン、31;シャフト部、32;混練部、33;ハ
ンドル部、34;突状体、41;円筒体、411;円筒
部、412;硬化液押出孔、413;硬化液流路部、4
2;硬化液押出用吸子、43;硬化液封止部材、44
1;円筒空間部、442;硬化液押出口、443;硬化
液流通部、5;蓋、6;ストッパ、7;硬化液、8;リ
ン酸カルシウム系粉末、91及び92;Oリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 澤村 武憲 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 服部 昌晃 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 奥山 雅彦 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 4C052 AA17 HH05 4C081 AB04 AB06 AC04 BA14 CD052 CE08 CE11 CF011 CF021 CF112 CF24 DA11 DC12 DC13 EA02 4C089 AA06 BA03 BA16 BE14 CA03 CA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒基部11と該円筒基部の一端側に設
    けられるノズル部12とを有するシリンダ1と、該円筒
    基部内を摺動可能に設けられる仕切り具2と、該仕切り
    具を挿通し上下動並びに回転可能に設けられるシャフト
    部31、該シャフト部の一端に設けられる混練部32、
    及び該シャフト部の他端に設けられるハンドル部33を
    有するピストン3と、該ピストン内に設けられる硬化液
    供給手段4と、上記ノズル部の先端に設けられる蓋5
    と、上記仕切り具を上記円筒基部の他端側に固定するス
    トッパ6と、を備えることを特徴とするリン酸カルシウ
    ム系セメント用混練器具。
  2. 【請求項2】 上記硬化液供給手段は、円筒部411と
    該円筒部の一端側に設けられる硬化液押出孔412とを
    有し、上記ピストン内に設けられる空間部に嵌装される
    円筒体41と、上記円筒部内を上下動可能に設けられる
    硬化液押出用吸子42と、上記円筒部の軸方向の中間部
    に装着される硬化液封止部材43と、を備え、上記硬化
    液押出孔と該硬化液封止部材との間において、上記円筒
    部の周面に硬化液流路部413が形成されている請求項
    1記載のリン酸カルシウム系セメント用混練器具。
  3. 【請求項3】 上記硬化液供給手段は、上記ピストン内
    に設けられる円筒空間部441と該円筒空間部の一端側
    に設けられる硬化液押出口442とを有する空間部44
    と、該円筒空間部内を上下動可能に設けられる硬化液押
    出用吸子42と、該円筒空間部の軸方向の中間部に装着
    される硬化液封止部材43と、を備え、上記硬化液押出
    口と該硬化液封止部材との間において、上記円筒空間部
    の周面に硬化液流通部443が形成されている請求項1
    記載のリン酸カルシウム系セメント用混練器具。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のうちのいずれか1項に
    記載のリン酸カルシウム系セメント用混練器具を用いた
    リン酸カルシウム系セメントの調製方法であって、上記
    円筒基部11と上記仕切り具2によって形成される空間
    内にリン酸カルシウム系粉末を、上記硬化液供給手段4
    の上記円筒部411又は上記円筒空間部441内に硬化
    液を、各々投入し、その後、該硬化液を上記空間内に供
    給し、次いで、上記ピストン3を上記シリンダ1内で上
    下動及び回転させて上記リン酸カルシウム系粉末と上記
    混練液とを混練することを特徴とするリン酸カルシウム
    系セメントの調製方法。
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