JP2001191176A - アルミニウムのろう付け方法およびフラックス組成物並びに該フラックス組成物被覆アルミニウム合金 - Google Patents

アルミニウムのろう付け方法およびフラックス組成物並びに該フラックス組成物被覆アルミニウム合金

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JP2001191176A
JP2001191176A JP2000001517A JP2000001517A JP2001191176A JP 2001191176 A JP2001191176 A JP 2001191176A JP 2000001517 A JP2000001517 A JP 2000001517A JP 2000001517 A JP2000001517 A JP 2000001517A JP 2001191176 A JP2001191176 A JP 2001191176A
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brazing
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aluminum
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Yuji Hisatomi
裕二 久富
Hiroshi Ikeda
洋 池田
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金の表面との反応によって前
記アルミニウム合金表面に存在し接合を阻害する酸化膜
を除去するフラックスの役割を果たすとともに、アルミ
ニウム合金の融点より低い温度で溶融する共晶アルミニ
ウム合金ろうを形成するフラックス組成物および該フラ
ックス組成物を用いるろう付け方法を提供する。 【解決手段】 接合すべきアルミニウム合金の少なくと
も片方の表面に塗布物、好ましくは、平均粒径が80μ
m 以下のヘキサフルオロ珪酸カリウム(K2 SiF6
あるいはその水和物粉末を塗布し、前記アルミニウム合
金の融点よりも低い温度に加熱して、前記アルミニウム
合金の表面と前記塗布物との反応によって、前記アルミ
ニウム合金の表面の酸化膜を除去するとともに、前記温
度で溶融する共晶アルミニウム合金ろうを形成させ、そ
の後の冷却によって固体合金継ぎ手を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムまた
はアルミニウム合金のろう付方法、とくに非腐食性フラ
ックスを使用したろう付けにおいて好適に使用され、主
として各種自動車用熱交換器のろう付接合に適用される
ろう付け方法、および該ろう付け方法に用いられるフラ
ックス組成物、並びに該フラックス組成物被覆アルミニ
ウム合金に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムのろう付製品は、軽量化お
よび高熱伝導性が図れることから熱交換器の分野に幅広
く利用されている。ろう付方法は、主にフラックスろう
付と真空ろう付とに大別され、前者のろう付は、元素F
を主成分とした化合物(例えば、KF、AlF3 、KA
lF4 、K2 AlF5 、K3 AlF6 、CsF、Rb
F、LiF、NaF、Ca2 F等もしくはそれらの混合
物)を用いた非腐食性フラックスろう付が主流となって
おり、そのろう付は、Al−Si系の合金ろう材にフラ
ックスを付着させて加熱することにより、フラックスが
酸化皮膜を除去してろう材と他アルミニウムとに濡れを
生じさせて接合する方法である。
【0003】ところが、上記ろう材はアルミニウム合金
(純Alを含む)を芯材としたその両面もしくは片面にク
ラッドしたブレージングシートを大抵は用いており、そ
の製造は熱間圧延時に圧着させた後冷間圧延により所定
の板厚にしたものであり、製造の難度、工程の増加に伴
いその材料コストは高く、さらにはろう材中に硬質であ
るSiが含まれているので製品に成形するコストも高くな
る。そのような部材で構成されたアルミニウム製熱交換
器は、ろう付加熱工程前に非腐食性フラックスを塗布す
る工程が加わるため、さらにそのコストは高くなる。
【0004】なお、近年、上記従来技術の改善のため、
ブレージングシートを使用せずに金属Si粉末と非腐食性
フラックスとを混合してアルミニウムに塗布してろう付
接合を行う方法が提案されてもいる(US,Pat.N
o.5100048(Mar,31,1992),U
S,PaT.No.5190596(Mar,2,19
93)=特表平6−504485)。その内容は金属S
iもしくはアルミニウムとの共晶を形成する合金粉末と
酸化皮膜を除去するためのフラックス粉末との混合物中
の金属Si粉末(もしくはアルミニウムとの共晶を形成
する合金粉末)とアルミニウム表面とが接触している状
態で加熱することにより、アルミニウム中にSiが拡散
してアルミニウム成分がAl−Siの共晶組成に近い状
態となり溶融、接合されるというものである。
【0005】しかしながら、上記方法では、金属粉末自
体が比較的高く、また、粒度の規定が記されているがそ
の粒度のSiを用いると硬質であるため粉末粉砕でのコ
ストが更に必要となる。加えてSi粒度が大きい粉末が
僅かでも粉末中に混入すると、ろう付加熱〜冷却まで母
材であるアルミニウムを溶融するため、局部的に溶融が
深い部分が発生し、熱交換器の必要特性である耐圧性、
耐食性等を損ねる危険性がある。加えて、厚めに塗布す
る必要がある部位のろう付では、厚く塗布したことによ
りアルミニウムと反応せずにSiとして残り、黒色の残
渣が残存するという不具合が生じる場合もある。さら
に、この方法ではフラックスとろう材組成物の2つの物
質を用いてろう付を行なわないければならない(という
点では従来の方法と同様である)。
【0006】さらに、近年40〜80%のK2 SiF6
粉末と20〜60%のAlF3 粉末、あるいは前者の一
部をNa2 SiF6 粉末で後者の一部をZnF2 、Ca
2、CsF、LiF、NaF、KF粉末で置き換え、
あるいはさらにAl等の粉末を混合しアルミニウム合金
に塗布してろう付け接合を行う方法も提案されている。
(特許第2281289号、特願平7−108924)
該発明ではK2 SiF 6 単独では融点が高いためアルミ
合金に対し良好な接合が得られないためAlF 3 を必須
に添加する必要が唱えられている。従って、該発明にお
いては必須成分たる2種の粉末の混合が不均一である
と、良好なろう付性が確保されない欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】発明者らは、アルミニ
ウム合金の非腐食性フラックスろう付け技術に関し、以
上に示した従来の諸問題を解決するために鋭意研究を重
ねた結果、基本的には単一物質から成る特定の塗布物
を、接合すべきアルミニウム合金の少なくとも片方の表
面に塗布し、前記アルミニウム合金の融点よりも低い温
度に加熱することにより、塗布物が上記アルミニウム
合金の表面との反応によって前記アルミニウム合金表面
に存在し接合を阻害する酸化膜を除去するフラックスの
役割を果たすとともに、前記温度で溶融する共晶アル
ミニウム合金ろうを形成させ、その後の冷却によって固
体合金継ぎ手を形成させるろうの役割を果たし、良好な
ろう付け接合が果たされることを見出した。
【0008】本発明は、上記の知見に基づいてなされた
ものであり、その目的は、以下の利点を有するろう付け
を可能とするアルミニウムのろう付け方法を提供するこ
とにある。 (1)ブレージングシートを用いる必要が無い。 (2)フラックス等複数の物質を混合して用いる必要が
無くなる。 (3)局部溶融が少ない。 (4)材料費が低減され、製造工程が簡素化するため大
幅なコスト低減が可能となり、局部溶融の少ない良好な
ろう付製品を安定して得ることができる。
【0009】また、以下の利点を有するろう付け用フラ
ックス組成物(塗布物)および該フラックス組成物被覆
アルミニウム合金を提供することにある。 (5)ろう付後のアルミニウム合金とフラックス組成物
または塗布物とが反応した表面は局部溶融が少ない。 (6)従来使用されているSi粉末に比べてフラックス
組成物または塗布物の粉末粉砕が容易である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1によるアルミニウム合金のろう付け方法
は、接合すべきアルミニウム合金の少なくとも片方の表
面に塗布物を塗布し、前記アルミニウム合金の融点より
も低い温度に加熱して、前記アルミニウム合金の表面と
前記塗布物との反応によって、前記アルミニウム合金の
表面の酸化膜を除去するとともに、前記温度で溶融する
共晶アルミニウム合金ろうを形成させ、その後の冷却に
よって固体合金継ぎ手を形成させることを特徴とする。
【0011】請求項2によるアルミニウム合金のろう付
け方法は、請求項1において、接合されるアルミニウム
合金の融点よりも低い温度で前記アルミニウム合金の表
面の酸化膜を除去する作用とともに、前記温度で溶融す
る共晶アルミニウム合金ろうを形成させる作用を兼ね備
えた塗布物として、平均粒径が80μm 以下のヘキサフ
ルオロ珪酸カリウム(K2 SiF6 )あるいはその水和
物粉末を用いることを特徴とする。
【0012】本発明による請求項3によるフラックス組
成物は、請求項1のアルミニウム合金のろう付け方法に
用いられる塗布物であって、重量比で50%以上の平均
粒径が80μm 以下のヘキサフルオロ珪酸カリウムある
いはその水和物粉末と、さらに、Al、Si、Cu、Z
nの金属粉末、あるいはそれらとアルミニウムの合金粉
末の中から選ばれた少なくとも1種以上を含む混合物粉
末からなることを特徴とする。
【0013】請求項4によるフラックス組成物は、請求
項1のアルミニウム合金のろう付け方法に用いられる塗
布物であって、請求項2あるいは請求項3に記載の塗布
物またはフラックス組成物を含み、さらに揮発性の溶剤
あるいは水でスラリーとし、ろうとろう付け用フラック
スの作用を合わせ持つことを特徴とする。
【0014】請求項5によるフラックス組成物は、請求
項1のアルミニウム合金のろう付け方法に用いられる塗
布物であって、請求項1あるいは請求項2に記載の塗布
物またはフラックス組成物を形成する粉末を固形分重量
比で50%以上含み、さらに500℃以下の分解温度を
有するろう付け性を害しない有機樹脂を含み、さらに溶
媒として揮発性の有機溶剤あるいは水あるいはその混合
液体からなり、ろうとろう付けフラックスの作用を合わ
せ持つことを特徴とする。
【0015】本発明によるフラックス被覆アルミニウム
合金は、接合されるべきアルミニウム合金の表面の少な
くとも片方に、請求項2〜5のいずれかに記載の塗布物
またはフラックス組成物を、K2 SiF6 の重量換算で
1〜50g/m2 塗布したことを特徴とするフラックス
組成物被覆アルミニウム合金。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明においては、接合されるア
ルミニウム合金の融点よりも低い温度で、該アルミニウ
ム合金の表面の酸化膜を除去するフラックスの作用とと
もに上記温度で溶融する共晶アルミニウム合金ろうを形
成させる作用を兼ね備えた、平均粒径80μm 以下のヘ
キサフルオロ珪酸カリウム(K2 SiF6 )あるいはそ
の水和物の粉末、もしくはその粉末を主成分とする塗布
物(フラックス組成物)を接合すべきアルミニウム合金
の少なくとも片方の表面に塗布し、当該アルミニウム合
金の融点よりも低い温度に加熱して、アルミニウム合金
の表面と塗布物との反応によってアルミニウム合金表面
に存在し接合性を害する酸化膜を除去するとともに、上
記の低い温度で溶融する共晶アルミニウム合金ろうを形
成させ、その後の冷却によって固体合金継ぎ手を形成さ
せる。このように、基本的に単一の物質でその粒径を管
理することで、複数の物質からなる粉末ろうで生じる混
合の不均一性に帰因するろう付け性の不安定性を解消す
ることができる。
【0017】特に本発明では、他の元素あるいは化合物
をヘキサフルオロ珪酸カリウムに混合することなく、基
本的にヘキサフルオロ珪酸カリウム単一粉末を用いるこ
とで良好なろう付けを確保できることが特徴である。ヘ
キサフルオロ珪酸カリウムの平均粒径を80μm 以下に
規定することにより、基本的に単一の物質で充分にアル
ミニウム合金とヘキサフルオロ珪酸カリウムとが反応
し、共晶アルミニウム合金ろうと、アルミニウム合金の
融点よりも低い温度でアルミニウム合金表面の酸化膜を
除去するフラックスとが生成されるのである。
【0018】ヘキサフルオロ珪酸カリウムの平均粒径が
80μm を超えるとろう付け加熱途中でのアルミニウム
合金との反応により生成されるSiがすべて析出せず、
アルミニウム母材と反応しないヘキサフルオロ珪酸カリ
ウムが残るために充分な共晶アルミニウム合金ろうが形
成されないことに加え、KAlF4 の生成が乏しくK 3
AlF6 が過剰に生成されるため酸化膜を除去するフラ
ックスの融点が高温化してろう付け性が悪化する。上記
ヘキサフルオロ珪酸カリウムの平均粒径の最も好ましい
範囲は50μm 未満である。
【0019】また、ヘキサフルオロ珪酸カリウム粉末ま
たはヘキサフルオロ珪酸カリウムを主成分とする粉末か
らなる塗布物またはフラックス組成物の塗布量が1g/
m2未満だと、アルミニウムと共晶を形成するためのSi
量が少ないのでろうが不足してろう付け性が低下する。
また、塗布量が50g/m2を超えると塗布層の上層側
(アルミニウムから離れた側)でアルミニウム母材と反
応しないヘキサフルオロ珪酸カリウムが残るようにな
り、KAlF4 の生成が乏しくK3 AlF6 が過剰に生
成されるために酸化膜を除去するフラックスの融点が高
温化してろう付け性が悪化する。
【0020】なお、この塗布処理は素材の状態あるいは
成形した後、あるいは成形後接合する前に組み付けられ
た状態でも被覆する工程は問わず、いずれの工程でも構
わない。
【0021】前記アルミニウム合金のろう付け方法に用
いられ、上記ろう付けフラックスの作用とともに上記温
度で溶融する共晶アルミニウム合金ろうを形成させる役
割を合わせ持つ単一もしくは混合された化合物あるいは
その水和物である塗布物(フラックス組成物)の主成分
として、平均粒径が80μm 以下のヘキサフルオロ珪酸
カリウム(K2 SiF6 )あるいはその水和物粉末を重
量比で50%以上用い、さらに、Al、Si、Cu、Z
nの金属粉末の中から選ばれた少なくとも1種以上を含
有してなる混合物粉末を塗布物(フラックス組成物)と
して適用することができる。
【0022】上記混合物粉末を用いることにより接合部
材の特性の向上、他目的の特性を得る効果を有する。具
体例としては、金属としてAl、Si、Cu、Znある
いはそれらとアルミニウムの合金粉末を混合すること
で、主としてろう付する継ぎ手に形成するフィレットに
必要なろう材量を確保、調整でき、さらにZn、Cuあ
るいはそれらとアルミニウムの合金粉末は接合部材間の
電位差を調整して犠牲陽極効果を確保する、またCuは
主に接合部材の強度を向上する効果を有する。それら以
外でも、Geあるいはそれとアルミニウムの合金粉末は
主にアルミニウム母材との反応温度を低下してろう付温
度を調整する効果を有し、Sr、Bi等あるいはそれら
とアルミニウムの合金粉末は主としてろうの流動性を向
上してろう付性を助長する効果を有する。また、上記以
外に、KAlF4 、あるいは少なくとも元素比率が20
〜45%のKと10〜25%のAlと45〜70%のF
を含む通常の非腐食性ろう付けフラックス粉末を添加し
てもよい。
【0023】それらの副次的に添加される金属、合金あ
るいは化合物の添加量はろう付性の確保、ろう付後の製
品における諸目的の効果を達成するためには多様であり
一義的に決定できないが、本発明の主旨たる良好なろう
付性を確保するためには、主成分であるK2 SiF6
量は総粉末量の50%以上であることが好ましい。また
同様に、それらの副次的に添加される金属,合金あるい
は化合物の粒径も、ろう付性の確保、ろう付後の製品に
おける諸目的の効果を達成するためには多様であり一義
的に決定できないが、一般的には微細なほど好ましい。
【0024】また、前記の塗布物またはフラックス組成
物の粉末と、揮発性の溶剤あるいは水とでスラリーとし
たろうとろう付けフラックスの作用を合わせ持つ塗料、
あるいは前記の塗布物またはフラックス組成物の粉末を
含み、さらに500℃以下の分解温度を有するろう付け
性を阻害しない有機樹脂を含み、さらに揮発性の有機溶
剤、水あるいはそれらの混合物からなるろうとろう付け
フラックスの作用を合わせ持つ塗料を用いることによ
り、塗布面の均一性、塗工方法の拡大および簡易性、密
着性等を向上させる効果を有する。水は不純物がろう付
性を阻害する恐れがあるため好ましくは純水を用いるこ
とが望ましい。
【0025】前記の塗布物またはフラックス組成物の粉
末を塗布する際に使用する際の有機樹脂、溶剤の種類は
多様であるが、用途、構成部材により必要とする塗膜
厚、均一性(表面粗面)等が異なり限定は困難であるた
め、目的にあったものを選定すればその種類は問わず使
用できる。但し、ろう付を阻害しないために、有機樹脂
はろうの溶融温度以下で完全に揮発する特性を持つこと
が必要であり、好ましくは500℃以下の温度で完全に
分解することが望ましい。加えて、塗料とした場合の樹
脂の比率が多すぎると使用量が多いためコストが増加す
るため、塗料中の樹脂の重量比率は好ましくは50%以
下である。
【0026】本発明においては、接合すべきアルミニウ
ム合金の表面に、前記の塗布物またはフラックス組成物
を、固形塗装物としてK2 SiF6 の重量換算で1〜5
0g/m2塗布したフラックス組成物被覆アルミニウム合
金を用いて、ろう付けを行うのが好ましい。
【0027】固形塗装物の塗布量範囲は、各構成部材の
役割(継ぎ手接合部の必要フィレット形成量)によって
種々様々である。例えばK2 SiF6 の重量換算で表し
た場合、熱交換器の部材であるフィン材では、好ましく
は1〜20g/m2であり、熱交間器の冷媒流通路に用い
るチューブ材では、好ましくは3〜30g/m2であり、
冷媒流通路を連結して熱交換器の出入口に構成されるタ
ンク材では、好ましくは5〜50g/m2である。塗装物
の付着量が1g/m2未満では、接合はされるものの溶融
したろうがフィレットを形成せず熱交性能、構造体の強
度の低下等の不具合が生じることがある。また、塗装物
が50g/m2を超えて被覆され場合、母材の継ぎ手に形
成されたフィレットの溶融、侵食が著しくなり、ろう付
性、耐食性等を損ねる。また、塗装物の一部がアルミニ
ウムと十全に反応できないために、ろう付け性が損なわ
れたり、被接合体表面に残留し製品外観を損なうことが
ある。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して以
下に説明する。これらの実施例は、本発明の一実施態様
を示すものであり、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0029】実施例1 まず、フラックス組成物として、平均粒径、被覆量を変
えたK2 SiF6 粉末単体を用いたアルミニウム板のろ
う付け性を調査した。表1に使用した粉末の平均粒径お
よび被覆量を示す。粉末の粒径は、市販のK2 SiF6
をそのままあるいは適宜ボールミルで粉砕して調整し
た。粉砕した粉末は少量を粘着テープに張り付け走査型
電子顕微鏡観察し、1種類あたり100個以上について
粒径を測定し平均粒径を算出した。
【0030】上記のフラックス組成物の粉末を同量の純
水で希釈した後、2枚のA3003−H14アルミ合金
板(寸法:1.0mm厚さ、25mm幅、150mm長
さ)にバーコータで所定の重量が付着するように片面に
塗布し、その被覆板を水平として被覆面に接するよう
に、コルゲート加工したA3003−H14アルミ合金
フィン板(寸法:0.1mm厚さ、25mm幅)を用い
て、図1に示すように、固定持具で組み付けた。その
後、窒素ガス炉内雰囲気(炉内酸素濃度≦100pp
m、露点≦−30℃)中に挿入して600℃×3分のろ
う付け加熱保持を行った。その後炉内で500℃以下に
なるまで冷却を行った後に炉外に搬出して試験片を取り
出した。
【0031】ろう付け性の評価は、上下のA3003ア
ルミ合金板とコルゲート加工されたA3003アルミ合
金フィン材との継ぎ手部に形成されるフィレットの接合
率、フィレットの大きさおよび表面残渣の有無により判
断した。ここでいう接合率とは、フィンとアルミ板にフ
ィレットが形成されている長さL1 とフィンとアルミ板
との接触長さL2 との比(L1 /L2 )をパーセント
(%)で示したものである。フィレットの大きさは供試
材を樹脂に埋め込み、接合部について拡大断面写真を撮
影し、相対評価した。表面の残渣は外観から目視で判断
した。評価結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表2に示すように、本発明に従うフラック
ス組成物粉末を用いた場合はいずれも良好なろう付が得
られ、表面の残渣による変色も殆ど認められなかった。
これに対して、比較材1xは、平均粒径が大きいため、
フラックスの溶融が充分でなく、未反応のK2 SiF6
が残渣として残り茶変色し、その部分で接合されておら
ず接合率が低下した。比較材1yは、変色は認められな
いが、ろうを確保するための塗布量が少ないためフィレ
ットが認められず接合率が低下した。また、比較材1z
は、80%の接合はされていたものの、塗布量が多いため
未反応のK2 SiF6 が残渣として残り茶変色し、塗装
外側の未反応塗装物が弊害となり、接合率が著しく低下
した。
【0035】実施例2 つぎに、ヘキサフルオロ珪酸カリウムを主成分として、
これに各特性を向上させるための元素を添加した混合粉
末をフラックス組成物としてろう付け性を評価した実施
例を以下に示す。ヘキサフルオロ珪酸カリウム粉末の平
均粒径は10μm のものを用い、塗装量はヘキサフルオ
ロ珪酸カリウム粉末が20g/m2となるように調整し
た。供試混合粉末および塗装量以外の実験の方法は前回
の実験方法と全く同様で行った。表3に供試粉末と混合
比率を示す。また、ろう付け性の評価結果を表4に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表3に示すように、本発明に従うフラック
ス組成物を使用した場合は、いずれも良好な結果が得ら
れた。これに対して、比較材2mは、100%の接合率でろ
う付はされているものの、アルミニウム粉末が多すぎる
ため未溶融のアルミニウム粉末が残渣として残った。比
較材2nは、Si粉末を多く使用しているためコストが
高いことに加え、さらに表面にもSiの未溶融残渣が全面
に認められ、未溶融残渣が弊害となり、ろう付け接合率
も若干低下した。
【0039】また、比較材2oは、Cuの添加比率が高
いために融点が低下し局部溶融が激しかった。比較材2
pは、Znの添加比率が高いために流動性が劣りろう付
接合率が低下した。比較材2qは、Al−Si粉を多量
に使うことによりコストが高くなることに加え、塗膜厚
が厚いことから接合率に低下が生じた。
【0040】実施例3 ついで、K2 SiF6 粉末に溶媒種、樹脂種を添加した
混合物をフラックス組成物として、これをアルミニウム
表面に付着させ、塗料中のK2 SiF6 重量としての被
覆量を変えた場合のろう付け性について調査した。K2
SiF6 粉末として平均粒径が10μm のものを用い、
溶媒の水は、純水を用い、溶媒のアルコールについては
ブタノール系溶剤を使用し、シンナーについてはキシレ
ンを使用した。また、樹脂については、メタクリル酸n
−ブチルを主成分とした樹脂を使用した。なお、実験方
法は前述の実施例1と同様とし、フィン材の接合率およ
び外観残渣の有無等から、ろう付け性を評価した。フラ
ックス組成のK2 SiF6粉末重量、溶媒種、樹脂種を
表5に示し、評価結果を表6に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】表6に示すように、本発明に従うフラック
ス組成物を使用した場合には、いずれも良好なろう付け
性が得られた。これに対して、比較材3yは、K2 Si
6の重量が少ないために、接合はされているものの、
外観からフィレットの存在が認められなかった。比較材
3zは、K2 SiF6 量が多いため、未反応のK2 Si
6 が残渣として残り、接合が低下した。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、アルミニウム合金をろ
う付け接合する場合、ブレージングシートを用い且つフ
ラックスを塗布したり、金属Si、フラックス等複数の
物質を混合して塗布したりする煩雑な作業を行うことな
しに、ろう付け作業を行うことができる。従って、材料
費の低減、工程の短縮により、ろう付けコストが大幅に
低減され、ろう付け欠陥の無い良好なろう付け製品を安
定して得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ろう付け性評価試験における材料の組付け方法
を示す略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 103:10 B23K 103:10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接合すべきアルミニウム合金の少なくと
    も片方の表面に塗布物を塗布し、前記アルミニウム合金
    の融点よりも低い温度に加熱して、前記アルミニウム合
    金の表面と前記塗布物との反応によって、前記アルミニ
    ウム合金の表面の酸化膜を除去するとともに、前記温度
    で溶融する共晶アルミニウム合金ろうを形成させ、その
    後の冷却によって固体合金継ぎ手を形成させることを特
    徴とするアルミニウム合金のろう付け方法。
  2. 【請求項2】 接合されるアルミニウム合金の融点より
    も低い温度で前記アルミニウム合金の表面の酸化膜を除
    去する作用とともに、前記温度で溶融する共晶アルミニ
    ウム合金ろうを形成させる作用を兼ね備えた塗布物とし
    て、平均粒径が80μm 以下のヘキサフルオロ珪酸カリ
    ウム(K2 SiF6 )あるいはその水和物粉末を用いる
    ことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金のろ
    う付け方法。
  3. 【請求項3】 請求項1のアルミニウム合金のろう付け
    方法に用いられる塗布物であって、重量比で50%以上
    の平均粒径が80μm 以下のヘキサフルオロ珪酸カリウ
    ムあるいはその水和物粉末と、さらに、Al、Si、C
    u、Znの金属粉末、あるいはそれらとアルミニウムの
    合金粉末の中から選ばれた少なくとも1種以上を含む混
    合物粉末からなることを特徴とするフラックス組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1のアルミニウム合金のろう付け
    方法に用いられる塗布物であって、請求項2あるいは請
    求項3に記載の塗布物またはフラックス組成物を含み、
    さらに揮発性の溶剤あるいは水でスラリーとし、ろうと
    ろう付け用フラックスの作用を合わせ持つことを特徴と
    するフラックス組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1のアルミニウム合金のろう付け
    方法に用いられる塗布物であって、請求項1〜3のいず
    れかに記載の塗布物またはフラックス組成物を形成する
    粉末を固形分重量比で50%以上含み、さらに500℃
    以下の分解温度を有するろう付け性を害しない有機樹脂
    を含み、さらに溶媒として揮発性の有機溶剤あるいは水
    あるいはその混合液体からなり、ろうとろう付けフラッ
    クスの作用を合わせ持つことを特徴とするフラックス組
    成物。
  6. 【請求項6】 接合されるべきアルミニウム合金の表面
    の少なくとも片方に、請求項2〜5のいずれかに記載の
    塗布物またはフラックス組成物を、K2 SiF6 の重量
    換算で1〜50g/m2 塗布したことを特徴とするフラ
    ックス組成物被覆アルミニウム合金。
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