JP2001189555A - 多層基板 - Google Patents
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Abstract
ミネーションを防止できるとともに、x−y方向におけ
る収縮率を容易にかつ安価に小さくでき、さらには、ビ
アホール導体の突出或いは凹み、それに伴う導通不良を
防止できる多層基板を提供する。 【解決手段】複数の絶縁層11a〜11eを積層してな
り、該複数の絶縁層11a〜11eのうち少なくとも1
層が、他の絶縁層11b〜11dと異なる異種材料絶縁
層11a、11eであり、他の絶縁層11b〜11dと
異種材料絶縁層11a、11eとにスルーホール導体1
4a、14bを設けるとともに、他の絶縁層11b〜1
1dにおけるスルーホール導体14aと、異種材料絶縁
層11a、11eにおけるスルーホール導体14bとを
異なる材料から形成した。
Description
のである。
層で補強するためや回路基板の中に容量値の高いキャパ
シタを内蔵するために、絶縁層と、この絶縁層とは異な
る材料からなる異種材料絶縁層を積層した回路基板が知
られている(例えば、特開昭59−194493号公報
参照)。このような回路基板では、磁器のクラックやデ
ラミネーションを防止するために、絶縁層と異種材料絶
縁層とは、焼成収縮率および熱膨張係数を一致させるよ
うに材料を決定していた。
ては、クラックやデラミネーションを防止できるもの
の、焼成収縮率が大きいため、回路基板内に形成された
電極のx−y方向における寸法精度が低くなるという問
題があった。特に、近年においては、回路基板の小型薄
型化のため、ますます電極のx−y方向における寸法精
度が要求されている。
成形体をAl2 O3 基板等で挟持して焼成する加圧焼成
法(特開昭62−260777号公報参照)、回路基板
の積層成形体の表面に、この積層成形体の焼成温度では
焼結しないグリーンシートを積層し、焼成後にそれを削
り取る方法(特開平4−243978号公報参照)が開
示されている。
Al2 O3 基板等により加圧する必要があり、そのため
の設備やAl2 O3 基板等が必要であった。また、未焼
結グリーンシートを除去する方法では、製造工程が増加
し、しかも、除去したグリーンシートは廃棄しなければ
ならず、原料が無駄であった。
終了温度が異なる2種以上のグリーンシートを積層・焼
成することにより解決する方法(特開平10−3085
84号公報参照)が開示されている。本方法は、双方の
グリーンシートが互いに他方のx−y方向の焼成収縮挙
動を拘束するため、焼成中の基板の反り、クラック或い
は歪みに関しては有効であった。
84号公報に開示された多層基板では、他の絶縁層と異
種材料絶縁層に形成されたビアホール導体に関しては、
他の絶縁層中の導体材料と、異種材料絶縁層中の導体材
料は同一材料を用いていた。
を拘束するということは、z方向の焼成収縮挙動に収縮
挙動を集約すること、即ち、他の絶縁層、異種材料絶縁
層がz方向にそれぞれ大きく収縮することであり、同一
材料の導体ではそもそもグリーンシートの収縮差がある
ことに伴うビアホール導体の突出或いは凹み、更にはそ
れに伴う導通不良等が発生するという問題があった。例
えば、内部配線とビアホール導体とが接続不良となった
り、ビアホール導体が突出し、その突出量が大きい場合
には、クラックやデラミネーションが発生するという問
題があった。
てビアホール導体が形成されている場合には、上記のよ
うなビアホール導体の突出或いは凹みが助長されるとい
う問題があった。
料の同時焼成に際して、クラックやデラミネーションを
防止できるとともに、x−y方向における収縮率を容易
にかつ安価に小さくでき、さらには、ビアホール導体の
突出或いは凹み、それに伴う導通不良を抑制できる多層
基板を提供することを目的とする。
数の絶縁層を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少な
くとも1層が、他の絶縁層と異なる異種材料絶縁層であ
り、前記他の絶縁層と前記異種材料絶縁層とにそれぞれ
ビアホール導体を設けるとともに、前記他の絶縁層にお
けるビアホール導体と、前記異種材料絶縁層におけるビ
アホール導体とを異なる材料から形成したものである。
層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層が、
他の絶縁層と異なる異種材料絶縁層であるため、焼成収
縮開始温度が他の絶縁層と異種材料絶縁層とでは異な
り、例えば、異種材料絶縁層が収縮を開始する際には、
他の絶縁層によりx−y方向における収縮が妨げられ、
異種材料絶縁層が収縮を完了すると、この異種材料絶縁
層により他の絶縁層のx−y方向における収縮が妨げら
れ、結果的に、焼成中におけるx−y方向の焼成収縮を
抑制できる。
と異種材料絶縁層におけるビアホール導体とを異なる材
料で形成すること、例えば、異種材料絶縁層におけるビ
アホール導体のガラスの軟化点を、異種材料絶縁層の焼
成収縮開始温度よりも低温とし、他の絶縁層におけるビ
アホール導体のガラスの軟化点を、他の絶縁層の焼成収
縮開始温度よりも低温とする等により、収縮挙動の不適
合から起こるビアホール導体の突出等の不具合を解消で
きる。
ぞれの熱膨張係数と、異種材料絶縁層、他の絶縁層にそ
れぞれ形成されたビアホール導体の熱膨張係数差を11
×10-6/℃以下、特に5×10-6/℃以下とすること
により、焼成温度からの冷却時におけるビアホール導体
の突出等の不具合や、ビアホール導体近傍の異種材料絶
縁層、他の絶縁層におけるクラックや、ビアホール導体
と異種材料絶縁層、他の絶縁層との界面剥離を防止でき
る。
挙動を拘束するということは、z方向の焼成収縮挙動に
収縮挙動を集約することである。理想的には、異種材料
絶縁層、他の絶縁層におけるz方向の収縮率を合わせら
れたらよいが、絶縁層は、その誘電特性、例えば誘電
率、Q等に特徴を持たせる必要があり、且つ他の絶縁層
と異種材料絶縁層とは熱膨張率が合致することが望まし
い。そのような課題がある中で、焼成収縮挙動まで合致
させることは困難である。その結果、基板焼成後にビア
ホール導体の突出或いは凹み、更にはそれに伴う導通不
良等の問題が発生することになる。
異種材料絶縁層の各々と収縮挙動を合わせた別々の導体
材料を適用する。ここでいう導体材料は、例えば、銅、
銀或いはそれらを主成分とする合金(例えばAg−P
t)を金属成分とし、焼成収縮挙動及び熱膨張率を各々
の絶縁体と合わせるために無機酸化物を添加したもので
ある。
方法として、(1)固形分比率を調整する、(2)金属
粉末を調整する、(3)添加する無機酸化物の組成及び
/又は配合量を調整する、の3通りが考えられるが、
(1)は過度に溶剤量を増やすとグリーンシートに溶剤
が浸透し、グリーンシートが破れる、(2)は粒径等を
変更すれば充填性等、他の特性が劣化する、組成を変更
(例えばAg−PtのPt比率を上げる)すれば導電率
が低下する、といった問題があり、(3)の添加する無
機酸化物の組成及び/又は配合量を調整することが最も
好ましい方法である。
層基板のそれに比べ大きいため、添加される無機酸化物
として、熱膨張率の小さい金属酸化物が選択される。そ
の際、焼成収縮挙動を合わせるためには、高温で流動性
をもつガラスが好ましい。更に好ましくは、導体が接し
ている他の絶縁層又は異種材料絶縁層の焼成収縮開始温
度よりもガラスの軟化点は低温であることが好ましい。
もし、本軟化点が低温で無ければ、基板が焼成収縮を開
始した際に、まだ本ガラスは焼結抑制材としての機能し
か果たせず、収縮挙動が合わないために前述の突起を発
生させやすくなる。
が好ましい。酸塩基度の定義に関しては、特開平6−1
2911号公報に詳細が述べられているが、この発明で
示されている導電性組成物は、配線パターン等に利用さ
れるものであり、ビアホール導体に関しては特に説明さ
れていない。ところが、本発明の様に複数の絶縁層を複
合化する際には、ビアホール導体中に含有されるガラス
も酸塩基度を配慮しなければ、変色等の問題をかかえて
しまう。
してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層が、他
の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なる異種材料絶縁層で
あり、他の絶縁層が、MgTiO3 またはMgTiO3
−CaTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、S
i、アルカリ土類金属を含有するものが好ましい。
比誘電率が異なる材料からなり、かつ、アルミナ、シリ
カ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選
ばれる1種と、結晶性ガラスとを含有することが望まし
い。
を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1層
が、他の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なり、かつ比誘
電率が略同一の異種材料絶縁層であり、該異種材料絶縁
層と前記他の絶縁層が、アルミナ、シリカ、MgTiO
3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種と、
結晶性ガラスとを含有することによっても、上記したよ
うに、焼成中におけるx−y方向の焼成収縮を抑制でき
る。異種材料絶縁層の焼成収縮開始温度と、他の絶縁層
の焼成収縮開始温度との差は20〜90℃であることが
望ましい。
くともMgおよびTiを含有し、これらのモル比による
組成式を、 (1−x)MgTiO3 ・xCaTiO3 と表した時、前記xが0≦x≦0.2を満足する主成分
と、該主成分100重量部に対して、BをB2 O3 換算
で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩
換算で1〜10重量部、SiをSiO2 換算で0.01
〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化
物換算で0.1〜5重量部含有することが望ましい。
3 またはMgTiO3 −CaTiO3 を主成分とし、
B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を含有する
場合、特に、モル比による組成式を、(1−x)MgT
iO3 ・xCaTiO3 と表した時、xが0≦x≦0.
2を満足する主成分と、該主成分100重量部に対し
て、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金属を所定
量含有する場合には、他の絶縁層のQf値をそれほど低
下させることなく、920℃以下の焼成温度で焼成でき
るとともに、焼成収縮開始温度を830℃以下にでき、
Ag、Cu等の内部導体と同時焼成しても変形すること
がなく、さらに、Q値とその測定周波数との積で表され
る磁器のQf値を20000GHz以上、比誘電率を1
8以上とでき、このような他の絶縁層に共振回路等の高
周波回路を形成することにより、優れた特性の回路を得
ることができる。
膨張係数差を小さくすることにより、特に2×10-6/
℃以下とすることにより、ピーク焼成温度からの冷却時
における材料の熱収縮挙動を一致させ、収縮のミスマッ
チをなくすことができ、クラックあるいはデラミネーシ
ョンの発生を防止できる。
下面に、該積層体を構成する他の絶縁層よりも比誘電率
が低い材料から構成される異種材料絶縁層を形成するこ
とにより、異種材料絶縁層を挟む電極間に形成される容
量が、他の絶縁層を挟む電極間に形成される容量よりも
小さいため、異種材料絶縁層成形体に形成されたビアホ
ール導体および配線導体と、接地導体等の導体の間にお
ける浮遊容量を抑制できる。
70〜100重量%と、アルミナ、シリカ、MgTiO
3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種0〜
30重量%からなり、前記結晶性ガラスが、SiO2 4
0〜70重量%、CaO20〜35重量%、MgO11
〜30重量%、Al2 O3 0.5〜10重量%、SrO
0〜10重量%、ZnO0〜10重量%、TiO2 0〜
10重量%、Na2 O0〜3重量%であることが望まし
い。
例を示すもので、この多層基板は、基板11と、この基
板11の上下両表面に形成された表面導体12と、基板
11の内部に形成された接地導体13と、内部導体15
と、表面導体12と内部導体15を接続するビアホール
導体14とから構成されている。
からなり、他の絶縁層11b、11c、11dを形成す
る材料の焼成収縮開始温度が、異種材料絶縁層11a、
11eを形成する材料の焼成収縮開始温度と異なってい
る。
b〜11dは、MgTiO3 またはMgTiO3 −Ca
TiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アル
カリ土類金属を含有するものであり、異種材料絶縁層1
1a、11eは、他の絶縁層11b〜11dよりも比誘
電率が小さい材料からなるもので、アルミナ、シリカ、
MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれ
る1種と、結晶性ガラスとから形成されている。
を、MgTiO3 またはMgTiO3−CaTiO3 を
主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカリ土類金
属を所定量含有する磁器とすることにより、Qf値が2
0000GHz以上で、920℃以下の焼成温度で焼成
できるとともに、焼成収縮開始温度を830℃以下にで
き、Ag、Cu等の内部導体と同時焼成しても変形する
ことがなく、またビアホール導体の突出等の外観上の不
具合もなく、比誘電率を18以上とできる。
開始温度と、他の絶縁層11b〜11dの焼成収縮開始
温度との差は20〜90℃であることが望ましい。これ
は、焼成収縮開始温度差が20℃より小さくなると焼成
における収縮挙動が一致するため、基板のx−y方向に
おける収縮率が大きくなり、配線導体の寸法精度が悪く
なるからであり、逆に90℃を超えると焼成収縮時にお
いて、他の絶縁層11b〜11dと異種材料絶縁層11
a、11eの界面に応力歪みを生じ、基板が反る、歪
む、あるいは界面で剥離する等の問題が生じ易くなるか
らである。とりわけ、収縮率低減と基板の反り、歪みの
観点から、焼成収縮開始温度差は30〜60℃であるこ
とが望ましい。
料絶縁層11a、11eの熱膨張係数の差は2×10-6
/℃以下であることが望ましい。これは、2×10-6/
℃よりも大きくなると、焼成ピーク温度からの冷却時に
おいて熱収縮率の差が生じ、他の絶縁層11b〜11d
と異種材料絶縁層11a、11eの界面に、クラックや
デラミネーションを生じ易いからである。とりわけ、ク
ラックやデラミネーションの観点から、熱膨張係数の差
は1×10-6/℃以下が望ましい。
したように、ビアホール導体14は他の絶縁層11bに
おけるビアホール導体14aと、異種材料絶縁層11a
におけるビアホール導体14bとから構成されている。
を主成分とし、収縮及び熱膨張率を基板と合わせるため
にガラスを添加しているが、そのガラスの組成は異な
る。
1b〜11dと異種材料絶縁層11a、11eの焼成収
縮開始温度及び熱膨張率と焼成時の収縮量を考慮して決
定される。熱膨張率に関しては、使用される金属とガラ
スの体積分率で計算すればよい。ビアホール導体とその
ビアホール導体が主に接している絶縁層との熱膨張係数
差は11×10-6/℃以下であることが望ましい。即
ち、ビアホール導体14bの熱膨張係数は、異種材料絶
縁層11aの熱膨張係数よりも高いが、その差を11×
10-6/℃以下とし、ビアホール導体14aの熱膨張係
数は、他の絶縁層11bの熱膨張係数よりも高いが、そ
の差を11×10-6/℃以下とすることが望ましい。こ
の熱膨張係数は、5×10-6/℃以下であることが望ま
しい。
よりも大きくなると焼成ピーク温度からの冷却時におい
て熱収縮率の差が生じ、ビアホール導体近傍の絶縁層に
クラックを生じ易いからである。また、ビアホール導体
と絶縁層の界面剥離も生じ易いが、これは、界面接合に
効果のある、例えばV2 O5 を添加することにより改善
することができる。さらに、ビアホール導体14が凹
み、内部導体15または表面導体12との接着不良とな
り易いからである。
アホール導体14b中のガラスの軟化点は、異種材料絶
縁層11a、11eの焼成収縮開始温度よりも低温であ
り、他の絶縁層11b〜11dにおけるビアホール導体
14a中のガラスの軟化点は、他の絶縁層11b〜11
dの焼成収縮開始温度よりも低温とされている。
スの軟化点で制御する。上述の如く、異種材料絶縁層1
1a、11eの焼成収縮開始温度と、他の絶縁層11b
〜11dの焼成収縮開始温度との差は20〜90℃であ
るため、その温度差程度の差をもつガラスをもちいれば
よい。
成収縮開始温度と、他の絶縁層11b〜11dの焼成収
縮開始温度との差に、ビアホール導体14aとビアホー
ル導体14b中のガラスの軟化点の差を近づけるよう
に、例えば、ガラスの組成を設定する。
び/またはCuを主成分とし、ガラスは、基板材料との
収縮挙動を合わせ、見かけ上の熱膨張係数を合わせ、か
つ導電率が低下しないようにするという理由から5〜2
5重量%を含有するものである。
SiO2 、ZnO、MgOを含むガラスや、BaO、C
aO、B2 O3 、SiO2 を含む硼珪酸アルカリ土類金
属塩ガラス等がある。
比による組成式を、(1−x)MgTiO3 ・xCaT
iO3 と表した時、xが0≦x≦0.2を満足する主成
分と、該主成分100重量部に対して、BをB2 O3 換
算で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸
塩換算で1〜10重量部、SiをSiO2 換算で0.0
1〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸
化物換算で0.1〜5重量部含有するものが望ましい。
xが0.2モルを越える場合には共振周波数の温度係数
τfがプラス側に大きくなりすぎてしまうからである。
とりわけ誘電体磁器の共振周波数の温度係数τfの観点
からはxは0.03≦x≦0.13が好ましい。
B2 O3 換算で3〜20重量部含有したのは、Bが3重
量部未満の場合には1100℃でも焼結せず、Agまた
はCuを主成分とする導体と同時焼成ができなくなり、
逆に20重量部を越える場合には焼結体中のガラス相の
割合が増加してQ値が低下するからである。よって、焼
結性を維持し、高いQ値を得るという観点からB2 O3
換算で5〜15重量部含有することが望ましい。B含有
化合物としては、金属硼素、B2 O3 、コレマイト、C
aB2 O4 、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸アルカリガ
ラス、ホウケイ酸アルカリ土類ガラス等がある。
換算で1〜10重量部含有したのは、1重量部未満の場
合には1100℃でも焼結せず、AgまたはCuを主成
分とする導体と同時焼成ができなくなり、逆に10重量
部を越える場合には結晶相が変化してQ値が低下するか
らである。誘電体磁器のQ値の観点から4〜9重量部が
望ましい。アルカリ金属としてはLi、Na、Kを例示
することができ、この中でもLiが特に望ましい。アル
カリ金属含有化合物としては、上記アルカリ金属の炭酸
塩、酸化物等を例示することができる。
5重量部含有したのは、含有量が0.01重量部未満の
場合には、誘電体磁器の焼結過程における焼成収縮開始
温度が約840℃と高く、添加効果が得られないからで
ある。一方、5重量部を越えると比誘電率εrあるいは
Q値が低下するからである。誘電体磁器の比誘電率εr
あるいはQ値の観点から0.5〜3重量部が望ましい。
Si含有化合物としてはSiO2 、MgSiO3 等があ
る。
属酸化物換算で0.1〜5重量部含有するものである。
これらが0.1重量部未満の場合には誘電体磁器の焼結
過程における焼成収縮開始温度が830℃よりも高く、
添加効果が得られない。一方、5重量部を越えると誘電
体磁器の共振周波数の温度係数τfがプラス側に大きく
なりすぎてしまう。とりわけ誘電体磁器の焼結性と共振
周波数の温度係数τfの観点からは0.5〜3.5重量
部が好ましい。アルカリ土類金属としては、Mg、C
a、Sr、Baがあり、このなかでもBaが望ましい。
アルカリ土類金属含有化合物としては、上記アルカリ金
属の炭酸塩、酸化物等を例示することができる。
100重量部に対して、MnをMnO2 換算で0.1〜
3重量部含有することが望ましい。MnをMnO2 換算
で0.1〜3重量部含有せしめたのは、0.1重量部よ
りも少ない場合にはその添加効果がなく、さらに3重量
部よりも多い場合には誘電特性が悪化するからである。
MnはMnO2 換算で1.2〜1.8重量部含有するこ
とが望ましい。
00重量%と、セラミック粒子0〜30重量%とからな
り、結晶性ガラスがSiO2 40〜70重量%、CaO
20〜35重量%、MgO11〜30重量%、Al2 O
3 0.5〜10重量%、SrO0〜10重量%、ZnO
0〜10重量%、TiO2 0〜10重量%、Na2 O0
〜3重量%を含有し、セラミック粒子がアルミナ、シリ
カ、MgTiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選
ばれる1種以上からなることが望ましい。この異種材料
絶縁層の比誘電率は6〜8である。
ことにより、MgTiO3 またはMgTiO3 −CaT
iO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、アルカ
リ土類金属を含有する他の絶縁層との間の焼成収縮開始
温度差を20〜90℃の範囲内とすることができる。
ば、先ず、複数の絶縁層成形体を積層した積層成形体を
作製する。この積層成形体を構成する複数の絶縁層成形
体のうち少なくとも1層については、他の絶縁層成形体
との焼成収縮開始温度の差が20〜90℃異なる異種材
料絶縁層成形体とする。
り作製されたグリーンシートを積層することにより作製
したり、また、セラミックペーストを順次塗布すること
により作製したり、さらに、セラミックペーストを塗
布、光硬化、現像等を繰り返すいわゆるフォトリソグラ
フィー技術を用いて作製したりすることができる。
異種材料絶縁層となるグリーンシートを作製する。例え
ばグリーンシートは、所定のセラミック粉末(ガラス−
セラミック粉末)と有機バインダーと有機溶剤及び必要
に応じて可塑剤とを混合し、スラリー化する。このスラ
リーを用いてドクターブレード法などによりテープ成形
を行い、所定寸法に切断しグリーンシートを作製する。
部導体間を接続するビアホール導体となる貫通孔をグリ
ーンシートの所定の位置にパンチング等により作製す
る。
ガラス、有機ビヒクル及び有機溶剤を混合し、ペースト
化する。この際、ビアホール用導電性ペーストは他の絶
縁層と異種材料絶縁層それぞれに対して準備する。
なるグリーンシートの貫通孔に充填するとともに、その
グリーンシート上に所定形状の内部導体となる導体膜を
印刷形成する。
の異種材料絶縁層となるグリーンシートの貫通孔に充填
するとともに、そのグリーンシート上に所定形状の表面
導体となる導体膜を印刷形成する。
積層順序に応じて積層し、積層成形体を形成して、一体
的に焼成する。以上の製造工程によって多層基板は製造
される。
成収縮開始温度が異なる他の絶縁層11b〜11dと異
種材料絶縁層11a、11eを同時焼成するため、焼成
収縮開始温度が低い異種材料絶縁層11a、11eが収
縮を開始する際には、他の絶縁層11b〜11dにより
x−y方向における収縮が妨げられ、異種材料絶縁層1
1a、11eが収縮を完了すると、この異種材料絶縁層
11a、11eにより他の絶縁層11b〜11dのx−
y方向における収縮が妨げられ、結果的に、焼成中にお
けるx−y方向の焼成収縮を抑制でき、内部導体15の
寸法精度を向上できる。
11b〜11dの比誘電率を、上下の異種材料絶縁層1
1a、11eの比誘電率よりも高くできるため、容量値
の大きなキャパシタを形成することができ、低誘電率の
異種材料絶縁層11a、11eを形成することにより、
表面導体12やビアホール導体14と接地導体13の間
に生じる浮遊容量を軽減することができる。
ビアホール導体14aと異種材料絶縁層11a、11e
におけるビアホール導体14bとを異なる材料で形成す
ることにより、収縮挙動の不適合から起こるビアホール
導体14の突出等の不具合を解消できる。
の絶縁層11b〜11dのそれぞれの熱膨張係数と、こ
れらの異種材料絶縁層11a、11eおよび他の絶縁層
11b〜11dにそれぞれ形成されたビアホール導体1
4a、14bの熱膨張係数差を11×10-6/℃以下と
することにより、焼成温度からの冷却時におけるビアホ
ール導体14の突出等の不具合や、ビアホール導体14
近傍の異種材料絶縁層11a、11e、他の絶縁層11
b〜11dにおけるクラックや、ビアホール導体14
a、14bと異種材料絶縁層11a、11e、他の絶縁
層11b〜11dとの界面剥離を防止できる。
層を積層してなり、該複数の絶縁層のうち少なくとも1
層が、他の絶縁層と焼成収縮開始温度が異なり、かつ比
誘電率が略同一の異種材料絶縁層であり、該異種材料絶
縁層と他の絶縁層が、アルミナ、シリカ、MgTi
O3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1種以
上と、結晶性ガラスとを含有して構成されていても良
い。
aTiO3 を主成分とし、B、アルカリ金属、Si、ア
ルカリ土類金属を含有する磁器について検討した。
3 粉末、CaTiO3 粉末とを、モル比による(1−
x)MgTiO3 ・xCaTiO3 においてxが表1の
値を満足するように秤量し、また、B2 O3 粉末、アル
カリ金属炭酸塩粉末(Li2 CO3 、Na2 CO3 、K
2 CO3 )、SiO2 粉末、MnO2 粉末、さらにアル
カリ土類酸化物粉末(MgO、CaO、SrO、Ba
O)を、表1に示す割合となるように秤量し、純水を媒
体とし、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて20時
間湿式混合した。次にこの混合物を乾燥(脱水)し、8
00℃で1時間仮焼した。
になるように粉砕し、誘電特性評価用の試料として直径
10mm、高さ8mmの円柱状に1ton/cm2 の圧
力でプレス成形し、これを表2に示す温度で3時間焼成
し、直径8mm、高さ6mmの円柱状の試料を得た。
体円柱共振器法にて周波数8GHzにおける比誘電率と
Q値を測定した。Q値と測定周波数fとの積で表される
Qf値を表2に記載した。さらに、−40〜+85℃の
温度範囲における共振周波数の温度係数τf〔ppm/
℃〕を測定した。その結果を表2に記載した。
20、Qf値が20000GHz以上、かつ、共振周波
数の温度係数τfが±40ppm/℃以内の優れた誘電
特性を有するとともに、760〜830℃で焼結収縮が
開始し、920℃以下で焼成が可能な優れた焼結性を有
していることが判る。
Na、Kと記載したが、これはLi2 CO3 、Na2 C
O3 、K2 CO3 の意味であり、また、アルカリ土類の
欄において、Mg、Ca、Sr、Baと記載したが、こ
れは、MgO、CaO、SrO、BaOの意味である。
さらに、表1の試料No.4、5については、Mg/T
i、Ca/Ti比がそれぞれ1.1、0.9の原料粉末
を用いた。
上記表1の試料を用い、また、異種材料絶縁層として、
SiO2 52重量%、CaO25重量%、MgO18重
量%、Al2 O3 5重量%からなる結晶性ガラスと、S
iO2 からなるセラミック粒子の重量比を変えることに
より、焼成収縮開始温度の異なる材料を得た。
粉末に、それぞれに有機バインダー、有機溶剤を添加し
たスラリーをドクターブレード法により薄層化し、グリ
ーンシートを作製し、他の絶縁層成形体、異種材料絶縁
層成形体を作製した。
貫通孔を他の絶縁層成形体、異種材料絶縁層成形体の所
定の位置にパンチング等により0.2mm径の孔を穿孔
し、これらの貫通孔にAgとガラスからなる導電性ペー
ストを貫通孔に充填した。Agとガラスの重量比は、A
g80重量%、ガラス20重量%とし、ガラスをB2O
3 、Al2 O3 、SiO2 、ZnO、MgOから構成
し、表3に示すようにガラスの組成を変化させ、ガラス
の軟化点、熱膨張係数を変化させた。次に、絶縁層成形
体、異種材料絶縁層成形体に、所定形状の内部導体とな
る導体膜を印刷形成した。
層成形体に、表面導体となるAgからなる導電性ペース
トを用いて所定形状の導体膜を印刷形成し、乾燥させ
た。
体膜が形成された絶縁層成形体を複数積層するととも
に、最上層および最下層に表面導体となる導体膜を形成
した異種材料絶縁層成形体を積層した積層成形体を作製
した。
理し、さらに表2に示す温度で焼成し、図1に示すよう
な多層基板を作製した。尚、絶縁層11a〜11eの厚
みは0.15mmであり、回路基板の大きさは、縦10
mm、横10mm、厚み0.75mmであった。
て、所定のポイント間の長さを測定することにより、基
板の収縮率を測定した。また、基板におけるクラック、
デラミネーションの有無を基板を研磨して、金属顕微鏡
で観察することにより評価した。さらに、基板を断面を
金属顕微鏡で観察し、測微計で計測することにより、表
面電極12の突出量を測定し、ビアホール導体14の突
出量とした。
する材料にワックスを添加し、10ton/cm2 プレ
スすることにより圧粉体を形成し、熱機械分析(TM
A)により材料の焼成収縮開始温度、熱膨張係数を評価
した。その結果を表4、5に記載した。
が0.3〜7.0と小さく、焼成におけるクラックやデ
ラミネーションの発生しないことがわかる。また、ビア
ホール導体の突出量も0.025mm以下であり、問題
ないことが判る。一方、他の絶縁層と異種材料絶縁層に
おけるビアホール導体を同一材料から形成した試料No.
11では、デラミネーションが発生することが判る。
焼成収縮開始温度の異なる異種材料絶縁層を一体焼成す
ることにより、基板の収縮率を低減できる。また、前記
絶縁層と異種材料絶縁層の間の熱膨張係数差を小さくす
ることにより、クラックやデラミネーションの生じない
基板を得ることができる。さらに、絶縁層の比誘電率を
異種材料絶縁層の比誘電率よりも高くすることにより、
基板に内蔵する回路の小型化ができ、かつ、電極間に生
じる浮遊容量が小さい多層基板を得ることができる。
層におけるビアホール導体と異種材料絶縁層におけるビ
アホール導体とを異なる材料形成することにより、収縮
挙動の不適合から起こるビアホール導体の突出等の不具
合を解消できる。
Claims (8)
- 【請求項1】複数の絶縁層を積層してなり、該複数の絶
縁層のうち少なくとも1層が、他の絶縁層と異なる異種
材料絶縁層であり、前記他の絶縁層と前記異種材料絶縁
層とにそれぞれビアホール導体を設けるとともに、前記
他の絶縁層におけるビアホール導体と、前記異種材料絶
縁層におけるビアホール導体とを異なる材料から形成し
たことを特徴とする多層基板。 - 【請求項2】ビアホール導体は複数の絶縁層の積層方向
に連続して形成されていることを特徴とする請求項1記
載の多層基板。 - 【請求項3】ビアホール導体は金属とガラスからなり、
他の絶縁層におけるビアホール導体と、異種材料絶縁層
におけるビアホール導体とはガラスが異なることを特徴
とする請求項1または2記載の多層基板。 - 【請求項4】異種材料絶縁層におけるビアホール導体中
のガラスの軟化点は、前記異種材料絶縁層の焼成収縮開
始温度よりも低温であり、他の絶縁層におけるビアホー
ル導体中のガラスの軟化点は、前記他の絶縁層の焼成収
縮開始温度よりも低温であることを特徴とする請求項1
乃至3のうちいずれかに記載の多層基板。 - 【請求項5】異種材料絶縁層、他の絶縁層のそれぞれの
熱膨張係数と、前記異種材料絶縁層、前記他の絶縁層に
それぞれ形成されたビアホール導体の熱膨張係数差が1
1×10-6/℃以下であることを特徴とする請求項1乃
至4のうちいずれかに記載の多層基板。 - 【請求項6】他の絶縁層が、MgTiO3 またはMgT
iO3 −CaTiO3を主成分とし、B、アルカリ金
属、Si、アルカリ土類金属を含有することを特徴とす
る請求項1乃至5のうちいずれかに記載の多層基板。 - 【請求項7】異種材料絶縁層は、他の絶縁層と比誘電率
が異なる材料からなり、かつ、アルミナ、シリカ、Mg
TiO3 、MgTiO3 −CaTiO3 から選ばれる1
種以上と、結晶性ガラスとを含有することを特徴とする
請求項1乃至6のうちいずれかに記載の多層基板。 - 【請求項8】他の絶縁層が、金属元素として少なくとも
MgおよびTiを含有し、これらのモル比による組成式
を、 (1−x)MgTiO3 ・xCaTiO3 と表した時、前記xが0≦x≦0.2を満足する主成分
と、該主成分100重量部に対して、BをB2 O3 換算
で3〜20重量部、アルカリ金属をアルカリ金属炭酸塩
換算で1〜10重量部、SiをSiO2 換算で0.01
〜5重量部、アルカリ土類金属をアルカリ土類金属酸化
物換算で0.1〜5重量部含有することを特徴とする請
求項1乃至7のうちいずれかに記載の多層基板。
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