JP2001180975A - 結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板及び情報記録媒体 - Google Patents

結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板及び情報記録媒体

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ヤング率、強度及び耐熱性が高く、表面平滑性
や表面均質性及び表面加工性に優れ、かつガラスの液相
温度が比較的低く安価に製造できる結晶化ガラスからな
る情報記録媒体用基板及びこの基板を用いた情報記録媒
体の提供。 【解決手段】SiO2:35−65モル%、Al2O3: 5−25モル
%、MgO: 10−40モル%、TiO2: 5−15 モル%を含有
し、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上であり、
主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である情
報記録媒体用結晶化ガラス基板。その製造方法#及び上
記基板上に形成された記録層とを有する情報記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク、光
ディスク、光磁気ディスク等の情報記録媒体に用いられ
る基板用に適した結晶化ガラス、この結晶化ガラスから
なる情報記録媒体用基板および該情報記録媒体用基板を
用いた情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピューターなどの磁気記憶装置の主
要構成要素は、磁気記録媒体と磁気記録再生用の磁気ヘ
ッドである。磁気記録媒体としてはフレキシブルディス
クとハードディスクとが知られている。このうちハード
ディスク用の基板材料としては主としてアルミニウム合
金が使用されてきている。最近、ノートパソコン用ハー
ドディスクドライブの小型化や磁気記録の高密度化にと
もなって磁気ヘッドの浮上量が顕著に減少してきてい
る。これに伴い、磁気ディスク基板の表面平滑性につい
て、きわめて高い精度が要求されてきている。しかし、
アルミニウム合金の場合には、硬度が低いことから高精
度の研磨材及び工作機器を使用して研磨加工を行って
も、この研磨面が塑性変形するので、ある程度以上高精
度の平坦面を製造することは困難である。たとえアルミ
ニウム合金の表面にニッケル−リンめっきを施しても、
表面粗さRa(JIS B0601)を5オングストローム以下にす
ることはできない。さらに、ハードディスクドライブの
小型化・薄型化が進展するのにつれて、磁気ディスク用
基板の厚みを小さくすることも強く要求されている。し
かし、アルミニウム合金は、強度、剛性が低いので、ハ
ードディスクドライブの仕様から要求される所定の強度
を保持しつつ、ディスクを薄くすることは困難である。
【0003】そこで、高強度、高剛性、高耐衝撃性、高
表面平滑性を必要とされる磁気ディスク用ガラス基板が
登場してきた。このうち、基板表面をイオン交換法で強
化した化学強化ガラス基板や、結晶化処理を施した結晶
化基板などがよく知られている。イオン交換強化ガラス
基板としては、例えば、特開平1−239036号公報
に開示のガラスが知られている。このイオン交換強化ガ
ラス基板は、重量%表示で、SiO2:50−65%、Al2O
3:0.5−14%、R2O(ただしRはアルカリ金属イオ
ン):10−32、ZnO:1−15%、B2O3:1.1−
14%を含むガラスをアルカリイオンによるイオン交換
法によってガラス基板の表面に圧縮応力層を形成し強化
された磁気ディスク用ガラス基板である。
【0004】また、結晶化ガラスとしては、例えば、特
許第2516553号公報に記載のものがある。この結
晶化ガラスは、重量%表示で、SiO2:65−83%、Li
2O:8−13%、K2O:0−7%、MgO:0.5−5.5
%、ZnO:0−5%、PbO:0−5%(ただしMgO+ZnO+ P
bO:0.5−5%)P2O5:1−4%、Al2O3:0−7
%、As2O3+Sb2O3:0−2%を含み、主結晶として微細
なLi2O・2SiO2結晶粒子を含む磁気ディスク用結晶化ガ
ラスである。さらに、特開平7−291660号公報に
も、結晶化ガラスが開示されている。この結晶化ガラス
は、重量百分率で、SiO2 38%〜50%、Al2O3 18
%〜30%、MgO 10%〜20%、ただし、重量比
で、Al2O3/MgO=1.2〜2.3、B2O3 0%〜5%、
CaO 0%〜5%、BaO 0%〜5%、SrO 0%〜5
%、ZnO 0.5%〜7.5%、TiO2 4%〜15%、Z
rO2 0%〜5%、As2O3および/またはSb2O3 0%〜
2%、の組成から成るガラスを溶融し、成形した後、熱
処理することにより得られる。このガラスは、結晶とし
て、コージェライト系結晶を含有することを特徴とする
コージェライト系結晶化ガラスである。さらに、この結
晶化ガラスからなる磁気ディスク用基板も開示されてい
る。
【0005】また、特開平9−77531号公報(米国
特許5,476,821号)にも結晶化ガラスが開示されてい
る。この結晶化ガラスは、ヤング率が約14×106 から約
24×10 6 psi(96〜165Gpa)までの範囲にあり、破
壊靱性が1.0 Mpa.m1/2 より大きいガラスセラミック製
品である。さらに、この結晶化ガラスは、ケイ質を多く
含む残存ガラスマトリックス相中に均一に分散している
均一な大きさの尖晶石型結晶から主になる結晶相集成体
から構成され、酸化物基準の重量パーセントで表して、
35−60%のSiO2 と、20−35%のAl2O3と、0−25%のMg
Oと、0−25%のZnOと、0−20%のTiO2 と、0−10%
のZrO2と、0−2%のLi2Oと、0−8%のNiOとから実
質的になり、MgO+ZnOの合計が少なくとも約10%であ
り、BaO、CaO、PbO、SrO、P2O5、B2O3、およびGa2O3
らなる群より選択される5%までの任意の成分と、Na
2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oからなる群より選択され
る、0−5%のR2Oと、0−8%の遷移金属酸化物とを
含んでもよく、Al2O3が約25%未満の量しか含まれない
場合には、TiO2 +ZrO2 +NiOの合計量が5%以上であ
る組成を有するガラスセラミックである。上記公報に
は、このガラスセラミックからなる磁気ディスク用基板
も開示されている。
【0006】また、米国特許第5,491,116号にも結晶化
ガラスが開示されている。この結晶化ガラスは、破壊係
数が少なくとも約15,000psi、ヌープ硬度が約760KHNを
超え、ヤング率が約20×106 psi、及び破壊靱性が1.0Mp
a.m1/2より大きいガラスセラミック製品である。主結晶
は、エンスタタイト又はその固溶体及びスピネル(尖晶
石型結晶)からなり、重量%で、35-60%のSiO2、10-30
%のAl2O3、12-30%のMgO、0-10%のZnO、5-20%のTi
O2、及び0-8%のNiOから実質的になる組成を少なくとも
92%含む結晶化ガラスである。さよに、この結晶化ガ
ラスからなる磁気ディスク用基板も開示されている。
尚、上記特許に記載の結晶化ガラスと同一のガラスがJo
urnal of Non-Crystalline Solids 219(1997)219-227に
も開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の
ハードディスクの小型化、薄型化、記録の高密度化に伴
って、磁気ヘッドの低浮上化及びディスク回転の高速化
が急速に進んでいる。そのため、ディスク基板材料の強
度やヤング率、表面平滑性などが一層厳しく要求されて
きている。特にパソコン及びサーバー用3.5インチハー
ドディスク情報記録の高密度化によって基板材料の表面
平滑性及び表面平坦性が厳しく要求され、またデータ処
理の高速化に対応してディスクの回転数を10000rpm以上
にする必要がある。そのため、基板材料の剛性度に対す
る要求が一層厳しくなってきており、従来のアルミ基板
の限界がすでにはっきりとしている。今後、ハードディ
スクの高容量化、高速回転化の需要が必然であるかぎ
り、磁気記録媒体用基板材料としては高ヤング率、高強
度、優れた表面平坦性、耐衝撃性などが強く要求される
ことは明らかである。
【0008】ところが、前述の特開平1−239036
公報に開示されているような化学強化ガラスは、ヤング
率が約80Gpa程度であり、今後のハードディスクの厳
しい要求に対応できない。これまでのイオン交換強化基
板ガラスはイオン交換のため多量のアルカリイオンをガ
ラスに導入しており、そのためほとんどの強化ガラスの
ヤング率は低い(90Gpa)。さらに、剛性度も低いので、
3.5インチのハイエンドディスク基板や薄型化ディスク
基板に対応できない。また、イオン交換による化学強化
を施したガラスには多量のアルカリ成分含まれる。その
ため、高温、多湿環境下において長時間使用すると磁気
膜のピンホール部または磁気膜の周辺部など磁気膜が薄
い部分またはガラスが露出した部分からアルカリイオン
が析出し、これが引き金となって磁気膜が腐食或いは変
質するなどの欠点もある。さらに磁気記録媒体の製造過
程においては、ガラス基板上に磁気層を設けた後に、磁
気層の保磁力などの特性を向上させるために所定の熱処
理を施される場合がある。しかし、上記従来のイオン交
換強化ガラスではガラスの転移温度がせいぜい500℃
程度であり、耐熱性に乏しいので、高保磁力が得られな
いという問題もある。
【0009】また、前述の特許第2516553号公報
に開示されているような従来の結晶化ガラスは、ヤング
率や耐熱性の点では、上記の化学強化ガラス基板より少
々優れている。しかし、表面粗さが10オングストロー
ム以上であり、表面平滑性が乏しく、磁気ヘッドの低浮
上化に限界がある。そのため、磁気記録の高密度化に対
応できないという問題がある。さらに、ヤング率もせい
ぜい90-100Gpa程度であり、3.5インチハイエンドディス
ク基板や薄型化ディスク基板に対応することもできな
い。また、前述の特開平7−291660号公報に開示
されている結晶化ガラスは、ヤング率がせいぜい100
〜130GPaであり、十分とは言えない。さらに、中
心線平均粗さ(Ra)が8オングストローム程度の表面
平滑性しか有さず、平滑性に劣る。加えて、ガラスの液
相温度も1400℃程度と高く、製造しにくいという欠
点がある。
【0010】さらに、前述の特開平9−77531号公
報に開示されている結晶化ガラスは、その主結晶がスピ
ネルであるため、非常に研磨しにくいという欠点があ
る。さらには、ガラスの液相温度が1400℃以上と高
く、高温溶融及び高温成形し難いという欠点もある。さ
らに、米国特許5,491,116及びJournal of Non-Crystall
ine Solids 219(1997) 219-227の結晶化ガラスはスピネ
ルと共にエンスタタイトが多く含まれている。従って、
特開平9−77531号公報に開示された結晶化ガラス
よりは研磨のし易さは改善されていると考えられる。し
かし、依然としてスピネルが含まれているため、研磨性
は充分とは言い難い。即ち、依然として所望の表面粗さ
を得るために要する研磨時間が長く、生産性が悪いとい
う問題点があった。
【0011】さらに、特許第2648673号公報に記
載のガラスは、1200℃以上の使用温度を目的とした耐火
性ガラスセラミックスであるために、情報記録媒体用基
板として用いることが困難である。即ち、熔解温度が高
く製造し難く、さらに結晶サイズが大きく、情報記録媒
体に要求される表面平滑性を得ることができない。
【0012】そこで、本発明の目的は、近い将来の磁気
磁気記録媒体用基板の薄型化、高強度、高耐熱性、高対
衝撃性などの要求を考慮して、ヤング率、強度及び耐熱
性が高く、表面平滑性や表面均質性及び表面加工性に優
れ、かつガラスの液相温度が比較的低く安価に製造でき
る、結晶化ガラスからなる磁気ディスク等の情報記録媒
体用基板を提供することにある。さらに本発明の目的
は、上記結晶化ガラスからなる基板を用いた磁気ディス
ク等の情報記録媒体を提供することにある。また、本発
明は、上記結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板の
製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らが種々検討した結果、140Gpa以上の
高いヤング率及び良好な表面平滑性及び優れた表面加工
性を有し、液相温度が比較的低い情報記録媒体用基板に
適した結晶化ガラスが得られることを見出して、本発明
に至った。本発明は、以下の通りである。
【0014】[請求項1]SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% を含有し、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上で
あり、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体で
ある結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板。 [請求項2]Al2O3とMgOとのモル比(Al2O3/MgO)が0.
2以上0.5未満である請求項1に記載の基板。[請求項
3]SiO2:40−60モル% Al2O3: 7−22モル% MgO: 12−35モル% TiO2: 5.5−14 モル% を含有する請求項1または2に記載の基板。 [請求項4]10モル%以下のY2O3を含有する請求項1〜
3のいずれか1項に記載の基板。 [請求項5]10モル%以下のZrO2を含有する請求項1〜
4のいずれか1項に記載の基板。 [請求項6]SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、主結
晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化
ガラスからなる情報記録媒体用基板。 [請求項7]SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、結晶
化度が20〜70体積%である結晶化ガラスからなる情
報記録媒体用基板。 [請求項8]0.3〜8モル%のY2O3を含有する請求項1〜
7のいずれか一項に記載の基板。 [請求項9]1〜10モル%のZrO2を含有する請求項1〜
8に記載の基板。 [請求項10]1〜5モル%のZrO2を含有する請求項9に
記載の基板。 [請求項11]5モル%以下のR2O(但し、RはLi、Na、K
からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)を含有
する請求項1〜5及び8〜10のいずれか1項に記載の
基板。 [請求項12]R2OがK2Oである請求項11に記載の基
板。 [請求項13]TiO2の含有量が8〜14 モル%である請求
項1〜12のいずれか1項に記載の基板。 [請求項14]ヤング率が140Gpa以上である請求項1〜
13のいずれか1項に記載の基板。 [請求項15]SiO2:35−43モル% Al2O3: 9−20モル% MgO: 30−39モル% Y2O3: 1−3モル% TiO2: 8.5−15 モル% ZrO2: 1−5 モル% である請求項1または2に記載の基板。 [請求項16]SiO2/MgOモル比が1.35以下である請求
項15に記載の基板。 [請求項17]ヤング率が160Gpa以上である請求項15
または16に記載の基板。 [請求項18]結晶粒子の平均粒子径が100nm以下であ
る請求項1〜17のいずれか1項に記載の基板。 [請求項19]結晶粒子の平均粒子径が70nm以下である
請求項1〜18のいずれか1項に記載の基板。 [請求項20]表面粗さRa(JIS B0601)が1nm以下である
研磨面を有する請求項1〜19のいずれか1項に記載の
基板。 [請求項21]表面粗さRa(JIS B0601)が1nm以下である
研磨面を有し、主結晶がエンスタタイト及び/又はその
固溶体である結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基
板。 [請求項22] 表面粗さRa(JIS B0601)が0.5nm以下で
ある研磨面を有する請求項21に記載の基板。 [請求項23]波長が600nmである光の透過率が1mm厚の
ときに10%以上である請求項1〜22に記載の基板。 [請求項24]熱膨張係数が65×10-7〜85×10
-7/℃である請求項1〜23に記載の基板。 [請求項25]主結晶としてエンスタタイト及び/又は
その固溶体を含み、かつ少なくとも前記主結晶の平均結
晶粒子径が100nm未満である結晶化ガラスからなる情報
記録媒体用基板。 [請求項26]少なくとも前記主結晶の平均結晶粒子径
が70nm以下である請求項25に記載の基板。 [請求項27]波長が600nmである光の透過率が1mm厚の
ときに10%以上であり、主結晶がエンスタタイトである
結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板。 [請求項28]結晶化度が50体積%以上である請求項
1〜27のいずれか1項に記載の基板。 [請求項29]エンスタタイト及び/又はその固溶体の
合量が70〜90体積%、チタン酸塩が10〜30体積
%、エンスタタイト及び/又はその固溶体とチタン酸塩
の合量が90体積%以上である請求項1〜28のいずれ
か1項に記載の基板。 [請求項30]熱膨張係数が65×10-7〜85×10
-7/℃であり、主結晶としてエンスタタイト及び/又は
その固溶体を含む結晶化ガラスからなる情報記録媒体用
基板。 [請求項31]熱膨張係数が73×10-7〜83×10
-7/℃である請求項30に記載の基板。 [請求項32]主結晶として石英固溶体を実質的に含有
しない請求項1〜31のいずれか1項に記載の基板。 [請求項33]結晶相としてスピネルを実質的に含有し
ない請求項1〜32のいずれか1項に記載の基板。 [請求項34]ZnOを実質的に含有しない請求項1〜33
のいずれか1項に記載の基板。 [請求項35]情報記録媒体が磁気ディスクである請求
項1〜34のいずれか1項に記載の基板。 [請求項36]請求項1〜34のいずれか1項に記載の
基板と、該基板上に形成された記録層とを有することを
特徴とする情報記録媒体。 [請求項37]記録層が磁気記録層である請求項36に
記載の情報記録媒体。 [請求項38] ガラス原料を1400〜1650℃で
熔解し、ガラス化する工程、上記工程で得られたガラス
を板ガラス状に成形する工程、上記工程で得られた板状
ガラスを結晶が析出する温度にまで昇温して結晶化させ
る工程、を含む、SiO2:35−65モル%、Al2O3:5−25モ
ル%、MgO:10−40モル%及びTiO 2:5−15 モル%を含
有し、上記組成の合計が92モル%以上であり、主結晶が
エンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化ガラ
スからなる情報記録媒体用基板の製造方法。 [請求項39]ガラス原料がK2Oを含有し、熔解温度が
1400〜1600℃である請求項38に記載の製造方
法。 [請求項40]ガラス原料がY2O3を含有し、熔解ガラス
を600〜680℃の成形型で板ガラス状に成形する請
求項38または39に記載の製造方法。 [請求項41] ガラス原料を1400〜1650℃で
熔解し、ガラス化する工程、上記工程で得られたガラス
を板ガラス状に成形する工程、上記工程で得られた板状
ガラスを結晶が析出する温度にまで昇温して結晶化させ
る工程、を含む、 SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、主結
晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化
ガラスからなる情報記録媒体用基板の製造方法。[請求
項42]成形したガラスを850〜1150℃まで昇温
して結晶化させる請求項38〜41のいずれか一項に記
載の製造方法。[請求項43]昇温工程において、成形
したガラスを500〜850℃になるまで5〜50℃/
分で昇温し、500〜850℃になった後は0.1〜1
0℃/分で昇温する請求項42に記載の製造方法。 [請求項44] SiO2、Al2O3、MgO及びTiO2を含有する
ガラスを850〜1150℃で熱処理することにより結
晶化する工程を含む方法により製造された、SiO2:35−
65モル%、Al2O3:5−25モル%、MgO:10−40モル%及
びTiO2:5−15モル%を含有し、上記組成の合計が92モ
ル%以上であり、ZnOを含有しない結晶化ガラスからな
る情報記録媒体用基板。 [請求項45]SiO2、Al2O3、MgO及びTiO2を含有するガ
ラスを850〜1150℃で熱処理することにより結晶
化する工程を含む方法により製造された、 SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスからなる情報記
録媒体用基板。 [請求項46]前記熱処理は1〜4時間行われる請求項
44または45に記載の基板。 [請求項47]前記熱処理は、875〜1000℃で行
われる請求項44〜46のいずれか一項に記載の基板。
【0015】
【発明の実施の形態】〔結晶化ガラス〕本発明の情報記
録媒体用基板は、SiO2:35−65モル%、Al2O3: 5−25
モル%、MgO: 10−40モル%、及びTiO2:5−15 モル%
を含有し、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上で
あり、かつ主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶
体である結晶化ガラスからなるものである。本発明の基
板を構成する結晶化ガラスにおけるガラスを構成する各
成分について以下に説明する。尚、以下「%」は特に断
わらない限り、「モル%」を意味する。
【0016】SiO2はガラスの網目構造の形成物であり、
主な析出結晶であるMgO・SiO2の組成を有するエンスタタ
イト及び(Mg・Al)SiO3の組成を有するエンスタタイト固
溶体の構成成分でもある。SiO2の含有量が35%未満では
熔解したガラスが非常に不安定なので、高温成形ができ
なくなるおそれがあるうえ、上記のような結晶も析出し
難しくなる。また、SiO2の含有量が35%より少なくなる
と、残存ガラスマトリックス相の化学耐久性が悪化した
り、耐熱性も悪化する傾向がある。一方、SiO2の含有量
が65%を超えると、主結晶としてエンスタタイトが析出
しにくくなり、ガラスのヤング率が急激に小さくなる傾
向がある。そのため、SiO2の含有量は、析出結晶種及び
その析出量、化学耐久性、耐熱性及び成形・生産性を考
慮すると、35−65%の範囲である。より好ましい物性を
有する結晶化ガラスが得られるという観点から、SiO2
含有量は、好ましくは、40−60%の範囲である。尚、後
述するように、ほかの成分との組合せで、表面平滑性は
多少劣るが、160GPa以上の高いヤング率を有する
結晶化ガラスが得られることから、SiO2の含有量が35〜
43%であることが好ましい場合がある。
【0017】Al2O3はガラスの中間酸化物であり、ガラ
ス表面硬度の向上に寄与する。しかし、Al2O3の含有量
が 5%未満ではガラスマトリックス相の化学耐久性も低
下し、基板材料に要求される強度が得られにくくなる傾
向がある。一方、Al2O3の含有量が25%を超えると、主
結晶としてのエンスタタイトの析出がしにくくなるとと
もに、溶融温度が高くなってガラスが溶けにくくなるう
え、失透しやすくなって容易に成形しにくくなる傾向が
ある。従って、ガラスの熔解性、高温度成形性、析出結
晶種などを考慮して、Al2O3の含有量は5−25%の範囲、
好ましくは7−22%の範囲とすることが適当である。
尚、後述するように、ほかの成分との組合せで、表面平
滑性は多少劣るが、160GPa以上の高いヤング率を
有する結晶化ガラスが得られることから、Al2O3の含有
量が9〜20%であることが好ましい場合がある。
【0018】MgOはガラスの修飾成分であり、MgO・SiO2
の組成を有するエンスタタイト及びその固溶体の結晶の
主成分でもある。MgOの含有量が10%未満では上記のよ
うな結晶が析出しにくく、ガラスの失透傾向及び溶融温
度が高く、かつガラス成形の作業温度幅が狭くなる傾向
がある。一方、MgOの含有量が40%を超えると、ガラス
の高温粘性が急激に低くなって熱的に不安定となり、生
産性も悪化し、ヤング率や耐久性も低下する傾向があ
る。そこで、MgOの含有量は、ガラスの生産性、化学耐
久性、高温粘性及び強度などを考慮すると、10−40%の
範囲であること、好ましくは12−35%の範囲であること
が適当である。尚、後述するように、ほかの成分との組
合せで、表面平滑性は多少劣るが、160GPa以上の
高いヤング率を有する結晶化ガラスが得られることか
ら、MgOの含有量が30〜39%であることが好ましい場合
がある。
【0019】但し、モル比(Al2O3/MgO)は0.5未満
となるように、MgO及びAl2O3の含有量は調整する。モル
比(Al2O3/MgO)が、0.5以上になると、結晶化ガラ
スのヤング率が急激に低下する傾向があるからである。
Al2O3/MgO<0.5とすることで、150GPa以上の高
ヤング率を有する結晶化ガラスを得ることもできる。好
ましくはAl2O3/MgO<0.45である。但し、Al2O3/M
gOのモル比を小さくし過ぎると、ガラスの高温粘性が低
下する傾向及び結晶粒子が大きくなる恐れがあるのでAl
2O3/MgO比は0.2以上、好ましくは0.25以上であ
ることが適当である。
【0020】TiO2はMgO・SiO2の組成を有するエンスタタ
イト及び(Mg・Al)SiO3の組成を有するエンスタタイト固
溶体の結晶相析出の核生成剤でる。さらに、TiO2は、Si
O2の含有量が少ない場合に、ガラスの失透を抑える効果
も有する。但し、TiO2の含有量が5%未満の場合、主結晶
の核生成剤としての効果が充分に得られず、ガラスが表
面結晶化してしまい、均質な結晶化ガラスの作製が難し
くなる傾向がある。一方、TiO2の含有量が15%を超える
と、ガラスの高温粘性が低くなりすぎて分相したり、失
透したりするので、ガラスの生産性が極端に悪化する傾
向がある。そのため、ガラスの生産性、化学耐久性、高
温粘性、結晶核生成などを考慮すると、TiO2の含有量は
5−15%の範囲であること、好ましくは5.5−14%の範囲
であることが適当である。より好ましくは、8-14%の範
囲である。尚、後述するように、ほかの成分との組合せ
で、表面平滑性よりもヤング率を重視したとき、160
GPa以上の高いヤング率を有する結晶化ガラスが得ら
れることから、TiO2の含有量が8.5〜15%であることが
好ましい場合がある。
【0021】本発明の結晶化ガラスにおいて、Y2O3を含
むことができる。しかし、後述の実施例で示すように、
例えば、2%のY2O3を導入することによって結晶化ガラス
のヤング率を10Gpa程度増大でき、かつ液相温度を50−1
00℃程度低減することができる。即ち、少量のY2O3の導
入によってガラスの特性や生産性を格段に向上させるこ
とができる。Y2O3の含有量が0.3%以上であれば、上記Y
2O3の効果が得られる。Y2O3の含有量は好ましくは0.5%
以上である。但し、Y2O3は前述のガラスに含まれる主結
晶の成長を抑える力をもつ。そのため、Y2O3の含有量が
多過ぎると、ガラスを結晶化させる目的で行われる熱処
理において、表面結晶化が起り易く、目的とする結晶化
ガラスが作れなくなる傾向がある。このような観点から
Y2O3の含有量は、10%以下とすることが適当である。特
に、Y2O3の含有量は、好ましくは8%以下、より好ましく
は3%以下である。
【0022】さらに、本発明の結晶化ガラスは、10%
以下のZrO2を含有することができる。ZrO2はガラ
スの安定性を高め、特にMgOを多く含むガラスの安定
性の向上に大きな役割を果たすことができる。また、核
生成剤としても作用し、TiO2の補佐役として予備処
理中のガラス分相を促進して結晶粒子の微細化に貢献す
る。しかし、ZrO2の含有量が10%を超えると、ガ
ラスの高温熔解性や均質性が悪化するおそれがあるの
で、その導入量は1〜10%であることが適当である。
さらに、ガラスの高温熔解性や結晶粒子の均質性などを
考慮すると、ZrO2の導入量は好ましくは0〜6%、
さらに好ましくは1〜5%である。
【0023】本発明の結晶化ガラスは、高ヤング率など
の特性及び均質な結晶性を保つという観点からSiO2、Al
2O3、MgO、及びTiO2の合計を92%以上とする。SiO2
Al2O 3、MgO、及びTiO2の合計は、好ましくは93%以
上、より好ましくは95%以上である。
【0024】上記範囲内であれば、上記以外の成分とし
て、結晶化ガラスの所望の特性を損なわない範囲で、ア
ルカリ金属酸化物R2O(例えば、Li2O、Na2O、K2O等)及び
/又はアルカリ土類金属酸化物RO(例えば、CaO、SrO、B
aO等)等の成分を含んでもよい。アルカリ金属酸化物及
び/又はアルカリ土類金属酸化物は、ガラス原料として
硝酸塩を使用できる。ガラス製造の際に脱泡剤としてSb
2O3を使用するとガラス熔解用白金坩堝からガラスに白
金が混入し易く、ガラス原料として硝酸塩を使用するこ
とにより、ガラスへの白金の混入を抑制することができ
る。アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の
含有量はそれぞれ0.1%以上であることが上記効果を得
るという観点から好ましい。但し、アルカリ金属酸化物
を含む場合、アルカリ金属酸化物はヤング率を低下させ
る傾向があることから、その含有量は5%以下とするこ
とが適当である。一方、アルカリ金属酸化物はガラスの
熔解温度を下げる効果や、白金熔解炉からの白金の混入
物をイオン化して熔解させる効果がある。この場合も、
0.1%以上の添加が効果的である。特に、K2Oは、ガラス
の熔解温度を下げる効果、及び白金熔解炉からの白金の
混入物をイオン化して熔解させる効果とともにヤング率
を低下させにくい効果を有するため好ましい。K2Oを含
有させる場合、その含有量は、5%以下とすることが適
当であり、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.1〜1
%とする。
【0025】又、アルカリ土類金属酸化物を含む場合、
アルカリ土類金属酸化物は、結晶粒子を大きくする傾向
があることから、その含有量は5%以下であることが適当
である。アルカリ金属酸化物を含む場合、特に、0.1〜5
%、好ましくは0.1〜2%、より好ましくは0.1〜1%のK2Oを
含むことが好ましい。アルカリ土類金属酸化物を含む場
合、特に、0.1〜5%、好ましくは0.1〜2%のSrOが好まし
い。特にガラスの安定化という観点から、SrOが好まし
く、その含有量は、0.1〜5%、好ましくは0.1〜2%であ
る。
【0026】また、ガラスの均質化を図るために脱泡剤
としてAs2O3及び/又はSb2O3を含有させることもでき
る。ガラスの組成により変化する高温粘性に応じて、適
当量のAs2O3やSb2O3或いはAs2O3+Sb2O3をガラスに添加
することで、より均質なガラスが得られる。但し、脱泡
剤の添加量が多過ぎると、ガラスの比重が上昇してヤン
グ率を低下させる傾向があり、また熔解用白金るつぼと
反応してるつぼにダメージを与える場合もある。そこ
で、脱泡剤の添加量は2%以下、好ましくは1.5%以下
とすることが適当である。以上の基本成分の他に原料中
の不純物、例えばガラスの清澄剤となるCl、F、SO3等を
本発明の結晶化ガラスの特性を損ねることのない、それ
ぞれ1%以下であれば含有させることができる。又、本
発明の結晶化ガラスは、ZnO及びNiOを実質的に含まない
ことが好ましい。ZnOは、硬い結晶であるスピネルを形
成し易くさせるためである。またNiOは、スピネルを形
成し易くさせるという観点からも環境に影響する成分で
あるという観点からも含有させないことが望ましい。
【0027】本発明の好ましい情報記録媒体用基板の1
つの態様は、SiO2:35−65モル%、Al2O3: 5−25モル
%、MgO: 10−40モル%、TiO2: 5−15 モル%、Y
2O3: 0−10モル%、ZrO2: 0−6 モル%、R2O: 0−5
モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から選ばれる少
なくとも1種を表す)、RO: 0−5 モル%(但し、RはC
a、Sr、Baからなる群から選ばれる少なくとも1種を表
す)、As2O3+Sb2O3: 0−2 モル%、SiO2 + Al2O3 + MgO
+ TiO2: 92 モル%以上であり、主結晶がエンスタタ
イト及び/又はその固溶体である結晶化ガラスからなる
基板である。
【0028】本発明において主結晶とは、本発明の効果
を得るために必須の結晶であり、ガラス中の結晶のうち
最も多く含有される結晶である。好ましくは主結晶と
は、ガラス中の結晶のうち、50体積%以上含有されるも
のである。尚、本発明の結晶化ガラスは、多くは、エン
スタタイト及び/又はその固溶体が70体積%以上であ
り、場合によっては80体積%以上、さらに場合によっ
ては90体積%以上含有される。本発明の結晶化ガラス
における主結晶は、例えば、MgO・SiO2及び(Mg・Al)SiO3
の組成を有するエンスタタイト(エンスタタイト固溶体
を含む)である。また、本発明の結晶化ガラスが、エン
スタタイト及びその固溶体を含有する場合、エンスタタ
イト及びその固溶体の集合を主結晶という。尚、エンス
タタイトには、クリノエンスタタイト、プロトエンスタ
タイト及びエンスタタイトが包含される。さらに、上記
の結晶の他にチタン酸塩を含み得る。結晶相の例として
は、エンスタタイト及び/又はその固溶体の合量が50
〜100体積%、チタン酸塩が50〜0体積%析出した
ものを挙げることができる。また、エンスタタイト及び
/又はその固溶体が70〜90体積%、チタン酸塩が3
0〜10体積%析出したものを挙げることができる。こ
のとき、エンスタタイト及び/又はその固溶体とチタン
酸塩の合量は、ガラス中の結晶のうち90体積%以上で
あることが好ましく、95体積%以上であることがより
好ましく、99体積%以上であることが最も好ましい。
【0029】エンスタタイト及び/又はその固溶体並び
にチタン酸塩以外の結晶としては、ムライト、フォステ
ライト、コージェライト、クオーツ、クオーツ固溶体な
どが挙げられる。しかし、スピネルは含有しない。エン
スタタイトは、硬度が低いため(モース硬度5.5)、
エンスタタイトを主結晶とする結晶化ガラスは非常に研
磨がしやすく、比較的短い時間で所望の表面粗さを得る
ことができるという特徴がある。さらに、エンスタタイ
トは、その鎖状又は層状の結晶の形状から、そのすき間
にガラス成分が入り込み、粒子サイズが小さくても高い
ヤング率が得られると考えられる。それに対して、スピ
ネルは、エンスタタイトと比較すると硬い結晶である
(モース硬度8)であるため、研磨がしやすいという効
果を損ねると考えられる。本発明の結晶化ガラスは石英
固溶体を含まないことが好ましい。
【0030】また、本発明において、ガラス中の結晶の
割合(結晶化度)は、約20〜70体積%である。ここ
で結晶化度は、50体積%以上であることが、高いヤン
グ率を有する基板とする上で好ましい。但し、結晶化後
の後工程の容易さを考慮すると、結晶化度は、20〜5
0体積%、さらには20〜30体積%とすることもでき
る。また、結晶化後の後工程の容易さよりもヤング率の
高さを重視する場合には、結晶化度は50〜70体積%
とすることができる。さらに、本発明の結晶化ガラスに
含まれる結晶のサイズ(粒径)の平均値は、100nm以下で
あることが好ましく、50nm以下であることがより好まし
く、30nm以下であることがさらに好ましい。結晶サイズ
の平均値は100nmを超えると、ガラスの機械強度を低下
させるだけでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こ
してガラスの表面粗度を悪化させるおそれがある。この
ような結晶粒子のサイズの制御は、主に、含まれる結晶
相の種類及び後述の熱処理条件によって行うことができ
る。本発明においては、本発明における必須成分である
エンスタタイト及び/又はその固溶体の主結晶が得られ
る熱処理条件において、上記したような微細な結晶のサ
イズを得ることが可能である。また、本発明の基板を構
成する結晶化ガラスは、熱膨張係数が65×10-7〜8
5×10-7/℃であり、さらに73×10-7〜83×1
-7/℃であることができる。熱膨張係数は、情報記録
媒体用基板として要求される特性に照らして上記範囲内
に設定することができる。
【0031】〔結晶化ガラス及び基板の製造方法〕本発
明の結晶化ガラスからなる基板は、公知のガラス基板の
製造方法を用いて製造することができる。例えば、高温
溶融法、即ち所定の割合のガラス原料を空気中または不
活性ガス雰囲気で熔解し、バブリングや脱泡剤の添加や
撹拌などによってガラスの均質化を行い、周知のプレス
法やダウンロード成形などの方法により板ガラスに成形
し、その後、研削、研磨などの加工を施こすことで、所
望のサイズ、形状のガラス成形品を得ることができる。
本発明の結晶化ガラスは、例えば、1400〜1650
℃で熔解することができるが、1500〜1650℃、
さらには1550〜1600℃で熔解可能なものを含
む。前述のように、例えば、熔解温度を下げる成分とし
てK2Oの導入は好ましい。
【0032】得られたガラス成形品は、結晶化のための
熱処理を施される。熱処理の方法には特に制限はなく、
結晶化促進剤の含有量やガラスの転移温度、結晶化ピー
ク温度などに応じて適宜選択することができる。但し、
初期の段階で比較的低温度(例えば、(ガラスの転移温
度(Tg)−30℃)〜(Tg+60℃)、特にTg〜
(Tg+60℃)で熱処理して多数の結晶核を生じさせ
る。これらの温度は、具体的には700℃〜850℃の
範囲である。その後、温度を850〜1150℃に上げ
て結晶を成長させることが、結晶を微細化するという観
点からは好ましい。このとき、ガラスが500〜850
℃になった後は、微細な結晶粒の析出、及び板ガラスの
外形変形防止の観点から、昇温速度は0.1〜10℃/
分とすることがより好ましい。但し、ガラスが500〜
850℃になるまでは特に昇温速度には制限はないが、
5〜50℃/分とすることができる。また、本発明にお
いては、同じヤング率や同じ結晶粒子の大きさまたは同
じ結晶化均質性を有する結晶化ガラスを作製するための
結晶核生成熱処理及び結晶成長熱処理の許容温度範囲は
30℃以上の温度幅をもつので、結晶化の製造工程を容易
に制御することができる。
【0033】さらに、本発明においては、熱処理により
MgO・SiO2の組成を有するエンスタタイト及び(Mg・Al)SiO
3の組成を有するエンスタタイト固溶体が主結晶として
析出する熱処理条件とする。尚、これらの主結晶のほ
か、フォステライト、コージェライト、チタン酸塩、ム
ライトなどのその他の結晶が析出してもよいが、エンス
タタイトやその固溶体が析出する条件を設定する。その
ような条件としては、結晶化のための熱処理として85
0〜1150℃、好ましい。875〜1050℃で加熱
することが好ましい。加熱温度が850℃未満ではエン
スタタイト及びその固溶体が析出しにくい。また、11
50℃を超えるとエンスタタイト及びその固溶体以外の
結晶が析出し易くなる。また、875〜1000℃以下
にすることにより、エンスタタイト及び/又はその固溶
体の粒径を比較的小さく、例えば、100nm以下、好まし
くは50nm以下にすることができる。結晶化のための熱処
理時間は、熱処理温度との関係で、結晶化度、結晶粒径
に作用するため、所望の結晶化度、結晶粒径によって、
適宜選択出来るが、850〜1150℃の熱処理の場
合、1〜4時間とすることが好ましい。また、結晶化の
ための熱処理の前に行う核生成処理温度をガラスの転移
温度(Tg)より30℃低い温度から60℃高い温度、
好ましくはTgより0〜60℃高い温度、より好ましく
はTgより10〜50℃高い温度に設定することが、小
さい結晶粒径の結晶を析出させるという観点から適当で
ある。
【0034】熱処理を終えた結晶化ガラスの成形品は、
必要により研磨することができ、研磨方法については特
に制限がない。例えば、合成ダイヤモンド、炭化珪素、
酸化アルミニウム、炭化ホウ素などの合成砥粒や、天然
ダイヤモンド、酸化セリウムなどの天然砥粒を用いて、
公知の方法により研磨することができる。成形を終え、
結晶化する前の成形品を研磨した後、上記結晶化を行う
ことも出来る。本発明の本発明の結晶化ガラスからなる
情報記録媒体用基板は、上記方法において、成形品を基
板形状とすることで得ることができる。本発明の結晶化
ガラスから基板は、AFM(原子間力顕微鏡)で測定した
平均粗さRa(JIS B0601)で1nm以下の表面平滑性を有
することが好ましい。特に本発明の結晶化ガラスを磁気
ディスク基板に用いる場合、表面の平均粗さRa(JIS B06
01)は、磁気ディスクの記録密度に大きく影響する。表
面粗さが1nmを超えると、高記録密度化を達成しにく
くなる。本発明の結晶化ガラスから基板の表面粗さは磁
気ディスクの高記録密度化を考慮すると、0.7nm以
下であることがより好ましく、0.5nm以下であるこ
とがさらに好ましい。
【0035】エンスタタイトやその固溶体を主結晶とし
て含む本発明の結晶化ガラスからなる基板は、高強度、
高硬度、高ヤング率であり、かつ化学的耐久性や耐熱性
が優れることから、磁気ディスク基板として有用であ
る。さらに、本発明の結晶化ガラスは、無アルカリ、又
は低アルカリであるため、磁気ディスク基板とした場合
でも、磁気膜と基板とのコロージョンを大いに低減する
ことができ、磁気膜を最善に保つことができる。
【0036】本発明の結晶化ガラス基板は、上記のよう
に、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体であ
るSiO2−Al2O3−MgO系ガラスからなるが、これ以外に、
本発明は、SiO2−Al2O3−MgO系ガラス以外のガラスであ
って、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体で
ある結晶化ガラスからなり、かつ表面粗さRa(JIS B060
1)が1nm以下である研磨面を有する情報記録媒体用結
晶化ガラス基板を包含する。尚、ここで主結晶とは、ガ
ラス中の結晶のうち50体積%以上含有されるものであ
る。この結晶化ガラスは、多くの場合、エンスタタイト
及び/又はその固溶体が結晶のうち70体積%以上、
又、場合によっては80体積%以上、さらには90体積
%以上含有されるものである。また、この結晶化ガラス
において、ガラス中の結晶の割合は、おおよそ20〜7
0%程度である。
【0037】この態様の結晶化ガラス基板においては、
結晶化ガラスに含まれる結晶のサイズ(粒径)の平均値
(結晶粒子の平均粒子径)は、0.5μm以下であること
が好ましく、0.3μm以下であることがより好まし
く、0.1μm以下であることがさらに好ましい。結晶
化ガラスに含まれる結晶のサイズの平均値は、最も好ま
しくは、50nm以下である。結晶サイズの平均値は
0.5μmを超えると、ガラスの機械強度を低下させる
だけでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こしてガ
ラスの表面粗度を悪化させるおそれがある。このような
結晶粒子のサイズの制御は、主に、含まれる結晶相の種
類及び後述の熱処理条件によって行うことができるが、
本発明においては、本発明における必須成分であるエン
スタタイト及び/又はその固溶体の主結晶が得られる熱
処理条件において、上記したような微細な結晶のサイズ
を得ることが可能である。結晶粒子径が小さいと、波長
600nmの光の透過率が1mm厚さの結晶化ガラス基板に対し
て大きくなる。本発明の基板においては、厚さ1mmの結
晶化ガラス基板についての波長600nmの光の透過率は、1
0%以上であり、50%以上、さらに60〜90%以上にもなり得
る。
【0038】この態様の結晶化ガラス基板は、ヤング率
が140Gpa以上であることが高速回転基板として好まし
い。また、本発明の結晶化ガラス基板は、主結晶として
石英固溶体を実質的に含有しないことが好ましい。さら
に、本発明の結晶化ガラス基板は、結晶相としてスピネ
ルを実質的に含有しないことが好ましい。スピネルは、
エンスタタイトと比較すると硬い結晶である(モース硬
度8)であるため、研磨しにくく、表面粗さRa(JIS B06
01)が1nm以下である研磨面が得られにくい。
【0039】高ヤング率の必要性は、次のような事実に
基づき説明することができる。即ち、最近、HDDの小
型化、高容量化、高速化に伴って、将来の磁気記録媒体
陽基板の厚みは恐らく現在3.5インチの0.8mmから0.635m
mへと、2.5インチの0.635mmから0.43mmさらに0.38mmへ
と薄くなり、基板の回転速度も現在の最高速度の10000r
pmから14000rpmへと高速回転化すると予測されている。
このような磁気記録媒体用基板は薄くなればなるほど、
基板のたわみやうねりや反りが生じしやくなり、また高
速回転すればするほど基板の受ける応力(回転によって
生じる風圧に基づくディスクに働く力)が大きくなるこ
とが予想できる。力学の理論に基づけば、単位面積当た
りPの荷重を受けている円板のたわみWは以下のように
表される。
【0040】
【数1】
【0041】但し、 aは円板の外円径、hは基板の厚
み、Eは円板材料のヤング率である。静止状態において
は、円板に加わる力は重力のみであり、たわみは、円板
材料の比重をdとすると、
【0042】
【数2】
【0043】と表される。ここでGは円板材料の比弾性
率(=ヤング率/比重)である。一方、円板の回転状態
においては、重力成分は遠心力成分をバランスして無視
できると考えた場合、円板に加わる力は回転に基づく風
圧としてよい、風圧は円板回転速度の関数であり、一般
的にその2乗に比例すると言われている。従って、円板
が高速回転するときのたわみは以下のように表される。
【0044】
【数3】
【0045】この結果から、高速回転化基板のたわみを
押さえるためにはヤング率の高い基板材料が必要となる
ことがわかる。本発明者らの計算によると2.5インチ基
板の厚みを0.635mmから0.43mmに、3.5インチ基板の厚み
を0.8mmから0.635mmに薄くすると基板材料の比弾性率は
少なくとも37MNm/kg以上であることが要求される。ま
た、3.5インチハイエンド基板の回転速度を現在の7200r
pmから将来の10000rpmに高速化すれば、70Gpa程度のヤ
ング率をもつアルミ基板で対応できなくなり、少なくと
も110Gpa以上のヤング率を有する新しい基板材料が必要
とされる。基板材料の比弾性率またはヤング率が高けれ
ば高いほど基板の剛性度が高くなるだけでなく、基板の
耐衝撃性も強度もともに大きくなるので、高い比弾性率
及び大きなヤング率を持つガラス材料がHDDの市場か
ら強く要求されている。
【0046】本発明では、SiO2:35−43モル%、Al
2O3: 9−20モル%、MgO: 30−39モル%、Y2O3: 1−3
モル%、TiO2: 8.5−15 モル%、ZrO2: 1−5 モル%
を含有する基板が、160Gpa以上の高いヤング率を有す
る。この場合、SiO2/MgOモル比は1.35以下であること
が適当である。
【0047】本発明の結晶化ガラスからなる磁気ディス
ク基板は、磁気ディスク基板として必要な表面平滑性、
平坦性、強度、硬度、化学耐久性、耐熱性などをすべて
満足することができる。また、従来の結晶化ガラス(Li
2O−SiO2系結晶化ガラス)に比べ、約2倍程度のヤング
率をもつので、ディスクの高速回転化によるたわみをよ
り小さく抑えることができ、高TPIハードディスクの実
現のため基板材料として好適である。本発明の結晶化ガ
ラスは、耐熱性、表面平滑性、化学耐久性、光学的性質
及び機械的強度に優れているので、磁気ディスク等の情
報記録媒体用基板や光磁気ディスク用のガラス基板や光
ディスクなどの電子光学用ガラス基板として好適に使用
できる。
【0048】〔磁気ディスクの説明〕本発明の情報記録
媒体は、本発明の基板と、該基板上に形成された記録層
とを有することを特徴とする。以下、本発明の結晶化ガ
ラスからなる基板の主表面に、少なくとも磁性層を形成
した磁気ディスク(ハードディスク)について説明す
る。磁性層以外の層としては、機能面から、下地層、保
護層、潤滑層、凹凸制御層などが挙げられ、必要に応じ
て形成される。これらの各層の形成には各種薄膜形成技
術が利用される。磁性層の材料は特に制限されない。磁
性層としては、例えば、Co系の他、フェライト系、鉄−
希土類系などが挙げられる。磁性層は、水平磁気記録、
垂直磁気記録のいずれの磁性層でもよい。磁性層として
は、具体的には、例えば、Coを主成分とするCoPt、CoC
r、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCrやCoNiCrPt、CoNiCrT
a、CoCrPtTa、CoCrPtSiO などの磁性薄膜が挙げられ
る。また、磁性層を非磁性層で分割してノイズ低減を図
った多層構成としてもよい。
【0049】磁性層における下地層は、磁性層に応じて
選択される。下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、T
i、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少な
くとも一種以上の材料、又はそれらの金属の酸化物、窒
化物、炭化物等からなる下地層等が挙げられる。Coを主
成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上の観点から
Cr単体やCr合金であることが好ましい。下地層は単層と
は限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とす
ることもできる。例えば、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr等
の多層下地層等が挙げられる。また、基板と磁性層の間
又は磁性層の上部に、磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着
することを防止するための凹凸制御層を設けてもよい。
この凹凸制御層を設けることによって、磁気ディスクの
表面粗さは適度に調整されるので、磁気ヘッドと磁気デ
ィスクが吸着することがなくなり、信頼性の高い磁気デ
ィスクが得られる。凹凸制御層の材料及び形成方法は多
種知られており、特に制限されない。例えば、凹凸制御
層の材料としては、Al、Ag、Ti、Nb、Ta、Bi、Si、Zr、
Cr、Cu、Au、Sn、Pd、Sb、Ge、Mgなどから選ばれる少な
くとも一種以上の金属、又はそれらの合金、あるいは、
それらの酸化物、窒化物、炭化物等からなる下地層等が
挙げられる。形成が容易であるという観点からは、Al単
体やAl合金、酸化Al、窒化AlといったAlを主成分とする
金属であることが望ましい。
【0050】また、ヘッドスティクションを考慮する
と、凹凸形成層の表面粗さは、Rmax=50〜300オン
グストロームであることが好ましい。より好ましい範囲
は、Rmax=100〜200オングストロームである。Rm
axが50オングストローム未満の場合、磁気ディスク表
面が平坦に近いため、磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着
し、磁気ヘッドや磁気ディスクが吸着し、磁気ヘッドや
磁気ディスクが傷ついてしまったり、吸着によるヘッド
クラッシュを起こすので好ましくない。また、Rmaxが3
00オングストロームを超える場合、グライド高さ(グ
ライドハイト)が大きくなり記録密度の低下を招くので
好ましくない。尚、凹凸制御層を設けずに、ガラス基板
表面に、エッチング処理やレーザー光の照射等の手段で
凹凸を付け、テクスチャリング処理を施してもよい。
【0051】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金
膜、炭素膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。
これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにインライ
ン型スパッタ装置等で連続して形成できる。また、これ
らの保護膜は、単層としてもよく、あるいは、同一又は
異種の膜からなる多層構成としてもよい。上記保護層上
に、あるいは上記保護膜に替えて、他の保護層を形成し
てもよい。例えば、上記保護層上にテトラアルコキシラ
ンをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシ
リカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ
素(SiO2)膜を形成してもよい。この場合、保護膜と凹
凸制御層の両方の機能を果たす。潤滑層としては多種多
様な提案がなされているが、一般的には、液体潤滑剤で
あるパーフルオロポリエーテルをフレオン系などの溶媒
で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じて加熱処理
を行って形成する。
【0052】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。表1〜5には実施例1〜42のガラス組成をモル%
(または重量%)で示した。尚、表1〜5に記載の組成
は原料の組成であるが、実施例1〜15の結晶化ガラス
について原料組成と結晶化ガラス組成を分析比較した結
果、両者の差は±0.1モル%以内であった。従って、表
1〜5に示す原料ガラス組成は、結晶化ガラス組成と実
質的に同一である。
【0053】実施例におけるこれらのガラスを熔解する
際の出発原料としては、SiO2、Al2O 3、Al(OH)3、MgO、Y
2O3、TiO2、ZrO2、KNO3、Sr(NO3)2、Sb2O3などを用いて
表1〜5に示した所定の割合に250−300g秤量し
た。尚、表には示していないが、全てのガラスはSb2O3
を0.03モル%を含有する。秤量した原料を十分に混
合して調合バッチと成し、これを白金るつぼに入れ、1
550℃で攪拌しながら空気中4−5時間ガラスの熔解
を行った。熔融後、ガラス融液をサイズ180×15×
25mmのカーボンの金型に流し、ガラスの転移点温度ま
で放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移
温度範囲で約1時間アニールして炉内で室温まで放冷し
た。得られたガラスは顕微鏡で観察できる結晶が析出し
なかった。
【0054】180×15×25mmサイズのガラスを1
00×10×10mm、10×10×20mm、10×1×
20mmに研磨した後、熱処理炉に入れ、表1〜5に示し
た第一次熱処理温度まで1−5℃/分の昇温速度で昇温
し、当該温度で2−10時間程度保温し第一次熱処理を行
い、第一次熱処理を終えた後直ちに第一次熱処理温度か
ら表1〜5に示した第二次熱処理温度までに2−10℃/分
の昇温速度で昇温し、1−5時間程度保温した後、炉内
で室温まで冷却することによって結晶化ガラスを作製し
た。得られた結晶化ガラスをさらに長さを95mmに研磨し
てヤング率、比重の測定サンプルとした。測定で得られ
たデータをガラスの組成と共に表1〜5に示した。比較
のため、特開平1−239036号に開示されたイオン
交換ガラス基板と米国特許第2,516,553号に記載された
ガラス基板とをそれぞれ比較例1及び2として、表6に
組成と特性を記載する。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】(1)結晶種の同定 CuのKα線を用いて結晶化後のガラスを粉末にしたもの
についてX線回折を測定した。(装置:マックサイエンス
製X線回折装置MXP18A、管電圧:50kV、管電流:300mA、走
査角度10-90°)得られたX線回折のピークから、析出し
ている結晶の同定を行った。 (2)物性測定方法比重(密度)測定 ガラスサンプル自体を比重測定用サンプルとした。装置
は、アルキメデス法を利用した電子比重計(ミラージュ
貿易(株)製MD−200S)を用いた。室温での比重
の測定精度は±0.001g/cm3である。ヤング率測定 端面積10mm角〜20mm角、長さ50〜100mm
の平行出しされたサンプルを用い、ヤング率測定前に、
比重(密度)測定及び試料長さをノギスで測定し、それ
らを測定条件として用いた。装置は、(株)超音波工業
製UVM−2を用いた。縦波(Tl1、Tl2)及び横
波(TS1、TS2)を測定する際、深触子接触媒体と
して、縦波の場合は「水」を、横波の場合は「ソニコー
トSHN20若しくはSHN−B25」を深触子とサン
プル端面に塗布した。同一サンプルに対して縦波2回以
上、横波5回以上の繰り返し測定を行い、平均を算出し
た。尚、この操作により、ポアソン比も同時に得られ
る。ヤング率の測定精度は±1Gpaであり、ポアソン比の
測定精度は±0.001である。熱機械測定(Thermal Mechanical Analysis) 結晶化後の結晶化ガラスサンプルから試験片を切り出
し、φ5mm×20mmの円柱状に研削加工し、TMA測定用サン
プルとした。測定装置は(株)リガク製TAS100を用いた。
測定条件は、昇温速度4K/min、最大温度350℃とした。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy) 結晶化ガラスサンプルから30×25×1mmに加工し、30×1
5mmの2平面を精密光学研磨したものをAFM測定用サンプ
ルとした。装置は、Digital Instrument社製NanoScope
IIIを用いた。測定条件は、Tapping mode AFMで測定範
囲、2×2μmまたは5×5μm、サンプル数256×256、ス
キャンレート1Hzとし、データ処理条件、Planefit Auto
order 3(X,Y)、Flatten Auto order 3とした。Integra
l gain, Proportion gain, Set point は測定毎に調整
した。尚、測定の前処理として、研磨されたサンプルは
クリーンルーム内大型洗浄機にて純水、IPAなどによる
洗浄を行った。透過率測定 2平面を精密光学研磨した1mm厚のものを透過率測定用サ
ンプルとした。装置は、HITACHI分光器U-3410を用い、
測定波長は600nmとした。結晶化度 結晶化ガラス試料について、X線の全散乱強度を測定
し、その結果から、結晶化度x(%)は以下の式により
求めることができる。X線回折装置としては、マックサ
イエンス製X線回折装置MXP18Aを用いた。
【0062】
【数4】 x=(1−(ΣIa/ΣIa100))×100 x=(ΣIc/ΣIc100)×100 Ia:未知物質の非晶質部分の散乱強度 Ic:未知物質の結晶質部分の散乱強度 Ia100:100%非晶質試料の散乱強度 Ic100:100%結晶質試料の散乱強度
【0063】熱膨張係数測定 ガラスサンプルを切り出し、φ50nm×20nmの円柱状に研
削加工し、TMA測定用サンプルとした。測定装置は(株)
リガク製TAS100を用いた。測定条件は、昇温速度4K/mi
n、最大温度350℃とし、100〜300℃における熱膨張係数
を測定した。
【0064】表1〜5に示す結果から明らかなように、
実施例1〜42の本発明の結晶化ガラスはヤング率(14
0Gpa以上)や比弾性率(40-60MNm/kgの範囲)などの強
度特性が大きい。そのため、これらのガラスを磁気記録
媒体等の情報記録媒体用基板として使用した場合、この
ガラス基板が高速回転しても、基板に反りやブレが生じ
にくく、より基板の薄型化にも対応できることが分か
る。また、実施例1、実施例4、及び実施例10の熱処
理前のガラスについて液相温度を測定したところ、それ
ぞれ1300℃、1290℃、及び1270℃であり、ガラスの溶融
及び成形の面から要求される液相温度(例えば1350℃以
下)を満足するものであった。また、実施例1〜42の
結晶化ガラスについて、透過電子顕微鏡(TEM)を用い
て結晶粒子の平均粒径を測定したところ、平均粒径が20
-30nmのものから100〜150nmのものまであった。また、
全ての実施例の結晶化ガラスについて、表面粗さ測定用
に光学ガラス研磨を施したサンプルの研磨面について、
原子間力顕微鏡(AFM)による表面観察を行った。その結
果、実施例20、21及び24以外の結晶化ガラスの表面粗さ
(Ra(JIS B0601))は0.5nm以下であった。これらの結晶
化ガラスの表面粗度(Ra(JIS B0601))は、例えば、合
成ダイヤモンド、炭化珪素、酸化カルシウム、酸化鉄、
酸化セリウムなどの研磨剤を用いる通常の光学ガラスの
研磨法で0.5nm以下に研磨することができる。そのた
め、平坦性に優れた基板を得ることができ、磁気ヘッド
の低浮上化を図ることを目的とする磁気記録媒体用ガラ
ス基板として有用である。本発明の結晶化ガラスは、厚
さ1mmの場合、波長600nmでの透過率が50%以上であり、
ある程度透明性があった。かかる透明性は、所望の結晶
種、結晶粒径が得られているかの指標にもなり得る。本
発明の結晶化ガラスの場合、上記透過率は、例えば、6
0〜90%になり得る。例えば、結晶粒径が小さいほ
ど、上記透過率が大きくなる。
【0065】これに対し、表6に示す比較例1の化学強
化ガラス基板は、表面平滑性及び平坦性に優れているも
のの、耐熱性及びヤング率などの強度特性で本発明の結
晶化ガラスに比べかなり劣る。従って、磁気記録媒体を
製造する際、高い保磁力を得るために行う磁気層に対す
る熱処理が十分できず、高保磁力を有する磁気記録媒体
が得られないし、また、比較例1のガラスには多量のア
ルカリを含有するため、磁気膜と基板とのコロージョン
が生じやすく、磁気膜にダメージを与えるおそれがあ
る。また、比較例2の結晶化ガラス基板は、ヤング率や
比弾性率及び平滑性の点で本発明のガラスに比べ劣る。
特に基板の平滑性が大きな結晶粒子の存在によって損な
われるので、高密度記録化を図ることが難しい。
【0066】磁気ディスクの製造方法 図1に示すように、本発明の磁気ディスク1は、上記実
施例1の結晶化ガラス基板2上に、順次、凹凸制御層
3、下地層4、磁性層5、保護層6、潤滑層7を形成し
たものである。各層について具体的に説明すると、基板
2は、外円半径32.5mm、内円半径10.0mm、厚さ0.43mmの
円板上に加工したものであって、その両主表面を表面粗
さがRa(JIS B0601)=4オングストローム、Rmax=40
オングストロームとなるように精密研磨したものであ
る。凹凸制御層は、平均粗さ50オングストローム、表
面粗さRmaxが150オングストローム、窒素の含有量が
5〜35%のAlNの薄膜である。下地層は、厚さ約60
0オングストロームのCrVの薄膜で、組成比はCr:83
at%、V:17at%である。磁性層は、厚さ約30
0オングストロームのCoPtCrの薄膜で、組成比はCo:7
6at%、Pt:6.6at%、Cr:17.4at%であ
る。保護層は、厚さ約100オングストロームのカーボ
ン薄膜である。潤滑層は、パーフルオロポリエーテルか
らなる潤滑層をスピンコート法によって、カーボン保護
層上に塗布して厚さ8オングストロームに形成したもの
である。
【0067】次に、磁気ディスクの製造方法について説
明する。まず、実施例1で製造した結晶化ガラスを、外
円半径32.5mm、内円半径10.0mm、厚さ0.5mmの円板上に
研削加工し、その両主表面を表面粗さがRa(JIS B0601)
=4オングストローム、Rmax=40オングストロームと
なるように精密研磨して磁気ディスク用結晶化ガラス基
板を得る。次いで、上記ガラス基板を基板ホルダーにセ
ットした後、インラインスパッタ装置の仕込み室に送り
込む。続いて、結晶化ガラス基板のセットされたホルダ
ーを、Alターゲットがエッチされた第一チャンバーに送
り込み、圧力4mtorr 、基板温度350℃、Ar+N2ガス
(N2=4%)雰囲気でスパッタリングする。その結果、
結晶化ガラス基板上に、表面粗さRmax=150オングス
トローム、膜厚50オングストロームのAlN薄膜(凹凸
形成層)が得られた。次に、AlNが成膜された結晶化ガ
ラス基板のセットされたホルダーを、CrV(Cr:83a
t%、V:17at%)ターゲットが設置された第二チ
ャンバー、CoPtCr(Co:76at%、Pt:6.6at
%、Cr:17.4at%)ターゲットが設置された第三
チャンバーに連続的に順次送り込み、基板上に成膜す
る。これらの膜は、圧力2mtorr 、基板温度350℃、
Ar雰囲気中でスパッタリングし、膜厚約600オングス
トロームのCrV下地層、膜厚約300オングストローム
のCoPtCr磁性層を得る。次いで、凹凸制御層、下地層、
磁性層が形成された積層体を、加熱処理するための加熱
ヒーターが設けられた第四チャンバーに送り込む。この
とき第四チャンバー内をArガス(圧力2mtorr )雰囲気
にし、熱処理温度を変化させて熱処理を行う。上記基板
をカーボンターゲットが設置された第五チャンバーに送
り込み、Ar+H2ガス(H2=6%)雰囲気中で成膜したこ
と以外は上記CrV下地層及びCoPtCr磁性層と同じ成膜条
件で、膜厚約100オングストロームのカーボン保護層
を得る。最後に、カーボン保護層の形成までを終えた基
板を上記インラインスパッタ装置から取り出し、そのカ
ーボン保護層の表面に、ディッピング法によってパーフ
ルオロポリエーテルを塗布して厚さ8オングストローム
の潤滑層を形成して磁気ディスクを得た。
【0068】
【発明の効果】本発明の情報記録媒体用結晶化ガラス基
板は、容易に成形することができ、140GPa以上の大
きなヤング率及び高い耐熱性を有し、優れた表面加工性
及び表面平滑性(表面粗さRa(JIS B0601)<10オング
ストローム)をもち、かつ硬度や強度の大きい基板材料
として用いることができる。また、本発明の結晶化ガラ
スからなる基板は、当該材料の耐熱性が優れるため、磁
気膜の特性向上に必要な熱処理を基板の変形無しに施す
ことができ、平坦性が優れるため、磁気ヘッドの低浮上
化、即ち高密度記録化が達成でき、ヤング率や比弾性率
及び強度が大きいので、磁気ディスクの薄型化及び高速
回転化を達成できると共に磁気ディスクの破損も避けら
れるという利点を有する。さらに本発明の結晶化ガラス
は、比較的安定に得ることができ、工業的規模での生産
が容易であるため、安価な次世代磁気記録媒体用基板ガ
ラスとして大きく期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶化ガラス基板2上に、順次、凹凸制御層
3、下地層4、磁性層5、保護層6、潤滑層7を形成し
た本発明の磁気ディスク1の概略断面図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA11 BB01 BB06 CC01 CC09 CC10 DA05 DA06 DB03 DB04 DC01 DD01 DE01 DF01 EA01 EA02 EA03 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED04 ED05 EE01 EE02 EE03 EF01 EF02 EF03 EG01 EG02 EG03 FA01 FB03 FB04 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FJ02 FJ03 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ04 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM27 NN29 NN31 NN33 QQ08 5D006 CB04 CB07

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% を含有し、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上で
    あり、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体で
    ある結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板。
  2. 【請求項2】Al2O3とMgOとのモル比(Al2O3/MgO)が0.
    2以上0.5未満である請求項1に記載の基板。
  3. 【請求項3】SiO2:40−60モル% Al2O3: 7−22モル% MgO: 12−35モル% TiO2: 5.5−14 モル% を含有する請求項1または2に記載の基板。
  4. 【請求項4】10モル%以下のY2O3を含有する請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の基板。
  5. 【請求項5】10モル%以下のZrO2を含有する請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の基板。
  6. 【請求項6】SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、主結
    晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化
    ガラスからなる情報記録媒体用基板。
  7. 【請求項7】SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、結晶
    化度が20〜70体積%である結晶化ガラスからなる情
    報記録媒体用基板。
  8. 【請求項8】0.3〜8モル%のY2O3を含有する請求項1〜
    7のいずれか一項に記載の基板。
  9. 【請求項9】1〜10モル%のZrO2を含有する請求項1〜
    8に記載の基板。
  10. 【請求項10】1〜5モル%のZrO2を含有する請求項9に
    記載の基板。
  11. 【請求項11】5モル%以下のR2O(但し、RはLi、Na、K
    からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す)を含有
    する請求項1〜5及び8〜10のいずれか1項に記載の
    基板。
  12. 【請求項12】R2OがK2Oである請求項11に記載の基
    板。
  13. 【請求項13】TiO2の含有量が8〜14 モル%である請求
    項1〜12のいずれか1項に記載の基板。
  14. 【請求項14】ヤング率が140Gpa以上である請求項1〜
    13のいずれか1項に記載の基板。
  15. 【請求項15】SiO2:35−43モル% Al2O3: 9−20モル% MgO: 30−39モル% Y2O3: 1−3モル% TiO2: 8.5−15 モル% ZrO2: 1−5 モル%である請求項1または2に記載の基
    板。
  16. 【請求項16】SiO2/MgOモル比が1.35以下である請求
    項15に記載の基板。
  17. 【請求項17】ヤング率が160Gpa以上である請求項15
    または16に記載の基板。
  18. 【請求項18】 結晶粒子の平均粒子径が100nm以下であ
    る請求項1〜17のいずれか1項に記載の基板。
  19. 【請求項19】結晶粒子の平均粒子径が70nm以下である
    請求項1〜18のいずれか1項に記載の基板。
  20. 【請求項20】表面粗さRa(JIS B0601)が1nm以下である
    研磨面を有する請求項1〜19のいずれか1項に記載の
    基板。
  21. 【請求項21】表面粗さRa(JIS B0601)が1nm以下である
    研磨面を有し、主結晶がエンスタタイト及び/又はその
    固溶体である結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基
    板。
  22. 【請求項22】 表面粗さRa(JIS B0601)が0.5nm以下で
    ある研磨面を有する請求項21に記載の基板。
  23. 【請求項23】波長が600nmである光の透過率が1mm厚の
    ときに10%以上である請求項1〜22に記載の基板。
  24. 【請求項24】熱膨張係数が65×10-7〜85×10
    -7/℃である請求項1〜23に記載の基板。
  25. 【請求項25】主結晶としてエンスタタイト及び/又は
    その固溶体を含み、かつ少なくとも前記主結晶の平均結
    晶粒子径が100nm未満である結晶化ガラスからなる情報
    記録媒体用基板。
  26. 【請求項26】少なくとも前記主結晶の平均結晶粒子径
    が70nm以下である請求項25に記載の基板。
  27. 【請求項27】波長が600nmである光の透過率が1mm厚の
    ときに10%以上であり、主結晶がエンスタタイトである
    結晶化ガラスからなる情報記録媒体用基板。
  28. 【請求項28】結晶化度が50体積%以上である請求項
    1〜27のいずれか1項に記載の基板。
  29. 【請求項29】エンスタタイト及び/又はその固溶体の
    合量が70〜90体積%、チタン酸塩が10〜30体積
    %、エンスタタイト及び/又はその固溶体とチタン酸塩
    の合量が90体積%以上である請求項1〜28のいずれ
    か1項に記載の基板。
  30. 【請求項30】熱膨張係数が65×10-7〜85×10
    -7/℃であり、主結晶としてエンスタタイト及び/又は
    その固溶体を含む結晶化ガラスからなる情報記録媒体用
    基板。
  31. 【請求項31】熱膨張係数が73×10-7〜83×10
    -7/℃である請求項30に記載の基板。
  32. 【請求項32】主結晶として石英固溶体を実質的に含有
    しない請求項1〜31のいずれか1項に記載の基板。
  33. 【請求項33】結晶相としてスピネルを実質的に含有し
    ない請求項1〜32のいずれか1項に記載の基板。
  34. 【請求項34】ZnOを実質的に含有しない請求項1〜33
    のいずれか1項に記載の基板。
  35. 【請求項35】情報記録媒体が磁気ディスクである請求
    項1〜34のいずれか1項に記載の基板。
  36. 【請求項36】請求項1〜34のいずれか1項に記載の
    基板と、該基板上に形成された記録層とを有することを
    特徴とする情報記録媒体。
  37. 【請求項37】記録層が磁気記録層である請求項36に
    記載の情報記録媒体。
  38. 【請求項38】 ガラス原料を1400〜1650℃で
    熔解し、ガラス化する工程、上記工程で得られたガラス
    を板ガラス状に成形する工程、上記工程で得られた板状
    ガラスを結晶が析出する温度にまで昇温して結晶化させ
    る工程、を含む、SiO2:35−65モル%、Al2O3:5−25モ
    ル%、MgO:10−40モル%及びTiO 2:5−15 モル%を含
    有し、上記組成の合計が92モル%以上であり、主結晶が
    エンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化ガラ
    スからなる情報記録媒体用基板の製造方法。
  39. 【請求項39】ガラス原料がK2Oを含有し、熔解温度が
    1450〜1600℃である請求項38に記載の製造方
    法。
  40. 【請求項40】ガラス原料がY2O3を含有し、熔解ガラス
    を600〜680℃の成形型で板ガラス状に成形する請
    求項38または39に記載の製造方法。
  41. 【請求項41】 ガラス原料を1400〜1650℃で
    熔解し、ガラス化する工程、上記工程で得られたガラス
    を板ガラス状に成形する工程、上記工程で得られた板状
    ガラスを結晶が析出する温度にまで昇温して結晶化させ
    る工程、を含む、 SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスであって、主結
    晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化
    ガラスからなる情報記録媒体用基板の製造方法。
  42. 【請求項42】成形したガラスを850〜1150℃ま
    で昇温して結晶化させる請求項38〜41のいずれか一
    項に記載の製造方法。
  43. 【請求項43】昇温工程において、成形したガラスを5
    00〜850℃になるまで5〜50℃/分で昇温し、5
    00〜850℃になった後は0.1〜10℃/分で昇温
    する請求項42に記載の製造方法。
  44. 【請求項44】 SiO2、Al2O3、MgO及びTiO2を含有する
    ガラスを850〜1150℃で熱処理することにより結
    晶化する工程を含む方法により製造された、SiO2:35−
    65モル%、Al2O3:5−25モル%、MgO:10−40モル%及
    びTiO2:5−15モル%を含有し、上記組成の合計が92モ
    ル%以上であり、ZnOを含有しない結晶化ガラスからな
    る情報記録媒体用基板。
  45. 【請求項45】SiO2、Al2O3、MgO及びTiO2を含有するガ
    ラスを850〜1150℃で熱処理することにより結晶
    化する工程を含む方法により製造された、 SiO2:35−65モル% Al2O3: 5−25モル% MgO: 10−40モル% TiO2: 5−15 モル% Y2O3: 0−10モル% ZrO2: 0−10 モル% R2O: 0−5 モル%(但し、RはLi、Na、Kからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) RO: 0−5 モル%(但し、RはCa、Sr、Baからなる群から
    選ばれる少なくとも1種を表す) As2O3+Sb2O3: 0−2 モル% SiO2 + Al2O3 + MgO + TiO2: 92モル%以上 のみからなる組成を有する結晶化ガラスからなる情報記
    録媒体用基板。
  46. 【請求項46】前記熱処理は1〜4時間行われる請求項
    44または45に記載の基板。
  47. 【請求項47】前記熱処理は、875〜1000℃で行
    われる請求項44〜46のいずれか一項に記載の基板。
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