JP2001176653A - 有機el素子 - Google Patents

有機el素子

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JP2001176653A
JP2001176653A JP35457599A JP35457599A JP2001176653A JP 2001176653 A JP2001176653 A JP 2001176653A JP 35457599 A JP35457599 A JP 35457599A JP 35457599 A JP35457599 A JP 35457599A JP 2001176653 A JP2001176653 A JP 2001176653A
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moisture
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JP35457599A
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Takakazu Fukuchi
高和 福地
Shigeru Senbonmatsu
茂 千本松
Mitsuru Suginoya
充 杉野谷
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Seiko Instruments Inc
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Seiko Instruments Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の有機EL素子の封止構造では、有機E
L素子への水分や酸素の浸入による劣化が大きく、十分
な寿命が得られなかった。また、構造が複雑であり安価
な有機EL素子が得られなかった。 【解決手段】 フィルム基板に親水性層と防湿コート層
を予め成膜した透明基板を用い、対向側を紫外線硬化型
樹脂で被覆する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子手帳、携帯電
話等の携帯情報機器の表示部分に用いられる表示装置の
うち有機EL素子を用いた表示装置で、特にその有機E
L素子の耐湿性や耐酸素性に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、有機化合物を用いて電界発光によ
り表示させる自発光型の表示素子が活発に検討されてい
る。いわゆる有機エレクトロルミネセンス(以後有機E
Lと呼ぶ)であり、これは液晶を用いた液晶表示装置と
は異なり、いくつかの利点を有している。一つは自発光
であるためバックライト無しでデイスプレイを実現でき
ること。また、極めて構造が簡単なため薄く、小型・軽
量の表示装置が可能であること。さらに、表示に使用さ
れる消費電力が小さく、バッテリーを用いて表示をする
携帯電話などの小型情報機器の表示装置に適しているこ
となどがあげられる。
【0003】従来の有機EL素子の概略構成を表す断面
図を図8に示す。透明ガラス基板1aに設けられた透明
電極2の上には有機EL層3が設けられている。さら
に、有機EL層3の上には金属電極4が設けられてい
る。通常、透明電極2にはITOと呼ばれるインジウム
とスズの酸化物が用いられ、陽極として正孔の供給源と
なる。金属電極4にはマグネシウムと銀などの合金が用
いられ、陰極として電子の供給源となる。有機EL層3
の発光は、これらの正孔と電子とが有機EL層3に注入
され再結合したときに生じる。一般にこの反応が生じや
すいように、有機層3と透明電極2(陽極)の間には正
孔輸送層が、有機層3と金属電極4(陰極)の間には電
子輸送層がそれぞれ有機EL層3の一部として設けられ
ている。
【0004】また、この有機EL層3は水分や酸素に極
めて敏感に反応し劣化するために、吸水性を有する吸湿
層5が対向基板である透明ガラス基板1bの内面に設け
られる。この吸湿層5には、酸化バリウムBaOやカル
シウム金属Ca、酸化カルシウムCaOなどアルカリ土
類金属とその酸化物等が用いられる。さらに、封止剤6
によって周囲が完全に封止される。有機EL層3は通
常、ガラス転移点が100℃以下のものが多く、熱に弱
いのでこの封止剤6は紫外線硬化型樹脂が用いられてい
る。
【0005】また、特開平5−101884号公報に
は、有機EL層の吸湿防止のために、有機EL層が形成
された基板を、透湿性の小さいフィルムと吸水性ポリマ
ーとの積層体である防湿性高分子フィルムで被覆する封
止構造も提案されている。この防湿性高分子フィルムの
構成要素である吸水性ポリマーは、もう一方の構成要素
である透湿性の小さいフィルムを通過して有機EL素子
内にわずかに浸入した水分をトラップして有機EL層3
にまでの水分の到達を防止する役割を有するという提案
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように有機EL素
子は、水分や酸素の浸入防止対策には特別な注意、検討
がされてきた。それは一般に、発光層として有機EL層
3に用いられている有機化合物であるキナクリドン誘導
体やトリフェニルジアミンなどの有機EL物質は極めて
水分や酸素と反応し易く、いわゆるダークスポットとい
う表示不良を発生・成長させるために、有機EL素子の
寿命を短縮させるという問題があった。
【0007】これらの課題に対して、上述したようにさ
まざまな工夫や考案がなされてきたが、いずれの場合に
も構造が複雑であるか経済的な負担が大きいかなどの問
題が残されていた。一般に、有機EL素子の劣化原因
は、有機材料自体の問題と環境からの水分や酸素の有機
EL素子への浸入、または製造プロセスなどに関わる問
題などが考えられる。有機材料自体の問題は、透明電極
2と有機EL層3の界面や有機EL層3と金属電極層4
との界面など各界面での密着性やコンタクトの均一性
が、熱的刺激や電気的刺激等により薄膜有機材料自体が
劣化していくという問題がある。これらは近年、有機材
料や製造方法の改善により急速な進歩を遂げている。
【0008】本発明では、有機EL素子の寿命に前者に
比べてより大きな影響を与える後者の環境から水分や酸
素の影響を極力排除し、有機EL素子劣化を防止するた
めの構造を提案する。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、透明
性のプラステイックフィルムをベースフィルムにし、そ
の表面に吸湿剤を含んだ親水性層を設け、さらにその表
面に防湿コート層を設けた複合フィルムを基板として、
その上に透明電極、有機EL発光層、金属電極および保
護層を順次設けた単純な構造により上記問題点の解決が
可能であることを見いだしたものである。
【0010】すなわち、一方の表面に透明電極が形成さ
れた透明基板と、透明電極の上に形成された有機EL層
と、有機EL層の上に形成された金属電極と、透明電極
の一部と有機EL層と金属電極を被覆する保護層と、透
明基板の他方の表面に設けられた吸湿剤を含んだ親水性
層と、防湿コート層とを備えることとした。また、紫外
線硬化型樹脂で保護層を形成した。
【0011】また、保護層を多層の絶縁膜で構成した。
また、保護層を、透明電極の一部と有機EL層と金属電
極を被覆する絶縁膜からなる第一の保護膜と、第一の保
護層の上に設けられた紫外線硬化型樹脂を含んだ第二の
保護層と、を備える構成とした。さらに、第一の保護層
と第二の保護層との間に金属薄膜を設ける構成とした。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の有機EL素子の実
施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本
発明の有機EL発光素子の実施形態を示す断面説明図で
ある。図1に示すように、透明フィルム基板1には透明
電極2と有機EL層3と金属電極4が形成されている。
そして、これらを覆うように保護層7が設けられてい
る。保護層はこちら側からの水分等の侵入を防いでい
る。さらに、透明フィルム基板1の他方の表面には親水
性層8と防湿コート層9が積層されている。この親水性
層8と防湿コート層9により、水分が透明フィルム基板
に侵入することを防いでいる。防湿コート層9を設ける
だけでもある程度は透明フィルム基板に水分が侵入する
ことを防ぐことができる。しかしながら、防湿コート層
だけでは接着界面から侵入する水分や防湿コート層に侵
入してしまった水分が透明フィルム基板に侵入すること
を防ぐことはできない。そこで、透明フィルム基板と防
湿コート層の間に親水性層を設ける構成とした。これに
より、親水性層が侵入した水分や酸素をトラップして、
透明フィルム基板に水分や酸素が侵入することを防ぐこ
とが可能になる。
【0013】また、透明電極と透明フィルム基板の間に
も防湿コート層、あるいは、親水性層を設けることによ
り、透明フィルム基板側から有機EL層に水分等が侵入
する危険性を著しるしく減少できる。すなわち、透明フ
ィルム基板は一般的に吸水性が高く、そのため、基板の
厚み方向からも僅かながらも水分を吸収する。したがっ
て、裏側だけに防湿コート層や親水性層を設けても、基
板側面から侵入した水分等が有機EL層側へ到達するこ
とを防げない。そこで、前述のように、透明電極と透明
フィルム基板の間にも防湿コート層、あるいは、親水性
層を設ける構成とした。
【0014】さらに、透明電極と透明フィルム基板の間
に、裏側のフィルム基板表面と同様に、親水性層と防湿
コート層を共に備える構成にしてもよい。図2に、この
構成の有機EL素子の断面の概要を示す。このような構
成により、基板の側面や界面から侵入した水分等が親水
性層でトラップされ、更に、防湿コート層が親水性層と
有機EL層側の間の水分等の移動を防いでいることとな
り、有機EL素子の寿命、信頼性が高まる。
【0015】また、保護層7を多層膜で形成してもよ
い。保護層にピンホールやクラックがあると、そこから
水分等が侵入する危険がある。そのため、ピンホールや
クラックが生じ難い保護層を用いることが必要である。
そこで、保護層を厚くしたり、保護層を互いに密着性の
高い多層の薄膜で構成するとよい。保護層が多層膜で構
成されていれば、単層にピンホールやクラックが発生し
ても、他の層の薄膜によりバリア性が確保させることと
なり、信頼性に重大な影響を与えることを防ぐ事ができ
る。したがって、材質の異なる薄膜で形成された多層膜
だけではなく、同じ材質の薄膜が複数回成膜された多層
膜でも効果がある。
【0016】(実施例1)本実施例の有機EL発光素子
を図1を用いて説明する。100μmの厚さのポリカー
ボネイトフィルムを用いた透明フィルム基板1の外側
に、親水性層8と防湿コート層9とが積層され、透明フ
ィルム基板1の内側には透明電極2が設けられている。
透明フィルム基板のベースフィルとしては、ポリカーボ
ネイトフィルムの他に、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレ
ートフィルム等、透明性のあるフィルムが使用できる。
【0017】親水性層8の構成を表す断面図を図3に示
す。親水性層は、予め吸湿剤10を親水性物質の溶液中
に分散させておき、浸せき法、スピンコート法、スクリ
ーン印刷法などによりフィルム上にコートすることによ
り形成できる。この親水性層8は、浸入した水分や酸素
をトラップする役割を有し、1μm程度から数mm程度の
厚さまでが使用可能である。
【0018】吸湿剤には、シリカゲル、活性炭、モレキ
ュラシーブ、ゼオライト、活性アルミナ、酸化カルシウ
ム、酸化バリウム、カルシウム金属、リチウム金属、け
い藻土、モンモリロナイト、ベントナイト等が利用で
き、吸湿性があれば有機物、無機物は問わない。また、
親水性物質は、ポリビニルアルコール、セルロース系、
ナイロン、デンプン、アクリル酸系等の化合物から少な
くとも1種類を選択すればよく、これにより親水性層が
形成される。
【0019】さらに、親水性層8の表面に、予め紫外線
硬化型樹脂に撥水性シリカを分散させた溶液を、スピナ
ー法、浸せき法またはスクリーン印刷法等でコートする
ことにより、防湿コート層9が形成される。ここで、紫
外線硬化型樹脂には、エポキシ系、アクリル系、ウレタ
ン系などの高分子樹脂を用いることができる。これらの
内、特に、吸湿性の小さなエポキシ系樹脂が好ましい。
【0020】また、撥水性を強化するために撥水性シリ
カを紫外線硬化型樹脂に対して1重量%から20重量%
程度混入させている。この撥水性シリカは、平均粒径3
μmから8μm程度で多量の細孔を有しており、比表面
積は700m2 /gにも達するものを使用した(旭硝子
製サンスフェアH−53など)。また、エポキシ系の紫
外線硬化型樹脂は、低応力タイプであり、365nmの
紫外線を3500mj/cm2 程度で硬化可能である
(スリーボンド製3027Cなど)。この防湿コート層
9の厚みは、3μm程度から数mm程度まで使用可能で
あり、防湿性を高めるためには厚いほうが好ましいが、
作業性や紫外線硬化性などを考慮すると5μmから50
0μm程度が適している。
【0021】透明電極2は、スパッタリング法あるいは
電子線真空蒸着法により、表面抵抗20Ω/□のITO
(Indium−Tin−Oxide、スズをドープし
たインジウム酸化物)を形成した。一般に成膜方法によ
るITOの微小表面状態の差により薄膜の配向性に影響
を与えたり、還元されて薄膜中に金属Inが生成された
りすることがあり、有機EL層3との界面状態に影響を
与えるが、今回は両者の差はほとんどなく本発明ではス
パッタリング法により成膜した。
【0022】図4に、透明フィルム基板1の一方の表面
に親水性層8、防湿コート層9を、他方の表面上に透明
電極2を設けた本実施例の透明フィルム基板の断面構成
を示す。本発明の有機EL素子においては、透明電極2
をフォトリソグラフィー法により所望のパターンに形成
した。この透明電極2に有機EL層3を形成する。有機
EL層3は、トリフェニルジアミンTPDやNPDなど
の正孔輸送材料と、アルミキノリノールAlq3 のホス
ト発光材料にキナクドリン(緑色)、ペリレン(青色)
などゲストの色素をドープした有機発光層と、アルミキ
ノリノールAlq3 やシロール誘導体PySPyなどの
電子輸送材料の3層が積層された構造であり、これらの
層を真空蒸着法により連続成膜することで形成される。
【0023】さらに、Mg−AgやMg−Alなどの合
金層を、有機EL層3に続けて連続的に真空蒸着するこ
とにより、金属電極が形成される。この真空蒸着の際に
ステンレス製のパターンマスクを用いることにより金属
電極4を所望のパターンに形成できる。その後、真空槽
内にて保護層7を、外部取り出し用の領域を除いたIT
O電極2、有機EL層3、金属電極4を覆い尽くすよう
に被覆した。この保護層7は防湿コート層9と同様に紫
外線硬化型の樹脂であり、エポキシ系、アクリル系、ウ
レタン系などの高分子樹脂はすべて使えるが、吸湿性の
小さなエポキシ系樹脂が好ましい。この保護層7は、有
機EL層3を環境からの水分や酸素からの浸入を防止す
るために、膜厚をある程度厚くする必要がある。このた
めに、保護層7のコート方法は、スクリーン印刷法、バ
ーコーター法、デイスペンス法など厚塗りに適したコー
テイング方法が適している。
【0024】上記の知見から、保護層7、親水性層8、
防湿コート層9の厚みをそれぞれ最適に設定することに
より、水分や酸素の侵入が防げるために、寿命が延び、
信頼性が向上することとなる。以下の表1〜表3に、保
護層7、親水性層8、防湿コート層9の厚みの組み合わ
せによる輝度半減期の変化を示す。表1は、親水性層8
を100μm、保護層7を200μmに固定して防湿コ
ート層9の膜厚を変化させたときの、主に透明フィルム
基板1側からの水分や酸素の浸入を評価した第一の検討
結果であり、表2は、防湿コート層9を10μm、保護
層7を200μmに固定して親水性層8の膜厚を変化さ
せたときの、主に透明フィルム基板1側からの水分や酸
素の浸入を評価した第二の検討結果であり、表3は、親
水性層8を100μm、防湿コート層9を10μmに固
定して保護層7の膜厚を変化させたときの、主に保護層
7側からの水分や酸素の浸入を評価する第三の検討結果
である。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】ここで、透明フィルム基板1の親水性層8
は、酸化カルシウム吸湿剤10をポリビニルアルコール
溶液に固形分重量比で10%分散混合したものを用い
た。防湿コート層9は、紫外線硬化型のエポキシ系接着
剤(スリーボンド製3027)に撥水性シリカ(旭硝子
製サンスフェアH−53)を重量比で3%分散混合させ
たものを用いた。有機EL層3は、正孔輸送層にトリフ
ェニルジアミンTPD、ホスト発光材料にアルミキノリ
ノールAlq3、ゲスト色素にキナクリドン(緑色)電
子輸送層にアルミキノリノールAlq3を用いた。金属
電極層4はMg−Agを用いた。
【0029】防湿性の試験条件は、有機EL素子を駆動
させて40℃、90%RHの恒温高湿環境下で行った。
透明電極2を陽極、金属電極4を陰極にして直流電圧5
V印可して約3mA/cm2 の電流で輝度評価した。輝
度測定は、透明フィルム基板側からの発光をミノルタ製
輝度計BM−7を用いて70cmの距離で行った。初期
の輝度100cd/cm2 あったが、50cd/cm2
まで輝度減少する半減時間により評価を行った。
【0030】この結果から、前提条件を40℃、90%
RH環境の寿命劣化の加速性を考慮して半減時間約50
0時間以上を実使用上の合格レベルとすると以上のこと
がわかった。 親水性層8を100μm、保護層7を200μmに
固定した防湿コート層9の膜厚は、5μm以上あること
が好ましい。
【0031】 防湿コート層9を10μm、保護層7
を200μmに固定した親水性層8の膜厚は、3μm以
上あることが好ましい。 親水性層8を100μm、防湿コート層9を10μ
mに固定した場合、保護層7の膜厚は20μm以上が好
ましい。 以上をまとめると、防湿コート層9の膜厚は5μm以
上、親水性層8の膜厚は3μm以上、保護層7の膜厚は
20μm以上あることが好ましいという結果であるが、
親水性層8と防湿コート層9は相互に補完する性質のあ
るものであり、この数値には限定されるものではない。
【0032】(実施例2)本実施例による有機EL素子
の構成を図5に示す。本実施例では、保護層が2種類の
保護層で構成されていることに上述の図1に基づく実施
例1と相違している。本実施例では、有機EL層を覆う
第一の保護層としてSiO2 を設け、その上に第二の保
護層として紫外線硬化型樹脂を設けている。実施例1で
も述べたように、保護層が厚いほど水分等の侵入が防止
できる。しかしながら、SiO2 等の金属酸化膜は紫外
線硬化型樹脂よりも水分や酸素に対してバリア性が高い
ものの厚膜化が困難であるため、SiO2 の単層だけで
は有機EL素子としての実現化が困難である。そこで、
まず、有機EL層3や金属電極4を覆うように薄膜のS
iO2 等の絶縁膜(第一の保護層)を形成し、次に、S
iO2 層の上に厚膜化の容易な樹脂(第二の保護層)を
設けることにより信頼性の高い有機EL素子を実現でき
る。
【0033】このように、第一の保護層として重要な特
性は、金属電極4上に形成できるように絶縁性を備える
こと、および、薄膜状態で十分なバリア性を有するこ
と、であり、第二の保護層として重要な特性は水分や酸
素に対してバリア性を有するとともに厚膜化が容易なこ
とである。したがって、第一の保護層にはSiO2 、T
iO2 等の金属酸化物が適しており、第二の保護層に
は、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系等の高分子樹
脂が適している。さらに、生産性を考慮すると紫外線硬
化型の樹脂が最適である。
【0034】さらに、第一の保護層と第二の保護層の間
に金属薄膜を設けることにより、水分等の侵入が防げ、
有機EL素子の信頼性を向上させることができる。金属
薄膜も前述の金属酸化膜と同様に、水分や酸素に対して
バリア性が高い。しかしながら、導電性があるため、金
属電極4を直接覆うように設けることができない。その
ため、有機EL層と金属電極を直接覆うように絶縁薄膜
を設け、この絶縁薄膜上に金属薄膜を設ければよい。更
にこの金属薄膜上に第二の保護層を設ける構成により、
信頼性を保ったまま保護層の総厚を薄くする事ができ
る。この時、絶縁薄膜として前述のSiO2 、TiO2
等の金属酸化物を用いるとさらに効果がある。また、金
属薄膜には、Al、Cr等の金属の他にも安定的な金属
を用いることができる。金属薄膜を多層にしてさらにバ
リア性を向上させることもできる。
【0035】(実施例3)本実施例による有機EL素子
の構成を図6に示す。ここで用いた透明フィルム基板の
構成を図7に示す。75μmのポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルムの両面に、実施例1と同様に親
水性層8と防湿コート層9が設けられ、一方の防湿コー
ト層上に透明電極2(ITO)が設けられた透明基板を
用いた。この透明基板の片側に設けられた透明電極2を
パターニングして本発明の有機EL素子の陽極とした。
【0036】実施例1と同様に、本実施例の親水性層8
には酸化カルシウム吸湿剤10をポリビニルアルコール
溶液に固形分重量比で10%分散混合したものを用い
た。また、防湿コート層9には紫外線硬化型のエポキシ
系接着剤(スリーボンド製3027)に撥水性シリカ
(旭硝子製サンスフェアH−53)を重量比で3%分散
混合させたものを用いた。有機EL層3には、正孔輸送
層にトリフェニルジアミンTPD、ホスト発光材料にア
ルミキノリノールAlq3、ゲスト色素にキナクリドン
(緑色)電子輸送層にAlq3を用いた。金属電極4に
はMg−Agを用いた。
【0037】その後、外部電極となる部位の透明電極2
を除いて、第一の保護膜17として0.2μmの膜厚の
SiO2 と2.0μmのAlを真空蒸着により金属電極
4の形成後に連続的に成膜して設けた。この後、真空槽
内より取りだし、第二の保護膜27として実施例1と同
様に紫外線硬化型エポキシ接着剤を設けた。この第二の
保護膜の膜厚を変化させて、本発明の有機EL素子の劣
化を実施例1と同様に評価した結果を表4に示した。
【0038】
【表4】
【0039】この結果、以上のことが確認できた。 第一の保護膜としてSiO2 とAlを設けることに
よって、本発明の有機EL素子の寿命が実使用上の合格
レベルになる第二の保護膜の膜厚は5μm以上であり、
実施例1に比べて薄膜化できることがわかった。 第一の保護膜を設けることで、真空槽内より外部に
出して第二の保護膜が形成できるので、作業性が改善で
きる。
【0040】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれば
単純な構造でかつ一般的な材料の組み合わせにより、有
機EL素子の問題であった水分や酸素の素子への浸入に
よる有機EL発光層の劣化とこれによる有機EL素子の
寿命短縮が大幅に改善される。このことは、有機EL素
子がデイスプレイとして用いられる電子手帳や携帯電話
等の携帯情報機器用表示装置に要求される表示寿命を十
分満足し、工業的に貢献できる発明である。
【0041】また、本発明の有機EL素子は極めて簡単
な構造であり、高額な設備投資を避けられると同時に、
製造工程数の少ないプロセスを可能にし低コストの有機
EL素子を実現することができる。また、本発明の有機
EL素子の構造は、デイスプレイへの適用だけでなく、
液晶表示装置のバックライトとしての応用も可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の構成を表す断面図であ
る。
【図2】本発明の有機EL素子の他の実施例の構成を表
す断面図である。
【図3】本発明の親水性層の概要を表す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に用いる透明フィルム基板の
構成を表す断面図である。
【図5】本発明の有機EL素子の他の実施例の構成を表
す断面図である。
【図6】本発明の実施例による有機EL素子の概要を表
す断面図である。
【図7】本発明の一実施例に用いる透明フィルム基板の
構成を表す断面図である。
【図8】従来の有機EL素子の概要を表す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 透明フィルム基板 2 透明電極層 3 有機EL層 4 金属電極層 5 吸湿層 6 封止剤 7 保護層 8 親水性層 9 防湿コート層 10 吸湿剤
フロントページの続き (72)発明者 杉野谷 充 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目8番地 セ イコーインスツルメンツ株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB00 AB13 AB18 BB05 CA06 CB01 DA00 DB03 EB00 FA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明電極が形成された透明基板と、前記
    透明電極の上に形成された有機EL層と、前記有機EL
    層の上に形成された金属電極と、を有する有機EL素子
    において、 前記透明基板が、ベースフィルムと、吸湿剤を含んだ親
    水性層と、防湿コート層とを備える複合フィルムであ
    り、 前記透明電極の一部と、前記有機EL層と、前記金属電
    極とを被覆する保護層を備えることを特徴とする有機E
    L素子。
  2. 【請求項2】 前記保護層が紫外線硬化型樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 【請求項3】 前記保護層が多層の絶縁膜からなること
    を特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 【請求項4】 前記保護層が、前記透明電極の一部、前
    記有機EL層、および、前記金属電極を被覆する絶縁膜
    からなる第一の保護膜と、前記第一の保護層の上に設け
    られた紫外線硬化型樹脂を含んだ第二の保護層と、を備
    えることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  5. 【請求項5】 前記第一の保護層と前記第二の保護層と
    の間に金属薄膜が設けられたことを特徴とする請求項4
    に記載の有機EL素子。
  6. 【請求項6】 前記第一の保護層の金属酸化物が二酸化
    ケイ素と二酸化チタンのうち少なくとも一方を含み、前
    記金属薄膜がアルミニウムとクロムのうち少なくとも一
    方を含むことを特徴とする請求項5に記載の有機EL素
    子。
  7. 【請求項7】 前記ベースフィルムが、ポリカーボネイ
    トフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポ
    リエーテルサルフォンフィルム、ポリアリレートフィル
    ムの内のいずれかからなる透明性プラスチックフィルム
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
    記載の有機EL素子。
  8. 【請求項8】 前記吸湿剤が、吸湿性のある無機材料ま
    たは有機材料を含むことを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の有機EL素子。
  9. 【請求項9】 前記親水性層が、ポリビニルアルコー
    ル、セルロース系、ナイロン、デンプン、アクリル酸系
    のうち少なくとも1つの高分子材料を含むことを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL素
    子。
  10. 【請求項10】 前記防湿コート層が、エポキシ系高分
    子、アクリル系高分子、ウレタン系高分子の少なくとも
    1種類以上を含む紫外線硬化型樹脂であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機EL素
    子。
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