JP2001173584A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

Info

Publication number
JP2001173584A
JP2001173584A JP2000260956A JP2000260956A JP2001173584A JP 2001173584 A JP2001173584 A JP 2001173584A JP 2000260956 A JP2000260956 A JP 2000260956A JP 2000260956 A JP2000260956 A JP 2000260956A JP 2001173584 A JP2001173584 A JP 2001173584A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wrap
scroll
flat portion
wall
scroll compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000260956A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Hasegawa
寛 長谷川
Mitsuhiro Ikoma
光博 生駒
Fumitoshi Nishiwaki
文俊 西脇
Hidenobu Shintaku
秀信 新宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2000260956A priority Critical patent/JP2001173584A/ja
Publication of JP2001173584A publication Critical patent/JP2001173584A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 業務用および家庭用の空調機等で使用される
スクロール圧縮機において、過圧縮により性能が低下す
ることがある。 【解決手段】 可動スクロールのラップ31の巻き始め
付近のラップ外壁31aにオフセット部36を設けてラ
ップ31を薄くしたことにより、圧縮室と吐出室の間の
ラップ31と固定スクロールのラップとの接触点に微小
隙間を設けている。このため、圧縮室の容積が減じ、圧
縮室内での圧力が冷凍サイクルの高圧側の圧力を超えて
過圧縮が発生すると、微小隙間を介して圧縮室から吐出
室に冷媒ガスが流れるため、圧縮室の圧力の上昇を抑え
ることができる。従って、過圧縮による性能の低下を防
ぐことができ、高効率なスクロール圧縮機を提供するこ
とを可能とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、業務用や家庭用の
空調機等に使用されるスクロール圧縮機に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】スクロール式の圧縮機は低騒音、低振動
という特徴を活かして業務用や家庭用の空調機等で実用
化されている。ここでは、従来のスクロール圧縮機を、
電動機を内蔵した密閉型スクロール圧縮機を例にとっ
て、図13〜16を用いて説明する。
【0003】図13に従来のスクロール圧縮機の縦断面
図を示す。密閉容器1の内部には、固定スクロール2と
可動スクロール3、可動スクロール3を支えるスラスト
軸受4、軸受部品5、可動スクロール3と軸受部品5の
間に備えられたオルダムリング6、回転軸L1を中心に
回転するクランク軸7から構成される圧縮機構部、およ
び電動機8が備えられている。
【0004】クランク軸7の端部に設けられ、偏心量r
を保つように構成された偏心軸受9には、可動スクロー
ル3の軸3aが挿入されており、可動スクロール3はオ
ルダムリング6により自転運動を拘束されている。従っ
て、可動スクロール3はクランク軸7の回転に伴い旋回
運動する。
【0005】クランク軸7には電動機8の回転子8aが
取り付けられており、密閉容器1には固定子8bが焼き
嵌めされている。密閉容器1の側面には電極(図示せ
ず)が設けられ、固定子8bと結線されており、電動機
8に電力を供給する。クランク軸7は、軸受部品5に設
けられた主軸受10と、密閉容器1の下方に設けられた
副軸受11とで支えられている。軸受部品5はボルトで
固定スクロール2に締結されており、固定スクロール2
は密閉容器1に密封溶接固定されている。
【0006】密閉容器1の側部には冷媒ガスを圧縮機構
部に導くための吸入管12が設けられている。また、密
閉容器1の上方には冷媒ガスを冷凍サイクル側に送り出
すための吐出管13が設けられている。
【0007】固定スクロール2の中央には吐出孔14が
設けられており、吐出孔14の上方には停止時に可動ス
クロール3が逆転するのを防ぐためのバルブ15と、そ
の動きを規制するバルブストップ16が設けられてい
る。
【0008】密閉容器1の下方には潤滑油を貯溜する油
だめ17が設けられており、クランク軸7の下端の油ガ
イド18から潤滑油が吸い上げられ、クランク軸7に設
けられた貫通孔19を通じて、各軸受部へ潤滑油が供給
される仕組みになっている。
【0009】次に上記構成からなる圧縮機構の作用を説
明する。冷凍サイクルの低圧側からの冷媒ガスは、吸入
管12を通して圧縮機構部へと吸入される。固定スクロ
ール2に対して可動スクロール3が旋回運動することに
より、冷媒ガスは圧縮されて高圧の冷媒ガスとなり、吐
出孔14を通して密閉容器1内に吐出される。その後、
吐出管13より冷凍サイクルの高圧側に送り出される。
【0010】圧縮機構部での圧縮原理を図14、15を
用いて説明する。図14は圧縮機構部の横断面図、図1
5は圧縮機構部の中央付近の拡大横断面図である。固定
スクロール2のラップ20aは、座標軸X0−Y0の原
点Oaを中心とし半径rbをもつ基礎円21aのインボ
リュート曲線22a、23aで形成されており、外側の
インボリュート曲線22aの伸開角はX0軸の正の方向
を基準としており、内側のインボリュート曲線23aは
ラップ厚みwに相当する位相角θ(=w/rb)だけず
らしたものである。
【0011】可動スクロール3のラップ20bも同様の
形状であり、座標軸X1−Y1の原点Obを中心とし半
径rbをもつ基礎円21bのインボリュート曲線22
b、23bで形成されている。これらの曲線は、固定ス
クロール2のラップ20aを、座標軸X0−Y0の原点
Oaに中心を持つ半径ra(=π×rb−w)の旋回円
24上に平行移動するとともに、180度回転させたも
のに相当する。
【0012】そして図14のように固定及び可動両スク
ロール2,3のラップ20a,20bが、P1,P2
点、Q1,Q2点と複数の点で接触し噛み合うことによ
り吸入室25a,25b、圧縮室26a,26b、およ
び吐出室27が形成される。この状態から可動スクロー
ル3が旋回半径raの旋回円24上で時計回りに旋回運
動すると、接触点P1,P2,Q1,Q2が座標軸原点
に近づき、各々の圧縮室26a,26bの容積が小さく
なる。この旋回運動により、圧縮室26a,26bは座
標軸原点に近づきながら容積が次第に小さくなるため、
内部の冷媒ガスは圧縮される。
【0013】なお、吸入室とは、固定スクロールと可動
スクロールとによって実質上密閉されていない状態の、
固定スクロールと可動スクロールとの間の空間をいい、
圧縮室とは、固定スクロールと可動スクロールとによっ
て実質上密閉された状態の、固定スクロールと可動スク
ロールとの間の空間をいう。したがって、図14のよう
に固定及び可動両スクロール2,3のラップ20a,2
0bがP1,P2点、Q1,Q2点と複数の点で接触し
噛み合う場合、吸入室とは25a,25bの空間を意味
し、圧縮室とは26a,26bの空間を意味する。
【0014】図16に、吸入室25a,25bおよび圧
縮室26a,26bの容積の変化と、吸入室25a,2
5bの開口部28a,28bの隙間tの変化を示す。縦
軸の容積,隙間は、それぞれの最大値を100%として
表示した。横軸の旋回角度は吸入行程開始を基準とした
可動スクロール3の旋回角度である。図16から解かる
ように、吸入室25a,25bの容積が吸入行程の途中
で極大値となり、一度吸入室25a,25bに吸い込ま
れた冷媒ガスの一部は開口部28a,28bから吐き出
される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のスクロ
ール型圧縮機では、固定スクロールおよび可動スクロー
ルのラップを構成するインボリュート曲線の巻き数によ
って固有の圧縮比が決定される。しかしながら、空調機
に用いられる冷凍サイクルでは、熱交換器での熱交換量
の変化やインバータを用いた圧縮機の運転周波数の変化
等により高圧側と低圧側の圧力が変化するため、圧縮機
に要求される圧縮比は一定ではない。
【0016】このため、冷凍サイクルの高圧側と低圧側
の圧力比がスクロール圧縮機の固有の圧縮比よりも小さ
い場合、スクロール圧縮機が吸入した冷凍サイクルの低
圧側の冷媒ガスは、一旦、冷凍サイクルの高圧側よりも
高い圧力まで圧縮されてから送り出されることになり、
仕事量が増加して性能の低下を招いていた。
【0017】本発明は、このような従来のスクロール圧
縮機の課題を考慮し、圧縮比が変化しても仕事量が増加
せず、高効率なスクロール圧縮機を提供することを目的
とするものである。
【0018】また、従来のスクロール圧縮機では、吸入
過程において一度吸入室に吸い込まれた後に吐き出され
る冷媒ガスによりエネルギーの一部が浪費され、効率の
低下を招いていた。
【0019】本発明は、このような従来型スクロール圧
縮機の課題を考慮し、一度吸入室に吸い込まれた後に吐
き出される冷媒ガス量を低減することにより、高効率な
スクロール圧縮機を提供することを目的とするものであ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】第1の本発明(請求項1
に対応)は、回転軸の回りで回転可能なクランク軸と、
前記クランク軸を支持する軸受と、固定スクロールと、
前記回転軸に対して旋回運動するように所定量だけ偏心
させて前記クランク軸に取り付けられ、かつ、前記固定
スクロールと互いに噛み合う可動スクロールと、前記可
動スクロールを支持するスラスト軸受と、前記可動スク
ロールの自転運動を拘束するオルダム継手とを有する圧
縮機構部を備え、前記固定スクロールと前記可動スクロ
ールは各々渦巻き形状のラップを有し、前記固定スクロ
ールと前記可動スクロールの少なくとも一方の前記ラッ
プの巻き始めの所定の領域に、厚み方向にオフセットが
施されていることを特徴とするスクロール圧縮機であ
る。
【0021】例えば前記ラップはインボリュート曲線形
状のラップであって、前記固定スクロールと前記可動ス
クロールの少なくとも一方の前記ラップの巻き始め付近
の、外壁において伸開角0〜2πradの区間の少なく
とも一部を、または内壁において伸開角π〜3πrad
の区間の少なくとも一部を、厚み方向にオフセットさせ
ることによってこの部分における前記ラップを薄くし、
圧縮室と吐出室を仕切る接触点において微小隙間を設け
たことにより、圧縮比を可変にし、圧縮効率を高めるこ
とができる。
【0022】第2の本発明(請求項7に対応)は、回転
軸の回りで回転可能なクランク軸と、前記クランク軸を
支持する軸受と、固定スクロールと、前記回転軸に対し
て旋回運動するように所定量だけ偏心させて前記クラン
ク軸に取り付けられた可動スクロールと、前記可動スク
ロールを支持するスラスト軸受と、前記可動スクロール
の自転運動を拘束するオルダム継手とを有する圧縮機構
部を備え、前記固定スクロールと前記可動スクロールは
各々渦巻き形状のラップを有し、前記固定スクロールと
前記可動スクロールの少なくとも一方の前記ラップの巻
き終わり位置において、その巻き終わり位置の一方のラ
ップの一方の壁は第1平面部を有し、その第1平面部と
対向する他方のラップの壁は前記第1平面部と所定の長
さ対向することができる第2平面部を有することを特徴
とするスクロール圧縮機である。
【0023】このような構成にすることにより、吸入行
程の最終段階において、吸入室の開口部が前記内壁平面
部と外壁平面部に挟まれた幅の狭い流路となるため、一
度吸入室に吸い込まれた後に吐出される冷媒ガス量を、
前記流路の壁面摩擦抵抗により低減することができる。
言い換えれば、吸入行程終了時に、吸入室により多くの
冷媒ガスを取り込むことができる。従って、動力を増加
することなく過給効果を得ることができ、高効率なスク
ロール圧縮機を提供することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1〜12を用いて説明する。本発明の実施の形態
のスクロール圧縮機の構成は、固定スクロールのラップ
と可動スクロールのラップの一部を除いて図13〜15
で説明した従来例と概略同様な構成であり、本発明の実
施の形態において前述の従来例について説明した構成と
同様な部分については、その説明を省略する。
【0025】(実施の形態1)図1は実施の形態1の可
動スクロールのラップの巻き始め付近の拡大横断面図で
あり、図2はラップの全体の横断面図である。また、図
3、4はともに圧縮機構部の横断面図である。
【0026】図1において、Wはラップ31の外壁を構
成するインボリュート曲線C1の巻き始めであり、伸開
角がゼロである。以下、ラップ31の内壁を構成するイ
ンボリュート曲線C2も含めて、インボリュートの伸開
角はこの位置を基準とする。
【0027】ラップ外壁31aのインボリュート曲線形
状は、伸開角θ1のPから始まり、伸開角θ2のRで終
了する。θ2は、ポリトロープ指数κと、想定されるス
クロール圧縮機の運転条件の中での最大の圧縮比λ1を
用いて、(数1)で表される。
【0028】
【数1】 このような構成にすることにより、ラップ31は圧縮比
λ1を与える巻き数となる。
【0029】また、Qの伸開角θ3は、ポリトロープ指
数κと、想定される圧縮機の運転条件の中での最小の圧
縮比λ2を用いて、(数2)で表される。
【0030】
【数2】 PからQの区間のラップ外壁31aを、インボリュート
曲線C1からラップの厚み方向に一定オフセット量dだ
け内壁31b側にオフセットさせる。距離dの大きさは
0.1mm程度とする。
【0031】固定スクロールのラップの形状も同様とす
る。
【0032】このような構成により、圧縮室32a、3
2bは、圧縮比がλ2に達するまで、その前後の接触点
33a、33b、34a、34bによって完全に閉じ込
まれているが、圧縮比がλ2以上に達した後は、ラップ
31の旋回運動によって吐出室35側の接触点33a、
33bがラップ外壁31aのオフセット部36に位置
し、圧縮室32a、32bは距離dの隙間を介して吐出
室35と連通する。
【0033】冷凍サイクルの負荷が軽く、低圧縮比かつ
低回転数の条件でスクロール圧縮機を運転する場合、従
来のスクロール圧縮機では、圧縮室の容積が減じて圧縮
室内での圧力が冷凍サイクルの高圧側の圧力を超えるこ
とにより過圧縮が発生していたが、本実施の形態では、
図4の中の矢印で示すように、過圧縮が発生するとオフ
セット部36の隙間を介して圧縮室32a、32bから
吐出室35に冷媒ガスが流れるため、圧縮室32a、3
2bの圧力の上昇を抑えることができる。従って、過圧
縮による性能の低下を防ぐことができる。
【0034】また、冷凍サイクルの負荷が重く、高圧縮
比かつ高回転数の条件でスクロール圧縮機を運転する場
合、図3の中の矢印で示すように、オフセット部36の
隙間を介して吐出室35から圧縮室32a、32bに冷
媒ガスが逆流する。しかし、スクロール圧縮機の回転数
が高いので、スクロール圧縮機の送り出す冷媒ガスの量
は多いが、逆流の流量は非常に少なく無視できる程度で
ある。従って、性能にはほとんど影響しない。
【0035】これらのことから解るように、本実施の形
態のスクロール圧縮機は、どの運転条件においても高い
性能を発揮するものである。
【0036】なお、オフセット部36のオフセット量d
を0.1mmとしたが、0.5mm程度までの範囲であ
れば、必ずしもこの値にする必要はない。オフセット量
dを大きくすることにより、低圧縮比かつ低回転数の条
件で運転する際の過圧縮防止の効果をより大きくするこ
とが可能である。また、オフセット量dをさらに小さく
することにより、高圧縮比かつ高回転数の条件で運転す
る際の、吐出室35から圧縮室32a、32bへの逆流
による性能への影響をさらに小さくすることが可能であ
る。従って、両方の相乗効果が最大となるオフセット量
dを選ぶことにより、より性能の高いスクロール圧縮機
を得ることが出来る。
【0037】また、オフセット部36は必ずしもPから
Qの範囲全体に設ける必要はなく、オフセット36がP
からQの範囲の一部にかかっていれば、上述した過圧縮
防止の効果を得ることが出来る。
【0038】以上のことは、可動スクロールのラップ外
壁31aのみに上記のオフセット部を設けた場合にも成
り立つ。すなわち、可動スクロールのラップ外壁31a
に接する位置にある圧縮室32aにおいて過圧縮が防止
されるので、スクロール圧縮機の性能を向上させること
が可能となる。また、固定スクロールのラップ外壁37
aのみに上記のオフセット部(図示せず)を設けた場合
にも、同様の効果が得られることは言うまでも無い。要
するに、可動スクロールと固定スクロールのうちの少な
くとも一方のラップ外壁をオフセットさせさえすればよ
い。
【0039】なお、上述した実施の形態では、オフセッ
ト部36のオフセット量dは0.1mmから0.5mm
程度までの範囲であればよいとしたが、圧縮機構部の実
質上の直径が大きければ圧縮機構部の高さを高くし、ま
た直径が小さければ圧縮機構部の高さを低くすることに
より、上記オフセット量dを0.1mmから0.5mm
程度までの範囲にすれば、過圧縮時にオフセット部36
の隙間を介して圧縮室32a、32bから吐出室35に
冷媒ガスが流れるため、圧縮室32a、32bの圧力の
上昇を抑えるという効果を発揮させることができる。
【0040】(実施の形態2)図5は実施の形態2の可
動スクロールのラップの巻き始め付近の拡大横断面図で
ある。なお、固定スクロールのラップの形状も同様であ
るものとする。また、本実施の形態のスクロール圧縮機
の構成は、ラップ外壁31aのオフセット部38の形状
を除いて、図1の実施の形態1と同様である。従って、
本実施の形態において、実施の形態1と同様の部分に対
しては説明を省略する。
【0041】本実施の形態においては、PからQの区間
のラップ外壁31aを、インボリュート曲線C1からラ
ップ内壁31b側にテーパー付きでオフセットさせる。
オフセット量は、Pにおいてdとし、伸開角の増加に伴
い一次関数で減少させてゆき、Qにおいてゼロとする。
Pでのオフセット量dは0.1mm程度とする。
【0042】固定スクロールのラップの形状も同様とす
る。
【0043】このような構成により、圧縮室32a、3
2bは、圧縮比がλ2に達するまで、その前後の接触点
33a、33b、34a、34bによって完全に閉じ込
まれているが、圧縮比がλ2以上に達した後は、吐出室
35側の接触点33a、33bがラップ外壁31aのテ
ーパー付きのオフセット部38に位置し、圧縮室32
a、32bは距離dの隙間を介して吐出室35と連通す
る。
【0044】冷凍サイクルの負荷が軽く、低圧縮比かつ
低回転数の条件でスクロール圧縮機を運転する場合、オ
フセット量を変化させたことにより、過圧縮が小さい場
合には隙間が小さく、圧縮室32a、32bの容積がさ
らに減じて、過圧縮が大きくなった場合には隙間が大き
くなる。従って、圧縮室32a、32bから吐出室35
に流れる冷媒ガスの流量を過圧縮の大きさに比例して効
率よく増すことができるので、圧縮室32a、32bの
圧力の上昇を抑え、過圧縮による性能の低下を防ぐこと
ができる。
【0045】また、冷凍サイクルの負荷が重く、高圧縮
比かつ高回転数の条件で圧縮機を運転する場合、テーパ
ー付きのオフセット部38の隙間を介して吐出室35か
ら圧縮室32a、32bに冷媒ガスが逆流するが、テー
パー付きのオフセット部38の隙間は、圧力が低いとき
ほど小さく、吐出圧力に達するまでに徐々に増加するの
で、実施の形態1に比べて冷媒ガスの逆流をさらに小さ
くすることができる。従って、さらなる性能の向上を図
ることができる。
【0046】なお、上述した実施の形態2では、ラップ
内壁31b側のオフセット量を、伸開角の増加に伴い一
次関数で減少させるとしたが、オフセット量は、伸開角
の増加に伴い減少しておりさえすればよく、一次関数で
減少させると限定することはない。
【0047】また、Pでのオフセット量dは、0.1m
m程度に限定されない。
【0048】また、上述した本実施の形態では、可動ス
クロールと固定スクロールの形状は同様であるとした
が、可動スクロールと固定スクロールのうちの一方のラ
ップ外壁のみをオフセットさせてもよい。
【0049】(実施の形態3)図6は本発明の実施の形
態3の可動スクロールのラップの巻き始め付近の拡大横
断面図である。なお、本実施の形態のスクロール圧縮機
の構成は、ラップ外壁31aではなくラップ内壁31b
をオフセットさせることを除いて、実施の形態1と同様
である。従って、本実施の形態において、実施の形態1
と同様の部分に対しては説明を省略する。
【0050】ラップ内壁31bを構成するインボリュー
ト曲線C2は、伸開角がθ4のP’から始まり、θ5の
R’で終了する。θ4を次式(数3)で、θ5を次式
(数4)で、それぞれ与える。
【0051】
【数3】
【0052】
【数4】 ただし、P’の伸開角は必ずしもθ4である必要はな
く、圧縮機構部を組み立てた際に他方のスクロールのラ
ップ外壁31aと干渉しないように、θ4以下に設定す
ればよい。
【0053】また、Q’の伸開角θ6は、想定される圧
縮機の運転条件の中での最小の圧縮比λ2、および、ポ
リトロープ指数κを用いて、以下に示す(数5)で表さ
れ、P'からQ'の区間のラップ内壁31bを、インボリ
ュート曲線C2からオフセット量dだけラップ外壁31
a側にオフセットさせる。オフセット量dの大きさは
0.1mm程度とする。
【0054】
【数5】 固定スクロールのラップの形状も同様とする。
【0055】このような構成により、圧縮室32a、3
2bは、圧縮比がλ2に達するまで、その前後の接触点
33a、33b、34a、34bによって完全に閉じ込
まれているが、圧縮比がλ2以上に達した後は、吐出室
35側の接触点33a、33bがラップ内壁31bのオ
フセット部39に位置し、圧縮室32a、32bは距離
dの隙間を介して吐出室35と連通する。
【0056】本実施の形態で得られる効果は、実施の形
態1の場合と同様であり、冷凍サイクルの負荷が軽く、
低圧縮比かつ低回転数の条件で運転する場合に起こる過
圧縮による性能の低下を防ぎ、高効率なスクロール圧縮
機を提供するものである。
【0057】なお、可動スクロールのラップ31におい
て、ラップ内壁31bに本実施の形態のオフセット部3
9を、ラップ外壁31aに実施の形態1に示したオフセ
ット部36を設けることにより、可動スクロールと固定
スクロールの両方のラップ内壁31b、37bに本実施
の形態のオフセット部を設けたときと同様の効果を得る
ことができる。固定スクロールのラップ37においても
同様のことが言える。
【0058】また、オフセット量dは、0.1mm程度
に限定されない。
【0059】また、上述した本実施の形態では、可動ス
クロールと固定スクロールの形状は同様であるとした
が、可動スクロールと固定スクロールのうちの一方のラ
ップ内壁のみをオフセットさせてもよい。
【0060】(実施の形態4)図7は本発明の実施の形
態4の可動スクロールのラップの巻き始め付近の拡大横
断面図である。なお、固定スクロールのラップの形状も
同様であるものとする。また、本実施の形態のスクロー
ル圧縮機の構成は、ラップ内壁31bのオフセット量d
を除いて、図6に示した実施の形態3と同様である。従
って、本実施の形態において、実施の形態3と同様の部
分に対しては説明を省略する。
【0061】本実施の形態においては、P’からQ’の
区間のラップ内壁31bをインボリュート曲線C2から
ラップ内壁31b側にテーパー付きでオフセットさせ
る。オフセット量は、P’においてdとし、伸開角の増
加に伴い一次関数で減少させてゆき、Q'においてゼロ
とする。P'でのオフセット量dは0.1mm程度とす
る。ただし、P’でのオフセット量dは、0.1mm程
度に限定されない。また、ラップ内壁31b側のオフセ
ット量は、伸開角の増加に伴い減少しておりさえすれば
よく、一次関数で減少させると限定することはない。
【0062】固定スクロールのラップの形状も同様とす
る。
【0063】本実施の形態で得られる効果は、実施の形
態3の場合と同様であり、冷凍サイクルの負荷が軽く、
低圧縮比かつ低回転数の条件で圧縮機を運転する場合
に、過圧縮による性能の低下を防ぎ、高効率なスクロー
ル圧縮機を提供するものである。
【0064】なお、上述した本実施の形態では、可動ス
クロールと固定スクロールの形状は同様であるとした
が、可動スクロールと固定スクロールのうちの一方のラ
ップ内壁のみをオフセットさせてもよい。
【0065】また、上述した実施の形態1から4ではラ
ップの渦巻き形状をインボリュート曲線形状としている
が、アルキメデス曲線等を用いた場合でも同様の効果が
得られることは言うまでもない。要するに、固定スクロ
ールと可動スクロールの少なくとも一方のラップの巻き
始め付近に、厚み方向にオフセットが施されておりさえ
すればよい。またそのオフセットは、ラップの内側に施
されていてもよいし、外側に施されていてもよい。ま
た、オフセットの量は、ラップの巻き角によらず実質上
一定であるとしてもよいし、巻き角の増加に伴い減少し
ていてもよい。
【0066】(実施の形態5)図8は実施の形態5の圧
縮機構部の横断面図である。固定スクロール2の渦巻き
形状のラップ130aの内壁131aと外壁132a
は、座標軸X0−Y0の原点Oaを中心とする基礎円1
33aのインボリュート曲線で形成されている。また、
可動スクロール3の渦巻き形状のラップ130bの内壁
131bと外壁132bは、座標軸X1−Y1の原点O
bを中心とする基礎円133bのインボリュート曲線で
形成されている。
【0067】固定スクロール2の内壁131aのインボ
リュート曲線の巻き終り位置のS1点から先には、S1
点におけるインボリュート曲線の接線方向に、長さLの
内壁平面部134aが設けられている。可動スクロール
3の外壁132bのインボリュート曲線上のT1点は、
可動スクロール3の旋回運動に伴いS1点と対向接触す
る点であり、T1点から先には、T1点におけるインボ
リュート曲線の接線方向に、長さLの外壁平面部135
aが設けられている。
【0068】可動スクロール3の内壁131bのインボ
リュート曲線の巻き終り位置のS2点から先には、S2
点におけるインボリュート曲線の接線方向に、長さL’
の内壁平面部134bが設けられている。固定スクロー
ル2の外壁132aのインボリュート曲線上のT2点
は、可動スクロール3の旋回運動に伴いS2点と対向接
触する点であり、T2点から先には、T2点におけるイ
ンボリュート曲線の接線方向に、長さL’の外壁平面部
135bが設けられている。
【0069】固定スクロール2と可動スクロール3のラ
ップ130a,130bは、P1,P2,Q1,Q2の
複数の点で接触し噛み合うことにより、吸入室136
a,136b、圧縮室137a,137b、吐出室13
8を構成している。可動スクロール3が旋回運動する
と、接触点P1,P2,Q1,Q2はそれぞれ座標軸原
点に近づき、それに伴い、吸入室136a,136b、
圧縮室137a,137b、吐出室138の容積は変化
する。
【0070】吸入室136a,136bおよび圧縮室1
37a,137bの容積の変化と、吸入室136a,1
36bの開口部139a,139bの隙間tの変化は、
図16に示した従来のスクロール圧縮機と同様である。
以下、吸入室136a,136bおよび圧縮室137
a,137bの容積の変化と、吸入室136a,136
bの開口部139a,139bの隙間tの変化を図16
を用いて説明する。
【0071】吸入室136a,136bの容積は、旋回
角度が0degから315degの範囲で増加し、極大
値となった後、旋回角度が315degから360de
gの範囲で減少する。吸入室136a,136bの開口
部139a,139bの隙間tは、旋回角度が0deg
から180degの範囲で増加し、極大値となった後、
旋回角度が180degから360degの範囲で減少
する。旋回角度360degで開口部139a,139
bの隙間tがゼロとなり吸入行程が完了すると、吸入室
136a,136bは圧縮室137a,137bとなり
圧縮行程が開始される。圧縮行程開始後、圧縮室137
a,137bの容積は単調に減少するため、内部の冷媒
ガスは圧縮される。
【0072】吸入行程において、吸入室136a,13
6bの容積が増加する範囲、すなわち旋回角度が0de
gから315degの範囲では、開口部139a,13
9bを通して吸入室136a,136bに冷媒が吸入さ
れる。それに対し、吸入室136a,136bの容積が
減少する範囲、すなわち旋回角度が315degから3
60degの範囲では、開口部139a,139bを通
して吸入室136a,136bから一度吸入された冷媒
ガスが吐出される。
【0073】本実施の形態では、前記のように固定スク
ロール2に長さLの内壁平面部134a、可動スクロー
ル3に長さLの外壁平面部135aを設けたことによ
り、吸入室136aの開口部139aは隙間がtで長さ
がLの流路となる。また、可動スクロール3に長さL’
の内壁平面部134b、固定スクロール2に長さL’の
外壁平面部135bを設けたことにより、吸入室136
bの開口部139bは隙間がtで長さがL’の流路とな
る。
【0074】図16から解かるように、旋回角度が31
5degから360degの範囲での隙間tは、旋回角
度180degでの最大値の17%以下であり、非常に
狭い。このため、開口部139a,139bを通して吐
出される冷媒ガスには大きな壁面摩擦抵抗が働き、吸入
室136a,136bに一度吸入された冷媒ガスが開口
部139a,139bを通して吐出される量を低減する
ことができる。
【0075】言い換えれば、吸入終了時の旋回角度36
0degにおいて、より多くの冷媒ガスを吸入室136
a,136bに取り込むことができる。従って、従来の
スクロール圧縮機に比べて動力を増加することなく、吸
入室136a,136bにおいて過給効果を得ることが
でき、高効率なスクロール圧縮機を提供することができ
る。
【0076】なお、吸入室139aにおける過給効果の
大きさは、内壁平面部134aおよび外壁平面部135
aの長さLにより調整することが可能である。Lを長く
すれば、開口部139aを通して吐出される冷媒ガスに
働く壁面摩擦抵抗が増し、より大きな過給効果を得るこ
とができる。同様に、吸入室139bにおける過給効果
の大きさは、内壁平面部134bおよび外壁平面部13
5bの長さL’により調整することが可能である。
【0077】(実施の形態6)図9は実施の形態6の圧
縮機構部の横断面図である。固定スクロール2の渦巻き
形状のラップ50aの内壁51aと外壁52aは、座標
軸X0−Y0の原点Oaを中心とする基礎円53aのイ
ンボリュート曲線で形成されている。また、可動スクロ
ール3の渦巻き形状のラップ50bの内壁51bと外壁
52bは、座標軸X1−Y1の原点Obを中心とする基
礎円53bのインボリュート曲線で形成されている。
【0078】固定スクロール2のラップ50aの内壁5
1aのインボリュート曲線の巻き角は、可動スクロール
3のラップ50bの内壁51bのインボリュート曲線の
巻き角に等しいA点から、ラップ50aの長手方向に1
80deg先のS3点まで延長されている。
【0079】固定スクロール2の内壁51aのインボリ
ュート曲線の巻き終り位置のS3点から先には、S3点
におけるインボリュート曲線の接線方向に、長さLの内
壁平面部54aが設けられている。可動スクロール3の
外壁52bのインボリュート曲線上のT3点は、可動ス
クロール3の旋回運動に伴いS3点と接触する点であ
り、T3点から先には、T3点におけるインボリュート
曲線の接線方向に、長さLの外壁平面部55aが設けら
れている。
【0080】また、可動スクロール3の内壁51bのイ
ンボリュート曲線の巻き終り位置のS4点から先には、
S4点におけるインボリュート曲線の接線方向に、長さ
Lの内壁平面部54bが設けられている。固定スクロー
ル2の外壁52aのインボリュート曲線上のT4点は、
可動スクロール3の旋回運動に伴いS4点と接触する点
であり、T4点から先には、T4点におけるインボリュ
ート曲線の接線方向に、長さLの外壁平面部55bが設
けられている。
【0081】図10に、内壁平面部54a、外壁平面部
55a、内壁平面部54b、および外壁平面部55bを
拡大して示す。
【0082】固定スクロール2と可動スクロール3のラ
ップ50a,50bは、P1,P2,Q1,Q2の複数
の点で接触し噛み合うことにより、吸入室56a,56
b、圧縮室57a,57b、吐出室58を構成してい
る。
【0083】本実施の形態では、固定スクロール2と可
動スクロール3にそれぞれ長さLの内壁平面部54a,
54bと外壁平面部55a,55bを設けたことによ
り、吸入室56a,56bの開口部59a,59bは隙
間がt,t’(=ra−t)で長さがLの流路となる。
図16から解かるように、旋回角度が315degから
360degの範囲での隙間t,t’は、旋回角度18
0degでの最大値の17%以下であり、非常に狭い。
【0084】このため、開口部59a,59bを通して
吐出される冷媒ガスには大きな壁面摩擦抵抗が働き、吸
入室56a,56bに一度吸入された冷媒ガスが開口部
59a,59bを通して吐出される量を低減することが
できる。言い換えれば、吸入終了時の旋回角度360d
egにおいて、より多くの冷媒ガスを吸入室56a,5
6bに取り込むことができる。従って、従来のスクロー
ル圧縮機に比べて動力を増加することなく、吸入室56
a,56bにおいて過給効果を得ることができ、高効率
なスクロール圧縮機を提供することができる。
【0085】なお、本実施の形態では、固定スクロール
2のラップ50aの内壁51aのインボリュート曲線の
巻き角を、可動スクロール3のラップ50bの内壁51
bのインボリュート曲線の巻き角に等しいA点から、ラ
ップ50aの長手方向に180deg先の点S3まで延
長したことにより、固定スクロール2のラップ50aの
内壁51aのS3点と外壁52bのT4点は、共に基礎
円53aの動径60aの上に位置し、固定スクロール2
の内壁平面部54aと外壁平面部55bは実質上平行に
なる。従って、固定スクロール2のラップ50aの形状
がシンプルかつコンパクトであり、加工が容易である。
【0086】また、可動スクロール3のラップ50bの
内壁51bのS4点と外壁52bのT3点は、共に基礎
円53bの動径60bの上に位置し、可動スクロール3
の内壁平面部54bと外壁平面部55aは実質上平行に
なり、可動スクロール3のラップ50bを一定の厚みに
保ったまま平面部54b,55aを設けることができ
る。従って、形状がシンプルかつコンパクトであり、加
工が容易である。
【0087】(実施の形態7)図11は実施の形態7の
固定スクロール2および可動スクロール3のラップ50
a,50b巻き終わり付近の拡大横断面図である。本実
施の形態の構成は、一部を除いて図9を用いて説明した
実施の形態6と概略同様な構成であり、実施の形態6の
構成と同様な部分については同一符号を付し、その説明
を省略する。
【0088】本実施の形態では、固定スクロール2の内
壁平面部54aに矩形の溝61a,61bを、外壁平面
部55bに矩形の溝62a,62bを設けている。ま
た、可動スクロール3の内壁平面部54bと外壁平面部
55aには、ラップの厚みが薄くなる方向に変位させた
変位面63a,63bを設けている。
【0089】固定スクロール2の内壁平面部54aと外
壁平面部55bに矩形の溝61a,61b,62a,6
2bを設けたことにより、吸入室56a,56bの開口
部59a,59bを通して吐出される冷媒ガスには壁面
摩擦抵抗に加えて流路断面積の拡大と縮小による圧力損
失が発生し、吸入室56a,56bに一度吸入された冷
媒ガスが吐出される量を低減する効果をさらに大きくす
ることができる。従って、両側の吸入室56a,56b
において実施の形態6よりもさらに大きな過給効果を得
ることができ、高効率なスクロール圧縮機を提供するこ
とができる。
【0090】なお、溝61a,61b,62a,62b
の形状は矩形に限る必要は無く、数も規定されるもので
は無い。過給効果の大きさは、溝61a,61b,62
a,62bの形状、大きさ、数の組み合わせにより調整
することが可能である。
【0091】また、溝61a,61bは必ずしも固定ス
クロール2の内壁平面部54aに設ける必要は無く、可
動スクロール3の外壁平面部55aに設けても同様の効
果が得られることは言うまでも無い。
【0092】また、溝62a,62bは必ずしも固定ス
クロール2の外壁平面部55bに設ける必要は無く、可
動スクロール3の内壁平面部54bに設けても同様の効
果が得られることは言うまでも無い。
【0093】さらに、可動スクロール3の内壁平面部5
4bに変位面63aを設けたことにより、可動スクロー
ル3の旋回運動に伴い、固定スクロール2の外壁52a
のT4点と可動スクロール3の内壁51bのS4点が接
触する位置関係にある場合でも、固定スクロール2の外
壁平面部55bと、可動スクロール3の内壁平面部54
bの変位面63aの間には微小な隙間が確保されるた
め、接触しない。
【0094】同様に、可動スクロール3の外壁平面部5
5aに変位面63bを設けたことにより、可動スクロー
ル3の旋回運動に伴い、固定スクロール2の内壁51a
のS3点と可動スクロール3の外壁52bのT3点が接
触する位置関係にある場合でも、固定スクロール2の内
壁平面部54aと、可動スクロール3の外壁平面部55
aの変位面63bの間には微小な隙間が確保されるた
め、接触しない。
【0095】固定スクロール2の内壁平面部54aと可
動スクロール3の外壁平面部55a、可動スクロール3
の内壁平面部54bと固定スクロール2の外壁平面部5
5bがそれぞれ面接触する場合、渦巻き形状部の接点P
1,P2,Q1,Q2における線接触に比べると、ラッ
プ50a,50bは互いに大きな力を及ぼし合う。従っ
て、ラップ50a,50bの信頼性を確保するために
は、ラップ50a,50bの補強等の対策が必要とな
る。
【0096】それに対して、本実施の形態では、固定ス
クロール2の内壁平面部54aと可動スクロール3の外
壁平面部55a、可動スクロール3の内壁平面部54b
と固定スクロール2の外壁平面部55bは接触しないの
で、ラップ50a,50bの補強無しに信頼性の高いス
クロール圧縮機を提供することができる。
【0097】なお、変位面63aは必ずしも可動スクロ
ール3の内壁平面部54bに設ける必要は無く、固定ス
クロール2の外壁平面部55bに設けても同様の効果が
得られることは言うまでも無い。
【0098】また、変位面63bは必ずしも可動スクロ
ール3の外壁平面部55aに設ける必要は無く、固定ス
クロール2の内壁平面部54aに設けても同様の効果が
得られることは言うまでも無い。
【0099】なお、変位面63a,63bの変位量を大
きくすると、内壁平面部54a,54bおよび外壁平面
部55a,55bでの隙間が大きくなるため、より接触
は起こりにくく構成できるが、吸入室56a,56bの
開口部59a,59bにおける長さLの流路の幅が広が
り、過給効果が小さくなる。従って、本実施の形態で
は、内壁平面部54a,54bおよび外壁平面部55
a,55bでの接触の防止と過給効果のバランスを取る
ことが大切であり、変位量はラップ50a,50bの渦
巻き形状部分の厚さの3〜20%とするのが最適であ
る。
【0100】また、本発明のスクロール圧縮機のラップ
の渦巻き形状は、上述した各実施の形態においてはイン
ボリュート曲線を用いるとして説明したが、これに限る
ものではない。
【0101】また、図12に示すような、固定スクロー
ルのラップ巻き始めにオフセット36aが設けられ、ま
た可動スクロールのラップ巻き始めにオフセット36b
が設けられるとともに、ラップの巻き終わりにおいて、
可動スクロールに内壁平面部134bが、固定スクロー
ルに外壁135bが、それぞれ設けられた圧縮機構部を
備えたスクロール圧縮機も本発明に属する。
【0102】さらにいうと、固定スクロールと可動スク
ロールの少なくとも一方のラップの巻き始めの所定の領
域に厚み方向にオフセットが施されているとともに、固
定スクロールと可動スクロールの少なくとも一方のラッ
プの巻き終り位置において、その巻き終わり位置の一方
のラップの一方の壁に第1平面部が設けられており、そ
の第1平面部と対向する他方のラップの壁に第1平面部
と所定の長さ対向することができる第2平面部が設けら
れている圧縮機後部を備えたスクロール圧縮機も本発明
に属する。
【0103】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなよう
に、第1の本発明は、可動スクロールもしくは固定スク
ロールのラップ巻き始め付近のラップ外壁もしくは内壁
にオフセット部を設け、ラップを薄くしたことにより、
圧縮室と吐出室の間のラップ同士の接触点に微小隙間を
設けたものである。このため、圧縮室の容積が減じ、圧
縮室内での圧力が冷凍サイクルの高圧側の圧力を超えて
過圧縮が発生すると、微小隙間を介して圧縮室から吐出
室に冷媒ガスが流れるため、圧縮室の圧力の上昇を抑え
ることができる。従って、過圧縮による性能の低下を防
ぐことができ、高効率なスクロール圧縮機を提供するこ
とが可能となる。
【0104】また、第2の本発明は、固定スクロールと
可動スクロールの渦巻き形状のラップの少なくとも一方
のラップの巻き終り位置に内壁平面部または外壁平面部
を設け、かつ、これと対向する他方のラップに外壁平面
部または内壁平面部を設けたことにより、吸入行程の最
終段階において、吸入室の開口部が前記内壁平面部と前
記外壁平面部に挟まれた幅の狭い流路となるように構成
したものである。
【0105】このため、吸入過程において、一度吸入室
に吸い込まれた後に吐き出される冷媒ガス量を、開口部
の流路での壁面摩擦抵抗の働きで低減することができ
る。言い換えれば、吸入行程終了時に、より多くの冷媒
ガスを吸入室に取り込むことができる。従って、動力を
増加することなく過給効果を得ることができ、高効率な
スクロール圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の可動スクロールのラップの巻き
始め付近の拡大横断面図
【図2】実施の形態1の可動スクロールのラップの横断
面図
【図3】実施の形態1の圧縮機構部の横断面図
【図4】実施の形態1の圧縮機構部の横断面図
【図5】実施の形態2の可動スクロールのラップの巻き
始め付近の拡大横断面図
【図6】実施の形態3の可動スクロールのラップの巻き
始め付近の拡大横断面図
【図7】実施の形態4の可動スクロールのラップの巻き
始め付近の拡大横断面図
【図8】実施の形態5のスクロール圧縮機の圧縮機構部
の横断面図
【図9】実施の形態6のスクロール圧縮機の圧縮機構部
の横断面図
【図10】実施の形態6のスクロール圧縮機の圧縮機構
部の一部の横断面図
【図11】実施の形態7のスクロール圧縮機の圧縮機構
部の拡大横断面図
【図12】実施の形態のスクロール圧縮機の圧縮機構部
の横断面図
【図13】従来のスクロール圧縮機の縦断面図
【図14】従来のスクロール圧縮機の圧縮機構部の横断
面図
【図15】従来のスクロール圧縮機の圧縮機構部の中央
付近の拡大横断面図
【図16】スクロール圧縮機の吸入室の容積および開口
部の隙間と可動スクロールの旋回角度の関係図
【符号の説明】
31 ラップ 31a ラップ外壁 31b ラップ内壁 32a、32b 圧縮室 33a、33b、34a、34b 接触点 35 吐出室 36、38、39、40 オフセット部 20a、20b、130a、130b、50a、50b
ラップ 131a、131b、51a、51b ラップ内壁 132a、132b、52a、52b ラップ外壁 134a、134b、54a、54b 内壁平面部 135a、135b、55a、55b 外壁平面部 25a、25b、136a、136b、56a、56b
吸入室 26a、26b、137a、137b、57a、57b
圧縮室 61a、61b、62a、62b 溝 63a、63b 変位面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西脇 文俊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 新宅 秀信 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 3H039 AA03 AA06 AA12 BB17 CC04 CC06 CC07

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸の回りで回転可能なクランク軸
    と、前記クランク軸を支持する軸受と、固定スクロール
    と、前記回転軸に対して旋回運動するように所定量だけ
    偏心させて前記クランク軸に取り付けられ、かつ、前記
    固定スクロールと互いに噛み合う可動スクロールと、前
    記可動スクロールを支持するスラスト軸受と、前記可動
    スクロールの自転運動を拘束するオルダム継手とを有す
    る圧縮機構部を備え、 前記固定スクロールと前記可動スクロールは各々渦巻き
    形状のラップを有し、 前記固定スクロールと前記可動スクロールの少なくとも
    一方の前記ラップの巻き始めの所定の領域に、厚み方向
    にオフセットが施されていることを特徴とするスクロー
    ル圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記オフセットは、前記ラップの前記巻
    き始めの内側に施されていることを特徴とする請求項1
    に記載のスクロール圧縮機。
  3. 【請求項3】 前記オフセットは、前記ラップの前記巻
    き始めの外側に施されていることを特徴とする請求項1
    に記載のスクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】 前記ラップの厚み方向のオフセットの量
    は、前記ラップの巻き角によらず実質上一定であること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスクロ
    ール圧縮機。
  5. 【請求項5】 前記ラップの厚み方向のオフセットの量
    は、前記ラップの巻き角の増加に伴い減少していること
    を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスクロ
    ール圧縮機。
  6. 【請求項6】 前記固定スクロールと前記可動スクロー
    ルの少なくとも一方の前記ラップの巻き終わり位置にお
    いて、 その巻き終わり位置の一方のラップの一方の壁は第1平
    面部を有し、その第1平面部と対向する他方のラップの
    壁は前記第1平面部と所定の長さ対向することができる
    第2平面部を有することを特徴とする請求項1に記載の
    スクロール圧縮機。
  7. 【請求項7】 回転軸の回りで回転可能なクランク軸
    と、前記クランク軸を支持する軸受と、固定スクロール
    と、前記回転軸に対して旋回運動するように所定量だけ
    偏心させて前記クランク軸に取り付けられた可動スクロ
    ールと、前記可動スクロールを支持するスラスト軸受
    と、前記可動スクロールの自転運動を拘束するオルダム
    継手とを有する圧縮機構部を備え、 前記固定スクロールと前記可動スクロールは各々渦巻き
    形状のラップを有し、 前記固定スクロールと前記可動スクロールの少なくとも
    一方の前記ラップの巻き終わり位置において、 その巻き終わり位置の一方のラップの一方の壁は第1平
    面部を有し、その第1平面部と対向する他方のラップの
    壁は前記第1平面部と所定の長さ対向することができる
    第2平面部を有することを特徴とするスクロール圧縮
    機。
  8. 【請求項8】 前記第1平面部および/または前記第2
    平面部は、前記第1平面部または前記第2平面部が設け
    られていない部分の前記ラップの壁の前記巻き終わり側
    の端部のそのラップの接線方向に設けられていることを
    特徴とする請求項7に記載のスクロール圧縮機。
  9. 【請求項9】 前記第1平面部は前記可動スクロールの
    前記巻き終わり位置におけるラップの内壁に、前記第2
    平面部は前記固定スクロールのラップの外壁に、それぞ
    れ設けられていることを特徴とする請求項7に記載のス
    クロール圧縮機。
  10. 【請求項10】 前記第1平面部は前記固定スクロール
    の前記巻き終わり位置におけるラップの内壁に、前記第
    2平面部は前記可動スクロールのラップの外壁に、それ
    ぞれ設けられていることを特徴とする請求項7に記載の
    スクロール圧縮機。
  11. 【請求項11】 前記第1平面部が設けられている前記
    ラップの巻き終わり位置において、その巻き終わり位置
    の前記ラップの外壁は第3平面部を有し、その第3平面
    部と対向する他方のラップの内壁は前記第3平面部と少
    なくとも所定の長さ対向することができる第4平面部を
    有することを特徴とする請求項9に記載のスクロール圧
    縮機。
  12. 【請求項12】 前記可動スクロールのラップの前記巻
    き終わり位置から実質上180deg巻き始め寄りの第
    2の位置のそのラップの外壁は第3平面部を有し、 その第3平面部と対向する前記固定スクロールのラップ
    の壁は、前記第3平面部と所定の長さ対向することがで
    きる第4平面部を有することを特徴とする請求項9に記
    載のスクロール圧縮機。
  13. 【請求項13】 前記第1平面部、前記第2平面部、前
    記第3平面部、および前記第4平面部の全部または一部
    は、前記ラップの厚み方向に深さを持つ少なくとも一つ
    の溝を有することを特徴とする請求項7から12のいず
    れかに記載のスクロール圧縮機。
  14. 【請求項14】 前記第1平面部、前記第2平面部、前
    記第3平面部、および前記第4平面部の全部または一部
    は、前記ラップの厚みが薄くなる方向に変位した変位面
    を有することを特徴とする請求項7から12のいずれか
    に記載のスクロール圧縮機。
  15. 【請求項15】 前記変位面の変位量は、前記ラップの
    渦巻き形状部分の厚さの3から20%であることを特徴
    とする請求項14に記載のスクロール圧縮機。
JP2000260956A 1999-09-01 2000-08-30 スクロール圧縮機 Pending JP2001173584A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000260956A JP2001173584A (ja) 1999-09-01 2000-08-30 スクロール圧縮機

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24743299 1999-09-01
JP11-285552 1999-10-06
JP28555299 1999-10-06
JP11-247432 1999-10-06
JP2000260956A JP2001173584A (ja) 1999-09-01 2000-08-30 スクロール圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001173584A true JP2001173584A (ja) 2001-06-26

Family

ID=27333589

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000260956A Pending JP2001173584A (ja) 1999-09-01 2000-08-30 スクロール圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001173584A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013024053A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Daikin Industries Ltd スクロール型圧縮機
WO2014192666A1 (ja) * 2013-05-28 2014-12-04 株式会社ヴァレオジャパン スクロール型圧縮機
JP2020076370A (ja) * 2018-11-08 2020-05-21 有限会社スクロール技研 スクロール型真空ポンプ
JP2022534934A (ja) * 2019-05-29 2022-08-04 ハンオン システムズ スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機でガス流体を圧縮する方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013024053A (ja) * 2011-07-15 2013-02-04 Daikin Industries Ltd スクロール型圧縮機
WO2014192666A1 (ja) * 2013-05-28 2014-12-04 株式会社ヴァレオジャパン スクロール型圧縮機
JP2014231750A (ja) * 2013-05-28 2014-12-11 株式会社ヴァレオジャパン スクロール型圧縮機
US10060434B2 (en) 2013-05-28 2018-08-28 Valeo Japan Co., Ltd. Scroll compressor
JP2020076370A (ja) * 2018-11-08 2020-05-21 有限会社スクロール技研 スクロール型真空ポンプ
JP2022534934A (ja) * 2019-05-29 2022-08-04 ハンオン システムズ スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機でガス流体を圧縮する方法
JP7377895B2 (ja) 2019-05-29 2023-11-10 ハンオン システムズ スクロール圧縮機及びスクロール圧縮機でガス流体を圧縮する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6102671A (en) Scroll compressor
US9163632B2 (en) Injection port and orbiting-side wrap for a scroll compressor
AU2005320203B2 (en) Scroll fluid machine
EP2581605A2 (en) Scroll compressor with bypass hole
JP2007170253A (ja) スクロール圧縮機
US8672655B2 (en) Scroll compressor having a pass hole for preventing over-compression under a low load condition
US7722341B2 (en) Scroll compressor having variable height scroll
US9243637B2 (en) Scroll compressor reducing over-compression loss
KR101335427B1 (ko) 스크롤 압축기
WO2005038256A1 (ja) スクロール圧縮機
JP2001323881A (ja) 圧縮機
KR100220663B1 (ko) 스크롤 콤프레서
JP2001173584A (ja) スクロール圧縮機
CN114026328A (zh) 涡旋压缩机及使用了该涡旋压缩机的空调机
JP3291844B2 (ja) スクロール形流体機械
JP3693041B2 (ja) スクロール圧縮機
JP4051596B2 (ja) スクロール流体機械
JPH08144972A (ja) スクロール型流体装置
JP4131561B2 (ja) スクロール圧縮機
US8967987B2 (en) Scroll compressor having at least one bypass hole
WO2022230314A1 (ja) スクロール圧縮機
JP6444786B2 (ja) スクロール圧縮機
JP4709402B2 (ja) スクロール圧縮機
KR100750303B1 (ko) 스크롤 압축기
JP2000009065A (ja) スクロール型圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050215

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050712