JP2001170104A - 湿潤用基材およびその使用方法 - Google Patents
湿潤用基材およびその使用方法Info
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Abstract
基材としての役割だけでなく、保湿ゲル、薬効ゲル等の
役割を持ち、液だれ等を生じることなく皮膚に対する優
れたフィット感を長時間保持し、清涼感や潤いなどの優
れた使用感や美容効果を与える安価な湿潤用基材および
その使用方法を提供する。 【解決手段】(1) カルボキシメチル化されたセルロース
繊維不織布であって、使用に際して水または水溶液を付
与して該不織布を膨潤させて皮膚の所定箇所を被覆する
のに使用する湿潤用基材。(2) 前記不織布にカルボキシ
メチル化されていないセルロース繊維および/または合
成繊維が混合されている湿潤用基材。(3)前記湿潤用基
材が化粧パックの前駆材である湿潤用基材。(4) 前記不
織布に所望量の水溶液等を含浸させて該不織布を膨潤さ
せた後、該膨潤した不織布を皮膚の所定箇所に被覆する
湿潤用基材の使用方法。
Description
粧パックに関し、さらに詳しくは使用時に使用者の好み
等に応じた水や各種水溶液を付与して膨潤させ、これを
皮膚に被覆して湿潤状態に保ち、優れた保湿または美容
効果を与えることができる安価な湿潤用基材およびその
使用方法に関する。
用シートにはその基材としてセルロース繊維系の不織布
が多く用いられている。しかし、セルロース繊維自身が
高い吸液倍率を有しているにもかかわらず、基材である
不織布から皮膚への水分や水溶液の移行が行われにくい
ため、液垂れが生じやすく、また皮膚とのフイット性が
悪く、長時間使用すると剥がれやすい等の問題があっ
た。
薬効を得るために、ヒアルロン酸やアルギン酸等の親水
性のゲル化剤をセルロース繊維不織布等の基材に積層し
たシートが提案されている。しかし、このような積層シ
ートは、前述のような液垂れは防止できるが、セルロー
ス繊維不織布が単なる基材として用いられているにすぎ
ず、セルロース繊維の優れた吸収性や安全性が充分に生
かされているとは言い難いものであった。またあらかじ
め定められたゲル化剤が積層されているため、一定の使
用感しか得られず、使用者の好みや使用箇所に応じた水
溶液等を使用して湿潤状態を保持することができないと
いう欠点があった。さらにゲル化剤の積層によりシート
の厚みが厚くなるため、皮膚へのフィット感が低下し、
また製品コストが高くなるなどの欠点があった。
従来技術の問題点を解決し、皮膚被覆用シートの使用時
に該シートに使用者の好み等に応じた水や各種水溶液を
付与することができるとともに、該シート自身に基材と
しての役割だけでなく、保湿ゲル、薬効ゲルなどの役割
を保持させ、液だれ等を生じることなく、皮膚に対する
優れたフィット感を長時間保持し、清涼感や潤いなどの
優れた使用感や美容効果を与えることができる、安価な
湿潤用基材およびその使用方法を提供することにある。
ついて鋭意検討した結果、基材としてカルボキシメチル
化されたセルロース繊維不織布を用い、これを使用に際
して水または所望の水溶液を付与することにより、その
優れた吸液性やゲル化能を発揮させて上記課題を達成で
きることを見いだし、本発明に到達したものである。す
なわち、本願で特許請求される発明は以下のとおりであ
る。
ス繊維不織布であって、使用に際して水または水溶液を
付与して該不織布を膨潤させて皮膚の所定箇所を被覆す
るのに使用する湿潤用基材。 (2)カルボキシメチル化されたセルロース繊維と、カ
ルボキシメチル化されていないセルロース繊維および/
または合成繊維とを混合した不織布であって、使用に際
して水または水溶液を付与して該不織布を膨潤させて皮
膚の所定箇所を被覆するのに使用する湿潤用基材。 (3)前記湿潤用基材が化粧パックの前駆材である
(1)または(2)に記載の湿潤用基材。 (4)(1)または(3)のいずれかに記載の不織布に
所望量の水または水溶液を含浸させて該不織布を膨潤さ
せた後、該膨潤した不織布を皮膚の所定箇所に被覆する
ことを特徴とする湿潤用基材の使用方法。
されたセルロース繊維不織布(以下、セルロース不織布
と称する)が用いられるため、水や各種水溶液(水分散
液を含む)に対する高い吸収性と優れたゲル化能が得ら
れ、皮膚に対する被覆基材としての役割だけでなく、保
湿ゲルや薬効ゲルなどの役割を持たせることができる。
従って、使用に際して使用者が乳液や化粧水等の水溶液
を自由に選択し、しかもその添加量を自由に変えられる
ため、使用者の好みや使用箇所に応じて適切な使用効果
および使用感を得ることができる。また従来のセルロー
ス繊維系不織布またはその他の繊維による不織布に比べ
て保液性が優れているため、使用時の液垂れを防止で
き、また使用時に不織布そのものがゲル化するため、従
来のゲル積層シートに比べてシートの厚みを薄くするこ
とができ、さらにフィット性が向上し、長時間の使用で
も剥がれおちることがない。さらに皮膚へ直接接する部
分がセルロースであることから、使用者への安全性や安
心感が得られる。またカルボキシメチル化されたセルロ
ースは乳液や化粧水等を含浸させることにより透明性を
示すため、使用者に与える冷涼感やしっとり感などが向
上する。
チル(以下、CMと略する)化されたセルロース不織布
は、該不織布の全部または一部を構成するセルロース分
子中の水酸基の水素原子が、CM基またはアルカリ金属
CM基(例えばCM−Na基)で置換されたものであ
る。なお、この不織布は架橋構造を有していてもよい。
維素材には特に制限はなく、銅アンモニアレーヨン、ビ
スコースレーヨン、コットン、パルプ、ポリノジックな
どの公知の繊維が用いられる。該繊維は連続長繊維でも
短繊維でもよいが、連続長繊維不織布は、短繊維不織布
よりも皮膚との接触面積が大きく、溶液の肌への移行が
スムーズであり、しっとり感が得やすい点で好ましい。
不織布を構成する繊維の単糸太さは、1〜3dtex程
度が好ましい。またバインダーを付与した不織布は溶液
の浸透速度が遅く、またバインダー成分の溶出が懸念さ
れるため、ノーバインダーの不織布を用いるのが好まし
い。
昭52−6381号公報に開示された、銅アンモニアレ
ーヨンの連続フィラメントからなる、単糸2dtex前
後の多数の連続フィラメントを交絡させて接着剤を用い
ることなく多孔性に形成した不織布が挙げられる。この
セルロース不織布は、引張強度も高く、充填性に富み、
風合いも良好であり、さらにセルロース不織布をCM化
や架橋処理しても引張強度の低下が少なく、組織の破壊
や柔軟性の著しい低下が生じにくい点で好ましい。また
このセルロース不織布をCM化したものは純水の吸液倍
率20〜50倍、生理食塩水の吸液倍率20〜50倍を
示し、さらに架橋構造化されたものは純水の吸液倍率5
0〜100倍、生理食塩水の吸液倍率20〜60倍を示
す。
さない範囲でセルロース繊維以外の繊維、例えば、ポリ
エステル繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の
疎水性の合成繊維が含まれていてもよい。該合成繊維は
連続長繊維でも短繊維でもよい。セルロース不織布のC
M化は、セルロース不織布のセルロースをアルカリセル
ロース化し、これをイソプロパノールの存在下でモノク
ロル酢酸(ナトリウム)を作用させてCM化を行う、公
知のCMC−Na製造法等によって行うことができる。
また不織布の架橋処理も従来公知の架橋剤を用いて公知
の方法で行うことができる。
不織布におけるセルロースのCM化度(置換度)は、基
材の湿潤性、ゲル化能、保液性等の点から、0.05〜
1.0の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.
6である。またCM化されたセルロース不織布には、上
述したCM化されていないセルロース繊維や合成繊維が
混合、例えば混繊または混抄されていてもよい。この場
合の繊維は連続長繊維でも短繊維でもよい。これらの繊
維は、不織布の形態で積層されていても、またはスライ
バーのようなヤーンとして混合されていてもよい。前述
の合成繊維との混合は基材の強度を向上させる点で好ま
しい。他の繊維等と混合する場合には、CM化されたセ
ルロース不織布の使用量は、その用途に応じて選定する
のが好ましく、通常は8〜100%の範囲で選択され
る。好ましい範囲は50%以上、より好ましくは70以
上、100%以下である。
2〜150g/m2 が好ましく、より好ましくは18〜
60g/m2 である。該不織布の目付が12g/m2 未
満では、吸水した際の形態保持が困難な場合があり、1
50g/m2 を超えると不織布そのものの製造が困難
で、他の繊維と混合する場合等に技術的問題を生じるこ
とがある。本発明の湿潤用基材の使用に際して、例え
ば、化粧用パックの前駆材として用いる場合には、CM
化されたセルロース不織布に適量の水、乳液、化粧水、
クリーム等、使用者の好みや使用箇所にあったものを付
与して該不織布を膨潤させ、該膨潤した不織布を上記所
定位置の皮膚に被覆して使用される。
化の工程において、あらかじめヒアルロン酸、アルギン
酸、コラーゲン等の各種保湿成分やビタミン類を付与し
ておくこともできる。また、本発明の効果を失わない限
りにおいて、CM化の工程において香料、防腐剤、粉
末、薬剤、紫外線吸収剤、pH調整剤等の各成分を添加
することができる。本発明の湿潤用基材は、顔の全面ま
たは目元、口元、頬等の一部分のみならず、腕や足等の
体の所定位置に清涼感やうるおいなどの保湿または美容
効果を与えるのに用いられる。
が、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、
例中の引張強力はJIS−L−1085に準じて測定
し、また吸液倍率は次のようにして測定した。すなわ
ち、標準状態下の不織布から10cm×10cmの試料を切
り取り、重量を正確に測定する。該試料をメッシュ(1
0メッシュ、線径0.5mm)上に載せ、これをバットに
入れた水または水溶液の中に入れて30秒間浸漬する。
その後、メッシュを引き上げて10分間放置した後、過
剰な水、水溶液を濾紙等で拭き取り、試料の重さを測定
し、次式により吸液倍率を算出する。 吸液倍率=[(吸液後の試料の重さ)−(試料の重さ)]/
(試料の重さ)
セルロース不織布の作製 未CM化セルロース不織布として、特公昭52−638
1号公報に開示の銅アンモニアレーヨンの連続フィラメ
ントからなる不織布を用いた。これは単糸2デニール前
後の多数の連続フィラメントを交絡させて多孔性に形成
したものであり、綿ガーゼ様の風合いを有する。この未
CM化セルロース不織布の目付は50g/m2 、厚みは
0.32mmであった。また該不織布の引張強力はタテが
86(N)、ヨコが19(N)で、吸水倍率は12.3
倍であった。
いて下記の方法によりセルロースのCM化を行った。す
なわち、直径60mm、長さ300mmの円筒外周壁に
直径1mmの噴射孔を276個均一に分散させて設けた
内噴式筒を用意し、この円筒に上記未CM化セルロース
不織布を巻き付けてロール状とした。該不織布の幅は4
0cm、長さは30mであった。これを処理浴槽中に浸
漬し、65℃まで加温して処理液を循環させてCMC−
Na化を行った。処理液にはセルロース250gに対
し、イソプロパノール10.3リットル、メタノール
2.0リットル、水1.7リットルの溶液にNaOH濃
度6.0重量%、モノクロル酢酸濃度0.6重量%にな
るように調整した溶液を用いた。また循環ポンプの送液
圧は3〜4kg/cm2 であり、処理時間は3〜4時間
とした。
水機により含水率100〜100%程度まで脱水し、そ
の後、メタノールによる洗浄を行い、完全にメタノール
置換を行った後、乾燥してCM化セルロース不織布(C
M化度は約0.46)を得た。この不織布の目付は50
g/cm2 、厚みは0.29mm、引張強力はタテが6
8(N)、ヨコが16(N)であり、吸水倍率は20.
9倍であった。この不織布は水の吸収により透明なゲル
状を示したが、形態は保持されていた。
セルロース不織布の保液性評価 (I)で得られた各不織布について、下記に示す風乾試
験により経時的な保液率を算出して保液性の評価を行っ
た。まず、各不織布から18cm×15cmの試料を切り出
してその重さ(絶対重量:W0 )を測定し、次いで霧吹
きを用いて各試料に自重の3倍程度の水を付与し、その
重さ(含水重量:W1 )を測定する。次に吸水した不織
布を標準状態の恒温室で風乾させ、所定時間経過毎の不
織布の重量(測定時間毎の重量:W2 )を測定し、下記
式に基づい各時間経過毎の保液率を算出する。 保液率=〔(W2 −W0 )/(W1 −W0 )〕×100 得られた結果を表1に示した。
ロース不織布に比べて時間が経過しても保液率の減少が
少なく、保液性が長時間維持できることがわかる。
ース不織布および市販パック材(不織布:ビスコースレ
ーヨン、目付50g/m2 )の3種類について、これら
を化粧パック材として用いた場合の使用感(しっとり
感、フィット性およびすべすべ感)について評価し、そ
の結果を表2に示した。なお、評価は10人のパネラー
により下記の基準にしたがって点数を付し、その平均値
で行った。また化粧パック材の使用は、各不織布に水、
化粧水および乳液をそれぞれ含浸させた後、顔に貼り付
けることにより行った。
ていることが体感できるか) 非常にある:+2、ややある:+1、どちらとも言い難
い:0、あまりない:−1、全くない:−2 ii) フィット性(パック材が顔へ密着していることが体
感できるか) 非常にある:+2、ややある:+1、どちらとも言い難
い:0、あまりない:−1、全くない:−2 iii)使用後の肌のすべすべ感(パック材をはがした後保
湿剤が肌に残っていることが体感できるか) 非常にある:+2、ややある:+1、どちらとも言い難
い:0、あまりない:−1、全くない:−2
使用者に、優れたしっとり感やフィット感さらにはすべ
すべ感を与えることができることがわかる。このCM化
セルロース不織布は、水、化粧水および乳液をそれぞれ
含浸させると表面がゲル化し、透明性を発現した。
によれば、使用時に使用者の好み等に応じた水や各種水
溶液を付与することができるとともに、基材としての役
割だけでなく、保湿ゲル、薬効ゲルなどの役割を持たせ
ることができる。特に使用者が皮膚や肌の状態や薬液の
特徴に応じて使用時に付与する水分量を加減し、最適の
保湿状態を得ることができる。また従来の化粧パックの
ように液だれ等を生じることなく、皮膚に対する優れた
フィット感を長期間保持し、清涼感や潤いなどの優れた
使用感や美容効果を与えることができる。また本発明の
上記湿潤用基材は、製造工程が簡単なので、従来のゲル
化剤積層シートのようにコスト高になることはなく、安
価に提供することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 カルボキシメチル化されたセルロース繊
維不織布であって、使用に際して水または水溶液を付与
して該不織布を膨潤させて皮膚の所定箇所を被覆するの
に使用する湿潤用基材。 - 【請求項2】 カルボキシメチル化されたセルロース繊
維と、カルボキシメチル化されていないセルロース繊維
および/または合成繊維とを混合した不織布であって、
使用に際して水または水溶液を付与して該不織布を膨潤
させて皮膚の所定箇所を被覆するのに使用する湿潤用基
材。 - 【請求項3】 前記湿潤用基材が化粧パックの前駆材で
ある請求項1または2に記載の湿潤用基材。 - 【請求項4】 請求項1または3のいずれかに記載の不
織布に所望量の水または水溶液を含浸させて該不織布を
膨潤させた後、該膨潤した不織布を皮膚の所定箇所に被
覆することを特徴とする湿潤用基材の使用方法。
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JP36425899A JP4514865B2 (ja) | 1999-12-22 | 1999-12-22 | 湿潤用基材およびその使用方法 |
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