JP2001158983A - 熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤、熱交換器の酸洗方法、熱交換器の処理方法および熱交換器 - Google Patents
熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤、熱交換器の酸洗方法、熱交換器の処理方法および熱交換器Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミニウム製熱交換器のフィンやチューブ
表面に存在するろう材を原因とする偏析物を除去して清
浄化し、良好な化成皮膜を形成することのできる、熱交
換器の化成皮膜用酸性洗浄剤、熱交換器の酸洗方法、こ
の酸洗方法を含む熱交換器の処理方法、およびこの処理
方法によって形成された熱交換器を提供する。 【解決手段】鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、お
よびセリウムから選ばれる金属および／または金属酸の
塩を少なくとも１種と、硝酸および／または硫酸とを含
有する水溶液である酸性洗浄剤を使用して、カーエバポ
レータ等の熱交換器を酸洗し、その後に化成処理皮膜形
成および親水性皮膜形成を行う。また、この酸洗方法の
後、化成処理皮膜、親水性処理皮膜を形成する。
表面に存在するろう材を原因とする偏析物を除去して清
浄化し、良好な化成皮膜を形成することのできる、熱交
換器の化成皮膜用酸性洗浄剤、熱交換器の酸洗方法、こ
の酸洗方法を含む熱交換器の処理方法、およびこの処理
方法によって形成された熱交換器を提供する。 【解決手段】鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、お
よびセリウムから選ばれる金属および／または金属酸の
塩を少なくとも１種と、硝酸および／または硫酸とを含
有する水溶液である酸性洗浄剤を使用して、カーエバポ
レータ等の熱交換器を酸洗し、その後に化成処理皮膜形
成および親水性皮膜形成を行う。また、この酸洗方法の
後、化成処理皮膜、親水性処理皮膜を形成する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器のフィン
やチューブ等の複雑な構造物を清浄化し、良好な化成皮
膜を形成することのできる熱交換器の化成皮膜用酸性洗
浄剤、熱交換器の酸洗方法、この酸洗方法を含む熱交換
器の処理方法、およびこの処理方法によって形成された
熱交換器に関する。
やチューブ等の複雑な構造物を清浄化し、良好な化成皮
膜を形成することのできる熱交換器の化成皮膜用酸性洗
浄剤、熱交換器の酸洗方法、この酸洗方法を含む熱交換
器の処理方法、およびこの処理方法によって形成された
熱交換器に関する。
【０００２】
【従来の技術】カーエバポレータ、ルームコンディショ
ナー等の熱交換器部分は、熱交換を行うためのアルミニ
ウムフィンが狭い間隔で保持され、さらに、これらのフ
ィンに冷媒を供給するためのアルミニウムチューブが入
り組んで配置された複雑な構造となっている。チューブ
やフィンの組み立てはろう付けが採用されることが多
い。ろう付けに使用されるろう材としてはアルミニウム
−けい素合金、アルミニウム−けい素−マグネシウム合
金等があり、これらはブレージング材と呼ばれることも
ある。
ナー等の熱交換器部分は、熱交換を行うためのアルミニ
ウムフィンが狭い間隔で保持され、さらに、これらのフ
ィンに冷媒を供給するためのアルミニウムチューブが入
り組んで配置された複雑な構造となっている。チューブ
やフィンの組み立てはろう付けが採用されることが多
い。ろう付けに使用されるろう材としてはアルミニウム
−けい素合金、アルミニウム−けい素−マグネシウム合
金等があり、これらはブレージング材と呼ばれることも
ある。
【０００３】上記ろう材が原因で発生するアルミニウム
−シリコン合金等の偏析物は、化成処理剤で処理しても
その表面に良好な化成皮膜を形成することは困難であ
る。したがって、アルミニウム材上に強固な化成皮膜を
形成するには、このような偏析物を除去する必要があ
る。このとき、アルミニウムの酸化物層が形成された
り、ろう材であるアルミニウム−シリコン合金等の偏析
物が金属表面に付着してしまう。
−シリコン合金等の偏析物は、化成処理剤で処理しても
その表面に良好な化成皮膜を形成することは困難であ
る。したがって、アルミニウム材上に強固な化成皮膜を
形成するには、このような偏析物を除去する必要があ
る。このとき、アルミニウムの酸化物層が形成された
り、ろう材であるアルミニウム−シリコン合金等の偏析
物が金属表面に付着してしまう。
【０００４】従来の酸やアルカリ、あるいは界面活性剤
による洗浄では酸化物の除去は行えるものの、上記偏析
物を十分に除去することが困難であった。そして残留し
た偏析物上には化成皮膜が形成されにくいため、耐食性
が不足し、フィンやチューブにアルミニウム酸化物であ
る白錆が発生して熱交換器の劣化の原因となっていた。
また白錆が水を吸い、この水分中に留まったカビが繁殖
し、それが送風ファンによって建物内や自動車内に撒き
散らされて悪臭の原因となっていた。
による洗浄では酸化物の除去は行えるものの、上記偏析
物を十分に除去することが困難であった。そして残留し
た偏析物上には化成皮膜が形成されにくいため、耐食性
が不足し、フィンやチューブにアルミニウム酸化物であ
る白錆が発生して熱交換器の劣化の原因となっていた。
また白錆が水を吸い、この水分中に留まったカビが繁殖
し、それが送風ファンによって建物内や自動車内に撒き
散らされて悪臭の原因となっていた。
【０００５】上記問題を解決するため、たとえば特開平
１１−１３１２５４号公報では、化学エッチング処理を
硫酸、フッ化水素酸、硝酸、およびリン酸から選ばれた
少なくとも１種を含む酸性水溶液によって行っている。
しかし、この処理方法では、アルミニウムフィン等の洗
浄が十分でなく、その後の化成処理および親水化処理を
行ったカーエバポレータは、長時間の塩水噴霧試験では
やはり白錆が発生しやすいという問題があった。
１１−１３１２５４号公報では、化学エッチング処理を
硫酸、フッ化水素酸、硝酸、およびリン酸から選ばれた
少なくとも１種を含む酸性水溶液によって行っている。
しかし、この処理方法では、アルミニウムフィン等の洗
浄が十分でなく、その後の化成処理および親水化処理を
行ったカーエバポレータは、長時間の塩水噴霧試験では
やはり白錆が発生しやすいという問題があった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム製熱交換
器の耐食性は、このアルミニウムフィンやチューブに対
して、化成皮膜を強固にかつ均一に形成することができ
れば大幅に改善され得る。そのためには、化成処理の前
処理段階でアルミニウム表面の偏析物を除去して十分に
清浄化する必要がある。
器の耐食性は、このアルミニウムフィンやチューブに対
して、化成皮膜を強固にかつ均一に形成することができ
れば大幅に改善され得る。そのためには、化成処理の前
処理段階でアルミニウム表面の偏析物を除去して十分に
清浄化する必要がある。
【０００７】したがって本発明の目的は、アルミニウム
製熱交換器のフィンやチューブ表面に存在するろう材を
原因とする偏析物を除去して清浄化し、良好な化成皮膜
を形成することのできる、熱交換器の化成皮膜用酸性洗
浄剤、熱交換器の酸洗方法、この酸洗方法を含む熱交換
器の処理方法、およびこの処理方法によって形成された
熱交換器を提供することである。
製熱交換器のフィンやチューブ表面に存在するろう材を
原因とする偏析物を除去して清浄化し、良好な化成皮膜
を形成することのできる、熱交換器の化成皮膜用酸性洗
浄剤、熱交換器の酸洗方法、この酸洗方法を含む熱交換
器の処理方法、およびこの処理方法によって形成された
熱交換器を提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤は、鉄、
ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウムから
選ばれる金属塩および／または金属酸塩を少なくとも１
種と、硝酸および／または硫酸とを含有する酸性水溶液
とした。
に、本発明の熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤は、鉄、
ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウムから
選ばれる金属塩および／または金属酸塩を少なくとも１
種と、硝酸および／または硫酸とを含有する酸性水溶液
とした。
【０００９】また、本発明の熱交換器の酸洗方法は、
鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウム
から選ばれる金属塩および／または金属酸塩の少なくと
も１種を０．０１〜５質量％と、硝酸および／または硫
酸と、を含有する水溶液からなる酸性洗浄剤を、１０〜
７０℃、３０秒〜５分の条件で、熱交換器を構成するア
ルミニウム材と接触させるものである。
鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウム
から選ばれる金属塩および／または金属酸塩の少なくと
も１種を０．０１〜５質量％と、硝酸および／または硫
酸と、を含有する水溶液からなる酸性洗浄剤を、１０〜
７０℃、３０秒〜５分の条件で、熱交換器を構成するア
ルミニウム材と接触させるものである。
【００１０】上記金属塩中の金属としては、鉄およびセ
リウムの両者を含有した場合に最も良好な耐食性を得ら
れるが、それ以外であっても、上記各金属の少なくとも
１種を含有させれば、従来にない耐食性を発現すること
ができる。また、金属塩の例としては硫酸塩、硝酸塩、
酢酸塩、塩酸塩、金属酸塩の例としてはモリブデン酸塩
が挙げられる。さらに金属塩および／または金属酸塩
は、酸性洗浄剤中に０．０１〜５質量％添加することが
好ましい。なお、熱交換器の具体例としては、アルミニ
ウム材料で形成されたカーエバポレータが挙げられ、中
でもろう付け部を有するカーエバポレータの酸洗に好適
である。
リウムの両者を含有した場合に最も良好な耐食性を得ら
れるが、それ以外であっても、上記各金属の少なくとも
１種を含有させれば、従来にない耐食性を発現すること
ができる。また、金属塩の例としては硫酸塩、硝酸塩、
酢酸塩、塩酸塩、金属酸塩の例としてはモリブデン酸塩
が挙げられる。さらに金属塩および／または金属酸塩
は、酸性洗浄剤中に０．０１〜５質量％添加することが
好ましい。なお、熱交換器の具体例としては、アルミニ
ウム材料で形成されたカーエバポレータが挙げられ、中
でもろう付け部を有するカーエバポレータの酸洗に好適
である。
【００１１】また本発明の熱交換器の処理方法は、上記
酸洗に続けて化成皮膜を形成し、さらにその表面に親水
性塗膜を形成するものであり、本発明の熱交換器はこの
処理方法によって製造されるものである。
酸洗に続けて化成皮膜を形成し、さらにその表面に親水
性塗膜を形成するものであり、本発明の熱交換器はこの
処理方法によって製造されるものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に述べ
る。本発明の酸性洗浄剤および、この洗浄剤を使用した
酸洗方法は、アルミニウム、アルミニウム合金等のアル
ミニウム材からなる熱交換器に適用する。酸性洗浄剤
は、硝酸、硫酸、またはこれらの併用による酸性水溶液
であり、ここへ鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、
およびセリウムから選ばれる金属塩および／または金属
酸塩を少なくとも１種添加したものである。金属塩の例
としては、硫酸鉄（硫酸第一鉄および硫酸第二鉄のどち
らも含む。以下同様）、硫酸鉄アンモニウム、硫酸鉄カ
リウム、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸コバルトア
ンモニウム、硫酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウ
ム、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸セリウ
ム、酢酸鉄、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸セリウ
ム、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化モリブ
デン、塩化セリウムが挙げられる。また、金属酸塩の例
としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリ
ウム、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。これら化
合物のうち、硫酸鉄と硫酸セリウムのように、鉄塩とセ
リウム塩との併用が特に効果的である。
る。本発明の酸性洗浄剤および、この洗浄剤を使用した
酸洗方法は、アルミニウム、アルミニウム合金等のアル
ミニウム材からなる熱交換器に適用する。酸性洗浄剤
は、硝酸、硫酸、またはこれらの併用による酸性水溶液
であり、ここへ鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、
およびセリウムから選ばれる金属塩および／または金属
酸塩を少なくとも１種添加したものである。金属塩の例
としては、硫酸鉄（硫酸第一鉄および硫酸第二鉄のどち
らも含む。以下同様）、硫酸鉄アンモニウム、硫酸鉄カ
リウム、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸コバルトア
ンモニウム、硫酸セリウム、硫酸セリウムアンモニウ
ム、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸セリウ
ム、酢酸鉄、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸セリウ
ム、塩化鉄、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化モリブ
デン、塩化セリウムが挙げられる。また、金属酸塩の例
としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸カリ
ウム、モリブデン酸ナトリウムが挙げられる。これら化
合物のうち、硫酸鉄と硫酸セリウムのように、鉄塩とセ
リウム塩との併用が特に効果的である。
【００１３】上記金属塩および／または金属酸塩は水溶
液中に０．０１〜５質量％添加することが好ましいが、
さらに好ましくは０．１〜１質量％である。金属塩およ
び／または金属酸塩が０．０１質量％未満では偏析物を
酸洗する効果が十分に発揮されないことがあり、また、
５質量％を超えると酸洗後の水洗工程に負荷が掛かるこ
とがあるため経済的でない。一方、硫酸および／または
硝酸の量については、酸性洗浄剤のｐＨが２以下となる
量を使用すればよいが、両者を併用することが好まし
く、とくに硫酸：硝酸の質量比が２５：７５〜７５：２
５の範囲であれば洗浄力を一層高めることができる。
液中に０．０１〜５質量％添加することが好ましいが、
さらに好ましくは０．１〜１質量％である。金属塩およ
び／または金属酸塩が０．０１質量％未満では偏析物を
酸洗する効果が十分に発揮されないことがあり、また、
５質量％を超えると酸洗後の水洗工程に負荷が掛かるこ
とがあるため経済的でない。一方、硫酸および／または
硝酸の量については、酸性洗浄剤のｐＨが２以下となる
量を使用すればよいが、両者を併用することが好まし
く、とくに硫酸：硝酸の質量比が２５：７５〜７５：２
５の範囲であれば洗浄力を一層高めることができる。
【００１４】本発明の熱交換器の洗浄方法は、上記組成
の酸性洗浄剤をアルミニウム材表面にスプレーするか、
または酸性洗浄剤を入れた酸洗浴中へアルミニウム材を
浸漬するものである。このときの酸性洗浄剤の液温は１
０〜７０℃、接触時間は３０秒〜５分が好ましい。液温
が１０℃未満または接触時間が３０秒未満では偏析物等
の除去が不十分となることがあり、７０℃を超えたり５
分を超えるとアルミニウム材のエッチングが過多となる
ことがある。
の酸性洗浄剤をアルミニウム材表面にスプレーするか、
または酸性洗浄剤を入れた酸洗浴中へアルミニウム材を
浸漬するものである。このときの酸性洗浄剤の液温は１
０〜７０℃、接触時間は３０秒〜５分が好ましい。液温
が１０℃未満または接触時間が３０秒未満では偏析物等
の除去が不十分となることがあり、７０℃を超えたり５
分を超えるとアルミニウム材のエッチングが過多となる
ことがある。
【００１５】酸洗後のアルミニウム材は水洗し水洗後に
化成処理を行う。ここで使用する化成処理剤としては従
来公知のものを使用することができ、例えばクロム酸ク
ロメート、りん酸クロメート等のクロメート系化成処理
剤、ジルコニウム塩、チタニウム塩、けい素塩、ホウ素
塩あるいは過マンガン酸塩およびこれらのフッ化物、ま
たはこれらとりん酸、マンガン酸、過マンガン酸、バナ
ジン酸、タングステン酸、モリブデン酸とからなるクロ
ムフリーの化成処理剤が挙げられる。化成皮膜を形成さ
せた後に再度水洗を行い、その後に親水性塗膜を形成し
た後乾燥する。親水性塗膜を形成する親水性塗料の例と
しては、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ポリビニルアルコー
ル、Ｎ−メチロールアクリルアミド、ポリアクリル酸、
ポリエチレンオキサイド等の親水性ポリマーまたはモノ
マーを主成分とするものを挙げることができ、また、親
水性皮膜の性能を上げるためにジルコニウム化合物等の
添加物を使用することも好ましい。
化成処理を行う。ここで使用する化成処理剤としては従
来公知のものを使用することができ、例えばクロム酸ク
ロメート、りん酸クロメート等のクロメート系化成処理
剤、ジルコニウム塩、チタニウム塩、けい素塩、ホウ素
塩あるいは過マンガン酸塩およびこれらのフッ化物、ま
たはこれらとりん酸、マンガン酸、過マンガン酸、バナ
ジン酸、タングステン酸、モリブデン酸とからなるクロ
ムフリーの化成処理剤が挙げられる。化成皮膜を形成さ
せた後に再度水洗を行い、その後に親水性塗膜を形成し
た後乾燥する。親水性塗膜を形成する親水性塗料の例と
しては、カルボキシメチルセルロース、そのナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ポリビニルアルコー
ル、Ｎ−メチロールアクリルアミド、ポリアクリル酸、
ポリエチレンオキサイド等の親水性ポリマーまたはモノ
マーを主成分とするものを挙げることができ、また、親
水性皮膜の性能を上げるためにジルコニウム化合物等の
添加物を使用することも好ましい。
【００１６】このようにして処理されたカーエバポレー
タは、薄いフィンやチューブが狭い間隔で保持された複
雑な形態であるにもかかわらず、偏析物が十分に除去さ
れて化成皮膜がアルミニウム材上に強固に形成され、こ
の上に親水性塗膜も十分に密着して形成されている。し
たがって、熱交換器の耐食性は従来になく高いものとな
り、長時間使用しても白錆はほとんど発生しない。
タは、薄いフィンやチューブが狭い間隔で保持された複
雑な形態であるにもかかわらず、偏析物が十分に除去さ
れて化成皮膜がアルミニウム材上に強固に形成され、こ
の上に親水性塗膜も十分に密着して形成されている。し
たがって、熱交換器の耐食性は従来になく高いものとな
り、長時間使用しても白錆はほとんど発生しない。
【００１７】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明する。
をさらに具体的に説明する。
【００１８】実施例１ 硝酸１０質量％、硫酸５質量％となるように水に硝酸お
よび硫酸を溶解し、さらに硫酸モリブデンを１質量％と
なるように加えて酸性洗浄液を調製した。次に、この酸
性洗浄液を６５℃に温めた浴中に、カーエバポレータを
４分間浸漬し、引き上げた後に水道水で十分に洗浄し
た。さらに、このカーエバポレータをジルコニウム系の
化成処理剤を６５℃に温めた浴中に同じく４分間浸漬
し、その後水道水で十分に洗浄した。次に、このカーエ
バポレータをポリビニルアルコール系親水性塗料（「サ
ーフアルコート８６０Ｒ」、日本ペイント社製）に浸漬
した後、到達温度１８０℃で５分間加熱乾燥して親水性
塗膜を被覆したカーエバポレータを完成した。
よび硫酸を溶解し、さらに硫酸モリブデンを１質量％と
なるように加えて酸性洗浄液を調製した。次に、この酸
性洗浄液を６５℃に温めた浴中に、カーエバポレータを
４分間浸漬し、引き上げた後に水道水で十分に洗浄し
た。さらに、このカーエバポレータをジルコニウム系の
化成処理剤を６５℃に温めた浴中に同じく４分間浸漬
し、その後水道水で十分に洗浄した。次に、このカーエ
バポレータをポリビニルアルコール系親水性塗料（「サ
ーフアルコート８６０Ｒ」、日本ペイント社製）に浸漬
した後、到達温度１８０℃で５分間加熱乾燥して親水性
塗膜を被覆したカーエバポレータを完成した。
【００１９】上記カーエバポレータの耐食性に関する評
価を、ＪＩＳ Z ２３７１に基づく、５％塩水噴霧試
験（２４０時間）で行い、白錆発生率を調べた。酸性洗
浄剤の組成および耐食性試験の結果を表１に示す。なお
白錆発生率は、カーエバポレータ外面の白錆発生割合
を、目視で概算したものである。
価を、ＪＩＳ Z ２３７１に基づく、５％塩水噴霧試
験（２４０時間）で行い、白錆発生率を調べた。酸性洗
浄剤の組成および耐食性試験の結果を表１に示す。なお
白錆発生率は、カーエバポレータ外面の白錆発生割合
を、目視で概算したものである。
【００２０】実施例２〜９ 金属塩の種類、あるいは添加量を変えた以外は実施例１
と同様にしてカーエバポレータを処理した。酸性洗浄剤
の組成および耐食性試験の結果を表１に示す。
と同様にしてカーエバポレータを処理した。酸性洗浄剤
の組成および耐食性試験の結果を表１に示す。
【００２１】比較例１ 金属塩を加えなかった以外は実施例１と同様にしてカー
エバポレータを処理した。この結果を表１に示す。
エバポレータを処理した。この結果を表１に示す。
【００２２】比較例２ 金属塩に代えて弗酸を０．５部加えた以外は実施例１と
同様にしてカーエバポレータを処理した。この結果を表
１に示す。
同様にしてカーエバポレータを処理した。この結果を表
１に示す。
【００２３】
【表１】
【００２４】表１の結果から明らかなように、本実施例
の酸性洗浄剤を使用すると、２４０時間塩水噴霧後の白
錆発生率を１０％迄に押さえることができ，硫酸第二鉄
を添加したものは白錆発生率が５％、硫酸第二鉄と硫酸
第二セリウムを併用したものはわずか３％と、非常に優
秀な耐食性を示した。
の酸性洗浄剤を使用すると、２４０時間塩水噴霧後の白
錆発生率を１０％迄に押さえることができ，硫酸第二鉄
を添加したものは白錆発生率が５％、硫酸第二鉄と硫酸
第二セリウムを併用したものはわずか３％と、非常に優
秀な耐食性を示した。
【００２５】
【発明の効果】本発明の熱交換器用酸性洗浄剤は、鉄、
ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウムから
選ばれる金属塩および／または金属酸塩を少なくとも１
種含有するため、薄いフィンが狭い間隔で保持された複
雑な形態である熱交換器であっても、ろう材からの偏析
物を十分に除去することができる。したがって、化成皮
膜がアルミニウム地に強固に形成され、白錆の発生を有
効に防止することができる。また金属として鉄およびセ
リウムを併用した場合は、白錆発生率をさらに低下させ
ることができる。
ニッケル、コバルト、モリブデン、およびセリウムから
選ばれる金属塩および／または金属酸塩を少なくとも１
種含有するため、薄いフィンが狭い間隔で保持された複
雑な形態である熱交換器であっても、ろう材からの偏析
物を十分に除去することができる。したがって、化成皮
膜がアルミニウム地に強固に形成され、白錆の発生を有
効に防止することができる。また金属として鉄およびセ
リウムを併用した場合は、白錆発生率をさらに低下させ
ることができる。
【００２６】本発明の熱交換器は上記酸性洗浄剤を使用
して酸洗し、その後化成皮膜および親水性塗膜を形成し
ているため、白錆発生が少ないことに加えて親水性塗膜
の密着性も高い。
して酸洗し、その後化成皮膜および親水性塗膜を形成し
ているため、白錆発生が少ないことに加えて親水性塗膜
の密着性も高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山添 勝芳 東京都品川区南品川４丁目１番15号 日本 ペイント株式会社内 Ｆターム(参考） 4K026 AA09 BA01 BA06 BA12 BB02 BB08 CA13 CA18 DA03 EA08 EB08 4K053 PA10 QA01 QA03 RA05 RA15 RA16 RA19 RA25 RA26 RA45 SA06 TA07 TA16 YA02 YA03
Claims (15)
- 【請求項１】鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、お
よびセリウムから選ばれる金属塩および／または金属酸
塩を少なくとも１種と、硝酸および／または硫酸と、を
含有する酸性水溶液であることを特徴とする熱交換器の
化成皮膜用酸性洗浄剤。 - 【請求項２】前記金属塩中の金属が、鉄およびセリウム
を含有する請求項１記載の熱交換器の化成皮膜用酸性洗
浄剤。 - 【請求項３】前記金属塩が硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩
酸塩のいずれかである請求項１または２記載の熱交換器
の化成皮膜用酸性洗浄剤。 - 【請求項４】前記金属酸塩がモリブデン酸塩である請求
項１または２記載の熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤。 - 【請求項５】金属塩および金属酸塩が０．０１〜５質量
％含まれる請求項１〜４のいずれか１項記載の熱交換器
の化成皮膜用酸性洗浄剤。 - 【請求項６】熱交換器がカーエバポレータである請求項
１〜５のいずれか１項記載の熱交換器の化成皮膜用酸性
洗浄剤。 - 【請求項７】前記カーエバポレータがろう付け部を有す
る請求項６に記載の熱交換器の化成皮膜用酸性洗浄剤。 - 【請求項８】鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、お
よびセリウムから選ばれる金属塩および／または金属酸
塩の少なくとも１種を０．０１〜５質量％と、硝酸およ
び／または硫酸と、を含有する水溶液からなる酸性洗浄
剤を、１０〜７０℃、３０秒〜５分の条件で、アルミニ
ウム材からなる熱交換器と接触させることを特徴とする
熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項９】前記金属塩中の金属として、鉄およびセリ
ウムを含有する酸性洗浄剤を使用することを特徴とする
請求項８記載の熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項１０】前記金属塩として、硫酸塩、硝酸塩、酢
酸塩、塩酸塩のいずれかを使用する請求項８または９記
載の熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項１１】金属酸塩としてモリブデン酸塩を使用す
る請求項８または９記載の熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項１２】熱交換器がカーエバポレータである請求
項８〜１１のいずれか１項記載の熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項１３】前記カーエバポレータがろう付け部を有
する請求項１２に記載の熱交換器の酸洗方法。 - 【請求項１４】請求項８〜１３のいずれか１項に記載の
酸洗方法に続けて、化成皮膜を形成し、さらにその表面
に親水性塗膜を形成することを特徴とする熱交換器の処
理方法。 - 【請求項１５】請求項１４に記載の方法で製造されたこ
とを特徴とする熱交換器。
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