JP2001158053A - 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法 - Google Patents

二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法

Info

Publication number
JP2001158053A
JP2001158053A JP34588799A JP34588799A JP2001158053A JP 2001158053 A JP2001158053 A JP 2001158053A JP 34588799 A JP34588799 A JP 34588799A JP 34588799 A JP34588799 A JP 34588799A JP 2001158053 A JP2001158053 A JP 2001158053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
temperature
cooling roll
tmax
roll
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34588799A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Numazawa
伸二 沼澤
Akira Goto
陽 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP34588799A priority Critical patent/JP2001158053A/ja
Publication of JP2001158053A publication Critical patent/JP2001158053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 平面性が良好で、熱寸法安定性に優れた二軸
延伸ポリエステルフィルムを効率よく得ることができる
二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。 【解決手段】 二軸延伸ポリエステルフィルムを熱処理
する方法において、懸垂した状態のフィルムを予熱ロー
ルから冷却ロールに向かって走行させる間にフィルムの
温度を式(1)に示される最高温度Tmaxに到達さ
せ、フィルムを過供給することによってフィルムを弛緩
状態とし、2本の冷却ロールによりフィルムを多段階に
冷却する。 Tg+50≦Tmax≦Tg+150・・・式(1) (式(1)で、Tmaxはフィルム最高温度(℃)、T
gはポリエステルの二次転移温度(℃))

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二軸延伸ポリエステ
ルフィルムの熱処理方法に関し、更に詳しくは二軸延伸
されたポリエステルフィルムの弛緩熱処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは耐熱
性、機械特性、耐薬品性等にバランスの良い性能を示
し、種々の用途で使用されている。特に二次加工の行程
やユーザの使用段階で加熱を受ける用途、例えば、メン
ブレンスイッチ、FPC、熱現像方式の写真感光材料用
途などでは、低熱収縮のフィルムが要望されている。
【0003】これらの要請に対して、二軸延伸ポリエス
テルフィルムの製造工程中で熱固定温度を高く設定する
ことで結晶化度を上げたり、縦および横方向に弛緩熱処
理を施すことが行われている。しかし、オンラインの処
理だけでは充分に低熱収縮化することができないため、
二軸延伸ポリエステルフィルムを製造後さらにオフライ
ンで弛緩熱処理することが行われてきた。
【0004】弛緩熱処理には種々の方法があり、例えば
懸垂状態で連続的に走行させたフィルムを特定の温度条
件下で弛緩することで熱収縮率を0.1%以下にする方
法が提案されている(特許1891172号)。しかし
この方法では熱処理速度を増加させようとすると、フィ
ルムの冷却が追いつかず平面性が乱れる問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記の
問題を解消し、平面性が良好で、熱寸法安定性に優れた
二軸延伸ポリエステルフィルムを効率よく得るための弛
緩熱処理方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、二軸延伸
ポリエステルフィルムを熱処理する方法において、懸垂
した状態のフィルムを予熱ロールから冷却ロールに向か
って走行させる間にフィルムの温度を式(1)に示され
る最高温度Tmaxに到達させ、かつ式(2)および式
(3)を満足する条件でフィルムを過供給することによ
ってフィルムを弛緩状態とし、それぞれのロールの表面
温度Trが式(4)の条件を満足する少なくとも2本の
冷却ロールによりフィルムを多段階に冷却し、最終の冷
却ロールから離れた直後のフィルムの温度Tfoが式
(5)を満足することを特徴とする二軸延伸ポリエステ
ルフィルムの熱処理方法により達成される。
【0007】
【数3】 Tg+50≦Tmax≦Tg+150・・・式(1) S−0.3≦D≦S+0.3・・・・・・・式(2) D>0・・・・・・・・・・・・・・・・・式(3) Tf−20≦Tr<Tf・・・・・・・・・式(4) Troom≦Tfo≦Tg+30・・・・・式(5) (式(1)〜式(5)で、Tmaxはフィルム最高温度
(℃)、Tgはポリエステルの二次転移温度(℃)、S
は熱処理前のフィルムの温度Tmaxでの縦方向の熱収
縮率(%)、Dは過供給率(%)、Tfは冷却ロールに
接触する直前のフィルムの表面温度(℃)、Trは冷却
ロールの表面温度(℃)、Troomは室温(℃)、T
foは最終の冷却ロールから離れた直後のフィルムの温
度(℃)を表わす。)
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
をさらに説明する。図1は本発明の1つの実施形態を表
す弛緩熱処理装置の1例である。図1で、1は予熱ロー
ル、2は二軸延伸ポリエステルフィルム、3は熱処理オ
ーブン、4〜6は冷却ロール、7は赤外線ヒーター、8
は放射温度計、9は温度測定用穴、10は張力検出用ロ
ール、11は搬送ロールである。
【0009】図2は懸垂状態のフィルムと、水平状態の
フィルムの張力のかかり方の比較説明図である。図2
で、21a、21b、22a、22bはガイドロールであ
る。Tvは懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力、
Wはフィルムの自重、Thは水平状態のスパン両端での
張力である。
【0010】図3はエアフロート法による水平フィルム
の搬送状態の説明図である。図3で、31はエアフロー
トノズルである。
【0011】本発明で言う懸垂した状態でフィルムを走
行させるというのは、図1に示したように予熱ロールか
ら冷却ロールに向かって、重力方向に走行させることで
ある。重力方向に走行させることで、実質的にはフィル
ム自重の処理張力への影響を小さくすることができる。
例えば、ある一定スパンのフィルムの重量をWとする
と、懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力Tv=W
であり、水平状態のスパン両端での張力Th=W/(2
・sinθ)である。ここでθはスパン端部でのフィルム
の水平からの角度である。θ>30°なら水平状態のほ
うが張力が小さくなるが、大きく垂れ下がった状態では
フィルムを安定走行させることは困難なため、エアフロ
ートノズル等によって僅かに上下に波打った状態で走行
させるのが現実的である(図3)。その場合θは大きく
とも10°以下であり、張力的には懸垂状態が有利であ
る。またエアフロート法は低張力下では走行フィルムが
蛇行し、安定な熱処理が困難である。これに対し懸垂状
態の走行は、重力と走行方向が同一のため低張力下でも
安定してフィルムを搬送することが可能である。
【0012】弛緩熱処理時のフィルムの最高温度(Tm
ax)は、Tg+50〜Tg+150の範囲である。こ
の温度範囲以下では低熱収縮率化が困難となり、これよ
り高い温度では平面性を乱しやすく、ともに発明の目的
が達成できない。
【0013】このTmaxの温度範囲で、その上限はT
g+130℃であることが好ましく、Tg+110℃で
あることがさらに好ましい。また、Tmaxの下限はT
g+65℃であることが好ましく、Tg+80℃である
ことがさらに好ましい。ポリエステルがポリエチレンテ
レフタレートの場合は、上記フィルムの最高温度(Tm
ax)は、通常120℃以上220℃以下の範囲であ
り、好ましい上限は200℃、特に好ましい上限180
℃、好ましい下限は135℃、特に好ましい下限は15
0℃である。
【0014】このような温度制御は熱処理オーブン内に
熱風を吹き込んでもよく、赤外線ヒーターのような輻射
熱によって加熱してもよい。いずれの方法でも幅方向の
温度分布を良くすることが熱収縮の幅方向分布を小さく
するために好ましい。このために熱風ノズルの風速を幅
方向に調整できるようにノズル内部に弁を設置する等の
工夫をしておくことが好ましい。輻射加熱においては幅
方向に複数のヒーターを並べて個別に制御することが好
ましい。熱風を使用する場合はフィルムのバタツキを最
小限に抑えるため、風速は10m/s以下にするのがよ
い。
【0015】フィルムの平面性を乱す最大の要因は、フ
ィルムに波シワが入った状態で急激に冷却されることで
シワが固定されることである。この急冷を防ぐために熱
処理オーブン後の冷却ロールと冷却ロールに触れる直前
のフィルムの温度差をある範囲内に収めることが有効で
ある。さらに高い速度で熱処理をするためには、少なく
とも2本以上の冷却ロールによって多段階にTg+30
℃以下まで冷却すればよく、好ましくはTg+10℃以
下、さらにはTg以下まで冷却することがより好まし
い。それぞれの冷却ロールの表面とそれぞれの冷却ロー
ルに触れる直前のフィルムの温度差を20℃以内にすれ
ばシワは固定されず良好な平面性のフィルムが得られ
る。この温度差は10℃以内にするのがさらに好まし
い。冷却ロールの幅方向の温度分布を均一化するため
に、ロール内にスパイラル状の水路を設けることは有効
である。
【0016】低熱収縮率のフィルムを得る条件として、
張力Fが式(6)の範囲内であることが好ましい。張力
Fがこの範囲を下回るとロール搬送系でフィルムが蛇行
し安定に処理ができないことがあり、この範囲を上回る
と低熱収縮率のフィルムを得ることができないことがあ
る。張力Fは通常、0.04〜0.60MPaであれば
よい。この張力Fの範囲で、その上限は0.40MPa
であることが好ましく、0.20MPaであることがさ
らに好ましい。また、張力Fの下限は0.08MPaで
あることが好ましく、0.10Mpaであることがさら
に好ましい。
【0017】上記のような張力を得るために、フィルム
を過供給し弛緩させることが必要である。フィルムを弛
緩熱処理する際の過供給率(D)とは、引き取り速度に
対する供給速度の比であり、次式で示される。
【0018】
【数4】D=(供給速度−引き取り速度)/供給速度×
100(%)
【0019】フィルムの張力をオンラインで測定し制御
しても良いが、低張力域でのフィルム張力制御は安定さ
せるのが難しいため、過供給率を設定し張力をモニター
するのが実用的である。低熱収縮率フィルムを得るに
は,D>0でかつ,S−0.3≦D≦S+0.3であれ
ばよく、S−0.1≦D≦S+0.1であればより好ま
しい。ここでSは熱処理前のフィルムの最高温度Tma
xでの縦方向の熱収縮率である。
【0020】二軸延伸ポリエステルフィルムを熱処理す
る際には温度、張力とともに、熱処理の時間も熱収縮に
影響を及ぼす。熱処理時間は、熱処理時のフィルム最高
温度Tmax−20℃〜Tmaxの範囲に1〜60秒間
保持すれば良く、好ましくは2〜30秒、さらに好まし
くは4〜10秒がよい。
【0021】本発明におけるポリエステルとは、芳香族
二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールま
たはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽
和ポリエステルである。ポリエステルの具体例として、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4―シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチ
レン―2,6―ナフタレンジカルボキシレート等が例示
でき、これらの共重合またはこれらと小割合の他樹脂と
のブレンド物等も含まれる。
【0022】ポリエステルには、フイルムの滑り性、加
工性などの点から滑剤例えば炭酸カルシウム、カオリ
ン、シリカ、酸化チタン、アルミナ、架橋ポリスチレン
粒子、シリコン樹脂粒子などの添加微粒子及び(また
は)触媒残渣の析出微粒子等を含有させることが好まし
い。また、他の添加剤例えば顔料、安定剤、紫外線吸収
剤等を必要に応じて含有させることができる。
【0023】本発明で用いる二軸延伸・熱固定したポリ
エステルフイルムは、従来から知られている方法で製造
することができる。例えば、上記ポリエステルを乾燥後
ポリマー融点(Tm℃)ないし(Tm+70)℃の温度
で溶融し、ダイ(例えばT―ダイ、I―ダイ等)から冷
却ドラムに押出し、急冷して固有粘度0.35〜0.9
dl/gの未延伸フイルムを得、該未延伸フイルムを縦
方向に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただ
し、Tgはポリエステルのガラス転移温度である)で
2.5〜5.0倍の倍率で延伸し、次いでテンタにて横
方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5〜5.0
倍の倍率で延伸し、更に(Tg+70)℃〜Tm℃の温
度で熱固定することで製造することができる。また、ポ
リエチレンテレフタレートフイルムについては190〜
240℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜
60秒が好ましい。
【0024】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
る。尚、各特性は下記の方法で測定した。
【0025】(1) 120℃熱収縮率 低張力熱処理後の支持体を、測定方向250mm×幅5
0mmに裁断する。これに200mm間隔に孔を2点開
け、25℃60%RHで12時間以上調湿後ピンゲージ
を用いて測定する(この長さをL1 とする)。この後1
20℃に加熱した厚み10mmの平滑なステンレス板に
15秒間押しつける。この後25℃60%RHで12時
間以上調湿後再びピンゲージを用いて測長する(この長
さをL2とする)。下記式に基づき熱寸法変化率を求め
る。
【0026】
【数5】120℃熱収縮率(%)=100×(L2 −L
1 )/L1 これを支持体の幅方向に5等分した点において測定す
る。この平均値をMD方向の120℃熱収縮率とし、5
点の最大値と最小値の差の絶対値を120℃熱収縮量率
のレンジとする。
【0027】(2) 150℃熱収縮率 測定方向350mm,幅50mmのサンプルを切り出
し、該サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に
標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに自
由端で30分放置する。これを取り出し室温で調整後、
標点間距離を測長(この長さをL3 (mm)とする)
し、下記式にて熱収縮率を求める。
【0028】
【数6】150℃熱収縮率(%)=100×(300−
3 )/300
【0029】(3) 110℃熱収縮率 測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出
し、該サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に
標点を付け、110℃の温度に調整されたオーブンに自
由端で30分放置する。これを取り出し室温で調整後、
標点間距離を測長(この長さをL4 (mm)とする)
し、下記式にて熱収縮率を求める。
【0030】
【数7】110℃熱収縮率(%)=100×(300−
4 )/300
【0031】(4) フイルムの平面性 幅1000mm、長さ2500mmのサンプルを切り出
し、このサンプルを平板上に広げて波打ち、盛り上がり
の状態を限度見本と照らし合わせて目視により評価し
た。
【0032】(5) オーブン内のフィルム温度 オーブンの壁面に内部のヒーターの影響を受けない位置
に測定用の穴を概略0.5mピッチにあけ、そこから内
部フィルムの温度を放射温度計で測定した。測定時以外
は穴に蓋をすることでオーブン内の温度が冷えないよう
にした。
【0033】(6) フィルム張力 オーブンをでてから冷却ロールまでの位置にロードセル
付きのガイドロールを設置し、張力を測定した。該ガイ
ドロールは張力測定時のみフィルムに接触させ、不使用
時は退避する構造とした。
【0034】(7) ガラス転移温度(Tg) 試料10mgをパーキンエルマー社製のDSC装置(示
差走査熱量計)にセットし、試料を300℃の温度で5
分間溶融した後、液体窒素中で急冷し、この急冷試料を
10℃/分で昇温してガラス転移点Tgを測定した。
【0035】[実施例1]固有粘度(o−クロロフェノ
ール溶液にて35℃で測定)0.65dl/gのポリエ
チレンテレフタレート(Tg:70℃)のペレットを1
80℃で5時間乾燥した後に、270〜300℃に加熱
された押出機に供給し、押し出し成形ダイによりシート
状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の
冷却ドラム上に静電気で密着固化させて、未延伸フィル
ムを得た。次いで未延伸フィルムを、80〜100℃の
加熱ロール群で加熱し縦方向に3.4倍一段階で縦延伸
し、20〜50℃のロール群で冷却し、続いて、テンタ
へ導き、該フィルムの両端をクリップで把持しながら、
90℃に加熱された熱風雰囲気中で予熱し、95℃の熱
風雰囲気中で横方向に3.6倍に横延伸した。
【0036】こうして二軸延伸されたフィルムをそのま
ま、テンタ中で引続き、235℃の熱処理を行い、熱処
理後一旦180℃まで冷却後、熱風を吹き出さないゾー
ンにて熱固定されたフィルムのエッジ部を切り放した
後、引き取り速度を1.5%減じて弛緩し、180℃か
ら110℃までの徐冷しテンタから取出し、室温で自然
に90℃まで冷えたフィルムを75℃の引き取りロール
で引き取り、室温〜50℃の領域まで冷えたフィルムを
巻き取った。得られた厚さ100μmの二軸延伸フィル
ムの150℃熱収縮率は縦方向が0.4%、横方向が
0.1%であった。また110℃の熱収縮率を測定する
と、縦方向が0.2%、横方向が0.05%であった。
【0037】得られた二軸延伸フィルムを1500mm
幅にスリットし、図1に示した本発明の方法によって弛
緩熱処理を行った。オーブン3の長さが4m、フィルム
2の搬送速度15m/min、予熱ロール温度を調整するこ
とで、予熱ロール1から離れた直後のフィルム温度を1
25℃とし、オーブン内に設けた赤外線ヒーター7の温
度を調整することで、オーブン3内でフィルムの最高温
度を150℃、冷却ロール4直前の位置でのフィルム温
度を120℃とした。放射温度計8によってオーブン外
から温度測定用穴9を通してフィルム温度を測定する
と、オーブン内でフィルムが130〜150℃の範囲に
なっている時間は3.5秒であった。フィルムの過供給
率D=0.46%とし、その時の冷却ロール直前でのフ
ィルム縦方向張力は0.10MPaであった。フィルム
自重を加味すると最高温度での張力Fは0.16MPa
であった。その後フィルムを表面温度110℃の冷却ロ
ール4、表面温度95℃の冷却ロール5、表面温度80
℃の冷却ロール6に順次接触させ、多段階に冷却した。
冷却ロール5直前のフィルム表面温度は109℃、冷却
ロール6直前のフィルム表面温度は96℃、冷却ロール
6から離れた直後のフィルムの温度は81℃であった。
得られた熱処理フィルムの150℃熱収縮率は縦方向が
0.06%、横方向が0.04%、120℃熱収縮率は
縦方向が0.020%,横方向が−0.027%であり
良好、平面性も良好レベルであった。
【0038】[実施例2]実施例1と同様の方法で二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。得ら
れた二軸延伸フィルムを1500mm幅にスリットし、
図1に示した本発明の方法によって弛緩熱処理を行っ
た。オーブン3の長さが2.5m、フィルム2の搬送速
度7m/min、予熱ロール温度を調整することで、予
熱ロール1から離れた直後のフィルム温度を100℃と
し、オーブン内に設けた赤外線ヒーターの温度を調整す
ることで、オーブン3内でフィルムの最高温度を150
℃、オーブンを出た冷却ロール4直前の位置でのフィル
ム温度Tf1を105℃とした。オーブン内でフィルム
が130〜150℃の範囲になっている時間は、6.0
秒であった。フィルムの過供給率D=0.44%とし、
その時の張力Fは0.14MPaであった。その後フィ
ルムを表面温度90℃の冷却ロール4、表面温度75℃
の冷却ロール5に順次接触させ、多段階に冷却した。冷
却ロール6はフィルムをバイパスさせた。冷却ロール5
直前のフィルム表面温度Tf2=88℃であった。冷却
ロール5から離れた直後のフィルムの温度は76℃であ
った。得られた熱処理フィルムの150℃熱収縮率は縦
方向が0.07%、横方向が0.03%、120℃熱収
縮率は縦方向が0.030%、横方向が−0.028%
であり良好、平面性も良好レベルであった。
【0039】[比較例1]実施例1と同様の方法で二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。その
後実施例1に対して、冷却ロール5および6はバイパス
させたこと以外は同一の条件で弛緩熱処理を行った。冷
却ロール4から離れた直後のフィルム温度は112℃で
あり、冷却ロール以降の常温搬送ロール上で波シワが見
られた。得られた熱処理フィルムの150℃熱収縮率は
縦方向が0.09%,横方向が0.02%、120℃熱
収縮率は縦方向が0.070%、横方向が−0.037
%であり、サンプリング位置によって熱収縮率値にばら
つきが見られ、製品として出荷できないものであった。
また熱処理後の製品には縦方向の波シワが固定されてお
り、平面性は警告レベルであった。
【0040】[比較例2]冷却ロール4の温度を95℃
にしたこと以外は比較例1と同一の条件で弛緩熱処理を
行った。冷却ロール4から離れた直後のフィルム温度は
98℃であった。冷却ロール4の上で急冷による強い波
シワが見られた。この時点で製品化不可能と判断し、熱
収縮率の測定は省略した。
【0041】[比較例3]実施例1と同様の方法で二軸
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。その
後実施例1に対して、予熱ロール1から離れた直後のフ
ィルム温度を90℃とし、フィルムの最高温度を110
℃とし、冷却ロール4直前のフィルム表面温度を80
℃、オーブン内でフィルムが90〜110℃の範囲にな
っている時間は、9.0秒であり、過供給率をD=0.
2%として張力Fを0.16MPaに合わせ、冷却ロー
ル4の表面温度を70℃,冷却ロール5の表面温度を6
0℃、冷却ロール6表面温度を50℃とし,冷却ロール
5直前のフィルム表面温度は68℃、冷却ロール6直前
のフィルム表面温度は58℃冷却ロール6から離れた直
後のフィルム温度は50℃であったこと以外は同一の条
件で弛緩熱処理を実施した。得られた熱処理フィルムの
150℃熱収縮率は縦方向が0.35%、横方向が0.
02%、120℃熱収縮率は縦方向が0.150%、横
方向が−0.010%であり、平面性は問題ないが、低
熱収縮率化の効果が不十分であった。
【0042】
【発明の効果】本発明の二軸延伸ポリエステルフィルム
製造方法によれば、平面性が良好で、熱寸法安定性に優
れた二軸延伸ポリエステルフィルムを効率よく得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施形態を表す弛緩熱処理装置
の1例である。
【図2】懸垂状態のフィルムと,水平状態のフィルムの
張力のかかり方の比較説明図である。
【図3】エアフロート法による水平フィルムの搬送状態
の説明図である。
【符号の説明】 1:予熱ロール 2:二軸延伸ポリエステルフィルム 3:熱処理オーブン 4〜6:冷却ロール 7:赤外線ヒーター 8:放射温度計 9:温度測定用穴 10:張力検出用ロール 11:搬送ロール Tf1:冷却ロール4に接触する直前のフィルム温度
(℃) Tf2:冷却ロール5に接触する直前のフィルム温度
(℃) Tf3:冷却ロール6に接触する直前のフィルム温度
(℃) Tr1:冷却ロール4の表面温度(℃) Tr2:冷却ロール5の表面温度(℃) Tr3:冷却ロール6の表面温度(℃) 21a、21b、22a、22b:ガイドロール Tv:懸垂状態のフィルムのスパン上端での張力 Th:水平状態のスパン両端での張力 W:フィルムの自重 31:エアフロートノズル
フロントページの続き Fターム(参考) 4F201 AA24 AG01 AH81 AR04 AR06 BA07 BC01 BC03 BC13 BC15 BD05 BN07 BN11 BR02 BR12 BR15 4F210 AA24 AG01 AH81 AR04 AR06 QA02 QA03 QC06 QG01 QW12 QW15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸延伸ポリエステルフィルムを熱処理
    する方法において、懸垂した状態のフィルムを予熱ロー
    ルから冷却ロールに向かって走行させる間にフィルムの
    温度を式(1)に示される最高温度Tmaxに到達さ
    せ、かつ式(2)および式(3)を満足する条件でフィ
    ルムを過供給することによってフィルムを弛緩状態と
    し、それぞれのロールの表面温度Trが式(4)の条件
    を満足する少なくとも2本の冷却ロールによりフィルム
    を多段階に冷却し、最終の冷却ロールから離れた直後の
    フィルムの温度Tfoが式(5)を満足することを特徴
    とする二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法。 【数1】 Tg+50≦Tmax≦Tg+150・・・式(1) S−0.3≦D≦S+0.3・・・・・・・式(2) D>0・・・・・・・・・・・・・・・・・式(3) Tf−20≦Tr<Tf・・・・・・・・・式(4) Troom≦Tfo≦Tg+30・・・・・式(5) (式(1)〜式(5)で、Tmaxはフィルム最高温度
    (℃)、Tgはポリエステルの二次転移温度(℃)、S
    は熱処理前のフィルムの温度Tmaxでの縦方向の熱収
    縮率(%)、Dは過供給率(%)、Tfは冷却ロールに
    接触する直前のフィルムの表面温度(℃)、Trは冷却
    ロールの表面温度(℃)、Troomは室温(℃)、T
    foは最終の冷却ロールから離れた直後のフィルムの温
    度(℃)を表わす。)
  2. 【請求項2】 走行する二軸延伸ポリエステルフィルム
    を熱処理する際のフィルムが最高温度に達した位置での
    単位断面積当たりのフィルム縦方向張力が、式(6)を
    満足する請求項1に記載の熱処理方法。 【数2】0.04≦F≦0.60・・・式(6) (式(6)で、Fはフィルムが最高温度に達した位置の
    単位断面積当たりフィルム縦方向張力(Mpa)を表わ
    す。)
  3. 【請求項3】 走行する二軸延伸ポリエステルフィルム
    を熱処理する際に、フィルムの温度をTmax−20
    (℃)からTmax(℃)の範囲に1〜60秒間保持す
    ることを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
JP34588799A 1999-12-06 1999-12-06 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法 Pending JP2001158053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34588799A JP2001158053A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34588799A JP2001158053A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001158053A true JP2001158053A (ja) 2001-06-12

Family

ID=18379671

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34588799A Pending JP2001158053A (ja) 1999-12-06 1999-12-06 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001158053A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102459356B1 (ko) 열수축성 폴리에스테르계 필름 및 포장체
EP0748273B1 (en) Method of making biaxially oriented thermoplastic films
TWI793292B (zh) 熱收縮性聚酯系膜
JP2007197611A (ja) 光学用フィルム及びその製造方法
JP3765681B2 (ja) ポリエステルフィルムの製造方法
US5076977A (en) Process for controlling curl in polyester film
JP2007185898A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP3676156B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法
JP2002144421A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法
JP2001322166A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法
JP2001158053A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法
TWI744345B (zh) 聚酯系膜、積層體以及包裝袋
KR0158241B1 (ko) 폴리에스테르 필름의 제조방법
JP2009131979A (ja) 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、およびその製造方法
JP5249854B2 (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの熱処理方法
JP2002001810A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの弛緩熱処理方法
JP3045811B2 (ja) 一軸延伸ポリエステルシートの製造方法
JPH10258458A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JPH03284934A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法
JPH04292937A (ja) 熱可塑性樹脂フイルムの製造方法
JPH01165423A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法
JPH0773877B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルムの製造方法
JP2008195044A (ja) 異型長尺成形体の熱処理方法
KR0157090B1 (ko) 이축 배향 폴리에스테르 필름 및 이의 제조방법
KR970002306B1 (ko) 폴리에스테르 필름의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070424

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071218