JP2001156349A - 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ - Google Patents

圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ

Info

Publication number
JP2001156349A
JP2001156349A JP33369699A JP33369699A JP2001156349A JP 2001156349 A JP2001156349 A JP 2001156349A JP 33369699 A JP33369699 A JP 33369699A JP 33369699 A JP33369699 A JP 33369699A JP 2001156349 A JP2001156349 A JP 2001156349A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
piezoelectric
film
actuator
piezoelectric element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33369699A
Other languages
English (en)
Inventor
Zenichi Akiyama
善一 秋山
Jun Aketo
純 明渡
Rebedefu Maxym
レベデフ マキシム
Sohei Matsumoto
荘平 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Ricoh Co Ltd filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP33369699A priority Critical patent/JP2001156349A/ja
Publication of JP2001156349A publication Critical patent/JP2001156349A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータ設計での自由度を増し、後工
程での接合時による素子破壊を防止する。 【解決手段】 基板10には堀加工が施されており、こ
の堀加工面に圧電素子20が形成される。基板10の加
工面にはSi材料が露出しているので絶縁膜11を形成
する。圧電素子20は下部電極21、圧電セラミックス
厚膜(PZT)22、上部電極23からなるもので、電
極21としてPt系材料の膜形成をし、その上に、ガス
デポジション法にて圧電厚膜22を形成し、次に、上部
電極23を膜形成する。このようにして形成されたアク
チュエータ素子は、厚膜22側(A側)の面に対し、何
ら凸部を形成しない為、その後の工程によるアクチュエ
ータ部の破壊不良は発生しない。基板10の反対側(B
側)の面にも堀加工を施すことにより、アクチュエータ
部に対応する流体隔壁が精度よく形成でき、その後、閉
塞板30を接合することで流体のキャビティ40が形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電アクチュエー
タ及び該圧電アクチュエータを応用した流体搬送用ポン
プに関する。より具体的には、ガスデポジション法によ
るセラミックス(主に誘電体セラミックス、圧電セラミ
ックス)の膜形成技術に関する。上述のように、超微粒
子をノズルを介して基板に噴射させ、膜を形成するガス
デポジション法で圧電素子/積層型圧電アクチュエータ
を製造すると、膜形成により、基板表面に凹凸が形成さ
れ、この凹凸がその後の実装面で各種の困難さを発生さ
せる。本発明は、この不具合を解消させたものである。
【0002】
【従来の技術】ガスデポジション法は、特許第1660
799号に記されている超微粒子を用いた膜形成法であ
る。真空蒸着法と同様に金属加熱源および真空容器を配
置させ、金属蒸気から超微粒子を形成し、この超微粒子
からなる膜を形成する。この様なガスデポジション法に
よる金属膜の形成はNi,Cuなどの配線材料で実用化
され、具体的には、各種プリント配線基板の断線修復や
半導体装置における表面実装用パッド電極の形成などが
挙げられる。
【0003】一方、金属材料とは異なり酸化物セラミッ
クス材料の超微粒子を用いた膜形成も提案されている。
例えば、特開平3−93606号公報では、Bi−Pb
−Sr−Ca−Cu−Oからなる酸化物超伝導厚膜の形
成法が示されている。特開平4−188503号公報で
は、BaTiO3セラミックス誘電体厚膜とこの耐圧を
確保する為の高分子塗膜の複合膜に関する形成法が記さ
れている。特開平6−93418号公報では、広範な微
粒子材料を用いガスデポジション法にてパターン化され
た厚膜の形成方法が記されている。特開平8−2301
81号公報、特開平8−267763号公報では、ガス
デポジション法により鉛系圧電セラミックス素子を形成
し、これを用いたインクジェット用プリンターヘッドへ
の展開が記されている。特開平9−268378号公報
においては、ガスデポジション中の基板装着ステージを
稼動させ、簡易に大面積の膜形成を得る作製方法が記さ
れている。また、本発明者らは特開平10−20217
1号公報において、超微粒子をノズルから基板に噴射す
る時の膜堆積によるノズル/膜表面距離関係を一定に保
つことで微細形状物を得る作製法及びその装置について
提案した。
【0004】ガスデポジション法以外の作製法による基
板上に形成される圧電素子はアクチュエータやセンサー
として利用されつつある。例えば、特開平5−2967
5号公報では、YSZセラミックス基板上に印刷法にて
圧電セラミックス膜を形成し、下部、上部電極とからな
る圧電素子部を基板上に形成してなるアクチュエータが
提案されている。また、特開平6−40030号公報で
は同様な構成でインクジェットプリンターヘッドに展開
しているものが例示されている。圧電素子部は圧電セラ
ミックス膜とこれに電界を印加すべく、上部下部に電極
を配置した構成を取る。
【0005】これら圧電素子部の圧電セラミックス膜
は、その製法においてスクリーン印刷により作製され、
作製後の基板表面には、圧電素子相当分の約100μm
以下の凹凸が形成される。また圧電素子が配置されてい
る基板は、一般に、圧電歪みを効率よく機械的変位に変
換させるべく、約100μm以下の薄い振動板部位上に
形成されている。
【0006】この様な部分的に薄い部位を有する構造体
は、その後の接合工程において、凹凸部上面より均一な
荷重を印加して他の部材と接合させた場合、基板表面の
凸部に荷重が加わり、薄い構造部で破壊が発生する問題
を有している。
【0007】基板/圧電素子積層体をアクチュエータや
センサーに用いる場合、例えば、液体搬送用のポンプ
や、気体圧力センサでは、液体保持部位(液室)や空気
保持部位を構成すべく隔壁によりキャビティが構成さ
れ、その一つの壁面に、この圧電素子積層体を用いるこ
とでポンプ素子やセンサ素子に活用出来る。その場合、
積層構造体に凹部を有するキャビティ板を接合するか、
もしくは、積層構造体に凹部加工し、該凹部上に閉塞板
を接合することによりキャビティを形成する方法があ
る。接合時の重ね合わせ精度を考慮した場合、後者の方
が精度の高い加工が実行できるので好ましい。
【0008】圧電セラミックスの膜形成には各種成膜技
術がある。真空成膜法である真空蒸着法、スパッタリン
グ法、MO−CVD法、レーザーアブレーション法、ま
た、これらにECR機構を組み合わせた方法や液相法で
は塗布熱分解法、sol−gel法、等がある。これら
は、主に、2μmに満たない膜厚で作製され、換言すれ
ば、2μm以上の厚膜作製には不向きな作製法である。
また、2μm以上の圧電セラミックス厚膜を得る方法と
して、ガスデポジション法、印刷法、電鋳法、水熱合成
法等が知られている。これらの作製法について、実用レ
ベルでの報告がなされているのはガスデポジション法と
印刷法である。
【0009】圧電素子部相当の窪み加工を施した基板上
に圧電素子部を形成する場合、スクリーン印刷法による
作製は困難であることが容易に推測できる。スクリーン
印刷法による膜作製は、圧電セラミックス粉体を印刷可
能な印刷インクに処方し、スクリーン版の開口部に対し
スキージを行い印刷物を下地に転写させることを基本と
している。従って、印刷物を形成できうる基板は平坦で
ある必要があり、基板凹部への選択的な転写は原理上不
可能である。一方、ガスデポジション法は転写を必要と
せず、従って、あらゆる形態の下地に形成できる利点を
有する。
【0010】液体搬送用ポンプは、近年、マイクロマシ
ーンへの応用として研究されてきている。その用途は遺
伝子工学の分野での小型化学反応セルとして、微量物質
の溶解、混合、反応を実施させる場合や、医療分野での
薬品活性分析、分離、反応など、いずれも微量な化学的
反応プラントを実現させるのに必要な素子である。その
要求品質は、1nl(ナノリットル)〜0.1ml(ミ
リリットル)/secの微量から比較的流量の大きい範
囲にわたる液体輸送能を持ち、かつ、精度の高い輸送量
の安定性が要求されている。
【0011】従来、このポンプの試作には、圧電セラミ
ックス素子をミリメートルオーダーの寸法で切り出し、
振動板部位に接着剤による接合にて形成していた。この
様な素子は、一般に、ハンドリングの制約により板厚5
00μm程のセラミックス焼結体が用いられ、ポンプ駆
動電圧の高電圧化(約500V)を招いたり、また、接
着層のダンピングによる電気−機械変換効率の低効率
化、さらに、レンジラビリティの低下が問題となってい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、超微粒
子をノズルを介して基板に噴射させ、膜を形成するガス
デポジション法で圧電素子/積層型圧電アクチュエータ
を製造すると、膜形成により、基板表面に凹凸が形成さ
れ、この凹凸がその後の実装面で各種の困難さを発生さ
せる。本発明は、この不具合を解消させたものである。
【0013】本発明の素子では、基板上に圧電素子を堆
積させる方法を取る為、圧電セラミックス層の厚さは、
2μm以上の厚さから作製可能であり、従って、駆動電
圧の低電圧化が図れる。また、接着材を用いない為、ダ
ンピングによる性能低下が防げる。さらに、サブミリメ
ートルからの微細な圧電素子の形成が可能であり、この
様なマイクロポンプの実現に有効である。
【0014】請求項1の発明は、積層する圧電素子を、
基板の第1の表面を堀加工することにより形成される堀
(凹)加工面上に積層することにより、アクチュエータ
設計での自由度を増し、かつ、後工程での接合時による
素子破壊を防止させるようにしたものである。
【0015】請求項2の発明は、上述の様にして形成さ
れた圧電素子/基板積層構造において、前記基板の第1
の表面に対向する第2の表面に堀(凹)加工をすること
により、キャビティ形成工程の簡略化を図ったものであ
る。
【0016】請求項3の発明は、圧電セラミックス膜を
ガスデポジション法にて形成することにより、前記基板
の堀(凹)部に安定して圧電素子を形成できるようにし
たものである。
【0017】請求項4の発明は、前記構造体からなる圧
電アクチュエータを展開して、小型、高精度、大流量制
御可能な液体搬送用ポンプを提供可能にしたものであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、基板
上に圧電素子を積層してなる圧電アクチュエータに於い
て、積層される圧電素子が基板の第1の表面を堀(凹)
加工することにより形成された堀(凹)加工面上に積層
されていることを特徴としたものである。
【0019】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記基板の第1の堀(凹)加工面に対向する第2の
表面に堀(凹)加工を施したことを特徴としたものであ
る。
【0020】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において、前記堀(凹)加工面に圧電素子を構成する圧
電セラミックスがガスデポジション法にて形成されてい
ることを特徴としたものである。
【0021】請求項4の発明は、請求項1乃至3の圧電
アクチュエータを応用して、流体搬送ポンプを構成した
ことを特徴としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の素子では、基板上に圧電
素子を堆積させる方法を取る為、圧電セラミックス層の
厚さは、2μm以上の厚さから作製可能であり、従っ
て、駆動電圧の低電圧化が図れる。また、接着材を用い
ない為、ダンピングによる性能低下が防げる。さらに、
サブミリメートルからの微細な圧電素子の形成が可能で
あり、この様なマイクロポンプの実現に有効である。
【0023】(請求項1の発明)図1は、本発明による
圧電アクチュエータを作製するのに用いて好適な基板の
拡大断面図で、本発明に用いる基板10は、プロセス
上、450℃の熱処理に耐えうる性能を持ち、また、加
工性に優れた基板が好ましい。具体的には、セラミック
ス材料、Si基板、耐熱性高分子材料が該当する。基板
10の形態は各々2つの表面が存在することは言うまで
もないが、第1の加工として、第1の表面に堀加工のよ
うな加工を施し、次に、圧電素子部の形成を行う。例と
して、Si基板を用いた場合、エッチング加工時のマス
ク材を膜形成し、フォトリソグラフィー・エッチングに
よりSi基板をエッチングする為のエッチングホールを
開口する。次に、KOH等のアルカリ性溶液に浸漬さ
せ、所望する形状が得られるよう、加工をする。この時
の加工形状は、基板10としてSi(100)を用いた
場合、図1の様に堀(凹)加工される。本発明における
加工面とは、図1中の、1の底面と2の側面が該当す
る。その後に用いるアクチュエータの構成より、前記
1、2の加工面のどちらに圧電素子を形成してもかまわ
ない。
【0024】図2は、図1に示した基板10の加工面
(図示例の場合、加工面1)に圧電素子20を形成する
場合の例を説明するための図で、圧電素子20の形成
は、以下の手順で行う。加工面はSi材料が露出してい
る為、電気的絶縁性を確保する為の絶縁膜11の形成を
行う。圧電素子20は第1の電極(下部電極)21、圧
電セラミックス厚膜(PZT)22、第2の電極(上部
電極)23からなるもので、第1の電極21としてPt
系材料の膜形成をし、後述のガスデポジション法にて圧
電厚膜22を形成し、次に、上部電極23を膜形成する
ことにより得る。この様に形成されるアクチュエータ素
子は、第1の面(A側の面)に対し、何ら凸部を形成し
ない為、その後の工程によるアクチュエータ部の破壊不
良は発生しない。
【0025】(請求項2の発明)流体キャビティを形成
する為に、基板10の第2の面(B側の面)、即ち、第
1の面(A側の面)に対向する反対側の面に、第1の面
の堀(凹)加工面に対向した位置に掘(凹)加工を施
す。図2には、Si(100)基板10の作製例を示し
てある。この様な堀加工を施すことにより、アクチュエ
ータ部に対応する流体隔壁が精度よく形成でき、その
後、該第2の面(B側の面)に閉塞板30を接合するこ
とで液体のキャビティ40が形成される。また、第2の
加工として、堀加工と、流体の流入、流出流路となる流
路加工を行ってもよい。また、第1の加工と、第2の加
工を行い、その後、圧電素子形成を行っても良い。
【0026】(請求項3の発明)図1に示した第1の堀
加工を施した基板10上に、その堀加工面の底面1もし
くは側面2に圧電素子20を形成する場合、スクリーン
版と加工面間に間隔が発生し、良好に形成できない。
【0027】図3は、ガスデポジション装置の一構成例
を示す図で、図中、50はキャリアガスボンベ、51は
IPDゾルチェンバー、52は圧電セラミックス微粒
子、53はデポジションチェンバー、54はノズル、5
5はパターンマスク、56は基板ホルダー、57はX―
Y―Zステージ、58はバキュームシステムで、成膜原
理は、IPDゾルチェンバー51内にて圧電セラミック
ス微粒子52をキャリアガス中に浮遊させてエアロゾル
化し、このエアロゾルをデポジションチェンバー53の
ノズル54より高速で基板ホルダー56上の基板上に噴
射して膜形成するものである。
【0028】上記の手法によれば、下地(基板)の形態
には関係なく、所望する部位に作製が可能になる。ま
た、特定の場所のみにパターン作製する場合、ノズル/
基板間に粒子の進入を制限する遮蔽板(必要に応じて開
口されているマスク板)を配置させることで、微小なパ
ターン膜が得られる。このマスクを50μmのステンレ
ス製メタルマスクで作製した場合、メタルマスクの加工
限界である、約50μmのオープニングパターンが得ら
れ、ガスデポジション膜も、略50μm程度までの加工
が実現できる。これは従来のバルクセラミックスの接着
剤による素子作製の加工寸法、約1mm程と比較する
と、はるかに微細化が可能であることが言える。
【0029】電気−機械変換素子の性能は圧電セラミッ
クス性能に比例する。圧電セラミックスとしてはジルコ
ン酸チタン酸鉛(PZT)系セラミックス材料が好適で
あり、ガスデポジション法にて作製されるPZT膜の特
性は、通常のバルク焼結体と同等であることが望まし
い。圧電セラミックスの性能評価として、一般に、P−
Eヒステリシス曲線で示される物性値で比較可能であ
り、P−Eヒステリシス測定から求められる、残留分
極、抗電界、及び、キャパシター容量から算出される比
誘電率の値が残留分極:20μC/cm、抗電界:5
0kV/cm、比誘電率:750、誘電損失0.06%
程が目安となる。分極の値は歪み量に比例し、大きいこ
とが望ましい。抗電界は駆動電圧に関係し、低いことが
好ましい。比誘電率は入力される電気的エネルギーを受
け取る能力に比例し、これは高いことが望ましい。ま
た、誘電損失は低いことが望ましい。従って、前述の各
数値が形成される膜にとっても、ほぼ同等の値であるこ
とが望ましい。
【0030】(請求項4の発明)上述の様にして作製し
た素子に閉塞板30を接合することで流体キャビティ4
0が形成される。閉塞板に流体搬送用の流路を設けても
良い。また、閉塞板の接合は、流体が漏れなければ十分
であり、したがって、周知の接着材による接合や、ま
た、基板にSiを用いた場合には、閉塞板をパイレック
スガラスにし、陽極接合にて接着しても良い。圧電体の
電気−機械変換により、キャビティを構成する一つの壁
が変形し、この変形により排除される体積がポンプの性
能に比例する。静的な変化に於いては排除体積と搬送液
量の比γはγ=1の比例関係にあり、また、圧電素子に
交流信号を印加し、周波数1kHz程の高周波にて振動
させるような動的な変位の場合にはγ=0.9〜1.1の
範囲で対応する。従って、輸送速度はアクチュエータ変
位量(排除量は変位量と変位面積の積)の大きいものは
好ましいが、変位量の少ない場合は単位時間当たりの変
位回数の稼げる高速応答性を有する構造の方が高いレン
ジラビリティ、微量制御の安定性等の面から好適な場合
もある。前述の輸送速度を実現させる為には、5mm×
5mmのアクチュエータ壁で変位量が約1μm、応答周
波数:DC〜10kHzの性能を持てばよい。
【0031】実施例1(請求項1に対応) Si(100)ウェハを湿式熱酸化処理し、シリコン酸
化膜を1μm形成する。フォトリソグラフィーにより所
望する開口パターンを有するレジストパターンを形成
し、緩衝弗酸水溶液にて、酸化膜をエッチング除去す
る。レジスト材を剥離した後、KOH40wt%のアル
カリ性水溶液にて、シリコン酸化膜をマスク材としてエ
ッチングを行う。この様にして第1の面に堀加工をし、
以下の圧電素子形成を行う。
【0032】電気的絶縁を行う為に、再度、熱酸化膜を
形成する。下部電極にPt膜を用いる為、熱酸化膜と密
着力の優れたTa膜をスパッタ成膜し、次に、Ir膜、
そして、Pt膜を同様にスパッタ成膜する。次に、後述
するガスデポジション法にて、PZT圧電セラミックス
材料の膜形成を行う。ガスデポジション膜の熱処理と分
極処理を行い、最後に、上部電極としてAu膜を形成し
圧電素子部を形成する。
【0033】図4は、アクチュエータ部の構成を、Si
基板厚さ170μm、PZT圧電素子厚さ50μm、梁
面積6mm×6mm、圧電素子面積5mm×5mmで作
製し、100V印加した時のアクチュエータ変位を示
す。この時の最大変位は梁中央部で、その値は1.5μ
mであった。
【0034】実施例2(請求項2に対応) 実施例1で示した構造に、基板の第2の加工面より、同
様にSiエッチングを行い、その後に、閉塞板を接合す
ることで液体キャビティが形成される。実施例1と同じ
寸法のアクチュエータを形成した。図5は、圧電素子部
に0−100Vのパルス信号(図5(A))を入力した
時の振動変位(図5(B))の関係を示す。変位は1.
6μmであり、パルス周波数1〜10kHzまで変位量
の変動はなかった。
【0035】実施例3(請求項3に対応) PZTガスデポジション条件を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】上述の様にして作製したPZT膜の特性
は、残留分極:20.4μC/cm、抗電界:55k
V/cm、分極後の比誘電率1030、誘電損失0.0
41であり、前述のバルクセラミックスから類推した好
ましい特性値を満たしている。
【0038】実施例4(請求項4に対応) 前述の素子に閉塞板を接合することで、流体キャビティ
及び搬送流路を形成し、液体搬送ポンプを形成する。こ
の素子形状での排除体積は0−100Vの1パルス当た
り25nlになる。さらに微小の排除体積を実現するに
は電圧振幅を小さくすれば良い。また、素子の周波数特
性は10kHz以上であったので、最大排除体積速度は
0.025ml/secを実現できる。これ以上の速度
を得るには電圧振幅を大きくすることで実施でき、前述
のマイクロポンプに要求される広範な輸送速度を実現で
きることが明らかになった。
【0039】
【発明の効果】請求項1の発明によると、基板上に圧電
素子を積層してなる圧電アクチュエータに於いて、積層
される圧電素子が基板の第1の表面を堀加工することに
より形成される堀加工面上に積層されているので、第1
の表面に掘加工により形成された堀加工面上に圧電素子
を配置することが出来る。
【0040】請求項2の発明によると、請求項1記載の
圧電アクチュエータに於いて、前記基板の第2の表面の
前記第1の表面の堀加工に対向した表面に堀加工が施さ
れているので、流体キャビティ形成の工程が簡略化され
る。
【0041】請求項3の発明によると、請求項1又は2
記載の圧電素子を構成する圧電セラミックスがガスデポ
ジション法にて形成されているので、基板凹部に安定し
て圧電素子の形成が出来る。
【0042】請求項4の発明によると、請求項1又は2
又は3に記載の圧電アクチュエータの堀加工を閉塞して
キャビティを形成するとともに該キャビティに連通する
入・出流路を形成し、前記圧電素子を駆動系としたの
で、従来法では作製が困難であった流体搬送用マイクロ
ポンプの作製が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される基板の加工例を示す図で
ある。
【図2】 図1に示した基板に加工面に圧電素子を形成
する場合の例を説明するための図である。
【図3】 ガスデポジション装置の一構成例を示す図で
ある。
【図4】 アクチュエータ部を駆動した時のアクチュエ
ータ変位の一例を示す図である。
【図5】 圧電素子部に駆動パルス信号(図(A))を
入力した時の振動変位(図(B))を示す図である。
【符号の説明】
1,2…加工面、10…基板、11…絶縁層、20…圧
電素子、21…下部電極、22…PZT、23…上部電
極、50…キャリアガスボンベ、51…IPDゾルチェ
ンバー、52…圧電セラミックス微粒子、53…デポジ
ションチェンバー、54…ノズル、55…パターンマス
ク、56…基板ホルダー、57…X―Y―Zステージ、
58…バキュームシステム。
フロントページの続き (72)発明者 明渡 純 茨城県つくば市並木1丁目2番地 工業技 術院機械技術研究所内 (72)発明者 マキシム レベデフ 茨城県つくば市並木1丁目2番地 工業技 術院機械技術研究所内 (72)発明者 松本 荘平 茨城県つくば市並木1丁目2番地 工業技 術院機械技術研究所内 Fターム(参考) 4K044 AA11 AB10 BA12 BB02 BC14 CA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に圧電素子を積層してなる圧電ア
    クチュエータに於いて、積層される圧電素子が基板の第
    1の表面を堀加工することにより形成される堀加工面上
    に積層されていることを特徴とする圧電アクチュエー
    タ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の圧電アクチュエータに於
    いて、前記基板の第2の表面の前記第1の表面の堀加工
    に対向した表面に堀加工が施されていることを特徴とす
    る圧電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の圧電素子を構成す
    る圧電セラミックスがガスデポジション法にて形成され
    ていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2又は3に記載の圧電アク
    チュエータの堀加工部を閉塞してキャビティを形成する
    とともに該キャビティに連通する入・出流路を形成し、
    前記圧電素子を駆動源としたことを特徴とする流体搬送
    用ポンプ。
JP33369699A 1999-11-25 1999-11-25 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ Pending JP2001156349A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33369699A JP2001156349A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33369699A JP2001156349A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001156349A true JP2001156349A (ja) 2001-06-08

Family

ID=18268952

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33369699A Pending JP2001156349A (ja) 1999-11-25 1999-11-25 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001156349A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0466786A (ja) * 1990-07-06 1992-03-03 Seiko Epson Corp マイクロポンプおよびその製造方法
JPH051669A (ja) * 1991-06-21 1993-01-08 Seiko Epson Corp マイクロポンプ及びマイクロバルブの製造方法
JPH08230181A (ja) * 1995-03-01 1996-09-10 Fuji Electric Co Ltd インクジェット記録ヘッド
JPH08267763A (ja) * 1995-03-29 1996-10-15 Fuji Electric Co Ltd インクジェット記録ヘッドとこの製法
JPH11291488A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Minolta Co Ltd インクジェットヘッド
JP2000102267A (ja) * 1998-09-18 2000-04-07 Seiko Instruments Inc バイモルフアクチュエータ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0466786A (ja) * 1990-07-06 1992-03-03 Seiko Epson Corp マイクロポンプおよびその製造方法
JPH051669A (ja) * 1991-06-21 1993-01-08 Seiko Epson Corp マイクロポンプ及びマイクロバルブの製造方法
JPH08230181A (ja) * 1995-03-01 1996-09-10 Fuji Electric Co Ltd インクジェット記録ヘッド
JPH08267763A (ja) * 1995-03-29 1996-10-15 Fuji Electric Co Ltd インクジェット記録ヘッドとこの製法
JPH11291488A (ja) * 1998-04-13 1999-10-26 Minolta Co Ltd インクジェットヘッド
JP2000102267A (ja) * 1998-09-18 2000-04-07 Seiko Instruments Inc バイモルフアクチュエータ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1659644B1 (en) Piezoelectric/electrostrictive device
US7084554B2 (en) Bimorph MEMS devices
JP4896542B2 (ja) パターン膜の製造方法
Maeda et al. Piezoelectric microactuator devices
US6752601B2 (en) Micropump
US7183694B2 (en) Piezoelectric/electrostrictive device
JP4086535B2 (ja) アクチュエータ及びインクジェットヘッドの製造方法
WO1997003834A1 (fr) Tete laminee pour impression par jets d'encre, son procede de fabrication et imprimantes en etant equipees
US20090070975A1 (en) Method of forming micromachined fluid ejectors using piezoelectric actuation
JP4114321B2 (ja) インクジェットプリンタヘッド及びインクジェットプリンタヘッド用の圧電/電歪アクチュエータ
JP2001156349A (ja) 圧電アクチュエータ及び流体搬送ポンプ
JP3975979B2 (ja) 液体移送装置の製造方法
JP2003309301A (ja) デバイス製造方法
JP3582475B2 (ja) 圧電/電歪膜型素子
CN210949070U (zh) 微型流体致动器
US20100171396A1 (en) Piezoelectric actuator, method of manufacturing the same and method of manufacturing a print head
JP2001047623A (ja) インクジェットプリンターヘッド
Polla Application of PZT thin films in microelectromechanical systems
Beeby Printed thick-film mechanical microsystems (MEMS)
JP2011140117A (ja) 薄膜アクチュエータ、及びインクジェットヘッド
JPS6038163A (ja) インクジエツトヘツド
JP5653024B2 (ja) 圧電膜型アクチュエータ、液滴噴射装置、およびそれらの製造方法
JP5682216B2 (ja) 圧電デバイスおよびその製造方法
US20140292894A1 (en) Insulating substrate electrostatic ink jet print head
JP2004181884A (ja) 圧電マイクロポンプとその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070201

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070706

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070731

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20070907