JP2001153797A - 位相データのアンラップ方法 - Google Patents

位相データのアンラップ方法

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JP2001153797A
JP2001153797A JP33322499A JP33322499A JP2001153797A JP 2001153797 A JP2001153797 A JP 2001153797A JP 33322499 A JP33322499 A JP 33322499A JP 33322499 A JP33322499 A JP 33322499A JP 2001153797 A JP2001153797 A JP 2001153797A
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Kinko To
錦洪 屠
Atsushi Momose
敦 百生
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 位相分布画像のアンラップの成功率を従来の
カットライン方法を改善することにより向上させるこ
と。 【解決手段】 異符号の留数を持つ画素を結び付けてカ
ットラインを設定する段階に於いて、最も画像中央に近
い非零の留数を持つ画素から、留数の符号に関係なく順
番付けし、その順番に従い画素を組み合わせてカットラ
インを設定し、さらにカットラインの形状を階段型とす
る。複数のカットラインによって孤立領域が現われる場
合は、孤立領域内のある角の非零の留数を持つ画素と、
その画素に隣接するアンラップ済み領域内の二つの画素
とにより位相アンラップを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、干渉図形から位相
分布画像の画素の位相データを計算する際、処理過程に
含まれる逆正接の演算によって出力される画素の位相の
値域が−πから+π(或は0から2π)となるいわゆる
ラップされた画像から真の位相分布画像の画素の位相デ
ータを求めるための方法に関係し、たとえば、X線の位
相分布画像を処理するための方法として有用である。
【0002】
【従来の技術】干渉縞強度から位相分布画像の画素の位
相データを取得する方法としては、フーリエ変換法や縞
走査法などがある。いずれの方法を用いても、画素の位
相データを求める過程において逆正接の計算が含まれ、
そのため逆正接の値域により、求められる位相分布画像
の画素の位相データは図1に示すように、本来、連続し
た位相を持つものである(参照符号101を付した直
線)にもかかわらず、0から2πの範囲に折り畳まれた
(ラップされた)線で示す位相を持つ(参照符号102
を付した折れ線)ようになる。この0から2πの範囲に
折り畳まれた位相分布画像の画素の位相データから、連
続的に変化する本来の位相データを求めることを位相デ
ータのアンラップと言う。
【0003】一般に、点
【0004】
【外1】
【0005】における単色光の複素スカラー波動場Uを
実数の振幅
【0006】
【外2】
【0007】と位相
【0008】
【外3】
【0009】で(数1)のように表せる。
【0010】
【数1】
【0011】ここでiは虚数単位である。この時波面に
垂直な方向に向いた光線ベクトル場
【0012】
【外4】
【0013】は(数2)と書ける。
【0014】
【数2】
【0015】ここで、λは光波長、nは媒質(通常は空
気)の屈折率である。なお、光線ベクトル場は渦なしの
保存場であることから、(数3)が成り立つ。
【0016】
【数3】
【0017】また、ある画素Pと画素Qの位相は(数
4)の関係を満たす。
【0018】
【数4】
【0019】ここで、積分経路に関しては(数3)か
ら、任意に選ぶことができるといえる。
【0020】今、0から2πの範囲にラップされた位相
分布画像の画素の位相データを
【0021】
【外5】
【0022】と表記することとする。折り畳みによっ
て、位相分布画像の各画素について見たとき、隣接する
画素の位相の間に位相段差が生じたところでは、その差
は±2πに近い値を持つ。連続的に変化する本来の位相
のデータを求めるために、一方の画素の位相に2πの位
相を加えるか差し引く作業が必要となる。以下、位相分
布画像のある画素を基準とした時の任意の画素の位相デ
ータをアンラップする方法を述べる。
【0023】今、
【0024】
【外6】
【0025】を(数5)と定義する。
【0026】
【数5】
【0027】ここで、
【0028】
【外7】
【0029】はアンラップ経路上のm番目の点であり、
記号Rdはかぎ括弧中の値の小数点以下を四捨五入する
ことを意味する。閾値はm−1番目の画素とm番目の画
素との間に位相段差があるかどうか調べるためのパラメ
ータである。
【0030】(数5)によって得られる
【0031】
【外8】
【0032】を用いて画素Pを基準とした時の画素Qの
位相
【0033】
【外9】
【0034】は(数6)と書ける。
【0035】
【数6】
【0036】ここで、右辺第2項は画素Pから画素Qに
至る経路に沿った和を意味する。
【0037】緩やかで且つ滑らかな位相分布画像ではア
ンラップ処理において特に問題は発生しない。しかし、
画素の大きさに比べて位相勾配が急峻であったり、画像
中のノイズが顕著な場合、および画像が歪んでいる場合
等に干渉縞が不明瞭になり、経路によりアンラップ結果
が異なるというエラーが発生する。例えば、図2におい
て、画素Pから画素Qに至る経路Aに沿ってアンラップ
する場合と経路Bに沿ってアンラップする場合とで結果
が食い違ってしまう場合が発生する。この事象は数学的
側面から見ると、画像中の一部で(数3)が満たされて
いないために起こるとみることができる。
【0038】このような画素は、以下のようにして調べ
ることができる。画素の座標点(i,j)の
【0039】
【外10】
【0040】は(数7)で計算できる。
【0041】
【数7】
【0042】即ち、(数7)の値が零でない画素がアン
ラップ操作に矛盾を引き起こすといえる。以下、(数
7)で計算される量を留数と呼ぶ。ここで、(数7)に
よる留数の計算例を図3(a)−図3(c)に示す。こ
こでは、位相分布画像の4つの画素について、それぞれ
の座標点を、左の下側を(i,j)、左の上側を(i,
j+1)、右の上側を(i+1,j+1)、右の下側を
(i+1,j)として、各画素の位置における(数7)
の計算式の各項に示す位相データを各画素の枡内に示
す。たとえば、図3(a)の例では、(数7)はR
d[0.0−0.8]+Rd[0.3−0.0]+Rd[0.6
−0.3]+Rd[0.8−0.6]=−1であり、留数−
1である、同様にして、図3(b)、図3(c)の例
が、それぞれ、留数0、+1となることが分かる。
【0043】画素の座標点(i,j)に於いて非零の留
数を検出すると、その画素の右側を経由したアンラップ
結果と左側を経由したアンラップ結果とが食い違ってし
まう。そこで、異符号の留数を持つ画素を結ぶ経路(カ
ットライン)を定義し、それを横切るアンラップ経路を
禁止することにより、アンラップ結果が経路によって食
い違うという問題を解消できる。ただし、カットライン
を定める段階で、異符号の留数を持つ画素の組み合わせ
方に自由度が残される。その組み合わせ方は、通常、異
符号の留数の最も近い画素を選択する方法(たとえば、
J. M. Huntley,Noise-immune phase unwrapping algori
thm, Appl. Opt. Vol.28, No. 15, 3268-3270, August,
1989及びその改良R. Cusack, J. M. Huntley and H.T.
Goldrein, Improved noise-immune phase-unwrapping a
lgorithm, Appl. Opt. Vol. 34,No.5 781-789, 1995)に
よれば良い。
【0044】図4は、異符号の留数の最も近い画素を結
ぶカットラインの設定の従来例を示す。図4(a)で、
位相分布画像上のある正の留数を持つ座標点M(x1
1)と、それと対となる負の留数を持つ座標点N
(x2,y2)に対し、カットライン401を設定する。
図4(b)、(c)は、カットライン401を計算機上
のデータとして設定した状態を水平マスク配列H(x,
y)と垂直マスク配列V(x,y)の形で示したもので
ある(たとえば、J. M. Huntley, Noise-immune phase
unwrapping algorithm, Appl. Opt. Vol.28, No. 15, 3
268-3270, August,1989参照)。
【0045】カットライン401は、数学上は、(数
8)及び(数9)のように定義される。
【0046】
【数8】
【0047】
【数9】
【0048】その他の要素は零とする。以上の制限を加
えることで、アンラップ操作におけるエラーが減少す
る。
【0049】
【発明が解決しようとする課題】従来の画素の留数を考
慮したカットライン方法は、画素の留数を考えないアン
ラップ法より随分改善されるが、正符号の留数を持つ画
素と負符号の留数を持つ画素の個数が異なる場合、及
び、複数のカットラインで囲われた留数の孤立領域が生
じる場合についての考慮が不十分である。本発明は、こ
のような場合も想定し、アンラップの成功率を従来のカ
ットライン方法よりさらに向上させることを目的とす
る。
【0050】
【課題を解決するための手段】正負の留数を持つ画素の
組み合わせ方を以下のようにする。まず、画像中央に最
も近い正あるいは負の留数を持つ画素を基準として選定
する。次いで、この基準とした画素から、全ての非零の
留数を持つ画素を、留数の符号に関係なく基準とした画
素に近い順に順番付けする。次いで、この順番に従って
最も近い反対符号の留数を持つ画素の対を選定してカッ
トラインを定義する。また、カットラインの形状につい
ては、図5(a)に示すように、従来の直角のものに代
え、異符号の留数を持つ画素間を階段状に結合するもの
とする。
【0051】図5は、本発明によるカットラインの設定
の例を示す。図5(a)は位相分布画像上のある正の留
数を持つ座標点M(x1,y1)とそれと対となる負の留
数を持つ座標点N(x2,y2)に対し、カットライン5
01を設定した状態を示す。図5(b)、(c)は、カ
ットライン501を計算機上のデータとして設定した状
態を水平マスク配列H(x,y)と垂直マスク配列V
(x,y)の形で示したものである。もっとも、異符号
の留数の対の座標点の組み合わせが、x軸方向とy軸方
向とで同じ大きさでない場合には、階段状と言っても、
図5(a)のように、x方向、y方向に1段ずつ増減する
ものでは無くなる。この場合でも、図4のように単なる
折れ線とするのではなく、たとえば図5(d)のよう
に、複数の折れ線の組み合わせによる階段状とするので
ある。
【0052】また、カットラインが多く敷設されるよう
な画像、すなわち、異符号の留数の対を多く持つ画像の
場合、カットラインで囲まれた孤立領域が生じてしまう
可能性がある。図6はカットライン602と603とが
設定されるため、領域601が二つのカットラインによ
り囲われて孤立領域となっている例を示す。このような
孤立領域をアンラップするために以下の手続きを用い
た。
【0053】図6に示すように、カットライン602、
603で囲われた孤立領域601の、ある角の非零の留
数を持つ画素の座標点Q(x3,y3)点を、所定の決り
に基いて(例えば最も画像中心に近いものとして)選
び、それに隣接するアンラップされた領域内の二つ画素
の座標点P(x1,y1),R(x2,y2)に注目する。
画素QP間或いは画素QR間のどちらか一方のみでアン
ラップを許すことで、孤立領域601内のアンラップを
スタートできるようにする。画素QP間と画素QR間の
どちらを選ぶかについては、それぞれの方向に沿った二
次差分を調べ、その絶対値が小さいことを判断基準とす
る。
【0054】また、画像に関してある予備知識がある場
合、それをアンラップに利用することができる。ここで
は位相型トモグラフィ(百生 敦、福原 明、特開平0
4−348262、位相型トモグラフィ装置)で得られ
るサイノグラムをアンラップする場合について説明す
る。
【0055】位相型トモグラフィでは、図7(b)に示
すように、x−y平面703に向けて照射されているX
線702の中に置かれた被写体701を少しずつ回転さ
せながら、各回転角θiごとに位相分布画像703が計
測される。サイノグラムとは、この複数の計測された位
相分布画像を回転角θiの順に重ねて得られる立体デー
タセットの、(x,θ)面に見られる個々の画像704
をいう(図7(a)参照)。
【0056】位相型トモグラフィでは、位相分布画像で
アンラップ処理を施してもよいが、サイノグラム上でア
ンラップを施しても良い。ここでは、前述した画像に関
する予備知識として、真の位相分布画像の空間積分値が
被写体に対するX線等の照射角度に依らずに一定であ
る、という物理的事実を予備知識としてアンラップに利
用するサイノグラムのアンラップについて説明する。即
ち、上記カットラインを用いたアルゴリズムでもアンラ
ップ結果が不十分な場合に対して、上記の予備知識を利
用してより正しいアンラップの施された位相分布画像に
なるように補正を加える。
【0057】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。
【0058】ラップされた被検体の位相分布画像の位相
データは、一般に、図8に示すような手順によって、ア
ンラップが行なわれる。この手順では、まずラップされ
た被検体の位相分布画像の位相データの読込み(ステッ
プ801)、非零の留数を持つ画素の座標点の検出(ス
テップ802)を経て、全ての非零の留数を持つ画素の
座標点の順番付け(ステップ803)を行なう。位相分
布画像の中心の画素の座標点をC(x0,y0)、ある非
零の留数を持つ画素の位置をR(x,y)として、非零
の留数を持つ画素の座標点と中心の画素の座標点の間の
距離Dを(数10)と定義し、Dの大小に基づいて順番
付けした。なお、a,bは位相分布画像のx軸方向及び
y軸方向のサイズである。
【0059】
【数10】
【0060】次に、上記順番付けによる上位のある非零
の留数を持つ画素と、その座標点と反対の符号を持ち、
且つ、他の非零の留数を持つ画素とまだ組み合わされて
いない非零の留数を持つ最も上位の画素とを組み合わせ
る(ステップ804)。この手順を全ての非零の留数を
持つ画素が組み合わされるまで続ける。正負の留数を持
つ画素の数が異なる場合には、組み合わされないまま残
る非零の留数を持つ画素が存在することになるが、この
ような非零の留数を持つ画素は必然的に位相分布画像の
端近くに存在すると考えられるので、その非零の留数を
持つ画素から最も近い位相分布画像の端に反対符号の留
数を持つ画素が仮想的に存在するとして、両者を組み合
わせた。
【0061】次に、マスク配列を導入して、組み合わせ
た正負の留数を持つ画素を結ぶカットラインを設定する
(ステップ805)。この際、従来技術で説明した直角
のカットラインに代え、図5に示すようにカットライン
を階段型とする。
【0062】カットラインの設定を完了すると、次に、
例えば位相分布画像の中心の画素を基準点として全ての
画素を順次アンラップする(ステップ806)。こうし
て位相分布画像全体のアンラップを終え、データを更新
する(ステップ807)。
【0063】図9に、図8のステップ806におけるア
ンラップ処理の詳細を示す。まずアンラップしたい画素
の座標点Qを定める(ステップ901)。次に、基準と
なる画素の座標点Pを決める(ステップ902)。な
お、計算時間を短縮するために、なるべく座標点Qに隣
接する画素の座標点でアンラップ済みの画素を基準点に
選ぶ。次に画素Pと画素Qの間についてカットラインの
有無をチェックし(ステップ903)、そこにカットラ
インがなければ、画素Pと画素Qを結ぶ任意の経路(通
常は最短経路を選択する)について、(数6)を計算
し、次の画素のアンラップに進む。画素P、Q間にカッ
トラインがある場合は、画素Pからカットラインに沿っ
て迂回し(ステップ904)、画素Qまでの経路が決ま
れば(ステップ905)、
【0064】
【外11】
【0065】を計算し(ステップ906)、(数6)に基
づいて、画素Qの位相
【0066】
【外12】
【0067】を計算(ステップ907)する。なお、本
実施例では(数5)における閾値パラメタには1.7π
を使った。その後、次の画素のアンラップに進む。この
ように画素Qのアンラップが成功すれば、画素Qはアン
ラップ済みの点としてその後の基準点とすることができ
る。
【0068】カットライン迂回により画素Qに到達せ
ず、再び画素Pに戻った場合は、画素Qが画素Pからみ
て孤立領域にあると判定できる。このときは画素Qに対
して孤立領域のフラグを付け(ステップ908)、アン
ラップを保留して次の画素のアンラップに進む。孤立領
域を除き全画素のアンラップ終了のチェックを行い(ス
テップ909)、孤立領域のアンラップ(ステップ91
0)に進む。なお、アンラップ処理をする画素の順序
は、位相分布画像全体を調べることができればどのよう
な方法でもよい。例えば、位相分布画像の行と列に沿っ
て順次進めても、或いは最初の基準となる座標点から渦
巻き状に進めてもよい。
【0069】次に、図10を用いて孤立領域のアンラッ
プ処理方法について説明する。これまでの処理でアンラ
ップされていない領域、即ち孤立領域、の画素にはフラ
グがセットされている(ステップ908)。孤立領域が存
在する場合(ステップ1001)、アンラップ済み領域
と接している孤立領域内のある角の画素Qを選ぶ(ステ
ップ1002)。ここで、画素Qに隣接するアンラップ
済み領域の二つの画素のP、Rに注目する。画素QP
間、あるいは画素QR間のアンラップを許すことによ
り、画素Qを孤立領域内をアンラップするための基準点
とすることができる。このとき、画素Pを基準としてア
ンラップした時の画素Qの位相
【0070】
【外13】
【0071】あるいは、画素Rを基準としてアンラップ
した時の画素Qの位相
【0072】
【外14】
【0073】のどちらを選択するかは以下の判定法に基
いた。
【0074】画素Qにおける二次差分Δk xxとΔk yy
(数11)、(数12)で計算する(ステップ100
3)。
【0075】
【数11】
【0076】
【数12】
【0077】Δk xxとΔk yyの絶対値の和を画素P及び画
素Rを基準とした場合で比較し(ステップ1004)、
その値が小さくなる方向を選択することにした(ステッ
プ1005、1006)。例えば、(数13)であれ
ば、
【0078】
【数13】
【0079】位相
【0080】
【外15】
【0081】を画素Qの位相として選択する。
【0082】なお、(数11)及び(数12)において
座標点(i,j)は画素Qのものであり、その隣の座標
点は画素Qを基準にアンラップされるかすでにアンラッ
プ済み(あるいは画素P、Rそのもの)であることを意
味する。
【0083】こうして、孤立領域内の基準となる画素が
定められ、後は再び図9に基いて孤立領域内をアンラッ
プする(ステップ1007)。アンラップした部分のフ
ラグをリセットし(ステップ1008)、再度孤立領域
を検索する(ステップ1001)。これを繰り返すこと
により、孤立領域が入れ子になっている場合において
も、画像全体をアンラップできる。
【0084】次に、X線を用いた位相型トモグラフィの
処理過程で得られるサイノグラムをアンラップする場合
について述べる。上記の方法を用いて、アンラップが成
功すれば特に問題はないが、上記の方法を用いてもアン
ラップ処理が不完全な場合、物理的事実を予備知識とし
て利用することでアンラップ処理を補足することができ
る。それは、真の位相分布画像の空間積分が被写体に対
するX線等の照射角度に依らずに一定であるということ
である。この処理は、図8のステップ806終了後に施
す。図11にその手順を示す。
【0085】まず、上で述べた方法でアンラップ処理し
たサイノグラムにおいて、各行(空間軸方向)の位相値
の積分値をそれぞれ計算し、その中間値を真の位相分布
画像の積分値に近いと仮定して下記の比較のための基準
値とする(ステップ1101)。
【0086】次に、各行の位相積分値と中間値との差を
計算し、その差が閾値を超えるかどうかを調べる(ステ
ップ1102)。なお、本実施例において閾値は上記各
行の積分値の標準偏差とした。
【0087】積分値と中間値との差が閾値を超える場
合、下記の手順で補正を加える。隣り合う補正済みの行
と現在注目している行において、対応する画素の値を比
較し、その差が大きいものから2πの整数倍を加算或い
は減算して、その差を零に近づけ、全体の積分値の差が
閾値内におさまるまで続ける(ステップ1103)。
【0088】この補正方法を閾値を超える各行について
繰り返す(ステップ1104)。
【0089】以下、実際の位相分布画像を用いて本発明
の効果を検証する。
【0090】図12(a)はある生物標本に対して計測
された位相分布画像のラップされたサイノグラムを本発
明の手順によって非零の留数の全画素の座標点を順番付
けし、且つ、カットラインを階段状としてアンラップし
て得られた位相分布画像の例であり、図12(b)は図
4で説明した従来のカットライン法でアンラップした結
果による位相分布画像の例である。両者を比較して明ら
かなように、図12(b)の結果はカットラインによる
処理の影響が画像の中央下段部に現れており、十分な処
理のなされた位相分布画像とは言えない。
【0091】図13(a)は、別の生物標本に対して計
測された位相分布画像のサイノグラムを図12(a)に
施した処理と同様にアンラップした後、さらにX線位相
分布画像の積分値一定の事実に基いて補正した結果によ
る位相分布画像の例である。図13(b)は積分値一定
の事実に基く補正前のサイノグラムの例である。両者を
比較して明らかなように、図13(b)の結果は画像左
側中段部に、不十分なアンラップ処理の影が表れてお
り、十分な処理のなされた位相分布画像とは言えない。
【0092】位相型トモグラフィにおいては、X線位相
分布画像はそれ自体を直接観察するわけではなく、これ
から再構成される断層像を観察するものである。本発明
によればサイノグラムのアンラップ結果が良好となるの
で、それから再構成される断層像の画質が向上すること
が確認できた。この例を図14によって説明する。
【0093】図14(a)は本発明によってアンラップ
されたサイノグラムの例、図14(b)には同じサイノ
グラムを従来法でアンラップした場合の例を示した。図
14(c)には、図14(a)から再生した断層像の例
を示し、図14(d)には、(b)から再生した断層像
の例を示した。図14(c)と図14(d)を比較して
明らかなように、図14(d)には画像右側中段部から
左下段部に流れるような線が表れており、不十分なアン
ラップ処理の影の残った断層像となっているのに対し図
14(c)では、より良好な断層像が再生された。
【0094】
【発明の効果】本発明によるカットライン法の改良によ
り、アンラップ処理の成功率が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】位相分布画像の位相データの本来の位相と0か
ら2πの範囲にラップされた位相とを説明する図。
【図2】画素Pを基準として画素Qをアンラップする際
の経路の例を示す図。
【図3】(a)−(c)は画素の留数の計算例を示す
図。
【図4】(a)は従来のカットラインの設定例を示し、
(b)および(c)はそのための水平マスク配列H
(x,y)および垂直マスク配列V(x,y)を示す
図。
【図5】(a)は本発明によるカットラインの設定例を
示し、(b)および(c)はそのための水平マスク配列
H(x,y)および垂直マスク配列V(x,y)を示す
図。(d)は本発明によるカットラインの他の設定例を
示す図。
【図6】カットラインで囲まれた孤立領域の例を示す
図。
【図7】(a)は位相型トモグラフィにおける位相分布
画像の三次元データ構造、(b)はそのための位相分布
画像を取得するための説明図。
【図8】本発明の実施例の位相分布画像のアンラップ処
理の全体手順を示すフローチャート。
【図9】本発明の実施例のアンラップ手順の詳細を示す
フローチャート。
【図10】本発明の実施例の孤立領域のアンラップ手順
の詳細を示すフローチャート。
【図11】サイノグラムアンラップに、物理的事実を予
備知識として利用するする場合のアンラップの補正手順
の詳細を示すフローチャート。
【図12】図12(a)はある生物標本に対して計測さ
れた位相分布画像のラップされたサイノグラムを本発明
の手順によって非零の留数の全画素の座標点を順番付け
し、且つ、カットラインを階段状としてアンラップして
得られた位相分布画像例を示す図であり、図12(b)
は図4に示す従来のカットライン法でアンラップした結
果による位相分布画像例を示す図。
【図13】図13(a)は、別の生物標本に対して計測
された位相分布画像のサイノグラムを図12(a)に施
した処理と同様にアンラップした後、さらにX線位相分
布画像の積分値一定の事実に基いて補正した結果による
位相分布画像の例であり、図13(b)は積分値一定の
事実に基く補正前のサイノグラムの例を示す図。
【図14】図14(a)は本発明によってアンラップさ
れたサイノグラムの例を示し、図14(b)には同じサ
イノグラムを従来法でアンラップした場合の例を示した
図。図14(c)は、図14(a)から再生した断層像
を示し、図14(d)は、図14(b)から再生した断
層像を示した図。
【符号の説明】
101:本来の位相信号、102:ラップされた位相信
号、401:カットライン、501:カットライン、70
1:被写体、702:X線、703:位相704:サイノ
グラム。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月25日(1999.11.
25)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F064 HH03 JJ01 2G001 AA01 BA11 CA01 FA08 FA29 GA04 GA13 JA08 LA01 PA12 2G059 BB12 CC16 HH05 MM01 5B057 AA08 AA09 BA03 CA13 CB12 CE20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】位相値が0から2πの範囲にラップされて
    表現された位相分布画像から2πの位相ジャンプを検出
    補正してアンラップする位相分布画像の位相データのア
    ンラップ方法に於いて、2πの位相ジャンプが不明瞭に
    なっている点を非零の留数を持つ画素として検出し、異
    符号の留数を持つ画素間を結ぶカットラインを横切って
    2πの位相ジャンプの検出補正を禁止するとともに、最
    も画像中央に近い非零の留数を持つ画素から留数の符号
    に関係なく順番付けし、その順番による優先順序に従い
    異符号の留数を持つ画素間を結ぶカットラインを定義し
    て処理を行うことを特徴とする位相分布画像の位相デー
    タのアンラップ方法。
  2. 【請求項2】前記カットラインが階段型とされた請求1
    記載の位相データのアンラップ法。
  3. 【請求項3】前記位相分布画像に複数のカットラインが
    存在し、且つこれらのカットラインにより囲まれた孤立
    領域が存在する場合、該孤立領域内のある角の画素と、
    該画素と隣接する孤立領域外の二つ画素との間の位相差
    の二次差分値の絶対値が小さい方の画素のみに対してア
    ンラップを許し、その後孤立領域内のアンラップを行な
    うことを特徴とする位相分布画像の位相データのアンラ
    ップ法。
  4. 【請求項4】位相分布画像を複数の投影方向で取得し、
    それから断層像を再構成する位相型トモグラフィの処理
    過程で得られるサイノグラムを請求1から3記載のいず
    れかの方法により処理する位相データのアンラップ方法
    であって、アンラップ処理されたサイノグラムの空間軸
    方向の各画素列の位相データを既知の知識により補正す
    る位相データのアンラップ方法。
  5. 【請求項5】前記補正がアンラップ処理されたサイノグ
    ラムの空間軸方向の各画素列の位相データの積分値の中
    間値を調べ、ある画素列の積分値が該中間値から大きく
    ずれている場合に、この画素列中の画素の位相信号に2
    πの整数倍を加算或いは減算することにより、該画素列
    の積分値が該中間値に近づくように補正を加える請求項
    4記載の位相分布画像の位相データのアンラップ方法。
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