JP2001141695A - 修飾電極、それを用いたセンサおよび検出方法 - Google Patents

修飾電極、それを用いたセンサおよび検出方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 体液のようにアスコルビン酸を含む被検試料
であっても、速い応答速度でドーパミンを容易に定量す
ることのできるドーパミン検出方法を提供する。 【解決手段】 導電性の基板11表面をカチオン性化合
物13で化学修飾した修飾電極を作用電極として用い、
被検試料中のドーパミンをアスコルビン酸の存在下で電
気化学的に酸化し、得られた酸化電流からドーパミン濃
度を定量する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドーパミンおよび
アスコルビン酸を含む被検試料、特に、ヒトに代表され
る生物の血液、尿、汗、唾液、涙液、分泌液等の体液中
に含まれるドーパミンまたはアスコルビン酸を検出する
ための修飾電極、センサおよび検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ドーパミンは生体内にあって神経伝達物
質として知られており、生体中の循環器系、神経系、泌
尿器系などあらゆる器官で生体反応を制御する物質とし
て注目されている。ドーパミンの、生きたまま(in
vivo)での生体局所におけるその場(in sit
u)検出、ならびに生体外・試験管内(in vitr
o)での検出は極めて重要である。
【0003】このような目的のために、少なくとも作用
電極と対極からなる電極系を用いてドーパミンを電気化
学的に検出する試みが提案されている。例えば、特開平
9−127056号公報には、炭素電極を作用電極と
し、対極と参照電極から構成される電極系を用いたドー
パミンの検出方法が開示されており、擬似体液であるリ
ンゲル液中における、ドーパミンの電解による定量的な
検出が例示されている。
【0004】しかしながら、ドーパミンをin viv
oで検出しようとすると、体液中には、ほとんどの場
合、ドーパミン濃度の1000倍以上のアスコルビン酸
が含まれており、アスコルビン酸の酸化還元反応も同時
に起こるため、ドーパミンとアスコルビン酸を分離して
検出することは極めて困難であるという問題がある
(J. Neurochem.誌第41巻(1983
年)第1769頁またはElectroanalysi
s誌第2巻(1990年)第175頁参照)。これは、
ドーパミンとアスコルビン酸の酸化還元電位が接近して
いることが原因である。表面が化学修飾されていない炭
素電極あるいは金電極でのドーパミンの酸化は、Ag/
AgCl参照電極に対し0.1Vから0.4Vにかけて
起こり、アスコルビン酸の酸化は、0.2Vから0.6
Vにかけて起こる。
【0005】このような課題を取り除くために、アダム
ス(Adams)らは、アニオン性ポリマー膜で被覆し
た金電極を用いることを提案している(Brain R
es.誌第34巻(1985年)第151頁参照)。こ
の場合、(化3)で示される、電解質中でプラスに荷電
したドーパミンがアニオン性ポリマー膜を被覆した電極
に静電的に引き付けられるので、ドーパミンの酸化還元
電位をアスコルビン酸に比べて十分マイナスにすること
ができる。そのためアニオン性ポリマー膜修飾電極の電
位を、ドーパミンが酸化され、かつアスコルビン酸が酸
化されない電位に固定すると、ドーパミンを選択的に酸
化することができ、アスコルビン酸の存在下でのドーパ
ミンの選択的な検出が可能である。
【0006】
【化3】
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、この方法で
は、アニオン性ポリマー膜中でのドーパミンの拡散速度
が遅いので、応答が遅いという問題がある。この応答速
度の遅さについては、アニオン性ポリマー膜修飾電極の
電位をプラス側に上げることにより改善が可能である
が、それによりドーパミンとともにアスコルビン酸の酸
化も起こるようになる。ドーパミンの酸化生成物はアス
コルビン酸の酸化触媒であるので、アスコルビン酸の酸
化反応速度はドーパミンの酸化生成物の触媒作用の影響
を受け、アスコルビン酸に由来する酸化電流は、ドーパ
ミンの酸化生成物が存在しない場合に比べて増加する。
この場合、ドーパミンを定量するには、合計の酸化電流
からアスコルビン酸の酸化に由来する分を差し引くこと
が必要となるが、触媒作用による酸化電流の増加分は、
アスコルビン酸濃度だけでなくドーパミン濃度にも依存
するので見積もることは困難であるため、合計の酸化電
流の測定からドーパミンを定量することは困難である。
【0008】本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、体液のようにアスコルビン
酸を含む被検試料であっても、被検試料中のドーパミン
を速い応答速度で容易に定量することのできるドーパミ
ン検出用の修飾電極、センサ、および検出方法を提供す
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の修飾電極は、導電性の基板を有し、前記基
板表面をカチオン性化合物で化学修飾したことを特徴と
する。
【0010】ここで、前記カチオン性化合物が、チオア
ルキルアミンであることが好ましい。
【0011】また、前記チオアルキルアミンが、(化
4)で示されるジチオビスアルキルアミンであることが
好ましい。
【0012】
【化4】
【0013】ただし、ここでRはアルキル基を表す。
【0014】さらに、前記ジチオビスアルキルアミン
が、(化5)で示される2,2’−ジチオビスエタンア
ミンであることが好ましい。
【0015】
【化5】
【0016】また、前記基板が、金または銅からなるこ
とが好ましい。
【0017】また本発明は、前記の修飾電極を作用電極
として用いるセンサに関する。
【0018】また本発明は、前記の修飾電極を作用電極
として用い、被検試料中のドーパミンまたはアスコルビ
ン酸を電気化学的に酸化する工程を含むドーパミンまた
はアスコルビン酸の検出方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、導電性の基板を有し、
前記基板表面をカチオン性化合物で化学修飾した修飾電
極を、ドーパミンまたはアスコルビン酸検出用の修飾電
極として用いる。
【0020】本発明の修飾電極によると、被検試料中で
プラスに荷電したドーパミンとカチオン性化合物との間
で静電的な反発エネルギーが生じるので、ドーパミンの
酸化還元電位が、アスコルビン酸よりもプラス側にシフ
トする。したがって、修飾電極の電位を0V付近からプ
ラス方向に掃引すると、まずアスコルビン酸が酸化さ
れ、次にドーパミンが酸化される。したがって、ドーパ
ミンとアスコルビン酸の酸化を分離して行うことがで
き、また、アスコルビン酸の酸化は、ドーパミンの酸化
生成物による触媒作用を受けることがないので、アスコ
ルビン酸の酸化に由来する酸化電流をアスコルビン酸の
濃度に比例した値とすることができるため、アスコルビ
ン酸に由来する酸化電流の見積が容易である。よって、
修飾電極の電位をアスコルビン酸、ドーパミンともに酸
化される電位に設定して酸化電流を測定し、得られた酸
化電流からアスコルビン酸の酸化に由来する分を差し引
くことにより、ドーパミンの酸化に由来する分を分離す
ることができるため、ドーパミンの定量が可能となる。
また、修飾電極の電位をドーパミンの酸化還元電位より
も十分にプラスにすることにより、応答速度を向上させ
ることができる。さらに、アスコルビン酸に由来する酸
化電流から、アスコルビン酸も定量することができる。
【0021】ここで、基板の材料としては、例えば、
金、銅、銀、ニッケル、亜鉛、錫などの金属材料、黒鉛
などのカーボン材料、ポリアニリン、ポリピロール、ポ
リチオフェンなどの導電性高分子、インジウム錫複合酸
化物、アンチモン錫複合酸化物などの導電性セラミック
ス等を用いることができる。この中で、カチオン性化合
物との密着性の点から金属材料を用いることが好まし
く、さらに金または銅を用いることが好ましい。
【0022】基板の形状は、特に限定されないが、例え
ば、板、箔、薄膜、線、粉末、粉末成形体、粉末焼結体
等を用いることができる。
【0023】カチオン性化合物としては被検試料中でプ
ラスに荷電することによりカチオン性を示すものであれ
ば良く、ポリビニルピリジンあるいはポリ−4−ビニル
−アルキルピリジニウムなどのピリジン基あるいはピリ
ジニウム基を有する化合物、アニリン、ポリアニリン、
ポリエチレンイミン、アミノアルキルピリジン、アルキ
ルアミン、チオアルキルアミンなどのイミノ基、アミノ
基、あるいはアンモニウム基を有する化合物を用いるこ
とができる。特に、金属材料からなる基板を用いる場合
は、基板との密着性に優れるチオール基を有する、チオ
アルキルアミンが好ましい。チオアルキルアミンの例と
しては、チオエタンアミン、チオプロパンアミン、チオ
ブタンアミン、チオヘキサンアミン、チオラウリルアミ
ン、ジチオビスエタンアミン、ジチオビスプロパンアミ
ン、ジチオビスブタンアミン、ジチオビスヘキサンアミ
ン、ジチオビスラウリルアミンなどがあげられる。
【0024】また、前記チオアルキルアミンがジチオビ
スアルキルアミンであることが好ましい。ジチオビスア
ルキルアミンを用いると、チオール基が基板の表面側
に、アミノ基が外側に向いた状態の自己集積性単分子膜
を基板上に形成することができる。このようにすると、
アミノ基が外側に向いているので被検試料中でさらに良
好なカチオン性を示すとともに、チオール基が基板の表
面側に向いているので、金属材料からなる基板を用いた
場合に、カチオン性化合物と基板との密着性がさらに向
上する。
【0025】また、前記ジチオビスアルキルアミンのア
ルキル基はエチル基以上で、かつヘキシル基以下の長鎖
アルキルであることが好ましい。エチル基以上にする
と、均一な自己集積性単分子膜を容易に得ることがで
き、かつヘキシル基以下にすると、アルキル鎖が短いの
で電極反応にともなう電子移動速度が速くなり、検出の
応答速度を速くすることができる。
【0026】さらに、前記ジチオビスアルキルアミン
が、2,2’−ジチオビスエタンアミンであることが好
ましい。2,2’−ジチオビスエタンアミンを用いる
と、基板上に均一な自己集積性単分子膜を集積すること
ができるとともに、アルキル鎖が短いため、電極反応に
ともなう電子移動速度を速くし、検出の応答速度をさら
に速くすることができる。
【0027】カチオン性化合物を導電性の基板表面へ化
学修飾する方法としては、カチオン性化合物を溶解した
溶液を導電性の基板に直接塗布する方法、この溶液を他
の基板表面に塗布して膜を形成し、次にこの膜を導電性
の基板に転写する方法、この溶液を他の溶液表面に展開
してカチオン性化合物の単分子膜もしくは累積膜を形成
し、この単分子膜もしくは累積膜を導電性の基板表面に
転写する方法、または真空蒸着法により導電性の基板上
にカチオン性化合物の薄膜を直接形成する方法等があげ
られ、カチオン性化合物の溶解性、熱安定性に応じて選
択することができる。
【0028】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0029】(実施例1) [修飾電極の作製]図1は、本発明の修飾電極の一実施
例の断面図である。
【0030】導電性の基板となる直径1.6mmの金線
11を用い、それを絶縁体である直径5mmのポリイミ
ド樹脂棒12の中心に、金線11の両端がポリイミド樹
脂棒12より露出するように埋め込んだ後、金線11の
一端の断面とポリイミド樹脂棒12の一端の面が同一面
となるように金線11の一端を切断した。露出した金線
11の断面を、直径が1.0μmのアルミナ粉、直径が
0.06μmのアルミナ微紛で研磨した後、0.05M
の硫酸水溶液中で、水素発生電位および酸素発生電位間
で電解処理を行い、比較用の電極(A)を作製した。次
に、同様に電極(A)を作製した後、2,2’−ジチオ
ビスエタンアミン(以下、CYSTと略称する。)5m
Mを溶解したエタノール溶液に浸漬した後、40℃の温
風で乾燥して、カチオン性化合物13であるCYSTで
化学修飾した修飾電極(B)を作製した。さらに、同様
に電極(A)を作製した後、(化6)で示される6,
6’−ジチオビスヘキサンアミン(以下、DTHと略称
する。)5mMを溶解したエタノール溶液に浸漬した
後、40℃の温風で乾燥して、カチオン性化合物13で
あるDTHで化学修飾した修飾電極(C)を作製した。
【0031】
【化6】
【0032】[被検試料の調整]リン酸2水素ナトリウ
ム(NaH2PO4)0.1M、リン酸水素2ナトリウム
(Na2HPO4)0.1Mを脱イオン水に溶解したpH
7.2の緩衝溶液に、アスコルビン酸を0.15mM、
ドーパミンを0.15mM溶解し、被検試料(1)を調
整した。
【0033】[センサの作製]容積が20ccの電解室
を両側に2個有する、ガラス製のH形セルを用いて、片
方の電解室に、作用電極となる電極(A)、修飾電極
(B)または(C)と、Ag/AgCl参照電極とを配
置し、もう一方の電解室に対極となる白金巻線を配置し
て、センサとなる電解セルを構成した。電解室間は、多
孔質のガラス焼結板で仕切った。
【0034】電解セルに被検試料(1)を入れた後、窒
素ガスを通じて溶存酸素を除去したのち、セルを密閉状
態に保ち電解を行った。
【0035】[電解検出方法]作用電極の電位を参照電
極に対し、マイナス0.2Vからプラス0.4Vまで掃
引して電解を行い、この際流れる電解電流を測定した。
作用電極の電位の掃引方法は、矩形波ポーラログラフ法
(Heith B.OldhamおよびJanC.My
land著Fundamentals of Elec
trochemical Science、Acade
mic Press Inc.(1994年)第416
頁参照)により行った。電位の掃引条件は、矩形波高=
25mV、ステップ電圧=4mV、周波数=15Hzと
した。
【0036】矩形波ポーラログラフ法を用いたのは、電
気二重層容量の充放電電流の影響を除去して検出感度を
上げるためである。アスコルビン酸、ドーパミンの濃度
が高くなり、電気二重層容量の充放電電流値に較べ十分
に大きな酸化電流値が得られる場合は、作用電極の電位
を直線的に増加させる単掃引法を用いてもよい。
【0037】[検出結果]電極(A)、CYSTで化学
修飾した修飾電極(B)、DTHで化学修飾した修飾電
極(C)をそれぞれ用いて、矩形波ポーラログラフ法で
得られた電流−電圧曲線を図2に示す。
【0038】修飾電極(B)および(C)では、アスコ
ルビン酸に由来する酸化電流ピークが+0.05V付近
に得られ、+0.2V付近にドーパミンの酸化に由来す
る電流ピークが得られた。しかし、カチオン性化合物の
化学修飾がない電極(A)では単一の電流ピークしか得
られず、アスコルビン酸とドーパミンとを分離して検出
することができなかった。
【0039】CYSTで化学修飾した修飾電極(B)の
方が、DTHで化学修飾した修飾電極(C)よりも大き
な酸化電流ピークが得られたのは、CYST分子のアル
キル鎖が炭素数2のエチル基であるのに対し、DTH分
子のアルキル鎖が炭素数6のヘキシル基であり、電解酸
化によりCYST分子あるいはDTH分子を介してアス
コルビン酸あるいドーパミン分子から基板の金へ電子が
移動する際、より短いアルキル鎖を有するCYSTで化
学修飾した修飾電極(B)の方が電子移動が速くなるた
めである。
【0040】よって、導電性の基板として金を用い、カ
チオン性化合物としてCYSTまたはDTHを基板表面
に化学修飾することにより、ドーパミンとアスコルビン
酸の共存する被検試料中で、ドーパミンとアスコルビン
酸を分離して検出することができた。
【0041】(実施例2)[修飾電極の作製]導電性の
基板として金線を用い、エタノール溶液中の、カチオン
性化合物であるCYSTの濃度を10mMとした以外
は、実施例1と同様にして、CYSTで化学修飾した修
飾電極を作製した。
【0042】[被検試料の調整]リン酸2水素ナトリウ
ム(NaH2PO4)0.1M、リン酸水素2ナトリウム
(Na2HPO4)0.1Mを脱イオン水に溶解したpH
7.2の緩衝溶液に、アスコルビン酸を0.1mM、ド
ーパミンをそれぞれ0、6、45、109、129μM
溶解して、被検試料(2a)、(2b)、(2c)、
(2d)、(2e)を調整した。また上記緩衝溶液に、
アスコルビン酸/ドーパミンを15/15、23/3
1、55/64、90/100、149μM/133μ
M溶解して、被検試料(3a)、(3b)、(3c)、
(3d)、(3e)を調整した。
【0043】[センサの作製]作製したCYST化学修
飾電極を作用電極として、実施例1と同様のセルを用い
てセンサを作製した。
【0044】[電解検出方法]実施例1と同様に、矩形
波ポーラログラフ法を用いて、電解電流を測定した。
【0045】[検出結果]被検試料(2a)、(2
b)、(2c)、(2d)、(2e)について得られた
電流−電圧曲線を図3に、被検試料(3a)、(3
b)、(3c)、(3d)、(3e)について得られた
電流−電圧曲線を図4に示す。
【0046】図3に示すように、被検試料(2a)、
(2b)、(2c)、(2d)、(2e)の場合、+
0.05V付近にアスコルビン酸の酸化に由来する電流
ピークが得られ、+0.2V付近にドーパミンの酸化に
由来する電流ピークが得られた。アスコルビン酸の酸化
電流はドーパミンの酸化生成物の触媒作用の影響を受け
ることなく、アスコルビン酸の濃度が被検試料(2a)
〜(2e)のいずれについても同じであることに対応し
て、アスコルビン酸の酸化に由来する電流ピークの高さ
は同じであった。一方、ドーパミンの濃度が被検試料
(2a)〜(2e)の順に高くなるように調製されてい
ることに対応して、ドーパミンの酸化に由来する電流ピ
ークは被検試料(2a)〜(2e)の順に増加した。よ
って、既知のドーパミン濃度の試料について測定を行
い、あらかじめ検量線を作成しておくことにより、ドー
パミンの酸化に由来する電流ピークの高さから、アスコ
ルビン酸の存在下であっても被検試料中のドーパミン濃
度を容易に定量することができる。
【0047】また、図4に示すように、被検試料(3
a)、(3b)、(3c)、(3d)、(3e)の場
合、アスコルビン酸の濃度もドーパミンと同様に、被検
試料(3a)〜(3e)の順に高くなるように調整され
ていることに対応して、電流ピークは被検試料(3a)
〜(3e)の順に増加した。よって、アスコルビン酸に
ついても、ドーパミンと同様に、アスコルビン酸の酸化
に由来する電流ピークの高さから濃度を定量することが
できる。
【0048】(実施例3) [修飾電極の作製]導電性の基板として、直径1.6m
mの無酸素銅線を用い、それ以外は実施例2と同様にし
て、CYSTで化学修飾した修飾電極を作製した。
【0049】[被検試料の調整]リン酸2水素ナトリウ
ム(NaH2PO4)0.1M、リン酸水素2ナトリウム
(Na2HPO4)0.1Mを脱イオン水に溶解して、p
H7.2の緩衝溶液を用意した。この緩衝溶液にアスコ
ルビン酸のみを0.013M溶解した溶液(AA)、お
よび緩衝溶液にドーパミンのみを0.0083M溶解し
た溶液(DA)を調製した。緩衝溶液、溶液(AA)、
溶液(DA)ともに、N2ガスを通じることで溶存酸素
を予め除去した。
【0050】[センサの作製]液の注入口が上部にあ
り、容積50ccの電解室を1つ有するガラスセルを用
い、その電解室に、作用電極として、作製した修飾電極
を、液密に可動となるように配置し、さらに白金巻線対
極、Ag/AgCl参照電極を配置した。上部の注入口
より、被検試料として緩衝溶液を25ml注入した。
【0051】[電解検出方法]作用電極を300rpm
の回転数で回転しながら、+0.3Vの一定電位を印加
した。+0.3Vは、アスコルビン酸、ドーパミンとも
に電解酸化が起こる電位である。被検試料に対して、溶
液(AA)20μlの添加(図4中のa)、溶液(D
A)30μlの添加(図4中のb)を40秒毎に交互に
行い、この際流れる電解電流を測定した。
【0052】[測定結果]得られた電流−時間曲線を図
5に示す。
【0053】溶液(AA)および溶液(DA)の添加に
より電流が急峻に増加した後、すぐに定常電流が得られ
た。定常電流の増加量は、溶液(AA)または溶液(D
A)の一回あたりの添加量に対して一定であった。すな
わち、アスコルビン酸の酸化電流が、ドーパミンの酸化
生成物による触媒作用の影響を受けることなく、アスコ
ルビン酸、ドーパミンともに、それぞれの濃度変化に対
応した酸化電流応答を、速い応答速度で得ることができ
た。
【0054】ここで得られた定常電流(I1)は、被検
試料中のアスコルビン酸濃度(CAA)およびドーパミン
濃度(CDA)に比例し、それぞれの比例定数をa1およ
びb1とすると、
【0055】
【数1】
【0056】と表すことができる。a1およびb1は、あ
らかじめ既知の濃度のドーパミンまたはアスコルビン酸
のみを含む試料について定常電流の測定を行い、検量線
を作成することにより、検量線の傾きから求めることが
できる。次に、比例定数すなわち検量線の傾きが変化す
るような条件、例えば温度を変化させて、同じ被検試料
について同様の測定を行う。得られた定常電流をI2
すると、このときの比例定数をa2およびb2として、
【0057】
【数2】
【0058】と表される。(数1)および(数2)を解
くと、CAAおよびCDAは、
【0059】
【数3】
【0060】
【数4】
【0061】と表され、CAAおよびCDAを算出すること
ができる。よって、検量線の傾きが変化するように条件
を変化させて、少なくとも2条件以上で定常電流を測定
することにより、被検試料中のドーパミン濃度およびア
スコルビン酸濃度を容易に定量することができる。
【0062】
【発明の効果】本発明を用いることにより、体液のよう
にアスコルビン酸を含む被検試料であっても、被検試料
中のドーパミンを速い応答速度で容易に定量することが
でき、また、被検試料中のアスコルビン酸についても定
量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の修飾電極の一実施例の断面図
【図2】本発明の実施例1における、比較用の電極、C
YSTで化学修飾した修飾電極およびDTHで化学修飾
した修飾電極の電流−電位応答を示す図
【図3】本発明の実施例2における、アスコルビン酸濃
度が一定で、ドーパミン濃度を変化させた複数の被検試
料中での、修飾電極の電流−電位応答を示す図
【図4】本発明の実施例2における、アスコルビン酸濃
度およびドーパミン濃度を変化させた複数の被検試料中
での、修飾電極の電流−電位応答を示す図
【図5】本発明の実施例3における、修飾電極により測
定した酸化電流の時間変化を示す図
【符号の説明】
11 金線(導電性の基板) 12 ポリイミド樹脂棒 13 カチオン性化合物

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ドーパミンまたは/およびアスコルビン酸
    検出用の修飾電極であって、導電性の基板を有し、前記
    基板表面をカチオン性化合物で化学修飾したことを特徴
    とする修飾電極。
  2. 【請求項2】カチオン性化合物が、チオアルキルアミン
    であることを特徴とする請求項1記載の修飾電極。
  3. 【請求項3】チオアルキルアミンが、(化1)で示され
    るジチオビスアルキルアミンであることを特徴とする請
    求項2記載の修飾電極。 【化1】 ただし、Rはアルキル基を表す。
  4. 【請求項4】ジチオビスアルキルアミンが、(化2)で
    示される2,2’−ジチオビスエタンアミンであること
    を特徴とする請求項3記載の修飾電極。 【化2】
  5. 【請求項5】基板が、金または銅からなることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の修飾電極。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の修飾電極
    を作用電極として用いることを特徴とするセンサ。
  7. 【請求項7】請求項1〜5のいずれかに記載の修飾電極
    を作用電極として用いる検出方法であって、被検試料中
    のドーパミンまたはアスコルビン酸を電気化学的に酸化
    する工程を含むことを特徴とするドーパミンまたはアス
    コルビン酸の検出方法。
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