JP2001139808A - ポリイミド前駆体溶液及びそれから得られるポリイミド被膜 - Google Patents

ポリイミド前駆体溶液及びそれから得られるポリイミド被膜

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JP2001139808A
JP2001139808A JP32113199A JP32113199A JP2001139808A JP 2001139808 A JP2001139808 A JP 2001139808A JP 32113199 A JP32113199 A JP 32113199A JP 32113199 A JP32113199 A JP 32113199A JP 2001139808 A JP2001139808 A JP 2001139808A
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Shinya Takagi
伸哉 高木
Shigeki Imamura
茂樹 今村
Hisashirou Eguchi
寿史朗 江口
Akira Shigeta
朗 繁田
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶媒中に溶質を高い固形分比率で含有してい
るにもかかわらず、低粘度であり、被膜を形成すると
き、気泡が発生しにくく、気泡による膜の均一性の低下
やピンホール等が発生しないポリイミド前駆体溶液の提
供、及び基板表面のキズや異物や凹凸に関係なく表面平
滑性に優れたポリイミド被膜の提供。 【解決手段】 3,4’−オキシジアニリンと3,
3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び/又
はその誘導体が溶質として有機溶媒中に溶解していて、
前記溶質100重量部に対して、シリコーンオイルから
なる界面活性剤を、0.001〜5重量部の範囲で含有
しているポリイミド前駆体溶液。及びこのポリイミド前
駆体溶液を基板上に塗工し、加熱イミド化して得られる
厚みが10μm以下であるポリイミド被膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーンオイル
からなる界面活性剤を含有するポリイミド前駆体溶液及
びそれから得られるポリイミド被膜に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置などの各種電子部品の
表面保護膜や層間絶縁膜としては電気絶縁性や高耐熱性
に優れたポリイミドが用いられている。また最近、ガラ
ス基板、あるいは透明な有機フィルム上に形成した蛍光
体に電流を流して発光させる有機エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)では、基板
上に陽極、有機EL層、陰極が順次積層されて構成され
るが、前記陽極と前記有機EL層の間の絶縁膜としてポ
リイミドの薄膜が使用されている。また、太陽電池に適
用される金属基板上にも絶縁保護膜としてポリイミドが
使われている。これら有機ELディスプレイや太陽電池
は積層相構造であるため、形成されたポリイミド被膜
は、10μm以下の薄膜であり、しかも均一な厚みを持
ち、ピンホールがないものが要求される。
【0003】これらポリイミドの薄膜を形成する方法と
しては、バーコーター法や塗工液を霧状にして基板に吹
きつけるスプレーコート法、あるいは遠心力によって塗
工するスピンコート法等が知られている。しかしなが
ら、バーコーター法やスピンコート法では、ポリイミド
塗工液(ポリイミド前駆体溶液)を取り扱うときに気泡
が含まれたり、あるいは塗工液を基板に滴下するときに
気泡が含まれてしまい、形成されるポリイミド塗膜の均
一性を低下させたり、塗膜中にピンホールが形成されて
しまうといった問題があった。また、スプレーコート法
でも、霧状にして吹きつけた塗工表面に気泡が含まれや
すいという問題があった。
【0004】一方、ポリイミド被膜を形成する際に用い
られるポリイミド塗工液は、ジメチルアセトアミドやN
−メチルピロリドンを溶媒とし、ポリアミック酸を溶解
しているポリイミド前駆体溶液であり、ポリアミック酸
の重合度が高く、溶媒への溶解度が小さいことに起因し
て溶液中の固形分比率を高くすることが困難であった。
つまり、従来のポリアミック酸をポリイミド前駆体と
し、これを溶質として溶解しているポリイミド前駆体塗
工液は、ポリアミック酸が高重合度であるが故に固形分
濃度が低いにも関わらず、粘度が高いという本質的な問
題があった。
【0005】したがって、従来のポリイミド前駆体溶液
から厚みが10μm以下で気泡やピンホールを含まない
ポリイミド薄膜を形成させようとする場合、低濃度で高
粘度であるポリイミド前駆体を希釈して溶液中の気泡を
除く必要がある。しかし、希釈すると固形分濃度が低下
しすぎてしまい、その結果塗工基板表面のわずかなキズ
や異物、凹凸の跡が被膜の表面に残り、表面平滑性を有
する均一なポリイミド被膜が得られないという問題があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本発
明が解決しようとする課題は、溶媒中に溶質を高い固形
分比率で含有しているにもかかわらず、低粘度であり、
被膜を形成するとき、気泡が発生しにくく、気泡による
膜の均一性の低下やピンホール等が発生しないポリイミ
ド前駆体溶液を提供すること、及びこのポリイミド前駆
体溶液から得られる気泡やピンホールを含まず、基板表
面のキズや異物や凹凸に関係なく表面平滑性に優れるポ
リイミド被膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、鋭意検討を行った結果、有機溶剤に
特定のジアミンと特定のカルボン酸及び/又はその誘導
体を溶質として溶解していて、シリコーンオイルからな
る界面活性剤を特定量含むポリイミド前駆体溶液は高い
固形分比率を有していても低粘度であり、かつ塗工した
塗膜中に含まれる気泡を速やかに脱泡することができる
こと、そして、この溶液からは、気泡やピンホールが含
まれず、かつ基板表面のキズや異物や凹凸に関係なく表
面平滑性を有する均一なポリイミド被膜が形成できるこ
とを見いだし、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、第1に、下記
構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと下記
一般式(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸及び/又はその誘導体を溶質として有機
溶媒中に溶解していて、シリコーンオイルからなる界面
活性剤を、構造式(1)に示すジアミンと一般式(2)
に示すテトラカルボン酸及び/又はその誘導体からなる
溶質100重量部に対して、0.001〜5重量部の範
囲で含有していることを特徴とするポリイミド前駆体溶
液である。
【0009】
【化2】
【0010】(式中R、R1 は各々水素原子又は炭素数
1〜5のアルキル基を示す。)
【0011】第2に、前記ポリイミド前駆体溶液を基板
上に塗工し、加熱イミド化して得られる厚みが10μm
以下のポリイミド被膜である。
【0012】そして、前記ポリイミド前駆体溶液におい
て、構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと
一般式(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸及び/又はその誘導体からなる溶質の濃
度が30〜80重量%の範囲にあり、かつ溶液粘度が1
0ポイズ以下であるポリイミド前駆体溶液は好ましい態
様のポリイミド前駆体溶液であり、この溶液を基板上に
塗工し、加熱イミド化して得られる厚みが10μm以下
のポリイミド被膜は好ましい態様のポリイミド被膜であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。 (1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリ
マーは耐熱性を示す。 (2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいい、本発明においては、ポリイミド前駆
体溶液中の構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニ
リンと一般式(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸及び/又はその誘導体よりなる溶
質をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形成される
ことをいう。
【0014】(3)ポリイミド前駆体溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。 (4)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。 (5)溶質濃度 溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で
表した数値である。 (6)ポリイミド被膜の厚み (株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーターを用
い、ポリイミド被膜の厚みを10箇所で測定し、その平
均値として求めたものである。
【0015】本発明のポリイミド前駆体溶液は、構造式
(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと一般式
(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸及び/又はその誘導体とが溶質として有機溶媒
中に溶解していて、かつシリコーンオイルからなる界面
活性剤を含有しているポリイミド前駆体溶液である。
(式中R、R1 は各々水素原子又は炭素数1〜5のアル
キル基を示す。)
【0016】これらポリイミド前駆体溶液において、一
般式(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸及び/又はその誘導体の一部を、一般式
(3)に示すカルボン酸又は一般式(4)に示すジカル
ボン酸無水物に置き換えてもよい。このとき、一般式
(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸及び/又はその誘導体と、一般式(3)に示す
カルボン酸又は一般式(4)に示すジカルボン酸無水物
のモル比は100:0〜100:20が好ましく、10
0:0〜100:11がさらに好ましい。一般式(2)
に示す3,3’、4、4’−ビフェニルテトラカルボン
酸及び/又はその誘導体100に対する一般式(3)に
示すカルボン酸又は一般式(4)に示すジカルボン酸無
水物のモル比が20を超えると強度の高いポリイミド被
膜が得られない傾向にある。
【0017】
【化3】
【0018】(式中R2 は2つのカルボニル基が隣接し
た炭素原子に直接連結している少なくとも一つの6員環
を含む2価の芳香族残基を表し、R3 は水素原子、炭素
数1〜5のアルキル基を表し、R4 は2つのカルボニル
基が隣接した炭素原子に直接連結している少なくとも一
つの6員環を含む2価の芳香族残基を表す。)
【0019】さらに、一般式(2)に示す3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び/又はその
誘導体の一部を構造式(5)に示す3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に置き換えても
よい。このとき、一般式(2)に示す3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び/又はその誘導
体と、構造式(5)に示す3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物のモル比は100:0〜
70:30の範囲が好ましい。このモル比を調節するこ
とによってポリイミド前駆体溶液の粘度を微調整するこ
とができる。構造式(5)に示す3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が30モル%を超
えると本発明の特徴である低粘度のポリイミド前駆体溶
液を得ることができない傾向にある。
【0020】
【化4】
【0021】またさらに、構造式(1)に示す3,4’
−オキシジアニリンの一部を、一般式(6)に示す1官
能性のアミンに置き換えてもよい。この場合、構造式
(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと、一般式
(6)に示すアミンのモル比は100:0〜100:2
0の範囲が好ましく、100:0〜100:11がさら
に好ましい。一般式(6)に示すアミンが20モル%を
超えると強度の高いポリイミド被膜が得られない傾向に
ある。
【0022】
【化5】
【0023】(式中R5 は少なくとも1つの6員環を含
む芳香族残基を表す)
【0024】ポリイミド前駆体溶液中の構造式(1)に
示す3,4’−オキシジアニリンと一般式(2)に示す
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び
/又はその誘導体からなる溶質の濃度が30〜80重量
%の範囲にあることが好ましい。濃度が30重量%より
低いと、塗工する基板表面の傷や異物が被膜表面の凹凸
として残る場合がある。一方、濃度が80重量%より高
いと、選定する溶媒の種類により溶質を安定的に溶解す
ることが困難となる場合があるので好ましくない。
【0025】本発明におけるポリイミド前駆体溶液は、
構造式(1)に示す3,4’−オキシジアニリンと一般
式(2)に示す3,3’,4,4’−ビフェニルテトラ
カルボン酸及び/又はその誘導体を溶媒に添加し、シリ
コーンオイルからなる界面活性剤を添加することにより
製造することができる。添加する順序はいかなる順序で
もよい。
【0026】本発明のポリイミド前駆体溶液の溶液粘度
は、10ポイズ以下が好ましい。10ポイズ以上では、
塗工液の流動性が十分ではなく、厚みが10μm以下の
被膜を作製する場合には、厚みムラが起こりやすく均一
な厚みの被膜を作製できない場合があるので好ましくな
い。
【0027】ポリイミド前駆体溶液中のシリコーンオイ
ルからなる界面活性剤の含有量は、構造式(1)に示す
ジアミンと一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び/
又はその誘導体からなる溶質100重量部に対して、
0.001〜5重量部の範囲であり、好ましくは0.0
05〜1重量部である。溶質100重量部に対して界面
活性剤が0.001重量部未満であると、得られるポリ
イミド被膜中に気泡やピンホールが発生する場合があ
り、一方、界面活性剤が5重量部を超えると、製膜性が
低下しクラックや割れが発生し、均一な被膜が得られな
い場合がある。
【0028】本発明で使用する有機溶剤は、溶質と界面
活性剤を溶解するものであれば特に限定されないが、た
とえばN−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘ
キサメチルホスホリルトリアミド、スルホラン、N,
N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラ
クタムなどの分子中にN,S,P原子を含む極性溶媒や
セルソルブ、フェニルセルソルブなどのセルソルブ類、
酢酸エチルセルソルブ、酢酸ブチルセルソルブなどの酢
酸セルソルブ類、メチルカルビトール、エチルカルビト
ールなどのカルビトール類、酢酸エチルカルビトール、
酢酸ブチルカルビトールなどの酢酸カルビトール類、ジ
メチルカルビトール(ジグライム)、ジエチルカルビト
ールなどのカルビトールジエーテル類、シクロヘキサノ
ール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、シクロ
ヘキサノン、イソホロンなどのケトン類、γ―ブチロラ
クトンなどが挙げられる。
【0029】本発明で用いられるシリコーンオイルから
なる界面活性剤としては、シリコーンオイルの主構造で
ある下記一般式(7)に示す構造を含むものが挙げら
れ、さらにポリイミド前駆体溶液中で相分離せずに安定
して溶解するものであれば特に限定されない。
【0030】
【化6】
【0031】(式中R6 〜R13はそれぞれ独立に水素原
子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基ならびに
フェニル基のいずれかを表し、nは1〜10の整数を示
す。)
【0032】本発明で使用できるシリコーンオイルから
なる界面活性剤としては、入手が容易な、たとえばシリ
コーンオイルからなるレベリング剤、消泡剤、整泡剤等
が挙げられる。
【0033】本発明のポリイミド前駆体溶液の塗工方法
は、なんら限定されないが一般的なスピンコート法、ス
プレイコート法あるいはバーコーター法等の方法が挙げ
られる。そしていずれの塗工方法でも、本発明のポリイ
ミド前駆体溶液がシリコーンオイルからなる界面活性剤
を特定量含み、かつ高濃度・低粘度であるが故に、ピン
ホールや気泡を含まず、かつ基板表面のキズや異物や凹
凸に関係なく表面平滑性に優れたポリイミド被膜を得る
ことができる。特に、本発明のポリイミド前駆体溶液
は、ポリイミド被膜に気泡やピンホールを含みやすいス
ピンコート法の塗工液に好適に使用することができる。
【0034】本発明のポリイミド前駆体溶液を基板上に
塗工し、乾燥して溶媒を除去した後、ポリイミド前駆体
の塗膜を得、これをイミド化するとポリイミド被膜が得
られる。また、ポリイミド被膜を基板から剥離すると、
あるいはポリイミド前駆体塗膜を基板から剥離してイミ
ド化するとポリイミドフィルムが得られる。イミド化は
150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましく
は250℃以上で、10分以上、好ましくは30分以上
加熱して行う。
【0035】さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液に
は、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性の
カーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅
剤、誘電体、潤滑剤等の他公知の添加物を本発明の効果
を損なわない範囲で添加することができる。また、他の
重合体や例えば水不溶性のエーテル類、アルコール類、
ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素
類等の溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で添加する
ことができる。
【0036】本発明のポリイミド前駆体溶液から得られ
るポリイミド被膜の厚みが10μm以下であると、積層
構造からなる太陽電池基板、EL素子、ならびにコンデ
ンサー等の層間絶縁膜として用いることができる。本発
明のポリイミド前駆体溶液から得られる被膜、特に10
μm以下の厚みの被膜においては、塗工時の気泡による
膜の均一性が損なわれず、かつピンホールを含まない、
あるいは基板表面のキズや異物や凹凸に関係無く表面平
滑性を有するために、表面保護膜、層間絶縁膜等として
好適に用いられ、例えば、太陽電池基板、EL素子、耐
熱絶縁用素子、コンデンサー等の製造に用いられる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例により限定されない。
【0038】実施例1 溶媒としてのN−メチルピロリドン228.242gに
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物100g(339.88mmol)を溶解し、次い
でメタノール22.868g(713.748mmo
l)とトリエチルアミン1.72g(16.994mm
ol)を添加した。この溶液を温水浴にて液温80℃
で、攪拌下2時間にてエステル化反応させ、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジメチルエステ
ルを得た。この反応溶液を50℃まで冷却した後、3,
4’−オキシジアニリン68.04g(339.88m
mol)を添加し、2時間攪拌溶解し、均一なポリイミ
ド前駆体溶液を得た。さらに、シリコーンオイルからな
る界面活性剤SH193(東レダウコーニング社製シリ
コーン整泡剤)を、得られたポリイミド前駆体溶液の固
形分に対して0.5重量%である0.955gを添加
し、25℃にて系が均一になるまで攪拌し、溶解させ、
ポリイミド前駆体溶液(黒色)を得た(固形分濃度45
重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、20℃で
2ポイズであった。さらにこの溶液をスピンコーター
〔ミカサ(株)社製、1H−DX〕を用いて回転数30
00rpmにて4インチ−シリコン基板上に塗工し、そ
の後、窒素雰囲気下80℃で5時間乾燥した後、窒素雰
囲気下300℃で5時間加熱イミド化を行い、厚み2μ
mのポリイミド被膜を得た。このポリイミド被膜のウエ
ハ面内のピンホールは観察されなかった。
【0039】実施例2 実施例1で得られたポリイミド前駆体溶液を、塗工基板
を直径100mmのガラス基板にする以外は全て実施例
1と同様な方法でポリイミド被膜を形成させた。なお、
3次元表面粗さ測定装置(小阪研究所社製 ET−30
K)で測定したガラス基板の中心面平均粗さ(SRa)
は、50nmであった。得られたポリイミド被膜の膜厚
は、2μmであり、ピンホールは観察されなかった。ま
た、SRaは1.2nmであり、このポリイミド前駆体
溶液から得られるポリイミド被膜は、ピンホールが含ま
れずかつ表面平滑性に優れるものであった。
【0040】実施例3 溶媒であるN−メチルピロリドンの重量を190.90
8gにする以外は全て実施例1と同様の仕込みと条件で
反応を行い、ポリイミド前駆体溶液(黒色)を得た(固
形分濃度50重量%)。この溶液の粘度を測定したとこ
ろ、20℃で7ポイズであった。さらにこの溶液をスピ
ンコーター〔ミカサ(株)社製、1H−DX〕を用いて
回転数1000rpmにて直径100mmのガラス基板
上(SRa30nm)に塗工し、その後、窒素雰囲気下
80℃で5時間乾燥した後、窒素雰囲気下300℃で5
時間加熱イミド化を行い、厚み8μmのポリイミド被膜
を得た。このポリイミド被膜のウエハ面内のピンホール
は観察されなかった。また、SRaは1.0nmであっ
た。
【0041】実施例4 シリコーンオイルからなる界面活性剤をBYK−302
〔ビッグケミー・ジャパン(株)社製〕にする以外は全
て実施例1と同様の仕込みと条件で反応を行い、ポリイ
ミド前駆体溶液(黒色)を得た(固形分濃度45重量
%)。この溶液の粘度を測定したところ、20℃で2ポ
イズであった。さらにこの溶液を実施例1と同様な方法
ならびに同様な条件で4インチ−シリコンウエハ基板上
にポリイミド被膜を形成させた。得られたポリイミド被
膜の厚みは2μmで、ウエハ面内のピンホールは観察さ
れなかった。
【0042】実施例5 シリコーンオイルからなる界面活性剤をKP340〔信
越化学工業(株)製〕にする以外は全て実施例1と同様
の仕込みと条件で反応を行い、ポリイミド前駆体溶液
(黒色)を得た(固形分濃度45重量%)。この溶液の
粘度を測定したところ、20℃で2ポイズであった。さ
らにこの溶液を実施例1と同様な方法ならびに条件で4
インチ−シリコンウエハ基板上にポリイミド被膜を形成
させた。得られたポリイミド被膜の厚みは2μmで、ウ
エハ面内のピンホールは観察されなかった。
【0043】実施例6 シリコーンオイルからなる界面活性剤をBYK−333
(ビッグケミー・ジャパン(株)製〕にする以外は全て
実施例1と同様の仕込みと条件で反応を行い、ポリイミ
ド前駆体溶液(黒色)を得た(固形分濃度45重量
%)。この溶液の粘度を測定したところ、20℃で2ポ
イズであった。さらにこの溶液を実施例1と同様な方法
ならびに条件で4インチ−シリコンウエハ基板上にポリ
イミド被膜を形成させた。得られたポリイミド被膜の厚
みは2μmで、ウエハ面内のピンホールは観察されなか
った。
【0044】比較例1 シリコーンオイルからなる界面活性剤を添加しない以外
は全て実施例1と同様の仕込みと条件で反応を行い、ポ
リイミド前駆体溶液(黒色)を得た(固形分濃度45重
量%)。この溶液の粘度を測定したところ、20℃で2
ポイズであった。さらにこの溶液を実施例1と同様な方
法ならびに条件で4インチ−シリコンウエハ基板上にポ
リイミド被膜を形成させた。得られたポリイミド被膜の
厚みは2μmで、ウエハ面内でピンホールが8個観察さ
れた。
【0045】比較例2 シリコーンオイルからなる界面活性剤の添加量を固形分
に対して7%(13.37g)にする以外は全て実施例
1と同様の仕込みと条件で反応を行い、ポリイミド前駆
体溶液(黒色)を得た(固形分濃度45重量%)。この
溶液の粘度を測定したところ、20℃で1.2ポイズで
あった。さらにこの溶液を実施例1と同様な方法ならび
に条件で4インチ−シリコンウエハ基板上にポリイミド
被膜を形成させた。得られたポリイミド被膜はクラック
や割れが発生し、均一な被膜を得ることができなかっ
た。
【0046】比較例3 溶媒としてのN−メチルピロリドン392.093gに
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物100g(339.88mmol)を溶解し、室温
に保った。次いで前記溶液に3,4’−オキシジアニリ
ン68.04g(339.88mmol)を2時間にわ
たり徐々に添加し、さらに6時間攪拌を続けたところ,
溶液はゲル化した。(固形分30重量%)
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリイミド前駆
体溶液は、溶媒中に溶質を高い固形分比率で含有してい
るにもかかわらず、低粘度であり、かつシリコーンオイ
ルからなる界面活性剤を含んでいるので、被膜を形成す
るとき、気泡が発生しにくく、気泡による膜の均一性の
低下やピンホール等が発生しない。また、本発明のポリ
イミド被膜は、気泡やピンホールを含まず、基板表面の
キズや異物や凹凸に関係なく表面平滑性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 繁田 朗 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4J002 CM041 CP032 FD312 GH02 GQ01 4J038 DJ021 DJ031 NA14 NA21 PB09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式(1)に示す3,4’−オキ
    シジアニリンと下記一般式(2)に示す3,3’,4,
    4’−ビフェニルテトラカルボン酸及び/又はその誘導
    体を溶質として有機溶媒中に溶解していて、シリコーン
    オイルからなる界面活性剤を、構造式(1)に示すジア
    ミンと一般式(2)に示すテトラカルボン酸及び/又は
    その誘導体からなる溶質100重量部に対して、0.0
    01〜5重量部の範囲で含有していることを特徴とする
    ポリイミド前駆体溶液。 【化1】 (式中R、R1 は各々水素原子又は炭素数1〜5のアル
    キル基を示す。)
  2. 【請求項2】 構造式(1)に示す3,4’−オキシジ
    アニリンと一般式(2)に示す3,3’,4,4’−ビ
    フェニルテトラカルボン酸及び/又はその誘導体からな
    る溶質の濃度が30〜80重量%の範囲にあり、かつ溶
    液粘度が10ポイズ以下である請求項1記載のポリイミ
    ド前駆体溶液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のポリイミド前駆体
    溶液を基板上に塗工し、加熱イミド化して得られる厚み
    が10μm以下であるポリイミド被膜。
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