JP2001138523A - 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出方法 - Google Patents

液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出方法

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JP2001138523A JP2000261245A JP2000261245A JP2001138523A JP 2001138523 A JP2001138523 A JP 2001138523A JP 2000261245 A JP2000261245 A JP 2000261245A JP 2000261245 A JP2000261245 A JP 2000261245A JP 2001138523 A JP2001138523 A JP 2001138523A
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雅実 池田
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博志 杉谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液滴の吐出量比を大きく、かつ各液滴の吐出
速度をほぼ等しくする。 【解決手段】 液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出
口5と、吐出口5に一端部が常に連通された液流路3
と、液流路3に配設され、液流路3に供給される液体を
貯留する共通液体供給室6に連通されている液体供給口
5と、液流路3に配された液体に気泡を発生させる複数
の発熱体4a,4bと、液体供給口5との間に間隙を隔
てて吐出口5側を自由端として支持された状態で液流路
3に設けられ、液体供給口5の開口領域よりも大きい投
影領域を有する可動部材8とを備えている。この液体吐
出ヘッドは、複数の発熱体4a,4bのうち最も体積の
小さい気泡を発生させる発熱体を駆動することによっ
て、可動部材8が液体供給口5を密閉して実質的に遮断
するように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーを液
体に作用させて気泡を発生させることによって液体を吐
出する液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出
方法に関する。
【0002】また、本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮
革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス
等の被記録媒体に対し記録を行うプリンタ、複写機、通
信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有する
ワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複
合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明で
ある。
【0003】なお、本発明における「記録」とは、文字
や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与す
ることだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を
付与することをも意味するものである。
【0004】
【従来の技術】従来、プリンタ等の記録装置において、
流路中の液体インクに熱等のエネルギーを与えて気泡を
発生させ、それに伴う急峻な体積変化に基づく作用力に
よって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上
に付着させて画像形成を行うインクジェット記録方法、
いわゆるバブルジェット(登録商標)記録方法が知られ
ている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置
には、米国特許第4,723,129号等に開示されて
いるように、インクを吐出するための吐出口と、この吐
出口に連通する流路と、流路内に配されたインクを吐出
するためのエネルギー発生手段としての電気熱変換体
(ヒータ)とが一般的に配されている。
【0005】このような記録方法によれば、品位の高い
画像を高速、低騒音で記録することができると共に、こ
の記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐
出口を高密度に配置することができるため、小型の装置
で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得
ることができるという多くの優れた点を有している。こ
のため、このバブルジェット記録方法は近年、プリンタ
ー、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利
用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムに
まで利用されるようになってきている。
【0006】このようにバブルジェット技術が多方面の
製品に利用されるに従って様々な要求が高まっており、
例えば、高画質な画像を得るために、インクの吐出スピ
ードが速く、安定した気泡発生に基づく良好なインク吐
出を行える液体吐出方法等を与えるための駆動条件が提
案されたり、また、高速記録の観点から、吐出された液
体の液流路内への充填(リフィル)速度の速い液体吐出
ヘッドを得るために流路形状を改良したものも提案され
たりしている。
【0007】さらに、記録画像の高詳細化と印字速度の
高速化とを同時に成すために、1つの液流路(ノズル)
に複数の電気熱変換体を配置し、大きさが異なる液滴を
同じノズルから吐出するように構成されたものも提案さ
れている。
【0008】液体吐出ヘッドの吐出量、吐出速度および
リフィル周波数等の液体吐出特性は、一般に、ヒータ
の前方(液流路における液体の流れ方向に関する下流
側)の流抵抗、ヒータの後方(上流側)の流抵抗、
ヒータ後方の流抵抗に対するヒータ前方の流抵抗の比、
の3つの要素によって決定される。そこで、液体吐出ヘ
ッドは、液流路の構造、ヒータの大きさおよび配置位置
等を調整することで上記の3つの要素が適宜変更され
て、所望の吐出特性が得られるように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】1つのノズルに複数の
電気熱変換体が配置され、大きさが異なる液滴を同じノ
ズルから吐出するように構成された液体吐出ヘッド(以
下、「吐出量変調ヘッド」ともいう。)では、記録画像
の高詳細化と印字速度の高速化とを実現するために、吐
出量変調比(小さな液滴と大きな液滴との体積比)をよ
り大きくする必要がある。
【0010】ところが、吐出量変調比を大きくすると、
小液滴と大液滴との吐出速度差が大きくなって液滴の被
記録媒体に対する着弾位置にずれが生じるため、1回の
走査行程内で小液滴と大液滴とを吐出させることができ
なくなったり、吐出させる液滴の大きさに応じて吐出タ
イミングを変化させる等の高度な画像処理工程を行う必
要が生じたりする場合がある。また、1つのノズルに配
置されるヒータ同士の大きさの比を大きくすると、ノズ
ルの長さを長くせざるを得ず、リフィル周波数の低下
等、吐出特性に大きな影響を及ぼす場合がある。
【0011】吐出量変調ヘッドは、各液滴の吐出速度は
ほぼ等しいことが求められる一方で、吐出量変調ヘッド
は同じノズルから異なる大きさの液滴を吐出させるもの
であり、ノズルの構造を各々の大きさの液滴の吐出にと
ってそれぞれ最適となるように構成することは困難であ
る。また、吐出量変調ヘッドでは複数のヒータが1つの
ノズル内に配置されるので、ヒータの大きさや配置位置
の自由度が制限される場合がある。
【0012】このように、吐出量変調ヘッドは、1つの
ノズルに1つのヒータが配置された一般的な液体吐出ヘ
ッドよりも、設計に関して格段に高度な条件が要求され
る。従来では、これらの条件を満たそうとすると、吐出
効率が低下してヘッドが昇温し易くなったり、構成部品
の寸法精度や組立精度を高精度にする必要が生じたりし
ていた。
【0013】そこで本発明は、液滴の吐出量比を大き
く、かつ各液滴の吐出速度をほぼ等しくでき、さらに吐
出後のリフィル周波数を高くすることができる液体吐出
ヘッド、液体吐出方法および液体吐出装置を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出するための
吐出口と、該吐出口に一端部が常に連通され、液体に気
泡を発生させる複数の気泡発生領域を有する液流路と、
該液流路に配設され、前記液流路に供給される前記液体
を貯留する共通液体供給室に連通されている液体供給口
と、前記液流路内に配された前記液体に気泡を発生させ
る複数の気泡発生手段と、前記液体供給口の前記液流路
側に対して10μm以下の隙間を隔てて前記吐出口側を
自由端として支持された状態で前記液流路に設けられ、
前記液体供給口の開口領域よりも大きい投影領域を有す
る板状の可動部材とを有し、前記吐出口と前記気泡発生
手段とが直線連通状態にあり、前記複数の気泡発生手段
のうち最も体積の小さい気泡を発生させる気泡発生手段
を駆動することによって前記可動部材が前記液体供給口
を密閉して実質的に遮断することを特徴とする。
【0015】また、本発明の他の液体吐出ヘッドは、液
体を吐出するための吐出口と、該吐出口に一端部が常に
連通され、液体に気泡を発生させる複数の気泡発生領域
を有する液流路と、該液流路に配設され、前記液流路に
供給される前記液体を貯留する共通液体供給室に連通さ
れている液体供給口と、前記液流路内に配された前記液
体に気泡を発生させる複数の気泡発生手段と、前記液体
供給口の前記液流路側に対して10μm以下の隙間を隔
てて前記吐出口側を自由端として支持された状態で前記
液流路に設けられ、前記液体供給口の開口領域よりも大
きい投影領域を有する板状の可動部材とを有し、前記吐
出口と前記気泡発生手段とが直線連通状態にあり、前記
複数の気泡発生手段のうち1つを選択することにより、
気泡を発生する際において、いずれの気泡発生手段を駆
動する際にも、前記可動部材が前記液体供給口を密閉し
て実質的に遮断することを特徴とする。
【0016】このように構成された本発明の液体吐出ヘ
ッドによれば、液流路を満たす液体の一部が発熱体(気
泡発生手段)によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡の発
生とほぼ同時に、可動部材が液体供給口の周辺部に密着
して液体供給口を塞ぎ、液流路内が吐出口を除いて実質
的に密閉状態になる。
【0017】したがって、圧力波の伝搬が液体供給口側
に行くことが抑止され、液体の吐出時には発熱体の後方
へ液体が移動しないので、発熱体よりも後方の流抵抗は
ほぼ無限大であると考えることができる。さらに、発熱
体の後方(上流側)の流抵抗がほぼ無限大であることか
ら、発熱体後方の流抵抗に対する発熱体前方の流抵抗の
比は、発熱体の前方(下流側)の流抵抗が変化しても常
にほぼゼロになる。したがって、本発明の液体吐出ヘッ
ドは、液体吐出特性を決定する3つの要素のうちの「発
熱体の前方(下流側)の流抵抗」のみによって液体吐出
特性が決定される。
【0018】液体の吐出速度は、発熱体の前方の流抵抗
に逆比例し、発熱体の有効発泡面積で決定される発泡パ
ワーに比例する。また、吐出口から吐出される液体の吐
出量は発熱体の有効発泡面積に比例するため、本発明の
液体吐出ヘッドでは、同じ液流路に設けられた各発熱体
の前方(下流側)の流抵抗と吐出量との比が等しくなる
ようにすることにより、各発熱体の加熱により吐出され
る各液滴の吐出速度が等しくなる。これにより、本発明
によれば、液滴の吐出量比を大きくしても各液滴の吐出
速度を等しくすることが容易になる。
【0019】また、前記液流路に設けられた前記複数の
気泡発生手段は、前記液流路の下流側から上流側へ向か
うにつれて発泡面積が次第に大きくなる順に配列されて
いる構成とすることが好ましい。
【0020】さらに、前記液流路を構成する液流路壁と
前記可動部材との間にも間隙を有する構成としてもよ
い。
【0021】また、前記複数の気泡発生手段を駆動する
ことによって前記液体を吐出する構成としてもよい。こ
の場合、前記複数の気泡発生手段を同時に駆動すること
によって前記液体を吐出する構成としてもよい。あるい
は、前記複数の気泡発生手段のうち、最も前記吐出口側
の気泡発生手段を最初に駆動することによって前記液体
を吐出する構成としてもよい。あるいは、前記複数の気
泡発生手段のうち、最も前記可動部材側の気泡発生手段
を最初に駆動することによって前記液体を吐出する構成
としてもよい。
【0022】また、本発明の液体吐出装置は、上記本発
明の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐
出させるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段と
を有する。
【0023】本発明の他の液体吐出装置は、上記本発明
の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された
液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
とを有する。
【0024】さらに、前記液体吐出ヘッドからインクを
吐出し、被記録媒体に前記インクを付着させることで記
録を行うように構成されていてもよい。
【0025】また、本発明の液体吐出方法は、液体を吐
出するための吐出口と、該吐出口に一端部が常に連通さ
れ、液体に気泡を発生させる複数の気泡発生領域を有す
る液流路と、該液流路に配設され、前記液流路に供給さ
れる前記液体を貯留する共通液体供給室に連通されてい
る液体供給口と、前記液流路に設けられ、前記液流路に
配された前記液体に気泡を発生させる複数の気泡発生手
段と、前記液流路を構成する液流路壁および前記液体供
給口との間に前記液流路壁および前記液体吐出口の前記
液流路側に対して微小な隙間を隔てて前記吐出口側を自
由端として支持された状態で前記液流路に設けられ、前
記液体供給口の開口領域よりも大きい投影領域を有する
可動部材とを備えた液体吐出ヘッドを用いた液体吐出方
法であって、前記複数の気泡発生手段のうち最も体積の
小さい気泡を発生させる気泡発生手段を駆動して気泡を
発生させることによって、前記気泡発生手段に駆動電圧
が印加されてから気泡の全体が略等方成長している期間
が終了するまでの間に、前記可動部材が前記液体供給口
を密閉して実質的に遮断することを特徴とする。
【0026】本発明の他の液体吐出方法は、液体を吐出
するための吐出口と、該吐出口に一端部が常に連通さ
れ、液体に気泡を発生させる複数の気泡発生領域を有す
る液流路と、該液流路に配設され、前記液流路に供給さ
れる前記液体を貯留する共通液体供給室に連通されてい
る液体供給口と、前記液流路に設けられ、前記液流路に
配された前記液体に気泡を発生させる複数の気泡発生手
段と、前記液流路を構成する液流路壁および前記液体供
給口との間に前記液流路壁および前記液体吐出口の前記
液流路側に対して微小な隙間を隔てて前記吐出口側を自
由端として支持された状態で前記液流路に設けられ、前
記液体供給口の開口領域よりも大きい投影領域を有する
可動部材とを備えた液体吐出ヘッドを用いた液体吐出方
法であって、前記複数の気泡発生手段のうち1つを選択
することにより気泡を発生させる際において、いずれの
気泡発生手段を駆動する際にも、前記気泡発生手段に駆
動電圧が印加されてから気泡の全体が略等方成長してい
る期間が終了するまでの間に、前記可動部材が前記液体
供給口を密閉して実質的に遮断することを特徴とする。
【0027】これにより、吐出口に形成されるメニスカ
スの後退量が最大になるよりも早く液体が液流路内に流
れ込み、メニスカスを液流路内へと急速に引き込む流れ
が急に低下するため、メニスカス後退量が減少するとと
もに、メニスカスは比較的低速で発泡前の位置へ戻り始
める。その結果、吐出後、メニスカスが初期状態に復帰
する時間が非常に早い、すなわち、液流路への定量のイ
ンク補充(リフィル)が完了する時間が早いので、高精
度(定量)のインク吐出を実施するにあたり吐出周波数
(駆動周波数)をも飛躍的に向上させることができる。
【0028】さらに、前記気泡発生領域における前記吐
出口側と前記液体供給口側とでは、気泡の成長体積変化
と気泡の発生から消泡までの時間が大きく異なる構成と
してもよい。
【0029】さらには、前記気泡発生領域が大気に開放
されない構成としてもよい。
【0030】また、前記複数の気泡発生手段を駆動する
ことによって前記液体を吐出する構成としてもよい。こ
の場合、前記複数の気泡発生手段を同時に駆動すること
によって前記液体を吐出する構成としてもよい。あるい
は、前記複数の気泡発生手段のうち、最も前記吐出口側
の気泡発生手段を最初に駆動することによって前記液体
を吐出する構成としてもよい。あるいは、前記複数の気
泡発生手段のうち、最も前記可動部材側の気泡発生手段
を最初に駆動することによって前記液体を吐出する構成
としてもよい。
【0031】本発明のその他の効果については、各実施
形態の記載から理解できよう。
【0032】なお、本発明の説明で用いる「上流」「下
流」とは、液体の供給源から気泡発生領域(又は可動部
材)を経て、吐出口へ向かう液体の流れ方向に関して、
又はこの構成上の方向に関しての表現として表されてい
る。
【0033】また、気泡自体に関する「下流側」とは、
気泡の中心に対して、上記流れ方向や上記構成上の方向
に関する下流側、又は、発熱体の面積中心より下流側の
領域で発生する気泡を意味する。
【0034】また、本発明で表現する「可動部材が液体
供給口を密閉して実質的に遮断する」とは、必ずしも可
動部材が液体供給口の周辺部に密着するわけではなく、
可動部材が液体供給口に限りなく接近することも含む。
【0035】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0036】(第1の実施の形態)図1は本発明の一実
施形態による液体吐出ヘッドの1つの液流路方向に沿っ
た断面図、図2は図1に示した液体吐出ヘッドのX−
X’線断面図、図3は図1に示した液体吐出ヘッドの吐
出口中心からY1点で天板2側へシフトしたY−Y’線
断面図である。
【0037】図1〜図3に示す複数流路−共通液室の形
態の液体吐出ヘッドでは、素子基板1と天板2とが流路
側壁10を介して積層状態で固着され、両板1,2の間
には、一端が吐出口7と連通した液流路3が形成されて
いる。この液流路3は1個のヘッドに多数設けられてい
る。また、素子基板1には各々の液流路3に対し、液流
路3に補充された液体に気泡を発生させる気泡発生手段
としての発熱体4a,4bが配されている。発熱体4
a,4bは、各液流路3毎にそれぞれ配置されている。
なお、本実施形態では各液流路3に2つの発熱体が配置
されているが、各液流路3に配置される発熱体の数は2
つに限られず、それ以上であってもよい。発熱体4a,
4bと吐出液との接する面の近傍領域には、発熱体4
a,4bが急速に加熱されて吐出液に発泡が生じる気泡
発生領域11が存在する。
【0038】多数の液流路3の各々に供給部形成部材5
Aに形成された液体供給口5が配設され、各液体供給口
5に連通する共通液体供給室6が設けられている。つま
り、流路は、単一の共通液体供給室6から多数の液流路
3に分岐した形状となっており、各液流路3と連通する
吐出口7から吐出された液体に見合う量の液体をこの共
通液体供給室6から受け取る。符号Sは、液体供給口5
の液流路3に対して液体を供給する実質的な開口領域を
示す。
【0039】液体供給口5と液流路3との間には、可動
部材8が液体供給口5の開口領域Sに対して微小な隙間
α(例えば10μm以下)を有して略平行に設けられて
いる。可動部材8の投影面積は液体供給口5の開口領域
Sよりも大きくなっており(図3参照)、かつ、可動部
材8の側部と両側の流路側壁10各々との間は微小な隙
間βを有している(図2,図3参照)。
【0040】前述した供給部形成部材5Aは、前記可動
部材8に対して、図2に示すように隙間γを介してい
る。隙間β,γは、流路のピッチによって異なるが、隙
間γが大きければ可動部材8は開口領域Sを遮断し易
く、隙間βが大きければ可動部材8は隙間αを介して位
置する定常状態よりも消泡に伴って素子基板1側へ移動
し易くなる。本実施例では、隙間αは3μm、隙間βは
3μm、隙間γは4μmとしている。
【0041】また、可動部材8は、流路側壁10の間の
幅方向で、上記開口領域の幅W2よりも大きい幅W1を
有しており、開口領域を充分密閉できる幅を有してい
る。可動部材8の8Aは、液体供給口5の開口領域の上
流側端部を、複数の可動部材が複数流路に交差する方向
に関して連続されている連続部(この一部は、図1に示
すように固定部材9から離れている。)の自由端側の端
部延長線上で規定する(図3参照)。本実施形態では、
図3,図2に示すように、流路側壁10自体の厚みより
も、供給部形成部材5Aの可動部材8に沿っている部分
の厚みを小さく設定しており、流路壁10に対して供給
部形成部材5Aが積層されている。なお、供給部形成部
材5Aの可動部材の自由端8Bよりも吐出口7側は、図
3に示すように、液流路壁10自体の厚みに対して同じ
厚さに設定されている。
【0042】これにより可動部材8は液流路3内で摩擦
抵抗なく可動できる一方で、開口領域S側への変位は開
口領域Sの周辺部で規制できる。これにより、開口領域
Sを実質的に塞いで液流路3内部から共通液体供給室6
への液流を防ぐことが可能となる一方で、気泡の消泡に
伴って、液流路側へ実質密閉状態からリフィル可能状態
へ移動可能となる。また本実施形態では、可動部材8は
素子基板1に対しても素子基板1に平行に位置してい
る。そして可動部材8の端部8Bは素子基板1の発熱体
4a,4bの近傍上に位置する自由端であり、その他端
側は固定部材9に支持されている。また、この固定部材
9によって、液流路3は、可動部材8の吐出口7とは反
対側の端部(すなわち上流側の端部)が閉じられてい
る。
【0043】なお、図4に示すように、本実施形態にお
いては、電気熱変換体としての発熱体4a,4bと吐出
口7との間には弁のような障害物は無く、液流に対し直
状的な流路構造を保っている「直線的連通状態」となっ
ている。これは、より好ましくは、気泡の発生時に生じ
る圧力波の伝播方向およびそれに伴う液体の流動方向と
液体の吐出方向とを直線的に一致させることで、吐出滴
の吐出方向や吐出速度等の吐出状態をきわめて高いレベ
ルで安定化させるという理想状態を形成することが望ま
しいためである。本発明では、この理想状態を達成、ま
たは近似させるための一つの定義として、吐出口7と発
熱体4a,4b、特に気泡の吐出口側に影響力を持つ発
熱体の吐出口側(下流側)とが直接直線で結ばれる構成
とすればよく、これは、流路内に流体がない状態であれ
ば、吐出口7の外側から見て発熱体、特に発熱体の下流
側を観察することが可能な状態である(図4参照)。
【0044】次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの吐出
動作について説明する。図5および図6は図1〜図3に
示した構造の液体吐出ヘッドの吐出動作を説明するため
に、液体吐出ヘッドを液流路方向に沿った切断図で示す
とともに、特徴的な現象を図5の(a)〜(d)、図6
の(a)〜(c)の工程に分けて示したものである。ま
た図5および図6において符号Mは吐出液が形成するメ
ニスカスを表している。なお、図5および図6において
は、前方(下流側)の発熱体4aが発熱される例を示
す。
【0045】図5(a)は、発熱体4aに電気エネルギ
ー等のエネルギーが印加される前の状態であり、発熱体
が熱を発生する前の状態を示す。この状態では、液体供
給口5と液流路3との間に設けられた可動部材8と、液
体供給口5の形成面との間には微小な隙間(10μm以
下)が存在している。
【0046】図5(b)は、液流路3を満たす液体の一
部が発熱体4aによって加熱され、発熱体4a上に膜沸
騰が起こり気泡21が等方的に成長した状態を示す。こ
こで、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面の所々にお
いて気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速度がそれぞ
れほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0047】この気泡発生初期の、気泡21の等方的な
成長過程において、可動部材8が液体供給口5の周辺部
に密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出口
7を除いて実質的に密閉状態になる。この密閉状態は、
気泡21の等方的な成長過程のいずれかの期間維持され
るものである。なお、密閉状態にする期間は、発熱体4
に電気エネルギーが印加されてから、気泡21の等方的
な成長過程が終了するまでの間にあってもよい。また、
この密閉状態では、液流路3において発熱体4の中心か
ら液体供給口側のイナータンス(静止液体が急に動き出
すときの動きにくさ)は、実質的に無限大となる。この
時、発熱体4から液体供給口側へのイナータンスは、発
熱体4と可動部材8との距離が取れるほど無限大に近づ
く。
【0048】図5(c)は気泡21が成長し続けている
状態を示す。上述のように、液流路3内が吐出口7を除
いて実質的に密閉状態になると、液体の流れが液体供給
口5側には行かない。そのため、発熱体4a上で等方的
に成長していた気泡のうち、液体供給口5側の気泡は成
長できず、気泡の成長エネルギーは吐出口7側の気泡の
成長にのみ費やされる。
【0049】ここで、図5(a)〜図5(c)における
気泡の成長過程を、図7に基づいて詳述する。図7
(a)に示すように発熱体4が加熱されると発熱体4上
に初期沸騰が生じ、その後図7(b)に示すように発熱
体4上を膜状の気泡が覆う膜沸騰に変化する。そして膜
沸騰状態の気泡は図7(b)〜図7(c)に示すように
等方的に成長し続ける(このように等方的に気泡成長し
ている状態は「半ピュロー状態」と呼ばれる)。ところ
が、図5(b)に示したように液流路3内が吐出口7を
除いて実質的に密閉状態になると、上流側への液移動が
できなくなるため、半ピュロー状の気泡において上流側
(液体供給口側)の気泡の一部が成長しなくなり、残り
の下流側(吐出口側)の部分のみが成長する。この状態
を表したのが、図5(c)や図7(d),(e)であ
る。
【0050】ここで説明の便宜上、発熱体4aを加熱し
ているとき、発熱体4a上において気泡が成長しない領
域をB領域とし、気泡が成長する吐出口7側の領域をA
領域とする。なお、B領域では、等方的な気泡成長時の
発泡体積が最大となる。
【0051】次に、図5(d)は、A領域では気泡成長
が続いており、B領域では気泡収縮が始まっている状態
を示す。この状態では、A領域では吐出口側に向けて気
泡が大きく成長していく。そして、B領域における気泡
の体積は減少し始める。これにより、可動部材8がその
剛性による復元力やB領域における気泡の消泡力で定常
状態位置へと下方変位し始める。その結果、液体供給口
5が開き、共通液体供給室6と液流路3とが連通状態に
なる。
【0052】図6(a)は、気泡21がほぼ最大に成長
した状態を示す。この状態では、A領域において気泡が
最大に成長し、これに伴ってB領域における気泡はほと
んど無くなる。また、吐出口7から吐出しつつある吐出
滴22は、長い尾引きの状態でメニスカスMと未だ繋が
っている。
【0053】図6(b)は、気泡21の成長は止まり消
泡工程のみの段階であって、吐出滴22とメニスカスM
とが分断された状態を示す。A領域で気泡成長から消泡
に変わった直後は、気泡21の収縮エネルギーは全体バ
ランスとして吐出口7近傍の液体を上流方向へ移動させ
る力として働く。したがって、メニスカスMはこの時点
で吐出口7から液流路3内に引き込まれ、吐出液滴22
と繋がっている液柱を切り離すことになる。その一方
で、気泡の収縮に伴い可動部材8が下方変位し、共通液
体供給室6から液体供給口5を介して液体が急速に大き
な流れとなって液流路3内へ流れ込む。これにより、メ
ニスカスMを液流路3内へと急速に引き込む流れが急に
低下するため、メニスカスMの後退量を減少させること
ができるとともに、メニスカスMは比較的低速で発泡前
の位置へ戻り始める。その結果、本発明に係る可動部材
を備えていない液体吐出方式に比べてメニスカスMの振
動の収束性が非常に良い。
【0054】図6(c)では気泡21が完全に消泡し、
可動部材8も定常状態位置に復帰した様子を示す。この
状態へは、可動部材8はその弾性力により上方変位する
(図6(b)の実線の矢印方向)。また、この状態で
は、メニスカスMはすでに吐出口7近傍で復帰してい
る。
【0055】次に、図5及び図6に示したA領域とB領
域での気泡体積の時間変化と可動部材の挙動との相関関
係を図8を参照して説明する。図8はその相関関係を表
したグラフであり、曲線AはA領域における気泡体積の
時間変化を示し、曲線BはB領域における気泡体積の時
間変化を示す。
【0056】図8に示すように、A領域での気泡の成長
体積の時間変化は極大値をもつ放物線を描く。つまり、
発泡開始されてから消泡までにおいて気泡体積は時間経
過とともに増大しある時点で最大となり、その後減少す
る。一方、B領域については、A領域の場合と比べ、発
泡開始されてから消泡までに要する時間が短く、また気
泡の最大成長体積も小さく、最大成長体積に達する時間
も短い。つまり、A領域とB領域とでは、発泡開始され
てから消泡までに要する時間と気泡の成長体積変化とが
大きく異なっていて、B領域の方が小さい。
【0057】特に図8において、気泡の発生初期は同じ
時間変化で気泡体積が増大するため、曲線Aと曲線Bが
重なっている。つまり、気泡の発生初期は気泡が等方的
に成長している(半ピュロー状の)期間が生じている。
その後、曲線Aが極大点まで増大する曲線を描くもの
の、ある時点で曲線Bは曲線Aから分岐し、気泡体積が
減少する曲線を描く。つまり、A領域では気泡の体積が
増加するものの、B領域では気泡体積が減少する期間
(部分成長部分収縮期間)が生じる。
【0058】そして、上記のような気泡成長の仕方に基
づき、図1に示したように発熱体の一部分を可動部材の
自由端が覆った形態では、可動部材は次のような挙動を
生じる。すなわち、図8のの期間では可動部材が液体
供給口に向かって上方変位している。同図の期間では
可動部材が液体供給口に密着し、液流路内が吐出口を除
いて実質的に密閉状態となる。この密閉状態の開始は気
泡が等方的に成長している期間で行われる。次に同図
の期間では、可動部材が定常状態位置に向かって下方変
位している。この可動部材による液体供給口の開放開始
は部分成長部分収縮期間開始から一定時間経過後に行わ
れる。次に同図の期間では、可動部材が定常状態から
さらに下方変位している。次に同図の期間では、可動
部材の下方変位がほぼ停止し、可動部材が開放位置で平
衡状態になっている。最後に同図の期間では、可動部
材が定常状態位置に向かって上方変位している。
【0059】このような気泡成長と可動部材の挙動との
相関関係は、可動部材と発熱体との相対位置に影響され
る。そこで、図9および図10を参照し、本形態と異な
る相対位置の可動部材と発熱体を備えた液体吐出ヘッド
における気泡成長と可動部材の挙動との相関関係を説明
する。
【0060】図9は、発熱体全体を可動部材の自由端が
覆った形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関
関係を説明するための図で、(a)はその形態を、
(b)はその相関関係のグラフを示している。図9の
(a)で示す形態のように発熱体4aが可動部材8に覆
われている面積が大きいと、図9のの期間が図1の形
態の場合と比べて短時間となり、発熱体4aを加熱して
から短時間で密閉状態になるので、より好ましい。な
お、図9の〜の各期間の可動部材の挙動は図8に基
づいて説明した挙動と同じである。また図9の形態をと
ると、可動部材8が気泡の体積減少の影響を受けやすく
なるため、同図の期間開始時点から判るように、可動
部材8による液体供給口5の開放開始は部分成長部分収
縮期間開始から即座に行われる。つまり、可動部材8の
開放タイミングが図1の形態の場合と比べて早い。同様
の理由で、可動部材8の振幅が大きくなる。
【0061】また図10は、発熱体と可動部材が離れて
いる形態における気泡成長と可動部材の挙動との相関関
係を説明するための図で、(a)はその形態を、(b)
はその相関関係のグラフを示している。図10の(a)
で示す形態のように発熱体4aが可動部材8の自由端の
下方の位置よりも吐出口側にある場合には、可動部材8
が気泡の体積減少の影響を受けにくいため、同図の期
間開始時点から判るように、可動部材8による液体供給
口5の開放開始は部分成長部分収縮期間開始からかなり
遅れて行われる。つまり、可動部材8の開放タイミング
が図1の形態の場合と比べて遅い。同様の理由で、可動
部材8の振幅が小さくなる。なお、図10の〜の各
期間の可動部材8の挙動は図8に基づいて説明した挙動
と同じである。
【0062】また、上記可動部材8と発熱体4aとの位
置関係は一般的な動作の説明をしたもので、可動部材の
位置、可動部材の剛性等によって各動作は異なってくる
ものである。
【0063】以上のように本実施形態のヘッド構成及び
液体吐出動作について説明したが、このような形態によ
れば、気泡の下流側への成長成分と上流側への成長成分
が均等ではなく、上流側への成長成分がほとんどなくな
り上流側への液体の移動が抑制される。上流側への液体
の流れが抑制されるため、上流側に気泡成長成分が損失
することなくそのほとんどが吐出口の方向に向けられ、
吐出力が格段に向上する。さらに、吐出後のメニスカス
の後退量が減少し、その分リフィル時にメニスカスがオ
リフィス面よりも突出する量も減少する。そのためメニ
スカス振動が抑制されることとなり、低周波数から高周
波数まであらゆる駆動周波数において安定した吐出を行
うことができる。
【0064】なお、上記では液流路3の下流側の発熱体
4aを発熱させる場合について説明したが、上記の吐出
動作は上流側の発熱体4bを発熱させた場合にも同様に
生じる。これは、本発明では後述するように下流側の発
熱体4aよりも上流側の発熱体4bの方が有効発泡面積
が広いので、下流側の発熱体4aを発熱させたときに生
じる気泡の等方成長過程で可動部材8が液体供給口5に
密着されるように構成されているのであれば、上流側の
発熱体4bを発熱させたときにも同様に可動部材8が液
体供給口5に密着されるためである。
【0065】上記に説明したように、本実施形態の液体
吐出ヘッドによれば、液流路3を満たす液体の一部が発
熱体4によって加熱され、膜沸騰に伴う気泡が発泡する
と、その気泡の発生による圧力波の発生と同時に、可動
部材8が液体供給口5の周辺部に密着して液体供給口5
を塞ぎ、液流路3内が、吐出口7を除いて実質的に密閉
状態になる。そのため、圧力波が液体供給口5側に伝播
することが抑止される。したがって、本実施形態の液体
吐出ヘッドでは、液体の吐出時に発熱体の後方へインク
が移動しないので、発熱体よりも後方の流抵抗はほぼ無
限大であると考えることができる。
【0066】そのため、液体吐出ヘッドの液体吐出特性
を決定する、発熱体の前方(下流側)の流抵抗、発
熱体の後方(上流側)の流抵抗、発熱体後方の流抵抗
に対する発熱体前方の流抵抗の比の3つの要素のうち、
発熱体の後方(上流側)の流抵抗は無限大となり、
発熱体後方の流抵抗に対する発熱体前方の流抵抗の比
は、発熱体の後方(上流側)の流抵抗が無限大であるこ
とから、発熱体の前方(下流側)の流抵抗が変化しても
常にゼロになる。したがって、本実施形態の液体吐出ヘ
ッドの液体吐出特性は、発熱体の前方(下流側)の流
抵抗のみによって決定される。
【0067】ここで、図11に示すように、液流路3
(ノズル)の断面積がその全長にわたって一定である場
合について説明する。なお、図11(a)は液体吐出ヘ
ッドの1つの液流路方向に沿った断面図であり、図11
(b)は同図(a)のA−A’線における断面図であ
る。
【0068】発熱体による気泡の最大発泡体積Voは、
発泡時に発熱体上に発生する圧力に比例する。ノズルの
構成が大きく違わない場合には、その発泡圧力は発熱体
の有効発泡面積Seにほぼ比例する。なお、発熱体の外
縁から約4μm程度の領域は電流を通しても高温になら
ず発泡に寄与しないため、有効発泡面積Seは、発熱体
の全体面積からその外縁部を除いた面積となる。
【0069】さらに、本実施形態では、発熱体の後方へ
は液体がほとんど移動しないので、発泡が生じると液体
は実質的に全て吐出口の方向へ移動するため、気泡最大
発泡体積Voと吐出量Vdとがほぼ等しくなる。つま
り、吐出量Vdと有効発泡面積Seとは比例関係にあ
り、以下の式が得られる。
【0070】 Vd=a・Se (aは比例定数) …式(1) また、液滴の吐出速度vは、液体が発熱体の前方へ移動
する加速度によって決定される。したがって、吐出速度
vは、発熱体の有効発泡面積Seで決定される発泡パワ
ーに比例し、発熱体の前方の流抵抗Rfに逆比例する。
そのため、吐出速度vは次式で与えられる。
【0071】 v=b・Se/Rf (bは比例定数) …式(2) ここで、式(2)に式(1)を代入すると、 v=c・Vd/Rf (c=b/a) 式(3) となる。なお、流抵抗Rfはノズルの断面積の逆数を吐
出口から発熱体の前方の距離にわたって積分したもので
あり、以下の式で与えられる。
【0072】 Rf=∫[ρ/S(x)]dx=[ρ/S]・OH …式(4) ここで、ρは液体の密度、S(x)は位置xでのノズル
の断面積、OHは吐出口から発熱体の重心までの距離で
ある。上式(4)から、ノズルの断面積が一定(S)な
ら、流抵抗Rfは吐出口から発熱体の重心までの距離O
Hに比例することがわかる。
【0073】また、式(3)および式(4)から、 v=c’・Vd/OH (c’=c・S/ρ) …式(5) となり、この結果から、吐出速度vが吐出量VdとOH
距離とによって簡単に求められることがわかる。
【0074】本実施形態のように1つのノズルに2つの
発熱体が設けられている液体吐出ヘッドにおいては、第
1の発熱体4aによる吐出量Vd1および第2の発熱体
4bによる吐出量Vd2の液体を同じノズルから吐出さ
せる場合に、 Vd1/Vd2=OH1/OH2 …式(6) となるように発熱体の配置位置を決定すると、各発熱体
によって吐出される液滴の吐出速度v1,v2について、
v1=v2の関係が成立する。例えば、液滴の吐出量比を
1:4にする場合には、第1の発熱体4aと第2の発熱
体4bとの有効発泡面積の比を1:4とし、吐出口から
第1の発熱体4aまでの距離と吐出口から第2の発熱体
4bまでの距離との比を1:4とすると、小液滴の吐出
速度v1と大液滴の吐出速度v2とを等しくすることがで
きる。
【0075】次に、図12に示すように、液流路3(ノ
ズル)の断面積がその長さ方向に関して変化する場合に
ついて説明する。なお、図12(a)は液体吐出ヘッド
の1つの液流路方向に沿った断面図であり、図12
(b)は同図(a)のB−B’線における断面図であ
る。
【0076】図12に示す液体吐出ヘッドの液流路3
は、吐出口7から距離Lの位置を境として、その位置よ
りも下流側の断面積がS1になっており、上流側の断面
積がS2になっている。
【0077】図12に示す例においても、第1の発熱体
4aの有効発泡面積をSe1、吐出量をVd1、吐出速度
をv1、断面積がS1の領域における液流路3の流抵抗
をRf1とすると、 Vd1=a・Se1 (aは比例定数) …式(7) v1=b・Se1/Rf1 (bは比例定数) …式(8) v1=c・Vd1/Rf1 (c=b/a) …式(9) Rf1=[ρ/S1]・OH1 …式(10) v1=c’・Vd1/OH1 (c’=c・S1/ρ) …式(11) が得られる。また、第2の発熱体4bの有効発泡面積を
Se2、吐出量をVd2、吐出速度をv2、断面積がS2
の領域における液流路3の流抵抗をRf2とすると、 Vd2=a・Se2 (aは比例定数) …式(12) v2=b・Se2/Rf2 (bは比例定数) …式(13) v2=c・Vd2/Rf2 (c=b/a) …式(14) Rf2=[ρ/S1]・L+[ρ/S2]・(OH2−L) …式(15) v2=c’・Vd2・(L/S1+(OH2−L)/S2)-1 …式(16) が得られる。
【0078】ここで、OH1<L<OH2であるとき、 Se1・(S1/OH1)=Se2・(L/S1+(OH2
−L)/S2)-1 となるように各値を設定すると、 v1=v2 となり、各発熱体4a,4bの発熱によって吐出される
小液滴と大液滴との吐出速度を等しくすることができ
る。
【0079】また、本発明の液体吐出ヘッドによる液体
吐出動作のモードには、各発熱体4a,4bのうちどち
らか一方を駆動するモードと、両発熱体4a,4bを駆
動するモードとがある。両発熱体4a,4bを駆動する
モードでは、各発熱体4a,4bのうちどちらか一方を
駆動するモードとは異なる吐出状態となる場合がある。
【0080】両発熱体4a,4bを駆動するモードに
は、両発熱体4a,4bを同時に駆動するモード、下流
側の発熱体4aを先に駆動するモード、および上流側の
発熱体4aを先に駆動するモードがある。両発熱体4
a,4bを全く同時に駆動するモードでは、各発熱体4
a,4bを個別に駆動した場合の吐出量の合計よりも吐
出量は少なくなる。また、下流側の発熱体4aを先に駆
動するモードでは、液流路3を吐出口を除いて実質的に
密閉状態としたまま下流側の発熱体4aを2回駆動する
ことができる。それによって、2滴の液滴を吐出し両発
熱体4a,4bを同時に駆動するモードよりも吐出量を
大きくすることができる。また、上流側の発熱体4aを
先に駆動するモードでは、両発熱体4a,4bを同時に
駆動するモードよりも可動部材をより速やかに下方変位
させることができるため、よりリフィル特性を向上させ
ることができる。
【0081】以下、これらの両発熱体4a,4bを駆動
するモードにおける吐出状態を、図を用いて順次説明す
る。
【0082】まず、両発熱体4a,4bを同時に駆動す
るモードにおける液滴吐出動作を説明する。図13およ
び図14は、両発熱体4a,4bを同時に駆動するモー
ドにおける液滴吐出動作の特徴的な現象を図13の
(a)〜(c)、図14の(a)〜(c)の工程に分け
て示したものである。
【0083】図13(a)は、両発熱体4a,4bを同
時に駆動することにより、液流路3を満たす液体の一部
が両発熱体4a,4bによって加熱され、両発熱体4
a,4b上に膜沸騰が起こり気泡21a,21bが等方
的に成長した状態を示す。ここで、「気泡成長が等方
的」とは、気泡表面のどの位置において気泡表面の垂線
方向を向いた気泡成長速度がそれぞれほぼ等しい大きさ
である状態をいう。
【0084】この気泡発生初期の、気泡21a,21b
の等方的な成長過程において、可動部材8が液体供給口
5の周辺部と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内
が吐出口7を除いて実質的に密閉状態になる。
【0085】図13(b)は、気泡21a,21bが成
長し続けている状態を示す。この時、下流側の発熱体4
aのみを駆動した場合と比べて下流側の発熱体4a上の
A領域における気泡は早く成長し、B領域における気泡
は早く収縮する。すなわち、上流側の発熱体4a上の気
泡21aの部分成長部分収縮期間への移行が早い。ま
た、上流側の発熱体4b上の気泡21bの発泡体積は小
さい。
【0086】図13(c)は、両発熱体4a,4b上の
各気泡21a,21bのA領域では気泡成長が通づいて
おり、B領域では気泡収縮が始まっている状態を示す。
この状態では、A領域では吐出口側に向けて気泡21
a,21bが大きく成長していく。そして、B領域にお
ける気泡21a,21bの体積は減少し始める。この
時、上流側の発熱体4b上のA領域における気泡の発泡
圧力が、両発熱体4a,4b上の各B領域における気泡
の消泡力の和よりも大きいと、可動部材8は下方変位せ
ず、密閉状態が維持される。なお、可動部材の先端が上
流側の発熱体4bの中心よりも上流側にある場合はこの
限りではない。
【0087】図14(a)は、下流側の発熱体4a上の
気泡21aがほぼ最大に成長した状態を示す。この状態
では、下流側の発熱体4a上のA領域において気泡が最
大に成長し、B領域における気泡は収縮し続けている。
この時、上流側の発熱体4b上のA領域における気泡の
発泡圧力が弱まってくると可動部材8が下方変位を開始
する。また、吐出口7から吐出しつつある吐出滴22
は、長い尾引きの状態でメニスカスMと未だ繋がってい
る。その結果、液体供給口5が開き、共通液体供給室6
と液流路3が連通状態となる。
【0088】図14(b)は、下流側の発熱体4a上の
気泡21aの成長は止まり消泡工程のみの段階であっ
て、吐出滴22とメニスカスMが分断された状態を示
す。この状態では、上流側の発熱体4b上のB領域にお
ける気泡の消泡力と下流側の発熱体4a上のA領域及び
B領域における気泡の消泡力により、速やかに可動部材
8が下方変位する。上流側の発熱体4a上のA領域で気
泡成長から消泡に変わった直後は、気泡の収縮エネルギ
ーは全体バランスとして吐出口7近傍の液体を上流方向
へ移動させる力として働く。したがって、メニスカスM
はこの時点で吐出口7から液流路3内に引き込まれ、吐
出液滴22と繋がっている液柱を強い力ですばやく切り
離すことになる。この時、吐出量は、各発熱体4a,4
bを個別に駆動した場合の吐出量の合計よりも吐出量は
少なくなる。その一方で、気泡の収縮に伴い可動部材8
が下方変位し、共通液体供給室6から液体供給口5を介
して液体が急速に大きな流れとなって液流路3内へ流れ
込む。これにより、メニスカスMを液流路3内へと急速
に引き込む流れが急に低下するため、メニスカスMの後
退量を減少するとともに、メニスカスMは比較的低速で
発泡前の位置へ戻り始める。その結果、本発明に係る可
動部材を備えていない液体吐出方式に比べてメニスカス
Mの振動の収束性が非常に良い。
【0089】図14(c)は、下流側の発熱体4a上の
気泡の気泡はほとんど完了し、上流側の発熱体4b上の
気泡の消泡は完了した状態を示す。この状態では、液体
供給室6から液体供給口5を介して液体が流入し、気泡
の消泡が進むとともにメニスカスMが復帰していく。こ
の状態の後、可動部材はその剛性による復元力で上方変
位し、定常状態位置に復帰する。
【0090】このように、両発熱体4a,4bを同時に
駆動するモードでは、各発熱体4a,4bを個別に駆動
した場合の吐出量の合計よりも少ない吐出量の液滴を吐
出することができる。
【0091】次に、下流側の発熱体4aを先に駆動する
モードにおける液滴吐出動作を説明する。図15および
図16は、下流側の発熱体4aを先に駆動するモードに
おける液滴吐出動作の特徴的な現象を図15の(a)〜
(c)、図16の(a)〜(c)の工程に分けて示した
ものである。
【0092】図15(a)は、下流側の発熱体4aのみ
を駆動することにより、液流路3を満たす液体の一部が
下流側の発熱体4aによって加熱され、発熱体4上に膜
沸騰が起こり気泡21aが等方的に成長した状態を示
す。ここで、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面のど
の位置において気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速
度がそれぞれほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0093】この気泡発生初期の、気泡21aの等方的
な成長過程において、可動部材8が液体供給口5の周辺
部と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出
口7を除いて実質的に密閉状態になる。
【0094】図15(b)は、下流側の発熱体4a上の
A領域では気泡成長が続き、B領域では気泡収縮が始ま
っており、上流側の発熱体4b上では気泡が略等方的に
成長している状態を示す。下流側の発熱体4a上の気泡
が、部分成長部分収縮期間に移行した時点で上流側の発
熱体4bを駆動することにより、下流側の発熱体4a上
のB領域における気泡の消泡力に、上流側の発熱体4b
上における気泡の発泡圧力が勝り、可動部材8は変位せ
ず、密閉状態が維持される。
【0095】図15(c)は、下流側の発熱体4a上の
気泡21aがほぼ最大に成長し、上流側の発熱体4b上
の気泡21bが部分成長部分収縮している状態を示す。
この状態では、上流側の発熱体4b上の気泡の成長によ
り、下流側の発熱体4a上のB領域における気泡は早く
収縮する。また、吐出口7から吐出しつつある吐出滴2
2は、長い尾引きの状態でメニスカスMと未だ繋がって
いる。また、密閉状態は引き続き維持されている。
【0096】図16(a)は、下流側の発熱体4a上の
気泡21aの消泡が完了した状態を示す。この状態で
は、上流側の発熱体4b上の気泡21bは、部分成長部
分収縮期間が続いており、上流側の発熱体4b上のA領
域における気泡の発泡圧力がB領域における気泡の消泡
力に勝り、可動部材8は変位せず、依然として密閉状態
は維持される。また、吐出口から液滴22aが吐出し、
上流側の発熱体4b上のA領域における気泡の発泡圧力
により、メニスカスMはあまり後退せずに復帰してい
く。
【0097】図16(b)は、下流側の発熱体4a上に
気泡が略等方的に成長し、上流側の発熱体4b上の気泡
が消泡していく状態を示す。上流側の発熱体4b上のA
領域における気泡が消泡に移行する時点で、再び下流側
の発熱体4aを駆動することにより、下流側の発熱体4
a上における気泡の消泡力に上流側の発熱体4b上にお
ける気泡の発泡圧力が勝り、可動部材8は変位せず、依
然として密閉状態が維持されるとともに、メニスカスM
は更に復帰していく。
【0098】図16(c)は、上流側の発熱体4b上の
気泡がすでに消泡を完了し、下流側の発熱体4a上のA
領域では気泡成長が続いており、B領域では気泡収縮が
始まっている状態を示す。この状態では、可動部材8が
その剛性による復元力や下流側の発熱体4a上のB領域
における気泡の消泡力で定常状態位置へと変位し始め
る。その結果、液体供給口5が開き、共通液体供給室6
と液流路3とが連通状態になる。
【0099】その後は、図6(a)〜図6(c)に示し
た液体吐出動作とほぼ同じ工程で、2滴目の液滴22b
が吐出される。
【0100】このように、下流側の発熱体4aを先に駆
動するモードでは、一連の液体吐出動作の中で、2滴の
液滴を吐出することができ、両発熱体4a,4bを同時
に駆動させるモードよりも吐出量を多くすることができ
る。
【0101】次に、上流側の発熱体4bを先に駆動する
モードにおける液滴吐出動作を説明する。図17および
図18は、下流側の発熱体4aを先に駆動するモードに
おける液滴吐出動作の特徴的な現象を図17の(a)〜
(c)、図18の(a)〜(c)の工程に分けて示した
ものである。
【0102】図17(a)は、上流側の発熱体4bのみ
を駆動することにより、液流路3を満たす液体の一部が
上流側の発熱体4bによって加熱され、発熱体4上に膜
沸騰が起こり気泡21bが等方的に成長した状態を示
す。ここで、「気泡成長が等方的」とは、気泡表面のど
の位置において気泡表面の垂線方向を向いた気泡成長速
度がそれぞれほぼ等しい大きさである状態をいう。
【0103】この気泡発生初期の、気泡21bの等方的
な成長過程において、可動部材8が液体供給口5の周辺
部と密着して液体供給口5を塞ぎ、液流路3内が、吐出
口7を除いて実質的に密閉状態になる。
【0104】図17(b)は、上流側の発熱体4b上の
気泡が、全体的に成長している期間内に下流側の発熱体
4aを駆動して、下流側の発熱体4a上に気泡が略等方
的に成長している状態を示す。この状態の後、図17
(c)に示すように、両発熱体4a,4b上の気泡21
a,21bは、ともに部分成長部分収縮期間に移行す
る。更に後、上流側の発熱体4b上の気泡は、下流側の
発熱体4a上の気泡の発泡圧力によって早く収縮期間に
移行する。
【0105】図18(a)は、下流側の発熱体4a上の
気泡21aは部分成長部分収縮期間が続いており、上流
側の発熱体4b上の気泡21bは消泡していく状態を示
す。この状態では、可動部材8がその剛性による復元力
や下流側の発熱体4a上のB領域と上流側の発熱体4b
上のA領域及びB領域における気泡の消泡力で定常状態
位置へと、両発熱体4a,4bを同時に駆動するモード
よりも速やかに下方変位し始める。その結果、液体供給
口5が開き、共通液体供給室6と液流路3とが連通状態
になる。
【0106】図18(b)は、気泡の消泡工程のみの段
階であって、吐出滴22とメニスカスMとが分断された
状態を示す。A領域で気泡成長から消泡に変わった直後
は、気泡21の収縮エネルギーは全体バランスとして吐
出口7近傍の液体を上流方向へ移動させる力として働
く。したがって、メニスカスMはこの時点で吐出口7か
ら液流路3内に引き込まれ、吐出液滴22と繋がってい
る液柱を切り離すことになる。その一方で、気泡の収縮
に伴い可動部材8が下方変位し、共通液体供給室6から
液体供給口5を介して液体が急速に大きな流れとなって
液流路3内へ流れ込む。これにより、メニスカスMを液
流路3内へと急速に引き込む流れが急に低下するため、
メニスカスMの後退量を減少させることができるととも
に、メニスカスMは比較的低速で発泡前の位置へ戻り始
める。その結果、本発明に係る可動部材を備えていない
液体吐出方式に比べてメニスカスMの振動の収束性が非
常に良い。
【0107】図18(c)では気泡が完全に消泡し、可
動部材8も定常状態位置に復帰した様子を示す。この状
態へは、可動部材8はその弾性力により上方変位する。
また、この状態では、メニスカスMはすでに吐出口7近
傍で復帰している。
【0108】このように、上流側の発熱体4bを先に駆
動するモードでは、両発熱体4a,4bを同時に駆動す
るモードよりも可動部材を速やかに下方変位させること
ができるため、リフィル特性をさらに向上させることが
できる。
【0109】(その他の実施の形態)以下、上述した液
体吐出方法を用いたヘッドに好適な様々な形態例を説明
する。
【0110】<素子基板>以下に液体に熱を与えるため
の発熱体4が設けられた素子基板1の構成について説明
する。なお、以下においては、便宜的に、液流路3に1
つの発熱体4が設けられている構成を用いて説明する。
【0111】図19は本発明の液体吐出装置の要部の側
断面図を示したもので、同図(a)は後述する保護膜が
あるヘッド、同図(b)は保護膜がないものを示してい
る。
【0112】素子基板1上には天板2が配され、素子基
板1と天板2との間に液流路3が形成されている。
【0113】素子基板1は、シリコン等の基体107に
絶縁および蓄熱を目的としたシリコン酸化膜またはチッ
化シリコン膜106を成膜し、その上に発熱体4を構成
するハフニュウムボライド(HfB2)、チッ化タンタ
ル(TaN)、タンタルアルミ(TaAl)等の電気抵
抗層105(0.01〜0.2μm厚)とアルミニュウ
ム等の配線電極104(0.2〜1.0μm厚)を図1
9(a)のようにパターニングしている。この配線電極
104から抵抗層105に電圧を印加し、抵抗層105
に電流を流して発熱体4を発熱させる。配線電極104
間の抵抗層105上には、酸化シリコンやチッ化シリコ
ン等の保護膜103が0.1〜2.0μmの厚さで形成
され、さらにその上にタンタル等の耐キャビテーション
層102(0.1〜0.6μm厚)が成膜されており、
インク等の各種の液体から抵抗層105を保護してい
る。
【0114】特に、気泡の発生、消泡の際に発生する圧
力や衝撃波は非常に強く、堅くてもろい酸化膜の耐久性
を著しく低下させるため、金属材料のタンタル(Ta)
等が耐キャビテーション層102として用いられる。
【0115】また、液体、流路構成、抵抗材料の組み合
わせにより、上述の抵抗層105に保護膜103を必要
としない構成でもよく、その例を図19(b)に示す。
このような保護膜103を必要としない抵抗層105の
材料としては、イリジュウム−タンタル−アルミ合金等
が挙げられる。
【0116】このように、前述の各実施形態における発
熱体4の構成としては、前述の電極104間の抵抗層1
05(発熱部)だけでもよく、また抵抗層105を保護
する保護膜103を含むものでもよい。
【0117】各実施形態においては、発熱体4として電
気信号に応じて発熱する抵抗層105で構成された発熱
部を有するものを用いたが、これに限られることなく、
吐出液を吐出させるのに十分な気泡を発泡液に生じさせ
るものであればよい。例えば、レーザ等の光を受けるこ
とで発熱するような光熱変換体や高周波を受けることで
発熱するような発熱部を有する発熱体でもよい。
【0118】なお、前述の素子基板1には、前述の発熱
部を構成する抵抗層105とこの抵抗層105に電気信
号を供給するための配線電極104で構成される発熱体
4の他に、この発熱体4(電気熱変換素子)を選択的に
駆動するためのトランジスタ、ダイオード、ラッチ、シ
フトレジスタ等の機能素子が一体的に半導体製造工程に
よって作り込まれていてもよい。
【0119】また、前述のような素子基板1に設けられ
ている発熱体4の発熱部を駆動し、液体を吐出するため
には、前述の抵抗層105に配線電極104を介して図
20に示されるような矩形パルスを印加し、配線電極1
04間の抵抗層105を急峻に発熱させる。上述した液
体吐出ヘッドにおいては、電圧24V、パルス幅7μs
ec、電流150mAの電気信号を6kHzで加えるこ
とで発熱体を駆動させ、前述のような動作によって、吐
出口4から液体であるインクを吐出させた。しかしなが
ら、駆動信号の条件はこれに限られることなく、発泡液
を適正に発泡させることができる駆動信号であればよ
い。
【0120】<吐出液体>このような液体のうち、記録
を行う上で用いる液体(記録液体)としては従来のバブ
ルジェット装置で用いられていた組成のインクを用いる
ことができる。
【0121】ただし、吐出液の性質として吐出液自身、
吐出や発泡または可動部材の動作などを妨げるような液
体でないことが望まれる。
【0122】記録用の吐出液体としては、高粘度インク
等をも利用することができる。
【0123】本発明においては、さらに吐出液に用いる
ことができる記録液体として以下のような組成のインク
を用いて記録を行ったが、吐出力の向上によってインク
の吐出速度が高くなったため、液滴の着弾精度が向上し
非常に良好な記録画像を得ることができる。
【0124】
【外1】
【0125】<液体吐出装置>図21は、本実施形態で
説明した構造の液体吐出ヘッドを装着して適用すること
のできる液体吐出装置の一例であるインクジェット記録
装置の概略構成を示している。図21に示されるインク
ジェット記録装置600に搭載されたヘッドカートリッ
ジ601は、上述した構造の液体吐出ヘッドと、その液
体吐出ヘッドに供給される液体を保持する液体容器とを
有するものである。ヘッドカートリッジ601は、図2
1に示すように、駆動モータ602の正逆回転に連動し
て駆動力伝達ギヤ603,604を介して回転するリー
ドスクリュー605の螺旋溝606に対して係合するキ
ャリッジ607上に搭載されている。駆動モータ602
の動力によってヘッドカートリッジ601がキャリッジ
607とともにガイド608に沿って矢印aおよびbの
方向に往復移動される。インクジェット記録装置600
には、ヘッドカートリッジ601から吐出されたインク
などの液体を受ける被記録媒体としてのプリント用紙P
を搬送する被記録媒体搬送手段(不図示)が備えられて
いる。その被記録媒体搬送手段によってプラテン609
上を搬送されるプリント用紙Pの紙押さえ板610は、
キャリッジ607の移動方向にわたってプリント用紙P
をプラテン609に対して押圧する。
【0126】リードスクリュー605の一端の近傍に
は、フォトカプラ611,612が配設されている。フ
ォトカプラ611,612は、キャリッジ607のレバ
ー607aの、フォトカプラ611,612の領域での
存在を確認して駆動モータ602の回転方向の切り換え
などを行うためのホームポジション検知手段である。プ
ラテン609の一端の近傍には、ヘッドカートリッジ6
01の吐出口のある前面を覆うキャップ部材614を支
持する支持部材613が備えられている。また、ヘッド
カートリッジ601から空吐出などされてキャップ部材
614の内部に溜まったインクを吸引するインク吸引手
段615が備えられている。このインク吸引手段615
によりキャップ部材614の開口部を介してヘッドカー
トリッジ601の吸引回復が行われる。
【0127】インクジェット記録装置600には本体支
持体619が備えられている。この本体支持体619に
は、移動部材618が前後方向すなわちキャリッジ60
7の移動方向に対して垂直な方向に移動可能に支持され
ている。移動部材618には、クリーニングブレード6
17が取り付けられている。クリーニングブレード61
7はこの形態に限らず、他の形態の公知のクリーニング
ブレードであってもよい。さらに、インク吸引手段61
5による吸引回復操作にあたって吸引を開始するための
レバー620が備えられており、レバー620は、キャ
リッジ607と係合するカム621の移動に伴って移動
し、駆動モータ602からの駆動力がクラッチ切り換え
などの公知の伝達手段で移動制御される。ヘッドカート
リッジ601に設けられた発熱体に信号を付与したり、
前述した各機構の駆動制御を司ったりするインクジェッ
ト記録制御部は記録装置本体側に設けられており、図2
1では示されていない。
【0128】上述した構成を有するインクジェット記録
装置600では、前記の被記録媒体搬送手段によりプラ
テン609上を搬送されるプリント用紙Pに対して、ヘ
ッドカートリッジ601がプリント用紙Pの全幅にわた
って往復移動する。この移動時に不図示の駆動信号供給
手段からヘッドカートリッジ601に駆動信号が供給さ
れると、この信号に応じて液体吐出ヘッド部から被記録
媒体に対してインク(記録液体)が吐出され、記録が行
われる。
【0129】図22は、本発明の液体吐出装置によりイ
ンクジェット式記録を行うための記録装置全体のブロッ
ク図である。
【0130】記録装置は、ホストコンピュータ300よ
り印字情報を制御信号として受ける。印字情報は印字装
置内部の入力インターフェイス301に一時保存される
と同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、
ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU(中央処理装
置)302に入力される。CPU302はROM(リー
ド・オンリー・メモリー)303に保存されている制御
プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデ
ータをRAM(ランダム・アクセス・メモリー)304
等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画
像データ)に変換する。
【0131】また、CPU302は前記画像データを記
録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに
同期して記録用紙およびヘッドカートリッジ601を搭
載したキャリッジ607を移動する駆動用モータ306
を駆動するための駆動データを作る。画像データおよび
モータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モ
ータドライバ305とを介し、ヘッドカートリッジ60
1および駆動用モータ306に伝達され、それぞれ制御
されたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0132】このような記録装置に用いられ、インク等
の液体の付与が行われる被記録媒体150としては、各
種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等
に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニウムや銅
等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合
板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポン
ジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0133】また、この記録装置として、各種の紙やO
HPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパ
クトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチ
ック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、
皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木
材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミック
ス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して
記録を行う記録装置、または布帛に記録を行う捺染装置
等をも含むものである。
【0134】また、これらの液体吐出装置に用いる吐出
液としては、それぞれの被記録媒体や記録条件に合わせ
た液体を用いればよい。
【0135】図23は、本発明の液体吐出ヘッドの他の
形態を示す断面図である。
【0136】図23に示す形態の液体吐出ヘッドでは、
素子基板1と天板2とが接合され、素子基板1と天板2
との間には一端が吐出口7と連通した液流路3が形成さ
れている。また、液流路3に補充された液体に気泡を発
生させる気泡発生手段としての発熱体4a,4bが配さ
れている。液流路3に液体供給口5が配設され、液体供
給口5に連通する液体供給室が設けられている。
【0137】液体供給口5と液流路3との間には、可動
部材8が液体供給口5の形成面に対して微小な隙間α
(例えば10μm以下)を有して設けられている。可動
部材8の少なくとも自由端部およびこれに連続する両端
部で囲まれる領域が液体供給口5の液流路に対する開口
領域よりも大きくなっており、かつ、可動部材8の側部
と液流路側壁10各々との間は微小な隙間βを有してい
る。これにより可動部材8は液流路3内で摩擦抵抗なく
可動できる一方で、液体供給口5内への変位は開口領域
Sの周辺部で規制され、液体供給口5を塞いで液流路3
から液体供給室6への液流を防ぐことが可能となる一方
で、気泡の消泡に伴って、液流路側へ実質密閉状態から
リフィル可能状態へ移動可能となる。また本実施形態で
は、可動部材8は素子基板1に対向して位置している。
そして可動部材8の一端は素子基板1の発熱体4a,4
b側に変位する自由端であり、その他端側は固定部材9
に支持されている。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液体吐出
ヘッドおよび液体吐出装置は、液流路に複数の気泡発生
手段を備え、複数の気泡発生手段のうち最も体積の小さ
い気泡を発生させる気泡発生手段を駆動することによっ
て可動部材が液体供給口を密閉して実質的に遮断するよ
うに構成されているか、あるいは、複数の気泡発生手段
のうち1つを選択することにより気泡を発生させる際に
おいて、いずれの気泡発生手段を駆動する際にも、可動
部材が液体供給口を密閉して実質的に遮断するように構
成されているので、各気泡発生手段の駆動により吐出さ
れる各液滴の吐出速度を等しくすることができる。
【0139】また、本発明の液体吐出方法は、複数の気
泡発生手段のうち最も体積の小さい気泡を発生させる気
泡発生手段を駆動して気泡を発生させることによって、
気泡発生手段に駆動電圧が印加されてから気泡の全体が
略等方成長している期間が終了するまでの間に、可動部
材が液体供給口を密閉して実質的に遮断すること、ある
いは、複数の気泡発生手段のうちの1つを選択すること
により気泡を発生させる際において、いずれの気泡発生
手段を駆動する際にも、気泡発生手段に駆動電圧が印加
されてから気泡の全体が略等方成長している期間が終了
するまでの間に、可動部材が液体供給口を密閉して実質
的に遮断することにより、メニスカスの振動の収束性が
向上し、液滴を吐出した後のリフィル周波数を高くする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドの1
つの液流路方向に沿った断面図である。
【図2】図1に示した液体吐出ヘッドのX−X’線断面
図である。
【図3】図1に示した液体吐出ヘッドのY−Y’線断面
図である。
【図4】「直線的連通状態」を説明する流路の断面図で
ある。
【図5】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの吐
出動作を説明するための図である。
【図6】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの吐
出動作を説明するための図である。
【図7】図5(b)の気泡の等方的な成長状態を示す図
である。
【図8】図4に示したA領域とB領域での気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図9】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置とは
異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時間
変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフであ
る。
【図10】図1に示した可動部材と発熱体の相対位置と
は異なる形態の液体吐出ヘッドにおける、気泡成長の時
間変化と可動部材の挙動との相関関係を表したグラフで
ある。
【図11】本発明の液体吐出ヘッドの、液流路(ノズ
ル)の断面積がその全長にわたって一定である例を示す
断面図である。
【図12】本発明の液体吐出ヘッドの、液流路(ノズ
ル)の断面積がその長さ方向に関して変化する例を示す
断面図である。
【図13】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図14】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図15】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図16】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図17】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図18】図1〜図3に示した構造の液体吐出ヘッドの
吐出動作を説明するための図である。
【図19】本発明の液体吐出ヘッドの縦断面図であり、
同図(a)は保護膜があるもの、同図(b)は保護膜が
ないものを示す。
【図20】本発明に使用する発熱体を駆動するパルス波
の波形図である。
【図21】本発明の液体吐出ヘッドを搭載した液体吐出
装置の概略構成を示す図である。
【図22】本発明の液体吐出方法および液体吐出ヘッド
において液体吐出記録を行なうための装置全体のブロッ
ク図である。
【図23】本発明の液体吐出ヘッドの他の形態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 素子基板 2 天板 3 液流路 4,4a,4b 発熱体 5 液体供給口 6 共通液体供給室 7 吐出口 8 可動部材 9 固定部材 10 流路側壁 11 気泡発生領域 21,21a,21b 気泡 22,22a,22b 吐出滴 102 耐キャビテーション層 103 保護膜 104 配線電極 105 抵抗層 106 チッ化シリコン膜 107 基体 300 ホストコンピュータ 301 入出力インターフェイス 302 CPU 303 ROM 304 RAM 305 モータドライバ 307 ヘッドドライバ 600 インクジェット記録装置 601 ヘッドカートリッジ 602 駆動モータ 603,604 駆動伝達ギア 605 リードスクリュー 606 螺旋溝 607 キャリッジ 607a レバー 608 ガイド 609 プラテン 610 紙押さえ板 611,612 フォトカプラ 613 支持部材 614 キャップ部材 615 インク吸引手段 617 クリーニングブレード 618 移動部材 619 本体支持体 620 レバー 621 カム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 雅彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 竹之内 雅典 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 池田 雅実 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 杉谷 博志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 齋藤 敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するための吐出口と、 該吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生さ
    せる気泡発生領域を有する液流路と、 該液流路に配設され、前記液流路に供給される前記液体
    を貯留する共通液体供給室に連通されている液体供給口
    と、 前記液流路内に配された前記液体に気泡を発生させる複
    数の気泡発生手段と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して10μm以下の
    隙間を隔てて前記吐出口側を自由端として支持された状
    態で前記液流路に設けられ、前記液体供給口の開口領域
    よりも大きい投影領域を有する板状の可動部材とを有
    し、 前記吐出口と前記気泡発生手段とが直線連通状態にあ
    り、 前記複数の気泡発生手段のうち最も体積の小さい気泡を
    発生させる気泡発生手段を駆動することによって前記可
    動部材が前記液体供給口を密閉して実質的に遮断するこ
    とを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 液体を吐出するための吐出口と、 該吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生さ
    せる複数の気泡発生領域を有する液流路と、 該液流路に配設され、前記液流路に供給される前記液体
    を貯留する共通液体供給室に連通されている液体供給口
    と、 前記液流路内に配された前記液体に気泡を発生させる複
    数の気泡発生手段と、 前記液体供給口の前記液流路側に対して10μm以下の
    隙間を隔てて前記吐出口側を自由端として支持された状
    態で前記液流路に設けられ、前記液体供給口の開口領域
    よりも大きい投影領域を有する板状の可動部材とを有
    し、 前記吐出口と前記気泡発生手段とが直線連通状態にあ
    り、 前記複数の気泡発生手段のうち1つを選択することによ
    り気泡を発生させる際において、いずれの気泡発生手段
    を駆動する際にも、前記可動部材が前記液体供給口を密
    閉して実質的に遮断することを特徴とする液体吐出ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 前記液流路に設けられた前記複数の気泡
    発生手段は、前記液流路の下流側から上流側へ向かうに
    つれて発泡面積が次第に大きくなる順に配列されてい
    る、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記液流路を構成する液流路壁と前記可
    動部材との間にも間隙を有する、請求項1から3のいず
    れか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記複数の気泡発生手段を駆動すること
    によって前記液体を吐出するように構成されている、請
    求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記複数の気泡発生手段を同時に駆動す
    ることによって前記液体を吐出するように構成されてい
    る、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記複数の気泡発生手段のうち、最も前
    記吐出口側の気泡発生手段を最初に駆動するによって前
    記液体を吐出するように構成されている、請求項5に記
    載の液体吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記複数の気泡発生手段のうち、最も前
    記可動部材側の気泡発生手段を最初に駆動することによ
    って前記液体を吐出するように構成されている、請求項
    5に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれか1項に記載の
    液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから液体を吐出さ
    せるための駆動信号を供給する駆動信号供給手段とを有
    する液体吐出装置。
  10. 【請求項10】 請求項1から8のいずれか1項に記載
    の液体吐出ヘッドと、該液体吐出ヘッドから吐出された
    液体を受ける被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段
    とを有する液体吐出装置。
  11. 【請求項11】 前記液体吐出ヘッドからインクを吐出
    し、被記録媒体に前記インクを付着させることで記録を
    行う、請求項9または10に記載の液体吐出装置。
  12. 【請求項12】 液体を吐出するための吐出口と、 該吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生さ
    せる複数の気泡発生領域を有する液流路と、 該液流路に配設され、前記液流路に供給される前記液体
    を貯留する共通液体供給室に連通されている液体供給口
    と、 前記液流路に設けられ、前記液流路に配された前記液体
    に気泡を発生させる複数の気泡発生手段と、 前記液流路を構成する液流路壁および前記液体供給口と
    の間に前記液流路壁および前記液体吐出口の前記液流路
    側に対して微小な隙間を隔てて前記吐出口側を自由端と
    して支持された状態で前記液流路に設けられ、前記液体
    供給口の開口領域よりも大きい投影領域を有する可動部
    材と、を備えた液体吐出ヘッドを用いた液体吐出方法で
    あって、 前記複数の気泡発生手段のうち最も体積の小さい気泡を
    発生させる気泡発生手段を駆動して気泡を発生させるこ
    とによって、前記気泡発生手段に駆動電圧が印加されて
    から気泡の全体が略等方成長している期間が終了するま
    での間に、前記可動部材が前記液体供給口を密閉して実
    質的に遮断することを特徴とする液体吐出方法。
  13. 【請求項13】 液体を吐出するための吐出口と、 該吐出口に一端部が常に連通され、液体に気泡を発生さ
    せる複数の気泡発生領域を有する液流路と、 該液流路に配設され、前記液流路に供給される前記液体
    を貯留する共通液体供給室に連通されている液体供給口
    と、 前記液流路に設けられ、前記液流路に配された前記液体
    に気泡を発生させる複数の気泡発生手段と、 前記液流路を構成する液流路壁および前記液体供給口と
    の間に前記液流路壁および前記液体吐出口の前記液流路
    側に対して微小な隙間を隔てて前記吐出口側を自由端と
    して支持された状態で前記液流路に設けられ、前記液体
    供給口の開口領域よりも大きい投影領域を有する可動部
    材と、を備えた液体吐出ヘッドを用いた液体吐出方法で
    あって、 前記複数の気泡発生手段のうちの1つを選択することに
    より気泡を発生させる際において、いずれの気泡発生手
    段を駆動する際にも、前記気泡発生手段に駆動電圧が印
    加されてから気泡の全体が略等方成長している期間が終
    了するまでの間に、前記可動部材が前記液体供給口を密
    閉して実質的に遮断することを特徴とする液体吐出方
    法。
  14. 【請求項14】 前記気泡発生領域における気泡の成長
    体積変化と気泡の発生から消泡までの時間が、前記吐出
    口側と前記液体供給口側とでは大きく異なる、請求項1
    2または13に記載の液体吐出方法。
  15. 【請求項15】 前記気泡発生領域が大気に開放されな
    い、請求項12から14のいずれか1項に記載の液体吐
    出方法。
  16. 【請求項16】 前記複数の気泡発生手段を駆動するこ
    とによって前記液体を吐出する、請求項12から15の
    いずれか1項に記載の液体吐出方法。
  17. 【請求項17】 前記複数の気泡発生手段を同時に駆動
    することによって前記液体を吐出する、請求項16に記
    載の液体吐出方法。
  18. 【請求項18】 前記複数の気泡発生手段のうち、最も
    前記吐出口側の気泡発生手段を最初に駆動することによ
    って前記液体を吐出する、請求項16に記載の液体吐出
    方法。
  19. 【請求項19】 前記複数の気泡発生手段のうち、最も
    前記可動部材側の気泡発生手段を最初に駆動することに
    よって前記液体を吐出する、請求項16に記載の液体吐
    出方法。
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