JP2001137889A - 嫌気性処理方法および装置 - Google Patents

嫌気性処理方法および装置

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JP2001137889A JP32875399A JP32875399A JP2001137889A JP 2001137889 A JP2001137889 A JP 2001137889A JP 32875399 A JP32875399 A JP 32875399A JP 32875399 A JP32875399 A JP 32875399A JP 2001137889 A JP2001137889 A JP 2001137889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 グラニュール汚泥が崩壊しやすい条件での処
理の場合でも、グラニュール汚泥を増殖させて、効率よ
く嫌気性処理を行うことができる嫌気性処理方法および
装置を提案する。 【解決手段】 反応槽1において、被処理液4を上向流
で通液してグラニュール汚泥のスラッジブランケット1
4と接触させて嫌気性処理を行う方法において、被処理
液が酸生成菌の基質濃度が低いなど、グラニュール汚泥
を崩壊させやすい場合に、凝集剤槽17から凝集剤19
を被処理液4に注入して嫌気性処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被処理液をグラニュ
ール汚泥と接触させて嫌気性処理する方法、特にグラニ
ュール汚泥が崩壊しやすい条件での嫌気性処理に適した
嫌気性処理方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機性排液の嫌気性処理方法として、高
密度で沈降性の大きいグラニュール汚泥を形成し、溶解
性BODを含む有機性排液を上向流通液して、スラッジ
ブランケットを形成した状態で接触させて高負荷高速処
理を行うUASB(Upflow Anaerobic
Sludge Blanket…上向流嫌気性スラッ
ジブランケット)が採用されている。この方法は、消化
速度の遅い固形有機物を分離して別途処理し、消化速度
の速い溶解性有機物のみを、嫌気性微生物密度の高いグ
ラニュール汚泥を用いる嫌気性処理によって高負荷で高
速処理する方法である。またこのUASBを発展させた
ものとして、高さの高い反応槽を用いてさらに高流速で
通液し、スラッジブランケットを高展開率で展開して、
さらに高負荷で嫌気性処理を行うEGSB(Expan
ded Granule Sludge Blanke
t)も行われている。
【0003】これらのUASB、EGSBなどのグラニ
ュール汚泥を用いる嫌気性処理は、嫌気性微生物を含む
汚泥をグラニュール状に維持、増殖させて処理する方法
である。この方法は担体に汚泥を保持する固定床や流動
床と比較して高い汚泥保持濃度が達成できるため高負荷
運転が可能であり、またすでに稼働中の処理系から余剰
汚泥を調達することにより短期間で立上げが可能であ
り、最も効率的な嫌気性処理法として一般にも認識され
ている。この方法はグラニュール汚泥を維持、増殖させ
ることが最大のポイントであり、これができないと処理
性能は徐々に低下し、やがて処理不能に陥ることにな
る。このようなグラニュール汚泥は通常の有機性排水を
上向流で通液して嫌気性処理を行うことにより、自然発
生的に形成することができる。
【0004】通常のUASB、EGSB等におけるグラ
ニュール汚泥は酢酸資化性のMethanosaeta
属の微生物が骨格を形成し、水素資化性メタン細菌、酢
酸生成細菌、酸生成細菌などが共存し、一種の生態系を
構成している。また、糖質、脂質、タンパク等を分解す
る酸生成菌は、粘質物を産出してバクテリア同士の結合
力を強める働きをしており、糖基質の場合に最も強度の
強いグラニュール汚泥が形成される。通常の下水その他
の有機性排水は糖質その他の高分子の有機物を含有して
おり、これを嫌気性処理すると上記の微生物により有機
酸が生成し、この有機酸は順次低分子化して酢酸とな
り、さらにメタンと炭酸ガスに分解される。このため上
記各種の微生物が増殖し、強度の大きいグラニュール汚
泥が形成される。
【0005】ところがこのような通常の有機性排水と異
なり、酸生成菌の基質濃度の低い被処理液、例えば化学
工場等から排出される炭素数4以下の低級有機物を含む
被処理液を処理するとグラニュール汚泥が崩壊しやすく
なる。特に酢酸、エタノール、アセトアルデヒドなどの
炭素数2以下の有機物を主成分(全有機物の90重量%
以下程度)とする被処理液を処理する場合は、Meth
anosaeta属が主たる微生物となり、粘着物の産
出が少なくなるためグラニュール汚泥の増殖は芳しくな
く、強度も不十分となる。このため長期間運転を継続す
ると、グラニュール汚泥が解体して小粒径化し、汚泥量
が減少することになる。とりわけ炭素数1の基質、すな
わちメタノール、蟻酸、ホルムアルデヒドなどが主成分
となる場合には、上述のMethanosaeta属は
これらの基質を資化できないため、Methanosa
rcinaやMethanobactrerium属の
メタン菌が成育してよりグラニュール化しにくい状況と
なる。例えばメタノールを単一基質としてUASBの運
転を長期間継続すると、グラニュールは解体し、微細化
して汚泥量が激減する。このため上記のような低分子の
有機物を主成分とする被処理液をグラニュール汚泥を用
いて嫌気性処理することは困難であった。
【0006】ところでUASBのようなグラニュール汚
泥を用いる嫌気性処理の立上げに際して、分散汚泥に凝
集剤を添加することによりグラニュール汚泥の形成を促
進する方法が知られている(例えば特開平4−3269
95号)。この方法は分散状態で存在する汚泥を凝集剤
で凝集することによりグラニュール化を促進し、早期に
グラニュール汚泥を用いる嫌気処理を立上げることを目
的としている。しかし、この方法により形成された粒状
汚泥は分散汚泥を凝集させるため、グラニュール様の形
状をなしているものの凝集剤を用いた粒状化過程で汚泥
中に水を抱き込むため緻密でなく、処理に伴い水の部分
に気泡がたまり汚泥が軽量化して浮上してくるという問
題を有する。このためこの方法ではグラニュール汚泥を
用いる嫌気性処理を早期に立ち上げることはできてもグ
ラニュール汚泥を崩壊させることなく長期間安定した運
転を行うことは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、グラ
ニュール汚泥が崩壊しやすい条件での処理の場合でも、
グラニュール汚泥を増殖させて、効率よく嫌気性処理を
行うことができる嫌気性処理方法および装置を提案する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は次の嫌気性処理
方法および装置である。 (1) グラニュール汚泥を保持する反応槽に、被処理
液を導入してグラニュール汚泥と接触させ嫌気性処理す
る方法において、立上げ後の反応槽に凝集剤を添加しな
がら被処理液をグラニュール汚泥と接触させて嫌気性処
理を行うことを特徴とする嫌気性処理方法。 (2) 被処理液が炭素数4以下の有機物を主として含
むものである上記(1)記載の方法。 (3) 被処理液がキレート剤、スケール分散剤、殺菌
剤のいずれかを1種以上含むものである上記(1)また
は(2)記載の方法。 (4) 凝集剤が高分子凝集剤である上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の方法。 (5) グラニュール汚泥を保持し被処理液と接触させ
て嫌気性処理を行う反応槽と、反応槽に被処理液を導入
する給液路と、被処理液に凝集剤を注入する凝集剤注入
路と、反応槽から処理液を排出する処理液路とを含む嫌
気性処理装置。
【0009】本発明において処理対象となる被処理液
は、グラニュール汚泥と接触させて嫌気性処理を行うこ
とにより処理可能な有機物を含む液であればよいが、本
発明は特にグラニュール汚泥が崩壊しやすい被処理液の
処理に適している。グラニュール汚泥が崩壊しやすい被
処理液としては、糖質、脂肪、タンパク等の炭素数5以
上の有機物からなる酸生成菌の基質の含量が少ない有機
物含有液、例えば上記酸生成菌の基質の含有量が全有機
物の30重量%以下、特に20重量%以下のものがあげ
られる。具体的には低級有機物を主として(例えば全体
の有機物の70重量%以上、特に80重量%以上)含む
被処理液があげられる。ここで低級有機物としては炭素
数4以下、特に2以下の有機物があげられ、炭素数が小
さい有機物を多く含むほどグラニュール汚泥が崩壊しや
すくなる。
【0010】また、被処理液中に酸生成菌の基質が十分
に存在する場合であっても、被処理液中にキレート剤や
スケール分散剤、殺菌剤などが含まれている場合はグラ
ニュール汚泥が崩壊しやすくなるため、このような場合
にも本発明方法を適用するとよい。特にEDTA(エチ
レンジアミン四酢酸)やNTA(ニトリル三酢酸)等の
キレート剤が被処理液中に3mg/l以上の濃度で含ま
れる場合等はグラニュール汚泥が崩壊しやすい。また殺
菌剤としては特にジチオカーバメイト類はグラニュール
汚泥を崩壊させる傾向がある。さらに、被処理液自体に
はグラニュール汚泥を崩壊させる原因がない場合でも、
処理の条件によってはグラニュール汚泥が崩壊しやすく
なることがある。このようなケースとしては例えば汚泥
負荷が高い場合や通液速度が大きい場合が挙げられる。
例えばUASBの場合であれば汚泥負荷が0.6kg−
CODcr/kg−VSS/dを超える場合、あるいは通
液速度が1m/hを超える場合、EGSBであれば汚泥
負荷が0.7kg−COD cr/kg−VSS/d、通液
速度が5m/hをそれぞれ超えるような場合は被処理液
自体に問題はなくてもグラニュール汚泥が崩壊しやすく
なるため、本発明に従い、被処理液に凝集剤を添加して
グラニュール汚泥の崩壊を防ぐ。
【0011】本発明におけるグラニュール汚泥は、嫌気
性微生物を含む汚泥が微生物の自己造粒作用により粒状
化して沈降性のグラニュールとなった汚泥である。UA
SB法におけるグラニュール状汚泥の成長過程は明確で
はないが、粒径0.1mm付近の微小な無機性のSSの
表面やカルシウムやマグネシウムを含んだスケール成分
の表面に嫌気性微生物が付着し、その微少なSSやスケ
ールを核としながら年輪状に新たな嫌気性微生物が増
殖、付着し、数か月間以上を要して平均粒径0.5〜1
mmのグラニュール状汚泥に成長するとされている。成
長したグラニュール状汚泥は反応槽内の水流やガスの発
生に伴う流動により破砕され、破砕された微小な粒子や
破片が核となって、次のグラニュール状汚泥が成長する
とされている。
【0012】このようなグラニュール汚泥は、前述のよ
うにビール排水やビート糖製造排水のような通常の有機
性排水を嫌気処理する場合は崩壊することなく増殖する
が、糖質含量の少ない被処理液、特に低級有機物を主と
して含む被処理液を嫌気性処理する場合や被処理液にキ
レート剤などが含まれる場合のほか嫌気性処理の条件に
より崩壊しやすくなる。ここでグラニュール汚泥の崩壊
とは、すでに形成されたグラニュール汚泥が嫌気性処理
の継続に伴って崩壊する現象をいう。
【0013】前述のように通常のUASB、EGSB等
におけるグラニュール汚泥は酢酸資化性のMethan
osaeta属の微生物が骨格を形成し、水素資化性メ
タン細菌、酢酸生成細菌、酸生成細菌などが共存してい
る。このうち糖質、脂質、タンパク等を分解する酸生成
菌は粘質物を産出するため、これがバインダとしてバク
テリア同士の結合力を強める働きをしてグラニュール汚
泥が形成される。従ってこれらの基質を分解する酸生成
菌が存在しなくなると粘質物が産出されにくくなり、グ
ラニュール汚泥は崩壊するようになる。このような酸生
成菌が存在しない系は酸生成菌の基質が存在しない系で
あり、前述のように糖質その他の酸生成菌の基質が30
重量%以下、特に20重量%以下の被処理液の嫌気処理
では酸生成菌が少なくなって、グラニュール汚泥は崩壊
しやすくなる。このため低級有機物を主成分とする被処
理液の嫌気性処理では、通常のグラニュール汚泥は徐々
に崩壊していくようになる。また、被処理液中にキレー
ト剤などが含まれたり、汚泥負荷や通液速度が大きい場
合などには酸生成菌が多く存在する場合でもグラニュー
ルの結合力が弱くなる傾向がある。
【0014】本発明ではこのようなグラニュール汚泥が
崩壊しやすい条件での処理に際して、反応槽に凝集剤を
添加しながら被処理液をグラニュール汚泥と接触させて
嫌気処理を行うことによりグラニュール汚泥の崩壊を防
止して反応槽内グラニュール汚泥を増殖させ、効率よく
嫌気性処理を行う。添加する凝集剤としてはグラニュー
ル汚泥の崩壊を防止できるものであればよいが、高分子
凝集剤を使用すると、少ない添加量で微生物を高密度に
グラニュール中に保持できるため好ましい。
【0015】凝集剤としてはノニオン系、カチオン系、
アニオン系、両性系など処理系に適したものが使用でき
る。好ましい高分子凝集剤として次のものがあげられ
る。 ノニオン系:ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシ
ドなど。 カチオン系:ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリ
エチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウ
ム、キトサン、尿素−ホルマリン樹脂など。 アニオン系:ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル
アミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリ
ルアミド、ポリ(2−アクリルアミド)−2−メチルプ
ロパン硫酸塩など。 両性系:アクリルアミドとアミノアルキルメタクリレー
トとアクリル酸ナトリウムの共重体など。
【0016】本発明の処理装置では、グラニュール汚泥
を保持する反応槽に、被処理液を導入する給液と、処理
液を排出する処理液路を接続し、被処理液に凝集剤を注
入する凝集剤注入路を設ける。反応槽は被処理液とグラ
ニュール汚泥を接触させる構造とされるが、UASB、
EGSBのように被処理液路を反応槽の下部に処理液路
を反応槽の上部に連絡して上向流で通液してグラニュー
ル汚泥を展開させてスラッジブランケットを形成するも
のが好ましい。この場合、反応槽上部に気液固分離装置
を設け、ガス取出路を頂部に連絡することができる。
【0017】本発明の処理では、反応槽にグラニュール
汚泥を保持し、この反応槽に凝集剤を添加しながら被処
理液を導入してグラニュール汚泥と接触させて嫌気性処
理を行う。グラニュール汚泥は被処理液を嫌気性処理す
ることにより自然発生的に形成してもよいが、形成に時
間がかかるので、既設のUASB、EGSBの施設から
余剰汚泥として排出されるグラニュール汚泥を使用する
と短時間で処理を立上げることができる。
【0018】処理の方法はUASB、EGSBのように
被処理液を上向流で通液してグラニュール汚泥を展開さ
せ、スラッジブランケットを形成すると、被処理液とグ
ラニュール汚泥との接触効率が高くなるので好ましい。
UASBの場合グラニュール汚泥の平均粒径0.5〜3
mm、好ましくは0.8〜1.5mm、汚泥負荷は0.
1〜1kg−CODcr/kg−VSS/d、好ましくは
0.2〜0.6kg−CODcr/kg−VSS/d、被
処理液の上向流速0.3〜1.5m/hr、好ましく
0.5〜1.0m/hrとすることができる。EGSB
の場合はグラニュール汚泥の平均粒径0.8〜3mm、
好ましくは1〜1.5mm、汚泥負荷は0.1〜1kg
−CODcr/kg−VSS/d、好ましくは0.2〜
0.7kg−CODcr/kg−VSS/d、被処理液の
上向流速3〜10m/hr、好ましく2〜5m/hrと
することができる。
【0019】被処理液としては有機物濃度としてCOD
Cr500〜30,000mg/l、好ましくは1000
〜20,000mg/lのものを処理するのが適してい
る。負荷は5〜30kg−CODcr/m3/d、好まし
くは8〜20kg−CODcr/m3/d、反応槽内の温
度は25〜40℃、好ましくは30〜38℃とすること
ができる。
【0020】凝集剤は被処理液に添加し、均一に溶解し
た状態でグラニュール汚泥と接触させることにより、凝
集に適した濃度で均一にグラニュール汚泥と接触させる
ことができ好ましい。反応槽の前にpH調整槽が設けら
れている場合にはpH調整槽に添加してもよい。凝集剤
の添加濃度は高分子凝集剤の場合0.1〜2mg/l、
好ましくは0.1〜1mg/l程度である。凝集剤は反
応槽立上げ後、連続的または間欠的に添加を継続する。
【0021】酸生成菌の基質濃度が低い被処理液をUA
SB、EGSB等より嫌気性処理すると、酸生成菌は増
殖しなくなるため粘質物の産出が少なくなり、グラニュ
ール汚泥は強度が低く崩壊しやすくなる。特に炭素数4
以下の低級有機物を主として含む被処理水を処理する場
合は、グラニュールは酢酸やメタノール、メチルアミン
などを資化するMethanosaricina属、M
ethanosaeta属(=Methanothri
x属)などの菌が主体となるものとなる。これらの菌は
グラニュールを形成しにくいため、グラニュール強度を
高める必要が生じる。また、被処理液中にキレート剤な
どが含まれたり、汚泥負荷や通液速度が大きい場合もグ
ラニュールが崩壊しやすくなる。このような系に凝集剤
を添加すると、凝集剤が浮遊菌体をグラニュール汚泥に
結合させ、強度を大きくしてグラニュールを生長させ、
グラニュール汚泥は増殖する。
【0022】このように凝集剤は酸生成菌の産出する粘
質物と同様にバインダーとして作用し、これにより粘質
物が少ないなどの理由でグラニュールが崩壊しやすい系
でもグラニュール汚泥を保持し、増殖させて嫌気性処理
の処理効率を高くすることができる。前記特開平4−3
26995号のように処理の立上げに際して凝集剤を添
加する方法では分散汚泥を凝集剤で凝集させるため、水
を抱き込んで緻密なグラニュール汚泥を生成させること
ができないが、本発明ではいったん生成したグラニュー
ル汚泥を用いているためこのようなことがなく、緻密か
つ強度の大きいグラニュール汚泥が維持形成される。凝
集剤の添加量が多くなると、嫌気性処理により生成する
バイオガスをグラニュールに取込んで軽質化するので、
バイオガスを取り込まない程度の前記濃度で添加するの
が好ましい。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、グラニュール汚泥を用
いる嫌気性処理の立上げ後の反応槽に凝集剤を添加しな
がら嫌気性処理を行うようにしたので、グラニュール汚
泥が崩壊しやすい条件での処理の場合でも、グラニュー
ル汚泥を増殖させて、効率よく嫌気性処理を行うことが
できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
より説明する。図1は実施形態のUASB方式の嫌気性
処理装置の系統図である。図1において、1は反応槽で
あって、直方体状の容器からなり、底部に被処理液流入
部2が均一に設けられ、ポンプ3を有する被処理液路4
に連絡している。嫌気性反応槽1の上部はカバー5で覆
われて、密閉構造のガス室6が形成されており、その頂
部にガス移送路7が連絡している。
【0025】反応槽1内のガス室6の下側には液室8が
形成され、その上部には、互に逆方向に傾斜する第1お
よび第2の支切板からなる固気分離部材9a、9bが配
置され、その上部内側に固液分離部10、上部外側に集
ガス部11、および下部に反応部12が区画されてい
る。固気分離部材9a、9bの下端部は隔離して連絡路
13を形成し、また一方の下端部は他方の下端の下側を
覆い、浮上するガスが連絡路13から固液分離部10に
入るのを阻止する構造になっている。
【0026】反応槽1内の液室8には被処理液が導入さ
れ、反応部12にスラッジブランケット14が形成され
るようになっている。固液分離部10上部にはオーバー
フロー式の処理液取出部15が設けられ、処理液路16
に連絡している。17は凝集剤槽であって、その下部か
ら弁18を有する凝集剤注入路19が被処理液路4に連
絡している。20はガスホルダであり、ガス移送路7か
ら発生ガスを導入し、ガス取出路21から取り出すよう
に連絡している。
【0027】上記の嫌気性処理装置による嫌気性処理方
法は、まず嫌気性微生物の自己造粒性を利用して粒状化
した嫌気性微生物を含むグラニュール汚泥を反応槽1の
反応部12に投入する。そしてポンプ3を駆動し、被処
理液路4から反応槽1の底部に設けられた被処理液流入
部2に被処理液を導入し、上向流で通液してスラッジブ
ランケット14を形成し、嫌気性下に接触させて嫌気性
反応を行う。これにより被処理液中の溶解性有機物は嫌
気性微生物の作用によりメタンおよび二酸化炭素に分解
される。
【0028】グラニュール状汚泥は密度が高く、沈降性
に優れるため、排液を上向流で通液することにより均一
なスラッジブランケット14が形成され、反応部12内
に保持される。スラッジブランケット14を通過した有
機性排液は連絡路13から固液分離部10に入り、ここ
で固液分離されて、分離液は処理液取出部15からオー
バーフローし処理液として処理液路16に取出される。
固液分離部10で分離した汚泥は沈降して、連絡路13
から反応部12に戻る。反応部12で発生するメタン等
のガスは反応部12を上昇するが、固気分離部材9a、
9bに遮られて固液分離部10には流入せず、集ガス部
11に集められ、ガス室6からガス移送路7を介してガ
スホルダ20に移送されて貯留され、ガス取出路21か
ら取り出される。
【0029】上記の処理において被処理液として例えば
酸生成菌の基質含量の低い被処理液を処理すると酸生成
菌の増殖が進まなくなり、粘出物の産出が少なくなるた
めグラニュール汚泥の強度が低下し、分解しやすくな
る。そこで弁18を開いて凝集剤槽17から凝集剤注入
路19を通して凝集剤を連続的または間欠的に被処理液
に注入し、混合状態で反応槽1に導入する。
【0030】被処理液が上向流で流れる間に凝集剤は嫌
気性微生物をグラニュール汚泥に結合し、バインダとし
ての作用をするため、グラニュール汚泥は強度を付与さ
れ、嫌気性微生物がグラニュール汚泥上に年輪状に増殖
する。これにより密度が高く強度の大きいグラニュール
汚泥が得られ嫌気性処理は継続して効率よく行われる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1、比較例1 酢酸を2,000mg/l、酵母エキスを20mg/l
の合成排水(N=20mg/l、P=4mg/lをNH
4Cl、KH2PO4にて添加)を被処理液として、内径
10cm、高さ約120cm、容量9 literの小型UA
SB反応槽に通水して嫌気処理を行い、グラニュール汚
泥を増殖させ、その平均粒径を4ヶ月間に渡って追跡し
た。比較例1のA系は凝集剤無添加、実施例のB系は凝
集剤としてポリアミノアルキルアクリレート系のカチオ
ンポリマーを被処理液に0.5mg/lとなるように添
加した。グラニュール汚泥はビール工場の排水処理用U
ASBから採取したもので、平均粒径1.4mmであっ
た。通水条件は有機物質負荷15〜18kg−CODcr
/m3/day、汚泥負荷0.4〜0.5kg−COD
cr/kg−VSS/d、上昇流速3m/hr、温度35
℃、pHは6.8〜7.5である。A、B系いずれも汚
泥の流出は少なく、処理も荷系ともにCODcr除去率は
95%程度と順調な処理が行われた。そして実施例1の
B系は汚泥界面は継続的、かつ安定的に上昇し汚泥増殖
が確認された。一方、比較例1のA系では汚泥界面の上
昇殆ど見られず、汚泥の増殖は観察されなかった。A系
のグラニュール汚泥の平均粒径は1.3mm内外に止ま
って、グラニュール1個あたりの成長も小さかった。汚
泥界面高さの変化を図2(a)に、グラニュール汚泥の
平均粒径の変化を図2(b)に示す。
【0032】実施例2、比較例2 実施例1と同じ装置で、酢酸にかえてメタノール(メタ
ノール2,000mg/l、その他の基質条件は実施例
と同じ)を用いて通水を行った。負荷は15〜18kg
−CODcr/m3/dayである。処理は100日目く
らいまで両系とも安定していたが、110日以降比較例
2のA系の汚泥流出が著しくなり、処理水も悪化した。
A系のCODcr除去率は95%から80%程度まで低下
した。一方、実施例2のB系は処理は安定しており、継
続的にCODcr除去率95%を維持していた。A系では
110日目での汚泥流出は汚泥の解体によるもので、平
均粒径の低下からもそれが裏付けられる。B系の汚泥は
粒径も増大傾向にあるし、汚泥界面が確実に上昇してい
ることから、汚泥増殖は安定維持されていたことが明ら
かである。汚泥界面高さの変化を図3(a)に、グラニ
ュール汚泥の平均粒径の変化を図3(b)に示す。
【0033】以上の結果より、酸生成菌の基質含量が低
く、低級有機物を主として含む被処理液を処理すると、
グラニュール汚泥が崩壊しやすくなるが、このような被
処理液を処理する場合、凝集剤を添加することによりグ
ラニュール汚泥を保持し、増殖できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の嫌気性処理装置のフロー図である。
【図2】(a)、(b)は実施例1、比較例1の結果を
示すグラフである。
【図3】(a)、(b)は実施例2、比較例2の結果を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 反応槽 2 被処理液流入部 3 ポンプ 4 被処理液路 5 カバー 6 ガス室 7 ガス移送路 8 液室 9a,9b 固気分離部材 10 固液分離部 11 集ガス部 12 反応部 13 連絡路 14 スラッジブランケット 15 処理液取出部 16 処理液路 17 凝集剤槽 18 弁 19 凝集剤注入路 20 ガスホルダ 21 ガス取出路

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラニュール汚泥を保持する反応槽に、
    被処理液を導入してグラニュール汚泥と接触させ嫌気性
    処理する方法において、 立上げ後の反応槽に凝集剤を添加しながら被処理液をグ
    ラニュール汚泥と接触させて嫌気性処理を行うことを特
    徴とする嫌気性処理方法。
  2. 【請求項2】 被処理液が炭素数4以下の有機物を主と
    して含むものである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 被処理液がキレート剤、スケール分散
    剤、殺菌剤のいずれかを1種以上含むものである請求項
    1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 凝集剤が高分子凝集剤である請求項1な
    いし3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 グラニュール汚泥を保持し被処理液と接
    触させて嫌気性処理を行う反応槽と、 反応槽に被処理液を導入する給液路と、 被処理液に凝集剤を注入する凝集剤注入路と、 反応槽から処理液を排出する処理液路と を含む嫌気性処理装置。
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