JP2001133300A - 動作認識装置及び動作認識方法、並びに力触覚提示装置及びその制御方法 - Google Patents

動作認識装置及び動作認識方法、並びに力触覚提示装置及びその制御方法

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JP2001133300A
JP2001133300A JP31398899A JP31398899A JP2001133300A JP 2001133300 A JP2001133300 A JP 2001133300A JP 31398899 A JP31398899 A JP 31398899A JP 31398899 A JP31398899 A JP 31398899A JP 2001133300 A JP2001133300 A JP 2001133300A
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Takeshi Hayakawa
健 早川
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 対象の動作を認識するための動作認識装置
や、当該装置を含む力覚提示装置の軽量化を図るととも
に、対象の動作許容範囲が制限されないようにする。 【解決手段】 対象の骨格構造を構成する関節部の近辺
に一対又は複数対の被覆部材S1、S2を装具として装
着するとともに、該被覆部材同士の相対的な位置関係を
光学的又は磁気的に、あるいはワイヤー部材の長さから
検出するための位置検出手段を、対をなす被覆部材S
1、S2のそれぞれに付設し、又は両被覆部材に亘って
設ける。これにより、各被覆部材の姿勢に関する相対位
置情報を得ることができ、対象に外付けして使用する部
品が、被覆部材及びこれに付設された位置検出手段だけ
で済む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間や動物、これ
らの関節構造を模倣したロボット等に装着してその動作
認識を行うための動作認識装置及びその制御方法、そし
て力触覚提示装置及びその制御方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】CG(コンピュータ・グラフィックス)
や仮想現実(バーチャルリアリティ)、遠隔現実(テレ
リアリティ)等の分野では、人体や対象物の動きを認識
してコンピュータへのデータ入力を行うための動作認識
装置(所謂モーションキャプチャー)が使用されてお
り、下記に示す構成例が知られている。
【0003】(1)対象の動きを機械的な手段で検知す
るようにした装置 (2)被写体に多数のマーカー(目印)を付けて撮影し
た映像を処理する装置 (3)対象の各所にソレノイドを付設して、これらによ
り発生される磁界全体を一箇所において磁気検出する装
置。
【0004】先ず、(1)については、例えば、シャフ
トアームを使った機械式のモーションキャプチャー装置
や力覚提示装置を例にすると、シャフトアームに対して
指や手を設置・固定して、当該シャフトアームの変位を
位置検出器(ポテンシオメータ等)によって検出するこ
とで人体の各部位の動きを認識し、これをデータ化した
り、あるいは逆にシャフトアームからの反力を利用して
力覚を対象者に与えることができるようにしたものが挙
げられる。また、力覚提示用のデータグローブ等では、
アクチュエータや小型エアシリンダ等によって駆動され
る骨格構造(人体の内骨格とは別の部材として外部から
人体に付設されるという意味で「外骨格」と称され
る。)を指や手等に付設し、外骨格からの反力によって
力覚が得られるようにした装置が知られており、動作認
識のための手段が骨格構造とは不可分の関係になってい
る。
【0005】(2)や(3)については、要するに対象
からの光学的又は磁気的な情報を総括的に取得するため
の手段(撮像装置や磁気検出装置)を使用して、要所の
動きを把握することができるようにしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た装置にあっては、下記に示す問題がある。
【0007】即ち、上記(1)の装置では、人体に対し
て外付けされる機構部品を使用していることに起因し
て、その重量が嵩む結果、装置全体としての重さが問題
となる。即ち、重量が大きい程、装置の装着者が意図す
る動作を容易にはとれなくなってしまい、また、体力の
消耗も著しくなるという問題が顕著に現れて来る。
【0008】また、(2)や(3)の装置では、一般に
マーカーやソレノイドの数が多くなる傾向があり、その
ために準備作業に手間取ったり、時間がかかってしまう
という問題や、撮像装置や磁気検出装置について、その
設定位置や環境等に細心の注意を払う必要がある。例え
ば、(2)の装置では、対象者の全体像が撮像範囲内に
常に収まるように、動作毎にカメラワークを考慮する必
要があるし、また、(3)の装置では、磁気検出装置に
係る感度の問題によって対象者の動作範囲が制限される
ため、対象者が移動して検出上の許容範囲外に出た場合
に正確な動作認識が保証されなくなってしまう(換言す
れば、動作の許容範囲を拡げるためには、磁界強度の増
強に大きな出力を要することになる。)。
【0009】そこで、本発明は、動作認識装置や、当該
装置を含む力覚提示装置の軽量化を図るとともに、対象
の動作許容範囲が制限されないようにすることを課題と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した課題を
解決するために、対象の骨格構造を構成する関節部の近
辺にそれぞれ装着される一対又は複数対の被覆部材と、
該被覆部材同士の相対的な位置関係を検出するために、
対をなす被覆部材のそれぞれに付設され又は両被覆部材
に亘って付設された位置検出手段とを備え、該位置検出
手段が、ある被覆部材の位置を基準として、当該被覆部
材に関して対をなす他の被覆部材の姿勢に係る相対位置
情報を出力するように構成したものである。
【0011】従って、本発明によれば、対象に装着した
被覆部材のうち、対をなす被覆部材の姿勢に係る相対位
置情報を得ることができ、対象に外付けして使用する部
品は、被覆部材とこれに付設された位置検出手段だけで
済むので、装置の軽量化に適しており、動作の悪化や体
力の消耗等への影響が少ない。また、被覆部材を対象に
装着するのに要する作業時間程度で済むので、準備作業
に手間取ることはなくなり、対象の動作許容範囲につい
て制約を受けることもなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に係る動作認識装置は、対
象の動作を認識して当該動作に対応したデータを出力す
るための装置であり、被覆部材と位置検出手段とを有す
る。
【0013】被覆部材は、対象の骨格構造を構成する関
節部の近辺にそれぞれ装着されるものであり、一対又は
複数対の部材から構成される。尚、本発明に係る対象に
は、人間や動物、これらの骨格構造を模倣したロボット
等が挙げられるが、要は骨格や関節構造を有することが
前提となる。
【0014】図1は、人体を例にして、その前腕及び上
腕の骨格構造を主に示したものであり、手部のMP関節
(中手指節関節、つまり、第2乃至第5指の付け根の関
節)、手首における前腕の橈骨側突起や尺骨側突起、肘
部における尺骨肘突起、上腕骨中腹が示されており、こ
れらに対応する部分に被覆部材がそれぞれ取り付けられ
る。
【0015】図2及び図3は被覆部材の一例を概略的に
示したものであり、図2は前腕の回外時において掌面側
から見た被覆部材の取り付け状態を示し、図3は過度の
回内時に肘側から見た被覆部材の取り付け状態を示して
いる。
【0016】これらの図から分かるように、手首に取り
付けられる被覆部材(手首サポーターあるいはパット)
S1は、尺骨及び橈骨の突起部分に対して固定されてい
る。
【0017】また、肘部に取り付けられる被覆部材(肘
部サポーターあるいはパット)S2は尺骨肘突起に対し
て下から覆うように固定されており、当該被覆部材の作
成にあたっては、基本的立位姿勢(手を下げて掌を体側
面に向けた、所謂「気をつけ」の姿勢)における腕の形
状を基本形状とすることが好ましい。
【0018】MP関節に対して取り付けられるサポータ
ーS3については、図2及び図3に示すように関節部を
周囲から覆う状態で手部に固定される。
【0019】位置検出手段は、これらの被覆部材同士の
相対的な位置関係を検出するために、対をなす被覆部材
のそれぞれに付設され又は両被覆部材に亘って付設され
ており、該位置検出手段は、ある被覆部材の位置を基準
として、当該被覆部材に関して対をなす他の被覆部材の
姿勢に係る相対位置情報を出力する。
【0020】位置検出法には、大別すると下記の2通り
の方法が挙げられる。
【0021】(I)非接触型の位置検出手段を用いた無
線式の検出方法(光学的検出法や磁気的検出法等) (II)ワイヤー等を使った有線式の検出方法。
【0022】図4及び図5は、方法(I)のうち光学的
検出方法について説明するための図であり、人体の前腕
の回内・回外動作の認識を行う場合を例にしている。
【0023】図4に示す例では、対をなす被覆部材が、
手首に巻き付けられた被覆部材(手首サポーター)S1
と肘部付近に取り付けられた被覆部材(肘部サポータ
ー)S2とされており、これらの被覆部材の一方、例え
ば、手首サポーターに複数の光源(発光ダイオードや電
球等)又は目印(光反射性の部材、2次元バーコード等
の画像パターンを付与した部材等)L、L、・・・が付
設されている。そして、他方の被覆部材、肘部サポータ
ーS2には、該光源又は目印からの光を検出するための
光検出手段(光センサーや撮像用カメラ等)DTが付設
されている。即ち、この場合の位置検出手段は、対をな
す被覆部材のうち、第1の被覆部材に付設された複数の
光源又は目印と、該光源又は目印からの光を検出するた
めに第2の被覆部材に付設された光検出手段とから構成
されているので、第1の被覆部材の光源による発光又は
目印からの反射光を、第2の被覆部材側の光検出手段で
検出することによって、第2の被覆部材を基準とした第
1の被覆部材の姿勢に係る相対位置情報を検出すること
ができる。
【0024】例えば、回内時や回外時に、手首サポータ
ーの光源又は目印の位置が光検出手段から見て手首関節
と肘関節を結ぶ軸回りにどれだけの角度をもって回転し
ているかを光学的に検出することによって回内や回外の
角度変化の情報を取得できる。
【0025】この場合に、光源又は目印を点として認識
して各点の位置情報から前腕の回内や回外の角度情報を
得る方法と、複数の光源又は目印を含む面を認識して、
その姿勢変化を検出することによって前腕の回内や回外
の角度情報を得る方法とが挙げられ、後者の方法には、
例えば、本願出願人が特願平10−273974号にて
提案した面認識方法を用いることができる。
【0026】この方法では、第1の被覆部材に付設され
た4つ以上の光源又は目印の位置を検出することによ
り、当該4点を結んでできる図形を含む平面を認識する
撮像手段、例えば、CCD型撮像素子を用いて流し撮り
を行うことのできる撮像装置が上記光検出手段として使
用され、これが第2の被覆部材(本例では肘部サポータ
ー)に付設される。
【0027】尚、ここで、「流し撮り」とは、同一フィ
ールド期間中に複数回に亘って光電変換素子(フォトダ
イオード等)からの信号電荷の読み出しを行う撮影モー
ドをいい、例えば、垂直転送部を有するインターライン
転送方式の2次元撮像素子を使用した撮像装置の場合に
は、同一フィールド期間中において複数回、光電変換素
子から垂直転送部に信号電荷が読み出される。
【0028】図5は横軸に時間tをとり、縦軸に位置座
標Xをとって、1つの光源について流し撮りでの撮影を
行った様子を概念的に示したものであり、図中の丸印
c、c、・・・が光源の撮影像(輝点)を示している。
【0029】本例では、光源が同じ場所で、ある短い時
間間隔ΔTをもって点滅しており、これを流し撮りによ
る撮影を行った場合には、光源が点灯しているときだ
け、撮影像が得られることになる。つまり、この点滅パ
ターンをコード情報(時間軸方向に延びる一種のバーコ
ード情報と考えることができる。)として利用すると、
各光源の識別や位置の認識が可能となる。例えば、各光
源について点滅周期又は点滅パターンがそれぞれ異なる
ように設定すれば、光源の違いを容易に区別することが
できるし、また、撮影像に係る輝度レベルの積算演算に
よって位置情報を各フィールド画像について得ることが
できる(光源の撮影像に係る点滅パターンについて輝度
信号のレベル値「yn」を、ある走査方向(図の矢印Y
参照。)に沿って積算していった時に積算値「Σyn」
が最大になる方向と位置座標軸Xとの交点が求める値
(Xa)である。)。
【0030】尚、光源の波長域については可視光や、赤
外線(近赤外線)が挙げられるが、外光の影響を受けに
区という観点からは赤外線の方が好ましい。
【0031】また、目印を使用する場合には、光源を点
滅させる代わりに、例えば、n行n列の白黒模様をマト
リックス状に配置した2次元バーコード等、空間的なパ
ターン配置を用いることによって面を区別できる。つま
り、バーコード部分が白地に黒で印刷されている場合に
は、これに対して閾値を設定して輝度レベルを比較する
ことで2値化された情報を容易に取得することができ、
しかも背景画像との分離がし易いので、目印の区別やそ
の位置を安定して認識することができる。
【0032】このように、第1の被覆部材に付設された
4つ以上の光源又は目印の位置を検出することによっ
て、これらの4点を結んでできる図形(平面図形)を含
む平面を認識することができるので、当該平面が光検出
手段(撮像手段)からみて、どのような姿勢や形状をし
ているかによってそのときの動作を知ることができる。
例えば、手首サポーターの表面に所定の間隔をもって取
り付けられた4つの光源や目印を、肘部サポーター側の
撮像手段で捉えたときの映像は各光源や目印の位置を頂
点とする四角形として認識されるが、その傾動姿勢と回
内、回外角度との関係を事前に調べた上でデータテーブ
ルやデータベースとして取得しておけば良い。
【0033】尚、光源や目印の数を4つ以上とする理由
は、座標変換上の8個の未知パラメータを決定するのに
8つの方程式が必要であることに依る。つまり、光源や
目印に対して設定される実空間の平面上の点について、
その座標値を、並進や回転操作、透視変換によって画像
座標系上の点に変換する際に使用される変換式は、8個
のパラメータを含む有理関数式で表されることが知られ
ており、これらのパラメータの値を求めるためには、実
空間上で既知の4点の座標(2次元であるの4組の位置
座標)と、画像座標系においてこれらに対応する4点の
座標との間を結びつける関係式から得られる8元連立一
次方程式を解く必要がある。尚、実空間における光源や
目印の位置座標を示す位置ベクトルと、カメラ座標系上
の位置ベクトルとの間は、周知のように、撮像装置の回
転行列や並進ベクトルを用いた変換式(アフィン変換)
で関係付けられており、実空間上での計量をコンピュー
タ上の仮想空間での計量に対応付けるための計算は線形
代数演算の程度で済む。
【0034】このように、光学的検出方法では、手首サ
ポーターS1に付設された4つ以上の光源や目印を点と
して、これらによって規定される面の形状を、予め記憶
手段に格納しておき、その後に4つの光源や目印の位置
検出を行った際に得られる各点の位置情報と、事前に取
得しておいた形状と比較・対照することでマッチング処
理を行い、撮像装置からみた対象面の傾斜姿勢や距離を
認識することができる。尚、図4に示す例では、手首サ
ポーター側に光源又は目印を付設し、肘部サポーター側
に光検出手段を付設したが、この関係を逆転しても良い
(但し、その際には動き易さを優先的に考えるべきであ
り、被覆部材に付設する部材の重量が、対象の動きに悪
影響を及ぼさないように配慮することが望ましい。)。
【0035】次に、方法(I)のうちの磁気的検出方法
について説明する。
【0036】図6は、前腕の回内・回外、手指の動作認
識のための構成例を示しており、対をなす被覆部材には
磁界発生源(ソレノイド等)や磁気検出手段(磁気セン
サー等)がそれぞれ設けられている。
【0037】対をなす被覆部材として、手首サポーター
と肘部サポーターを例にした場合には、第1の被覆部材
である手首サポーターS1に磁界発生源SLaが付設さ
れ、第2の被覆部材である肘部サポーターS2には、磁
界発生源SLaによる磁界を検出するための磁気検出手
段MDaが付設されており、これらによって、位置検出
手段が構成されている。つまり、この場合の位置検出手
段は、第2の被覆部材を基準とした第1の被覆部材の姿
勢に係る相対位置情報を磁気的に検出するものであり、
前腕の回内・回外動作に伴う磁界発生源の位置変化に応
じて磁界強度の検出値が変化することを利用している。
従って、第1の被覆部材の姿勢と回内、回外角度との関
係及びその時々の磁界検出値を事前に調べた上でデータ
テーブルやデータベースとして取得しておけば良い。
【0038】また、手指の動作認識の場合には、例え
ば、各指の末節部に取り付けられる指サポーターSf、
Sf、・・・に対して磁界発生源SLb、SLb、・・
・をそれぞれ設け、これらによる発生磁界を手首サポー
ターS1に付設された1つの磁気検出手段MDbによっ
て検出する。つまり、この場合に対をなす被覆部材と
は、各指サポーターSfと手首サポーターS1である。
【0039】尚、各指サポーターSfに付設された磁界
発生源SLbについて同時に磁界を発生させたのでは、
各指先について場所の特定が容易でなく、誤検出の問題
が生じるので、複数の磁界発生源に対して1つの磁気検
出手段で検出を行う場合には、各磁気検出が同時に行わ
れないように時分割処理によって個々の磁界発生源につ
いて順次に磁気検出を行うことが好ましい。例えば、第
1指乃至第5指に亘って順番に各指先の磁界発生源に給
電してこれを働かせて、個々の磁気検出を行えば、磁界
発生源の間で電磁的な干渉を被ることがなくなる。
【0040】これと同様に、磁界発生源とこれに対応す
る磁気検出手段とを一組にして複数組について磁気検出
を行う際には、それぞれの磁気検出が同時に行われない
ように時分割処理によって個々の磁界発生源について順
次に磁気検出を行うことが好ましい。例えば、前腕の回
内・回外動作の認識を行う際には、手指の動作認識を行
わず、逆に、手指の動作認識を行う際には、前腕の回内
・回外動作の認識を行わないように、時間軸を所定の時
間間隔に区切った上で持ち時間を各動作認識に割り当て
れば良い。
【0041】このような磁気的検出方法では、従来法の
ように、多数の磁界発生源に対する全体的な磁気検出の
ための装置が不要であり、また、動作範囲が制限される
ことがない。そして、磁気検出にあたっては対をなす被
覆部材の間で磁気検出を行うに足る磁界強度で済むた
め、その分、磁界発生源や磁気検出手段を小型化するこ
とができるので、これらを被覆部材に付設した場合にそ
の重量が対象の動作に悪影響を及ぼす虞がほとんどな
い。
【0042】次に、上記方法(II)について図7乃至
図17に従って説明する。
【0043】本方法では、対をなす被覆部材に亘って架
け渡された複数対のワイヤー部材と、該ワイヤー部材の
長さを検出するための検出手段とによって、位置検出手
段が構成されており、対象の動作に伴うワイヤー部材の
長さ変化を検出することで、対をなす被覆部材のうち、
一方の被覆部材を基準とした他方の被覆部材の姿勢に係
る相対位置情報を検出することができる。
【0044】尚、前記の方法(I)では、対をなす被覆
部材の相対的な位置関係の情報を非接触式に検出できる
のに対して、方法(II)では対をなす被覆部材に亘っ
てワイヤー部材を架け渡す必要があるが、ワイヤー部材
を使った力触覚提示装置への適用においては、当該ワイ
ヤー部材を動作認識及び力触覚提示に兼用できるという
利点がある(つまり、方法(I)を力触覚提示装置に適
用する場合には、力触覚の提示機構を動作認識装置とは
独立して新たに設ける必要がある。)。
【0045】図7乃至図12は、方法(II)を前腕
(右手)の回内・回外動作の認識に適用した例を示した
ものであり、前腕の肘部付近に第1の被覆部材(肘部サ
ポーター)が装着され、手首における尺骨及び橈骨の突
起部分には第2の被覆部材(手首サポーター)が装着さ
れている。
【0046】そして、一対のワイヤー部材WA、WB
が、第1の被覆部材から第2の被覆部材に亘って架け渡
されている。尚、ここで「ワイヤー部材」には、紐状部
材あるいはこれを管に通したもの等が含まれ、例えば、
可撓性を有する材料で形成した管状部材にワイヤー線材
を通した構造が皮膚への損傷を防止する点から好ましい
が、この他に、やや幅のある帯状部材等も含まれる。
【0047】図7乃至図12において、図7及び図8は
前腕の回外状態を、図9及び図10は前腕の立位状態
を、図11及び図12は前腕の回内状態をそれぞれ示し
ており、これらの図では、一対のワイヤー部材につい
て、理解の容易さを考慮してそれぞれ別図として図示し
ているが、これらのワイヤー部材は、肘部サポーターと
手首サポーターとに亘って前腕上を引き廻されている。
【0048】図7及び図8に示す回外状態では、手の掌
面や前腕の内側面が示されており、図7に示すように、
ワイヤー部材WAについては、その端部が手首サポータ
ー(S1)の背面側において橈骨側突起に対応した位置
付近に設けられた取付部M(破線で示す。)に固定され
ており、ここから前腕の背面を通って引き廻された後
に、肘寄りのところで前腕の側面(尺骨側)に位置して
いる。そして、ワイヤー部材WAの他端部は、肘部サポ
ーターに付設された図示しない駆動機構(後述する)に
接続されており、該駆動機構に設けられた検出手段によ
ってワイヤー部材WAの長さが検出されるように構成さ
れている。
【0049】尚、図には、2点鎖線上に示す位置で前腕
及びワイヤー部材を切断したと仮定した場合の、前腕に
対するワイヤー部材の位置(丸印で囲んで示す3箇所)
を概略的に示しており、これについては、図8乃至図1
2でも同様である。また、これらの図では、理解を容易
にするためにワイヤー部材の断面形状を実際より誇張し
て示している。
【0050】図8は回外状態におけるワイヤー部材WB
の配置を示しており、その端部が手首サポーター(S
1)の背面側において尺骨側突起に対応した位置寄りの
ところに設けられた取付部N(破線で示す。)に固定さ
れており、ここから少し前腕の背面側(橈骨寄りの背
面)を通って引き廻された後に、前腕の表側に出てから
ほぼ直線的に延びている。そして、肘寄りのところで前
腕の側面(尺骨側)に位置している。尚、ワイヤー部材
WBの他端部は、肘部サポーターに付設された図示しな
い駆動機構(後述する)に接続されており(ワイヤー部
材WAの駆動機構とは独立している。)、該駆動機構に
設けられた検出手段によってワイヤー部材WBの長さが
検出されるように構成されている。
【0051】尚、これらのワイヤー部材の端部を、手首
サポーターの取付部M、Nに固定する方法としては、例
えば、ワイヤー部材の端部寄りの部分をプーリ等の部材
に巻き付けた上で端部が外れないように固定してこれを
手首サポーターに埋め込んだり、ネジ止め等で固定する
方法が挙げられるが、その詳細については後述する。
【0052】図9は、立位状態におけるワイヤー部材W
Aの配置を拇指側から示しており、該ワイヤー部材は、
破線で示すように取付部Mから尺骨側の表面上を引き廻
された後に、肘寄りの位置で前腕の内側面に位置してい
る。
【0053】図10は、立位状態におけるワイヤー部材
WBの配置を拇指側から示しており、該ワイヤー部材
は、実線で示すように取付部Nから腕の橈骨側の表面上
を引き廻された後に、肘寄りの位置で前腕の内側面に位
置している。
【0054】従って、ワイヤー部材WA、WBに一定の
張力を付与した状態で、図9及び図10に示す立位状態
から図7及び図8に示す回外状態へと前腕を動かした場
合には、ワイヤー部材WBの長さが長くなり、ワイヤー
部材WAの長さが短くなることが分かる(これとは逆
に、ワイヤー部材WA、WBを使って力覚を提示するた
めに立位状態から回外状態へと前腕を動かすには、ワイ
ヤー部材WAを引張り、ワイヤー部材WBを緩め
る。)。
【0055】図11は回内状態におけるワイヤー部材W
Aの配置を手の甲側から示しており、該ワイヤー部材
は、取付部Mから尺骨側の表面上を引き廻された後に、
中程から図の裏側を廻って(破線参照。)、肘寄りの位
置で前腕の側面(橈骨側)に位置している。
【0056】図12は回内状態におけるワイヤー部材W
Bの配置を手の甲側から示しており、該ワイヤー部材
は、取付部Nから橈骨側の表面上を引き廻された後に、
肘寄りの位置で前腕の側面(橈骨側)に位置している。
【0057】従って、ワイヤー部材WA、WBに一定の
張力を付与した状態で、図9及び図10に示す立位状態
から図11及び図12に示す回内状態へと前腕を動かし
た場合には、ワイヤー部材WAの長さが長くなり、ワイ
ヤー部材WBの長さが短くなることが分かる(これとは
逆に、ワイヤー部材WA、WBを使って力覚を提示する
ために立位状態から回内状態へと前腕を動かすには、ワ
イヤー部材WBを引張り、ワイヤー部材WAを緩め
る。)。
【0058】図13は肘部サポーター(S2)における
ワイヤー部材の駆動機構部の配置例を回外状態について
概略的に示したものであり、駆動機構部DAがワイヤー
部材WAの駆動制御に関与し、駆動機構部DBがワイヤ
ー部材WBの駆動制御に関与している(図では肘部サポ
ーターに外付けされているが、実際には当該サポーター
内に埋設された状態とされている。)。
【0059】図示するように、2つのワイヤー部材W
A、WBが、駆動機構部DA、DBにそれぞれ接続され
る手前の位置で互いに交差する角度「θ」については、
90度又はこれに極力近いことが重要であり、この角度
が小さ過ぎると前腕の動きに支障が出たり、あるいはワ
イヤー部材の駆動時における皮膚への圧迫等が問題とな
る。
【0060】また、肘部サポーターにおける駆動機構部
の取付位置については、他の部材(例えば、後述する手
指部を駆動するための駆動ベースサポーター等)に干渉
しない場所を選択することが望ましいため、場合によっ
ては、図13に示す配置を採れないことがあるが、その
ような場合にはプーリ等の中継部材を用いることによ
り、ある程度対処できる。
【0061】例えば、図14に示すように、肘部サポー
ターS2の側面部に駆動機構部DA、DBを取り付ける
場合において、一方のワイヤー部材WBに対してプーリ
PLを設け、これによって引き廻しの方向をほぼ90度
変更した上で当該ワイヤー部材を駆動機構部DBに接続
すれば良い。つまり、この場合には、ワイヤー部材WB
がプーリPLに巻回される際の巻き始め位置での接線方
向に該ワイヤー部材を仮想的に延ばしたと想定した延長
線と、ワイヤー部材WAとの間になす角度が90度又は
これに近い値となるように設定される。
【0062】また、図15(A)、(B)に示すよう
に、肘部サポーターS2の底部(肘受け部分)S2Bに
駆動機構部DA、DBを取り付ける場合には、例えば、
一方のワイヤー部材WBに対してプーリPLbを設け、
これによって引き廻しの方向を変更した上で当該ワイヤ
ー部材を駆動機構部DBに接続するとともに、ワイヤー
部材WAについては、2つのプーリPLa1、PLa2
を設け、初段のプーリPLa1で引き廻し方向をほぼ9
0度変更した後、次段のプーリPLa2によってさらに
引き廻し方向を90度程度変更してから当該ワイヤー部
材を駆動機構部DAに接続すれば良い。
【0063】以上のように、前腕の肘部付近に第1の被
覆部材を装着するとともに、手首部における尺骨及び橈
骨の突起部分に第2の被覆部材を装着し、第1の被覆部
材から第2の被覆部材に亘って一対のワイヤー部材を架
け渡してこれらのワイヤーの長さを検出することによっ
て前腕の回内又は回外動作の状態を認識することができ
る。即ち、前腕の回内・回外動作の角度と、一対のワイ
ヤー部材の長さとの関係を事前に調べた上でデータテー
ブルやデータベースとして取得しておけば良い。
【0064】尚、本方法において使用するワイヤー部材
の駆動機構については後述する例を含めて如何なる構成
であっても構わないが、動作への影響を考慮して小型・
軽量化に適したものが望ましい。そして、ワイヤー部材
の位置検出手段については、例えば、駆動源を構成する
モータの回転状態やスライド軸の変位量を検出するエン
コーダ等が挙げられるが、要はワイヤー長の変化を検出
することで対象の動作や被覆部材間の相対的な位置を検
出できればどのようなもので良い。また、ワイヤーの張
力を検出する張力検出手段については、張力の変化を抵
抗値により検出できる歪みゲージや、ロボットハンド等
の力制御に使用される各種の力センサー等が挙げられ
る。
【0065】次に、ワイヤー部材を用いた手指の動作認
識や力覚提示について説明する。
【0066】上記した回内・内外動作では1対のワイヤ
ー部材の長さが互いに相反した関係をもって伸縮又は駆
動されることを説明したが、これは筋のもつ役割をワイ
ヤーの駆動によって代用していることと等価な関係にあ
る(つまり、各ワイヤー部材が屈筋と伸筋に対応してい
る。)。
【0067】人体の筋については、1自由度の関節に対
して最低2本の筋を協調動作させることによって屈曲や
伸展を行っていることは周知の通りであり、例えば、指
部における筋配置を図16に概略的に示す(「○」印は
関節を示している。)。
【0068】指の背面には指伸筋が配置され、掌面側に
は深指屈筋と浅指屈筋が配置されている。
【0069】筋の代わりにワイヤー部材を使って関節の
屈曲動作や伸展動作を行うためには、屈筋に相当するワ
イヤー(又はワイヤー群)と伸筋に相当するワイヤー
(又はワイヤー群)を用意して、それらのうちの一方の
ワイヤーを緊張させたときに他方のワイヤーを弛緩させ
る制御を行えば良い。
【0070】但し、手指のように自由度の多い関節構造
においてワイヤー群とその駆動系を屈筋及び伸筋毎に用
意すると、構成が複雑化し、多くの駆動源が必要になる
ので、装備の小型化・軽量化にとって好ましくない。
【0071】そこで、このような関節に対応する場所に
は、各種の弾性部材(後述する渦巻バネや、コイルバ
ネ、蝶番バネ等。)を付設することで駆動部や動力部の
削減及び省スペース化、軽量化を図ることが好ましい。
即ち、手や指の背面に装着される装具については、これ
を複数の被覆部材から構成し、被覆部材にそれぞれ複数
対のワイヤー部材を付設するとともに、被覆部材のうち
の隣り合う部材同士を弾性部材によって連結して、手指
の屈曲位又は伸展位の方向に力を付勢する構成を採用す
ると、ワイヤー部材の数を減らすことができる。
【0072】その際、下記に示す2形態が挙げられる。
【0073】(I)弾性部材の初期状態として関節の屈
曲位を基準とし、この状態からワイヤー駆動により伸展
位となる方向に装具の状態を変化させていく形態 (II)弾性部材の初期状態として関節の伸展位を基準
とし、この状態からワイヤー駆動により屈曲位となる方
向に装具の状態を変化させていく形態。
【0074】つまり、形態(I)では、バネ部材等の弾
性部材によって常に屈曲位となる方向への付勢力が常に
作用しているので、装具の装着時にはワイヤーを駆動し
て装具を伸展位の状態にした上で対象者に装着する。
【0075】また、形態(II)では、バネ部材等の弾
性部材によって常に伸展位となる方向への付勢力が常に
作用しているので、装具の装着時にはワイヤーを駆動す
る必要がない分、対象者への装具の装着は容易になる
が、装具の状態を屈曲位の状態へと変化させるための機
構や制御が形態(I)に比べて難しくなる。
【0076】次に、ワイヤー部材を用いて対象者の動作
認識を行ったり、あるいは力触覚を提示するための装置
1について説明する。
【0077】図17は装置の基本構成を示したものであ
り、対象者に装着して使用する複数の装具については、
装具を構成する被覆部材のうち、対をなす被覆部材2、
2、例えば、上記したように手首サポーターと肘部サポ
ーターに亘って複数対のワイヤー部材3、3が架け渡さ
れている。
【0078】そして、これらのワイヤー部材を駆動する
駆動手段については、各ワイヤー部材をそれぞれ駆動す
るための駆動機構4、4と、そのサーボ制御や後述する
電磁クラッチ機構の制御を行うワイヤー駆動部5とを有
する構成とされ、中枢制御部6からの制御信号を受けて
ワイヤー部材3、3の駆動制御を行う。
【0079】中枢制御部6は力触覚提示処理部7からの
指令を受け取ってその内容を解釈し、これに従って各ワ
イヤー部材を制御するための信号を生成するものであ
り、また、対象の動作認識を行う場合や力覚提示制御中
において、各ワイヤー部材の長さを検出するためのワイ
ヤー長検出手段や、各ワイヤー部材の張力を検出するた
めワイヤー張力検出手段(これらは駆動機構4内に設け
られている)によって必要な情報を取得する。
【0080】力触覚提示処理部7は対象に付与する力触
覚について指示内容を決める部分であり、例えば、ゲー
ム機器の場合には、コンピュータ・グラフィックスを駆
使して視覚提示される仮想空間内で展開されるストーリ
ーに合わせて力触覚の提示信号を所定の記録媒体から読
み出し、提示のタイミングを制御する。また、医療用機
器として利用する場合には、治療や診断時において対象
者に付与する力触覚の指示内容を手動又は半自動で選択
して決定するための制御を行う。
【0081】尚、この力触覚提示処理部7や中枢制御部
6はコンピュータ等の計算手段を使って構成されるが、
ワイヤー駆動部5をソフトウェアサーボで実現する場合
にその一部又は全部をコンピュータ上でのプログラム制
御に委ねることができる。
【0082】図では、前腕の肘部付近に装着される第1
の被覆部材として肘部サポーターを示し、手首部におけ
る尺骨及び橈骨の突起部分に対して装着される第2の被
覆部材として手首サポーターを示しており、これらの両
部材に亘って一対のワイヤー部材3、3が架け渡されて
いる。そして、中枢制御部6からワイヤー駆動部5に送
出される制御信号により、一方のワイヤー部材を引っ張
り、かつ他方のワイヤー部材を緩めることで、前腕の回
内又は回外動作に係る力覚を提示することができる。ま
た、各ワイヤー部材に一定の張力をかけた状態でワイヤ
ー長の検出を行うことにより回内・回外の状態を把握す
ることができる。
【0083】手指の駆動については、上記したように、
手や指の背面に複数の被覆部材を装着して、これらの被
覆部材のうちの隣り合う部材同士を弾性部材で連結する
ことによって、手指の屈曲位又は伸展位の方向に力を付
勢し、被覆部材にそれぞれ付設された複数対のワイヤー
部材を駆動して、手指の屈曲又は伸展を行う時には、駆
動手段により、複数対のワイヤー部材を、弾性部材によ
る付勢力に抗して引っ張るように制御を行う。尚、弾性
部材として渦巻バネ、コイルバネ等を用いた具体的な構
造については、後で詳述する。
【0084】また、ワイヤー部材の端部を駆動機構に接
続するに際して、両者の結合を強固にし過ぎると、対象
に無理な力が働いたときに問題が起きる虞があるので、
ワイヤー部材の端部を、電磁クラッチ機構を介して駆動
手段に結合し、ワイヤーの張力が閾値を超えた場合に、
ワイヤー部材と駆動手段との結合が解除されるように安
全対策を講じることが望ましい。例えば、後述するよう
に、ワイヤー部材に対して固定された永久磁石又は磁性
体と、駆動手段のうちワイヤー部材との結合部分に設け
られた電磁石とによって、電磁クラッチ機構を構成する
ことができる。
【0085】しかして、上記した方法(I)や(II)
を用いて対象の動作を認識することにより当該動作に対
応したデータを取得する動作認識方法では、対象の骨格
構造を構成する関節部に一対の又は複数対の被覆部材を
付設した後、位置の基準となる被覆覆部材に関して対を
なす他の被覆部材の姿勢に係る相対位置情報を、光学
的、磁気的に又はワイヤー部材の長さから検出し、これ
らの相対位置情報を総合して対象又は対象部位の動作全
体を認識することができる。
【0086】上肢の動作認識を例にすると、例えば、肩
関節を基準とした場合に、肩関節と肘関節の相対的な位
置関係から上腕部の姿勢が分かり、上腕部と前腕部との
相対的な位置関係から肘関節の屈曲・伸展状態が分か
る。そして、肘関節と手首関節との間の相対的な位置関
係(回内・回外動作)から手首の姿勢が分かるといった
具合に、これらの相対的な情報を積み上げていって総括
的に処理することによって、肩関節から手首までの部分
についての動作を把握することができる(このことは多
関節構造において各関節の姿勢や状態が分かれば、手先
位置や末端位置が分かることからも容易に理解され
る。)。
【0087】尚、本発明は、上肢に限らず下肢や他の部
位に関する動作認識や力覚提示等にも同様に適用できる
ことは勿論であり、この事は対をなす被覆部材の間で相
対的な位置検出を行うという本発明の趣旨から容易に理
解される。
【0088】
【実施例】図18乃至図74は、本発明を映像や音声情
報の提示とともに力触覚提示を行う装置に適用した例を
示すものである。
【0089】尚、力触覚提示の前提となる世界は2つあ
り、その1つは「仮想現実」の世界、もう1つは「仮想
イリュージョン」の世界である。
【0090】図18は両者の相違点を比較して説明する
ための概念図であり、「仮想現実」の世界では、人が現
実に体験している現象を、映像や音声、力触覚の提示等
を駆使することで仮想的に模倣し、当該現象によって人
が受ける効果を同じ感覚でもって現出させることが目的
となる。例えば、図示するように、「人が現実世界で本
を手にとって読み始める。」という状況を考えた場合
に、人は本からの視覚情報の他、本の重量感や本に触っ
たときの質感を感じとることができる。仮想現実の世界
では、この状況と等価な環境を現出させるために、例え
ば、実体のない仮想の本VBを映像情報として対象者に
供与するために対象者に視覚表示装置VD(ヘッドマウ
ントディスプレイ等。)を装着してもらうことによって
視覚情報を提供するとともに、力触覚提示装置を用いて
本にかかる重力によって引き起こされる力覚や、本の表
紙や紙面から受ける触覚の情報を提供する。つまり、こ
の世界での仮想的体験は常に現実世界での体験と比較し
たり、対比することができる性質のものである。
【0091】これに対して仮想イリュージョンの世界で
は、人が現実世界において実際に体験することが不可能
な現象を、映像や音声、力触覚提示等を駆使することに
よって未体験の感覚として提示する。例えば、図示する
ように、「人が仮想世界で本を手にとって読み始め
る。」という動作を行うと、「本が砕けてその中から出
た来た雪だるまが本の内容を人に語りかける。」といっ
た非現実的な状況を仮想的かつ視覚的に現出させたり、
力触覚提示装置を用いて雪だるまの重量から受ける腕の
力覚や、手触り等の触覚情報、温度情報を提供すること
ができる。つまり、この世界での体験は現実世界におい
て起こり得ないものであり、現実世界の体験と比較され
ることがない。
【0092】力触覚の提示にあたっては、このような2
つの世界を充分に考慮した上で力触覚提示装置の構成及
びその制御を行う必要がある。
【0093】図19は装置全体のハードウェア構成例を
示したものであり、対象者に装着して使用する装具類8
と、その制御を司る中央制御部9、そして、これらの間
に介在されて検出情報や出力情報の伝達を中継する入出
力インターフェイス部10を具備している。
【0094】先ず、装具類8には、例えば、下記に示す
ものが含まれる。
【0095】(i)頭部に付設できる視覚表示及び音声
出力装置(ヘッドマウントディスプレイ等) (ii)両手に装着される力触覚提示及びモーションキ
ャプチャー用の装具 (iii)胸部や腰に装着される装具
【0096】尚、本例では左右の手、前腕、上腕に対す
る触覚や力覚の提示や動作認識のための装具を使用して
いるが、脚等にも専用の装具を装着して力触覚の提示及
び対偶の動作認識を行っても良いことは勿論である。ま
た、装具全体を一体的に形成してこれを統括的に制御す
るよりは、各装具について各別に制御できる構成を採用
すると、例えば、下記に示す利点が得られる。
【0097】・装具をニーズに応じて変更したり、装具
の追加が容易である ・配線の削減や配線変更に対して柔軟に対処できる。
【0098】上記(i)の視覚表示及び音声出力装置1
1は、中央制御部9から入出力インターフェイス部10
を通して送られて来る映像情報を対象者の眼前に映し出
すものであり、中央制御部9から入出力インターフェイ
ス部10を通して送られて来る音声情報(音楽や声
等。)を出力する音声出力手段(ヘッドホンやスピーカ
ー等)が内蔵されている。これによって映像と音声の情
報を装置に対して同時的に受け渡すことができる。尚、
本装置には磁気センサあるいはポヒマス・センサ(polh
e-mus sensar)等が付設されており、対象者の頭部の
位置や姿勢(傾き等)に関する検出情報を得ることがで
きるようになっており、該検出情報は入出力インターフ
ェイス部10を通して中央制御部9に送出される。
【0099】上記(ii)の装具は手や腕に対する力触
覚の提示及びこれらの動作認識のための機能を有してお
り、前記した方法(II)、つまりワイヤーを使用した
方法を採用している。尚、本装具と入出力インターフェ
イス部10との間でやりとりされる情報は多岐に渡るの
で、装具の機構説明の後に詳述する。
【0100】上記(iii)の装具は胸椎や腰椎等に対
する装具であり、これにはジャイロセンサが付設されて
いる。つまり、ジャイロセンサは当該装具の位置や姿勢
(傾き等)に関する検出情報を得るものであり、該検出
情報は入出力インターフェイス部10を通して中央制御
部9に送出される。
【0101】このように、装具類8は、複数の部分によ
って構成されるが、以下では、(ii)の装具について
説明する。
【0102】図20乃至図22は装具の構成例を概略的
に示したものであり、装具12は、手及び手首に装着さ
れる装具部分12H(以下、「手部サポーター」とい
う。)と、前腕の肘寄りの部分に装着される装具部分1
2A(以下、「前腕部サポーター」という。)と、肘部
での結合のために必要とされる装具部分12B(以下、
「肘部結合用サポーター」という。)と、上腕部に装着
される装具部分12U(以下、「上腕部サポーター」と
いう。)とからなっている。
【0103】これらのサポーターの装着にあたっては、
例えば、図20に示すように、手を水平方向に伸ばして
掌を上向きにした状態において、手部サポーター12H
を手の甲側、つまり、下側から装着し、前腕部サポータ
ー12Aについても同様に前腕の下側から装着する。そ
して、肘部結合用サポーター12B及び上腕部サポータ
ー12Uについては上方から肘部や上腕部に装着する。
尚、肘部結合用サポーター12Bは前腕部サポーター1
2Aに結合される(図の2点鎖線を参照。)。また、上
腕部サポーター12Uは上腕に巻き付けて使用できる形
状を有している。例えば、1対のリング状部分12Ur
と12Urとが連結部12Uc、12Uc(図にはその
一方だけを示す。)によって結合されており、各リング
状部分については帯状部材を上腕に巻き付けた上で、そ
の端部同士(上腕三頭筋に対応する部分であり、その割
り位置を図に破線の円で示す。)を面状ファスナー等を
用いて結合することでリング状部分12Urが環状とな
って上腕に巻着された状態になる。
【0104】尚、装着の容易性を考慮した場合には、各
サポーターを手や腕に対して同じ方向から装着できるよ
うにすることが好ましい。例えば、図21に示すよう
に、肘部結合用サポーター12Bを前腕部サポーター1
2Aに結合した状態(両サポーターをボタン止めによっ
て結合する等。)にして肘部の下側から装着できるよう
にするとともに、上腕部サポーター12Uについては、
各リング状部分12Urを構成する帯状部材を上腕に巻
き付けた上で、その端部同士(上腕二頭筋に対応する部
分であり、その割り位置を図に破線の円で示す。)を面
状ファスナー等で結合して上腕に巻着できるようにす
る。これによって、全サポーターを予め組み立てて結合
させた状態にしておいてから、これを同じ方向(図の下
方から上方に向かう方向)から手及び腕に容易に装着す
ることができるようになる。また、肘部結合用サポータ
ー12Bを前腕部サポーター12Aに結合した状態では
肘部結合用サポーター12Bの形状如何によって装着し
難くなる場合があるので、そのときには肘部結合用サポ
ーター12Bの中央部において腕の長さ方向に延びるス
リットや切れ目等を形成すると良い。
【0105】図22は全サポーターの上肢への装着を完
了した状態を示している。
【0106】次に、各サポーターの構成について順を追
って説明する。
【0107】図23乃至図25は左手用の手部サポータ
ーの構成例について説明するための図である。
【0108】図23は手部サポーター12Hの斜視図、
図24は平面図、図25は側面図をそれぞれ概略的に示
しており、これらの図において人間の手や腕に相当する
部分は二点鎖線で示している。
【0109】手部サポーター12Hは、下記に示す部分
を有する構成とされている。
【0110】・第1乃至第5指に対して背面側からそれ
ぞれ装着されるサポーター12HA(以下、「手指サポ
ーター」という。) ・手の甲に装着されるサポーター12HB(以下、「甲
面サポーター」という。) ・手首に巻き付けるためのサポーター12HC(以下、
「手首サポーター」という。) ・ワイヤーの駆動部(図23では図示を省略している
が、この構成については後述する。)を搭載するために
ヒレ状に設けられたサポーター12HD(以下、「駆動
ベースサポーター」という。)
【0111】尚、これらのサポーターに使用する材料に
ついては、例えば、スプリント材(熱可塑性プラスチッ
ク)等が挙げられるが、できるだけ薄くて軽い材料が好
ましい。
【0112】各手指サポーター12HAは、基本的には
医療用指サックの形状を模して形成されており、伸展位
の指背面を全体的に覆うことができるように、各指の骨
に対応した被覆部を、バネ部材を使って指の側面で連結
した構成を有する。つまり、第2乃至第5指について
は、各指の基節骨、中節骨、末節骨のそれぞれに対応し
た被覆部12HA1、12HA2、12HA3がそれぞ
れ各別に設けられており、拇指については末節骨と基節
骨とにそれぞれ対応した被覆部12HA1、12HA2
が各別に設けられている。そして、これらの被覆部は面
状ファスナー等を使って指に固定される。
【0113】図23乃至図25において多重円で示す部
材は、隣り合う被覆部を指の側面において連結するため
の渦巻バネを表している。尚、自由度の多い指において
関節に対応する場所には各種のバネ部材を付設した構造
を採用すると、動力部の削減や省スペース化、軽量化を
図るのに効果的である。つまり、人体の関節は単純な軸
運動ではなく曲面同士の結合により瞬間中心(瞬間的な
軸の中心となる位置)が変動しているので、この影響を
除去するためには関節に対応する位置に適切なバネを使
用する必要がある。
【0114】図26は渦巻バネ13の形状例を示したも
のであり、渦の中心部13aを起点として外側にいくに
従って次第に半径を増して最終的には互いに反対側に突
出して延びる2つの端部13b、13bが形成されてお
り、これらの端部が端部が隣り合う被覆部にそれぞれ固
定されることで両被覆部に渦巻バネが架け渡されること
になる。尚、この渦巻バネの材質としては、SWPB
(ピアノ線の棒)等が挙げられる。
【0115】渦巻バネ13は、各指の関節に対応する指
の両側面の位置に配置されるようになっており、例え
ば、第2指乃至第5指の場合には、DIP関節(遠位指
節間関節)やPIP関節(近位指節間関節)に対応する
指側面にそれぞれ渦巻バネが配置された構成になる。
【0116】尚、渦巻バネについては、図27の大円内
に拡大して示すように、2連にした構造や、3角形の各
頂点位置に渦巻バネをそれぞれ配置して連結して3連の
構造等を用いることができ、これらによって各渦巻バネ
の巻き径が小さくても指の長手方向に沿ってバネが充分
にたわむようになり、また、線材同士の接触に起因する
曲げ角度の制限を緩和することができる。図に示す例で
は、指の末節に対して背面から付設された被覆部12H
A1と、中節に対して背面から付設された被覆部12H
A2との間に、2連構造の渦巻バネ13、13が指の側
面において架け渡されており、該被覆部12HA2と、
基節に対して付設された被覆部12HA3との間には、
3連構造の渦巻バネ13、13、13が指の側面におい
て架け渡されている。
【0117】このような渦巻バネの採用は、サポーター
の位置ずれ等に起因する動作時の違和感を軽減するのに
有効である。尚、渦巻バネにおいて線材同士の接触が生
じないようにするためには渦巻の形状を円形状でなく扇
状にする等、干渉が起きないようにするための工夫を要
する。
【0118】また、各渦巻バネの反力に関するバラツキ
を低減するためには、反力を微調整するための機構を設
けることが望ましい。
【0119】図28乃至図30はバネ強度の調節機構に
ついて引張バネを使った構成例を示したものである。
【0120】図28に示すように、調節機構14は、指
の末節に対する被覆部12HA1と中節に対する被覆部
12HA2とに跨る状態で両部材に取り付けられてい
る。
【0121】図29は、巻き上げタイプの機構例14A
を示するものである。尚、同図の(A)、(B)に示す
図は、異なる状態での平面図をそれぞれ示し、(C)に
示す図が(A)のC−C線に沿う断面図、(D)に示す
図が(A)のD−D線に沿う断面図を示している。
【0122】図示するように、2つの部材15、16と
の間で2本の引張バネ(あるいは引張コイルバネ)1
7、17が張設された状態となっている。尚、一方の部
材15が被覆部12HA1に固定され、他方の部材16
が被覆部12HA2に固定される。
【0123】部材16を構成する筐体16aの内部に
は、2本の引張バネ17、17が部分的に挿通される案
内用の通路18、18が形成されており、各引張バネ1
7の一端部がワイヤー19、19の一端にそれぞれ接続
されており、各ワイヤーの他端部19aが巻き上げ軸2
0(円柱軸)に巻着された状態で固定されている。そし
て、各引張バネ17の他端部は上記の部材15に固定さ
れており、当該部材と巻き上げ軸20との間で引張バネ
17の長さが調節できる構成となっている(図に示す
「ΔL」を参照。)。
【0124】巻き上げ軸20は、その両端部が筐体16
aの側面に形成された支持孔21、21にそれぞれ挿通
されることで回転可能な状態で支持されており、(A)
図、(B)図に示すように、その中程の部分には巻き上
げ軸20の回転中心軸と同軸であってこれより大径とさ
れた2つの円板部22、22が一体的に形成されてい
る。そして、円板部22、22の間には、両円板部22
よりは小径の歯状部23が形成されており、上記通路1
8、18の間に位置するように形成された凹部24内に
は、ストッパー25と、該ストッパー25の爪部(先端
部)25aを歯状部23の歯の間に当接させて押しつけ
るための付勢力を得る圧縮コイルバネ26が収容されて
いる。尚、ストッパー25の爪部25aと歯状部23と
は、両者の係合関係においてラチェット機構を構成して
おり、円板部22、22を(D)図の時計回り方向に回
転させて引張バネ17を伸張させること(バネの巻き上
げ動作)はできても、その逆、つまり、円板部22、2
2を(D)図の反時計回り方向に回転させて引張バネ1
7を緩めることはできない構造になっている(尚、スト
ッパー25の爪部25aの解除機構については説明を省
略する。)。
【0125】しかして、本構成では、円板部22、22
を操作してこれを回転させることによって引張バネ1
7、17の長さを調整することができるので、渦巻バネ
13と調節機構14Aとを組み合わせることで反力の微
調整を行ってそのバラツキを小さくすることができる。
【0126】図30はスライドタイプの機構例14Bを
示しており、(A)に示す図は平面図、(B)に示す図
は、(A)図のB−B線に沿う断面図を示している。
【0127】被覆部12HA2に固定される部材16B
の筐体16Ba内には、スライダー27が摺動可能な状
態で収容されており、各引張バネ17の一端部がこのス
ライダー27に固定されている。即ち、各引張バネ17
のうち、部材15に固定された端部とは反対側の部分
が、筐体16Baに形成された2つの挿通孔28、28
を通してそれぞれ筐体16Ba内に導入された上でスラ
イダー27に固定されている。
【0128】スライダー27には、これを引張バネ17
の長手方向に沿って移動させる際に操作するための操作
部27aが形成されるとともに、その位置を保持するた
めに(B)図の上方を向いて突設した三角爪27bが形
成されており、該三角爪27bは、図示するように、筐
体16Baの上面部において横に突き出した突起部2
9、29(図には簡単化のため2対だけを示す。)に係
合される。つまり、当該突起部29、29に対する三角
爪27bの係合位置によってスライダー27の位置が決
まることになる。尚、(B)図に示すように、三角爪2
7bのやや下方の位置にはスリット27cが形成されて
おり、突起部29、29に対する三角爪27bの係合を
解除する際に、三角爪27bの形成部分が容易に歪むよ
うに配慮されている。
【0129】しかして、本構成では、スライダー27を
操作して、その三角爪27bと突起部29との間の係合
時の位置関係を規定することにより当該スライダー27
の位置決めを行うことで、スライダー27と部材15と
の間に張設された引張バネ17、17の長さを調整する
ことができる。これにより、渦巻バネ13とこの調節機
構14Bとを組み合わせることで反力の微調整を行い、
そのバラツキを小さくすることができる。
【0130】図31は、渦巻バネ13のバネ強度を調節
するための調節機構30を渦巻バネの付け根に設けるよ
うにした構成例を示したものである。
【0131】この場合には、渦巻バネ13の一端部13
bがスライド機構31を構成するスライダー32に固定
されており、該スライダー32の位置を規定することで
バネ強度の調節が可能である。
【0132】即ち、収容部33内に摺動可能な状態で受
け入れられたスライダー32において、スリット32a
が形成された部分の断面形状が略コ字状をなしており、
その一方の先端部に係止爪32bが形成されている。そ
して、該係合爪32bは収容部33に形成された複数の
係止孔33a、33a、・・・のうちのどれかに係合さ
れるようになっており、この状態で別の係止孔33bに
固定ピン34を通してスライダー32を螺止め等で固定
することで当該スライダー32の移動を阻止して、その
位置規定を指の長さ方向において行うことができる。
尚、渦巻バネ13の他方の端部13bについてはこれを
被覆部に直接固定しても良いし、又は調節機構30と同
様の調節機構を介して被覆部に固定しても良い。
【0133】図32は指の大きさ(幅)に合わせた被覆
部の調整機構の一例を概略的に示したものであり、
(A)図が小さい指への付設状態、(B)図が大きい指
への付設状態をそれぞれ示しておいる。
【0134】この例では被覆部12HAが3つの部分1
2HA_α、12HA_β、12HA_γから構成され
ており、これらが蝶番バネ等で形成された回動軸35、
35によって連結されている。尚、3つの部分のうち両
端に位置する部分の末端には上記調節機構30、30が
回動軸35、35を介してそれぞれ結合されている。
【0135】上記した例では、関節に対応する指の側面
に渦巻バネを配置する構成としたが、渦巻バネの代わり
に、被覆部の背面に蝶番式コイルバネを用いた構成を採
用しても良く、その構成例を図33に示す。
【0136】各被覆部の背面において、12HA1と1
2HA2との間、12HA2と12HA3との間にはこ
れらの部材を連結するための背面バネ36、36が取り
付けられており、該背面バネ36は横断面形状が四角形
状(正方形や長方形等)をなしたコイルバネの部分36
a、36aと当該部分を連結する蝶番部36bとから構
成されている。
【0137】これらの背面バネ36は、図33(B)に
示すように、その初期状態において屈曲位となるように
設置され、後述するワイヤー部材(被覆部の背面に沿っ
て配置される。)の引張力により、図33(A)に示す
ように、伸展位となるよう動作させることができる。そ
の際、コイルバネの干渉によって指の屈曲、伸展に支障
を来さないので、動作がぎこちなくなることはない。
尚、バネの初期状態として指の伸展位の状態(つまり、
(A)図の状態)としても構わないが、その場合にはワ
イヤー部材の引き廻しを掌面側にする必要がある。
【0138】図34や図35に示すように、各指の指サ
ポーター12HAには、2本のワイヤー部材37、37
(シリコーンチューブにタングステン製ワイヤーを通し
たもの。)がそれぞれれ設けられており、これらは各被
覆部の背面において指の長さ方向に沿って延び、甲面サ
ポーター12HB、手首サポーター12HCを経て駆動
ベースサポーター12HD上にまで及んでいる(これら
のワイヤーの伸張は駆動ベースサポーター12HDに取
り付られた図示しない駆動機構部により制御されるが、
その詳細は後述する。)。
【0139】図36は被覆部におけるワイヤー端部の固
定方法について説明するためのものであり、ワイヤー3
7の端部は、小径のフランジ付プーリ38(あるいは糸
巻)に数回に亘って巻き付けられた後で、その先端部3
7aと、ワイヤー37のうちプーリ38への巻着部の手
前側の部分37bとが固定用の止め金具39を用いて加
締止めされている。この部分をサポーターの被覆部に埋
設するか、あるいはネジ止め等で被覆部に固定すること
によりワイヤーの一方の端がサポーターに取り付けられ
る。
【0140】各指の付け根の部分にそれぞれ装着される
被覆部材の間には、V字状バネを配置してそのバネ掛け
部を隣り合う被覆部材にそれぞれ固定した構成が用いら
れ、例えば、図37に示すように、第2指乃至第5指の
各指サポーターの間においてMP関節(中手指節関節)
の近辺にV字状バネ40、40、40が付設されてい
る。つまり、これらのV字状バネは第2指と第3指との
間、第3指と第4指との間、第4指と第5指との間にお
いて、基節に対する被覆部の側面にそれぞれ取り付けら
れており、当該バネの初期状態は手指部の外転位であっ
て手の甲を平にした状態を基準としている。これは外転
位を初期状態として内転動作を行うため及び手部の対立
動作を行うため、そして、各指サポーターを連結するこ
とによる強度向上のためであるが、V字状バネに内転、
外転の機能を付与しない場合にはバネの内転位を初期状
態とすれば良い。また、後述する対立動作のための機構
を採用する場合にはV字状バネを不要にすることもでき
る。
【0141】図38はV字状バネ40の形状例を示した
ものであり、(A)が側面図、(B)が(A)において
矢印B方向から見た図である。
【0142】V字状バネ40は、その断面形状が円形状
をしたコイル部40aと、該コイル部から突設された2
本のバネ掛け部から構成されており、バネ掛け部につい
ては、コイル部40aから延長された直線部40b、4
0bが側方からみてハ字状に延びている。つまり、その
端部40c、40cがバネ掛け片としてコ字状に屈曲さ
れた形状になっており、これらが被覆部に取り付けられ
る。
【0143】手の甲の背面に装着される被覆部材として
の甲面サポーター12HBについては、これを複数の構
成部材から構成し、各構成部材を蝶番部材で連結されて
おり、かつ、連結された部材同士の間隔を自在に変化さ
せるためのスライド機構を蝶番部材に対してそれぞれ設
けた構造が望ましく、例えば、図39に示すように、第
3指と第4指との間を通って紙面に垂直に延びる平面に
よって2つに分断された被覆部12HBa、12HBa
を有しており、両被覆部は、同図に1点鎖線で示す軸
「R−R」(これが対立動作の中心軸となる。)の回り
に回動可能な状態で連結されている。
【0144】尚、図示する例では、被覆部12HBa、
12HBaを連結する部材が、3つの蝶番バネ41、4
1、41と、これらの各蝶番バネを軸R−Rに直交する
方向にスライド可能な状態で支持するための支持機構4
2、42、42を備えている。つまり、被覆部同士を単
に蝶番バネ41で接合しただけの構造において、外転位
の状態では、掌面を平らにした状態(掌面をほぼ平面状
にした状態であり、以下、この状態を「平坦位」とい
う。)でしか被覆部12HBa、12HBaを手の表面
に密着させることができず、手をつぼめて湾曲させた状
態(掌面を凹面状に湾曲させた状態であり、以下、この
状態を「湾曲位」という。)において、手の甲の表面に
被覆部12HBa、12HBaを充分に密着させること
が難しいからである。
【0145】図40は蝶番バネ41の形状例を示すもの
であり、(A)に示す図はコイル部41aの軸方向から
見た側面図、(B)は矢印B方向から見た図、(C)は
矢印C方向から見た図である。
【0146】コイル部41aの両端部からそれぞれ突出
してコ字状に屈曲された一対の屈曲片41b、41b
は、(A)の図に示す状態では、角度「φ」をなしてい
る。尚、蝶番バネ41の自然状態(無負荷状態)では、
この角度φが180度より稍小さい値とされ、よって、
コイル部41aの軸方向から見た蝶番バネ41の状態が
ヘ字状になっている(これは平坦位における手の甲の背
面が全くの平坦面でないことに依る。)。
【0147】図41は蝶番バネ41の支持機構42の一
例についてその要部のみを示したものであり、(A)は
バネの収容状態を示し、(B)はコイル部41aの軸方
向から見た状態の変化を示している。
【0148】収容部(あるいはハウジング)43、43
は、蝶番バネの屈曲片41b、41bをそれぞれ収容す
るものであり(図には、一方の屈曲片41bとのその収
容部43だけを示す。)、開口44、44が形成されて
いる。つまり、コイル部41aの一端部から出た屈曲片
41bの一部分が一方の開口44を通して収容部43内
に受け入れられた状態になっており、開口44と44と
の間には、屈曲片41bの抜け止め用にストッパー突部
45が形成されている。そして、蝶番バネ41は、
(B)図に示すように、屈曲片41bが収容部43内に
殆んど収まった状態と、屈曲片41bの大半部が収容部
43から出た状態との間に亘って摺動が可能である(図
の「Δx」を参照。)。
【0149】尚、図41では便宜上、一方の屈曲片41
bについてのみ図示しているが、他方の屈曲片41bに
ついても同様にして収容部43内において摺動可能な状
態で受け入れられている。
【0150】また、蝶番バネ41の摺動時において、そ
の移動方向をより確実に規定するためには、蝶番バネを
案内するためのガイド手段(ガイド溝等)を収容部43
内に設け、これに対応した被ガイド部を蝶番バネの屈曲
部に形成する等の構成を用いることが好ましいが、図4
1には基本的な構成だけを示し、それ以上の詳細な機構
等の説明は割愛する。
【0151】上記した軸R−Rについて、ゴム等の弾性
部材で形成した1つの円柱軸46により被覆部12HB
a、12HBaを連結する場合には、図42に示すよう
に、円柱軸46の側面に対して支持機構42、42、・
・・を付設すれば良い(図では円柱軸46の両端寄り部
分及び中央部に嵌合された部材を各支持機構42によっ
てそれぞれスライド可能な状態で支持している。)。
【0152】また、図39や図42に示す構成では、甲
面サポーター12HBを2つの部分に分断したが、これ
に限らず、第2指と第3指との間、第4指と第5指との
間についても同様に被覆部を分断して、これらを回動可
能であってかつ回動軸に直交する方向にスライド可能な
状態とすることが望ましい。
【0153】甲面サポーター12HBを構成する被覆部
12HBa、12HBaと各指サポーター12HAとの
連結構造については、例えば、各被覆部の背面に図41
で示したスライド機構42を付設することにより、蝶番
バネ41で被覆部12HBa、12HBaと指サポータ
ーの被覆部12HA3とを連結する方法が挙げられる
が、図39や図42に示すように、手の甲の背面に装着
される被覆部材には、指毎に内転・外転のための動作機
構(あるいは回動機構)47、47、・・・をそれぞれ
付設するとともに(図にはそれらのうちの2つだけの部
分だけを示す。)、当該機構を構成する回動部材の先端
部に渦巻バネ(13、13、13)を付設してこれを指
サポーター(12HA3)に連結することが好ましい。
【0154】各動作機構47は、各指に対して設けられ
る一対のワイヤー部材を各別に駆動する際の軸運動によ
って内転・外転方向への動作を可能にするために指毎に
付設されるものであり、内転・外転に係る向きの違いを
除いていずれも同様の構成を有しているので、以下で
は、その一つだけを取り出して説明する。
【0155】図43において、動作機構47を構成する
回動部材47aは被覆部12HBaに形成された収容部
48内にその大半部が受け入れられた状態とされ、図に
示す点「RC」を回動中心として、矢印「R」の方向に
回動し得る構成となっている。尚、回動部材47aのう
ち点RCとは反対側の端部には渦巻バネ(13、13、
13)が固定されているが、その構成については後で詳
述する。
【0156】収容部48内の空間については、回動部材
47aのうち回動中心点RCの付近では回動部材47a
との隙間が少なくなっているが、回動中心点RCから遠
ざかるにつれて次第に隙間が大きくなっていき、図示す
る例では、収容部48の開口付近に板バネ49が付設さ
れている。この板バネ49は、その一端部が収容部48
の側壁に回動可能な状態で取り付けられており、回動部
材47aに対して一定方向(図の時計回り方向)への付
勢力を与えるものである。
【0157】つまり、その初期状態においては、(A)
図に示すように、板バネ49の付勢力によって、当該板
バネ49とは反対側に位置する収容部48の側壁に回動
部材47aが押しつけられた状態となっているが、外転
時には、(B)図に示すように、回動部材47aが板バ
ネ49の力に抗する方向に回動していき、最終的には回
動部材47aがそれ以上回動できない状態となる(内転
時にはこれとは逆に(B)の状態から(A)の状態へと
変化する。)。
【0158】尚、図44の動作機構47Aに示す例で
は、板バネ49の代わりに2つの磁石(永久磁石又は電
磁石)50、51が使用され、その一方の磁石50が収
容部48の開口付近の内壁に固定され、他方の磁石51
がこれに対向した回動部材47aの側面に固定されてい
る。よって、本構成では、初期状態においては、磁石5
0と51との間に働く斥力により回動部材47aが収容
部48の側壁(図の上方に位置する側壁)に押しつけら
れた状態となっているが、外転時には回動部材47aが
磁石同士の反発力に抗して図の反時計回りに回動してい
くことになる。
【0159】また、図43に示した例では、回動部材4
7aと収容部48との隙間が回動中心RC近辺で狭くな
っているが、これに限らず、図45の動作機構47Bに
示すように、回動中心RCを収容部48Bの開口近辺に
設定するとともに、当該回動中心RCから遠ざかって収
容部48Bの奥に入るにつれて回動部材47aとの隙間
が次第に大きくなるようにし、回動部材47aの端部と
収容部43の側壁との間に板バネ52を配置した構成を
用いても構わない。
【0160】要するに、第2指及び第3指については第
1指に近付く方向に回動部材47aが回動できるように
し、また、第4指及び第5指については第3指から遠ざ
かる方向に回動部材47aが回動できるように、各収容
部内に回動部材の可動範囲をそれぞれ確保すれば良い。
【0161】回動部材47aのうち、収容部48から突
出した端部には、渦巻バネを使った連結部が設けられて
おり、指サポーターに固定される。
【0162】図46はその構成例の要部を部分的に示し
たものであり、図26に示した渦巻バネを3つ用意し、
これらを横一列に並べた上でそれぞれの中心部を軸部材
53で結合し(例えば、図の大円内に拡大して示すよう
に2つの半円柱状部材53a、53aで各渦巻バネの中
心部を挟み込んだ上で、半円柱状部材53aの両端部に
円環状部材54、54を装着(環装)する等。)、各渦
巻バネ13の一端部を回動部材47aに固定し、他端部
を上記した指サポーターの被覆部12HA3に固定す
る。尚、複数の渦巻バネを並設する理由は、内転・外転
運動時におけるバネのたわみを減少させるためであり、
軸部材53を付設することによってさらにたわみを少な
くすることができる。
【0163】これらの渦巻バネの初期状態としてはMP
関節の屈曲位を基準としているが、MP関節の屈曲・伸
展をスムーズに行うためには、スライド式の反力調整機
構を付設することが好ましい。
【0164】図47はスライド式反力調整機構の構成例
55を示すものであり、(A)図は平面図、(B)図は
(A)におけるB−B線に沿う断面図を示している。
尚、一対のスライド機構55a、55bのうちの一方5
5aが指サポーター側の被覆部に取り付けられ、他方5
5bが甲面サポーター12HB側の被覆部に取り付けら
れる。
【0165】各渦巻バネ13はスライド機構55aと5
5bとの間に挟まれた状態で、その両端部が各スライド
機構のスライド部材56a、56bにそれぞれ固定され
ている。つまり、スライド機構55aを構成するスライ
ド部材56aの一端部には各渦巻バネ13の端部が固定
され、他端部が収容部材57a内に受け入れられた状態
で2つのコイルバネ58a、58aが固定されている。
【0166】これらのコイルバネ58a、58aは、互
いに平行な位置関係をもって収容部材57a内に配置さ
れており、各コイルバネのうち、スライド部材56aに
固定された方とは反対側の端部が操作部材59aに固定
されており、該操作部材59aの位置を規定することに
よってスライド方向におけるコイルバネの反力を調整す
ることができるように構成されている。尚、操作部材5
9aに形成された係合部60aは、収容部材57aに形
成された図示しない複数のストッパ溝の一つに係合され
ることで操作部材59aのスライド方向における位置決
めがなされる。また、収容部材57aに形成されて渦巻
バネの付近まで張り出した部分61はMP関節に対応し
た突起部(これがないとワイヤー部材が皮膚に接触する
虞がある。)である。
【0167】他方のスライド機構55bについても上記
スライド機構55aと同様の構成を有しており、スライ
ド部材56bの一端部に各渦巻バネ13の端部が固定さ
れ、他端部が収容部材57b内に受け入れられた状態で
2つのコイルバネ58b、58bが固定されている。つ
まり、互いに平行な位置関係をもって収容部材57b内
に配置されたコイルバネ58b、58bのうち、スライ
ド部材56bに固定された方とは反対側の端部に操作部
材59bが固定されており、該操作部材59aに形成さ
れた係合部60bを、収容部材に形成された図示しない
複数のストッパ溝の一つに係合させることで操作部材5
9bのスライド方向における位置決めを行い、これによ
ってスライド方向におけるコイルバネの反力を調整する
ことができる構成となっている。
【0168】尚、渦巻バネ自身の調整機構については、
例えば、前記した機構14(図29、図30参照。)を
用いることができ、図示するように、その収容部(1
6、16B)が一方のスライド部材56bの上に固定さ
れるとともに、部材(15)が渦巻バネ13の中心より
ややスライド部材56b側にずれた位置に取り付けられ
ており、当該部材がワイヤー62を介して他方のスライ
ド部材56a上に固定用部材63を介して取り付けられ
ている。この調整機構の設置場所としては、渦巻バネ1
3を結合している軸部材53より背面側に選定すること
が、当該機構と指との接触の問題を回避するために好ま
しい。
【0169】このように、コイルバネ(58a、58
b)のスライド方向における反力の調整と、渦巻バネ
(13)の回転方向における反力の調整とを独立して行
えるように構成すると、MP関節の動作をさらに滑らか
にすることができる点で有効である。
【0170】尚、図47に示す機構において渦巻バネ1
3を使用せずに、一対のスライド部材56aと56bと
を蝶番や回動機構等で連結した場合には、この機構を全
ての指関節について被覆部の背面に配置することがで
き、この場合には図33で示した背面バネ36を使った
機構の別の実施例となっていることが分かる。
【0171】拇指のCM関節における対立動作について
は、図48や図49に示すように、甲面サポーター12
HBに対して回動機構64を付設する。つまり、この回
動機構64は、前記した外転・内転の動作機構(図43
乃至図45を参照。)を応用したものであり、当該機構
を構成する回動部材64aは、蝶番バネを用いた回動軸
65を介して甲面サポーター12HBの被覆部12HB
aの側面に連結されている。尚、蝶番バネについては、
手をつぼめて湾曲させたときの状態を初期状態とする
(図49の破線参照。)。
【0172】回動部材64aは、図に点「RC」で示す
回動中心の回りに所定の角度範囲をもって回動できるよ
うに支持されており、本例では、2つの磁石66、67
を使って回動部材47aに図の時計回り方向への付勢力
を付与している。つまり、回動軸65寄りに位置に付設
された磁石66と、これに対応した回動部材64aの側
面位置に付設された磁石67との間に作用する斥力によ
り生じる反発力が回動部材64aを回動軸65から遠ざ
けるように働く。尚、これらの磁石の代替として板バネ
等を使用しても良いことは勿論である(図43、図45
を参照。)。
【0173】回動部材64aの端部と、拇指の基節の被
覆部との間には、図40、41に示したスライドバネ、
あるいは図46に示した渦巻バネ等を使った機構が配置
されるが、バネの初期状態はこの場合も屈曲位とする。
【0174】尚、甲面サポーター12HBでは、MP関
節の屈曲・伸展動作や、対立動作に関する機構が必要と
なるが、各機構の動作に関与するワイヤーの配置や駆動
制御については、後述するワイヤーの駆動部との関連に
おいて併せて詳述する。
【0175】次に、手首サポーター12HCについて説
明する。
【0176】手首サポーター12HCは時計ハンドのよ
うに手首に巻き付けてから面状ファスナー等を用いて固
定されるが、ワイヤー駆動時における局部的な圧迫を手
首に与えないように注意すべきである。
【0177】そのためには、手首サポーター12HCの
うち手首と接触する面に緩衝部材を設置するか、あるい
は、図50の(A)図に示すように手首に緩衝部材68
を巻き付けてから、(B)図のように手首サポーター1
2HCを装着することが望ましい。つまり、緩衝部材6
8は、ワイヤー駆動に伴う表皮の巻き込みを防止する役
割を果たす。尚、図では手首サポーター12HCにおい
て2つのヒンジ部分が形成されており、巻き込み防止用
の緩衝部材69、69が中間部材としてサポーターと緩
衝部材68との間に介挿された構成となっている。
【0178】駆動ベースサポーター12HDについて
も、その一部(又は手首サポーターと一体の場合には当
該手首サポーター)を手首に巻き付けてから面状ファス
ナー等を用いて固定されるが、本サポーターではワイヤ
ーの駆動機構を搭載するために平坦状をした領域がある
程度必要となり、また、駆動機構が回内・回外時におい
て前腕部サポーター12Aと接触しないようにすべきで
ある。尚、手首サポーター12HCと駆動ベースサポー
ター12HDとを別個に設けた構成と、両者を一体的に
作成した構成とが挙げられるが、装着の容易さの観点か
らは後者の方が好ましい。
【0179】駆動機構としては、例えば、下記に示す構
成が挙げられるが、小型化・薄型化に適した構成が好ま
しい。
【0180】・モータを駆動源とするワイヤー巻取式の
機構 ・電磁クラッチ手段とスライド式駆動部を用いた機構 ・ワイヤーが接続されたフィルムをスライドさせる機
構。
【0181】図51はワイヤー巻取式機構の構成例70
を概略的に示したものであり、回転式モータ71のモー
タ軸71aには減速機72が連結されており、当該減速
機72において直交変換された回転出力が、ワイヤー7
3の巻取部74(リール部)に伝達される。つまり、減
速機72内にはベベルギヤあるいはウォーム等を使った
動力伝達機構が設けられており、減速機72の出力軸7
2aに巻取部74が直結されることで巻取部74が直に
回転されるので、ワイヤーの巻き取り状態を制御するこ
とでワイヤーにかかかる張力を変化させることができ
る。尚、回転式モータの代わりにスライド式のリニアモ
ータ等を用いて巻取機構を構成しても良いことは勿論で
ある。
【0182】図52はワイヤーをモータに直接的には接
続せずに、両者の間に電磁クラッチ機構を介在させた構
成例75を示すものである。本機構は、ワイヤー部材に
かかる張力が閾値を超えた場合にワイヤー部材とその駆
動手段との連結を解除することで、対象にそれ以上の大
きな力がかからないように制御するために必要とされ
る。
【0183】シリコーンチューブ等の可撓性に富む管状
部材76内に通されたワイヤー73の末端には永久磁石
77(あるいは鉄等の磁性体)が固定されており、該永
久磁石77のうち、ワイヤー73とは反対側の位置に接
触検知用センサ78が付設されている。また、この永久
磁石77と対をなす電磁石79が設けられており、これ
にはセンサ78に対向した接触検知用センサ78′が付
設されている。そして、該電磁石79は張力センサ80
を介してスライド式駆動部81の出力軸に結合されたワ
イヤー部81aに固定されている。尚、スライド式駆動
部81にはリニアモーターが使用され、その内部には出
力軸やワイヤー部81aの位置を検出するための検出手
段(エンコーダ等)が設けられている。また、永久磁石
77や電磁石79、張力センサ80、ワイヤー部81a
は管状部材76内に配置されている。
【0184】本構成では、永久磁石77と電磁石79が
電磁クラッチ機構を構成しており、電磁石79の励磁に
よって該電磁石79と永久磁石77との間に引力が発生
するために両者が吸引された状態となり、これが接触検
知用センサ78、78′によって検出される。そして、
この状態でスライド式駆動部81によりワイヤー部81
aを駆動すると、図の右方(スライド式駆動部81に近
づく方向)に作用する力が張力センサ80、さらには電
磁石79及び永久磁石77を介してワイヤー73の末端
に働く(張力センサ80はこの時のワイヤーの張力を検
出する。)。その後、ワイヤー73への駆動力を増加さ
せていくと、ある範囲まではワイヤーの張力が次第に増
して行くことになるが、当該張力がある閾値(電磁石7
9と永久磁石77との吸引力によって決まる値)を越え
ると、電磁石79と永久磁石77とが離れてしまう(こ
の分離状態は接触検知用センサ78、78′によって検
出される。)ので、それ以上の力がワイヤーにかからな
いように制限される。つまり、ワイヤーに過度の力が作
用して当該ワイヤーが引っ張られた場合には、ワイヤー
の先に接続された部材(サポーター)に対して許容範囲
外の好ましくない力がかかってしまう虞があるが、上記
構成では電磁石79と永久磁石77との分離が、ワイヤ
ーに必要以上の力がかからないように保証してくれる。
尚、張力センサ80によって検出されたワイヤーの張力
が予め決めておいた基準値以上となった場合に、電磁石
79の励磁状態を変更して磁極を反転させることで、該
電磁石79と永久磁石77とが反発するように制御して
両者を積極的に分離する方法を採用しても良い。
【0185】図53は電磁クラッチ機構の別例82につ
いて、ワイヤー端との連結部分だけを部分的に取り出し
て概略的に示したものであり、(A)図が要部の断面
図、(B)図が駆動側の部材を示し、(C)図がワイヤ
ー取付側の部材を示しており、(D)図はこれらの部材
を摺動自在な状態で支持している側壁部をそれぞれ示し
ている。
【0186】収容部83内には、2つの部材84、85
がスライド可能な状態で支持されており、その一方の部
材85がワイヤー73との連結部材であって、これにワ
イヤー73の端部が収容部83の孔83aを挿通された
後で固定され、また、他方の部材84は、連結部材85
と係合された状態において当該部材を所定の方向にスラ
イドさせるためのスライド部材として機能する。つま
り、磁性体で形成された連結部材85は、(A)図に示
すように、横から見た形状がほぼL字状をしており、ま
た、(C)図に示すように、その両側面にそれぞれ突設
された2つの軸端部85a、85aが、収容部83の側
壁に形成されたガイド長孔83c、83c(図にはその
一方だけを示す)に挿通されている。つまり、連結部材
85は、ガイド長孔83c、83cに沿ってスライド自
在な状態であって、かつ軸端部85a、85aの回りに
回動可能な状態で収容部83の側壁に支持されている。
【0187】また、スライド部材84の先端部にはほぼ
直方体状をした電磁石86が付設されており、当該先端
部の両側面にそれぞれ形成された突部84a、84a
((B)図を参照。)は、収容部83の側壁において上
記ガイド長孔83c、83cと平行して延びるように形
成されたガイド長孔83b、83b(図にはその一方だ
けを示す。)に挿通されている。尚、スライド部材84
は図示しない駆動機構(例えば、リニアモータを使った
スライド式の駆動機構等)により、ガイド長孔83b、
83bに案内されて直線的に移動される。
【0188】本機構82では、連結部材85を強磁性材
料で形成するか、または、連結部材85のうち、スライ
ド部材84の電磁石86に対応した位置に永久磁石を付
設することによって、電磁クラッチ機構を構成する。即
ち、図53(A)に2点鎖線で示すように、連結部材8
5と、スライド部材84の端部との係合が外れた状態か
ら、スライド部材84の電磁石86を励磁すると、両者
が係合した状態になるので、スライド部材84を同図に
矢印Sで示す方向に動かすと、これによってスライド部
材84の端部が連結部材85に係合されるので連結部材
85及びワイヤー73が引っ張られることになる。そし
て、ワイヤー73の張力が大きくなり、連結部材85に
対する電磁石86の吸着力を超えた場合には、両者の係
合が解除される。よって、電磁石86の励磁時に必要な
エネルギーは電磁石86と連結部材85との係合に必要
な程度で済み、このときの吸引力によってワイヤー73
にかかる張力の許容上限値を決定できる。
【0189】尚、連結部材85とスライド部材84の端
部とが係合状態にあるか否かの検出には、例えば、検知
用端子を両部材に付設して両端子の接触又は非接触の状
態検出として行う方法や、フォトカプラー等の光検出手
段によって両部材の接触や近接状態の如何を検出する方
法(例えば、連結部材85側に光センサやフォトカプラ
ー等を付設し、スライド部材84には光を遮断する遮光
部を形成しておき、当該遮光部によって光センサの光が
遮られた場合に連結部材85とスライド部材84とが係
合していると判断し、光が遮られない場合に両部材が係
合していないと判断する。)等、部材間の相対的な位置
検出法には各種の形態が挙げられる。
【0190】上記したフィルムをスライドさせる機構例
としては、例えば、モータによって回転駆動される駆動
ローラーと、所定の圧着力を付勢するための圧着ローラ
ーを設け、両ローラーの間にフィルムを挟み込んで該フ
ィルムをスライドさせることでワイヤーを駆動する構成
が挙げられる。
【0191】尚、この他、ワイヤーの駆動源と駆動機構
を分離する方法がある。例えば、駆動源については大容
量のものを使って複数のワイヤーの間で共用して、これ
を、例えば、腰椎への装具に付設して人が背負えるよう
に構成するとともに、電磁クラッチやER流体(電気粘
性流体)等を使った軽量な駆動機構だけを駆動ベースサ
ポーター12HD上に設置すれば良い。また、駆動源と
してはモータに限らず、空圧源を用いてシリンダ部を駆
動ベースサポーター12HD上に設置する等、各種の形
態を採用できることは勿論である。
【0192】次に、駆動ベースサポーター12HD上に
配置された駆動機構によって制御される各ワイヤーの配
置について説明する。
【0193】尚、ワイヤーは動力を伝達する媒介手段と
して人体の筋の働きを模写したものであるが、その材質
については、タングステンワイヤーや、装具を縫合する
ための糸の表面に耐摩耗性のポリマーを塗布したもの等
が挙げられる。また、ワイヤーが皮膚に直接接触した場
合における皮膚の損傷を防止するために、ワイヤーをシ
リコーンチューブ等の管状部材の中に挿通した状態で使
用する(管状部材をサポーター内に埋設した状態で配線
する等。)ことが安全上の観点から好ましい。例えば、
シリコーンチューブの場合には、これにワイヤーを通し
た場合の初期状態においてその形状が管状を保っている
が、ワイヤーが引っ張られたときにシリコーンチューブ
が収縮するので、皮膚表面を傷つける危険性がない。
【0194】先ず、手指サポーター12HAに付設され
たワイヤーについては、図34に示すように、各指の末
節の被覆部を起点として、各被覆部の背面にそれぞれ取
り付けられた2本ずつのワイヤー37、37が、甲面サ
ポーター12HBの被覆部12HBa、さらには手首サ
ポーター12HCを経由して駆動ベースサポーター12
HD上の図示しないワイヤー駆動機構に接続されてい
る。
【0195】図54及び図55は第2乃至第5指の指サ
ポーターにワイヤー部材を付設した状態を例示したもの
であり、各被覆部の背面に沿ってワイヤー対37、37
がそれぞれ取り付けられている。
【0196】尚、隣り合う被覆部の間や、被覆部のエッ
ジ部等に位置するワイヤー部分について応力が集中し易
い場合には、図56に示すように被覆部の所定箇所に小
型の支持部材87、87、・・・(玉軸受や滑車等。)
を付設して、これらにワイヤー部材37を通して配線す
ることが耐久性の向上にとって好ましい。また、その際
には、糸や合成繊維等で形成したワイヤーを使用するこ
とで支持部材87の内径を小さくすることが望ましい。
【0197】手指サポーター12HAにおける第2指乃
至第5指の動作について、図54、図55に示した各ワ
イヤーの働きは下記に示す通りである。
【0198】・屈曲位から伸展位への移行時には、各指
の背面に配置されたワイヤー対を上記駆動機構によって
同時に引っ張る ・伸展位から屈曲位への移行時には、各指の背面に配置
されたワイヤー対を上記駆動機構によって同時に緩める ・内転から外転への移行時には、第3指と第4指との間
を通る対立動作の中心軸に関して、これより遠い方のワ
イヤー部材(第2指、第3指については第1指に近い方
のワイヤー部材37A、また、第4指と第5指について
は第1指から遠い方のワイヤー部材37B)を同時に引
っ張り、他方のワイヤーについては同時に緩める ・外転から内転への移行時には、上記と逆になる。即
ち、第3指と第4指との間を通る対立動作の基準軸に関
して、これに近い方のワイヤーを同時に引っ張り、他方
のワイヤーを同時に緩める。
【0199】拇指の動作については、図48に示すよう
にワイヤー部材が配置されており、指の被覆部の背面に
沿って付設された2本のワイヤー部材37、37(図に
はその一方だけを示す。)が、上記した回動機構64を
構成する部材、さらに手首サポーター12HCを経由し
て駆動ベースサポーター12HD上のワイヤー駆動機構
に接続される。また、回動機構64を構成する回動部材
64aに端を発する2本のワイヤー部材37C、37C
が、甲面サポーター12HBの被覆部12HBa及び手
首サポーター12HCを経由して駆動ベースサポーター
12HD上のワイヤー駆動機構に接続される。
【0200】よって、手指サポーター12HAにおける
拇指の動作についての各ワイヤーの働きは下記に示す通
りである。
【0201】・屈曲位から伸展位への移行時には、拇指
の背面に配置されたワイヤー対(37、37)を同時に
引っ張る ・伸展位から屈曲位への移行時には、拇指の背面に配置
されたワイヤー対(37、37)を同時に緩める ・湾曲位から平坦位への移行時には、甲面サポーターを
経由するワイヤー対(37C、37C)を同時に引っ張
る ・平坦位から湾曲位への移行時には、甲面サポーターを
経由するワイヤー対(37C、37C)を同時に緩め
る。
【0202】対立動作とともに内転・外転動作を実現す
るためには、図57に示すように、第2乃至第5指の掌
面側(MP関節の前面側)に2本のワイヤーを配置す
る。尚、(A)図は初期状態(外転・平坦位)を示し、
(B)図はV字状バネ40の反力に抗した内転・湾曲位
の状態をそれぞれ示している。
【0203】図57に示すように、第2乃至第5指の基
節部を覆う被覆部12HA3、12HA3、・・・につ
いては、指の掌面を覆う部材88、88、・・・がそれ
ぞれ設けられ、これら部材に跨るように各ワイヤー部材
37D1、37D2を付設する。例えば、一方のワイヤ
ー部材37D1については、第5指を起点として、第4
指、第3指、第2指を経由した上で、図58に示すよう
に、甲面サポーター12HBの被覆部12HBa′の背
面に沿って引き廻された後、被覆部12HBaの内面
(皮膚側の面)を通ってから該被覆部の背面から抜け出
て手首サポーター12HCを経由して駆動ベースサポー
ター12HD上のワイヤー駆動機構(図示せず。)に接
続される。また、他方のワイヤー37D2については、
図57に示すように、第2指を起点として、第3指、第
4指、第5指を経由した上で、図58に示すように、甲
面サポーター12HBの被覆部12HBaの背面に沿っ
て引き廻された後、被覆部12HBa′の内面(皮膚側
の面)を通ってから該被覆部の背面から抜け出て手首サ
ポーター12HCを経由して駆動ベースサポーター12
HD上のワイヤー駆動機構(図示せず。)に接続され
る。尚、2本のワイヤーが甲面サポーター12HBにお
いて部分的にその内面側で交差した配置となっている理
由は、甲面サポーター12HBの被覆部12HBa、1
2HBa′を駆動して対立動作を補助するためである。
また、各ワイヤーが第2乃至第5指の掌面側で跨るよう
に配置するにあたっては、掌面からみた場合に、これら
がなるべくV字状バネ40のコイル部40aの中心付近
を通るようにすることが好ましい。
【0204】対立動作におけるワイヤーの働きは下記に
示す通りである。
【0205】・平坦位から湾曲位への移行時には、ワイ
ヤー37D1、37D2を同時に引っ張る ・湾曲位から平坦位への移行時には、ワイヤー37D
1、37D2を同時に緩める。
【0206】手関節の動作については、図59にワイヤ
ー配置を示す。尚、(A)図は背面からみた図、(B)
図は橈骨側からみた図、(C)図は掌面からみた図であ
る。
【0207】図57(A)に示すように、甲面サポータ
ー12HBの被覆部12HBa、12HBa′の背面に
おいて、これらの周縁寄りの位置を起点とするワイヤー
部材37E1、37E1′は手首サポーター12HCの
背面を経由した後、駆動ベースサポーター12HD上の
図示しないワイヤー駆動機構にそれぞれ接続されてい
る。尚、ワイヤー部材37E1の端部が被覆部12HB
aに固定され、ワイヤー部材37E1′の端部が被覆部
12HBa′に固定されている。
【0208】また、図57(C)に示すように、甲面サ
ポーター12HBにおけるMP関節寄りであって周縁部
の内側の場所(拇指と第2指との間及び第5指の脇)を
起点するワイヤー37E2(拇指と甲面サポーターとの
間を通って引き廻される。)、37E2′は手首サポー
ター12HCの掌面側をそれぞれ経由した後、駆動ベー
スサポーター12HD上の図示しないワイヤー駆動機構
にそれぞれ接続されている。そして、第3指及び第4指
の基節部の掌面側に取り付けられる被覆部12HA3、
12HA3をそれぞれ起点として掌面上で交差した配置
のワイヤー部材37E3、37E3′については、手首
サポーター12HCの掌面側を経由した後、駆動ベース
サポーター12HD上の図示しないワイヤー駆動機構に
それぞれ接続されている。尚、一方のワイヤー部材37
E3はその端部が第4指の被覆部に固定され、掌面上を
拇指に対して次第に近付くように引き廻されており、ま
た、他方のワイヤー37E3′は、その端部が第3指の
被覆部に固定され、掌面上を拇指に対して次第に遠ざか
るように引き廻されている。
【0209】手関節の動作における各ワイヤー部材の役
割は下記の通りである。
【0210】・背屈から掌屈への移行時には、甲面サポ
ーターの掌面側に配置された2本のワイヤー部材37E
2、37E2′を同時に引っ張る(又は、第3指及び第
4指に対する2本のワイヤー部材37E3、37E3′
を同時に引っ張る)とともに、甲面サポーターの背面側
に配置された2本のワイヤー部材37E1、37E1′
を同時に緩める。
【0211】・掌屈から背屈への移行時には、甲面サポ
ーターの背面側に配置された2本のワイヤー部材37E
1、37E1′を同時に引っ張るとともに、甲面サポー
ターの掌面側に配置された2本のワイヤー部材37E
2、37E2′を同時に緩める(又は、第3指及び第4
指に対する2本のワイヤー37E3、37E3′を同時
に緩める)。
【0212】・尺屈から橈屈への移行時には、甲面サポ
ーターの背面側に配置されたワイヤー部材37E1′
と、掌面側のワイヤー部材37E2、37E3を同時に
引っ張るとともに、甲面サポーターの背面側に配置され
たワイヤー部材37E1と、掌面側のワイヤー部材37
E2′、37E3′を同時に緩める。
【0213】・橈屈から尺屈への移行時には、甲面サポ
ーターの背面側に配置されたワイヤー37E1と、掌面
側のワイヤー部材37E2′、37E3′を同時に引っ
張るとともに、甲面サポーターの背面側に配置されたワ
イヤー部材37E1′と、掌面側のワイヤー部材37E
2、37E3を同時に緩める。
【0214】尚、手関節のワイヤー駆動のための駆動機
構やその駆動源(モータ等)の取付位置としては、駆動
ベースサポーターにおいて尺側手根屈筋と橈側手根屈筋
の始点位置に相当する場所が理想的であるが、この要請
を厳密にし過ぎると、駆動源についての配置の自由度が
なくなってしまう虞があるので、駆動ベースサポーター
上における駆動機構等の配置については注意が必要であ
る。
【0215】また、手指サポーター12HAや甲面サポ
ーター12HBについて、指の屈曲位を初期状態として
バネ部材の付勢力を設定している場合には、サポーター
の装着時にワイヤー部材を引っ張ることで伸展位の状態
とする必要があるが、その際、手首サポーター12HC
に状態保持のための機構を付設することが好ましい。即
ち、装具の着脱を容易にするためには、着脱時において
対偶の状態を一時的に保持・固定するための保持機構を
設けると良い。
【0216】図60及び図61はそのような機構例を示
したものである。
【0217】手首サポーター12HCの背面に付設され
たスライダー機構89は、スライド部材90とその収容
部91を有しており、甲面サポーター12HBのうちス
ライダー機構89に対向した場所には、スライド部材9
0の端部形状に対応した形状をした凹部92が形成され
ている。
【0218】よって、手部サポーター12Hの装着にあ
たっては、先ず、図60に示すように、スライド部材9
0を引き出して、これを凹部92内に収容した状態とす
ることで、手首が固定されて曲がらないように規制され
る。その後、図61に示すように、指の駆動ワイヤー群
を引っ張ることにより各サポーターを伸展位の状態にし
てから装具に手を装着すると作業がし易くなる。尚、サ
ポーターの使用時には、スライド部材90を収容部91
内に戻しておけば、以後の動作に支障を来すことはな
い。
【0219】次に前腕部サポーター12Aについて説明
する。
【0220】本サポーターは肘部近辺を被覆する役割を
もち、回内・回外動作時に手指サポーター12HA及び
駆動ベースサポーター12HDの基底部となる。そし
て、これは前腕の背面側から面状ファスナー等を使って
取り付けられ、前腕の回内・回外動作に係るワイヤーの
配置及びその駆動機構の取付にとって必要なものであ
る。尚、回内・回外動作による尺骨の回動に対して干渉
しないように装着時には肘部からほぼ3分の1程度の範
囲内に本サポーターが配置されるようにする。また、サ
ポーターのうち肘関節寄りの側面には2つの突起部が互
いに反対方向を向いて突設されているが、これらには後
述するように肘関節動作のワイヤーが取り付けられるよ
うになっている。
【0221】図62は回内状態におけるワイヤー配置に
ついて背面側から示したものであり、2本のワイヤー部
材93、93′は、それらの一端が手首サポーター12
HCに固定されて、他端が前腕部サポーター12Aに付
設されたワイヤー駆動機構94に接続されている。尚、
ワイヤー部材93が前記したワイヤー部材WAに相当
し、ワイヤー部材93′が前記したワイヤー部材WBに
相当しており、それらの役割は既述の通りである。
【0222】図63は前腕の動作を示しており、(A)
が回内状態、(B)が立位状態、(C)が回外状態をそ
れぞれ示している。
【0223】一対のワイヤー部材93、93′について
は、一方のワイヤー部材を緊張させて引っ張る際に、他
方のワイヤー部材を弛緩させることで関節の回内・回外
動作が行われ、その動きは下記の通りである。
【0224】・回内から回外への移行時には、ワイヤー
部材93を引っ張り、ワイヤー部材93′を緩める。
【0225】・回外から回内への移行時には、上記とは
逆にワイヤー部材93′を引っ張り、ワイヤー部材93
を緩める。
【0226】尚、図64に示すようなC字状のガイド部
材95を前腕部サポーター12Aの側面に付設するとと
もに、当該部材95と前腕部サポーター12Aの間に形
成される間隙に駆動ベースサポーター12HDの後端部
を挟み込んだ状態で、回内・回外動作の確認ができるよ
うに構成しても良い。つまり、この場合には、回内・回
外動作時に駆動ベースサポーター12HDがガイド部材
95の湾曲面(内面)に案内されて前腕の長さ方向の軸
回りに回動することになる。
【0227】図65は肘部結合用サポーター12Bの構
成例を示すものである。
【0228】このサポータは、前腕部サポーター12A
と上腕部サポーター12Uとに亘って設けられているワ
イヤーの着脱を可能にするために、前腕部サポーター1
2Aに対して肘部において結合するために設けられてい
る。つまり、(A)図に示すように、装着状態では、肘
部結合用サポーター12Bはほぼ三日月形状をしてお
り、前腕部サポーター12Aの肘寄りの部分を被覆して
いる。尚、前腕部サポーター12Aへの取り付け方法に
関しては、(B)図に示すように、肘部結合用サポータ
ー12Bと前腕部サポーター12Aに金属製ボタン等の
点状ファスナー96、96、・・・を付設して容易に着
脱できるようにする。また、上腕部サポーター12Uの
装着に手間取ることがないように、肘部結合用サポータ
ー12Bの中央部には、腕の長さ方向に沿うスリット9
7(図に1点鎖線で示す。)を予め形成しておくことが
望ましい。
【0229】図66は上腕部サポーター12Uの構成例
を概略的に示すものであり、上腕二頭筋と上腕三頭筋の
領域に対する被覆が予定される部分をカットした形状と
なっている。これは、前腕の屈曲・伸展動作時に上腕二
頭筋や上腕三頭筋の形状変化が顕著に認められるため、
これらの筋肉によるサポーターとの干渉を極力回避する
必要があることに依る。尚、上腕二頭筋の中央には正中
神経が配置されており、当該神経への過度の圧迫は、第
1乃至第4指の背面感覚領域や第1指、第2指の運動領
域について麻痺を誘発する危険があるため、上腕二頭筋
を皮膚表面から被覆しない構成は、正中神経への圧迫を
防止するという目的にも適っている。
【0230】上腕のうち前腕寄りの位置に巻着されたリ
ング状部分(基本的立位姿勢において下側の支持部)1
2Ur1と、肩関節寄りの位置に巻着されたリング状部
分(基本的立位姿勢において上側の支持部)12Ur2
とを連結する連結部12Uc、12Ucは、上腕側面に
おいて長手方向に延びており、この部分は肘関節の屈曲
動作時に湾曲し、上腕二頭筋の形状変化に対応してリン
グ状部分12Ur1、12Ur2を上腕二頭筋の収縮方
向へと変位させる。
【0231】また、上腕二頭筋の経路がリング状部分1
2Ur1、12Ur2と交差する場所については当該部
分を皮膚表面からやや浮かした状態としている。これは
屈曲動作時に起こる筋変形による圧迫を回避するためで
ある。
【0232】尚、これらリング状部分については、面状
ファスナーを使って上腕部に巻き付けているだけである
ため、着脱は容易である。
【0233】肘関節における屈曲・伸展動作をワイヤー
駆動によって実現するためには、上腕二頭筋と上腕三頭
筋を模倣したワイヤー配置が必要である。
【0234】即ち、図示するように、前腕部サポーター
12Aの側面に突設された突起部98、98をそれぞれ
起点とする2本ずつ、合計4本のワイヤー部材が付設さ
れており、そのうちのワイヤー部材99a、99aが突
起部98、98の付け根の上部から上腕の側面にかけて
それぞれ引き廻された後、連結部12Uc、12Ucに
それぞれ付設されたワイヤー部材の駆動機構100a、
100aに接続されている。また、ワイヤー部材99
b、99bは、突起部98、98の先端の下側部分から
上腕の側面にかけてそれぞれ引き廻された後、やはり連
結部12Uc、12Ucにそれぞれ付設されたワイヤー
の駆動機構100b、100bに接続されている。尚、
ワイヤーの駆動機構を連結部12Uc、12Ucに付設
しない場合には、例えば、肩関節や胸椎等に付設するサ
ポーターに取り付ける等、各種の実施形態が挙げられ
る。
【0235】肘関節の動作においては、一対のワイヤー
部材のうち、一方のワイヤー部材を緊張させて引っ張る
際に、他方のワイヤー部材を弛緩させることで関節の屈
曲又は伸展動作が制御され、各ワイヤー部材の動きは下
記のとおりである。
【0236】・伸展から屈曲への移行時には、ワイヤー
部材99a、99aを引っ張るとともに、ワイヤー99
b、99bを緩める。
【0237】・屈曲から伸展への移行時には、ワイヤー
部材99b、99bを引っ張るとともに、ワイヤー部材
99a、99aを緩める。
【0238】しかして、各サポーターとワイヤーの配置
等が明らかになったところで、図19に戻って力覚提示
に必要な制御要素をまとめてみると、下記のようにな
る。
【0239】A)検出のための要素 ・ワイヤー長あるいは位置検出用のセンサ ・ワイヤーの張力検出用のセンサ B)駆動制御のための要素 ・ワイヤーの駆動源及び駆動機構 ・電磁クラッチ等、安全のための保護機構 ・対偶の状態保持のための機構
【0240】先ず、A)に示す検出手段のうち、ワイヤ
ー長あるいは位置検出用のセンサについては、例えば、
図52に示す駆動機構を採用した場合にワイヤーを引っ
張るスライド式駆動部81内に設けられた位置検出用セ
ンサが挙げられる。
【0241】また、ワイヤーの張力検出用のセンサにつ
いては、例えば、図52に示す駆動機構における張力セ
ンサ80が挙げられ、ワイヤーとスライド式駆動部81
との間の引張荷重を検出することができる。
【0242】尚、これらのセンサによって取得される検
出情報は入出力インターフェイス部10を介して中央制
御部9に送出される。
【0243】次に、B)におけるワイヤーの駆動源及び
駆動機構については、中央制御部9から入出力インター
フェイス部10を介して送られて来る制御信号によって
各ワイヤーの駆動制御が行われる。例えば、図51や図
52に示す構成においてモータやスライド式駆動部の駆
動制御がなされる。
【0244】また、電磁クラッチを使った保護機構につ
いては、ワイヤーに過度の力が加わる前にワイヤーと駆
動機構(又は駆動源)とを切り離すものであり、例え
ば、図52、53のように永久磁石と電磁石を組み合わ
せた構成が挙げられる。
【0245】対偶の状態保持のための機構は装具の着脱
時に必要とされ、例えば、図60、61に示したように
スライダー機構89を使って対偶の姿勢を一時的に保持
するものである。尚、本機構を手動で操作する方法もあ
るが、中央制御部9から入出力インターフェイス部10
を介して送られて来る制御信号によってスライダー機構
89の駆動源を制御することが好ましい。
【0246】尚、力覚に加えて触覚や温覚(あるいは熱
覚)を提示する場合には、手指サポーター12HAに触
覚提示機構と発熱・吸熱装置を付設する。
【0247】図67は指先にクリック感を提示するため
の構成例を示すものである。
【0248】指先の背面部を覆う被覆部12HA1の先
端には、回動軸101を介して触覚提示板102が設け
られており、駆動手段103によって触覚提示板102
が回動軸101の回りに駆動される構成となっている。
つまり、同図に矢印Rで示すように、触覚提示板102
は指先の掌面側に回り込むようにして指先部分に接触さ
れ、そのときの押圧力(触覚に係る強弱)又は接触の有
無が駆動手段103によって規定される。尚、この駆動
手段103については、被覆部の背面に取り付けられた
モータ及び減速機等の動力伝達機構や電磁式プランジャ
ー等により触覚提示板102を回動させる構成、あるい
は、触覚提示板102を指側に付勢するための付勢手段
をその回動軸に付設するとともに被覆部の背面を通って
から触覚提示板102に固定されたワイヤー等の力伝達
部材を、遠隔位置(駆動ベースサポーター上等)に設け
られた機構によって駆動する構成等が挙げられるが、要
は触覚提示板を指先の掌面側に接触させるための機構で
あればその如何は問わない。また、触覚提示板によって
指先に加わる押圧力の程度を検出するためには、触覚提
示板の状態を検出するセンサ、あるいは触覚提示板のう
ち指との接触場所に圧力センサを配置する等、各種の方
法が挙げられる。
【0249】そして、指先に温覚を提示するには、例え
ば、ペルチェ素子等を使った発熱/吸熱装置104を、
触覚提示板102のうち指との接触場所に配置するとと
もに、その場所での温度を検出する温度検出用のセンサ
を設け、当該センサで得られた検出値が指令値となるよ
うに発熱/吸熱装置104についてフィードバック制御
を行えば良い。
【0250】図68は指先に素材の感触を提示するため
の構成例を示すものである。
【0251】本例では触覚提示板105のうち、その回
動軸101に近い場所に駆動ローラー106を設けると
ともに、回動軸101から遠い方の端部には従動ローラ
ー107を設け(駆動ローラーと従動ローラーとの位置
関係は逆でも良い。)、両ローラーに亘って無端の帯状
部材108(例えば、絹、麻、木綿、毛糸、化学繊維等
で形成した布)が張架されている。つまり、駆動ローラ
ー106の回転によって、同図に矢印Kに示す方向(又
はその逆方向)に帯状部材108が搬送駆動される構成
となっている。その際には、駆動ローラー106又は従
動ローラー107の回転検出用のセンサ等を付設して、
帯状部材108の送り速度が速くなり過ぎないように監
視すること(帯状部材と指との過度の摩擦熱が発生しな
いようにすること)が好ましい。
【0252】また、帯状部材108の駆動時において、
当該帯状部材108に接触することで摩擦熱を発生させ
るための摩擦熱発生用部材109(ゴム材料等の摩擦係
数の高い材料で形成されている。)は、例えば、触覚提
示板105の回動軸101に付設されており、帯状部材
108のうち駆動ローラー106の近辺に接触される。
つまり、ローラー106、107による帯状部材108
の駆動機構と、摩擦熱発生用部材109とによって発熱
装置が構成されている。尚、駆動ローラー106が回転
している間、摩擦熱発生用部材109が帯状部材108
に対して常に接触されていると摩擦熱が常に発生するこ
とになるので、熱の提示が不要なときには摩擦熱発生用
部材109の帯状部材108への接触を解除するための
機構を設けることが好ましい(本機構は摩擦熱発生用部
材109と帯状部材108との接触状態を加減して発熱
量を制御する場合にも使用できる。)。
【0253】しかして、上記の構成では、触覚提示板1
05を回動させ、帯状部材108を指の掌面に接触させ
た状態にすることで指に素材の感触を提示できることは
勿論、この状態で駆動ローラー106を回転させて帯状
部材108の送り制御を行うことにより、指先に対して
物体の移動を伴う触覚を提示することができる。さらに
は、摩擦熱発生用部材109を帯状部材108に接触さ
せたときに発生される摩擦熱を帯状部材108から指先
に伝達することで温覚を提示できる。
【0254】以上に説明した触覚や温覚の提示に必要な
制御要素をまとめると、下記のようになる。
【0255】C)検出のための要素 ・触覚提示に必要なセンサ(圧力センサやローラーの回
転検出用センサ等) ・温覚提示に必要な熱や温度検出用のセンサ D)駆動制御のための要素 ・指先へのクリック感の提示機構 ・指先への素材感の提示機構 ・発熱/吸熱装置
【0256】先ず、上記C)の触覚提示に必要なセンサ
については、例えば、前記した触覚提示板102が指先
に予定した押圧力でもって接触されるように制御した
り、あるいは、帯状部材108の送り速度を制御するた
めに使用される。そして、熱や温度検出用のセンサは、
温覚提示を行う場合の温度制御に使用されることは勿
論、過度の熱提示が行われないようにするためにも必要
である。尚、これらのセンサによって得られる検出信号
は全て入出力インターフェイス部10(図19参照。)
を介して中央制御部9に送られる。
【0257】上記D)の提示機構については、触覚提示
板102、105の駆動機構や帯状部材108の送り機
構が挙げられ、また、発熱/吸熱装置については、前記
したように触覚提示板102に温熱・冷却素子(10
4)を付設した構成や、帯状部材108との接触により
摩擦熱を発生させる機構が挙げられるが、これらに対す
る制御信号は中央制御部9から入出力インターフェイス
部10を介してそれぞれの機構に対して送出される。
【0258】尚、上記した装具類8と入出力インターフ
ェイス部10との間の情報伝達については、これを有線
式通信で行っても無線通信で行っても構わないが、対象
者の動作や移動の自由度を制限しないという観点からは
無線通信の方が好ましい(例えば、IEEE1934の
規格に準拠した赤外線又は無線を使った入出力インター
フェイス等。)。
【0259】次に中央制御部9の構成について説明す
る。
【0260】図69は中央制御部9において視覚・聴覚
情報に関する情報処理部分の構成例を主として示したも
のであり、映像・音声合成部110と統括制御部111
を備えている。
【0261】映像・音声合成部110は、統括制御部1
11により仮想空間について規定される規則に従ってポ
リゴンデータ等の形状データやテクスチャーデータに基
づいて映像(ステレオ映像等。)信号や音声信号を生成
して、これらをヘッドマウントディスプレイ等の視覚表
示及び音声装置に出力したり、あるいはテクスチャーデ
ータに含まれる重量、力覚や触覚、温覚等の情報を統合
して後述する位置及び力覚制御部に提供する役割をもっ
ている。尚、重量、力覚や触覚、温覚等の情報を、材質
の質感等を表現するテクスチャーデータに包含させる理
由は、その方がデータ量を削減できるからである。
【0262】前記したように力触覚提示では仮想現実と
仮想イリュージョンとを区別する必要があり、そのため
に、本例では仮想現実データベース部110aと仮想イ
リュージョンデータベース部110bとを独立して設け
ている。
【0263】仮想現実データベース部110aを構成す
る構築されたデータベースは下記の通りである(括弧内
は符号を示す)。
【0264】a)環境データベース(110a_1) b)人体データベース(110a_2) c)衣服データベース(110a_3) d)道具データベース(110a_4)。
【0265】先ず、環境データベース110a_1は、
仮想現実世界を体験する被験者(の疑似映像)が、仮想
現実空間において存在するための環境を提供するデータ
群であり、例えば、無限平面や部屋等の映像データであ
る。但し、被験者が触ったり、動かす等して仮想的に影
響を及ぼすことのできる物体(仮想物体)、例えば、
襖、椅子、窓、武器等のデータは道具データベース11
0a_4に含まれるので、壁や天井、景色等のように動
かせないものが環境データベースのデータとなる。
【0266】人体データベース110a_2は仮想世界
を体験する被験者自身、あるいは登場人物(仮想人物)
の映像や音声データを含むデータベースである。
【0267】衣服データベース110a_3は被験者の
着衣や登場人物の衣類を構成するためのデータベースで
あり、例えば、甲冑やドレス等の構成データが含まれ
る。
【0268】道具データベース110a_4は、被験者
が力学的作用を及ぼして動かすことのできる物体(仮想
物体)を構成するためのデータベースであり、例えば、
コップや椅子等の構成データが含まれる。
【0269】仮想イリュージョンデータベース部110
bについては、人間が実際に体験できない現象を仮想的
に作成して構成するためのデータベースが使用され、例
えば、触ると融けて軟らかくなる壁や、握手すると融け
出す人間、火や水でできた甲冑、触ると砕け散って雪だ
るまが出て話出す本等、幻想の世界を仮想的に生成する
ための一切のデータが含まれる。尚、このデータベース
についても、上記した仮想現実データベースの場合と同
様に、a)乃至d)のデータベースに対応するデータベ
ースによって構成されるが、各データベースの区分けに
ついて、仮想現実データベースの場合ほどの厳密さは要
求されない。例えば、仮想現実データベースの場合に
は、環境データベースと道具データベースとの区別に関
して、被験者が触って動かせるか否かが判断の基準とな
っているが、仮想イリュージョンデータベースの場合に
は、被験者が触らなくても動かせる仮想物体があり得る
ので、これを道具データベースに包含させても問題はな
いし、壁が衣服に変化する場合にはこれを衣服データベ
ースに包含させても良いからである。
【0270】これらのデータベースはいずれも映像情報
に基づく視覚的な提示に利用するためのものであり、こ
れらはポリゴン(データ)生成部110cにより参照さ
れる。このポリゴン生成部110cは上記した各種のデ
ータベースに基づいて各種のポリゴンデータを生成する
ために必要とされ、各データベースにそれぞれ対応した
生成部(環境データベース110a_1に対する環境ポ
リゴン生成部110c_1、人体データベース110a
_2に対する人体ポリゴン生成部110c_2、衣服デ
ータベース110a_3に対する衣服ポリゴン生成部1
10c_3、道具データベース110a_4に対する道
具ポリゴン生成部110c_4)が設けられている。
尚、人体ポリゴン生成部110c_2では、後述する現
状モーション生成部からのデータに基づいて被験者のポ
リゴンデータを生成する。
【0271】また、仮想イリュージョンデータベース部
110bについても仮想現実データベースの場合と同様
にポリゴン(データ)生成部110dが設けられてい
る。
【0272】仮想ポリゴン合成部110eは、上記した
ポリゴン生成部110c、110dによって生成された
データを合成して出力する部分であり、画像合成された
情報(ステレオ映像等)は視覚表示及び音声出力装置1
1(ヘッドマウントディスプレイ等)の(ステレオ)映
像出力装置112に送出される情報統合部(110f乃
至110h)は、各ポリゴン生成部から得たテクスチャ
ーデータから重力、力覚、触覚、温覚のデータを取り出
してまとめた上で、各データ群を後述する位置及び力覚
制御部に送出する。つまり、重力についての情報は重力
情報統合部110fで抽出された後に後述の重力認識部
に送られ、力覚についての情報は力覚情報統合部110
gで抽出された後に後述の力覚認識部に送られる。ま
た、触覚と温覚についての情報は触覚及び熱情報統合部
110hにおいて抽出された後に、両者が後述の触覚及
び熱認識部に送られる。
【0273】干渉比較部110iは、各ポリゴン生成部
によって得られた全てのデータに基づいて、例えば、被
験者と仮想物体との間に干渉が起きているか否かを判別
するために設けられており、干渉がある場合、即ち、仮
想物体との接触や仮想物体から受ける力覚や温覚の提示
を要する可能性があると判断した場合に、下記に示す割
り込み(INT)を発生させる。
【0274】・位置又は力覚制御に対するINT(例え
ば、値「0」のとき「位置制御」を示し、値「1」のと
き「力覚制御」を示す。) ・触覚制御に対するINT(例えば、値「0」のとき
「制御なし」を示し、値「1」のとき「制御あり」を示
す。) ・温覚制御に対するINT(例えば、値「0」のとき
「制御なし」を示し、値「1」のとき「制御あり」を示
す。)。
【0275】尚、これらによる制御内容については後述
する。
【0276】映像・音声合成処理部110への入力情報
は、前記した磁気センサやジャイロセンサによって得ら
れる検出情報であり、磁気センサ(図の「MGS」)の
検出情報は音声信号処理部110jや仮想ポリゴン合成
部110eに送出され、ジャイロセンサ(図の「JY
S」)の検出情報はポリゴン生成部110cに送出され
る。
【0277】音声信号処理部110jは仮想現実世界や
仮想イリュージョンの世界における音源のデータベース
に基づいて音声情報を生成し、これを視覚表示及び音声
出力装置11の音声出力部113に送出する。尚、この
音声信号処理部110jは、仮想現実と仮想イリュージ
ョンとの間で共用できる。
【0278】統括制御部111は、仮想現実又は仮想イ
リュージョンの世界を視覚表示・音声出力装置11や力
触覚・温覚提示用の装具を通して現出させるか否かの選
択や、前記保護機構(危険回避の機構)の作動後におけ
る復旧の判断を行ったり、仮想現実や仮想イリュージョ
ンの世界での閉じた規則を司っている中枢部分である。
尚、この統括制御部111は、装具の着脱性を向上させ
るため、対偶の状態を一時的に保持するのに使用する対
偶保持機構114の制御も行っている(図60、61の
スライダー機構89において、装具を着る時や脱ぐとき
に、スライド部材90を移動させる。)。
【0279】次に、位置や力覚、触覚及び温覚の制御に
ついて説明する。
【0280】図70は中央制御部9を構成する位置及び
力覚制御部115と、触覚及び温覚制御部116の構成
例を示したものである。
【0281】位置及び力覚制御部115は下記に示す構
成要素を備えている(括弧内は符号を示す。)。
【0282】・位置認識部(115a) 初期のキャリブレーション(後述する)によって取得し
たデータ等をもとにして各ワイヤー長から関節の角度を
求める処理を行う。そのために、ワイヤー長を検出する
センサ(図の「WLS」)から検出情報を受け取り、認
識結果についてはこれを後段の実重力認識部に送出す
る。
【0283】・実重力認識部(115b) 上記重力情報統合部110fから得られる被験者の重量
データに、装具の総重量を示すデータを加算するととも
に、位置認識部115aによって得られた情報に対して
実際の重量データを付加する。つまり、これによって装
具を纏った被験者の重量が決定される。
【0284】・仮想重力認識部(115c) 上記重力情報統合部110fからの仮想物体に重量を付
与し、実重力認識部115bで得たデータに対して仮想
重量データが付加される。例えば、被験者が仮想物体で
ある本を手にもった場合には、本に付与された仮想重量
(仮想物体に対して想定した重量)を加味する必要があ
る。
【0285】・力覚認識部(115d) 張力センサ(図の「TTS」)からの情報を取得した
り、力覚情報統合部110gからの仮想物体による力覚
の情報及び仮想重力認識部115cからの仮想重量とに
基づいてどの程度の力覚を被験者が受けるかを算定す
る。例えば、被験者が仮想物体を手にもっている状況を
想定した場合には、当該仮想物体が現実の物体であった
としたときに手や腕が受けるであろう力を計算により認
識する。但し、上記した干渉比較部110iからの位置
又は力覚制御に対する割り込み(INT)が発生して、
その時の値が「0」のときには動作しない。
【0286】・現状モーション生成部(115e) 後述の予測モーション生成部とともにモーション生成部
を構成する部分であり、上記実重力認識部115bから
のデータ及び人体データベース110a_2のワイヤー
フレームデータに基づいて、被験者の現時点におけるモ
ーションをワイヤーフレームデータとして取得し、これ
を人体ポリゴン生成部110c_2や後述の危険回避制
御部に送出する。但し、上記した干渉比較部110iか
らの位置又は力覚制御に対する割り込み(INT)が発
生して、その時の値が「1」のときには動作しない。
【0287】・予測モーション生成部(115f) 力覚認識からのデータ及び人体データベース110a_
2のワイヤーフレームデータに基づいて、被験者につい
て予測されるモーションをワイヤーフレームデータとし
て取得し、これを後述のワイヤー長制御部に送出する。
但し、上記した干渉比較部110iからの位置又は力覚
制御に対する割り込み(INT)が発生して、その時の
値が「0」のときには動作しない。
【0288】・危険回避制御部(115g) 現状モーション生成部115eによって得られるワイヤ
ーフレームに基づいて人体によって危険な***を取ろう
とする時や、関節の許容角度を逸脱するような***が予
測される場合に、ワイヤーとその駆動源とを切り離して
防止するものである。例えば、永久磁石と電磁石を使っ
た電磁クラッチ機構117において両者を分離すること
で、ワイヤーの駆動を禁止する。
【0289】図71は電磁クラッチ機構を用いたときの
制御動作の一例を示したフローチャート図である。
【0290】先ず、ステップS1において接触検知用セ
ンサからの検出信号を取得した後、次ステップS2にお
いて、電磁クラッチ機構が結合状態にあるか否かを判断
する。例えば、図52に示す例では、ワイヤー73に固
定された永久磁石77と、スライド式駆動部81のワイ
ヤー部81aに対して固定された電磁石79とが結合し
ているか否かを、接触検知用センサ78、78′からの
検出信号に基づいて判断し、両者の結合によってワイヤ
ー73をスライド式駆動部81で引っ張ることができる
状態である場合には、ステップS4に進むが、そうでな
いときはステップS3に進んでスライド式駆動部81を
制御してワイヤー部81aがワイヤー73に近付くよう
に移動させた後、ステップS1に戻る。
【0291】ステップS4において張力センサ(TT
S)からの検出信号を取得した後、次ステップS5では
ワイヤーの牽引力が危険な状態にあるか否かが問われ、
これが安全圏内にある場合には、ステップS4に戻る
が、そうでない場合には次ステップS6に進み、電磁ク
ラッチ機構が非結合状態となる(例えば、永久磁石と電
磁石とが分離する。)。
【0292】尚、ステップS7における機構的な割り込
みの発生時、例えば、ワイヤーへの牽引力が急上昇して
危険状態が発生し、これに対して緊急に対処する必要が
ある場合には、次ステップS8に進んで、ワイヤーの牽
引力が永久磁石の吸着力を越えたときにステップS6に
進む。また、ワイヤーの牽引力が永久磁石の吸着力以下
の場合にはステップS4に進む。
【0293】・ワイヤー長制御部(115b) 予測モーション生成部115fからのデータに基づいて
各ワイヤーの長さを制御するものであり、ワイヤー駆動
部118に対して制御信号を送出する。尚、上記した干
渉比較部110iからの位置又は力覚制御に対する割り
込み(INT)が発生して、その時の値が「0」のとき
には、ワイヤーの張力が一定となるように、現状モーシ
ョン生成部115eによる***を基準として、予測モー
ション生成部115fからの***へと移行するようにワ
イヤー長を制御する。また、値が「1」のときには、現
状モーション生成部115eによる***を保持したまま
で、予測モーション生成部115fから得られる力覚だ
けを提示するようにワイヤー長を制御する。
【0294】触覚及び温覚制御部116は、下記に示す
構成要素を備えている(括弧内に符号を示す。)。
【0295】・熱認識部(116a) 被験者の指先の温度情報を、熱又は温度検出用のセンサ
(図の「THS」)により取得して監視するものであ
る。尚、当該情報が許容範囲から逸脱している場合、例
えば、上限温度を越えて危険な温度に達している場合に
は、発熱・吸熱装置119への電力供給を停止するか、
又は制御を反転させる(発熱から吸熱への移行あるいは
その逆の移行)ための信号を発生させ、後述の熱制御部
に送出する。
【0296】・触覚認識部(116b) 圧力センサ(図の「PSS」)によって指先の圧力の状
態を検出したり、あるいはローラー(図68の106、
107を参照。)の回転数を回転検出センサ(図の「R
LS」)によって検出して監視するものである。尚、検
出した圧力が許容範囲内から逸脱したと判断したとき、
あるいはローラーの回転数が速すぎると判断した場合に
は、その旨を後述の触覚制御部に送出して、過度の圧力
等が指に加わらないように防止する。
【0297】・熱パターン生成部(116c) 後述の触覚パターン生成部とともにパターン生成部を構
成しており、上記モーション生成部や触覚及び熱情報統
合部110hからの情報、そして熱認識部116aから
の情報に基づいて指先に提示したい温度感覚の提示パタ
ーンを生成する。尚、上記した位置及び力覚に対する割
り込み(INT)が発生して、その時の値が「1」とさ
れ、かつ、温覚制御に対する割り込み発生時の値が
「1」のときにのみ動作する。
【0298】・触覚パターン生成部(116d) 上記モーション生成部や触覚及び熱情報統合部110h
からの情報、そして触覚認識部116bからの情報に基
づいて指先に提示したい触覚の提示パターンを生成す
る。尚、上記した位置及び力覚に対する割り込み(IN
T)が発生して、その時の値が「1」とされ、かつ、触
覚制御に対する割り込み発生時の値が「1」のときにの
み動作する。
【0299】・熱制御部(116e) 熱パターン生成部116cからの指令を受けて発熱・吸
熱装置(ペルチェ素子等。)119に制御信号を送出す
る部分である。
【0300】・触覚制御部(116f) 触覚パターン生成部116dからの指令を受けて触覚提
示板の駆動機構120やローラー駆動部121に対して
制御信号を送出して制御を行う部分である。
【0301】尚、触覚制御については、指の圧力を加え
るタイミングを予め設定しておき、当該タイミングにな
ったときに仮想映像による入力装置(キーボードやマウ
ス、ジョグダイヤル、トラックボール等)を視覚表示装
置上に表示して、仮想の入力装置への打鍵や釦操作によ
ってコマンドによる指示やデータ入力等を行うことがで
きる。
【0302】次に、装具に関する初期設定時に行うキャ
リブレーション処理について図72乃至図74に従って
説明する。
【0303】図72は、関節可動域(関節が動作する範
囲)やワイヤー長の時間的変化や、位置制御速度の最大
値を取得するための処理例を示すフローチャート図であ
る。
【0304】先ず、ステップS1では、対象者に装具を
装着してから、各ワイヤーの張力が一定の状態となるよ
うにワイヤー駆動部118を制御した上で、次ステップ
S2では、被験者(対象者)に対して動作の模倣を促す
ために音声情報(視覚表示及び音声出力装置11内の音
声出力装置113を通した音声ガイド)を伝える。
【0305】被験者に模倣してもらう動作については、
例えば、下記に示す例が挙げられる。
【0306】・手を前に出して拳をつくった状態での、
肘伸展、回内、第2乃至第5指のDIP、PIP、MP
屈曲、第1指のIP、MP屈曲 ・手で鉄アレイを把持して、これを上げてからの回外、
肘屈曲、指屈曲時の手首の掌屈 ・手を前に出して掌面を平らにした状態における、対立
の平坦位、第2乃至5指のMP外転、第1指のCM橈屈
外転 ・手首を下に曲げた状態からの指伸展時の手首の掌屈 ・手首を上に曲げた状態からの手首の背屈 ・手刀状態での、第2乃至第5指のDIP、PIP、M
P伸展とMP内転 ・親指を小指の付け根につけた状態での、対立の湾曲
位、第1指のCM尺屈内転。
【0307】次ステップS3では、模倣すべき動作を映
像情報として被験者に提供するために当該情報を視覚表
示及び音声出力装置11に送出する。そして、この装置
に映し出された手や腕の動作(模範動作)を示す映像
と、被験者の手や腕を撮影して得られる映像とがほぼ重
なるように被験者に動作を模倣してもらう。尚、模範動
作の映像と、被験者の映像を合成して視覚表示及び音声
出力装置11の映像出力装置112上に映し出すには、
例えば、ヘッドマウントディスプレイ等の視覚表示及び
音声出力装置11に撮像手段(CCD型やMOS型のエ
リアイメージセンサ等の固体撮像素子等。)を付設して
撮影した被験者の映像信号を入出力インターフェイス部
10を介して中央制御部9に一旦取り込んだ後、画像座
標系での位置補正及び模範動作を示す映像との画像合成
処理を施してから出力信号を視覚表示及び音声出力装置
11に送出すれば良い。
【0308】次ステップS4において、各ワイヤー長の
検出を行い、長さ変動が予め決められた基準範囲内であ
るか否かを位置認識部115aで判断する。そして、変
動が基準値以上の場合にはステップS3に戻って動作の
模倣を再実行してもらうが、そうでない場合には次ステ
ップS5に進む。
【0309】ステップS5では、予め決めておいた一定
の時間間隔(サンプリング周期)に従って計時を行うと
ともに、時間経過に伴う各ワイヤー長の変位量(動作開
始時におけるワイヤー長を基準としてサンプリング時刻
毎に検出したワイヤーの長さ変位)を示すデータを取得
した後で、ステップS6に進む。
【0310】例えば、図73のグラフ図に示すように、
横軸に時間「t」をとり、縦軸には、あるワイヤー長
「L」をとって、グラフ曲線gy(若者の場合)とグラ
フ曲線go(高齢者の場合)を概略的に示したものであ
る。尚、図中の「t0」は動作開始時点を示しており、
「ΔTs」はサンプリング(時間)間隔を示している。
また、「LO」は被験者の動作直前のワイヤー長、「L
1」は被験者の動作終了時のワイヤー長をそれぞれ示し
ている。つまり、ワイヤー長の変位量は「ΔL=L−L
0」で表され、その最大値(関節可動域)が「ΔLmax
=L1−L0」である。
【0311】図から分かるように、若者の場合には動作
開始直後からΔLが直ぐに立ち上がってL=L1に漸近
して飽和する様子が認められ、高齢者の場合には動作開
始直後からΔLがゆっくりと立ち上がって最終的にはL
=L1に飽和する様子が認められる。
【0312】よって、ある時刻t(=t0+n・ΔT
s、nは自然数。)におけるワイヤー長Lからその変位
量ΔL(関節角度や回内・回外角度等に対応する。)を
求めることができるので、このデータを時間情報ととも
に記憶手段に格納しておくことにより被験者の動作をワ
イヤー長の時間変化として取得することができる(この
処理が図72のステップS6である。)。尚、その際、
被験者の人体構造モデル(人体に関する力学的構造を示
す数値モデルであり、例えば、特願平10−266号
(特開平11−192214号)を参照。)を予めデー
タベース化したものを利用できる場合には、当該モデル
から得られる各関節の可動範囲や動作時間等を上記の検
出データと比較・対照をすることによって、例えば、被
験者の筋肉等に無理な力がかかっているか否か等を判断
することができる。
【0313】続くステップS7(図72参照。)では全
ての動作についてステップS6でのデータ取得が終了し
たか否かを判断し、終了時にはステップS8に進むが、
未終了時にはステップS2に戻る。
【0314】ステップS8では各ワイヤーの位置制御
(あるいはワイヤー長の制御)における最大速度(Vma
x)を算出する。
【0315】つまり、図73に示したグラフ曲線におけ
る勾配(あるいは傾き)を計算したとき、その中での最
大値がVmaxであり、これはワイヤー長の制御において
Vmaxを超える速度でワイヤーが引っ張られるのを禁止
するために必要である。尚、「Vmax=max(ΔLi/
ΔTs)である。但し、「ΔLi」は、整数変数を
「i」としたとき、時刻t=t0+i・ΔTsでのワイ
ヤー長L(i)と、時刻t=t0+(i+1)・ΔTs
でのワイヤー長L(i+1)との差、「L(i+1)−
L(i)」であり、また、max(X)は変数Xの変域
内での最大値を示す関数である。
【0316】このように、対象の動作変化に伴うワイヤ
ー長の時間的変化を示すt(時間)−L(ワイヤー長又
は位置変位)特性を取得するとともに、当該変化におけ
る勾配を算出することでワイヤー部材の駆動制御につい
て許容される制御速度の最大値又はこれに安全率を加味
した上限値を求めることができる。
【0317】図74は、力触覚提示量の最大値や、力覚
提示速度の最大値を取得するための処理例を示すフロー
チャート図である。
【0318】先ず、ステップS1では、装具の装着後に
おいて、ワイヤー駆動部118の制御によりワイヤー部
材の長さが一定となるように、ワイヤー長を一定値に保
った状態とし、また、指先への触覚提示については上記
触覚提示板(図67、68参照。)を指に接触させて、
この状態を保持した後、次ステップS2に進む。
【0319】ステップS2や次ステップS3について
は、図72のステップS2やS3と同様であり、被験者
に対して音声ガイドによる動作説明を行い、視覚表示及
び音声出力装置11に映し出される動作を模倣してもら
う。
【0320】続くステップS4では各ワイヤーの張力を
張力センサで検出して、その変動率が予め決められた基
準値以下であるか否かを力覚認識部115dが判断し、
そうであれば次ステップS5に進むが、そうでなければ
ステップS3に戻って動作を再実行してもらう。
【0321】ステップS5では、予め決めておいた一定
の時間間隔(サンプリング周期)に従って計時を行うと
ともに、時間経過に伴う各ワイヤーの張力変化(動作開
始時における張力値を基準としてサンプリング時刻毎に
検出したワイヤー張力の変化量)を示すデータを取得及
し、かつ、各時刻で指にかかる圧力値を圧力センサで検
出した後、ステップS6に進む。つまり、横軸を時間軸
とし、縦軸をワイヤーの張力又は指への圧力としたグラ
フ図において、図73での説明と同様の手順でサンプリ
ング時刻毎の検出データを得て、これを時間情報ととも
に記憶手段に格納しておくことにより、被験者の動作に
基づくワイヤー張力の変化(手や腕の動作に対応して被
験者に付与される力覚の度合を示す。)及び指への圧力
変化(指の動作に対応して被験者に付与される触覚の度
合を示す。)を取得することができる。
【0322】ステップS7では全ての動作についてのデ
ータ取得が終了したか否かを判断し、終了時にはステッ
プS8に進むが、未終了時にはステップS2に戻る。
【0323】ステップS8では各ワイヤーの張力制御に
おける最大速度及び触覚提示制御における最大印加圧
(最大提示圧)を算出する。つまり、前者の最大速度に
ついては、対象の動作変化に伴うワイヤー張力の時間的
変化を示すt(時間)−TS(ワイヤー張力)特性を取
得するとともに、当該変化における勾配を算出すること
で対象について許容される力覚提示速度の最大値又はこ
れに安全率を加味した上限値を求めることができ、この
値を超える張力に対応した力覚が被験者に提示されるの
を禁止するために必要である。また、後者の最大印加圧
は、検出された圧力値の最大値であり、これの値を超え
る圧力が指にかからないように規制するために必要であ
る。
【0324】以上に説明した力触覚提示装置の適用例と
しては、下記に示す分野が挙げられる。
【0325】・仮想現実を利用した各種のシミュレータ
ーや、テレリアリティ分野における遠隔操作時の力触覚
提示装置 ・仮想イリュージョンを利用したゲーム機器 ・医療分野における対偶の駆動補助や動力補助のための
装置 ・人体の関節自由度をそのままに模倣したマニピュレー
タやロボットアーム等。
【0326】最後の例については、人体の手や腕の関節
構造を模写して作成した骨格構造物に対して、上記した
装具やワイヤーを取り付けるとともに、ワイヤーの駆動
機構や駆動源等を骨格構造物に内蔵した構成のマニピュ
レータやハンドを作成することができる。そして、これ
らのマニピュレータに付設したのと全く同等の装具やワ
イヤー等を被験者の手腕に装着すれば、マニピュレータ
で物に触ったり持ち上げたりしたときの力触覚を、被験
者の手や腕にそのまま写して提示することができるよう
になる。
【0327】しかして、本実施例に係る力触覚提示装置
によれば、下記に示す利点を得ることができる。
【0328】・人体の関節だけを使用しているので、関
節構造や軸構造をもった外骨格機構部を人体に付設する
必要がない。よって、機構部の軽量化や薄型化に適して
おり、装着が容易であって、かつ動き易い。
【0329】・人体の筋配置を模倣したワイヤーの駆動
制御を実現し、当該ワイヤーの駆動部を効率的に装具に
配置することで省スペース化が可能である。また、ワイ
ヤー及びその駆動機構と、バネ部材を使った機構とを組
み合わせることで動力源やワイヤー駆動機構を削減でき
る。
【0330】・基本的には手部の背面にサポーターを付
設するだけで済むので、温度や触覚の提示機構を掌面に
設ける際に支障を来さない。
【0331】・サポーターによる圧迫やワイヤーによる
損傷等に対して安全対策を講じている。
【0332】・キーや釦等を触った瞬間の感触のよう
に、硬いものに触れたときの触覚提示が可能である。
【0333】・指先で素材を触った感触や、該素材が1
方向に流れて行くかの如き触覚提示が可能である。
【0334】・指先に温覚を提示できる。
【0335】・力覚提示用のワイヤー部材を動作認識の
ための検出手段として使用することでモーションキャプ
チャーの機能を実現できる。
【0336】
【発明の効果】以上に記載したところから明らかなよう
に、請求項1や請求項2に係る発明によれば、対象に装
着した被覆部材のうち、対をなす被覆部材の姿勢に係る
相対位置情報を得ることができ、対象に外付けして使用
する大掛かりな機構部品が必要ないので、装置の軽量化
に適しており、動作の悪化や体力の消耗等への影響が少
ない。また、被覆部材を対象に装着するのに要する作業
時間程度で済むので、準備作業に手間取ることはなくな
り、対象の動作許容範囲について制約を受けることもな
い。
【0337】請求項3や請求項4に係る発明によれば、
第1の被覆部材に付設された光源や目印の光学的検出に
よって第1、第2の被覆部材に関する相対的な位置関係
を容易に取得することができる。
【0338】請求項5や請求項6に係る発明によれば、
4点以上の光源や目印の位置を結んでできる平面図形を
認識することで、これらの位置関係の把握が容易にな
る。
【0339】請求項7乃至10に係る発明によれば、光
源の点滅周期や点滅パターンによって各光源を簡単に区
別できる。
【0340】請求項11や請求項12に係る発明によれ
ば、第1の被覆部材に付設された磁界発生源の磁気的検
出によって第1、第2の被覆部材に関する相対的な位置
関係を容易に取得することができる。
【0341】請求項13や請求項14に係る発明によれ
ば、複数の磁界発生源についての磁気検出が競合しない
ように時分割処理によって各磁気検出を行うことができ
るので、誤検出の発生を防止できる。
【0342】請求項15や請求項16に係る発明によれ
ば、ワイヤー部材を使ってその長さ変位を検出すること
で動作認識が可能となるので、例えば、ワイヤー部材を
用いた力触覚提示装置では、力覚提示のためのワイヤー
部材と動作認識用のワイヤー部材とを兼用することがで
きる。
【0343】請求項17や請求項18に係る発明によれ
ば、一対のワイヤー部位を使って腕の回内・回外動作の
認識が可能となり、簡単な構成で済む。
【0344】請求項19に係る発明によれば、手指の屈
曲位又は伸展位の方向への付勢力を得るための弾性部材
を用いることで、被覆部材に対して付設するワイヤー部
材の数を低減することができるので、機構を簡素化でき
る。
【0345】請求項20や請求項26に係る発明によれ
ば、可撓性を有する管状部材にワイヤー線材を通した構
成を用いることによってワイヤー駆動時における対象へ
の損傷を防止することができ、かつワイヤー部材の強度
を増強することができる。
【0346】請求項21や請求項33に係る発明によれ
ば、対象に重量の嵩む機構部品を装着することなくワイ
ヤー部材の駆動制御だけで力触覚を提示することができ
る。
【0347】請求項22に係る発明によれば、駆動手段
によって、一方のワイヤー部材の緊張と他方のワイヤー
部材の弛緩の状態を制御することで容易に回内・回外動
作に係る力覚を提示できる。
【0348】請求項23に係る発明によれば、駆動手段
によってワイヤー部材を弾性部材による付勢力に抗して
引っ張ることによって、手や指の屈曲・伸展動作に係る
力覚を提示できる。
【0349】請求項24に係る発明によれば、弾性部材
として渦巻バネを用いて被覆部材をその側面で連結する
ことによって、関節部の瞬間的な中心移動や被覆部材の
ずれ等に起因する動作時の違和感を軽減することができ
る。
【0350】請求項25に係る発明によれば、弾性部材
としてコイルバネを用いてこれを被覆部材の背面に取り
付けるによって屈曲動作時におけるバネの干渉を防止す
ることができる。
【0351】請求項27や請求項34に係る発明によれ
ば、ワイヤー部材を介して対象に過度の力が加わらない
ように危険防止対策を講じることができる。
【0352】請求項28に係る発明によれば、ワイヤー
部材に固定した永久磁石又は磁性体と、駆動手段側の電
磁石とによって電磁クラッチ機構を簡単に構成できる。
【0353】請求項29に係る発明によれば、内転・外
転のための回動機構を各指に付設することによって、指
の動作への追従性を向上させることができる。
【0354】請求項30に係る発明によれば、手の平坦
位や湾曲位に対して被覆部材の形状変形がし易くなり、
手の甲の形状に対する追従性が向上する。
【0355】請求項31に係る発明によれば、手部の対
立動作が容易になり、また、各指の被覆部材同士をV字
状バネで連結することによって強度を向上させることが
できる。
【0356】請求項32に係る発明によれば、装具の着
脱がし易くなり、装着時間等を短縮できる。
【0357】請求項35に係る発明によれば、ワイヤー
部材の張力を一定に保った状態で、対象の動作時におけ
るワイヤー長の時間的変化を示す情報を取得すること
で、ワイヤー長に対応する関節可動域がどれくらいであ
るか及びワイヤー駆動の制御速度の許容上限値を取得す
ることができるので、対象にとって危険のない範囲でワ
イヤー部材の駆動制御を行うことができる。
【0358】請求項36に係る発明によれば、ワイヤー
部材の長さを一定に保った状態で、対象の動作時におけ
るワイヤー張力の時間的変化を示す情報を取得すること
で、ワイヤー張力変化の範囲がどれくらいであるか及び
力覚提示量の許容上限値を取得することができるので、
対象にとって危険のない範囲で力覚提示を行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前腕及び上腕の骨格構造を示す説明図である。
【図2】図3とともに被覆部材の一例を概略的に示ず図
であり、本図は前腕の回外時において掌面側から見た被
覆部材の取り付け状態を示す。
【図3】過度の回内時に肘側から見た被覆部材の取り付
け状態を示す図である。
【図4】図5とともに光学的検出方法について説明する
ための図であり、本図は前腕の回内・回外動作の認識を
行う場合の説明図である。
【図5】流し撮りによる検出方法について説明するため
のグラフ図である。
【図6】磁気的検出方法を用いて前腕の回内・回外動作
の認識を行う場合の説明図である。
【図7】図8乃至図12とともに、一対のワイヤー部材
を使った認識方法について説明するための図であり、本
図は前腕の回外状態における一方のワイヤー部材WAの
配置を示す。
【図8】回外状態における他方のワイヤー部材WBの配
置を示す図である。
【図9】図10とともに前腕の立位状態におけるワイヤ
ー部材の配置を示す図であり、本図は一方のワイヤー部
材WAの配置を示す。
【図10】立位状態における他方のワイヤー部材WBの
配置を示す図である。
【図11】図12とともに前腕の回内状態におけるワイ
ヤー部材の配置を示す図であり、本図は一方のワイヤー
部材WAの配置を示す。
【図12】回内状態における他方のワイヤー部材WBの
配置を示す図である。
【図13】肘部サポーターにおけるワイヤー部材の駆動
機構部の配置例を示す図である。
【図14】プーリーを経由してワイヤー部材を駆動機構
部に接続するように構成した例を示す図である。
【図15】肘部サポーターの底部にワイヤー部材の駆動
機構部を配置した例を示す図である。
【図16】指部における筋配置を概略的に示す側面図で
ある。
【図17】装置の基本構成例を示す図である。
【図18】図19乃至図74とともに、本発明の実施の
一例を示すものであり、本図は仮想現実と仮想イリュー
ジョンの概念に関する説明図である。
【図19】装置構成の概要を示す図である。
【図20】図21及び図22とともに対象者への装具の
装着について説明するための図であり、本図は手指サポ
ーターや前腕部サポーターの人体への装着方向に対し
て、上腕部サポーターの人体への装着方向が反対方向に
なっている例を示す。
【図21】各サポーターの人体への装着方向が統一され
ている例を示す図である。
【図22】各サポーターを人体に装着した状態を示す図
である。
【図23】手部サポーターの全体を概略的に示す図であ
る。
【図24】甲側からみた手部サポーターを概略的に示す
図である。
【図25】側面からみた手部サポーターを概略的に示す
図である。
【図26】渦巻バネの形状例を示す図である。
【図27】多連構造の渦巻バネ群と、その使用例を示す
図である。
【図28】バネ強度の調節機構を被覆部に付設した状態
を示す指部の側面図である。
【図29】バネ強度の調節機構について構成例を示す図
である。
【図30】バネ強度の調節機構について別例を示す図で
ある。
【図31】調節機構を渦巻バネの付け根に設けた構成例
を示す図である。
【図32】指の大きさに合わせた被覆部の調整機構例を
概略的に示す図である。
【図33】被覆部の背面に蝶番式コイルバネを用いた構
成例を示す図である。
【図34】手部サポーターにおけるワイヤー配置につい
て甲側からみた図である。
【図35】手部サポーターにおけるワイヤー配置につい
て拇指側からみた図である。
【図36】ワイヤー端の処理例を示す説明図である。
【図37】MP関節付近の被覆部に設けられたV字状バ
ネの配置を示す図である。
【図38】V字状バネの形状例を示す図である。
【図39】甲面サポーターの構成例を示す図である。
【図40】蝶番バネの形状例を示す図である。
【図41】蝶番バネの支持機構の要部を示す図である。
【図42】甲面サポーターの別例を示す図である。
【図43】内転・外転のための動作機構の一例を示す図
である。
【図44】内転・外転のための動作機構に磁石を使った
例を示す図である。
【図45】内転・外転のための動作機構の別例を示す図
である。
【図46】3つの渦巻バネを並設した連結構造の要部を
示す図である。
【図47】スライド式反力調整機構の構成例を示す図で
ある。
【図48】図49とともに拇指のCM関節における対立
動作機構について説明するための図であり、本図は甲側
からみた図である。
【図49】拇指の動作軸に直交する方向からみた図であ
る。
【図50】手首サポーターの装着についての説明図であ
る。
【図51】ワイヤー駆動機構の一例を示す図である。
【図52】ワイヤー駆動機構の別例を示す図である。
【図53】電磁クラッチ機構例を示す図である。
【図54】図55とともに手部サポーターを示す図であ
り、本図は甲側からみた図である。
【図55】ワイヤー部材だけを抽出してそれらの配置を
示した図である。
【図56】手指サポーターにおけるワイヤーの支持例を
示す図である。
【図57】指部について初期状態(外転・平坦位)と、
内転・湾曲位の状態をそれぞれ示した図である。
【図58】甲面サポーターにおけるワイヤー部材の配置
を示す図である。
【図59】手関節の動作に関するワイヤー部材の配置に
ついて説明するための図である。
【図60】図61とともに、手首サポーターの状態保持
機構の一例を示す図であり、本図は指関節の屈曲状態を
示す。
【図61】指関節の伸展状態を示す図である。
【図62】回内・回外動作にかかるワイヤー部材の配置
を示す図である。
【図63】回外、立位、回内状態を示す説明図である。
【図64】C字状のガイド部材を前腕部サポーターの側
面に付設した構成例を示す図である。
【図65】肘部結合用サポーターの構成例を示す図であ
る。
【図66】前腕部サポーターと上腕部サポーターの構成
例を示す図である。
【図67】触覚呈示機構の一例を示す図である。
【図68】触覚呈示機構の別例を示す図である。
【図69】視覚・聴覚情報に関する情報処理部分の構成
例を示す図である。
【図70】位置及び力覚制御部と、触覚及び温覚制御部
の構成例を示す図である。
【図71】電磁クラッチ機構を用いた制御動作の一例を
示したフローチャート図である。
【図72】関節可動域やワイヤー長の時間的変化、位置
制御速度の最大値を取得するための処理例を示すフロー
チャート図である。
【図73】ワイヤー長さの時間的変化を示すグラフ図で
ある。
【図74】力触覚提示量の最大値や力覚提示速度の最大
値を取得するための処理例を示すフローチャート図であ
る。
【符号の説明】
1…動作認識装置(又は力触覚提示装置)、2…被覆部
材、3…ワイヤー部材、4…駆動手段、8、12…装
具、13…渦巻バネ、36…コイルバネ、40…V字状
バネ、41…蝶番部材、42…支持機構、47…回動機

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象の動作を認識して当該動作に対応し
    たデータを出力するための動作認識装置において、 対象の骨格構造を構成する関節部の近辺にそれぞれ装着
    される一対又は複数対の被覆部材と、 上記被覆部材同士の相対的な位置関係を検出するため
    に、対をなす被覆部材のそれぞれに付設され又は両被覆
    部材に亘って付設された位置検出手段とを備え、 上記位置検出手段が、ある被覆部材の位置を基準とし
    て、当該被覆部材に関して対をなす他の被覆部材の姿勢
    に係る相対位置情報を出力することを特徴とする動作認
    識装置。
  2. 【請求項2】 対象の動作を認識して当該動作に対応し
    たデータを取得する動作認識方法において、 対象の骨格構造を構成する関節部に一対の又は複数対の
    被覆部材を付設した後、 ある被覆部材の位置を基準として、当該被覆部材に関し
    て対をなす他の被覆部材の姿勢に係る相対位置情報を検
    出し、 上記相対位置情報を総合して対象又は対象部位の動作全
    体を認識することを特徴とする動作認識方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載した動作認識装置におい
    て、 対をなす被覆部材のうち、第1の被覆部材に付設された
    複数の光源又は目印と、該光源又は目印からの光を検出
    するために第2の被覆部材に付設された光検出手段とに
    よって、位置検出手段が構成されていることを特徴とす
    る動作認識装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載した動作認識方法におい
    て、 対をなす被覆部材のうち、第1の被覆部材に複数の光源
    又は目印を付設し、これらによる発光又は反射光を第2
    の被覆部材に付設した光検出手段で検出することによっ
    て、第2の被覆部材を基準とした上記第1の被覆部材の
    姿勢に係る相対位置情報を検出することを特徴とする動
    作認識方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載した動作認識装置におい
    て、 第1の被覆部材に付設された4つ以上の光源又は目印の
    位置を検出することにより、当該4点を結んでできる図
    形を含む平面を認識する撮像手段が第2の被覆部材に付
    設されていることを特徴とする動作認識装置。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載した動作認識方法におい
    て、 第1の被覆部材に付設された4つ以上の光源又は目印の
    位置を検出して、当該4点を結んでできる図形を含む平
    面を認識することを特徴とする動作認識方法。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載した動作認識装置におい
    て、 点滅周期又は点滅パターンがそれぞれ異なる光源が第1
    の被覆部材に付設されていることを特徴とする動作認識
    装置。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載した動作認識方法におい
    て、 複数の光源について、それらが異なる点滅周期又は点滅
    パターンで発光するように設定することで各光源を区別
    することを特徴とする動作認識方法。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載した動作認識装置におい
    て、 点滅周期又は点滅パターンがそれぞれ異なる光源が第1
    の被覆部材に付設されていることを特徴とする動作認識
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載した動作認識方法にお
    いて、 複数の光源について、それらが異なる点滅周期又は点滅
    パターンで発光するように設定することで各光源を区別
    することを特徴とする動作認識方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載した動作認識装置にお
    いて、 対をなす被覆部材のうち、第1の被覆部材に付設された
    磁界発生源と、該磁界発生源による磁界を検出するため
    に第2の被覆部材に付設された磁気検出手段とによっ
    て、位置検出手段が構成されていることを特徴とする動
    作認識装置。
  12. 【請求項12】 請求項2に記載した動作認識方法にお
    いて、 対をなす被覆部材のうち、第1の被覆部材に磁界発生源
    を付設し、これらによる磁界を第2の被覆部材に付設し
    た磁気検出手段で検出することによって、第2の被覆部
    材を基準とした上記第1の被覆部材の姿勢に係る相対位
    置情報を検出することを特徴とする動作認識方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載した動作認識方法に
    おいて、 複数の磁界発生源に対して1つの磁気検出手段により検
    出を行う場合には、各磁気検出が同時に行われないよう
    に時分割処理によって個々の磁界発生源について順次に
    磁気検出を行うことを特徴とする動作認識方法。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載した動作認識方法に
    おいて、 磁界発生源とこれに対応する磁気検出手段とを一組にし
    て複数組について磁気検出を行う際には、それぞれの磁
    気検出が同時に行われないように時分割処理によって個
    々の磁界発生源について順次に磁気検出を行うことを特
    徴とする動作認識方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載した動作認識装置にお
    いて、 対をなす被覆部材に亘って架け渡された複数対のワイヤ
    ー部材と、該ワイヤー部材の長さを検出するための検出
    手段とによって、位置検出手段が構成されていることを
    特徴とする動作認識装置。
  16. 【請求項16】 請求項2に記載した動作認識方法にお
    いて、 対をなす被覆部材に亘って複数対のワイヤー部材を架け
    渡して、該ワイヤー部材の長さを検出することによっ
    て、一方の被覆部材を基準とした他方の被覆部材の姿勢
    に係る相対位置情報を検出することを特徴とする動作認
    識方法。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載した動作認識装置に
    おいて、 前腕の肘部付近に装着される第1の被覆部材と、手首に
    おける尺骨及び橈骨の突起部分に装着される第2の被覆
    部材を備え、 上記第1の被覆部材から第2の被覆部材に亘って一対の
    ワイヤー部材が架け渡されていることを特徴とする動作
    認識装置。
  18. 【請求項18】 請求項16に記載した動作認識方法に
    おいて、 前腕の肘部付近に第1の被覆部材を装着するとともに、
    手首における尺骨及び橈骨の突起部分に第2の被覆部材
    を装着し、 上記第1の被覆部材から第2の被覆部材に亘って一対の
    ワイヤー部材を架け渡してこれらのワイヤーの長さを検
    出することにより前腕の回内又は回外動作の状態を認識
    することを特徴とする動作認識方法。
  19. 【請求項19】 請求項15に記載した動作認識装置に
    おいて、 手や指の背面に装着される複数の被覆部材と、 上記被覆部材のうちの隣り合う部材同士を連結するとと
    もに、手指の屈曲位又は伸展位の方向に力を付勢するた
    めの弾性部材と、 上記被覆部材にそれぞれ付設された複数対のワイヤー部
    材とを有することを特徴とする動作認識装置。
  20. 【請求項20】 請求項15に記載した動作認識装置に
    おいて、 可撓性を有する管状部材にワイヤー線材を通すことによ
    ってワイヤー部材が構成されていることを特徴とする動
    作認識装置。
  21. 【請求項21】 ワイヤー部材を用いて対象者に力触覚
    を提示する力触覚提示装置であって、 対象者に装着して使用する複数の装具と、 上記装具を構成する被覆部材のうち、対をなす被覆部材
    に亘って架け渡された複数対のワイヤー部材と、 上記ワイヤー部材を駆動する駆動手段と、 上記ワイヤー部材の長さを検出するためのワイヤー長検
    出手段と、 上記ワイヤー部材の張力を検出するためワイヤー張力検
    出手段とを備えていることを特徴とする力触覚提示装
    置。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 前腕の肘部付近に装着される第1の被覆部材と、手首に
    おける尺骨及び橈骨の突起部分に装着される第2の被覆
    部材とを備え、 上記第1の被覆部材と第2の被覆部材とに亘って一対の
    ワイヤー部材が架け渡されており、駆動手段によって一
    方のワイヤー部材を引っ張り、かつ他方のワイヤーを緩
    めることで前腕の回内又は回外動作を提示することを特
    徴とする力触覚提示装置。
  23. 【請求項23】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 手や指の背面に装着される複数の被覆部材と、 上記被覆部材のうちの隣り合う部材同士を連結するとと
    もに、手指の屈曲位又は伸展位の方向に力を付勢するた
    めの弾性部材と、 上記被覆部材にそれぞれ付設された複数対のワイヤー部
    材とを有し、 手指の屈曲又は伸展時には、駆動手段が、複数対のワイ
    ヤー部材を上記弾性部材による付勢力に抗して引っ張る
    ことを特徴とする力触覚提示装置。
  24. 【請求項24】 請求項23に記載した力触覚提示装置
    において、 弾性部材が渦巻バネを用いて構成され、隣り合う被覆部
    材同士がそれらの側面において一対の渦巻バネで連結さ
    れていることを特徴とする力触覚提示装置。
  25. 【請求項25】 請求項23に記載した力触覚提示装置
    において、 弾性部材がコイルバネを用いて構成され、隣り合う被覆
    部材同士がそれらの背面においてコイルバネで連結され
    ていることを特徴とする力触覚提示装置。
  26. 【請求項26】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 可撓性を有する管状部材にワイヤー線材を通すことによ
    ってワイヤー部材が構成されていることを特徴とする力
    触覚提示装置。
  27. 【請求項27】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 ワイヤー部材の端部が、電磁クラッチ機構を介して駆動
    手段に結合されており、ワイヤーの張力が閾値を超えた
    場合に、ワイヤー部材と駆動手段との結合が解除される
    ことを特徴とする力触覚提示装置。
  28. 【請求項28】 請求項27に記載した力触覚提示装置
    において、 ワイヤー部材に対して固定された永久磁石又は磁性体
    と、駆動手段のうちワイヤー部材との結合部分に設けら
    れた電磁石とによって、電磁クラッチ機構が構成されて
    いることを特徴とする力触覚提示装置。
  29. 【請求項29】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 手の甲の背面に装着される被覆部材には、内転及び外転
    のための回動機構が指毎に付設されており、各指の被覆
    部材に対してそれぞれ設けられた一対のワイヤー部材を
    各別に駆動することで内転及び外転動作を制御するよう
    にしたことを特徴とする力触覚提示装置。
  30. 【請求項30】 請求項29に記載した力触覚提示装置
    において、 手の甲の背面に装着される被覆部材が複数の構成部材か
    らなるとともに、各構成部材が蝶番部材で連結されてお
    り、かつ、連結された部材同士の間隔を自在に変化させ
    るためのスライド型支持機構が蝶番部材に対して設けら
    れていることを特徴とする力触覚提示装置。
  31. 【請求項31】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 各指の付け根の部分にそれぞれ装着される被覆部材の間
    には、コイル部と該コイル部から突設された2本のバネ
    掛け部から構成されるV字状バネを配置して各バネ掛け
    部を隣り合う被覆部材にそれぞれ固定したことを特徴と
    する力触覚提示装置。
  32. 【請求項32】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    において、 装具の着脱時に対偶の状態を一時的に保持するための保
    持機構を設けたことを特徴とする力触覚提示装置。
  33. 【請求項33】 請求項21に記載した力触覚提示装置
    の制御方法において、 一対のワイヤー部材のうち、一方のワイヤー部材を緊張
    させて引っ張る際には、他方のワイヤー部材を緩めるこ
    とで関節の屈曲・伸展動作又は回内・回外動作を制御す
    ることを特徴とする力触覚提示装置の制御方法。
  34. 【請求項34】 請求項33に記載した力触覚提示装置
    の制御方法において、 ワイヤー部材にかかる張力が閾値を超えた場合にワイヤ
    ー部材とその駆動手段との連結を解除することで、対象
    にそれ以上の大きな力がかからないように制御すること
    を特徴とする力触覚提示装置の制御方法。
  35. 【請求項35】 請求項33に記載した力触覚提示装置
    の制御方法において、 対象に装具を装着してから、ワイヤー部材にかかる張力
    が一定となるように制御した後、 対象の動作変化に伴うワイヤー長の時間的変化を示すt
    (時間)−L(ワイヤー長又は位置変位)特性を取得す
    るとともに、当該変化における勾配を算出することでワ
    イヤー部材の駆動制御について許容される制御速度の最
    大値又はこれに安全率を加味した上限値を求めることを
    特徴とする力触覚提示装置の制御方法。
  36. 【請求項36】 請求項33に記載した力触覚提示装置
    の制御方法において、 対象に装具を装着してから、ワイヤー部材の長さが一定
    となるように制御した後、 対象の動作変化に伴うワイヤー張力の時間的変化を示す
    t(時間)−TS(ワイヤー張力)特性を取得するとと
    もに、当該変化における勾配を算出することで対象につ
    いて許容される力覚提示速度の最大値又はこれに安全率
    を加味した上限値を求めることを特徴とする力触覚提示
    装置の制御方法。
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