JP2001131878A - 立毛加工性に優れたシート状物およびその製造方法 - Google Patents

立毛加工性に優れたシート状物およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の繊維立毛密度に優れ、染色異色性の発
現し難いスエード調人工皮革等の立毛シートを得るに適
した立毛加工性に優れたシート状物を提供する。 【解決手段】 溶剤溶解性および軟化点温度の異なる高
軟化点重合体Aと低軟化点重合体Bからなる極細繊維化
可能な複合繊維で形成された繊維集合体の少なくとも一
面を、低軟化点重合体Bの軟化点温度以上、高軟化点重
合体Aの軟化点温度以下で且つ低軟化点重合体Bの軟化
点温度+70℃以下の温度に加熱した面に接触させて、
表面に厚さ0.05〜0.50mmの融着層を有する繊
維質基材となし、次いで高分子弾性重合体を含浸処理す
ることにより立毛加工性に優れたシート状物を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面の繊維立毛密
度に優れ、染色異色性のないスエード調人工皮革等の立
毛シートを得るに適した立毛加工性に優れたシート状物
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維等の極細繊維と高分子
弾性重合体とからなるスエード調人工皮革の製造方法と
しては、該極細繊維からなる繊維質基材に高分子弾性重
合体を含浸した後に起毛加工し、次いで染色処理する方
法が一般的である。しかし、このような方法では表面に
高分子弾性重合体が残留しやすいため、該重合体と極細
繊維との染色性の違いから、染色後の製品に表面異色性
が現れやすいという問題がある。特に極細繊維がポリエ
ステル繊維で高分子弾性重合体がポリウレタンエラスト
マーであるスエード調人工皮革の場合には、分散染料で
染色するのが一般的であるが、通常分散染料による染色
では染色堅牢度を向上させる目的で染色後還元洗浄が施
されるため、ポリウレタンエラストマー中に吸着された
分散染料が還元されてポリエステル繊維とポリウレタン
エラストマーとの間に染色異色性が現れやすい。一方、
極細繊維がナイロン繊維で高分子弾性重合体がポリウレ
タンエラストマーの場合には、含金染料で繊維とポリウ
レタンエラストマーとを同時に染色するのが一般的であ
るが、両者を同一色に染色することが困難であるため、
上記と同じく染色異色性が現れやすい。
【0003】このようなスエード調人工皮革等の立毛シ
ートの表面異色性の問題を改善するため、従来立毛シー
トの立毛密度を上げる方法、繊維質基材の表面層におけ
る高分子重合体の含浸量を低減させる方法等の各種方法
が提案されている。例えば、特公昭47−44606号
公報には繊維質基材の立毛面となる側を糊剤処理する方
法、また、特公昭53−35122号公報には糊剤処理
した後さらに加熱ロールで圧縮固定する方法により、立
毛面となる部分の高分子弾性重合体含浸量を少なくする
ことが開示されている。
【0004】しかしながら、これらの方法では、繊維質
基材の厚み方向への該糊剤の浸透深さを制御することが
困難であり、また繊維質基材の目付斑に対応して糊剤の
付着斑が発生しやすいという問題がある。さらには、使
用した糊剤を除去する工程が必要となるため、工程が繁
雑になると共にコストも高くなるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、
糊剤処理を施さなくても、表面立毛密度が向上すると共
に表面の高分子弾性重合体含浸量が低減した立毛シート
を得ることができ、染色しても表面の染色異色性が発現
しない立毛シートを得るに適した立毛加工性に優れたシ
ート状物およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、上記目的は、溶剤溶解性および軟化点温度の異なる
高軟化点重合体成分(A)と低軟化点重合体成分(B)
とからなる極細繊維化可能な複合繊維から形成された繊
維質基材と、該繊維質基材の空隙に含有せしめた高分子
弾性重合体とから構成されるシート状物において、該シ
ート状物の少なくとも一方の面には、前記複合繊維の低
軟化点重合体成分(B)の融着による厚さ0.05〜
0.50mmの融着層が存在し、且つ該融着層には前記
高分子弾性重合体が実質的に含有されていないシート状
物により達成できることが見出された。
【0007】さらに別の目的は、溶剤溶解性および軟化
点温度の異なる高軟化点重合体成分(A)と低軟化点重
合体成分(B)とからなる極細繊維化可能な複合繊維か
ら形成された繊維集合体の少なくとも一方の面を、該低
軟化点重合体成分(B)の軟化点温度以上、高軟化点重
合体成分(A)の軟化点温度以下で且つ低軟化点重合体
成分(B)の軟化点温度+70℃以下の温度に加熱した
面に接触させ、該接触面の表面層の複合繊維を少なくと
も一部融着させて表面に融着層を有する繊維質基材とな
し、次いで該繊維質基材の非融着層部に高分子弾性重合
体を含浸処理するシート状物の製造方法により達成でき
ることが見出された。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の繊維質基材を形成するに使
用される極細繊維化可能な複合繊維とは、溶剤溶解性お
よび熱軟化点温度の異なる高軟化点重合体成分(A)と
低軟化点重合体成分(B)とからなるもので、例えば低
軟化点重合体成分(B)を溶解除去等の極細繊維化処理
することによって極細繊維とすることができるもの(通
常は高軟化点重合体成分(A)が極細繊維となる)をい
い、上記2種の重合体を通常の複合紡糸して得た複合繊
維、2種を混合した後に紡糸した混合紡糸繊維等、いず
れであってもよい。なお、ここでいう軟化点温度はJI
S K6760法にしたがって測定したもので、高軟化
点重合体成分(A)と低軟化点重合体成分(B)との間
の軟化点温度差は70℃以上が適当である。該温度差が
小さくなりすぎると、後述する融着層を有する繊維質基
材を製造する際の条件の許容範囲が狭くなる。なお、該
温度差があまりに大きくなりすぎると、複合繊維を紡糸
する際に低軟化点重合体成分(B)が熱分解する場合が
あるので、該温度差の上限は該低軟化点重合体成分が熱
分解しない温度、特に250℃以下であることが好まし
い。一方、溶剤溶解性が同じである場合には、後述する
極細繊維化処理ができなくなるので好ましくない。
【0009】極細繊維の一方成分である高軟化点重合体
成分(A)としては、例えばナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ルを挙げることができる。
【0010】また、極細繊維の他方成分である低軟化点
重合体(B)としては、上記高軟化点重合体成分(A)
よりも軟化点が低く且つ溶剤に対する溶解性が異なるも
のであれば任意であり、例えばポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、高分子量ポリエチレングリコー
ル、ポリアクリレート等が挙げられる。さらには、ポリ
アミドやポリエステルであってもよい。
【0011】かかる複合繊維は、例えば短繊維にした後
にカードとクロスレイヤーでウェブとなし、次いでニー
ドルパンチングを施して絡合不織布等の繊維集合体とな
す。引続いて、得られた繊維集合体の少なくとも一面
を、例えば低軟化点重合体成分(B)の軟化点温度以
上、高軟化点重合体成分(A)の軟化点温度以下で且つ
低軟化点重合体成分(B)の軟化点+70℃以下の温度
に加熱した面に接触させ、該接触面の表面層の複合繊維
を少なくとも一部融着させて、低軟化点重合体成分
(B)の熱融着による厚さ0.05〜0.50mm、好
ましくは0.05〜0.40mm、特に好ましくは0.
05〜0.20mmの融着層を少なくとも一方の面に有
する繊維質基材となす。なお、ここでいう融着層とは、
複合繊維間の低軟化点重合体が互に融着し合って、実質
的に空隙を有さない層を形成している状態をいう。融着
層がかかる状態にあるので、後に高分子弾性重合体溶液
を含浸処理する際、該溶液が融着層に実質的に含浸され
ないようになるのである。
【0012】ここで繊維集合体の面に接触させる加熱面
の温度は、低軟化点重合体成分(B)の軟化点温度以下
の場合には融着層が形成されず、一方低軟化点重合体成
分(B)の軟化点+70℃以上の温度では加熱面に得ら
れる繊維質基材が付着するなどの不都合を生じ、また高
軟化点重合体成分(A)の軟化点温度を超える場合には
得られる繊維質基材の機械的特性が不十分となるので好
ましくない。好ましい温度範囲は、低軟化点重合体成分
(B)の軟化点+10℃の温度以上、低軟化点重合体成
分(B)の軟化点+55℃の温度以下、より好ましくは
低軟化点重合体成分(B)の軟化点+20℃の温度以
上、低軟化点重合体成分(B)の軟化点+45℃の温度
以下である。
【0013】繊維質基材の融着層の厚さが0.05mm
未満の場合には、最終的に得られる立毛製品の立毛長が
短くなりすぎて染色異色性が発現するので好ましくな
い。逆に0.50mmを超える場合には、最終的に得ら
れる立毛製品の立毛長が長くなりすぎて外観品位が低下
し、人工皮革用としては好ましくなくなる。なお、この
融着層の厚さは、接触加熱面の温度、接触時間、接触時
の負荷圧力等を適宜選択することにより制御可能であ
る。
【0014】本発明のシート状物は、例えば上記のよう
にして製造された少なくとも一方の面に融着層を有す
る、極細繊維化可能な複合繊維から形成された繊維質基
材の空隙部に高分子弾性重合体を含有せしめたものであ
る。
【0015】好ましく用いられる高分子弾性重合体とし
ては、ポリウレタンエラストマー、ポリウレアエラスト
マー、ポリウレタン・ウレアエラストマー、ポリアクリ
ル酸エステル系エラストマー、アクリロニトリル・ブタ
ジエンエラストマー、スチレン・ブタジエンエラストマ
ー等が挙げられる。なかでも、ポリウレタンエラストマ
ー、ポリウレアエラストマー、ポリウレタン・ウレアエ
ラストマー等のポリウレタン系エラストマーが好まし
い。これらのポリウレタン系エラストマーは、平均分子
量500〜4000のポリエーテルグリコール、ポリエ
ステルグリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポ
リカーボネートグリコール等から選ばれた少なくとも1
種のポリマーグリコールと、4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ト
リレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイ
ソシアナート、イソフォロンジイソシアナート等の有機
ジイソシアナートと、低分子グリコール、ジアミン、ヒ
ドラジン、有機酸ヒドラジット、アミノ酸ヒドラジット
等のヒドラジン誘導体から選ばれた少なくとも1種の鎖
伸長剤とを反応させて得られたものである。なお、この
高分子弾性重合体中には、着色剤等の添加剤を配合して
いてもよい。
【0016】このような高分子弾性重合体の、前記融着
層を除いた繊維質基材部分の複合繊維重量(したがって
本発明のシート状物の融着層以外の部分の複合繊維重量
と同一)に対する含有量は、10〜120重量%、好ま
しくは20〜80重量%の範囲とするのが適当である。
該弾性重合体の含有量が10重量%未満の場合には、皮
革様の風合を有する立毛シートを得ることが困難になっ
てペパーライクなものとなりやすく、逆に120重量%
を超える場合では、ゴムライクなものとなって同じく皮
革様の風合を有する立毛シートは得難くなる。
【0017】次に、上記高分子弾性重合体を前記繊維質
基材中の空隙部に含有させる方法としては、例えば、該
弾性重合体を有機溶剤溶液または分散液(水性エマルジ
ョンを含む)となして該繊維質基材に含浸させ、次いで
該高分子弾性重合体を繊維質基材中で凝固させればよ
い。高分子弾性重合体を凝固させるための具体的方法と
しては、従来公知の湿式凝固法、乾式凝固法のいずれを
も採用することができる。なお、高分子弾性重合体の溶
剤溶液は、非融着層に均一に浸透させることが好まし
い。
【0018】ここで使用される高分子弾性重合体の有機
溶剤溶液の溶剤としては、前記高軟化点重合体成分
(A)および低軟化点重合体成分(B)を実質的に溶解
しないものであれば任意で、例えばジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N
−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、
メチルエチルケトン等の有機溶剤を挙げることができ
る。該溶液の好ましい濃度範囲は8〜20重量%であ
り、該溶液には多孔調整剤、着色剤等の任意の添加剤を
配合しても構わない。
【0019】以上に説明した本発明のシート状物は、使
用した極細繊維化可能な複合繊維の種類に適した従来公
知の方法により極細繊維化処理する。例えば極細繊維と
なる方の重合体が高軟化点重合体成分(A)である場合
には、低軟化点重合体(B)を溶解するが高軟化点重合
体成分(A)は溶解し難い溶剤で処理して低軟化点重合
体(B)を溶解除去して極細繊維化する。低軟化点重合
体(B)成分がポリエチレン等のポリオレフィンの場合に
は、これを溶解除去する溶解除去する溶媒としてはベン
ゼン、トルエン、キシレン等が好ましい。
【0020】かくして得られるシートは、前記繊維質基
材の融着層を有する側に高分子弾性重合体が実質的に存
在しない極細繊維の層を有しているので、表面立毛密度
の高いスエード調人工皮革用基材として極めて好適であ
る。
【0021】かかるスエード調人工皮革用基材は、従来
公知の方法により該弾性重合体を含有しない極細繊維層
を起毛することにより、表面立毛密度が高く、しかも染
色しても表面の染色異色性が発現しない優れた立毛シー
ト(スエード調人工皮革)にすることが可能である。
【0022】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0023】[実施例1]高軟化点重合体成分(A)と
して軟化点温度が238℃のポリエチレンテレフタレー
トを複合繊維の島成分、低軟化点重合体成分(B)とし
て軟化点温度が85℃の低密度ポリエチレンを複合繊維
の海成分とし、島成分太さ0.17dtex(0.15
de)、島数19本、配合重量比(高軟化点重合体成分
(A):低軟化点重合体成分(B))=60:40とな
るように複合紡糸し、繊度5.3dtex(4.8d
e)、繊維長51mmの複合繊維を得た。得られた複合
繊維をカードとクロスレイヤーによってウェブにした
後、ニードルパンチングを施して目付400g/m2
絡合繊維集合体を作成した。
【0024】この絡合繊維集合体を150℃の熱風オー
ブン中で予備加熱した後、プレスロールで見かけ密度が
0.30g/cm3、厚さが1.3mmとなるようにロ
ールプレスした。次いで、一方が120℃の加熱ロール
であるプレスロール(ロール間隔は圧縮時密度が0.8
g/cm3となる間隔に調整)を通してプレス処理し、
片方の表面にポリエチレン融着層が形成された繊維質基
材を形成した。プレス後の厚さは1.10mm、見かけ
密度が0.36g/cm3であり、融着層の厚さは0.
108mmであった。なお、該融着層の厚さは、電子顕
微鏡(日本電子データム(株)製JSM−6100型)
で該繊維質基材の断面写真を撮って測定した(n=9の
平均値)。
【0025】得られた繊維質基材に、濃度15重量%の
ポリウレタンエラストマージメチルホルムアミド溶液を
含浸し、次いで10重量%ジメチルホルムアミド水溶液
に浸漬して凝固させた。引続いて温度40℃の温水中で
十分洗浄して、高分子弾性重合体含浸シート状物を得
た。得られた高分子弾性重合体含浸シート状物の非融着
層部の複合繊維とポリウレタンエラストマーの重量比は
100:30であり、また、断面を前記電子顕微鏡で測
定した結果、融着層にはポリウレタンエラストマーは含
有されていなかった。
【0026】得られたシート状物を、温度80℃のトル
エン中にディップし次いでニップする工程を繰り返し
て、ポリエチレンを溶解除去し、複合繊維の極細繊維化
処理を施した。その後温度110℃のスチーム中で、シ
ート状物中に含まれているトルエンを除去した後に温度
120℃の熱風乾燥機中で乾燥した。得られた極細繊維
の平均繊度は0.17dtex(0.15de)であっ
た。得られた人工皮革用基材は表面が極細繊維で覆わ
れ、含浸ポリウレタンの表面露出のないものであった。
【0027】この人工皮革用基材の表面に、400メッ
シュのサンドペーパーでバッフィング処理を施した後、
得られた立毛基材を液流染色機を使用して分散染料で染
色し、次いでハイドロサルファイトで還元洗浄処理し
た。
【0028】得られた立毛シートは表面にポリウレタン
が露出していないため、染色異色性のない鮮やかな色を
発し、また表面が立毛密度の高い立毛層で被覆されシャ
ープなチョークマーク性を有する優れたスエード調人工
皮革であった。
【0029】[実施例2]高軟化点重合体成分(A)と
して軟化点温度が180℃のナイロン6を複合繊維(混
合紡糸繊維)の島成分、低軟化点重合体成分(B)とし
て軟化点温度が79℃の低密度ポリエチレンを複合繊維
(混合紡糸繊維)の海成分とし、島成分太さ約3.3/
1000〜1.1/100dtex(3/1000〜1
/100de)、島数約600本、混合重量比(高軟化
点重合体成分(A):低軟化点重合体成分(B)=5
0:50となるように混合紡糸し、繊度5.3dtex
(4.8de)、繊維長51mmの混合紡糸繊維を得
た。得られた混合紡糸繊維をカードとクロスレイヤーに
よってウェブにした後、ニードルパンチングを施して目
付400g/m2の絡合繊維集合体を作成した。
【0030】この絡合繊維集合体を150℃の熱風オー
ブン中で予備加熱した後、プレスロールで見かけ密度が
0.30g/cm3、厚さが1.3mmとなるようにプ
レスした。次いで、一方が110℃の加熱ロールである
プレスロール(ロール間隔は圧縮時密度が0.8g/c
3となる間隔に調整)を通してプレス処理し、片方の
表面にポリエチレン融着層が形成された繊維質基材を形
成した。プレス後の厚さは1.10mm、見かけ密度が
0.36g/cm3であり、融着層の厚さは0.095
mmであった。
【0031】得られた繊維質基材に、濃度15重量%の
ポリウレタンエラストマージメチルホルムアミド溶液を
含浸し、次いで10重量%ジメチルホルムアミド水溶液
に浸漬して凝固させた。引続いて温度40℃の温水中で
十分洗浄して、高分子弾性重合体含浸シート状物を得
た。得られた高分子弾性重合体含浸シート状物の非融着
層部の複合繊維とポリウレタンエラストマーの重量比は
100:40であり、また、断面を前記電子顕微鏡で測
定した結果、融着層にはポリウレタンエラストマーは含
有されていなかった。
【0032】得られたシート状物を、温度80℃のトル
エン中にディップし次いでニップする工程を繰り返し
て、ポリエチレンを溶解除去し、複合繊維の極細繊維化
処理を施した。その後温度110℃のスチーム中で、シ
ート状物中に含まれているトルエンを除去した後に温度
120℃の熱風乾燥機中で乾燥した。得られた極細繊維
の平均繊度は0.0056dtex(0.005de)
であった。得られた人工皮革用基材は表面が極細繊維で
覆われ、含浸ポリウレタンの表面露出のないものであっ
た。
【0033】この人工皮革用基材の表面に、400メッ
シュのサンドペーパーでバッフィング処理を施した後、
得られた立毛基材を液流染色機を使用して含金染料で染
色した。得られた立毛シートは表面にポリウレタンが露
出していないため、染色異色性のない鮮やかな色を発
し、また表面が立毛密度の高い立毛層で被覆されシャー
プなチョークマーク性を有する優れたスエード調人工皮
革であった。
【0034】[比較例1]実施例1で使用したと同じ絡
合繊維不織布を150℃の熱風オーブン中で予備加熱し
た後、プレスロールで見かけ密度が0.30g/c
3、厚さが1.3mmとなるようにプレスした。次い
で、実施例1とは異なって、加熱ロールを通してプレス
処理することなく、該絡合不織布に濃度15重量%のポ
リウレタンエラストマージメチルホルムアミド溶液を含
浸し、次いで10重量%ジメチルホルムアミド水溶液に
浸漬して凝固させた。引続いて温度40℃の温水中で十
分洗浄して、複合繊維とポリウレタンエラストマーの重
量比が100:40の高分子弾性重合体含浸シート状物
を得た。得られたシート状物を、温度80℃のトルエン
中にディップし次いでニップする工程を繰り返して、ポ
リエチレンを溶解除去し、複合繊維の極細繊維化処理を
施した。その後温度110℃のスチーム中で、シート状
物中に含まれているトルエンを除去した後に温度120
℃の熱風乾燥機中で乾燥した。得られた極細繊維の平均
繊度は0.17dtex(0.15de)であった。得
られた人工皮革用基材の表面に、400メッシュのサン
ドペーパーでバッフィング処理を施した後、得られた立
毛基材を液流染色機を使用して分散染料で染色し、次い
でハイドロサルファイトで還元洗浄処理した。得られた
立毛シートは表面にポリウレタンが露出しているため、
染色異色性が発現して不鮮明なものであった。
【0035】[比較例2]実施例1において、120℃
の加熱ロールを通してのプレス処理を80℃の加熱ロー
ルを通してのプレス処理に代えて、厚さが1.20m
m、見かけ密度が0.33g/cm3、で融着層が実質
的に存在しない繊維質基材とする以外は実施例1と同様
にした。得られた立毛シートは表面にポリウレタンが露
出しているため、染色異色性が発現して不鮮明なもので
あった。
【0036】[比較例3]実施例1において、120℃
の加熱ロールを通してのプレス処理を、低軟化点重合体
成分(B)の軟化点温度(85℃)+70℃以上である
160℃の加熱ロールを通してのプレス処理に代えたと
ころ、ロール表面に低軟化点重合体成分(B)であるポ
リエチレンが付着し、また得られる繊維質基材表面の凹
凸も激しくなって、その後の操作を満足に行うことはで
きなかった。
【0037】[比較例4]実施例1における、150℃
の熱風オーブン中で予備加熱した後にプレス処理した見
かけ密度が0.30g/cm3、厚さが1.3mmの絡
合繊維不織布を用い、一方が120℃の加熱ロールであ
るプレスロールを通してのプレス処理を施すことなく、
その表面に、濃度15重量%のポリビニルアルコール水
溶液(糊剤)をナイフコーターにて30g/m2の割合
で塗布した後に乾燥させた。得られた糊剤塗布該絡合不
織布に濃度15重量%のポリウレタンエラストマージメ
チルホルムアミド溶液を含浸し、次いで10重量%ジメ
チルホルムアミド水溶液に浸漬して凝固させた。引続い
て温度40℃の温水中で十分洗浄して、複合繊維とポリ
ウレタンエラストマーの重量比が100:40の高分子
弾性重合体含浸シート状物を得た。得られたシート状物
を、実施例1と同様にしてポリエチレンを除去し、パッ
フィング処理を施した後に染色、還元洗浄処理を施して
立毛シートを得た。得られた立毛シートは、比較例1の
ものと比較するとその染色異色性の程度は改善されてい
るが、実施例1のものと比較すると、染色異色性の程度
は悪く不鮮明なものであった。
【0038】[比較例5]実施例1において、加熱ロー
ルでのプレス処理におけるプレスロール間隔を広げる以
外は実施例1と同様にして、厚さが1.20mm、見か
け密度が0.33g/cm3、融着層厚さが0.04m
mの繊維質基材を得た。得られた繊維質基材を実施例1
と同様に処理して立毛シートを得たが、該表面にはポリ
ウレタンが露出しているため、染色異色性の点で未だ不
十分であった。
【0039】[比較例6]実施例1において、加熱ロー
ルでのプレス処理におけるプレスロール間隔を狭める以
外は実施例1と同様にして、厚さが1.00mm、見か
け密度が0.40g/cm3、融着層厚さが0.06m
mの繊維質基材を得た。得られた繊維質基材を実施例1
と同様に処理して立毛シートを得たが、該表面の立毛が
長すぎるため、品位に劣っていた。
【0040】
【発明の効果】本発明のシート状物によれば、表面に立
毛密度が高い立毛層を有する立毛シートを容易に得るこ
とができ、しかも該立毛シート表面には繊維との染色性
が異なる高分子弾性重合体の量が少なくできるので、染
色しても染色異色性のない優れたもの(スエード調人工
皮革等)が得られる。また、従来の糊剤処理法が有して
いた製造コストや糊剤除去等の問題を完全に解消するこ
とができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月29日(1999.11.
29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】[比較例6]実施例1において、加熱ロー
ルでのプレス処理におけるプレスロール間隔を狭める以
外は実施例1と同様にして、厚さが1.00mm、見か
け密度が0.40g/cm3、融着層厚さが0.60m
の繊維質基材を得た。得られた繊維質基材を実施例1
と同様に処理して立毛シートを得たが、該表面の立毛が
長すぎるため、品位に劣っていた。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F055 AA02 BA06 CA18 DA07 DA09 EA04 EA12 EA14 EA15 EA29 EA30 EA34 EA35 FA15 GA02 HA04 HA22 4F100 AK01A AK01B AK06 AK42 AK51 AL09 BA02 DG06B DG16B DG18B DG20B EA021 EC03A EC032 EC091 EJ192 EJ422 EJ82B GB72 JA04A JA04B JB08B JK07B JL01 4L033 AB01 AC15 CA50 4L047 AA14 AA21 AA25 AA27 AB08 BA09 CC16 DA00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤溶解性および軟化点温度の異なる高
    軟化点重合体成分(A)と低軟化点重合体成分(B)と
    からなる極細繊維化可能な複合繊維から形成された繊維
    質基材と、該繊維質基材の空隙に含有せしめた高分子弾
    性重合体とから構成されるシート状物において、該シー
    ト状物の少なくとも一方の面には、前記複合繊維の低軟
    化点重合体成分(B)の融着による厚さ0.05〜0.
    50mmの融着層が存在し、且つ該融着層には前記高分
    子弾性重合体が実質的に含有されていないことを特徴と
    する立毛加工性に優れたシート状物。
  2. 【請求項2】 融着層以外のシート状物部分の複合繊維
    重量に対する高分子弾性重合体の含有量が10〜120
    重量%である請求項1記載の立毛加工性に優れたシート
    状物。
  3. 【請求項3】 高軟化点重合体成分(A)と低軟化点重
    合体成分(B)の軟化点温度差が70℃以上である請求
    項1または2記載の立毛加工性に優れたシート状物。
  4. 【請求項4】 溶剤溶解性および軟化点温度の異なる高
    軟化点重合体成分(A)と低軟化点重合体成分(B)と
    からなる極細繊維化可能な複合繊維から形成された繊維
    集合体の少なくとも一方の面を、該低軟化点重合体成分
    (B)の軟化点温度以上、高軟化点重合体成分(A)の
    軟化点温度以下で且つ低軟化点重合体成分(B)の軟化
    点温度+70℃以下の温度に加熱した面に接触させ、該
    接触面の表面層の複合繊維を少なくとも一部融着させて
    表面に融着層を有する繊維質基材となし、次いで該繊維
    質基材の非融着層部に高分子弾性重合体を含浸処理する
    ことを特徴とする立毛加工性に優れたシート状物の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のシート状物を、低軟化点
    重合体成分(B)は溶解するが高軟化点重合体成分
    (A)は実質的に溶解しない溶剤で処理して極細化可能
    な複合繊維を極細繊維となし、次いで該シート状物の融
    着層が存在していた面を起毛加工する立毛シートの製造
    方法。
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