JP2001131706A - 溶接性に優れたインバー合金 - Google Patents

溶接性に優れたインバー合金

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JP2001131706A
JP2001131706A JP30763999A JP30763999A JP2001131706A JP 2001131706 A JP2001131706 A JP 2001131706A JP 30763999 A JP30763999 A JP 30763999A JP 30763999 A JP30763999 A JP 30763999A JP 2001131706 A JP2001131706 A JP 2001131706A
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Yoshiaki Murakami
善明 村上
Toshifumi Kojima
敏文 小嶋
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Fe-Ni 系インバー合金の特徴である低温域か
ら室温域における低線膨張係数特性、ならびに溶接構造
用鋼板としての機械的性質を損なうことなく、耐再熱割
れ性ならびに優れた溶接部外観を併せ持ち、LNG 周辺諸
設備用に適した、溶接性に優れたインバー合金を提供す
る。 【解決手段】 重量% でC :0.01% 以上0.05% 以下、S
i:0.01% 以上0.25% 以下、Mn:0.01% 以上0.5%以下、P
:0.005%以下、S :0.0010% 以下、Ni:30% 以上45%
以下、Sol.Al:0.005%以上0.03% 以下、Mg:0.0001% 以
上0.003%以下、N :0.003%以下、O :0.003%以下を含有
し、残部が実質的にFeからなり、かつ鋼板中に残存する
介在物組成の内、Al/Mg比が2.0 以下であることを特徴
とする、溶接性に優れたインバー合金を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温設備用途に使
用される、溶接性に優れたインバー合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のエネルギー需要の増大、さらには
地球温暖化問題が顕在化する中でクリーンエネルギーの
重要性が求められている現在、天然ガスの使用量は増加
の一途をたどっている。天然ガスは-162℃という極低温
で液化した後輸送、保管され、一般に液化天然ガス(LN
G )と呼ばれている。このような極低温環境下で使用さ
れる材料としては従来オーステナイト系ステンレス鋼が
用いられてきたが、近年このLNG 輸送船及び陸上貯蔵用
低温基地さらに輸送船から基地までの輸送配管に、オー
ステナイト系ステンレス鋼の代替としてインバー合金の
適用が検討されている。例えばLNG 輸送船等で使用され
るメンブレンという構造形式では、LNG 液面の上下動に
より生じる熱膨張、収縮を、コルゲーション構造と呼ば
れる特殊な形状の部材の曲げ変形と平板部の僅かな旋回
によって緩和しているが、この凹凸を有するメンブレン
部材の加工および溶接施工は、製造および施工コストが
高いことが従来から指摘されてきた。
【0003】一方、Fe-Ni 系インバー合金はLNG 温度で
ある-162℃のような極低温から室温にかけて非常に小さ
い線膨張係数を有することから、上記の様なコルゲーシ
ョン構造を設置する必要なく施工することが出来る。こ
のため、Fe-Ni 系インバー合金を適用したメンブレンの
施工においては、材料費を含むトータルコストを大幅に
低減することが可能となる。
【0004】このような背景にも係わらず、これまでFe
-Ni 系インバー合金の適用が進んでいない原因は、同合
金の溶接が非常に困難であったことによる。特に、Fe-N
i 系インバー合金は使用状態で完全オーステナイト系で
あるために、オーステナイト系合金特有の溶接高温割れ
である、再熱割れに関しては、従来技術では回避するこ
とが甚だ困難である。Fe-Ni 系インバー合金においては
2 つのタイプの溶接高温割れが存在する。これらは一般
に凝固割れ、及び再熱割れと呼ばれている。凝固割れは
図1に示すように母材1に溶接を行った場合、溶接金属
2の凝固時に発生する割れ3であるのに対し、再熱割れ
は図2に示すように多層溶接、あるいは補修溶接時に後
続の溶接部4の熱影響を受けた先行の溶接部5内の溶接
金属において発生する割れ6である。一般の施工にあた
っては補修溶接は必須であることから、凝固割れのみな
らず再熱割れの発生も重要な問題となる。従来よりFe-N
i系インバー合金の割れは図2に示した再熱割れが問題
になることが多いのが実状である。
【0005】前述したように、Fe-Ni 系インバー合金は
溶接時に高温割れを発生しやすいが、この現象は、溶融
金属の凝固過程もしくは溶接金属の再加熱冷却過程にお
いて材料が高温脆化を起こすためであると言われてお
り、その冶金的支配因子として、合金中におけるP およ
びS 等の不純物元素が挙げられている。すなわち、これ
らの不純物元素が割れの発生起点である結晶粒界に偏析
し、粒界強度を低下させることにより高温割れが発生す
るというものである。
【0006】このような背景のもとに、Fe-Ni 系インバ
ー合金の溶接高温割れを防止するための研究が行われて
きた。例えば、特開昭56-44749号公報には、P、S量を
可能な限り低減すること、特開昭58-100661 号公報には
P、SならびにO、N量を低減することが、耐溶接高温
割れ性に対して有効である旨が開示されている。この他
にも粒界強度上昇の目的で添加されるB に関しての研究
も行われており、固溶B として存在するB は粒界強度上
昇に寄与し、高温割れ発生抑制にある程度効果が認めら
れるものの、複数回の熱履歴を受ける多層溶接部におい
ては、BはBN等として析出してしまうために、粒界強
度の向上効果が失われるために高温割れの発生を抑制す
ることができないとの報告がこれまでになされている。
【0007】また一般にLNG 貯蔵基地、キャリア内槽で
インバー合金を使用する場合には、板厚0.5 〜3.0mm 程
度の薄鋼板が使用され、互いに溶接施工された後に外観
検査、ならびにリークテスト等の溶接部健全性評価が実
施される。これら一連の検査においては、前項までに示
した溶接高温割れがないことはもちろんのこと、溶接部
外観が問題とされることが多い。溶接部外観を損なう要
因としては、溶接スラグの発生があげられる。スラグが
発生して溶接部表面外観が損なわれている場合、スラグ
を除去してから検査を行わなくてはならないので、上述
した一連の検査効率を損なうことに加え、美観を損ね
る。通常Fe-Ni 系インバー合金の薄鋼板の溶接には、溶
接材料を使用しないTIG 溶接、抵抗シーム溶接等の、単
なる母材の溶融・凝固による接合プロセスが適用され
る。一般にこれらの溶接方法は、セルフシールドアーク
溶接等と比較して高品質の溶接部が得られるが、溶接材
料を使用しないことから、溶接部品質が母材品質をその
まま継承することになる。従って溶接部外観を損なう恐
れのある溶接スラグの発生も、母材成分の設計段階で何
らかの防止策を講じる必要がある。
【0008】しかしながらこれまで、LNG 用のFe-Ni 系
インバー合金の溶接部のビード外観、とりわけスラグ発
生を防止するための化学成分的指針は得られておらず、
溶接時のシールドガスに配慮する、等の溶接施工側から
のアプローチがわずかに試みられているのみであり、根
本的なスラグ発生抑制方法は提案されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Fe-Ni 系イ
ンバー合金の特徴である低温域から室温域における低線
膨張係数特性、ならびに溶接構造用鋼板としての機械的
性質を損なうことなく、耐再熱割れ性ならびに優れた溶
接部外観を併せ持ち、LNG 周辺諸設備用に適した、溶接
性に優れたインバー合金を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は以下の発明
により解決される。 本件第1発明は、重量% でC :0.
01% 以上0.05% 以下、Si:0.01% 以上0.25% 以下、Mn:
0.01% 以上0.5%以下、P :0.005%以下、S :0.0010% 以
下、Ni:30% 以上45% 以下、Sol.Al:0.005%以上0.03%
以下、Mg:0.0001% 以上0.003%以下、N :0.003%以下、
O :0.003%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、
かつ鋼板中に残存する介在物組成の内、Al/Mg比が2.0
以下であることを特徴とする、溶接性に優れたインバー
合金である。
【0011】本件第2発明は、本件第1発明に記載の合
金が、重量% でさらに、Cr:0.10%以下、Co:0.10% 以
下、Cu:0.10% 以下、Mo:0.50% 以下のうちの1種また
は2種以上を含有することを特徴とする、溶接性に優れ
たインバー合金である。
【0012】本件第3発明は、本件第1発明または本件
第2発明に記載の合金が、重量% でさらに、Ca:0.01%
以下、Zr:0.01% 以下のうちの1種または2 種以上を含
有することを特徴とする、溶接性に優れたインバー合金
である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは上記課題を解決する
ために鋭意検討を行い、以下の知見から、耐溶接高温割
れ性の特に耐再熱割れ性、ならびに溶接部外観に優れた
インバー合金の成分設計指針を得た。まず、耐再熱割れ
性改善の指針に関して示す。再熱割れの発生は従来、不
純物現存偏析によるものとされてきたが、本発明者らの
検討では、単なる不純物元素の低減のみでは再熱割れの
根本的解決にはならず、鋼中に残存する介在物量が耐割
れ性に多大な影響を及ぼすことを見出した。この現象
は、割れ発生部(通常、溶接金属中のオーステナイト粒
界)に残存する介在物が割れ起点となることで定性的に
理解できるが、この介在物を低減させるために、鋼板製
造時の脱酸工程を適切に制御する必要がある。この制御
指針として、凝集粗大化し、粒界偏析を助長しやすい介
在物組成を、微細分散し、精錬過程で除去可能な介在物
組成に変化させることを意図し、脱酸プロセスを検討し
た結果、鋼中に残存する介在物組成Al/Mg比を制御する
ことにより、介在物の微細分散が達成され、再熱割れが
抑制されることを見出したのである。図3はFe-Ni 系イ
ンバー合金中に残存するAl/Mg比と、再熱割れ長さの関
係を示した図である。Al/Mg比が2 .0以下であれば再
熱割れは発生していない。
【0014】しかしながら上記方法のみを適用した場
合、本発明のもう一方の課題である溶接部外観の向上を
達成することは出来ない。通常、インバー合金溶接金属
上に生成する溶接スラグは、主にAl2 O 3 を主成分とす
るAl系介在物を主としている。このAl2 O 3 は鋼中に残
存するSol.Alが、溶接中外気より巻き込まれた酸素と結
合することによって発生する。従って耐再熱割れ性のみ
に着目して鋼中介在物の組成制御のためにAl添加量を増
加させることは鋼中に残存するSol.Al量を増大させ、溶
接部外観、という観点では特性を劣化させることが容易
に推測される。
【0015】従ってスラグ発生を抑制するためには、溶
融池での脱酸過程において、Sol.Alの酸化を抑制するた
めの成分設計指針を取り入れなければならない。そこで
本発明者らは、通常、母材強度確保のためにのみ添加さ
れているC に着目し、種々Sol.Al量を有するインバー合
金のスラグ発生に及ぼすC 量の影響を調査し、図4に示
す知見を得た。図4は横軸にC 添加量をとり、各Sol.Al
含有レベルに関して溶接部のスラグ発生状況を調査した
結果である。図4 より、Sol.Al量が高くなった場合にお
いても、一定量以上のC 過剰添加により、溶接スラグの
発生が抑制されることが分かる。
【0016】本発明は上記二つの成分設計指針に基づく
ものであり、合金組成を下記範囲に限定することによ
り、溶接性に優れたインバー合金を提供することができ
る。以下、本発明の合金成分の添加理由と限定理由につ
いて説明する。
【0017】C :0.01% 以上0.05% 以下 C は母材強度を確保する目的に加え、溶接時には外気か
らの混入酸素と結合し、CO、CO2 ガスを生成させること
により、溶接部外観を損なうAl系スラグの発生を抑制す
るために必須の元素である。この効果は以下に示すSol.
Al成分範囲と連動するが、Sol.Alの成分変動範囲内で効
果を得るためには0.01% 以上の添加が必要であることか
ら、下限値を0.01% に規定する。また0.05% を越えた添
加では溶接高温割れ、特に凝固割れを助長する。このた
め、C 添加量は0.01% 以上0.05%以下に限定する。
【0018】Si:0.01% 以上0.25% 以下 Siは固溶強化型元素として母材強度の確保に寄与する。
しかしながら0.01% 以下であるとその効果が損なわれ、
また添加量が0.25% を越えると溶接部の靭性が低下する
とともに、Si基の粗大介在物が生成し、溶接高温割れを
助長する。このため、Siの添加量は0.01% 以上0.25% 以
下に限定する。
【0019】Mn:0.01% 以上0.5%以下 Mnは固溶強化型元素として母材強度の確保に寄与する。
しかしながら0.01% 以下ではその効果が小さく、0.5%以
上ではMnS を析出することにより耐溶接高温割れ性に悪
影響を及ぼす。このため、Mnの添加量は0.01% 以上0.5%
以下に限定する。
【0020】P :0.005%以下 P は不純物として鋼中に必然的に含有される元素である
が、0.005%以上の添加では溶接高温割れ、特に凝固割れ
を助長する。このため、P の添加量は0.005%以下に限定
する。
【0021】S :0.0010% 以下 S は本発明において重要な元素の1 つである。S は不純
物として鋼中に必然的に含有される元素であるが、0.00
10% 以上含有した場合、溶接金属の樹枝状晶間に偏析し
再熱割れを助長する。このため、S の添加量は0.0010%
以下に限定する。
【0022】Ni:30% 以上45% 以下 Niは低線膨張を確保するためには必須の元素である。こ
の特性を確保するため、Niの添加量は30% 以上45% 以下
に限定する。
【0023】N :0.003%以下 N は母材強度の確保のため、微量添加されるが、AlやB
との結合力が強く、特に溶接金属の樹枝状晶間に偏析し
ているB と結合し、ボロンナイトライド(BN)を生成す
ることにより再熱割れ性を助長するとともに、Sol.Alが
残存した場合にはAlN の生成を助長し、熱間加工性の低
下が顕著となる。このため、N の添加量は0.003%以下に
限定する。
【0024】O :0.003%以下 O は鋼中で酸化物を形成する、または固溶状態でも存在
するが、いずれの形態であっても低温靭性を低下させる
とともに、鋼の清浄度を低下させる。このためO 含有量
は0.003%以下に限定する。
【0025】Sol.Al:0.005%〜0.03% 以下 Alは本発明において重要な元素の1 つである。Alは脱酸
剤として添加される元素であり、耐溶接高温割れ性の改
善のみならず、鋼板の清浄度を確保する上でも添加必須
元素である。しかしながら図4で示したように、溶接ス
ラグ発生源となるためにその成分範囲は適切に制御しな
ければならない。ここでの添加下限値は、再熱割れ性改
善のため、介在物組成を適正範囲内に収めるために必要
な最低限の量であり、0.005%に規定している。また、過
剰の添加はC を増量させた場合においても溶接スラグ発
生を助長するため、添加上限を0.03% に規定する。
【0026】Mg:0.0001% 〜0.003%以下 Mgは凝集粗大化し、耐再熱割れ性を劣化させるAl2 O 3
の生成を抑制するために添加必須の元素である。この効
果はわずかな添加量においても有効であり、その添加下
限値は0.0001% である。また、過剰の添加は過剰な酸化
物の生成を助長し、鋼板の清浄度を著しく劣化させる。
従ってMg添加上限値を0.003%とする。
【0027】介在物のAl/Mg比:2.0 以下 本発明において耐再熱割れ性の指針であるAl/Mg比は、
脱酸・精錬工程が所定の目的を達成したことを示す指針
となる指標である。すなわち、Al/Mg比が2.0を越えた
場合、鋼中に微細分散し、耐再熱割れに影響をおよぼさ
ないAl-Mg 系介在物のみならず、凝集粗大化するAl2 O
3 が過剰に生成していることを示しているものである。
一連の検討結果より、耐再熱割れ性に悪影響を及ぼさな
い上限値をもって本指標を規定し、その値は2.0 であ
る。
【0028】また本発明では、上記元素の他に下記の1
種または2 種以上の元素を添加した場合も所定の効果を
得ることができる。
【0029】Cr、Co、Cu、Mo:これらの元素は固溶強化
により合金の強度を上昇させることを期待して添加され
る元素であり、これらを添加した場合においても溶接高
温割れ、ならびに溶接部外観に及ぼす影響は小さい。た
だし、多量の添加においては本合金の特徴である低線膨
張特性を劣化させる。従って、Cr:0.10% 以下、Co:0.
10% 以下、Cu:0.10% 以下、Mo:0.50% 以下の範囲で添
加することができる。
【0030】Ca、Zr:これらの元素は脱酸・脱硫効果を
期待して添加される元素であり、これらを添加した場合
においても溶接高温割れ、ならびに溶接部外観に及ぼす
影響は小さい。ただし、多量の添加においては本合金の
特徴である低線膨張特性を劣化させる。従って、Ca:0.
01% 以下、Zr:0.01% 以下の範囲で添加することができ
る。
【0031】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。表1 に示す化学成分を有する合金を溶製し、熱延、
酸洗、冷延、焼鈍の各工程を経て、板厚1.5mm の供試鋼
板を調整した。ここで、供試体番号No.1〜8 は本発明範
囲内の化学成分組成を有する合金であり、供試体番号N
o.9〜16はその化学成分およびAl/Mg比のうち少なくと
も1 つが本発明範囲外となるよう調整した比較合金であ
る。全ての鋼種は0.2%耐力:240 〜340MPa、引張強さ:
420 〜520MPa、伸び(破断伸び) :30% 以上、とLNG 用
インバー合金としての性能を十分に有していることを確
認した。
【0032】
【表1】
【0033】これらの供試体に対して、耐溶接高温割れ
(凝固割れ、再熱割れ)性試験、TIG 溶接部スラグ発生
検査、平均熱膨張係数測定、の各種試験を行い、その特
性を評価した。耐溶接高温割れ性の評価は、図5に示す
クロスビード試験(Cross Bead Test:CBT)にて実施し
た。この試験はLNG 船用インバー合金の鋼板規格であ
る、Gaz Transport and Technigaz にて規定されている
試験である。予め突合わせ溶接を行ったビードA 7に対
して垂直に、ビードB 8を溶接する。ビードB 8の溶接
の際は図中矢印で示す方向に拘束応力9が付与される。
凝固割れはビードB8に、再熱割れはビードA 7内で且
つビードB 8の溶接熱影響部10において発生する。ビ
ードA 7、ビードB 8の溶接は溶加材無添加のTIG 溶接
にて、溶接電流80A 、アーク電圧10V 、溶接速度100mm/
min にて行っている。ビードB 8の溶接時の拘束応力と
しては、15、20kgf/mm2 の2条件を採用しているが、目
標としては拘束応力20kgf/mm2 にて割れが発生しないこ
と、としている。試験終了後、発生した割れの総長さを
各拘束応力条件下で測定した。また、溶接部のスラグ発
生有無に関しては、上述溶接条件により1000mmの溶接部
を作製し、スタート部、エンド部各50mmを除く900mm の
溶接部を目視検査し、1 箇所でもスラグ発生が認められ
た場合にはこれを不合格とした。 なお、表1 に併記し
た各合金中に存在する脱酸生成物のAl/Mg比は、電解抽
出残渣分析を実施し、各金属元素量を定量した結果であ
る。この他、インバー合金の基本的特性である平均線膨
張係数に関しては熱間圧延前の鋼スラブから4mm φ×20
mmL の丸棒試験片を採取し、室温(約25℃)〜-196℃ま
での熱膨張率を測定し、実際にLNG 環境下で必要とされ
る20℃〜-180℃の測定値から平均線膨張係数を測定し
た。
【0034】表2に各種試験結果の一覧を示した。各合
金成分範囲、ならびに鋼中酸化物のAl/Mg比が本発明に
規定された値内となっている本発明合金1 〜8 に関して
は、クロスビード試験による再熱割れの発生はいずれの
拘束応力条件下でも起こっておらず、さらに溶接スラグ
の発生のない、美麗な溶接ビード外観を得ることができ
た。凝固割れも発生しなかった。これに対し、少なくと
も1 成分もしくはAl/Mg比が本発明範囲外となっている
比較合金9 〜16においては、凝固割れ、再熱割れ、スラ
グ発生、のいずれかが生じていることがわかる。
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば合金中の化学成分、ならびにAl/Mg比を制御す
ることにより、耐溶接高温割れ性、さらには溶接部ビー
ド外観の両特性に優れた、LNG 用に用いることのでき
る、Fe-Ni 系インバー合金を製造することができ、工業
上優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凝固割れの発生位置を示した図。
【図2】再熱割れの発生位置を示した図。
【図3】介在物中のAl/Mg組成比と再熱割れ長さとの関
係を示した図。
【図4】各Sol.Al含有鋼における、溶接スラグ発生とC
量との関係を示した図。
【図5】耐再熱割れ性試験( クロスビード試験) 方法を
示した図である。
【符号の説明】
1 母材 2 溶接金属 3 割れ(凝固割れ) 4 後続の溶接部 5 先行の溶接部 6 割れ(再熱割れ) 7 ビードA 8 ビードB 9 拘束応力 10 溶接熱影響部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量% でC :0.01% 以上0.05% 以下、S
    i:0.01% 以上0.25%以下、Mn:0.01% 以上0.5%以下、P
    :0.005%以下、S :0.0010% 以下、Ni:30%以上45% 以
    下、Sol.Al:0.005%以上0.03% 以下、Mg:0.0001% 以上
    0.003%以下、N :0.003%以下、O :0.003%以下を含有
    し、残部が実質的にFeからなり、かつ鋼板中に残存する
    介在物組成の内、Al/Mg比が2.0 以下であることを特徴
    とする、溶接性に優れたインバー合金。
  2. 【請求項2】 請求項1 に記載の合金が、重量% でさら
    に、Cr:0.10% 以下、Co:0.10% 以下、Cu:0.10% 以
    下、Mo:0.50% 以下のうちの1種または2 種以上を含有
    することを特徴とする、溶接性に優れたインバー合金。
  3. 【請求項3】 請求項1 または請求項2に記載の合金
    が、重量% でさらに、Ca:0.01% 以下、Zr:0.01% 以下
    のうちの1種または2 種以上を含有することを特徴とす
    る、溶接性に優れたインバー合金。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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