JP2001114713A - ガドリニウム内包フラロールおよびその造影剤としての使用 - Google Patents

ガドリニウム内包フラロールおよびその造影剤としての使用

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JP2001114713A JP29390199A JP29390199A JP2001114713A JP 2001114713 A JP2001114713 A JP 2001114713A JP 29390199 A JP29390199 A JP 29390199A JP 29390199 A JP29390199 A JP 29390199A JP 2001114713 A JP2001114713 A JP 2001114713A
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encapsulated
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Haruto Kato
治人 加藤
Hisanori Shinohara
久典 篠原
Masahito Mikawa
雅人 三川
Naoto Miwa
直人 三輪
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Bayer Pharma AG
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Schering AG
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 造影剤として有用な金属内包フラロールの提
供。 【解決手段】 一般式 Gdx@Cy(OH)z (上式中、xは1または2の整数であり、yは60また
は70〜120の間の整数であり、そしてzは30以上
の整数である)で表されるガドリニウム内包フラロー
ル、ならびに該フラロールの造影剤としての使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属内包フラロー
ルおよびその造影剤としての使用に関する。より具体的
には、本発明は高度にヒドロキシル化された(または水
酸基が付加された)フラーレンの内部空間にガドリニウ
ム原子が閉じ込められたクラスターおよぴその磁気共鳴
画像形成(MRI)の造影剤としての使用に関する。
【0002】
【従来の技術】Kroto et al.,Nature 318 162
(1985)において、“C60;Buckminsterfulleren
e”が公表されて以来、フラーレン特有の性質を活用す
べく各種の用途開発研究が行われてきた。例えば、診断
用造影剤の技術分野では、金属内包フラーレンの誘導体
化または担体(例、γ−シクロデキストリン)への包接
によって水に対して可溶化されたGdn@Cm(式中、
nおよびmは正の整数である)化合物およびその造影剤
としての使用が提案されている[特表平7−50609
2号(WO 93/15768に対応)]。また、篠原
らの特開平8−143478号公報には、金属内包フラ
ーレンをコアとし、このコアの表面をスルホン基、ケト
ン基、アミノ基およびアルキル基からなる群より選ばれ
る官能基を有する多糖類で被覆した磁気共鳴造影剤が公
表されている。さらに、Cagle etal.,Electrochemical
Society Proceedings Volume 97−14,361−3
68(1997)では、推定される一般式 Gd@C
82(OH)26で表され、Relaxirity(R1)(またはT1
和度ともいう)が0.43mM-1・sec-1を有するM
RIの造影剤用途に向けたガドリニウム含有フラーレン
類も公表されている。
【0003】一方、特開平7−48302号公報には、
水酸基の付加数mの値の大きいフラロール(Cn(OH)
m)をフラーレン(Cn)から合成する方法が記載され
ており、nが60で、mが約26のフラロールを得るこ
とに成功している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販されている
ガドリニウム造影剤としては、Gd−DTPA(ジエチ
レンテトラミン五酢酸)が知られており(例えば、米国
特許第4,647,447号)、この金属−キレート錯体
は高い臨床上の安定性、低毒性および迅速な***性、な
らびに大きなT1緩和度(R1=約4.2mM-1・sec
-1)を有するために、常用されている典型的なMRI造
影剤である。しかし、より高品位の画像を得ることがで
き、加えて安定性、低毒性の造影剤に対する要望は依然
として存在する。すなわち本発明の目的はかような要望
にこたえることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく研究を重ねてきたところ、上述の Cagleet
al に記載されているGd@C82(OH)26のガドリニウ
ム内包フラーレンが比較的低いT1緩和度(R1)を示す
にもかかわらず、1分子当たりに付加する水酸基が一定
数以上に増大すると、極めて高いT1緩和度(R1)を示
すことを、今や見い出した。本発明はかような知見に基
づくものである。
【0006】したがって、本発明は、一般式(I) Gdx@Cy(OH)z (I) (上式中、xは1または2の整数であり、yは60、ま
たは70〜120の間の偶数であり、zは30以上の整
数であり、そして@Cy(OH)zは記載されている原子
団から形成されるGdを閉じ込め得るような中空の球状
構造を有する分子を意味する)で表されるガドリニウム
内包フラロールまたはその塩もしくは水和物に関する。
また、本発明は前記ガドリニウム内包フラロールを有効
成分とする造影剤にも関する。
【0007】
【発明の具体的な態様】本発明にいう「フラロール」
(またはフレロールとも称されている)とは、上述の K
roto et al に記載された“C60;Buckminsterfulleren
e”に類する所謂、サッカーボール様の構造を有するフ
ラーレンにおける複数の炭素原子に複数の水酸基が付加
した化合物またはカゴ状クラスターを意味する。したが
って、ガドリニウム(Gd)内包フラロールとは、上記
カゴ状クラスターの内部空間にGd原子の1個または複
数が閉じ込められた形態にある化合物またはクラスター
を意味する。
【0008】本発明に従えば、このようなクラスターを
形成する原子団からなり、Gdを閉じ込め得るような中
空の球状構造を有する分子(@Cy(OH)z)における、
yは60、または70〜120の間の偶数である。これ
らのうち、クラスターの安定性および製造の容易さとの
観点からは、yが82のものが特に好ましい。また、本
発明に関し、上記一般式におけるzは、30以上のいず
れかの整数であることが必須である。例えば、yが82
である場合、zの理論上の最大値は82となり得るが、
本発明ではこのような値を有するGd内包フラロールも
包含される。しかし、製造効率等を考慮すると、好まし
くは、zが60以下であり、より好ましくは30〜50
の範囲内にある場合である。本発明のGd内包フラロー
ルでは、以上のような球状構造を有する分子(@Cy(O
H)z)の内部空間に、1個または2個のGd原子が安定
に閉じ込められている。Gd原子は、本発明の目的(例
えば、臨床上安定なGd内包フラロールの提供)に沿う
限り、1個または2個閉じ込められていてもよい。
【0009】本発明に従うGd内包フラロールは、一般
的に、試料濃度を0.1、0.5および1.0mM Gdに
調整し、それぞれの試料について例えば0.47T NM
Rスペクトルメーター(NMS 120 minispec,Bruk
er)を用い、37℃でT1およびT2緩和時間を測定し、
次いで得られた緩和時間の逆数とGd濃度との直線回帰
式より、それぞれT1およびT2緩和度(R1およびR2
もいう)を算出すると、いずれも約50mM-1・sec
-1を超える値を示す。
【0010】このような本発明のGd内包フラロールの
1緩和度(R1)は、Gd−DTPAの約4.3mM-1
・sec-1や特開平8−143478号公報に記載され
ている多糖類で被覆された金属内包フラーレンの約2〜
30mM-1・sec-1に比し、著しく高い。なお、上述
の Cagle et al では、予備試験であるが、試料を10
0% Gd@C82(OH)26と推測した場合の Relaxivity
(R1)(またはT1緩和度ともいう)は0.43mM-1
・sec-1であることが記載されている。
【0011】本発明のGd内包フラロールは、上記のよ
うに高度に水酸基が付加していることにより、極めて高
い水溶性を示すだけでなく、非常に高い水プロトンのT
1短縮能(T1緩和度)も示す。このように高いT1緩和
度は、理論に拘束されるものでないが、以下のように達
成されるものと推測される。すなわち、例えば、Gd@
82(OH)30-60は、裸のGdイオンと比較してC82
炭素ケージ中にGdイオンが内包されているため、Gd
イオンは直接水とは結合できない。ところが、Gd@C
82はそれ自体がGdと同じ電子特性を持つという大変ユ
ニークな特長を有しているため、見かけ上、Gdイオン
と水とは遠い位置であっても、Gd@C 82(OH)30-60
の周囲に結合している数多くのOH基と自由水が水素結
合することにより、実質的にはGd@C82(OH)30-60
に多量の水が配位するであろう。この配位できる水分子
の数の違いにより、Gdイオンそれ自体およびGd−D
TPA、さらには特開平8−143478号公報に記載
された多糖類被覆金属内包フラーレンに比し、Gd@C
82(OH)30-60の造影活性が高くなるものと考えられ
る。
【0012】したがって、本発明に従う一般式(I)の
Gd内包フラロールは、造影剤、特にMRI用のT1
調造影剤の有効成分として有用である。かような造影剤
の有効成分として該Gd内包フラロールを使用する場
合、一般式(I)の定義内に入るいずれの単離されたフ
ラロールも使用できる。また、本発明の目的に沿う限
り、それらの混合物、さらには混合物を一成分とし、該
混合物に悪影響を及ぼさない、他の有効成分を加えても
よい。該混合物としては、一般式(I)におけるxが1
であり、yが82であり、そしてzが約40であるGd
内包フラロールを分布のピークとして有するようなもの
が好ましい。ここで、「分布のピーク」とは、一般式
(I)におけるzが約40であるクラスターが各クラス
ターのうち、最大の含有量となることを意味する。この
ピークは、必ずしも鋭利であることを必要とせず、例え
ば、zが35〜45にわたって、ほぼ平坦なピークであ
ってもよい。
【0013】また、該混合物として、一般式(I)にお
けるxが1であり、yが82であり、そしてzが約37
であるGd内包フラロールを分布のピークとして有する
ようなものも好ましい。ここで、「分布のピーク」と
は、一般式(I)におけるzが約37であるクラスター
が各クラスターのうち、最大の含有量となることを意味
する。このピークは、必ずしも鋭利であることを必要と
せず、例えば、zが32〜42にわたって、ほぼ平坦な
ピークであってもよい。
【0014】また、該混合物として、一般式(I)にお
けるxが2であり、yが80であり、そしてzが約36
であるGd内包フラロールを分布のピークとして有する
ようなものも好ましい。ここで、「分布のピーク」と
は、一般式(I)におけるzが約36であるクラスター
が各クラスターのうち、最大の含有量となることを意味
する。このピークは、必ずしも鋭利であることを必要と
せず、例えば、zが31〜41にわたって、ほぼ平坦な
ピークであってもよい。
【0015】また、該混合物として、一般式(I)にお
けるxが1であり、yが80であり、そしてzが約36
であるGd内包フラロールを分布のピークとして有する
ようなものも好ましい。ここで、「分布のピーク」と
は、一般式(I)におけるzが約36であるクラスター
が各クラスターのうち、最大の含有量となることを意味
する。このピークは、必ずしも鋭利であることを必要と
せず、例えば、zが31〜41にわたって、ほぼ平坦な
ピークであってもよい。
【0016】さらに、一般式(I)におけるxが1であ
り、yが82であり、そしてzが約37であるガドリニ
ウム内包フラロールを分布のピークとして有する該フラ
ロールまたはその塩もしくは水和物の混合物、一般式
(I)におけるxが2であり、yが80であり、そして
zが約36であるガドリニウム内包フラロールを分布の
ピークとして有する該フラロールまたはその塩もしくは
水和物の混合物、および一般式(I)におけるxが1で
あり、yが80であり、そしてzが約36であるガドリ
ニウム内包フラロールを分布のピークとして有する該フ
ラロールまたはその塩もしくは水和物の混合物の三種の
混合物も好ましい。ここで「分布のピーク」とは、zが
約37のガドリニウム内包フラロールに関しては、一般
式(I)におけるzが約37であるクラスターが各クラ
スターのうち、最大の含有量となることを意味する。こ
のピークは、必ずしも鋭利であることを必要とせず、例
えばzが32〜42にわたって、ほぼ平坦なピークであ
ってもよい。又この三種の混合物において、zが約36
のガドリニウム内包フラロールに関し、「分布のピー
ク」とは、一般式(I)におけるzが約36であるクラ
スターが各クラスターのうち、最大の含有量となること
を意味する。このピークは必ずしも鋭利であることを必
要とせず、例えばzが31〜41にわたって、ほぼ平坦
なピークであってもよい。
【0017】本発明に従う造影剤は、限定されるもので
ないが一般的に、水溶液の形態で提供でき、必要により
塩化ナトリウムなどの無機塩、ブドウ糖、マンニット、
ソルビトールなどの糖類、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリ
ウム、酒石酸ナトリウム、などの有機酸塩、リン酸緩衝
剤、トリス緩衝剤などの適当な緩衝剤を含めることがで
きる。かような溶液における有効成分は、Gd換算で約
16mM、好ましくは約10mMとなるように含有させ
ることができる。
【0018】本発明に従う造影剤は、上述のように極め
て高いT1緩和度を有するので、例えば、静脈内投与す
る場合、Gd換算濃度による投与量として、被験者の体
重1kg当り、約1μMとなるように使用することがで
きる。投与経路としては、上記静脈内に加え、動脈内、
膀胱内、筋肉内、皮下などを挙げることができる。ま
た、経口投与、腸内投与も可能であり、これらの場合に
常用されている剤形に従って、本発明の有効成分を製剤
化することもできる。
【0019】一般式(I)のGd内包フラロールは、対
応するGd内包フラーレンからそれ自体既知の水酸基付
加反応により製造できるが、以下の点に注意する必要が
ある。
【0020】(i) 高純度Gd内包フラーレン(例、
Gd@C82)の調製 例えば、上述の Cagle et al によれば、まず、グラフ
ァイト棒をGd(NO3) 3・xH2Oの濃厚エタノール溶
液中に入れて、Gdをグラファイト棒中にしみこませた
後、900℃にてロッドを乾燥している。しかし、仮り
にNOxが炭素ロッド中に残留する場合、以後の処理に
対してGd@C82を不安定にする可能性がある。
【0021】これに代え、本発明者らの一部により開発
された、粉末Gd23と粉末グラファイトを混合し、
1,500℃程度の高温熱処理により炭素ロッド内でG
dをカーバイド化してGdを混合ロッド中に均一分散さ
せる方法によるのが好ましい。
【0022】次に、Gd@C82のC82(空のフラーレ
ン)からの分離は、上述の Cagle etal によれば、上記
ロッド由来のすすを475〜750℃に加熱し、真空下
で金属の入っていない空のフラーレンを昇華させて除去
した後、残渣を溶媒抽出し、次いで抽出物を高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLC)にかけて、分離する方法
が執られている。しかし、このような方法ではGd@C
82の分解物が混在する可能性がある。
【0023】したがって、金属の入っていない空のフラ
ーレンの除去には、上記昇華法に代え、上記ロッド由来
のすすを、例えば二硫化炭素を用いるソックスレー抽出
とピリジン還流にかける方法を選ぶことが好ましいであ
ろう。
【0024】(ii) Gd@C82からGd@C82(OH)
yへの転化 上述の Cagle et al によれば、上記のHPLCからの
流出液を集め濃縮した液を空気中で激しく撹拌した後、
適当量の相関移動触媒[例、水酸化テトラブチルアンモ
ニウム(TBAOH)]の水溶液を加え、次いで濃KO
H水溶液を加えてさらに空気中で反応を続けている。こ
うして得られる反応混合物(スラッジ)をメタノールで
抽出して過剰のKOHの殆どを除去した後、今まだ残存
するKOHを酸負荷陽イオン交換樹脂で処理して除去し
ている。
【0025】しかし、Gd@C82(OH)yは、陽イオン
交換樹脂との接触により、例えばピナコールピナコロン
転移などの望ましくない副反応を起こし、付加した水酸
基が脱離する可能性がある。したがって、本発明者ら
は、Gd@C82(OH)yからの水酸化アルカリの除去に
は透析法を適用することを推奨する。
【0026】上記のような、本発明者が推奨する代替法
によれば、高純度の高度に水酸基の付加したガドリニウ
ム内包フラロールを確実に得ることができる。
【0027】本発明のGd内包フラロールは、その塩も
しくは水和物の形態にあってもよい。該塩としては、例
えば、医薬上許容される塩基性物質の付加塩、例えば、
ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属の付加
塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類
金属の付加塩、アンモニウム塩、トリメチルアミン塩、
トリエタノールアミン塩などのアミン付加塩を挙げるこ
とができ、中でも、アルカリ金属付加塩が好ましい。該
水和物には、Gd内包フラロール1分子当たり、1個以
上の水が付加した水和物を包含する。
【0028】
【実施例】以下、具体例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらの提供は本発明の理解を容易にする
ことを意図するものである。 製造例1:Gd内包フラロールの製造 Gd23粉末(2.9g)とグラファイト粉末(120
g)を混合し、高真空熱処理炉に入れ、1,500℃の
高温下で60分間処理して、コンポジットロッドを得
た。
【0029】1500℃の熱処理をしたロッド(15×
15×300)をカーボンクラスター生成装置に設置
し、装置内の酸素、水分を除去するため1×10-2to
rrまで減圧する。その圧力に到達したらロッドに40
0Aの電流を30〜40分間流しロッドのガス抜きをす
る。ガス抜きをした後Heを導入してHe60torr
の気流下500Aでアーク放電をしてロッドを昇華させ
フラーレンおよび金属内包フラーレンを含んだすすを得
た(このすすのマススペクトルグラムを図1に示す)。
合成したすすを回収しこれをまず二硫化炭素のソックス
レー抽出を約1日行い金属の入っていない空のフラーレ
ンを抽出除去した(金属内包フラーレンは二硫化炭素に
あまり溶けない)。この抽出除去液には、少量の金属内
包フラーレン混合物が含まれているが、該混合物は二硫
化炭素からトルエンに溶媒を換え、次いでトルエンを移
動相とするHPLC[Buckyprep(20φ nacalai tesq
ue製)カラム;流速15.0ml/min]にかけるこ
とにより回収可能である(このHPLCクロマトグラム
を図2に示す)。
【0030】一方、かなりの量の金属内包フラーレンが
存在するソックスレー抽出残渣を3時間ピリジン還流し
て金属内包フラーレンを抽出した。ピリジン還流して得
られた抽出液を濾過して不溶物を除き、すぐにピリジン
をエバポレーターを用いて留去し残留した固体を二硫化
炭素に溶解した。なお、金属内包フラーレンは長時間ピ
リジン中に放置すると分解する可能性があることに注意
する必要がある。上記のようにして得た二硫化炭素溶液
の溶媒をトルエンに換え、トルエンを移動相とするHP
LC[Buckyprep(20φ nacalai tesque 製)カラム;
流速15.0ml/min]にかけた(このHPLCク
ロマトグラムを図3に示す)。
【0031】必要により、目的画分をトルエン100%
を移動相とするHPLC[Buckycluther(20φ regis
s 製;流速10.0ml/min]にかけ、さらにGd
@C8 2の純度を上げることができる。こうして精製され
たGd@C82のマススペクトルグラムを図4に示す。こ
うして、Gd内包フラーレン(Gd@C82の他に微量の
88、Gd2@C84、C90などを含む)が得られた。
【0032】得られたGd内包フラーレン(59mg)
のトルエン溶液(160ml)を、予め、50重量%の
水酸化ナトリウム水溶液(NaOH 6g,H2O 6
g)に40%水溶液のテトラブチルアンモニウムハイド
ロキシド(TBAOH)数滴を加えて撹拌して調製した
溶液に加え、さらに、大気中、室温下で約1時間撹拌し
た。この時点でトルエン相は無色透明であるが、水相で
は黒色沈殿が生じている。このような反応混合物を、そ
のままさらに一晩撹拌した。その後、トルエン相をデカ
ントした。
【0033】水相に水約50mlを加え、黒色沈殿を溶
解した後、さらに一日撹拌し、茶色の水溶液を得た。こ
の水溶液にメタノール100mlを加えて、茶色の沈殿
を生じさせ、これを濾取した。沈殿物をメタノール50
0mlで洗浄し、さらにメタノール/エタノール/イソ
プロパノール(約1:1:1)混合液500mlで洗浄
した。洗浄済みの沈殿物を再度水5mlに溶解し、イソ
プロパノール20mlで沈殿させる精製工程を繰り返
し、塩濃度を低下させた。こうして塩濃度を低させた生
成物を、分子量カットオフ500以下の透析膜(MWC
O=500,spectra/Por 製)の透析チューブを用い
て、水に対し5日間透析し、完全にNaOHを除去し
た。こうして、以下の性質を有する目的のGd内包フラ
ロール:Gd@C82(OH)z′(式中、z′は約40で
ある)を分布のピークとするGd内包フラロール混合物
(以下、Gd内包フラロール混合物z40という)(6
3mg)を得た。
【0034】 元素分析:Gd@C82(OH)40・12H2Oとして 実 験 値:H;2.69%、C;45.36%、O;3
8.22% 理 論 値:H;2.88%、C;50.31%、O;3
9.26% なお、H2Oの量は、目的のGd内包フラロールを電量
滴定法[第十三改正、日本薬局方一般試験法・水分試験
法(電量滴定法)]に準じて水分を測定し、その結果
(目的のGd内包フラロールの水分は12.9%)より
算出された。 Gdの定量 誘導結合高周波プラズマ(ICP)放出 分光分析器(セイコウ電子工業、東京)を用いて34
2.247nmで測定した。その結果、0.053mg
Gd/mgであった。 製造例2:Gd内包フラロールの製造 製造例1と同様にしてGd23粉末とグラファイト粉末
から金属内包フラーレンを含んだすすを合成し、回収
し、そのすすを二硫化炭素を用いて約20時間ソックス
レー抽出を行い、空のフラーレンを除去した。空のフラ
ーレンを除去した残渣12.0gからピリジン300m
lを用いて4時間還流し、金属内包フラーレンを抽出し
た。ピリジン還流物を濾過して不溶物を除き、金属内包
フラーレンのピリジン溶液を得た。得られた金属内包フ
ラーレンの量を量るためにピリジンをエバポレーターで
留去して金属内包フラーレン0.1gを得た。これをピ
リジン200mlに溶解した(この溶液のマススペクト
ルグラムを図5に示す)後、予めクラウンエーテル(1
5−crown−5)が20滴加えられていたNaOH 15
gとH2O 15gの溶液中に加えた。この混合液にトル
エン400mlを加えて有機相の極性を低下させ、空気
下室温で撹拌した。この液は、3時間後には黒い懸濁液
になり、17時間後には黒色沈殿が生じはじめ、さらに
41時間後には有機相が完全に無色透明になり、一方、
水相は黒色樹脂状物になって反応が終了した。有機相の
みをデキャンタし残っている黒色樹脂状物をトルエンで
3回洗浄して(トルエンはデキャンタして除く)、クラ
ウンエーテルとピリジンを除去した。
【0035】洗浄済み黒色樹脂状物に水100mlを加
えて1日撹拌して溶解した。この溶液にメタノール40
0ml、イソプロパノール200mlを加えて水酸化フ
ラロールを沈殿させた。この沈殿物を濾取し、メタノー
ル/プロパノール(1/1)混合液1lで洗浄してNa
OHを除去した。この沈殿物を水30mlに溶解し、ス
ペクトラ・ポア製の透析チューブ(分子量カット200
0)を用いて透析を行い、完全にNaOHを除去した。
こうして、目的のGd内包フラロール混合物(以下、G
d内包フラロール混合物Qという)が得られた。
【0036】該目的のGd内包フラロール混合物Qの元
素分析値(実験値)は、アッシュ;14.3%、H;2.
69%、C;47.04%、O;36.67%であった。
【0037】図5に示す金属内包フラーレンのマススペ
クトルより、このGd内包フラロール混合物は、ほぼ水
酸化されたGd@C82と水酸化されたGd@C80と水酸
化されたGd2@C80の三種の化合物の混合物と推定さ
れ、その組成重量比は、図5のマススペクトル(Gd@
82、Gd@C80およびGd2@C80のスペクトル)よ
り、水酸化されたGd@C82:水酸化されたGd@
80:水酸化されたGd2@C80=2:1:1と推定さ
れる。
【0038】これらの三種の化合物の反応性がすべて同
じであり、水酸基の付加する数はフラーレンの炭素の数
に比例すると仮定すると、これらの三種の化合物の平均
化学式は
【0039】
【数1】
【0040】
【数2】
【0041】(原子量を5ケタにしてあるのはH(
式)で有効数字を3ケタにするためである) 元素分析値(実験値)はアッシュ:14.3%、H:2.
96%、C:47.04%及びO:36.67%であるの
で、Gdについては下記式が成り立つ
【0042】
【数3】
【0043】また、Cについては、下記式が成り立
つ。
【0044】
【数4】
【0045】また、Oについては、下記式が成り立
つ。
【0046】
【数5】
【0047】また、Hについては、下記式が成り立
つ。
【0048】
【数6】
【0049】kとlはOとHに係わっているので下記式
及びにより、連立方程式を解いて、kとlを求め
る。
【0050】
【数7】
【0051】従って該三種の化合物の混合物の平均化学
式はGd1.25@C81(OH)36.8・7.4H2Oで表され
る。この平均化学式によりCの数が81のときOHの数
は36.8であり、OHの数は、フラーレンの炭素の数
に比例すると仮定しているので、炭素数1個当たりのO
H数はOH/C=36.8/81=0.454である。
【0052】Gd@C80とGd2@C80の化学反応性を
等しいと仮定すると、炭素数80のときのOHの数は8
0×0.454=36.3である。
【0053】また、炭素数82のときのOHの数は82
×0.454=37.2である。
【0054】H2OはOHとの水素結合により吸着され
ていると仮定するとH2O数はOH数に依存する。従っ
て、OH数1個当たりのH2O数はl/k=7.4/3
6.8=0.20である。
【0055】従って、炭素数80のときのH2O数は、
36.3×0.20=7.3であり、炭素数82のときの
2O数は、37.2×0.20=7.4である。
【0056】従って、該目的のGd内包フラロール混合
物Qは、Gd@C82(OH)37・7H 2Oを分布の平均と
する水酸化されたGd@C82、Gd2@C80(OH)36
7H2Oを分布の平均とする水酸化されたGd2@C80
びGd@C80(OH)36・7H2Oを分布の平均とする水
酸化されたGd@C80の混合物であると推定され、該G
d内包フラロール混合物Q全体の平均化学式はGd1.25
@C81(OH)36.8・7.4H2Oであると推定される。
【0057】さらに、前記各分布の平均であるGd@C
82(OH)37・7H2O、Gd2@C80(OH)36・7H2
およびGd@C80(OH)36・7H2Oは、また、各分布
のピークであると予想される。 試験例1:Gd内包フラロール混合物z40のプロトン
緩和度 上記製造例1で得られたGd内包フラロール混合物z4
0、Gd−DTPA(マグネビストR、日本シエーリン
グ)およびGdCl3(和光純薬、大阪)を0.1、0.
5および1.0mmol Gd/L濃度で純水に溶解し、
各試料溶液のpHは、1N HClまたは1N NaOH
を用い、pH7.2(±0.2)に調整した。各試料溶液
の緩和時間は0.47T NMRスペクトルメーター(N
MS 120 minispec,Bruker)を用い、37℃で信号
強度を測定し、縦緩和時間(T1)および横緩和時間
(T2)を算出した。同様に、0.01、0.1、1.0m
mol Gd/L濃度の各試料溶液の4.7T MRI画
像解析装置(Unity INOVA,Varian,室温)で信号強度
を測定し、縦緩和時間(T1)を算出した。得られた緩
和時間の逆数とGd濃度との直線回帰式より、T1、T2
緩和度(R1、R2)を算出した。結果を、下記表−Iに
まとめる。
【0058】
【表1】
【0059】得られた0.47Tでの各試料溶液のR1
よびR2から、Gd濃度と信号増強率を計算した結果を
図6に示す。
【0060】図6より、Gd内包フラロール混合物z4
0の極大信号増強濃度は約0.2〜0.5mMであり、そ
れを超える濃度ではT1短縮効果に比べT2短縮効果が大
きくなるため信号増強率が低下することが推察される。
なお、Gd濃度が約0.5mM以下における信号増強
は、Gd内包フラロール混合物z40、GdCl3、G
d−DTPAの順に高い効果が得られることが推定され
る。 試験例2:Gd内包フラロール混合物z40のT1強調
MRI疑似模型(phantom)試験 Gd濃度を0.01、0.1および1.0mmol Gd/
Lに調整した各試料溶液を1mlのプラスチック注射筒
に充填し、4.7T MRI画像解析装置(Unity INOV
A,Varian,TR/TE=300/11 msec、室温)を
用いてMRI画像解析試験を行った。結果を図7に示
す。
【0061】図7に得られた4.7TでのT1強調MRI
画像写真とその画像から得られた水に対する信号強度比
をまとめて、図8に示す。
【0062】これらの図から、0.01および0.1mm
ol Gd/L濃度溶液で、Gd内包フラロール混合物
z40溶液が最も高輝度信号を示したが、1.0mmo
l Gd/L溶液では、逆に輝度が低下した。この結果
は、図6で計算した推定モデルと良好な相関を示した。
従って、実際のMRI画像においてもGd内包フラロー
ル混合物z40溶液が低濃度で最も強い高輝度信号を示
すことが確認される。 試験例3:Gd内包フラロール混合物z40の In vivo
MRI画像解析試験 大腸癌細胞である Colon26を移植したICRおよびC
DFIマウス(雌、4週令、約20g)を吸気麻酔し、
尾静脈より1mmol Gd/L濃度のGd内包フラロ
ール混合物z40水溶液100μlをマウス尾静脈投与
(5μmolGd/kg)し、上記の条件で投与前、投
与直後、投与後30分、1時間後のMRI画像解析試験
を行った結果を図9に示す。なお、MRI画像より得ら
れた各臓器(腫瘍、肝臓、肺、腎臓および筋肉)の経時
的な信号輝度変化を解析した。結果を図10(n=3)
に示す。
【0063】Gd内包フラロール混合物z40の尾静脈
内投与後のMRI画像解析結果より、いずれのマウスに
おいても投与直後から肺の信号輝度上昇が認められ、引
き続いて肝臓の輝度の上昇を認めた。但し、肺の信号輝
度変化については空気のアーチファクトによるノイズも
多少含まれる。この結果より、Gd@C82(OH)40は体
内の細網内系に取り込まれ、信号を発現するものと推察
される。 試験例4:Gd内包フラロール混合物のz40の体内分
布試験 大腸癌細胞である Colon26を移植したCDFIマウス
(雌、4週令、約20g)を吸気麻酔し、尾静脈より1
mmol Gd/L濃度のGd@C82(OH)40水溶液1
00μlをマウス尾静脈投与(5μmol Gd/k
g)投与後、種々の臓器(脳、肝臓、心臓、脾臓、腎
臓、肺、筋肉、血液、腫瘍、各n=3)を採取し、投与
後30分、1時間及び24時間後の臓器内Gdの定量を
ICPにより行った。各臓器は濃硝酸を添加し、120
℃で溶融・濃縮後、水を加えてICP測定用試料とし
た。結果を図11に示す。
【0064】図11はGd内包フラロール混合物z40
投与後の単位重量当りの臓器内分布を示すものである。
図より、Gd内包フラロール混合物z40は、投与30
分後に肺に集積し、引き続いて肝臓、脾臓に取り込まれ
ることが認められた。この結果は、先のMRI画像解析
による各臓器の信号輝度変化と良好な対応を示し、主に
体内の細網内皮系に取り込まれることが確認された。こ
のメカニズムは、Gd内包フラロール混合物z40が血
中成分の各種イオンやタンパク質と相互作用し、粒子径
が大きくなった凝集体を形成したために、微小な単分散
体(数ナノメーター)は取り込まない細網内皮系に選択
的に取り込まれたのではないかと推察される。 試験例5:金属内包フラロール混合物Qのプロトン緩和
度 上記で得られたGd内包フラロール混合物Q、Gd−D
TPA(マグネビスト R、日本シエーリング)およびG
dCl3(和光純薬、大阪)を0.1、0.5および1.0
mmol Gd/L濃度で純水に溶解し、各試料溶液の
pHは、1N HClまたは1N NaOHを用い、pH
7.2(±0.2)に調整した。各試料溶液の緩和時間は
0.47T NMRスペクトルメーター(NMS 120
minispec,Bruker)を用い、37℃で信号強度を測定
し、縦緩和時間(T1)および横緩和時間(T2)を算出
した。同様に、上記試料溶液の4.7T MRI画像解析
装置(Unity INOVA,Varian,室温)及び1.0T MR
I画像解析装置(MAGNETONHarmony,Siemens,室温)で
信号強度を測定し、T1及びT2緩和時間を算出した。得
られた緩和時間の逆数とGd濃度との直線回帰式より、
1、T2緩和度(R 1、R2)を算出した。結果を、下記
表−IIにまとめる。
【0065】
【表2】
【0066】得られた1.0Tでの各試料溶液のR1およ
びR2から、Gd濃度と信号増強率を計算した結果を図
12に示す。
【0067】図12より、Gd内包フラロール混合物Q
の極大信号増強濃度は約0.1mMであり、それを超え
る濃度ではT2効果により信号増強率が低下することが
推察される。なお、Gd濃度が約0.2mM以下におけ
る信号増強は、Gd内包フラロール混合物Q、GdCl
3、Gd−DTPAの順に高い効果が得られることが推
定される。 試験例6:金属内包フラロール混合物QのT1強調MR
I疑似模型(phantom)試験(1) Gd濃度を0.01、0.05および0.1mmol Gd
/Lに調整した各試料溶液を1mlのプラスチック注射
筒に充填し、4.7T MRI画像解析装置(Unity INOV
A,Varian,TR/TE=300/9 msec、室温)を用
いてMRI画像解析試験を行った。結果を図13に示
す。
【0068】図13に得られた4.7TでのT1強調MR
I画像写真とその画像から得られた水に対する信号強度
比をまとめて、図14に示す。
【0069】これらの図から、0.01、0.05および
0.1mmol Gd/L濃度溶液で、Gd内包フラロー
ル混合物Q溶液が最も高輝度信号を示した。従って、実
際の4.7TでのMRI画像においてもGd内包フラロ
ール混合物Q溶液が低濃度で最も強い高輝度信号を示す
ことが確認される。 試験例7:金属内包フラロール混合物QのT1強調MR
I疑似模型(phantom)試験(2) Gd濃度を0.01、0.1および1.0mmol Gd/
Lに調整した各試料溶液を1mlのプラスチック注射筒
に充填し、1.0T MRI画像解析装置(MAGNETON Har
mony,Siemens TR/TE=300/14 msec、室
温)を用いてMRI画像解析試験を行った。結果を図1
5に示す。
【0070】図15に得られた1.0TでのT1強調MR
I画像写真とその画像から得られた水に対する信号強度
比をまとめて、図16に示す。
【0071】これらの図から、0.01、0.05および
0.1mmol Gd/L濃度溶液で、Gd内包フラロー
ル混合物Q溶液が最も高輝度信号を示した。この結果
は、図12で計算した推定モデルと対応している。従っ
て、実際のMRI画像においてもGd内包フラロール混
合物Q溶液が低濃度で最も強い高輝度信号を示すことが
確認される。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得られたフラーレンおよび金属内包
フラーレンを含んだすすのマススペクトルグラムであ
る。このスペクトル中、ピーク876.5はGd@C60
に相当し、ピーク997.1はGd@C70に相当し、ピ
ーク1141.0はGd@C 82に相当する。
【図2】該すすから二硫化炭素を用いるソックスレー抽
出により抽出される画分のHPLCクロマトグラムであ
る。このスペクトル中、ピーク9.16はC60フラーレ
ンに相当し、ピーク15.69はC70フラーレンに相当
し、ピーク30.84はC 84フラーレンに相当し、ピー
ク44.26はGd@C82に相当する。
【図3】上記ソックスレー抽出による残渣からピリジン
抽出して得られる画分のHPLCクロマトグラムであ
る。このスペクトル中、ピーク10.37はC60フラー
レンに相当し、ピーク45.56はGd@C82に相当す
る。
【図4】製造例1で得られた精製Gd@C82のマススペ
クトルグラムである。このスペクトル中、ピーク114
2.0はGd@C82に相当する。
【図5】製造例2で調製したピリジン溶液のマススペク
トルグラムである。このスペクトル中、ピーク111
7.3はGd@C80に相当し、ピーク1141.3はGd
@C82に相当し、ピーク1275.0はGd2@C80に相
当する。
【図6】Gd内包フラロール混合物z40、Gd−DT
PAおよびGdCl3水溶液のT1、T2緩和度(0.47
T)より計算した溶液中Gd濃度と信号増強率の関係を
グラフ表示したものである。
【図7】試験例2におけるT1強調MRI phantom 試験
の結果(各MRI画像写真)をまとめたものである。
【図8】図7の画像写真の画像から得られる水に対する
信号強度比をグラフ表示したものである。
【図9】試験例3における被験動物の各臓器のMRI画
像写真である。
【図10】図9の画像写真より算出したGd内包フラロ
ール混合物z40投与後(5μmol Gd/kg)の
投与前に対する各臓器の信号強度変化(a)図(ICR
マウス)、(b)図(CDF1マウス)のグラフ表示で
ある。
【図11】Gd内包フラロール混合物z40投与後(5
μmol Gd/kg)の体内分布の経時変化(CDF
1マウス)のグラフ表示である。
【図12】Gd内包フラロール混合物Q、Gd−DTP
A及びGdC13水溶液のT1、T2緩和度(1.0T)よ
り計算した溶液中のGd濃度と信号増強率の関係をグラ
フ表示したものである。
【図13】試験例6におけるT1強調MRI phantom 試
験(4.7T Unity INOVA,Varian,TR/TE−30
0/9 msec)の結果(各MRI画像写真)をまとめた
ものである。
【図14】図13の画像写真の画像から得られる水に対
する信号強度比をグラフ表示したものである。
【図15】試験例7におけるT1強調MRI phantom 試
験(1.0T MAGNETON Harmony,Siemens,TR/TE
−300/14 msec)の結果(各MRI画像写真)を
まとめたものである。
【図16】図15の画像写真の画像から得られる水に対
する信号強度比をグラフ表示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 久典 名古屋市天白区植田本町3−917 (72)発明者 三川 雅人 東京都町田市鶴間318−1 南町田パーク ホームズ311 (72)発明者 三輪 直人 大阪府高槻市松が丘2−22−16 Fターム(参考) 4C085 HH07 JJ01 KB12 KB41 LL01 LL05 LL07 LL09 LL11 LL18 4H006 AA01 AA03 AB91 AC93 FC36 FE12 FG90

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) Gdx@Cy(OH)z (I) (上式中、xは1または2の整数であり、yは60、ま
    たは70〜120間の偶数であり、zは30以上の整数
    であり、そして@Cy(OH)zは記載されている原子団
    から形成されるGdを閉じ込め得るような中空の球状構
    造を有する分子を意味する)で表されるガドリニウム内
    包フラロールまたはその塩もしくは水和物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が82であり、そしてzが30〜50の範囲内にある請
    求項1記載のフラロールまたはその塩もしくは水和物。
  3. 【請求項3】 一般式(I) Gdx@Cy(OH)z (I) (上式中、xは1または2の整数であり、yは60、ま
    たは70〜120間の偶数であり、zは30以上の整数
    であり、そして@Cy(OH)zは記載されている原子団
    から形成されるGdを閉じ込め得るような中空の球状構
    造を有する分子を意味する)で表されるガドリニウム内
    包フラロールまたはその塩もしくは水和物を有効成分と
    して含んでなる造影剤。
  4. 【請求項4】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が82であり、そしてzが30〜50の範囲内にある請
    求項3記載の造影剤。
  5. 【請求項5】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が82であり、そしてzが約40であるガドリニウム内
    包フラロールを分布のピークとして有する該フラロール
    またはその塩もしくは水和物の混合物を有効成分とする
    請求項3記載の造影剤。
  6. 【請求項6】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が82であり、そしてzが約37であるガドリニウム内
    包フラロールを分布のピークとして有する該フラロール
    またはその塩もしくは水和物の混合物を有効成分とする
    請求項3記載の造影剤。
  7. 【請求項7】 一般式(I)におけるxが2であり、y
    が80であり、そしてzが約36であるガドリニウム内
    包フラロールを分布のピークとして有する該フラロール
    またはその塩もしくは水和物の混合物を有効成分とする
    請求項3記載の造影剤。
  8. 【請求項8】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が80であり、そしてzが約36であるガドリニウム内
    包フラロールを分布のピークとして有する該フラロール
    またはその塩もしくは水和物の混合物を有効成分とする
    請求項3記載の造影剤。
  9. 【請求項9】 一般式(I)におけるxが1であり、y
    が82であり、そしてzが約37であるガドリニウム内
    包フラロールを分布のピークとして有する該フラロール
    またはその塩もしくは水和物の混合物、 一般式(I)におけるxが2であり、yが80であり、
    そしてzが約36であるガドリニウム内包フラロールを
    分布のピークとして有する該フラロールまたはその塩も
    しくは水和物の混合物、および一般式(I)におけるx
    が1であり、yが80であり、そしてzが約36である
    ガドリニウム内包フラロールを分布のピークとして有す
    る該フラロールまたはその塩もしくは水和物の混合物の
    三種の混合物を有効成分とする請求項3記載の造影剤。
  10. 【請求項10】 造影剤が磁気共鳴画像形成(MRI)
    に向けられる請求項3〜9のいずれかに記載の造影剤。
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