JP2001096144A - 超臨界水・亜臨界水利用装置用部材 - Google Patents
超臨界水・亜臨界水利用装置用部材Info
- Publication number
- JP2001096144A JP2001096144A JP27527899A JP27527899A JP2001096144A JP 2001096144 A JP2001096144 A JP 2001096144A JP 27527899 A JP27527899 A JP 27527899A JP 27527899 A JP27527899 A JP 27527899A JP 2001096144 A JP2001096144 A JP 2001096144A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- corrosion
- zro
- supercritical
- corrosion resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/54—Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 超臨界水および亜臨界水中で、腐食が少な
く、割れの懸念がない、耐摩耗性、絶縁性および熱遮断
性の高いセラミックス部材を提供する。 【解決手段】 ZrO2を主成分として、Y2O3,C
aO及びMgOから選ばれる少なくとも一つの元素を有
する、ホットプレス法で製造した、部分安定化セラミッ
クスである。
く、割れの懸念がない、耐摩耗性、絶縁性および熱遮断
性の高いセラミックス部材を提供する。 【解決手段】 ZrO2を主成分として、Y2O3,C
aO及びMgOから選ばれる少なくとも一つの元素を有
する、ホットプレス法で製造した、部分安定化セラミッ
クスである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超臨界水又は亜臨
界水を扱う装置に用いられる部材に関し、特に、耐摩
耗、耐食、絶縁、熱遮断などに好適な部材に関するもの
である。
界水を扱う装置に用いられる部材に関し、特に、耐摩
耗、耐食、絶縁、熱遮断などに好適な部材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】臨界点(温度:374℃、圧力:21.
76MPa)を超えた超臨界領域にある水である超臨界
水は、有機物をほぼ瞬時に分解するため、ダイオキシ
ン、PCB、フロンなどの有害物質を完全無害化する技
術として注目されている。図1は、超臨界水を利用して
焼却飛灰を連続処理する装置を示すもので、調整槽10
において、焼却飛灰、水、燃料を混合して形成されたス
ラリーが、予熱器を介して超臨界水反応器14に供給さ
れ、空気と一緒に噴射ノズル16より噴射されて分解さ
れるようになっている。
76MPa)を超えた超臨界領域にある水である超臨界
水は、有機物をほぼ瞬時に分解するため、ダイオキシ
ン、PCB、フロンなどの有害物質を完全無害化する技
術として注目されている。図1は、超臨界水を利用して
焼却飛灰を連続処理する装置を示すもので、調整槽10
において、焼却飛灰、水、燃料を混合して形成されたス
ラリーが、予熱器を介して超臨界水反応器14に供給さ
れ、空気と一緒に噴射ノズル16より噴射されて分解さ
れるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、環境が
高温であり、有害物質の分解によって各種の酸及びハロ
ゲンが生成すること、また、その中和のためにアルカリ
が添加されることなどの理由から、そのための装置を構
成する素材は、酸からアルカリまでの多様な環境で高い
耐食性を有することが望まれる。超臨界水中でのセラミ
ックスの利用例としては、実験装置の窓にサファイアが
使われた実績があり、Al2O3系セラミックスの耐食
性の良さが示唆されているが、他の材料に関する知見は
少ない。
高温であり、有害物質の分解によって各種の酸及びハロ
ゲンが生成すること、また、その中和のためにアルカリ
が添加されることなどの理由から、そのための装置を構
成する素材は、酸からアルカリまでの多様な環境で高い
耐食性を有することが望まれる。超臨界水中でのセラミ
ックスの利用例としては、実験装置の窓にサファイアが
使われた実績があり、Al2O3系セラミックスの耐食
性の良さが示唆されているが、他の材料に関する知見は
少ない。
【0004】また、図1に示すようなダイオキシンを含
むごみ焼却飛灰処理装置のように、扱う物質がスラリー
を含む場合、反応器14の噴射ノズル16の周辺では、
スラリーの物理的作用による摩耗によって腐食は一層加
速される。このような部分の保護管としてはSiCが期
待されるものの、超臨界水中の腐食に関する知見は得ら
れていない。
むごみ焼却飛灰処理装置のように、扱う物質がスラリー
を含む場合、反応器14の噴射ノズル16の周辺では、
スラリーの物理的作用による摩耗によって腐食は一層加
速される。このような部分の保護管としてはSiCが期
待されるものの、超臨界水中の腐食に関する知見は得ら
れていない。
【0005】一方、超臨界領域に隣接する領域にある亜
臨界水中では、高温における反応速度の高さを利用し
て、電解反応による有害物質分解プロセスの開発が行わ
れている。亜臨界水も超臨界水と同様の高い腐食性を有
しており、やはり装置は多様な環境で耐食的であること
が望まれる。電解反応を利用した分解プロセスでは、電
解のための絶縁材料が必要であり、好適なセラミックス
材料の選定が望まれている。
臨界水中では、高温における反応速度の高さを利用し
て、電解反応による有害物質分解プロセスの開発が行わ
れている。亜臨界水も超臨界水と同様の高い腐食性を有
しており、やはり装置は多様な環境で耐食的であること
が望まれる。電解反応を利用した分解プロセスでは、電
解のための絶縁材料が必要であり、好適なセラミックス
材料の選定が望まれている。
【0006】近年、高温水中における各種セラミックス
の耐食性に関する研究が増加しつつあるが、超臨界水中
においてはごく限られた研究例しか見当たらず、超臨界
水および亜臨界水双方に好適なセラミックス材料に関す
る情報は極めて少ない。
の耐食性に関する研究が増加しつつあるが、超臨界水中
においてはごく限られた研究例しか見当たらず、超臨界
水および亜臨界水双方に好適なセラミックス材料に関す
る情報は極めて少ない。
【0007】本発明は、上記事情に鑑み、超臨界水およ
び亜臨界水中で、腐食が少なく、割れの懸念がない、耐
摩耗性、絶縁性および熱遮断性の高いセラミックス部材
を提供することを目的とする。
び亜臨界水中で、腐食が少なく、割れの懸念がない、耐
摩耗性、絶縁性および熱遮断性の高いセラミックス部材
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、超臨界領域
におけるセラミックスの耐食性及び割れに対する抵抗性
を改善する目的で、各種セラミックスに対する製法及び
添加元素の量の影響に関する研究を行い、以下のような
手段を発明した。
におけるセラミックスの耐食性及び割れに対する抵抗性
を改善する目的で、各種セラミックスに対する製法及び
添加元素の量の影響に関する研究を行い、以下のような
手段を発明した。
【0009】請求項1に記載の発明は、ZrO2を主成
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、ホットプレス法で製造し
た、部分安定化セラミックスであることを特徴とする超
臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、ホットプレス法で製造し
た、部分安定化セラミックスであることを特徴とする超
臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
【0010】請求項2に記載の発明は、ZrO2を主成
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、立方晶が安定なセラミッ
クスであることを特徴とする超臨界水・亜臨界水利用装
置用部材である。
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、立方晶が安定なセラミッ
クスであることを特徴とする超臨界水・亜臨界水利用装
置用部材である。
【0011】請求項3に記載の発明は、ZrO2を主成
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、立方晶が安定なセラミッ
クスを表面に被覆することを特徴とする超臨界水・亜臨
界水利用装置用部材である。
分として、Y2O3,CaO及びMgOから選ばれる少
なくとも一つの元素を有する、立方晶が安定なセラミッ
クスを表面に被覆することを特徴とする超臨界水・亜臨
界水利用装置用部材である。
【0012】請求項4に記載の発明は、常圧焼結によっ
て製造したSiCセラミックスであることを特徴とする
超臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
て製造したSiCセラミックスであることを特徴とする
超臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
【0013】請求項5に記載の発明は、常圧焼結によっ
て製造したMgAl2O4セラミックスであることを特
徴とする超臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
て製造したMgAl2O4セラミックスであることを特
徴とする超臨界水・亜臨界水利用装置用部材である。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を試験の内容を中心に
説明する。試料としては、種類、製造方法、焼結助剤お
よび結晶構造などが異なるセラミックス焼結体を用い
た。その一覧表をその特徴とともに表1に示した。
説明する。試料としては、種類、製造方法、焼結助剤お
よび結晶構造などが異なるセラミックス焼結体を用い
た。その一覧表をその特徴とともに表1に示した。
【表1】
【0015】ここにおいて、常圧焼結は Pressureless
Sintering の頭文字をとってPLSと略し、同様に反応
焼結(Reaction Bonding)はRB、熱間静水圧プレス
(HotIsostatic Press)はHIP、ホットプレス(Hot
Press)はHP、コールドプレス(Cold Press)はCP
とした。
Sintering の頭文字をとってPLSと略し、同様に反応
焼結(Reaction Bonding)はRB、熱間静水圧プレス
(HotIsostatic Press)はHIP、ホットプレス(Hot
Press)はHP、コールドプレス(Cold Press)はCP
とした。
【0016】常圧焼結(PLS)は、粉末成形体を加熱
し、大気圧下またはそれ以下の圧力で焼結する方法であ
る。一般の成形法が適用でき、複雑な形状の製品に適用
可能である。SiCの場合焼結温度は約2100℃であ
る。反応焼結(RB)は、SiCの製法を例にとると、
SiC+Cの粉末成形体に溶融Siを含浸させて焼結す
る方法である。焼結時の収縮は少ないが、高温での強度
が低下する傾向がある。熱間静水圧プレス(HIP)
は、粉末成形体に、ガスなどによって等方的圧力を加え
ながら焼結する方法である。ホットプレス(HP)は、
黒鉛ダイスなどを用い、高圧下で焼結する方法である。
単純形状品にしか適用できないが高強度が得られる利点
がある。
し、大気圧下またはそれ以下の圧力で焼結する方法であ
る。一般の成形法が適用でき、複雑な形状の製品に適用
可能である。SiCの場合焼結温度は約2100℃であ
る。反応焼結(RB)は、SiCの製法を例にとると、
SiC+Cの粉末成形体に溶融Siを含浸させて焼結す
る方法である。焼結時の収縮は少ないが、高温での強度
が低下する傾向がある。熱間静水圧プレス(HIP)
は、粉末成形体に、ガスなどによって等方的圧力を加え
ながら焼結する方法である。ホットプレス(HP)は、
黒鉛ダイスなどを用い、高圧下で焼結する方法である。
単純形状品にしか適用できないが高強度が得られる利点
がある。
【0017】ZrO2はY2O3の含有量によってその
結晶構造が異なる。PLS−ZrO 2、HP−ZrO2
およびHIP−ZrO2は、立方晶中に準安定正方晶を
分散させた部分安定化ジルコニアであり、YSZ(Yitt
ria Stabilized Zr)と示したのはY2O3の添加によ
り立方晶が安定化されている安定化ジルコニアであっ
て、PLSによって製造されている。部分安定化ZrO
2は安定化剤を少量(8mol%以下)にして、立方晶
中に、単斜晶に変態しにくい微細な準安定状態の正方晶
(0.2〜0.3μm)を分散析出させている(表2およ
び、ZrO2とY 2O3の2元系状態図である図2参
照)。
結晶構造が異なる。PLS−ZrO 2、HP−ZrO2
およびHIP−ZrO2は、立方晶中に準安定正方晶を
分散させた部分安定化ジルコニアであり、YSZ(Yitt
ria Stabilized Zr)と示したのはY2O3の添加によ
り立方晶が安定化されている安定化ジルコニアであっ
て、PLSによって製造されている。部分安定化ZrO
2は安定化剤を少量(8mol%以下)にして、立方晶
中に、単斜晶に変態しにくい微細な準安定状態の正方晶
(0.2〜0.3μm)を分散析出させている(表2およ
び、ZrO2とY 2O3の2元系状態図である図2参
照)。
【表2】
【0018】試料は、YSZ以外、ファインカッターに
よってほぼ4等分に切断した。そして前処理として、耐
水研磨紙で#1500まで湿式研磨した後、ダイヤモン
ドペーストによって6μmから1μmまで研磨し、アセ
トンで脱脂および超音波洗浄を行い、腐食試験用の試料
とした。
よってほぼ4等分に切断した。そして前処理として、耐
水研磨紙で#1500まで湿式研磨した後、ダイヤモン
ドペーストによって6μmから1μmまで研磨し、アセ
トンで脱脂および超音波洗浄を行い、腐食試験用の試料
とした。
【0019】腐食試験に用いた超臨界反応容器を図3に
示した。このオートクレーブ20は、ハステイC276
製で、最高使用温度500℃において、最高使用圧力が
350kgf/cm2になるように設計されている。こ
の条件を超えることがあると、1次ゲージ後方の安全弁
が開く仕組みになっている。内部容器22(容量:φ5
2×t108.7)もオートクレーブ同様ハステロイC
276製である。
示した。このオートクレーブ20は、ハステイC276
製で、最高使用温度500℃において、最高使用圧力が
350kgf/cm2になるように設計されている。こ
の条件を超えることがあると、1次ゲージ後方の安全弁
が開く仕組みになっている。内部容器22(容量:φ5
2×t108.7)もオートクレーブ同様ハステロイC
276製である。
【0020】表1に示した全ての試料について、高純度
水中で500℃、300kgf/cm2一定のもと、5
0時間の腐食試験を行った。その結果、優れた耐食性を
示した試料に関しては、新たに3.3×10−4MNa
OH水溶液(常温でpH=10)を用いて高純度水の場
合と同様に腐食試験を行った。
水中で500℃、300kgf/cm2一定のもと、5
0時間の腐食試験を行った。その結果、優れた耐食性を
示した試料に関しては、新たに3.3×10−4MNa
OH水溶液(常温でpH=10)を用いて高純度水の場
合と同様に腐食試験を行った。
【0021】試験前後における試料の質量変化を直示天
秤で測定した。表3に、腐食試験の前後における各試料
の単位面積あたりの質量変化を示す。求めた質量変化を
下記に示す式によって定義される腐食深さ(Corrosion
Depth) に換算し、図4に示す。 腐食深さ(m)= 質量減少量(kg)/かさ密度(kg/m3)・表面積(m2)・・(1)
秤で測定した。表3に、腐食試験の前後における各試料
の単位面積あたりの質量変化を示す。求めた質量変化を
下記に示す式によって定義される腐食深さ(Corrosion
Depth) に換算し、図4に示す。 腐食深さ(m)= 質量減少量(kg)/かさ密度(kg/m3)・表面積(m2)・・(1)
【表3】
【0022】これによれば、セラミックスの種類の耐食
性を比較した場合、SiC,Al2O3およびMgAl
2O4は腐食深さの大きさから考えると耐食性が良い。
これに対してSi3N4は耐食性が悪い。また、部分安
定化ZrO2は、PLSおよびHIPによって製造され
たもの(PLS−ZrO2およびHIP−ZrO2)は
試験中に崩壊するという重大な欠陥を示した。しかし、
HP−ZrO2は崩壊しなかった。AlNは腐食試験
後、質量の増加を示した。
性を比較した場合、SiC,Al2O3およびMgAl
2O4は腐食深さの大きさから考えると耐食性が良い。
これに対してSi3N4は耐食性が悪い。また、部分安
定化ZrO2は、PLSおよびHIPによって製造され
たもの(PLS−ZrO2およびHIP−ZrO2)は
試験中に崩壊するという重大な欠陥を示した。しかし、
HP−ZrO2は崩壊しなかった。AlNは腐食試験
後、質量の増加を示した。
【0023】ZrO2は、製造法およびY2O3含有量
に関わらず、いずれの試料も腐食深さの絶対値は小さ
く、耐食性が優れていることが分かる。特に、YSZは
今回用いた試料の中で、最小の腐食深さを示した。試験
後にHIP−ZrO2の質量が増加したのは、酸素空孔
を媒体とする反応により生成し、内部に拡散した水分
が、試験後の乾燥によっても抜けなかったものと考えら
れる。
に関わらず、いずれの試料も腐食深さの絶対値は小さ
く、耐食性が優れていることが分かる。特に、YSZは
今回用いた試料の中で、最小の腐食深さを示した。試験
後にHIP−ZrO2の質量が増加したのは、酸素空孔
を媒体とする反応により生成し、内部に拡散した水分
が、試験後の乾燥によっても抜けなかったものと考えら
れる。
【0024】HIP−ZrO2は、超臨界状態では崩壊
したが、亜臨界状態では崩壊しなかったことより、正方
晶から単斜晶への変態量が少なかったことを示してい
る。つまり、変態の関わる腐食の促進作用は超臨界の方
が大きいといえる。
したが、亜臨界状態では崩壊しなかったことより、正方
晶から単斜晶への変態量が少なかったことを示してい
る。つまり、変態の関わる腐食の促進作用は超臨界の方
が大きいといえる。
【0025】次に、ZrO2の崩壊に対する単斜晶への
変態量の影響を調べるために、X線回折によって正方晶
から単斜晶への変態量を求めた。単斜晶相の最強回折線
ピーク強度:Imと正方晶の最強回折線ピーク強度:I
tとし、 単斜晶相の変態割合(%)=Im/(Im+It)×100・・(2) と定義し、PLS−ZrO2、HIP−ZrO2および
HP−ZrO2におけるそれぞれの変態量を表4に示
す。PLS−ZrO2およびHIP−ZrO2が崩壊
し、HP−ZrO2が崩壊しなかったことにより、正方
晶から単斜晶への変態量に比例して崩壊しやすくなって
いることが分かる。
変態量の影響を調べるために、X線回折によって正方晶
から単斜晶への変態量を求めた。単斜晶相の最強回折線
ピーク強度:Imと正方晶の最強回折線ピーク強度:I
tとし、 単斜晶相の変態割合(%)=Im/(Im+It)×100・・(2) と定義し、PLS−ZrO2、HIP−ZrO2および
HP−ZrO2におけるそれぞれの変態量を表4に示
す。PLS−ZrO2およびHIP−ZrO2が崩壊
し、HP−ZrO2が崩壊しなかったことにより、正方
晶から単斜晶への変態量に比例して崩壊しやすくなって
いることが分かる。
【表4】
【0026】次に、SiCの製造法別の耐食性を比較す
る。PLSによって製造された試料は耐食性がよいとい
える。これに対して、RBによって製造された試料は、
腐食深さが大きく、耐食性がよいとはいえない。CVD
によって製造された試料は、腐食深さが大きいばかりで
なく、非常に細かく崩壊してしまった。これは柱状晶の
粒界に沿って溶液が内部まで侵入し粒界を侵したためで
あると思われる。このようにSiCの耐食性は製造法に
非常に強く依存していることが分かった。
る。PLSによって製造された試料は耐食性がよいとい
える。これに対して、RBによって製造された試料は、
腐食深さが大きく、耐食性がよいとはいえない。CVD
によって製造された試料は、腐食深さが大きいばかりで
なく、非常に細かく崩壊してしまった。これは柱状晶の
粒界に沿って溶液が内部まで侵入し粒界を侵したためで
あると思われる。このようにSiCの耐食性は製造法に
非常に強く依存していることが分かった。
【0027】次に結晶構造について比較する。結晶構造
がα相のPLS−SiC(α)はSiC試料の中でもっ
とも耐食性がよいことから、結晶構造がα相の方がわず
かではあるが、耐食性が良いと思われる。助剤(B,A
l,Ca)の影響を調べが、助剤の添加量が少ない方が
耐食性が良いことが分かった。
がα相のPLS−SiC(α)はSiC試料の中でもっ
とも耐食性がよいことから、結晶構造がα相の方がわず
かではあるが、耐食性が良いと思われる。助剤(B,A
l,Ca)の影響を調べが、助剤の添加量が少ない方が
耐食性が良いことが分かった。
【0028】Si3N4はPLSの方がHPよりも小さ
な腐食深さを示したものの、いずれの製造法においても
他の試料に比べて遙かに大きな腐食深さを示し、耐食性
が非常に悪いことが分かった。また、どちらの試料につ
いても、表面には腐食生成物が厚く堆積している様子が
観察された。
な腐食深さを示したものの、いずれの製造法においても
他の試料に比べて遙かに大きな腐食深さを示し、耐食性
が非常に悪いことが分かった。また、どちらの試料につ
いても、表面には腐食生成物が厚く堆積している様子が
観察された。
【0029】PLS−AlNは、腐食深さの絶対値でみ
れば、優れた耐食性を有しているように思えるが、表面
に関していえは、試験前は琥珀色であったが、試験後は
白色になった。Si3N4表面に生成したものほど厚く
ないが確かに白色の腐食生成物が形成された。
れば、優れた耐食性を有しているように思えるが、表面
に関していえは、試験前は琥珀色であったが、試験後は
白色になった。Si3N4表面に生成したものほど厚く
ないが確かに白色の腐食生成物が形成された。
【0030】Al2O3は、製造法に関わらず優れた耐
食性を示すことが分かった。HIP−Al2O3および
Sapphireは特に耐食性が良かった。Al2O3は、超臨
界および亜臨界いずれの状態においても、優れた耐食性
を有していることが分かった。
食性を示すことが分かった。HIP−Al2O3および
Sapphireは特に耐食性が良かった。Al2O3は、超臨
界および亜臨界いずれの状態においても、優れた耐食性
を有していることが分かった。
【0031】図5は、高純度水中で耐食性の良かったP
LS−SiC(α)、YSZ、HIP−Al2O3、P
LS−AlNおよびPLS−MgAl2O4について、
3.3×10−4MNaOH溶液(pH=10)を用い
て腐食試験を行った際の腐食深さを、高純度水で腐食試
験を行ったものと比較して示している。いずれの試料に
ついてもNaOH溶液中で腐食試験を行った方が大きな
腐食深さを示したが、YSZは高純度水中の腐食試験同
様、大変優れた耐食性を示した。PLS−MgAl2O
4の耐食性もまた非常に優れていた。
LS−SiC(α)、YSZ、HIP−Al2O3、P
LS−AlNおよびPLS−MgAl2O4について、
3.3×10−4MNaOH溶液(pH=10)を用い
て腐食試験を行った際の腐食深さを、高純度水で腐食試
験を行ったものと比較して示している。いずれの試料に
ついてもNaOH溶液中で腐食試験を行った方が大きな
腐食深さを示したが、YSZは高純度水中の腐食試験同
様、大変優れた耐食性を示した。PLS−MgAl2O
4の耐食性もまた非常に優れていた。
【0032】以下に、結果を総括する。高純度水中にお
ける腐食試験(500℃、300kgf/cm2、50
時間)では、YSZが最も優れた耐食性を示し、つい
で、PLS−MgAl2O4、Al2O4、HP−Zr
O2、PLS−SiC、AlN、RB−SiC、Si3
N 4の順となった。
ける腐食試験(500℃、300kgf/cm2、50
時間)では、YSZが最も優れた耐食性を示し、つい
で、PLS−MgAl2O4、Al2O4、HP−Zr
O2、PLS−SiC、AlN、RB−SiC、Si3
N 4の順となった。
【0033】3.3×10−4MNaOH溶液中の腐食
試験では、YSZが最も優れた耐食性を示し、次いで、
PLS−MgAl2O4、HIP−Al2O3、PLS
−SiC(α) 、PLS−AlNの順となった。
試験では、YSZが最も優れた耐食性を示し、次いで、
PLS−MgAl2O4、HIP−Al2O3、PLS
−SiC(α) 、PLS−AlNの順となった。
【0034】Al2O3の耐食性の良さはHIP、Sapp
hire、HP、PLSの順となるが、全般的に製造法によ
らず優れた耐食性を示すことがわかった。
hire、HP、PLSの順となるが、全般的に製造法によ
らず優れた耐食性を示すことがわかった。
【0035】PLS−SiCは耐食性が良かったが、C
DV−SiCは崩壊し、RB−SiCは大きな質量減少
および腐食深を示したため、SiCの耐食性は製造法に
非常に強く依存することが分かった。
DV−SiCは崩壊し、RB−SiCは大きな質量減少
および腐食深を示したため、SiCの耐食性は製造法に
非常に強く依存することが分かった。
【0036】ZrO2はPLSおよびHIPで製造さ
れ、Y2O3の添加量が制限された部分安定化ジルコニ
アは崩壊してしまうが、YSZのように十分なY2O3
の添加によって立方晶が安定化していれば、たとえHP
でなくPLSで製造したものであっても、崩壊せずに高
耐食材料として利用できる。
れ、Y2O3の添加量が制限された部分安定化ジルコニ
アは崩壊してしまうが、YSZのように十分なY2O3
の添加によって立方晶が安定化していれば、たとえHP
でなくPLSで製造したものであっても、崩壊せずに高
耐食材料として利用できる。
【0037】AlNおよびSi3N4は、表面に腐食生
成物を形成しながら激しく腐食することが分かった。
成物を形成しながら激しく腐食することが分かった。
【0038】なお、亜臨界水(300℃、86kgf/
cm2)でも同様の材料の評価を行ったが、全体的に腐
食が低減し、材料間の順位は超臨界水中と変わらなかっ
た。
cm2)でも同様の材料の評価を行ったが、全体的に腐
食が低減し、材料間の順位は超臨界水中と変わらなかっ
た。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
超臨界水および亜臨界水中で、腐食が少なく、割れの懸
念がない、耐摩耗性、絶縁性および熱遮断性の高いセラ
ミックス部材を提供することができる。
超臨界水および亜臨界水中で、腐食が少なく、割れの懸
念がない、耐摩耗性、絶縁性および熱遮断性の高いセラ
ミックス部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超臨界水反応を用いたごみ焼却飛灰処理装置を
示す図である。
示す図である。
【図2】ZrO2とY2O3の2元系状態図である。
【図3】腐食試験に用いた超臨界反応容器を示す断面図
である。
である。
【図4】腐食試験の前後における各試料の腐食深さを比
較して示す図である。
較して示す図である。
【図5】NaOH溶液(pH=10)を用いて腐食試験
を行った際の腐食深さを示す図である。
を行った際の腐食深さを示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ZrO2を主成分として、Y2O3,C
aO及びMgOから選ばれる少なくとも一つの元素を有
する、ホットプレス法で製造した、部分安定化セラミッ
クスであることを特徴とする超臨界水・亜臨界水利用装
置用部材。 - 【請求項2】 ZrO2を主成分として、Y2O3,C
aO及びMgOから選ばれる少なくとも一つの元素を有
する、立方晶が安定なセラミックスであることを特徴と
する超臨界水・亜臨界水利用装置用部材。 - 【請求項3】 ZrO2を主成分として、Y2O3,C
aO及びMgOから選ばれる少なくとも一つの元素を有
する、立方晶が安定なセラミックスを表面に被覆するこ
とを特徴とする超臨界水・亜臨界水利用装置用部材。 - 【請求項4】 常圧焼結によって製造したSiCセラミ
ックスであることを特徴とする超臨界水・亜臨界水利用
装置用部材。 - 【請求項5】 常圧焼結によって製造したMgAl2O
4セラミックスであることを特徴とする超臨界水・亜臨
界水利用装置用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27527899A JP2001096144A (ja) | 1999-09-28 | 1999-09-28 | 超臨界水・亜臨界水利用装置用部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27527899A JP2001096144A (ja) | 1999-09-28 | 1999-09-28 | 超臨界水・亜臨界水利用装置用部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001096144A true JP2001096144A (ja) | 2001-04-10 |
Family
ID=17553207
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27527899A Pending JP2001096144A (ja) | 1999-09-28 | 1999-09-28 | 超臨界水・亜臨界水利用装置用部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001096144A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184339A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 安定化ジルコニア微粒子及びその製造方法 |
JP2008268073A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Ebara Corp | 材料評価方法及びその評価方法を実施可能な処理装置 |
CN103058277A (zh) * | 2013-02-05 | 2013-04-24 | 山东国瓷功能材料股份有限公司 | 一种纳米氧化锆粉体超临界水热合成方法 |
-
1999
- 1999-09-28 JP JP27527899A patent/JP2001096144A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008184339A (ja) * | 2007-01-26 | 2008-08-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 安定化ジルコニア微粒子及びその製造方法 |
JP2008268073A (ja) * | 2007-04-23 | 2008-11-06 | Ebara Corp | 材料評価方法及びその評価方法を実施可能な処理装置 |
CN103058277A (zh) * | 2013-02-05 | 2013-04-24 | 山东国瓷功能材料股份有限公司 | 一种纳米氧化锆粉体超临界水热合成方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Basu | Toughening of yttria-stabilised tetragonal zirconia ceramics | |
US5525560A (en) | Zirconia based composite material and method of manufacturing the same product | |
Wang et al. | The role of excess magnesium oxide or lead oxide in determining the microstructure and properties of lead magnesium niobate | |
EP0834484B1 (en) | ZrO2 based ceramic material and method of producing the same | |
Baumgartner | Fast firing and conventional sintering of lead zirconate titanate ceramic | |
JP2001096144A (ja) | 超臨界水・亜臨界水利用装置用部材 | |
Kishimoto et al. | Fabrication of alumina-based ceramic foams utilizing superplasticity | |
Liu et al. | Effect of YSZ with different Y2O3 contents on toughening behavior of Al2O3/Ba-β-Al2O3/ZrO2 composites | |
Yamamoto et al. | Electrical and mechanical properties of SiC whisker reinforced PZT ceramics | |
US5196386A (en) | Sintered ceramic composite body and method of manufacturing same | |
Šajgalík et al. | Reinforcement of silicon nitride ceramics by β-Si3N4 whiskers | |
US5217932A (en) | Sintered ceramic composite body and method of manufacturing same | |
JP2002192655A (ja) | 耐食性部材 | |
JP2000313656A (ja) | 耐蝕性セラミックス材料および耐蝕性部材 | |
Kolar | Chemical research needed to improve high-temperature processing of advanced ceramic materials (Technical report) | |
田畑周平 et al. | Liquid phase sintering and mechanical properties of SiC with rare-earth oxide | |
Thavoriniti et al. | Influence of grain boundary β-spodumene glass on the superplastic flow in tetragonal zirconia polycrystal (TZP) | |
Buyakova et al. | Mechanical behavior of porous zirconium dioxide under active deformation by compression | |
Rahaman et al. | Reaction sintering and the α-Si 3 N 4/β′-sialon transformation for compositions in the system Si-Al-ON | |
JP2002255634A (ja) | 快削性を有する高強度アルミナ質焼結体及びこれを用いた耐食性部材 | |
Mroz | Stability of Ain‐SiC Whisker Composites Containing Sintering Aids | |
Tan et al. | The influence of alkali content, stabilizer distribution and atmosphere on mixed-alkali ß ″/ß-Al2O3 sinters | |
Bengisu et al. | Rapidly sintered particulate ceramic matrix composites | |
Yang et al. | Corrosion behaviour of porous SiAlON ceramics | |
Buyakov et al. | Effect of Pore Size on Strength and Fracture Toughness of Zirconia Ceramics |