JP2001092281A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置

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JP2001092281A
JP2001092281A JP26530899A JP26530899A JP2001092281A JP 2001092281 A JP2001092281 A JP 2001092281A JP 26530899 A JP26530899 A JP 26530899A JP 26530899 A JP26530899 A JP 26530899A JP 2001092281 A JP2001092281 A JP 2001092281A
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fixing
heat ray
light
layer
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JP26530899A
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Satoru Haneda
哲 羽根田
Hiroyuki Tokimatsu
宏行 時松
Masayasu Onodera
正泰 小野寺
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 省エネルギーとウォーミングアップ性能を維
持しながら、高速定着を可能とすると共に、均一で安定
した温度による良好な定着性が得られる定着装置及び画
像形成装置を提供すること。 【解決手段】 固定発熱体を内接して設けたフィルム状
回転部材と、フィルム状回転部材に対向して設けられ
る、熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、熱線に対
して透光性を有する円筒状の透光性基体と、透光性基体
の外側に透光性弾性層と、透光性弾性層の外側に熱線を
吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線定着用回
転部材とよりなることを特徴とする定着装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、FAX等に用いられるクイックスタートが可能な定
着装置、及びこれ用いる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、プリンタ、FAX等の画
像形成装置に用いられる定着装置として、技術的な完成
度が高く安定したものとして熱ローラ定着方式が、低速
機から高速機まで、モノクロ機からフルカラー機まで、
と幅広く採用されている。
【0003】しかしながら、従来の熱ローラ定着方式の
定着装置では、転写材やトナーを加熱する際に、熱容量
の大きな定着用の熱ローラを加熱する必要があるため省
エネルギー効果が悪く、省エネ面で不利であり、また、
プリント時に定着装置を暖めるのに時間がかかりプリン
ト時間(ウォーミングアップ時間)が長くなってしまう
という問題がある。
【0004】これを解決するためフィルム(熱定着フィ
ルム)を用い、熱ローラを熱定着フィルムという究極の
厚みまで持っていき低熱容量化し、温度制御された固定
発熱体(セラミックヒータ)や誘導発熱体を熱定着フィ
ルムに直接加圧接触させることで熱伝導効率を大幅に向
上させ、省エネルギーとウォーミングアップ時間を殆ど
必要としないクイックスタートとを図ったフィルム定着
方式の定着装置やそれを用いた画像形成装置が提案さ
れ、最近用いられてきている。
【0005】また、熱ローラの変形として透光性基体を
熱線定着ローラ(熱線定着用回転部材)として用い、内
部に設けたハロゲンランプ(熱線照射手段)からの熱線
をトナーに照射して加熱定着し、ウォーミングアップ時
間を要せずクイックスタートを図った定着方法やこれを
用いた画像形成装置が、特開昭52−106741号公
報、同57−82240号公報、同57−102736
号公報、同57−102741号公報等により開示され
ている。また、透光性基体の外周面に光吸収層を設けて
熱線定着ローラ(熱線定着用回転部材)を構成し、円筒
状の透光性基体内部に設けたハロゲンランプ(熱線照射
手段)からの光を、透光性基体の外周面に設けた光吸収
層で吸収させ、光吸収層の熱によりトナー像を定着させ
る定着方法やこれを用いた画像形成装置が特開昭59−
65867号公報により開示されている。
【0006】また従来より両面コピーにおいては、像担
持体上に形成した一方の面の画像を転写材上に転写、定
着し、これを一旦両面反転給送装置に収納し、再び像担
持体上に形成された画像とタイミングを合わせて両面反
転給送装置より転写材を給送し、転写材上に他方の面の
画像を転写、定着する方法がとられている。
【0007】このように両面画像形成装置では、上記の
如く、両面反転給送装置への給送や定着装置を2度通す
等の転写材の搬送が行われるので、転写材搬送の信頼性
が低く、転写材のジャムやしわ等を引き起こす原因とな
っていた。
【0008】これに対し、特公昭49−37538号公
報、同54−28740号公報、特開平1−44457
号公報や同4−214576号公報等により、像担持体
と中間転写体とを用いて転写材の両面にトナー像を形成
後、1回で定着を行うものが提案されている。
【0009】また、本願発明者らは、感光体ドラム(像
担持体)の周りに帯電手段、画像書込手段、現像手段等
よりなるトナー像形成手段を複数組配置し、感光体ドラ
ム上に形成した重ね合わせカラートナー像を一旦ベルト
状の中間転写体に一括して転写した後、再度感光体ドラ
ム上に重ね合わせカラートナー像を形成し、感光体ドラ
ム上のトナー像及び中間転写体上のトナー像とタイミン
グを合わせて給送され、中間転写体により搬送される転
写材の両面にそれぞれ、感光体ドラム上のトナー像を表
面画像として転写し、また中間転写体上のトナー像を裏
面画像として転写した後、転写材上のトナー像を定着手
段により定着して両面カラー画像を形成する画像形成装
置や画像形成方法(1パス両面画像形成方法)を特開平
9−258492号公報や特開平9−258516号公
報にて開示した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
セラミックヒータ(固定発熱体)や誘導発熱体を用いる
熱定着フィルム(フィルム状回転部材)により転写材上
のトナー像を定着する方法による定着装置やこれを用い
る画像形成装置においては、省エネルギーとウォーミン
グアップ時間を短縮したクイックスタートとが図られた
ものの、熱定着フィルム(フィルム状回転部材)におい
ては、温度の立ち上がり(昇温)は早いが、熱定着フィ
ルムでは固定発熱体や誘導発熱体を用いているため、そ
れぞれハードローラの定着性を有し、カラートナー像の
定着が困難である。このため、対となるローラ部材とし
てゴムローラを用いているが、ゴムローラは昇温速度が
遅く、高速定着に適さず、また安定して均一な温度分布
が得られず定着むら等が発生し、定着性が悪いという問
題が生じる。特に、上記両面画像形成装置の表面トナー
像の定着や、カラートナー像の定着での高速定着や定着
性が悪い。
【0011】本発明は上記のゴムローラ側での問題点を
改良しすることにより、省エネルギーとウォーミングア
ップ性能を維持しながら、高速定着を可能とすると共
に、均一で安定した温度による良好な定着性が得られる
定着装置及び画像形成装置、また特に、省エネルギーと
ウォーミングアップ性能を維持しながら、両面画像形成
における表面トナー像やカラートナー像の高速定着を可
能とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着
性が得られる定着装置及び画像形成装置を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、転写材上の
トナー像を加熱と加圧とにより前記転写材に固定する定
着装置において、固定発熱体を内接して設けたフィルム
状回転部材と、前記フィルム状回転部材に対向して設け
られる、熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記
熱線に対して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該
透光性基体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の
外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール
状の熱線定着用回転部材とよりなることを特徴とする定
着装置(第1の発明)によって達成される。
【0013】また、上記目的は、転写材上のトナー像を
加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する画像形
成装置において、固定発熱体を内接して設けたフィルム
状回転部材と、前記フィルム状回転部材に対向して設け
られる、熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記
熱線に対して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該
透光性基体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の
外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール
状の熱線定着用回転部材とよりなる定着装置を有するこ
とを特徴とする画像形成装置(第2の発明)によって達
成される。
【0014】また、上記目的は、転写材上のカラートナ
ー像を加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する
画像形成装置において、熱線を発する熱線照射手段を内
部に有し、前記熱線に対して透光性を有する円筒状の透
光性基体と、該透光性基体の外側に透光性弾性層と、該
透光性弾性層の外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層と
を設けたロール状の熱線定着用回転部材と、前記熱線定
着用回転部材に対向して設けられる、固定発熱体を内接
して設けたフィルム状回転部材とよりなる定着装置を有
し、前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対
応することを特徴とする画像形成装置(第3の発明)に
よって達成される。
【0015】また、上記目的は、転写材上のトナー像を
加熱と加圧とにより前記転写材に固定する定着装置にお
いて、誘導発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材
と、前記フィルム状回転部材に対向して設けられる、熱
線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対し
て透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基体
の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前記
熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線定
着用回転部材とよりなることを特徴とする定着装置(第
4の発明)によって達成される。
【0016】また、上記目的は、転写材上のトナー像を
加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する画像形
成装置において、誘導発熱体を内接して設けたフィルム
状回転部材と、前記フィルム状回転部材に対向して設け
られる、熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記
熱線に対して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該
透光性基体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の
外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール
状の熱線定着用回転部材とよりなる定着装置を有するこ
とを特徴とする画像形成装置(第5の発明)によって達
成される。
【0017】また、上記目的は、転写材上のカラートナ
ー像を加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する
画像形成装置において、熱線を発する熱線照射手段を内
部に有し、前記熱線に対して透光性を有する円筒状の透
光性基体と、該透光性基体の外側に透光性弾性層と、該
透光性弾性層の外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層と
を設けたロール状の熱線定着用回転部材と、前記熱線定
着用回転部材に対向して設けられる、誘導発熱体を内接
して設けたフィルム状回転部材とよりなる定着装置を有
し、前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対
応することを特徴とする画像形成装置(第6の発明)に
よって達成される。
【0018】また、上記目的は、転写材上のトナー像を
加熱と加圧とにより前記転写材に固定する定着装置にお
いて、薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材と、
前記定着ローラ部材に対向して設けられる、熱線を発す
る熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対して透光性
を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基体の外側に
透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前記熱線を吸
収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線定着用回転
部材とよりなることを特徴とする定着装置(第7の発
明)によって達成される。
【0019】また、上記目的は、転写材上のトナー像を
加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する画像形
成装置において、薄肉の円筒状弾性体からなる定着ロー
ラ部材と、前記定着ローラ部材に対向して設けられる、
熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
定着用回転部材とよりなる定着装置を有することを特徴
とする画像形成装置(第8の発明)によって達成され
る。
【0020】また、上記目的は、転写材上のカラートナ
ー像を加熱と加圧とにより前記転写材に固定、定着する
画像形成装置において、熱線を発する熱線照射手段を内
部に有し、前記熱線に対して透光性を有する円筒状の透
光性基体と、該透光性基体の外側に透光性弾性層と、該
透光性弾性層の外側に前記熱線を吸収する熱線吸収層と
を設けたロール状の熱線定着用回転部材と、前記熱線定
着用回転部材に対向して設けられる、薄肉の円筒状弾性
体からなる定着ローラ部材とよりなる定着装置を有し、
前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対応す
ることを特徴とする画像形成装置(第9の発明)によっ
て達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。なお、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の
意義を限定するものではない。また、以下の、本発明の
実施の形態における断定的な説明は、ベストモードを示
すものであって、本発明の用語の意義や技術的範囲を限
定するものではない。なお、以下の定着装置の各例及び
画像形成装置の各例の説明において、同様の機能、構造
を有する部材には同一の番号を付した。
【0022】実施形態1 本発明にかかわる定着装置の第1の例と、該定着装置を
用いる画像形成装置第1の例の一実施形態の画像形成プ
ロセス及び各機構について、図1ないし図8を用いて説
明する。図1は、本発明にかかわる画像形成装置の第1
の例の一実施形態を示す画像形成装置の断面構成図であ
り、図2は、図1の画像形成装置におけるトナー像形成
状態を示す図であり、図2(A)は、像担持体に形成し
た裏面画像を中間転写体上に転写するときのトナー像形
成状態を示す図であり、図2(B)は、中間転写体上の
裏面画像と同期して像担持体に表面画像を形成するとき
のトナー像形成状態を示す図であり、図2(C)は、転
写材上への両面画像形成を示す図であり、図3は、本発
明にかかわる定着装置の第1の例の断面構成図であり、
図4は、定着フィルムの詳細説明図であり、図5は、図
3のロール状の熱線定着用回転部材の拡大断面構成図で
あり、図6は、図3のロール状の熱線定着用回転部材の
熱線吸収層の濃度分布を示す図であり、図7は、図3の
ロール状の熱線定着用回転部材の透光性基体の外径と厚
さとを示す図であり、図8は、図3の定着装置及び以下
の各例の定着装置における定着制御ブロック図である。
なお以下の第1の例の画像形成装置の実施の形態の説明
において、中間転写体により支持搬送される転写材の、
像担持体に対向する側の面を表面、他方の面すなわち中
間転写体に対向する側の面を裏面といい、転写材の表面
に転写される画像を表面画像、転写材の裏面に転写され
る画像を裏面画像という。
【0023】図1において、10は像担持体である感光
体ドラム、11は各色毎の帯電手段であるスコロトロン
帯電器、12は各色毎の画像書込手段である露光光学
系、13は各色毎の現像手段である現像器、14aは中
間転写体である中間転写ベルト、14bは像担持体上の
トナー像を中間転写体および転写材の表面に転写する1
次転写手段である1次転写器、14gは中間転写体上の
トナー像を転写材の裏面に転写する2次転写手段である
2次転写器、150は転写材帯電手段である紙帯電器、
14hは転写材除電手段である転写材除電器、160は
爪部材である分離爪210と拍車部材である拍車162
とを有する搬送部、170は第1の例の定着装置であ
る。
【0024】像担持体である感光体ドラム10は、例え
ば、光学ガラスや透明アクリル樹脂等の透明部材によっ
て形成される円筒状の基体の外周に、透明の導電層、a
−Si層あるいは有機感光層(OPC)等の感光層を形
成したものであり、導電層を接地した状態で、不図示の
像担持体駆動モータにより図1の矢印で示す時計方向
に、例えば80〜400mm/secの線速度にて回転
される。
【0025】像担持体上にトナー像を形成するトナー像
形成手段は、帯電手段であるスコロトロン帯電器11、
画像書込手段であるレーザ露光光学系120及び現像手
段である現像器13からなり、図1の矢印にて示す感光
体ドラム10の回転方向に対して、その順に配置され
る。
【0026】帯電手段であるスコロトロン帯電器11
は、所定の電位に保持された制御グリッド(符号なし)
と例えば鋸歯状電極からなる放電電極11aとを有し、
感光体ドラム10の感光層と対峙して取付けられ、トナ
ーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態
においては使用するトナーの極性はマイナス極性とし、
本実施形態において帯電手段であるスコロトロン帯電器
11による帯電はマイナス帯電)を行い、感光体ドラム
10に対し一様な電位を与える。放電電極11aとして
は、その他ワイヤ電極や針状電極を用いることも可能で
ある。
【0027】画像書込手段であるレーザ露光光学系12
0は、不図示の発光素子としての半導体レーザ、該半導
体レーザから発光されるレーザ光を回転走査する回転多
面鏡120b、fθレンズ120c及び反射ミラー12
0dにより構成され、半導体レーザから発光されるレー
ザ光を回転多面鏡120bにより回転走査し、fθレン
ズ120c、反射ミラー120dを経て、回転する感光
体ドラム10上に、別体の画像読取装置によって読み取
られメモリに記憶された画像データに従って感光体ドラ
ム10の感光層に画像書込し、感光体ドラム10上に静
電潜像を形成する。なお画像データは、表面画像に対応
した画像データと裏面画像に対応した画像データとが互
いに鏡像になる様に、データを変更する必要がある。
【0028】現像手段である現像器13は、感光体ドラ
ム10の周面に対し所定の間隙を保ち、現像位置におい
て感光体ドラム10の回転方向と順方向に回転する例え
ば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の
非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像
スリーブ13aを有し、現像器13の内部には、黒色
(K)の一成分或いは二成分現像剤を収容している。現
像器13の現像スリーブ13aは不図示の突き当てコロ
により感光体ドラム10と所定の間隙、例えば100〜
500μmをあけ、層厚80〜300μmの現像スリー
ブ13a上の現像剤が感光体ドラム10と非接触に保た
れており、現像スリーブ13aに対して直流電圧と交流
電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、非
接触の反転現像を行い、感光体ドラム10上にトナー像
を形成する。
【0029】中間転写体である中間転写ベルト14a
は、好ましくは体積抵抗率が109Ω・cm以上、10
12Ω・cm未満の無端ベルトであり、例えば変性ポリイ
ミド、熱硬化ポリイミド、エチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロ
イ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散
した厚さ0.1〜1.0mmの半導電性フィルム基体の
外側に、好ましくはトナーフィルミング防止層として厚
さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った2層構成
のシームレスベルトである。中間転写ベルト14aの基
体としては、この他に、シリコンゴム或いはウレタンゴ
ム等に導電材料を分散した厚さ0.5〜2.0mmの半
導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写ベ
ルト14aは、それぞれローラ部材である駆動ローラ1
4dと2次転写対向ローラ14jと従動ローラ14eと
テンションローラ14iとに張架され、図1の矢印で示
す反時計方向に回転される。従動ローラ14e、2次転
写対向ローラ14j及び駆動ローラ14dは固定位置で
回転され、テンションローラ14iは不図示のバネ等の
弾力により移動可能に支持されて回転される。不図示の
中間転写体駆動モータよりの駆動をうけて駆動ローラ1
4dが回転され、中間転写ベルト14aを駆動して回転
させる。中間転写ベルト14aの回転により2次転写対
向ローラ14j、従動ローラ14e及びテンションロー
ラ14iが従動して回転される。回転中の中間転写ベル
ト14aのベルト弛みがテンションローラ14iにより
緊張される。中間転写ベルト14aが従動ローラ14e
に張架される位置に転写材である記録紙Pが供給され、
中間転写ベルト14aによって支持搬送される。駆動ロ
ーラ14dに張架される中間転写ベルト14aの定着装
置170側の端部の曲率部KTにおいて中間転写ベルト
14aから記録紙Pが分離される。
【0030】像担持体上のトナー像を中間転写体または
転写材の表面に転写する1次転写手段としての1次転写
器14bは、中間転写ベルト14aを挟んで感光体ドラ
ム10に対向して設けられるコロナ放電器であり、中間
転写ベルト14aと感光体ドラム10との間に転写域
(符号なし)を形成する。1次転写器14bにはトナー
と反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流
電圧が印加され、感光体ドラム10上のトナー像を中間
転写ベルト14a上または転写材である記録紙Pの表面
に転写する。1次転写器14bとしてはコロナ放電器の
他に転写ローラや転写ブレードを用いることも可能であ
る。
【0031】中間転写体上のトナー像を転写材の裏面に
再転写する2次転写手段である2次転写器14gはコロ
ナ放電器により構成され、1次転写器14bと駆動ロー
ラ14dとの間で、中間転写ベルト14aを挟んで接地
された2次転写対向ローラ14jに対向して設けられ、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の直流電圧が印加され、中間転写ベルト14a上のトナ
ー像を記録紙Pの裏面に転写する。
【0032】転写材帯電手段である紙帯電器150は好
ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベルト
14aを挟んで接地された従動ローラ14eと対向して
設けられ、トナーと同極性(本実施形態においてはマイ
ナス極性)の直流電圧が印加され、記録紙Pを帯電して
中間転写ベルト14aに吸着させる。紙帯電器150と
してはコロナ放電器の他に、鋸歯状電極や中間転写ベル
ト14aに当接および当接解除可能な紙帯電ブラシや紙
帯電ローラ等を用いることも可能である。
【0033】転写材除電手段である転写材除電器14h
は好ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベ
ルト14aの定着装置170側端部で記録紙Pを中間転
写ベルト14aから分離する位置の近傍に、中間転写ベ
ルト14aを挟んで接地された駆動ローラ14dに対向
して設けられ、2次転写器14gにより荷電された帯電
量(Q/M)の高い表面トナー像の分離時の剥離放電防
止のための直流電圧を重畳した交流電圧が印加され、中
間転写ベルト14aにより搬送される記録紙Pを除電し
て中間転写ベルト14aから分離する。
【0034】搬送部160は、転写材分離補助手段であ
る分離爪210と拍車部材である拍車162とを有し、
中間転写ベルト14aの定着装置170側の端部の曲率
部KTと第1の例の定着装置170との間に設けられ
る。搬送部160は、定着装置170からの熱により、
中間転写ベルト14aが変形したり、中間転写ベルト1
4aに担持されるトナー像が融着気味になって転写しに
くくなったり、中間転写ベルト14a上にトナーが固着
したりすることを防止する。
【0035】転写材分離補助手段である分離爪210は
中間転写ベルト14aの曲率部KTに近接し、中間転写
ベルト14aと所定の間隔、好ましくは0.1〜2.0
mmを空けて支持軸221に固定されて設けられ、記録
紙Pが中間転写ベルト14aより分離される際に、中間
転写ベルト14a方向へ曲がって搬送されようとする記
録紙Pの先端部を当接させ、記録紙Pの曲率分離を補助
する。
【0036】拍車部材である拍車162は、周面に複数
の突起部162aを有し、回転支持軸165を中心とし
て回転自在に設けられる。拍車162は、記録紙Pの裏
面側をガイドして記録紙Pを搬送し、両面にトナー像を
有する記録紙Pの裏面トナー像の乱れを防止するととも
に、記録紙Pの定着装置170への進入方向を一定にし
ながら記録紙Pを安定して定着装置170へと搬送す
る。
【0037】分離爪210と拍車162とは、中間転写
ベルト14a上の転写材搬送面或いはその延長面に対
し、感光体ドラム10の有る側と反対側に配設される。
転写材搬送面或いはその延長面の両側に拍車部材である
拍車162を設けることも可能である。
【0038】第1の例の定着装置170は、固定発熱体
としてのセラミックヒータ172を内包して上側(表面
側)の表面画像のトナー像を定着するためのフィルム状
回転部材としての熱定着フィルム17Aと、下側(裏面
側)の裏面画像のトナー像を定着するための下側のロー
ル状の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17
aとにより構成され、不図示の定着用の駆動モータによ
り熱線定着ローラ17aが駆動回転され、熱定着フィル
ム17Aが従動回転される。熱線定着ローラ17aの内
部中心には、光源によっては可視光を含んだ赤外線或い
は遠赤外線等の熱線を発するハロゲンランプ171gや
キセノンランプ(不図示)等が熱線照射手段として配設
される。熱定着フィルム17Aと熱線定着ローラ17a
との間で形成されるニップ部Nで記録紙Pが挟持され、
熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のトナー像が
定着される。
【0039】次に画像形成プロセスを説明する。
【0040】画像記録のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により感光体ドラム10が図1の矢
印で示す時計方向へ回転され、同時にスコロトロン帯電
器11の帯電作用により感光体ドラム10に電位の付与
が開始される。
【0041】感光体ドラム10は電位を付与されたあ
と、レーザ露光光学系120によって画像データに対応
する電気信号による画像書込が開始され、感光体ドラム
10の表面に原稿画像の画像に対応する静電潜像が形成
される。
【0042】上記静電潜像は現像器13により非接触の
状態で反転現像され、感光体ドラム10上にトナー像が
形成される(トナー像形成手段)。
【0043】上記の画像形成プロセスによって像担持体
である感光体ドラム10上に形成された裏面画像となる
トナー像は、転写域(符号なし)において、1次転写器
14bによって、中間転写体である中間転写ベルト14
a上に転写される(図2(A))。
【0044】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは感光体ドラムAC除電器16により除電を受
けた後、像担持体クリーニング手段であるクリーニング
装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材
から成るクリーニングブレード19aによってクリーニ
ングされ、スクリュウ19bによって不図示の排トナー
容器に回収される。
【0045】以上のようにして中間転写ベルト14a上
に裏面画像となるトナー像が形成された後、感光体ドラ
ム10上には上記の画像形成プロセスと同様にして、引
続き表面画像となるトナー像が形成される(図2
(B))。この際、感光体ドラム10上に形成される表
面画像は、前記感光体ドラム10上に形成した裏面画像
に対して鏡像となるように画像データが変更される。
【0046】感光体ドラム10上への表面画像形成にと
もなって転写材である記録紙Pが転写材収納手段である
給紙カセット15より、送り出しローラ15aにより送
り出され、転写材給送手段としてのタイミングローラ1
5bへ搬送され、タイミングローラ15bの駆動によっ
て、感光体ドラム10上に形成される表面画像のトナー
像と、中間転写ベルト14aに担持されている裏面画像
のトナー像との同期がとられて転写域(符号なし)へ給
送される。この際、給送される記録紙Pは、記録紙Pの
表面側に設けられる転写材帯電手段である紙帯電器15
0によりトナーと同極性に帯電され、中間転写ベルト1
4aに吸着されて転写域(符号なし)へ搬送される。ト
ナーと同極性に紙帯電を行うことにより、中間転写ベル
ト14a上のトナー像や感光体ドラム10上のトナー像
と引き合うことを防止して、トナー像の乱れを防止して
いる。
【0047】転写域(符号なし)ではトナーと反対極性
(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加され
る1次転写器14bによって感光体ドラム10上の表面
画像が記録紙Pの表面に転写される。このとき、中間転
写ベルト14a上の裏面画像は記録紙Pに転写されない
で中間転写ベルト14a上に存在する。
【0048】表面にトナー像が転写された記録紙Pは、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の電圧が印加される2次転写器14gへと搬送され、2
次転写器14gにより中間転写ベルト14aの周面上の
裏面画像が記録紙Pの裏面に再転写される(図2
(C))。
【0049】両面にトナー像が形成された記録紙Pは、
中間転写ベルト14aの曲率部KTの曲率と、中間転写
ベルト14aの端部に設けられる転写材除電手段として
の転写材除電器14hによる除電作用と、中間転写ベル
ト14aと所定の間隔を空けて搬送部160に設けられ
る分離爪210とにより、中間転写ベルト14aから分
離され、搬送部160に設けられた拍車162を通して
定着装置170へと搬送され、熱定着フィルム17Aと
熱線定着ローラ17aとの間のニップ部N間を搬送さ
れ、ニップ部Nで熱と圧力とをくわえられることにより
記録紙P上のトナー像が定着される。両面画像記録がな
された記録紙Pは表裏を反転されて送られ、排紙ローラ
18により装置外部のトレイへ排出される。
【0050】転写後の中間転写ベルト14aの周面上に
残ったトナーは、中間転写ベルト14aを挟んで従動ロ
ーラ14eに対向して設けられ、支軸142を回転支点
として中間転写ベルト14aに当接及び当接解除可能な
中間転写体クリーニングブレード141を有する中間転
写体クリーニング手段である中間転写体クリーニング装
置140によりクリーニングされる。
【0051】また、転写後の感光体ドラム10の周面上
に残ったトナーは、感光体ドラムAC除電器16により
除電を受けた後、クリーニング装置19によりクリーニ
ングされて、次の画像形成サイクルにはいる。
【0052】図3に示すように、第1の例の定着装置1
70は上側(表面側)の表面画像のトナー像を定着する
ためのフィルム状回転部材としての熱定着フィルム17
Aと、下側(裏面側)の裏面画像のトナー像を定着する
ための下側のロール状の熱線定着用回転部材としての熱
線定着ローラ17aとにより構成され、ハードローラと
しての熱定着フィルム17Aと弾性を有したソフトロー
ラとしての熱線定着ローラ17aとの間で形成される、
幅30mm以下、好ましくは10mm以上の幅広いニッ
プ部Nで、ニップ部Nに進入されてニップ部Nを通過さ
れる記録紙Pを挟持し、熱と圧力とを加えることにより
記録紙P上のトナー像を定着する。
【0053】表面画像のトナー像を定着する熱定着フィ
ルム17Aは、例えば厚さ40〜100μmの薄膜の定
着フィルム171と、固定発熱体としてのセラミックヒ
ータ172と、セラミックヒータ172を保持するため
のヒータホルダ173とによるハードローラとして構成
される。またヒータホルダ173の内部に、アルミ材や
ステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材やヒ
ートパイプを用いた熱均一化ローラTR4を設けること
が好ましく、熱均一化ローラTR4によりヒータホルダ
173を介してセラミックヒータ172により加熱され
る熱定着フィルム17Aの軸方向の発熱温度分布が均一
化される。TS2は上側の熱定着フィルム17Aのセラ
ミックヒータ172の裏面に取付けられた温度制御を行
うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度検
知手段である温度センサである。温度センサTS2とし
ては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いるこ
とも可能である。
【0054】定着フィルム171の熱容量は熱線定着ロ
ーラ17aに対して1/20程度となっておりウォーミ
ングアップが略ゼロのクイックスタートが可能となって
いる。ヒータホルダ173は回転する定着フィルム17
1の走行ガイドとなる一方、保持するセラミックヒータ
172を介して熱線定着ローラ17aに圧接するように
なっている。定着フィルム171はヒータホルダ173
にルーズに勘合し、勘合し回転する熱線定着ローラ17
aの表面摩擦力により従動回転する。熱定着フィルム1
7Aは熱容量が小さいので、熱線定着ローラ17aの熱
が取られることが少ない。
【0055】セラミックヒータ172は、アルミナ基板
に厚膜印刷により抵抗体とオーバコートガラスを設けた
ものを用い、固定発熱体より定着フィルム171間の熱
抵抗を下げている。
【0056】定着フィルム171の構造は、図4に示す
ように、ベース材171A、導電層171B及び表面離
型層171Cにより構成される。
【0057】ベース材171Aとしては、高温下におけ
る強度、寸法安定性に優れるポリイミド樹脂が好まし
く、厚みを40〜100μm程度と厚くすることが好ま
しい。厚みを40μm程度と厚くすることにより、強度
及び剛性を高め、定着フィルム171の回転中の寄りを
挫屈せずに端部で規制可能とする。また、100μmよ
り厚くしすぎると熱伝導が悪くなり、また、熱伝導も大
きくなるために瞬時に加熱することが困難になり、ま
た、使用する電力も増加してしまう。また、オフセット
防止のために、表面離型層171C、例えばフッ素樹脂
(PFAまたはPTFE)の層を設けることが好ましい
が、更に、定着フィルム171のベース材171Aの内
面とセラミックヒータ172表面との間の摺動により発
生する摩擦電荷の影響をなくすため導電層171Bを設
け接地している。また、低湿環境下での記録紙Pの後端
部との剥離帯電電荷を逃がすように、表面離型層171
Cに導電フィラをいれ低抵抗化してオフセットを防止し
ている。ただし、抵抗値が低すぎると転写電荷がリーク
してオフセットを生じるので、2×1010〜5×1011
Ω/cm2の抵抗値が好ましい。
【0058】裏面のトナー像を定着するための熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒状の
透光性基体171aと、該透光性基体171aの外側
(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層171
bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラと
して構成される。透光性基体171a内部中心に、光源
によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱
線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171g
やキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着用
回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述するよ
うにして弾性の高いソフトローラとして構成される。ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され急
速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成さ
れる。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一化
ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材や
ステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材やヒ
ートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線吸
収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a周
面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラTR
4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの縦
方向及び横方向の温度むらが均一化される。TS1は下
側の熱線定着ローラ17aに取付けられた温度制御を行
うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度検
知手段である温度センサである。温度センサTS1とし
ては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いるこ
とも可能である。
【0059】上側の熱定着フィルム17A及び下側の熱
線定着ローラ17aの温度制御は、図8に示すように、
上側のフィルム状回転部材としての熱定着フィルム17
Aのセラミックヒータ172の温度を検知する温度検知
手段としての温度センサTS2による熱定着フィルム1
7Aの温度(T2(℃))と、下側の熱線定着用回転部
材としての熱線定着ローラ17aの温度を検知する温度
検知手段としての温度センサTS1による熱線定着ロー
ラ17aの温度(T1(℃))とを測定し、予め記憶部
(ROM、RAM)のROM内に参照テーブルとして記
憶されている、温度(検知温度)T2及び温度(検知温
度)T1に対応する参照テーブルからのセラミックヒー
タ172及びハロゲンランプ171gやキセノンランプ
(不図示)のon−off時間が、定着制御部を通して
参照され、上側の熱定着フィルム17A及び下側の熱線
定着ローラ17aの温度制御が行われる。特に両面定着
では、上側の熱定着フィルム17A及び下側の熱線定着
ローラ17aの両方の温度が定着に影響を与えるので、
上側の熱定着フィルム17A及び下側の熱線定着ローラ
17aの両方の温度制御が必要となる。
【0060】上側のハードローラと、下側の弾性の高い
ソフトローラとの間に、上側の熱定着フィルム17Aの
ヒータホルダ173の底面形状に倣って、平面状のニッ
プ部Nが形成されトナー像の定着が行われる。
【0061】固定発熱体としてのセラミックヒータ17
2の発熱と、ハロゲンランプ171gやキセノンランプ
(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発熱と
の両方の発熱により、両面時の下側の熱線定着ローラ1
7aの加熱のために瞬時加熱は困難であるが、省エネル
ギーでウォーミングアップ時間の短いクイックスタート
(急速加熱)が可能な定着装置が可能となる。
【0062】図5によれば、熱線定着ローラ17aの構
成は、図5(a)に断面を示すように、円筒状の透光性
基体171aとしては、厚さ1〜20mm、好ましくは
2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171gやキセノンラ
ンプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤外線等の熱線を
透過するパイレックスガラス、サファイヤ(Al
23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率が(5〜
20)×10-3J/cm・s・K、比熱が(0.5〜
2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.0)が主と
して用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を使用した透
光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10-3J/cm・s
・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比重が0.8〜
1.2)等も用いることが可能である。例えば熱線定着
ローラ17aの透光性基体171aとして、内径32m
m、外径40mmで、層厚(厚さ)4mmのパイレック
スガラス(比熱が0.78J/g・K、比重が2.3
2)を用いたときの透光性基体171aのA−3サイズ
幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は約60cal
/degである。また、透光性基体171aを通過させ
る熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは0.3〜
3μmであるので、フィラーとして硬度や熱伝導率の調
整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の1/2、好ま
しくは1/5以下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径
が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の熱線透過性
(光源によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線
透過性)のITO、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸
化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭酸カルシ
ウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに分散させ
たもので透光性基体171aを形成してもよい。層中で
1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、好まし
くは0.1μm以下であることが光散乱を防ぎ、熱線吸
収層171bに到達させるのに好ましい。上記の如く、
透光性基体171aはあまり熱伝導性が良くない。
【0063】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0064】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。従って、ハロゲ
ンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せ
られ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dに
て吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透
光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層171
bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。熱線吸収層171bの厚さが
10μm未満で薄いと、熱線吸収層171bでの熱線の
吸収による加熱速度は速いが、薄膜による局所的な加熱
による熱線吸収層171bの破損や強度不足の原因とな
り、熱線吸収層171bの厚さが500μmを越えて厚
過ぎると、熱伝導不良となったり、熱容量が大きくなり
急速加熱が成しにくくなる。熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%としたり、熱線吸収層171bの厚さ
を10〜500μm、好ましくは20〜100μmとす
ることにより、熱線吸収層171bでの局所的な発熱が
防止され、均一な発熱が行われる。また、熱線吸収層1
71bに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好
ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬
度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波
長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子
を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm
以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外
線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
5〜50重量%分散させたもので熱線吸収層171bを
形成してもよい。このようにして、熱線吸収層171b
は温度がすぐに上がるように熱容量を小さくしてあるの
で、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17a
に温度低下が生じ、定着むらが発生するという問題を防
止する。熱線吸収層171bとしては、弾性を有するシ
リコンゴムやフッ素ゴムに、カーボンブラック、黒鉛、
鉄黒(Fe34)や各種フェライト及びその化合物、酸
化銅、酸化コバルト、ベンガラ(Fe23)等の粉末を
混入したものを用いてもよい。例えば熱線定着ローラ1
7aの熱線吸収層171b(或いは後述する兼用層17
1Z)として、外径50mmの透光性弾性層171dの
表面(外周面)に、層厚(厚さ)50μmのフッ素樹脂
(比熱が2.0J/g・K、比重が0.9)を用いたと
きの熱線吸収層171b(或いは兼用層171Z)のA
−3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q3は約
1.0cal/degである。熱線吸収層171bとし
てはニッケル電鋳ベルトのように金属フィルム部材を用
いることもできる。この時、熱線吸収のために内側(内
周面)は黒色酸化処理をしておくことが望ましい。
【0065】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0066】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。従って、ハロゲンランプ
171gやキセノンランプ(不図示)より発せられ、透
光性基体171a及び透光性弾性層171dにて吸収さ
れた残りの熱線で、透光性基体171a及び透光性弾性
層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材内で完
全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収率を略
100%にあたる90〜100%、好ましくは95〜1
00%とする。また、兼用層171Zでの局所的な発熱
も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用層17
1Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好ま
しくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度
や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長
の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を
含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以
下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線
或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭酸
カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに分
散させたもので兼用層171Zを形成してもよい。
【0067】図6によれば、ロール状の熱線定着用回転
部材としての熱線定着ローラ17aの熱線吸収層171
bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均一に設けると
境界にある熱線吸収層171bで発熱が集中することに
なり、透光性弾性層171d側へ熱が流失しやすいの
で、透光性基体171aより低熱伝導性部材を用いた
り、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部で熱を発
生させることが発熱分布を分散させる観点から好まし
い。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ(イ)で示
すように、内接する透光性弾性層171d側の界面を低
濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次高くし、外
周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt1に対し、
透光性弾性層171d側から2/3〜4/5程度の位
置)で100%吸収する濃度となるようにして飽和する
ようにする。これにより、熱線吸収層171bでの熱線
の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示すように、
熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有し、熱線
吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値をとる放物
線状に形成される。或いは熱線吸収層171bの界面や
外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフッ素樹脂
やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ましくは2
0〜100μmを設けることが好ましい。また、透光性
基体171aより低熱伝導性部材として熱の流失を押さ
えることが好ましい。これにより、前記界面での熱線の
吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止し、界面で
の接着層の破損や熱線吸収層171bの破損を防止す
る。また、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さ
t1に対し、透光性基体171a側から2/3〜4/5
程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和するよう
にし、特に、兼用層171Zを用いた場合にも、外周表
面層が削られても影響の無いようにする。なお点線で示
すように、飽和層を形成してもよい。要するに、十分に
内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響はなくな
る。削れの影響も生じない。また、濃度分布に前記傾斜
を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整することが
できる。
【0068】また図7に示すように、ロール状の熱線定
着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの円筒状の
透光性基体171aの外径φとしては、15〜60mm
のものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が強度の点
で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と熱容量と
の関係から、円筒状の透光性基体171aの外径φと厚
さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0069】上記の如く、図3にて説明した第1の例の
定着装置170を用いることにより、上側のハードロー
ラと、下側の弾性の高いソフトローラとの間に、上側の
熱定着フィルム17Aのヒータホルダ173の底面形状
に倣って、平面状のニップ部Nが形成されてトナー像の
定着が行われが、固定発熱体としてのセラミックヒータ
172の発熱と、ハロゲンランプ171gやキセノンラ
ンプ(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発
熱とにより、省エネルギーとウォーミングアップ時間の
短縮を図りながら、高速定着を可能とすると共に、均一
で安定した温度による良好な定着性が得られる定着装置
及び画像形成装置が可能となる。特に図1にて説明した
両面画像形成装置において、省エネルギーとウォーミン
グアップ時間の短縮を図りながら、両面画像形成におけ
る表面トナー像の高速定着を可能とすると共に、均一で
安定した温度による良好な表面トナー像の定着が可能と
なる。
【0070】実施形態2 本発明にかかわる定着装置の第2の例と、該定着装置を
用いる画像形成装置第2の例の一実施形態の画像形成プ
ロセス及び各機構について、図9ないし図11、及び前
述した図4ないし図8を用いて説明する。図9は、本発
明にかかわる画像形成装置の第2の例の一実施形態を示
すカラー画像形成装置の断面構成図であり、図10は、
図9の像担持体の側断面図であり、図11は、本発明に
かかわる定着装置の第2の例の断面構成図である。
【0071】図9または図10によれば、像担持体であ
る感光体ドラム10は、例えばガラスや透光性アクリル
樹脂等の透光性部材によって形成される円筒状の基体の
外周に、透光性の導電層及び有機感光層(OPC)の光
導電体層を形成したものである。
【0072】感光体ドラム10は、図示しない駆動源か
らの動力により、透光性の導電層を接地された状態で図
9の矢印で示す時計方向に回転される。
【0073】本発明では、画像露光用の露光ビームは、
その結像点である感光体ドラム10の光導電体層におい
て、光導電体層の光減衰特性(光キャリア生成)に対し
て適正なコントラストを付与できる波長の露光光量を有
していればよい。従って、本実施形態における感光体ド
ラム10の透光性の基体の光透過率は、100%である
必要はなく、露光ビームの透過時にある程度の光を吸収
するような特性を有していてもよい。要は、適切なコン
トラストを付与できればよい。透光性の基体の素材とし
ては、アクリル樹脂、特にメタクリル酸メチルエステル
モノマーを重合したものが、透光性、強度、精度、表面
性等において優れており好ましく用いられるが、その他
一般光学部材などに使用されるアクリル、フッ素、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの各種透光性樹脂が使用可能である。また、露
光光に対して透光性を有していれば、着色していてもよ
い。透光性の導電層としては、インジウム錫酸化物(I
TO)、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅
や、Au、Ag、Ni、Alなどからなる透光性を維持
した金属薄膜が用いられ、成膜法としては、真空蒸着
法、活性反応蒸着法、各種スパッタリング法、各種CV
D法、浸漬塗工法、スプレー塗布法などが利用できる。
また、光導電体層としては各種有機感光層(OPC)が
使用できる。
【0074】光導電体層の感光層としての有機感光層
は、電荷発生物質(CGM)を主成分とする電荷発生層
(CGL)と電荷輸送物質(CTM)を主成分とする電
荷輸送層(CTL)とに機能分離された二層構成の感光
層とされる。二層構成の有機感光層は、CTLが厚いた
めに有機感光層としての耐久性が高く本発明に適する。
なお有機感光層は、電荷発生物質(CGM)と電荷輸送
物質(CTM)を1つの層中に含有する単層構成とされ
てもよく、該単層構成又は前記二層構成の感光層には、
通常バインダ樹脂が含有される。
【0075】以下に説明する帯電手段としてのスコロト
ロン帯電器11、画像書込手段としての露光光学系1
2、現像手段としての現像器13は、それぞれ、イエロ
ー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色
(K)の各色毎の画像形成プロセス用として準備されて
おり、本実施形態においては、図9の矢印にて示す感光
体ドラム10の回転方向に対して、Y、M、C、Kの順
に配置される。
【0076】帯電手段としてのスコロトロン帯電器11
は像形成体である感光体ドラム10の移動方向に対して
直交する方向(図9において紙面垂直方向)に感光体ド
ラム10と対峙し近接して取り付けられ、感光体ドラム
10の前述した有機感光層に対し所定の電位に保持され
た制御グリッド(符号なし)と、コロナ放電電極11a
として、例えば鋸歯状電極を用い、トナーと同極性のコ
ロナ放電とによって帯電作用(本実施形態においてはマ
イナス帯電)を行い、感光体ドラム10に対し一様な電
位を与える。コロナ放電電極11aとしては、その他ワ
イヤ電極や針状電極を用いることも可能である。
【0077】各色毎の露光光学系12は、それぞれ、像
露光光の発光素子としてのLED(発光ダイオード)を
感光体ドラム10の軸と平行に複数個アレイ状に並べた
線状の露光素子(不図示)と等倍結像素子としてのセル
フォックレンズ(不図示)とがホルダに取り付けられた
露光用ユニットとして構成される。円柱状の保持部材2
0に、各色毎の露光光学系12が取付けられて感光体ド
ラム10の基体内部に収容される。露光素子としてはそ
の他、FL(蛍光体発光)、EL(エレクトロルミネッ
センス)、PL(プラズマ放電)等の複数の発光素子を
アレイ状に並べた線状のものが用いられる。
【0078】各色毎の画像書込手段としての露光光学系
12は、感光体ドラム10上での露光位置を、スコロト
ロン帯電器11と現像器13との間で、現像器13に対
して感光体ドラム10の回転方向上流側に設けた状態
で、感光体ドラム10の内部に配置される。
【0079】露光光学系12は、別体のコンピュータ
(不図示)から送られメモリに記憶された各色の画像デ
ータに基づいて画像処理を施した後、一様に帯電した感
光体ドラム10に像露光を行い、感光体ドラム10上に
潜像を形成する。この実施形態で使用される発光素子の
発光波長は、通常Y、M、Cのトナーの透光性の高い6
80〜900nmの範囲のものが良好であるが、裏面か
ら像露光を行うことからカラートナーに透光性を十分に
有しないこれより短い波長でもよい。
【0080】各色毎の現像手段としての現像器13は、
内部にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)
若しくは黒色(K)の二成分(一成分でもよい)の現像
剤を収容し、それぞれ、例えば厚み0.5〜1mm、外
径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるい
はアルミ材で形成された現像スリーブ13aを備えてい
る。
【0081】現像領域では、現像スリーブ13aは、突
き当てコロ(不図示)により感光体ドラム10と所定の
間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保
たれ、感光体ドラム10の回転方向と最近接位置におい
て順方向に回転するようになっており、現像時、現像ス
リーブ13aに対してトナーと同極性(本実施形態にお
いてはマイナス極性)の直流電圧或いは直流電圧に交流
電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することによ
り、感光体ドラム10の露光部に対して非接触の反転現
像が行われる。この時の現像間隔精度は画像ムラを防ぐ
ために20μm程度以下が必要である。
【0082】以上のように現像器13は、スコロトロン
帯電器11による帯電と露光光学系12による像露光に
よって形成される感光体ドラム10上の静電潜像を、非
接触の状態で感光体ドラム10の帯電極性と同極性のト
ナー(本実施形態においては感光体ドラムは負帯電であ
り、トナーは負極性)により反転現像する。
【0083】図10に示すように、感光体ドラム10と
保持部材20とは、装置背面側と前面側の端部におい
て、それぞれ感光体ドラム10を回転可能に支持する支
持部材であるフランジ部材10A,10Bと、保持部材
20を支持するフランジ120A,120Bとを圧入も
しくはネジ等の手段を介して一体的に構成されている。
感光体ドラム10は、その支持部材であるフランジ部材
10Aならびにフランジ部材10Bが、保持部材20の
フランジ120Aの一体とする固定部材であるシャフト
121ならびにフランジ120Bに対して、それぞれベ
アリングB1ならびにベアリングB2を介して回動自在
に支持されている。
【0084】シャフト121は感光体ドラム10を保持
する軸部121Aを備えており、また背面側の装置基板
70には係合穴130Aを備えるシャフト121の保持
手段である支軸130が設けられている。係合穴130
AにはリニアベアリングB4が嵌入されており、受け部
材130aを挟んで支軸130がネジ等により背面側の
装置基板70に固定されている。支軸130は駆動歯車
G1に噛合する歯車G2の中心に位置され、歯車G2を
一体とする伝導部材131をベアリングB3を介して回
動自在に支持している。一方装置前面側の装置基板70
には保持部材20に固定される露光光学系12を一体と
する感光体ドラム10を挿脱可能とする開口部70Aが
開口されている。
【0085】保持部材20は背面側の装置基板70に対
しては、シャフト121の軸部121Aを支軸130に
設けられたリニアベアリングB4に挿入し、軸部121
Aに挿通した係合ピン121Pを支軸130の係合部1
30Bに形成したV字状の溝に係合することにより露光
光学系12の角度関係位置を規制して取り付けられ、前
面側の装置基板70に対しては、端部の一体とするフラ
ンジ120Cを緩衝材Kを挟み前蓋120Dを軸方向に
押圧した状態でネジ52により固定することにより所定
の位置に装着される。
【0086】感光体ドラム10を支持する支持部材であ
るフランジ部材10Aの側面に取付けられる係合部材で
あるカプリング10Cと、歯車G2を一体とする伝導部
材131の側面に取付けられる結合部材である駆動ピン
131Aと、止めネジ51とにより、フランジ部材10
Aと歯車G2との結合部が構成され、保持部材20を一
体とする感光体ドラム10の装着状態においては、フラ
ンジ部材10Aの側面に取付けられるカプリング10C
が歯車G2を有する伝導部材131の側面に取付けられ
る駆動ピン131Aに嵌込まれ、係合後、歯車G2を有
する伝導部材131とフランジ部材10Aを有する感光
体ドラム10とが中心及び外周面を合わされた状態で、
感光体ドラム10の側方から止めネジ51を用いて駆動
ピン131Aとカプリング10Cとが固定され、フラン
ジ部材10Aと歯車G2とが結合、固定される。
【0087】画像形成のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により、駆動歯車G1の回転動力が
歯車G2により結合部を介して感光体ドラム10に伝達
され、感光体ドラム10が図9の矢印で示す時計方向へ
回転され、同時にYのスコロトロン帯電器11の帯電作
用により感光体ドラム10に電位の付与が開始される。
感光体ドラム10は電位を付与されたあと、Yの露光光
学系12において第1の色信号すなわちYの画像データ
に対応する電気信号による画像書込が開始され感光体ド
ラム10の回転走査によってその表面の感光層に原稿画
像のイエロー(Y)の画像に対応する静電潜像が形成さ
れる。この潜像はYの現像器13により非接触の状態で
反転現像され、感光体ドラム10上にイエロー(Y)の
トナー像が形成される。
【0088】次いで、感光体ドラム10は前記イエロー
(Y)のトナー像の上に、Mのスコロトロン帯電器11
の帯電作用により電位が付与され、Mの露光光学系12
の第2の色信号すなわちマゼンタ(M)の画像データに
対応する電気信号による画像書込が行われ、Mの現像器
13による非接触の反転現像によって前記のイエロー
(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が重
ね合わせて形成される。
【0089】同様のプロセスにより、Cのスコロトロン
帯電器11、露光光学系12及び現像器13によってさ
らに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像
が、また、Kのスコロトロン帯電器11、露光光学系1
2及び現像器13によって第4の色信号に対応する黒色
(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体
ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー
像が形成される。
【0090】このように、本実施の形態では、Y、M、
C及びKの露光光学系12による感光体ドラム10の有
機感光層に対する露光は、感光体ドラム10の内部より
透光性の基体を通して行われる。従って、第2、第3及
び第4の色信号に対応する画像の露光(画像書込)は何
れも先に形成されたトナー像により遮光されることなく
静電潜像を形成することが可能となり、好ましいが、感
光体ドラム10の外部から露光してもよい。
【0091】一方、転写材としての記録紙Pは、転写材
収納手段としての給紙カセット15より、半月形の送り
出しローラ(符号なし)により送り出され、給送ローラ
(符号なし)により給送されてタイミングローラ15b
へ搬送される。
【0092】記録紙Pは、タイミングローラ15bの駆
動によって、感光体ドラム10上に担持されたカラート
ナー像との同期がとられ、転写材帯電手段としての紙帯
電器150の帯電により搬送ベルト14Aに吸着されて
転写域へ給送される。搬送ベルト14Aにより密着搬送
された記録紙Pは、転写域でトナーと反対極性(本実施
形態においてはプラス極性)の電圧が印加される転写手
段としての転写器14cにより、感光体ドラム10の周
面上のカラートナー像が一括して記録紙Pに転写され
る。
【0093】カラートナー像が転写された記録紙Pは、
転写材除電手段としての転写材除電器14hにより除電
されて、搬送ベルト14Aから分離され、第2の例の定
着装置270へと搬送される。
【0094】第2の例の定着装置270は、カラートナ
ー像を定着するための上側のロール状の熱線定着用回転
部材としての熱線定着ローラ17aと、固定発熱体とし
てのセラミックヒータ172を内包する下側のフィルム
状回転部材としての熱定着フィルム27Aとにより構成
され、熱線定着ローラ17aの内部中心には、光源によ
っては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱線を
発するハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図
示)等が熱線照射手段として配設される。
【0095】熱線定着ローラ17aと熱定着フィルム2
7Aとの間で形成されるニップ部Nで記録紙Pが挟持さ
れ、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のカラー
トナー像が定着され、記録紙Pが排紙ローラ18により
送られて、装置上部のトレイへ排出される。
【0096】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは、像形成体クリーニング手段としてのクリー
ニング装置19に設けられたクリーニングブレード19
aによりクリーニングされる。残留トナーを除去された
感光体ドラム10はスコロトロン帯電器11によって一
様帯電を受け、次の画像形成サイクルに入る。
【0097】図11に示すように、第2の例の定着装置
270はカラートナー像を定着するための上側のロール
状の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17a
と、下側のフィルム状回転部材としての熱定着フィルム
27Aとにより構成され、弾性を有したソフトローラと
しての熱線定着ローラ17aとハードローラとしての熱
定着フィルム27Aとの間で形成される、幅30mm以
下、好ましくは10mm以上の幅広いニップ部Nで、ニ
ップ部Nに進入されてニップ部Nを通過される記録紙P
を挟持し、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上の
トナー像を定着する。
【0098】転写材上のトナー像を定着するための熱線
定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒
状の透光性基体171aと、該透光性基体171aの外
側(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層17
1bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラ
として構成される。透光性基体171a内部中心に、光
源によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の
熱線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述する
ようにして弾性の高いソフトローラとして構成される。
ハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)よ
り発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され
急速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成
される。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一
化ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材
やステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材や
ヒートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線
吸収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a
周面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラT
R4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの
縦方向及び横方向の温度むらが均一化される。TS1は
上側の熱線定着ローラ17aに取付けられた温度制御を
行うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度
検知手段である温度センサである。温度センサTS1と
しては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いる
ことも可能である。
【0099】また下側の熱定着フィルム27Aは、例え
ば厚さ40〜100μmの薄膜の定着フィルム171
と、固定発熱体としてのセラミックヒータ172と、セ
ラミックヒータ172を保持するためのヒータホルダ2
73とによるハードローラとして構成される。またヒー
タホルダ273の内部に、アルミ材やステンレス材等の
熱伝導性の良好な金属ローラ部材やヒートパイプを用い
た熱均一化ローラTR4を設けることが好ましく、熱均
一化ローラTR4によりヒータホルダ273を介してセ
ラミックヒータ172により加熱される熱定着フィルム
27Aの周面の発熱温度分布が均一化される。TS2は
下側の熱定着フィルム27Aのセラミックヒータ172
の裏面に取付けられた温度制御を行うための例えば接触
タイプのサーミスタを用いた温度検知手段である温度セ
ンサである。温度センサTS2としては接触タイプの他
に、非接触タイプのものを用いることも可能である。
【0100】定着フィルム171の熱容量は熱線定着ロ
ーラ17aに対して1/20程度となっておりウォーミ
ングアップが略ゼロのクイックスタートが可能となって
いる。ヒータホルダ273は回転する定着フィルム17
1の走行ガイドとなる一方、保持するセラミックヒータ
172を介して熱線定着ローラ17aに圧接するように
なっている。定着フィルム171はヒータホルダ273
にルーズに勘合し、勘合し回転する熱線定着ローラ17
aの表面摩擦力により従動回転する。熱定着フィルム2
7Aは熱容量が小さいので、熱線定着ローラ17aの熱
が取られることが少ない。
【0101】セラミックヒータ172は、アルミナ基板
に厚膜印刷により抵抗体とオーバコートガラスを設けた
ものを用い、固定発熱体より定着フィルム171間の熱
抵抗を下げている。
【0102】定着フィルム171の構造は、図4にて前
述したと同様に、ベース材171A、導電層171B及
び表面離型層171Cにより構成される。
【0103】ベース材171Aとしては、高温下におけ
る強度、寸法安定性に優れるポリイミド樹脂が好まし
く、厚みを40〜100μm程度と厚くすることが好ま
しい。厚みを40μm程度と厚くすることにより、強度
及び剛性を高め、定着フィルム171の回転中の寄りを
挫屈せずに端部で規制可能とする。また、100μmよ
り厚くしすぎると熱伝導が悪くなり、また、熱伝導も大
きくなるために瞬時に加熱することが困難になり、ま
た、使用する電力も増加してしまう。
【0104】また、オフセット防止のために、表面離型
層171C、例えばフッ素樹脂(PFAまたはPTF
E)の層を設けることが好ましいが、更に、定着フィル
ム171のベース材171Aの内面とセラミックヒータ
172表面との間の摺動により発生する摩擦電荷の影響
をなくすため導電層171Bを設け接地している。
【0105】また、低湿環境下での記録紙Pの後端部と
の剥離帯電電荷を逃がすように、表面離型層171Cに
導電フィラをいれ低抵抗化してオフセットを防止してい
る。ただし、抵抗値が低すぎると転写電荷がリークして
オフセットを生じるので、2×1010〜5×1011Ω/
cm2の抵抗値が好ましい。
【0106】上側の熱線定着ローラ17a及び下側の熱
定着フィルム27Aの温度制御は、図8にて前述したと
同様に、上側の熱線定着用回転部材としての熱線定着ロ
ーラ17aの温度を検知する温度検知手段としての温度
センサTS1による熱線定着ローラ17aの温度(T1
(℃))と、下側のフィルム状回転部材としての熱定着
フィルム27Aのセラミックヒータ172の温度を検知
する温度検知手段としての温度センサTS2による熱定
着フィルム27Aの温度(T2(℃))とを測定し、予
め記憶部(ROM、RAM)のROM内に参照テーブル
として記憶されている、温度(検知温度)T1及び温度
(検知温度)T2に対応する参照テーブルからのハロゲ
ンランプ171gやキセノンランプ(不図示)及びセラ
ミックヒータ172のon−off時間が、定着制御部
を通して参照され、上側の熱線定着ローラ17a及び下
側の熱定着フィルム27Aの温度制御が行われる。特に
ウォーミングアップ時間を早くするために両方から加熱
制御するが、ウォーミングアップ後の定着の温度制御も
両方から加熱制御すると応答が早いことから、高精度の
温度制御がなされる。また特にカラートナー像の定着の
場合は、上側の熱線定着ローラ17a及び下側の熱定着
フィルム27Aの両方の温度が光沢性や色味に影響を与
えるので、両方の温度制御が必要となる。
【0107】上側の弾性の高いソフトローラと、下側の
ハードローラとの間に、下側の熱定着フィルム27Aの
ヒータホルダ273の円形の上面形状に倣って、上側を
凸状としたニップ部Nが形成されトナー像の定着が行わ
れる。
【0108】ハロゲンランプ171gやキセノンランプ
(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発熱
と、固定発熱体としてのセラミックヒータ172の発熱
とにより省エネルギーでウォーミングアップ時間の短い
クイックスタート(急速加熱)が可能な定着装置が可能
となる。
【0109】図5にて前述したと同様に、熱線定着ロー
ラ17aの構成は、図5(a)に断面を示すように、円
筒状の透光性基体171aとしては、厚さ1〜20m
m、好ましくは2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤
外線等の熱線を透過するパイレックスガラス、サファイ
ヤ(Al23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率
が(5〜20)×10−3J/cm・s・K、比熱が
(0.5〜2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.
0)が主として用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を
使用した透光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10−3
J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比
重が0.8〜1.2)等も用いることが可能である。例
えば熱線定着ローラ17aの透光性基体171aとし
て、内径32mm、外径40mmで、層厚(厚さ)4m
mのパイレックスガラス(比熱が0.78J/g・K、
比重が2.32)を用いたときの透光性基体171aの
A−3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は
約60cal/degである。また、透光性基体171
aを通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好まし
くは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度や
熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の
1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を含
めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下
の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線或
いは遠赤外線透過性)のITO、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バイ
ンダに分散させたもので透光性基体171aを形成して
もよい。層中で1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μ
m以下、好ましくは0.1μm以下であることが光散乱
を防ぎ、熱線吸収層171bに到達させるのに好まし
い。上記の如く、透光性基体171aはあまり熱伝導性
が良くない。
【0110】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0111】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。またカラー画像
形成に用いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般
に低く、かつカラートナー間に吸収効率の差があること
から定着不良となったり、定着むらとなる。従って、ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられ、透光性基体171a及び透光性弾性層171
dにて吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層1
71bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの
熱線吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ま
しくは95〜100%とする。これにより、分光特性が
異なることで熱線により定着することが困難なカラート
ナーの溶融が良好に行われ、特に図9でのカラー画像形
成において、分光特性が異なることで熱線により定着す
ることが困難なトナー層の厚い転写材上の重ね合わせカ
ラートナー像の溶融が良好に行われる。また、熱線吸収
層171bの厚さが10μm未満で薄いと、熱線吸収層
171bでの熱線の吸収による加熱速度は速いが、薄膜
による局所的な加熱による熱線吸収層171bの破損や
強度不足の原因となり、熱線吸収層171bの厚さが5
00μmを越えて厚過ぎると、熱伝導不良となったり、
熱容量が大きくなり急速加熱が成しにくくなる。熱線吸
収層171bの熱線吸収率を略100%にあたる90〜
100%、好ましくは95〜100%としたり、熱線吸
収層171bの厚さを10〜500μm、好ましくは2
0〜100μmとすることにより、熱線吸収層171b
での局所的な発熱が防止され、均一な発熱が行われる。
また、熱線吸収層171bに投光される熱線の波長は
0.1〜20μm、好ましくは0.3〜3μmであるの
で、フィラーとして硬度や熱伝導率の調整剤が加えられ
るが、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに5〜50重量%分散させたもので
熱線吸収層171bを形成してもよい。このようにし
て、熱線吸収層171bは温度がすぐに上がるように熱
容量を小さくしてあるので、熱線定着用回転部材として
の熱線定着ローラ17aに温度低下が生じ、定着むらが
発生するという問題を防止する。熱線吸収層171bと
しては、弾性を有するシリコンゴムやフッ素ゴムに、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入したものを用いてもよい。
例えば熱線定着ローラ17aの熱線吸収層171b(或
いは後述する兼用層171Z)として、外径50mmの
透光性弾性層171dの表面(外周面)に、層厚(厚
さ)50μmのフッ素樹脂(比熱が2.0J/g・K、
比重が0.9)を用いたときの熱線吸収層171b(或
いは兼用層171Z)のA−3サイズ幅(297mm)
当たりでの熱容量Q3は約1.0cal/degであ
る。熱線吸収層171bとしてはニッケル電鋳ベルトの
ように金属フィルム部材を用いることもできる。この
時、熱線吸収のために内側(内周面)は黒色酸化処理を
しておくことが望ましい。
【0112】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0113】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。またカラー画像形成に用
いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般に低く、
かつカラートナー間に吸収効率の差があることから定着
不良となったり、定着むらとなる。従って、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材
内で完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収
率を略100%にあたる90〜100%、好ましくは9
5〜100%とする。また、兼用層171Zでの局所的
な発熱も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用
層171Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μ
m、好ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーと
して硬度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱
線の波長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2
次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.
1μm以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含ん
だ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バイ
ンダに分散させたもので兼用層171Zを形成してもよ
い。
【0114】図6にて前述したと同様に、ロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの熱線
吸収層171bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均
一に設けると境界にある熱線吸収層171bで発熱が集
中することになり、透光性弾性層171d側へ熱が流失
しやすいので、透光性基体171aより低熱伝導性部材
を用いたり、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部
で熱を発生させることが発熱分布を分散させる観点から
好ましい。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ
(イ)で示すように、内接する透光性弾性層171d側
の界面を低濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次
高くし、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt
1に対し、透光性弾性層171d側から2/3〜4/5
程度の位置)で100%吸収する濃度となるようにして
飽和するようにする。これにより、熱線吸収層171b
での熱線の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示す
ように、熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有
し、熱線吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値を
とる放物線状に形成される。或いは熱線吸収層171b
の界面や外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフ
ッ素樹脂やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ま
しくは20〜100μmを設けることが好ましい。ま
た、透光性基体171aより低熱伝導性部材として熱の
流失を押さえることが好ましい。これにより、前記界面
での熱線の吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止
し、界面での接着層の破損や熱線吸収層171bの破損
を防止する。また、外周面側の手前(熱線吸収層171
bの厚さt1に対し、透光性基体171a側から2/3
〜4/5程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和
するようにし、特に、兼用層171Zを用いた場合に
も、外周表面層が削られても影響の無いようにする。な
お点線で示すように、飽和層を形成してもよい。要する
に、十分に内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響
はなくなる。削れの影響も生じない。また、濃度分布に
前記傾斜を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整す
ることができる。
【0115】また図7にて前述したと同様に、ロール状
の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの
円筒状の透光性基体171aの外径φとしては、15〜
60mmのものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が
強度の点で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と
熱容量との関係から、円筒状の透光性基体171aの外
径φと厚さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0116】上記の如く、図11にて説明した第2の例
の定着装置270を用いることにより、上側の弾性の高
いソフトローラと、下側のハードローラとの間に、下側
の熱定着フィルム27Aのヒータホルダ273の円形状
の上面形状に倣って、上側を凸状としたニップ部Nが形
成されてトナー像の定着が行われが、ハロゲンランプ1
71gやキセノンランプ(不図示)の熱線による熱線吸
収層171bでの発熱と、固定発熱体としてのセラミッ
クヒータ172の発熱との両方の発熱により、特に下側
のセラミックヒータ172の発熱により上側の熱線定着
ローラ17aの熱線吸収層171bを早く昇温させるこ
とができ、省エネルギーとウォーミングアップ時間の短
縮を図りながら、高速定着を可能とすると共に、均一で
安定した温度による良好な定着性が得られる画像形成装
置が可能となる。特に弾性の高い上側のソフトローラ
(熱線定着ローラ17a)でトナー像を定着することに
より、品質の高い(定着性能が良好な)定着が行われ
る。
【0117】実施形態3 本発明にかかわる定着装置の第3の例と、実施形態1に
て前述した画像形成装置の第1の例に該定着装置を適用
するの画像形成装置の一実施形態の画像形成プロセス及
び各機構について、図12または図13、及び実施形態
1にて前述した図2、図4ないし図8を用いて説明す
る。図12は、本発明にかかわる画像形成装置の第3の
例の一実施形態を示す画像形成装置の断面構成図であ
り、図13は、本発明にかかわる定着装置の第3の例の
断面構成図である。なお以下の第3の例の画像形成装置
の実施の形態の説明において、中間転写体により支持搬
送される転写材の、像担持体に対向する側の面を表面、
他方の面すなわち中間転写体に対向する側の面を裏面と
いい、転写材の表面に転写される画像を表面画像、転写
材の裏面に転写される画像を裏面画像という。
【0118】図12において、10は像担持体である感
光体ドラム、11は各色毎の帯電手段であるスコロトロ
ン帯電器、12は各色毎の画像書込手段である露光光学
系、13は各色毎の現像手段である現像器、14aは中
間転写体である中間転写ベルト、14bは像担持体上の
トナー像を中間転写体および転写材の表面に転写する1
次転写手段である1次転写器、14gは中間転写体上の
トナー像を転写材の裏面に転写する2次転写手段である
2次転写器、150は転写材帯電手段である紙帯電器、
14hは転写材除電手段である転写材除電器、160は
爪部材である分離爪210と拍車部材である拍車162
とを有する搬送部、370は第3の例の定着装置であ
る。
【0119】像担持体である感光体ドラム10は、例え
ば、光学ガラスや透明アクリル樹脂等の透明部材によっ
て形成される円筒状の基体の外周に、透明の導電層、a
−Si層あるいは有機感光層(OPC)等の感光層を形
成したものであり、導電層を接地した状態で、不図示の
像担持体駆動モータにより図12の矢印で示す時計方向
に、例えば80〜400mm/secの線速度にて回転
される。
【0120】像担持体上にトナー像を形成するトナー像
形成手段は、帯電手段であるスコロトロン帯電器11、
画像書込手段であるレーザ露光光学系120及び現像手
段である現像器13からなり、図12の矢印にて示す感
光体ドラム10の回転方向に対して、その順に配置され
る。
【0121】帯電手段であるスコロトロン帯電器11
は、所定の電位に保持された制御グリッド(符号なし)
と例えば鋸歯状電極からなる放電電極11aとを有し、
感光体ドラム10の感光層と対峙して取付けられ、トナ
ーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態
においては使用するトナーの極性はマイナス極性とし、
本実施形態において帯電手段であるスコロトロン帯電器
11による帯電はマイナス帯電)を行い、感光体ドラム
10に対し一様な電位を与える。放電電極11aとして
は、その他ワイヤ電極や針状電極を用いることも可能で
ある。
【0122】画像書込手段であるレーザ露光光学系12
0は、不図示の発光素子としての半導体レーザ、該半導
体レーザから発光されるレーザ光を回転走査する回転多
面鏡120b、fθレンズ120c及び反射ミラー12
0dにより構成され、半導体レーザから発光されるレー
ザ光を回転多面鏡120bにより回転走査し、fθレン
ズ120c、反射ミラー120dを経て、回転する感光
体ドラム10上に、別体の画像読取装置によって読み取
られメモリに記憶された画像データに従って感光体ドラ
ム10の感光層に画像書込し、感光体ドラム10上に静
電潜像を形成する。なお画像データは、表面画像に対応
した画像データと裏面画像に対応した画像データとが互
いに鏡像になる様に、データを変更する必要がある。
【0123】現像手段である現像器13は、感光体ドラ
ム10の周面に対し所定の間隙を保ち、現像位置におい
て感光体ドラム10の回転方向と順方向に回転する例え
ば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の
非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像
スリーブ13aを有し、現像器13の内部には、黒色
(K)の一成分或いは二成分現像剤を収容している。現
像器13の現像スリーブ13aは不図示の突き当てコロ
により感光体ドラム10と所定の間隙、例えば100〜
500μmをあけ、層厚80〜300μmの現像スリー
ブ13a上の現像剤が感光体ドラム10と非接触に保た
れており、現像スリーブ13aに対して直流電圧と交流
電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、非
接触の反転現像を行い、感光体ドラム10上にトナー像
を形成する。
【0124】中間転写体である中間転写ベルト14a
は、好ましくは体積抵抗率が109Ω・cm以上、10
12Ω・cm未満の無端ベルトであり、例えば変性ポリイ
ミド、熱硬化ポリイミド、エチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロ
イ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散
した厚さ0.1〜1.0mmの半導電性フィルム基体の
外側に、好ましくはトナーフィルミング防止層として厚
さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った2層構成
のシームレスベルトである。中間転写ベルト14aの基
体としては、この他に、シリコンゴム或いはウレタンゴ
ム等に導電材料を分散した厚さ0.5〜2.0mmの半
導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写ベ
ルト14aは、それぞれローラ部材である駆動ローラ1
4dと2次転写対向ローラ14jと従動ローラ14eと
テンションローラ14iとに張架され、図12の矢印で
示す反時計方向に回転される。従動ローラ14e、2次
転写対向ローラ14j及び駆動ローラ14dは固定位置
で回転され、テンションローラ14iは不図示のバネ等
の弾力により移動可能に支持されて回転される。不図示
の中間転写体駆動モータよりの駆動をうけて駆動ローラ
14dが回転され、中間転写ベルト14aを駆動して回
転させる。中間転写ベルト14aの回転により2次転写
対向ローラ14j、従動ローラ14e及びテンションロ
ーラ14iが従動して回転される。回転中の中間転写ベ
ルト14aのベルト弛みがテンションローラ14iによ
り緊張される。中間転写ベルト14aが従動ローラ14
eに張架される位置に転写材である記録紙Pが供給さ
れ、中間転写ベルト14aによって支持搬送される。駆
動ローラ14dに張架される中間転写ベルト14aの定
着装置370側の端部の曲率部KTにおいて中間転写ベ
ルト14aから記録紙Pが分離される。
【0125】像担持体上のトナー像を中間転写体または
転写材の表面に転写する1次転写手段としての1次転写
器14bは、中間転写ベルト14aを挟んで感光体ドラ
ム10に対向して設けられるコロナ放電器であり、中間
転写ベルト14aと感光体ドラム10との間に転写域
(符号なし)を形成する。1次転写器14bにはトナー
と反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流
電圧が印加され、感光体ドラム10上のトナー像を中間
転写ベルト14a上または転写材である記録紙Pの表面
に転写する。1次転写器14bとしてはコロナ放電器の
他に転写ローラや転写ブレードを用いることも可能であ
る。
【0126】中間転写体上のトナー像を転写材の裏面に
再転写する2次転写手段である2次転写器14gはコロ
ナ放電器により構成され、1次転写器14bと駆動ロー
ラ14dとの間で、中間転写ベルト14aを挟んで接地
された2次転写対向ローラ14jに対向して設けられ、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の直流電圧が印加され、中間転写ベルト14a上のトナ
ー像を記録紙Pの裏面に転写する。
【0127】転写材帯電手段である紙帯電器150は好
ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベルト
14aを挟んで接地された従動ローラ14eと対向して
設けられ、トナーと同極性(本実施形態においてはマイ
ナス極性)の直流電圧が印加され、記録紙Pを帯電して
中間転写ベルト14aに吸着させる。紙帯電器150と
してはコロナ放電器の他に、鋸歯状電極や中間転写ベル
ト14aに当接および当接解除可能な紙帯電ブラシや紙
帯電ローラ等を用いることも可能である。
【0128】転写材除電手段である転写材除電器14h
は好ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベ
ルト14aの定着装置370側端部で記録紙Pを中間転
写ベルト14aから分離する位置の近傍に、中間転写ベ
ルト14aを挟んで接地された駆動ローラ14dに対向
して設けられ、2次転写器14gにより荷電された帯電
量(Q/M)の高い表面トナー像の分離時の剥離放電防
止のための直流電圧を重畳した交流電圧が印加され、中
間転写ベルト14aにより搬送される記録紙Pを除電し
て中間転写ベルト14aから分離する。
【0129】搬送部160は、転写材分離補助手段であ
る分離爪210と拍車部材である拍車162とを有し、
中間転写ベルト14aの定着装置370側の端部の曲率
部KTと第3の例の定着装置370との間に設けられ
る。搬送部160は、定着装置370からの熱により、
中間転写ベルト14aが変形したり、中間転写ベルト1
4aに担持されるトナー像が融着気味になって転写しに
くくなったり、中間転写ベルト14a上にトナーが固着
したりすることを防止する。
【0130】転写材分離補助手段である分離爪210は
中間転写ベルト14aの曲率部KTに近接し、中間転写
ベルト14aと所定の間隔、好ましくは0.1〜2.0
mmを空けて支持軸221に固定されて設けられ、記録
紙Pが中間転写ベルト14aより分離される際に、中間
転写ベルト14a方向へ曲がって搬送されようとする記
録紙Pの先端部を当接させ、記録紙Pの曲率分離を補助
する。
【0131】拍車部材である拍車162は、周面に複数
の突起部162aを有し、回転支持軸165を中心とし
て回転自在に設けられる。拍車162は、記録紙Pの裏
面側をガイドして記録紙Pを搬送し、両面にトナー像を
有する記録紙Pの裏面トナー像の乱れを防止するととも
に、記録紙Pの定着装置370への進入方向を一定にし
ながら記録紙Pを安定して定着装置370へと搬送す
る。
【0132】分離爪210と拍車162とは、中間転写
ベルト14a上の転写材搬送面或いはその延長面に対
し、感光体ドラム10の有る側と反対側に配設される。
転写材搬送面或いはその延長面の両側に拍車部材である
拍車162を設けることも可能である。
【0133】第3の例の定着装置370は、誘導発熱体
としての磁性体372を内包して上側(表面側)の表面
画像のトナー像を定着するためのフィルム状回転部材と
しての熱定着フィルム37Aと、下側(裏面側)の裏面
画像のトナー像を定着するための下側のロール状の熱線
定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aとにより
構成され、不図示の定着用の駆動モータにより熱線定着
ローラ17aが駆動回転され、熱定着フィルム17Aが
従動回転される。熱線定着ローラ17aの内部中心に
は、光源によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外
線等の熱線を発するハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)等が熱線照射手段として配設される。
熱定着フィルム37Aと熱線定着ローラ17aとの間で
形成されるニップ部Nで記録紙Pが挟持され、熱と圧力
とを加えることにより記録紙P上のトナー像が定着され
る。
【0134】次に画像形成プロセスを説明する。
【0135】画像記録のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により感光体ドラム10が図1の矢
印で示す時計方向へ回転され、同時にスコロトロン帯電
器11の帯電作用により感光体ドラム10に電位の付与
が開始される。
【0136】感光体ドラム10は電位を付与されたあ
と、レーザ露光光学系120によって画像データに対応
する電気信号による画像書込が開始され、感光体ドラム
10の表面に原稿画像の画像に対応する静電潜像が形成
される。
【0137】上記静電潜像は現像器13により非接触の
状態で反転現像され、感光体ドラム10上にトナー像が
形成される(トナー像形成手段)。
【0138】上記の画像形成プロセスによって像担持体
である感光体ドラム10上に形成された裏面画像となる
トナー像は、転写域(符号なし)において、1次転写器
14bによって、中間転写体である中間転写ベルト14
a上に転写される(図2(A))。
【0139】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは感光体ドラムAC除電器16により除電を受
けた後、像担持体クリーニング手段であるクリーニング
装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材
から成るクリーニングブレード19aによってクリーニ
ングされ、スクリュウ19bによって不図示の排トナー
容器に回収される。
【0140】以上のようにして中間転写ベルト14a上
に裏面画像となるトナー像が形成された後、感光体ドラ
ム10上には上記の画像形成プロセスと同様にして、引
続き表面画像となるトナー像が形成される(図2
(B))。この際、感光体ドラム10上に形成される表
面画像は、前記感光体ドラム10上に形成した裏面画像
に対して鏡像となるように画像データが変更される。
【0141】感光体ドラム10上への表面画像形成にと
もなって転写材である記録紙Pが転写材収納手段である
給紙カセット15より、送り出しローラ15aにより送
り出され、転写材給送手段としてのタイミングローラ1
5bへ搬送され、タイミングローラ15bの駆動によっ
て、感光体ドラム10上に形成される表面画像のトナー
像と、中間転写ベルト14aに担持されている裏面画像
のトナー像との同期がとられて転写域(符号なし)へ給
送される。この際、給送される記録紙Pは、記録紙Pの
表面側に設けられる転写材帯電手段である紙帯電器15
0によりトナーと同極性に帯電され、中間転写ベルト1
4aに吸着されて転写域(符号なし)へ搬送される。ト
ナーと同極性に紙帯電を行うことにより、中間転写ベル
ト14a上のトナー像や感光体ドラム10上のトナー像
と引き合うことを防止して、トナー像の乱れを防止して
いる。
【0142】転写域(符号なし)ではトナーと反対極性
(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加され
る1次転写器14bによって感光体ドラム10上の表面
画像が記録紙Pの表面に転写される。このとき、中間転
写ベルト14a上の裏面画像は記録紙Pに転写されない
で中間転写ベルト14a上に存在する。
【0143】表面にトナー像が転写された記録紙Pは、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の電圧が印加される2次転写器14gへと搬送され、2
次転写器14gにより中間転写ベルト14aの周面上の
裏面画像が記録紙Pの裏面に再転写される(図2
(C))。
【0144】両面にトナー像が形成された記録紙Pは、
中間転写ベルト14aの曲率部KTの曲率と、中間転写
ベルト14aの端部に設けられる転写材除電手段として
の転写材除電器14hによる除電作用と、中間転写ベル
ト14aと所定の間隔を空けて搬送部160に設けられ
る分離爪210とにより、中間転写ベルト14aから分
離され、搬送部160に設けられた拍車162を通して
定着装置370へと搬送され、熱定着フィルム17Aと
熱線定着ローラ17aとの間のニップ部N間を搬送さ
れ、ニップ部Nで熱と圧力とをくわえられることにより
記録紙P上のトナー像が定着される。両面画像記録がな
された記録紙Pは表裏を反転されて送られ、排紙ローラ
18により装置外部のトレイへ排出される。
【0145】転写後の中間転写ベルト14aの周面上に
残ったトナーは、中間転写ベルト14aを挟んで従動ロ
ーラ14eに対向して設けられ、支軸142を回転支点
として中間転写ベルト14aに当接及び当接解除可能な
中間転写体クリーニングブレード141を有する中間転
写体クリーニング手段である中間転写体クリーニング装
置140によりクリーニングされる。
【0146】また、転写後の感光体ドラム10の周面上
に残ったトナーは、感光体ドラムAC除電器16により
除電を受けた後、クリーニング装置19によりクリーニ
ングされて、次の画像形成サイクルにはいる。
【0147】図13に示すように、第3の例の定着装置
370は上側(表面側)の表面画像のトナー像を定着す
るためのフィルム状回転部材としての熱定着フィルム3
7Aと、下側(裏面側)の裏面画像のトナー像を定着す
るための下側のロール状の熱線定着用回転部材としての
熱線定着ローラ17aとにより構成され、ハードローラ
としての熱定着フィルム37Aと、弾性を有したソフト
ローラとしての熱線定着ローラ17aとの間で形成され
る、幅30mm以下、好ましくは10mm以上の幅広い
ニップ部Nで、ニップ部Nに進入されてニップ部Nを通
過される記録紙Pを挟持し、熱と圧力とを加えることに
より記録紙P上のトナー像を定着する。
【0148】表面画像のトナー像を定着する熱定着フィ
ルム37Aは、例えば厚さ40〜100μmの薄膜の定
着フィルム171と、誘導発熱体としての磁性体372
と、磁性体372を誘導加熱するためのコイル373と
によるハードローラとして構成される。TS2は上側の
熱定着フィルム37Aの磁性体372の裏面(ニップ部
Nと反対側)に取付けられた温度制御を行うための例え
ば接触タイプのサーミスタを用いた温度検知手段である
温度センサである。温度センサTS2としては接触タイ
プの他に、非接触タイプのものを用いることも可能であ
る。
【0149】定着フィルム171の熱容量は熱線定着ロ
ーラ17aに対して1/20程度となっておりウォーミ
ングアップが略ゼロのクイックスタートが可能となって
いる。磁性体372は回転する定着フィルム171の走
行ガイドとなる一方、熱線定着ローラ17aに圧接する
ようになっている。定着フィルム171は磁性体372
にルーズに勘合し、勘合し回転する熱線定着ローラ17
aの表面摩擦力により従動回転する。熱定着フィルム3
7Aは熱容量が小さいので、熱線定着ローラ17aの熱
が取られることが少ない。
【0150】磁性体372は、アルミナ、酸化鉄等の金
属基体に厚膜印刷により抵抗体とオーバコートガラスを
設けたものを用い、誘導発熱体より定着フィルム171
間の熱抵抗を下げている。
【0151】定着フィルム171の構造は、図4にて前
述したと同様に、ベース材171A、導電層171B及
び表面離型層171Cにより構成される。
【0152】ベース材171Aとしては、高温下におけ
る強度、寸法安定性に優れるポリイミド樹脂が好まし
く、厚みを40〜100μm程度と厚くすることが好ま
しい。厚みを40μm程度と厚くすることにより、強度
及び剛性を高め、定着フィルム171の回転中の寄りを
挫屈せずに端部で規制可能とする。また、100μmよ
り厚くしすぎると熱伝導が悪くなり、また、熱伝導も大
きくなるために瞬時に加熱することが困難になり、ま
た、使用する電力も増加してしまう。また、オフセット
防止のために、表面離型層171C、例えばフッ素樹脂
(PFAまたはPTFE)の層を設けることが好ましい
が、更に、定着フィルム171のベース材171Aの内
面と磁性体372表面との間の摺動により発生する摩擦
電荷の影響をなくすため導電層171Bを設け接地して
いる。また、低湿環境下での記録紙Pの後端部との剥離
帯電電荷を逃がすように、表面離型層171Cに導電フ
ィラをいれ低抵抗化してオフセットを防止している。た
だし、抵抗値が低すぎると転写電荷がリークしてオフセ
ットを生じるので、2×1010〜5×1011Ω/cm2
の抵抗値が好ましい。
【0153】裏面のトナー像を定着するための熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒状の
透光性基体171aと、該透光性基体171aの外側
(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層171
bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラと
して構成される。透光性基体171a内部中心に、光源
によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱
線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171g
やキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着用
回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述するよ
うにして弾性の高いソフトローラとして構成される。ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され急
速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成さ
れる。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一化
ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材や
ステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材やヒ
ートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線吸
収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a周
面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラTR
4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの縦
方向及び横方向の温度むらが均一化される。TS1は下
側の熱線定着ローラ17aに取付けられた温度制御を行
うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度検
知手段である温度センサである。温度センサTS1とし
ては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いるこ
とも可能である。
【0154】上側の熱定着フィルム37A及び下側の熱
線定着ローラ17aの温度制御は、図8にて前述したと
同様に、上側のフィルム状回転部材としての熱定着フィ
ルム37Aの磁性体372の温度を検知する温度検知手
段としての温度センサTS2による熱定着フィルム37
Aの温度(T2(℃))と、下側の熱線定着用回転部材
としての熱線定着ローラ17aの温度を検知する温度検
知手段としての温度センサTS1による熱線定着ローラ
17aの温度(T1(℃))とを測定し、予め記憶部
(ROM、RAM)のROM内に参照テーブルとして記
憶されている、温度(検知温度)T2及び温度(検知温
度)T1に対応する参照テーブルからの磁性体372を
加熱するコイル373及び熱線定着ローラ17aを加熱
するハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図
示)のon−off時間が、定着制御部を通して参照さ
れ、上側の熱定着フィルム37A及び下側の熱線定着ロ
ーラ17aの温度制御が行われる。特に両面定着では、
上側の熱定着フィルム37A及び下側の熱線定着ローラ
17aの両方の温度が定着に影響を与えるので、上側の
熱定着フィルム37A及び下側の熱線定着ローラ17a
の両方の温度制御が必要となる。
【0155】上側のハードローラと、下側の弾性の高い
ソフトローラとの間に、上側の熱定着フィルム37Aの
磁性体372の底面形状に倣って、平面状のニップ部N
が形成されトナー像の定着が行われる。
【0156】誘導発熱体としての磁性体372の発熱
と、ハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図
示)の熱線による熱線吸収層171bでの発熱との両方
の発熱により、両面時の下側の熱線定着ローラ17aの
加熱のために瞬時加熱は困難であるが、省エネルギーで
ウォーミングアップ時間の短いクイックスタート(急速
加熱)が可能な定着装置が可能となる。
【0157】図5にて前述したと同様に、熱線定着ロー
ラ17aの構成は、図5(a)に断面を示すように、円
筒状の透光性基体171aとしては、厚さ1〜20m
m、好ましくは2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤
外線等の熱線を透過するパイレックスガラス、サファイ
ヤ(Al23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率
が(5〜20)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(0.5〜2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.
0)が主として用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を
使用した透光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10-3
/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比重
が0.8〜1.2)等も用いることが可能である。例え
ば熱線定着ローラ17aの透光性基体171aとして、
内径32mm、外径40mmで、層厚(厚さ)4mmの
パイレックスガラス(比熱が0.78J/g・K、比重
が2.32)を用いたときの透光性基体171aのA−
3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は約6
0cal/degである。また、透光性基体171aを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度や熱伝
導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の1/
2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を含めて
平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の熱
線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線或いは
遠赤外線透過性)のITO、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
分散させたもので透光性基体171aを形成してもよ
い。層中で1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.1μm以下であることが光散乱を防
ぎ、熱線吸収層171bに到達させるのに好ましい。上
記の如く、透光性基体171aはあまり熱伝導性が良く
ない。
【0158】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0159】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。従って、ハロゲ
ンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せ
られ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dに
て吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透
光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層171
bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。熱線吸収層171bの厚さが
10μm未満で薄いと、熱線吸収層171bでの熱線の
吸収による加熱速度は速いが、薄膜による局所的な加熱
による熱線吸収層171bの破損や強度不足の原因とな
り、熱線吸収層171bの厚さが500μmを越えて厚
過ぎると、熱伝導不良となったり、熱容量が大きくなり
急速加熱が成しにくくなる。熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%としたり、熱線吸収層171bの厚さ
を10〜500μm、好ましくは20〜100μmとす
ることにより、熱線吸収層171bでの局所的な発熱が
防止され、均一な発熱が行われる。また、熱線吸収層1
71bに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好
ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬
度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波
長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子
を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm
以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外
線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
5〜50重量%分散させたもので熱線吸収層171bを
形成してもよい。このようにして、熱線吸収層171b
は温度がすぐに上がるように熱容量を小さくしてあるの
で、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17a
に温度低下が生じ、定着むらが発生するという問題を防
止する。熱線吸収層171bとしては、弾性を有するシ
リコンゴムやフッ素ゴムに、カーボンブラック、黒鉛、
鉄黒(Fe34)や各種フェライト及びその化合物、酸
化銅、酸化コバルト、ベンガラ(Fe23)等の粉末を
混入したものを用いてもよい。例えば熱線定着ローラ1
7aの熱線吸収層171b(或いは後述する兼用層17
1Z)として、外径50mmの透光性弾性層171dの
表面(外周面)に、層厚(厚さ)50μmのフッ素樹脂
(比熱が2.0J/g・K、比重が0.9)を用いたと
きの熱線吸収層171b(或いは兼用層171Z)のA
−3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q3は約
1.0cal/degである。熱線吸収層171bとし
てはニッケル電鋳ベルトのように金属フィルム部材を用
いることもできる。この時、熱線吸収のために内側(内
周面)は黒色酸化処理をしておくことが望ましい。
【0160】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0161】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。従って、ハロゲンランプ
171gやキセノンランプ(不図示)より発せられ、透
光性基体171a及び透光性弾性層171dにて吸収さ
れた残りの熱線で、透光性基体171a及び透光性弾性
層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材内で完
全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収率を略
100%にあたる90〜100%、好ましくは95〜1
00%とする。また、兼用層171Zでの局所的な発熱
も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用層17
1Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好ま
しくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度
や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長
の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を
含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以
下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線
或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭酸
カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに分
散させたもので兼用層171Zを形成してもよい。
【0162】図6にて前述したと同様に、ロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの熱線
吸収層171bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均
一に設けると境界にある熱線吸収層171bで発熱が集
中することになり、透光性弾性層171d側へ熱が流失
しやすいので、透光性基体171aより低熱伝導性部材
を用いたり、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部
で熱を発生させることが発熱分布を分散させる観点から
好ましい。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ
(イ)で示すように、内接する透光性弾性層171d側
の界面を低濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次
高くし、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt
1に対し、透光性弾性層171d側から2/3〜4/5
程度の位置)で100%吸収する濃度となるようにして
飽和するようにする。これにより、熱線吸収層171b
での熱線の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示す
ように、熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有
し、熱線吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値を
とる放物線状に形成される。或いは熱線吸収層171b
の界面や外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフ
ッ素樹脂やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ま
しくは20〜100μmを設けることが好ましい。ま
た、透光性基体171aより低熱伝導性部材として熱の
流失を押さえることが好ましい。これにより、前記界面
での熱線の吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止
し、界面での接着層の破損や熱線吸収層171bの破損
を防止する。また、外周面側の手前(熱線吸収層171
bの厚さt1に対し、透光性基体171a側から2/3
〜4/5程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和
するようにし、特に、兼用層171Zを用いた場合に
も、外周表面層が削られても影響の無いようにする。な
お点線で示すように、飽和層を形成してもよい。要する
に、十分に内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響
はなくなる。削れの影響も生じない。また、濃度分布に
前記傾斜を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整す
ることができる。
【0163】また図7にて前述したと同様に、ロール状
の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの
円筒状の透光性基体171aの外径φとしては、15〜
60mmのものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が
強度の点で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と
熱容量との関係から、円筒状の透光性基体171aの外
径φと厚さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0164】上記の如く、図13にて説明した第3の例
の定着装置370を用いることにより、上側のハードロ
ーラと、下側の弾性の高いソフトローラとの間に、上側
の熱定着フィルム37Aの磁性体372の底面形状に倣
って、平面状のニップ部Nが形成されてトナー像の定着
が行われが、コイル373の誘導加熱による誘導発熱体
としての磁性体372の発熱と、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)の熱線による熱線吸収層
171bでの発熱とにより、省エネルギーとウォーミン
グアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可能とす
ると共に、均一で安定した温度による良好な定着性が得
られる定着装置及び画像形成装置が可能となる。特に図
12にて説明した両面画像形成装置において、省エネル
ギーとウォーミングアップ時間の短縮を図りながら、両
面画像形成における表面トナー像の高速定着を可能とす
ると共に、均一で安定した温度による良好な表面トナー
像の定着が可能となる。
【0165】実施形態4 本発明にかかわる定着装置の第4の例と、実施形態2に
て前述した画像形成装置の第2の例に該定着装置を適用
する画像形成装置の一実施形態の画像形成プロセス及び
各機構について、図14または図15、及び実施形態1
にて前述した図4ないし図8を用いて説明する。図14
は、本発明にかかわる画像形成装置の第4の例の一実施
形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図であり、図
15は、本発明にかかわる定着装置の第4の例の断面構
成図である。
【0166】図14によれば、像担持体である感光体ド
ラム10は、例えばガラスや透光性アクリル樹脂等の透
光性部材によって形成される円筒状の基体の外周に、透
光性の導電層及び有機感光層(OPC)の光導電体層を
形成したものである。
【0167】感光体ドラム10は、図示しない駆動源か
らの動力により、透光性の導電層を接地された状態で図
14の矢印で示す時計方向に回転される。
【0168】本発明では、画像露光用の露光ビームは、
その結像点である感光体ドラム10の光導電体層におい
て、光導電体層の光減衰特性(光キャリア生成)に対し
て適正なコントラストを付与できる波長の露光光量を有
していればよい。従って、本実施形態における感光体ド
ラム10の透光性の基体の光透過率は、100%である
必要はなく、露光ビームの透過時にある程度の光を吸収
するような特性を有していてもよい。要は、適切なコン
トラストを付与できればよい。透光性の基体の素材とし
ては、アクリル樹脂、特にメタクリル酸メチルエステル
モノマーを重合したものが、透光性、強度、精度、表面
性等において優れており好ましく用いられるが、その他
一般光学部材などに使用されるアクリル、フッ素、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの各種透光性樹脂が使用可能である。また、露
光光に対して透光性を有していれば、着色していてもよ
い。透光性の導電層としては、インジウム錫酸化物(I
TO)、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅
や、Au、Ag、Ni、Alなどからなる透光性を維持
した金属薄膜が用いられ、成膜法としては、真空蒸着
法、活性反応蒸着法、各種スパッタリング法、各種CV
D法、浸漬塗工法、スプレー塗布法などが利用できる。
また、光導電体層としては各種有機感光層(OPC)が
使用できる。
【0169】光導電体層の感光層としての有機感光層
は、電荷発生物質(CGM)を主成分とする電荷発生層
(CGL)と電荷輸送物質(CTM)を主成分とする電
荷輸送層(CTL)とに機能分離された二層構成の感光
層とされる。二層構成の有機感光層は、CTLが厚いた
めに有機感光層としての耐久性が高く本発明に適する。
なお有機感光層は、電荷発生物質(CGM)と電荷輸送
物質(CTM)を1つの層中に含有する単層構成とされ
てもよく、該単層構成又は前記二層構成の感光層には、
通常バインダ樹脂が含有される。
【0170】以下に説明する帯電手段としてのスコロト
ロン帯電器11、画像書込手段としての露光光学系1
2、現像手段としての現像器13は、それぞれ、イエロ
ー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色
(K)の各色毎の画像形成プロセス用として準備されて
おり、本実施形態においては、図14の矢印にて示す感
光体ドラム10の回転方向に対して、Y、M、C、Kの
順に配置される。
【0171】帯電手段としてのスコロトロン帯電器11
は像形成体である感光体ドラム10の移動方向に対して
直交する方向(図14において紙面垂直方向)に感光体
ドラム10と対峙し近接して取り付けられ、感光体ドラ
ム10の前述した有機感光層に対し所定の電位に保持さ
れた制御グリッド(符号なし)と、コロナ放電電極11
aとして、例えば鋸歯状電極を用い、トナーと同極性の
コロナ放電とによって帯電作用(本実施形態においては
マイナス帯電)を行い、感光体ドラム10に対し一様な
電位を与える。コロナ放電電極11aとしては、その他
ワイヤ電極や針状電極を用いることも可能である。
【0172】各色毎の露光光学系12は、それぞれ、像
露光光の発光素子としてのLED(発光ダイオード)を
感光体ドラム10の軸と平行に複数個アレイ状に並べた
線状の露光素子(不図示)と等倍結像素子としてのセル
フォックレンズ(不図示)とがホルダに取り付けられた
露光用ユニットとして構成される。円柱状の保持部材2
0に、各色毎の露光光学系12が取付けられて感光体ド
ラム10の基体内部に収容される。露光素子としてはそ
の他、FL(蛍光体発光)、EL(エレクトロルミネッ
センス)、PL(プラズマ放電)等の複数の発光素子を
アレイ状に並べた線状のものが用いられる。
【0173】各色毎の画像書込手段としての露光光学系
12は、感光体ドラム10上での露光位置を、スコロト
ロン帯電器11と現像器13との間で、現像器13に対
して感光体ドラム10の回転方向上流側に設けた状態
で、感光体ドラム10の内部に配置される。
【0174】露光光学系12は、別体のコンピュータ
(不図示)から送られメモリに記憶された各色の画像デ
ータに基づいて画像処理を施した後、一様に帯電した感
光体ドラム10に像露光を行い、感光体ドラム10上に
潜像を形成する。この実施形態で使用される発光素子の
発光波長は、通常Y、M、Cのトナーの透光性の高い6
80〜900nmの範囲のものが良好であるが、裏面か
ら像露光を行うことからカラートナーに透光性を十分に
有しないこれより短い波長でもよい。
【0175】各色毎の現像手段としての現像器13は、
内部にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)
若しくは黒色(K)の二成分(一成分でもよい)の現像
剤を収容し、それぞれ、例えば厚み0.5〜1mm、外
径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるい
はアルミ材で形成された現像スリーブ13aを備えてい
る。
【0176】現像領域では、現像スリーブ13aは、突
き当てコロ(不図示)により感光体ドラム10と所定の
間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保
たれ、感光体ドラム10の回転方向と最近接位置におい
て順方向に回転するようになっており、現像時、現像ス
リーブ13aに対してトナーと同極性(本実施形態にお
いてはマイナス極性)の直流電圧或いは直流電圧に交流
電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することによ
り、感光体ドラム10の露光部に対して非接触の反転現
像が行われる。この時の現像間隔精度は画像ムラを防ぐ
ために20μm程度以下が必要である。
【0177】以上のように現像器13は、スコロトロン
帯電器11による帯電と露光光学系12による像露光に
よって形成される感光体ドラム10上の静電潜像を、非
接触の状態で感光体ドラム10の帯電極性と同極性のト
ナー(本実施形態においては感光体ドラムは負帯電であ
り、トナーは負極性)により反転現像する。
【0178】画像形成のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により、感光体ドラム10が図14
の矢印で示す時計方向へ回転され、同時にYのスコロト
ロン帯電器11の帯電作用により感光体ドラム10に電
位の付与が開始される。感光体ドラム10は電位を付与
されたあと、Yの露光光学系12において第1の色信号
すなわちYの画像データに対応する電気信号による画像
書込が開始され感光体ドラム10の回転走査によってそ
の表面の感光層に原稿画像のイエロー(Y)の画像に対
応する静電潜像が形成される。この潜像はYの現像器1
3により非接触の状態で反転現像され、感光体ドラム1
0上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0179】次いで、感光体ドラム10は前記イエロー
(Y)のトナー像の上に、Mのスコロトロン帯電器11
の帯電作用により電位が付与され、Mの露光光学系12
の第2の色信号すなわちマゼンタ(M)の画像データに
対応する電気信号による画像書込が行われ、Mの現像器
13による非接触の反転現像によって前記のイエロー
(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が重
ね合わせて形成される。
【0180】同様のプロセスにより、Cのスコロトロン
帯電器11、露光光学系12及び現像器13によってさ
らに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像
が、また、Kのスコロトロン帯電器11、露光光学系1
2及び現像器13によって第4の色信号に対応する黒色
(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体
ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー
像が形成される。
【0181】このように、本実施の形態では、Y、M、
C及びKの露光光学系12による感光体ドラム10の有
機感光層に対する露光は、感光体ドラム10の内部より
透光性の基体を通して行われる。従って、第2、第3及
び第4の色信号に対応する画像の露光(画像書込)は何
れも先に形成されたトナー像により遮光されることなく
静電潜像を形成することが可能となり、好ましいが、感
光体ドラム10の外部から露光してもよい。
【0182】一方、転写材としての記録紙Pは、転写材
収納手段としての給紙カセット15より、半月形の送り
出しローラ(符号なし)により送り出され、給送ローラ
(符号なし)により給送されてタイミングローラ15b
へ搬送される。
【0183】記録紙Pは、タイミングローラ15bの駆
動によって、感光体ドラム10上に担持されたカラート
ナー像との同期がとられ、転写材帯電手段としての紙帯
電器150の帯電により搬送ベルト14Aに吸着されて
転写域へ給送される。搬送ベルト14Aにより密着搬送
された記録紙Pは、転写域でトナーと反対極性(本実施
形態においてはプラス極性)の電圧が印加される転写手
段としての転写器14cにより、感光体ドラム10の周
面上のカラートナー像が一括して記録紙Pに転写され
る。
【0184】カラートナー像が転写された記録紙Pは、
転写材除電手段としての転写材除電器14hにより除電
されて、搬送ベルト14Aから分離され、第4の例の定
着装置470へと搬送される。
【0185】第4の例の定着装置470は、カラートナ
ー像を定着するための上側のロール状の熱線定着用回転
部材としての熱線定着ローラ17aと、誘導発熱体とし
ての磁性体472を内包する下側のフィルム状回転部材
としての熱定着フィルム47Aとにより構成され、熱線
定着ローラ17aの内部中心には、光源によっては可視
光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱線を発するハロ
ゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)等が熱
線照射手段として配設される。
【0186】熱線定着ローラ17aと熱定着フィルム4
7Aとの間で形成されるニップ部Nで記録紙Pが挟持さ
れ、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のカラー
トナー像が定着され、記録紙Pが排紙ローラ18により
送られて、装置上部のトレイへ排出される。
【0187】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは、像形成体クリーニング手段としてのクリー
ニング装置19に設けられたクリーニングブレード19
aによりクリーニングされる。残留トナーを除去された
感光体ドラム10はスコロトロン帯電器11によって一
様帯電を受け、次の画像形成サイクルに入る。
【0188】図15に示すように、第4の例の定着装置
470はカラートナー像を定着するための上側のロール
状の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17a
と、下側のフィルム状回転部材としての熱定着フィルム
47Aとにより構成され、弾性を有したソフトローラと
しての熱線定着ローラ17aと、ハードローラとしての
熱定着フィルム47Aとの間で形成される、幅30mm
以下、好ましくは10mm以上の幅広いニップ部Nで、
ニップ部Nに進入されてニップ部Nを通過される記録紙
Pを挟持し、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上
のトナー像を定着する。
【0189】転写材上のトナー像を定着するための熱線
定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒
状の透光性基体171aと、該透光性基体171aの外
側(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層17
1bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラ
として構成される。透光性基体171a内部中心に、光
源によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の
熱線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述する
ようにして弾性の高いソフトローラとして構成される。
ハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)よ
り発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され
急速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成
される。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一
化ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材
やステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材や
ヒートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線
吸収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a
周面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラT
R4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの
縦方向及び横方向の温度むらが均一化される。TS1は
上側の熱線定着ローラ17aに取付けられた温度制御を
行うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度
検知手段である温度センサである。温度センサTS1と
しては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いる
ことも可能である。
【0190】また下側の熱定着フィルム47Aは、例え
ば厚さ40〜100μmの薄膜の定着フィルム171
と、誘導発熱体としての磁性体472と、磁性体472
を誘導加熱するためのコイル373とによるハードロー
ラとして構成される。TS2は下側の熱定着フィルム4
7Aの磁性体472の裏面(ニップ部Nと反対側)に取
付けられた温度制御を行うための例えば接触タイプのサ
ーミスタを用いた温度検知手段である温度センサであ
る。温度センサTS2としては接触タイプの他に、非接
触タイプのものを用いることも可能である。
【0191】定着フィルム171の熱容量は熱線定着ロ
ーラ17aに対して1/20程度となっておりウォーミ
ングアップが略ゼロのクイックスタートが可能となって
いる。磁性体472は回転する定着フィルム171の走
行ガイドとなる一方、熱線定着ローラ17aに圧接する
ようになっている。定着フィルム171は磁性体472
にルーズに勘合し、勘合し回転する熱線定着ローラ17
aの表面摩擦力により従動回転する。熱定着フィルム4
7Aは熱容量が小さいので、熱線定着ローラ17aの熱
が取られることが少ない。
【0192】磁性体472は、アルミナ、酸化鉄等の金
属基体に厚膜印刷により抵抗体とオーバコートガラスを
設けたものを用い、誘導発熱体より定着フィルム171
間の熱抵抗を下げている。
【0193】定着フィルム171の構造は、図4にて前
述したと同様に、ベース材171A、導電層171B及
び表面離型層171Cにより構成される。
【0194】ベース材171Aとしては、高温下におけ
る強度、寸法安定性に優れるポリイミド樹脂が好まし
く、厚みを40〜100μm程度と厚くすることが好ま
しい。厚みを40μm程度と厚くすることにより、強度
及び剛性を高め、定着フィルム171の回転中の寄りを
挫屈せずに端部で規制可能とする。また、100μmよ
り厚くしすぎると熱伝導が悪くなり、また、熱伝導も大
きくなるために瞬時に加熱することが困難になり、ま
た、使用する電力も増加してしまう。また、オフセット
防止のために、表面離型層171C、例えばフッ素樹脂
(PFAまたはPTFE)の層を設けることが好ましい
が、更に、定着フィルム171のベース材171Aの内
面と磁性体472表面との間の摺動により発生する摩擦
電荷の影響をなくすため導電層171Bを設け接地して
いる。また、低湿環境下での記録紙Pの後端部との剥離
帯電電荷を逃がすように、表面離型層171Cに導電フ
ィラをいれ低抵抗化してオフセットを防止している。た
だし、抵抗値が低すぎると転写電荷がリークしてオフセ
ットを生じるので、2×1010〜5×1011Ω/cm2
の抵抗値が好ましい。
【0195】上側の熱線定着ローラ17a及び下側の熱
定着フィルム47Aの温度制御は、図8にて前述したと
同様に、上側の熱線定着用回転部材としての熱線定着ロ
ーラ17aの温度を検知する温度検知手段としての温度
センサTS1による熱線定着ローラ17aの温度(T1
(℃))と、下側のフィルム状回転部材としての熱定着
フィルム47Aの磁性体472の温度を検知する温度検
知手段としての温度センサTS2による熱定着フィルム
47Aの温度(T2(℃))とを測定し、予め記憶部
(ROM、RAM)のROM内に参照テーブルとして記
憶されている、温度(検知温度)T1及び温度(検知温
度)T2に対応する参照テーブルからのハロゲンランプ
171gやキセノンランプ(不図示)及び磁性体472
を加熱っするコイル373のon−off時間が、定着
制御部を通して参照され、上側の熱線定着ローラ17a
及び下側の熱定着フィルム47Aの温度制御が行われ
る。特にウォーミングアップ時間を早くするために両方
から加熱制御するが、ウォーミングアップ後の定着の温
度制御も両方から加熱制御すると応答が早いことから、
高精度の温度制御がなされる。また特にカラートナー像
の定着の場合は、上側の熱線定着ローラ17a及び下側
の熱定着フィルム47Aの両方の温度が光沢性や色味に
影響を与えるので、両方の温度制御が必要となる。
【0196】上側の弾性の高いソフトローラと、下側の
ハードローラとの間に、下側の熱定着フィルム47Aの
磁性体472の円形の上面形状に倣って、上側を凸状と
したニップ部Nが形成されトナー像の定着が行われる。
【0197】ハロゲンランプ171gやキセノンランプ
(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発熱
と、誘導発熱体としての磁性体472の発熱とにより省
エネルギーでウォーミングアップ時間の短いクイックス
タート(急速加熱)が可能な定着装置が可能となる。
【0198】図5にて前述したと同様に、熱線定着ロー
ラ17aの構成は、図5(a)に断面を示すように、円
筒状の透光性基体171aとしては、厚さ1〜20m
m、好ましくは2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤
外線等の熱線を透過するパイレックスガラス、サファイ
ヤ(Al23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率
が(5〜20)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(0.5〜2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.
0)が主として用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を
使用した透光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10-3
/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比重
が0.8〜1.2)等も用いることが可能である。例え
ば熱線定着ローラ17aの透光性基体171aとして、
内径32mm、外径40mmで、層厚(厚さ)4mmの
パイレックスガラス(比熱が0.78J/g・K、比重
が2.32)を用いたときの透光性基体171aのA−
3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は約6
0cal/degである。また、透光性基体171aを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度や熱伝
導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の1/
2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を含めて
平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の熱
線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線或いは
遠赤外線透過性)のITO、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
分散させたもので透光性基体171aを形成してもよ
い。層中で1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.1μm以下であることが光散乱を防
ぎ、熱線吸収層171bに到達させるのに好ましい。上
記の如く、透光性基体171aはあまり熱伝導性が良く
ない。
【0199】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0200】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。またカラー画像
形成に用いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般
に低く、かつカラートナー間に吸収効率の差があること
から定着不良となったり、定着むらとなる。従って、ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられ、透光性基体171a及び透光性弾性層171
dにて吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層1
71bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの
熱線吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ま
しくは95〜100%とする。これにより、分光特性が
異なることで熱線により定着することが困難なカラート
ナーの溶融が良好に行われ、特に図14でのカラー画像
形成において、分光特性が異なることで熱線により定着
することが困難なトナー層の厚い転写材上の重ね合わせ
カラートナー像の溶融が良好に行われる。また、熱線吸
収層171bの厚さが10μm未満で薄いと、熱線吸収
層171bでの熱線の吸収による加熱速度は速いが、薄
膜による局所的な加熱による熱線吸収層171bの破損
や強度不足の原因となり、熱線吸収層171bの厚さが
500μmを越えて厚過ぎると、熱伝導不良となった
り、熱容量が大きくなり急速加熱が成しにくくなる。熱
線吸収層171bの熱線吸収率を略100%にあたる9
0〜100%、好ましくは95〜100%としたり、熱
線吸収層171bの厚さを10〜500μm、好ましく
は20〜100μmとすることにより、熱線吸収層17
1bでの局所的な発熱が防止され、均一な発熱が行われ
る。また、熱線吸収層171bに投光される熱線の波長
は0.1〜20μm、好ましくは0.3〜3μmである
ので、フィラーとして硬度や熱伝導率の調整剤が加えら
れるが、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5
以下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によ
っては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコ
ン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物
の微粒子を樹脂バインダに5〜50重量%分散させたも
ので熱線吸収層171bを形成してもよい。このように
して、熱線吸収層171bは温度がすぐに上がるように
熱容量を小さくしてあるので、熱線定着用回転部材とし
ての熱線定着ローラ17aに温度低下が生じ、定着むら
が発生するという問題を防止する。熱線吸収層171b
としては、弾性を有するシリコンゴムやフッ素ゴムに、
カーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェ
ライト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガ
ラ(Fe23)等の粉末を混入したものを用いてもよ
い。例えば熱線定着ローラ17aの熱線吸収層171b
(或いは後述する兼用層171Z)として、外径50m
mの透光性弾性層171dの表面(外周面)に、層厚
(厚さ)50μmのフッ素樹脂(比熱が2.0J/g・
K、比重が0.9)を用いたときの熱線吸収層171b
(或いは兼用層171Z)のA−3サイズ幅(297m
m)当たりでの熱容量Q3は約1.0cal/degで
ある。熱線吸収層171bとしてはニッケル電鋳ベルト
のように金属フィルム部材を用いることもできる。この
時、熱線吸収のために内側(内周面)は黒色酸化処理を
しておくことが望ましい。
【0201】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0202】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。またカラー画像形成に用
いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般に低く、
かつカラートナー間に吸収効率の差があることから定着
不良となったり、定着むらとなる。従って、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材
内で完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収
率を略100%にあたる90〜100%、好ましくは9
5〜100%とする。また、兼用層171Zでの局所的
な発熱も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用
層171Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μ
m、好ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーと
して硬度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱
線の波長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2
次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.
1μm以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含ん
だ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バイ
ンダに分散させたもので兼用層171Zを形成してもよ
い。
【0203】図6にて前述したと同様に、ロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの熱線
吸収層171bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均
一に設けると境界にある熱線吸収層171bで発熱が集
中することになり、透光性弾性層171d側へ熱が流失
しやすいので、透光性基体171aより低熱伝導性部材
を用いたり、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部
で熱を発生させることが発熱分布を分散させる観点から
好ましい。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ
(イ)で示すように、内接する透光性弾性層171d側
の界面を低濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次
高くし、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt
1に対し、透光性弾性層171d側から2/3〜4/5
程度の位置)で100%吸収する濃度となるようにして
飽和するようにする。これにより、熱線吸収層171b
での熱線の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示す
ように、熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有
し、熱線吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値を
とる放物線状に形成される。或いは熱線吸収層171b
の界面や外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフ
ッ素樹脂やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ま
しくは20〜100μmを設けることが好ましい。ま
た、透光性基体171aより低熱伝導性部材として熱の
流失を押さえることが好ましい。これにより、前記界面
での熱線の吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止
し、界面での接着層の破損や熱線吸収層171bの破損
を防止する。また、外周面側の手前(熱線吸収層171
bの厚さt1に対し、透光性基体171a側から2/3
〜4/5程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和
するようにし、特に、兼用層171Zを用いた場合に
も、外周表面層が削られても影響の無いようにする。な
お点線で示すように、飽和層を形成してもよい。要する
に、十分に内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響
はなくなる。削れの影響も生じない。また、濃度分布に
前記傾斜を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整す
ることができる。
【0204】また図7にて前述したと同様に、ロール状
の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの
円筒状の透光性基体171aの外径φとしては、15〜
60mmのものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が
強度の点で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と
熱容量との関係から、円筒状の透光性基体171aの外
径φと厚さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0205】上記の如く、図15にて説明した第4の例
の定着装置470を用いることにより、上側の弾性の高
いソフトローラと、下側のハードローラとの間に、下側
の熱定着フィルム47Aの磁性体472の円形状の上面
形状に倣って、上側を凸状としたニップ部Nが形成され
てトナー像の定着が行われが、ハロゲンランプ171g
やキセノンランプ(不図示)の熱線による熱線吸収層1
71bでの発熱と、誘導発熱体としての磁性体472の
発熱との両方の発熱により、特に下側の磁性体472の
発熱により上側の熱線定着ローラ17aの熱線吸収層1
71bを早く昇温させることができ、省エネルギーとウ
ォーミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を
可能とすると共に、均一で安定した温度による良好な定
着性が得られる画像形成装置が可能となる。特に弾性の
高い上側のソフトローラ(熱線定着ローラ17a)でト
ナー像を定着することにより、品質の高い(定着性能が
良好な)定着が行われる。
【0206】実施形態5 本発明にかかわる定着装置の第5の例と、実施形態1に
て前述した画像形成装置の第1の例に該定着装置を適用
するの画像形成装置の一実施形態の画像形成プロセス及
び各機構について、図16ないし図19、及び実施形態
1にて前述した図2、図4ないし図8を用いて説明す
る。図16は、本発明にかかわる画像形成装置の第5の
例の一実施形態を示す画像形成装置の断面構成図であ
り、図17は、本発明にかかわる定着装置の第5の例の
断面構成図であり、図18は、定着ローラ部材の層構成
と機能とを示す図であり、図19は、定着ローラ部材の
保持方法を示す図である。なお以下の第5の例の画像形
成装置の実施の形態の説明において、中間転写体により
支持搬送される転写材の、像担持体に対向する側の面を
表面、他方の面すなわち中間転写体に対向する側の面を
裏面といい、転写材の表面に転写される画像を表面画
像、転写材の裏面に転写される画像を裏面画像という。
【0207】図16において、10は像担持体である感
光体ドラム、11は各色毎の帯電手段であるスコロトロ
ン帯電器、12は各色毎の画像書込手段である露光光学
系、13は各色毎の現像手段である現像器、14aは中
間転写体である中間転写ベルト、14bは像担持体上の
トナー像を中間転写体および転写材の表面に転写する1
次転写手段である1次転写器、14gは中間転写体上の
トナー像を転写材の裏面に転写する2次転写手段である
2次転写器、150は転写材帯電手段である紙帯電器、
14hは転写材除電手段である転写材除電器、160は
爪部材である分離爪210と拍車部材である拍車162
とを有する搬送部、570は第5の例の定着装置であ
る。
【0208】像担持体である感光体ドラム10は、例え
ば、光学ガラスや透明アクリル樹脂等の透明部材によっ
て形成される円筒状の基体の外周に、透明の導電層、a
−Si層あるいは有機感光層(OPC)等の感光層を形
成したものであり、導電層を接地した状態で、不図示の
像担持体駆動モータにより図16の矢印で示す時計方向
に、例えば80〜400mm/secの線速度にて回転
される。
【0209】像担持体上にトナー像を形成するトナー像
形成手段は、帯電手段であるスコロトロン帯電器11、
画像書込手段であるレーザ露光光学系120及び現像手
段である現像器13からなり、図16の矢印にて示す感
光体ドラム10の回転方向に対して、その順に配置され
る。
【0210】帯電手段であるスコロトロン帯電器11
は、所定の電位に保持された制御グリッド(符号なし)
と例えば鋸歯状電極からなる放電電極11aとを有し、
感光体ドラム10の感光層と対峙して取付けられ、トナ
ーと同極性のコロナ放電によって帯電作用(本実施形態
においては使用するトナーの極性はマイナス極性とし、
本実施形態において帯電手段であるスコロトロン帯電器
11による帯電はマイナス帯電)を行い、感光体ドラム
10に対し一様な電位を与える。放電電極11aとして
は、その他ワイヤ電極や針状電極を用いることも可能で
ある。
【0211】画像書込手段であるレーザ露光光学系12
0は、不図示の発光素子としての半導体レーザ、該半導
体レーザから発光されるレーザ光を回転走査する回転多
面鏡120b、fθレンズ120c及び反射ミラー12
0dにより構成され、半導体レーザから発光されるレー
ザ光を回転多面鏡120bにより回転走査し、fθレン
ズ120c、反射ミラー120dを経て、回転する感光
体ドラム10上に、別体の画像読取装置によって読み取
られメモリに記憶された画像データに従って感光体ドラ
ム10の感光層に画像書込し、感光体ドラム10上に静
電潜像を形成する。なお画像データは、表面画像に対応
した画像データと裏面画像に対応した画像データとが互
いに鏡像になる様に、データを変更する必要がある。
【0212】現像手段である現像器13は、感光体ドラ
ム10の周面に対し所定の間隙を保ち、現像位置におい
て感光体ドラム10の回転方向と順方向に回転する例え
ば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの円筒状の
非磁性のステンレスあるいはアルミ材で形成された現像
スリーブ13aを有し、現像器13の内部には、黒色
(K)の一成分或いは二成分現像剤を収容している。現
像器13の現像スリーブ13aは不図示の突き当てコロ
により感光体ドラム10と所定の間隙、例えば100〜
500μmをあけ、層厚80〜300μmの現像スリー
ブ13a上の現像剤が感光体ドラム10と非接触に保た
れており、現像スリーブ13aに対して直流電圧と交流
電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、非
接触の反転現像を行い、感光体ドラム10上にトナー像
を形成する。
【0213】中間転写体である中間転写ベルト14a
は、好ましくは体積抵抗率が109Ω・cm以上、10
12Ω・cm未満の無端ベルトであり、例えば変性ポリイ
ミド、熱硬化ポリイミド、エチレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロ
イ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散
した厚さ0.1〜1.0mmの半導電性フィルム基体の
外側に、好ましくはトナーフィルミング防止層として厚
さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った2層構成
のシームレスベルトである。中間転写ベルト14aの基
体としては、この他に、シリコンゴム或いはウレタンゴ
ム等に導電材料を分散した厚さ0.5〜2.0mmの半
導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写ベ
ルト14aは、それぞれローラ部材である駆動ローラ1
4dと2次転写対向ローラ14jと従動ローラ14eと
テンションローラ14iとに張架され、図16の矢印で
示す反時計方向に回転される。従動ローラ14e、2次
転写対向ローラ14j及び駆動ローラ14dは固定位置
で回転され、テンションローラ14iは不図示のバネ等
の弾力により移動可能に支持されて回転される。不図示
の中間転写体駆動モータよりの駆動をうけて駆動ローラ
14dが回転され、中間転写ベルト14aを駆動して回
転させる。中間転写ベルト14aの回転により2次転写
対向ローラ14j、従動ローラ14e及びテンションロ
ーラ14iが従動して回転される。回転中の中間転写ベ
ルト14aのベルト弛みがテンションローラ14iによ
り緊張される。中間転写ベルト14aが従動ローラ14
eに張架される位置に転写材である記録紙Pが供給さ
れ、中間転写ベルト14aによって支持搬送される。駆
動ローラ14dに張架される中間転写ベルト14aの定
着装置570側の端部の曲率部KTにおいて中間転写ベ
ルト14aから記録紙Pが分離される。
【0214】像担持体上のトナー像を中間転写体または
転写材の表面に転写する1次転写手段としての1次転写
器14bは、中間転写ベルト14aを挟んで感光体ドラ
ム10に対向して設けられるコロナ放電器であり、中間
転写ベルト14aと感光体ドラム10との間に転写域
(符号なし)を形成する。1次転写器14bにはトナー
と反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流
電圧が印加され、感光体ドラム10上のトナー像を中間
転写ベルト14a上または転写材である記録紙Pの表面
に転写する。1次転写器14bとしてはコロナ放電器の
他に転写ローラや転写ブレードを用いることも可能であ
る。
【0215】中間転写体上のトナー像を転写材の裏面に
再転写する2次転写手段である2次転写器14gはコロ
ナ放電器により構成され、1次転写器14bと駆動ロー
ラ14dとの間で、中間転写ベルト14aを挟んで接地
された2次転写対向ローラ14jに対向して設けられ、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の直流電圧が印加され、中間転写ベルト14a上のトナ
ー像を記録紙Pの裏面に転写する。
【0216】転写材帯電手段である紙帯電器150は好
ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベルト
14aを挟んで接地された従動ローラ14eと対向して
設けられ、トナーと同極性(本実施形態においてはマイ
ナス極性)の直流電圧が印加され、記録紙Pを帯電して
中間転写ベルト14aに吸着させる。紙帯電器150と
してはコロナ放電器の他に、鋸歯状電極や中間転写ベル
ト14aに当接および当接解除可能な紙帯電ブラシや紙
帯電ローラ等を用いることも可能である。
【0217】転写材除電手段である転写材除電器14h
は好ましくはコロナ放電器により構成され、中間転写ベ
ルト14aの定着装置570側端部で記録紙Pを中間転
写ベルト14aから分離する位置の近傍に、中間転写ベ
ルト14aを挟んで接地された駆動ローラ14dに対向
して設けられ、2次転写器14gにより荷電された帯電
量(Q/M)の高い表面トナー像の分離時の剥離放電防
止のための直流電圧を重畳した交流電圧が印加され、中
間転写ベルト14aにより搬送される記録紙Pを除電し
て中間転写ベルト14aから分離する。
【0218】搬送部160は、転写材分離補助手段であ
る分離爪210と拍車部材である拍車162とを有し、
中間転写ベルト14aの定着装置570側の端部の曲率
部KTと第5の例の定着装置570との間に設けられ
る。搬送部160は、定着装置570からの熱により、
中間転写ベルト14aが変形したり、中間転写ベルト1
4aに担持されるトナー像が融着気味になって転写しに
くくなったり、中間転写ベルト14a上にトナーが固着
したりすることを防止する。
【0219】転写材分離補助手段である分離爪210は
中間転写ベルト14aの曲率部KTに近接し、中間転写
ベルト14aと所定の間隔、好ましくは0.1〜2.0
mmを空けて支持軸221に固定されて設けられ、記録
紙Pが中間転写ベルト14aより分離される際に、中間
転写ベルト14a方向へ曲がって搬送されようとする記
録紙Pの先端部を当接させ、記録紙Pの曲率分離を補助
する。
【0220】拍車部材である拍車162は、周面に複数
の突起部162aを有し、回転支持軸165を中心とし
て回転自在に設けられる。拍車162は、記録紙Pの裏
面側をガイドして記録紙Pを搬送し、両面にトナー像を
有する記録紙Pの裏面トナー像の乱れを防止するととも
に、記録紙Pの定着装置570への進入方向を一定にし
ながら記録紙Pを安定して定着装置570へと搬送す
る。
【0221】分離爪210と拍車162とは、中間転写
ベルト14a上の転写材搬送面或いはその延長面に対
し、感光体ドラム10の有る側と反対側に配設される。
転写材搬送面或いはその延長面の両側に拍車部材である
拍車162を設けることも可能である。
【0222】第5の例の定着装置570は、上側(表面
側)の表面画像のトナー像を定着するための薄板状の薄
肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材としての薄板
弾性定着ローラ47aと、下側(裏面側)の裏面画像の
トナー像を定着するための下側のロール状の熱線定着用
回転部材としての熱線定着ローラ17aとにより構成さ
れ、不図示の定着用の駆動モータにより熱線定着ローラ
17aが駆動回転され、薄板弾性定着ローラ47aが従
動回転される。薄板弾性定着ローラ47a及び熱線定着
ローラ17aの内部中心には、光源によっては可視光を
含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱線を発するハロゲン
ランプ171gやキセノンランプ(不図示)等が熱線照
射手段として配設される。薄板弾性定着ローラ47aと
熱線定着ローラ17aとの間で形成されるニップ部Nで
記録紙Pが挟持され、熱と圧力とを加えることにより記
録紙P上のトナー像が定着される。
【0223】次に画像形成プロセスを説明する。
【0224】画像記録のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により感光体ドラム10が図1の矢
印で示す時計方向へ回転され、同時にスコロトロン帯電
器11の帯電作用により感光体ドラム10に電位の付与
が開始される。
【0225】感光体ドラム10は電位を付与されたあ
と、レーザ露光光学系120によって画像データに対応
する電気信号による画像書込が開始され、感光体ドラム
10の表面に原稿画像の画像に対応する静電潜像が形成
される。
【0226】上記静電潜像は現像器13により非接触の
状態で反転現像され、感光体ドラム10上にトナー像が
形成される(トナー像形成手段)。
【0227】上記の画像形成プロセスによって像担持体
である感光体ドラム10上に形成された裏面画像となる
トナー像は、転写域(符号なし)において、1次転写器
14bによって、中間転写体である中間転写ベルト14
a上に転写される(図2(A))。
【0228】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは感光体ドラムAC除電器16により除電を受
けた後、像担持体クリーニング手段であるクリーニング
装置19にいたり、感光体ドラム10に当接したゴム材
から成るクリーニングブレード19aによってクリーニ
ングされ、スクリュウ19bによって不図示の排トナー
容器に回収される。
【0229】以上のようにして中間転写ベルト14a上
に裏面画像となるトナー像が形成された後、感光体ドラ
ム10上には上記の画像形成プロセスと同様にして、引
続き表面画像となるトナー像が形成される(図2
(B))。この際、感光体ドラム10上に形成される表
面画像は、前記感光体ドラム10上に形成した裏面画像
に対して鏡像となるように画像データが変更される。
【0230】感光体ドラム10上への表面画像形成にと
もなって転写材である記録紙Pが転写材収納手段である
給紙カセット15より、送り出しローラ15aにより送
り出され、転写材給送手段としてのタイミングローラ1
5bへ搬送され、タイミングローラ15bの駆動によっ
て、感光体ドラム10上に形成される表面画像のトナー
像と、中間転写ベルト14aに担持されている裏面画像
のトナー像との同期がとられて転写域(符号なし)へ給
送される。この際、給送される記録紙Pは、記録紙Pの
表面側に設けられる転写材帯電手段である紙帯電器15
0によりトナーと同極性に帯電され、中間転写ベルト1
4aに吸着されて転写域(符号なし)へ搬送される。ト
ナーと同極性に紙帯電を行うことにより、中間転写ベル
ト14a上のトナー像や感光体ドラム10上のトナー像
と引き合うことを防止して、トナー像の乱れを防止して
いる。
【0231】転写域(符号なし)ではトナーと反対極性
(本実施形態においてはプラス極性)の電圧が印加され
る1次転写器14bによって感光体ドラム10上の表面
画像が記録紙Pの表面に転写される。このとき、中間転
写ベルト14a上の裏面画像は記録紙Pに転写されない
で中間転写ベルト14a上に存在する。
【0232】表面にトナー像が転写された記録紙Pは、
トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)
の電圧が印加される2次転写器14gへと搬送され、2
次転写器14gにより中間転写ベルト14aの周面上の
裏面画像が記録紙Pの裏面に再転写される(図2
(C))。
【0233】両面にトナー像が形成された記録紙Pは、
中間転写ベルト14aの曲率部KTの曲率と、中間転写
ベルト14aの端部に設けられる転写材除電手段として
の転写材除電器14hによる除電作用と、中間転写ベル
ト14aと所定の間隔を空けて搬送部160に設けられ
る分離爪210とにより、中間転写ベルト14aから分
離され、搬送部160に設けられた拍車162を通して
定着装置570へと搬送され、薄板弾性定着ローラ47
aと熱線定着ローラ17aとの間のニップ部N間を搬送
され、ニップ部Nで熱と圧力とをくわえられることによ
り記録紙P上のトナー像が定着される。両面画像記録が
なされた記録紙Pは表裏を反転されて送られ、排紙ロー
ラ18により装置外部のトレイへ排出される。
【0234】転写後の中間転写ベルト14aの周面上に
残ったトナーは、中間転写ベルト14aを挟んで従動ロ
ーラ14eに対向して設けられ、支軸142を回転支点
として中間転写ベルト14aに当接及び当接解除可能な
中間転写体クリーニングブレード141を有する中間転
写体クリーニング手段である中間転写体クリーニング装
置140によりクリーニングされる。
【0235】また、転写後の感光体ドラム10の周面上
に残ったトナーは、感光体ドラムAC除電器16により
除電を受けた後、クリーニング装置19によりクリーニ
ングされて、次の画像形成サイクルにはいる。
【0236】図17によれば、第5の例の定着装置57
0は、上側(表面側)の表面画像のトナー像を定着する
ための定着ローラ部材としての薄肉の円筒状弾性体から
なる薄板弾性定着ローラ47aと、下側(裏面側)の裏
面画像のトナー像を定着するための下側のロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aとによ
り構成され、薄肉の円筒状弾性体からなり弾性を有する
薄板弾性定着ローラ47aと弾性を有するソフトローラ
としての熱線定着ローラ17aとの間で形成される、幅
30mm以下、好ましくは10mm以上の幅広いニップ
部Nで、ニップ部Nに進入されてニップ部Nを通過され
る記録紙Pを挟持し、熱と圧力とを加えることにより記
録紙P上のトナー像を定着する。後段において詳述する
ように、薄板弾性定着ローラ47aの両端部をリング状
の樹脂軸受け471jにて保持する。
【0237】表面画像のトナー像を定着する薄板状の定
着ローラ部材としての薄板弾性定着ローラ47aは、図
18に示すように、バネ性を有する薄肉の円筒状弾性体
としての薄板弾性ローラ471aと、該薄板弾性ローラ
471aの外側(外周面)にゴム層471bとによる層
構成の弾性を有するローラとされる。薄板弾性ローラ4
71aの外側(外周面)に設けられるゴム層471bと
しては、層厚0.5〜3mm程度が好ましく、ゴム層4
71bを設けることにより、定着むらの発生が少なくな
る。
【0238】薄板弾性ローラ471aは、厚さ(肉厚)
t2(mm)が0.15〜0.8mm程度の例えばステ
ンレスやリン青銅等を用いたバネ性を有する金属部材に
より形成され、バネ材として使用可能な疲れ限界を有す
るバネ性の金属部材を使用することによって、薄板弾性
ローラ471aが定着装置570(或いは実施形態6に
て後述する定着装置670)に適用される場合での、円
筒状弾性体としての薄板弾性ローラ471aの弾性変形
による疲労破壊の発生が防げる。弾性変形による疲労破
壊の発生を防止するのに、金属部材の疲れ限度としては
14kP/mm2以上とすることが好ましいことが実験
的に確認された。
【0239】また、前述した薄板弾性ローラ471aの
肉厚t2(mm)に対して、薄板弾性ローラ471aの
外径をφ2(mm)とするとき、 φ2/70>t2>φ2/300 とすることが、薄板弾性ローラ471aが定着装置57
0(或いは実施形態6にて後述する定着装置670)に
適用される場合において好ましく、これにより、薄板弾
性ローラ471aの変形や破損がなくニップ部Nの幅
(ニップ幅)を10〜30mmと広くすることが可能と
なる。t2≧φ2/70では、薄板弾性ローラ471a
の厚さが厚すぎて、定着装置570(或いは実施形態6
にて後述する定着装置670)に適用される場合楕円状
に変形せず、ニップ部Nの幅が広くならない。t2≦φ
2/300では、薄板弾性ローラ471aの厚さが薄す
ぎて、定着装置570(或いは実施形態6にて後述する
定着装置670)に適用される場合に強度が低すぎ押圧
力が不足し、定着むらとなる。
【0240】また図19に示すように、バネ性を有する
薄肉の円筒状弾性体である薄板弾性ローラ471aを用
いた定着ローラ部材である薄板弾性定着ローラ47aの
両端部に、例えばフッ素樹脂等の断熱性を有する樹脂部
材を用いたリング状の軸受部材としての樹脂軸受け47
1jを嵌込み、薄板弾性定着ローラ47aの両端を薄板
弾性定着ローラ47aの外径よりも大きな内径を有する
軸受部材としての樹脂軸受け471jで保持する。軸受
部材としての樹脂軸受け471jに嵌入されるベアリン
グB5により両端の樹脂軸受け471jと一体とされる
薄板弾性定着ローラ47aが回転可能とされる。この
際、ベアリングB5にて直接薄板弾性定着ローラ47a
を保持することも可能である。また下側の熱線定着ロー
ラ17aには、熱線定着ローラ17aの有する軸部17
1fの一方の端部に歯車G12が固定して設けられ、定
着駆動モータM1により駆動回転される歯車G22が歯
車G12と繋合し、定着駆動モータM1の駆動により熱
線定着ローラ17aが回転駆動され、熱線定着ローラ1
7aに押圧される薄板弾性定着ローラ47aが従動回転
される。従動回転により、薄板弾性定着ローラ47aの
回転が均一化され、定着むらが防止される。また、図1
9に斜線で示す前述した薄板弾性定着ローラ47aのゴ
ム層471bは、両端部の樹脂軸受け471jの内側に
設けることが好ましく、これにより、薄板弾性定着ロー
ラ47aが回転される際の、ゴム層471bの樹脂軸受
け471jによる削れが防止される。
【0241】また図17に示すように、上側の薄板弾性
定着ローラ47aには温度制御を行うための、例えば接
触タイプのサーミスタを用いた温度検知手段である温度
センサTS3が取付けられる。温度センサTS3として
は接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いること
も可能である。
【0242】裏面のトナー像を定着するための熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒状の
透光性基体171aと、該透光性基体171aの外側
(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層171
bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラと
して構成される。透光性基体171a内部中心に、光源
によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の熱
線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171g
やキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着用
回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述するよ
うにして弾性の高いソフトローラとして構成される。ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され急
速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成さ
れる。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一化
ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材や
ステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材やヒ
ートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線吸
収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a周
面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラTR
4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの縦
方向及び横方向の温度むらが均一化される。TS1は下
側の熱線定着ローラ17aに取付けられた温度制御を行
うための例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度検
知手段である温度センサである。温度センサTS1とし
ては接触タイプの他に、非接触タイプのものを用いるこ
とも可能である。
【0243】上側の薄板弾性定着ローラ47a及び下側
の熱線定着ローラ17aの温度制御は、図8にて前述し
たと同様に、上側の定着ローラ部材としての薄板弾性定
着ローラ47aの温度を検知する温度検知手段としての
温度センサTS3による薄板弾性定着ローラ47aの温
度(T3(℃))と、下側の熱線定着用回転部材として
の熱線定着ローラ17aの温度を検知する温度検知手段
としての温度センサTS1による熱線定着ローラ17a
の温度(T1(℃))とを測定し、予め記憶部(RO
M、RAM)のROM内に参照テーブルとして記憶され
ている、温度(検知温度)T3及び温度(検知温度)T
1に対応する参照テーブルからの薄板弾性定着ローラ4
7a及び熱線定着ローラ17aを加熱するそれぞれのハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)のo
n−off時間が、定着制御部を通して参照され、上側
の薄板弾性定着ローラ47a及び下側の熱線定着ローラ
17aの温度制御が行われる。特に両面定着では、上側
の薄板弾性定着ローラ47a及び下側の熱線定着ローラ
17aの両方の温度が定着に影響を与えるので、上側の
薄板弾性定着ローラ47a及び下側の熱線定着ローラ1
7aの両方の温度制御が必要となる。
【0244】上側の弾性を有するローラと、下側の弾性
の高いソフトローラとの間に、平面状のニップ部Nが形
成されトナー像の定着が行われる。
【0245】定着ローラ部材をバネ性を有する薄肉の薄
板弾性ローラ471aとすると共に、熱線定着ローラ1
7aの押圧力を薄板弾性定着ローラ47aの薄板弾性ロ
ーラ471aの弾性力にて受ける。これにより、薄板弾
性ローラ471aが塑性変形なく楕円状に広がり、平面
状に近い薄板弾性ローラ471aの面にて熱線定着ロー
ラ17aのソフトな透光性弾性層171dを押圧し、平
面状の幅広いニップ部Nが形成される。幅広いニップ部
Nによりトナー像の良好な定着が行われる。
【0246】上側のハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)の熱線による円筒状弾性体としての薄
板弾性ローラ471aの発熱と、下側のハロゲンランプ
171gやキセノンランプ(不図示)の熱線による熱線
吸収層171bでの発熱との両方の発熱により、両面時
の下側の熱線定着ローラ17aの加熱のために瞬時加熱
は困難であるが、省エネルギーでウォーミングアップ時
間の短いクイックスタート(急速加熱)が可能な定着装
置が可能となる。
【0247】図5にて前述したと同様に、熱線定着ロー
ラ17aの構成は、図5(a)に断面を示すように、円
筒状の透光性基体171aとしては、厚さ1〜20m
m、好ましくは2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤
外線等の熱線を透過するパイレックスガラス、サファイ
ヤ(Al23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率
が(5〜20)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(0.5〜2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.
0)が主として用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を
使用した透光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10-3
/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比重
が0.8〜1.2)等も用いることが可能である。例え
ば熱線定着ローラ17aの透光性基体171aとして、
内径32mm、外径40mmで、層厚(厚さ)4mmの
パイレックスガラス(比熱が0.78J/g・K、比重
が2.32)を用いたときの透光性基体171aのA−
3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は約6
0cal/degである。また、透光性基体171aを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度や熱伝
導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の1/
2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を含めて
平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の熱
線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線或いは
遠赤外線透過性)のITO、酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
分散させたもので透光性基体171aを形成してもよ
い。層中で1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.1μm以下であることが光散乱を防
ぎ、熱線吸収層171bに到達させるのに好ましい。上
記の如く、透光性基体171aはあまり熱伝導性が良く
ない。
【0248】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0249】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。従って、ハロゲ
ンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せ
られ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dに
て吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透
光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層171
bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。熱線吸収層171bの厚さが
10μm未満で薄いと、熱線吸収層171bでの熱線の
吸収による加熱速度は速いが、薄膜による局所的な加熱
による熱線吸収層171bの破損や強度不足の原因とな
り、熱線吸収層171bの厚さが500μmを越えて厚
過ぎると、熱伝導不良となったり、熱容量が大きくなり
急速加熱が成しにくくなる。熱線吸収層171bの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%としたり、熱線吸収層171bの厚さ
を10〜500μm、好ましくは20〜100μmとす
ることにより、熱線吸収層171bでの局所的な発熱が
防止され、均一な発熱が行われる。また、熱線吸収層1
71bに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好
ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬
度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波
長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子
を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm
以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外
線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに
5〜50重量%分散させたもので熱線吸収層171bを
形成してもよい。このようにして、熱線吸収層171b
は温度がすぐに上がるように熱容量を小さくしてあるの
で、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17a
に温度低下が生じ、定着むらが発生するという問題を防
止する。熱線吸収層171bとしては、弾性を有するシ
リコンゴムやフッ素ゴムに、カーボンブラック、黒鉛、
鉄黒(Fe34)や各種フェライト及びその化合物、酸
化銅、酸化コバルト、ベンガラ(Fe23)等の粉末を
混入したものを用いてもよい。例えば熱線定着ローラ1
7aの熱線吸収層171b(或いは後述する兼用層17
1Z)として、外径50mmの透光性弾性層171dの
表面(外周面)に、層厚(厚さ)50μmのフッ素樹脂
(比熱が2.0J/g・K、比重が0.9)を用いたと
きの熱線吸収層171b(或いは兼用層171Z)のA
−3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q3は約
1.0cal/degである。熱線吸収層171bとし
てはニッケル電鋳ベルトのように金属フィルム部材を用
いることもできる。この時、熱線吸収のために内側(内
周面)は黒色酸化処理をしておくことが望ましい。
【0250】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0251】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。従って、ハロゲンランプ
171gやキセノンランプ(不図示)より発せられ、透
光性基体171a及び透光性弾性層171dにて吸収さ
れた残りの熱線で、透光性基体171a及び透光性弾性
層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材内で完
全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収率を略
100%にあたる90〜100%、好ましくは95〜1
00%とする。また、兼用層171Zでの局所的な発熱
も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用層17
1Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μm、好ま
しくは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度
や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長
の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を
含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以
下の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線
或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化アルミニウ
ム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウム、炭酸
カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バインダに分
散させたもので兼用層171Zを形成してもよい。
【0252】図6にて前述したと同様に、ロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの熱線
吸収層171bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均
一に設けると境界にある熱線吸収層171bで発熱が集
中することになり、透光性弾性層171d側へ熱が流失
しやすいので、透光性基体171aより低熱伝導性部材
を用いたり、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部
で熱を発生させることが発熱分布を分散させる観点から
好ましい。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ
(イ)で示すように、内接する透光性弾性層171d側
の界面を低濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次
高くし、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt
1に対し、透光性弾性層171d側から2/3〜4/5
程度の位置)で100%吸収する濃度となるようにして
飽和するようにする。これにより、熱線吸収層171b
での熱線の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示す
ように、熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有
し、熱線吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値を
とる放物線状に形成される。或いは熱線吸収層171b
の界面や外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフ
ッ素樹脂やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ま
しくは20〜100μmを設けることが好ましい。ま
た、透光性基体171aより低熱伝導性部材として熱の
流失を押さえることが好ましい。これにより、前記界面
での熱線の吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止
し、界面での接着層の破損や熱線吸収層171bの破損
を防止する。また、外周面側の手前(熱線吸収層171
bの厚さt1に対し、透光性基体171a側から2/3
〜4/5程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和
するようにし、特に、兼用層171Zを用いた場合に
も、外周表面層が削られても影響の無いようにする。な
お点線で示すように、飽和層を形成してもよい。要する
に、十分に内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響
はなくなる。削れの影響も生じない。また、濃度分布に
前記傾斜を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整す
ることができる。
【0253】また図7にて前述したと同様に、ロール状
の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの
円筒状の透光性基体171aの外径φとしては、15〜
60mmのものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が
強度の点で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と
熱容量との関係から、円筒状の透光性基体171aの外
径φと厚さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0254】上記の如く、図17にて説明した第5の例
の定着装置570を用いることにより、上側の弾性を有
するローラと、下側の弾性の高いソフトローラとの間
に、平面状の幅広いニップ部Nが形成されてトナー像の
定着が行われが、上側のハロゲンランプ171gやキセ
ノンランプ(不図示)の熱線による薄板弾性ローラ47
1aの発熱と、ハロゲンランプ171gやキセノンラン
プ(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発熱
とにより、省エネルギーとウォーミングアップ時間の短
縮を図りながら、高速定着を可能とすると共に、均一で
安定した温度による良好な定着性が得られる定着装置及
び画像形成装置が可能となる。特に図16にて説明した
両面画像形成装置において、省エネルギーとウォーミン
グアップ時間の短縮を図りながら、両面画像形成におけ
る表面トナー像の高速定着を可能とすると共に、均一で
安定した温度による良好な表面トナー像の定着が可能と
なる。
【0255】実施形態6 本発明にかかわる定着装置の第6の例と、実施形態2に
て前述した画像形成装置の第2の例に該定着装置を適用
する画像形成装置の一実施形態の画像形成プロセス及び
各機構について、図20または図21、及び実施形態1
にて前述した図4ないし図8、実施形態5にて前述した
図18を用いて説明する。図20は、本発明にかかわる
画像形成装置の第6の例の一実施形態を示すカラー画像
形成装置の断面構成図であり、図21は、本発明にかか
わる定着装置の第6の例の断面構成図である。
【0256】図20によれば、像担持体である感光体ド
ラム10は、例えばガラスや透光性アクリル樹脂等の透
光性部材によって形成される円筒状の基体の外周に、透
光性の導電層及び有機感光層(OPC)の光導電体層を
形成したものである。
【0257】感光体ドラム10は、図示しない駆動源か
らの動力により、透光性の導電層を接地された状態で図
20の矢印で示す時計方向に回転される。
【0258】本発明では、画像露光用の露光ビームは、
その結像点である感光体ドラム10の光導電体層におい
て、光導電体層の光減衰特性(光キャリア生成)に対し
て適正なコントラストを付与できる波長の露光光量を有
していればよい。従って、本実施形態における感光体ド
ラム10の透光性の基体の光透過率は、100%である
必要はなく、露光ビームの透過時にある程度の光を吸収
するような特性を有していてもよい。要は、適切なコン
トラストを付与できればよい。透光性の基体の素材とし
ては、アクリル樹脂、特にメタクリル酸メチルエステル
モノマーを重合したものが、透光性、強度、精度、表面
性等において優れており好ましく用いられるが、その他
一般光学部材などに使用されるアクリル、フッ素、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ートなどの各種透光性樹脂が使用可能である。また、露
光光に対して透光性を有していれば、着色していてもよ
い。透光性の導電層としては、インジウム錫酸化物(I
TO)、酸化錫、酸化鉛、酸化インジウム、ヨウ化銅
や、Au、Ag、Ni、Alなどからなる透光性を維持
した金属薄膜が用いられ、成膜法としては、真空蒸着
法、活性反応蒸着法、各種スパッタリング法、各種CV
D法、浸漬塗工法、スプレー塗布法などが利用できる。
また、光導電体層としては各種有機感光層(OPC)が
使用できる。
【0259】光導電体層の感光層としての有機感光層
は、電荷発生物質(CGM)を主成分とする電荷発生層
(CGL)と電荷輸送物質(CTM)を主成分とする電
荷輸送層(CTL)とに機能分離された二層構成の感光
層とされる。二層構成の有機感光層は、CTLが厚いた
めに有機感光層としての耐久性が高く本発明に適する。
なお有機感光層は、電荷発生物質(CGM)と電荷輸送
物質(CTM)を1つの層中に含有する単層構成とされ
てもよく、該単層構成又は前記二層構成の感光層には、
通常バインダ樹脂が含有される。
【0260】以下に説明する帯電手段としてのスコロト
ロン帯電器11、画像書込手段としての露光光学系1
2、現像手段としての現像器13は、それぞれ、イエロ
ー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色
(K)の各色毎の画像形成プロセス用として準備されて
おり、本実施形態においては、図20の矢印にて示す感
光体ドラム10の回転方向に対して、Y、M、C、Kの
順に配置される。
【0261】帯電手段としてのスコロトロン帯電器11
は像形成体である感光体ドラム10の移動方向に対して
直交する方向(図20において紙面垂直方向)に感光体
ドラム10と対峙し近接して取り付けられ、感光体ドラ
ム10の前述した有機感光層に対し所定の電位に保持さ
れた制御グリッド(符号なし)と、コロナ放電電極11
aとして、例えば鋸歯状電極を用い、トナーと同極性の
コロナ放電とによって帯電作用(本実施形態においては
マイナス帯電)を行い、感光体ドラム10に対し一様な
電位を与える。コロナ放電電極11aとしては、その他
ワイヤ電極や針状電極を用いることも可能である。
【0262】各色毎の露光光学系12は、それぞれ、像
露光光の発光素子としてのLED(発光ダイオード)を
感光体ドラム10の軸と平行に複数個アレイ状に並べた
線状の露光素子(不図示)と等倍結像素子としてのセル
フォックレンズ(不図示)とがホルダに取り付けられた
露光用ユニットとして構成される。円柱状の保持部材2
0に、各色毎の露光光学系12が取付けられて感光体ド
ラム10の基体内部に収容される。露光素子としてはそ
の他、FL(蛍光体発光)、EL(エレクトロルミネッ
センス)、PL(プラズマ放電)等の複数の発光素子を
アレイ状に並べた線状のものが用いられる。
【0263】各色毎の画像書込手段としての露光光学系
12は、感光体ドラム10上での露光位置を、スコロト
ロン帯電器11と現像器13との間で、現像器13に対
して感光体ドラム10の回転方向上流側に設けた状態
で、感光体ドラム10の内部に配置される。
【0264】露光光学系12は、別体のコンピュータ
(不図示)から送られメモリに記憶された各色の画像デ
ータに基づいて画像処理を施した後、一様に帯電した感
光体ドラム10に像露光を行い、感光体ドラム10上に
潜像を形成する。この実施形態で使用される発光素子の
発光波長は、通常Y、M、Cのトナーの透光性の高い6
80〜900nmの範囲のものが良好であるが、裏面か
ら像露光を行うことからカラートナーに透光性を十分に
有しないこれより短い波長でもよい。
【0265】各色毎の現像手段としての現像器13は、
内部にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)
若しくは黒色(K)の二成分(一成分でもよい)の現像
剤を収容し、それぞれ、例えば厚み0.5〜1mm、外
径15〜25mmの円筒状の非磁性のステンレスあるい
はアルミ材で形成された現像スリーブ13aを備えてい
る。
【0266】現像領域では、現像スリーブ13aは、突
き当てコロ(不図示)により感光体ドラム10と所定の
間隙、例えば100〜1000μmをあけて非接触に保
たれ、感光体ドラム10の回転方向と最近接位置におい
て順方向に回転するようになっており、現像時、現像ス
リーブ13aに対してトナーと同極性(本実施形態にお
いてはマイナス極性)の直流電圧或いは直流電圧に交流
電圧を重畳する現像バイアス電圧を印加することによ
り、感光体ドラム10の露光部に対して非接触の反転現
像が行われる。この時の現像間隔精度は画像ムラを防ぐ
ために20μm程度以下が必要である。
【0267】以上のように現像器13は、スコロトロン
帯電器11による帯電と露光光学系12による像露光に
よって形成される感光体ドラム10上の静電潜像を、非
接触の状態で感光体ドラム10の帯電極性と同極性のト
ナー(本実施形態においては感光体ドラムは負帯電であ
り、トナーは負極性)により反転現像する。
【0268】画像形成のスタートにより不図示の像担持
体駆動モータの始動により、感光体ドラム10が図20
の矢印で示す時計方向へ回転され、同時にYのスコロト
ロン帯電器11の帯電作用により感光体ドラム10に電
位の付与が開始される。感光体ドラム10は電位を付与
されたあと、Yの露光光学系12において第1の色信号
すなわちYの画像データに対応する電気信号による画像
書込が開始され感光体ドラム10の回転走査によってそ
の表面の感光層に原稿画像のイエロー(Y)の画像に対
応する静電潜像が形成される。この潜像はYの現像器1
3により非接触の状態で反転現像され、感光体ドラム1
0上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。
【0269】次いで、感光体ドラム10は前記イエロー
(Y)のトナー像の上に、Mのスコロトロン帯電器11
の帯電作用により電位が付与され、Mの露光光学系12
の第2の色信号すなわちマゼンタ(M)の画像データに
対応する電気信号による画像書込が行われ、Mの現像器
13による非接触の反転現像によって前記のイエロー
(Y)のトナー像の上にマゼンタ(M)のトナー像が重
ね合わせて形成される。
【0270】同様のプロセスにより、Cのスコロトロン
帯電器11、露光光学系12及び現像器13によってさ
らに第3の色信号に対応するシアン(C)のトナー像
が、また、Kのスコロトロン帯電器11、露光光学系1
2及び現像器13によって第4の色信号に対応する黒色
(K)のトナー像が順次重ね合わせて形成され、感光体
ドラム10の一回転以内にその周面上にカラーのトナー
像が形成される。
【0271】このように、本実施の形態では、Y、M、
C及びKの露光光学系12による感光体ドラム10の有
機感光層に対する露光は、感光体ドラム10の内部より
透光性の基体を通して行われる。従って、第2、第3及
び第4の色信号に対応する画像の露光(画像書込)は何
れも先に形成されたトナー像により遮光されることなく
静電潜像を形成することが可能となり、好ましいが、感
光体ドラム10の外部から露光してもよい。
【0272】一方、転写材としての記録紙Pは、転写材
収納手段としての給紙カセット15より、半月形の送り
出しローラ(符号なし)により送り出され、給送ローラ
(符号なし)により給送されてタイミングローラ15b
へ搬送される。
【0273】記録紙Pは、タイミングローラ15bの駆
動によって、感光体ドラム10上に担持されたカラート
ナー像との同期がとられ、転写材帯電手段としての紙帯
電器150の帯電により搬送ベルト14Aに吸着されて
転写域へ給送される。搬送ベルト14Aにより密着搬送
された記録紙Pは、転写域でトナーと反対極性(本実施
形態においてはプラス極性)の電圧が印加される転写手
段としての転写器14cにより、感光体ドラム10の周
面上のカラートナー像が一括して記録紙Pに転写され
る。
【0274】カラートナー像が転写された記録紙Pは、
転写材除電手段としての転写材除電器14hにより除電
されて、搬送ベルト14Aから分離され、第6の例の定
着装置670へと搬送される。
【0275】第6の例の定着装置670は、カラートナ
ー像を定着するための上側のロール状の熱線定着用回転
部材としての熱線定着ローラ17aと、下側の薄板状の
薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材としての薄
板弾性定着ローラ47aとより構成され、不図示の定着
用の駆動モータにより熱線定着ローラ17aが駆動回転
され、薄板弾性定着ローラ47aが従動回転される。熱
線定着ローラ17a及び薄板弾性定着ローラ47aの内
部中心には、光源によっては可視光を含んだ赤外線或い
は遠赤外線等の熱線を発するハロゲンランプ171gや
キセノンランプ(不図示)等が熱線照射手段として配設
される。
【0276】熱線定着ローラ17aと熱定着フィルム4
7Aとの間で形成されるニップ部Nで記録紙Pが挟持さ
れ、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のカラー
トナー像が定着され、記録紙Pが排紙ローラ18により
送られて、装置上部のトレイへ排出される。
【0277】転写後の感光体ドラム10の周面上に残っ
たトナーは、像形成体クリーニング手段としてのクリー
ニング装置19に設けられたクリーニングブレード19
aによりクリーニングされる。残留トナーを除去された
感光体ドラム10はスコロトロン帯電器11によって一
様帯電を受け、次の画像形成サイクルに入る。
【0278】図21に示すように、第6の例の定着装置
670は、実施形態5にて前述した定着装置570の上
下ローラを上下反対として構成したものであり、カラー
トナー像を定着するための上側のロール状の熱線定着用
回転部材としての熱線定着ローラ17aと、下側の薄板
状の薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材として
の薄板弾性定着ローラ47aとにより構成され、弾性を
有したソフトローラとしての熱線定着ローラ17aと薄
肉の円筒状弾性体からなり弾性を有する薄板弾性定着ロ
ーラ47aとの間で形成される、幅30mm以下、好ま
しくは10mm以上の幅広いニップ部Nで、ニップ部N
に進入されてニップ部Nを通過される記録紙Pを挟持
し、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のトナー
像を定着する。実施形態5の図19にて前述したと同様
な構成により、薄板弾性定着ローラ47aの両端部がリ
ング状の樹脂軸受け471jにて保持され、不図示の定
着用の駆動モータ(図19の定着駆動モータM1参照)
により熱線定着ローラ17aが駆動回転され、薄板弾性
定着ローラ47aが従動回転される(図19参照)。
【0279】転写材上のトナー像を定着するための熱線
定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、円筒
状の透光性基体171aと、該透光性基体171aの外
側(外周面)に透光性弾性層171dと熱線吸収層17
1bと離型層171cとをその順に設けたソフトローラ
として構成される。透光性基体171a内部中心に、光
源によっては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線等の
熱線を発する熱線照射手段であるハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)が設けられる。熱線定着
用回転部材としての熱線定着ローラ17aは、後述する
ようにして弾性の高いソフトローラとして構成される。
ハロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)よ
り発せられた熱線が熱線吸収層171bにより吸収され
急速加熱が可能なロール状の熱線定着用回転部材が形成
される。また熱線定着ローラ17aの表面には、熱均一
化ローラTR4が設けられることが好ましく、アルミ材
やステンレス材等の熱伝導性の良好な金属ローラ部材や
ヒートパイプを用いた熱均一化ローラTR4により熱線
吸収層171bにより加熱される熱線定着ローラ17a
周面の発熱温度分布が均一化される。熱均一化ローラT
R4により転写材の通紙に伴う熱線定着ローラ17aの
縦方向及び横方向の温度むらが均一化される。
【0280】TS1は上側の熱線定着ローラ17aに取
付けられた温度制御を行うための例えば接触タイプのサ
ーミスタを用いた温度検知手段である温度センサであ
る。温度センサTS1としては接触タイプの他に、非接
触タイプのものを用いることも可能である。また、下側
の薄板弾性定着ローラ47aには温度制御を行うため
の、例えば接触タイプのサーミスタを用いた温度検知手
段である温度センサTS3が取付けられる。温度センサ
TS3としては接触タイプの他に、非接触タイプのもの
を用いることも可能である。
【0281】また下側の薄板状の定着ローラ部材として
の薄板弾性定着ローラ47aは、図18にて前述したと
同様に、バネ性を有する薄肉の円筒状弾性体としての薄
板弾性ローラ471aと、該薄板弾性ローラ471aの
外側(外周面)にゴム層471bとによる層構成の弾性
を有するローラとされる。薄板弾性ローラ471aの外
側(外周面)に設けられるゴム層471bとしては、層
厚0.5〜3mm程度が好ましく、ゴム層471bを設
けることにより、定着むらの発生が少なくなる。
【0282】薄板弾性ローラ471aは、厚さ(肉厚)
t2(mm)が0.15〜0.8mm程度の例えばステ
ンレスやリン青銅等を用いたバネ性を有する金属部材に
より形成され、バネ材として使用可能な疲れ限界を有す
るバネ性の金属部材を使用することによって、薄板弾性
ローラ471aが定着装置670に適用される場合で
の、円筒状弾性体としての薄板弾性ローラ471aの弾
性変形による疲労破壊の発生が防げる。弾性変形による
疲労破壊の発生を防止するのに、金属部材の疲れ限度と
しては14kP/mm2以上とすることが好ましいこと
が実験的に確認された。
【0283】また、前述した薄板弾性ローラ471aの
肉厚t2(mm)に対して、薄板弾性ローラ471aの
外径をφ2(mm)とするとき、 φ2/70>t2>φ2/300 とすることが、薄板弾性ローラ471aが定着装置67
0に適用される場合において好ましく、これにより、薄
板弾性ローラ471aの変形や破損がなくニップ部Nの
幅(ニップ幅)を10〜30mmと広くすることが可能
となる。t2≧φ2/70では、薄板弾性ローラ471
aの厚さが厚すぎて、定着装置670に適用される場合
楕円状に変形せず、ニップ部Nの幅が広くならない。t
2≦φ2/300では、薄板弾性ローラ471aの厚さ
が薄すぎて、定着装置670に適用される場合に強度が
低すぎ押圧力が不足し、定着むらとなる。
【0284】上側の熱線定着ローラ17a及び下側の薄
板弾性定着ローラ47aの温度制御は、図8にて前述し
たと同様に、上側の熱線定着用回転部材としての熱線定
着ローラ17aの温度を検知する温度検知手段としての
温度センサTS1による熱線定着ローラ17aの温度
(T1(℃))と、下側の定着ローラ部材としての薄板
弾性定着ローラ47aの温度を検知する温度検知手段と
しての温度センサTS3による薄板弾性定着ローラ47
aの温度(T3(℃))とを測定し、予め記憶部(RO
M、RAM)のROM内に参照テーブルとして記憶され
ている、温度(検知温度)T1及び温度(検知温度)T
3に対応する参照テーブルからの及び薄板弾性定着ロー
ラ47aを加熱するそれぞれのハロゲンランプ171g
やキセノンランプ(不図示)のon−off時間が、定
着制御部を通して参照され、上側の熱線定着ローラ17
a及び下側の薄板弾性定着ローラ47aの温度制御が行
われる。特にウォーミングアップ時間を早くするために
両方から加熱制御するが、ウォーミングアップ後の定着
の温度制御も両方から加熱制御すると応答が早いことか
ら、高精度の温度制御がなされる。また特にカラートナ
ー像の定着の場合は、上側の熱線定着ローラ17a及び
下側の薄板弾性定着ローラ47aの両方の温度が光沢性
や色味に影響を与えるので、両方の温度制御が必要とな
る。
【0285】上側の弾性を有するローラと、下側の弾性
の高いソフトローラとの間に、平面状のニップ部Nが形
成されトナー像の定着が行われる。
【0286】定着ローラ部材をバネ性を有する薄肉の薄
板弾性ローラ471aとすると共に、熱線定着ローラ1
7aの押圧力を薄板弾性定着ローラ47aの薄板弾性ロ
ーラ471aの弾性力にて受ける。これにより、薄板弾
性ローラ471aが塑性変形なく楕円状に広がり、平面
状に近い薄板弾性ローラ471aの面にて熱線定着ロー
ラ17aのソフトな透光性弾性層171dを押圧し、平
面状の幅広いニップ部Nが形成される。幅広いニップ部
Nによりトナー像の良好な定着が行われる。
【0287】上下のハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)の熱線による熱線定着ローラ17aの
熱線吸収層171bや薄板弾性定着ローラ47aでの発
熱により、省エネルギーでウォーミングアップ時間の短
いクイックスタート(急速加熱)が可能な定着装置が可
能となる。
【0288】図5にて前述したと同様に、熱線定着ロー
ラ17aの構成は、図5(a)に断面を示すように、円
筒状の透光性基体171aとしては、厚さ1〜20m
m、好ましくは2〜5mm厚で、ハロゲンランプ171
gやキセノンランプ(不図示)よりの赤外線或いは遠赤
外線等の熱線を透過するパイレックスガラス、サファイ
ヤ(Al23)、CaF2等のセラミック材(熱伝導率
が(5〜20)×10−3J/cm・s・K、比熱が
(0.5〜2.0)×J/g・K、比重が1.5〜3.
0)が主として用いられ、ポリイミド、ポリアミド等を
使用した透光性樹脂(熱伝導率が(2〜4)×10−3
J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g・K、比
重が0.8〜1.2)等も用いることが可能である。例
えば熱線定着ローラ17aの透光性基体171aとし
て、内径32mm、外径40mmで、層厚(厚さ)4m
mのパイレックスガラス(比熱が0.78J/g・K、
比重が2.32)を用いたときの透光性基体171aの
A−3サイズ幅(297mm)当たりでの熱容量Q1は
約60cal/degである。また、透光性基体171
aを通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好まし
くは0.3〜3μmであるので、フィラーとして硬度や
熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱線の波長の
1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2次粒子を含
めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下
の熱線透過性(光源によっては可視光を含んだ赤外線或
いは遠赤外線透過性)のITO、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バイ
ンダに分散させたもので透光性基体171aを形成して
もよい。層中で1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μ
m以下、好ましくは0.1μm以下であることが光散乱
を防ぎ、熱線吸収層171bに到達させるのに好まし
い。上記の如く、透光性基体171aはあまり熱伝導性
が良くない。
【0289】透光性弾性層171dは、厚さ0.5〜2
0mm、好ましくは1〜5mm厚の例えばシリコンゴム
やフッ素ゴムを用い、熱線(光源によっては可視光を含
んだ赤外線或いは遠赤外線)を透過する熱線透過性のゴ
ム層(ベース層)で形成される。透光性弾性層171d
としては高速化対応のために、ベース層(シリコンゴム
やフッ素ゴム)にフィラーとしてシリカ、アルミナ、酸
化マグネシウム等の金属酸化物の粉末を配合させて熱伝
導率を向上させる方法がとられ、熱伝導率が(1〜3)
×10-3J/cm・s・K、比熱が(1〜2)×J/g
・K、比重が0.9〜1.0のゴム層を用いる。例えば
熱線定着ローラ17aの透光性弾性層171dとして、
外径50mmで、層厚(厚さ)5mmのシリコンゴム
(比熱が1.1J/g・K、比重が0.91)を用いた
ときの透光性弾性層171dのA−3サイズ幅(297
mm)当たりでの熱容量Q2は約50cal/degで
ある。ゴム層は熱伝導率がガラス部材を用いた透光性の
基体(熱伝導率が(5〜20)×10-3J/cm・s・
K)より1桁低いので断熱性を有する層の役割をする。
熱伝導率を高めると一般的にゴム硬度が高くなる傾向が
あり、例えば通常40Hsのものが60Hs(JIS、
Aゴム硬度)近くまで高くなってしまう。好ましいゴム
硬度は5〜60Hsである。熱線定着用回転部材の透光
性弾性層171dの大部分はこのベース層で占められて
おり、加圧時の圧縮量はベース層のゴム硬度で決定され
る。透光性弾性層171dの中間層はオイル膨潤防止の
ために耐油層としてフッ素系ゴムが20〜300μmの
厚さで塗られている。透光性弾性層171dのトップ層
のシリコンゴムとしては、HTV(High Temp
erature Volcanizing)よりも離型
性のよいRTV(RoomTemperature V
olcanizing)やLTV(Low Tempe
rature Volcanizing)が中間層並の
厚さで被覆されている。また、透光性弾性層171dを
通過させる熱線の波長は0.1〜20μm、好ましくは
0.3〜3μmであるので、硬度や熱伝導率の調整剤と
して、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5以
下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、
好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によって
は可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、
酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微
粒子を樹脂バインダに分散させたもので透光性弾性層1
71dを形成してもよい。層中で1次、2次粒子を含め
て平均粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下で
あることが光散乱を防ぎ、熱線吸収層171bに到達さ
せるのに好ましい。透光性弾性層171dを設けること
により、熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ1
7aが弾性の高いソフトローラとして構成される。
【0290】熱線吸収層171bとしては、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線の略100%にあたる
90〜100%、好ましくは95〜100%の熱線を熱
線吸収層171bにより吸収し瞬時加熱が可能な熱線定
着用回転部材を形成するように、樹脂バインダにカーボ
ンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェライト
及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ(F
23)等の粉末を混入した熱線吸収部材を用い、厚さ
10〜500μm、好ましくは20〜100μm厚の熱
線吸収部材を透光性弾性層171dの外側(外周面)に
吹付け或いは塗布等により形成する。熱線吸収層171
bの熱伝導率は前記透光性弾性層171dのゴム層(熱
伝導率が(1〜3)×10-3J/cm・s・K、比熱が
(1〜2)×J/g・K、比重が0.9〜1.0)と比
べて、カーボンブラック等の吸収剤の添加により、やや
高めの(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が
(〜2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))に設
定することができる。熱線吸収層171bとしてはニッ
ケル電鋳ローラ等の金属ローラ部材を同様の厚さで設け
てもよい。この時、熱線を吸収するために内側(内周
面)は黒色酸化処理をしておくことが好ましい。熱線吸
収層171bでの熱線吸収率が90%程度よりも低く、
例えば20〜80%程度であると熱線が漏れて、漏れた
熱線により熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ
17aがモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミ
ング等により熱線定着ローラ17aの特定位置の表面に
黒トナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱
が起き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて
起こり熱線吸収層171bを破損する。またカラー画像
形成に用いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般
に低く、かつカラートナー間に吸収効率の差があること
から定着不良となったり、定着むらとなる。従って、ハ
ロゲンランプ171gやキセノンランプ(不図示)より
発せられ、透光性基体171a及び透光性弾性層171
dにて吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dを透過した熱線が熱線吸収層1
71bで完全に吸収されるように熱線吸収層171bの
熱線吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ま
しくは95〜100%とする。これにより、分光特性が
異なることで熱線により定着することが困難なカラート
ナーの溶融が良好に行われ、特に図20でのカラー画像
形成において、分光特性が異なることで熱線により定着
することが困難なトナー層の厚い転写材上の重ね合わせ
カラートナー像の溶融が良好に行われる。また、熱線吸
収層171bの厚さが10μm未満で薄いと、熱線吸収
層171bでの熱線の吸収による加熱速度は速いが、薄
膜による局所的な加熱による熱線吸収層171bの破損
や強度不足の原因となり、熱線吸収層171bの厚さが
500μmを越えて厚過ぎると、熱伝導不良となった
り、熱容量が大きくなり急速加熱が成しにくくなる。熱
線吸収層171bの熱線吸収率を略100%にあたる9
0〜100%、好ましくは95〜100%としたり、熱
線吸収層171bの厚さを10〜500μm、好ましく
は20〜100μmとすることにより、熱線吸収層17
1bでの局所的な発熱が防止され、均一な発熱が行われ
る。また、熱線吸収層171bに投光される熱線の波長
は0.1〜20μm、好ましくは0.3〜3μmである
ので、フィラーとして硬度や熱伝導率の調整剤が加えら
れるが、粒径が熱線の波長の1/2、好ましくは1/5
以下の、1次、2次粒子を含めて平均粒径が1μm以
下、好ましくは0.1μm以下の熱線透過性(光源によ
っては可視光を含んだ赤外線或いは遠赤外線透過性)の
酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコ
ン、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の金属酸化物
の微粒子を樹脂バインダに5〜50重量%分散させたも
ので熱線吸収層171bを形成してもよい。このように
して、熱線吸収層171bは温度がすぐに上がるように
熱容量を小さくしてあるので、熱線定着用回転部材とし
ての熱線定着ローラ17aに温度低下が生じ、定着むら
が発生するという問題を防止する。熱線吸収層171b
としては、弾性を有するシリコンゴムやフッ素ゴムに、
カーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェ
ライト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガ
ラ(Fe23)等の粉末を混入したものを用いてもよ
い。例えば熱線定着ローラ17aの熱線吸収層171b
(或いは後述する兼用層171Z)として、外径50m
mの透光性弾性層171dの表面(外周面)に、層厚
(厚さ)50μmのフッ素樹脂(比熱が2.0J/g・
K、比重が0.9)を用いたときの熱線吸収層171b
(或いは兼用層171Z)のA−3サイズ幅(297m
m)当たりでの熱容量Q3は約1.0cal/degで
ある。熱線吸収層171bとしてはニッケル電鋳ベルト
のように金属フィルム部材を用いることもできる。この
時、熱線吸収のために内側(内周面)は黒色酸化処理を
しておくことが望ましい。
【0291】また熱線吸収層171bと分離して熱線吸
収層171bの外側(外周面)に、トナーとの離型性を
良好とするため、厚さ30〜100μmのPFA(フッ
素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PF
AまたはPTFE)塗料を20〜30μm塗布した離型
層171c(熱伝導率が(1〜10)×10-3J/cm
・s・K、比熱が(〜2.0)×J/g・K、比重が
(〜0.9))を設ける(分離型)。
【0292】さらに図5(b)に断面を示すように、カ
ーボンブラック、黒鉛、鉄黒(Fe34)や各種フェラ
イト及びその化合物、酸化銅、酸化コバルト、ベンガラ
(Fe23)等の粉末を混入した熱線吸収部材と、バイ
ンダと離型剤とを兼ねたフッ素樹脂(PFAまたはPT
FE)塗料とを混入して配合し、図5(a)にて前述し
た熱線吸収層171bと離型層171cとを一体として
離型性を有する兼用層171Zを、透光性基体171a
の外側(外周面)に形成された透光性弾性層171dの
外側(外周面)に形成し、弾性を有するロール状の熱線
定着用回転部材を形成してもよい。兼用層171Zの熱
伝導率は熱線吸収層171bの熱伝導率と略同様で、
(3〜10)×10-3J/cm・s・K(比熱が(〜
2.0)×J/g・K、比重が(〜0.9))である。
前述したと同様に、ハロゲンランプ171gやキセノン
ランプ(不図示)より発せられ、透光性基体171a及
び透光性弾性層171dにて吸収された残りの熱線で、
透光性基体171a及び透光性弾性層171dを透過し
た熱線が完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線
吸収率を略100%にあたる90〜100%、好ましく
は95〜100%とする。兼用層171Zでの熱線吸収
率が90%程度よりも低く、例えば20〜80%程度で
あると熱線が漏れて、漏れた熱線により熱線定着用回転
部材がモノクロ画像形成に用いられた場合、フィルミン
グ等により熱線定着用回転部材の特定位置の表面に黒ト
ナーが付着すると漏れた熱線により付着部から発熱が起
き、その部分でさらに熱線吸収による発熱が重ねて起こ
り兼用層171Zを破損する。またカラー画像形成に用
いられた場合、カラートナーの吸収効率が一般に低く、
かつカラートナー間に吸収効率の差があることから定着
不良となったり、定着むらとなる。従って、ハロゲンラ
ンプ171gやキセノンランプ(不図示)より発せら
れ、透光性基体171a及び透光性弾性層171dにて
吸収された残りの熱線で、透光性基体171a及び透光
性弾性層171dを透過した熱線が熱線定着用回転部材
内で完全に吸収されるように兼用層171Zの熱線吸収
率を略100%にあたる90〜100%、好ましくは9
5〜100%とする。また、兼用層171Zでの局所的
な発熱も防止され、均一な発熱が行われる。また、兼用
層171Zに投光される熱線の波長は0.1〜20μ
m、好ましくは0.3〜3μmであるので、フィラーと
して硬度や熱伝導率の調整剤が加えられるが、粒径が熱
線の波長の1/2、好ましくは1/5以下の、1次、2
次粒子を含めて平均粒径が1μm以下、好ましくは0.
1μm以下の熱線透過性(光源によっては可視光を含ん
だ赤外線或いは遠赤外線透過性)の酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、酸化シリコン、酸化マグネシウ
ム、炭酸カルシウム等の金属酸化物の微粒子を樹脂バイ
ンダに分散させたもので兼用層171Zを形成してもよ
い。
【0293】図6にて前述したと同様に、ロール状の熱
線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの熱線
吸収層171bに前述した熱線吸収部材の濃度分布を均
一に設けると境界にある熱線吸収層171bで発熱が集
中することになり、透光性弾性層171d側へ熱が流失
しやすいので、透光性基体171aより低熱伝導性部材
を用いたり、濃度分布を設けて熱線吸収層171b内部
で熱を発生させることが発熱分布を分散させる観点から
好ましい。熱線吸収層171bの濃度分布はグラフ
(イ)で示すように、内接する透光性弾性層171d側
の界面を低濃度とし外周面側に向かって傾斜をつけ順次
高くし、外周面側の手前(熱線吸収層171bの厚さt
1に対し、透光性弾性層171d側から2/3〜4/5
程度の位置)で100%吸収する濃度となるようにして
飽和するようにする。これにより、熱線吸収層171b
での熱線の吸収による発熱分布は、グラフ(ロ)に示す
ように、熱線吸収層171bの中央部近傍に最大値を有
し、熱線吸収層171bの界面や外周面近傍で最小値を
とる放物線状に形成される。或いは熱線吸収層171b
の界面や外周面に透光性の耐熱性樹脂(ポリイミドやフ
ッ素樹脂やシリコン樹脂)を10〜500μm厚、好ま
しくは20〜100μmを設けることが好ましい。ま
た、透光性基体171aより低熱伝導性部材として熱の
流失を押さえることが好ましい。これにより、前記界面
での熱線の吸収による発熱を小さくし、熱の流出を防止
し、界面での接着層の破損や熱線吸収層171bの破損
を防止する。また、外周面側の手前(熱線吸収層171
bの厚さt1に対し、透光性基体171a側から2/3
〜4/5程度の位置)より外周面までの濃度分布を飽和
するようにし、特に、兼用層171Zを用いた場合に
も、外周表面層が削られても影響の無いようにする。な
お点線で示すように、飽和層を形成してもよい。要する
に、十分に内部で吸収が行われれば外側での濃度の影響
はなくなる。削れの影響も生じない。また、濃度分布に
前記傾斜を設け、傾斜角の変更により発熱分布を調整す
ることができる。
【0294】また図7にて前述したと同様に、ロール状
の熱線定着用回転部材としての熱線定着ローラ17aの
円筒状の透光性基体171aの外径φとしては、15〜
60mmのものが用いられ、厚さtとしては、厚い方が
強度の点で良く、薄い方が熱容量の点で良いが、強度と
熱容量との関係から、円筒状の透光性基体171aの外
径φと厚さtとの関係は、 0.02≦t/φ≦0.20 とし、好ましくは 0.04≦t/φ≦0.10 とする。透光性基体171aの外径φが40mmでは透
光性基体171aの厚さtは、0.8mm≦t≦8m
m、好ましくは1.6mm≦t≦4.0mmのものが用
いられる。透光性基体171aでのt/φが0.02未
満では強度不足となり、t/φが0.20を越えると熱
容量が大きくなり熱線定着ローラ17aの加熱が長引く
ことになる。また、透光性基体といっても材料によって
は1〜20%程度の熱線を吸収する場合があり、強度の
保てる範囲で薄い方が好ましい。
【0295】上記の如く、図21にて説明した第6の例
の定着装置670を用いることにより、上側の弾性の高
いソフトローラと、下側の弾性を有するローラとの間
に、平面状のニップ部Nが形成されてトナー像の定着が
行われが、上側のハロゲンランプ171gやキセノンラ
ンプ(不図示)の熱線による熱線吸収層171bでの発
熱と、下側のハロゲンランプ171gやキセノンランプ
(不図示)による薄板弾性定着ローラ47aの発熱との
両方の発熱により、特に下側の薄板弾性定着ローラ47
aの発熱により上側の熱線定着ローラ17aの熱線吸収
層171bを早く昇温させることができ、省エネルギー
とウォーミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定
着を可能とすると共に、均一で安定した温度による良好
な定着性が得られる画像形成装置が可能となる。特に弾
性の高い上側のソフトローラ(熱線定着ローラ17a)
でトナー像を定着することにより、品質の高い(定着性
能が良好な)定着が行われる。
【0296】
【発明の効果】請求項1によれば、省エネルギーとウォ
ーミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可
能とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着
性が得られる定着装置が可能となる。
【0297】請求項2によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可能
とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着性
が得られる画像形成装置が可能となる。
【0298】請求項3によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、両面画像形成に
おける表面トナー像の高速定着を可能とすると共に、均
一で安定した温度による良好な表面トナー像の定着が可
能となる。
【0299】請求項4によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、カラートナー像
の高速定着を可能とすると共に、均一で安定した温度に
よる良好なカラートナー像の定着が可能となる。
【0300】請求項5によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可能
とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着性
が得られる定着装置が可能となる。
【0301】請求項6によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可能
とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着性
が得られる画像形成装置が可能となる。
【0302】請求項7によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、両面画像形成に
おける表面トナー像の高速定着を可能とすると共に、均
一で安定した温度による良好な表面トナー像の定着が可
能となる。
【0303】請求項8によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、カラートナー像
の高速定着を可能とすると共に、均一で安定した温度に
よる良好なカラートナー像の定着が可能となる。
【0304】請求項9によれば、省エネルギーとウォー
ミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可能
とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着性
が得られる定着装置が可能となる。
【0305】請求項10によれば、省エネルギーとウォ
ーミングアップ時間の短縮を図りながら、高速定着を可
能とすると共に、均一で安定した温度による良好な定着
性が得られる画像形成装置が可能となる。
【0306】請求項11によれば、省エネルギーとウォ
ーミングアップ時間の短縮を図りながら、両面画像形成
における表面トナー像の高速定着を可能とすると共に、
均一で安定した温度による良好な表面トナー像の定着が
可能となる。
【0307】請求項12によれば、省エネルギーとウォ
ーミングアップ時間の短縮を図りながら、カラートナー
像の高速定着を可能とすると共に、均一で安定した温度
による良好なカラートナー像の定着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる画像形成装置の第1の例の一
実施形態を示す画像形成装置の断面構成図である。
【図2】図1の画像形成装置におけるトナー像形成状態
を示す図である。
【図3】本発明にかかわる定着装置の第1の例の断面構
成図である。
【図4】定着フィルムの詳細説明図である。
【図5】図3のロール状の熱線定着用回転部材の拡大断
面構成図である。
【図6】図3のロール状の熱線定着用回転部材の熱線吸
収層の濃度分布を示す図である。
【図7】図3のロール状の熱線定着用回転部材の透光性
基体の外径と厚さとを示す図である。
【図8】図3の定着装置及び以下の各例の定着装置にお
ける定着制御ブロック図である。
【図9】本発明にかかわる画像形成装置の第2の例の一
実施形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図であ
る。
【図10】図9の像担持体の側断面図である。
【図11】本発明にかかわる定着装置の第2の例の断面
構成図である。
【図12】本発明にかかわる画像形成装置の第3の例の
一実施形態を示す画像形成装置の断面構成図である。
【図13】本発明にかかわる定着装置の第3の例の断面
構成図である。
【図14】本発明にかかわる画像形成装置の第4の例の
一実施形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図であ
る。
【図15】本発明にかかわる定着装置の第4の例の断面
構成図である。
【図16】本発明にかかわる画像形成装置の第5の例の
一実施形態を示す画像形成装置の断面構成図である。
【図17】本発明にかかわる定着装置の第5の例の断面
構成図である。
【図18】定着ローラ部材の層構成と機能とを示す図で
ある。
【図19】定着ローラ部材の保持方法を示す図である。
【図20】本発明にかかわる画像形成装置の第6の例の
一実施形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図であ
る。
【図21】本発明にかかわる定着装置の第6の例の断面
構成図である。
【符号の説明】
10 感光体ドラム 11 スコロトロン帯電器 12 露光光学系 13 現像器 14A 搬送ベルト 14a 中間転写ベルト 14b 1次転写器 14c 転写器 14g 2次転写器 17A,27A,37A,47A 熱定着フィルム 17a 熱線定着ローラ 47a 薄板弾性定着ローラ 170,270,370,470,570,670 定
着装置 171 定着フィルム 172 セラミックヒータ 171a 透光性基体 171b 熱線吸収層 171c 離型層 171d 透光性弾性層 171g ハロゲンランプ 171Z 兼用層 372,472 磁性体 373 コイル 471a 薄板弾性ローラ 471j 樹脂軸受け P 記録紙 TS1,TS2,TS3 温度センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 2H028 BC00 2H030 AD04 2H033 AA11 AA46 BA25 BB04 BB13 BB30 BE03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とによ
    り前記転写材に固定する定着装置において、 固定発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材と、 前記フィルム状回転部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなることを特徴とする定着装置。
  2. 【請求項2】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とによ
    り前記転写材に固定、定着する画像形成装置において、 固定発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材と、 前記フィルム状回転部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなる定着装置を有することを特徴
    とする画像形成装置。
  3. 【請求項3】 転写材の表裏両面に転写されたトナー像
    を定着する定着装置であって、表面のトナー像に前記フ
    ィルム状回転部材が対応することを特徴とする請求項2
    に記載の画像形成装置。
  4. 【請求項4】 転写材上のカラートナー像を加熱と加圧
    とにより前記転写材に固定、定着する画像形成装置にお
    いて、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材と、 前記熱線定着用回転部材に対向して設けられる、 固定発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材とより
    なる定着装置を有し、 前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対応す
    ることを特徴とする画像形成装置。
  5. 【請求項5】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とによ
    り前記転写材に固定する定着装置において、 誘導発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材と、 前記フィルム状回転部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなることを特徴とする定着装置。
  6. 【請求項6】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とによ
    り前記転写材に固定、定着する画像形成装置において、 誘導発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材と、 前記フィルム状回転部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなる定着装置を有することを特徴
    とする画像形成装置。
  7. 【請求項7】 転写材の表裏両面に転写されたトナー像
    を定着する定着装置であって、表面のトナー像に前記フ
    ィルム状回転部材が対応することを特徴とする請求項6
    に記載の画像形成装置。
  8. 【請求項8】 転写材上のカラートナー像を加熱と加圧
    とにより前記転写材に固定、定着する画像形成装置にお
    いて、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材と、 前記熱線定着用回転部材に対向して設けられる、 誘導発熱体を内接して設けたフィルム状回転部材とより
    なる定着装置を有し、 前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対応す
    ることを特徴とする画像形成装置。
  9. 【請求項9】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とによ
    り前記転写材に固定する定着装置において、 薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材と、 前記定着ローラ部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなることを特徴とする定着装置。
  10. 【請求項10】 転写材上のトナー像を加熱と加圧とに
    より前記転写材に固定、定着する画像形成装置におい
    て、 薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材と、 前記定着ローラ部材に対向して設けられる、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材とよりなる定着装置を有することを特徴
    とする画像形成装置。
  11. 【請求項11】 転写材の表裏両面に転写されたトナー
    像を定着する定着装置であって、表面のトナー像に前記
    定着ローラ部材が対応することを特徴とする請求項10
    に記載の画像形成装置。
  12. 【請求項12】 転写材上のカラートナー像を加熱と加
    圧とにより前記転写材に固定、定着する画像形成装置に
    おいて、 熱線を発する熱線照射手段を内部に有し、前記熱線に対
    して透光性を有する円筒状の透光性基体と、該透光性基
    体の外側に透光性弾性層と、該透光性弾性層の外側に前
    記熱線を吸収する熱線吸収層とを設けたロール状の熱線
    定着用回転部材と、 前記熱線定着用回転部材に対向して設けられる、 薄肉の円筒状弾性体からなる定着ローラ部材とよりなる
    定着装置を有し、 前記カラートナー像に前記熱線定着用回転部材が対応す
    ることを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7002112B2 (en) 2002-02-04 2006-02-21 Ricoh Company, Ltd. Heating apparatus for increasing temperature in short period of time with minimum overshoot
JP2010249917A (ja) * 2009-04-13 2010-11-04 Konica Minolta Business Technologies Inc 定着装置およびこれを備える画像形成装置
JP2020122939A (ja) * 2019-01-31 2020-08-13 株式会社リコー 定着装置および画像形成装置

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