JP2001081507A - 高純度コバルト粉及びその製造方法 - Google Patents

高純度コバルト粉及びその製造方法

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JP2001081507A
JP2001081507A JP26041099A JP26041099A JP2001081507A JP 2001081507 A JP2001081507 A JP 2001081507A JP 26041099 A JP26041099 A JP 26041099A JP 26041099 A JP26041099 A JP 26041099A JP 2001081507 A JP2001081507 A JP 2001081507A
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Yuichiro Shindo
裕一朗 新藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ金属元素、放射性元素、Fe及びN
iのみならず、ガス成分等の不純物を極力低減させた高
純度コバルト粉を安定してかつ容易に製造できる方法を
開発し、積層薄膜を構成する物質の相互拡散に起因する
汚染物質の抑制及びパーティクルや異常放電現象が生じ
ないスパッタリングターゲット等に有効である高純度コ
バルト粉を提供する 【解決手段】 不純物を含有するコバルト原料を塩酸で
溶解し、塩酸濃度が7〜12Nの塩化コバルト水溶液
を、陰イオン交換樹脂と接触させコバルトを吸着させた
後、1〜6Nの塩酸を用いてコバルトを溶離し、得られ
た溶離液を蒸発乾固又は水酸化アンモニウムで中和して
コバルトの塩化物又は水酸化物とし、さらに600°C
以上の温度で水素還元する高純度コバルト粉及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高純度コバルト粉
及びその製造方法であり、本発明により製造された高純
度コバルト粉は、アルカリ金属元素、放射性元素、Fe
及びNiのみならずガス成分(ガス化する成分を含
む。)等の不純物が少なく、VLSIの電極及び配線形
成用のターゲット材等として有用である高純度コバルト
粉及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体の飛躍的な進歩に端を発し
て様々な電子機器が生まれ、さらにその性能の向上と新
しい機器の開発が日々刻々なされている。このような中
で、電子、デバイス機器がより微小化し、かつ集積度が
高まる方向にある。これら多くの製造工程の中で多数の
薄膜が形成されるが、コバルトもその特異な金属的性質
からコバルト膜及びその合金膜、コバルトシリサイド膜
などとして、多くの電子機器薄膜の形成に利用されてい
る。従来、半導体デバイスにおける電極材料としてポリ
シリコンが主に用いられていたが、LSIの高集積化に
伴い、モリブテン、タングステン等のシリサイドの利用
が進み、さらにはチタンやコバルトシリサイドが使用さ
れるようになってきた。また、従来用いられてきたA
l、Al合金にかえてコバルトを配線材として用いる提
案もなされている。このような電極や配線は多くの場
合、コバルトターゲットをアルゴン中でスパッタするこ
とにより形成される。
【0003】スパッタリング法による薄膜の形成方法
は、陰極に設置したターゲットに、Ar+などの正イオ
ンを物理的に衝突させてターゲットを構成する金属原子
をその衝突エネルギーで放出させる手法であり、コバル
ト若しくはその合金又はコバルトシリサイド等のターゲ
ットを使用し、アルゴンガスガス雰囲気中でスパッタリ
ングすることによって形成するものである。
【0004】一方、このようなコバルト(合金、化合物
を含む)の薄膜を形成する場合に、注意を要すること
は、半導体デバイスに有害な金属不純物が極めて少な
い、すなわちそれ自体が極めて高い純度を必要とするこ
とである。すなわち、スパッタリング後に形成される電
極又は配線等が信頼性のある半導体動作性能を保証する
ためには、次のことが必要である。 (1)Na、K等のアルカリ金属元素 (2)U、Th等の放射性元素 (3)Fe及びNi (4)C、O等のガス成分 等の不純物をできるだけ含まないようにすること。上記
Na、K等のアルカリ金属は、ゲート絶縁膜中を容易に
移動し、MOS−LSI界面特性の劣化の原因となり、
U、Th等の放射性元素は該元素より放出するα線によ
って素子のソフトエラーの原因となる。一方、Fe及び
Niは界面接合部のトラブルの原因となる。また、C、
O等のガス成分も、後述するように、スパッタリングの
際のパーティクル発生の原因となるため好ましくない。
【0005】一般に入手されるコバルト原料、いわゆる
粗コバルト塊は数十ppmのFeそして数百ppmのN
iを不純物として含有している。このような原料からの
高純度コバルトの製造方法としては、まず電解精製法が
考えられる。しかしながら、電解精製では不純物である
Ni及びFeとコバルトとの標準電極電位が非常に近い
ため、単なる電解精製法による高純度化は難しい。従っ
て、電解精製法による高純度化を行うためには、電解液
中の不純物を溶媒抽出法等により除去しながら、すなわ
ち、例えばコバルト濃度が40〜60g/Lの場合に
は、電解液中のNi濃度を平均1.3mg/L以下そし
てFe濃度を平均0.1mg/L以下にしながら行わな
くてはならず、非常に厳格なコントロールを必要とす
る。また、溶媒抽出によるNiの除去には、アルキルオ
キシム等の特殊な溶媒が必要であるとともに、コバルト
も共抽出されるため、複雑な操作が必要であり、さらに
この抽出溶媒が電解液中に溶解し、ロスとなるという問
題点もある。
【0006】半導体装置等に使用される薄膜は一層薄く
かつ短小化される方向にあり、相互間の距離が極めて小
さく集積密度が向上しているために、薄膜を構成する物
質あるいはその薄膜に含まれる不純物が隣接する薄膜に
拡散するという問題が発生する。これにより、自膜及び
隣接膜の構成物質のバランスが崩れ、本来所有していな
ければならない膜の機能が低下するという大きな問題が
起こる。このような薄膜の製造工程において、数百度に
加熱される場合あり、また半導体装置を組み込んだ電子
機器の使用中にも温度が上昇する。このような温度上昇
は前記物質(不純物)の拡散係数をさらに上げ、拡散に
よる電子機器の機能低下に大きな問題を生ずることとな
る。
【0007】また、スパッタリング膜の形成に際して、
コバルト(合金・化合物)ターゲットに不純物が存在す
ると、これらに起因してスパッタチャンバ内に浮遊する
粗大化した粒子が基板上に付着して薄膜回路を短絡させ
たり、薄膜の突起物の原因となるパーティクルの発生量
が増し、またガス成分である酸素、炭素、水素、窒素等
が多量に存在すると、スパッタリング中にガスによる突
発が原因と考えられる異常放電を起こし、均一な膜が形
成されないという問題が発生する。
【0008】このようなことから、従来不純物となるF
e及びNi、アルカリ金属元素、放射性元素、さらに酸
素等のガス成分が低減された高純度のコバルトの製造が
望まれていた。しかしながら、これらの通常の方法によ
れば、アルカリ金属元素、Fe及びNi、放射性元素、
その他の金属元素が多量に含有され、また酸素の含有量
が高く、工業的規模でのより低コストで安定した真のコ
バルトの高純度化は実現できていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸問
題点の解決、特にアルカリ金属元素、放射性元素、Fe
及びNiのみならず、ガス成分等の不純物を極力低減さ
せた5N(99.999%、以下単に5Nと記す)レベ
ル以上の高純度コバルト粉を安定してかつ容易に製造で
きる方法を開発し、積層薄膜を構成する物質の相互拡散
に起因する汚染物質の抑制及びパーティクルや異常放電
現象が生じないスパッタリングターゲット等に有効であ
る高純度コバルト粉を提供することを目的としたもので
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの技術的な手段は、厳密に管理した塩酸による処理、
陰イオン交換法及び水素還元処理により不純物をコント
ロールし、スパッタリングターゲット等の用途に用いる
ことができる高純度コバルト粉を得ることができるとの
知見を得た。この知見に基づき、本発明は 1)Fe及びNiの各含有量が10ppm以下であるこ
とを特徴とする高純度コバルト粉 2)Fe及びNiの各含有量が1ppm以下であること
を特徴とする高純度コバルト粉 3)Na、K等のアルカリ金属元素の各含有量が0.1
ppm以下であり、U、Th等の放射性元素の各含有量
が0.1ppb以下であることを特徴とする1)又は
2)記載の高純度コバルト粉 4)酸素及び炭素等ガス成分の各含有量が1000pp
m以下であることを特徴とする1)〜3)のそれぞれに
記載の高純度コバルト粉、を提供する。
【0011】本発明はまた、 5)Fe及びNi、放射性元素、アルカリ金属元素等を
不純物として含有するコバルト原料を塩酸で溶解し、塩
酸濃度が7〜12Nの塩化コバルト水溶液を、陰イオン
交換樹脂と接触させコバルトを吸着させた後、1〜6N
の塩酸を用いてコバルトを溶離し、得られた溶離液を蒸
発乾固又は水酸化アンモニウムで中和してコバルトの塩
化物又は水酸化物とし、さらに600°C以上の温度で
水素還元することを特徴とする高純度コバルト粉の製造
方法 6)Fe及びNi、放射性元素、アルカリ金属元素等を
不純物として含有するコバルト原料を塩酸で溶解し、塩
酸濃度が7〜12Nの塩化コバルト水溶液を、陰イオン
交換樹脂と接触させコバルト、鉄及びウランを吸着させ
た後、1〜6Nの塩酸を用いてコバルトを溶離し、得ら
れた溶離液を蒸発乾固又は水酸化アンモニウムで中和し
てコバルトの塩化物又は水酸化物とし、さらに600°
C以上の温度で水素還元することを特徴とする高純度コ
バルト粉の製造方法 7)Fe及びNiの各含有量が10ppm以下であるこ
とを特徴とする5)又は6)記載の高純度コバルト粉の
製造方法 8)Fe及びNiの各含有量が1ppm以下であること
を特徴とする5)又は6)記載の高純度コバルト粉の製
造方法 9)Na、K等のアルカリ金属元素の各含有量が0.1
ppm以下であり、U、Th等の放射性元素の各含有量
が0.1ppb以下であることを特徴とする5)〜8)
のそれぞれに記載の高純度コバルト粉の製造方法 10)酸素及び炭素等ガス成分の各含有量が1000p
pm以下であることを特徴とする5)〜9)のそれぞれ
に記載の高純度コバルト粉の製造方法、を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用するコバルトの原料
は、通常市販されている数十ppmのFe及び数百pp
mのNi等の不純物を含有する粗コバルトを塩酸で溶解
して使用するが、特にこれに限定されるものではな
い。。また、粗コバルトの溶解に使用する塩酸は、これ
も特に限定されるものではないが、工業用の低純度の塩
酸を使用することができる。この理由は、塩酸中に含ま
れる不純物も本発明の製造方法により、除去することが
できるからである。
【0013】コバルトを溶解する際に使用する装置は、
塩酸の有効利用のために、冷却筒や塩化水素ガスの回収
装置を設けたものが望ましい。材質は、石英、グラファ
イト、テフロン、ポリ容器等を使用することができる。
溶解する温度は、50〜100℃、好ましくは80〜9
5℃とする。50℃未満では溶解する速度が遅く、また
100℃を超えると、蒸発が激しく水溶液のロスが大き
いからである。塩化コバルト水溶液中の塩酸濃度は、最
終的には、7〜12Nとすることが好ましい。7N未満
又は12Nを超えると、イオン交換する際、コバルトが
ほとんど吸着しないからである。コバルト濃度は、10
〜70g/Lが好ましい。コバルト濃度が10g/L未
満であると、大量の塩酸が必要でありコスト増を招くか
らであり、一方70g/Lを超えると、塩酸濃度の高い
溶液では、室温即ち約20℃で塩化コバルトが析出する
ため好ましくないからである。
【0014】陰イオン交換においては、上記塩化コバル
ト水溶液を用いコバルトの吸着を行う。本発明において
用いる樹脂は、陰イオン交換樹脂であれば特に限定され
ないが、DOWEX(ダウエックス)1×8、DOWE
X2×8(室町化学(株)製)、ダイヤイオンSA10
A等を使用することができる。コバルトは高濃度の塩酸
中では塩化物錯体を形成し、陰イオンとして存在するた
め樹脂に吸着する。Fe及びUもコバルトと同様な挙動
を示し陰イオン交換樹脂に吸着するが、主要不純物であ
るNiそしてNa、K等のアルカリ金属及びTh等の放
射性元素は、塩化物錯体を形成しないため、吸着せずカ
ラムより流出する。
【0015】さらに、カラム内に残留した不純物を取り
除くために、7〜12Nの塩酸で洗浄する。この範囲外
では、コバルトと陰イオン交換樹脂との結び付きが弱い
ため、コバルトが溶離されるため好ましくない。したが
って、洗浄は上記の範囲とする。次に、陰イオン交換樹
脂に吸着したコバルトのみを溶離するために1〜6N、
好ましくは3N〜4Nの塩酸を使用する。1N未満で
は、不純物として吸着したFe及びUも溶離してしまう
ため好ましくない。6Nを超えると、コバルトの樹脂か
らの溶離が困難となり、使用する塩酸量が多くなるため
好ましくない。
【0016】なお、コバルト溶離後の陰イオン交換樹脂
に吸着しているFe及びUについては、1N未満の塩酸
を用いることにより容易に溶離することができる。従っ
て、陰イオン交換樹脂の吸着容量等を考慮に入れ、適当
な時期にFe及びUの溶離をすることにより、陰イオン
交換樹脂を再生することができる。以上の操作により、
不純物であるNi、Fe等の遷移金属元素、Na、Ka
等のアルカリ金属元素及びU、Th等の放射性元素とコ
バルトを分離することができ、高純度のコバルトを得る
ことができる。
【0017】次に、溶離した塩化コバルト水溶液を蒸発
乾固又は水酸化アンモニウムで中和してコバルトの塩化
物又は水酸化物とし、さらに600°C以上の温度で水
素還元することによって高純度コバルト粉を製造する。
蒸発乾固する方法は、ロータリーエバポレーション装置
等を使用して行うと良い。蒸発乾固する温度は、80℃
以上、好ましくは100℃以上である。80℃未満で
は、蒸発乾固するのに時間がかかる。また、その際アス
ピレーター等で弱減圧下にしながら行うと蒸発乾固時間
を短縮することができる。蒸発乾固するときの装置材質
は、石英、グラファイト、テフロン等が好ましい。この
際に発生する塩酸ガスは、冷却・凝縮させコバルト溶
解、又は陰イオン交換の際に用いる塩酸等に再利用する
ことができる。
【0018】また、イオン交換樹脂中の有機物(スチレ
ン、ジビニルベンゼン、アミン類等)が少しずつ流れだ
し、それが液中に混入してくる可能性がある。そのよう
な有機物を除去するために活性炭処理を行うことができ
る。活性炭には、Fe等の不純物が多く含有されている
可能性があるため、塩酸等で洗浄除去する酸処理を行っ
てから使用することが好ましい。活性炭は、粒状、繊維
状、粉状等があるが、不純物Fe等が含有されないもの
が好ましいが、多い時は、上記の通り塩酸等で除去する
ことが必要である。この活性炭処理は塩化コバルトの溶
離以降に行うことができる
【0019】以上の操作により製造した高純度コバルト
粉を、焼結してスパッタリング用ターゲットとする。こ
のようにして製造したコバルトターゲット中には、不純
物含有量が少なく、半導体製造用のターゲット等に好ま
しい材料が得られる。すなわち、Fe及びNiの総含有
量が10ppm以下、Na、K等のアルカリ金属元素の
総含有量が0.1ppm以下、U、Th等の放射性元素
の総含有量が0.1ppb以下、さらに酸素及び炭素等
ガス成分の総含有量が1000ppm以下である高純度
コバルト粉を得ることができる。通常は、例えばNa含
有量0.05ppm以下、K含有量0.05ppm以
下、Fe、Niの各元素の含有量1ppm以下、U含有
量0.01ppb以下、Th含有量0.01ppb以
下、C含有量10ppm以下、O含有量100ppm以
下;残部がCo及びその他の不可避不純物である高純度
コバルト粉が得られる。
【0020】このコバルト粉から製造したターゲットを
用いてスパッタリング成膜したコバルト膜は、ゲート絶
縁膜中を移動しMOS−LSI界面特性の劣化の原因と
なるNa、K等のアルカリ金属が減少し、U、Th等の
放射性元素のα線による素子のソフトエラーがくなり、
Fe及びNiによる界面接合部のトラブルも減少する。
さらに、薄膜を構成する物質あるいはその薄膜に含まれ
る不純物が隣接する薄膜に拡散するという問題がなくな
り、自膜及び隣接膜の構成物質のバランスを崩すことが
なく、本来所有する膜の機能が低下するという問題もな
くなる。したがって、スパッタリング後に形成される電
極又は配線等が信頼性のある半導体動作性を十分に保証
することができる。さらに、このスパッタリング膜の形
成に際して、コバルト(合金・化合物)ターゲット中の
不純物、特にガス成分である酸素、炭素、水素、窒素等
が減少しているので、スパッタチャンバ内に浮遊する粗
大化した粒子が基板上に付着して薄膜回路を短絡させる
ようなことがなくなり、また薄膜の突起物の原因となる
パーティクルの発生量が減少し、さらにスパッタリング
中に、ガスによる突発が原因と考えられる異常放電を起
こすこともなくなる。
【0021】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。な
お、本実施例はあくまで1例であり、この例に制限され
るものではない。すなわち、本発明の技術思想に含まれ
る本実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するもの
である。
【0022】(実施例1)表1に示すようなコバルト原
料、すなわち純度の粗コバルト塊600gを、約12.
5Lの11.6Nの塩酸水溶液の容器に装入した。そし
て温度を95℃にあげ12時間後に塩酸濃度9N、コバ
ルト濃度50g/Lの塩化コバルト水溶液を得た。この
液12Lを、陰イオン交換樹脂(室町化学:DOWE
X、2×8)12Lを充填したポリプロピレン製のカラ
ム(150mmφ×1200mmL)に通液し、コバル
トを吸着させた後、9Nの塩酸12Lで洗浄した。
【0023】次にコバルトを溶離するために4Nの塩酸
18Lを通液した。得られた精製塩化コバルト水溶液
を、予め活性炭により有機物を除去した後、ロータリー
エバボレーション装置を用いて温度110℃で蒸発乾固
させた。蒸発乾固物はCoCl ・2HOでありCo
換算で600gを得た。活性炭は、使用する前に6Nの
塩酸で洗浄し、Fe等の不純物を十分除去した。次に、
800°Cの温度で水素還元することにより高純度コバ
ルト粉を得た。このようにして得たコバルト粉の分析結
果を表1に示す。表1に示す通り、本実施例1では高純
度のコバルト粉が得られた。
【0024】
【表1】
【0025】
【実施例2】実施例1と同成分のコバルト原料を、同様
に同条件で塩酸溶解し、これをさらに同条件で陰イオン
交換樹脂に通液し、コバルトを吸着させた後、9Nの塩
酸12Lで洗浄した。次にコバルトを溶離するために4
Nの塩酸18Lを通液した。得られた精製塩化コバルト
水溶液を、予め活性炭により有機物を除去した後、水酸
化アンモニウムで中和し、コバルト水酸化物(Co(O
H))をCo換算で600gを得た。活性炭は、使用
する前に6Nの塩酸で洗浄し、Fe等の不純物を十分除
去した。 次に、1000°Cの温度で水素還元するこ
とにより高純度コバルト粉を得た。このようにして得た
コバルト粉の分析結果を表1に示す。表1に示す通り、
本実施例2では、高純度のコバルト粉が得られた。
【0026】
【比較例】比較例として市販のコバルト粉を用いた。市
販コバルト粉は、表1に示すように、Fe770pp
m、Ni950ppm、Na20ppm、K50pp
m、U10ppb、Th10ppb、C190ppm、
O5000ppm、N100ppmを含有し、不純物濃
度がいずれも高い。
【0027】次に、実施例1及び実施例2と比較例のコ
バルト粉と高純度のシリコン粉を用いて、さらに120
0°C、3hrでホットプレスし、高純度コバルトシリ
サイドスパッタリングターゲットとした。これらのター
ゲットを使用してスパッタリングによる成膜の電気抵抗
とパーティクルの発生個数を比較した。それらの結果を
表2に示す。この表2から明らかなように、比較例の電
気抵抗は15μΩ・cmであるのに対し、本発明の実施
例1及び実施例2の電気抵抗はそれぞれ、5μΩ・c
m、5.1μΩ・cmであり、いずれも低かった。ま
た、パーティクルの発生個数が比較例では100ケ/ウ
エハーで、著しく多いのに対し、実施例1及び実施例2
ではそれぞれ8ケ/ウエハー、10ケ/ウエハーであ
り、いずれも低く本発明の方が優れている。このように
本発明の純度が向上したことにより、電気抵抗が減少
し、またスパッタリング時のパーティクルの発生個数も
著しく減少しているのが分かる。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】上記の通り、本発明のコバルト粉を使用
したスパッタリング膜は、ゲート絶縁膜中を移動しMO
S−LSI界面特性の劣化の原因となるNa、K等のア
ルカリ金属が減少し、U、Th等の放射性元素のα線に
よる素子のソフトエラーがくなり、Fe及びNiによる
界面接合部のトラブルも減少する。また、薄膜を構成す
る物質あるいはその薄膜に含まれる不純物が隣接する薄
膜に拡散するという問題がなくなり、自膜及び隣接膜の
構成物質のバランスを崩すことがなく、本来所有する膜
の機能が低下するという問題もなくなり、スパッタリン
グ後に形成される電極又は配線等が信頼性のある半導体
動作性を十分に保証することができるという優れた効果
を有する。さらに、このスパッタリング膜の形成に際し
て、コバルト(合金・化合物)ターゲット中の不純物が
減少、特にガス成分である酸素、炭素、水素、窒素等が
減少しているので、スパッタチャンバ内に浮遊する粗大
化した粒子が基板上に付着して薄膜回路を短絡させるよ
うなことがなくなり、また薄膜の突起物の原因となるパ
ーティクルの発生量も減少する。さらにスパッタリング
中に、ガスによる突発が原因と考えられる異常放電を起
こすこともなくなり、コバルト成膜の電気抵抗も小さい
という著しい特徴を有する。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe及びNiの各含有量が10ppm以
    下であることを特徴とする高純度コバルト粉。
  2. 【請求項2】 Fe及びNiの各含有量が1ppm以下
    であることを特徴とする高純度コバルト粉。
  3. 【請求項3】 Na、K等のアルカリ金属元素の各含有
    量が0.1ppm以下であり、U、Th等の放射性元素
    の各含有量が0.1ppb以下であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の高純度コバルト粉。
  4. 【請求項4】 酸素及び炭素等ガス成分の各含有量が1
    000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3
    のそれぞれに記載の高純度コバルト粉。
  5. 【請求項5】 Fe及びNi、放射性元素、アルカリ金
    属元素等を不純物として含有するコバルト原料を塩酸で
    溶解し、塩酸濃度が7〜12Nの塩化コバルト水溶液
    を、陰イオン交換樹脂と接触させコバルトを吸着させた
    後、1〜6Nの塩酸を用いてコバルトを溶離し、得られ
    た溶離液を蒸発乾固又は水酸化アンモニウムで中和して
    コバルトの塩化物又は水酸化物とし、さらに600°C
    以上の温度で水素還元することを特徴とする高純度コバ
    ルト粉の製造方法。
  6. 【請求項6】 Fe及びNi、放射性元素、アルカリ金
    属元素等を不純物として含有するコバルト原料を塩酸で
    溶解し、塩酸濃度が7〜12Nの塩化コバルト水溶液
    を、陰イオン交換樹脂と接触させコバルト、鉄及びウラ
    ンを吸着させた後、1〜6Nの塩酸を用いてコバルトを
    溶離し、得られた溶離液を蒸発乾固又は水酸化アンモニ
    ウムで中和してコバルトの塩化物又は水酸化物とし、さ
    らに600°C以上の温度で水素還元することを特徴と
    する高純度コバルト粉の製造方法。
  7. 【請求項7】 Fe及びNiの各含有量が10ppm以
    下であることを特徴とする請求項5又は6記載の高純度
    コバルト粉の製造方法。
  8. 【請求項8】 Fe及びNiの各含有量が1ppm以下
    であることを特徴とする請求項5又は6記載の高純度コ
    バルト粉の製造方法。
  9. 【請求項9】 Na、K等のアルカリ金属元素の各含有
    量が0.1ppm以下であり、U、Th等の放射性元素
    の各含有量が0.1ppb以下であることを特徴とする
    請求項5〜8のそれぞれに記載の高純度コバルト粉の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 酸素及び炭素等ガス成分の各含有量が
    1000ppm以下であることを特徴とする請求項5〜
    9のそれぞれに記載の高純度コバルト粉の製造方法。
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JP2012012619A (ja) * 2010-06-29 2012-01-19 Jx Nippon Mining & Metals Corp コバルト粉末及びその製造方法
JP2012041265A (ja) * 2011-08-23 2012-03-01 Tanaka Chemical Corp ニッケル酸化物の製造方法

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