JP2001073322A - 別置型ヘリポートを備えた無人中高層建築物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】緊急搬送が必要な場所へのヘリポートの設置が
比較的容易に可能になり、緊急時の場合などにヘリコプ
ターによる人や搬送物の搬送を迅速に効率よく行うこと
ができる別置型ヘリポートを備えた無人中高層建築物を
提供する。 【解決手段】オフィスや住居などとして利用されていな
い無人の中高層建築物１の屋上１３に、ヘリポート２が
架台３により支持されて別置されるとともに、該中高層
建築物１には、屋上１３もしくはヘリポート２と地上と
の間で人や搬送物を搬送可能なリフト手段４が設けられ
ている。無人中高層建築物１が立体駐車場であって、当
該立体駐車場に設置されている既存のリフト装置をリフ
ト手段として併用するようになされている。前記ヘリポ
ート２が前記中高層建築物１の屋上１３に対して移動自
在に構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オフィスなどとし
て利用されていない既存もしくは新たに建設される無人
中高層建築物の屋上にヘリポートを別置する別置型ヘリ
ポートを備えた無人中高層建築物に関し、緊急時などの
際の人や搬送物の搬送などに利用される。

【０００２】

【従来の技術】従来、ホテルやオフィスなどの有人の中
高層ビルの屋上に、この屋上の天面を発着場とするヘリ
ポートを設け、緊急時などには当該ヘリポートを利用し
て人や搬送物の搬送などを行うようになされている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のようにオフィスなどの有人の中高層ビルの屋上にヘ
リポートを設けたものでは、以下のような問題があっ
た。 有人の中高層ビルにヘリポートを設けているため、
ヘリコプターの発着による騒音や振動が、その都度ビル
内で活動する人にも響き環境の悪化を招いていた。 ヘリポートの設置の有無は屋上の広さや形状に依存
せざるを得ない。即ち、ヘリポートの設置面積より屋上
の平坦な面積が大きなビルなどにのみ当該ヘリポートが
設置可能であり、ヘリポートを設置する上での制約を受
ける。 上記のようにヘリポート設置上の制約を受けるこ
とから、例えば病院などのように緊急患者などの緊急搬
送が必要な場合でも、近くに利用できるヘリポートが無
いことが多く、早急な対応ができない。また、利用価値
の高い場所に新たにヘリポートを設置するとなると、こ
のヘリポートが設置可能なビルなどが必要になることか
ら、敷地の確保や建設費用など設置の制約が格段に大き
くなり、実現が不可能に近い。 屋上の平坦な天面にヘリポートを設けているため、
多数のビルが隣接している所では、遠い所から見た場合
にどのビルの屋上にヘリポートが設置されているか否か
の判断が困難で、目標とするヘリポートへの着陸ルート
の決定に支障を来す。

【０００４】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明の別
置型ヘリポートを備えた無人中高層建築物は、オフィス
や住居などとして利用されていない無人の中高層建築物
の屋上に、ヘリポートが架台により支持されて別置され
るとともに、該中高層建築物には、上記屋上もしくはヘ
リポートと地上との間で人や搬送物を搬送可能なリフト
手段が設けられたものである。

【０００５】請求項２に係る発明の別置型ヘリポートを
備えた無人中高層建築物は、前記無人中高層建築物が立
体駐車場であって、当該立体駐車場に設置されている既
存のリフト装置を前記リフト手段として併用するように
なされたものである。

【０００６】請求項３に係る発明の別置型ヘリポートを
備えた無人中高層建築物は、前記ヘリポートが前記中高
層建築物の屋上に対して移動自在に構成されたものであ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。

【０００８】図１は、別置型ヘリポートを備えた無人中
高層建築物を示している。図において、１は、無人中高
層建築物としての一例である立体駐車場である。立体駐
車場１は、建屋１１の内部に複数台の自動車が駐車可能
な駐車手段（図示省略）を設けてなる。

【０００９】駐車手段としては、１台の自動車を載置す
るバケットが複数台垂直方向に循環可能になされた、所
謂垂直循環式のものや、後述する適宜なリフト装置で各
駐車階に自動車を搬送して駐車させるものなど、従来周
知の装置が用いられる。

【００１０】この立体駐車場１の地上に臨む下端適所に
は、自動車の出入口１２が設けられており、この出入口
１２を通じて前記駐車手段により自動車の搬出入を行う
ことができる。

【００１１】従って、この立体駐車場１は、自動車のみ
が駐車された無人の中高層建築物となっている。。

【００１２】そして、立体駐車場１の屋上１３には、ヘ
リポート２が設置されている。このヘリポート２は屋上
１３に架台３を介して設置されている。

【００１３】架台３は、屋上１３の天面から立設された
複数本の支柱３１と、屋上１３から側方に張り出したヘ
リポート２の部位を強度的に支持するためにトラスを形
成するトラス部材３２とで構成されており、これら支柱
３１とトラス部材３２とによってヘリポート２が屋上１
３から所定高さの位置に安定した状態で設置されてい
る。

【００１４】このように架台３を介してヘリポート２を
屋上１３に別置することにより、本例のようにヘリポー
ト２の一部を屋上から側方に張り出させて設置すること
が可能であり、当該屋上１３の天面の面積よりも広い面
積のヘリポート２を設置することができるとともに、屋
上１３に凹凸があったとしても支柱３１等が立設できれ
ばヘリポート２を設置することができる。なお、屋上１
３の天面の面積がヘリポート２の面積よりも広く屋上１
３に余裕がある場合には、当該屋上１３から張り出して
設ける必要がないことは言うまでもない。

【００１５】前記ヘリポート２は、発着面となる上面が
平坦な板状になされている。また、屋上１３には、階段
１４が設けられており、この階段１４を通じて当該屋上
１３から架台３の分だけ高く配置されたヘリポート２に
行き来することができるように構成されている。

【００１６】さらに、前記屋上１３にはリフト手段４が
設けられている。リフト手段４は、屋上１３と地上との
間で、人や搬送物を搬送するためのもので、例えば図示
例のように屋上１３から建屋１１の側方に一対のアーム
４２を介して一対のワイヤ４３によって吊り下げたゴン
ドラ４１をウインチ４４等の昇降駆動手段により昇降可
能に構成している。前記昇降駆動手段の駆動源は、昇降
駆動手段専用の駆動源を用いてもよいし、立体駐車場１
の駐車手段などの駆動源を併用してもよい。

【００１７】上記ゴンドラ４１は、当該ゴンドラ４１
内、屋上１３及び地上、またはこれらのうち必要箇所に
設けた操作装置により昇降操作可能になされている。

【００１８】前記リフト手段４は、本実施の形態に限ら
ず、ゴンドラ４１を自動車が乗り入れ可能なパレットに
することで、緊急自動車等の自動車を地上とヘリポート
２との間で搬送するようにしてもよい。

【００１９】また、リフト手段４は、例えば建屋１１の
外側または可能であれば内部にエレベータを設けること
により構成してもよく、人や搬送物を屋上１３と地上と
の間で搬送できるものであれば何でもよい。

【００２０】さらに、屋上を介さずに、地上と直接ヘリ
ポート２との間で人や搬送物を搬送するようにリフト手
段４を配設してもよい。

【００２１】このように立体駐車場１にヘリポート２を
設けることにより、既存の設備にヘリポート２が手軽に
設置可能になり、コスト面や規模など設置上の制約が大
幅に緩和され、このヘリポート２を有効に利用すること
ができる。

【００２２】例えば、病院に立体駐車場１が設置されて
いる場合には、その立体駐車場１にヘリポート２を設置
することで、緊急患者、並びに手術に必要な血液や臓器
などの緊急搬送が必要な場合などに早急に対応すること
ができる。特に臓器移植が行われている今日では、臓器
の早期輸送にこのヘリポート２を利用することができ、
利用価値が高い。

【００２３】また、新たにヘリポート２を設けようとす
る場合でも、立体駐車場１は小さい敷地面積で多数の自
動車が収容できることから、立体駐車場１自体を設置す
るメリットが大きいため、ヘリポート２の設置計画が立
て易い。

【００２４】さらに、立体駐車場１の屋上１３に、ヘリ
ポート２を別置しているため、ヘリポート２が立体駐車
場１の形態に融合されることなく、別の形態として認識
でき、これにより遠い所からでもヘリポート２が容易に
わかり、着陸する際に最適なルートを早期にとることが
でき、人や搬送物の搬送を早急に行うことができる。

【００２５】また、ヘリポート２は無人である立体駐車
場１に設けているため、ヘリポート２へのヘリコプター
発着の際の騒音や振動が内部のものに悪影響を及ぼすこ
ともない。

【００２６】さらに、前記ヘリポート２は、屋上１３に
対して図示しない移動手段により水平方向に移動自在に
構成してもよい。

【００２７】この移動手段は、前記架台３を屋上１３に
対して移動させるか、もしくは架台３に対してヘリポー
ト２を移動させるように構成されている。具体的には、
例えば架台３を屋上に対して移動させるようにする場合
には、屋上１３の天面にガイドレールを設置するととも
に、このガイドレールに沿って移動可能なローラ等の移
動部材を架台３側に設け、駆動モータなどの駆動手段に
より当該架台３を屋上１３の天面上においてその一方向
に移動させるように構成すればよい。また、上記移動方
向と直交する方向に移動可能なように上述と同様な移動
手段を重畳して設けることで、水平面上においてその位
置を自由に移動可能に構成してもよい。

【００２８】このようにヘリポート２を移動自在に構成
することで、風向や風力などの気象状況に応じて、屋上
１３に対してヘリポート２をヘリコプターの発着に適し
た位置に随時移動させることができ、ヘリコプターによ
る人や搬送物の搬送をさらに迅速に効率よく行うことが
できる。

【００２９】さらに、前記立体駐車場１やヘリポート２
に以下のような工夫を凝らすことで、さらなる付加価値
を与えることができる。

【００３０】まず、立体駐車場１には窓が無いため、建
屋１１の外周壁全体を吸音・制振作用を有する外壁で構
築することができ、これによりヘリコプターの発着に伴
う騒音や振動を抑制させ、建屋１１の共振を低減させる
ことができる。

【００３１】建屋１１の外周壁にヘリポート２があるこ
との装飾を施すことで、ヘリポート２があることをさら
に容易に認識させることができる。さらに、その外周壁
にライト等によりヘリポート２があることの電装を施す
ことで、夜間や視界が悪い状況でもヘリポート２がある
ことを容易に認識させることができる。

【００３２】ヘリポート２上における状況を風向検出手
段や風力検出手段により検出し、この検出結果に基づい
てヘリコプターが着陸し易い方向を適宜な報知手段によ
り知らせ、ヘリコプターが着陸する際における、安全
性、迅速性を確保することができる。

【００３３】図２は、前述したヘリポートを設ける立体
駐車場の他の例を示している。この立体駐車場１は、建
屋１１の各階に自動車を駐車する複数の駐車部１５が設
けられており、図示しない昇降装置により昇降自在なリ
フト装置１６で自動車を適宜階に搬送し、その階の駐車
部１５に当該自動車を駐車させるように構成されたもの
である。そして、このように構成された立体駐車場１の
屋上１３に図示はしないが前述したヘリポートが架台を
介して設けられる。

【００３４】ここで、リフト装置１６は、自動車の出入
口階と各階のみならず、屋上１３にも移動可能にするこ
とで、自動車の搬送を行う立体駐車場自体のリフト装置
１６をヘリポート２と地上との間で人や搬送物を搬送す
るリフト手段として併用することができる。つまり、リ
フト手段を新たに設置する必要がないため、設備コスト
をさらに低減させることができる。

【００３５】なお、本実施の形態では、無人中高層建築
物として立体駐車場を例に採って説明したが、屋外広告
塔や無人倉庫なども無人中高層建築物としてヘリポート
２の設置に適用することができる。

【００３６】また、前記無人中高層建築物に隣接して建
築物が有る場合には、これら建築物間に連絡通路を設
け、当該連絡通路を通じて地上を経由することなくヘリ
ポート２とその建築物との間で移動することもできる。

【００３７】

【発明の効果】以上述べたように、請求項１に係る発明
によれば、無人中高層建築物の屋上に架台を介してヘリ
ポートを別置することで、既存の設備にヘリポートが手
軽に設置可能になり、コスト面や規模など設置上の制約
が大幅に緩和されることから、緊急搬送が必要な場所へ
のヘリポートの設置が比較的容易に可能になり、緊急時
に早急に対応することができる。

【００３８】また、無人中高層建築物の屋上にヘリポー
トを別置しているため、ヘリポートが建築物の形態に融
合されることなく、別の形態として認識でき、これによ
り遠い所からでもヘリポートが容易にわかり、着陸する
際に最適なルートを早期にとることができ、人や搬送物
の搬送を早急に行うことができる。

【００３９】さらに、ヘリポートを無人中高層建築物に
設けているため、ヘリポートへのヘリコプター発着の際
の騒音や振動が内部のものに悪影響を及ぼすこともな
い。

【００４０】また、架台を工夫することでヘリポートの
一部を無人中高層建築物の屋上から側方に張り出させて
設置することが可能であり、当該屋上の天面の面積より
も広い面積のヘリポートを設置することができるととも
に、屋上に凹凸が有ったとしても架台が立設できればヘ
リポートを設置することができる。

【００４１】請求項２に係る発明によれば、無人中高層
建築物として立体駐車場を用い、この立体駐車場に設置
されている既存のリフト装置をリフト手段として併用す
ることで新たにリフト手段を設置する必要がないため、
設備コストをさらに低減させることができる。

【００４２】請求項３に係る発明によれば、ヘリポート
を無人中高層建築物の屋上において移動自在に構成する
ことで、風向や風力などの気象状況に応じて、ヘリポー
トをヘリコプターの発着に適した位置に随時移動させる
ことができ、ヘリコプターによる人や搬送物の搬送をさ
らに迅速に効率よく行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】別置型ヘリポートを備えた無人中高層建築物の
概略構成を示す斜視図である。

【図２】別置型ヘリポートを設置する無人中高層建築物
としての立体駐車場の他の例を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 立体駐車場（無人中高層建築物） ２ ヘリポート ３ 架台 ４ リフト手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オフィスや住居などとして利用されてい
   ない無人の中高層建築物の屋上に、ヘリポートが架台に
   より支持されて別置されるとともに、該中高層建築物に
   は、上記屋上もしくはヘリポートと地上との間で人や搬
   送物を搬送可能なリフト手段が設けられたことを特徴と
   する別置型ヘリポートを備えた無人中高層建築物。
2. 【請求項２】 前記無人中高層建築物が立体駐車場であ
   って、当該立体駐車場に設置されている既存のリフト装
   置を前記リフト手段として併用するようになされたこと
   を特徴とする請求項１記載の別置型ヘリポートを備えた
   無人中高層建築物。
3. 【請求項３】 前記ヘリポートが前記中高層建築物の屋
   上に対して移動自在に構成されたことを特徴とする請求
   項１又は２記載の別置型ヘリポートを備えた無人中高層
   建築物。