JP2001073109A - 溶射用粉末、溶射方法、被覆部材および溶射物 - Google Patents

溶射用粉末、溶射方法、被覆部材および溶射物

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JP2001073109A
JP2001073109A JP24487199A JP24487199A JP2001073109A JP 2001073109 A JP2001073109 A JP 2001073109A JP 24487199 A JP24487199 A JP 24487199A JP 24487199 A JP24487199 A JP 24487199A JP 2001073109 A JP2001073109 A JP 2001073109A
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JP24487199A
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English (en)
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Toshihiko Kaji
俊彦 鍛冶
Hisao Hattori
久雄 服部
Manabu Hashikura
学 橋倉
Takatoshi Takigawa
貴稔 瀧川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、靭性および耐摩耗性に優れたアルミ
ニウム合金マトリックスの溶射被覆部材または溶射物
と、それらを得るための溶射用粉末および溶射方法を提
供する。 【解決手段】 本発明の溶射用粉末は、Zrを0.5重
量%以上3.5重量%以下含み、La、Ce、Ndおよ
びMMよりなる群から選ばれる1種以上を4重量%以上
18重量%以下含み、Fe、Co、Ni、Ti、Mn、
CrおよびMoよりなる群から選ばれる1種以上を0.
5重量%以上5重量%以下含み、残部が実質的にAlか
らなる組成を有している。この溶射用粉末を用いて溶射
することで、被覆部材および溶射物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム急冷
凝固粉末を用いた溶射技術に関し、より特定的には、溶
射用粉末、溶射方法、被覆部材および溶射物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム急冷凝固粉末を用いた溶射
技術は、たとえば特開平11−172465号公報に開
示されている。この公報には、Si(シリコン)を26
〜80重量%および所望により他の添加成分を含有し、
残部がAl(アルミニウム)および不可避不純物からな
る組成の耐摩耗性被覆部材をプラズマ溶射で形成するこ
とが示されている。このようにSi量を高めた組成とす
ることにより、微細な組織が得られ、それにより耐摩耗
性および被削性が改善されて摩擦係数(μ)の低い耐摩
耗性被覆部材が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の技術では、Si
量を多くすることによって耐摩耗性を高めようとしてい
るが、この手法では耐摩耗性の向上に限界がある。また
この組成を有する溶射皮膜は大変脆い。またその溶射皮
膜の耐熱性も十分ではない。さらに、プラズマ溶射のよ
うに冷却速度が高い(〜105K/s)場合はよいが、
冷却速度の遅い他の溶射方法により製造した場合には、
上記耐摩耗性の改善などが得られない。
【0004】それゆえ本発明の1の目的は、耐熱性およ
び靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れたアルミニウ
ム合金マトリックスの溶射被覆部材または溶射物を提供
すること、およびその溶射被覆部材などを得るための溶
射用粉末と溶射方法とを提供することである。
【0005】また本発明の他の目的は、プラズマ溶射よ
りも冷却速度の低い溶射方法を用いた場合でも、耐熱
性、靭性および耐摩耗性に優れた溶射被覆部材または溶
射物を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記問
題を解決すべく鋭意検討した結果、Siを含有させな
い、または少量含有させるとともに、Zr(ジルコニウ
ム)と遷移金属元素と希土類元素とを所望量含有させた
組成の溶射用粉末を用いて溶射することで、耐熱性およ
び靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れた被覆部材ま
たは溶射物の得られることを見出した。
【0007】それゆえ、本発明の一の局面に従う溶射用
粉末は、Zrを0.5重量%以上3.5重量%以下含
み、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Nd(ネオ
ジム)およびMM(ミッシュメタル)よりなる群から選
ばれる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、F
e(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Ti
(チタン)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)および
Mo(モリブデン)よりなる群から選ばれる1種以上を
0.5重量%以上5重量%以下含み、残部が実質的にA
lからなる組成である。
【0008】また本発明の他の局面に従う溶射用粉末
は、上記一の局面の溶射用粉末の組成にさらにSiを1
0重量%以上20重量%以下含む組成を有している。
【0009】本発明の一および他の局面における溶射用
粉末では、La、Ce、NdおよびMMの少なくともい
ずれかが含まれている。これらの希土類元素は溶湯の粘
度を高めて組織を微細化するとともに、Al−希土類系
の金属間化合物を結晶粒界に晶出させて高温強度を高め
る役割をなす。これらの希土類元素の含有量が4重量%
未満の場合には上記の組織微細化および高温強度向上の
効果が出ず、また18重量%を超える場合にはそれらの
効果が飽和しかつ材料が脆性化する。
【0010】またFe、Co、Ni、Ti、Mn、C
r、Moの遷移金属元素は、溶湯をAl−希土類−遷移
金属系とすることで、溶湯の粘度を一層高め、組織をよ
り微細にするとともに耐熱性を高める役割をなす。これ
らの遷移金属元素の含有量が0.5重量%未満の場合に
は組織微細化と耐熱性向上の効果が小さく、また5重量
%を超える場合には靭性値が低下してしまう。
【0011】またZrは、Al3ZrをAlの優先核と
することで、Al結晶粒を小さくする役割をなす。Zr
の含有量が0.5重量%未満の場合には上記の結晶粒微
細化の効果が小さく、また3.5重量%を超える場合に
は融点が上がるためアトマイズ粉末を作製することが困
難となる。
【0012】また本発明の一の局面ではSiは含有され
ておらず、他の局面ではSiは10重量%以上20重量
%以下と従来例よりも少ない含有量とされている。この
ため、従来例のようにSiを多量に含有させた場合に生
ずる靭性低下は生じない。なお、Si初晶の粒径は2〜
4μmである。またSiの含有量が10重量%未満の場
合には耐摩耗性向上の効果が小さく、20重量%を超え
る場合には靭性が低下してしまう。
【0013】本発明のさらに他の局面に従う溶射用粉末
は、上記の本発明の一または他の局面に従う溶射用粉末
と、Al23、SiC、AlN、Si34、ZrO2
TiCおよびSiO2よりなる群から選ばれる1種以上
の硬質粒子粉末とを含む混合粉末からなっている。
【0014】これらの硬質粒子粉末を混合することによ
り、Siを添加する場合よりも高い耐摩耗性を得ること
ができる。なぜなら、これらの硬質粒子はSiよりも耐
熱性があり、硬度も高く、靭性も高いからである。な
お、これらの硬質粒子粉末は、混合粉末に対して2重量
%以上10重量%以下の範囲で混合されることが好まし
い。
【0015】本発明の溶射方法は、上記一または他の局
面に従う溶射用粉末を用いて行なわれる。このように上
記組成の粉末を用いて溶射することにより、耐熱性およ
び靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れた被覆部材も
しくは溶射物を製造することができる。
【0016】上記方法により製造された本発明の一の局
面に従う被覆部材は、基材と、その基材の表面上に形成
された皮膜とを備えている。その皮膜は、Zrを0.5
重量%以上3.5重量%以下含み、La、Ce、Ndお
よびMMよりなる群から選ばれる1種以上を4重量%以
上18重量%以下含み、Fe、Co、Ni、Ti、M
n、CrおよびMoよりなる群から選ばれる1種以上を
0.5重量%以上5重量%以下含み、残部が実質的にA
lからなる組成である。
【0017】また上記方法により製造された本発明の他
の局面に従う被覆部材は、基材と、その基材の表面上に
形成された皮膜とを備えている。その皮膜は、上記一の
局面の被覆部材の皮膜の組成にさらにSiを10重量%
以上20重量%以下含む組成である。
【0018】本発明の一および他の局面に従う被覆部材
は、皮膜が上記組成を有するため、上述したように耐熱
性および靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れてい
る。
【0019】上記一および他の局面に従う被覆部材にお
いて好ましくは、基材はAl合金である。
【0020】Al合金は軽いが、耐摺動特性や耐熱性に
おいては一般的に劣る。したがって、これに上記の耐熱
性、靭性および耐摩耗性に優れた皮膜を付けることによ
って、基材の付加価値を高めることができる。また、皮
膜がAl系の材質であるため、基材との熱膨張係数差を
小さくすることができ、熱膨張係数差に基づく剥がれが
生じることを防止することができる。
【0021】上記一および他の局面に従う被覆部材にお
いて好ましくは、皮膜は溶射により形成された皮膜であ
る。
【0022】溶射により皮膜を形成することによって、
非常に手軽に表面皮膜を作製することができる。またア
トマイズ溶射は、プラズマ溶射に比べて冷却速度が遅い
点において劣るが、上記組成を有する皮膜の形成におい
てはアトマイズ溶射を用いても十分に組織の微細化を図
ることができる。
【0023】本発明の一の局面に従う溶射物は、Zrを
0.5重量%以上3.5重量%以下含み、La、Ce、
NdおよびMMよりなる群から選ばれる1種以上を4重
量%以上18重量%以下含み、Fe、Co、Ni、T
i、Mn、CrおよびMoよりなる群から選ばれる1種
以上を0.5重量%以上5重量%以下含み、残部が実質
的にAlからなる組成であり、かつ偏平な粒子から形成
されている。
【0024】また本発明の他の局面に従う溶射物は、上
記一の局面の溶射物の組成にさらにSiを10重量%以
上20重量%以下含む組成を有し、かつ偏平な粒子から
形成されている。
【0025】上記の一および他の局面に従う溶射物で
は、上記組成を有するため、耐熱性、靭性および耐摩耗
性に優れ、かつプラズマ溶射以外のたとえばアトマイズ
溶射のような比較的遅い冷却速度(102〜104K/
s)においても、微細組織を得ることができる。したが
って、被覆物のみならず、バルク体においても良好な特
性を得ることができる。
【0026】なお、本願における溶射物とは、溶射によ
り形成されたものを意味し、被覆物やバルク体の形態を
含む。
【0027】
【実施例】(実施例1)表1〜表3の組成(番号1〜3
8)のエアーアトマイズ粉末を、プラズマ溶射法で80
×40×5mmの5052合金の片面に厚さ200μm
の溶射皮膜を形成した。溶射に先立って、皮膜の密着性
を向上させる目的で♯60のアルミナビーズでブラスト
を行なった。溶射粉末に硬質粒子粉末を添加する場合
は、いずれの硬質粒子粉末についても平均粒径が2μm
のものを使用し、V型混合機に直径10mmのジルコニ
アボールを入れて1時間攪拌して均一に混合したものを
用いた。溶射皮膜の表面を♯800で平坦に研磨してピ
ンオンディスク試験で耐摩耗性を調査した。
【0028】相手材はφ80×10mmの窒化鋼とし、
試験条件は、温度:室温、荷重:60kg、摩擦速度:
4.4m/s、摩擦長:200m、潤滑剤:SAE10
W30とした。摩耗した部分の長さをmmで表4に示
す。
【0029】この結果より、Siを多量に含有させた比
較例と同等以上の耐摩耗性が本発明例で得られているこ
とがわかる。
【0030】また、硬度は上記板材の被覆面をバフ研磨
し、ビッカース硬度計にて100gの荷重で測定した。
耐熱性の評価には、上記硬度試験片を恒温槽で窒素雰囲
気中で24時間加熱焼鈍した後、室温まで自然冷却して
同様に硬度を計測した。結果を同じく表4に示す。
【0031】この結果より、本発明例では、400℃以
下の温度では硬度Hvが150以上であり、450℃の
温度では硬度Hvが120以上であり、500℃の温度
では硬度Hvが60以上であり、耐熱性が非常に高いこ
とがわかる。
【0032】さらに、皮膜の高温疲労強度を計るため
に、小野式回転曲げ疲労試験片を5052で作製し、そ
のゲージ部(φ6)に上記と同様にショットブラストを
施した後、プラズマ溶射で200μmの厚みの溶射皮膜
を形成し、ラッピングした後、300℃で107の疲労
強度を計測した。これは番号1、4、20、27、2
9、35の試料に対して行なった。その結果を表4に示
す。
【0033】この結果より、硬質粒子を添加しなければ
耐摩耗性を最高値にすることはできないが、硬質粒子を
添加しない場合でも本発明例では皮膜の高温強度が高い
ため、高い疲労強度を発現することがわかる。
【0034】さらに、皮膜の靭性を評価するために、5
052のφ30×40hのディスクの側面に上記と同様
にショットブラストを施した後、プラズマ溶射で200
μmの厚みの溶射皮膜を形成し、♯800で研磨した
後、10トンオートグラフを用いて450℃で80%の
据え込みを行ない、亀裂の有無を評価した。その結果を
表4に示す。
【0035】この結果より、本発明例の皮膜は靭性に優
れているため、皮膜形成後の熱間塑性加工が可能である
ことがわかる。
【0036】なお、表1にはSiを含有しない組成の本
発明例を示し、表3にはSiを含有する組成の本発明例
を示している。また、表1〜表3においてAlの欄の
「残」という記載は残部であることを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】さらに、試料番号1の本発明例における基
材と溶射皮膜との断面組織の観察を行なった。その結果
を図1および図2に示す。図1および図2より、本発明
例の溶射皮膜は、偏平な粒子から形成されていることが
わかる。
【0042】なお、遷移金属元素Fe、Ni、Ti、M
n、Moの代わりにCoまたはCrを0.5重量%以上
5重量%以下の範囲で添加した場合にも、本発明例と同
様の特性が得られることを確認した。また希土類元素L
a、Ce、MMの代わりにNdを4重量%以上18重量
%以下の範囲で添加した場合にも、本発明例と同様の特
性が得られることを確認した。また硬質粒子Al23
AlN、Si34の代わりにSiC、ZrO2、Ti
C、SiO2を2重量%以上10重量%以下の範囲で混
合した場合にも、本発明例と同様の特性が得られること
を確認した。
【0043】なお、硬質粒子として、Al23はHv2
500、ρ(密度)3.99のものを用い、SiCはH
v3500、ρ2.8のものを用い、AlNはHv14
00、ρ3.3のものを用い、Si34はHv180
0、ρ3.3のものを用い、ZrO2はHv1300、
ρ6.0のものを用い、TiCはHv3200、ρ4.
92のものを用い、SiO2はHv1250、ρ2.5
のものを用いた。
【0044】上記表1、表2および表4の結果より、Z
rを0.5重量%以上3.5重量%以下含み、La、C
e、NdおよびMMよりなる群から選ばれる1種以上を
4重量%以上18重量%以下含み、Fe、Co、Ni、
Ti、Mn、CrおよびMoよりなる群から選ばれる1
種以上を0.5重量%以上5重量%以下含み、残部が実
質的にAlからなる組成の溶射用粉末を用いることによ
り、耐熱性および靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優
れた被覆部材または溶射物の得られることが判明した。
【0045】なお、番号20〜26の比較例において低
い靭性値を示したのは、Siが多量に含有されたことに
より溶射皮膜が脆化したためと考えられる。また番号2
0〜26の試料において低い耐熱性を示したのは、希土
類元素を含まないためと考えられる。
【0046】番号27の比較例において低い耐熱性を示
したのは、Zrの含有量が少なかったためと考えられ
る。
【0047】番号28の比較例において、溶射皮膜の組
成が狙いどおりにならなかったのは、Zrの含有量が多
くアトマイズが困難であったためと考えられる。
【0048】番号29の比較例において、低い耐熱性を
示したのは、遷移金属元素の含有量が少なかったためと
考えられる。
【0049】番号30の比較例において、低い靭性値を
示したのは、遷移金属元素の含有量が多すぎたためと考
えられる。
【0050】番号31の比較例において、低い耐熱性を
示したのは、希土類元素の含有量が少なかったためと考
えられる。
【0051】番号32および33の比較例において、低
い靭性値を示したのは、希土類元素の含有量が多すぎた
ためと考えられる。
【0052】また表3および表4の結果より、Zrを
0.5重量%以上3.5重量%以下含み、La、Ce、
NdおよびMMよりなる群から選ばれる1種以上を4重
量%以上18重量%以下含み、Fe、Co、Ni、T
i、Mn、CrおよびMoよりなる群から選ばれる1種
以上を0.5重量%以上5重量%以下含み、Siを10
重量%以上20重量%以下含み、残部が実質的にAlか
らなる組成の溶射用粉末を用いることにより、耐熱性お
よび靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れた被覆部材
または溶射物の得られることが判明した。
【0053】なお、番号34の比較例において、自己摩
耗量が多かったのは、Siの含有量が少なかったためと
考えられる。
【0054】番号38の比較例において、低い靭性値を
示したのは、Siの含有量が多すぎたためと考えられ
る。
【0055】また表1〜表4の結果より、Siを含有し
ない場合および少量含有する場合の双方において、、A
23、SiC、AlN、Si34、ZrO2、TiC
およびSiO2よりなる群から選ばれる1種以上の硬質
粒子を含む混合粉末を用いることにより、さらに耐摩耗
性に優れた被覆部材または溶射物の得られることが判明
した。
【0056】(実施例2)番号1の組成の溶湯(120
0℃)を準備し、Arガス雰囲気中でArガスアトマイ
ズを行なった。ノズルの直径は1mm、アトマイズガス
の圧力は50kg/cm2とした。ノズルの下側10c
mの場所で、実施例1で使用したブラスト処理後の50
52板を走査させて200μmの厚みの溶射皮膜を形成
した。この皮膜の硬度はHv200、ピンオンディスク
による自己摩耗量は5.5mmと、実施例1のプラズマ
溶射の場合と同様の特性を示した。
【0057】この結果より、本件組成の溶射用粉末を用
いてアトマイズ溶射(冷却速度10 3〜104K/s)に
より溶射皮膜を作製する場合でも、その溶射皮膜は、プ
ラズマ溶射(冷却速度105K/s)で得られた皮膜と
同様の特性を有することがわかった。
【0058】(実施例3)実施例2のアトマイズ溶射を
10分間にわたって行ない、厚み30mmのバルク体を
得た。このバルク体の硬度はやはりHv200であり、
ピンオンディスクによる自己摩耗量は5.0mmであっ
た。
【0059】この結果より、本件組成の溶射用粉末を用
いてアトマイズ溶射(冷却速度10 3〜104K/s)に
よりバルク体を作製する場合(いわゆるスプレーフォー
ミング:冷却速度は102〜103K/s程度)でも、そ
のバルク体は、プラズマ溶射(冷却速度105K/s)
で得られた皮膜と同様の特性を有することがわかった。
【0060】また、バルク体を観察したところ、実施例
1と同様、偏平な粒子から形成されていることがわかっ
た。
【0061】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、従来例
と比較してSiを含有させないか、または少量含有させ
るとともに、Zrと希土類元素と遷移金属元素とを所望
量含有させた溶射用粉末を用いることにより、耐熱性お
よび靭性の双方に優れ、かつ耐摩耗性に優れたアルミニ
ウム合金マトリックスの溶射被覆部材もしくは溶射物を
得ることができる。
【0063】さらに、プラズマ溶射よりも冷却速度の低
い溶射方法を用いた場合でも耐熱性、靭性および耐摩耗
性に優れた溶射被覆部材もしくは溶射物を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明例の被覆部材の断面組織を示す図であ
る。
【図2】 図1を拡大して示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋倉 学 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 瀧川 貴稔 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 4K031 AB08 CB01 CB37 CB43 CB45 CB46

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zrを0.5重量%以上3.5重量%以
    下含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から選
    ばれる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、F
    e、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりなる
    群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%以
    下含み、残部が実質的にAlからなる組成であることを
    特徴とする、溶射用粉末。
  2. 【請求項2】 Zrを0.5重量%以上3.5重量%以
    下含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から選
    ばれる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、F
    e、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりなる
    群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%以
    下含み、Siを10重量%以上20重量%以下含み、残
    部が実質的にAlからなる組成であることを特徴とす
    る、溶射用粉末。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の溶射用粉末を用い
    た、溶射方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2の溶射用粉末と、Al
    23、SiC、AlN、Si34、ZrO2、TiCお
    よびSiO2よりなる群から選ばれる1種以上の硬質粒
    子粉末とを含む混合粉末からなる、溶射用粉末。
  5. 【請求項5】 請求項4の溶射用粉末を用いた、溶射方
    法。
  6. 【請求項6】 基材と、 前記基材の表面上に形成された皮膜とを備え、 前記皮膜は、Zrを0.5重量%以上3.5重量%以下
    含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から選ば
    れる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、F
    e、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりなる
    群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%以
    下含み、残部が実質的にAlからなる組成である、被覆
    部材。
  7. 【請求項7】 基材と、 前記基材の表面上に形成された皮膜とを備え、 前記皮膜は、Zrを0.5重量%以上3.5重量%以下
    含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から選ば
    れる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、F
    e、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりなる
    群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%以
    下含み、Siを10重量%以上20重量%以下含み、残
    部が実質的にAlからなる組成である、被覆部材。
  8. 【請求項8】 前記基材はAl合金である、請求項6ま
    たは7に記載の被覆部材。
  9. 【請求項9】 前記皮膜は溶射により形成された皮膜で
    ある、請求項6または7に記載の被覆部材。
  10. 【請求項10】 Zrを0.5重量%以上3.5重量%
    以下含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から
    選ばれる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、
    Fe、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりな
    る群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%
    以下含み、残部が実質的にAlからなる組成を有し、か
    つ偏平な粒子から形成される、溶射物。
  11. 【請求項11】 Zrを0.5重量%以上3.5重量%
    以下含み、La、Ce、NdおよびMMよりなる群から
    選ばれる1種以上を4重量%以上18重量%以下含み、
    Fe、Co、Ni、Ti、Mn、CrおよびMoよりな
    る群から選ばれる1種以上を0.5重量%以上5重量%
    以下含み、Siを10重量%以上20重量%以下含み、
    残部が実質的にAlからなる組成を有し、かつ偏平な粒
    子から形成される、溶射物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008514818A (ja) * 2004-09-29 2008-05-08 デーナ、コーポレイション 軸受材料および軸受材料を製造するための方法
CN110129708A (zh) * 2019-05-27 2019-08-16 河北工业大学 一种FeCoNiCrAlMnM多主元合金涂层的制备方法

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