JP2001059219A - 埋込み杭 - Google Patents

埋込み杭

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JP2001059219A JP2000182916A JP2000182916A JP2001059219A JP 2001059219 A JP2001059219 A JP 2001059219A JP 2000182916 A JP2000182916 A JP 2000182916A JP 2000182916 A JP2000182916 A JP 2000182916A JP 2001059219 A JP2001059219 A JP 2001059219A
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幸仁 吉澤
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央 松原
Yasutomo Yanagimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 先端を開端した状態で施工ができ、杭体から
先端地盤部への荷重伝達を確実に行うことができ、かつ
経済性に優れた埋込み杭の構造を提供する。 【解決手段】 鋼管等からなる杭一般部1の先端に、孔
部2aを有する有孔底板2を固着し、この有孔底板2に
杭一般部1より大径の鋼管等からなる先端円筒管部3を
固着する。これを根固め材4を注入した掘削孔5内に建
て込み、根固め材4で有孔底板2と先端円筒管部3で囲
まれる空間内を充填する。上部構造物の荷重は、杭一般
部1を介して先端部の有孔底板2に伝達され、さらに支
圧力として根固め材4に伝達される。このとき、硬化し
た根固め材4は有孔底板2からの支圧力を受けると同時
に、先端円筒管部3による側方拘束を受けていわゆる3
軸応力状態にあり、一軸圧縮強度に比べて数倍の耐力を
発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、少なくとも先端
部が根固め材で根固めされた埋込み杭の構造に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】都市部やその近郊部、または、埋め立て
地盤部などでは、地表面からかなりの深さまで軟弱地盤
が存在しているために、構造物を直接支持させることが
できない場合が多い。
【0003】このような場合に、杭を用いて下方の強固
な地盤に構造物の荷重を支持させる杭基礎工法が採用さ
れることが多い。
【0004】一般に、このような杭基礎工法は、打撃工
法、場所打ちコンクリート杭工法、埋込み杭工法に分類
される。
【0005】打撃工法は、既成杭をハンマーなどで地層
中に打ち込む工法であり、場所打ちコンクリート杭工法
は、掘削機または人力で立坑を掘削した後に、この坑内
に鉄筋籠を挿入し、そこにコンクリートを流し込むこと
によって、杭を形成する工法である。
【0006】埋込み杭工法は、先掘り工法と中掘り工法
および回転圧入工法に細分類され、先掘り工法は、掘削
機で地中に立坑を掘削した後に既成杭を圧入する工法、
中掘り工法は掘削ロッドを既成杭の内部に挿入して掘削
しながら杭を建て込んで行く工法、回転圧入工法は杭を
ドリル状に形成するなどして、杭を回転させて推進力を
得つつ、地中に圧入するものである。
【0007】近年、都市部やその近郊地域では、周辺環
境への配慮から、低騒音・低振動の施工が求められるよ
うになり、このような杭基礎工法のうち、特に埋込み杭
工法が多用されている。
【0008】埋込み杭工法のうち、先掘り杭工法や中掘
り杭工法では、図12に示すように、杭11の先端支持
力を増大させる目的で、杭11先端付近の地盤にセメン
トミルクやモルタル等の根固め材(固化材)を用いて杭
径より大きな根固め球根部12を形成する場合がある。
【0009】これは、拡大根固め球根部12が杭11を
強固に支持地盤に連結し、拡大根固め球根部12より上
方での杭外周の摩擦抵抗f1 と拡大根固め球根部12の
外周での摩擦抵抗f2 と、杭11先端部における先端地
盤の支持力pによって構造物の荷重を支持するものであ
る。
【0010】これらの埋込み杭の支持機構のうち、杭先
端付近の地盤の支持力に関しては、中空の筒状杭を用い
る場合でも、先端地盤の支持力を確実に、また効率的に
確保する目的から、杭体自身の先端面の実面積ではな
く、杭の先端を閉塞させて、密実断面として支持地盤に
荷重を伝達するのが一般的であり、そのためには、杭体
から根固め球根部に確実に荷重を伝達することが重要と
なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図12のよう
な杭先端部に何らの対策がなされていない場合には、杭
体から根固め球根部への荷重伝達は、杭先端面での支圧
と、杭体と根固め材との付着によって行われることにな
る。
【0012】しかし、一般に、根固め材の強度に対して
杭先端面の面積が小さく、かつ杭体と根固め材の付着に
おいては、根固め材の圧縮強度の高々数パーセントの付
着強度しか期待できない。
【0013】したがって、杭先端の確実な閉塞と杭から
先端地盤への確実な荷重伝達を確保するためには、根固
め球根部の強度を非常に高いものにするか、または杭体
内に多量の根固め材を充填して付着長を稼ぐことが必要
になる。
【0014】しかし、これらの方法は、施工方法や管理
が複雑になったり、多量の根固め材や特殊な材料が必要
になったりするために非常に不経済となり、地中深くで
の作業であることを考慮すると、不確実性を増すことに
もなり、実用的でない。
【0015】これに対し、先掘り工法では、地盤を掘削
した後に杭を建て込むため、あらかじめ先端を閉塞させ
た杭を圧入することにより、確実に杭先端を閉塞させて
支持地盤や根固め材に荷重を伝達することが可能であ
る。
【0016】しかし、坑内に満たされた孔壁安定液や地
下水によって浮力が作用したり、掘削土が先端付近に詰
まったりして、先端閉塞杭を圧入、着座させるのは困難
なことも多い。特に、鋼管杭等のように比較的薄肉で見
かけの比重(杭全重量を中空部も含めた杭体の体積で除
した値)の小さい杭の場合、杭体の自重に比して大きな
浮力が作用するため、先端閉塞の状態で杭を圧入するに
は多大な労力を必要とするばかりか、仮に圧入できたと
しても杭を所定の位置に着座させておくことは非常に困
難である。
【0017】さらに、中掘り工法では、杭体内部に掘削
ロッドを挿入して掘削しながら杭を建て込むため、あら
かじめ先端を閉塞させた杭を用いることは原理的に不可
能である。
【0018】そこで、これらの課題に対し、例えば特開
昭63−97712号公報に記載されるように、杭先端
部内周面に突起を設けることにより、鋼管杭と先端部の
ソイルセメントの付着強度を高めようとしたものが見ら
れる。
【0019】しかし、この方法によれば、所要の付着力
を確保するために突起高を高くしたり、設置数を増やそ
うとすると、鋼管製作後に鋼管内側の限られた空間内で
高さの高い突起を設置したり、多くの突起を設置するこ
とは煩雑で不経済な作業となるし、特開昭63−977
12号公報に開示されているようにあらかじめ突起を設
けた鋼板から鋼管を形成する場合でも、突起高が高い場
合には、製造上、品質上に問題が生じる。
【0020】一方、突起の高さが小さいと、掘削孔の上
部に残った乱された粘性土、攪拌不十分なままで孔中に
残された粘性度の高い土塊やスライムなどが、杭を圧入
する際に突起部周辺に付着するなどして十分な付着強度
が得られない可能性や、杭設置後にソイルセメントのブ
リージング等により、突起下部に付着性能に悪影響を及
ぼすような間隙が発生する可能性があり、杭の先端の閉
塞、さらには支持地盤への荷重伝達が不確実なものとな
る。
【0021】さらに、杭先端付近に、拡大根固め球根部
を形成して、先端支持力の確実性の向上や支持力性能の
向上を図る場合には、杭から拡大根固め球根部へ確実に
荷重伝達する必要があるが、杭内部の突起による付着力
によって杭先端の閉塞が確保された場合でも、杭外壁側
での根固め材と杭体の付着が確保されず、拡大根固め部
全体に良好な荷重伝達が行われない可能性がある。
【0022】これを改善するために、杭先端部外周面に
も同様の突起を設けることが考えられるが、杭の先端構
造が複雑となり、コストアップにつながる。
【0023】また、杭体から杭先端地盤に確実に荷重伝
達を行うことを目的とした他の事例として、特開平7−
247546号公報に開示された先端根固め工法があ
る。これは、杭本体の先端に底板と、この底板の下方へ
突出する中空連結部材と、この中空連結部材の先端に取
り付けられたアンカー板を設けることにより、根固め部
と杭体を一体化し、大きな鉛直支持力および引抜き抵抗
を得ようとするものである。
【0024】しかし、この場合、底板に開口部が設けら
れていない場合や、開口部が小さい場合には、前述のご
とく、孔壁安定液や地下水からの浮力のために杭の圧入
や着座が困難となってしまう。
【0025】また、この構造では、杭体から根固め部へ
の荷重伝達は主に杭先端の底板部での支圧によって行わ
れるが、底板には少なくとも中空連結部材が設置されて
おり、かつ一般には施工性を確保するために底板に相当
量の有孔部が必要となることから、支圧に有効な先端断
面積が杭の全断面積より小さくなっている。
【0026】さらに、先端付近の地盤は掘削により乱さ
れ、かつ応力が解放されているため、底板による支圧に
対して周辺地盤が根固め材を拘束する効果もそれほど期
待できないこと等からも、先端の根固め材として圧縮強
度の大きな材料が必要であり、材料選定や施工法、施工
管理が複雑で不経済なものとなってしまう。
【0027】本願発明は、先掘り杭工法や中掘り杭工法
等で設置される埋込み杭における上述のように課題に対
して、先端を開端した状態で施工ができ、かつ杭体から
先端地盤部への荷重伝達を確実に行うことができ、さら
に根固め材や施工法に経済性を阻害するような特殊な工
夫や装置を必要としない経済性に優れた埋込み杭の構造
を提供することを目的としたものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る発
明は、少なくとも先端部が根固め材で根固めされる埋込
み杭であって、中空の杭一般部と、前記杭一般部の先端
に固着された杭一般部の外径より大きい外径と杭一般部
の内径以下の径の孔部を有する有孔底板と、前記有孔底
板に固着された先端円筒管部とから形成された杭を、少
なくとも前記有孔底板と前記先端円筒管部とで囲まれる
空間が前記根固め材で満たされるように掘削孔内に設置
し、前記先端円筒管部内の硬化した根固め材を先端円筒
管部で外側から拘束しつつ、前記有孔底板から支圧力と
して伝達される荷重に対する該根固め部の耐力を確保す
るよう構成されていることを特徴とするものである。
【0029】本構造によれば、杭一般部の先端に伝達さ
れた荷重の大部分は、先端に固着された有孔底板から、
支圧力として硬化した根固め材に伝達される。
【0030】このとき、硬化した根固め材は有孔底板か
らの支圧力を受けると同時に、有孔底板から下方に突出
した先端円筒管部による側方拘束受け、いわゆる3軸応
力状態にあり、一軸圧縮強度に比べて数倍の支圧強度を
発揮することができる。
【0031】この先端円筒管部は、先掘り工法や中掘り
工法では掘削によって地盤が乱され、かつ応力解放が生
じるために杭先端付近の地盤による根固め材の拘束効果
が低下している状態でも、根固め材の側方拘束効果を確
実に引き出して、杭の先端を確実に閉塞することを目的
として設けるものであり、その径や根固め材の強度、有
孔底板の孔部の大きさ等を考慮して、所定の拘束効果が
得られるような剛性のものを選択する。
【0032】以上のように、本願発明の埋込み杭では、
施工性を確保するために先端を開端した状態で杭を建て
込むことができる。また、支圧板としての底板に孔部を
設けたことによる支圧面積の減少分を先端円筒管部での
側方拘束効果によって、根固め材の支圧強度を向上させ
ることで、補うことができる。
【0033】そのため、根固め材として特別な材料を用
いたり、施工法やその管理に特別な手法を用いることな
く、確実に開端杭の先端を閉塞することができ、これに
より、杭先端の実断面積ではなく、内部を閉塞した密実
断面として杭先端付近の地盤に荷重を確実に伝達するこ
とができる。
【0034】さらに、先掘り杭工法や中掘り杭工法で
は、杭先端付近に拡大根固め球根部を形成して、先端支
持力の確実性の向上や支持力性能の向上を図ることが行
われる場合があるが、本願発明の埋込み杭においては、
容易にこれと同等またはより確実な効果を得ることがで
きる。
【0035】すなわち、杭一般部の先端に固着する有孔
底板の外径がそれより下方に突出する先端円筒管部の外
径よりも大きくなるように形成しておけば、杭の外壁側
の根固め材に対しても、底板の外側への張り出し部分か
ら支圧力として荷重が伝達されるため、杭先端部から支
持地盤への均等な荷重伝達が実現できる。
【0036】また、より確実に荷重を伝達し、支持力を
向上させるためには、杭一般部の先端に固着する有孔底
板の外径を杭一般部よりも大きくし、かつ先端円筒管部
も杭一般部よりも大径の鋼管等を用いて構成しておけば
よい。
【0037】請求項2は、先端円筒管部の外径が杭一般
部の外径より大きい場合を限定したものであり、支持力
の向上効果や施工性を考慮した場合、請求項3に規定し
たように先端円筒管部の外径D0 が杭一般部の外径d0
の1.1〜1.25倍程度であることが望ましい。
【0038】これによって、底板とそれより下方に突出
する杭一般部より大径の先端円筒管部よりなる空間が閉
塞され、杭一般部の径より大きな径を持つ根固め部分が
確実に構成され、先端支持地盤のより広い範囲に、確実
に荷重を伝達し、より大きな先端支持力を得ることがで
きる。
【0039】以上の本願発明の埋込み杭においては、先
端円筒管部は底板からの支圧力を受ける根固め材の側方
拘束が主目的であることから、少なくとも杭建て込み時
に脱落することのない程度に底板部に固着されていれば
よい。
【0040】請求項4は、請求項1〜3に係る埋込み杭
において、前記有孔底板の孔部の径Dh を前記杭一般部
の内径di より小さくして、杭一般部の内径方向に突出
するようにした場合である。
【0041】有孔底板の孔部の径Dh を杭一般部の内径
i よりも小さくし、杭一般部の内側に張り出させるこ
とによって、この張出し部にも根固め材からの支圧反力
が作用し、荷重伝達機構が安定したものになる。
【0042】このことから、施工性に配慮した上で、内
側への張出し面積を確保するように有孔底板の孔部の径
h を小さくすれば、有孔底板の剛性の低減などの効果
も期待できる。
【0043】請求項5は、請求項1〜4に係る埋込み杭
において、前記根固め材がソイルセメントであり、前記
有孔底板の孔部の径Dh が前記先端円筒管部の外径Do
の0.6〜0.9倍である場合を限定したものである。
【0044】通常、根固め材として用いられるソイルセ
メントの圧縮強度は9.8〜14.7MPa程度であ
り、有孔底板の孔部の径Dh が先端円筒管部の外径Do
の0.6〜0.9倍程度となるようにすれば、有孔底板
について必要な支圧面積が確保でき、また、この程度で
あれば孔部の杭一般部内側への張出し量が比較的小さ
く、施工性等の面でも支障とならない。
【0045】請求項6は、請求項1〜5に係る埋込み杭
において、前記先端円筒管部の長さLが先端円筒管部の
内径Di の0.5倍以上で、先端円筒管部の外形Do
1.0倍以内である場合を限定したものである。
【0046】先端円筒管部で側方から拘束された根固め
材内に有孔底板からの支圧力が概ね均等に広がり、根固
め材の支圧強度の発現性状をより確実なものにするため
には、この先端円筒管部の長さを先端円筒管部の内径D
i の0.5倍以上としておくことが望ましい。
【0047】一方、先端円筒管部の長さが先端円筒管部
の外径のDo の0.5〜1.0倍程度あれば、根固め材
の拘束効果が十分と考えられる。また、先端円筒管部の
長さを先端円筒管部の外径の1.0倍より大きくするこ
ともできるが、構造的な意義は薄く、取り扱いやコスト
面で不利となることが考えられる。
【0048】請求項7は、請求項1〜6に係る埋込み杭
において、前記杭一般部の先端部の肉厚がそれより上方
の杭一般部の肉厚より大きくした場合である。
【0049】一般に、杭基礎においては、杭頭から杭先
端にかけて杭体に生じる鉛直軸方向応力が小さくなり、
また、地震時に生じる水平力も浅い領域において大きく
なるのが通例であるため、杭先端付近の肉厚が比較的小
さい場合等が考えられる。このような場合でも、杭一般
部の有孔底板が固着される先端付近の肉厚を大きくする
ことにより、根固め材と先端円筒管部から支圧板として
の有孔底板を介して杭一般部に伝達される荷重に対する
剛性、耐力を向上させることができる。
【0050】請求項8は、請求項7の埋込み杭におい
て、前記杭一般部の先端部の肉厚部分の長さL1 が杭一
般部の外径d0 の2倍以内である場合を限定したもので
ある。
【0051】杭一般部には、根固め材および先端円筒管
部から支圧板としての有孔底板を介して鉛直軸方向の圧
縮荷重と、杭一般部先端の縁部を巻き上げるような曲げ
荷重が伝達される。このうち、前者の鉛直軸方向の圧縮
荷重に対しては、杭体が健全であるように設計されるの
が通例である。後者の曲げ荷重により杭一般部先端の縁
部に作用する曲げモーメントが卓越するのは、通常、有
孔底板との接合部近傍の限られた領域であり、この領域
の応力が厳しくなる場合でも、多くの場合には、杭一般
部の外径d0 と同程度の長さ、確実には杭一般部の外径
0 の2倍の長さだけ、杭一般部先端の肉厚を大きく
し、所要の剛性、耐力が得られるようにしておけばよ
い。
【0052】請求項9は、請求項1〜8に係る埋込み杭
において、前記有孔底板と前記杭一般部の接合部付近
に、前記有孔底板と前記杭一般部のいずれか一方、また
は、両方に固着した補剛板が設けられている場合であ
る。
【0053】所定の大きさ、厚さ、枚数の補剛板を、杭
一般部先端付近に固着するか、杭一般部先端付近に沿っ
てその変形を拘束するように有孔底板上に固着するか、
あるいは、杭一般部先端付近および有孔底板の両者に固
着することにより、根固め材から支圧板としての有孔底
板を介して伝達される荷重に対する杭一般部先端付近の
剛性、耐力を向上させることができる。
【0054】請求項10は、請求項1〜9に係る埋込み
杭において、前記有孔底板と前記先端円筒管部によって
囲まれる空間、および、上方の杭一般部の掘削孔よりも
拡径して掘削された前記先端円筒管部の外周部と下方掘
削孔内が前記根固め材で満たされている場合である。
【0055】この埋込み杭の場合には、上方の杭一般部
の掘削孔よりも前記先端円筒管部外周および下部の掘削
孔を拡径して掘削し、前記先端円筒管部外周および下方
のより広い範囲に根固め材を充填し、これが硬化するこ
とにより、先端円筒管部によるその内部の根固め材の拘
束効果に加え、先端円筒管部に対するその外周部の根固
め材による拘束効果や半径方向への変形の抑制効果も、
より確実に期待できるようになる。
【0056】請求項11は、請求項1〜10に係る埋込
み杭において、前記先端円筒管部の外周面に、複数の孔
部もしくは凹凸部またはスタッドが設けられ、あるい
は、少なくとも一巻き以上の突起または溝部が設けられ
ている場合である。
【0057】前記先端円筒管部の外周面に、所要の個数
の孔部や凹凸部、または、所要の本数のスタッドを離散
的に設けたり、一巻以上の突起または溝部を設け、先端
円筒管部と周辺根固め材の付着をより確実なものとする
ことで、先端円筒管部の外周の根固め材に対しても荷重
の一部が確実に伝達され、先端円筒管部とその内部の根
固め材に加え、先端円筒管部の外周の根固め材を合わせ
たより広い面積で、均等に支持地盤への荷重伝達が行わ
れる。
【0058】
【発明の実施の形態】図1は、本願発明の埋込み杭の第
1の実施形態を示したものであり、鋼管等からなる杭一
般部1の先端に、杭一般部1の内径に等しい径の孔部2
aを有する有孔底板2を固着し、さらに、この有孔底板
2に杭一般部1より大径の鋼管等からなる先端円筒管部
3を固着してなる既成杭を用いている。
【0059】この既成杭を、有孔底板2と先端円筒管部
3で囲まれる空間内が根固め材4で充填されるように掘
削孔5内に設置し(建て込み)、根固め材4が硬化する
ことにより埋込み杭が形成される。
【0060】有孔底板2としては、例えば、図2(a) に
示すように、中央に孔部2aを有する鋼製のドーナツ状
の有孔円盤や、図2(b) に示すように、根固め材4をよ
り確実に充填するために空気抜き用の貫通孔部2bを設
けた有孔円盤等を用いることができる。
【0061】先端円筒管部3としては、その径や根固め
材4の強度、有孔底板2の孔部2aの大きさ等を考慮し
て、所定の拘束効果が得られるような剛性のものを選択
する。
【0062】また、根固め材4は少なくとも有孔底板2
と、これより下方に突出する先端円筒管部3とで囲まれ
る空間内に充填されていればよく、それより上方の杭外
周部の空間6は根固め材4よりも低強度の材料とするこ
ともできる。杭一般部1内の上部の空間7も同様の低強
度の材料や、もしくは掘削残土などを埋戻しておくこと
もできる。
【0063】本構造によれば、上部構造物の荷重は、杭
一般部1を介して先端部の有孔底板2に伝達され、さら
に支圧力として根固め材4に伝達される。このとき、硬
化した根固め材4は有孔底板2からの支圧力を受けると
同時に、有孔底板2から下方に突出した先端円筒管部3
による側方拘束を受けていわゆる3軸応力状態にあり、
一軸圧縮強度に比べて数倍の支圧強度を発揮することが
できる。
【0064】ここで、有孔底板2からの支圧応力に対し
て、3軸拘束下での根固め材4の支圧強度が大きくなる
ように各構造スペックが設定してあれば、有孔底板2か
ら伝達された荷重は根固め材4内に均等に伝達され、結
局、杭一般部1から伝達された荷重は、有孔底板2より
下方に突出した先端円筒管部3の中空部を閉塞した場合
の密実断面を介して、支持地盤に伝達される。
【0065】具体的には、根固め材4として圧縮強度が
9.8〜14.7MPaのソイルセメントを用いた場合
において、有孔底板2の孔部の径Dh が先端円筒管部3
の外径Do の0.6〜0.9倍程度となるようにすれ
ば、有孔底板2について必要な支圧面積が確保できる。
また、この程度であれば孔部2aの杭一般部1内側への
張出し量が小さいため、根固め材4の充填や中掘り工法
の場合等における施工性を考えた場合も支障とならな
い。
【0066】また、先端円筒管部3の長さLについて、
先端円筒管部3で側方から拘束された根固め材4内に有
孔底板2からの支圧力が概ね均等に広がるようにするに
は、先端円筒管部の内径Di の0.5倍以上としておく
ことが望ましい。
【0067】また、この先端円筒管部3の長さLが先端
円筒管部3の外径Do の0.5〜1.0倍程度あれば、
根固め材の拘束効果が十分と考えられ、根固め材4の支
圧強度の発現性状をより確実なものとすることができ
る。
【0068】なお、先端円筒管部3の長さを先端円筒管
部3の外径Do の1.0倍より大きくすることもできる
が、構造的な意義は薄く、取り扱いやコスト面で不利と
なることが考えられる。
【0069】このようにして、先端円筒管部3と根固め
材4によって形成される杭先端部は、杭一般部1よりも
拡径され、かつ、先端円筒管部3の内部を根固め材4で
確実に閉塞することができる。
【0070】さらに、これにより先端付近のより大きな
範囲の地盤に荷重を分散して伝達でき、杭一般部1の径
で支持地盤に荷重を伝達する場合よりも大きな支持力が
得られる。
【0071】図3は、本願発明の埋込み杭の第2の実施
形態を示したものであり、鋼管杭からなる杭一般部1の
先端に、外径が杭一般部1の外径より大きく、かつ杭一
般部1の内径よりも小さな径の孔部2aを有するドーナ
ツ状の有孔円盤よりなる有孔底板2を固着し、さらに有
孔底板2にその外径と等しい外径を有する鋼管よりなる
先端円筒管部3を下方に突出するように固着してなる杭
を用い、少なくとも有孔底板2以深が根固め材4で満た
された場合である。
【0072】本構造によれば、図1の実施形態の場合と
同様、先端円筒管部3内が根固め材4で閉塞されるた
め、杭一般部1よりも大径の先端円筒管部3の密実断面
を介して、確実に荷重を先端地盤に伝達することにより
大きな支持力が得られる。
【0073】さらに、本構造の場合、図4(a) のよう
に、杭一般部1の内側へも有孔底板2が張り出し、杭一
般部1を挟んで両側に有孔底板2が張り出した構造とな
るため、根固め材4からの支圧反力R1が底板2を介し
て杭一般部1に伝達される際に、杭一般部1の先端付近
に発生する曲げモーメントM1が低減し、軸力N1とし
て伝達されやすくなるため、図4(b) に示す内側への張
り出しがない場合に比べて安定した荷重伝達機構を構成
することができる。
【0074】図5は、本願発明の埋込み杭の第3の実施
形態を示したもので、中空コンクリート杭よりなる杭一
般部1の鉄筋8に溶接された継鉄板9に杭一般部1の外
径より大きな径を有し、かつ、杭一般部1の内径よりも
小さな径の孔部2aを有する有孔底板2を固着し、さら
にこれに鋼管よりなる先端円筒管部3を固着してなる杭
を用いる。これを掘削孔5内に建て込み、かつ有孔底板
2および先端円筒管部3を包み込むように根固め材4を
充填してなる。
【0075】本構造によれば、杭一般部1より伝達され
る荷重は、有孔底板2を介して、先端円筒管部3で拘束
された根固め材4に伝達されることにより、先端円筒管
部3と根固め材4によって形成される杭先端部が閉塞さ
れた状態となる。また、有孔底板2の鋼管3の外部への
張出し部から、先端円筒管部3の外側に充填された根固
め材4’にも荷重が伝達され、杭先端部が杭一般部1の
径で先端地盤に荷重を伝達する場合よりも大きな支持力
が得られる。
【0076】図6は、本願発明の埋込み杭において、杭
一般部の先端に固着された杭の内径以下の径の孔部を有
する底板と、この有孔底板に固着され、それよりも下方
に突出する杭一般部よりも大径の鋼管によって形成され
る先端円筒管部に、一軸圧縮強度が9.8〜14.7M
Pa程度のソイルセメントよりなる根固め材を充填した
場合の支圧耐力に関する実験での根固め材の一軸圧縮強
度と支圧強度の関係を示した図である。
【0077】この実験によれば、根固め材の支圧降伏応
力が一軸圧縮強度の3倍程度、最大耐力時の支圧応力は
その数倍を見込め、かつ、最大耐力発現後にも、耐力の
低下がほとんど見られない変形性能に優れた荷重−変形
関係が得られている。
【0078】図7は、本願発明の埋込み杭の第4の実施
形態を示したものであり、杭一般部先端に、長さがL1
で、杭一般部より肉厚が大きく杭一般部の外径d0 と同
じ外径の鋼管等を固着することにより、先端部付近の肉
厚がそれより上方の杭一般部に比べて大きい杭一般部1
を形成し、これに杭一般部1の内径よりも小さな径D h
の孔部2aを有するドーナツ状の有孔円盤よりなる有孔
底板2を固着し、さらに有孔底板3にその外径と等しい
外径Do を有する鋼管等からなる先端円筒管部3を下方
に突出するように固着してなる杭を用い、少なくとも有
孔底板2以深が根固め材4で満たされた場合を例示した
ものである。
【0079】図4に示すように、杭一般部1には、根固
め材4および先端円筒管部3から支厚板としての有孔底
板2を介して鉛直軸方向の圧縮力N1に加え、曲げモー
メントM1が伝達されるが、本構造によれば、この曲げ
モーメントM1による負荷が卓越する杭一般部1の先端
付近の剛性、耐力が大きく、構造としての安定性、耐力
をより高めることができる。
【0080】図8は、本願発明の埋込み杭において、杭
一般部の先端に固着された杭の内径以下の径の孔部2a
を有する有孔底板2と、この有孔底板2に固着され、そ
れよりも下方に突出する杭一般部よりも大径の鋼管によ
って形成された先端円筒管部3に、一軸圧縮強度が9.
8〜14.7MPa程度のソイルセメントを想定した根
固め材4を充填した場合の構造耐力に関する解析結果の
うち、杭一般部に作用する曲げモーメントの分布の一例
を示したものである。この図において、位置0cmは有
孔底板2との固着位置であり、本解析における杭一般部
の径は80cmである。この解析結果によれば、曲げモ
ーメントは、有孔底板2との固着部の近傍で支配的であ
り、杭径の半分くらいの長さだけ固着部から離れると、
殆ど曲げが生じていない。
【0081】この曲げモーメントが卓越する範囲は、構
造スペック等の各種の条件によって変化すると考えられ
るが、杭外径d0 と同程度の長さの範囲であることが多
いと考えられ、杭一般部先端の肉厚を大きくする長さL
1 は、多くの場合、杭外径d 0 と同程度であればよく、
より確実には杭外径d0 の2倍あれば十分と考えられ
る。なお、杭一般部先端の肉厚を大きくする長さL1
さらに大きくすることもできるが、構造的な意義は薄
く、取り扱いやコスト面で不利となることが考えられ
る。
【0082】図9(a) 、(b) 、(c) は、本願発明の埋込
み杭に用いる杭体の例を示したものであり、鋼管等から
なる杭一般部1の先端に、杭一般部1の外径より大きい
外径を持つ有孔底板2を固着し、さらに、この有孔底板
2に杭一般部1より大径の鋼管等からなる先端円筒管部
3を固着してなる杭において、前記有孔底板2と前記杭
一般部1の接合部付近に補剛板10a、10b、10c
を設けた場合を例示している。
【0083】図9(a) は、補剛板10aを杭円周方向に
間隔をおいて複数枚配設し、有孔底板2と杭一般部1の
両方に固着した場合を例示している。本構造によれば、
有孔底板2と杭一般部1の接合部の剛性が向上し、隅角
部の変形を抑えることができる。また、根固め材4およ
び先端円筒管部3から有孔底板2を介して杭一般部1に
作用する荷重を軸力として安定的に伝達することができ
る。
【0084】図9(b) は、杭円周方向に複数枚の矩形の
補剛板10bを杭一般部1の先端付近に概略鉛直に固着
した場合を例示したものである。本構造によれば、杭一
般部1の先端付近の剛性および耐力が向上し、図4に示
す曲げモーメントM1に対する構造の安定性を高めるこ
とができる。また、補剛板10bの下端が有孔底板2に
概略接するようにして杭一般部先端に固着しておけば、
図9(a) と同様に接合部の剛性が向上し、隅角部の変形
を抑えることができ、また、荷重を軸力として安定的に
杭一般部1に伝達する効果も期待できる。また、図9
(b) において、補剛板10bを杭一般部先端に概略接す
るように有孔底板2上に固着しても、隅角部の変形を抑
えることができ、荷重を軸力として安定的に杭一般部1
に伝達する効果が期待でき、杭一般部先端が半径方向に
はらみ出すような変形が生じるのを防止することができ
る。また、補剛板10bは、曲げモーメントM1が卓越
する範囲に設置されているのが望ましく、多くの場合、
有孔底板2との接合部から杭外径d0 と同程度、より確
実には杭外径d0 の2倍程度の範囲に設置されているの
が望ましい。
【0085】図9(c) は、杭円周方向に複数枚の三角形
状の補剛板10cを杭一般部1の先端付近に固着した場
合を例示したものである。本構造は、特に、曲げモーメ
ントM1が卓越する有孔底板2との接合部近傍ほど剛性
が高まるように構成されており、図9(b) と同様の効果
が期待できる。
【0086】図10は、本願発明の埋込み杭の第5の実
施形態を示したものであり、鋼管等からなる杭一般部1
の先端に、杭一般部1の内径より小さい径の孔部2aを
有するドーナツ状の有孔円盤からなる有孔底板2を固着
し、さらに、この有孔底板2にその外径と等しい外径を
有する先端円筒管部3を下方に突出するように固着して
なる杭を用い、これを先端円筒管部3の周辺および下方
が杭一般部よりも拡径して掘削された掘削孔内に設置
し、根固め材で有孔底板2と先端円筒管部3で囲まれる
空間内および先端円筒管部3の外周面に充填することに
より埋込み杭を形成した場合を示している。
【0087】本構造によれば、先端円筒管部3によるそ
の内部の根固め材4に対する確実な拘束効果に加え、図
10に示すように、先端円筒管部3の外周および下方を
杭一般部1の周辺の掘削孔よりも拡径して拡大掘削部S
を形成し、先端円筒管部3の周辺の地盤をより広く改良
することで、先端円筒管部3に対する外周部の根固め材
4’による拘束効果や半径方向への変形抑制効果をより
確実に期待できるようになり、構造としての耐力性能を
より一層高めることができる。
【0088】図11は、本願発明の埋込み杭に用いる杭
体の例を示したものであり、先端円筒管部3の外周面に
複数の離散的なスタッド等の凸部11を設けた場合を示
したものである。本構造によれば、先端円筒管部3と周
辺根固め材4’の付着をより確実なものとすることで、
先端円筒管部3の周辺の根固め材4’に対しても荷重の
一部が確実に伝達され、先端円筒管部3とその内部の根
固め材4に加え、先端円筒管部3の外周の根固め材4’
を合わせたより広い面積で、均等な支持地盤への荷重の
伝達が期待できる。また、先端円筒管部3に複数の孔部
を所定の面積分だけ設けたり、先端円筒管部3の外周面
に鉄筋などによる突起を設けたりすることにより、先端
円筒管部3と周辺根固め材4’の付着を確保しても、同
様の効果が期待できる。
【0089】
【発明の効果】本願発明の埋込み杭では、施工性を確保
するために先端を開端した状態で杭を建て込むことがで
き、かつ、支圧板としての底板に孔部を設けたことによ
る支圧面積の減少分を先端円筒管部での側方拘束効果に
よって補うことができる。
【0090】また、そのため根固め材として特別な材料
を用いたり、施工法やその管理に特別な手法を要さず
に、確実に開端杭の先端を閉塞することができ、これに
より、杭先端の実断面積ではなく、内部を閉塞した密実
断面として杭先端付近の地盤に荷重を確実に伝達するこ
とができる。
【0091】請求項2、3に係る発明では、先端円筒管
部の外径が杭一般部の外径より大きく、施工性に支障を
与えない範囲で、先端支持力の増大が図れる。
【0092】請求項4に係る発明では、底板の孔部の径
を杭一般部の内径よりも小さくし、杭一般部の内側にも
底板を張り出させることによって、張出し部に根固め部
からの支圧反力が作用し、杭体一般部先端付近に発生す
る曲げモーメントを低減し、軸力として力が伝達されや
すくなるので、構造の安定性を維持しつつ、底板の剛性
を低減するなどの効果が得られる。
【0093】請求項5に係る発明では、有孔底板につい
て張出し量を抑えつつ、必要な支圧面積を確保すること
ができ、根固め材の充填その他の施工性の面でも支障と
ならない。
【0094】請求項6に係る発明では、十分な根固め材
の拘束効果を確保しつつ、有孔底板からの根固め材への
支圧力をほぼ均等に伝達することができ、かつ構造的に
無駄がないためコスト面で有利である。
【0095】請求項7に係る発明では、杭一般部先端付
近の肉厚を大きくすることにより、根固め材と先端円筒
管部から支圧板としての有孔底板を介して杭一般部に伝
達される荷重に対する剛性、耐力を向上させ、より安定
的な構造とすることができる。
【0096】請求項8に係る発明では、杭一般部先端の
肉厚部分の長さを杭一般部の外径の2倍以内とすること
により、根固め材と先端円筒管部から支圧板としての有
孔底板を介して杭一般部に伝達される荷重に対する剛
性、耐力を向上させることができ、かつ、無駄のない合
理的な構造とすることができる。
【0097】請求項9に係る発明では、有孔底板と杭一
般部の接合部付近に補剛材を設けることにより、請求項
7と同様に、根固め材と先端円筒管部から支圧板として
の有孔底板を介して杭一般部に伝達される荷重に対する
杭一般部先端付近の剛性、耐力を向上させ、さらに、根
固め材および先端円筒管部から有孔底板を介して杭一般
部に作用する荷重が軸力として伝達されやすくなるた
め、より一層安定した構造を得ることができる。
【0098】請求項10に係る発明では、拡大掘削部の
先端円筒管部外周および下方も根固め材が満たされるよ
うにしたことにより、先端円筒管部によるその内部の根
固め材の拘束効果に加え、先端円筒管部に対するその外
周部の根固め材による拘束効果や半径方向への変形の抑
制効果もより確実に期待でき、杭の耐力性能をより確実
なものとすることができる。
【0099】請求項11に係る発明では、先端円筒管部
の外周面に複数の孔部や凹凸部等を設けることにより、
先端円筒管部とその内部の根固め材に加え、先端円筒管
部の外周の根固め材を合わせたより広い面積で、均等に
支持地盤への荷重伝達が行われ、杭の支持力性能をより
確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明の埋込み杭の第1の実施形態(請求
項1、2、3、5、6に対応)における先端部の構造を
示す鉛直断面図である。
【図2】 (a) 、(b) は、それぞれ本願発明で用いる有
孔底板の一例を示す斜視図である。
【図3】 本願発明の埋込み杭の第2の実施形態(請求
項2〜6に対応)における先端部の構造を示す鉛直断面
図である。
【図4】 (a) 、(b) は、それぞれ本願発明における力
の伝達機構の代表例を示した説明図である。
【図5】 本願発明の埋込み杭の第3の実施形態(請求
項4〜6に対応)における先端部の構造を示す鉛直断面
図である。
【図6】 本願発明の埋込み杭における根固め材の一軸
圧縮強度と支圧強度の関係の実験結果を示す図である。
【図7】 本願発明の埋込み杭の第4の実施形態(請求
項7,8に対応)における先端部の構造を示す鉛直断面
図である。
【図8】 本願発明の埋込み杭における杭一般部に生じ
る曲げモーメント分布の解析結果を示す図である。
【図9】 (a) 、(b) 、(c) は、それぞれ本願発明の埋
込み杭に用いる杭体の先端構造の例を示す斜視図であ
る。
【図10】 本願発明の埋込み杭の第5の実施形態(請
求項10に対応)における先端部の構造を示す鉛直断面
図である。
【図11】 本願発明の埋込み杭に用いる杭体の先端構
造を示す鉛直断面図である。
【図12】 従来の埋込み杭の先端構造の代表例を示す
鉛直断面図である。
【符号の説明】
1…杭一般部、2…有孔底板、2a…孔部、3…先端円
筒管部、4…根固め材、4’…周辺根固め材、5…掘削
孔、8…鉄筋、9…継鉄板、10a、10b、10c…
補剛板、11…スタッド等の凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯田 久雄 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 吉澤 幸仁 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 松原 央 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 柳本 泰伴 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも先端部が根固め材で根固めさ
    れる埋込み杭であって、中空の杭一般部と、前記杭一般
    部の先端に固着された杭一般部の外径より大きい外径と
    杭一般部の内径以下の径の孔部を有する有孔底板と、前
    記有孔底板に固着された先端円筒管部とから形成された
    杭を、少なくとも前記有孔底板と前記先端円筒管部とで
    囲まれる空間が前記根固め材で満たされるように掘削孔
    内に設置してなることを特徴とする埋込み杭。
  2. 【請求項2】 前記先端円筒管部の外径が前記杭一般部
    の外径より大きい請求項1記載の埋込み杭。
  3. 【請求項3】 前記先端円筒管部の外径D0 が前記杭一
    般部の外径d0 の1.1〜1.25倍である請求項2記
    載の埋込み杭。
  4. 【請求項4】 前記有孔底板の孔部の径Dh を前記杭一
    般部の内径di より小さくして、杭一般部の内径方向に
    突出するようにした請求項1、2または3記載の埋込み
    杭。
  5. 【請求項5】 前記根固め材はソイルセメントであり、
    前記有孔底板の孔部の径Dh が前記先端円筒管部の外径
    o の0.6〜0.9倍である請求項1、2、3または
    4記載の埋込み杭。
  6. 【請求項6】 前記先端円筒管部の長さLが先端円筒管
    部の内径Di の0.5倍以上で、先端円筒管部の外形D
    o の1.0倍以内である請求項1、2、3、4または5
    記載の埋込み杭。
  7. 【請求項7】 前記杭一般部の先端部の肉厚がそれより
    上方の杭一般部の肉厚より大きい請求項1、2、3、
    4、5または6記載の埋込み杭。
  8. 【請求項8】 前記杭一般部の先端部の肉厚部分の長さ
    1 が杭一般部の外径d0 の2倍以内である請求項7記
    載の埋込み杭。
  9. 【請求項9】 前記有孔底板と前記杭一般部の接合部付
    近に、前記有孔底板と前記杭一般部のいずれか一方、ま
    たは、両方に固着した補剛板が設けられている請求項
    1、2、3、4、5、6、7または8記載の埋込み杭。
  10. 【請求項10】 前記有孔底板と前記先端円筒管部によ
    って囲まれる空間、および、上方の杭一般部の掘削孔よ
    りも拡径して掘削された前記先端円筒管部の外周部と下
    方掘削孔内が前記根固め材で満たされている請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8または9記載の埋込み杭。
  11. 【請求項11】 前記先端円筒管部の外周面に、複数の
    孔部もしくは凹凸部またはスタッドが設けられ、あるい
    は、少なくとも一巻き以上の突起または溝部が設けられ
    ている請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9また
    は10記載の埋込み杭。
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