JP2001050973A - 車両挙動推定方法及び装置、並びに車両挙動制御方法及び装置 - Google Patents

車両挙動推定方法及び装置、並びに車両挙動制御方法及び装置

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JP2001050973A
JP2001050973A JP11221208A JP22120899A JP2001050973A JP 2001050973 A JP2001050973 A JP 2001050973A JP 11221208 A JP11221208 A JP 11221208A JP 22120899 A JP22120899 A JP 22120899A JP 2001050973 A JP2001050973 A JP 2001050973A
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roll
roll angle
wheel
angle
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Nobuyoshi Onoki
伸好 小野木
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Denso Corp
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  • Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際の車両の挙動に対応して、より早いタイ
ミングで、正確に車両の転倒のし易さを推定すること。 【解決手段】 まず、走行車両の実際の転倒傾向を表す
ロール角φO及びロールレートφO'を測定(算出)する
(S120、S130)。そして、走行車両の転倒傾向
を表すロール角φに基づいて車両挙動を記述した下記の
物理モデル Jφ''+Dφ'+Kφ=F (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
ロールレート、φ:ロール角)から導出したロール角φ
の挙動推定値φ(t)の減衰前の最大振幅A推定用の演
算式に基づき、上記測定値を用いて、最大振幅A(推定
値)を算出し、この推定値Aを、車両の転倒のし易さを
表す転倒パラメータXとする(S140)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両走行時に、車
両の転倒のし易さを表す転倒パラメータを推定する車両
挙動推定方法及び装置、並びに、この車両挙動推定方法
及び装置を用いて車両の転倒を防止する車両挙動制御方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両走行時、例えば車両旋回
時における車両の転倒(横転)可能性を、車両の転倒
(横転)のし易さを表す転倒パラメータにて推定し、こ
の転倒パラメータに応じて各車輪に加わる制動力を制御
することにより、車両の転倒(横転)を防止する車両挙
動制御装置が知られている。
【0003】そして、従来の車両挙動制御装置として
は、例えば、車両に作用する横加速度を上記転倒パラメ
ータとして用いるものがあった。この車両挙動制御装置
では、車両に取り付けられた横加速度センサ等にて検出
される横加速度(転倒パラメータ)が所定値(例えば、
1G)を越えると、この車両が転倒(横転)する可能性
が高い(換言すれば、この車両のロール角が過大であ
る)と判断し、各車輪に対する制動力を自動制御して車
両の転倒(横転)を防ぐ。具体的には、例えば、この車
両の旋回外輪側の前輪に制動力を加え、車両の走行状態
をアンダーステア傾向にすることにより転倒(横転)を
防止する。
【0004】しかし、このように、横加速度を転倒パラ
メータとする制御を行うのでは、横加速度が1Gを越え
ても転倒(横転)しない車両については、その制御が無
意味となる。つまり、横加速度が1G(路面によっては
さらに低い値の場合もある)を越えると、車輪の路面に
対するグリップ力が弱まり、それ以上車両をロールさせ
る(つまり、転倒(横転)させる)力が車両に加わらな
くなる。通常、この場合は、車両における前輪が、本来
の旋回コースを維持できなくなって横すべりを起こし、
車両の走行状態がアンダーステア傾向となる。従って、
横加速度を転倒パラメータとする制御を行うのでは、横
加速度が1Gを越えても転倒(横転)せず、横すべりを
起こすだけの車両については、横加速度が1Gを越えた
状態における車両の転倒(横転)のし易さ、即ち、車両
の転倒(横転)可能性を、転倒パラメータにて正確に表
すことができないため、その制御が無意味となるのであ
る。
【0005】そこで、本出願人は、車輪の回転速度の変
化量を上記転倒パラメータとして用いる車両挙動制御装
置を出願した(特願平11−72568号)。
【0006】この車両挙動制御装置では、車輪が路面に
十分グリップした状態となる旋回外輪の実際の回転速度
と車両に作用する実際の横加速度とから、旋回内輪が路
面から浮いていない場合における旋回内輪の回転速度を
推定値として算出し、この推定値と旋回内輪の実際の回
転速度との差の絶対値を転倒パラメータとして算出し、
用いる。
【0007】このとき、旋回内輪が路面から浮いている
状態では、旋回内輪と路面との間の摩擦がないため、旋
回内輪の回転速度が、運転者によるアクセル操作やブレ
ーキ操作がない場合は、略一定となり、逆に運転者によ
るアクセル操作やブレーキ操作がある場合は、極端に変
化するので、結局、いずれの場合も、転倒パラメータが
大きくなることになる。
【0008】そして、この車両挙動制御装置では、この
転倒パラメータが予め定めた閾値より大きくなった場
合、即ち、旋回内輪が路面から浮いたことを検出した場
合に、車両が転倒(横転)する可能性が高いと判断し、
上記従来の車両挙動制御装置と同様、各車輪に対する制
動力を自動制御して車両の転倒(横転)を防ぐ。
【0009】つまり、この車両挙動制御装置では、上記
従来の車両挙動制御装置と異なり、旋回内輪が路面から
浮いた場合、即ち、転倒(横転)防止のための制御が本
当に必要な場合にのみ、所定の車輪に制動力を加えて、
車両の転倒(横転)を防止するのである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
旋回内輪が浮いてから転倒(横転)防止のための制御に
入るのでは、例えば、車両がレーンチェンジ走行を行う
場合に、タイミングが遅すぎ、車両の転倒(横転)を十
分に防止することができない場合があった。
【0011】つまり、まず、車両がレーンチェンジ走行
を行う場合は、レーンチェンジの前後で、運転者によっ
てステアリングの切り替えしが行われるため、図9に示
すように、一旦、レーンチェンジ方向(換言すれば、ス
テアリング操舵方向)と反対側の方向にロールした車両
(図9では、車両におけるロール角φ、ロールレート
φ'として示す)が、さらに、その後、その反対側の方
向にロールし、車両に対する遠心力Fの作用方向も反対
方向になるという揺り返し現象が起きる。
【0012】この揺り返しの振幅(大きさ)は、この揺
り返しのタイミングと運転者によるステアリング操舵の
タイミングとが合った場合に特に大きくなる。そして、
このように揺り返しのタイミングとステアリング操舵の
タイミングとが合った場合は、通常旋回時では横加速度
が1Gとなっても転倒(横転)しない車両であっても、
同じ1Gの横加速度にて転倒(横転)し易い状態とな
る。
【0013】そして、この揺り返しは、車種や揺り返し
の減衰度合等によっても異なるが、略0.5〜2Hz程
度の振動として発生するので、上記のように旋回内輪
(特にこの場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が
浮いてから転倒(横転)防止のための制御に入るので
は、タイミングが遅すぎ、車両の転倒(横転)を十分に
防止することができない場合があるのである。即ち、旋
回内輪(ステアリング操舵方向側の車輪)が浮いたとき
に初めて転倒パラメータの大きさが変化するのでは、タ
イミングが遅すぎる場合があるのである。
【0014】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、実際の車両の挙動に対応
して、より早いタイミングで、正確に車両の転倒のし易
さを推定することができる車両挙動推定方法及び装置、
並びに、その推定結果に基づき、車両挙動を制御する車
両挙動制御方法及び装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】かかる目
的を達成するためになされた請求項1に記載の車両挙動
推定方法では、まず、車両走行時に、車両のロール角及
びロールレートを測定する。そして、ロール角に基づき
走行車両の車両挙動を記述した下記の物理モデル Jφ''+Dφ'+Kφ=F (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
ロールレート、φ:ロール角)より導出した演算式に基
づき、ロール角及びロールレートの測定結果を用いて、
車両の転倒のし易さを表す転倒パラメータの推定値を算
出する。
【0016】即ち、本発明方法(請求項1)では、走行
車両の転倒(横転)傾向を表すロール角に基づいて車両
挙動(転倒挙動)を記述した上記物理モデルより導出し
た演算式に基づき、走行車両の実際の転倒(横転)傾向
を表すロール角及びロールレートの測定結果を用いて、
転倒パラメータを推定値として算出する。
【0017】従って、本発明方法(請求項1)によれ
ば、転倒パラメータを、実際の車両の挙動(転倒挙動)
に対応して段階的に増減する値として算出することがで
き、該転倒パラメータにて、正確に車両の転倒のし易さ
を推定することができる。
【0018】つまり、本発明方法(請求項1)によれ
ば、転倒パラメータが、旋回内輪(レーンチェンジ走行
の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮く前の
時点から、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応して、
段階的に増減する値として算出されることから、旋回内
輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方
向側の車輪)が浮く前のより早いタイミングで、正確に
車両の転倒のし易さを推定することができる。
【0019】尚、実際に転倒パラメータを算出するに当
たっては、ロール角及びロールレートの測定結果を上記
演算式に適用した演算を必ずしも行う必要はなく、例え
ば、ロール角及びロールレートの測定結果をパラメータ
とする転倒パラメータ算出用のマップ等を設定してお
き、これを用いて算出するようにしても良い。
【0020】そして、転倒パラメータを算出する具体的
態様としては、例えば、請求項2に記載のように、上記
演算式を、ロール角の最大振幅推定用の演算式とし、こ
の演算式に基づき、ロール角の最大振幅の推定値を算出
し、この推定値を転倒パラメータとするようにしても良
い。
【0021】即ち、まず、上記物理モデルからロール角
の挙動推定用の演算式を導出することができ、このロー
ル角の挙動推定用の演算式では、ロール角の推定値が減
衰振動するものとして表されるが、本発明方法(請求項
2)では、このロール角の挙動推定用の演算式から導出
されるロール角の最大振幅推定用の演算式を転倒パラメ
ータ算出用の上記演算式とし、この演算式にロール角及
びロールレートの測定結果を適用して得られる値を、転
倒パラメータとして算出する。
【0022】この場合、転倒パラメータは、走行車両の
転倒(横転)のし易さ、即ち、転倒(横転)可能性を常
に大きめ(危険側)に見積った値として算出されるの
で、本発明方法(請求項2)によれば、旋回内輪(レー
ンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向側の車
輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、正確に車両の
転倒(横転)のし易さを推定することができる。
【0023】尚、上記物理モデルから導出されるロール
角の挙動推定用の演算式、及び、このロール角の挙動推
定用の演算式から導出されるロール角の最大振幅推定用
の演算式については、後述実施例において詳述する。
【0024】また、転倒パラメータを算出する他の具体
的態様としては、例えば、請求項3に記載のように、上
記演算式を、ロール角の挙動推定用の演算式とし、この
演算式に基づき、車両挙動を制御する際の制御遅れを考
慮した所定時間経過後のロール角の推定値を算出し、こ
の推定値を転倒パラメータとするようにしても良い。
【0025】つまり、本発明方法(請求項3)では、上
記物理モデルから導出されるロール角の挙動推定用の演
算式を転倒パラメータ算出用の上記演算式とし、この演
算式にロール角及びロールレートの測定結果を適用して
得られる値を、転倒パラメータとして算出するのである
が、このように算出される転倒パラメータに基づいて、
実際に車両挙動を制御する際には、制御系に制御遅れが
発生するので、本発明方法(請求項3)では、この制御
遅れを考慮した所定時間経過後のロール角の推定値を転
倒パラメータとして算出するのである。
【0026】従って、本発明方法(請求項3)によれ
ば、実際に車両挙動を制御する時点におけるロール角の
推定値を転倒パラメータとして算出することができ、旋
回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、
正確に車両の転倒(横転)のし易さを推定することがで
きる。
【0027】そして、このように算出される転倒パラメ
ータに基づいて車両挙動制御を行えば、制御時における
実際の車両挙動(転倒挙動)に対応した、適切な車両挙
動制御を行うことができる。
【0028】また、転倒パラメータを算出する他の具体
的態様としては、例えば、請求項4に記載のように、上
記演算式を、ロール角の挙動推定用の演算式とし、この
演算式に基づき、次に最大となる際のロール角の推定値
を算出し、この推定値を転倒パラメータとするようにし
ても良い。
【0029】つまり、本発明方法(請求項4)では、上
記物理モデルから導出されるロール角の挙動推定用の演
算式を転倒パラメータ算出用の上記演算式とし、この演
算式にロール角及びロールレートの測定結果を適用して
得られる値を、転倒パラメータとして算出するのである
が、上述のように、このロール角の挙動推定用の演算式
では、ロール角の推定値が減衰振動するものとして表さ
れるため、本発明方法(請求項4)では、このロール角
の挙動推定用の演算式に基づき、次に最大となる際のロ
ール角の推定値を転倒パラメータとして算出するのであ
る。
【0030】そして、この場合、転倒パラメータは、走
行車両の転倒(横転)のし易さ、即ち、転倒(横転)可
能性を常に最大(危険側)に見積った値として算出され
るので、本発明方法(請求項4)によれば、旋回内輪
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、正確に
車両の転倒(横転)のし易さを推定することができる。
【0031】一方、請求項5に記載の発明は、請求項1
に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車両挙
動推定装置の発明であり、まず、車両走行時に、車両の
ロール角及びロールレートを車両状態検出手段にて測定
する。次に、転倒パラメータ推定手段にて、ロール角に
基づき走行車両の車両挙動を記述した下記の物理モデル Jφ''+Dφ'+Kφ=F (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
ロールレート、φ:ロール角)より導出した演算式に基
づき、車両状態検出手段にて測定されたロール角及びロ
ールレートの測定結果を用いて、走行車両の転倒のし易
さを表す転倒パラメータの推定値を算出する。
【0032】従って、本発明(請求項5)によれば、転
倒パラメータを、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応
して段階的に増減する値として算出することができ、該
転倒パラメータにて、正確に車両の転倒のし易さを推定
することができる。
【0033】つまり、本発明(請求項5)によれば、転
倒パラメータが、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合
は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮く前の時点か
ら、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応して、段階的
に増減する値として算出されることから、旋回内輪(レ
ーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向側の
車輪)が浮く前のより早いタイミングで、正確に車両の
転倒のし易さを推定することができる。
【0034】また、請求項6に記載の発明は、請求項2
に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車両挙
動推定装置の発明であり、上記演算式を、ロール角の最
大振幅推定用の演算式とし、転倒パラメータ推定手段で
は、この演算式に基づき、ロール角の最大振幅の推定値
を算出し、この推定値を転倒パラメータとする。
【0035】従って、本発明(請求項6)によれば、転
倒パラメータが、走行車両の転倒(横転)のし易さ、即
ち、転倒(横転)可能性を常に大きめ(危険側)に見積
った値として算出されるので、旋回内輪(レーンチェン
ジ走行の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮
く前の確実に早いタイミングで、正確に車両の転倒のし
易さを推定することができる。
【0036】次に、請求項7に記載の発明は、請求項3
に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車両挙
動推定装置の発明であり、上記演算式を、ロール角の挙
動推定用の演算式とし、転倒パラメータ推定手段では、
この演算式に基づき、車両挙動を制御する際の制御遅れ
を考慮した所定時間経過後のロール角の推定値を算出
し、この推定値を転倒パラメータとする。
【0037】従って、本発明(請求項7)によれば、実
際に車両挙動を制御する時点におけるロール角の推定値
を転倒パラメータとして算出することができ、旋回内輪
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、正確に
車両の転倒のし易さを推定することができる。
【0038】そして、このように算出される転倒パラメ
ータに基づいて車両挙動制御を行えば、制御時における
実際の車両挙動(転倒挙動)に対応した、適切な車両挙
動制御を行うことができる。
【0039】また、次に、請求項8に記載の発明は、請
求項4に記載の発明方法を実現するための構成を備えた
車両挙動推定装置の発明であり、上記演算式を、ロール
角の挙動推定用の演算式とし、転倒パラメータ推定手段
では、この演算式に基づき、次に最大となる際のロール
角の推定値を算出し、この推定値を転倒パラメータとす
る。
【0040】従って、本発明(請求項8)によれば、転
倒パラメータが、走行車両の転倒(横転)のし易さ、即
ち、転倒(横転)可能性を常に最大(危険側)に見積っ
た値として算出されるので、旋回内輪(レーンチェンジ
走行の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮く
前の確実に早いタイミングで、正確に車両の転倒(横
転)のし易さを推定することができる。
【0041】一方、車両状態検出手段にて、走行車両の
ロール角及びロールレートを測定する具体的態様として
は、例えば、請求項9に記載のように、車両状態検出手
段を、ロールレート測定手段にて、車両のロールレート
を測定させ、ロール角算出手段にて、ロールレートと車
両のロール角との関係を記述した物理モデルに前記測定
されたロールレートを適用させてロール角を算出させる
よう構成しても良い。
【0042】このようにすれば、転倒パラメータを算出
する際に使用する走行車両のロール角及びロールレート
を測定することができる。
【0043】そして、この場合、上記ロールレート測定
手段の具体的態様としては、例えば、車両に取り付けら
れたロールレートセンサであっても良い。
【0044】尚、ロールレートとロール角との関係を記
述した物理モデルについては、後述実施例において詳述
する。
【0045】また、車両状態検出手段にて、走行車両の
ロール角及びロールレートを測定する他の具体的態様と
しては、例えば、請求項10に記載のように、車両状態
検出手段を、横加速度測定手段にて、車両の横加速度を
測定させ、ロール角算出手段にて、横加速度と車両のロ
ール角との関係を記述した物理モデルに前記測定された
横加速度を適用させてロール角を算出させ、ロールレー
ト算出手段にて、前記算出されたロール角を微分させて
車両のロールレートを算出させるよう構成しても良い。
【0046】そして、このようにすれば、ロールレート
センサを用いなくても、転倒パラメータを算出する際に
使用する走行車両のロール角及びロールレートを測定す
ることができる。
【0047】尚、横加速度とロール角との関係を記述し
た物理モデルについては、後述実施例において詳述す
る。
【0048】また、車両状態検出手段にて、走行車両の
ロール角及びロールレートを測定する他の具体的態様と
しては、例えば、請求項11に記載のように、車両状態
検出手段を、ヨーレート測定手段にて、車両のヨーレー
トを測定させ、車体速度測定手段にて、車両の車体速度
を測定させ、ロール角算出手段にて、ヨーレート及び車
体速度と車両のロール角との関係を記述した物理モデル
に前記測定されたヨーレート及び車体速度を適用させて
ロール角を算出させ、ロールレート算出手段にて、前記
算出されたロール角を微分させて車両のロールレートを
算出させるよう構成しても良い。
【0049】そして、このようにすれば、ロールレート
センサを用いなくても、転倒パラメータを算出する際に
使用する走行車両のロール角及びロールレートを測定す
ることができる。
【0050】尚、ヨーレート及び車体速度とロール角と
の関係を記述した物理モデルについては、後述実施例に
おいて詳述する。
【0051】また、車両状態検出手段にて、走行車両の
ロール角及びロールレートを測定する他の具体的態様と
しては、例えば、請求項12に記載のように、車両状態
検出手段を、操舵角測定手段にて、車両の操舵角を測定
させ、車体速度測定手段にて、車両の車体速度を測定さ
せ、ロール角算出手段にて、操舵角及び車体速度と車両
のロール角との関係を記述した物理モデルに前記測定さ
れた操舵角及び車体速度を適用させてロール角を算出さ
せ、ロールレート算出手段にて、前記算出されたロール
角を微分させて車両のロールレートを算出させるよう構
成しても良い。
【0052】そして、このようにすれば、ロールレート
センサを用いなくても、転倒パラメータを算出する際に
使用する走行車両のロール角及びロールレートを測定す
ることができる。
【0053】尚、操舵角及び車体速度とロール角との関
係を記述した物理モデルについては、後述実施例におい
て詳述する。
【0054】また、車両状態検出手段にて、走行車両の
ロール角及びロールレートを測定する他の具体的態様と
しては、例えば、請求項13に記載のように、車両状態
検出手段を、車輪速度測定手段にて、車両の各車輪の回
転速度を夫々測定させ、ロール角算出手段にて、車両の
右側の前輪及び後輪の回転速度の和から左側の前輪及び
後輪の回転速度の和を差し引いて得られる旋回内外輪速
度差と車両のロール角との関係を記述した物理モデルに
前記測定された各車輪の回転速度を適用させてロール角
を算出させ、ロールレート算出手段にて、前記算出され
たロール角を微分させて車両のロールレートを算出させ
るよう構成しても良い。
【0055】そして、このようにすれば、ロールレート
センサを用いなくても、転倒パラメータを算出する際に
使用する走行車両のロール角及びロールレートを測定す
ることができる。
【0056】尚、旋回内外輪速度差とロール角との関係
を記述した物理モデルについては、後述実施例において
詳述する。
【0057】次に、請求項14に記載の車両挙動制御方
法では、まず、車両走行時に、車両の転倒のし易さを表
す転倒パラメータを請求項1〜請求項4いずれか記載の
車両挙動推定方法にて推定する。そして、前記推定され
た転倒パラメータが所定値より大きい場合に、所定の車
輪に制動力を加えて、車両の転倒を防止する。
【0058】即ち、本発明方法(請求項14)では、請
求項1〜請求項4いずれか記載の車両挙動推定方法にて
推定された転倒パラメータが所定値より大きくなると、
車両が転倒(横転)する可能性が高いと判断し、所定の
車輪に制動力を加えて、車両の転倒(横転)を防止す
る。
【0059】そして、本発明方法(請求項14)によれ
ば、請求項1〜請求項4いずれか記載の車両挙動推定方
法にて推定された転倒パラメータに基づいて、車両の転
倒(横転)を防止するための制御を行うので、車両の転
倒(横転)を確実に防止することができる。
【0060】つまり、請求項1〜請求項4いずれか記載
の車両挙動推定方法によれば、上述のように、旋回内輪
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
側の車輪)が浮く前のより早いタイミングで、正確に車
両の転倒(横転)のし易さを推定することができるの
で、例えば、車両がレーンチェンジ走行を行って揺り返
し現象が発生した場合であっても、十分に早いタイミン
グで所定の車輪に制動力を加えることができ、その結
果、車両の転倒(横転)を確実に防止することができる
のである。
【0061】そして、転倒パラメータが所定値より大き
くなり、車両が転倒(横転)する可能性が高いと判断さ
れた際に、車両の転倒(横転)を防止するため所定の車
輪に制動力を加える具体的態様としては、例えば、車両
の旋回外輪側(換言すれば、ステアリング操舵方向と反
対側)の前輪或いは前後輪に制動力を加え、車両の走行
状態をアンダーステア傾向にすることにより、転倒(横
転)を防止するものであっても良い。
【0062】また、両前輪或いは全ての車輪に制動力を
加えて、車両の走行速度を落とすことにより、転倒(横
転)を防止するものであっても良い。
【0063】一方、請求項15に記載の発明は、請求項
14に記載の発明方法を実現するための構成を備えた車
両挙動制御装置の発明であり、まず、車両走行時に、車
両の転倒のし易さを表す転倒パラメータを請求項5〜請
求項13いずれか記載の車両挙動推定装置にて推定す
る。そして、制御手段にて、前記推定された転倒パラメ
ータが所定値より大きい場合に、所定の車輪に制動力を
加えて、車両の転倒を防止する。
【0064】本発明(請求項15)によれば、請求項5
〜請求項13いずれか記載の車両挙動推定装置にて推定
された転倒パラメータに基づいて、車両の転倒(横転)
を防止するための制御を行うので、車両の転倒(横転)
を確実に防止することができる。
【0065】つまり、請求項5〜請求項13いずれか記
載の車両挙動推定装置によれば、上述のように、旋回内
輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方
向側の車輪)が浮く前のより早いタイミングで、正確に
車両の転倒(横転)のし易さを推定することができるの
で、例えば、車両がレーンチェンジ走行を行って揺り返
し現象が発生した場合であっても、十分に早いタイミン
グで所定の車輪に制動力を加えることができ、その結
果、車両の転倒(横転)を確実に防止することができる
のである。
【0066】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。 (実施例1)まず、図1は、本発明が適用された一実施
例(実施例1)としての車両挙動制御装置の全体的構成
を表す概略構成図である。尚、本実施例の車両挙動制御
装置は、フロントエンジン・リアドライブ(FR)方式
の車両に適用される。
【0067】図1に示す如く、この車両では、内燃機関
11から変速機12を介して出力される車両の駆動力
(駆動トルク)が、プロペラシャフト13及びディファ
レンシャルギヤ14を介して左右の後輪(駆動輪)(左
後輪22RL、右後輪22RR)に分配される。
【0068】また、車両の各車輪(左前輪22FL、右
前輪22FR、左後輪22RL、右後輪22RR)に
は、各車輪22FL〜22RRに制動力を与える油圧式
のブレーキ装置(以下、ホイールシリンダとも記す)5
1FL、51FR、51RL、51RRが夫々設けられ
ている。
【0069】そして、運転者によるブレーキ操作がある
と、油圧回路50を介して各ホイールシリンダ51FL
〜51RRにブレーキ油が圧送され、各車輪22FL〜
22RRに制動力が加えられるよう構成されている。
【0070】また、この車両には、請求項10の横加速
度測定手段としての横加速度センサ41が取り付けられ
ており、横加速度センサ41からの検出信号は、CP
U、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを
中心に構成された電子制御装置(ECU)20に入力さ
れる。
【0071】そして、ECU20は、横加速度センサ4
1からの入力信号に基づき、運転者によるブレーキ操作
とは別に、油圧回路50内に設けられた各種アクチュエ
ータを駆動して、各ホイールシリンダ51FL〜51R
Rに加わるブレーキ油圧を調節することにより、各車輪
22FL〜22RRに加わる制動力を制御する。
【0072】即ち、ECU20は、車両走行時に、横加
速度センサ41からの入力信号を用いて、車両の転倒の
し易さを表す転倒パラメータを推定し、この転倒パラメ
ータに応じて、車両の転倒(横転)を防止するよう、左
右の前輪22FL、22FRのうち旋回外輪側(換言す
れば、ステアリング操舵方向と反対側の車輪)の前輪に
加わる制動力(ホイールシリンダ圧)を適宜増加させる
車両転倒防止制御等を実行する。
【0073】次に、こうした制動力制御のために用いら
れる油圧回路50について説明する。
【0074】図2に示すように、この油圧回路50は、
左前輪22FL−右後輪22RR、右前輪22FR−左
後輪22RLの各配管系統を備えるX配管にて構成され
ている。
【0075】そして、これらの配管系統のうち、運転者
によるブレーキペダル31操作によってブレーキ油を圧
送するマスタシリンダ52から、左前輪22FL、右後
輪22RRのホイールシリンダ51FL、51RRに至
る管路53A1には、油圧回路の切り替えに用いられる
(2位置に切り替えられる)3方向切替弁54A、左前
輪22FLのホイールシリンダ51FLに高い油圧を加
えるためのプロポーションバルブ55A、マスタシリン
ダ52からホイールシリンダ51RR、51FLに至る
管路を開閉制御する増圧制御弁56、57、ホイールシ
リンダ51RR、51FLからリザーバ66Aに至る管
路を開閉制御する減圧制御弁61、62、ホイールシリ
ンダ51RR、51FLからのブレーキ油を貯溜するリ
ザーバ66A、リザーバ66Aからマスタシリンダ52
側にブレーキ油を汲み上げるポンプ67Aが設けられて
いる。また、マスタリザーバ69から前記3方向切替弁
54Aに至る管路53A2には、ブレーキ油圧を増圧す
るためのポンプ71A、ポンプ71Aの下流側とマスタ
リザーバ69との管路を開閉制御する加圧制御弁72A
が設けられている。
【0076】このうち、3方向切替弁54Aは、A位置
に切り替えられた場合には、管路53A1にて、通常の
運転者によるブレーキ操作や、増圧制御弁56、57、
減圧制御弁61、62、リザーバ66A、ポンプ67A
等を用いた周知のアンチスキッド制御等を行うことが可
能になる。一方、B位置に切り替えられた場合には、ポ
ンプ71Aによる高いブレーキ油圧によって、車両転倒
防止制御を行うことが可能になる。
【0077】また、前記配管系統のうち、マスタシリン
ダ52から、右前輪22FR、左後輪22RLのホイー
ルシリンダ51FR、51RLに至る他方の管路53B
1には、前記管路53A1と同様に、2位置に切り替え
られる3方向切替弁54B、プロポーションバルブ55
B、増圧制御弁58、59、減圧制御弁63、64、リ
ザーバ66B、ポンプ67Bが設けられている。また、
マスタリザーバ69から3方向切替弁54Bに至る管路
53B2には、前記管路53A2と同様に、ポンプ71
B及び加圧制御弁72Bが設けられている。
【0078】そして、この油圧回路50には、各ポンプ
71A、71Bから各3方向切替弁54A、54Bの間
の油圧を検出する第1、第2圧力センサ75、76と、
マスタシリンダ52から各3方向切替弁54A、54B
の間の油圧を検出する第3、第4圧力センサ77、78
とが設けられており、これら各センサ75〜78からの
検出信号も、ECU20に入力される。そして、ECU
20は、これらの検出信号に基づき、各種アクチュエー
タ、即ち、増圧制御弁56〜59、減圧制御弁61〜6
4、ポンプ67A、67B、ポンプ71A、71B、加
圧制御弁72A、72Bを制御することにより、各ホイ
ールシリンダ51FL〜51RRに加わるブレーキ油圧
(つまり、各車輪22FL〜22RRに加わる制動力)
を制御する。
【0079】次に、車両走行時(具体的には、車両のイ
グニッションスイッチ(図示はしない)がONされた
後)にECU20にて繰り返し実行される制御処理のう
ち、本発明に関わる主要な処理である車両転倒防止制御
処理(車両挙動制御処理)について、図3に示すフロー
チャートに沿って説明する。
【0080】図3に示す如く、車両転倒防止制御処理が
開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)
にて、横加速度センサ41からの検出信号を読み込む。
そして、続くS120では、横加速度センサ41からの
入力信号より検出された車両の横加速度Gyを、下記式
(1)にて表される、横加速度Gyと車両のロール角φ
Oとの関係を記述した物理モデル(ラプラス変換された
モデル)に適用して、ロール角φOを算出する。
【0081】
【数1】
【0082】(但し、K1,K2:定数) 尚、本実施例では、横加速度センサ41からの検出値で
ある横加速度Gyは、左旋回(公転)時に正、右旋回
(公転)時に負の値として出力され、ロール角φ Oは、
車両が右側に傾いた時に正、左側に傾いた時に負の値と
して算出される。
【0083】次に、S130では、S120にて算出さ
れたロール角φOを、下記式(2)に適用することによ
り、微分し、車両のロールレートφO'を算出する。
【0084】φO'=s・φO …(2) そして、続くS140では、後述の式(6)にて定義さ
れるロール角φの挙動推定値φ(t)の最大振幅A推定
用の下記演算式(3)に基づき、S120、S130に
て算出(測定)された、走行車両の実際の転倒(横転)
傾向を表すロール角φO及びロールレートφO'の測定結
果を用いて、ロール角φの挙動推定値φ(t)の最大振
幅の推定値Aを算出し、この推定値Aを車両の転倒のし
易さを表す転倒パラメータXとする。
【0085】
【数2】
【0086】(但し、p,w:振動系の特性値(定
数)) 尚、S140において、転倒パラメータXを算出する際
には、ロール角φO及びロールレートφO'の測定結果を
パラメータとして、上記式(3)に対応する転倒パラメ
ータXを容易に算出できるよう、ロール角φO及びロー
ルレートφO'と転倒パラメータXとの関係を予め設定し
たマップ(図示はしない)が使用される。
【0087】ここで、S140にて、転倒パラメータX
を求める際に使用する上記式(3)は、以下のように設
定されている。
【0088】まず、走行車両の転倒(横転)傾向を表す
ロール角φに基づき車両走行時の車両挙動(転倒挙動)
を記述した物理モデルが、下記式(4)のように表され
る。
【0089】Jφ''+Dφ'+Kφ=F …(4) (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
ロールレート、φ:ロール角) 尚、上記パラメータのうち、遠心力F(図9参照)は、
横加速度センサ41からの入力信号より検出される車両
の横加速度Gyを用いると、下記式(5)のように表さ
れる。
【0090】
【数3】
【0091】(但し、W:車両重量、h:車両重心高
さ、g:重力加速度) そして、上記式(4)、(5)から、ロール角φの挙動
推定用の下記演算式(6)を導出することができる。
【0092】
【数4】
【0093】尚、上記パラメータのうち、Aは上記式
(3)にて定義されるロール角φの挙動推定値φ(t)
の最大振幅(推定値)、e-(pt/2)は減衰要素、sin
(w・t+θ)は共振要素であり、該共振要素におい
て、位相角θは、S120、S130にて算出(測定)
された、走行車両の実際の転倒(横転)傾向を表すロー
ル角φO及びロールレートφO'の測定結果に対応する定
数として算出されるものである。
【0094】そして、上記式(6)を用いれば、初期状
態(ロール角がφOであり、ロールレートがφO'である
として測定された時点t=0の状態)において車両に作
用する外力(ここでは、遠心力F)が、その後も一定で
あるとの仮定のもとに予想される、時間t経過後のロー
ル角φの挙動推定値φ(t)を算出することができる。
【0095】そして、上記式(6)では、ロール角φ
(t)(挙動推定値)が減衰振動するものとして表され
るが、本実施例では、上記S140にて、上記式(3)
に基づき、ロール角φ(t)(挙動推定値)の減衰前の
最大振幅A(推定値)を、走行車両の実際の転倒(横
転)傾向を表すロール角φO及びロールレートφO'の測
定結果に対応して段階的に増減する値として算出し、こ
の推定値Aを車両の転倒のし易さを表す転倒パラメータ
Xとするのである。
【0096】従って、本実施例では、転倒パラメータX
を、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応して段階的に
増減する値として算出することができ、該転倒パラメー
タXにて、正確に車両の転倒(横転)のし易さを推定す
ることができる。
【0097】つまり、本実施例では、転倒パラメータX
が、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリ
ング操舵方向側の車輪)が浮く前の時点から、実際の車
両の挙動(転倒挙動)に対応して、段階的に増減する値
として算出され、且つ、この転倒パラメータXが、走行
車両の転倒(横転)のし易さ、即ち、転倒(横転)可能
性を常に大きめ(危険側)に見積った値として算出され
るので、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステ
アリング操舵方向側の車輪)が浮く前の確実に早いタイ
ミングで、正確に車両の転倒のし易さを推定することが
できる。
【0098】そして、上記のようにして、S140の処
理にて転倒パラメータXが算出されると、今度は、S1
50に移行する。
【0099】S150では、現在、右前輪22FR或い
は左前輪22FLに加わる制動力が、車両の転倒(横
転)を防止するために増加された状態であるか否かが判
断される。
【0100】つまり、当該車両転倒防止制御処理の前回
フロー時までのS180或いはS190の処理(後述)
により、右前輪22FR或いは左前輪22FLに加わる
制動力が増加され、現在も、増加されたままの状態であ
るのか否かが判断される。
【0101】そして、S150にて、現在、右前輪22
FR或いは左前輪22FLに加わる制動力が増加された
状態でないと判断された場合は、S160に移行し、転
倒パラメータXが、予め設定された所定値である第1評
価係数Ka(Ka>0)より大きいか否かの判断を行
う。
【0102】S160にて、転倒パラメータXが第1評
価係数Kaより大きいと判断された場合、つまり、車両
が転倒(横転)する可能性が高いと判断された場合は、
S170に移行し、今度は、横加速度センサ41からの
検出値である横加速度Gyが0より大きいか否かの判断
を行う。
【0103】そして、S170にて、横加速度Gyが0
より大きい、即ち、正であると判断された場合は、S1
80に移行して、旋回外輪側(レーンチェンジ走行の場
合は、ステアリング操舵方向と反対側)の前輪を右前輪
22FRであると判断し、車両の走行状態をアンダース
テア傾向にして転倒(横転)を防止する(換言すれば、
転倒パラメータXを減少させる)よう、油圧回路50内
の各種アクチュエータを駆動して、右前輪22FRに加
わる制動力、つまり、ホイールシリンダ51FRに加わ
るブレーキ油圧を増加させて、一旦当該車両転倒防止制
御処理を終了する。
【0104】また、S170にて否定判断され、横加速
度Gyが0より大きくはない、即ち、例えば、負である
と判断された場合は、S190に移行して、旋回外輪側
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
と反対側)の前輪を左前輪22FLであると判断し、車
両の走行状態をアンダーステア傾向にして転倒(横転)
を防止する(換言すれば、転倒パラメータXを減少させ
る)よう、油圧回路50内の各種アクチュエータを駆動
して、左前輪22FLに加わる制動力、つまり、ホイー
ルシリンダ51FLに加わるブレーキ油圧を増加させ
て、一旦当該車両転倒防止制御処理を終了する。
【0105】一方、S160にて、転倒パラメータXが
第1評価係数Kaより大きくはないと判断された場合
は、車両が転倒(横転)する可能性がないため、左右の
前輪22FL、22FRのうち一方の制動力を増加させ
る必要がないと判断して、一旦当該車両転倒防止制御処
理を終了する。
【0106】また、一方、S150にて、現在、右前輪
22FR或いは左前輪22FLに加わる制動力が、車両
の転倒(横転)を防止するために増加された状態である
と判断された場合は、S200に移行し、転倒パラメー
タXが、予め設定された所定値である第2評価係数Kb
(但し、0<Kb<Ka)より小さくなったか否かの判
断を行う。
【0107】そして、S200にて、転倒パラメータX
が第2評価係数Kbより小さくなったと判断された場合
は、車両が転倒(横転)する可能性が無くなったと判断
して、S210に移行し、右前輪22FR或いは左前輪
22FLに加わっていた制動力を減少させて、一旦当該
車両転倒防止制御処理を終了する。
【0108】また、S200にて、転倒パラメータXが
第2評価係数Kbより小さくなってはいないと判断され
た場合は、車両が転倒(横転)する可能性が未だ残され
ていると判断し、右前輪22FR或いは左前輪22FL
に加わる制動力が増加された状態を保持して、一旦当該
車両転倒防止制御処理を終了する。
【0109】尚、S120の処理は、請求項10のロー
ル角算出手段に相当し、S130の処理は、請求項10
のロールレート算出手段に相当し、S140の処理は、
請求項6の転倒パラメータ推定手段に相当し、S150
〜S210の処理(特にS160〜S190の処理)
は、請求項15の制御手段に相当する。
【0110】以上説明したように、本実施例では、走行
車両の転倒(横転)傾向を表すロール角φに基づいて車
両挙動(転倒挙動)を記述した式(4)にて表される物
理モデルより導出した演算式(3)に基づき、S12
0、S130にて算出(測定)された走行車両の実際の
転倒(横転)傾向を表すロール角φO及びロールレート
φO'の測定結果を用いて、ロール角φ(t)(挙動推定
値)の減衰前の最大振幅A(推定値)を算出し、この推
定値Aを転倒パラメータXとする(S140)。
【0111】従って、本実施例では、転倒パラメータX
を、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応して段階的に
増減する値として算出することができ、該転倒パラメー
タXにて、正確に車両の転倒のし易さを推定することが
できる。
【0112】つまり、本実施例では、転倒パラメータX
が、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリ
ング操舵方向側の車輪)が浮く前の時点から、実際の車
両の挙動(転倒挙動)に対応して、段階的に増減する値
として算出され、且つ、この転倒パラメータXが、走行
車両の転倒(横転)のし易さ、即ち、転倒(横転)可能
性を常に大きめ(危険側)に見積った値として算出され
るので、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステ
アリング操舵方向側の車輪)が浮く前の確実に早いタイ
ミングで、正確に車両の転倒のし易さを推定することが
できる。
【0113】そして、本実施例では、このように推定さ
れた転倒パラメータXに基づいて、車両の転倒(横転)
を防止するための制御を行う(S150〜S210)の
で、車両の転倒(横転)を確実に防止することができ
る。
【0114】つまり、本実施例では、上述のように、旋
回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、
正確に車両の転倒(横転)のし易さを推定することがで
きるので、例えば、車両がレーンチェンジ走行を行って
揺り返し現象が発生した場合であっても、十分に早いタ
イミングで所定の車輪に制動力を加える(S180、S
190)ことができ、その結果、車両の転倒(横転)を
確実に防止することができるのである。
【0115】尚、上記実施例では、転倒パラメータXの
算出(S140)に使用するロール角φO及びロールレ
ートφO'を算出(測定)する(S120、S130)
際、まず、横加速度センサ41からの検出値である横加
速度Gyを式(1)に適用してロール角φOを算出(測
定)し(S120)、さらに、該ロール角φOを式
(2)に適用してロールレートφO'を算出(測定)した
(S130)が、横加速度センサ41の代わりにロール
レートセンサを設けて、まず、該ロールレートセンサに
て、車両のロールレートφO'を測定し、次いで、該ロー
ルレートセンサからの検出値であるロールレートφO'
を、下記式(7)にて表される、ロールレートφO'と車
両のロール角φOとの関係を記述した物理モデル(ラプ
ラス変換されたモデル)に適用して、ロール角φOを算
出(測定)しても良い。
【0116】
【数5】
【0117】(但し、K3,K4:定数) 尚、この場合のロールレートセンサは、請求項9のロー
ルレート測定手段に相当し、上記式(7)を用いてEC
U20にて行われるロール角φOの算出(測定)処理
は、請求項9のロール角算出手段に相当する。
【0118】そして、この態様においては、車両の旋回
外輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向と反対側)の前輪が左右の前輪22FL、22F
Rのうちのどちらであるかを判断するために行われるS
170に相当する処理を、ロールレートφO'が0より大
きいか否かを判断することにより行っても良い。
【0119】具体的には、ロールレートφO'が0より大
きい、即ち、正であると判断される場合は、旋回外輪側
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
と反対側の車輪)の前輪が右前輪22FRであると判断
できることから、S180に移行し、逆に、ロールレー
トφO'が0より大きくはない、即ち、例えば、負である
と判断される場合は、旋回外輪側(レーンチェンジ走行
の場合は、ステアリング操舵方向と反対側の車輪)の前
輪が左前輪22FLであると判断できることから、S1
90に移行するようにするのである。
【0120】尚、ロールレートセンサに加えて、上記実
施例と同様に横加速度センサ41が設けられている場合
は、S170の処理を上記実施例と同様に実行すること
ができる。 (実施例2)次に、実施例2について説明する。
【0121】尚、上記実施例1と同様な箇所の説明は、
省略又は簡略化する。
【0122】まず、図4は、本発明が適用された一実施
例(実施例2)としての車両挙動制御装置の全体的構成
を表す概略構成図である。
【0123】本実施例では、車両の各車輪22FL〜2
2RRに、各車輪22FL〜22RRの回転速度(以
下、車輪速度とも記す)を検出するための車輪速度セン
サ42FL、42FR、42RL、42RRが夫々設け
られ、また、この車両には、実施例1における横加速度
センサ41の代わりに、請求項11のヨーレート測定手
段としてのヨーレートセンサ43が設けられている。
【0124】そして、車輪速度センサ42FL〜42R
R及びヨーレートセンサ43からの検出信号は、ブレー
キスイッチ32からの検出信号と共に、ECU20に入
力される。尚、ブレーキスイッチ32は、ブレーキペダ
ル31の踏込時にオン(ON)状態となり、ストップラ
ンプ(図示はしない)を点灯させるスイッチである。
【0125】次に、車両走行時(具体的には、車両のイ
グニッションスイッチ(図示はしない)がONされた
後)にECU20にて繰り返し実行される、本実施例に
おける車両転倒防止制御処理(車両挙動制御処理)につ
いて、図5〜図7に示すフローチャートに沿って説明す
る。
【0126】図5に示す如く、車両転倒防止制御処理が
開始されると、まず、実施例1のS110の処理に相当
するS310にて、車輪速度センサ42FL〜42R
R、ヨーレートセンサ43、及びブレーキスイッチ32
からの検出信号を読み込む。そして、続くS320で
は、車体速度推定処理を実行する。
【0127】この車体速度推定処理は、S310にて読
み込まれた検出信号に基づき、車両の車体速度VbO
推定(測定)する処理であり、図6に示す如く実行され
る。
【0128】即ち、車体速度推定処理では、まずS51
0にて、各車輪22FL〜22RRの車輪速度の補正演
算を行う。具体的には、車輪速度センサ42FL〜42
RRからの入力信号から検出された各車輪22FL〜2
2RRの車輪速度VWFLO、VWFRO、VWRLO
VWRROを、ヨーレートセンサ43からの入力信号よ
り検出された車両のヨーレートψO'を用いた下記式
(8)〜(11)を用いて、車両の重心位置の速度に換
算する補正演算を行う。
【0129】 VWFLOforVbO=VWFLO−Lf×ψO' …(8) VWFROforVbO=VWFRO−Lf×ψO' …(9) VWRLOforVbO=VWRLO−Lr×ψO' …(10) VWRROforVbO=VWRRO−Lr×ψO' …(11) 尚、上記式(8)〜(11)におけるパラメータのう
ち、VWFLOforVbO、VWFROforVbO、VWRL
OforVbO、VWRROforVbOは、夫々各車輪22FL
〜22RRの補正後の車輪速度を示す。また、Lfは、
車両の重心からフロント軸(フロントドライブシャフ
ト)までの最短距離を示し、Lrは、車両の重心からリ
ア軸(リアドライブシャフト)までの最短距離を示す。
また、本実施例では、ヨーレートセンサ43からの検出
値であるヨーレートψO'は、左旋回(自転)時に正、右
旋回(自転)時に負の値として出力される。
【0130】次に、S520では、現在車両が減速状態
にあるか否かを判断する。この判断は、ブレーキスイッ
チ32からの入力信号がオン(ON)状態であるか否か
を判断することにより行われる。
【0131】そして、S520にて車両が減速状態にあ
ると判断された場合は、S530に移行し、下記式(1
2)にて車体速度VbO(推定値)を算出する。
【0132】 VbO=max(VW**forVbO) …(12) 尚、上記式(12)におけるパラメータのうち、VW*
*forVbOは、上記式(8)〜(11)にて算出された
全車輪の補正後の車輪速度を示し、**は、各車輪22
FL〜22RRを示す。そして、上記式(12)は、全
車輪の補正後の車輪速度のうち、最大車輪速度であるも
のを車体速度VbOとして算出することを示す。
【0133】つまり、車両が減速状態であれば、例え
ば、ブレーキの各車輪22FL〜22RRへの作用、あ
るいはエンジンブレーキの各車輪22FL〜22RRへ
の作用により、車輪が減速スリップに陥ることがあり、
減速スリップに陥った車輪の車輪速度(補正後の車輪速
度)が車体速度より極端に小さくなる可能性がある。
【0134】そこで、S530では、全車輪の補正後の
車輪速度のうち、減速スリップに陥っていない車輪(換
言すれば、路面にグリップした車輪)の補正後の車輪速
度に対応する最大車輪速度を車体速度VbOとして算出
するのである。
【0135】一方、S520にて車両が減速状態にない
と判断された場合は、S540に移行し、下記式(1
3)にて車体速度VbO(推定値)を算出する。
【0136】 VbO=min(VW**forVbO) …(13) 上記式(13)は、全車輪の補正後の車輪速度のうち、
最小車輪速度であるものを車体速度VbOとして算出す
ることを示す。
【0137】つまり、車両が減速状態にない場合として
は、例えば、車両の加速中が考えられ、この際には加速
スリップに陥った車輪の車輪速度(補正後の車輪速度)
が車体速度より極端に大きくなる可能性がある。
【0138】そこで、S540では、全車輪の補正後の
車輪速度のうち、加速スリップに陥っていない車輪(換
言すれば、路面にグリップした車輪)の補正後の車輪速
度に対応する最小車輪速度を車体速度VbOとして算出
するのである。
【0139】そして、S530、或いはS540にて車
体速度VbOが算出されると、今度は、S550に移行
する。
【0140】S550では、上記のように算出された車
体速度VbOの変化勾配の制限を行い、車体速度推定処
理を完了する。
【0141】即ち、S550では、前回フロー時のS3
30の処理(後述)にて推定値として算出された車体の
前後軸方向の加速度である車体前後加速度VbO'に応じ
て、前回フロー時に算出された車体速度から今回フロー
時に算出された車体速度への変化量を制限することによ
り、今回フローにて算出された車体速度VbOを補正す
る。
【0142】こうして、車体速度推定処理(S320)
により、車体速度VbOが推定(測定)されると、今度
は、S330(図5参照)にて、車体前後加速度推定処
理を実行する。
【0143】この車体前後加速度推定処理は、今回フロ
ーにおける車体前後加速度VbO'(推定値)を算出する
処理であり、図7に示す如く実行される。
【0144】即ち、車体前後加速度推定処理では、まず
S610にて、今回フローまでの所定時間内に車体速度
推定処理(S320)にて算出された車体速度Vb
Oを、ローパスフィルタにてフィルタリングする。具体
的には、例えば、10Hz以下の周波数のみを通すロー
パスフィルタを用いて、推定値としての車体速度VbO
中のノイズを除去する。
【0145】次に、S620では、S610にてフィル
タリングされた車体速度VbOを微分処理する。
【0146】そして、S630では、S620にて算出
された値、即ち、車体前後加速度VbO'をフィルタリン
グして、車体前後加速度推定処理を完了する。具体的に
は、例えば、S620にて算出された車体前後加速度V
O'を、2Hz以下の周波数のみを通すローパスフィル
タにかける。
【0147】こうして、車体前後加速度推定処理(S3
30)により、今回フローにおける車体前後加速度Vb
O'(推定値)が算出されると、今度は、実施例1のS1
20の処理に相当するS340(図5参照)に移行す
る。
【0148】S340では、ヨーレートセンサ43から
の入力信号より検出された車両のヨーレートψO'と、車
体速度推定処理(S320)により推定(測定)された
車体速度VbOとを、下記式(14)にて表される、ヨ
ーレートψO'及び車体速度VbOと車両のロール角φO
の関係を記述した物理モデル(ラプラス変換されたモデ
ル)に適用して、ロール角φOを算出する。
【0149】
【数6】
【0150】(但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定
数、K:バネ定数、W:車両重量、h:車両重心高さ、
g:重力加速度) 次に、実施例1のS130の処理に相当するS350で
は、S340にて算出されたロール角φOを、式(2)
に適用することにより、微分し、車両のロールレートφ
O'を算出する。
【0151】次いで、実施例1のS140の処理に相当
するS360では、式(3)に基づき、S340、S3
50にて算出(測定)された、走行車両の実際の転倒
(横転)傾向を表すロール角φO及びロールレートφO'
の測定結果を用いて、ロール角φの挙動推定値φ(t)
の最大振幅の推定値Aを算出し、この推定値Aを車両の
転倒のし易さを表す転倒パラメータXとする。
【0152】そして、S360の処理にて転倒パラメー
タXが算出されると、今度は、S370に移行する。
【0153】ここで、S370〜S430の各処理は、
実施例1のS150〜S210の各処理に夫々相当し、
S390の処理(実施例1のS170の処理に相当)を
除き、実質的にS150〜S210の各処理と同様に実
行される。
【0154】そして、S390の処理は、実施例1のS
170の処理と同様に、車両の旋回外輪側(レーンチェ
ンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向と反対側の車
輪)の前輪が左右の前輪22FL、22FRのうちのど
ちらであるかを判断するために行われるが、本実施例で
は、実施例1と異なり、車両に横加速度センサ41が設
けられていないことから、S390では、ヨーレートセ
ンサ43からの検出値であるヨーレートψO'が0より大
きいか否かを判断することにより、車両の旋回外輪側
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
と反対側の車輪)の前輪が左右の前輪22FL、22F
Rのうちのどちらであるかを判断するのである。
【0155】具体的には、ヨーレートψO'が0より大き
い、即ち、正であると判断される場合は、旋回外輪側
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
と反対側)の前輪が右前輪22FRであると判断できる
ことから、S400(実施例1のS180の処理に相
当)に移行し、逆に、ロール角φOが0より大きくはな
い、即ち、例えば、負であると判断される場合は、旋回
外輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向と反対側)の前輪が左前輪22FLであると判断
できることから、S410(実施例1のS190の処理
に相当)に移行するのである。
【0156】尚、S320の処理は、請求項11の車体
速度測定手段に相当し、S340の処理は、請求項11
のロール角算出手段に相当し、S350の処理は、請求
項11のロールレート算出手段に相当し、S360の処
理は、実施例1のS140の処理と同様に、請求項6の
転倒パラメータ推定手段に相当し、S370〜S430
の処理(特にS380〜S410の処理)は、実施例1
のS150〜S210の処理(特にS160〜S190
の処理)と同様に、請求項15の制御手段に相当する。
【0157】以上説明したように、本実施例では、実施
例1と同様に、走行車両の転倒(横転)傾向を表すロー
ル角φに基づいて車両挙動(転倒挙動)を記述した式
(4)にて表される物理モデルより導出した演算式
(3)に基づき、S340、S350にて算出(測定)
された走行車両の実際の転倒(横転)傾向を表すロール
角φ O及びロールレートφO'の測定結果を用いて、ロー
ル角φ(t)(挙動推定値)の減衰前の最大振幅A(推
定値)を算出し、この推定値Aを転倒パラメータXとす
る(S360)。
【0158】従って、本実施例では、実施例1と同様
に、転倒パラメータXを、実際の車両の挙動(転倒挙
動)に対応して段階的に増減する値として算出すること
ができ、該転倒パラメータXにて、正確に車両の転倒の
し易さを推定することができる。
【0159】つまり、本実施例では、実施例1と同様
に、転倒パラメータXが、旋回内輪(レーンチェンジ走
行の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮く前
の時点から、実際の車両の挙動(転倒挙動)に対応し
て、段階的に増減する値として算出され、且つ、この転
倒パラメータXが、走行車両の転倒(横転)のし易さ、
即ち、転倒(横転)可能性を常に大きめ(危険側)に見
積った値として算出されるので、旋回内輪(レーンチェ
ンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が
浮く前の確実に早いタイミングで、正確に車両の転倒の
し易さを推定することができる。
【0160】そして、本実施例では、S360にて推定
された転倒パラメータXに基づき、実施例1と同様に、
車両の転倒(横転)を防止するための制御を行う(S3
70〜S430)ので、車両の転倒(横転)を確実に防
止することができる。
【0161】つまり、本実施例では、実施例1と同様
に、旋回内輪(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリ
ング操舵方向側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミン
グで、正確に車両の転倒(横転)のし易さを推定するこ
とができるので、例えば、車両がレーンチェンジ走行を
行って揺り返し現象が発生した場合であっても、十分に
早いタイミングで所定の車輪に制動力を加える(S40
0、S410)ことができ、その結果、車両の転倒(横
転)を確実に防止することができるのである。
【0162】尚、上記実施例(実施例2)では、車体速
度推定処理(S320)において、車輪速度VWFLO
〜VWRROを車両の重心位置の速度に換算する(S5
10)際に、車両のヨーレートψO'を用いた式(8)〜
(11)を用いたが、横加速度センサ41も設けられた
車両であれば、式(8)〜(11)におけるヨーレート
ψO'を、横加速度センサ41からの入力信号より検出さ
れる横加速度Gyを用いた下記式(15)にて換算値ψ
O'Hとして算出しても良い。
【0163】ψO'H=Gy/Vb(n-1) …(15) 尚、上記式(15)において、Vb(n-1)は、前回フロ
ーにて算出された車体速度VbOである。また、上記式
(15)を使用する態様では、車両が極低速で走行して
いる場合(例えば、5km/h以下のような車輪速度センサ
42FL〜42RRの分解能の限界以下の極低速で走行
している場合)には、上記式(15)においてVb
(n-1)を0とした演算を行わないようにするため、Vb
(n-1)に固定値(例えば、5km/h)を代入してψO'Hを算
出すれば良い。
【0164】また、上記実施例(実施例2)では、車体
速度推定処理(S320)において、車両が減速状態に
あるか否かを判断する(S520)際に、ブレーキスイ
ッチ32からの入力信号を用いて判断を行ったが、例え
ば、下記3つの態様(〜)のうち1つを採用しても
良い。また、下記3つの態様(〜)及び上記実施例
の態様(即ち、ブレーキスイッチ32からの入力信号を
用いる態様)のうち少なくとも2つを組み合わせた態様
を採用しても良い。
【0165】 車体前後加速度推定処理(S330)
にて算出される車体前後加速度Vb O'(前回フローにて
算出された値)が正か負かを判断することによって車両
が減速状態にあるか否かを判断する。
【0166】 ECU20にてIDL(アイドル)信
号(例えば、アクセルペダル(図示はしない)が踏み込
まれているか否かによって出力が変化する信号)を検出
することによって車両が減速状態にあるか否かを判断す
る。
【0167】 マスタシリンダ52内の圧力を検出す
るマスタシリンダ圧センサを設け、該マスタシリンダ圧
センサによる検出値(圧力)が基準値以上であって、実
質的に車輪制動力を発生している状態か否かを判断する
ことによって車両が減速状態にあるか否かを判断する。
尚、例えば、第3、第4圧力センサ77、78(図2参
照)のうち少なくとも一方を、このマスタシリンダ圧セ
ンサとして機能させることができる。
【0168】また、一方、車体速度VbOの測定(推
定)処理(請求項11の車体速度測定手段に相当)とし
ては、左右の従動輪(上記実施例(実施例1、実施例
2)のようにフロントエンジン・リアドライブ方式の車
両の場合は、前輪22FL、22FR)の車輪速度を検
出する車輪速度センサより得られる左右の従動輪の回転
速度の平均値(平均従動輪速度)を車体速度VbO(推
定値)として検出するものであっても良い。
【0169】また、上記実施例(実施例2)では、転倒
パラメータXの算出(S360)に使用するロール角φ
O及びロールレートφO'を算出(測定)する(S34
0、S350)際、まず、ヨーレートセンサ43からの
検出値であるヨーレートψO'と、車体速度推定処理(S
320)により推定(測定)された車体速度VbOとを
式(14)に適用してロール角φOを算出(測定)し
(S340)、さらに、該ロール角φOを式(2)に適
用してロールレートφO'を算出(測定)した(S35
0)が、操舵角センサも設けられた車両であれば、ま
ず、該操舵角センサにて、車両におけるステアリングの
操舵角δOを測定すると共に、上記実施例(実施例2)
と同様に車体速度VbOを推定(測定)し、該操舵角δO
と車体速度VbOとを、下記式(16)にて表される、
操舵角δO及び車体速度VbOと車両のロール角φOとの
関係を記述した物理モデル(ラプラス変換されたモデ
ル)に適用して、ロール角φOを算出(測定)し、
【0170】
【数7】
【0171】(但し、K5,K6,K7:定数) 次いで、該ロール角φOを式(2)に適用してロールレ
ートφO'を算出(測定)しても良い。
【0172】尚、この場合の操舵角センサは、請求項1
2の操舵角測定手段に相当し、上記実施例(実施例2)
と同様に車体速度VbOを推定(測定)する処理は、請
求項12の車体速度測定手段に相当し、上記式(16)
を用いてECU20にて行われるロール角φOの算出
(測定)処理は、請求項12のロール角算出手段に相当
し、該ロール角φOを式(2)に適用してロールレート
φO'を算出(測定)する処理は、請求項12のロールレ
ート算出手段に相当する。
【0173】また、この態様において、操舵角センサか
らの検出値である操舵角δOは、ステアリングの左操舵
時に正、右操舵時に負の値として出力される。
【0174】そして、この態様においては、車両の旋回
外輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向と反対側の車輪)の前輪が左右の前輪22FL、
22FRのうちのどちらであるかを判断するために行わ
れるS390に相当する処理を、操舵角δOが0より大
きいか否かを判断することにより行っても良い。
【0175】具体的には、操舵角δOが0より大きい、
即ち、正であると判断される場合は、旋回外輪側(レー
ンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向と反対
側の車輪)の前輪が右前輪22FRであると判断できる
ことから、S400に移行し、逆に、操舵角δOが0よ
り大きくはない、即ち、例えば、負であると判断される
場合は、旋回外輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ス
テアリング操舵方向と反対側の車輪)の前輪が左前輪2
2FLであると判断できることから、S410に移行す
るようにするのである。
【0176】そして、このように、S390に相当する
処理を、操舵角δOを用いて行うものにした上、さら
に、車体速度VbOの測定(推定)処理(請求項12の
車体速度測定手段に相当)を、上記平均従動輪速度を車
体速度VbOとして測定するものとすれば、ヨーレート
センサ43を用いなくても、上記実施例(実施例2)と
同様に、転倒パラメータXを算出することができ、車両
の転倒(横転)も確実に防止することができる。
【0177】つまり、ヨーレートセンサ43を除いて
も、車輪速度センサ(上記実施例(実施例1、実施例
2)のようにフロントエンジン・リアドライブ方式の車
両の場合は、従動輪である前輪25FL、25FRに夫
々設けられた車輪速度センサ42FL、42FR)及び
操舵角センサからの検出値のみを用いれば、転倒パラメ
ータXを算出する際に使用する走行車両のロール角φO
及びロールレートφO'を算出(測定)することができ、
車両の転倒(横転)も確実に防止することができるので
ある。
【0178】また、一方、各車輪22FL〜22RRに
夫々設けられた車輪速度センサ42FL〜42RRから
の検出値である車輪速度VWFLO〜VWRROのみを用
いて、転倒パラメータXを算出する際に使用する走行車
両のロール角φO及びロールレートφO'を算出(測定)
することも可能である。
【0179】つまり、まず、車輪速度センサ42FL〜
42RRにて、各車輪22FL〜22RRの車輪速度V
WFLO〜VWRROを測定し、該車輪速度VWFLO
VWRROを、下記式(17)にて定義される旋回内外
輪速度差pTと、車両のロール角φOとの関係を記述し
た、下記式(18)にて表される物理モデル(ラプラス
変換されたモデル)に適用して、ロール角φOを算出
(測定)する。
【0180】 pT=(VWFRO+VWRRO)−(VWFLO+VWRLO) …(17)
【0181】
【数8】
【0182】(但し、K8,K9:定数) そして、該ロール角φOを式(2)に適用してロールレ
ートφO'を算出(測定)するのである。
【0183】尚、この場合の車輪速度センサ42FL〜
42RRは、請求項13の車輪速度測定手段に相当し、
上記式(18)を用いてECU20にて行われるロール
角φ Oの算出(測定)処理は、請求項13のロール角算
出手段に相当し、該ロール角φOを式(2)に適用して
ロールレートφO'を算出(測定)する処理は、請求項1
3のロールレート算出手段に相当する。
【0184】そして、この態様においては、車両の旋回
外輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操
舵方向と反対側の車輪)の前輪が左右の前輪22FL、
22FRのうちのどちらであるかを判断するために行わ
れるS390に相当する処理を、旋回内外輪速度差pT
が0より大きいか否かを判断することにより行っても良
い。
【0185】具体的には、旋回内外輪速度差pTが0よ
り大きい、即ち、正であると判断される場合は、旋回外
輪側(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵
方向と反対側の車輪)の前輪が右前輪22FRであると
判断できることから、S400に移行し、逆に、旋回内
外輪速度差pTが0より大きくはない、即ち、例えば、
負であると判断される場合は、旋回外輪側(レーンチェ
ンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向と反対側の車
輪)の前輪が左前輪22FLであると判断できることか
ら、S410に移行するようにするのである。
【0186】そして、このようにすれば、ヨーレートセ
ンサ43を除いても、車輪速度センサ42FL〜42R
Rからの検出値のみを用いれば、転倒パラメータXを算
出する際に使用する走行車両のロール角φO及びロール
レートφO'を算出(測定)することができる上、車両の
転倒(横転)も確実に防止することができる。
【0187】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は、上記実施例(実施例1、実施例2)に限
定されるものではなく、種々の態様を採ることができ
る。
【0188】例えば、上記実施例(実施例1、実施例
2)では、本発明をフロントエンジン・リアドライブ
(FR)方式の車両(換言すれば、後輪駆動車)に適用
した場合について説明したが、本発明は、フロントエン
ジン・フロントドライブ(FF)方式の車両(換言すれ
ば、前輪駆動車)に適用しても、上記実施例(実施例
1、実施例2)と同様の効果を得ることができる。
【0189】また、上記実施例(実施例1、実施例2)
では、式(3)に基づき、ロール角φ(t)(挙動推定
値)の減衰前の最大振幅A(推定値)を、転倒パラメー
タXとして算出したが、例えば、走行車両の転倒(横
転)傾向を表すロール角φに基づき車両走行時の車両挙
動(転倒挙動)を記述した物理モデル(つまり、式
(4)で表される物理モデル)から導出される、ロール
角φの挙動推定用の演算式を転倒パラメータX算出用の
演算式とし、該演算式に基づき、時間t経過後のロール
角φの挙動推定値φ(t)を算出し、この推定値φ
(t)を転倒パラメータXとしても良い。
【0190】この場合、ロール角φの挙動推定用の演算
式は、横加速度センサ41からの検出値である横加速度
Gyを用いれば、上述のように、式(6)で表され、例
えば、実施例1のように車両に横加速度センサ41が設
けられた態様では、この式(6)に基づき、転倒パラメ
ータXを算出すれば良い。
【0191】また、ロール角φの挙動推定用の演算式
は、ロールレートセンサからの検出値であるロールレー
トφO'を用いれば、下記式(19)で表され、例えば、
実施例1における車両(即ち、横加速度センサ41が設
けられた車両)から横加速度センサ41が除かれ、代わ
りにロールレートセンサが設けられた態様では、この式
(19)に基づき、転倒パラメータXを算出すれば良
い。尚、下記式(19)におけるロール角φOは、ロー
ルレートセンサからの検出値であるロールレートφO'を
式(7)に適用することにより、算出されるものであ
る。
【0192】
【数9】
【0193】また、ロール角φの挙動推定用の演算式
は、ヨーレートセンサ43からの検出値であるヨーレー
トψO'と、車体速度推定処理(請求項11の車体速度測
定手段に相当)により推定(測定)された車体速度Vb
Oとを用いれば、下記式(20)で表され、例えば、実
施例2のように、車両にヨーレートセンサ43と車輪速
度センサ42FL〜42RRとが設けられた態様では、
この式(20)に基づき、転倒パラメータXを算出すれ
ば良い。
【0194】
【数10】
【0195】また、ロール角φの挙動推定用の演算式
は、操舵角センサからの検出値である操舵角δOと、車
体速度推定処理(請求項12の車体速度測定手段に相
当)により推定(測定)された車体速度VbOとを用い
れば、下記式(21)で表され、例えば、実施例2にお
ける車両(即ち、ヨーレートセンサ43と車輪速度セン
サ42FL〜42RRとが設けられた車両)からヨーレ
ートセンサ43が除かれ、代わりに操舵角センサが設け
られた態様では、この式(21)に基づき、転倒パラメ
ータXを算出すれば良い。
【0196】
【数11】
【0197】また、ロール角φの挙動推定用の演算式
は、車輪速度センサ42FL〜42RRからの検出値で
ある車輪速度VWFLO〜VWRROを用いて式(17)
にて算出される旋回内外輪速度差pTを用いれば、下記
式(22)で表され、例えば、実施例2における車両
(即ち、ヨーレートセンサ43と車輪速度センサ42F
L〜42RRとが設けられた車両)からヨーレートセン
サ43が除かれた態様では、この式(22)に基づき、
転倒パラメータXを算出すれば良い。
【0198】
【数12】
【0199】そして、上記演算式(6)、(19)〜
(22)のうちのいずれかに基づき、転倒パラメータX
(即ち、φ(t))を算出する具体的態様としては、例
えば、車両挙動を制御する際(つまり、車両の転倒(横
転)を防止するための制御を行うS150〜S210或
いはS370〜S430に相当する処理を行う際)の制
御遅れを考慮した所定時間tO(例えば、tO=0.2se
c)経過後のロール角φの推定値φ(tO)を、上記演算
式(6)、(19)〜(22)のうちのいずれかに基づ
いて算出し、この推定値φ(tO)を転倒パラメータX
とするものであっても良い。
【0200】つまり、このように算出される転倒パラメ
ータX(即ち、φ(tO))に基づいて、実際に車両の
転倒(横転)を防止するための制御を行う際には、例え
ば、転倒パラメータXを用いて、S160或いはS38
0に相当する処理にて、車両が転倒(横転)する可能性
が高いと判断されてから、油圧回路50内の各種アクチ
ュエータが駆動されて、所定の車輪(右前輪22FR或
いは左前輪22FL)に加わる制動力が有効に増加され
るまでに、制御系に所定時間tOだけ制御遅れが発生す
るので、予め、この制御遅れを考慮した所定時間tO
過後のロール角φの推定値φ(tO)を転倒パラメータ
Xとして算出するのである。
【0201】そして、このようにすれば、実際に車両挙
動を制御する時点、つまり、所定の車輪(右前輪22F
R或いは左前輪22FL)に加わる制動力が有効に増加
される時点におけるロール角φの推定値φ(tO)を転
倒パラメータXとして算出することができ、旋回内輪
(レーンチェンジ走行の場合は、ステアリング操舵方向
側の車輪)が浮く前の確実に早いタイミングで、正確に
車両の転倒(横転)のし易さを推定することができる。
【0202】また、このように算出される転倒パラメー
タXに基づいて車両転倒防止制御(車両挙動制御)を行
えば、制御時における実際の車両挙動(転倒挙動)に対
応した、適切な車両転倒防止制御(車両挙動制御)を行
うことができる。
【0203】尚、このように、上記演算式(6)、(1
9)〜(22)のうちのいずれかに基づき、車両挙動を
制御する際の制御遅れを考慮した所定時間tO経過後の
ロール角φの推定値φ(tO)を算出し、この推定値φ
(tO)を転倒パラメータXとする処理は、請求項7の
転倒パラメータ推定手段に相当する。
【0204】また、一方、上記演算式(6)、(19)
〜(22)のうちのいずれかに基づき、転倒パラメータ
X(即ち、φ(t))を算出する他の具体的態様として
は、例えば、現時点からロール角φの推定値φ(t)が
次に最大となるまでの時間t x経過後におけるロール角
φの推定値φ(tx)を、上記演算式(6)、(19)
〜(22)のうちのいずれかに基づいて算出し、この推
定値φ(tx)を転倒パラメータXとするものであって
も良い。
【0205】つまり、上記演算式(6)、(19)〜
(22)にて明らかなように、ロール角φの挙動推定値
φ(t)は、減衰振動するものとして表されるため、こ
の挙動推定値φ(t)の共振要素sin(w・t+θ)
が次に1または−1となるまでの時間tx、即ち、下記
式(23)を満たす最も小さい時間t経過後のロール角
φの推定値φ(tx)を転倒パラメータXとして算出す
るのである。
【0206】
【数13】
【0207】(但し、nは0以上の整数) そして、このようにすれば、転倒パラメータX(即ち、
φ(t))が、走行車両の転倒(横転)のし易さ、即
ち、転倒(横転)可能性を常に最大(危険側)に見積っ
た値として算出されるので、旋回内輪(レーンチェンジ
走行の場合は、ステアリング操舵方向側の車輪)が浮く
前の確実に早いタイミングで、正確に車両の転倒(横
転)のし易さを推定することができる。
【0208】尚、このように、上記演算式(6)、(1
9)〜(22)のうちのいずれかに基づき、現時点から
ロール角φの挙動推定値φ(t)が次に最大となるまで
の時間tx経過後におけるロール角φの推定値φ(tx
を算出し、この推定値φ(t x)を転倒パラメータXと
する処理は、請求項8の転倒パラメータ推定手段に相当
する。
【0209】そして、上記のように、ロール角φの推定
値φ(tO)或いはφ(tx)を転倒パラメータXとして
算出する場合、車両が転倒(横転)する可能性が高いか
否かを判断するために行われるS160或いはS380
に相当する処理の具体的態様としては、例えば、転倒パ
ラメータXである上記推定値φ(tO)或いはφ(tx
の絶対値が、この場合の転倒パラメータXに対応して予
め設定された第1評価係数Ka'より大きいか否かを判
断することにより行うことができる。
【0210】また、車両が転倒(横転)する可能性が無
くなったか否かを判断するために行われるS200或い
はS420に相当する処理の具体的態様としては、例え
ば、転倒パラメータXである上記推定値φ(tO)或い
はφ(tx)の絶対値が、この場合の転倒パラメータX
に対応して予め設定された第2評価係数Kb'より小さ
くなったか否かを判断することにより行うことができ
る。
【0211】また、一方、S160或いはS380に相
当する処理にて、転倒パラメータXが第1評価係数Ka
(或いはKa')より大きい、即ち、車両が転倒(横
転)する可能性が高いと判断された際に、車両の転倒
(横転)を防止するため所定の車輪に制動力を加える具
体的態様としては、上記実施例(実施例1、実施例2)
のように、車両の旋回外輪側(換言すれば、ステアリン
グ操舵方向と反対側)の前輪に制動力を加えるものに限
らず、旋回外輪側(換言すれば、ステアリング操舵方向
と反対側)の前後輪に制動力を加えるものであっても良
い。
【0212】また、両前輪或いは全ての車輪に制動力を
加えて、車両の走行速度(車体速度)を落とすことによ
り、転倒(横転)を防止するものであっても良い。
【0213】次に、上述した上記実施例(実施例1、実
施例2)の有する効果を裏付ける実験例について説明す
る。 [実験例]この実験では、実施例2と同様の車両挙動制
御装置が備えられ、且つ、操舵角センサ(図示はしな
い)が取り付けられた実験車両をレーンチェンジ走行さ
せた場合に、演算式(3)に基づいて算出される転倒パ
ラメータXに基づいて、この実験車両の転倒(横転)を
確実に防止することが可能であるか否かを検証した。
【0214】この実験の結果について図8を用いて説明
する。
【0215】図8は、上記実験車両がレーンチェンジ走
行を行った場合における各検出値(算出値)、即ち、ヨ
ーレートψO'、車体速度VbO、操舵角δO、ロールレー
トφ O'、転倒パラメータX、及び左前輪22FLに加わ
る制動力(ホイールシリンダ51FLに加わるブレーキ
油圧であり、図中に「Pfr(油圧)」として示した検
出値)の時間経過に対する変化を示したものである。
【0216】そして、図8から、演算式(3)に基づい
て算出される転倒パラメータXにて、ステアリング操舵
方向側の車輪が浮く前の確実に早いタイミングで、正確
に実験車両の転倒のし易さを推定することができ、この
転倒パラメータXに基づいて実験車両の転倒(横転)を
確実に防止できることが判った。
【0217】つまり、まず、図8では、操舵角δOが、
一旦正方向に増加した後に負方向に増加しており、この
実験車両が左方向にレーンチェンジ走行を行ったことが
判る。
【0218】一方、このレーンチェンジ走行の際に、ロ
ールレートφO'は正から負に大きく変動しており、この
実験車両には、ステアリング操舵のタイミングとタイミ
ングが合った揺り返し現象が発生したことが判る。
【0219】そして、操舵角δOが負方向に増加し、ロ
ールレートφO'が操舵角δOと同様に負方向に増加して
いる際、即ち、この実験車両のステアリング操舵方向側
の車輪である右側の車輪が浮く前の段階である時点t1
にて、転倒パラメータXが第1評価係数Kaより大きく
なったことが判る。これは、転倒パラメータXが、ステ
アリング操舵方向側の車輪が浮く前の時点から、実際の
実験車両の挙動(転倒挙動)に対応して、段階的に増減
する値として算出され、且つ、この転倒パラメータX
が、走行車両(実験車両)の転倒(横転)のし易さ、即
ち、転倒(横転)可能性を常に大きめ(危険側)に見積
った値として算出されるため、この転倒パラメータXに
て、ステアリング操舵方向側の車輪が浮く前の確実に早
いタイミングで、正確に実験車両の転倒のし易さを推定
することができることを示す。
【0220】そして、この実験車両におけるECU20
では、転倒パラメータXが第1評価係数Kaより大きく
なった時点t1で、この実験車両が転倒(横転)する可
能性が高いと判断し(換言すれば、制御フラグをON状
態とし)、この実験車両のステアリング操舵方向と反対
側の前輪(左前輪22FL)に加わる制動力を増加させ
たことが判る。
【0221】つまり、この実験車両における車両挙動制
御装置の制御系が有する制御遅れのため、時点t1から
0.2〜0.3sec経過後に、左前輪22FLに加わる
制動力(Pfr(油圧))が有効に増加され、その結
果、負方向に増加したヨーレートψO'及びロールレート
φO'が、0となる方向に大きく変動し、転倒パラメータ
Xも大きく減少したことが判る。
【0222】そして、その後、ECU20では、転倒パ
ラメータXが第2評価係数Kbより小さくなった時点t
2、即ち、ヨーレートψO'及びロールレートφO'が0と
なる方向に十分変動した時点t2で、この実験車両が転
倒(横転)する可能性が無くなったと判断し(換言すれ
ば、制御フラグをOFF状態とし)、この実験車両のス
テアリング操舵方向と反対側の前輪(左前輪22FL)
に加わっていた制動力を減少させたことが判る。
【0223】これは、演算式(3)に基づいて算出され
る転倒パラメータXに基づいて、この実験車両の転倒
(横転)を防止するための制御を行えば、この実験車両
がレーンチェンジ走行を行って揺り返し現象が発生した
場合であっても、この実験車両の転倒(横転)を確実に
防止できることを示す。
【0224】従って、図8に示した実験結果から、演算
式(3)に基づいて算出される転倒パラメータXにて、
ステアリング操舵方向側の車輪が浮く前の確実に早いタ
イミングで、正確に実験車両の転倒のし易さを推定する
ことができ、この転倒パラメータXに基づいて実験車両
の転倒(横転)を確実に防止できることを確認できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の車両挙動制御装置の全体的構成を
表す概略構成図である。
【図2】 実施例1、実施例2の油圧回路の構成を説明
する説明図である。
【図3】 実施例1の電子制御装置(ECU)において
実行される車両転倒防止制御処理を表すフローチャート
である。
【図4】 実施例2の車両挙動制御装置の全体的構成を
表す概略構成図である。
【図5】 実施例2の電子制御装置(ECU)において
実行される車両転倒防止制御処理を表すフローチャート
である。
【図6】 図5のS320にて実行される車体速度推定
処理を表すフローチャートである。
【図7】 図5のS330にて実行される車体前後加速
度推定処理を表すフローチャートである。
【図8】 実験例による検出結果を表すグラフである。
【図9】 旋回走行時、特にレーンチェンジ走行時にお
ける車両挙動を説明する説明図である。
【符号の説明】
20…電子制御装置(ECU)、32…ブレーキスイッ
チ、41…横加速度センサ、42FL、42FR、42
RL、42RR…車輪速度センサ、43…ヨーレートセ
ンサ、50…油圧回路、51FL、51FR、51R
L、51RR…ホイールシリンダ、54A、54B…3
方向切替弁、56、57、58、59…増圧制御弁、6
1、62、63、64…減圧制御弁、67A、67B、
71A、71B…ポンプ、72A、72B…加圧制御
弁、77…第3圧力センサ、78…第4圧力センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60T 8/58 B60T 8/58 Z G01P 3/56 G01P 3/56 Z // G01C 19/00 G01C 19/00 Z Fターム(参考) 2F105 AA02 BB17 3D037 FA23 FA25 FA26 FB01 3D045 BB40 CC01 EE21 GG00 GG10 GG25 GG26 GG28 3D046 BB21 HH08 HH21 HH23 HH25 HH28 KK06 KK07 LL23 LL37 LL50

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両走行時に、該車両の転倒のし易さを
    表す転倒パラメータを推定する車両挙動推定方法であっ
    て、 前記車両のロール角及びロールレートを測定し、 前記ロール角に基づき車両走行時の車両挙動を記述した
    下記の物理モデル Jφ''+Dφ'+Kφ=F (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
    定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
    ロールレート、φ:ロール角)より導出した演算式に基
    づき、 前記ロール角及びロールレートの測定結果を用いて、前
    記転倒パラメータの推定値を算出することを特徴とする
    車両挙動推定方法。
  2. 【請求項2】 前記演算式は、前記ロール角の最大振幅
    推定用の演算式であって、 該演算式に基づき、前記ロール角の最大振幅の推定値を
    算出し、該推定値を前記転倒パラメータとすることを特
    徴とする請求項1に記載の車両挙動推定方法。
  3. 【請求項3】 前記演算式は、前記ロール角の挙動推定
    用の演算式であって、 該演算式に基づき、車両挙動を制御する際の制御遅れを
    考慮した所定時間経過後の前記ロール角の推定値を算出
    し、該推定値を前記転倒パラメータとすることを特徴と
    する請求項1に記載の車両挙動推定方法。
  4. 【請求項4】 前記演算式は、前記ロール角の挙動推定
    用の演算式であって、 該演算式に基づき、次に最大となる際の前記ロール角の
    推定値を算出し、該推定値を前記転倒パラメータとする
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両挙動推定方法。
  5. 【請求項5】 車両走行時に、該車両の転倒のし易さを
    表す転倒パラメータを推定する車両挙動推定装置であっ
    て、 前記車両のロール角及びロールレートを測定する車両状
    態検出手段と、 前記ロール角に基づき車両走行時の車両挙動を記述した
    下記の物理モデル Jφ''+Dφ'+Kφ=F (但し、J:ロール慣性、D:ダンパー定数、K:バネ
    定数、F:遠心力、φ'':ロールレート微分値、φ':
    ロールレート、φ:ロール角)より導出した演算式に基
    づき、前記車両状態検出手段にて測定された前記ロール
    角及びロールレートを用いて、前記転倒パラメータの推
    定値を算出する転倒パラメータ推定手段と、 を備えたことを特徴とする車両挙動推定装置。
  6. 【請求項6】 前記演算式は、前記ロール角の最大振幅
    推定用の演算式であって、 前記転倒パラメータ推定手段では、 該演算式に基づき、前記ロール角の最大振幅の推定値を
    算出し、該推定値を前記転倒パラメータとすることを特
    徴とする請求項5に記載の車両挙動推定装置。
  7. 【請求項7】 前記演算式は、前記ロール角の挙動推定
    用の演算式であって、 前記転倒パラメータ推定手段では、 該演算式に基づき、車両挙動を制御する際の制御遅れを
    考慮した所定時間経過後の前記ロール角の推定値を算出
    し、該推定値を前記転倒パラメータとすることを特徴と
    する請求項5に記載の車両挙動推定装置。
  8. 【請求項8】 前記演算式は、前記ロール角の挙動推定
    用の演算式であって、 前記転倒パラメータ推定手段では、 該演算式に基づき、次に最大となる際の前記ロール角の
    推定値を算出し、該推定値を前記転倒パラメータとする
    ことを特徴とする請求項5に記載の車両挙動推定装置。
  9. 【請求項9】 前記車両状態検出手段は、 前記車両のロールレートを測定するロールレート測定手
    段と、 該ロールレート測定手段にて測定された前記ロールレー
    トに基づき、該ロールレートと前記車両のロール角との
    関係を記述した物理モデルを用いて前記ロール角を算出
    するロール角算出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか
    記載の車両挙動推定装置。
  10. 【請求項10】 前記車両状態検出手段は、 前記車両の横加速度を測定する横加速度測定手段と、 該横加速度測定手段にて測定された前記横加速度に基づ
    き、該横加速度と前記車両のロール角との関係を記述し
    た物理モデルを用いて前記ロール角を算出するロール角
    算出手段と、 該ロール角算出手段にて算出された前記ロール角を微分
    することにより前記車両のロールレートを算出するロー
    ルレート算出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか
    記載の車両挙動推定装置。
  11. 【請求項11】 前記車両状態検出手段は、 前記車両のヨーレートを測定するヨーレート測定手段
    と、 前記車両の車体速度を測定する車体速度測定手段と、 前記ヨーレート及び車体速度の測定結果に基づき、該ヨ
    ーレート及び車体速度と前記車両のロール角との関係を
    記述した物理モデルを用いて前記ロール角を算出するロ
    ール角算出手段と、 該ロール角算出手段にて算出された前記ロール角を微分
    することにより前記車両のロールレートを算出するロー
    ルレート算出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか
    記載の車両挙動推定装置。
  12. 【請求項12】 前記車両状態検出手段は、 前記車両の操舵角を測定する操舵角測定手段と、 前記車両の車体速度を測定する車体速度測定手段と、 前記操舵角及び車体速度の測定結果に基づき、該操舵角
    及び車体速度と前記車両のロール角との関係を記述した
    物理モデルを用いて前記ロール角を算出するロール角算
    出手段と、 該ロール角算出手段にて算出された前記ロール角を微分
    することにより前記車両のロールレートを算出するロー
    ルレート算出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか
    記載の車両挙動推定装置。
  13. 【請求項13】 前記車両状態検出手段は、 前記車両の各車輪の回転速度を夫々測定する車輪速度測
    定手段と、 該車輪速度測定手段にて測定された前記各車輪の回転速
    度に基づき、前記車両の右側の前輪及び後輪の回転速度
    の和から左側の前輪及び後輪の回転速度の和を差し引い
    て得られる旋回内外輪速度差と前記車両のロール角との
    関係を記述した物理モデルを用いて前記ロール角を算出
    するロール角算出手段と、 該ロール角算出手段にて算出された前記ロール角を微分
    することにより前記車両のロールレートを算出するロー
    ルレート算出手段と、 を備えたことを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか
    記載の車両挙動推定装置。
  14. 【請求項14】 車両走行時に、該車両の転倒のし易さ
    を表す転倒パラメータを前記請求項1〜請求項4いずれ
    か記載の車両挙動推定方法にて推定し、 前記転倒パラメータが所定値より大きい場合に、所定の
    車輪に制動力を加えて、該車両の転倒を防止することを
    特徴とする車両挙動制御方法。
  15. 【請求項15】 車両走行時に、該車両の転倒のし易さ
    を表す転倒パラメータを推定する前記請求項5〜請求項
    13いずれか記載の車両挙動推定装置と、 前記転倒パラメータが所定値より大きい場合に、所定の
    車輪に制動力を加えて、該車両の転倒を防止する制御手
    段と、 を備えたことを特徴とする車両挙動制御装置。
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