JP2001046836A - 環境改善方法と環境改善施設および環境改善用ネット - Google Patents

環境改善方法と環境改善施設および環境改善用ネット

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JP2001046836A
JP2001046836A JP11228157A JP22815799A JP2001046836A JP 2001046836 A JP2001046836 A JP 2001046836A JP 11228157 A JP11228157 A JP 11228157A JP 22815799 A JP22815799 A JP 22815799A JP 2001046836 A JP2001046836 A JP 2001046836A
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environment
air
adsorption
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Norikazu Nemezawa
礼和 根目沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自然界のエネルギーのみを利用して、広範囲
の環境改善対象区域における空気中の水分,霧,NO
x,塵埃などを吸着除去し、霧発生時における視界の回
復や空気の浄化などの環境改善を効果的に行なう。 【解決手段】 環境改善対象区域の近傍に、これを囲む
ように吸着フェンスや環境改善用ネットを設置して、通
気部構成体の通気部に対して空気を通過させ、光触媒に
よる親水性の付与や、通気部構成体自身の親水性により
水膜を形成し、該水膜に空気中の浮遊物を吸着捕捉させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境改善方法と環
境改善施設および環境改善用ネットに係り、特に、道路
や電車の交通網や関係施設の視界の確保,NOx等の有害
物質の分解除去,風圧の発生低減,交通機関運行時の騒
音低減などを図る好適技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車道などの環境を改善する関連技術
として、以下のようなものが挙げられる。 A:霧による視界の阻害を改善する技術 B:内燃機関から放出されたNOx等の有害物質の分解除
去を図る技術。 C:車両等の運行時の発生騒音を低減する技術。
【0003】Aの関連技術例としては、技術例1:実開
昭64−32747号公報「霧液化消去用静電ネット」
の他、技術例2:特開平7−197428号公報,技術
例3:特開平8−218340号公報及び技術例4:特
開平10−131142号公報に示す技術が提案されて
いる。これら技術例1〜4は、いずれも高電圧を導電性
細線に印加して、コロナ放電を発生させることにより、
大気中の水分を帯電状態として、静電力により水分を導
電性細線に吸着するようにしており、導電性細線の回り
の霧(ミスト)を消散する技術である。
【0004】B及びCの関連技術例としては、技術例
5:特開平11−081250号公報「自浄式透光性遮
音壁」や、技術例6:特開平11−081251号公報
「自浄式防音パネル」の技術が提案されている。また、
日刊工業新聞社発行の雑誌「トリガー」:1999,V
ol.18,No.18や、1999年7月7日付の日
本経済新聞に、光触媒反応を利用して、自動車排ガスを
浄化する試み「技術の一端」が掲載されている。これら
技術例5,6等の技術例では、ガードレール,路面,遮
音壁の表面に、二酸化チタン(TiO2 )等の光触媒を
塗布させる方法などにより担持させておいて、光触媒反
応の発生時に自動車排ガス中の酸化窒素ガス(NOx)
などを分解するとともに、降雨時に洗い流して除去しよ
うというものである。また、遮音壁の場合には、壁の材
質,厚さ,高さや構造に準拠する遮音効果が同時に得ら
れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、技術例1〜4
は、コロナ放電を発生させている箇所のごく付近では霧
(ミスト)を消散する能力があると思われるものの、以
下のような課題が残されている。 a)少し離れた部分ではミストの消散効率が低下してし
まう。 b)給電のために多大なエネルギーが必要になる。 c)超高圧を使用するため、対策範囲が危険域となると
ともに、付近の動物などの生態系に悪影響を及ぼし易
い。 技術例5,6等の光触媒を遮音壁に担持させる技術で
は、本来の遮音機能は期待できるものの、光触媒反応に
よるNOxの分解除去効率が必ずしも十分ではないという
実験報告もなされている。その理由の一つとして、自動
車道路の側部に、図11に示すような遮音壁Wが設置さ
れている条件下において、矢印のように風が吹き付けて
も、風が抜けないために、遮音壁Wの表面近くに薄い空
気の停滞層zが形成されて、吹き付けた空気が遮音壁W
の表面に到達することが妨げられ、光触媒反応によるN
Oxなどの分解が活発化されないことが考えられ、北向
き表面の場合では、光触媒反応が著しく低下することに
なる。また、遮音壁Wは、道路を囲んだ状態に設置され
るために、霧(ミスト)の発生時には、霧を消散させる
効果が乏しいばかりでなく、風による霧(ミスト)の流
れを阻害して、視界の回復作用が遅れてしまうという解
決すべき課題も残されている。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するものである。 (1)エネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施すること。 (2)一つの施設で、霧の消散及び視界の確保,NOx等
の有害物質の除去,風圧の発生低減,通過車両の騒音低
減などの複数目的を達成すること。 (3)風雨や降雪などの気象条件による環境改善効果機
能の低下を抑制すること。 (4)施設のメンテナンス性を高め、耐久性を確保する
こと。 (5)獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止し、
交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の低減
を図ること。 (6)施設周囲の自然環境への影響を低減すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、環境改善対
象区域の環境を改善するために、環境改善対象区域の近
傍に、環境改善層形成体が設置される。該環境改善層形
成体には、その面と交差する各方向に空気を通過させる
とともに、網目などの通気部を通過する空気中の浮遊物
と接触して、浮遊物を吸着することにより、通過空気か
ら浮遊物を除去する機能を有する吸着フェンスが具備さ
れる。該吸着フェンスは、通気部を構成する通気部構成
体の表面に光触媒を担持させたものが適用され、該光触
媒は、太陽光やその他の光線の照射により光触媒反応を
生じて活性化され、太陽光等の照射時やその後におい
て、光触媒に接触している浮遊物を分解して除去し易く
する。吸着フェンスには、光触媒を担持させるか、界面
活性剤で処理するか、あるいは併用するなどの方法で、
親水性を付与しておくことが望ましい。光触媒を担持さ
せておくと、光線照射時における光触媒自身の超親水性
により、吸着フェンスの表面に親水性を付与して、該親
水性に基き、吸着フェンスの付近における空気中の浮遊
物である水蒸気やミストを吸着して、吸着フェンスの表
面に水膜が形成される。界面活性剤等により親水性を付
与した場合には、光線の照射が得られない環境下におい
ても、ミストが付着して水膜が形成され易くなる。環境
改善層形成体による交通施設等の環境改善は、光触媒反
応等による超親水性または親水性の付与に加えて、主と
して空気が、吸着フェンスと交差する方向に移動するこ
とによってなされる。吸着フェンスの表面に、超親水性
または親水性が付与されている状態や水膜が形成されて
いる状態のときに、自然の風や通行車両の発生風が、吸
着フェンスと交差すると、空気流とともに搬送された種
々な浮遊物を吸着することになる。霧の発生時や空中湿
度の高い条件下では、ミストや水蒸気が吸着フェンスの
表面に吸着されて、水膜の生成作用が頻繁になるととも
に、水膜への水分補給がなされて、水膜が安定する。水
膜は、水自体の吸着性により空気中の種々な浮遊物を吸
着する。この浮遊物は、水分量の増大に伴って粒の大き
さ及び重量が増大し、吸着フェンスの通気部構成体を伝
わって流下し、通気部構成体の表面から除去される。し
たがって、通気部構成体は、網目を線条体によって形成
することが好ましく、かつ線条体の方向が、鉛直または
傾斜状態となるように設定され、水平状態の部分をなく
すかあるいは少なくなるように配慮すべきである。浮遊
物が、ミストである場合には、ミスト粒の大きい方が吸
着フェンスへの吸着性が高くなる。霧により視界が失わ
れているような場合に、水膜への水分補給が活発になっ
て、ミストの除去作用が頻繁なものとなり、霧の消散
(消霧)効果を発揮することになる。浮遊物が、ミスト
であるほかに、窒素酸化物,硫黄酸化物または炭化水素
などのガス状、あるいは固体状である場合も、水膜によ
り吸着させることができる。このように、風によって搬
送される浮遊物が、窒素酸化物,炭化水素などのガス体
である場合には、太陽光が得られない気象条件下にあっ
ても、通気部構成体に生成された水膜により、窒素酸化
物,炭化水素などを直接吸着して、環境改善層形成体の
設置箇所付近における環境を改善することが可能にな
る。太陽光などの照射が得られる場合には、光触媒の部
分で光触媒反応が発生する。遮音壁に光触媒を担持させ
た場合と同様に、窒素酸化物,炭化水素などを分解し
て、空気の浄化を行うことができるが、吸着フェンスに
通気部を有していることや、可撓性を有していることに
より、光線が片面だけではなく、吸着フェンスの撓みや
通気部を透過した光線等の反射により、他の面あるいは
隣の吸着フェンスへの照射がなされ、光触媒反応範囲が
大きくなると期待される。吸着フェンスによる浮遊物の
吸着能力を高めたい場合には、通気部構成体の通気部の
大きさの設定、通気部構成体の可撓性,吸着フェンスの
複数層化,大小通気部の組み合わせ技術が考慮される。
通気部構成体が、網目構造である場合には、網目を空気
が通り抜けるために、空気流と水膜または光触媒との接
触機会(接触面積)が多くなり、例えば遮音壁表面に光
触媒を単純に担持させた場合よりも、吸着または分解作
用が促進される。通気部構成体の通気部は、開口面積を
小さくすることが効果的であるが、通気部構成体に可撓
性を付与しておくこと、吸着フェンスを層方向に間隔を
空けて複数層隣り合わせること、網目の大きさの異なる
吸着フェンスを組み合わせることが、それぞれ有効な手
段となる。通気部構成体自体が可撓性を有している場合
には、空気流の交差時に、空気流の駆動力に伴って、通
気部構成体が少なくとも部分的に変形させられ、空気流
が湾曲の外側方向に誘導されて下流に送り出される結
果、空気の抜けが良くなるとともに、吸着フェンスへの
新たな空気の送り込みがなされる。吸着フェンスを複数
層隣り合わせ状態に組み合わせると、空気流が吸着フェ
ンスを通り抜けるたびに方向が変化する結果、空気流中
の浮遊物と通気部構成体との接触性が高められる。通気
部の大きさの異なる通気部構成体を組み合わせた場合に
は、通気部を通り抜ける空気流の断面積が、各通気部構
成体の位置で異なって、空気流の分散及び集合作用が生
じ、通気部構成体の層方向における空気流の通過状態が
変化するため、浮遊物と吸着フェンスの通気部構成体と
の接触性が高められることになる。環境改善対象区域の
形態によっては、吸着フェンス単独とするよりも、吸着
フェンスを周囲の環境から保護するための保護フェンス
と組み合わせることが好ましい。該保護フェンスは、吸
着フェンスの近傍に設置されて、自然現象による風雨,
降雪,倒木,土砂,落石や、交通機関の運行に伴う飛来
物等の衝突時に、吸着フェンスへの機械的衝撃を緩和す
る。保護フェンスは、空気の流通を許容するものとし
て、吸着フェンスに対する空気流の供給または排出を損
なわないように設定されるが、強風などにより吸着フェ
ンスの撓み量が大きくなった場合に、これをおさえて変
形を低減する。また、保護フェンスは、環境改善対象区
域を囲む内向面や外側面の両方または片方に配され、道
路や鉄道路等において遮音壁が配される場合には、その
内側に、間隔を空けて空気の流通を許容するように設置
される。環境改善対象区域が自動車道である場合には、
飛来物から吸着フェンスや自動車道を保護するために、
自動車道の外側に保護フェンスが配されるが、通過車両
からの落下物等によって吸着フェンスが損傷しないよう
に、内側、つまり道路との対向面にも保護フェンスが配
される。このような複合構造とすると、環境改善対象区
域に向かう空気流が生じている場合には、大型の飛来物
等を外側の保護フェンスで遮り、空気流が、外側の保護
フェンスにおける空気通過許容箇所から、通気部構成体
の通気部(吸着フェンスが複数層設置されている場合に
は複数段)を通過して、その際に、空気流中の浮遊物
が、通気部構成体の水膜に接触することにより吸着さ
れ、かつ光触媒反応が伴っている場合には、浮遊物が分
解される。通気部構成体への吸着や分解により浮遊物が
減少した空気は、保護フェンスの空気通過許容箇所か
ら、環境改善対象区域の内部または外部などに送り込ま
れる。この場合にあって、浮遊物がミストであると、ミ
ストの水膜への吸着により、ミストの除去された空気が
環境改善対象区域に送り込まれることになり、霧の消散
に基いて視界改善がなされる。空気に含まれるNOxな
どの浮遊物は、保護フェンスの空気通過許容箇所から吸
着フェンスの通気部(通気部構成体)へと送られて、水
膜による吸着作用や光触媒反応による分解作用により除
去され、保護フェンスの空気通過許容箇所から外方に放
出される。空気流が自然の風により得られない場合にあ
っても、環境改善対象区域を通過する自動車等がある
と、その通過時に発生する風が保護フェンスや吸着フェ
ンスを通過するため、通気部構成体の表面と浮遊物との
接触が頻繁に起こって、空気が浄化されるものとなる。
吸着フェンスの表面、特に通気部を構成する通気部構成
体の部分は、光触媒で覆われている構造であるととも
に、光触媒反応によって付与される超親水性あるいは界
面活性化処理などにより自身が親水性を有していること
が望ましい。したがって、通気部構成体が、細い繊維を
集合させて寄り合わせた繊維構造をなしているもの、あ
るいは表面が多孔質であるものなど、保水機能を有して
水膜を形成し易いものが適用される。繊維構造を採用す
る場合にあっては、光触媒反応による基材の分解損傷が
生じないように、ガラス繊維の表面や繊維間に光触媒を
担持させる技術の適用が考えられる。かかるガラス繊維
に光触媒を担持させた技術としては、例えば、特開平1
0−057816号公報「光触媒担持体」に比較例とし
て記載されている技術、あるいは同公報に実施例として
記載されているPTFE繊維を利用した技術を適用する
こともできる。環境改善対象区域に、騒音発生源が存在
する場合には、騒音発生源の外側に吸着フェンスが配さ
れていると、音が通気部を通過する際に減衰されるた
め、目を細かくすることや多層構造とすることが有効で
あり、その際に、吸着フェンスの通気部構成体が繊維等
で構成されていると、音によって通気部構成体が振動し
て空気との接触機会が増加するため、浮遊物であるミス
トやNOx等の除去性の向上が期待される。環境改善対
象区域としては、霧の発生時に霧の消散により視界を改
善したい場所、あるいはNOxや有害ミスト等を除去し
たい場所、つまり、車両の通過する道路、軌道路,操車
場等の交通施設や、空港施設,運河または港湾施設,ゴ
ルフ場,ゴルフ練習場,各種競技場、学校の運動場,公
園,各種イベント会場,農場等を包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1ないし図8は、本発明におけ
る環境改善方法及び環境改善施設の第1実施形態を示し
ており、環境改善対象物Aが自動車道路、環境改善対象
区域Bが、路面(車両通行レーン)Cとその上部数メー
トルの範囲となっている。
【0009】上記環境改善対象区域Bには、環境改善施
設として、図1および図2に示すように、路面(車両通
行レーン)Cの両側を並列状態で囲むように、フェンス
状の環境改善層形成体Xが設置される。図1および図2
にあって、rは中央分離帯、sはガードレール、tは路
肩、uは植え込み、vは車両(自動車)を示している。
なお、車両通行レーンCの側部に、コンクリート構造物
からなる遮音壁や防護壁の設置を必要とする場合には、
環境改善層形成体Xの外側に間隔を空けて配される。そ
の際に、内側に植え込みuを介在させるか否かは任意で
ある。
【0010】前記環境改善層形成体Xは、図3に示す実
施態様では、フェンスモジュールMを、車両通行レーン
Cに沿って立設状態に複数配列して、ボルト等の締結具
により固定する構造としている。
【0011】該フェンスモジュールMは、図3および図
4に示す態様では、耐候性を付与した金属製(例えばス
テンレス鋼製やアルミニウム製)のフレーム1の枠内
に、目的および機能の異なる保護フェンス2と吸着フェ
ンス3A,3Bとを任意層数分だけ組み込んだものとさ
れており、保護フェンス2が車両通行レーンCに内向す
るように設定される。この場合に、保護フェンス2を、
外向きに配する必要性があるか否かは、環境改善対象物
Aの立地条件によって決定される。
【0012】これら保護フェンス2と吸着フェンス3
A,3Bとは、フェンスモジュールMの面と交差する方
向(厚さ方向など)に、空気の流通性を持たせたものが
採用される。その一つの手段として、図4および図5に
示すように、網目状態のものが適用される。
【0013】前記保護フェンス2は、環境改善対象区域
Bの範囲内外に対して、外部からの飛来物や車両(自動
車)vの落下物の衝突による衝撃事故や損傷発生から、
環境改善対象区域Bの環境,車両(自動車)vおよび吸
着フェンス3A,3Bを保護する目的を有しており、か
つ空気の流通性を持たせるため、図4および図5に示す
ように、吸着フェンス3A,3Bよりも相対的に大きな
網目状,スリット状や穴開き形状のものが適用される。
【0014】前記吸着フェンス3A,3Bは、図4に示
すように、対をなす保護フェンス2の間、または保護フ
ェンス2の外側に配されて、環境改善層形成体Xの面と
交差する各方向に空気を通過させるとともに、通過する
空気中に含まれる浮遊物を親水性や超親水性により吸着
して除去する機能を有するものとされる。
【0015】つまり、吸着フェンス3A,3Bは、図4
および図5に示す形態では、網目構造を有するネット状
のものが適用されているが、その網目などの通気部iを
構成する通気部構成体4に、耐候性を考慮した例えば無
機質の繊維糸や紐を使用して、毛細管現象を生じ易くす
るとともに、表面に二酸化チタンなどの光触媒を担持さ
せたものが適用される。
【0016】無機質材料とする場合には、ガラス繊維に
光触媒を担持させる技術例として、例えば、特開平10
−057816号公報「光触媒担持体」に記載されてい
る技術を適用することができ、その他繊維質系糸,繊維
質系紐,金属繊維,金属繊維に光触媒を担持させたもの
や、光触媒を担持させた繊維布に穴をあけたもの,針金
などの表面に光触媒を担持させたもの,チタン線条体の
表面に酸化処理して光触媒機能を持たせるようにしたも
の等であってもよい。
【0017】前記吸着フェンス3A,3Bに通気部iを
付与するための通気部構成体4は、図6に示すように、
繊維状の複数の素線4aを撚り合わせて毛細管現象を利
用した保水性を持たせるようにしたものが望ましく、素
線4aの間や表面に上記従来技術例等により光触媒5を
担持させて、全体として超親水性や親水性を付与したも
のが適用される。
【0018】保護フェンス2と吸着フェンス3A,3B
とについて説明を補足する。これらは、それぞれ面と交
差する方向の空気の流通性を有していることが必須条件
となるが、網目構造のみに限定するものではない。図4
及び図5に示すように、網目構造を採用した場合には、
保護フェンス2が、いわゆる金網として市販されている
網目の比較的大きなものをそのまま適用することができ
て有利であることと、吸着フェンス3A,3Bにあって
も、網目構造とすることにより、空気の流通量を確保す
ること(網目の開口穴の大きさや開口率の複数段設定)
が容易になる理由とが挙げられる。
【0019】前記保護フェンス2にあっては、耐候性を
考慮して市販の金網(望ましくはステンレス鋼線やアル
ミニウム線により構成された金網,ただしコストを考慮
する必要がある)を採用することができるとともに、す
だれ状に、金属線や金属板を縦方向に配したものに置き
換えることができる。この場合、少なくとも飛来物や車
両からの落下物の衝突に耐える強度を有して、吸着フェ
ンス3A,3Bを防御し得るものであれば良い。
【0020】これに対して、前記吸着フェンス3A,3
Bは、空気流通性を確保するために、通気部i(網目ま
たは穴)の大きさの設定が必要である。吸着フェンス3
A,3Bには、通気部iを通過する空気中の浮遊物が通
気部構成体4に接触して除去される機能が付与される。
吸着フェンス3A,3Bは、1層よりも複数層とするこ
とが好ましく、通気部iの大きさは、複数層とすること
により大きく設定することができるが、複数層同一とす
るか異なる大きさとするかが選択される。吸着フェンス
3A,3Bの通気部iが正方形の網目で、図6(b)に
示すように、通気部構成体4の横断面が円形である場合
の接触面積を検討すると、概略以下の通りである。吸着
フェンス3A,3Bでは、空気が通気部iを通り抜ける
から、空気の接触面積を考えると、通気部構成体4の円
筒状表面の全部が利用可能になる。このため、通気部i
の開口率が0.8程度でも、空気との接触面積が単純な
平面(片面)である場合の1.25倍になる。なお、板
状表面と同等になる計算上の開口率は、0.84であ
る。
【0021】図4に示す実施形態では、吸着フェンス3
A,3Bの網目の大きさを変える設定であり、吸着フェ
ンス3Aよりも吸着フェンス3Bの網目を小さくしてい
る。図4において、フェンスモジュールMに吹き付ける
風の方向が、左から右である傾向が強い場合や、風の方
向が特定できない場合で、車両通行レーンCが左側で車
両通過時の風が吹き付ける場合には、風上側における網
目を大きく、かつ開口率を大きくする設定がなされる。
例えば、開口率を0.9および0.8というように組み
合わせて、所望の空気接触面積を得ることが可能にな
る。
【0022】上記のように設定する理由の一つについ
て、図7を参照して説明する。図7において、風が右上
から左下に向かって吹き付けている場合には、速度V 1
の風が保護フェンス2に吹き付けると、その網目を通過
する際に抵抗を受けて、速度V2 の風となる。この速度
V2 の風が保護フェンス2よりも網目の小さい吸着フェ
ンス3Aに吹き付けると、その網目を通過する際に抵抗
を受けて、速度V3 の風となる。さらに、速度V3 の風
が吸着フェンス3Aよりも網目の小さい2段目の吸着フ
ェンス3Bに吹き付けると、その網目を通過する際に抵
抗を受けて、速度V4 となる。この速度V4 は、その後
若干減速されて保護フェンス2の網目から放出される。
このように、環境改善層形成体Xの部分では、風が、V
1 >V2 >V3 >V4で表されるように次第に減速され
る。風の発生源が、通過車両である場合には、フェンス
モジュールMにより風の強さや騒音が弱められることに
なる。なお、図7において、鎖線m,nは、風圧によっ
て、可撓性を有する吸着フェンス3A,3Bが撓んで変
形した状態を示している。
【0023】吸着フェンス3A,3Bにおける通気部構
成体4の表面には、図6を参照して前述したように、光
触媒5が担持されているため、気象条件が良好で太陽光
などの光線が得られる場合には、通気部構成体4に対す
る照射がなされるために、光触媒5が活性化状態とな
る。なお、吸着フェンス3A,3Bは、可撓性を有して
いるために、風により形状が変化し、光線の照射時に通
気部iを通過することと、通気部構成体4が風を受けて
撓むことにより、層方向に隣り合っている場合でも太陽
光の照射が行き渡り、通気部構成体4の全表面を満遍な
く活性化することになる。
【0024】図1に示す環境改善対象区域Bの空気が乾
燥した状態である場合には、光触媒5が活性化されて超
親水性が付与されていても、通気部構成体4の表面への
水蒸気の吸着がほとんど行われず、技術例5や技術例6
に準じて、主として、通気部構成体4の表面に接触して
いるNOx等のガス分の分解作用が生じるものとなる。
通気部構成体4の表面への接触程度は、図5に示す通気
部iの開口率による影響を受けるものの、通気部構成体
4の全表面積を利用可能であることと、空気流が通気部
iを通り抜ける際にも、空気流が通気部構成体4の裏側
にまで回りこみ易く、空気との接触が全表面において効
率的に行われるものとなる。
【0025】光触媒5が活性化された条件と、空気中の
湿度が高い場合や霧(ミスト)が含まれているような条
件とが重なった場合には、通気部構成体4の表面の超親
水性に基いて、光触媒5に水蒸気や水滴が接触すると、
光触媒5がこれら水分を吸着して、通気部構成体4の表
面の超親水性に基いて、図8に示すように、通気部構成
体4の表面にごく薄い水膜wが形成される。吸着された
水分は、通気部構成体4の表面の超親水性及び毛細管現
象に基いて、通気部構成体4の長さ方向に導かれて、通
気部構成体4の全表面に広がるとともに、内部にも侵入
して保水された状態となる。また、通気部構成体4の全
表面の水膜wが損なわれた場合にでも、通気部構成体4
の内部に毛細管現象に基く保水がなされている場合に
は、水分が内部から引出されて、表面に水膜wが再び形
成されることが考えられる。
【0026】通気部構成体4の表面に水膜wが形成され
ている際に、自然の風や通行車両の発生風が、環境改善
層形成体Xに交差する方向に吹き付けられると、空気流
とともに搬送された種々な浮遊物であるミスト,水蒸
気,NOx,塵埃等が水膜wに吸着して捕捉されること
になる。空気流(風)が少しでも(微風でも)得られる
条件下では、空気中に含まれる浮遊物が順次水膜wに吸
着されるため、空気流は、吸着フェンス3A,3Bを通
過するたびに相対的に浄化されていくことになる。
【0027】空気流の湿度が高い場合や、霧の発生時等
にあっては、通気部構成体4の表面の水膜wに、空気中
の水分が順次吸着されるため、環境改善層形成体Xを通
り抜けようとする空気から、水分が次々と捕捉される。
霧の発生時においては、霧の水滴が大きい場合に、水膜
wによる吸着性が高まることになり、図8に示すよう
に、水分量の増大とともに水滴dとなって、通気部構成
体4の傾斜が水滴流下時の安息角以上である場合に流下
し易くなり、通気部構成体4の表面に付着した水滴dの
量が必要以上に増加する現象の発生を防止する。
【0028】空気流(風)の搬送する水滴が、通気部構
成体4の水膜wに吸着捕捉されることにより、霧の消散
作用も促進されるものとなる。したがって、霧の発生時
に、わずかな空気の流れが伴っていると、環境改善層形
成体Xの下流側に位置する環境改善対象区域Bにおける
霧の消散を行うことができる。
【0029】図9は、本発明に係わる環境改善方法及び
環境改善施設の第2実施形態を示している。該実施形態
では、第1実施形態と同様に、環境改善対象物Aが自動
車道路、環境改善対象区域Bが、路面(車両通行レー
ン)Cとその上部数メートルの範囲となっているが、環
境改善層形成体Xの部分に遮音壁Wの設置が併用され
る。
【0030】遮音壁Wが設置されていると、その面と交
差する方向には、風の通り抜けが行われない。したがっ
て、車両が通過する側である遮音壁Wの面(内面)に、
空気流が衝突しても空気が抜けないために、遮音壁Wの
面に空気の移動しない停滞域が発生し易くなる。
【0031】この際に、図9に示すように、遮音壁Wの
面と間隔Lを空けて環境改善層形成体Xの保護フェンス
2および吸着フェンス3Cが配されていると、その通気
部iの部分を空気が抜けて、空気中の浮遊物(例えばN
Ox)を吸着あるいは分解することができる。吸着フェ
ンス3Cが可撓性を有している場合には、風によって鎖
線yで示すように、吸着フェンス3Cが撓むとともに、
風の強弱や有無により撓む量が変化するために、遮音壁
Wの面の付近における空気が攪拌されて、空気流に含ま
れる浮遊物の吸着除去が促進される。
【0032】図10は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第3実施形態を示している。該実施形
態でも、第1実施形態および第2実施形態と同様に、環
境改善層形成体Xに遮音壁Wの設置が併用される場合を
想定しているが、図9の実施形態と比較して、保護フェ
ンス2が省略されて、1層の吸着フェンス3Cのみで環
境改善層形成体Xを構成するようにしている。該実施形
態でも、吸着フェンス3Cを空気流が通り抜けることに
より、浮遊物の吸着除去を行うことができ、風によって
鎖線yで示すように、吸着フェンス3Cが撓むことによ
る吸着除去範囲の拡大を図ることができる。
【0033】〔他の実施の形態〕本発明にあっては、以
下の技術を包含している。 a) 吸着フェンス3A,3B,3Cにおける通気部構
成体4の表面に、光触媒を使用することなく、親水性を
付与して、通気部構成体4の表面に水膜wを形成するこ
と。かかる技術としては、例えば通気部構成体4の表面
を界面活性剤で処理しておく技術が挙げられる。 b) 光触媒を使用しない場合には、光触媒反応による
有機物の分解が発生しないため、毛細管現象を起こし易
い材料で構成することが可能で、例えば界面活性剤で処
理した木綿糸,木綿紐の利用が挙げられる。 c) 太陽光等の自然光に代えて、人工的に発生させた
紫外線を単独あるいは照明灯と併用して光触媒に照射
し、光触媒反応を発生させるようにすること。 d) 吸着フェンス3A,3B,3Cが、ネット状の通
気部構成体4に光触媒5を担持させたもの(環境改善用
ネット)であり、該環境改善用ネット3A,3B,3C
を単体あるいは組み合わせで、屋外の広場,公園,農園
等の環境改善対象区域Bを囲んで、NOxの低減や水分
の除去を図ること。
【0034】
【発明の効果】本発明に係わる環境改善方法と環境改善
施設および環境改善用ネットによれば、以下の効果を奏
する。 (1) 光触媒反応や親水性を利用することにより、人
工的なエネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施することができる。 (2) 一つの施設を設置することにより、霧の消散及
び視界の確保,NOx等の有害物質の除去,風圧の発生低
減,通過車両の騒音低減などの複数目的を達成すること
ができる。 (3) 従来技術例の超高圧を使用する手段と比較し
て、施設の設置区域や環境改善対象区域が危険域となる
ことがなく、作業員をはじめ付近の動物などの生態系に
悪影響を及ぼすことを回避することができる。また、粒
の大きいミストを効率良く吸着して、視界改善効果を従
来技術例と比較して著しく高めることができる。 (4) 自然の風などの空気の流れを利用することによ
り、広範囲の環境改善対象区域に対して、環境改善を行
うことができる。 (5) 従来技術例と比較して、電気的あるいは機械的
作動部分がなく、施設のメンテナンス性を高め、耐久性
を確保すること。 (6) 風雨や降雪などの気象条件による影響を受ける
ことを少なくし、継続的に環境改善効果機能を発揮する
ことができる。 (7) 獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止
し、交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の
低減を図ることができる。 (8) 自動車道路等において、遮音壁を設置する必要
がある場合でも、遮音壁に間隔を空けて環境改善層形成
体を配することにより、環境改善効率を高めることがで
きる。 (9) 遮音壁を環境改善層形成体と併用して設置する
場合には、運行交通機関の発生騒音や発生振動を利用し
て、環境改善効果を高めることができる。 (10) 多数の人が集まる広場やスタジアム等を環境
改善用ネットで囲んでおくことにより、NOxなどを吸
着や分解して、光化学スモッグの発生を抑制する効果が
期待されるとともに、環境改善対象区域内への雨や霧の
入り込みを低減し、風を弱めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第1実施形態を示す鳥瞰図である。
【図2】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す平面図である。
【図3】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す正面図である。
【図4】 図3におけるフェンスモジュールの平断面図
である。
【図5】 図4における吸着フェンスの一部切欠正面図
である。
【図6】 図5の吸着フェンスにおける網目構成体の形
態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は横断面図、
(c)は正面図である。
【図7】 図1の環境改善施設における風の分散状況お
よび風速低減状況を示す模式図である。
【図8】 図6の網目構成体によるミストの吸着および
流下状況を示す正面図である。
【図9】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第2実施形態を示す平断面図である。
【図10】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第3実施形態を示す平断面図である。
【図11】 剛性を有する遮音壁などへの風の吹き付け
状況を示す模式図である。
【符号の説明】
A 環境改善対象物(自動車道路) B 環境改善対象区域 C 路面(車両通行レーン) X 環境改善層形成体 r 中央分離帯 s ガードレール t 路肩 u 植え込み v 車両(自動車) M フェンスモジュール 1 フレーム 2 保護フェンス 3A,3B,3C 吸着フェンス(環境改善用ネット) 4 通気部構成体 4a 素線 5 光触媒 i 通気部(網目) W 遮音壁 L 間隔 w 水膜 d 水滴
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月27日(1999.10.
27)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 環境改善方法と環境改善施設および環
境改善用ネット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境改善方法と環
境改善施設および環境改善用ネットに係り、特に、道路
や電車の交通網や関係施設の視界の確保,NOx等の有害
物質の分解除去,風圧の発生低減,交通機関運行時の騒
音低減などを図る好適技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車道などの環境を改善する関連技術
として、以下のようなものが挙げられる。 A:霧による視界の阻害を改善する技術 B:内燃機関から放出されたNOx等の有害物質の分解除
去を図る技術。 C:車両等の運行時の発生騒音を低減する技術。
【0003】Aの関連技術例としては、技術例1:実開
昭64−32747号公報「霧液化消去用静電ネット」
の他、技術例2:特開平7−197428号公報,技術
例3:特開平8−218340号公報及び技術例4:特
開平10−131142号公報に示す技術が提案されて
いる。これら技術例1〜4は、いずれも高電圧を導電性
細線に印加して、コロナ放電を発生させることにより、
大気中の水分を帯電状態として、静電力により水分を導
電性細線に吸着するようにしており、導電性細線の回り
の霧(ミスト)を消散する技術である。
【0004】B及びCの関連技術例としては、技術例
5:特開平11−081250号公報「自浄式透光性遮
音壁」や、技術例6:特開平11−081251号公報
「自浄式防音パネル」の技術が提案されている。また、
日刊工業新聞社発行の雑誌「トリガー」:1999,V
ol.18,No.18や、1999年7月7日付の日
本経済新聞に、光触媒反応を利用して、自動車排ガスを
浄化する試み「技術の一端」が掲載されている。これら
技術例5,6等の技術例では、ガードレール,路面,遮
音壁の表面に、二酸化チタン(TiO2 )等の光触媒を
塗布させる方法などにより担持させておいて、光触媒反
応の発生時に自動車排ガス中の酸化窒素ガス(NOx)
などを分解するとともに、降雨時に洗い流して除去しよ
うというものである。また、遮音壁の場合には、壁の材
質,厚さ,高さや構造に準拠する遮音効果が同時に得ら
れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、技術例1〜4
は、コロナ放電を発生させている箇所のごく付近では霧
(ミスト)を消散する能力があると思われるものの、以
下のような課題が残されている。 a)少し離れた部分ではミストの消散効率が低下してし
まう。 b)給電のために多大なエネルギーが必要になる。 c)超高圧を使用するため、対策範囲が危険域となると
ともに、付近の動物などの生態系に悪影響を及ぼし易
い。 技術例5,6等の光触媒を遮音壁に担持させる技術で
は、本来の遮音機能は期待できるものの、光触媒反応に
よるNOxの分解除去効率が必ずしも十分ではないという
実験報告もなされている。その理由の一つとして、自動
車道路の側部に、図19に示すような遮音壁Wが設置さ
れている条件下において、矢印のように風が吹き付けて
も、風が抜けないために、遮音壁Wの表面近くに薄い空
気の停滞層zが形成されて、吹き付けた空気が遮音壁W
の表面に到達することが妨げられ、光触媒反応によるN
Oxなどの分解が活発化されないことが考えられ、北向
き表面の場合では、光触媒反応が著しく低下することに
なる。また、遮音壁Wは、道路を囲んだ状態に設置され
るために、霧(ミスト)の発生時には、霧を消散させる
効果が乏しいばかりでなく、風による霧(ミスト)の流
れを阻害して、視界の回復作用が遅れてしまうという解
決すべき課題も残されている。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するものである。 (1)エネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施すること。 (2)一つの施設で、霧の消散及び視界の確保,NOx等
の有害物質の除去,風圧の発生低減,通過車両の騒音低
減などの複数目的を達成すること。 (3)風雨や降雪などの気象条件による環境改善効果機
能の低下を抑制すること。 (4)施設のメンテナンス性を高め、耐久性を確保する
こと。 (5)獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止し、
交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の低減
を図ること。 (6)施設周囲の自然環境への影響を低減すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、環境改善対
象区域の環境を改善するために、環境改善対象区域の近
傍に、環境改善層形成体が設置される。該環境改善層形
成体には、その面と交差する各方向に空気を通過させる
とともに、網目などの通気部を通過する空気中の浮遊物
と接触して、浮遊物を吸着することにより、通過空気か
ら浮遊物を除去する機能を有する吸着フェンスが具備さ
れる。該吸着フェンスは、通気部を構成する通気部構成
体の表面に光触媒を担持させたものが適用され、該光触
媒は、太陽光やその他の光線の照射により光触媒反応を
生じて活性化され、太陽光等の照射時やその後におい
て、光触媒に接触している浮遊物を分解して除去し易く
する。吸着フェンスには、光触媒を担持させるか、界面
活性剤で処理するか、あるいは併用するなどの方法で、
親水性を付与しておくことが望ましい。光触媒を担持さ
せておくと、光線照射時における光触媒自身の超親水性
により、吸着フェンスの表面に親水性を付与して、該親
水性に基き、吸着フェンスの付近における空気中の浮遊
物である水蒸気やミストを吸着して、吸着フェンスの表
面に水膜が形成される。界面活性剤等により親水性を付
与した場合には、光線の照射が得られない環境下におい
ても、ミストが付着して水膜が形成され易くなる。環境
改善層形成体による交通施設等の環境改善は、光触媒反
応等による超親水性または親水性の付与に加えて、主と
して空気が、吸着フェンスと交差する方向に移動するこ
とによってなされる。吸着フェンスの表面に、超親水性
または親水性が付与されている状態や水膜が形成されて
いる状態のときに、自然の風や通行車両の発生風が、吸
着フェンスと交差すると、空気流とともに搬送された種
々な浮遊物を吸着することになる。霧の発生時や空中湿
度の高い条件下では、ミストや水蒸気が吸着フェンスの
表面に吸着されて、水膜の生成作用が頻繁になるととも
に、水膜への水分補給がなされて、水膜が安定する。水
膜は、水自体の吸着性により空気中の種々な浮遊物を吸
着する。この浮遊物は、水分量の増大に伴って粒の大き
さ及び重量が増大し、吸着フェンスの通気部構成体を伝
わって流下し、通気部構成体の表面から除去される。し
たがって、通気部構成体は、網目を線条体によって形成
することが好ましく、かつ線条体の方向が、鉛直または
傾斜状態となるように設定され、水平状態の部分をなく
すかあるいは少なくなるように配慮すべきである。浮遊
物が、ミストである場合には、ミスト粒の大きい方が吸
着フェンスへの吸着性が高くなる。霧により視界が失わ
れているような場合に、水膜への水分補給が活発になっ
て、ミストの除去作用が頻繁なものとなり、霧の消散
(消霧)効果を発揮することになる。浮遊物が、ミスト
であるほかに、窒素酸化物,硫黄酸化物または炭化水素
などのガス状、あるいは固体状である場合も、水膜によ
り吸着させることができる。このように、風によって搬
送される浮遊物が、窒素酸化物,炭化水素などのガス体
である場合には、太陽光が得られない気象条件下にあっ
ても、通気部構成体に生成された水膜により、窒素酸化
物,炭化水素などを直接吸着して、環境改善層形成体の
設置箇所付近における環境を改善することが可能にな
る。太陽光などの照射が得られる場合には、光触媒の部
分で光触媒反応が発生する。遮音壁に光触媒を担持させ
た場合と同様に、窒素酸化物,炭化水素などを分解し
て、空気の浄化を行うことができるが、吸着フェンスに
通気部を有していることや、可撓性を有していることに
より、光線が片面だけではなく、吸着フェンスの撓みや
通気部を透過した光線等の反射により、他の面あるいは
隣の吸着フェンスへの照射がなされ、光触媒反応範囲が
大きくなると期待される。吸着フェンスによる浮遊物の
吸着能力を高めたい場合には、通気部構成体の通気部の
大きさの設定、通気部構成体の可撓性,吸着フェンスの
複数層化,大小通気部の組み合わせ技術が考慮される。
通気部構成体が、網目構造である場合には、網目を空気
が通り抜けるために、空気流と水膜または光触媒との接
触機会(接触面積)が多くなり、例えば遮音壁表面に光
触媒を単純に担持させた場合よりも、吸着または分解作
用が促進される。通気部構成体の通気部は、開口面積を
小さくすることが効果的であるが、通気部構成体に可撓
性を付与しておくこと、吸着フェンスを層方向に間隔を
空けて複数層隣り合わせること、網目の大きさの異なる
吸着フェンスを組み合わせることが、それぞれ有効な手
段となる。通気部構成体自体が可撓性を有している場合
には、空気流の交差時に、空気流の駆動力に伴って、通
気部構成体が少なくとも部分的に変形させられ、空気流
が湾曲の外側方向に誘導されて下流に送り出される結
果、空気の抜けが良くなるとともに、吸着フェンスへの
新たな空気の送り込みがなされる。吸着フェンスを複数
層隣り合わせ状態に組み合わせると、空気流が吸着フェ
ンスを通り抜けるたびに方向が変化する結果、空気流中
の浮遊物と通気部構成体との接触性が高められる。通気
部の大きさの異なる通気部構成体を組み合わせた場合に
は、通気部を通り抜ける空気流の断面積が、各通気部構
成体の位置で異なって、空気流の分散及び集合作用が生
じ、通気部構成体の層方向における空気流の通過状態が
変化するため、浮遊物と吸着フェンスの通気部構成体と
の接触性が高められることになる。環境改善対象区域の
形態によっては、吸着フェンス単独とするよりも、吸着
フェンスを周囲の環境から保護するための保護フェンス
と組み合わせることが好ましい。該保護フェンスは、吸
着フェンスの近傍に設置されて、自然現象による風雨,
降雪,倒木,土砂,落石や、交通機関の運行に伴う飛来
物等の衝突時に、吸着フェンスへの機械的衝撃を緩和す
る。保護フェンスは、空気の流通を許容するものとし
て、吸着フェンスに対する空気流の供給または排出を損
なわないように設定されるが、強風などにより吸着フェ
ンスの撓み量が大きくなった場合に、これをおさえて変
形を低減する。また、保護フェンスは、環境改善対象区
域を囲む内向面や外側面の両方または片方に配され、道
路や鉄道路等において遮音壁が配される場合には、その
内側に、間隔を空けて空気の流通を許容するように設置
される。環境改善対象区域が自動車道である場合には、
飛来物から吸着フェンスや自動車道を保護するために、
自動車道の外側に保護フェンスが配されるが、通過車両
からの落下物等によって吸着フェンスが損傷しないよう
に、内側、つまり道路との対向面にも保護フェンスが配
される。このような複合構造とすると、環境改善対象区
域に向かう空気流が生じている場合には、大型の飛来物
等を外側の保護フェンスで遮り、空気流が、外側の保護
フェンスにおける空気通過許容箇所から、通気部構成体
の通気部(吸着フェンスが複数層設置されている場合に
は複数段)を通過して、その際に、空気流中の浮遊物
が、通気部構成体の水膜に接触することにより吸着さ
れ、かつ光触媒反応が伴っている場合には、浮遊物が分
解される。通気部構成体への吸着や分解により浮遊物が
減少した空気は、保護フェンスの空気通過許容箇所か
ら、環境改善対象区域の内部または外部などに送り込ま
れる。この場合にあって、浮遊物がミストであると、ミ
ストの水膜への吸着により、ミストの除去された空気が
環境改善対象区域に送り込まれることになり、霧の消散
に基いて視界改善がなされる。空気に含まれるNOxな
どの浮遊物は、保護フェンスの空気通過許容箇所から吸
着フェンスの通気部(通気部構成体)へと送られて、水
膜による吸着作用や光触媒反応による分解作用により除
去され、保護フェンスの空気通過許容箇所から外方に放
出される。空気流が自然の風により得られない場合にあ
っても、環境改善対象区域を通過する自動車等がある
と、その通過時に発生する風が保護フェンスや吸着フェ
ンスを通過するため、通気部構成体の表面と浮遊物との
接触が頻繁に起こって、空気が浄化されるものとなる。
吸着フェンスの表面、特に通気部を構成する通気部構成
体の部分は、光触媒で覆われている構造であるととも
に、光触媒反応によって付与される超親水性あるいは界
面活性化処理などにより自身が親水性を有していること
が望ましい。したがって、通気部構成体が、細い繊維を
集合させて寄り合わせた繊維構造をなしているもの、あ
るいは表面が多孔質であるものなど、保水機能を有して
水膜を形成し易いものが適用される。繊維構造を採用す
る場合にあっては、光触媒反応による基材の分解損傷が
生じないように、ガラス繊維の表面や繊維間に光触媒を
担持させる技術の適用が考えられる。かかるガラス繊維
に光触媒を担持させた技術としては、例えば、特開平1
0−057816号公報「光触媒担持体」に比較例とし
て記載されている技術、あるいは同公報に実施例として
記載されているPTFE繊維を利用した技術を適用する
こともできる。環境改善対象区域に、騒音発生源が存在
する場合には、騒音発生源の外側に吸着フェンスが配さ
れていると、音が通気部を通過する際に減衰されるた
め、目を細かくすることや多層構造とすることが有効で
あり、その際に、吸着フェンスの通気部構成体が繊維等
で構成されていると、音によって通気部構成体が振動し
て空気との接触機会が増加するため、浮遊物であるミス
トやNOx等の除去性の向上が期待される。環境改善対
象区域としては、霧の発生時に霧の消散により視界を改
善したい場所、あるいはNOxや有害ミスト等を除去し
たい場所、つまり、車両の通過する道路、軌道路,操車
場等の交通施設や、空港施設,運河または港湾施設,ゴ
ルフ場,ゴルフ練習場,各種競技場、学校の運動場,公
園,各種イベント会場,農場等を包含する。道路交通網
の一部または全部を環境改善対象区域とする場合にあっ
ては、環境改善層形成体の両側または片側に平行に設置
されて、環境改善層形成体に配された吸着フェンスによ
り空気流の通過を許容して空気中の浮遊物を吸着する。
また、道路交通網においては、環境改善対象区域の上方
および側方を囲むように環境改善層形成体が設置され
る。環境改善層形成体により車両通行レーンが囲まれて
いると、外側から内側に移動する空気中の浮遊物が、環
境改善層形成体に吸着されて、環境改善対象区域の内部
に対する浮遊物の侵入量が低減される。さらに、環境改
善対象区域が、車両の通過する道路交通網である場合に
は、中央分離帯の上方に、環境改善対象区域の少なくと
も一部まで延ばされた屋根状の環境改善層形成体を配す
る技術も適用される。この技術では、ミストが自然に落
下する現象を利用して、環境改善層形成体にミストを吸
着させ霧の消散作用を生じさせるとともに、少なくと
も、中央分離帯の付近の視界を確保する。環境改善層形
成体が、逆L字状やフック状である形態も包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1ないし図8は、本発明におけ
る環境改善方法及び環境改善施設の第1実施形態を示し
ており、環境改善対象物Aが自動車道路、環境改善対象
区域Bが、路面(車両通行レーン)Cとその上部数メー
トルの範囲となっている。
【0009】上記環境改善対象区域Bには、環境改善施
設として、図1および図2に示すように、路面(車両通
行レーン)Cの両側を並列状態で囲むように、フェンス
状の環境改善層形成体Xが設置される。図1および図2
にあって、rは中央分離帯、sはガードレール、tは路
肩、uは植え込み、vは車両(自動車)を示している。
なお、車両通行レーンCの側部に、コンクリート構造物
からなる遮音壁や防護壁の設置を必要とする場合には、
環境改善層形成体Xの外側に間隔を空けて配される。そ
の際に、内側に植え込みuを介在させるか否かは任意で
ある。
【0010】前記環境改善層形成体Xは、図3に示す実
施形態では、フェンスモジュールMを、車両通行レーン
Cに沿って立設状態に複数配列して、ボルト等の締結具
により固定する構造としている。
【0011】該フェンスモジュールMは、図3および図
4に示す実施形態では、耐候性を付与した金属製(例え
ばステンレス鋼製やアルミニウム製)のフレーム1の枠
内に、目的および機能の異なる保護フェンス2と吸着フ
ェンス3A,3Bとを任意層数分だけ組み込んだものと
されており、保護フェンス2が車両通行レーンCに内向
するように設定される。この場合に、保護フェンス2
を、外向きに配する必要性があるか否かは、環境改善対
象物Aの立地条件によって決定される。
【0012】これら保護フェンス2と吸着フェンス3
A,3Bとは、フェンスモジュールMの面と交差する方
向(厚さ方向など)に、空気の流通性を持たせたものが
採用される。その一つの手段として、図4および図5に
示すように、網目状態のものが適用される。
【0013】前記保護フェンス2は、環境改善対象区域
Bの範囲内外に対して、外部からの飛来物や車両(自動
車)vの落下物の衝突による衝撃事故や損傷発生から、
環境改善対象区域Bの環境,車両(自動車)vおよび吸
着フェンス3A,3Bを保護する目的を有しており、か
つ空気の流通性を持たせるため、図4および図5に示す
ように、吸着フェンス3A,3Bよりも相対的に大きな
網目状,スリット状や穴開き形状のものが適用される。
【0014】前記吸着フェンス3A,3Bは、図4に示
すように、対をなす保護フェンス2の間、または保護フ
ェンス2の外側に配されて、環境改善層形成体Xの面と
交差する各方向に空気を通過させるとともに、通過する
空気中に含まれる浮遊物を親水性や超親水性により吸着
して除去する機能を有するものとされる。
【0015】つまり、吸着フェンス3A,3Bは、図4
および図5に示す形態では、網目構造を有するネット状
のものが適用されているが、その網目などの通気部iを
構成する通気部構成体4に、耐候性を考慮した例えば無
機質の繊維糸や紐を使用して、毛細管現象を生じ易くす
るとともに、表面に二酸化チタンなどの光触媒を担持さ
せたものが適用される。
【0016】無機質材料とする場合には、ガラス繊維に
光触媒を担持させる技術例として、例えば、特開平10
−057816号公報「光触媒担持体」に記載されてい
る技術を適用することができ、その他繊維質系糸,繊維
質系紐,金属繊維,金属繊維に光触媒を担持させたもの
や、光触媒を担持させた繊維布に穴をあけたもの,針金
などの表面に光触媒を担持させたもの,チタン線条体の
表面に酸化処理して光触媒機能を持たせるようにしたも
の等であってもよい。
【0017】前記吸着フェンス3A,3Bに通気部iを
付与するための通気部構成体4は、図6に示すように、
繊維状の複数の素線4aを撚り合わせて毛細管現象を利
用した保水性を持たせるようにしたものが望ましく、素
線4aの間や表面に上記従来技術例等により光触媒5を
担持させて、全体として超親水性や親水性を付与したも
のが適用される。
【0018】保護フェンス2と吸着フェンス3A,3B
とについて説明を補足する。これらは、それぞれ面と交
差する方向の空気の流通性を有していることが必須条件
となるが、網目構造のみに限定するものではない。図4
及び図5に示すように、網目構造を採用した場合には、
保護フェンス2が、いわゆる金網として市販されている
網目の比較的大きなものをそのまま適用することができ
て有利であることと、吸着フェンス3A,3Bにあって
も、網目構造とすることにより、空気の流通量を確保す
ること(網目の開口穴の大きさや開口径の複数段設定)
が容易になる理由とが挙げられる。
【0019】前記保護フェンス2にあっては、耐候性を
考慮して市販の金網(望ましくはステンレス鋼線やアル
ミニウム線により構成された金網,ただしコストを考慮
する必要がある)を採用することができるとともに、す
だれ状に、金属線や金属板を縦方向に配したものに置き
換えることができる。この場合、少なくとも飛来物や車
両からの落下物の衝突に耐える強度を有して、吸着フェ
ンス3A,3Bを防御し得るものであれば良い。
【0020】これに対して、前記吸着フェンス3A,3
Bは、空気流通性を確保するために、通気部i(網目ま
たは穴)の大きさの設定が必要である。吸着フェンス3
A,3Bには、通気部iを通過する空気中の浮遊物が通
気部構成体4に接触して除去される機能が付与される。
吸着フェンス3A,3Bは、1層よりも複数層とするこ
とが好ましく、通気部iの大きさは、複数層とすること
により大きく設定することができるが、複数層同一とす
るか異なる大きさとするかが選択される。吸着フェンス
3A,3Bの通気部iが正方形の網目で、図6(b)に
示すように、通気部構成体4の横断面が円形である場合
の接触面積を検討すると、概略以下の通りである。吸着
フェンス3A,3Bでは、空気が通気部iを通り抜ける
から、空気の接触面積を考えると、通気部構成体4の円
筒状表面の全部が利用可能になる。このため、通気部i
の開口径が0.8程度でも、空気との接触面積が単純な
平面(片面)である場合の1.25倍になる。なお、板
状表面と同等になる計算上の開口径は、0.84であ
る。
【0021】図4に示す実施形態では、吸着フェンス3
A,3Bの網目の大きさを変える設定であり、吸着フェ
ンス3Aよりも吸着フェンス3Bの網目を小さくしてい
る。図4において、フェンスモジュールMに吹き付ける
風の方向が、左から右である傾向が強い場合や、風の方
向が特定できない場合で、車両通行レーンCが左側で車
両通過時の風が吹き付ける場合には、風上側における網
目を大きく、かつ開口径を大きくする設定がなされる。
例えば、開口径を0.9および0.8というように組み
合わせて、所望の空気接触面積を得ることが可能にな
る。
【0022】上記のように設定する理由の一つについ
て、図7を参照して説明する。図7において、風が右上
から左下に向かって吹き付けている場合には、速度V 1
の風が保護フェンス2に吹き付けると、その網目を通過
する際に抵抗を受けて、速度V2 の風となる。この速度
V2 の風が保護フェンス2よりも網目の小さい吸着フェ
ンス3Aに吹き付けると、その網目を通過する際に抵抗
を受けて、速度V3 の風となる。さらに、速度V3 の風
が吸着フェンス3Aよりも網目の小さい2段目の吸着フ
ェンス3Bに吹き付けると、その網目を通過する際に抵
抗を受けて、速度V4 となる。この速度V4 は、その後
若干減速されて保護フェンス2の網目から放出される。
このように、環境改善層形成体Xの部分では、風が、V
1 >V2 >V3 >V4で表されるように次第に減速され
る。風の発生源が、通過車両である場合には、フェンス
モジュールMにより風の強さや騒音が弱められることに
なる。なお、図7において、鎖線m,nは、風圧によっ
て、可撓性を有する吸着フェンス3A,3Bが撓んで変
形した状態を示している。
【0023】吸着フェンス3A,3Bにおける通気部構
成体4の表面には、図6を参照して前述したように、光
触媒5が担持されているため、気象条件が良好で太陽光
などの光線が得られる場合には、通気部構成体4に対す
る照射がなされるために、光触媒5が活性化状態とな
る。なお、吸着フェンス3A,3Bは、可撓性を有して
いるために、風により形状が変化し、光線の照射時に通
気部iを通過することと、通気部構成体4が風を受けて
撓むことにより、層方向に隣り合っている場合でも太陽
光の照射が行き渡り、通気部構成体4の全表面を満遍な
く活性化することになる。
【0024】図1に示す環境改善対象区域Bの空気が乾
燥した状態である場合には、光触媒5が活性化されて超
親水性が付与されていても、通気部構成体4の表面への
水蒸気の吸着がほとんど行われず、技術例5や技術例6
に準じて、主として、通気部構成体4の表面に接触して
いるNOx等のガス分の分解作用が生じるものとなる。
通気部構成体4の表面への接触程度は、図5に示す通気
部iの開口径による影響を受けるものの、通気部構成体
4の全表面積を利用可能であることと、空気流が通気部
iを通り抜ける際にも、空気流が通気部構成体4の裏側
にまで回りこみ易く、空気との接触が全表面において効
率的に行われるものとなる。
【0025】光触媒5が活性化された条件と、空気中の
湿度が高い場合や霧(ミスト)が含まれているような条
件とが重なった場合には、通気部構成体4の表面の超親
水性に基いて、光触媒5に水蒸気や水滴が接触すると、
光触媒5がこれら水分を吸着して、通気部構成体4の表
面の超親水性に基いて、図8に示すように、通気部構成
体4の表面にごく薄い水膜wが形成される。吸着された
水分は、通気部構成体4の表面の超親水性及び毛細管現
象に基いて、通気部構成体4の長さ方向に導かれて、通
気部構成体4の全表面に広がるとともに、内部にも侵入
して保水された状態となる。また、通気部構成体4の全
表面の水膜wが損なわれた場合にでも、通気部構成体4
の内部に毛細管現象に基く保水がなされている場合に
は、水分が内部から引出されて、表面に水膜wが再び形
成されることが考えられる。
【0026】通気部構成体4の表面に水膜wが形成され
ている際に、自然の風や通行車両の発生風が、環境改善
層形成体Xに交差する方向に吹き付けられると、空気流
とともに搬送された種々な浮遊物であるミスト,水蒸
気,NOx,塵埃等が水膜wに吸着して捕捉されること
になる。空気流(風)が少しでも(微風でも)得られる
条件下では、空気中に含まれる浮遊物が順次水膜wに吸
着されるため、空気流は、吸着フェンス3A,3Bを通
過するたびに相対的に浄化されていくことになる。
【0027】空気流の湿度が高い場合や、霧の発生時等
にあっては、通気部構成体4の表面の水膜wに、空気中
の水分が順次吸着されるため、環境改善層形成体Xを通
り抜けようとする空気から、水分が次々と捕捉される。
霧の発生時においては、霧の水滴が大きい場合に、水膜
wによる吸着性が高まることになり、図8に示すよう
に、水分量の増大とともに水滴dとなって、通気部構成
体4の傾斜が水滴流下時の安息角以上である場合に流下
し易くなり、通気部構成体4の表面に付着した水滴dの
量が必要以上に増加する現象の発生を防止する。
【0028】空気流(風)の搬送する水滴が、通気部構
成体4の水膜wに吸着捕捉されることにより、霧の消散
作用も促進されるものとなる。したがって、霧の発生時
に、わずかな空気の流れが伴っていると、環境改善層形
成体Xの下流側に位置する環境改善対象区域Bにおける
霧の消散を行うことができる。
【0029】図9は、本発明における環境改善方法及び
環境改善施設の第2実施形態を示している。該第2実施
形態では、第1実施形態と同様に、環境改善対象物Aが
自動車道路、環境改善対象区域Bが、路面(車両通行レ
ーン)Cとその上部数メートルの範囲となっているが、
環境改善層形成体Xが、2車線分の車両通行レーンCの
上方および両外側をアーチ状に覆うものとされている。
【0030】第2実施形態において、ミストを含む空気
流、つまり、霧が環境改善対象区域Bに入り込もうとす
ると、環境改善層形成体Xのほぼ垂直になっている部分
が、親水性または超親水性に基づいてミストを吸着し
て、環境改善対象区域Bの消霧を行う点では、図1に示
す環境改善層形成体Xと同様である。加えて、環境改善
対象区域Bの上方や斜め上方を環境改善層形成体Xが覆
っていると、無風または無風に近い場合に、ミストが降
るように落下しても、水平または傾斜している部分でミ
ストを吸着して、消霧を行うことができる。したがっ
て、図9例では、風がなくてもあっても、消霧を行うこ
とができる。
【0031】図9例の第2実施形態の変形例として、ア
ーケードやドーム型野球場などの天井部分への適用が考
えられる。この場合にあって、環境改善層形成体Xは、
ミスト及び雨滴を、それぞれ吸着する機能を有してい
る。したがって、屋根を設けることなく、環境改善層形
成体Xで覆った場合にも、霧や雨を吸着して、内部への
水滴落下を防止し、吸着した水分を環境改善層形成体X
に沿って流下させることができる。通常の場合には、通
気性により大気が取り入れや空気の入れ替えが行われ、
その際に空気中に含まれるNOxなどの有害または不要
ガスを除去し、日中においては、採光することができ
る。
【0032】図10は、環境改善形成体Xの第2実施形
態を示しており、保護フェンス2と吸着フェンス3A,
3Bのいずれか1層分とを、スペーサ6を介在させた状
態で、金具などの締結具7により一体化し、これらで環
境改善層形成体Xを構成するようにしている。図10例
にあっては、保護フェンス2を風上または車両通行レー
ンCに対向させるように敷設するとよく、予め複合構造
としておくことにより、施工労力を低減し得るととも
に、保護フェンス2と吸着フェンス3A,3Bのいずれ
か1層分との間隔を、一定にすることができる。
【0033】図11は、環境改善形成体Xの第3実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bを2層分と
し、その両外側に、保護フェンス2を配するとともに、
これらの間にスペーサ6を介在させた状態で、金具など
の締結具7により一体化し、これらで環境改善層形成体
Xを構成するようにしている。図11例にあっても、両
側の保護フェンス2で、吸着フェンス3A,3Bを飛来
物から保護することができるとともに、吸着フェンス3
A,3Bの複数層化により、ミストの吸着性を向上させ
ることができる。なお、目の粗い吸着フェンス3Aの側
から太陽光を取り入れて細かい吸着フェンス3Bに導く
方が、逆方向に光線を取り込む場合よりも有利である。
【0034】図12は、環境改善形成体Xの第4実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bを3層分と
し、細かい目を内側、それよりも粗い目を外側とし、吸
着フェンス3A,3Bの複数層化により、ミストの吸着
性を向上させることができる。
【0035】図13は、環境改善形成体Xの第5実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bが5層とさ
れ、中央に、図14に示すようなシート状の吸着フェン
ス3Bを利用する場合に、これを保護するように、強度
の高い吸着フェンス3Aで挟んで使用するものである。
なお、実施形態の変形として、強度の高い網などで比較
的強度の低い吸着フェンス3Bを挟む技術が採用可能で
ある。
【0036】図14は、吸着フェンス3Bとして、不織
布などの表面や繊維の間に、光触媒を担持させたシート
状のものを適用する場合を想定している。不織布などで
は、ほとんど通気性が得られないが、図14(a)に示
すように、平行なスリット3sを多数配することによ
り、スリット3sの部分に通気性が付与される。また、
スリット3sを形成する際に、切れ目の幅を交互に異な
るように設定しておき、必要に応じて幅の狭い部分に山
折り部3tと谷折り部3uとを予めくせづけし、空気の
通過時に、図14(b)に示すように変形させて隙間を
大きくし、通気量を確保することができる。図14に示
す形態では、網目のない分だけ、環境改善形成体Xに対
する受光面積を大きくすることができるが、同時に通気
量も十分に確保するものである。なお、スリット3sの
変形程度は、図13のように両面を強度の高い吸着フェ
ンス3Aで挟む構造とすることにより、抑制することが
できる。
【0037】図15は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第3実施形態を示している。該第3実
施形態では、環境改善対象物Aを自動車道路としている
が、特に、中央分離帯rに、例えば鋼材で組み上げた支
持架構8を立設状態に配し、その上部に、左右両側に張
り出した状態のビーム9を取り付けるとともに、該ビー
ム9に、例えば図16に示す環境改善形成体Xが、環境
改善対象区域Bの上方を覆うように取り付けられた構造
となっている。該環境改善形成体Xは、片側2車線の場
合は、少なくとも中央分離帯r寄りの1車線を、片側1
車線の場合はその全部を覆うように設定され、中央分離
帯rに向かって下り勾配となる設定がなされる。環境改
善対象区域Bの上方を覆うようにしておくと、霧の水平
方向の移動がほとんどない場合に、ミストが自然落下す
る現象を利用して、消霧を行うことができるとともに、
吸着したミストを中央に集めて流下させることができ
る。なお、支持架構8の部分に対しても、図2や図10
ないし図14の構造に準じた環境改善形成体Xが配され
る。このような構造の採用により、片側2車線である場
合には、少なくとも中央分離帯r寄りの1車線につい
て、視界を確保することができる。
【0038】図15のように配した環境改善形成体X
は、雨や雪の重量を受け易いため、例えば図16に示す
ような波形構造として、強度を高めるように配慮され
る。該環境改善形成体Xは、これまで説明した図10な
いし図14の構造などを加味して、成形したものが適用
される。
【0039】図17は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第4実施形態を示している。該第4実
施形態では、環境改善対象物Aが自動車道路、環境改善
対象区域Bが、路面(車両通行レーン)Cとその上部数
メートルの範囲となっているが、環境改善層形成体Xの
部分に遮音壁Wの設置が併用される。
【0040】遮音壁Wが設置されていると、その面と交
差する方向には、風の通り抜けが行われない。したがっ
て、車両が通過する側である遮音壁Wの面(内面)に、
空気流が衝突しても空気が抜けないために、遮音壁Wの
面に空気の移動しない停滞域が発生し易くなる。
【0041】この際に、図17に示すように、遮音壁W
の面と間隔Lを空けて環境改善層形成体Xの保護フェン
ス2および吸着フェンス3Cが配されていると、その通
気部iの部分を空気が抜けて、空気中の浮遊物(例えば
NOx)を吸着あるいは分解することができる。吸着フ
ェンス3Cが可撓性を有している場合には、風によって
鎖線yで示すように、吸着フェンス3Cが撓むととも
に、風の強弱や有無により撓む量が変化するために、遮
音壁Wの面の付近における空気が攪拌されて、空気流に
含まれる浮遊物の吸着除去が促進される。
【0042】図18は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第5実施形態を示している。該第5実
施形態でも、環境改善層形成体Xに遮音壁Wの設置が併
用される場合を想定しているが、図17の実施形態と比
較して、保護フェンス2が省略されて、1層の吸着フェ
ンス3Cのみで環境改善層形成体Xを構成するようにし
ている。第5実施形態でも、吸着フェンス3Cを空気流
が通り抜けることにより、浮遊物の吸着除去を行うこと
ができ、風によって鎖線yで示すように、吸着フェンス
3Cが撓むことによる吸着除去範囲の拡大を図ることが
できる。
【0043】〔他の実施の形態〕本発明にあっては、以
下の技術を包含している。 a) 吸着フェンス3A,3B,3Cにおける通気部構
成体4の表面に、光触媒を使用することなく、親水性を
付与して、通気部構成体4の表面に水膜wを形成するこ
と。かかる技術としては、例えば通気部構成体4の表面
を界面活性剤で処理しておく技術が挙げられる。 b) 通気部構成体4の表面に、界面活性剤を担持させ
る手段としては、直接的に塗布または染み込ませる技術
の他、マイクロカプセルの中に界面活性剤を閉じ込めて
おき、自然風化または光触媒の担持に併用し、光触媒反
応に基づくカプセル壁の破壊作用を利用して、界面活性
剤を徐々に放出させる方法が採用される。 c) 界面活性剤を通気部構成体4の繊維に染み込ませ
得る場合にあっては、光触媒を併用する技術も適用され
る。 d) 光触媒を使用しない場合には、光触媒反応による
有機物の分解が発生しないため、毛細管現象を起こし易
い材料で構成することが可能で、例えば界面活性剤で処
理した木綿糸,木綿紐の利用が挙げられる。 e) 太陽光等の自然光に代えて、人工的に発生させた
紫外線を単独あるいは照明灯と併用して光触媒に照射
し、光触媒反応を発生させるようにすること。 f) 吸着フェンス3A,3B,3Cが、ネット状の通
気部構成体4に光触媒5を担持させたもの(環境改善用
ネット)であり、該環境改善用ネット3A,3B,3C
を単体あるいは組み合わせで、屋外の広場,公園,農園
等の環境改善対象区域Bを囲んで、NOxの低減や水分
の除去を図ること。 g) 環境改善対象物を道路交通網とする場合にあって
は、その必要とする範囲のみに環境改善層形成体Xを配
する技術や、風上となる側部のみに配する技術も採用可
能である。
【0044】
【発明の効果】本発明に係わる環境改善方法と環境改善
施設および環境改善用ネットによれば、以下の効果を奏
する。 (1) 光触媒反応や親水性を利用することにより、人
工的なエネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施することができる。 (2) 一つの施設を設置することにより、霧の消散及
び視界の確保,NOx等の有害物質の除去,風圧の発生低
減,通過車両の騒音低減などの複数目的を達成すること
ができる。 (3) 従来技術例の超高圧を使用する手段と比較し
て、施設の設置区域や環境改善対象区域が危険域となる
ことがなく、作業員をはじめ付近の動物などの生態系に
悪影響を及ぼすことを回避することができる。また、粒
の大きいミストを効率良く吸着して、視界改善効果を従
来技術例と比較して著しく高めることができる。 (4) 自然の風などの空気の流れを利用することによ
り、広範囲の環境改善対象区域に対して、環境改善を行
うことができる。 (5) 従来技術例と比較して、電気的あるいは機械的
作動部分がなく、施設のメンテナンス性を高め、耐久性
を確保すること。 (6) 風雨や降雪などの気象条件による影響を受ける
ことを少なくし、継続的に環境改善効果機能を発揮する
ことができる。 (7) 獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止
し、交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の
低減を図ることができる。 (8) 自動車道路等において、遮音壁を設置する必要
がある場合でも、遮音壁に間隔を空けて環境改善層形成
体を配することにより、環境改善効率を高めることがで
きる。 (9) 遮音壁を環境改善層形成体と併用して設置する
場合には、運行交通機関の発生騒音や発生振動を利用し
て、環境改善効果を高めることができる。 (10) 多数の人が集まる広場やスタジアム等を環境
改善用ネットで囲んでおくことにより、NOxなどを吸
着や分解して、光化学スモッグの発生を抑制する効果が
期待されるとともに、環境改善対象区域内への雨や霧の
入り込みを低減し、風を弱めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第1実施形態を示す鳥瞰図である。
【図2】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す平面図である。
【図3】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す正面図である。
【図4】 図3における環境改善層形成体のフェンスモ
ジュール部分の第1実施形態を示す平断面図である。
【図5】 図4におけるフェンスモジュールの一部切欠
正面図である。
【図6】 図5の吸着フェンスにおける網目構成体の形
態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は横断面図、
(c)は正面図である。
【図7】 図4のフェンスモジュールによる風の分散状
況および風速低減状況を示す模式図である。
【図8】 図6の網目構成体によるミストの吸着および
流下状況を示す正面図である。
【図9】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第2実施形態を示す側断面図である。
【図10】 本発明に係わる環境改善形成体の第2実施
形態を示す側断面図である。
【図11】 本発明に係わる環境改善形成体の第3実施
形態を示す側断面図である。
【図12】 本発明に係わる環境改善形成体の第4実施
形態を示す側断面図である。
【図13】 本発明に係わる環境改善形成体の第5実施
形態を示す側断面図である。
【図14】 図13の環境改善用ネットの他の実施形態
を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図15】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第3実施形態を示す側断面図である。
【図16】 図15における環境改善形成体の正断面図
である。
【図17】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第4実施形態を示す平断面図である。
【図18】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第5実施形態を示す平断面図である。
【図19】 剛性を有する遮音壁などへの風の吹き付け
状況を示す模式図である。
【符号の説明】 A 環境改善対象物(自動車道路) B 環境改善対象区域 C 路面(車両通行レーン) X 環境改善層形成体 r 中央分離帯 s ガードレール t 路肩 u 植え込み v 車両(自動車) M フェンスモジュール 1 フレーム 2 保護フェンス 3A,3B,3C 吸着フェンス(環境改善用ネット) 3s スリット 3t 山折り部 3u 谷折り部 4 通気部構成体 4a 素線 5 光触媒 6 スペーサ 7 締結具 8 支持架構 9 ビーム i 通気部(網目) W 遮音壁 L 間隔 w 水膜 d 水滴
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図17】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図18】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年11月16日(1999.11.
16)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正書】
【提出日】平成12年8月9日(2000.8.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 環境改善方法と環境改善施設および環
境改善用ネット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環境改善方法と環
境改善施設および環境改善用ネットに係り、特に、道路
や電車の交通網や関係施設の視界の確保,NOx等の有
害物質の分解除去,風圧の発生低減,交通機関運行時の
騒音低減などを図る好適技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車道などの環境を改善する関連技術
として、以下のようなものが挙げられる。 A:霧による視界の阻害を改善する技術。 B:内燃機関から放出されたNOx等の有害物質の分解
除去を図る技術。 C:車両等の運行時の発生騒音を低減する技術。
【0003】Aの関連技術例としては、技術例1:実開
昭64−32747号公報「霧液化消去用静電ネット」
の他、技術例2:特開平7−197428号公報,技術
例3:特開平8−218340号公報及び技術例4:特
開平10−131142号公報に示す技術が提案されて
いる。これら技術例1〜4は、いずれも高電圧を導電性
細線に印加して、コロナ放電を発生させることにより、
大気中の水分を帯電状態として、静電力により水分を導
電性細線に吸着するようにしており、導電性細線の回り
の霧(ミスト)を消散する技術である。
【0004】B及びCの関連技術例としては、技術例
5:特開平11−081250号公報「自浄式透光性遮
音壁」や、技術例6:特開平11−081251号公報
「自浄式防音パネル」の技術が提案されている。また、
日刊工業新聞社発行の雑誌「トリガー」:1999,V
ol.18,No.18や、1999年7月7日付の日
本経済新聞に、光触媒反応を利用して、自動車排ガスを
浄化する試み「技術の一端」が掲載されている。これら
技術例5,6等の技術例では、ガードレール,路面,遮
音壁の表面に、二酸化チタン(TiO2 )等の光触媒を
塗布させる方法などにより担持させておいて、光触媒反
応の発生時に自動車排ガス中の酸化窒素ガス(NOx)
などを分解するとともに、降雨時に洗い流して除去しよ
うというものである。また、遮音壁の場合には、壁の材
質,厚さ,高さや構造に準拠する遮音効果が同時に得ら
れることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、技術例1〜4
は、コロナ放電を発生させている箇所のごく付近では霧
(ミスト)を消散する能力があると思われるものの、以
下のような課題が残されている。 a)少し離れた部分ではミストの消散効率が低下してし
まう。 b)給電のために多大なエネルギーが必要になる。 c)超高圧を使用するため、対策範囲が危険域となると
ともに、付近の動物などの生態系に悪影響を及ぼし易
い。 技術例5,6等の光触媒を遮音壁に担持させる技術で
は、本来の遮音機能は期待できるものの、光触媒反応に
よるNOxの分解除去効率が必ずしも十分ではないという
実験報告もなされている。その理由の一つとして、自動
車道路の側部に、図20に示すような遮音壁Wが設置さ
れている条件下において、矢印のように風が吹き付けて
も、風が抜けないために、遮音壁Wの表面近くに薄い空
気の停滞層zが形成されて、吹き付けた空気が遮音壁W
の表面に到達することが妨げられ、光触媒反応によるN
Oxなどの分解が活発化されないことが考えられ、北向
き表面の場合では、光触媒反応が著しく低下することに
なる。また、遮音壁Wは、道路を囲んだ状態に設置され
るために、霧(ミスト)の発生時には、霧を消散させる
効果が乏しいばかりでなく、風による霧(ミスト)の流
れを阻害して、視界の回復作用が遅れてしまうという解
決すべき課題も残されている。
【0006】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、以下の目的を達成するものである。 (1)エネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施すること。 (2)一つの施設で、霧の消散及び視界の確保,NOx等
の有害物質の除去,風圧の発生低減,通過車両の騒音低
減などの複数目的を達成すること。 (3)風雨や降雪などの気象条件による環境改善効果機
能の低下を抑制すること。 (4)施設のメンテナンス性を高め、耐久性を確保する
こと。 (5)獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止し、
交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の低減
を図ること。 (6)施設周囲の自然環境への影響を低減すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、環境改善対
象区域の環境を改善するために、環境改善対象区域の近
傍に、環境改善層形成体が設置される。該環境改善層形
成体には、その面と交差する各方向に空気を通過させる
とともに、網目などの通気部を通過する空気中の浮遊物
と接触して、浮遊物を吸着することにより、通過空気か
ら浮遊物を除去する機能を有する吸着フェンスが具備さ
れる。該吸着フェンスは、通気部を構成する通気部構成
体の表面に光触媒を担持させたものが適用され、該光触
媒は、太陽光やその他の光線の照射により光触媒反応を
生じて活性化され、太陽光等の照射時やその後におい
て、光触媒に接触している浮遊物を分解して除去し易く
する。吸着フェンスには、光触媒を担持させるか、界面
活性剤で処理するか、あるいは併用するなどの方法で、
親水性を付与しておくことが望ましい。光触媒を担持さ
せておくと、光線照射時における光触媒自身の超親水性
により、吸着フェンスの表面に親水性を付与して、該親
水性に基き、吸着フェンスの付近における空気中の浮遊
物である水蒸気やミストを吸着して、吸着フェンスの表
面に水膜が形成される。界面活性剤等により親水性を付
与した場合には、光線の照射が得られない環境下におい
ても、ミストが付着して水膜が形成され易くなる。環境
改善層形成体による交通施設等の環境改善は、光触媒反
応等による超親水性または親水性の付与に加えて、主と
して空気が、吸着フェンスと交差する方向に移動するこ
とによってなされる。吸着フェンスの表面に、超親水性
または親水性が付与されている状態や水膜が形成されて
いる状態のときに、自然の風や通行車両の発生風が、吸
着フェンスと交差すると、空気流とともに搬送された種
々な浮遊物を吸着することになる。霧の発生時や空中湿
度の高い条件下では、ミストや水蒸気が吸着フェンスの
表面に吸着されて、水膜の生成作用が頻繁になるととも
に、水膜への水分補給がなされて、水膜が安定する。水
膜は、水自体の吸着性により空気中の種々な浮遊物を吸
着する。この浮遊物は、水分量の増大に伴って粒の大き
さ及び重量が増大し、吸着フェンスの通気部構成体を伝
わって流下し、通気部構成体の表面から除去される。し
たがって、通気部構成体は、網目を線条体によって形成
することが好ましく、かつ線条体の方向が、鉛直または
傾斜状態となるように設定され、水平状態の部分をなく
すかあるいは少なくなるように配慮すべきである。浮遊
物が、ミストである場合には、ミスト粒の大きい方が吸
着フェンスへの吸着性が高くなる。霧により視界が失わ
れているような場合に、水膜への水分補給が活発になっ
て、ミストの除去作用が頻繁なものとなり、霧の消散
(消霧)効果を発揮することになる。浮遊物が、ミスト
であるほかに、窒素酸化物,硫黄酸化物または炭化水素
などのガス状、あるいは固体状である場合も、水膜によ
り吸着させることができる。このように、風によって搬
送される浮遊物が、窒素酸化物,炭化水素などのガス体
である場合には、太陽光が得られない気象条件下にあっ
ても、通気部構成体に生成された水膜により、窒素酸化
物,炭化水素などを直接吸着して、環境改善層形成体の
設置箇所付近における環境を改善することが可能にな
る。太陽光などの照射が得られる場合には、光触媒の部
分で光触媒反応が発生する。遮音壁に光触媒を担持させ
た場合と同様に、窒素酸化物,炭化水素などを分解し
て、空気の浄化を行うことができるが、吸着フェンスに
通気部を有していることや、可撓性を有していることに
より、光線が片面だけではなく、吸着フェンスの撓みや
通気部を透過した光線等の反射により、他の面あるいは
隣の吸着フェンスへの照射がなされ、光触媒反応範囲が
大きくなると期待される。吸着フェンスによる浮遊物の
吸着能力を高めたい場合には、通気部構成体の通気部の
大きさの設定、通気部構成体の可撓性,吸着フェンスの
複数層化,大小通気部の組み合わせ技術が考慮される。
通気部構成体が、網目構造である場合には、網目を空気
が通り抜けるために、空気流と水膜または光触媒との接
触機会(接触面積)が多くなり、例えば遮音壁表面に光
触媒を単純に担持させた場合よりも、吸着または分解作
用が促進される。通気部構成体の通気部は、開口面積を
小さくすることが効果的であるが、通気部構成体に可撓
性を付与しておくこと、吸着フェンスを層方向に間隔を
空けて複数層隣り合わせること、網目の大きさの異なる
吸着フェンスを組み合わせることが、それぞれ有効な手
段となる。通気部構成体自体が可撓性を有している場合
には、空気流の交差時に、空気流の駆動力に伴って、通
気部構成体が少なくとも部分的に変形させられ、空気流
が湾曲の外側方向に誘導されて下流に送り出される結
果、空気の抜けが良くなるとともに、吸着フェンスへの
新たな空気の送り込みがなされる。吸着フェンスを複数
層隣り合わせ状態に組み合わせると、空気流が吸着フェ
ンスを通り抜けるたびに方向が変化する結果、空気流中
の浮遊物と通気部構成体との接触性が高められる。通気
部の大きさの異なる通気部構成体を組み合わせた場合に
は、通気部を通り抜ける空気流の断面積が、各通気部構
成体の位置で異なって、空気流の分散及び集合作用が生
じ、通気部構成体の層方向における空気流の通過状態が
変化するため、浮遊物と吸着フェンスの通気部構成体と
の接触性が高められることになる。環境改善対象区域の
形態によっては、吸着フェンス単独とするよりも、吸着
フェンスを周囲の環境から保護するための保護フェンス
と組み合わせることが好ましい。該保護フェンスは、吸
着フェンスの近傍に設置されて、自然現象による風雨,
降雪,倒木,土砂,落石や、交通機関の運行に伴う飛来
物等の衝突時に、吸着フェンスへの機械的衝撃を緩和す
る。保護フェンスは、空気の流通を許容するものとし
て、吸着フェンスに対する空気流の供給または排出を損
なわないように設定されるが、強風などにより吸着フェ
ンスの撓み量が大きくなった場合に、これをおさえて変
形を低減する。また、保護フェンスは、環境改善対象区
域を囲む内向面や外側面の両方または片方に配され、道
路や鉄道路等において遮音壁が配される場合には、その
内側に、間隔を空けて空気の流通を許容するように設置
される。環境改善対象区域が自動車道である場合には、
飛来物から吸着フェンスや自動車道を保護するために、
自動車道の外側に保護フェンスが配されるが、通過車両
からの落下物等によって吸着フェンスが損傷しないよう
に、内側、つまり道路との対向面にも保護フェンスが配
される。このような複合構造とすると、環境改善対象区
域に向かう空気流が生じている場合には、大型の飛来物
等を外側の保護フェンスで遮り、空気流が、外側の保護
フェンスにおける空気通過許容箇所から、通気部構成体
の通気部(吸着フェンスが複数層設置されている場合に
は複数段)を通過して、その際に、空気流中の浮遊物
が、通気部構成体の水膜に接触することにより吸着さ
れ、かつ光触媒反応が伴っている場合には、浮遊物が分
解される。通気部構成体への吸着や分解により浮遊物が
減少した空気は、保護フェンスの空気通過許容箇所か
ら、環境改善対象区域の内部または外部などに送り込ま
れる。この場合にあって、浮遊物がミストであると、ミ
ストの水膜への吸着により、ミストの除去された空気が
環境改善対象区域に送り込まれることになり、霧の消散
に基いて視界改善がなされる。空気に含まれるNOxな
どの浮遊物は、保護フェンスの空気通過許容箇所から吸
着フェンスの通気部(通気部構成体)へと送られて、水
膜による吸着作用や光触媒反応による分解作用により除
去され、保護フェンスの空気通過許容箇所から外方に放
出される。空気流が自然の風により得られない場合にあ
っても、環境改善対象区域を通過する自動車等がある
と、その通過時に発生する風が保護フェンスや吸着フェ
ンスを通過するため、通気部構成体の表面と浮遊物との
接触が頻繁に起こって、空気が浄化されるものとなる。
吸着フェンスの表面、特に通気部を構成する通気部構成
体の部分は、光触媒で覆われている構造であるととも
に、光触媒反応によって付与される超親水性あるいは界
面活性化処理などにより自身が親水性を有していること
が望ましい。したがって、通気部構成体が、細い繊維を
集合させて寄り合わせた繊維構造をなしているもの、あ
るいは表面が多孔質であるものなど、保水機能を有して
水膜を形成し易いものが適用される。繊維構造を採用す
る場合にあっては、光触媒反応による基材の分解損傷が
生じないように、ガラス繊維の表面や繊維間に光触媒を
担持させる技術の適用が考えられる。かかるガラス繊維
に光触媒を担持させた技術としては、例えば、特開平1
0−057816号公報「光触媒担持体」に比較例とし
て記載されている技術、あるいは同公報に実施例として
記載されているPTFE繊維を利用した技術を適用する
こともできる。環境改善対象区域に、騒音発生源が存在
する場合には、騒音発生源の外側に吸着フェンスが配さ
れていると、音が通気部を通過する際に減衰されるた
め、目を細かくすることや多層構造とすることが有効で
あり、その際に、吸着フェンスの通気部構成体が繊維等
で構成されていると、音によって通気部構成体が振動し
て空気との接触機会が増加するため、浮遊物であるミス
トやNOx等の除去性の向上が期待される。環境改善対
象区域としては、霧の発生時に霧の消散により視界を改
善したい場所、あるいはNOxや有害ミスト等を除去し
たい場所、つまり、車両の通過する道路、軌道路,操車
場等の交通施設や、空港施設,運河または港湾施設,ゴ
ルフ場,ゴルフ練習場,各種競技場、学校の運動場,公
園,各種イベント会場,農場等を包含する。道路交通網
の一部または全部を環境改善対象区域とする場合にあっ
ては、環境改善層形成体の両側または片側に平行に設置
されて、環境改善層形成体に配された吸着フェンスによ
り空気流の通過を許容して空気中の浮遊物を吸着する。
また、道路交通網においては、環境改善対象区域の上方
および側方を囲むように環境改善層形成体が設置され
る。環境改善層形成体により車両通行レーンが囲まれて
いると、外側から内側に移動する空気中の浮遊物が、環
境改善層形成体に吸着されて、環境改善対象区域の内部
に対する浮遊物の侵入量が低減される。環境改善層形成
体の表面を、晴天時や任意時に含水状態にするために、
環境改善層形成体の少なくとも一部に毛細管現象により
水分を貯留しておいて毛細管現象または自然落下を利用
して環境改善層形成体に給水する機能を有する貯水手段
と、貯水手段に接続されて強制的に給水を行うための上
水道などの給水手段とが付加される。環境改善層形成体
の表面を含水状態としておくことにより、環境改善層形
成体を通過する両方向のミストやNOxなどの吸着を効
果的に行うことができる。さらに、環境改善対象区域
が、車両の通過する道路交通網である場合には、中央分
離帯の上方に、環境改善対象区域の少なくとも一部まで
延ばされた屋根状の環境改善層形成体を配する技術も適
用される。この技術では、ミストが自然に落下する現象
を利用して、環境改善層形成体にミストを吸着させ霧の
消散作用を生じさせるとともに、少なくとも、中央分離
帯の付近の視界を確保する。環境改善層形成体が、逆L
字状やフック状である形態も包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】図1ないし図8は、本発明におけ
る環境改善方法及び環境改善施設の第1実施形態を示し
ており、環境改善対象物Aが自動車道路、環境改善対象
区域Bが、路面(車両通行レーン)Cとその上部数メー
トルの範囲となっている。
【0009】上記環境改善対象区域Bには、環境改善施
設として、図1および図2に示すように、路面(車両通
行レーン)Cの両側を並列状態で囲むように、フェンス
状の環境改善層形成体Xが設置される。図1および図2
にあって、rは中央分離帯、sはガードレール、tは路
肩、uは植え込み、vは車両(自動車)を示している。
なお、車両通行レーンCの側部に、コンクリート構造物
からなる遮音壁や防護壁の設置を必要とする場合には、
環境改善層形成体Xの外側に間隔を空けて配される。そ
の際に、内側に植え込みuを介在させるか否かは任意で
ある。
【0010】前記環境改善層形成体Xは、図3に示す実
施形態では、フェンスモジュールMを、車両通行レーン
Cに沿って立設状態に複数配列して、ボルト等の締結具
により固定する構造としている。
【0011】該フェンスモジュールMは、図3および図
4に示す実施形態では、耐候性を付与した金属製(例え
ばステンレス鋼製やアルミニウム製)のフレーム1の枠
内に、目的および機能の異なる保護フェンス2と吸着フ
ェンス3A,3Bとを任意層数分だけ組み込んだものと
されており、保護フェンス2が車両通行レーンCに内向
するように設定される。この場合に、保護フェンス2
を、外向きに配する必要性があるか否かは、環境改善対
象物Aの立地条件によって決定される。
【0012】これら保護フェンス2と吸着フェンス3
A,3Bとは、フェンスモジュールMの面と交差する方
向(厚さ方向など)に、空気の流通性を持たせたものが
採用される。その一つの手段として、図4および図5に
示すように、網目状態のものが適用される。
【0013】前記保護フェンス2は、環境改善対象区域
Bの範囲内外に対して、外部からの飛来物や車両(自動
車)vの落下物の衝突による衝撃事故や損傷発生から、
環境改善対象区域Bの環境,車両(自動車)vおよび吸
着フェンス3A,3Bを保護する目的を有しており、か
つ空気の流通性を持たせるため、図4および図5に示す
ように、吸着フェンス3A,3Bよりも相対的に大きな
網目状,スリット状や穴開き形状のものが適用される。
【0014】前記吸着フェンス3A,3Bは、図4に示
すように、対をなす保護フェンス2の間、または保護フ
ェンス2の外側に配されて、環境改善層形成体Xの面と
交差する各方向に空気を通過させるとともに、通過する
空気中に含まれる浮遊物を親水性や超親水性により吸着
して除去する機能を有するものとされる。
【0015】つまり、吸着フェンス3A,3Bは、図4
および図5に示す形態では、網目構造を有するネット状
のものが適用されているが、その網目などの通気部iを
構成する通気部構成体4に、耐候性を考慮した例えば無
機質の繊維糸や紐を使用して、毛細管現象を生じ易くす
るとともに、表面に二酸化チタンなどの光触媒を担持さ
せたものが適用される。
【0016】無機質材料とする場合には、ガラス繊維に
光触媒を担持させる技術例として、例えば、特開平10
−057816号公報「光触媒担持体」に記載されてい
る技術を適用することができ、その他繊維質系糸,繊維
質系紐,金属繊維,金属繊維に光触媒を担持させたもの
や、光触媒を担持させた繊維布に穴をあけたもの,針金
などの表面に光触媒を担持させたもの,チタン線条体の
表面に酸化処理して光触媒機能を持たせるようにしたも
の等であってもよい。
【0017】前記吸着フェンス3A,3Bに通気部iを
付与するための通気部構成体4は、図6に示すように、
繊維状の複数の素線4aを撚り合わせて毛細管現象を利
用した保水性を持たせるようにしたものが望ましく、素
線4aの間や表面に上記従来技術例等により光触媒5を
担持させて、全体として超親水性や親水性を付与したも
のが適用される。
【0018】保護フェンス2と吸着フェンス3A,3B
とについて説明を補足する。これらは、それぞれ面と交
差する方向の空気の流通性を有していることが必須条件
となるが、網目構造のみに限定するものではない。図4
及び図5に示すように、網目構造を採用した場合には、
保護フェンス2が、いわゆる金網として市販されている
網目の比較的大きなものをそのまま適用することができ
て有利であることと、吸着フェンス3A,3Bにあって
も、網目構造とすることにより、空気の流通量を確保す
ること(網目の開口穴の大きさや開口径の複数段設定)
が容易になる理由とが挙げられる。
【0019】前記保護フェンス2にあっては、耐候性を
考慮して市販の金網(望ましくはステンレス鋼線やアル
ミニウム線により構成された金網,ただしコストを考慮
する必要がある)を採用することができるとともに、す
だれ状に、金属線や金属板を縦方向に配したものに置き
換えることができる。この場合、少なくとも飛来物や車
両からの落下物の衝突に耐える強度を有して、吸着フェ
ンス3A,3Bを防御し得るものであれば良い。
【0020】これに対して、前記吸着フェンス3A,3
Bは、空気流通性を確保するために、通気部i(網目ま
たは穴)の大きさの設定が必要である。吸着フェンス3
A,3Bには、通気部iを通過する空気中の浮遊物が通
気部構成体4に接触して除去される機能が付与される。
吸着フェンス3A,3Bは、1層よりも複数層とするこ
とが好ましく、通気部iの大きさは、複数層とすること
により大きく設定することができるが、複数層同一とす
るか異なる大きさとするかが選択される。吸着フェンス
3A,3Bの通気部iが正方形の網目で、図6(b)に
示すように、通気部構成体4の横断面が円形である場合
の接触面積を検討すると、概略以下の通りである。吸着
フェンス3A,3Bでは、空気が通気部iを通り抜ける
から、空気の接触面積を考えると、通気部構成体4の円
筒状表面の全部が利用可能になる。このため、通気部i
の開口径が0.8程度でも、空気との接触面積が単純な
平面(片面)である場合の1.25倍になる。なお、板
状表面と同等になる計算上の開口径は、0.84であ
る。
【0021】図4に示す実施形態では、吸着フェンス3
A,3Bの網目の大きさを変える設定であり、吸着フェ
ンス3Aよりも吸着フェンス3Bの網目を小さくしてい
る。図4において、フェンスモジュールMに吹き付ける
風の方向が、左から右である傾向が強い場合や、風の方
向が特定できない場合で、車両通行レーンCが左側で車
両通過時の風が吹き付ける場合には、風上側における網
目を大きく、かつ開口径を大きくする設定がなされる。
例えば、開口径を0.9および0.8というように組み
合わせて、所望の空気接触面積を得ることが可能にな
る。
【0022】上記のように設定する理由の一つについ
て、図7を参照して説明する。図7において、風が右上
から左下に向かって吹き付けている場合には、速度V 1
の風が保護フェンス2に吹き付けると、その網目を通過
する際に抵抗を受けて、速度V2 の風となる。この速度
2の風が保護フェンス2よりも網目の小さい吸着フェ
ンス3Aに吹き付けると、その網目を通過する際に抵抗
を受けて、速度V3 の風となる。さらに、速度V3の風
が吸着フェンス3Aよりも網目の小さい2段目の吸着フ
ェンス3Bに吹き付けると、その網目を通過する際に抵
抗を受けて、速度V4 となる。この速度V4 は、その後
若干減速されて保護フェンス2の網目から放出される。
このように、環境改善層形成体Xの部分では、風が、V
1 >V2 >V3 >V4で表されるように次第に減速され
る。風の発生源が、通過車両である場合には、フェンス
モジュールMにより風の強さや騒音が弱められることに
なる。なお、図7において、鎖線m,nは、風圧によっ
て、可撓性を有する吸着フェンス3A,3Bが撓んで変
形した状態を示している。
【0023】吸着フェンス3A,3Bにおける通気部構
成体4の表面には、図6を参照して前述したように、光
触媒5が担持されているため、気象条件が良好で太陽光
などの光線が得られる場合には、通気部構成体4に対す
る照射がなされるために、光触媒5が活性化状態とな
る。なお、吸着フェンス3A,3Bは、可撓性を有して
いるために、風により形状が変化し、光線の照射時に通
気部iを通過することと、通気部構成体4が風を受けて
撓むことにより、層方向に隣り合っている場合でも太陽
光の照射が行き渡り、通気部構成体4の全表面を満遍な
く活性化することになる。
【0024】図1に示す環境改善対象区域Bの空気が乾
燥した状態である場合には、光触媒5が活性化されて超
親水性が付与されていても、通気部構成体4の表面への
水蒸気の吸着がほとんど行われず、技術例5や技術例6
に準じて、主として、通気部構成体4の表面に接触して
いるNOx等のガス分の分解作用が生じるものとなる。
通気部構成体4の表面への接触程度は、図5に示す通気
部iの開口径による影響を受けるものの、通気部構成体
4の全表面積を利用可能であることと、空気流が通気部
iを通り抜ける際にも、空気流が通気部構成体4の裏側
にまで回りこみ易く、空気との接触が全表面において効
率的に行われるものとなる。
【0025】光触媒5が活性化された条件と、空気中の
湿度が高い場合や霧(ミスト)が含まれているような条
件とが重なった場合には、通気部構成体4の表面の超親
水性に基いて、光触媒5に水蒸気や水滴が接触すると、
光触媒5がこれら水分を吸着して、通気部構成体4の表
面の超親水性に基いて、図8に示すように、通気部構成
体4の表面にごく薄い水膜wが形成される。吸着された
水分は、通気部構成体4の表面の超親水性及び毛細管現
象に基いて、通気部構成体4の長さ方向に導かれて、通
気部構成体4の全表面に広がるとともに、内部にも侵入
して保水された状態となる。また、通気部構成体4の全
表面の水膜wが損なわれた場合にでも、通気部構成体4
の内部に毛細管現象に基く保水がなされている場合に
は、水分が内部から引出されて、表面に水膜wが再び形
成されることが考えられる。
【0026】通気部構成体4の表面に水膜wが形成され
ている際に、自然の風や通行車両の発生風が、環境改善
層形成体Xに交差する方向に吹き付けられると、空気流
とともに搬送された種々な浮遊物であるミスト,水蒸
気,NOx,塵埃等が水膜wに吸着して捕捉されること
になる。空気流(風)が少しでも(微風でも)得られる
条件下では、空気中に含まれる浮遊物が順次水膜wに吸
着されるため、空気流は、吸着フェンス3A,3Bを通
過するたびに相対的に浄化されていくことになる。
【0027】空気流の湿度が高い場合や、霧の発生時等
にあっては、通気部構成体4の表面の水膜wに、空気中
の水分が順次吸着されるため、環境改善層形成体Xを通
り抜けようとする空気から、水分が次々と捕捉される。
霧の発生時においては、霧の水滴が大きい場合に、水膜
wによる吸着性が高まることになり、図8に示すよう
に、水分量の増大とともに水滴dとなって、通気部構成
体4の傾斜が水滴流下時の安息角以上である場合に流下
し易くなり、通気部構成体4の表面に付着した水滴dの
量が必要以上に増加する現象の発生を防止する。
【0028】空気流(風)の搬送する水滴が、通気部構
成体4の水膜wに吸着捕捉されることにより、霧の消散
作用も促進されるものとなる。したがって、霧の発生時
に、わずかな空気の流れが伴っていると、環境改善層形
成体Xの下流側に位置する環境改善対象区域Bにおける
霧の消散を行うことができる。
【0029】図9は、本発明における環境改善方法及び
環境改善施設の第2実施形態を示している。該第2実施
形態では、第1実施形態と同様に、環境改善対象物Aが
自動車道路、環境改善対象区域Bが、路面(車両通行レ
ーン)Cとその上部数メートルの範囲となっているが、
環境改善層形成体Xが、2車線分の車両通行レーンCの
上方および両外側をアーチ状に覆うものとされている。
【0030】第2実施形態において、ミストを含む空気
流、つまり、霧が環境改善対象区域Bに入り込もうとす
ると、環境改善層形成体Xのほぼ垂直になっている部分
が、親水性または超親水性に基づいてミストを吸着し
て、環境改善対象区域Bの消霧を行う点では、図1に示
す環境改善層形成体Xと同様である。加えて、環境改善
対象区域Bの上方や斜め上方を環境改善層形成体Xが覆
っていると、無風または無風に近い場合に、ミストが降
るように落下しても、水平または傾斜している部分でミ
ストを吸着して、消霧を行うことができる。したがっ
て、図9例では、風がなくてもあっても、消霧を行うこ
とができる。
【0031】図9例の第2実施形態の変形例として、ア
ーケードやドーム型野球場などの天井部分への適用が考
えられる。この場合にあって、環境改善層形成体Xは、
ミスト及び雨滴を、それぞれ吸着する機能を有してい
る。したがって、屋根を設けることなく、環境改善層形
成体Xで覆った場合にも、霧や雨を吸着して、内部への
水滴落下を防止し、吸着した水分を環境改善層形成体X
に沿って流下させることができる。通常の場合には、通
気性により大気が取り入れや空気の入れ替えが行われ、
その際に空気中に含まれるNOxなどの有害または不要
ガスを除去し、日中においては、採光することができ
る。
【0032】図10は、環境改善形成体Xの第2実施形
態を示しており、保護フェンス2と吸着フェンス3A,
3Bのいずれか1層分とを、スペーサ6を介在させた状
態で、金具などの締結具7により一体化し、これらで環
境改善層形成体Xを構成するようにしている。図10例
にあっては、保護フェンス2を風上または車両通行レー
ンCに対向させるように敷設するとよく、予め複合構造
としておくことにより、施工労力を低減し得るととも
に、保護フェンス2と吸着フェンス3A,3Bのいずれ
か1層分との間隔を、一定にすることができる。
【0033】図11は、環境改善形成体Xの第3実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bを2層分と
し、その両外側に、保護フェンス2を配するとともに、
これらの間にスペーサ6を介在させた状態で、金具など
の締結具7により一体化し、これらで環境改善層形成体
Xを構成するようにしている。図11例にあっても、両
側の保護フェンス2で、吸着フェンス3A,3Bを飛来
物から保護することができるとともに、吸着フェンス3
A,3Bの複数層化により、ミストの吸着性を向上させ
ることができる。なお、目の粗い吸着フェンス3Aの側
から太陽光を取り入れて細かい吸着フェンス3Bに導く
方が、逆方向に光線を取り込む場合よりも有利である。
【0034】図12は、環境改善形成体Xの第4実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bを3層分と
し、細かい目を内側、それよりも粗い目を外側とし、吸
着フェンス3A,3Bの複数層化により、ミストの吸着
性を向上させることができる。
【0035】図13は、環境改善形成体Xの第5実施形
態を示しており、吸着フェンス3A,3Bが5層とさ
れ、中央に、図14に示すようなシート状の吸着フェン
ス3Bを利用する場合に、これを保護するように、強度
の高い吸着フェンス3Aで挟んで使用するものである。
なお、実施形態の変形として、強度の高い網などで比較
的強度の低い吸着フェンス3Bを挟む技術が採用可能で
ある。
【0036】図14は、吸着フェンス3Bとして、不織
布などの表面や繊維の間に、光触媒を担持させたシート
状のものを適用する場合を想定している。不織布などで
は、ほとんど通気性が得られないが、図14(a)に示
すように、平行なスリット3sを多数配することによ
り、スリット3sの部分に通気性が付与される。また、
スリット3sを形成する際に、切れ目の幅を交互に異な
るように設定しておき、必要に応じて幅の狭い部分に山
折り部3tと谷折り部3uとを予めくせづけし、空気の
通過時に、図14(b)に示すように変形させて隙間を
大きくし、通気量を確保することができる。図14に示
す形態では、網目のない分だけ、環境改善形成体Xに対
する受光面積を大きくすることができるが、同時に通気
量も十分に確保するものである。なお、スリット3sの
変形程度は、図13のように両面を強度の高い吸着フェ
ンス3Aで挟む構造とすることにより、抑制することが
できる。
【0037】図15は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第3実施形態を示している。該第3実
施形態では、環境改善対象物Aを自動車道路としている
が、特に、中央分離帯rに、例えば鋼材で組み上げた支
持架構8を立設状態に配し、その上部に、左右両側に張
り出した状態のビーム9を取り付けるとともに、該ビー
ム9に、例えば図16に示す環境改善形成体Xが、環境
改善対象区域Bの上方を覆うように取り付けられた構造
となっている。該環境改善形成体Xは、片側2車線の場
合は、少なくとも中央分離帯r寄りの1車線を、片側1
車線の場合はその全部を覆うように設定され、中央分離
帯rに向かって下り勾配となる設定がなされる。環境改
善対象区域Bの上方を覆うようにしておくと、霧の水平
方向の移動がほとんどない場合に、ミストが自然落下す
る現象を利用して、消霧を行うことができるとともに、
吸着したミストを中央に集めて流下させることができ
る。なお、支持架構8の部分に対しても、図2や図10
ないし図14の構造に準じた環境改善形成体Xが配され
る。このような構造の採用により、片側2車線である場
合には、少なくとも中央分離帯r寄りの1車線につい
て、視界を確保することができる。
【0038】図15のように配した環境改善形成体X
は、雨や雪の重量を受け易いため、例えば図16に示す
ような波形構造として、強度を高めるように配慮され
る。該環境改善形成体Xは、これまで説明した図10な
いし図14の構造などを加味して、成形したものが適用
される。
【0039】図17は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第4実施形態を示している。該第4実
施形態では、環境改善対象物Aが自動車道路、環境改善
対象区域Bが、路面(車両通行レーン)Cとその上部数
メートルの範囲となっているが、環境改善層形成体Xの
部分に遮音壁Wの設置が併用される。
【0040】遮音壁Wが設置されていると、その面と交
差する方向には、風の通り抜けが行われない。したがっ
て、車両が通過する側である遮音壁Wの面(内面)に、
空気流が衝突しても空気が抜けないために、遮音壁Wの
面に空気の移動しない停滞域が発生し易くなる。
【0041】この際に、図17に示すように、遮音壁W
の面と間隔Lを空けて環境改善層形成体Xの保護フェン
ス2および吸着フェンス3Cが配されていると、その通
気部iの部分を空気が抜けて、空気中の浮遊物(例えば
NOx)を吸着あるいは分解することができる。吸着フ
ェンス3Cが可撓性を有している場合には、風によって
鎖線yで示すように、吸着フェンス3Cが撓むととも
に、風の強弱や有無により撓む量が変化するために、遮
音壁Wの面の付近における空気が攪拌されて、空気流に
含まれる浮遊物の吸着除去が促進される。
【0042】図18は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第5実施形態を示している。該第5実
施形態でも、環境改善層形成体Xに遮音壁Wの設置が併
用される場合を想定しているが、図17の実施形態と比
較して、保護フェンス2が省略されて、1層の吸着フェ
ンス3Cのみで環境改善層形成体Xを構成するようにし
ている。第5実施形態でも、吸着フェンス3Cを空気流
が通り抜けることにより、浮遊物の吸着除去を行うこと
ができ、風によって鎖線yで示すように、吸着フェンス
3Cが撓むことによる吸着除去範囲の拡大を図ることが
できる。
【0043】図19は、本発明に係わる環境改善方法及
び環境改善施設の第6実施形態を示している。該第6実
施形態は、少なくとも所望時間だけ環境改善層形成体X
を含水状態にするものとしている。第6実施形態では、
図19に示すように、環境改善対象物Aが、自動車道路
及びその周辺環境であり、環境改善層形成体Xが、環境
改善対象区域B及び路面(車両通行レーン)Cを囲むよ
うに配される点で、前述した各実施形態と類似している
が、加えて、環境改善層形成体Xの少なくとも一部であ
る上部や上方側部に、吸着フェンス3A,3Bの網目な
どを含水状態にするための技術が採用される。
【0044】図19に基づき説明を補足する。車両通行
レーンCの付近に配されている上水道施設などを応用し
て環境改善層形成体Xに敷設方向に沿って圧力水を供給
する給水手段10と、該給水手段10と環境改善層形成
体Xとの間に接続状態に配される給水管11と、該給水
管11により給水されて環境改善層形成体Xの上部や上
方側部に上記敷設方向に沿って配され環境改善層形成体
Xの吸着フェンス3A,3Bに配水するための貯水手段
12と、給水管11に介在状態に配されて給水の制御に
使用される制御弁13とを有している。貯水手段12
は、水分を貯留状態とするとともに、毛細管現象または
自然落下を利用して環境改善層形成体Xに給水するため
に配される。また、第6実施形態では、路面(車両通行
レーン)Cの側部に、U字溝などの集水路14が設けら
れており、該集水路14の中には、酸性液を中和するた
めに石灰岩などの中和材15が収納されている。
【0045】このような設備では、給水手段10の作動
及び制御弁13の開閉制御により貯水手段12に給水し
て貯水させておいた水、または降雨などにより貯留され
た水を、環境改善層形成体Xに配水して、含水状態(水
で濡れた状態)または少なくとも湿った状態としてお
き、環境改善層形成体Xの吸着フェンス3A,3Bが本
来有している親水性と相俟って、外部から侵入する雨,
雪,霧,塵埃などを効果的に吸着して環境改善対象区域
Bに入り込むことを抑制することができる。さらに、車
両の通過などにより環境改善対象区域Bに放出された窒
素酸化物(NOx),硫黄酸化物(SOx),未燃焼粒
子(PM)なども効果的に吸着して環境改善対象区域B
の外に排出されることを抑制することができる。吸着フ
ェンス3A,3Bに吸着されたミストやNOxなどは、
水滴とともに流下して集水路14により集められて、中
和材15により中和されることになる。
【0046】〔他の実施の形態〕本発明にあっては、以
下の技術を包含している。 a) 吸着フェンス3A,3B,3Cにおける通気部構
成体4の表面に、光触媒を使用することなく、親水性を
付与して、通気部構成体4の表面に水膜wを形成するこ
と。かかる技術としては、例えば通気部構成体4の表面
を界面活性剤で処理しておく技術が挙げられる。 b) 通気部構成体4の表面に、界面活性剤を担持させ
る手段としては、直接的に塗布または染み込ませる技術
の他、マイクロカプセルの中に界面活性剤を閉じ込めて
おき、自然風化または光触媒の担持に併用し、光触媒反
応に基づくカプセル壁の破壊作用を利用して、界面活性
剤を徐々に放出させる方法が採用される。 c) 界面活性剤を通気部構成体4の繊維に染み込ませ
得る場合にあっては、光触媒を併用する技術も適用され
る。 d) 光触媒を使用しない場合には、光触媒反応による
有機物の分解が発生しないため、毛細管現象を起こし易
い材料で構成することが可能で、例えば界面活性剤で処
理した木綿糸,木綿紐の利用が挙げられる。 e) 太陽光等の自然光に代えて、人工的に発生させた
紫外線を単独あるいは照明灯と併用して光触媒に照射
し、光触媒反応を発生させるようにすること。 f) 吸着フェンス3A,3B,3Cが、ネット状の通
気部構成体4に光触媒5を担持させたもの(環境改善用
ネット)であり、該環境改善用ネット3A,3B,3C
を単体あるいは組み合わせで、屋外の広場,公園,農園
等の環境改善対象区域Bを囲んで、NOxの低減や水分
の除去を図ること。 g) 環境改善対象物を道路交通網とする場合にあって
は、その必要とする範囲のみに環境改善層形成体Xを配
する技術や、風上となる側部のみに配する技術も採用可
能である。
【0044】
【発明の効果】本発明に係わる環境改善方法と環境改善
施設および環境改善用ネットによれば、以下の効果を奏
する。 (1) 光触媒反応や親水性を利用することにより、人
工的なエネルギー源を必要とせず、対象区域の自然環境
改善を実施することができる。 (2) 一つの施設を設置することにより、霧の消散及
び視界の確保,NOx等の有害物質の除去,風圧の発生低
減,通過車両の騒音低減などの複数目的を達成すること
ができる。 (3) 従来技術例の超高圧を使用する手段と比較し
て、施設の設置区域や環境改善対象区域が危険域となる
ことがなく、作業員をはじめ付近の動物などの生態系に
悪影響を及ぼすことを回避することができる。また、粒
の大きいミストを効率良く吸着して、視界改善効果を従
来技術例と比較して著しく高めることができる。 (4) 自然の風などの空気の流れを利用することによ
り、広範囲の環境改善対象区域に対して、環境改善を行
うことができる。 (5) 従来技術例と比較して、電気的あるいは機械的
作動部分がなく、施設のメンテナンス性を高め、耐久性
を確保すること。 (6) 風雨や降雪などの気象条件による影響を受ける
ことを少なくし、継続的に環境改善効果機能を発揮する
ことができる。 (7) 獣,鳥,虫などの交通路への紛れ込みを防止
し、交通機関,運行車両の不慮の事故発生や視界妨害の
低減を図ることができる。 (8) 自動車道路等において、遮音壁を設置する必要
がある場合でも、遮音壁に間隔を空けて環境改善層形成
体を配することにより、環境改善効率を高めることがで
きる。 (9) 遮音壁を環境改善層形成体と併用して設置する
場合には、運行交通機関の発生騒音や発生振動を利用し
て、環境改善効果を高めることができる。 (10) 多数の人が集まる広場やスタジアム等を環境
改善用ネットで囲んでおくことにより、NOxなどを吸
着や分解して、光化学スモッグの発生を抑制する効果が
期待されるとともに、環境改善対象区域内への雨や霧の
入り込みを低減し、風を弱めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す鳥瞰図である。
【図2】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す平面図である。
【図3】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第1実施形態を示す正面図である。
【図4】 図3における環境改善層形成体のフェンスモ
ジュール部分の第1実施形態を示す平断面図である。
【図5】 図4におけるフェンスモジュールの一部切欠
正面図である。
【図6】 図5の吸着フェンスにおける網目構成体の形
態を示すもので、(a)は斜視図、(b)は横断面図、
(c)は正面図である。
【図7】 図4のフェンスモジュールによる風の分散状
況および風速低減状況を示す模式図である。
【図8】 図6の網目構成体によるミストの吸着および
流下状況を示す正面図である。
【図9】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善施
設の第2実施形態を示す側断面図である。
【図10】 本発明に係わる環境改善形成体の第2実施
形態を示す側断面図である。
【図11】 本発明に係わる環境改善形成体の第3実施
形態を示す側断面図である。
【図12】 本発明に係わる環境改善形成体の第4実施
形態を示す側断面図である。
【図13】 本発明に係わる環境改善形成体の第5実施
形態を示す側断面図である。
【図14】 図13の環境改善用ネットの他の実施形態
を示し、(a)は正面図、(b)は側断面図である。
【図15】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第3実施形態を示す側断面図である。
【図16】 図15における環境改善形成体の正断面図
である。
【図17】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第4実施形態を示す平断面図である。
【図18】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第5実施形態を示す平断面図である。
【図19】 本発明に係わる環境改善方法及び環境改善
施設の第6実施形態を示す側断面図である。
【図20】 剛性を有する遮音壁などへの風の吹き付け
状況を示す模式図である。
【符号の説明】 A 環境改善対象物(自動車道路) B 環境改善対象区域 C 路面(車両通行レーン) X 環境改善層形成体 r 中央分離帯 s ガードレール t 路肩 u 植え込み v 車両(自動車) M フェンスモジュール 1 フレーム 2 保護フェンス 3A,3B,3C 吸着フェンス(環境改善用ネット) 3s スリット 3t 山折り部 3u 谷折り部 4 通気部構成体 4a 素線 5 光触媒 6 スペーサ 7 締結具 8 支持架構 9 ビーム 10 給水手段 11 給水管 12 貯水手段 13 制御弁 14 集水路 15 中和材 i 通気部(網目) W 遮音壁 L 間隔 w 水膜 d 水滴
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正内容】
【図19】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正内容】
【図20】

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環境改善対象区域(B)の近傍に、吸着
    フェンス(3A,3B,3C)をを設置しておき、該吸
    着フェンスの通気部(i)を通過する空気中の浮遊物
    を、通気部の回りの表面に吸着させて除去することを特
    徴とする環境改善方法。
  2. 【請求項2】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の表
    面に光触媒(5)を担持させておき、空気中の浮遊物
    を、光触媒の光触媒反応により分解することを特徴とす
    る請求項1記載の環境改善方法。
  3. 【請求項3】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の表
    面に親水性を付与しておき、空気中の浮遊物を吸着させ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の環境改善方
    法。
  4. 【請求項4】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の表
    面を界面活性剤などにより活性化処理して親水性を付与
    しておくことを特徴とする請求項1、2または3記載の
    環境改善方法。
  5. 【請求項5】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の表
    面に水膜(w)を生成して空気中の浮遊物を吸着させ、
    該浮遊物を流下除去することを特徴とする請求項3また
    は4記載の環境改善方法。
  6. 【請求項6】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の少
    なくとも一部に可撓性を付与しておき、空気流の交差時
    に変形を生じさせて、空気流と吸着フェンスとの接触状
    態を変動させることを特徴とする請求項1、2、3、4
    または5記載の交通施設等の環境改善方法。
  7. 【請求項7】 複数層の吸着フェンス(3A,3B,3
    C)を配しておき、層方向の空気流の通過状態を変化さ
    せることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または
    6記載の交通施設等の環境改善方法。
  8. 【請求項8】 環境改善対象区域(B)の近傍に設置さ
    れる環境改善層形成体(X)と、該環境改善層形成体に
    配され空気流の通過を許容して空気中の浮遊物を吸着す
    る吸着フェンス(3A,3B,3C)とを有することを
    特徴とする環境改善施設。
  9. 【請求項9】 環境改善層形成体(X)における環境改
    善対象区域(B)の対向面に、飛来物等の衝突時の機械
    的衝撃を緩和するとともに空気の流通を許容する保護フ
    ェンス(2)が配されることを特徴とする請求項8記載
    の環境改善施設。
  10. 【請求項10】 吸着フェンス(3A,3B,3C)が
    層方向に間隔を空けて複数配されることを特徴とする請
    求項8または9記載の環境改善施設。
  11. 【請求項11】 通気部(i)の大きさの異なる複数種
    類の吸着フェンス(3A,3B,3C)が配されること
    を特徴とする請求項10記載の環境改善施設。
  12. 【請求項12】 吸着フェンス(3A,3B,3C)に
    おける通気部(i)の回りに、親水性が付与されている
    ことを特徴とする請求項8、9、10または11記載の
    環境改善施設。
  13. 【請求項13】 吸着フェンス(3A,3B,3C)
    に、光触媒(5)が担持されていることを特徴とする請
    求項8、9、10、11または12記載の環境改善施
    設。
  14. 【請求項14】 吸着フェンス(3A,3B,3C)に
    おける空気流との接触表面が、毛細管現象により保水を
    行う多孔質または繊維構造をなしていることを特徴とす
    る請求項8、9、10、11、12または13記載の環
    境改善施設。
  15. 【請求項15】 吸着フェンス(3A,3B,3C)の
    表面に、界面活性剤などによる親水性が付与されている
    ことを特徴とする請求項8、9、10、11、12、1
    3または14記載の環境改善施設。
  16. 【請求項16】 吸着フェンス(3A,3B,3C)
    が、環境改善対象区域(B)の遮音壁(W)の内側に、
    間隔(L)を空けて配されることを特徴とする請求項
    8、9、10、11、12、13、14または15記載
    の環境改善施設。
  17. 【請求項17】 環境改善対象区域(B)が、車両
    (v)の通過する道路、軌道路,操車場等の交通施設の
    一部であることを特徴とする請求項8、9、10、1
    1、12、13、14、15または16記載の環境改善
    施設。
  18. 【請求項18】 環境改善対象区域(B)が、空港施設
    の一部であることを特徴とする請求項8、9、10、1
    1、12、13、14、15または16記載の環境改善
    施設。
  19. 【請求項19】 環境改善対象区域(B)が、運河また
    は港湾施設の一部であることを特徴とする請求項8、
    9、10、11、12、13、14、15または16記
    載の環境改善施設。
  20. 【請求項20】 環境改善対象区域(B)の付近に配さ
    れて空気中の浮遊物を吸着除去するものであって、複数
    の網目(i)を有するとともに、該網目を形成している
    網目構成体(4)の表面に、光触媒が担持されているこ
    とを特徴とする環境改善用ネット。
  21. 【請求項21】 網目構成体(4)に親水性を高めるた
    めの活性処理がなされていることを特徴とする請求項2
    0記載の環境改善用ネット。
  22. 【請求項22】 網目構成体(4)が、可撓性を有して
    いることを特徴とする請求項20または21記載の環境
    改善用ネット。
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