JP2001041009A - 内燃機関用摺動部品 - Google Patents

内燃機関用摺動部品

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JP2001041009A
JP2001041009A JP21867999A JP21867999A JP2001041009A JP 2001041009 A JP2001041009 A JP 2001041009A JP 21867999 A JP21867999 A JP 21867999A JP 21867999 A JP21867999 A JP 21867999A JP 2001041009 A JP2001041009 A JP 2001041009A
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stem shaft
shaft portion
wear
internal combustion
combustion engine
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JP21867999A
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English (en)
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Manabu Okinaka
学 沖中
Masahito Taniguchi
雅人 谷口
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相対当たり角が幾分増大してしまう場合に
も、ステム軸部の局所摩耗や早期摩耗を抑制することが
でき、さらにカム摺動面の偏摩耗や早期摩耗を抑制する
ことができる内燃機関用摺動部品を提供する。 【解決手段】 内燃機関用摺動部品としてのタペット1
は、ステム軸部2aを備えた金属体2と耐摩耗性部材3
とがロー材層4を介して一体化された構造を有する。ス
テム軸部2aの外周面はクラウニング形状に形成され、
このクラウニング量は、ステム軸部2a自身の軸線長さ
10mmあたり3〜15μmの範囲内に設定されてい
る。当該構成により、軸状に形成されるガイド孔内壁面
に沿って往復動するステム軸部2aが、その外周面に施
されたクラウニング形状に対応する形で、ガイド孔内に
て滑らかに偏心可能となる。このため、ステム軸部2a
の局所摩耗やカム摺動面の偏摩耗等が効果的に抑制され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、船舶、及
び汎用機等の内燃機関における、吸気・排気弁等の動弁
機構を駆動させるタペット、バルブリフター等の内燃機
関用摺動部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、タペット等の内燃機関用摺動
部品(以下、「摺動部品」という)においては、内燃機
関に設けられた軸状のガイド孔内を往復動するステム軸
部を備えた金属体に、耐摩耗性に優れる超硬合金、セラ
ミックやサーメット等の耐摩耗性部材を加熱接合や圧入
等で取付けてカムとの当たり面(以下、「カム摺動面」
という)を構成したタイプのものが多数提案されてい
る。
【0003】このような摺動部品は、カムの回転運動に
伴って軸状のガイド孔に沿って往復動する機能上、ガイ
ド孔内に配されるステム軸部の真円度及び同軸度が、ガ
イド孔に対応する形態で高精度に仕上げられている。
【0004】また、上述した機能上、カム摺動面の端面
をステム軸部の軸線方向に対して直角な位置関係となる
ように構成することで、カム摺動面の端面の振れを抑制
している。なお、ここでいう「カム摺動面の端面」と
は、カム摺動面の外縁を包含する平面のことを指す。即
ち、カム摺動面がフラット形状に形成される場合には、
カム摺動面がそのまま端面となりうる。また、カム摺動
面の偏摩耗等の防止を目的として摺動部品に回転を生じ
させるために、カム摺動面がクラウニング(中央部が突
出する小さな曲率)形状に形成される場合には、図4に
援用して示すように、クラウニング形状をなすカム摺動
面103aの外縁103bを包含する平面を端面Bとし
て考えるものとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ステム
軸部の軸線方向に対するカム摺動面の端面の直角精度
は、例えば、カム摺動面を構成する耐摩耗性部材を金属
体へ取付ける際の製造上の要因や工程能力、或いは両者
の取付け面における表面粗さや傾斜に起因して、幾分か
バラツキを生じることがある。それにより、同一製品ロ
ットにあっても、カム摺動面の端面がステム軸部の軸線
方向に対して直角な位置関係を有さずに傾斜を生じてし
まう。
【0006】カム摺動面の端面がステム軸部の軸線方向
に対して傾斜することがあると、図4に概念的に示すよ
うに、その傾斜がステム軸部102aの軸線O方向に対
するカム摺動面103aの端面Bの振れ(軸線O方向に
対する直交線Cとのなす角度)θ2となって現れる。な
お、この振れθ2は、カム201側の摺動部品101と
の接触面201aに摺動部品101の回転を促進するた
めに予め設けられたカムテーパ角(軸線O方向に対する
直交線Cとのなす角度)θ1と合計して相対当たり角
(θ1+θ2)と称される。つまり、ステム軸部102
aの軸線O方向に対するカム摺動面103aの端面Bの
振れθ2は、予め調整される相対当たり角の増大の大き
な要因となる。なお、相対当たり角のバラツキは、摺動
部品側の影響のみならず、カムテーパ角やエンジンブロ
ックに設けられるガイド孔の加工精度等のエンジン側の
要素によっても決まってくるものである。
【0007】上述の要因により相対当たり角が増大する
ことがあると、カム摺動面に対するカムの接触が、ステ
ム軸部の軸線方向に対するカム摺動面の傾斜の高い部分
近傍に集中し易くなり、いわゆる片当たりを生じてしま
う。それにより、カム摺動面におけるカム接触面積の縮
小化を招き、カム摺動面にかかる面圧を上昇させるとと
もに、ガイド孔内における摺動部品のステム軸部の偏心
度合を高めてしまう。このとき、ステム軸部は、その外
周面の一部がガイド孔内壁面に局所的に押し付けられな
がら往復動に供されることになる。そのために、ステム
軸部の局所摩耗や早期摩耗といった問題を招いてしま
う。また、ステム軸部の外周面の一部がガイド孔内壁面
に局所的に押し付けられることにより、摺動部品の回転
性が損われてしまい、カム摺動面の偏摩耗や早期摩耗の
発生といった問題を招いてしまうことにもなる。
【0008】本発明は、こうした問題点に鑑みてなされ
てものであり、相対当たり角が幾分増大してしまう場合
にも、ステム軸部の局所摩耗や早期摩耗を抑制すること
ができ、さらにカム摺動面の偏摩耗や早期摩耗を抑制す
ることができる内燃機関用摺動部品を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】前記目的
を達成するために為された本発明の請求項1に記載の内
燃機関用摺動部品は、内燃機関に設けられた軸状のガイ
ド孔内を、カムの回転運動に伴って往復動するステム軸
部を備えた金属体からなる内燃機関用摺動部品におい
て、前記ステム軸部の外周面が、該ステム軸部自身の軸
線方向に平行な向きの断面をとったときにクラウニング
形状に形成されていることを特徴とする。
【0010】本発明の注目すべき点は、ステム軸部の外
周面が、そのステム軸部自身の軸線方向と平行な向きの
断面をとったときに、同軸状ではなくクラウニング(中
央部が突出する小さな曲率)形状に形成されている点に
ある。それにより、軸状に形成されるガイド孔内壁面に
沿って往復動するステム軸部が、その外周面に施された
クラウニング形状に対応する形で、ガイド孔内にて滑ら
かに偏心可能となる。
【0011】従って、相対当たり角増大の影響により、
カム摺動面(カム摺動面の端面)の傾斜の高い部分近傍
にカムが接触する場合にも、ステム軸部が、カム摺動面
(カム摺動面の端面)の傾斜の高い部分から低い部分に
向けてガイド孔内で滑らかに偏心しながら、往復動に供
されることになる。それにより、ステム軸部の外周面の
一部がガイド孔内壁面に局所的に押し付けられることを
抑制し、ステム軸部の外周面の局所摩耗、早期摩耗を抑
制することができる。
【0012】さらに、本発明では、ステム軸部に形成さ
れたクラウニング形状に対応して、カム回転運動に伴う
ステム軸部のガイド孔内壁面に押し付けられる程度
(力)を緩和させることが可能となる。それにより、摺
動部品の回転性を高めることが可能となる。その結果、
カム摺動面に対するカムの片当たりの程度を緩和させる
ことができ、カム摺動面の偏摩耗や早期摩耗の発生を抑
制することができる。
【0013】また、上述の構成は、請求項2に記載のよ
うに、前記ステム軸部を備えた金属体と、前記カムとの
当たり面をなす耐摩耗性部材とによって構成され、該金
属体と該耐摩耗性部材とがロー材層を介して一体化され
る摺動部品に適用した場合に効果的である。
【0014】ところで、ステム軸部を備えた金属体とカ
ム摺動面をなす耐摩耗性部材とにより摺動部品を構成す
べく両者を一体化させる手段として、金属体と耐摩耗性
部材との間にロー材を介在させ、このロー材を加熱、溶
融させた後に、固化させる接合手段(いわゆる、ロー付
接合)が知られている。しかしながら、このロー付接合
にあっては、一定の厚みを有するロー材が溶融時に勾配
を生じ、その状態で固化されることがあると、ロー材層
厚さの分布バラツキが生じて、耐摩耗性部材がステム軸
部の軸線方向に対して傾斜した状態で接合されてしま
う。とりわけ、量産用大型炉を用いて金属体と耐摩耗性
部材とのロー付接合を行う場合には、炉内におけるロー
付温度のバラツキの影響により、ロー材層厚さの分布バ
ラツキを生じ易い傾向にある。即ち、金属体と耐摩耗性
部材とがロー材層を介して一体化される摺動部品にあっ
ては、カム摺動面の端面がステム軸部の軸線方向に対し
て傾斜となって現れる可能性が高く、相対当たり角増大
を招く可能性が高い。
【0015】そこで、本発明は、上述したようにステム
軸部の外周部が、そのステム軸部自身の軸線方向と平行
な向きの断面をとったときにクラウニング形状に形成さ
れている。それにより、金属体と耐摩耗性部材とをロー
付接合した際にカム摺動面の端面がステム軸部の軸線方
向に対して傾斜してしまった場合にも、ステム軸部がガ
イド孔内にて滑らかに偏心可能であることから、カムの
回転運動に伴うステム軸部の外周面の局所摩耗や早期摩
耗を抑制することができる。
【0016】また、金属体と耐摩耗性部材とをロー付接
合により一体化する摺動部品にあっては、カム摺動面に
おけるカムの片当たりが生ずることがあると、カム接触
回数の増加やロー材層へのヘルツ応力の増加、さらには
耐摩耗性部材外縁部へのカム接触といった問題を招く。
このため、カム回転運動に伴うロー材層(接合部)への
応力の増大を招き、ロー材層の劣化、ひいては耐摩耗性
部材の剥離の発生が懸念される。
【0017】しかしながら、本発明では、上述したよう
にステム軸部がガイド孔内で滑らかに偏心可能であるこ
とから、カムの回転運動に伴う摺動部品の回転性を高め
ることが可能であり、それによりカム摺動面におけるカ
ムの片当たりの程度を緩和させることが可能となる。こ
のことは、カム回転運動に伴うロー材層への応力を緩和
させることにつながることから、ロー材層の劣化、耐摩
耗性部材の剥離の発生を抑制することができる。
【0018】さらに、請求項3に記載のように、前記ス
テム軸部のクラウニング形状をなす外周面のクラウニン
グ量が、ステム軸部における軸線長さ10mmあたり3
〜15μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0019】ステム軸部の外周面のクラウニング形状を
なすクラウニング量が15μmよりも大きい場合には、
ステム軸部とガイド孔内壁面との間のクリアランスが大
きくなる。そのために、ステム軸部がカムの回転運動に
伴い必要以上に偏心し易くなってしまい、エンジンの騒
音増大を引き起こすおそれがあり、ひいては動弁機構の
駆動性能に支障をきたすおそれがある。一方、ステム軸
部の外周面のクラウニング形状をなすクラウニング量が
3μmよりも小さい場合には、クラウニング形状による
ステム軸部の滑らかな偏心が僅かなものとなり、ステム
軸部の局所摩耗、早期摩耗の抑制効果が小さくなってし
まうおそれがある。
【0020】なお、金属体と耐摩耗性部材とがロー材を
介して一体化される摺動部品にあっては、金属体と耐摩
耗性部材とをロー付接合する際に使用されるロー材の厚
みが、ロー材の種類によって異なるものである。即ち、
ロー材の種類によって、接合後のロー材厚みの分布バラ
ツキの生じ易さが異なるものといえる。そのことから、
ステム軸部の外周面のクラウニング形状をなすクラウニ
ング量は、ロー材の種類、さらにはその厚みに応じて、
3〜15μmの範囲内にて適宜設定することが望まし
い。
【0021】また、実際にステム軸部の外周面におい
て、摩耗が顕著な箇所はエンジンブロックに設けられた
ガイド孔端部開口のエッジ部との接触部である。即ち、
ステム軸部において摩耗が問題となるのは、ステム軸部
の内の軸線方向における端部側寄りの部分(外周面)で
ある。このことを考慮すると、ステム軸部のクラウニン
グ形状をなす外周面の内の軸線方向略中央部の領域につ
いては、必ずしもクラウニング形状に寄与する必要がな
い。即ち、請求項4に記載のように、前記ステム軸部の
軸線方向略中央部にあたる領域がフラット形状に形成さ
れていても、上述したステム軸部の外周部に形成される
クラウニング形状による効果を得ることは可能となる。
【0022】さらに、上述したステム軸部の外周面に形
成されるクラウニング形状に加え、そのステム軸部の外
周面の表面粗さが摩耗の減少に効果的であることが、後
述する試験結果から確認されている。なお、ステム軸部
のクラウニング形状をなす外周面の表面粗さについて
は、請求項5に記載のように、平均表面粗さ(Ra)で
1.0μm以下に形成することが、ステム軸部に摩耗低
減効果を有効に得る上で望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を
図面に基づいて説明する。なお、本実施形態は、内燃機
関(エンジンブロック)に組み込まれ、吸気・排気弁等
の動弁機構を駆動させる摺動部品たるタペットに適用し
た例を示す。
【0024】図1に示すタペット1は、ロー材層4を介
して、ステム軸部2aを備えた金属体2と耐摩耗性部材
3とが一体化された構造を有している。
【0025】金属体2は、Fe系材料を冷間鍛造及び研
削加工することにより形成されており、自身の軸線直交
断面が略円状のステム軸部2aの一方の端部側に、軸線
方向のプッシュロッド挿通孔2cを開口する一方で、他
方の端部側にステム軸部2aの径よりも大径のベース部
2bを連設された形状を有する。そして、ステム軸部2
aの外周面は、図中やや誇張して示すように、研削加工
時にクラウニング(中央部が突出する小さな曲率)形状
に施されている(以下、ステム軸部2aの外周面に形成
されたクラウニング形状のことを、「ステム軸部クラウ
ニング」という)。なお、この軸部クラウニングのクラ
ウニング量は、後述するが、ステム軸部2a自身の軸線
長さ10mmあたり3〜15μmの範囲内に設定されて
いる(図2参照)。
【0026】また、このステム軸部2aは、エンジンブ
ロックに設けられた軸状のガイド孔内壁面(図示せず)
に沿って往復動されることから、その外周面の硬度を高
めるべく、浸炭処理、窒化処理、高周波焼入れや電子ビ
ーム焼入れ等の焼入れ処理が施されている。また、この
焼入れ処理は、ステム軸部の外周面のみならずプッシュ
ロッド挿通孔2cのプッシュロッド(図示せず)との当
たり面にも施される。なお、焼入れ処理がステム軸部2
aの全体に施された場合には、金属自体が有する靱性が
不足してしまい、逆に脆性破壊のおそれがある。そのた
めに、焼入れ処理は、ステム軸部2aの必要な部位の表
面にのみ部分的に施される方が望ましい。
【0027】金属体2を形成するFe系材料としては、
各種炭素鋼、合金鋼(ステンレス鋼あるいは耐熱鋼を含
む)、あるいは鋳鉄を使用できる。例えばJISに規定
されたものでは、JIS S45C、同S50C、同S
Cr440、同SCr420、同SCM435、同SN
C631、同SNC815、同SNCM439、同SN
CM447、同SNCM630、同SACM645等種
々の材料が適用可能である。
【0028】ついで、耐摩耗性部材3は、耐摩耗性に優
れる超鋼合金、セラミック、サーメット、Fe系材料等
により構成することができるが、その中でも耐摩耗性の
みならず、機械的強度及び耐食性に優れるセラミック
を、特に窒化珪素(Si34)を使用することが望まし
い。本実施形態では、以下、耐摩耗性部材3をセラミッ
ク(窒化珪素)により構成したものとして説明する。例
えば、このセラミック3は、窒化珪素原料90重量%に
23−Al23系焼結助剤及び成形バインダを加え、
金型プレスにより成形後、脱脂、焼成を行い、両端面を
研削して円板状に形成したものを使用することができ
る。なお、セラミック3の材料としては、窒化珪素に限
られず、ジルコニア、窒化ホウ素、アルミナ、サイアロ
ン等を適用してもよい。
【0029】また、セラミック3のカム摺動面をなす一
端面は、図中やや誇張して示すように、クラウニング形
状に形成されている。このクラウニング形状は、金属体
2とセラミック3とをロー付接合して冷却する際に、金
属体2とセラミック3との熱膨張差を利用して、セラミ
ック3を中央部が盛り上がるように弾性変形させること
により形成したものである。この方法によれば、研磨等
の機械加工を用いることなくセラミック3にクラウニン
グ形状を形成することができるので、摺動部品を低コス
トに提供することができる利点を有する。
【0030】ついで、ロー材層4を形成するためのロー
材は、Agを主成分とするAg系ロー材を使用すること
ができる。このようなロー材としては、Ag−Cu−I
n−Ti系ロー材(Cu:15〜30、In:8〜1
5、Ti:0.5〜4、残部Ag(単位重量%、以下同
じ))、Ag−Cu−Ti系ロー材(Cu:20〜4
0、Ti:0.5〜4、残部Ag)等が挙げられる。A
g系のロー材を使用した場合のロー材層の厚さは、5〜
60μmの範囲内にて調整するのがよい。厚さが60μ
mを越えると、接合強度の低下を招く場合がある。一
方、厚さが5μm未満では接合不良につながるおそれが
ある。
【0031】さらに、Cuを主成分とするCu系ロー材
を使用すれば、ロー材層の耐熱性、ひいては摺動部品の
高温接合強度をさらに高めることができる。Cu系ロー
材としては、Cuを80重量%以上含有するものを使用
することで、接合部(ロー材層)の耐熱性にとりわけ優
れた摺動体を得ることが可能になる。Cu系ロー材とし
ては、具体的にはCu−Al−Si−Ti系のロー材が
挙げられる。Cuの含有量は上述の通り80重量%以上
に設定することで、ロー材層の耐熱性が特に良好とな
る。Alは主にロー材の融点を調整する働きをなし、含
有量が高いほどロー材の融点が低下する。一方、Siは
ロー材が溶融してできる液相の流動性を高め、空孔とい
った欠陥が少ないロー材層の形成に寄与する。但し、S
i含有量が0.1重量%未満になると液相の流動性改善
効果が乏しくなり、逆に8重量%を越えるとロー材層が
脆弱化して接合強度の低下につながるおそれがある。
【0032】なお、活性金属成分たるTiが10重量%
を越えるとセラミックとの界面反応生成物の量が増大し
て接合強度が低下するため、活性金属成分の含有量は1
0重量%以下、望ましくは5重量%以下の範囲内にて調
整するのがよい。なお、Alの含有量は、Si及び活性
金属成分の含有量と、ロー材の狙い融点(固相線温度)
とを勘案して、0.1〜5重量%の範囲内にて適宜調整
する。
【0033】Cu系のロー材を使用した場合のロー材層
の厚さは、30〜100μmの範囲内にて調整するのが
よい。厚さが100μmを越えると、接合強度の低下を
招く場合がある。一方、厚さが30μm未満では接合不
良につながるおそれがある。なお、前記以外のCu系ロ
ー材としては、Cu−Pd−Si−Ti系ロー材、Cu
−Si−Ti系ロー材等を使用することもできる。
【0034】なお、本発明において、タペットの形状
は、図1に示すものに限定されない。例えば、図5
(a)に示すように、プッシュロッド挿通孔2cをステ
ム軸部2a内に入り込む位置まで延長してもよいし、同
図(b)に示すように、金属体2の全体がステム軸部2
aから構成されるようにして形成してもよい。いずれの
場合にも、ステム軸部2aの外周面がクラウニング形状
に形成されていれば、本発明の効果を得ることができ
る。
【0035】
【実施例】(実施例1) [カムテスタ耐久試験]発明者らは、ステム軸部をクラ
ウニング形状とした効果を確認するために、図1に示し
た形状を有するタペット1を、カムテスタに組み込ん
で、以下の耐久試験条件にてカムテスタ耐久試験を行っ
た。この結果を表1に示した。
【0036】なお、タペット1は、まず金属体2とし
て、JISに規定された合金鋼SNCM630を冷間鍛
造、機械研削することにより作製した(金属体2の各寸
法は、ステム軸部2aの外径d1:20mm、同内径d
2:15mm、ステム軸部2aの軸線方向の長さ(即
ち、全長)L:60mm、ベース部2bの外径D1:3
0mm、同厚み(軸線方向長さ)T:10mm)。一
方、セラミック3として、窒化珪素(Si34)原料1
00重量部に、Y23−Al23系焼結助剤を10重量
部及び成形バインダ5重量部とを配合して金型プレスに
より成形し、脱脂した後に、N2ガス雰囲気で1700
℃にて2時間の常圧焼結後、1700℃、100atm
にてガス圧焼結し、円板状の焼結体を得た。ついで、こ
うして得られた焼結体の両面を研削してセラミック3を
作製した(セラミック3の各寸法は、直径D2:30m
m、厚みt:1.5mm)。そして、得られた金属体2
とセラミック3との間に、Agを主成分としたAg−C
u−In−Ti系ロー材(Cu:23、In:25、T
i:2.0、残部Ag)を挟み込み、800℃×60分
(真空雰囲気)の条件にてロー付接合を行うとともに、
冷却する際にセラミック3のカム摺動面にクラウニング
形状を付与させ、本試験用の各タペットを複数個形成し
た。
【0037】また、本試験を行うにあたり、各タペット
のロー付接合時に使用するロー材の厚みを調整し、カム
摺動面の端面の振れを表1のように調整した。さらに、
各タペットにおけるセラミック3のカム摺動面の最大ク
ラウニング量H(カム摺動面の端面からの最大高さ)、
及びステム軸部2a自身の軸線長さ10mm当たりの軸
部のクラウニングのクラウニング量(最大となるクラウ
ニング量)を表1に示すように調整した。
【0038】なお、表1におけるステム軸部2a及びセ
ラミック3の摩耗量は、最大摩耗量を示すものとする。
また、セラミック3と金属体2とのロー材層4(接合
部)に欠陥(劣化)が発生したか否かについては超音波
探傷にて確認した。欠陥が発見された場合にはNGとし
た。なお、表中の*の摩耗量は、ロー材層4の接着面積
率が80%となった時点での測定値である。 <カムテスタ耐久試験条件> タペットクリアランス:0.3mm 油温:100℃ カム回転数:2000rpm 耐久サイクル:5×107サイクル
【0039】
【表1】
【0040】本カムテスタ耐久試験により、軸部クラウ
ニングのクラウニング量が、ステム軸部2a自身の軸線
長さ10mmあたり3〜15μmの範囲内にある試験N
o.1〜No.7のタペットについては、ステム軸部2
a及びセラミック3の摩耗の抑制、及びロー材層4の耐
疲労性向上の効果が得られることが分かる。また、ロー
付接合に起因してカム摺動面の端面の振れが大きいタペ
ットについても、ステム軸部2aの外周面をクラウニン
グ形状とすることによる改善効果が確認された。
【0041】一方、軸部クラウニングの最大クラウニン
グ量が2μmの試験No.8のタペットについては、試
験途中でセラミック3の剥離が生じた。このように、軸
部クラウニングのクラウニング量が小さいと、軸部クラ
ウニングの効果によるタペット1の回転性の向上への寄
与が小さいものと考えられ、この結果、カムの回転運動
に伴うロー材層4にかかる応力増大を免れることが難し
く、当該ロー材層4が疲労破断(劣化)してしまうもの
と考えられる。
【0042】また、軸部クラウニングのクラウニング量
が18,20,22μmの試験No.9〜11のタペッ
トについては、試験中のエンジンの騒音が大きく、しか
も、エンジンブロックに設けられたガイド孔にまで摩耗
がみられた。このように、軸部クラウニングのクラウニ
ング量が大きいタペットでは、タペット1とガイド孔内
壁面との間にガタ(クリアランス)が大きくなりがち
で、ステム軸部2aが必要以上に偏心し易くなり、エン
ジンの騒音が大きくなる。
【0043】以上の試験結果により、軸部クラウニング
のクラウニング量は、ステム軸部自身の軸線長さ10m
mあたり、3〜15μmの範囲内が最適な範囲であるこ
とが分かる。 [表面粗さの影響]さらに、ステム軸部2aのクラウニ
ング形状をなす外周面の表面粗さが、当該ステム軸部2
aの摩耗量にいかなる影響を与えるかを確認するための
カムテスタ耐久試験を以下の耐久試験条件にて行った。
表2に、軸部クラウニングにおける表面粗さ(平均表面
粗さ(Ra))を変化させた場合の摩耗量(最大摩耗
量)を示した。
【0044】なお、本試験にあたっては、軸部クラウニ
ングのクラウニング量をステム軸部2a自身の軸線長さ
10mmあたり10μmに設定し、かつ、セラミック3
のカム摺動面の最大クラウニング高さを20μm、及び
カム摺動面の端面の振れの大きさを20μm(2.3
分)になるように設定したタペットを使用した。また、
軸部クラウニングの表面粗さは、テーラーホブソン製
(Talysurf−120L)の測定機を使用して、
JIS−B0601、測定長さ1.5mm、カットオフ
が0.08にて測定した。 <カムテスタ耐久試験条件> タペットクリアランス:0.5mm 油温:100℃ カム回転数:1000rpm 耐久サイクル:2×107サイクル
【0045】
【表2】
【0046】表2から、軸部クラウニングの平均表面粗
さ(Ra)が1.0μm以下のタペット(試験No.1
〜3)にあっては、ステム軸部の外周面、さらにはセラ
ミックにおける摩耗に対する有意差が顕著であることが
確認された。従って、ステム軸部の外周面にクラウニン
グ形状を研削加工により施す際に、その外周面の平均表
面粗さが1.0μm以下となるように研削加工を施すこ
とが有効であることが分かる。 (実施例2) [カムテスタ耐久試験]上述した実施例1では、タペッ
ト1のステム軸部2aの外周面の全面にわたってクラウ
ニング形状を施したものを用いてカムテスタ試験を行っ
たが、実施例2では、図3に示すように、ステム軸部の
軸線方向略中央部20aの領域をフラット形状に形成
し、その両側をクラウニング加工したものを採用して、
以下の耐久試験条件にて同試験を行った。本実施例のカ
ムテスタ耐久試験の結果を表3に示した。
【0047】本試験用のタペットとしては、ステム軸部
の軸線方向略中央部がフラット形状である点、及び金属
体2とセラミック3とをロー付接合するに際して使用さ
れるロー材の点以外は、前記実施例1と同形状、同寸法
に形成されているものを使用した。なお、フラット形状
の部分は、ステム軸部2aの両端面から軸線長さ20m
m離れた領域に軸線長さ20mmをもって形成した。ま
た、本実施例のロー材としては、Cuを主成分としたC
u−Al−Si−Ti系ロー材(Al:2.0、Si:
3.0、Ti:2.5、残部Cu)を使用し、1050
℃×60分(真空雰囲気)の条件にて金属体2とセラミ
ック3とのロー付接合を行うとともに、冷却時にセラミ
ック3のカム摺動面にクラウニング形状を付与させ、本
試験用の各タペットを複数個得た。
【0048】また、本試験を行うにあたっては、各タペ
ット1におけるロー付接合時に使用するロー材の厚みを
調整することで、カム摺動面の端面の振れを表3のよう
に調整した。さらに、各タペットにおけるセラミック3
のカム摺動面の最大クラウニング量(カム摺動面の端面
からの最大高さ)、及びステム軸部2a自身の軸線長さ
10mm当たりの軸部のクラウニングが形成された部分
のクラウニング量(最大となるクラウニング量)を表3
に示すように調整した。 <カムテスタ耐久試験条件> タペットクリアランス:0.3mm 油温:100℃ カム回転数:2000rpm 耐久サイクル:5×107サイクル
【0049】
【表3】
【0050】この表3に示した試験結果から、実施例2
の形状を有するタペット、その中でも軸部クラウニング
が形成された部分のクラウニング量が3〜15μmの範
囲内(試験No.1〜7)に設定されたタペットについ
ても、上述した実施例1と同様の効果が得られることが
分かる。表中の*は、接着面積率が80%になった時点
の摩耗量とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るタペットの縦断面図
である。
【図2】 図1のA部拡大断面図である。
【図3】 本発明の実施例2に採用したタペットの縦断
面図である。
【図4】 相対当たり角を説明する概念図である。
【図5】 タペットの幾つかの変形例を示す縦断面図で
ある。
【符号の説明】
1・・・タペット(摺動部品)、 2・・・金属体、
2a・・・ステム軸部、2b・・・ベース部、 3・・
・耐摩耗性部材(セラミック)、4・・・ロー材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G016 BB02 CA01 CA13 CA41 CA44 EA14 EA24 FA33 GA02 3J030 EA21 EB02 EB05 EC04 EC07 4G026 BA01 BA03 BA05 BA17 BA18 BB24 BC01 BD14 BF16 BF42 BF51 BG05 BH03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に設けられた軸状のガイド孔内
    を、カムの回転運動に伴って往復動するステム軸部を備
    えた金属体からなる内燃機関用摺動部品において、 前記ステム軸部の外周面が、該ステム軸部自身の軸線方
    向に平行な向きの断面をとったときにクラウニング形状
    に形成されていることを特徴とする内燃機関用摺動部
    品。
  2. 【請求項2】 前記内燃機関用摺動部品は、前記ステム
    軸部を備えた金属体と、前記カムとの当たり面をなす耐
    摩耗性部材とによって構成され、該金属体と該耐摩耗性
    部材とがロー材層を介して一体化されていることを特徴
    とする請求項1記載の内燃機関用摺動部品。
  3. 【請求項3】 前記ステム軸部のクラウニング形状をな
    す外周面のクラウニング量が、該ステム軸部自身の軸線
    長さ10mmあたり3〜15μmの範囲内に設定されて
    いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内
    燃機関用摺動部品。
  4. 【請求項4】 前記ステム軸部のクラウニング形状をな
    す外周面の内、該ステム軸部の軸線方向略中央部にあた
    る領域が、フラット形状に形成されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用摺動部
    品。
  5. 【請求項5】 前記ステム軸部のクラウニング形状をな
    す外周面の表面粗さが、平均表面粗さ(Ra)で1.0
    μm以下に形成されていることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の内燃機関用摺動部品。
  6. 【請求項6】 前記耐摩耗性部材が、セラミックにより
    構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載の内燃機関用摺動部品。
  7. 【請求項7】 前記内燃機関用摺動部品が、タペットと
    して構成されていることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載の内燃機関用摺動部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014157048A1 (ja) * 2013-03-29 2014-10-02 株式会社リケン 摺動部材及びその製造方法並びに該摺動部材と相手材との組合せ

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2014196670A (ja) * 2013-03-29 2014-10-16 株式会社リケン 摺動部材及びその製造方法、並びに該摺動部材と相手材との組合せ

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