JP2001040462A - チタンまたはチタン合金細径線材の製造方法 - Google Patents

チタンまたはチタン合金細径線材の製造方法

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JP2001040462A
JP2001040462A JP21401399A JP21401399A JP2001040462A JP 2001040462 A JP2001040462 A JP 2001040462A JP 21401399 A JP21401399 A JP 21401399A JP 21401399 A JP21401399 A JP 21401399A JP 2001040462 A JP2001040462 A JP 2001040462A
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wire
heat treatment
titanium
polishing
transformation point
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JP21401399A
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Yoichi Imamura
陽一 今村
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面が美麗で、2次冷間加工性に優れ、熱処
理後におこなう線材の表面研磨において、Rmax で1μ
m程度の鏡面研磨に要する時間が可及的に短い、いわゆ
る研磨性に優れたチタンまたはチタン合金製の細径線材
の製造方法を提供する。 【解決手段】 円形孔型を構成する4個一体のロールを
備える複数のスタンドを、隣り合うスタンドの円形孔型
の溝底方向を互いに略45°変えてパスライン方向に連
接してなる連続圧延機を用い、40%以上の断面減少率
で冷間圧延を施したあと、無酸化雰囲気中でβ変態点〜
(β変態点−150℃)の温度域に20〜240秒間加
熱保持する熱処理を施す。前記の熱処理は通線可能な連
続炉を用いて施すのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間加工性と研磨
性の双方に優れたチタンまたはチタン合金製細径線材の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、外径6mm程度以下のチタンま
たはチタン合金製の細径線材(以下、チタン系線材とも
いう)は、2組一対の孔型ロールを有する複数のスタン
ドを、パスライン方向にタンデムに配置した熱間圧延機
で線径9〜6mm程度の素線材に圧延した後、ダイスピ
ーリングなどで素線材の表面の疵取りをおこない、次い
で孔ダイスで所定の仕上線径に縮径する冷間での伸線を
施した後、熱処理(仕上焼鈍)にて製品品質が調整され
て製造される。
【0003】しかし、仕上線径が小さい場合は縮径に伴
う冷間加工性の低下で断線等が発生し易いため、通常、
冷間伸線では断面減少率が30〜40%程度を越える毎
に、熱処理(中間焼鈍)を施し冷間加工性を回復させる
ことがおこなわれる。従って、仕上線径が小さい場合は
複数回の中間焼鈍が必要となるため、能率が低下し製造
コストが高くなるといった問題がある。
【0004】また、チタン系材料は非常に焼付き易い特
徴を持ち、焼き付き易いステンレスなどの圧延で用いら
れている潤滑剤による伸線でも、チタンと孔ダイスとの
焼付きが多発する。そこで、チタン系材料では、通常、
素線材を加熱して表面にチタンの酸化膜を形成させ、こ
の酸化膜を潤滑膜として伸線する方法が行われる。しか
し、この方法では酸化膜に由来し加工中に剥離したチタ
ン酸化物が表面に押し込まれ加工後の表面に凹状の疵と
なって残留し表面性状を悪化させる問題がある。また伸
線された線材の表面にも酸化膜の一部が残留するため、
酸洗などの表面処理が必要になるといった問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】孔ダイス伸線法の欠点
は、本出願人が先に提案した特開平6−501号公報に
示される細径線材の製造装置を用いることにより解決さ
れる。
【0006】この装置は、円形孔型を有する4個一体の
孔型ロールを有する複数のスタンドをパスライン方向に
タンデムに設けたものであり、この装置を用いた加工に
よれば、孔ダイス伸線と比べて中間焼鈍なしで加工可能
な断面減少率を高めることができるので、中間焼鈍回数
を減少または省略することができる。また、表面に酸化
膜を施すことなく加工することが可能となり、加工後の
線材表面も良好な製品を得ることができる。
【0007】また、本出願人は、特開平9−22550
1号公報において、特開平6−501号公報に開示した
装置による圧延方法と熱処理とを組み合わせ、冷間加工
性と表面性状に優れたチタンまたはチタン合金細径線材
の製造方法を開示した。この方法は、上記装置を用いた
圧延により結晶粒組織に予歪みを付与し、その後材料の
変態温度(β変態)直上の温度で短時間均熱する熱処理
を施すものである。この結果、熱処理後の線材は均一微
細な結晶粒を有し、冷間加工性が向上したものとなる。
【0008】この熱処理方法を中間焼鈍に用いた場合
は、2次圧延(中間焼鈍後の圧延)での限界加工度が向
上するため、従来の熱処理に比べより細い線径までの圧
延が可能になる。また、仕上焼鈍に用いる場合には、そ
の後の曲げや異形線への加工で従来の熱処理材より高加
工度の加工が可能となる。以下、中間焼鈍後や仕上げ焼
鈍後におこなう冷間加工を2次冷間加工という。また、
上記熱処理方法で得られた線材は、粒界割れなどを防止
して圧延などの加工を施すことができるため、その加工
により得られる製品は従来の熱処理材を加工した場合に
比べて美麗な表面が得られる。したがって、上記線材
は、熱処理のままで溶接棒用などの素材に用いることが
できる。
【0009】しかし、眼鏡や装飾用品などの素材のよう
に鏡面仕上げ(Rmax :1μm以下)の表面が要求され
る線材には、熱処理後に細粒の研磨材で表面を磨き仕上
げる研磨が必要となる。通常、研磨は、移動する線材に
研磨粒を付けた回転ブラシを押し付ける方法で行われ
る。
【0010】研磨後の表面粗さは、研磨時間すなわち線
材の移動速度の影響を受け、移動速度が速いと表面粗さ
が大きくなる。したがって、上記のように鏡面仕上げが
要求される線材の研磨では、移動速度が低く押さえられ
る。
【0011】特開平9−225501号公報に開示した
方法で得られる線材は、冷間加工性が向上し、粒界割れ
を抑制して加工を施すことができるので、研磨時の移動
速度をある程度向上させることができる。しかしなが
ら、上記公報に開示した方法においても移動速度の向上
は不十分で、研磨能率の大幅な向上が望まれている。
【0012】以上のことから、表面が美麗で、2次冷間
加工時における冷間加工性が高く、研磨性に優れたチタ
ンまたは合金細径線の製造方法の確立が望まれていた。
【0013】本発明は、上記の事情に鑑みなされたもの
で、その課題は、表面が美麗で、2次冷間加工性に優
れ、熱処理後におこなう線材の表面研磨において、Rma
x で1μm程度の鏡面研磨に要する時間が可及的に短
い、いわゆる研磨性に優れたチタンまたはチタン合金製
の細径線材の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々の実験を重ね、以下のことを知見し
本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち、表面が美麗で、冷間加工性と研
磨性に優れたチタンまたはチタン合金細径線材を得るた
めには、1次冷間圧延を断面減少率が40%以上の加工
度で行う必要があり、この1次冷間加工後に無酸化雰囲
気中で、β変態点未満、(β変態点−150℃)以上の
温度域で20〜240秒間加熱保持する熱処理を施す必
要があることを知見した。
【0016】上記知見に基づく本発明の要旨は、次のチ
タンまたはチタン合金細径線の製造方法にある。
【0017】(1)円形孔型を構成する4個一体の孔型
ロールを備える複数のスタンドを、隣り合うスタンドの
円形孔型の溝底方向を互いに略45°変えてパスライン
方向に連接してなる連続圧延機を用い、40%以上の断
面減少率で冷間圧延を施した後、無酸化雰囲気中でβ変
態点未満、(β変態点−150℃)以上の温度域に20
〜240秒間加熱保持する熱処理を施すことを特徴とす
るチタンまたはチタン合金製細径線材の製造方法。
【0018】(2)上記熱処理を通線可能な連続炉を用
いて施すことを特徴とする上記(1)項に記載のチタン
またはチタン合金製細径線の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法について添付図
面を参照に詳細に説明する。
【0020】まず冷間圧延による加工方法とその条件に
ついて説明する。
【0021】本発明に用いる連続圧延機は、パスライン
周りに4個の孔型ロールを配して構成した複数のスタン
ドをパスライン方向にタンデムに配置したものである。
【0022】図1は本発明に係る冷間圧延を実施する連
続圧延機を構成するスタンドの模式的正面図であり、同
図(a)は入側の第1番目のスタンド、同図(b)は第
2番目のスタンドを示す。符号1はスタンド、2はハウ
ジング、3は穴、4aは孔型ロール、4bはロール軸、
5は孔型形成溝、6は円形孔型、7は傘歯車、8は入力
軸を示す。
【0023】図1(a)、(b)に示すように、各スタ
ンド1には、正面視で八角形状をなすハウジング2の中
央部に開設された縦横十文字の穴3が設けられ、その穴
には4個の孔型ロール4a、4a、4a、4aがそのロ
ール軸4b、4b、4b、4bを穴の壁面に形成した軸
受穴に挿入して設けられる。4個の孔型ロールの周面に
は、ロール軸長方向中央部に孔型形成溝5が形成され、
この孔型形成溝によりハウジング2の中心位置に円形孔
型6が形成され、この円形孔型内を線材が通過して圧延
される。1個の孔型ロール4aのロール軸4bの一端側
は入力軸8となっていて駆動機構(図示無し)に連結さ
れおり、この孔型ロールが駆動される。他の3個の孔型
ロール4a、4a、4aは、その側面に取り付けられ相
互に歯合する傘歯車7にてそれぞれに駆動力が伝達され
駆動される。
【0024】また、連続圧延機では、図1(a)および
図1(b)に示すように、第1スタンドと第2スタン
ド、すなわち隣接するスタンドはその円形孔型の溝底方
向を互いに45°変えて配置され、前段スタンドで圧下
を受けない材料部分が後続スタンドのロール孔型の溝底
部分で圧下を受けるようにされている。すなわち、孔型
ロールは奇数スタンドでは図1(a)、偶数スタンドで
は図1(b)の状態に順次配置されており、その円形孔
型の大きさは、前段スタンドから後段スタンドに向かう
に従って、順次小さくされ、これにより素線材の直径を
順次縮小して所定の直径に仕上げるようになっている。
【0025】図2は、円形孔型6の形状を示す模式的正
面図である。符号9は溝縁部間の隙間を示す。
【0026】図2に示すように、各スタンドの円形孔型
6は、溝縁部間の隙間9に材料が噛み出さないように、
溝底間直径dmよりも溝縁部間直径dhのほうが大きい
形状に形成される。すなわち、通常、各スタンドともd
hとdmの比(dh/dm)は、1.02〜1.06程
度に設定されている。
【0027】上記のように構成された連続圧延機を用
い、チタンまたはチタン合金製の素線材に冷間にて圧延
加工を施し、所定の寸法の細径線材を得る。その時の加
工度は断面減少率((素線材の断面積−細径線材の断面
積)/素線材の断面積×100%)で40%以上にする
必要がある。圧延加工を施すことにより結晶粒が細粒化
されていくが、断面減少率が40%未満では、後述する
熱処理を施しても結晶粒の細粒化が不十分で、研磨性の
向上が図れない。断面減少率の上限は特に限定しない
が、断面減少率が高くなると、冷間加工性が不足して圧
延時に表面や内部に微細な割れが発生し易い。表面割れ
は、表面を削り、疵取りをすれば除去可能であるが、コ
ストアップになる。内部クラックは除去が困難で、2次
冷間圧延や眼鏡用の冷間加工の際に断線や表面疵の原因
となる。したがって、チタン線材の圧延では断面減少率
を80%程度以下とするのが望ましい。また、チタン合
金線材の圧延では断面減少率を85%程度以下とするの
が望ましい。
【0028】次に熱処理方法とその条件について説明す
る。
【0029】上記のように冷間圧延された材料は、さら
なる細径化のための冷間圧延もしくは異形線などの冷間
加工のため2次冷間加工性を向上すべく熱処理が施され
る。しかし、この熱処理に際し、通常用いられる熱処理
法、すなわちコイル状の線材全体をバッチ式や連続式の
熱処理炉に装入して熱処理する方法を適用したのでは、
再結晶後の結晶粒の成長速度が速いため2次冷間加工性
を向上させることができない。すなわち、コイル状の線
材全体を熱処理炉に装入して加熱する場合、コイル全体
を昇温するのに要する時間が長く、線材をその長手方向
に見ると、均熱保持時間が必然的に長くなる部分が生じ
る。その結果、均熱保持時間が長くなる部分では、一旦
再結晶して細粒となった結晶粒が粗大化し、線材の長手
方向にわたって均一微細な結晶粒を得ることができな
い。また、コイル状の線材全体を熱処理炉に装入する方
法では、線材表面の酸化スケールの発生を防止すること
が難しく、表面性状が悪化する。酸化スケールの発生を
防止するためには、無酸化雰囲気中で熱処理を施す必要
がある。しかしながら、上記の方法では、無酸化雰囲気
にするために、一旦炉内を真空にした後、Arガスなど
の不活性ガスで置換する必要があり、その為に多くの時
間が必要となる。
【0030】そこで、本発明では、以下に述べる方法と
条件によって熱処理を施す。
【0031】図3は、本発明に係る熱処理を実施するた
めに用いる連続炉の一例を示す模式的断面図である。符
号21は連続炉、22は冷却装置、23はマッフル、2
4は円筒、25は水槽、26は線材、27は供給口を示
す。
【0032】図3に示すように、連続炉21は、その下
流に冷却装置22を備え、熱処理炉入側から冷却装置出
側に通線可能に構成される。連続炉21は、長尺円筒状
のマッフル23とその外部に高周波誘導加熱などの適宜
な加熱手段(図示無し)を備える。冷却装置22は、連
続炉21のマッフルに接続された円筒24と、その円筒
を通す水槽25を備えており、円筒内を通過する線材2
6を間接冷却することができる。また、図3のA部に示
すように、マッフル内および円筒内にはArガスなどの
不活性ガスが供給口27から供給され、無酸化雰囲気と
される。線材は連続炉および冷却装置を連続的に通線さ
せることにより熱処理が施される。
【0033】次に本発明の熱処理条件について説明す
る。
【0034】本発明では、β変態点未満、(β変態点−
150℃)以上の温度範囲に20〜240秒間加熱保持
する熱処理を施す。
【0035】上記冷間圧延により得られる材料はβ組織
とα組織を有するが、均熱温度が(β変態点−150
℃)未満ではβ組織のみならずα組織も再結晶しないた
め、冷間圧延により形成された転位の解放が進まず2次
冷間加工性の向上が図れない。均熱温度が(β変態点−
150℃)以上になると、α組織が再結晶し転位が解放
されて2次冷間加工性は向上するが、β変態点以上にな
ると一旦微細となった結晶粒が粗大化して研磨性が悪化
する。好ましくは、均熱温度は、(β変態点−100
℃)以上、(β変態点−20℃)以下である。
【0036】均熱保持時間が20秒未満では、α組織の
再結晶が完了せず、線材断面全体が均一に軟化せず、2
次冷間加工性の向上が不十分である。均熱保持時間が2
40秒を超えると、保持温度が高い場合と同様に、部分
的に結晶粒が粗大化し、研磨性が悪化する。好ましく
は、均熱保持時間は30秒以上200秒以下である。
【0037】本発明では、マッフル内に不活性ガスを供
給して無酸化雰囲気で熱処理を行う。無酸化雰囲気で熱
処理を行うことにより、酸化スケールの生成が抑制され
るため、熱処理ままでも美麗な表面を有する製品が得ら
れる。また、熱処理後おこなう2次冷間圧延において、
線材に形成された酸化スケールによる圧延用ロールの損
傷や線材表面へのスケールの押し込み疵の発生を防止す
ることができる。
【0038】なお、β変態点は、チタンまたはチタン合
金に含まれる成分とその含有量によって異なり、例え
ば、JIS−H4600に規定されている2種チタンの
ベータ変態点は約910℃であり、6%Al−4%V−
Tiのチタン合金のβ変態点は約990℃である。
【0039】本発明の熱処理方法を最終の仕上焼鈍に用
いれば、研磨工程での研磨時間の短縮が可能となり、更
に中間焼鈍に用いれば、中間焼鈍での結晶粒の粗大化が
抑えられ、その後の2次圧延でさらに結晶粒細粒化が進
み、さらに研磨性に優れたチタンおよびチタン合金製線
材の生産が可能になる。
【0040】
【実施例】(実施例1)素線材として、熱間圧延で直径
6mmに仕上げた後、ピーリングで直径5.7mmに外
径を調整したβ変態点が910℃のJIS−H4600
で規定されている2種チタン製の線材(以下、純チタン
線材という)と、6%Al−4%V−残部Tiおよび不
可避的不純物からなるβ変態点990℃のチタン合金製
の線材(以下、チタン合金線材という)を用意した。
【0041】連続圧延機として、図1(a)、(b)に
示す基本構成で、最大外径が130mm以下の4個一体
の孔型ロールを備える10台のスタンドをスタンド中心
間距離を130mmとして連接し、更にその後方に上記
基本構成で最大外径が80mm以下の孔型ロールを備え
た10台のスタンドをスタンド中心間距離を80mmと
して連接したものを用いた。各スタンドに組み込まれる
孔型ロールの孔型形状は、図3に示すdhがdmの1.
04倍とし、各スタンドにおける1パス当たりの断面減
少率は5〜15%とした。
【0042】連続炉としては、図3に示す基本構成で、
外径21.6mm、肉厚2.8mm、長さ4mのステン
レス製のマッフルと、その外側にマッフルの中央部3m
を600〜1100℃の範囲で任意温度に均熱できる誘
導加熱装置を備え、マッフルの内部にはArガスを毎分
0.5リットルで供給孔より流し、後述する冷却装置の
円筒内部も含めて無酸化雰囲気としたものを用いた。マ
ッフル出側には、マッフルに接続して外径21.6m
m、肉厚2.8mm、長さ4mのステンレス製の円筒を
備え、容積120リットルの水槽中に円筒を通して線材
を間接冷却する冷却装置を配置した。なお、水槽には冷
却水を3リットル/分で供給し冷却水の温度上昇を抑え
た。
【0043】図4は、実施例で使用した研磨装置による
研磨状態を示す模式図である。符号41は線材、42は
研磨ブラシ、43はノズルを示す。
【0044】図4に示すように、研磨装置としては、移
動する線材の表面に研磨粒子を水に混ぜてノズル43か
ら吹き付けながら研磨ブラシ42を押圧する方式で、線
材のパスラインを挟んで対向する一対の研磨ブラシを有
する3組の研磨スタンドをパスラインの周りに互いに1
20°づつ位相をずらせてタンデムに配置したものを用
いた。研磨ブラシの外径は300mmで、研磨ブラシの
回転速度は毎秒3回転とした。研磨粒子には、材質がア
ルミナ(Al2 3 )で粒径5μmのものを用いた。
【0045】上記各素線材に対し、上記連続圧延機の圧
下スタンド数を変更して種々の加工度(断面減少率で2
0〜75%)を付与して圧延をおこない、次いで、上記
熱処理炉で均熱保持温度が(β変態点−30℃)で保持
時間100秒の熱処理を施した。上記熱処理後、冷却さ
れた線材を上記研磨装置で研磨し、表面の粗さがRmax
で1μm以下となる線材の送り速度Vの上限を求めた。
この速度が速い程、短時間の研磨が可能で研磨性が良い
ことを意味する。表1に送り速度の上限を示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示す結果から明らかのように、いず
れの線材も連続圧延機による加工度が本発明で規定する
40%以上の断面減少率である場合において、送り速度
の上限が高く、研磨性が良好であった。
【0048】(実施例2)連続圧延機の加工度が断面減
少率で60%(圧延後の線材直径:3.6mm)、均熱
保持温度が(β変態点−200℃)〜(β変態点+50
℃)の範囲とした以外は実施例1と同様の条件で圧延と
熱処理をおこなった。次いで、上記と同様に、研磨をお
こない線材表面粗さがRmax で1μm以下となる送り速
度Vwの上限を求めた。表2に送り速度の上限を示す。
また、熱処理後の線材から引張試験用サンプルを採取
し、伸びと降伏応力を調査し、上記熱処理を実施しない
圧延ままの線材と比較した。表3にその結果を示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】表2に示す結果から明らかのように、いず
れの線材も均熱保持温度が本発明で規定するβ変態点未
満、(β変態点−150℃)以上の温度域である場合に
おいて、送り速度の上限が高く、研磨性が良好であっ
た。
【0052】また、表3に示す結果から明らかのよう
に、いずれの線材も均熱保持温度が本発明で規定するβ
変態点未満、(β変態点−150℃)以上の温度域であ
る場合において、圧延ままの線材に比べ、伸びが高く、
降伏応力が低下しており、2次冷間加工性の向上が認め
られた。
【0053】(実施例3)均熱保持温度が(β変態点−
30℃)で、保持時間が5〜300秒の範囲とした以外
は実施例2と同様の条件で圧延と熱処理をおこなった。
次いで、上記と同様に、研磨を行い線材表面粗さがRma
x で1μm以下となる送り速度Vw の上限を求めた。表
4に送り速度の上限を示す。また、熱処理後の線材から
引張試験用サンプルを採取し、伸びと降伏応力を調査
し、上記熱処理を実施しない圧延ままの線材と比較し
た。表5にその結果を示す。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】表4に示す結果から明らかのように、いず
れの線材も均熱保持時間が本発明で規定する20秒以上
240秒以下である場合において、送り速度の上限が高
く、研磨性が良好であった。
【0057】また、表5に示す結果から明らかのよう
に、いずれの線材も均熱保持時間が本発明で規定する2
0〜240秒である場合において、圧延ままの線材に比
べ、伸びが高く、降伏応力が低下しており、冷間加工性
の向上が認められた。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、2次冷間加工性に優
れ、研磨性が良好な線材を得られる。この結果、鏡面仕
上げが要求される眼鏡用や装飾用のチタンまたはチタン
合金製の細径線材において、研磨時間が短縮し製造コス
トの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる連続圧延機を構成するスタンド
の模式的正面図であり、同図(a)は入側の第1番目の
スタンド、同図(b)は第2番目のスタンドを示す。
【図2】ロール孔型の形状を示す模式的正面図である。
【図3】本発明に係る熱処理を実施するために用いる連
続炉の一例を示す模式的断面図である。
【図4】実施例で使用した研磨装置による研磨状態を示
す模式図である。
【符号の説明】
1:スタンド、2:ハウジング、3:穴、4a:孔型ロ
ール、4b:ロール軸、5:孔型形成溝、6:円形孔
型、7:傘歯車、8:入力軸、9:溝縁部間の隙間、2
1:連続炉、22:冷却装置、23:マッフル、24:
円筒、25:水槽、26:線材、41、27:供給口、
42:研磨ブラシ、43:ノズル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 630 C22F 1/00 630K 686 686A 694 694A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形孔型を構成する4個一体の孔型ロー
    ルを備える複数のスタンドを、隣り合うスタンドの円形
    孔型の溝底方向を互いに略45°変えてパスライン方向
    に連接してなる連続圧延機を用い、40%以上の断面減
    少率で冷間圧延を施した後、無酸化雰囲気中でβ変態点
    未満、(β変態点−150℃)以上の温度域に20〜2
    40秒間加熱保持する熱処理を施すことを特徴とするチ
    タンまたはチタン合金製細径線材の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記熱処理を通線可能な連続炉を用いて
    施すことを特徴とする請求項1に記載のチタンまたはチ
    タン合金製細径線材の製造方法。
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