JP2001040228A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2001040228A
JP2001040228A JP11219352A JP21935299A JP2001040228A JP 2001040228 A JP2001040228 A JP 2001040228A JP 11219352 A JP11219352 A JP 11219352A JP 21935299 A JP21935299 A JP 21935299A JP 2001040228 A JP2001040228 A JP 2001040228A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含有される熱可塑性樹脂が本来有する特性、
例えば透明性、機械的強度、成形加工性等を保持しつ
つ、耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂として、分子中にラクトン
環構造を有する重合体(A)と、該重合体(A)以外の
熱可塑性樹脂(B)とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の熱可塑性樹
脂を含んでなる、耐熱性に優れた、新規熱可塑性組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂やアクリロニトリル−ス
チレン樹脂は、良好な透明性を有し、表面光沢、耐候
性、耐薬品性に優れるうえ、機械的強度、成形加工性、
表面硬度のバランスがとれているため、自動車や家電製
品等における透明成形材料として幅広く使用されてい
る。しかしながら、これら樹脂のガラス転移温度(T
g)は通常70〜100℃前後であることから、耐熱性
が要求される分野での使用は困難であり、これら樹脂の
耐熱性を改良する試みが種々なされている。
【0003】従来から、塩化ビニル樹脂の耐熱性を改良
する方法としては、塩化ビニル樹脂を後塩素化する方法
が知られており、また、特開昭61−162543号公
報や特開平3−170542号公報には、マレイミド−
メタクリル酸メチル系共重合体やマレイミド−芳香族ビ
ニル系共重合体等の高い耐熱性を有する重合体をブレン
ドする方法が報告されている。一方、スチレン−アクリ
ロニトリル樹脂の耐熱性を改良する方法としては、特開
昭57−98536号公報において、高耐熱性を有する
マレイミド−芳香族ビニル系共重合体をブレンドする方
法が提案されている。
【0004】しかしながら、前記塩化ビニル樹脂を後塩
素化する方法では、熱分解が起こりやすくなったり、成
形加工性が損なわれるという問題を有していた。また、
前記の各種高耐熱性重合体をブレンドするポリマーブレ
ンド方法では、得られる樹脂組成物が着色し、樹脂本来
の透明性が損なわれたり、あるいは、樹脂の種類によっ
ては高耐熱性重合体との相溶性が低く、耐熱性の向上効
果が十分に得られない等の問題を有していた。また、高
耐熱性重合体は一般に耐熱性成分として共重合された単
量体の一部が残留し易い傾向があるため、人体への安全
性に問題を有する耐熱性成分を含む前記の各種高耐熱性
重合体では、食品容器等の安全性が要求される用途への
適用が制限されるといった問題を有していた。
【0005】ところで、高耐熱性重合体としては、Po
lym.Prepr.,8,1,576(1967)
に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエス
テル重合体またはα−ヒドロキシメチルスチレン/メタ
クリル酸メチル共重合体を押出機で減圧下で加熱して脱
アルコール反応させることにより、重合体の持つ水酸基
とエステル基の縮合によってラクトン環を生じさせ、耐
熱樹脂を得る方法が、特開平9−241323号公報
に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを重合し
て得た重合体を170℃で10時間処理しラクトン化さ
せて重合体を得る方法が、報告されている。しかし、こ
れら製法によって得られるラクトン化重合体は、耐熱性
には優れるものの、それ以外の例えば成形加工性と機械
的強度とのバランス等の任意の特性をさらに期待するこ
とはできなかった。しかも、前述のように、高耐熱性重
合体を他の熱可塑性樹脂にブレンドした場合、耐熱性は
向上させうるものの該他の熱可塑性樹脂の有する透明性
や機械的強度等の特性は低下するということが、経験則
として一般に認識されており、耐熱性に加えてさらに任
意の特性を付与するために該ラクトン化重合体に他の熱
可塑性樹脂をブレンドすることは、全く予想されること
ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、含有される熱可塑性樹脂が本来有する特性、例えば
透明性、機械的強度、成形加工性等を保持しつつ、耐熱
性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意検討した結果、分子中にラクトン環構造
を有する重合体が、他の熱可塑性樹脂との相溶性に優
れ、しかも、該他の熱可塑性樹脂の有する透明性、機械
的強度等の特性を損なうことなく、耐熱性を向上させる
ことができることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成
物は、熱可塑性樹脂として、分子中にラクトン環構造を
有する重合体(A)と、該重合体(A)以外の熱可塑性
樹脂(B)とを含有する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
熱可塑性樹脂として、分子中にラクトン環構造を有する
重合体(A)と、該重合体(A)以外の熱可塑性樹脂
(B)とを含有するものである。本発明においては、例
えば、透明性や機械的強度等、所望の特性を有する樹脂
を熱可塑性樹脂(B)として選択し、これに重合体
(A)を混合することによって、熱可塑性樹脂(B)の
特性を保持しつつ、さらに耐熱性を付与することができ
るのである。
【0010】本発明において、重合体(A)は、分子中
にラクトン環構造を有するものであれば特に限定されな
いが、例えば、該ラクトン環構造が、水酸基とエステル
基との脱アルコール反応により形成されるものであるこ
とが好ましい。すなわち、重合体(A)は、例えば、分
子鎖中に水酸基とエステル基を有する重合体(a)を原
料として用い、脱アルコール反応によって前記水酸基と
エステル基の少なくとも一部を縮合環化させてラクトン
環を生じるさせることにより得ることができる。以下、
このようにして重合体(A)を得る方法について詳細に
説明する。
【0011】分子鎖中に水酸基とエステル基を有する重
合体(a)とは、直接あるいはいくつかの原子を介して
主鎖に結合した水酸基とエステル基とを有する重合体で
ある。特に、前記水酸基とエステル基とが近接して存在
する場合には、ラクトン環が生成し易くなるので好まし
く、水酸基とエステル基の間に介在する原子が6以下が
さらに好ましく、4以下が最も好ましい。
【0012】重合体(a)は、例えば、あらかじめ水酸
基とエステル基を有する単量体や、水酸基を有する単量
体とエステル基を有する単量体との混合物を、原料単量
体の少なくとも一部として重合することにより得ること
ができるし、また、ブタジエン等のジエン化合物の共重
合体の二重結合部分への水酸基の付加反応や、酢酸ビニ
ル共重合体などのエステル基を有する重合体の加水分
解、カルボキシル基や酸無水物基を有する重合体のエス
テル化等の反応によって、水酸基またはエステル基を重
合体に後から導入して得ることもできる。
【0013】重合体(a)の原料となる単量体は特に限
定されないが、該原料の少なくとも一部が、分子内に水
酸基とエステル基を有するビニル単量体、または、分子
内に水酸基を有するビニル単量体と分子内にエステル基
を有するビニル単量体との混合物であることが好まし
く、これら以外に他のビニル単量体を共存させてもよ
い。
【0014】前記の分子内に水酸基とエステル基を有す
るビニル単量体としては、特に限定されないが、特に、
下記一般式(1)で示される単量体が好ましい。一般式
(1)中、R1 およびR2 の例である有機残基として
は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基等が挙げられる。一般式(1)で示される単量体とし
ては、具体的には、例えば、2−(ヒドロキシメチル)
アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル
酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプ
ロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマル
ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャ
リーブチル等が挙げられる。これらの中でも特に、2−
(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルおよび2−(ヒ
ドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましい。これら
の単量体は1種のみ用いても2種以上を併用してもよ
い。
【0015】
【化2】
【0016】(式中、R1 およびR2 は、同一もしくは
異なる基であって、水素原子または有機残基を示す。) 前記の分子内に水酸基を有するビニル単量体としては、
特に限定されないが、上記の一般式(1)で示される単
量体や、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキ
シエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル
酸メチル等の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エ
ステル;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸等の2−
(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;等が挙げられ、こ
れらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
【0017】前記の分子内にエステル基を有するビニル
単量体としては、特に限定されないが、上記の一般式
(1)で示される単量体や、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシ
ル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステル;メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プ
ロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステ
ル;等が挙げられ、これらは1種のみ用いても2種以上
を併用してもよい。
【0018】前記の分子内に水酸基とエステル基を有す
るビニル単量体、あるいは、分子内に水酸基を有するビ
ニル単量体と分子内にエステル基を有するビニル単量体
との混合物、と併用してもよい他のビニル単量体として
は、特に限定されないが、特に、下記一般式(2)で示
される単量体が好ましい。一般式(2)中、R0 の例で
ある有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等が挙げられる。一般式(2)で
示される単量体としては、具体的には、例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビ
ニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等が挙
げられ、これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレ
ンが、高い耐熱性を有する重合体(A)が得られやすい
ことから特に好ましい。これらの単量体は1種のみ用い
ても2種以上を併用してもよい。また、併用するこれら
の単量体の含有量は、30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量
%以下とすることが好ましい。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、R3 は、水素原子またはメチル基
を示し、Xは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、
フェニル基、−OAc基、−CN基、−COR0 基を示
す。但し、R0 は、水素原子または有機残基を示す。) 本発明においては、前記例示の重合体(a)の原料単量
体の中でも特に、上記一般式(1)で示される2−(ヒ
ドロキシメチル)アクリル酸アルキルとメタクリル酸メ
チルとの共重合体が、脱アルコール反応して得られる重
合体(A)の耐熱性に極めて優れることから、好適であ
る。
【0021】重合体(a)における分子鎖中の水酸基お
よびエステル基の割合は、例えば、2−(ヒドロキシア
ルキル)アクリル酸エステルが原料単量体である場合、
重合体(a)中の2−(ヒドロキシアルキル)アクリル
酸エステル単量体の比率は5%以上が好ましく、10%
以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。そ
して、特に好ましくは30%以上であり、最も好ましく
は40%以上である。水酸基、エステル基を別々に持つ
単量体、あるいは、繰り返し単位からなる場合には、水
酸基とエステル基において等量的に少ない方の単量体
比、あるいは、繰り返し単位比を前記比率とする。水酸
基およびエステル基の割合が少ないと、脱アルコール後
の重合体(A)中ラクトン環構造の占める割合が低下
し、得られる熱可塑性樹脂組成物に十分な耐熱性を付与
できないので好ましくない。
【0022】重合体(a)を前記単量体から得るための
重合方法としては、特に限定されないが、色相に優れ、
かつ、揮発性成分が比較的少なく、耐熱性や成形性に優
れた重合体が得られやすい点から、溶液重合または塊状
重合が好ましい。重合温度や重合時間等は、原料単量体
の種類等の諸条件に応じて適宜設定すればよい。また、
重合反応時には、必要に応じて、従来公知の開始剤を添
加してもよい。
【0023】重合体(A)は、例えば、前記分子鎖中に
水酸基とエステル基とを有する重合体(a)を脱アルコ
ール反応させることにより得られる。ここで、脱アルコ
ール反応とは、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に
存在する水酸基とエステル基の少なくとも一部が縮合環
化してラクトン環を生じる反応であり、該縮合環化によ
ってアルコールが副生する。このラクトン環構造が分子
鎖中に形成されることにより、得られる熱可塑性樹脂組
成物に高い耐熱性が付与される。
【0024】重合体(A)中、ラクトン環構造の占める
割合は、ラクトン環構造を有する繰り返し単位が重合体
中、10重量%以上が好ましく、より好ましくは15重
量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、さらに好
ましくは35重量%以上、最も好ましくは50重量%以
上である。ラクトン環構造の占める割合が10重量%未
満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物に十分な耐熱
性が付与できない傾向がある。
【0025】本発明において、重合体(A)中のラクト
ン環構造の占める割合は、例えば、以下のようにして算
出することができる。すなわち、重合体(A)の熱分析
(TG−DTA)において150℃から275℃までの
間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率
を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重
合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に
関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定
した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上におい
て100%の脱アルコール反応が起きたと仮定して算出
した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少
率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール
反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモ
ル比と、当該重合体組成における前記原料単量体の含有
率とから算出することができる。これらの値(X,Y)
を脱アルコール計算式: 1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y)) に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコー
ル反応率が得られる。そして、この脱アルコール反応率
分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラク
トン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体
の当該重合体組成における含有率(単位比率)に、脱ア
ルコール反応率を乗じることで、当該重合体中のラクト
ン環構造の占める割合を算出することができるのであ
る。
【0026】例として、後述の製造例1で得られる重合
体(A−1)においてラクトン環構造の占める割合を計
算する。この重合体(A−1)の理論重量減少率(Y)
を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2
−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は1
16であり、この2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸
メチルの重合体(A−1)中の含有率(単位比率)は組
成上20.0%であるから、(32/116)×20.
0≒5.52重量%となる。他方、TG−DTA測定に
よる実測重量減少率(X)は0.10重量%であったの
で、これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめ
ると、1−(0.10/5.52)≒0.98となるの
で、脱アルコール反応率は98%である。そして、重合
体(A−1)中ではこの脱アルコール反応率分だけ所定
のラクトン環化が行われたものとして、2−(ヒドロキ
シメチル)アクリル酸メチルの当該重合体(A−1)中
における含有率(20.0%)に、脱アルコール反応率
(98%=0.98)を乗じると、当該重合体(A−
1)中のラクトン環構造の占める割合は19.6(=2
0.0×0.98)重量%となる。
【0027】上にみたように、ラクトン環構造の占める
割合は、脱アルコール反応率によって決まる。従って、
ラクトン環構造の占める割合を10重量%以上とするた
めには、脱アルコール反応率は90%以上が好ましく、
さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以
上である。脱アルコール反応率が低いと、得られる熱可
塑性樹脂組成物の耐熱性が十分に向上しないばかりか、
成形時に発泡する等の問題も生じる。
【0028】重合体(A)を得る際には、通常、前記脱
アルコール反応後、溶剤、残存単量体等の揮発分、副生
したアルコールを除去するために、必要により減圧加熱
条件下で、脱揮処理が行われる。前記脱アルコール反応
と前記脱揮処理とは、別々に行ってもよいし、同時に行
ってもよい。脱アルコール反応と脱揮処理を同時に行う
装置については、特に限定されないが、熱交換器と脱揮
槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、前記脱
揮装置と前記押出機を直列に配置したものを用いること
が好ましく、特に、ベント付き押出機を単独で用いるこ
とが好ましい。この場合のベントは1個でも複数個でも
いずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好まし
い。
【0029】前記脱アルコール反応と脱揮処理とを行う
際には、必要に応じて、脱アルコール反応の触媒とし
て、p−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒または
エステル交換触媒を反応の始め、および/または、途中
から添加することもできる。以上のようにして得られた
重合体(A)中の全残存揮発分は、好ましくは1500
ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である
ことが好ましい。これよりも多いと、成形時の変質等に
よって着色したり、発泡したり、シルバー等の成形不良
の原因となり易い。
【0030】本発明において、重合体(A)のガラス転
移温度(Tg)は、100℃以上が好ましく、さらに好
ましくは120℃以上、特に好ましくは140℃以上で
ある。ガラス転移温度(Tg)は、耐熱性を示す1つの
指標であり、Tgが100℃未満であると、得られる熱
可塑性樹脂組成物に十分な耐熱性を付与することができ
ないので、好ましくない。
【0031】重合体(A)の分子量は特に限定されない
が、重量平均分子量が1000〜1000000が好ま
しく、特に5000〜500000がより好ましい。分
子量が上記範囲より低いと、機械的強度が低下して脆く
なるという問題があり、上記範囲より高いと、流動性が
低下して成形しにくくなるという問題があるからであ
る。
【0032】本発明において、熱可塑性樹脂(B)は、
前記重合体(A)以外の熱可塑性樹脂であれば特に制限
されることはなく、所望の特性を有するものを適宜選択
することができる。熱可塑性樹脂(B)としては、具体
的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテ
ン−1)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素
化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリ
ル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、ス
チレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アク
リロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステルやポリアリレート;ナイロン6、
ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリア
セタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシ
ド;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエ
ーテルサルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリオ
キシベンジレン;ポリアミドイミド;等が挙げられる。
これらは、1種類のみを用いても、2種類以上を併用し
てもよい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂組成物に透明性を付
与する場合には、分子中にラクトン環構造を有する重合
体(A)と相溶性があり透明性がある熱可塑性樹脂
(B)であれば、特に限定なく使用することができる。
また、相溶性が低くても、前記重合体(A)と屈折率が
同程度かまたは近い透明性の熱可塑性樹脂であれば、透
明性への影響は少なく、同様に好ましく用いることがで
きる。このような観点から、上に挙げた熱可塑性樹脂
(B)の中でも特に、透明性に優れる点では、ポリメタ
クリル酸メチル等のアクリル系ポリマー、ポリスチレ
ン、ポリカーボネート、スチレン−メタクリル酸メチル
共重合体、塩化ビニル樹脂、スチレン−アクリロニトリ
ル樹脂が好ましく、特に相溶性に優れる点では、塩化ビ
ニル樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂が好まし
い。
【0034】透明性を備えた本発明の熱可塑性樹脂組成
物に添加する熱可塑性樹脂(B)の選定は、例えば、当
該樹脂組成物を成形して得られた試験片の曇価を測定す
ることでもできる。前記重合体(A)と熱可塑性樹脂
(B)との相溶性の程度を、後述の曇価評価法で評価
し、この曇価が5%以下となるような熱可塑性樹脂を、
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂
(B)と選定するのである。曇価が5%以下となるよう
な熱可塑性樹脂(B)であれば、特に問題なく使用する
ことができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物に対し、こ
のようにして耐熱性とともに透明性も付与することがで
きる。
【0035】本発明においては、熱可塑性樹脂(B)と
して、ゴム質重合体を用いてもよい。ゴム質重合体とし
ては、例えば、ポリブタジエン系ゴムを配合したABS
樹脂、アクリルゴムを配合したASA樹脂、ポリオレフ
ィン系ゴムを配合したAES樹脂やHIPS;ポリオレ
フィン、ポリエステル等の熱可塑性エラストマーや、S
BS、SIS等のエラストマー類;等が挙げられる。こ
れらゴム質重合体は、1種類のみを用いても、2種類以
上を併用してもよく、もちろん先に例示した熱可塑性樹
脂と併用することもできる。
【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、特
に透明性を所望する場合には、例えば、熱可塑性樹脂
(B)として、アクリロニトリル−スチレン共重合体や
塩化ビニル樹脂を用い、前記重合体(A)として、メタ
クリル酸エステル類を50重量%以上含有する重合体を
用いるとよい。これらの組み合わせにより、良好な相溶
性が得られ、優れた透明性と高耐熱性とを併せ持った樹
脂組成物となる。なお、重合体(A)と熱可塑性樹脂
(B)とが熱力学的に相溶することは、これらを混合し
て得られた熱可塑性樹脂組成物のガラス転移点を測定す
ることによって確認することができる。具体的には、示
差走査熱量測定器により測定されるガラス転移点が重合
体(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合物について1点
のみ観測されることによって、熱力学的に相溶している
と言える。
【0037】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、特
に耐衝撃性を所望する場合には、熱可塑性樹脂(B)と
して、ゴム成分を含む熱可塑性樹脂、例えば、ABS樹
脂、ASA樹脂、AES樹脂、MBS樹脂を含む塩化ビ
ニル樹脂等を用いるとよい。これらを熱可塑性樹脂
(B)として用いることにより、優れた機械的強度と高
耐熱性とを併せ持った樹脂組成物となる。
【0038】本発明においては、前述のように、熱可塑
性樹脂(B)として透明性を有する前記樹脂を用いた場
合、重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との相溶性に優
れるため、得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形
した試験片を用いてASTM−D−1003に準じた方
法で測定された曇価は、5%以下という低い価を保持
し、高い透明性を発揮することができる。具体的には、
例えば、熱可塑性樹脂(B)として塩化ビニル樹脂およ
び/またはアクリロニトリル−スチレン樹脂等を用いた
場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した試験片は
曇価が5%以下となる。透明性の目安となる曇価として
は、さらに好ましくは4%以下、特に好ましくは2%以
下であるのがよい。このような重合体(A)と熱可塑性
樹脂(B)との組み合わせは、例えば、透明光学レン
ズ、光学素子、ピックアップレンズ、各種センサー、O
A機器や自動車等の透明部品等の光学特性が要望される
用途に好適に用いることができる。また、特に、光学特
性と耐熱性を併せて所望される用途分野に、本発明の熱
可塑性樹脂組成物は好適に用いることができる。
【0039】本発明において、前記重合体(A)と前記
熱可塑性樹脂(B)との配合比は、重合体(A)/熱可
塑性樹脂(B)=1/99〜99/1(重量比)の範囲
とするのが好ましく、さらに好ましくは10/90〜9
0/10の範囲がよい。特に、熱可塑性樹脂(B)の特
性を最大限に発揮したうえで、耐熱性をも改良したい場
合には、重合体(A)/熱可塑性樹脂(B)=10/9
0〜80/20(重量比)の範囲にすることが好まし
い。さらに好ましくは、10/90〜70/30(重量
比)の範囲がよく、特に好ましくは10/90〜60/
40(重量比)の範囲がよい。
【0040】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記重合
体(A)と前記熱可塑性樹脂(B)とのみからなる混合
物であってもよいし、必要に応じて各種添加剤を含有す
るものであってもよい。各種添加剤としては、具体的に
は、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ
系の酸化防止剤や安定剤;ガラス繊維あるいは炭素繊維
等の補強材;フェニルサリチレート、2−(2´−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;トリス
(ジブロムプロピル)ホスフェート、トリフェニルホス
フェート、トリアリルホスフェート、四臭化エチレン、
酸化アンチモン、ジンクボレート等の難燃剤;アニオン
系、カチオン系、非イオン系、両性系の界面活性剤等の
帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;フ
ィラーや他の樹脂改質剤;等が挙げられるが、特に限定
されない。これら添加剤の含有量は、得られる熱可塑性
樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば、特に限定
されるものではないが、具体的には、本発明の熱可塑性
樹脂組成物の中に含まれる前記重合体(A)と前記熱可
塑性樹脂(B)との合計の含有量が、1重量%以上、好
ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以
上、最も好ましくは20重量%以上となるようにするこ
とが好ましい。
【0041】本発明の好ましい実施形態としては、前記
熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度で示される耐熱性
改良度合いが、その組成物原料に使用する前記熱可塑性
樹脂(B)のガラス転移温度をX℃とした場合、1.0
3X℃以上になることが好ましい。その上限は、機械的
強度やその他の物性も考慮して所望により設定すればよ
く、特に限定されるものではないが、1.4X℃以下が
好ましく、さらに好ましくは1.3X℃以下、特に好ま
しくは1.2X℃以下であるのがよい。熱可塑性樹脂組
成物のガラス転移温度が1.4X℃を越えるようにする
ことは、重合体(A)の添加量を多くすれば可能である
が、例えば、機械的強度、透明性等の熱可塑性樹脂
(B)が本来有する物性を阻害する可能性があるので、
好ましくない。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記重合
体(A)と前記熱可塑性樹脂(B)とを混合し、必要に
応じて各種添加剤をも混合することによって、容易に得
ることができる。重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)、
および必要に応じて各種添加剤の混合方法としては、特
に限定されず、例えば、これらをオムニミキサー等の混
合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練
する方法を採用することができる。この場合、押出混練
に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例え
ば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー
等、従来公知の混練機を用いることができる。
【0043】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成
形、ブロー成形、押出成形、キャスト成形等の成形方法
によって、例えば、板状、成形品、フィルム状、シート
状等の種々の形状を容易に成形できる。成形方法は特に
限定されるものではない。成形の際の成形温度は、耐熱
性などの樹脂の性質に応じて適宜設定すればよく、特に
限定されないが、150〜350℃、さらに好ましくは
200〜300℃とすることが好ましい。
【0044】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限され
るものではない。なお、以下の文中「部」は「重量部」
を表す。重合体(A)および熱可塑性樹脂組成物の各物
性、評価については、以下の方法で測定した。
【0045】・重合体(A)の重合反応率、重合体組成
分析 重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の
含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の
量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置
名:GC−14A)を用いて測定して求めた。 ・重合体(A)の重量平均分子量 重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPC
システム)のポリスチレン換算により求めた。
【0046】・重合体(A)の着色度YI 着色度YIは、重合体をクロロホルムに溶かし、15%
溶液を石英セルに入れ、色差計(日本電色工業社製、装
置名:SZ−Σ90)を用いて測定した。 ・重合体(A)の熱分析(5%重量減少温度、ガラス転
移温度) 熱分析は、試料約10mg、昇温速度10°C/mi
n、窒素フロー50cc/minの条件で、TG(リガ
ク社製、装置名:TG−8110)とDSC(リガク社
製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。
【0047】・重合体(A)中の揮発分測定 樹脂中に含まれる残存揮発分量は、ガスクロマトグラフ
ィー(島津製作所社製、装置名:GC−14A)を用い
て測定して求めた。 ・耐熱性 得られた熱可塑性樹脂組成物について、前記DSC測定
によりガラス転移温度(Tg)を測定し、ガラス転移温
度により評価した。すなわち、ガラス転移温度が高いほ
ど耐熱性に優れるものである。
【0048】・相溶性 得られた熱可塑性樹脂組成物について、前記DSC測定
によりガラス転移温度(Tg)を測定し、ガラス転移点
が1点のみ観測される場合を○とし、2点以上観測され
る場合を×として、評価した。 ・曇価 得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形し、ASTM
D1003に準じて測定した。
【0049】・透明性 得られた熱可塑性樹脂組成物のテトラヒドロフラン溶液
をガラスプレート上に均一な厚みになるように塗布した
後、乾燥させて、キャストフィルムを作成し、このキャ
ストフィルムの透明性を目視にて観察し、次のように評
価した。すなわち、濁りがなく無色透明な場合を○と
し、白く濁った場合を×とした。
【0050】以下に、重合体(A)の製造例を示す。 (製造例1) 攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素
導入管および滴下ポンプを付した30Lの反応釜に、2
−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル5部、メタク
リル酸メチル20部、トルエン25部を仕込み、窒素を
通じつつ100℃まで昇温した。そして、開始剤として
ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト0.075部を加えると同時に、2−(ヒドロキシメ
チル)アクリル酸メチル5部、メタクリル酸メチル20
部、トルエン25部、開始剤0.075部からなる溶液
を3時間半かけて滴下しながら100〜110°Cで溶
液重合を行い、さらに1時間半かけて熟成を行った。重
合の反応率は91.8%で、重合体中の2−(ヒドロキ
シメチル)アクリル酸メチル単位比率は20.0%であ
った。また、この重合体の重量平均分子量は13000
0であった。
【0051】得られた重合体溶液を、バレル温度250
°C、回転数100rpm、減圧度10〜300mmH
g、リアベント数1個とフォアベント数4個のベントタ
イプスクリュー二軸押出機(Φ=29.75mm、L/
D=30)に、樹脂量換算で0.7kg/時間の処理速
度で導入し、該押出機内で脱アルコール反応と脱揮処理
を行い、押し出すことにより、重合体(A)の透明なペ
レット(A−1)を得た。
【0052】ペレット(A−1)の着色度YIは、2.
1であり、ガラス転移温度は126℃であった。また、
ペレット(A−1)について、耐熱性の指標である5%
重量減少温度は366℃であったことから、このペレッ
トは高温領域での熱安定性に優れていることがわかっ
た。
【0053】一方、上記反応、処理とは別に、前記重合
体溶液をテトラヒドロフランで希釈し、これを過剰のヘ
キサンへ投入して再沈殿し、取り出した沈殿物を真空乾
燥(1mmHg、80℃、3時間)して得られた白色固
体状の樹脂の熱分析(TG−DTA)を行ったところ、
前記押出機で得られたペレット(A−1)は、150〜
275℃での実測重量減少率は0.10重量%であっ
た。これに対し、理論重量減少率(重合体組成中の全て
の水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こ
る重量減少を計算で求めたもの)は、5.52重量%で
ある。この計算方法は先に述べた。そうすると、前記押
出機中の脱アルコール反応率は98%である。従って、
ペレット(A−1)の重合体中のラクトン環構造の占め
る割合は、19.6重量%であった。
【0054】なお、ペレット(A−1)中の残存揮発分
は以下に示す値となった。 メタクリル酸メチル:470ppm 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:50pp
m メタノール:280ppm トルエン:90ppm (製造例2) 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メ
チルを10部、メタクリル酸メチルを15部に変更した
以外は、製造例1と同様に行い、重合体(A)の透明な
ペレット(A−2)を得た。なお、重合の反応率は9
3.2%、重合体中の2−(ヒドロキシメチル)アクリ
ル酸メチル単位比率は40.2%、重合体の重量平均分
子量は117000であった。
【0055】ペレット(A−2)の着色度YIは、1.
9であり、ガラス転移温度は141℃であった。また、
ペレット(A−2)の理論重量減少率は11.09重量
%であり、熱分析(TG−DTA)による150〜27
5℃での重量減少率は0.34重量%であるので、脱ア
ルコール反応率は97%となる。従って、ペレット(A
−2)の重合体中のラクトン環構造の占める割合は、3
9.0重量%であった。
【0056】また、ペレット(A−2)について、耐熱
性の指標である5%重量減少温度は350℃であったこ
とから、このペレットは高温領域での熱安定性に優れて
いることがわかった。なお、ペレット(A−2)中の残
存揮発分は以下に示す値となった。 メタクリル酸メチル:520ppm 2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:60pp
m メタノール:690ppm トルエン:90ppm [実施例1〜5および比較例1、2]重合体(A)とし
て前記ペレット(A−1)およびペレット(A−2)を
用い、熱可塑性樹脂(B)として塩化ビニル樹脂および
スチレン−アクリロニトリル樹脂(AS樹脂)を用い、
これらを表1に示す配合比(重量比)でテトラヒドロフ
ランに溶解し、その溶解液をメタノール中に滴下して析
出した白色固体を吸引ろ過後、乾燥して、本発明の熱可
塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の
各物性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】[実施例6〜9および比較例3]重合体
(A)として前記ペレット(A−1)を用い、熱可塑性
樹脂(B)としてアクリロニトリル−スチレン樹脂(A
S樹脂)およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレ
ン樹脂(ABS樹脂)を用い、これらを表2に示す配合
比(重量比)でオムニミキサーにて混合した後、シリン
ダー温度240℃にコントロールした30mmφの二軸
押出機を用いて溶融混練して、本発明の熱可塑性樹脂組
成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の各物性を表
2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、含有される熱可塑性樹
脂が本来有する特性、例えば透明性、機械的強度、成形
加工性等を保持しつつ、耐熱性にも優れた熱可塑性樹脂
組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB01W BC02W BC12X BD04W BD18W BG04X BG05X BG06W BG06X BG07X BN06W BN12W BN15W BP01W BP03W BQ00X CB00W CF00W CG00W CH07W CH08W CH09W CL01W CL03W CM04W CN03W FD010 FD050 FD130 GP00 GP01 4J100 AD07P AJ03P AL03Q AL08Q AL29P BA03P BC04Q BC43P BC43Q CA01 CA04 DA25 HA17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂として、分子中にラクトン環
    構造を有する重合体(A)と、該重合体(A)以外の熱
    可塑性樹脂(B)とを含有する、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】前記重合体(A)のガラス転移温度が10
    0℃以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】前記ラクトン環構造が、分子鎖中の水酸基
    とエステル基との脱アルコール反応により形成されるも
    のである、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】前記重合体(A)が、一般式(1) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は、同一もしくは異なる基であ
    って、水素原子または有機残基を示す。)で表される単
    量体単位を含む共重合体の脱アルコール反応により得ら
    れる重合体である、請求項1から3までのいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記重合体(A)中、ラクトン環構造の占
    める割合が10重量%以上である、請求項1から4まで
    のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】曇価が5%以下である、請求項1から5ま
    でのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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